TOPIC No.2−31N 中国状況


01. 米国で暗躍する中国諜報機関 中国株式会社の研究〜その5 (2009年05月01日) by JB Press
02. 【中国】2月危機の恐怖20090127(前半)byYouTube
03. 【中国】2月危機の恐怖20090127(後半)byYouTube
04. 中国 YAHOO!ニュース
05. 中国情報局
06. 人民日報 日本語版
07. 【格差、環境破壊…岐路に立つ中国】変わりゆく4つの現場を歩く The Sankei Shimbun(2007/01/04)
08. 中国の野望
09. 中華世界を読み解く 田中宇の国際ニュース解説
10. TOPIC No.2−31N−1 2004/2005年度 中国状況
11. TOPIC No.2−31N−2 2006年度 中国状況
12. TOPIC No.2−31N−3 2007年度 中国状況


中国、0・25%追加利上げ インフレ阻止へ全力挙げる

2010/12/26 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同=清水敬善】中国人民銀行(中央銀行)は25日、金融機関の貸出・預金金利を26日から1年物でそれぞれ0・25%引き上げると発表した。利上げは10月以来で、インフレ阻止に全力を挙げる。日米欧が金融緩和を続ける中、2008年秋に深刻化した金融危機後いち早く景気回復を果たした中国は危機対応型の金融政策を平時に戻す「出口戦略」を本格化させた。人民元の上昇圧力が高まりそうだ。

 追加利上げにより、貸出金利は5・81%、預金金利は2・75%となる。

 中国共産党・政府は先の中央経済工作会議で「物価安定を最優先する」とし、緩和的だった金融政策を転換する方針を決定。追加利上げはこの決定に沿った措置だ。市場では人民銀がさらに利上げするとの観測が強い。

 今後、高利回りを求める投資資金の中国への流入が加速し、人民元の上昇圧力が強まると予想され、同国当局がどこまで元高を容認するかが焦点となってきた。

 中国の消費者物価は今年、右肩上がりに上昇。政府が備蓄穀物の放出などの物価抑制策を打ち出した11月も前年同月比で5・1%上昇し、2年4カ月ぶりの高い伸びを記録した。預金金利から物価上昇率を差し引いた実質的な預金金利はマイナスで、市民の不満が高まっている。

 新華社によると、中国の11月末時点の通貨供給量は約71兆元(880兆円強)と世界最大で、だぶついたマネーがインフレ懸念を招来。人民銀は「カネ余り」解消のため10月以降、利上げや金融機関の預金準備率(中央銀行が金融機関から強制的に預かる準備金の割合)引き上げで引き締めを図ってきた。

 人民銀は景気過熱が問題となった07年に6度利上げしたが、08年後半には金融危機を受けて5度利下げした。今年に入り不動産バブルに対応するため預金準備率引き上げなどで対応、10月20日には2年10カ月ぶりとなる利上げに踏み切った。

中国、物価安定を最優先 金融引き締めへ転換

2010年12月12日20時35分 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同】中国共産党・政府が10日から開いていた中央経済工作会議は12日に閉幕し、来年の経済政策について「物価水準の安定を最優先する」として、インフレや不動産バブル懸念に対応するため、緩和的だった金融政策を引き締め方向に転換する方針を最終決定した。新華社が伝えた。

 中国では食料品や不動産の価格高騰が社会問題となっており、今月3日の党中央政治局会議も金融政策の転換方針を示していた。

 工作会議は「比較的速い経済発展を保つ」としており、来年の経済成長率目標を今年と同じ8%前後に設定したとみられるが「安定した健全な発展を確保するため、経済政策の調整機能を高める」と強調。インフレ抑制など市民生活に直結する経済問題の解決を優先する考えを示した。

中国、金融引き締め方向へ転換 インフレやバブル懸念

2010/12/04 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同=清水敬善】中国共産党は3日、来年の経済政策を協議する中央政治局会議を開き、インフレや不動産バブルへの懸念に対応するため、緩和的だった金融政策を解除し、引き締め方向に転換する方針を打ち出した。積極財政は維持することも決めた。新華社が伝えた。

 2008年秋のリーマン・ショック後、主要各国は景気回復のため金融緩和を実施したが、景気回復を果たした中国は今年10月から利上げや預金準備率の引き上げで徐々に引き締めを図っている。政治局会議はこの流れを追認し、「出口戦略」の本格化を表明した形だ。市場では追加利上げの観測が浮上している。

 中国の金融政策転換は約2年ぶり。政治局会議でこれまで「適度な金融緩和」としてきた基本方針を「穏健な金融政策」に変更した。金融緩和などによる「カネ余り」が物価上昇や不動産高騰を招き、庶民の間で不満が高まっているため、当局は金融政策の転換を迫られていた。

 金融引き締めはインフレ抑制効果はあるが、企業の設備投資を手控えさせ、景気を冷やす恐れがあるため、共産党・政府は新エネルギー分野といった戦略産業の支援などに積極財政を続け、景気を下支えする方針だ。

 欧州の信用不安などで世界経済の先行きが不透明な中、政治局会議は中国経済も「多くの困難に直面する」と指摘。国内外の情勢の変化を見極め「経済政策の柔軟性を高める」と強調。また「経済発展方式の転換を加速する」として、輸出主導から内需主導の成長を目指す考えを示した。

 中国の消費者物価指数の上昇率は7月以降、4カ月連続で政府目標の3%を上回り、上海など大都市では不動産価格が高止まりし、インフレやバブル懸念がくすぶる。

 共産党・政府は来年の経済政策の具体策を決める中央経済工作会議を今月中に開く見通し。

中国版新幹線、日本抜く 最高速度486キロを記録

2010/12/03 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同】中国中央テレビによると、「中国版新幹線」の中国国産高速列車「和諧号」(CRH380A)の試験走行が3日行われ、時速486・1キロと最速記録を更新した。日本の国土交通省によると、日本の新幹線の最高時速は443・0キロで、中国版新幹線は日本の新幹線の記録を追い抜いた。

 中国最速を記録した列車は来年10月までに開通予定の北京と上海を結ぶ高速鉄道に投入され、両都市間約1320キロを4時間台で結ぶことが期待されている。同列車は今年10月に開通した上海と浙江省杭州を結ぶ高速鉄道で既に営業運転している。

 同列車は、川崎重工業が中国企業に支援した技術をベースに開発された。中国は日本やドイツなど先進国から技術供与を受け、複数の種類の高速鉄道車両を開発し、技術革新を進めている。

 北京―上海間の高速鉄道のレールは全区間で完成しており、3日の走行試験は山東、安徽両省間で行われた。これまでは9月に記録した時速416・6キロが最速だった。

 フランスの高速鉄道TGVは2007年の試験走行で時速574・8キロを達成している。日本の新幹線は試験車両「300X」が1996年に443・0キロを記録した。

中国、インフレ退治総力戦 食料価格に上限、買い占めに罰金など視野

2010.11.17 05:00 SankeiBiz

上海市内のスーパーで食品を選ぶ買い物客。中国政府はインフレ抑制策として、食品価格の上限設定などを実施する可能性がある(ブルームバーグ)

 中国政府はインフレ抑制策の一環として、食料価格の上限の設定やトウモロコシ、綿花などに対する投機の取り締まり強化に乗り出す可能性がある。中国証券報が伝えた。このほか消費者への補助金支給、買い占めと価格つり上げに対する罰金、地方行政のトップが野菜など一部食品の価格に責任を持つ制度の導入が予想されるという。

 この件についてブルームバーグ・ニュースは、中国の国家発展改革委員会(NDRC)にファクスで質問を送付したが、回答は得られなかった。

 中国当局がこのほど発表した10月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で4.4%上昇。政府年間目標の3%を上回り、インフレ圧力が鮮明になった。先月3年ぶりの利上げを実施した中国人民銀行(中央銀行)は先週、市中銀行の預金準備率も引き上げるなど金融引き締めを本格化している。

 中国商務省は16日に声明を発表し、インフレ抑制に向け他の政府機関と連携していく方針を明確にした。このほか、一部を除く大半の品目については十分な供給が確保されているとの認識を示した。

 同省の調べによると2010年11月の最初の10日間、国内の野菜価格は前年同期比で62.4%、年初来で11.3%それぞれ上昇した。供給抑制が投機マネーの流入を招いた結果、中国でのコメ並びにトウモロコシ価格は16日、ともに過去最高を記録。政府は供給不足を緩和して価格を安定させるべく、国家備蓄分の砂糖、綿花、トウモロコシ、アルミ、亜鉛をすでに市場投入している。

 一方、大連商品取引所は16日までに、価格操作など市場を混乱させる活動を阻止するため「異常な」内容の取引を制限する意向を表明した。同取引所が発表した文書によると、同一人物が売りと買いの注文を出す仮装取引など、不正が疑われるあらゆる取引が無効となる見通し。こうした措置をとる取引所は、鄭州商品取引所、上海先物取引所に続き国内3カ所目となる。(ブルームバーグ Feiwen Rong)

中国、食品価格の上昇抑制に向け一連の措置を計画=中国証券報

2010年11月16日 13:18 JST PRESIDENT REUTERS

 [北京 16日 ロイター] 16日付の中国証券報によると、中国は食品価格の上昇抑制に向けて今後数週間に価格統制や投機の取り締まりなど一連の対策を導入する計画。

 同紙は1面で、中国政府は食品価格の急騰を強く懸念しており、断固として抑制する方針だと報じた。

 同紙によると、国家発展改革委員会(NDRC)と地方政府が一連の措置を検討しており、価格統制、消費者への補助金、買い占めや価格吊り上げの取り締まりに加え、地方行政のトップが一部食品の価格に責任を持つ制度などが選択肢に挙がっている。また、とうもろこしや綿への投機は厳重に罰する方針という。

 同紙によれば、ある関係筋は「過度に急速な食品の値上がりをはじめ、物価上昇は中国が現在直面している大きな経済問題だ」と述べ、検討されている政策は物価上昇の勢いを抑えることを目的とし、連続効果を生むために複数組み合わせて導入されると指摘した。

 10月の中国の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比4.4%と2年1カ月ぶりの高水準を記録。内訳は食品以外の上昇率が1.6%だったのに対し、食品は10.1%上昇した。

米マクドナルドが中国本土で価格引き上げ、原材料価格上昇で

2010年11月17日 14:31 JST PRESIDENT REUTERS

 [香港 17日 ロイター] ファストフード大手の米マクドナルド(MCD.N: 株価, 企業情報, レポート)は、中国本土でのメニュー価格を、1品目につき0.5─1元引き上げたと発表した。原材料価格の上昇のためで、即日実施した。

 同社中国法人のスポークスマンは「一部原材料のコストが増加したため、メニュー価格を調整した」と述べた。値上げされるのは中国本土のみで、香港とマカオの店舗は影響を受けないという。

中国、消費者物価は4.4%増 2年余ぶりの伸び率

2010.11.11 16:56 JST CNN.co.jp
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 (CNN) 中国の国家統計局は11日、今年10月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で4.4%上昇し、過去25カ月間で最大の伸び率を示したと発表した。10.1%増だった食品価格が主因。

 9月の消費者物価指数と比べ、0.8ポイント増だった。

 中国のCPI算定では、食料品が対象商品の3分の1を占めている。食料品価格は9月に8%増、8月は7.5%増、7月6.8%増、6月は5.7%増だった。

 今年1月から10月までの間のCPIは前年同期比で3%増だった。政府は物価上昇率の年間目標値を3%に設定している。

 一方、10月の工業品の卸売物価指数は前年同月比で5%増だった。9月から0.7ポイント上昇した。

中国深セン市、物価水準で香港を逆転 食料・日用品「買い出しブーム」

2010.11.08 21:32 MSN産経新聞

 【上海=河崎真澄】中国広東省深●市で食料品や日用品の価格が高騰し、割安な商品を求めて隣接する香港に出かける「買い出しブーム」が起きている。従来は香港住民が物価の安い深●に買い物に行くのが普通だったが、物価逆転で人の流れも逆転したようだ。

 上海紙、東方早報によると、同一商品の市販価格を人民元への換算で比較すると、深●ではリンゴ1個が4元(約50円)と香港の約2倍、有名ブランドのシャンプー1瓶が39元(約470円)で同約1・5倍の高値がついている。鶏卵やトイレットペーパー、ティッシュなども深●がそれぞれ1・3倍前後高かった。

 深●市が先月発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3・8%の上昇で、全国平均3・6%を上回った。なかでも生鮮野菜は同13・6%も上昇した。今春以降、中国各地で干魃(かんばつ)や水害が多発、食品価格の高騰でインフレ懸念が強まっているが、いずれも中国本土産の品物ばかり。深●では“売り惜しみ”による高値を指摘する声もある。

 物価高騰に加え、米ドルにペッグ(連動)している香港ドルに対しても人民元はジリ高となり、香港で人民元の使いでが増していることも背景にある。

●(=土へんに川)

中国洪水被害拡大 死者700人超建設10年の橋も崩壊危機 脆弱な工法再び明るみに

2010.07.24 MSN産経新聞

 【北京=川越一】4月以降、中国中南部を中心に大きな被害を出している豪雨による死者が、24日までに700人を突破した。水害対策を担当する水利省の劉寧次官が記者会見し明らかにしたもので、倒壊した家屋も64万戸を超えた。中国メディアによると、建造してわずか10年の橋も崩壊し始めている。災害のたびに浮上する脆弱(ぜいじやく)な工法が、今回も露呈した形だ。

 問題の橋は浙江省常山市にある。約1千万元(約1億3千万円)をかけて建設され、2000年から使用を開始。地元政府から「優れた建造物」として表彰された。同市では過去10年、大規模な洪水は記録されていないにもかかわらず、今年4月、支柱が崩れ始めていることが発覚した。

 劉次官よると、豪雨被害は、中国中南部を中心に27の省・自治区・直轄市に拡大している。今月21日の時点で、死者は701人、行方不明者は347人。被災者は1億1300万人にのぼっている、中国紙国際情報紙、環球時報(英語版)によると、橋に亀裂が見つかって以来、常山市の地域住民の間に不安が広がっているという。

 建設当時、基礎工事に最新技術を用いなかったことで、耐久性が下がったとの指摘がある。設計関係者は同紙に対し、「市政府は当時豊かではなかったので、簡単で工期が短い工法で橋の基礎を作った」と認めている。

 今月下旬に入って、豪雨の被害は東北部にも拡大しており、遼寧省では家屋5200棟が倒壊した。

中国スタンダードの国家格付け「米国13位、韓国14位、日本15位」

2010.07.13 中央日報/Joins.com

 中国の視点と基準で評価した国家格付けが初めて登場した。欧米の格付け機関が米国の金融危機、南欧発の財政危機も事前に警告できなかったという批判に直面している状況で、完全に新しい評価の枠組みが提示され、大きな関心を集めている。

中国格付け機関の大公国際信用評価有限公司が非欧米国家の格付け機関では初めて国家別信用危険情報を反映させた「2010大公50カ国格付け報告書」を発表したと、国営新華通信・北京青年報が12日報じた。

報告書は、ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、フィッチの米3大格付け機関が出した評価とは大きな差を見せた。

S&P・フィッチなどの国際的格付け機関は最近の調査(2010年5月末基準)で、米国の格付けを最高水準のAAAと算定し、中国(A+)より高く評価した。しかし大公の報告書によると、米国は自国通貨建て債券がAA、外貨建て債券がAAと評価され、13位だった。10位の中国(自国通貨AA+、外貨AAA)より順位3つ低い。

自国通貨建てと外貨建てでともにAA−を受けた韓国は今後の展望が「安定的」と評価され、「否定的」の日本(自国通貨AA−、外貨AA)より1つ高い14位だった。ノルウェー・デンマーク・ルクセンブルク・スイス・シンガポールが自国通貨建てAAA、外貨建てAAAの評価を受け、最高等級の国家信用度が認められた。

「投機等級」(BB+以下)にはギリシャ・アイスランドを挙げ、米3大格付け機関と同じく厳しい点数を与えた。ベネズエラ・エクアドル・ベトナムも「投機等級」を受けた。

大公の格付けで米国の3大格付け機関より高い評価を受けた国は、政治が安定し、経済体質も優秀な新興国だった。特に先進国の中でも長期間経済が低迷したり、成長が弱まり債務負担が大きい国は、米国格付け機関よりも厳しい評価を受けた。

関建中大公会長は今回の報告書について「大公の格付け基準は各国政府の管理能力、経済、金融、財政、外貨流動性など総合的な経済実力」とし「こうした点が、財政状況をあまり反映せず貸出能力を重視する米国の3大機関と大公の最も大きな違い」と述べた。

香港の投資銀行(IB)業界の関係者は「世界経済ビッグ2(米国・中国)で規模が膨らんだ中国が、少なくとも自国市場ではチャイナスタンダードを適用するという強力な意思表示」と指摘した。

チリ産の銅、最大輸出先に中国浮上(上)

2010/07/11 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 チュキカマタ・イキケ(チリ北部)=趙義俊(チョ・ウィジュン)特派員

【特集】中国の南米進出

 南米大陸で中国が存在感を増している。中国は資源確保を目的として、南米に接近し、今や米国を追い抜き、南米主要国にとって最大の貿易相手国として浮上している。経済成長を遂げる国力を背景に中国が叫ぶ「大国崛起(くっき)」「和平崛起」(崛起は急に抜きん出ること)という目標が南米で現実となっているチリ、パナマ、ペルーの3カ国を取材した。

 1951年のチリ・チュキカマタ鉱山。米鉱山大手アナコンダが開発した、世界の銅生産量の30%を占める巨大鉱山だった。

 当時、アルゼンチンの医大生として南米各地を旅していたチェ・ゲバラ(1928−67)は、「ヤンキーどもは哀れな労働者に1セントも余計に払うまいとして、ストライキで毎日数千ペソを無駄にしている。冷酷な効率追求と無気力な怒りが巨大な鉱山を動かしている」と表現した。劣悪な環境で労働者はじん肺を患い、1万人以上が死亡した。こうした怒りがチェ・ゲバラを社会主義革命家の道へと導き、キューバの共産化に同調するようになった。

 今月11日、記者はチュキカマタを訪れた。チリ国営の鉱山会社、チリ銅公社(コデルコ)の広報担当者を務めるパウラ・アルバラドさん(34)は「今月、わが社の銅が上海金属取引所で取引認可を取得した。われわれにとって最も重要な市場に直接参入することができうれしい」と話した。

 チリ政府は1960年代に鉱山権益の51%を確保し、73年には鉱山の完全国有化を図り、コデルコを設立した。コデルコはロンドンと上海で直接銅を取引している。「なぜニューヨークが含まれていないのか」という質問に対する答えは明快だった。「中国のほうが重要だから」だ。今年3月時点で中国の銅消費量は全世界の生産量の36.5%を占め、米国を含むアメリカ大陸全体の消費量(14.7%)の約2.5倍に達する。

 チュキカマタ出身の女性アルバラドさんは、「1年前から中国語を学び始めた。中国大使館の奨学生選抜にも応募した。競争率は3倍前後だが、幸運を祈ってほしい」と笑みを浮かべた。今や鉱山の広報担当者までもが自身の将来を中国に委ねる、チェ・ゲバラが想像もしなかった世の中になったというわけだ。チェ・ゲバラの反米ルートは、中国が台頭するルートへと大きく変貌している。

チリ産の銅、最大輸出先に中国浮上(中)

2010/07/11 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 チュキカマタ・イキケ(チリ北部)=趙義俊(チョ・ウィジュン)特派員

【特集】中国の南米進出

■消え去った米国の栄光

 チュキカマタの鉱山村。銀行、劇場、スーパーマーケットなどの看板が残っているだけで、人影はなかった。アルバラドさんは「鉱山が徐々に拡大し、労働者は08年にカラマ市内へと移った」と説明した。「アナコンダ・スタジアム」という小さな看板だけがかつての米国の栄華を物語っていた。運転手のペリフェさんは、「米国製はもはやこの車(ゼネラルモーターズ〈GM〉車)しか残っていないよ」と言って笑った。

 チェ・ゲバラの時代にじん肺を患い、シャワー施設もない劣悪な環境で暮らした鉱山労働者の跡形も残っていなかった。コデルコの従業員は昨年、一人当たり3万ドル(約270万円)の年末ボーナスを受け取った。これは、チリの一人当たり国民総生産(GDP)の約3倍に当たる額だ。

 チュキカマタにある銅精錬工場。6−8枚の平らな銅版の上に波状に加工された銅版が2−3枚あり、さらにその上に平らな銅版が重ねられていた。背丈ほどに積まれた銅版がサッカー場ほどの面積を埋め尽くしていた。工場責任者のクリスティアン・エガナさんは、「間に波状の板を挟むやり方は中国から要求されたものだ」と説明した。

■中国が南米で台頭する理由

 南米は歴史上、強国への資源供給基地としての役割を果たしてきた。このため、南米経済がどこに依存しているかは、当時の覇権国家の勢力を示していた。100年前の1910年、チリにとって最大の貿易相手国は大英帝国で、輸出全体の41.3%を占めていた。2位は新たな大国に浮上した若い国、米国(21.31%)だった。当時、米国はドイツ(19.99%)を追い抜き、世界の中心は欧州から北米へとシフトしていた。

 1世紀が過ぎ、2009年にはチリの輸出相手国シェア1位が中国(23.9%)となり、米国(11.3%)の2倍以上に達した。ブラジルでは08年以降、中国が最大の貿易相手国に浮上しただけでなく、対中輸出の80%を原材料が占めている。ペルーでは今年1−3月期に中国が最大の貿易相手国に浮上。アルゼンチンでは中国はブラジルに次ぐ2位の貿易相手国となっている。

チリ産の銅、最大輸出先に中国浮上(下)

2010/07/11 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 チュキカマタ・イキケ(チリ北部)=趙義俊(チョ・ウィジュン)特派員

【特集】中国の南米進出

■中国の前線基地イキケ

 今月14日、アタカマ砂漠の都市イキケを訪れた。チリ政府が自由貿易地帯に指定し、人工的に開発した都市だ。

 劉学亮さんは1991年に中国外務省の職員としてチリに赴任し、イキケに拠点を構えた。劉さんは「現在イキケで取引されている商品の87%が中国製だ」と語った。劉さんは当初、イキケで中国製の錠前を取り扱う金物屋を始めた。そして現在は技術発展に伴い、中国製の鉱山設備や発電機を販売している。金物屋として起業した劉さんは、ラジオなど簡単な電気製品からテレビ、DVD、さらには発電機へと急速に取り扱い商品を増やしていったた。イキケ在住の韓国人、ヒョン・ソックンさんは「わたしを含め、布地の商売をしていた韓国人が5人ほどいたが、今は中国産に押されて残っていない。わたしも布地の商売からコンピューター用品の輸入に転業した」と話した。

 チェ・ゲバラが現在の南米を旅したならば、反米を決意しただろうか。それとも反中を誓っただろうか。あるいは、鉱山労働者が受け取るケタ外れのボーナスに怒りを感じただろうか。

■アタカマ砂漠争奪戦

 アタカマ砂漠は硝石、銅、リチウムが豊富な土地だ。かつては不毛の地だったが、19世紀に火薬と肥料の原料となる硝石の存在が知られるようになってからは、各国が争奪戦を繰り広げた。

 アタカマ砂漠はもともとボリビアとペルーの領土だったが、鉱山を開発したのはチリだった。硝石が売れるようになると、ボリビアが国有化を宣言し、ペルーがボリビアを支援する形で、1879年には2対1の戦争が起きた。結果はチリの勝利に終わり、アタカマ砂漠はチリの領土となった。その後、硝石鉱山は当時強国だった英国が50%以上を開発し、残りはドイツとチリが分け合った。

 20世紀初めに電気製品に不可欠な銅が大量に発見されると、米国人が鉱山の新たな支配者として登場した。しかし、米国人は自分たちだけの専用居住地を作り、帽子の色で階級を区別したりと、差別的な行為を繰り広げ現地人からの反感を買った。チリは1960年代に入り、銅鉱山の国有化を断行。しかし、資本不足に陥り、80年代には再び民間企業に鉱山開発を認め、現在では銅資源の60%を民間が占めている。市場競争に委ねられた銅は、今世紀に入り、中国の買い占め対象となった。

 アタカマ砂漠では最近、未来のエネルギー資源として脚光を浴びるリチウムの埋蔵量が世界の3分の1に達すると推定され、再び米国、中国、日本などの参入が押し寄せている。リチウムは電池の素材として需要が高まっていることから、韓国も鉱業振興公社とサムスン物産がコンソーシアムを組み、アタカマ砂漠の「NXウノ・リチウム鉱山」の権益取得に向けた交渉を進めている。

中国労働者の「反乱」、外資系工場に集中する理由とは

2010年06月17日 AFP BBNews発信地:北京/中国

スライドショーを見る【6月17日 AFP】中国にある外資系企業の工場で、労働者のストライキや争議が相次いでいる背景には、企業イメージの悪化を気にする外資系企業が要求に譲歩する可能性に賭ける労働者側の読みがあると、専門家たちは分析する。

「(労働者たちは)外国企業、特に目立つ企業からはもっと引き出せると感じているのではないか」と北京・清華大学(Tsinghua University)の経済学者、パトリック・ホバネツ(Patrick Chovanec)氏は見る。「中国の下請け業者たちは自社が世界にどう思われるか気にもしないだろうが、(発注元の外資系)企業はイメージを気にする」

■イメージ気にする外資系、「知名度」が標的に

 アップル(Apple)やデル(Dell)、ソニー( Sony)といった大手メーカーの製造を下請けしている台湾系大手電子機器メーカー、富士康集団(フォックスコン、Foxconn)の中国工場では、自殺者が相次ぎ賃金が2倍に引き上げられた。

 ホンダ(Honda)の中国工場も次々にストライキに見舞われ、賃上げに応じた。フォックスコンと同じ広東省深セン(Shenzhen)にある台湾の通信機器メーカー、美律実業(Merry Electronics)でも、ストライキを終結させるため作業員7000人の賃金を17%引き上げた。

 最新の動きでは、米ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)が、北東部・遼寧(Liaoning)省瀋陽(Shenyang)市で組合が数か月におよび圧力をかけた結果、従業員2000人の賃上げに同意。また、中国北部にあるトヨタ(Toyota)の下請け部品工場でも今週、短期間ながらストライキが発生した。

 ホバネツ氏は一連の動きについて、90年代前半に米スポーツ用品大手ナイキ(Nike)のアジア工場の労働条件をめぐって巻き起こった批判と似ていると指摘する。「ナイキが標的になったのは、労働条件が最も悪かったからではない。ナイキなら目立つから注目度も高まり、それだけ回答を引き出せると(労働運動家たちが)考えたからだ」

■表ざたにならない中国企業の過酷な実態

 一方、国内企業ではなく外資系企業が相手なら中国政府も労働者の支援にまわりやすいことを、労働者側はよく心得ていると指摘するのは、香港に拠点を置く労働権利保護団体、中国労工通報(China Labour Bulletin)のジェフリー・クロソール(Geoffrey Crothall)氏だ。「中国企業のオーナーたちは政府高官とよほど関係が深い。その事実と一連の争議は大きな関係があると思う」

 国内工場の悪質な労働環境については国営メディアでも大きく取り上げられ、社会的混乱への懸念が高まる中、温家宝(Wen Jiabao)首相は今週、出稼ぎ労働者の待遇改善を呼び掛けた。しかしメディアが焦点を当てているのは外資系工場の争議で、中国企業の工場にはなんの問題もないような印象を与えている。

「ストライキは普段、中国では報道されないが、われわれが知らないだけで、中国企業の工場でもたくさんあるはずだ」とクロソール氏は述べている。(c)AFP/Allison Jackson

大阪から上海へ、平成の遣唐使船が出航

2010年05月09日 読売新聞 YOMIURI ON-Line
再現プロジェクト

古代の色彩を水面に映し、大阪港内を進む遣唐使船(8日午後3時5分)=大久保忠司撮影

 日本と中国を往来した遣唐使船を現代によみがえらせ、上海万博へ派遣する「遣唐使船再現プロジェクト」(角川文化振興財団主催、読売新聞社など後援)で、再現船(全長約30メートル)が8日午後、大阪市港区の天保山西岸壁から出航した。古代ロマンを乗せた〈平成の遣唐使船〉は、長崎・五島列島まで航海後、貨物船で運ばれ、6月12日に上海万博会場で披露される。

 岸壁で式典が行われた後、古代衣装に身を包んだ角川歴彦(つぐひこ)・同財団理事長やこぎ手らが乗船し、再現船はエンジンを始動させ、ゆっくりと離岸した。こぎ手約20人が舷側で櫂(かい)をこぐ姿を演じ、見物客らが手を振って見送った。

 再現船は、9日に広島県呉市の倉橋島、12日に北九州市の門司港、13日に福岡市の博多港に寄港。15日に五島列島に到着する予定。

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いにしえの夢乗せ船出

 古代の日中交流の象徴を再現する航海が8日、始まった。遣唐使船の軌跡をたどり、難波津の地、大阪から、熱気渦巻く上海万博の会場を目指す再現船。出航式が行われた大阪市港区の天保山西岸壁では、ゆかりの人が感慨を新たにした。

 式典には約300人が参加。主催者らのあいさつに続いて、住吉大社(大阪市住吉区)の神官が航海の安全を祈る神事を行った。

 遣唐使も出立前、住吉大社で神事を行い、船には神官も乗り込んだという。この日は関係者が阿倍仲麻呂や鑑真らにふんして古代の衣装に身を包み、当時の様子をよみがえらせた。

 岸壁から船出を見送った住吉大社の真弓常忠宮司は「住吉さんと遣唐使は、深い縁でつながれていた。遣唐使の一員として命がけで海を渡った神官たちの息吹が聞こえてくるようだ」と思いをはせた。

 再現船は、最新の学術的な研究を踏まえ、船上に航海の神である住吉大神をまつった社殿を設け、メーンマストの上部には麻布製の帆を付けている。再現にかかわった東野治之・奈良大教授(古代史)は「新しい解釈を盛り込んだことに意味がある。平城遷都1300年祭と上海万博が重なった時期の航海で、日本と中国が新たな関係を築くきっかけになれば」と期待する。

 こぎ手として参加した俳優の高木誠さん(23)(東京都)は、日本人の父と中国人の母を持つ。「自分のルーツと関係が深いプロジェクトに加われてうれしい。この航海をきっかけに、日中のきずなが強くなってほしい」と話した。家族5人で見物した奈良市の会社員、児玉義和さん(43)は「遷都祭で遣唐使船について知り、実際に動く姿を見に来た。古代の航海が目に浮かぶよう」と笑顔を見せていた。

上海万博、7日間で526人負傷 70人が熱中症

2010/05/08 日本経済新聞

 中国上海市衛生局幹部は8日、記者会見し、上海万博会場で開幕初日の1日から7日までの間に計526人が負傷、70人が熱中症にかかったと発表した。骨折した人も数人いた。

 混雑の中で転倒し、負傷した人が大半という。

 負傷者を含め、会場内の医療施設で診察を受けた人は2198人に上り、うち128人が上海市内の病院に移送された。(上海=共同)

【上海万博】出足低調、来場者予想の半分、5日初の10万人割れ それでも大混乱の不思議

2010.05.05 MSN産経新聞

 【上海=河崎真澄】中国で1日に開幕した上海万博の出足が低調だ。混乱回避のため「指定日」に設定された1日から3日までの来場者は約56万人。入場制限を取り払った4日も約15万人と振るわず、連休明けの平日で、午前中は雨となった5日は、現地時間午後8時(日本時間同9時)までの集計でわずか7万8800人と初めて10万人を割り込んだ。開幕から5日間の合計は約79万人で、1日平均16万人にも満たない。

 万博事務局では当初、1日当たり平均38万人で184日の会期中、延べ7千万人の来場者を想定していたが、このままなら目標数を大きく下回る3千万人割れも予想される。国家威信をかけた上海万博のメンツは丸つぶれになりそうだ。

 万博事務局では、来場者低調の理由について(1)開幕当初の大混雑を敬遠した(2)日中に30度前後に達する気温上昇を懸念した−などを挙げた。ただ、開幕から3日までは1日あたり約35万枚の入場日限定の入場券を完売していたが、実際は半数近くが来なかったのは奇妙で、ネット上では「政府関係者や党幹部に無料で大量献上した指定日入場券がムダになったのでは」などと批判も広がっている。

 しかも、来場者数が予想を大きく下回ったにもかかわらず、入場ゲートの大混雑によるけが人続出や、パビリオンの行列への“割り込み祭り”、中国館など予約券奪い合いによる小競り合い、怒号の嵐など会場の混乱ぶりは目を覆いたくなるほどだった。7月にかけて最高気温が40度近くになる上海で、来場者数は果たして増えるのか。熱射病など来場者の健康や安全に配慮しながら、会場内の混乱を抑制して秩序を保つことが実際可能なのか。関係者の苦悩は深まりそうだ。

【上海万博】ボランティアが取材妨害 中国館の混乱で

2010.05.05 MSN産経新聞

 香港からの報道によると、上海万博会場で4日、香港のテレビ局ATVが中国館の混乱ぶりを撮影していたところ、万博ボランティアが取材を妨害し、テレビカメラを壊す騒ぎがあった。ボランティアは「邪魔だ。撮影するな」と叫びながら何度も強くカメラをたたいたため、カメラの一部が破損したという。

 ボランティアは中国の大学生が大半で、取材妨害の背景には、中国館の管理担当者による何らかの指示があった可能性もある。(上海 河崎真澄)

【上海万博】会場気温30度!熱射病も懸念、日本館は人気2位

2010.05.02  MSN産経新聞

 【上海=河崎真澄、川越一】開幕2日目を迎えた中国の上海万博は2日、入場者数が夕方までに21万人を超えて初日の20万7700人を上回った。この日の上海市は正午前に最高気温が30度を超え、中国館など長い行列のできるパビリオンでは日傘を差す来場者が目立った。会場には人工的に霧を発生させて周囲の温度を下げるドライミストが設置されているものの効果は薄く、日陰のベンチに倒れ込む来場者もいた。この日は26人が熱中症にかかったと報告され、熱射病など暑さ対策が急務となってきた。

 3万枚が配布された中国館の予約券にはこの日も希望者が殺到。ゲート付近では開門と同時にダッシュで入場した数十人が「券をよこせ」と警備員を取り囲む騒ぎとなった。さらに予約券なしで中国館の列に並んだ来場者が、係員の制止を無視して入館するなどの混乱があり、秩序の維持という課題がさっそく突きつけられた。

 一方、中国のインターネット検索最大手、百度(バイドゥ)が同日実施したパビリオン人気投票で「日本館」が2位になった。「万博に行ったら入りたいパビリオン」を複数回答で聞いたところ、回答した約千人のうち59%が「中国館」と答えてトップ。次いで日本館38%、英国館27%、フランス館17%の順となった。最高で3時間待ちとなった日本館について、ネット上で「並んでも(ロボットなど)ハイテクは一見の価値がある」とする高い評価もあった。

史上最大規模、上海万博が開幕 日本館も開館

2010.05.01  MSN産経新聞

 【上海=川越一】史上最大規模の国際博覧会、中国2010年上海万国博覧会(上海万博)が1日、開幕し、一般公開が始まった。午前9時(日本時間同10時)の開園の1時間以上前から中国館に近い入場口には長蛇の列ができた。中国は経済発展で蓄えた国力を世界に誇示する場として万博を位置づけており、国家の威信をかけた一大行事がスタートした。

 人気パビリオンの一つ、日本館では同日午前9時過ぎから仙谷由人国家戦略担当相が出席して開館式が行われた。仙石氏は「多くの人に『こころの和、わざの和』をキーコンセプトとする日本館に訪れてもらい、先進的な技術と自然と共生する文化、様々な問題を国境を越えて解決しようという日本人の心に触れて欲しい」と述べ、日中の相互理解につながることを期待した。

 カイコのまゆのような形から「紫蚕島」(日本名・かいこじま)と命名された日本館は延べ床面積7200平方メートルと、日本が海外の万博で出展した展示館として過去最大規模。最新の環境技術が売り物だが、バイオリンを演奏するロボットなどの先端技術が中国人の関心を呼んでいる。

 万博には開催期間中、7千万人が来場すると予想され、初日の1日は約35万人が訪れる見込み。開催当局は混乱回避が厳しく問われるが、開幕前から万博会場の入場ゲートには大勢の人が詰め掛け、警備の武装警察官が、走ってゲートに向かう入場者に「走るな」と制止する声が響いた。

 また、中国館前では入場予約券をもらえなかった100人近くが警官に詰め寄り、一時、小競り合い状態となり、怒声も飛び交った。

【上海万博】「オンライン万博」も本格オープンへ、仮想空間で疑似体験

2010/4/30 日本経済新聞

 上海国際博覧会(上海万博)の事務局である「上海世博事務協調局」は,上海万博のオンライン・サイト「網上世博会」を2010年5月1日に本格オープンすると発表した(URLはhttp://expo.cn/)。実際には2010年4月30日深夜に利用可能になるもようだ。万博会場の各パビリオンやその展示内容を3次元コンピュータ・グラフィックス(CG)で見せるほか,人間を模したCG,つまり「アバター」を動かして他のアバターと会話するといったこともできるようになるという。

 オンライン上海万博は,既にその簡易版が2009年11月12日にオープンし,「既にのべ2500万人がアクセスした」(上海世博事務協調局)実績があるという。今回の本格オープンでは,内容を大幅に強化する。300館超のパビリオンの昼や夜の外観を用意したほか,110館超のパビリオンでは,展示物も3次元CGで見せる。「まるでVIP(最重要人物)であるかのように,長蛇の列に並ぶことなく自由にパビリオンを出入りできる」(同局)。

【上海万博】万博の直接経済効果は1兆7000億円にも

2010.4.30 MSN産経新聞

 【上海=河崎真澄】中国は2008年開催の「北京五輪」に続く国威発揚の場となる「上海万博」に、最終的に189カ国と57の国際機関という史上最大の出展者数を集めた。新車販売台数で昨年、米国を一気に追い抜いて世界一となるなど、強烈な消費パワーが世界を引き寄せた格好だ。万博景気への期待感も強く、会期中の直接的な経済効果だけで1264億元(約1兆7千億円)との試算がある。12年11月に事実上、任期切れを迎える胡錦濤指導部にとっても、“仕上げ”の国家的イベントになりそうだ。

 246の出展者数は、過去最大だった00年の独ハノーバー万博の170を大きく上回る。今年1〜3月期に実質経済成長率で前年同期比11・9%を記録した中国が、成長性を武器にブラックホールのような吸引力をみせつけた。

 5月1日から10月31日まで開かれる上海万博は、公式推計で史上最大の7千万人の来場者が見込まれ、実際には1億人を超えるとの予測もある。期間中の経済効果として、上海財経大学の陳信康教授は、産業面で795億元、消費面で469億元の直接的効果が表れるとの試算を発表した。地元の証券会社は来場者による消費総額を日本円換算で最大2兆円とみている。

 北京五輪が国際社会に対する中国という国家パワーの誇示だったとすれば、上海万博はチャイナマネーの誇示にほかならない。金融危機の影響を受けた景気低迷からの脱出口を「中国市場」に見いだした日米欧などにとっては、上海万博を契機に中国の消費者にアピールできるかどうかがカギとなる。

 一方で問題は万博後。製造業と輸出など外需への依存度が高い中国経済が、万博をきっかけにサービス業や内需が主導する経済構造にうまく転換できるかが課題となる。交通インフラなど公共事業の急拡大をきっかけとした不動産市場の過熱がバブル崩壊を招かないか、警戒感もくすぶっている。上海対外貿易学院の陳子雷副教授は、「ブームに隠された中国経済の実像が現れる万博閉幕後が正念場だろう」と話している。

中国、6年ぶり貿易赤字 3月、内需拡大や資源高で

2010年04月10日 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同】中国税関総署が10日発表した3月の貿易統計によると、貿易収支は72億4千万ドル(約6750億円)の赤字だった。単月の貿易収支が赤字となるのは2004年4月以来、約6年ぶり。

 中国の国内需要拡大と、原油や鉄鉱石など資源の価格高騰で輸入額が膨らんだことが原因。中国当局がインフレへの警戒などから、人民元を早期に切り上げることを後押しする要因ともなる。

 一方、貿易赤字は一時的との見方も多い。

 輸入は内需の強さを反映し、前年同月比66・0%増の1193億5千万ドルと急増した。一方、輸出は24・3%増の1121億1千万ドルと4カ月連続のプラスとなったが、増加率は2月よりも低かった。

 米国は貿易不均衡の解消を理由に元切り上げを求めてきたが、赤字化で「外圧」が幾分和らぎ、中国が自らの判断で為替政策を判断する環境が整うとの観測がある。

 ただ、陳徳銘商務相が8日に「貿易赤字となっても、貿易が回復する過程での短期的な現象」と語るなど、今後また輸出が増勢を強めるとの見方も多い。

中国、初の輸出世界一 09年、ドイツの大幅下落で

2010年02月09日 中国新聞ニュ−ス

 【ベルリン共同】ドイツ連邦統計庁が9日発表した2009年貿易統計(速報値)で、輸出額は前年比18・4%減の8032億ユーロ(約99兆円)だった。同庁が公表したドル換算は1兆1213億ドル。既に公表済みの中国は1兆2016億ドルで、前年まで首位のドイツを上回り、初めて輸出世界一の座が確定した。

 中国には日米欧の主要メーカーが低コストの生産拠点として進出を続けており、「世界の工場」として躍進、存在感が一段と高まった。10年の国内総生産(GDP)総額で、現在世界2位の日本を超える経済大国となるとみられている。

 ドイツの09年の輸出額の下落率は1950年以降で最大。輸入額も17・2%減の6671億ユーロで、同様に最大の下落率。欧州最大の経済規模を持つドイツは03年以来、輸出首位の座を維持してきたが、09年は金融危機の影響で欧州諸国向けなどが落ち込んだ。

 ただ、最近のドイツの輸出は回復基調で、最大の要因は旺盛な中国需要。このため、今回の輸出世界一の逆転も「ドイツ企業の業績を支える中国経済が、好調な結果だ」(ドイツ産業連盟幹部)とし、冷静に受け止めている。

「中国の時代」、予想より早めに到来か(上)

2009/08/26 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 李泰勲(イ・テフン)記者

 中国の時代が着実に迫りつつある。

 中国経済が高度成長で世界経済の危機脱出を主導し、中国が米国を追い抜き、世界1位の経済大国にのし上がる日が予想より早く到来するとの分析が力を得ている。国内総生産(GDP・名目ベース)を基準にすると、2−3年前までは中国経済が米国経済を追い抜く時期は2050年ごろになるとの予想が大勢だった。しかし、専門家は今回の経済危機を契機として、その時期が大幅に繰り上がると見ている。

 クレディ・スイス銀行のニューヨーク駐在チーフエコノミスト、ニル・ソス氏はニューヨーク・タイムズに対し、「これまで中国などアジアに向かって徐々に東進していた世界経済の重心は、今回の景気低迷で転換点を過ぎた」と語った。

 25日付フィナンシャル・タイムズによると、中国は今年上期の輸出が5217億ドルに達し、ドイツの5216億ドルを抜き、世界1位の輸出国になった。中国の不動産取引額も上期に312億ドルを記録し、米国(162億ドル)、英国(137億ドル)の合計を上回った。今月初め、国際的な経済調査機関のIHSグローバルインサイトは、中国が2015年ごろに米国を抜き、世界最大の製造業国家に浮上すると予測した。ほぼ全ての経済指標が急伸する中国が、足踏み状態の米国をつかまえる格好だ。

 世界経済が危機から回復する様相も180度変わった。シティグループのアナリスト、マイケル・サンダース氏は「第2次大戦以降、世界が景気後退から脱するたびに『機関車』役の米国が先頭に立ち、欧州や他の国々がそれに続いたが、現在は西側に対する貿易黒字で積み上げた資金を持つ中国、アジアが危機脱出を下支えする役割を担っている」と指摘した。中国政府は今年上期に7兆3700億元(約101兆円)の新規融資を行い、それとは別に4兆元(約55兆円)規模の景気浮揚策を導入した。一時1バレル50ドルを下回った原油価格が70ドルを超えたことも中国企業による民間需要が増えたおかげだ。

「中国の時代」、予想より早めに到来か(下)

2009/08/26 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 李泰勲(イ・テフン)記者

 欧州と日本の企業は、米国ではなく、中国の内需にも注目している。今年上期の日本の対中輸出額は465億ドルで、初めて対米輸出額(405億ドル)を上回った。独輸出企業協会のイェンス・ナゲル国際部門長は「米国との取引で失った部分は、中国との取引で埋め合わせしている」と話した。米国も対中輸出が今年1月の41億ドルから6月には55億ドルに増え、中国の恩恵を受けている形だ。

 しかし、中国政府が主導する経済回復基調は、いつでもはじける懸念がある「バブル」だとの見方もある。25日付フィナンシャル・タイムズは、中国市場に放出された巨額資金が、鉄道、道路、空港などのインフラ建設事業に偏っており、民間部門とのアンバランスが深刻化しているほか、そうした資金の20%が株式市場、30%が不動産市場に流れ、資産バブルを形成していると分析した。

 中国鉄道省は2兆元(約27兆6000億円)を投じ、現在総延長8万キロの鉄道網をさらに2万キロ拡充する計画で、交通運輸省は7000億元(約9兆7000億円)をかけ、111件の高速道路建設事業に着手した。しかし、国有企業主導の建設事業は雇用創出効果が小さく、投資コストの回収も難しい。中国の投資銀行関係者はフィナンシャル・タイムズに対し、「融資で放出した資金が実体経済にほとんど流入していない」と指摘した。一方、経済誌フォーチュンの31日付最新号は、中国は2020年までに国土を網羅する世界最速、世界最大の高速鉄道網を有する国家になるとした上で、「先進国を追いかける段階から脱し、実際に先進国を追い抜くという観点から、歴史的意味を持つ」と評した。インフラ建設事業こそ、中国が持続的成長を成し遂げる上で必須の要素だとの分析だ。

 ハーバード大のケネス・ロゴフ教授(経済学)はニューヨーク・タイムズに対し、「中国の真の試練は(現在のような成長の)後段階だ。欧米の消費が回復しない場合、中国やアジアが代案を持っているかは懐疑的だ」との見解を示した。

中国、西沙で最大規模の監視 漁業権益を守る決意か

2009/05/24 47News 【共同通信】

 【北京24日共同】24日付の中国紙、北京晨報によると、中国はこのほど、ベトナムと領有権を争う南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島の周辺海域で、過去最大規模の監視活動を始めた。

 漁業監視船4隻で船隊を組む今回の監視活動について、農業省の担当者は、中国が国家主権と南シナ海での漁業権益を守る決意を示している、と話している。

 監視活動中に、中国の海域で違法操業していた外国籍の漁船1隻を発見し、海域外へ退去させたという。中国の監視船をめぐっては、ベトナム外務省報道官が「国際法に従って関係国の主権を尊重すべきだ」と述べるなど警戒が強まっている。

手足口病、中国で感染地域拡大

2009/05/23 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版/香港=李恒洙(イ・ハンス)特派員

 新型インフルエンザの感染拡大が世界の関心を集める中、5歳以下の乳幼児がかかる伝染性が強い手足口病が中国で急速に感染を広げており、患者数は既に40万人を超えたと推定される。

 22日の新華社電によると、河南、山東の両省に広がった手足口病は最近、北部の河北省、東部の江蘇、浙江、安徽の各省、南部の広東省にも急速に広がっている。

 手足口病はエンテロウイルス71型という腸管ウイルスによって引き起こされ、患者の分泌物を介して伝染する。主に夏から秋にかけ患者が多く、感染すると発熱、口内炎、手足の発疹(ほっしん)などの症状を示す。乳幼児は脳炎や脳膜炎などの合併症を起こし死亡することもある。

 中国疾病予防抑制センター応急弁公室の王子軍副主任は「4月中旬から出始めた手足口病の患者が今月は気温上昇とともに河北省で急増し、内モンゴル自治区でも患者が発生するなど急速に広がっている」と指摘した。

 中国全土では今月13日現在で患者数が35万人、死者数が124人に達した。先月23日時点の患者数23万人、死者数79人に比べ、いずれも急増した。

 中国当局は最新の全国統計を発表していないが、王副主任は「最近は全国で毎日約6000人ずつ患者が増えている」と述べており、22日現在で患者数は40万人を超えたと推定される。

 河南省では18日までに6万1080人の患者が発生し、36人が死亡するなど被害が最も大きい。山東省では11日現在で患者数が3万9429人に達し、34人が死亡した。浙江省でも18日までに1万1759人の患者が発生し、4人が死亡。北京市でも先週だけで1029人の患者が出た。

 今月に入り、韓国と台湾でも中国で流行しているエンテロウイルス71型による患者が相次ぎ発生し、周辺国を緊張させている。中国では昨年にも北京五輪を控え、手足口病が流行し、約40人が死亡した。07年にも17人が死亡している。

中国:工業生産回復へ確固たる基盤をいまだ確立せず−情報産業省

2009/05/22 Bloomber.co.jp

 5月22日(ブルームバーグ):中国情報産業省は22日ウェブサイトに掲載したリポートで、同国は工業生産の回復に向けて確固たる基盤をいまだ確立していないとの見方を示した。

 同省は同リポートのなかで、輸出需要の落ち込みや鉄鋼など産業界の「深刻な」過剰生産能力、さらに企業の収益性の低下を指摘している。

 同省によると、政府の景気刺激策の効果から生産の伸びは4−6月(第2四半期)に8%へ加速し、7−12月(下期)には10%を超える可能性がある。4月の工業生産は前年同月比7.3%増、1−3月(第1四半期)では前年同期比5.1%増だった。

 工業生産を担う企業の約4分の1が第1四半期に赤字となり、同省が調査した39業種中21業種では同四半期の利益が1−2月期よりも悪化した。また、中国の鉄鋼大手・中堅72社は、価格下落や過剰供給の影響で1−4月期に計52億元(約717億円)の損失を計上した。一次アルミニウムの生産能力の約4割は稼動していないという。

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 関根裕之 Hiroyuki Sekine hsekine@bloomberg.net Editor:Keiko Kambara 記事に関する記者への問い合わせ先: Paul Panckhurst in Beijing at ppanckhurst@bloomberg.net

中国の鉄鉱石鉱山、半数が閉鎖された可能性=リオ・ティント

2009年05月18日 REUTERS

 [香港 18日 ロイター] 英豪系資源大手リオ・ティント(RIO.AX: 株価, 企業情報, レポート)(RIO.AX: 株価, 企業情報, レポート)の中国部門マネジングディレクター、アンソニー・ロー氏は18日、鉄鉱石価格が下落して以降、中国の鉄鉱石鉱山の約半数が閉鎖された可能性を指摘した。

 そのうえで、低コストの海外の資源会社が中国に鉄鉱石を供給する機会が拡大しているとの見方を示した。

 当地で開かれた中国経済に関する会議で明らかにした。

 同氏は「海外の低コストの(資源)生産者からの輸入によって、国内生産者は行き場を失った」と指摘した。

 中国による鉄鉱石の輸入増加は、国内企業との激しい競争に慣れているリオ・ティントのような鉱山会社にとって追い風となっている。

 中国では鉄鉱石価格が高騰していたときに鉱山が次々に開発されたが、価格が下落すると、小規模の国内資源会社はコストに圧迫された。

 4月の中国の鉄鉱石輸入量は過去最高の5700万トンで、前月比9%増、前年比では33%増加した。

金融危機で“赤い富豪”に痛手…中国で資産13兆円「蒸発」

2009年05月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=佐伯聡士】中国誌「新財富」5月号が発表した「2009年富豪番付500人」で、金融危機に伴う株価暴落などにより、中国の富豪の資産総額が前年比で37・4%少なくなり、約9740億元(約13兆6000億円)が「蒸発」したことがわかった。

 08年は、500人中、8人いた資産300億元(約4200億円)超の「超級(スーパー)富豪」が今年はゼロ。トップの鉄鋼メーカー会長も200億元(約2800億円)だった。08年は200億元以上の富豪が26人もランキング入りしたが、今年は1人だった。

 米誌などの富豪番付で07、08年とトップになった広東省の女性不動産開発業者は、一時1300億元(約1兆8200億円)を超えた資産が今年は8分の1程度に目減りしたという。

「勝者中国」泡と消える 株式バブル崩壊は時間の問題

2009/05/16 Fuzi Sankei Business i

証券取引所のモニターを注視する個人投資家。上海総合指数は年初から大幅な上昇を演じているが…=中国・上海(ブルームバーグ)

 普通に考えれば中国株の相場は明らかにバブルだ。破裂はいつか。それは誰にも分からない。上海総合指数は年初から45%上昇したが、この株高を支えているのは、この時期に中国が資金を持っているからであり、経済の健全性が理由ではない。

 中国の規模の大きさはプラス要因だ。これから中国株を買うには恐らく遅すぎるだろうが、市場にすでに参加した投資家が失望することはないだろう。

 ≪世界的に経済減速≫

 ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏(コロンビア大学教授)は13日、北京で開かれたフォーラムで「中国政府は危機対応で非常に迅速に措置を講じた」と指摘。中国が世界的な金融危機からの「勝者」として浮上する可能性があると語るなど、中国の資金力に格段の称賛を与えた。

 ただ、同氏は同時に、長期的には慎重な見方も示し、「最終局面の始まりというよりも、開始局面の終わり」が現状だと述べ、「世界経済の下降ペースは鈍化し、まもなく底を打つかもしれないが、完全回復という意味ではない」とも語っている。

 2000年代半ばの急速な経済成長は過去の話だ。ニューヨークから上海まで世界の景気見通しのシフトダウンが進んでいる。米国が巨額資金をどんなに市場に投じても、同国の家計は今後何年も貯蓄を増やし、消費を減らすという過程に直面する。

 こうした米国の変化は、14兆ドル(約1343兆円)規模の米経済に依存する世界経済に痛手だ。4兆4000億ドル規模の日本経済はあまり改善していない。ユーロ圏の大半や英国もリセッション(景気後退)下で、3兆2000億ドル規模の中国経済が世界を救うとの空想にふけるのも悪くない。だが、中国による救済どころか、輸出主導の中国経済に対する包囲網ができつつある。

 09年の中国経済は他の主要国・地域よりもよいとのスティグリッツ氏の考え方は間違っていない。4兆元(約56兆円)規模の景気刺激策や過去最高の銀行融資は輸出急減の穴を埋めるだろう。しかし問題は、中国ほどトップダウン型経済でもこの穴が大き過ぎるということだ。

 ほぼすべてのエコノミストが同様の見方を示す場合、気を付けた方がいい。中国が何とかしてくれるとの見方には、景気刺激策の全額が価値あるプロジェクトや企業向けに賢く生産的に使われるとの思いこみがある。

 この資金が雇用を増やし国民の富が増すと考えているのだ。さらに恐れ入るのは、資金が無駄遣いされることはないとの前提だ。公的資金が地方政府の役人によって株や不動産投機、高級品購入に回される事態をどう回避するのか知る由もない。

 ≪刺激策で時間稼ぎ≫

 中国が今年、健全な成長を何とか果たせても、その付けは回ってくる。日本が経験したような不良債権危機に向かう心配もあるし、経済を輸出主導から内需中心に迅速に再構築しているのかも考える必要がある。

 中国が一段の政府支出を約束し、バブルが持ちこたえる時間が長くなっても、同国経済が直面する困難な課題はなくならない。政府が後押しする銀行融資の規模はすでに通年目標に達し、今後は鈍化する。世界的な輸出低迷による悪影響も拡大する。スティグリッツ氏の予想通り、中国が今年、勝者になったとしても、万々歳ではない。

 中国には米消費者に代わる役割が一段と強く求められるだろうが、現在の景気刺激策は倹約モードに入ってしまった米国の消費を肩代わりできるものではない。中国への投資で含み益が出ているのなら、それを確定する時機かもしれない。(William Pesek)

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 William Pesekは、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です。

中国、大陸棚拡張を国連に申請=東シナ海の文書を先に提出

2009/05/12 時事ドットコム

 【北京12日時事】中国外務省の馬朝旭報道局長は12日、中国の国連代表団が11日、国連海洋法条約に基づき、200カイリを超えて広がる大陸棚の拡張を求める初歩的文書を国連に提出したことを明らかにした。今回提出したのは東シナ海に関する文書で、馬局長は「中国は南シナ海の諸島とその海域に対しても争いのない主権と管轄権を有している。今後、その他の海域についても文書を提出する権利を保留する」としている。

 同条約は大陸棚について、海底の地形・地質が沿岸国の領土と連続していれば、200カイリの排他的経済水域(EEZ)を超えても主権的権利を認めると規定。13日までに初歩的文書を提出して申請すれば、追加申請が認められている。大陸棚拡張について、日本政府は昨年11月に、マレーシアやベトナムは今月上旬にそれぞれ提出。各国の申請に基づいて、国連大陸棚限界委員会が審査する。

中国船、黄海で米船を妨害  「危険な行為」と国防総省

2009年05月06日 東京新聞

 【ワシントン5日共同】米国防総省は5日、黄海で今月1日、米海軍調査船が中国漁船に異常接近されるなどの進路妨害を受けたと発表した。同省報道担当官は「危険な行為だ」と遺憾の意を表明した。

 米中船舶同士のトラブルは3月に南シナ海でも発生し、両政府が再発防止を約束したばかり。

1−3月中国国有企業の利益36.8%減 減少幅は縮小

2009/04/23 サーチナ/center>

 中国財政部は22日、2009年第1四半期(1−3月)の国有企業の売上高が前年同期比7.6%減の4兆3257.1億元、利益総額が同36.8%減の2177億元だったと発表した。利益の減少率は1−2月より6.9ポイント下がった。

 1−3月、国有企業のうち、国有資産監督管理委員会が直轄する「中央企業」約140社の利益は前年同期比43.3%減の1125.3億元だった。3月単月の利益は2月より82.5%増加した。中央企業には石油や電力、鉄鋼、通信など主要産業の大手企業が含まれる。(編集担当:恩田有紀)

上海株、年初来3割上昇 企業救済の資金転用か

2009年03月28日 中国新聞ニュース

 上海市内の証券会社を訪れ、株価の動きを見る個人投資家ら=26日(共同)

 【上海28日共同】中国・上海株式市場の総合指数が年初来約3割も上昇し、世界の主な市場で最も高い上昇率を記録している。中国政府の景気対策への期待が追い風になる一方、資金繰りに窮した企業向けに政府が実施したはずの融資の一部が株式市場に流入したとの見方も。にわかの“株式ブーム”は、世界的な景気後退の影響を受ける中国経済の現状を反映していないと警戒する声も出ている。

 上海にある証券会社の店内は、売買などに訪れた100人余りの投資家であふれ返っていた。女性投資家は「政府が株安を放置するはずがない。まだまだ上昇する」と鼻息が荒い。27日の終値は前日比0・5%高の2374・44で今年の年初から約30%も上昇した。

豪州産鉄鉱石価格、09年度は30─35%安に=豪鉱山会社

2009年03月17日 REUTERS

[シドニー 17日 ロイター] 豪鉱山会社のテリトリー・リソーシズ(TTY.AX: 株価, 企業情報, レポート)は17日、2009年度の豪州産鉄鉱石価格交渉における指標価格は、世界的な景気後退を受けた需要低減を反映し、前年度比30─35%安となるとの見通しを発表した。

 テリトリー・リソーシズのアラン・カミングズ財務担当部長は「価格は前年比30─35%安の範囲内で決着するとみている」と述べた。

 テリトリー・リソーシズは今週、中国の主要輸出先と鉄鉱石の長期供給契約について最終決定する。この契約における価格が、同業のBHPビリトン(BHP.AX: 株価, 企業情報, レポート)(BLT.L: 株価, 企業情報, レポート)やリオ・ティント(RIO.AX: 株価, 企業情報, レポート)(RIO.AX: 株価, 企業情報, レポート)の鉄鉱石価格交渉の指標となる。BHPビリトンとリオ・ティントは現在、4月1日に始まる来年度の鉄鉱石価格について、アジア各国の製鉄会社と既に交渉を始めている。

 CLSAアジア・パシフィック・マーケッツは17日に公表したリサーチノートで、09年度の鉄鉱石価格は前年度から30%下落すると予想、前回予想の20%から修正した。中国で鉄鉱石在庫が増加したため、同国で鉄鉱石のスポット価格が1トンあたり67.50米ドルと、前月から21%下落したと指摘。「短期的には中国の鉄鉱石スポット価格は下落傾向が続くとみている。このため豪州の鉱山会社は需要回復が視野に入るまで交渉の妥結を避けるとみられる」と予測した。

北京−上海間は独系が受注 高速車両、5600億円で

2009年03月16日 中国新聞ニュース

 【北京16日共同】中国の通信社、中国新聞社などによると、中国鉄道省は16日、建設中の北京−上海間の高速鉄道について、ドイツの電機最大手シーメンスが技術供与した車両メーカー「中国北車」グループの2社から高速鉄道車両100編成を購入する契約を結んだ。総額392億元(約5635億円)。

 北京−上海間は中国の高速鉄道計画の中でも中核路線。日系メーカーにとって、ドイツ系による受注獲得は痛手だが、関係者によると、同路線でも川崎重工業などが技術供与した車両の受注の可能性がなお残っている。中国は景気刺激のために鉄道建設を加速させており、今回の車両の大量発注はその一環でもある。

 北京−上海間の高速鉄道は1編成当たり1等車、2等車、食堂車など16両で総定員1026人。最高速度約350キロで北京−上海間の全長1318キロを結び、最も本数の多い時間帯には3分おきに発車する計画。

中国“資源物色”豪に脅威 潤沢な資金で「国策」後押し

2009/02/21 FujiSankei business i

 中国鉄鋼3位、武漢鋼鉄集団と同5位の沙鋼集団が、オーストラリアとブラジルで鉄鉱石鉱山の権益取得に動き出した。政府と関連企業が一体となった中国の資源買収攻勢に対し、資源保有国は警戒を強めている。

 ≪「最後の出し手」≫

 沙鋼集団の沈文栄会長は、豪州とブラジルで買収先探しに着手したことを明らかにした上で「海外での権益取得は中国政府の政策であり、中国の銀行から融資を受けられる」と語った。

 武漢鋼鉄の広報担当者、バイ・ファン氏は、豪州で鉄鉱石資産の買収コストが低下するなかで同社が買収の機会を探っており、豪州以外の国での買収の可能性も排除しないと述べた。

 世界最大の金属消費国である中国は今年に入り、すでに原料資産220億ドル(約2兆700億円)相当を買収している。

 金属と原油の相場は2008年7月以降70%下落し、6年に及んだ商品ブームが終息した。また、米国と豪州の銀行の貸し渋りは依然として続いている。

 鉱物資源業界では今月に入り英豪系大手リオ・ティントが中国国営チャイナルコに、豪OZミネラルズが中国五鉱集団に、それぞれ資産を売却することで合意した。リオとOZミネラルズは合計で400億ドルの債務返済に苦慮していた。

 スイス銀大手UBSの資源調査担当責任者を務めるグリン・ローコック氏(シドニー在勤)は「中国政府は同国の資源関連企業にとって“最後の資金の出し手”といえるだろう。中国は銅やボーキサイト、アルミナ、ニッケル、ジルコン、ウランの純輸入国であり、中国政府は常にこれらの原料確保に向け心を砕いている」と指摘する。

 ≪国際価格支配も≫

 世界最大の消費国である中国が買収をてこに支配する原料を増やしていけば、資源の国際価格に影響を及ぼす可能性がある。中国鉄鋼工業協会(CISA)は、チャイナルコのリオへの出資を機に、鉄鉱石価格をめぐる話し合いで中国の交渉力が強まるとの見通しを示した。

 中国最大の石油会社、中国石油天然ガス集団(CNPC)も海外で油田を物色している。中国は今週、ロシアから今後20年間にわたって石油供給を受ける代わりに、250億ドルを融資することで同国と合意した。

 豪州はすでに、中国が戦略的資産を割安な価格で買収しているとの懸念を表明している。

 スワン豪財務相は、チャイナルコがリオへの出資を発表した先週、買収関連法の規制強化の考えを表明。同相はチャイナルコのリオへの出資と、中国五鉱集団のOZミネラルズに対する買収提案に拒否権を発動する権限がある。

 中国企業による買収活発化の背景には、中国政府が外貨準備の投資先を注意深く検討している現状がある。中国の外貨準備高は過去1年間に27%増加。1兆9500億ドルに達しており、世界の外貨準備総額の約29%を占めている。

 中国企業は、すでに昨年の段階で、ミッドウエストやマーチソン・メタルズ、アブラ・マイニングといった豪州の資源関連企業の株式や経営権を手に入れている。また、中国の石炭供給最大手、中国神華能源は昨年8月、豪州の石炭採掘権を3億豪ドル(約180億円)で獲得した。

 豪資産運用会社オード・ミネットのアナリスト、ピーター・アーデン氏は「中国の持つ財力は強大で、なお数十億ドル規模の買い付け余力がある。今後も、巨額の資源買収が行われるのではないか」とみている。(Helen Yuan,Rebecca Keenan)

中国、新車販売で世界一 1月73万台、小型車が好調

2009/02/11 中国新聞ニュース

 【北京10日共同=桧森史朗】中国自動車工業協会は十日、一月の国内新車販売台数が前年同月比14・4%減の七十三万五千台だったと発表した。米国の一月台数は約六十五万七千台で、中国が米国を七万台超上回り、初めて月間ベースで世界最大の市場となった。

 米市場が急速に縮小する一方、中国は乗用車を中心に底堅い需要がある。耐久消費財の象徴である自動車の販売で中国が米国を抜いたことにより、世界的不況下で中国の存在感がより高まりそうだ。

 一月の新車販売の内訳は、乗用車が7・8%減の六十一万台。うち排気量一六〇〇cc以下の小型車は1・5%増と好調で、同協会は「一月下旬に実施された小型車減税効果が出ている」とした。

 商用車は景気減速の影響を受けて大幅に落ち込み、36・5%減の十二万五千台だった。一月の乗用車と商用車を合計した生産台数では20・2%減の六十五万九千台。在庫増加を避けるため生産を絞ったとみられる。

 中国の新車販売は二〇〇〇年に二百万台を突破、〇八年は約九百三十八万台に達した。中国自動車工業協会は今年は5%増になるとの見通しを発表している。米国は〇八年は前年比18・0%減の約千三百二十四万台に落ち込み、今年はさらに減少する公算が大きい。

 中国の業界関係者からは「米国市場の低迷が続けば、通年でも中国が米国を上回って世界最大の市場となる可能性がある」との見方が出ている。

農民工の失業者2000万人 中国、景気悪化で

2009年02月03日 中国新聞ニュ−ス

 【北京2日共同】中国共産党で農村対策を担当する中央農村工作指導グループの陳錫文ちん・しゃくぶん主任は二日記者会見し、農村から沿海部などへの出稼ぎ労働者「農民工」のうち、景気悪化の影響で約二千万人が失業し帰郷したとの推計を明らかにした。中国紙は昨年十二月、農業省の調査として、農民工約七百八十万人が失業したと伝えていた。

 陳主任によると、中国の農民工は約一億三千万人で、15・3%が失業状態。農業省が農民工を多く出している十五省で調査した結果、春節(旧正月、今年は一月二十六日)前に帰郷した農民工が38・5%で、うち約四割が失業していた。

 陳主任は「毎年平均六百万―七百万人の農民が新たに出稼ぎに出ており、今年は(失業者と合わせて)二千五百万人の農民の就業圧力がある」と語った。失業増加による暴動多発などが懸念されており、暴動発生時には警察任せにせず地方政府幹部が現場に出向いて穏当に対応するのが原則だと強調した。

 中国共産党は一日、年間の最重要政策を示す通達「中央一号文件」を公表、六年連続で農村対策を取り上げた。金融危機の影響が農村にも及んでいるとし、農民工の雇用促進や農業分野への財政支出拡大などにより農民の増収を目指す。

中国GDP、世界3位に 07年時点でドイツ抜く

2009年01月15日 中国新聞ニュ−ス

 【北京15日共同】中国の名目国内総生産(GDP)が2007年にドル換算でドイツを抜き、米国、日本に次ぐ世界3位となったことが中国とドイツが14日に発表した最新統計で明らかになった。

 中国が発表した07年の名目GDP総額は上方修正され、25兆7306億元となった。国際通貨基金(IMF)の年平均為替レートでドル換算すると、3兆3823億ドルになる。

 また、ドイツ政府によると、07年の名目GDP総額は2兆4229億ユーロで、同様の換算で3兆3161億ドルとなった。

 ドイツの08年実質成長率は1・3%にとどまっており、来週発表される予定の中国の08年GDPでは、中国とドイツの差がさらに広がるとみられる。

 中国は最近数年の高成長で、英国やフランスなどを抜いており、近い将来2位の日本も上回るとみられている。

中国で工場労働者が事務所襲撃 広東省、待遇に不満

2008年11月26日 中国新聞ニュ−ス

 【東莞(中国広東省)26日共同】世界的金融危機のあおりで多くの工場が閉鎖に追い込まれた中国広東省東莞市の玩具工場で25日、出稼ぎ労働者が解雇に伴う補償金が少なすぎるとして、事務所のコンピューターなどを破壊する事件が起きた。地元紙は、500人以上が騒ぎ、警察車両数台が破壊されたと報じた。

 関係者によると、工場は香港系で玩具を米国や日本などに輸出。このほど約7000人いる労働者のうち500人以上を解雇することを決め、勤続年数にかかわらず、一律770元(約1万円)を補償金として支払う方針を提示した。

 労働者側は、補償金額が今年1月に施行された労働契約法の規定に基づいて計算されておらず、不当に安いなどと主張。25日、すでに解雇された約50人が工場内で抗議の座り込みを行ったところ、動員された治安要員に排除され、うち5人が負傷した。反発した労働者が事務所を襲撃、コンピューターを壊したり、窓ガラスを割るなどした。

 工場側は騒動を受け、26日、補償金額を引き上げることに同意したという。

中国、1%超の大幅利下げ 3カ月で4回、危機感示す

2008/11/26 中国新聞ニュ−ス

 【北京26日共同】中国人民銀行(中央銀行)は二十六日、金融機関の貸出・預金基準金利を二十七日から引き下げると発表した。引き下げ幅は一年物で1・08%と大幅で、中国では異例。九月からの三カ月間で四度目の利下げで、世界的な金融危機を受けた中国経済の減速に対する政府の危機感の強さを示した。

 利下げ後は貸出基準金利が一年物で5・58%、預金基準金利は2・52%になる。貸出金利の利下げ幅としては、1・44%引き下げた一九九七年十月以来の大きさ。

 人民銀は今回の利下げの狙いについて、金融緩和により銀行間の流動性を確保するとともに、貸し出しを促して経済成長を下支えすると説明。同時に、十二月五日から国有商業銀行など主要銀行の預金準備率を1・0%、他の銀行の預金準備率も2・0%引き下げるとしている。

 新華社電によると、温家宝おん・かほう首相は二十日から二十五日まで、経済専門家や企業関係者らと経済情勢について話し合う会合を開催。輸出不振など厳しい情勢報告が相次いだとみられ、温首相は既に打ち出した積極財政や金融緩和の方針を一段と強める考えを示していた。

 中国の国内総生産(GDP)成長率は二〇〇七年、11・9%を記録したが、〇八年は減速が続き、七―九月期は9・0%に低下。世界銀行は二十五日、〇九年は7・5%とさらに落ち込むとの見通しを発表した。

中南米で資源外交 中国、貿易急増で存在感

2008/11/24  中国新聞ニュ−ス

 ペルーで開かれたアジア経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて中南米を外遊中の中国の胡錦濤こ・きんとう国家主席は、ペルーの銅山開発投資事業に合意するなど各地で資源外交を展開。貿易関係の急発展で、中南米側での存在感も高まっている。

 十九日、胡主席は首都リマに到着すると、ペルーのガルシア大統領とともにオープンカーで市内をパレード。閣僚が出迎えただけの麻生太郎首相への対応との落差に、日本の外交官も「扱いが随分違う」と驚いた。

 中国はペルーにとって、投資してくれる「お客さま」。今回、両国政府が合意した事業は中国企業が株式の60%を保有するペルーの銅山に中国の銀行が出資、技術も金も中国から持ち込む内容だ。中国社会科学院ラテンアメリカ研究所の江時学所長は「ペルーは資源はあるが開発資金がない」と指摘する。

 中国は急速な経済成長で銅消費が過去五年間で87%増。世界中から輸入し、世界の消費量の五分の一を占める。銅、銀など鉱物資源の宝庫ペルーには、中国の鉄鋼や石油企業も進出。経済成長の維持には資源の安定供給が欠かせないからだ。

 コスタリカ訪問では、将来の同国からの輸入を視野に入れ石油の精製所建設協力に、キューバではニッケルの購入契約にそれぞれ合意。中南米を新たな資源調達地として重視している。

 二〇〇四年、中国は一〇年までに中南米との貿易規模を一千億ドル(約九兆六千億円)に拡大するとの目標を掲げたが、〇七年にわずか三年間で達成。今年一―九月期の中南米との貿易額は前年同期比52%増で、中南米諸国にとって中国の重要性は増す一方だ。

 ただ打撃を受けた中南米諸国の国内産業の反発も強い。一九九六年から〇六年までの中南米諸国の対中反ダンピング措置は百三十五件で、対中発動の三分の一に達した。

 このため中国は安定した経済貿易関係を維持しようと、各国と自由貿易協定(FTA)締結を推進、首脳訪問で「政治的な信頼関係の構築」(中国紙)を狙っている。(リマ共同=塩沢英一)

【中国経済月報】57兆円景気刺激策の内実

2008.11.11 MSN産経新聞

 中国政府が9日、総額4兆元(57兆円)の一大景気対策を発表して当日のアジア株が急騰したが、過剰な期待は禁物だ。“真水”の新規事業は半分以下になりそうだし、財源も不明確だからだ。とはいえ「中国最大の景気刺激策」は失速を恐れる政府の危機感の表れであり、14日からの20カ国首脳会議での主導権確保を狙った動きでもある。

 10年前のアジア経済危機で、中国は数年間にわたり毎年1000億〜2000億元規模の建設国債を発行して公共事業を拡大、辛うじて失速を回避した。これに比べ今回は2010年末までの2年余りで4兆元(昨年の国内総生産の16%相当)と破格の大きさだ。

 用途は(1)低価格住宅の建設(2)農村の基盤整備(3)鉄道などのインフラ(産業基盤)整備(4)医療・教育事業(5)環境対策−など10項目。いずれも胡錦濤政権の和諧(調和)社会建設路線に沿い、弱者に配慮した内需拡大策だ。

 これだけをみれば、「世界金融危機に率先して大規模内需拡大策を打ち出した中国」への称賛論が出るのも分からぬではない。

 しかし事はそう単純ではない。具体的な事業内容や財源を明らかにしていないため、どこまでが第11次5カ年計画(2006〜2010年)に基づく既存事業で、新規事業がいくらかがはっきりしない。

 たとえば鉄道建設では、5カ年計画の予算は1兆2500億元で、これを2兆元に増やすことは既定路線だった。農村の基盤整備や医療・環境対策などでも同じことが言える。四川大地震の復旧事業(約1兆元)も既存事業だ。

 既存事業・計画分を割り引けば、純然たる新規の景気刺激策は4兆元の半分以下から3分の1にとどまりそうだ。とすれば日本円で単年度10兆円程度にとどまり、騒ぐほどでもない。

 中国はもともと「白髪三千丈」の国だが、とりわけ共産党政権は政治宣伝がうまい。胡錦濤政権は世界20カ国首脳が未曽有の世界金融危機対策を話し合う直前に、4兆元の景気刺激策を発表して先手を打った。

 最大の外貨準備保有国(1兆9056億ドル、9月末)の中国には米国債の大量買い増しを求める声が高まっているが、ドル暴落を恐れる国内の反発は大きい。中国指導部は率先して内需拡大策を打ち出すことで各国の同調を求め、圧力をかわそうとしたわけだ。

 たとえ真水の事業規模が半分以下となっても、中国にとっては過去最大の景気対策であることは変わりない。秋に入り、党・政府指導部の景気失速への危機感は一段と強まっている。

 昨秋をピークに株式バブルが崩壊、年初から広東省で不動産バブルの崩壊が始まり、夏場からは北京、上海や内陸都市に広がった。

 春から沿海都市の輸出加工型中小企業の倒産が急増し始め、上半期で6万7000社が倒産、2000万人以上が失職した。浙江、広東、山東の各省では韓国、香港、台湾企業の夜逃げが激増、中小企業の倒産は年間で10万社を超えることが確実視されている。

 指導部の憂慮は秋に入り景況の悪化が鉄鋼、自動車、石炭など川中、川上の基幹産業で本格化し始めたことだ。過去2年間20%台の販売増を続けた自動車産業が夏場から急減速、年間の一ケタ増と来年のマイナス成長が濃厚だ。

 不動産業や製造業の不振で鋼材需要が急減、鉄鋼メーカーは10月に軒並み月間赤字を記録した。これは10年ぶりのことだ。石炭価格の暴落で山西省では100万人が失業の危機にさらされている。

 つるべ落としに悪化する景況を放置すれば来年の経済成長率は5〜6%に急落、失業者の激増で社会、政治不安を招く恐れが強まっていた。

 今回の景気刺激策は社会安定を保つための安全ラインとされる8%成長の維持をめざしたとみられている。そのためには真水の新規投資を増やすなどの追加策が必要となりそうだ。(編集委員 山本勲)

中国、農民の自由意思を尊重 農地使用権流通で

2008年10月22日 中国新聞ニュ−ス

 【北京22日共同】中国共産党が先の中央委員会総会で農村改革推進のため、土地請負経営権(使用権)の流通を認める決定をしたことを受け、党幹部が22日、記者団に対し流通の前提について「農民が自由意思で決め、補償を受けることが原則だ」と述べ、農民が強制的に農地を奪われることはないと強調した。

 開発業者による不当な農地の宅地化で農民が補償も得られず農地を失うことが、中国各地での暴動多発の一因となっており、農民の同意を使用権流通の原則とあらためて打ち出すことで、農民を保護し社会の安定化を図る狙いがある。

 同幹部は、農民の自由意思を確保するため農業省が、新しく設立された土地使用権などを売買する「農村財産権取引所」を監督すると指摘。だが一方で、違法に宅地化されて流通した場合の管理方法については今後検討するとした。

 また決定では、農村で融資を受けやすくするため金融改革を進めるとされたが「農地を担保にすることは認めない。作物や農機具などを担保にすることもできる」と指摘。農民が融資を返済できずに農地を失うことがないような措置にするとした。

【金融危機】中国の製造業を直撃 倒産ラッシュで社会不安拡大

2008.10.21 MSN産経新聞

 【北京=矢板明夫】米国発の金融危機が中国の実体経済に深刻な影響を与え始めた。欧米や日本の景気後退で外需が減少し、広東省や浙江省などで従業員数千人規模の玩具、繊維工場の大型倒産が今月になってから相次いでいる。中国経済の高成長を牽引(けんいん)してきた輸出産業に陰りが鮮明になる中、胡錦濤政権が目指した内需主導型への転換はまだほとんど進んでいない。高度成長が止まれば、失業者らによる抗議デモや暴動が多発し、社会不安が一気に広がる可能性もある。

 15日、大手玩具メーカー「合俊集団」(スマートユニオン)は広東省東莞市にある2つの工場を突然閉鎖し、約6500人の従業員が職を失った。従業員たちは2カ月分の未払い給与の支給を求めて大規模な抗議デモを行い、一時騒然となったが、地元当局が賃金の立て替えを承諾したことでようやく沈静化した。7日、浙江省紹興市にある中国最大の紡績プリント企業「江竜集団」の経営者夫妻が約20億元(約300億円)の債務を残したまま蒸発したため事実上破産し、約4000人が失業した。債権者たちが今後の対応を検討しているという。

 中国国家発展改革委員会のまとめによると、今年上半期には沿海部の輸出産業を中心に6万7000社の企業が倒産し、2000万人以上が職を失った。昨年夏から始まった世界経済減速と人民元相場の急上昇が中国の製造業に大きな打撃を与えたうえ、最近の米国発の金融危機で状況はさらに悪化し、今年のクリスマス商戦に向けた欧米各国からの注文が例年と比べて激減したといい、倒産の嵐はこれからさらに勢いを強めそうだ。

 中国の輸出総額は国内総生産(GDP)の約37%に達している。この数字を支えるために沿海部の工場には2億人を超える農村部からの出稼ぎ労働者が働いており、その数は毎年800万人のペースで増加している。経済が失速すれば、これだけの労働力を吸収できなくなり、若年失業者が一気に都市部にあふれる事態になりかねない。

 中国政府は数年前から、内需主導の新たな成長モデルを探っており、2006年から始まった第11次5カ年計画で、雇用創出の重点を製造業からサービス産業へ移行する方針を打ち出し、サービス産業への投資を奨励するなど政策面で支えたが、その効果はほとんど表れていない。07年のGDPに占めるサービス産業の割合は約39%で、06年より0・3ポイント下がってしまった。

 中国社会科学院経済研究所の張曙光研究員は「中国はこれまで30年も外需主導で経済を発展させてきた。その成功経験はあまりにも強烈で、政府も民間もなかなかそこから抜け出せないのが現実だ」と分析する。しかし、今回の金融危機で輸出拡大が期待できなくなった以上、「政府は雇用創出に本腰を入れなければ、失業から来る社会不安がやがて政治不安に発展する可能性もあり、中国はほかのどの国よりも高い代償を払うことになりかねない」と指摘している。

中国、“農地売買”を容認 農村でも市場化加速へ

2008年10月19日 中国新聞ニュ−ス

 【北京19日共同】中国共産党は19日、第17期中央委員会第3回総会(3中総会)で採択された「農村改革推進のための若干の重大な問題についての決定」の全文を国営通信、新華社を通じて発表した。農民が土地請負経営権(使用権)を財産として売買することを認めており、制約の多かった農村でも市場経済化が一段と加速することになる。

 決定は「農民に譲渡、貸し出し、交換などの形で土地の移転を認め、さまざまな形式の適度な大規模経営を発展させる」と明記。発展の遅れた農村で、農地集約化により効率化や農民の収入増を図る方針を明確にした。

 一方で、農地保護制度を守り「土地使用権売買では用途変更は認めない」と指摘、宅地化による乱開発などを厳しく規制する考えを示した。

中国経済の成長鈍化 温首相、総合対策を指示

2008/10/20 中国新聞ニュ−ス

 【北京19日共同】新華社電によると、中国の温家宝おん・かほう首相は十九日、国務院(政府)常務会議を開き、世界的な金融危機の影響で中国の経済成長は明らかに鈍化しているとの認識を示した。首相主宰の会議が成長鈍化を率直に認めるのは異例で、政府の景気減速に対する一段と強い危機感を示した形だ。

 その上で、今年十〜十二月期の経済政策として、財政出動や減税、金融緩和、輸出入の促進などの総合的な対策をできるだけ早く実施するよう指示した。

 会議では現在の経済情勢について、成長の鈍化とともに企業の利益や財政収入の増加ペースも鈍化し、株式など資本市場は低迷しているとの認識が示された。政府は、経済対策の実施により、社会不安の原因となる景気減速を食い止めたい考えだ。

 会議はまた、製造業を中心に苦境に陥っている中小企業が多いため、中小企業への融資を促すよう求めた。繊維など労働集約型産業や電子製品など高付加価値産業の輸出を促進する一方、貿易黒字増加に対する国外からの批判を避けるため輸入を拡大する方針も示した。

 中国では対米輸出の減少を受け、製造業を中心に企業倒産が相次いでいるほか、乗用車販売が二カ月連続で前年割れするなど消費にも一部で陰りがみられる。

中国 6年半ぶり利下げ 過熱抑制から景気配慮に

2008/09/17 FujiSankei Business i.

 中国人民銀行(中央銀行)は15日、金融機関の貸出基準金利を16日から1年物で0・27%引き下げ、7・20%にすると発表した。世界的な景気低迷を受け、2004年10月から続いた過熱抑制のための金利引き上げ政策から景気配慮の姿勢へと転換した。利下げは02年2月以来、約6年半ぶり。

 人民銀は引き下げの理由として「国民経済の安定した速めの経済発展維持」を挙げた。中国では8月の消費者物価指数の上昇幅が1年2カ月ぶりに5%を下回り物価高騰への警戒感が薄れる一方で、自動車販売が前年割れし、工業生産の伸びが急速に鈍化するなど景気減速への懸念が強まっている。

 今月15日の米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破たんで、金融混乱の長期化による世界景気の減速感が一層強まったことにも配慮したとみられる。

 金融機関の預金準備率も25日から1%引き下げる。四川大地震被災地の金融機関については2%引き下げ、被災地の復興を支援する。(北京 共同)

08年上期 日中貿易転換の兆し 10年間で初の数量減

2008/09/10 FujiSankei Business i.

 日中の貿易構造に転換の兆しが広がっている。日本にとって中国は、輸出入金額で米国を上回る最大の貿易相手国となったが、数量ベースでは2008年上期に輸出入ともこの10年で初の減少に転じたのだ。中国からの輸入減は、安い製品を供給する「世界の工場」という中国の地位が揺らいだことが原因。輸出減少は急成長を続けてきた中国経済の減速の表れとみられ、日本企業の中国戦略は加速度的にトレンドが変化している。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)が財務省統計を基に算出した貿易量調査によると、2000年を100とした指数で、08年上期の中国からの輸入数量は178・6となり、07年の192・9から14・3ポイント減少した。08年の中国への輸出数量も250・7で30・0ポイント減った。

 08年上期の日中貿易総額は前年同期比17・2%増の1308億744万ドルを記録し、通年でも10年連続で過去最高を更新する可能性が高い。だが、ジェトロの中井邦尚氏は資源高騰の影響が主因と分析。1990年代からの日系製造業の中国への生産拠点シフトもほぼ完了し、「人件費高騰と人民元切り上げで、中国が『工場』としての魅力を失いつつある」とみる。

 輸入拡大のリード役だった衣料品も伸び悩んでいる。カジュアル衣料「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、約9割を占める中国での生産比率を将来的に3分の2に引き下げ、バングラディッシュなどにシフトする計画を示す。「突然の関税率変更などカントリーリスク対策に加え、人件費などコストが上昇している」からだ。

 一方、中国経済の減速傾向が堅調になる中、北京政府は輸出抑制策の緩和に舵を切っている。中国の今年上期の輸出は前年同期比21・9%増だったものの、伸び率が5・7ポイント低下。輸入は30・6%増となり、貿易黒字が990億ドルと11・8%も減少する貿易収支のトレンド変化が背景にある。

 ジェトロの07年度現地日系製造業調査では、中国を有望な生産拠点とした企業がその役割について「中国の国内市場向け」との回答が、「第3国への輸出」を上回っており、今後は中国の国内市場開拓が最大の課題となりつつある。

【変調中国】(上)撤退相次ぐ「世界の工場」 元高、人件費高騰で打撃

2008/09/10 FujiSankei Business i.

 中国経済に「変調」が訪れている。米景気の悪化や金融引き締めが響き、成長率は6年ぶりに10%を割りかねない情勢。「五輪特需」も期待外れに終わった。人民元高や労働争議の頻発で、ほかのアジア諸国へ移転したり撤退したりする企業も目立つ。日本をはじめ世界経済への影響が避けられない巨大市場の行方は…。

 日系企業が多く進出する上海郊外の工業団地。デジタルカメラのレンズを加工するHOYAの工場が2009年3月で閉鎖される。既に工場があるベトナムに移転・集約するためだ。競争激化により「高騰する中国の人件費などが課題」(広報)だという。

 改革・開放路線への転換から30年。「世界の工場」となった中国の足元が、いま大きく揺らいでいる。

 中国は安い人件費で外資系企業を引きつけ、輸出主導で成長を実現した。しかし最近は上海周辺や広東省の賃金が年率10%以上も上昇。賃上げを求めるストライキも各地で相次ぐ。

 05年7月の人民元切り上げをきっかけに、3年で約20%の元高となったことも、輸出企業の利益を圧迫している。中国国内で調達する部品価格も原材料高などで上昇。広東省の日系メーカー関係者は「コスト削減の企業努力は、ほとんど帳消しになってしまう」と嘆く。

 韓国に近い山東省では韓国系企業の「夜逃げ」が深刻な問題だ。同省青島市では約5年間で韓国系企業206社が「不適切な手段」(同省外経貿庁)で撤退したという。台湾紙の工商時報は、広東省深セン市の4000余りの台湾系企業のうち1000社近くが既に撤退した、と伝えた。

 直面する問題は中国企業も同じ。大手家電のハイアールは、為替リスクなどを避けるため海外の製造拠点を拡大。タイで生産した冷蔵庫を中国に逆輸入する計画だ。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)が広東省広州市で今春開いたセミナーは現地の日系企業関係者で埋まった。講師はベトナム駐在が長かった広州事務所の池部亮次長。広州の人件費がハノイを上回っていることやベトナムの親日感情の強さを説明。生産拠点が中国に一極集中するのを避け、「チャイナ・プラス・ワン」の候補地としてベトナムを検討するよう促した。

 セミナーの盛況ぶりは中国にとどまる企業の不安を映す。同省に進出する日系情報機器メーカー関係者は「ライバルが中国で生産を続けるのに自社が先に他国へ移転するのは難しい」と、苦しい胸の内を明かした。(上海 共同)

【アジア市場新戦略 大手商社2008】豊田通商・衣料OEM事業

2008/09/10 FujiSankei Business i.

 ■カイゼンで生産効率2倍

 「旧豊田通商と旧トーメンの合併効果の一例が、この生産現場に表れていると言っても過言ではない」

 トヨタグループの大手商社、豊田通商の繊維製品部戦略企画グループのリーダー(部長職)、吉田國治(くにはる)はこう強調する。

 同社の衣料OEM(相手先ブランド製造)事業の生産現場は一風変わっている。中国や東南アジアの合弁・委託先工場では、女性従業員が勤務時間中、ずっと立ったままミシンを縫い、作業用ユニホームを作る作業と同時並行で、スポーツ衣料も製造する仕事をしているのだ。ここに「カイゼン」など国際語として通じるトヨタ生産方式(TPS)の発想が取り入れられているという。

 ≪「立ちミシン」≫

 吉田はTPSの“強み”について解説を続ける。

 「座るよりも、人が自ら動いて作業した方が無駄が減るという発想だ。衣料の生産現場では『立ちミシン』といったTPSの取り組みは当社だけで、同業他社はまねできないと思う」

 実際、このTPS方式導入で、衣料製造の数量生産効率が、良いところでは2倍もさばけるようになった結果も出ているという。糸など繊維材料も、作業する人の手の届く範囲にある。トヨタの自動車製造現場と同じだ。豊通の中にも、世界に誇るトヨタグループの“源流”が流れている。

 そんな同社は旧豊通、旧トーメンという合併前の時代を含め、約30年前から作業員のユニホームやスポーツ用品、カジュアル衣料など、OEM事業という形で日本の衣料市場を“黒子的”な役割で支えてきた。今では国内外に約300の生産拠点を持ち、「繊維事業のプラットホーム(基盤)」(吉田)という主力事業に育った。

 ≪ベトナムなどへ進出≫

 ただ、事業環境は決して順風だけではない。

 まず、製造拠点の問題。日本国内は縫製技術を持つ作業員の高齢化が進む。一方、最大の製造拠点である中国は最近、現地の工場作業員の賃金水準に加え、素材価格などが軒並み高騰するなどコスト高が進む。「中国では昨年から、バタバタと繊維工場が倒れる状況が目立ってきた」(吉田)という。

 そこで最近力を入れているのは「チャイナ・プラス・ワン」の発想で、東南アジアでの製造拠点を確保すること。タイやベトナムやミャンマー、ラオスの4カ国に進出した。しかし、東南アジアへのシフトを「加速できない事情もある」(吉田)という。

 得意先である日本のアパレル、量販店各社が求める納期の問題だ。特に日本の衣料市場は難しく、スピーディーな店舗対応が求められる。このため、東南アジアでの製造では「納期が間に合わない」(吉田)といい、とりあえずは“鮮度”が長持ちするユニホームやスポーツ用品、Yシャツといった定番商品の生産にとどめている。

 「『トヨタ方式』で今後も(日本企業などの)顧客と共存共栄していきたい。今後は新事業の創出も探っていきたいと思う」

 同社は従来の自動車関連だけでなく、非自動車関連事業の成長機会を探っている。吉田もその目標達成のカギを握る1人であることは間違いない。(西川博明)

 =敬称略

豊田通商 衣料OEM、海外拠点拡大 中国の調達比率は低減

2008/09/10 FujiSankei Business i.

 トヨタ自動車グループの大手商社、豊田通商は9日、衣料品のOEM(相手先ブランドによる生産)事業を強化するため、海外製造拠点を拡大する方針を明らかにした。中国で現地衣料品メーカーを買収したほか、ベトナムでは製造拠点を拡充し、ラオスにも新たに進出した。現在、海外のOEM調達比率は中国製が9割を占めるが、同国のコスト高を受けて東南アジア諸国にも拠点を広げ、中国からの調達比率を低減する方針だ。

 同社が現地メーカーに製造を委託し、アパレルメーカーなどに供給している衣料品のOEM事業は、国内販売向けがほとんどだったが、OEM供給先の企業が中国市場で日本発のブランドとして小売り展開する動きを強めていることから、納入体制を整える。

 4月には中国・上海近郊の衣料品メーカーを買収、完全子会社の「南通恵須帝時装」としてスタートした。従業員は約180人で、製造能力は年間約84万枚。現在は主にパジャマやインナー(肌着)を製造している。

 一方で、上海など沿海部を中心に人件費や原料価格が上昇していることから、中国依存から脱却する「チャイナ・プラス・ワン」戦略も推進し、東南アジア諸国にも積極的に進出する。すでにタイやミャンマー、ベトナムなどに委託製造拠点があるが、まずベトナムで製造能力を拡充。これと併せて、ラオスにも製造拠点を設置した。ただ、納入期間の問題もあることから、ユニホームなど計画的に製造、納入できる商品から順次、中国からの製造移管を進めるため、中国での製造比率は今年度中に8割台にとどまる見込み。

上海、35歳以下失業者が4割

2008年09月04日 「人民網日本語版」

 上海市総工会(労働組合)が3日に発表した報告「上海の労働者の労働・就業状況の分析および情勢研究」によると、現在同市内の失業者の38.5%が35歳以下の青年だ。

 これら就業に最も適した年代の青年失業者は、経済的に両親に依存するいわゆる「すねかじり族」になっている。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。

 最新の調査データによると、同市内で最も失業率が高いのは45歳以上の高齢層。35歳以下の青年層はこれに次ぎ、割合が徐々に高まっている。青年失業者の中で、自らの意志で仕事を辞めて家にいる「すねかじり族」が26.1%に上り、その多くは大専(短大にほぼ相当)以上の学歴を備えた高学歴層だ。彼らの望む平均月収は1919元に上る。

 同報告によると、青年層のすねかじり族現象には主に3つの原因があるという。雇用単位の実際のニーズに見合った知識、職業技術、実践能力を備えていないこと。仕事や収入に対する期待が高すぎ、気に入った職場が見つからなければ失業して家にいた方がいいと考えること。雇用単位が効率向上とコスト引き下げをはかって、経験を備えた中途採用者をほしがるということ――の3点だ。

 ある統計によると、「就業経験の不足」が、青年層の、特に新卒者の就職活動におけるネックになっている。あるデータでは、上海市労働力市場の雇用単位が要求する平均就業経験年数は1.5年で、2年以上を求めるところが全体の38.9%を占めるという。(編集KS)

五輪後不景気、中国に悲観論 市民は恨み節

2008/08/23 FujiSankei Business i.

 ■農産物出荷できず/工場に減産命令/不動産・株は下落

 【北京=福島香織】金メダル大量獲得で北京五輪成功を確信している中国だが、一般市民の間では五輪閉幕後の経済失速への悲観論が広がっている。政府は巷に流れる「五輪後不景気」の可能性の否定に躍起だが、すでに始まっている不動産価格や株の下落などが「五輪のせい」という恨み節もインターネット掲示板などにあふれている。

 北京五輪経済研究会の陳剣会長は21日の記者会見の席上、「五輪後の北京経済は大きな変動がない」と強調した。しかし市民生活はこうした説明を素直に受け止められる状況にはない。

 「北京五輪で周辺地域の農村経済が、がたがたになっていることを知ってほしい」。河北省沽源県の物流業者(28)はこう訴える。

 「五輪による交通規制で、北京周辺の農村では消費地である市内への農産物の出荷ができず、農地では作物が腐るままに放置されている。農業への年間投資は、農家は種や肥料など年間約1万元(約16万元)を農業に投資せねばならないが、今年は利益が見込めないどころか、2000〜3000元の赤字となっている。しかも、出稼ぎ者が北京から閉め出されたので、現金収入もない」という。

 また北京の日系企業によれば「7月から8月の2カ月間の交通規制によって、原材料や製品の出荷ができず生産を停止している。うちはこういう状況を見越して五輪前に集中生産、集中出荷を行って何とかしのいでいるが、打撃を受けている中小企業は少なくない。五輪倒産もあり得る」。

 鉄鋼、コンクリートなど大気汚染の原因とみられていた工場は通常の5〜7割の減産が命じられており、経済損失の統計は出ていないものの、経済にマイナスインパクトを与えるとみられている。北京市の住宅販売数は7月、前年同月比63・6%減と発表され、不動産市場の先行きも暗い。

 中国株については「五輪祝儀買い」がまったくなく開幕日から急落。20日に、中国政府として大がかりな景気刺激策を打ち出すとの報道があり、その日は前日比7・6%高という4カ月ぶりの大幅上昇を記録するも、21日に反落。22日も大幅続落した。

 人民日報運営の大手インターネット掲示板・強国論壇には「中国株式市場のたった一日の情けは、一夜の情事以上に無責任!」「8000万の株民(個人株式投資家)が煉獄の炎の中にいる!政府はもっと必死で救済しろ」といった悲憤の書き込みも。

 さらにこういった経済の先行きの不透明さに対する不安や憤りの矛先は、都市インフラ・環境整備を含め400億ドル(約4兆3200億円)以上かけられたと推計されている豪華な北京五輪そのものにも向かっている。

 「北京五輪は人民の苦痛の上に成り立っている」「金メダルなんて屁だ。われわれの関心は今夜飯が食えるか、子供を学校に行かせられるか、老後が安心して暮らせるかだ」「やつらが金メダルを取ったといっても、われわれの税金が使われる以外、何の関係もない!」といった恨みの声があふれている。

 北京の日本人市場関係者も「市場センチメントが極端に悲観論に傾きすぎている」とみて、当局の五輪後不景気否定論に同調するが、庶民の暮らしの実感としては、ひしひしと忍び寄る不景気を感じ取っているようだ。

前田徹の上海的故事】(19)五輪後におびえる中国経済

2008/08/22 FujiSankei Business i.

 ■景気後退…中小に「冬支度」の勧め

 北京五輪閉幕まであとわずかとなり、上海では中国経済の行方に関心が向けられるようになっている。

 中国政府筋は「中国はまだ発展途上。世界経済がどうなろうと成長を続ける」と強気発言を繰り返しているが、それをまるで信じないかのように上海株式取引所の総合指数は五輪期間中、下落ペースを速めた。五輪後、やってくるとうわさされる“冬の時代”に市場はおびえている。

 そんなとき中国で最も著名なIT(情報技術)企業「阿里巴巴(アリババ)」グループの総帥、馬雲氏が「冬支度」と名付けた内部メールが公表された。国際金融報によると、メールには次のように書いてあった。

 「現在の経済状況では多くの中国企業が存続の危機にさらされる。その企業が難関を何とかしのぐのを助けるのがわれわれの仕事になるだろう。その準備をしなくてはならない」

 馬雲氏の「アリババ」は中国の民営中小企業が直接海外や国内の企業と商談をまとめる「BtoB」サイトの構築で知られ、2001年にはビジネス誌フォーブスが同氏を表紙に飾ったうえで世界で最も優れたビジネスサイトの一つと評価した。

 そんな馬雲氏が世界経済の不調で、ここ何年かは中小企業は危機を迎えるとして支援を訴えたわけだ。確かに上海では今年後半の経済を不安視する声が日に日に目立つようになっている。

 五輪開幕前から下がり続けていた株価は開幕後も下落ペースを速め1週間ほどでなんと15%も落ちた。政府系新聞は中国経済をマクロ面で仕切っている国家発展改革委員会(旧計画経済委)の専門家による「中国経済の発展は安定かつ順調」と題した論文をわざわざ掲載。関係者の弱気な発言を禁止するなど経済不安を打ち消そうと躍起だが、市場では「今年暮れまで回復はない」との見方が広まっているそうだ。

 不安の背景はやはり輸出産業の低調だろう。

 例えば世界最大の玩具業界。第一財経日報が伝えた税関統計によると、広東省の玩具メーカーは前年に比べ8割を占める3600社余りのメーカーが姿を消していた。国家発展改革委は輸出主導から国内需要主導に構造改革する過程と説明しているが、悪いことに世界的な景気減速が重なり、予想をはるかに上回るスケールで中小企業が大打撃を受けていた。

 中国指導部は景気浮揚策を五輪閉幕を待って発表すると香港紙などで報じられており、躍進続きの中国経済もついに暗雲がたちこめ始めている。(産経新聞上海支局長)

【山本勲の観察中国】(25)忍び寄る「滞張」という妖怪

2008/08/19 FujiSankei Business i.

 ■ビジョンなき五輪開会式

 北京五輪の閉会を前に、中国経済は五輪後への動きを加速している。開会日からの株価急落が景況悪化を見せつける一方、インフレは収まる気配がない。記念すべき五輪の月に忌まわしいスタグフレーション(景気後退とインフレの同時進行)が忍び寄り始めた。胡錦濤政権は五輪を目標に愛国心を鼓舞して国内を束ねてきたが、今後は一段と難しいかじ取りを迫られる。

 上海総合指数は11日には2500の大台を割り、開会日から14日までの5営業日連続で1割強下げた。株式市場の冷え込みぶりとは対照的に、張芸謀監督が総合演出した開会式をめぐる論議が沸騰している。

 張氏の演出はハイテク技術を駆使し壮大なスケールで中華民族の歴史を描き、世界をうならせた。しかし(1)開会式で革命歌曲を歌った少女が“口パク”だった(2)少数民族の衣装をまとった多くの出演者が漢族だった(3)コンピュター・グラフィクスを使って仕掛け花火を“偽装”した−などが判明して厳しい批判を招いた。

 中国という“高級ブランド”を世界にアピールするはずが、やらせや偽物の旧来イメージを増幅させ、1億〜3億ドル(109億〜327億円)の巨費を投じたとされる演出はかなりミソをつけた。

 より大きな問題は演出が過去の中華帝国の栄光にばかりこだわり、国家や社会、経済の新ビジョンを欠いていたことだろう。

 胡錦濤政権が唱える「和諧(調和)社会」の真の実現には政治・経済の民主化・自由化や、弱者に配慮した社会システムの構築などが欠かせない。しかし開会式の演出は従来の富国強兵路線やその結果としての大国ぶりを誇示するばかりで、「和諧」はほとんど感じ取れなかった。

 胡政権のいう「新しい発展モデル」がかけ声倒れに終わっては、経済の先行きも暗い。株式市場の低迷もこのことと無関係ではないだろう。

 実体経済も陰りを増している。世界経済の後退で輸出企業を中心に経営が急速に悪化、株式に続いて不動産バブルも崩壊した。政府統計によると、上半期に6万7000の中小企業が倒産、3分の2の紡績企業が存亡の危機にある。

 労賃・原材料費の高騰や人民元の上昇などで繊維、日用雑貨などの労働集約型産業の競争力が急低下したためだ。外資企業の撤退も相次ぎ、広東省深セン市に進出した台湾企業4000社のうち2割強が消えた。

 不動産も年初来まず深センで住宅価格が3割以上下がり、北京や上海では取引が半減した。ここへきて北京でも価格が2ケタ台で下がり始め、内陸都市の武漢や重慶に波及しつつある。

 危機感を強めた政府(国務院)が従来の景気過熱・インフレ対策から景気失速防止へと軌道修正を始めたことは、先月の本欄でも指摘した。

 その後、政府は7月31日に衣料品など繊維品の輸出抑制策を緩和、増値税(税率17%)の還付率を従来の11%から13%に引き上げた。繊維品輸出にかかる税金を2%減税したわけだ。

 続いて中小企業支援に乗り出した。中小企業向け融資枠を(1)全国に支店を持つ銀行はこれまでより5%(2)中小企業向け融資の多い地方銀行は10%、それぞれ拡大した。

 さらに人民元の“安値誘導”に転じた。年初(1月7日)に1ドル=7・2695元だった対ドル・レートは7月16日の6・8103元をピーク(約6・7%の切り上げ)に反転、6・8630(8月15日)と小幅下落している。

 減税、金融支援、元安誘導で景気失速を防ごうというわけだが、困ったことにここへきてインフレ懸念が再燃してきた。

 7月の工業品出荷価格指数(PPI=卸売物価指数に相当)が前年同月比10%も上がったためだ。原油(41%)、石炭(33%)、金属(31%)などエネルギー・金属の急騰が主因だ。

 一方で消費者物価指数(CPI)は同6・3%上昇と、4月の8・5%をピークに低下傾向にある。

 しかし、これは中国の消費者物価が昨年7月から急騰を始めたための統計上の要因によるもので、物価が沈静化したわけではない。

 通常は川上の資源、エネルギーの上昇が卸売物価を経て消費者物価に波及するだけに、年後半にかけインフレ高進の懸念が大きい。

 政府は景気失速→失業者増大→社会・政治不安という悪循環を恐れて金融・税財政面から景気の下支えに本腰を入れようとした。しかしその矢先にインフレ懸念が再燃したわけだ。

 この状況で景気テコ入れに動けばインフレを加速しかねない。インフレと景気後退のはざまで政府は対策の手を縛られる。今回の株価の急落も市場がスタグフレーション(中国語で「滞張」)という妖怪を嫌気してのことかもしれない。温家宝首相の悩みはさらに深まりそうだ。(産経新聞編集委員兼論説委員)

白昼に陳情者を拘束・連行 中国当局、五輪の陰で力ずく

2008/08/18  中国新聞ニュ−ス

 【北京17日共同】五輪開催中の北京で十七日、夫の逮捕・投獄が不当だとして陳情のため中国河北省から来ていた女性が、最高人民法院(最高裁)陳情受付所近くの公道で、複数の公安当局者に拘束され、力ずくで警察車両に引きずり込まれて連れ去られた。取材中の共同通信記者が目撃した。

 中国政府は世界の目が集まる五輪期間中に、陳情者が政府に対して抗議行動などを起こすことを警戒。「安定」をアピールするため、五輪の陰で力ずくの取り締まりを徹底している実態が明らかになった。

 女性は、河北省の公安当局者が追ってきたことを察知、人目の多い環状線の歩道に他の省から来た陳情者らと座っていた。同日午後一時二十分(日本時間同二時二十分)ごろ、突然五、六人の私服警官に口を手でふさがれた上、手足を持ち抱えられて黒色の乗用車の後部座席に引きずり込まれた。わずか十秒ほどの“拉致劇”だった。

 関係者によると、女性は河北省の公安当局による夫の「不法逮捕事案」に関する陳情のため、北京を訪れていた。女性は、裁判なしで行政判断により最高三年拘束される労働教育処分を受ける可能性がある。

 連行現場にいた河南省出身の女性は「何が調和社会だ。暗黒社会そのものだ」と憤った。

 同陳情受付所周辺には今も陳情者約百人が滞在。簡易宿舎などに対する当局の取り締まりが厳しいため、公園や地下道などで生活しているという。

【中国ビジネスこぼれ話】(10)どこまで続く経済成長

2008/08/14 FujiSankei Business i.

 「北京五輪」真っ盛り。中国で生活する日本人の立場からいえば、日本と中国の直接対戦だけは、なるべく避けてほしいと祈るばかりだ。世紀のスポーツの祭典ながら、実際には国の威信をかけた戦いだ。観戦者は自然に熱くなるが、そこが四面楚歌(そか)の状況ではたまらない。だから中国においての観戦は、1人で自室のテレビで楽しむことにしている。

 一方、ビジネスでとかく話題なのが、五輪後の中国経済の成り行き。国内総生産(GDP)世界第3位にまで急成長してきただけに、そろそろ息が切れるのではないか、という疑問を抱いてしまう。

 ただ、多くの中国人経営者の見方は違う。五輪や上海万博などの経済効果は確かにプラスとしての作用はある。だが、中国は大きい。「北京の人口は1500万人。全体では13億人以上もいる」というのだ。この論理の説明をすると長くなるので割愛するが、つまり経済効果はあるが、五輪が終わっても全体には影響がない、ということ。むしろ7億人もいる農民層が徐々に購買力をつけてくれば、成長はまだまだ20年は続くだろうという。経済成長とともに多くの課題も出てくるはず。それを克服して住みやすい中国に発展してもらうことを切望するのみ。

 北京五輪を機に、マナーや環境へ配慮する考え方が定着するのではないかと期待している。先日、久しぶりに天安門広場へ行った。1年前に訪れた天安門は数十メートル先もかすんでみえるような状態=写真。だが、それも今ではきれいに見えたし、街には街路樹、道には中央分離帯ができ、緑が増えていた。

 経済成長とともに中国がきれいになれば、これに勝る喜びはないのだが。(DTS上海社長 高田政和)

【山本勲の観察中国】(24)五輪後のリスクに備えを急げ

2008/08/12 FujiSankei Business i.

 ■ビジネス再点検が必要

 中華民族が待望した北京五輪の開会日、上海総合指数は前日比4・5%安の2605・719と1年7カ月ぶりの安値を記録した。中国政府が「五輪後の経済に心配はいらない」といくら強調しても、市場は信用していない。五輪後の中国の多難さを象徴する幕開けとなった。

 開会式は無事終えたが五輪期間中もテロは続いているし、むしろその後が大変だ。経済は陰りを増し、各地で暴動が多発している。共産党政権は五輪を中国近代化のシンボルにしようとしたが、逆に独裁体制存廃の分岐点となるかもしれない。日本各界は政治、経済、社会のあらゆる面から中国リスクに備えを強める必要がある。

 「中国経済は厳しい試練と挑戦を受け、困難が増している。中国が直面する矛盾や問題の規模と複雑さは世界に類例がない」。胡錦濤国家主席は1日の外国メディアとの会見で、こう強調していた。五輪の招致決定から7年。開会式を1週間後に控えての会見ながら、お祭り気分はみじんもうかがえぬ厳しい情勢認識だった。

 無理もない。今年の中国は天災と人災の連続だ。1月の大雪、3月のチベット騒乱、5月の四川大地震、7月のバス連続爆破(雲南省昆明)、今月4日の武装警察に対する爆破テロ(新疆ウイグル自治区カシュガル)と続いた。

 地方政府の腐敗、横暴を理由とする民衆暴動は日常茶飯事となった。まさに騒乱の火種は尽きず、歴代王朝の末期を想起させる。

 中国当局は(1)新疆独立組織「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」(2)法輪功(3)チベット独立派(4)その他民主・反共勢力−による五輪テロを警戒、11万人の警備員と140万人の治安ボランティアで警戒に当たっている。

 それでも開会翌日には繁華街で米国人観光客のグループが中国人の男に襲われ、米国人男性1人が死亡した。10日未明には新疆ウイグル自治区クチャでテロとみられる爆発事件が起きた。

 なんとか五輪を乗り越えたとしても、テロ集団は警戒の緩む五輪後に行動を拡大するかもしれない。五輪のため多くの犠牲を払ってきた国民の忍耐心も、このころには限界に近づくことだろう。

 すでに五輪を待たずに資産バブルがはじけ、景気が急速に陰り始めているからだ。株価は昨秋のピークから半値以下となり、不動産相場も広東省深セン市で年初来3割以上下げた。

 7月の北京の住宅販売は前年同月比6割減り、価格も2ケタ台で下がり始めた。不動産相場の下落は広東省から上海、北京を経て重慶、武漢など内陸都市に波及しつつある。

 過去5年の2ケタ成長で銀行のデベロッパーや投機集団への貸し出しが膨張している。不動産バブルの崩壊が本格化すれば、米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン問題の危機をしのぐ衝撃が中国経済を襲う可能性もある。

 中国政府は五輪関連の投資が累計で2800億元(1元は約15円)と国内総生産(GDP、約25兆元)の1%余りに過ぎないことを理由に、北京五輪後の経済への影響は軽微と強調している。しかし、これに米サブプライム危機を契機とする世界景気の後退が重なった。上半期の輸出は米ドルベースで22%増だが、物価と人民元の上昇分を差し引いた実質では1ケタ台に急減速した。

 中国経済は1970年代末、80年代末、90年代末と10年サイクルで大きな景気後退を繰り返してきた。今回もこの轍(てつ)を踏む可能性がある。89年には天安門事件が起きてGDP成長率が4・1%に急落した。

 共産党政権への信認(しんにん)が大幅に低下した現在、同様の事態を招けば独裁体制がもたない。一方、中国が世界に占める存在は飛躍的に拡大しただけに影響ははかりしれない。さまざまの角度から中国リスクへの対策を急ぐべきだ。

 日中関係はこの2年間、改善基調にあるが底は浅い。なにがきっかけで暗転するか分からない。進出企業は地域社会や顧客への気配りがこれまで以上に必要だ。90年代後半がそうだったように景気後退期には契約不履行、売掛金踏み倒しなど、さまざまのビジネス・トラブルが急増する。すでにその傾向は出始めている。

 1日に施行した独占禁止法も要注意だ。中国政府・企業は技術開発や独自ブランド育成の遅れに焦りを強めている。消費者の嗜好(しこう)の高度化に対応できず、外資との競争で後手に回っているからだ。

 中央・地方の政府と企業が水面下で連携し、突出する外資企業を“ねらい撃ち”することも考えられる。政府が重点を置く産業や、有力な国内企業が存在する業種ほど注意が必要だ。中国ビジネスを再点検するときだ。(産経新聞編集委員兼論説委員)

【ワールドウォッチング】中国の就職氷河期 企業の冷遇、秀才は軍隊へ

2008/08/04 FujiSankei Business i.

 東京都内で地下鉄に乗っていたり、ビジネス街を歩いていると、ほぼ1年を通して、紺色を主体としたリクルートスーツを着こなしている大学生とおぼしき人々に会う。

 男性の場合、髪の毛は分け目がなく、表情ものんびりした雰囲気が残っているのに、スーツやネクタイだけがフォーマルなので、全体的にスーツだけが浮いている印象を受ける。女性の場合、スーツもそうだが、明らかにビジネス用の靴を履きなれておらず、歩き方が硬いような気がする。

 私が就職をしたのはもう30年ほど前で、そのころは会社訪問が「10月1日解禁」だったので、いまのように3年生から会社訪問をすることもなく、「就職も時の運」という一種気楽な気分が残っていたように思う。

 いま、日本では数年前の「超氷河期」を乗り越え就職も安定してきているようだが、中国の大学生の場合は近年、就職が非常に難しいという。

 中国政府機関の統計によると、2006年の大卒者413万人のうち、就職が決まったのは全体の60%しかおらず、未就職者は全体の40%の約165万人にも上る。これに、07年の大学卒業者495万人を合わせた660万人が07年の就職戦線に参加し、激烈な競争を展開。しかも、中国の場合、買い手市場なので、大卒者の初任給が年々減らされているという極めて厳しい状況だ。

 05年の初任給(年収)の平均額は2万8011元(約42万円)だったものが、06年は前年比4・5%減の2万6758元(約40万1000円)。昨年は同7・1%減の2万4852元(約37万3000円)と、05年に比べて3159元(4万7000円)も減った。

 あまりの待遇の悪さに、民間企業などよりも、中国人民解放軍に就職を希望する学生が増え始めている。中国では「好鉄不打釘、好人不打兵(よい鉄はくぎにはならない。優秀な人間は兵隊にはならない)」という言葉が昔から伝えられている。軍隊というのは、それほど待遇が悪いところとの意味だ。しかし、昨今は優秀な学生ほど軍に就職する傾向が強まっているというのだ。

 昨年入隊した大卒者は1500人で、一昨年の5倍に達したのに加えて、北京大や清華大など名門大の学生も応募。これは、軍に入隊することで、さまざまな優遇措置を受けることができることも大きな理由となっている。2年間の勤務を終えれば、復学時に最高5000元(約7万5000円)の奨学金を毎年受け取ることができ、一部大学では無試験での大学院進学も可能。国有企業や民間企業への就職も有利だ。

 中国では状況が厳しくなればなるほど、「寄らば大樹の陰」、「親方日の丸」ならぬ「親方五星紅旗」という気質はまだ根強く残っているようだ。(相馬勝)

【数字でみるアジア】(24)インフレ加速体質の中国

2008/08/01 FujiSankei Business i.

 中国の消費者物価指数(CPI)上昇率は2007年通年で4・8%と11年ぶりの高水準となった。08年に入っても投資過剰や国際商品市況の高騰などの影響で物価上昇は加速している。

 現在の物価上昇の要因は(1)投資過剰や過剰流動性(2)1〜2月の大雪や5月の四川大地震による影響(3)国際商品市場の高騰−などか指摘されている。最近は中国国内の需給の逼迫(ひっぱく)基調もあるという。03年に発足した胡錦濤指導部は、賃金引き上げなど民生の改善に注力し都市部とともに農村部の購買力が増したことで消費が拡大した。丸紅経済研究所では、「需給構造が変わってきたことでインフレが加速する体質になりつつある」と分析している。

 中国政府は今年、07年並みの消費者物価に抑えることを目指しているが、食品を中心としたインフレや外貨準備高の増加に伴う過剰流動性によるインフレ圧力など、当局の物価統制がどこまで機能するか、予断は許さない。(坂本一之)

【アジア市場新戦略 大手商社2008】丸紅「中国不動産事業」(上)

2008/07/30 FujiSankei Business i.

 ■右肩上がり続く住宅市場

 「夢のような話ばかりだった」。丸紅に1990年入社した海外不動産開発第一課長、川上宏は日本でバブル崩壊後の不動産販売しか知らない世代だ。しかし、2001年から約6年間駐在した中国の上海市では、さらに信じられない驚きの経験が続いた。

 同社は1998年ごろから、中国人向けの住宅需要が増えるとみて、60%出資する現地法人の上海好世(ハウス)置業有限公司を通じ、現地の実需向けの分譲住宅・マンションの販売事業を開始。その一連の物件が飛ぶように売れたからだ。富裕層の裾野が広がる中国人の不動産ブームを象徴する実例のひとつだろう。

 例えば、2003年ごろに上海好世が売り出した分譲住宅の販売価格は50万元(約750万円)。当時、現地の大卒初任給の平均月収は1200元(約1万8000円)程度で、年収換算で10倍を超える高価な商品だ。そんな高級住宅を30歳前後の共働き夫婦の世代を中心に購入者の半数は現金で購入する。5年たった現在、この物件は購入時の2倍以上(120万〜130万元)の価値があるという。

 「目の前に1万元単位の札束を50個持ってくる人が結構いた。こちらは預かった札束の保管が大変で…」

 川上は大量の札束に驚いただけではない。当時の中国情勢に影響された不思議な“悩み”も味わった。

 原因は02年冬から03年初夏にかけ、中国を感染源に東アジアなど世界各地で多数の死者が出た「新型肺炎(SARS)」の流行だ。公安当局から感染拡大を防ぐため、当時「人が多数集まることはしてはいけない」と通達があったのだ。

 丸紅側では03年4月、上海で新たな分譲物件を売り出す際、「変な話だが、いかにお客さまが殺到しないように売り切るか」(川上)という点に苦心した。だが、販売開始と同時に、公安当局から「抽選販売しなさい」と指導があるほど、中国人が殺到。1人1枚を原則に抽選券を配ったが「中国では行列に並ぶという習慣がないのか、抽選券の取り合いになるほどだった」(川上)という。

 翌日に当選者を発表したところ、さらに思わぬ事態が判明した。同じ中国人男性が分譲物件の購入権を複数獲得したのだ。実は、家を買うはずのない低所得の出稼ぎ労働者も行列に並んで抽選券をもらい、それを50元程度で転売。物件が是が非でも欲しい富裕層が転売抽選券を買い集めたらしいのだ。

 日本とは商習慣、文化、そして常識が大きく異なる中国。ただ、川上は約6年間の上海駐在経験から、中国に対する思いは熱い。

 「広州、深センなど華南の一部を除けば、中国の不動産価格はまだ右肩上がりが続いている。現地の住宅の供給量は十分でない。当社の不動産事業にとって、中国は面白い市場であることは間違いない」

 丸紅は1985年、日系企業の中でも、日本人駐在員向けの住宅を提供する不動産デベロッパー(開発業者)として事業参入した“先駆者”的立場だ。それから20年が過ぎ、中国の経済発展とともに、同社の不動産事業も新たな戦略に着手しようとしている。(西川博明)=敬称略

【アジア市場新戦略 大手商社2008】丸紅「中国不動産事業」(下)

2008/08/06 FujiSankei Business i.

 ■天津や瀋陽で複合ビル開発

 丸紅が中国で不動産事業に参入した経緯は、1980年代中盤にさかのぼる。当時、日本人を含む中国で働く外国企業の駐在員から「停電せず、セキュリティー(安全)を確保した住宅はないのか」という要請を受け、上海で高級住宅事業を手掛けたのがきっかけだった。日本の大和ハウスとの合弁事業でもあったため、日本が誇るプレハブ住宅技術を中国へ持ち込む機会にもつながったという。

 90年代後半には、中国人にとって、住宅が“財産”という位置づけに変化してきた。中国人による住宅需要も生まれてくるわけだ。丸紅はこの商機の変化をとらえ、98年に現地企業と合弁設立した上海好世(ハウス)を通じ、分譲住宅の展開を開始。北京では国内外の投資家向けの住宅供給も始めている。

 そうした住宅需要は丸紅の今後の収益源として欠かせない存在だ。その一方で、丸紅はここ数年で新たな事業展開に着手する動きを見せている。2010年以降に完成する床面積10万平方メートル以上に及ぶ大規模な複合開発ビルの建設計画だ。住宅だけでなく、商業施設、企業のオフィスの各機能を盛り込み、従来にない新たな需要を開拓し、新たな収益源に育てる。

 「まさに中国政府の経済発展戦略の流れを踏まえ、展開している」。丸紅海外不動産開発部の部長代理、清瀬文昭は、複合開発ビル事業の意味づけをそう語る。複合ビルの建設計画を現在進めるのは中国を代表する首都・北京や経済都市・上海ではない。北京の外港としての機能がある工業都市・天津、そして東北部の大都市・瀋陽の各中心街で都市開発を進める。

 これは、中国が最近、力を入れる環渤海の経済圏開発構想に当てはまる形だ。

 「中国の開発スピードは速いし、それに伴って土地の値段も上がる」(清瀬)という商機も踏まえている。実際、天津の場合は、北京五輪をきっかけにこの夏開通した高速鉄道で、北京との時間距離が一気に短縮。瀋陽も今後1〜2年で、周辺人口約2500万人がわずか1時間で中心街にアクセスできる高速道路網の整備が進められているのだ。

 また、丸紅は複合ビルの開発面で、事業パートナーとの合弁展開を重視する。同社海外不動産開発第1課長の川上宏は「丸紅の人的資源にも限界がある。他社の資源を活用しなければ、事業拡大に無理が出てくる」と考えるためだ。

 特に香港財閥の新華集団とは不動産分野での戦略提携関係を08年2月末に締結した。天津や瀋陽の複合ビル開発は共同展開する予定だ。丸紅には「ベトナム・ホーチミンでのオフィス賃貸事業の成功体験を、中国でも生かす」(海外不動産開発第2課主任の佐藤観)という狙いがある。日本の東急不動産も「商業施設の展開ノウハウを期待」(佐藤)という形で、瀋陽のプロジェクトに出資参加する。

 川上は「中国には住宅だけでなく、商業・オフィスビルの良い物件がまだ少ない。それを提供できれば、さらに利益につながると思う」と語る。中国を長年分析し、事業展開を進めてきた丸紅の蓄積したノウハウが、この不動産事業に生かされているのは間違いない。(西川博明)=敬称略

【前田徹の上海的故事】(15)暴徒化する農民工 広がる格差、我慢も限界2億人

2008/07/25 FujiSankei Business i.

 北京五輪前に中国各地で吹き荒れる農民暴動はいったい何を意味するのか。

 中国の貧しい農村では不正を働く地方政府への怒りはこれまでも絶えたことがなく、農民代表は地元公安(警察)の監視をくぐり抜け北京にその声を伝えようとしてきた。それがいかに危険かは出版直後に発禁になった「中国農民調査」(陳桂棣・春桃共著)などに詳しい。

 だが、今は農民たちが警察庁舎を襲うなど、これまで考えられなかった過激さが特色になっている。その変化の背景を考えさせる調査結果が最近になって明らかにされた。

 吉林省遼源市で開かれた第17回中国犯罪学会で発表された「農民工犯罪調査」がそれだ。

 農民工というのは改革開放後、沿岸部で繁栄した上海など大都市で働く農村からの出稼ぎ労働者たちのことで、公式発表だけでも1億2000万人、農村戸籍のまま都市部に住み着いてしまった人たちを加えると2億人レベルだろうといわれている。

 人件費の安い彼らは危険な建設労働や工場労働に従事し、中国経済の驚異的発展を最底辺で支えてきたが、都市部では常に“二等国民”扱いされてきた。例えば上海の場合、農民が都市戸籍を得るのは至難の業で、上海市民に与えられる社会保障や教育制度を同程度に享受することはできない。つまりドイツでのトルコ人、フランスのアルジェリア人、スペインのモロッコ人といった出稼ぎ労働者によく似た境遇なのである。

 ところが、そんな農民工たちに聞いて驚いたのは、ほとんどの人が上海で働くことを心から喜んでいたことだった。上海では最下層に甘んじても稼げるだけ稼いで故郷に戻れば錦を飾ることができる。つまり「身分をわきまえる」のだそうだ。

 そんな農民工の意識が大きく変わっていたことが調査でわかったのである。1980年代の都市で農民工がらみの犯罪は全犯罪の3割程度だったのがいまでは8割を超す。さらに報告に加わった湖南省婁底市検察院副主任によると、かつてのような置引や盗みといった軽犯罪から傷害や殺人、婦女暴行といった凶悪犯罪へと急速に移行しつつある。

 上海政法学院副院長の厳励・犯罪学会副会長はそうした農民工の過激化について「都市と農村の格差が許容範囲を超えてしまったからではないか」と分析しているが、地元政府に従順だった農民が突如として警察庁舎襲撃などに突っ走ったのと妙に通じているような気がする。(産経新聞上海支局長)

部品調達85%中国製アピール 「北京−天津」高速鉄道「和諧号」を公開

2008/07/23 FujiSankei Business i.

 ■日本の「はやて」 シーメンス応用 時速350キロ来月運行開始

 【北京=福島香織】中国が海外技術を導入して“自主開発”した世界最速という時速350キロの高速鉄道の試乗会が22日、外国メディア向けに行われた。五輪メーン会場の北京と、サッカーなどの競技が行われる天津を従来の半分以下の30分以内で結ぶ。8月1日から通常運行が開始される。

 この路線は京津高速鉄道といい、総延長は120キロで総工費200億元(約3000億円)。新しく高速鉄道駅として建設された北京南駅と天津南駅など4駅を結ぶ。独シーメンスの技術を応用した高速列車CRH3と、日本の東北新幹線「はやて」の技術を応用したCRH2の改良型CRH2−300の2種類の車両が使用される。中国語名は「和諧号」。「和諧」は「調和」を意味する。この日の試乗会では、シーメンス型CRH3の「和諧号」が使われた。

 動き始めて約10分。「時速350キロ」のアナウンスが入る。揺れはほとんどなく音も静か。車窓の流れる景色以外、高速を感じさせるものはない安定感だ。

 座席はグリーン車に当たる1等と普通車の2等の2種類、食堂車、売店などの設備がそろい、制服姿の女性客室乗務員がサービスする。3分間隔のダイヤを組むという。運賃は未定。

 この高速鉄道車両は今年4月11日に完成。7月1日に試運転が開始され約1カ月という異例のスピードで営業運転に入る。4万種類あまりの部品の85%が中国製という「メード・イン・チャイナ」だけに、安全面への懸念に関する質問も出たが、王勇平・鉄道省宣伝部長は「安全性には配慮している」と胸を張った。

 中国の高速鉄道はこれまで最高時速250キロ。来月スタートする京津高速鉄道の運用経験が、今後の中国最大規模の国家プロジェクトして期待される北京と上海を結ぶ京滬高速鉄道(総延長1320キロ)計画に応用されることになる。

中国バス爆破事件・五輪前テロにおびえる市民、指導部の治安能力問う声も

2008.7.22 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】中国・雲南省昆明市で発生した公共バス連続爆破事件では、「北京五輪前のテロではないか」として、国民の間に不安が広がっており、中国外務省の劉建超報道官は22日、定例記者会見で「五輪との関係は見いだせない」と指摘、沈静化に努めている。首都のテロ警戒は一段と強化されそうだが、地方の末端に広がる社会不満や潜在化するテロを完全に押さえ込むことは不可能で、指導部が治安能力を問われかねない状態になることも考えられる。

 公安省は北京からテロを含む刑事捜査の専門家チームを現地に派遣、組織的な背景による犯行かどうか爆発物の詳細や手法など捜査を本格化させた。華僑向け通信社、中国新聞社などによると、爆薬にニトロ化合物が使用された。一方、当局は炭坑などで用いられるダイナマイトの一種との見方を示しているという。

 中国紙は、犯行当時、男が黒いポリ袋を座席の下に置き、下車した直後に爆発したとする乗客の目撃情報を伝えた。当局は雲南省の道路、駅での検問のほか、ミャンマーとの国境も警備を強化。新華社通信によると、昆明市公安局は同日、犯人にからむ情報提供者に懸賞金10万元(約150万円)を贈ると発表した。

 インターネットの掲示板では、「五輪を狙ったテロでは」「社会矛盾が激化している」「バスに乗るのが怖い」「またどこで起こるか」「官僚はバスに乗らない。乗るのは庶民なのに」など、恐怖感を抱く声が多い。「反政府者の言論を当局がもっと監視すべきだ」との声もある。

 中国紙によると、新疆ウイグル自治区のウルムチから重慶に向かう列車の中で14日、雷管100個を隠し持っていた男が警察に拘束された。今後、チベットやウイグルの独立勢力がテロ事件を起こす可能性は払拭(ふつしよく)できないものとみられる。

 北京では21日から駅などでの爆発物の警戒を一段と強化したが、五輪期間中に暴動や無差別殺傷事件が相次げば、国際社会に中国の不安定ぶりが露呈される事態となるだけに、当局は神経をとがらせている。

中国バス爆破:犯行予告メールを複数の市民が受信

2008年7月22日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 【昆明(中国雲南省)鈴木玲子】22日付の中国紙「南方都市報」は、中国雲南省昆明市の連続バス爆破事件の発生前、犯行予告とも受け取れる携帯電話のショートメールを複数の市民が受け取っていたと報じた。

 メールは「虫けら総動員」とのタイトルで、「このメールを受け取った市民は、明日の朝、54、64、84路線のバスに乗らないでほしい」と書かれていた。爆発は21日朝に54路線のバス2台で相次いで発生。同日早朝にメールを受信した複数の市民はいたずらと思っていたが、事件発生を知って犯行予告と思うようになったという。

 一方、華僑向け通信社「中国新聞社」(電子版)によると、昆明市公安局は22日、犯人逮捕に結びつく情報を提供した市民に対し、懸賞金として10万元(約156万円)を贈ると発表した。杜敏・公安局長は「北京五輪の妨害やチベット独立の動きと事件の関連を示す情報はない」と説明、犯行予告メールについても「そうした状況はない」と否定した。

北京−天津高速鉄道を公開 「はやて」型も走行

2008年07月22日  中国新聞ニュ−ス

 【北京22日共同】中国政府は22日、北京五輪を控えて8月1日に運行が始まる北京−天津間の都市間鉄道(設計最高時速350キロ)を外国メディアに公開した。本番では日本の東北新幹線「はやて」などをベースとした高速列車「和諧号」が走行する予定で、中国は鉄道大国として技術水準の高さをアピールした。

 同鉄道は北京−天津間の約120キロを結ぶ新線で、走行するのは川崎重工業など日本側が技術供与した「はやて」型のCRH2−300型や、ドイツの電機最大手シーメンスが技術供与したCRH3型。在来線で最短約1時間の両都市間を約30分で結ぶ。

 22日の試乗車両は、6月の試験運転で時速394・3キロの最高速度を記録したCRH3型。鉄道省当局者は「中国企業と外国企業が技術協力したが、すべての車両の生産は中国国内で部品の85%も中国製」と紹介。時速350キロ走行時も大きな揺れは感じなかった。

【ヤマトナデシコ大陸奮闘日記】(77)大学は出たけれど… 若者“暴発”

2008/07/19 FujiSankei Business i.

 前回のコラムで友人3人が相次ぎ中国で理不尽な暴行にあった話を書いた。

 信じがたい被害の数々に検察官の友人に「いったい中国の人たちはどうなっているの」と聞いた。彼は秋葉原通り魔事件についても当然知っていて、日中を比較しながらこう言った。

 「日本の若者もおかしくなっているのだろうが、中国の若者も同じ。社会全体がおかしい。教育のある若者まで凶悪な犯罪を起こすことが増えたよ。治安が急速に悪化しているんだ」

 以前も書いたが、中国はすでに一部で不景気に突入した、と見なしていい状態にある。物価高に庶民の生活は苦しくなり続け、富める者と貧しい者の差がよりいっそう目立ち始めた。

 ナケナシのお金を増やそうと投資した株式市場は暴落、不動産市場も反落となった。金融引き締め策に熱を上げる政府が救済策を打ち出す気配もない。そんな不穏な中国社会の空気の中でも、特に大卒者の就職率低下と、買い手市場になって“買いたたかれる”がゆえの若者の収入の低さは驚くほど。特筆すべき深刻な社会問題になっている。

 今年の新卒者は、前年からの就職浪人含めて約700万人。ところが中国企業はもともと技術的に先進国企業に劣るし、先進国の中国進出企業の数は限られているので、大卒ホワイトカラー職の求人には限りがある。とてもとても700万人分の職など用意はできない。となれば、国外に行くか、大卒者でも低賃金な労働にしかありつけない。

 日本の物価に換算すると4年間でおよそ2000万円にもおよぶ大学時代の教育費がいかに割に合わないものか。両親や親族、故郷の人たちに顔向けできぬと若者が絶望し、不満を別の形で表そうとするのも無理はないのかもしれない。

 雲南で地元大学の学生に尋ねると、7月の卒業シーズンで自分の学科の学生は2割しか就職先が決まってない、という。それでも都会出身者は親と一緒に暮らせるので生活の苦労は少なくてマシ。田舎から借金を重ねて進学した学生に至っては就職難や給料安がなおさら響いていて、みんな死にものぐるいだそうだ。

 日本人の友人を襲った大学生もまさにそんな「田舎出身者」だったという。自分の置かれた境遇の不満を歴史問題とからめるなどして「日本人」に向けたと考えることもできそうだ。

 一方で中国は世界で最も男女数の不均衡の率が高い国。跡継ぎが欲しいと思えば、さまざまな方法で男の子が生まれるよう中国人は策をろうするのだろう。

 一人っ子政策の中国。男性は「お金がなければ結婚どころか、女性にも縁がない」状況。40代の友人いわく、昔は大学さえ卒業すれば、エリートで、高収入で女性に苦も労しない、というシンプルな時代だったそうだ。しかし今日の中国では、どんな激しい競争を勝ち抜いてなんとか大学を出たって、そのままではエリートではないし、必ずしも収入も高くない。お金がなければ、まず結婚できないという風潮がある。結婚相手が見つかるかどうかビミョーな大卒男性も増殖中だ。

 何か、秋葉原事件の容疑者を取り巻く環境に似ている、と思えてならない。もちろん本人の被害妄想、ひねくれ性格は背後に十分にあるが、確かに物価も上がり学費も上がり、生活が苦しい若者は多かろう。おまけに非正規雇用社員(派遣社員)として安くこき使われ、結婚やマイホームなど将来設計を立てづらい傾向は強まりつつある。日本の不穏な雰囲気を中国からも感じる。日本も中国も、若者をいじめすぎてはいないか? 若者が未来を信じられない国なんて、あまりにも情けないではないか。 (農業経営コンサルタント 五十嵐らん)

【前田徹の上海的故事】(14)食糧インフレの背景に中国の陰

2008/07/18 FujiSankei Business i.

 ■「輸入大国」への道一直線

 ビールなどを中国で製造販売するキリン投資有限公司がうま味調味料などでも市場参入することを発表、そのさい中国がいずれ食糧輸入大国になるとの想定でマーケティングに取り組むと明らかにした。

 一方、それからほぼ1週間後、今度は温家宝首相が食糧自給率を95%以上にするという中長期計画案を決定した。

 中国がいま、不安の目を向けているのは石油などエネルギー資源不足から来る経済減速、そして13億人の国民に十分な食糧を行き渡らせることだ。

 英紙「フィナンシャル・タイムズ」(5月9日付)によると、中国政府が将来の食糧不足に備えるため農業部門の海外進出を強めている。背景には中国の農業人口が世界の40%を占めるのに耕作可能地はわずかに9%。このさい「海外に打って出るしかない」というわけだ。

 国務院農業部高官が同紙に語ったところでは、中国政府はブラジル政府と大豆作付け用地の取得交渉をすでに開始したそうだ。さらに湖北省がバックにある農業開発会社はアフリカのモザンビークでトウモロコシ栽培に乗り出した。

 食糧資源を海外で確保しようという動きは、中国が石油や鉄鉱石などの資源確保のためにアフリカや南米への進出を強めたのと実によく似ている。ただし資源確保を狙ったスーダン支援が人権問題無視として欧米諸国の大反発を招いたように、食糧確保においては海外に派遣される中国農民に地元住民が反発する心配がでているという。

 中国は食糧自給率95%を維持し、温首相は2020年までさらに食糧増産に励むよう指示したそうだが、肉類を好むなど食習慣の変化で飼料用穀物を大量に消費するなど輸入に頼らざるを得ない面がでている。

 たとえば大豆は2003年から輸入量が3倍、すでに世界最大の輸入国だ。トウモロコシでさえいずれ輸入国になるだろう。

 4月に香港で起きた“米騒動”では国際価格が急騰した米がスーパーの棚から消えたのだが、その背景には十分な供給がないという不安があった。世界最大の豚肉産地の中国がマレーシアの業者から豚肉輸入の交渉を始めたというニュースさえ飛び交った。

 確かに大量の投機資金の流入が石油高騰の主原因ではあろうが、急速な工業化で大量の石油を必要とする中国やインドにおける潜在需要が重要なファクターであることは間違いない。同様に食糧インフレの背景に中国の陰ありとみても不思議ではないだろう。(産経新聞上海支局長)

外貨準備高、なお膨張 中国 6月末1兆8088億ドル

2008/07/15 FujiSankei Business i.

 中国「外貨準備高」の膨張が止まらない。ブルームバーグが伝えたところによると、中国人民銀行(中央銀行)が14日発表した6月末段階の外貨準備高は1兆8088億ドル(約192兆円)と、前年同期比35・73%も増加した。人民元の先高を見越した海外からの短期的投機資金「ホットマネー(中国語で熱銭)」の流入が背景にあるとして、中国の金融当局は今後、外貨管理を強化する方針だ。(河崎真澄)

 ■1日あたり17億ドル

 中国の外貨準備高は昨年末より2806億ドル増えている。3月末からの増加額は1539億ドルと四半期で過去最高の膨張ペース。

 この3カ月では1日あたり17億ドル以上の外貨を稼ぎだした計算になる。5月末に比べると6月末は119億ドル増に止まり、伸びはやや鈍化。6月の貿易黒字は213億5000万ドル。外貨準備の伸びはこれを下回ったものの、膨張傾向に歯止めはかかっていない。

 中国の外貨準備は2006年2月に日本を抜いて世界最大となり、首位の記録を更新している。2位の日本は5月末で9969億ドルと中国の半分近い水準。

 人民元は05年7月に約2%切り上げて、人民銀行が相場を管理する「管理フロート(変動相場)制」に移行した。切り上げ後の上昇率も約16%に達した。今年は通年で10%を超える見通しとなっており、対ドルで元資産の“高利回り”が見込めるとして「ホットマネー」が大量流入。このほかにも人民銀行が外為相場で実施する「ドル買元売り介入」が外貨準備高を押し上げる要因となっている。

 金融当局は外貨管理徹底で短期的な投機資金を阻止する構えをみせている。

 ■金融引き締め策も

 一方、17日に国家統計局が発表する予定の中国の4〜6月期の国内総生産(GDP)に関し、ブルームバーグは14日、前年同期比で10・3%の成長と1〜3月期の同10・6%より0・3ポイント程度、スローダウンするとの見通しを伝えた。エコノミスト18人への聞き取り調査の平均値だという。

 景気過熱への警戒から胡錦濤政権は昨年、引き締め策にカジを切り、温家宝首相は今年の目標値を「8%前後」と表明。“ソフトランディング(軟着陸)”をめざしているほか、5月に発生した四川大地震のマイナス影響も加味した。今年通年では、5年ぶりに10%を下回る可能性もある。

 中国の実質GDP成長率は04年から07年まで4年連続で通年2ケタ増が続いており、06年は11・6%、07年は11・9%となった。

【山本勲の観察中国】(20)鮮明になった経済減速 「過熱」防止政策から転換

2008/07/15 FujiSankei Business i.

 中国経済の減速ぶりが鮮明になってきた。株や不動産などの資産バブルが崩壊しつつあるのに続いて輸出の伸びが鈍り、企業収益を脅かしている。米国経済の減速や世界的インフレのあおりを受け、過去5年続いた2ケタ成長のひずみが一気に表面化し始めた。

 昨年の国内総生産(GDP)は12%近い成長率を記録したが、今年から来年にかけて1ケタ台への低下が避けられないとの見方が多数となりつつある。

 7月に入り、国家指導者の地方行脚(あんぎゃ)が相次いでいる。経済の最高責任者である温家宝首相が7月4日から3日間、上海市と江蘇省の経済状況を視察した。

 相前後して習近平国家副主席が広東省と香港、李克強副首相が河北省、王岐山副首相が山東省を回った。いずれも企業や港湾、発電所などの経済活動の最前線に出向いて政府方針を説明し、現場の状況把握に努めた。

 温家宝首相はこの中で、「政府のマクロコントロール政策の重点をしっかりつかみ、経済の安定した比較的早い発展を維持し、大きな起落(アップダウン)を回避せよ」と指示した。

 この発言は政府の経済運営の大きな変化を示唆している。過去5年間の政策の重点はもっぱら景気の過熱を防ぐことにあり、昨年半ばからは過熱景気が火を付けたインフレを抑制することに力を入れていた。

 中国ではこの数年、人民元の切り上げ差益を狙って流入した数千億ドル規模の投機資金(ホットマネー=熱銭)などを元手に、国を挙げての投資フィーバーが続いた。地方政府は道路・鉄道などの産業基盤(インフラ)建設、企業は増産のための設備投資、国民は株や不動産の財テクが中心だった。これらの投資活動が輸出や個人消費を押し上げ、2ケタ台の高度成長を5年間も続ける原動力となった。

 この間の政府の「マクロコントロール」とは、(1)金利の引き上げや銀行の預金準備率引き上げによって金融を引き締め(2)それでも効果がない場合は行政指導で銀行の貸し出しを抑制する−などの方法で景気過熱を冷ますことだった。

 ところが温家宝首相は今回の指示で、「経済の比較的早い発展の維持」と「大きな起落の回避」を強調した。つまり経済運営の重点を従来の「過熱防止一辺倒」から、「過熱と経済失速の両方を防止する」政策へ転換したわけだ。

 背景にはここへきて中国経済の減速傾向が鮮明になってきたことが指摘できる。まず株価が昨年10月のピークから半値以下に暴落し、不動産相場も年初来、深セン、広州などの沿海大都市で下落し始めた。

 続いて米国景気の後退や、労賃や人民元高などによるコスト上昇の影響で輸出の伸びが鈍り、輸入が急増しだした。上半期の貿易黒字は990億ドル(約10兆4000億円)と前年同期比で132億ドル、約12%減少した。

 中国の2大輸出基地である広東省珠江デルタや上海周辺の長江デルタでは衣料、製靴、家具・雑貨などの製造業で企業倒産が急増している。

 広東省の1〜5月の工業企業利潤は前年同期比約4%増と、前期の伸びを45%下回った。1万社以上の工業企業が赤字(全省工業企業の26%)となり、欠損総額は208億元(1元は約15円)と、前年同期比49%増えた。全国ベースでも917億元と、同56%増えた。

 景気の先行指標であるPMI指数(製造業購買担当者指数=中国物流購買連合会調べ)は6月、52に低下した。4月の59・2から2カ月で9ポイントも下がった。PMI指数は企業の購買担当者に対する新規受注状況や生産、在庫などの調査をもとに作成、50を下回れば景気後退入りを示す。

 この指数からは、中国経済は急速に後退局面に近づいていることになる。指導者の一斉地方行脚もこれとは無関係ではなさそうだ。インフレ対策で引き締め一辺倒の政策を続ければ経済が失速し、ハードランディングする懸念も出始めた。

 一方、株式市場では政府が失速防止の景気対策を取るのではないかのと思惑から今月中旬、株価が上昇した。政府の一挙手一投足に市場の関心が集まっている。(産経新聞編集委員兼論説委員)

中国超大国へ GDP今世紀半ば米の倍 輸出から内需主導 カーネギー基金予測

2008/07/12 FujiSankei Business i.

 ■政治、外交で影響力発揮

 米カーネギー国際平和基金は11日までに、中国が今世紀半ばに国内総生産(GDP)で米国の2倍の規模を持つ超大国に成長するとするリポートをまとめた。現在の輸出主導の経済から個人消費を中心とする内需主導型に転換し、安定成長を続けると予測。軍事面を含め、中国のスーパーパワーに対抗する準備を急ぐよう呼びかけた。

 ≪2035年に世界一≫

 リポートは同基金のアルバート・ケイデル中国問題上級研究員がまとめた。それによると、中国は成長エンジンを現在の貿易から中国国内の個人消費や官民の投資による内需主導型に転換し、1けた台後半の安定成長を続けると指摘。2035年までに、GDPで中国の6倍の規模を持つ米国を抜いて世界一の経済大国になると予測した。

 ただ、これは控えめな推計で、実勢より低い人民元の対ドル相場を購買力平価で是正し中国のGDPを測り直した場合は05年時点で約2・5倍に膨らむ。この場合、中国のGDP世界一達成は21年以降と大幅に前倒しされる。今世紀半ばに中国のGDPは米国の2倍弱に達し、米国は現在の欧州連合(EU)と同じ第2勢力に転落。国際的な主導的地位を失うという。

 一方、中国が安定成長を続けられなくなる不安要因として、格差・貧困問題、社会不安の増大、環境汚染問題などを挙げた。

 ≪国際機関も北京に≫

 中国が世界のリーダーとなった場合、どんな変化が起きるのか。

 経済分野では、世界の貿易・投資パターンが中国型モデルに移行する。中国人民銀行の金融政策が中国だけでなく日米欧をはじめ世界の金融市場を動かし、国際通貨基金(IMF)や世界銀行をはじめとする国際機関の運営も中国が主導。国際連合を含めさまざまな機関が北京や上海に本部を移転し、政治や外交面でも大きな影響力を発揮する可能性があるという。

 軍事面については、米国がこれまでに中国の13倍に当たる1兆ドル(約1060兆円)以上の軍事費をつぎ込んできたことに加え、宇宙分野をはじめとして半世紀以上にわたり中国をリードしてきた軍事技術や、日本、韓国、グアムなどアジア太平洋に展開している在外基地により、相当の優位性を保持していると分析。しかし、中国は経済大国化とともに、軍事力を強化し、最終的に軍事面でも世界のリーダーになる可能性があると警鐘を鳴らした。

 この上でリポートは、「米国は、国際環境が一変する50年になるまで待つことなく、(主要国との)広域的な安全保障体制を構築する準備を急ぐべきだ」と提言した。

【前田徹の上海的故事】(13)「温州モデル」の破綻

2008/07/11 FujiSankei Business i.

 ■輸出に逆風 八方ふさがり

 2年ほど前、100円ショップの故郷として知られる中国・浙江省の義烏(ぎう)を訪ねたことがある。

 1日かかっても歩ききれない広大な市場には、安っぽい造花からルノワールの立派な模写まで何でも手に入る仕組みになっていた。しかも、それがとんでもなく安い。中東、ロシア、韓国など世界各国のバイヤーが事務所を構えて仕入れており、まさに「世界の雑貨市」だった。

 単なる田舎町だった義烏が世界的に知られるようになったのは、浙江省で改革開放とともに労働集約型家内工場がどんどん増え、そこで大量に作り出される雑貨物の集積地、つまり“世界の工場”の見本市になれたからだ。

 義烏周辺には革製品ばかりの町、あるいは靴ばかりをつくる町もある。その近くには村全体がネクタイを大量生産するといった具合だ。いまや簡易ライターや革靴など雑貨品の生産で浙江省は世界一だ。

 そんな雑貨品づくりのメッカが浙江省温州だ。

 温州人は古代より商売がうまく“中国のユダヤ人”といわれるほど中国各地に温州商人の足跡がみられるが、手工業も唐のころから発達していた。だから改革開放では軽工業地帯を目指す経済技術開発区に指定され、浙江省随一の雑貨生産地になった。

 その温州がいま、不況風にさらされている。

 上海の朝刊紙「東方早報」(6月19日付)は「温州モデルの危機」という特集記事を掲載した。それによると、30万社前後もある温州の中小企業のうち20%、6万社が生産停止あるいは半停止状態に陥っている。調査を行った温州市中小企業促進会によれば実態は調査結果よりさらに悪いそうだ。

 理由は輸出による経済発展モデルがうまく機能しなくなっているからだ。

 促進会の周徳文会長によると、まず輸出は貿易摩擦を起こしやすいので政府が優遇策を廃止するなど逆風が吹き始めた。さらに経済過熱(インフレ)抑止を理由にした金融引き締めで運転資金がうまく回らなくなり、加えて人民元切り上げや原材料の高騰でコストがかかりすぎることもある。

 同じような理由で上海や広東などに進出した外資系加工貿易会社も苦境に立たされているが、こちらは湖南省など内陸部に工場を移転すればさらなる優遇策が得られる。つまり中国の内陸振興政策で生き残りを図る道があるわけだ。

 工場移転などあり得ない温州の軽工業地帯は八方ふさがりなのである。(産経新聞上海支局長)

中国が威信かけ重工業大型化 資金や技術集積 航空機製造や鉄鋼、相次ぎ合併

2008/07/10 FujiSankei Business i.

 中国が「重厚長大」型産業で企業の大型化を急いでいる。5月に上海市で設立された国産大型旅客機メーカー「中国商用飛行機」の親会社2社が月内にも合併し、航空業界をリードする国有企業が誕生する見通しとなった。数千億円もの航空機開発コスト調達や、高度な技術の集積などでスケールメリットを狙ったものとみられる。また河北省の大手鉄鋼メーカー2社も合併。鉄鋼年間生産量で宝鋼集団を抜いて中国最大となった。国家の威信をかけて波及効果の大きい重工業で国際競争力を強化する。(河崎真澄)

 ≪大型旅客機を開発≫

 新華社通信によると、国有企業である中国航空工業第一集団と中国航空第二工業集団が合併する。いずれも航空エンジン部品や機体部材などを製造するメーカーで、一部は軍用機や宇宙航空関連の事業も手がけているもよう。中国商用飛行機で早ければ2020年ごろに生産を始める見通しの座席数150以上の大型旅客機開発に向け、国内に分散する航空関連メーカーの技術など北京からの指令で集結させる狙いがある。

 この母体となる中国商用飛行機の資本金は190億元(約2850億円)。国有航空2社のほか、国家の資産管理部門も筆頭株主となっている。さらに鉄鋼や素材メーカーも出資。各社から出向した研究者ら約2000人が大型旅客機の開発に従事する見込みだ。

 中国は1980年に100席以上の中型旅客機「運10」を開発、初飛行にこぎ着けたものの、関係者によると「技術や資金力など総合的な国力の差」があり本格生産に至らなかった。ただ、その後も大型機生産に向けた計画を策定し直すなど再挑戦を図っていた。

 今後開発するのは座席数150席以上で米ボーイング737や欧州エアバス320がライバル。300〜400席のボーイング747と比べ小さいが、航空燃料高騰で燃費が重視されており、国内線など近距離路線で需要が見込まれる。

 ≪中小型期で先行≫

 中国は先行して中小型ジェット機「ARJ21」の開発も進めているが、本格的な生産開始は計画より遅れている。大型機の実現可能性について、専門家は「軍用機向け技術を転用すれば開発は可能だが、エンジンなど基幹部品は安全性や信頼性の面からも、まずは日本や欧米から調達せざるを得ない」と分析する。まずは国内線で実績を上げ、さらに周辺国やアフリカなどに経済支援の一環として導入を促す可能性がある。

 ただ「中国ブランド」の安全性への不安から、大型旅客機市場を独占する米ボーイングや欧州エアバスに対抗できるかどうか。疑問視する声は小さくない。

 ≪世界5位の鉄鋼集団≫

 また、合併した河北省の鉄鋼メーカーは唐山鋼鉄と邯鄲鋼鉄。中国最大の「河北鋼鉄集団」となった。新華社によると、同集団の鉄鋼年間生産量は3158万トン。宝鋼集団を抜き世界で5位になる。河北鋼鉄では来年末までに鉄鋼の年間生産量で約1・6倍の5000万トンをめざしている。

 河北省には大小100を超す製鉄会社がひしめいており、中国政府は国内製鉄会社のスケールメリット追求と国際競争力の強化に向け、合理化による設備の更新や業界再編を指導しており、今回の合併もその一環という。航空機のほか造船や自動車産業、家電など国内産業の急拡大で、中国は世界でも最大の鉄鋼消費国で生産国となっている。

テディベア、独に帰る 品質低下で中国生産打ち切り

2008/07/08 FujiSankei Business i.

 【ベルリン=黒沢潤】世界で100年以上にもわたって愛され続けてきたぬいぐるみ「テディベア」=写真=を生産するドイツのシュタイフが、人件費の安い中国での生産を打ち切り、地元ドイツで生産する方針を決めた。中国での生産で品質低下が顕著となっており、老舗としての“誇り”がそれを許せなかったようだ。

 1880年創業のシュタイフが作るテディベアは1902年生まれ。愛くるしい表情でコレクションとしての価値も高く、母から子へ、子から孫へと世代を越えて世界中で愛され続けてきた。発売当初、粗悪な模造品が相次いで出回ったことから、左耳には同社の刻印ボタンが取り付けられ、品質を保証するトレードマークにもなっている。

 同社幹部は独メディアに対し、中国での生産の打ち切りについて、「もし(テディベアの)ガラスの目が1ミリでもずれていたら、愛くるしい表情がとたんに間の抜けた表情になってしまう」と指摘。中国での労働者の入れ替わりの激しさについても、「最近はいつも新しい人材の養成に時間を割かねばならない。不良品も続出している」と不満を述べた。長年、我慢を続けてきたが、ついに“堪忍袋の緒”が切れた形だ。

 世界中の玩具メーカーは低コストの魅力から、中国に生産拠点を移しつつある。だが同社は、品質低下だけでなく、中国から3カ月かけてドイツに船便で輸送する際のコストなども無視できないとしている。

 テディベアは第26代米国大統領、セオドア・ルーズベルトの愛称テディにちなむ。1902年、狩猟好きのルーズベルトが子熊の命を助けたというエピソードが新聞に掲載されたのを機に、「テディ」の名前を冠した熊のぬいぐるみが人気を博すようになった。

【山本勲の観察中国】(18)高度成長に屈折点 不動産バブル崩壊を懸念

2008/07/01 FujiSankei Business i.

 中国で不動産バブル崩壊の懸念が高まってきた。上げ相場の先頭を走っていた広東省深セン市の住宅相場は年初来3割も下落した。今年後半からこの傾向が徐々に全国へ広がり、不動産業者の倒産や銀行の不良債権急増をもたらす可能性もある。不動産業は中国経済の5年連続2ケタ成長を引っ張ってきた。株式市場に続いて不動産でもバブルが崩壊すれば、中国の高度成長は屈折点を迎えることになる。

 中国の不動産投資はこの5年間、前年比2〜3割のペースで急増を続け、昨年は2兆5300億元(1元は約15円)だった。国全体の固定資産投資(公共事業や設備投資)の18%強を占めている。昨年の分譲建物、住宅の販売面積も、それぞれ前年比23%、25%増え、投資と消費の両面で高度成長の牽引(けんいん)役を演じてきた。

 しかし政府が昨秋からインフレや資産バブルを抑制するため、金融引き締めを強化したあたりから陰りが出始めた。まず深センや広州でマンションの値崩れが始まり、上海や北京では「有価無市(価格が高騰して買い手がつかない)」状態に陥った。

 深セン市内で昨年夏に1平方メートル1万5000元だったマンションの分譲価格が、今年2月には1万元と3割強下がった。それでも同市の「1〜3月の住宅取引件数は前年同期比7割近くも減った」(深セン世聯地産公司統計)。

 北京でも今年1〜5月の商品住宅の販売面積が266万平方メートルと、前年同期比49%も減った。

 深センのような大幅な値崩れは表向き起きていないが、「自動車をおまけに付けたり、内装費や修理費を免除するなどの実質的値引きが広まりつつある」(新華社電)。販売員はがらんとしたモデルルームを少しでも活気づけるため、道行く若者をコーヒーとケーキで誘い込んでいるという。

 利に敏(さと)いことでは中国でも一番の温州商人がここへきて北京や上海などの大都市から不動産の投機資金を引き揚げ、投資先を地方の中規模都市に振り向け始めたとの情報もある。

 「中国のユダヤ人」とも称される浙江省温州市の商人は多くの投機集団を構成し、4〜5年前から深セン、広州、上海、北京の順に大都市で不動産投機を仕掛け、荒稼ぎをしてきた。温州では「10万人が不動産投機にいそしみ、投入資金は1000億元にのぼる」(中国新聞社)とも言われる。

 その温州商人がこの数カ月間に北京の不動産市場から100億元強の資金を引き揚げる一方、「80人余りの視察団を結成して江蘇省の連雲港、徐州、太倉の諸都市を巡った」(同)。こちらは主に商業用地・物件狙いとのことだ。

 上海や北京の不動産相場が高騰して取引が急減しているため、まだバブルがそれほど膨らんでいない地方都市で次の投機を仕掛けようというわけだ。

 果たして温州の投機集団がもうひともうけできるかについては、悲観的な見方が広がっている。第一に政府がインフレ抑制のために金融の引き締めをさらに強めようとしているためだ。

 中国人民銀行(中央銀行)は6月に、銀行の預金準備率を段階的に1%引き上げ17・5%としたが、周小川総裁は引き締めの追加措置も辞さない姿勢を示している。

 不動産価格の下落と販売減に金融引き締め強化が重なり、デベロッパーの資金難、経営難が急速に進みそうだ。国泰君安証券研究所は、「中国不動産業の今年の資金不足は7100億元にのぼる」との分析を発表した。これは上場しているデベロッパー企業の年間投資金額の約35%に相当する。

 米投資銀行、ゴールドマン・サックスは「今後1年以内に不動産相場は少なくとも15%下がる」と予測しているが、政府の対応次第ではかなり大幅な下落も考えられる。

 資金難に耐えきれなくなったデベロッパーが来月から本格的な値下げ販売を始める、との見方が広がっている。インフレ(消費者物価上昇率7〜8%)が高進するなかで、株価はピークの半値以下に落ち込んでいる。

 国民の懐(ふところ)具合が苦しくなっているだけに、中途半端な値下げでは不動産市場を盛り返すことは難しい。本格的なバブル崩壊が起こり、「少なくともデベロッパーの3分の1が淘汰(とうた)される」(著名不動産コンサルタントの王志綱氏)との物騒な予測も出ている。(産経新聞編集委員兼論説委員)

女子中学生暴行疑惑で起きた暴動 中国、五輪前に抑え込む構え

2008.06.30 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】貴州省甕安(おうあん)県で28日に発生した数万人規模の暴動をめぐり、中国当局は30日、参加者に自首を呼びかける一方、暴動のきっかけとなった女子中学生(15)に対する強姦殺人疑惑の調査を必ず実施すると宣伝し、事態の沈静化を図ろうとしている。当局は北京五輪を前に他の地域への波及を防止するため力で押さえ込む構えで、人権団体は約300人が拘束されたと伝えた。「暴動は庶民の絶望感の表れ」(北京の知識人)と指摘され、官僚腐敗に対する鬱積(うつせき)した怒りが噴き出したともいえそうだ。

 「金のある者、権力者は何でもできる腐敗社会。中国はまさに“黒”だ」。

 暴動に関するインターネットの書き込みは、大部分が地元当局の司法腐敗を非難、「民衆の怒りを知ったか!」と暴動に賛同する内容が多い。

 当局は暴動を撮影したビデオなどをもとに参加者を拘束しているようだ。関係サイトによると、拘束された中には30人の生徒も含まれているという。当局は武装警察ら2000人を投入し、催涙弾と高圧電流警棒などで鎮圧。米政府系の自由アジア放送は「発砲で4人が死亡」との説が現地で流れていると伝えた。

 消息筋によると、30日、多くの商店が店を閉め、街頭を武装警察が隊列を組んで行進し威圧。群衆に襲撃され炎上した公安庁舎や政府庁舎の周囲は同日午後から二重に封鎖され、一般の人々は近寄れない。

 暴動について同日付の地元紙「貴州日報」は「少数の者が真相を知らない群衆を扇動し政府部門を襲撃した重大事件」と位置づけ、公安局はテレビで暴動参加者に対して自首を繰り返し求めている。一方で現場周辺では当局の広報車が走り、「事件の公正な調査をする」と宣伝している。

 暴動のきっかけは、女子中学生の死亡。家族や同級生は、政府または公安幹部の親族とみられる男ら2人組による暴行殺害と疑い、2人がすぐに釈放されたことに対し、数百人の生徒らが集団で公安当局前で抗議行動を繰り広げたが、逆に武装警官らに殴打され、これに群衆が反応したとの見方が多い。「連続女子暴行事件、鉱山をめぐる汚職などへの不満も背景」との説も流れている。

 胡錦濤指導部は「調和社会」構築を掲げ社会の安定を図ろうとしているが、チベット族の騒乱に続く今回の暴動で、中国社会の不安定さが改めて露呈した形だ。「農地収用問題や官僚腐敗、当局者の横暴、退役軍人の福利問題など社会の底辺にたまった不満のマグマはいつでも噴出する」(北京の法律家)といわれ、今後も大規模な抗議行動や暴動が発生する可能性は否定できない。

黒こげ警察車両 警官、銃構え威圧 中国貴州暴動

2008年06月30日 東京新聞夕刊

 【甕安(中国貴州省)=小坂井文彦】焼け焦げた十数台の警察車両が路上に無残に転がる−。中国貴州省甕安(おうあん)県の数万人規模の暴動から二日たった三十日、全焼した県政府と公安局の庁舎が騒動の大きさを生々しく伝えていた。

 六階建ての公安局庁舎内は真っ黒になり、低層階の窓ガラスの多くが、投石で割られていた。約二十メートル離れた県政府庁舎も外壁が黒くただれている。市民が携帯電話で写真撮影をすると、警備の武装警官が「とるな」と制していた。

 同日午前八時以降は両庁舎に通じる道への進入は禁止され、街の中心部には、銃を構える武装警官が配置された。街の周辺では武装警官隊が「一、二、三」と大きな掛け声で威圧して行進し、街は表面的には平穏を取り戻している。

 きっかけは少女(15)に対する強姦(ごうかん)殺人事件の捜査。逮捕された男二人がすぐに釈放され、「一人は当局幹部の息子だ」とうわさが流れ、市民の不満が爆発。県庁舎前のスピーカーから、「必ず捜査をきちんとします」という放送が流れ、同様の内容を広報する車両が街を巡回していた。

 暴動に参加した無職の朱利中さん(38)は「参加したのは十万人はいた。役人ばかりがずるをして得をするのは不公平だ」と怒りを口にしていた。

貴州で数万人暴動 中国 県庁舎襲撃 殺人事件捜査に不満

2008年06月30日 東京新聞朝刊

 【貴陽(中国貴州省)=小坂井文彦】中国貴州省甕安(おうあん)県で二十八日午後、中学二年生の少女(15)に対する強姦(ごうかん)殺人事件の捜査に市民が不満を抱き、数万人が県政府や公安局の庁舎を襲撃する暴動が発生した。報じた香港紙各紙のうち「明報」によると、警官の発砲で市民一人が死亡した。 

 中国では近年、当局の不正に対する抗議行動が各地で相次いでいるが、数万人規模の暴動は異例。国営新華社通信も暴動発生を報じ、八月に北京五輪開催を控える胡錦濤政権にとって看過できない事態となった。

 少女が今月下旬に殺害された後、公安当局は無職の男二人を逮捕したが、翌日釈放した。捜査状況と死因を当局に問い合わせた少女の家族は警官に殴られ病院に送られたという。

 インターネット上では、「逮捕された一人は副県長の息子だから釈放された」と書き込みされ、怒った少女の同級生が抗議行動を起こし、市民数万人が加わって暴動に発展した。

 公安局庁舎が放火され一階から三階まで全焼。警察車両など十数台も燃やされ、周辺には黒煙が上がった。

 消防車が駆け付けたが、学生たちはおので消火栓を壊し消火活動を妨害。警官隊は催涙弾を発射して威嚇したが、暴動は二十九日未明まで続いた。暴動鎮圧のため武装警察が動員され、市民約百五十人が負傷、中学生約三十人を含む約二百人が拘束されたという。

【ヤマトナデシコ大陸奮闘日記】(75)「レジ袋規制」で貧困層の生活は?

2008/06/28 FujiSankei Business i.

 6月1日から中国は「白色汚染」対策を始めた。デパートやスーパー、コンビニなどで商品を入れる薄い樹脂製の“レジ袋”を表面の色の連想から名付けたようだ。ゴミ増加防止を目的に全土で「レジ袋規制」を強化、中国では主流だった厚さ0・025ミリ以下の薄手のレジ袋の生産、提供と使用が禁止されたのだ。

 なにせ農村や野山を訪れて遠くに赤や黄色、白の花が咲き乱れていると思って近寄れば、「レジ袋のゴミの山だった」という話が伝わるくらい、中国はどこもかしこも「捨てられ散乱するレジ袋」が日常的な光景になっている。石油が原料のレジ袋。世界的な原油高騰で石油製品が供給不足に陥り、さらに深刻になるであろう中国においては、しごく当たり前の規制だ。

 もちろん、環境汚染に真剣に取り組む一歩としても非常にいい、と私はとらええていたし、日本も全国的にマネたらどうかしら、とも思っていた。ところが規制のための法律が施行されてから、ちょっと違う面も見えてきた。まず一筋縄にはいかないのが中国だ。

 個人で商売をしている人たち。道端で野菜を売っている農民などは、「要不要袋子?(袋いる?)」と今でも客に尋ねてくる。そこで客が「要(要る)」と答えれば、まず間違いなく以前どおりの薄いレジ袋に野菜を入れてくる。おせっかいな私が「おばちゃん、袋は禁止になったんじゃないの?」と突っ込むと、「なにいってるのよあんた。外国人は困るわね。袋はないと言って客に『じゃあよそで買う』と逃げられたらどうするの。考えても分かるでしょ」としかられた。

 農産品だって1元(約15円)か2元レベルで量り売り商売している農民たちにしてみれば、たかがレジ袋で「客が面倒くさがって来なくなる」ことの方が、よほど怖いのだ。環境汚染だろうがなんだろうが、まずは自分の商売が大事だ。

 確かに量り売りが多い野菜を買う際など、「袋がない」ことの面倒くささは私も実感している。農民たちの言うことも分からないでもない。とはいえ薄手のレジ袋の値段が原油高騰に合わせて上がっていけば、いずれは「袋は有料よ」に変わることもあるだろう。

 複雑なのは、中国の内陸部や貧困地域には実際大勢いる「ゴミ回収業者」の事情。出稼ぎ農民など職につけない苦しい人たちはペットボトルやレジ袋などの石油製品をゴミ捨て場で争うように集めている。リサイクル業者に持ち込めば、チョー安い値段ながら現金収入になる。彼らにしてみれば、大量に捨てられるレジ袋は貴重な収入源。それが消えるのは切実な問題だ。

 しかし前述のように、外資や大手企業は「白色汚染撲滅!」の動きに従えども個人商店では「そんなの関係ねえ!」とばかりに、使い続けている人が多いのが実情だ。となればゴミ回収業者も当面は商売上がったりの懸念はなさそうだ。

 国際社会の目も厳しくて環境汚染は解決しなければならない。でも国内の貧困層の生活も考えなきゃ社会不安も起きる、と考えているであろう中国政府のお偉方の心境も、薄いレジ袋ごしに見えてくる。残念ながら捨てられるレジ袋に収入を頼る厳しい生活を送る人たちも確かに存在するのが中国。はてさて、規制はどこまで徹底され、汚染はどこまで解決されるのか。(農業経営コンサルタント 五十嵐らん)

【前田徹の上海的故事】(12)浙江省は日本企業いじめ?

2008/06/27 FujiSankei Business i.

 ■地場産業保護へ障壁づくり

 キヤノンの中国現地法人はこのほど、浙江省消費者権益保護委員会を通じて同社のデジタルカメラ19種の不具合を保証期間に関係なく無料で点検、修理すると発表した。

 浙江省の地元経済紙「市場導報」が24日付で報じたものだが、このニュースを読んで驚いたのは、保証期間を無視するという破格のアフターサービスが浙江省だけに限られていた点だ。案の定、中国のネット上では湖北省など各地のキヤノンユーザーは同じサービスを受けたいと騒いでいる。

 では、なぜキヤノンのようなグローバル企業が浙江省での特別サービスにこだわったのか。

 その点について中国キヤノンの副総裁は「メディアを含め組織だった面でうるさい反応を示した浙江省を重点化せざるを得なかった」と、市場導報紙に対し説明したそうだ。

 実は浙江省工商局は「日本企業いじめ」でつとに知られていた。

 ちょっと記録を調べてみても、2005年12月のソニーのデジカメ6機種が品質問題を理由に販売停止処分になったことが思いだされる。当時、日本メディアを中心に外国メディアが取材を重ねても具体的な品質問題は明らかにされず、結局、ソニー側が浙江省に限って返品を認めることで決着した。

 その翌年には今度はNEC、東芝、富士通など5社のノートパソコンが同省の基準に合っていないとして不合格になり、NECはこれをきっかけに中国市場から撤退している。さらに07年には明治乳業の粉ミルクが基準に達していないことを理由に店頭販売が停止された。気になるのはNECも明治乳業も上海で品質検査をしてもらったところ何も問題なかったことだ。つまり、浙江省が何らかの判断で不合格通知した可能性があるからだ。

 そんな浙江省の日本企業いじめについて昨年1月の日本貿易振興機構(JETRO)通商弘報は次のように書いている。

 「浙江省は上海市などと違い外資牽引(けんいん)の発展パターンをとらず、民営経済を中心に急速な経済発展を遂げてきた。それが外国ブランドに対する厳しい品質検査の理由と見る向きもある」。要は、地場産業を守るため障壁づくりだったかもしれないわけだ。

 2年ほど前、神戸で製造されたマックスファクターブランドの化粧品「SK−II」から有害物質が検出されたとして中国全土で販売が停止されたことがあった。日本大使館が抗議するなどして最終的に無害と中国当局は認めたのだが、「SK−II」は2度と出回ることはなかった。

 中国市場での成功には品質以上のことが結構、大事なのである。(産経新聞上海支局長)

中国、出稼ぎ労働者不足で人件費上昇

2008/06/24 FujiSankei Business i.

 ロイター通信によると、中国国務院(政府)傘下のシンクタンク、中国社会科学院は23日までに、農村部からの出稼ぎ労働者の減少などによる労働力不足で、企業の人件費コストが上昇傾向にあるとの報告をまとめた。農村部の余剰労働力は1990年代の2億人規模から現在は約5000万人に減少。このため出稼ぎ労働者の賃金上昇率は拡大傾向にあり、07年の上昇率は20%に達した。(坂本一之)

中国の投資家調査 株式「損失」92・5% 74・7%が救済必要

2008/06/24 FujiSankei Business i.

 2007年1月から今月中旬までに株式売買で「損失」を被ったとする中国の個人投資家が全体の92・5%にも上ったとの調査結果を中国中央電視台(CCTV)がまとめた。今年8月の北京五輪まで高騰が続くとされた上海市場だが、昨年10月をピークに下落に転じ、23日は終値で2800を割って8カ月で約55%も下げた。調査では個人投資家の74・7%までが証券当局による市場救済策が必要と回答するなど、投資環境への不満を訴えている。(河崎真澄)

 この調査は中国共産党中央の指揮下にある北京のテレビ局CCTVが、新浪や捜狐、和訊、東方財富の4社のポータルサイトと共同で今月中旬に、上海と深センの国内向け人民元建てA株市場を対象に、76万4588人の個人投資家からインターネット経由で有効回答を得てまとめたという。

 ≪証券当局に不満も≫

 それによると、同期間中に株式取引で利益を上げたとの回答はわずかに4・3%。06年末段階までの投資規模を保ち、利益も損失も出していないという回答も3・2%と少なかった。調査結果では、「これほど大規模な損失は極めてまれなケース。株式市場は人民の個人財産を次々と飲み込んでいった」と指摘した。

 主要指標である上海総合指数は、終値ベースで昨年10月16日に過去最高の6092・05をつけてから下降線をたどり、23日には前営業日比2・52%安の2760・42で引けて、昨年3月初旬の水準まで戻した。

 8カ月にわたる株価下落局面で損失を被った投資家のうち、82・7%までが証券当局による市場調整と監督管理に問題があったことが原因と回答。一方、投資家自身のマクロ経済や投資銘柄への研究が不十分だったとの回答は10・4%。自らの株式取引技術が未熟だったとの回答が6・9%に止まった。自己責任への反省よりも証券当局を非難する声の方が大きかった。

 中国の株価を押し下げたマクロ経済に(1)国際金融市場の変動(2)原油価格の高騰(3)米サブプライム(高金利型)住宅ローン焦げ付き問題−など外的要因を挙げる声もあったが、日米欧などの市場を大きく上回る中国の下落傾向の説明にはなっていない。株式取引経験の浅い個人投資家が売買規模の80%前後を占める中国のリスクの高さを示した。

 ≪老後の生活に不安≫

 証券口座数が昨年1億を超えた中国だが、富裕層ばかりが株式投資をしているのではない。調査によると株式取引での損失が個人の金融資産に占める割合が50%以上に達したとの回答が59・9%にも及んだ。同割合40%が14・5%、30%が11・4%と高率。年金制度など社会保障が充実していない中国では、個人の裁量で老後の蓄えを作るケースが大半で、都市部の住民には株式投資がその受け皿になっていた。それだけに株価の長期低迷が生活に与える影響は深刻で、中国政府への不満や社会不安に結びつく懸念も小さくない。

 調査結果について中国証券業協会では、「株価下落は一種の災害との指摘もある。(証券当局は)何らかの措置や政策で株式市場の比較的安定的で健全な発展を支援すべきだ」とコメントした。膨大な貿易黒字や外貨準備高を積み上げ、国内総生産(GDP)でも10%前後の成長が見込まれる中での株安環境に、証券当局に株価救済策を求める声は一段と強まりそうだ。

中国の備蓄庫は空っぽ 組織ぐるみ横流し

2008.06.23 MSN産経新聞

 【北京=福島香織】食糧価格が高騰している中国で、中国有数の国家食糧備蓄庫がカラになっていたことが中国各紙の報道で明らかになった。食糧庫の主任、出納担当者から門衛まで組織ぐるみで備蓄食糧を横流ししていたという。中国政府は今月、四川大地震による被災地の食糧事情の逼迫(ひっぱく)を解消するため、国家食糧備蓄を取り崩す方針を決めていただけに、本格的な調査に乗り出す方針だ。

 倉庫がカラだったことが判明したのはコメどころである黒竜江省富錦市の第90食糧庫。備蓄量は明らかにされていないが、過去には115万〜120万トンが備蓄されていたという。逮捕された劉忠庫・食糧庫主任ら2人のほか、約70人がかかわったとされる。

 報道によると劉主任らは備蓄量を中央に虚偽報告し、保管費などの経費を詐取したほか、食糧を市場に横流しして私腹を肥やしていた。横領額は5億〜9億元(1元=約16円)とされている。

 同様の事件は今年春、安徽省などでも相次いで発覚しており、食糧備蓄の横流しは日常的に行われているとの指摘も出ている。

【前田徹の上海的故事】(11)中国経済の大転換

2008/06/20 FujiSankei Business i.

 ■労働契約法の施行が打撃

 上海日本料理協会会長の松岡満さん(69)はちょうど4年前に割烹(かっぽう)料理店を上海の中心街に開いた。包丁一本でニューヨーク、ベトナムと渡り歩き、海外でのレストラン経営に情熱を注いできた松岡さんは上海をみて「ついにチャンスがきた」と思ったそうだ。

 海外の地元客相手では高級日本料理店の経営は成り立たない。高級刺し身などに金を惜しまないのは結局は日本企業駐在員たちだが、当時の上海はその潜在顧客が年を追うごとに急増していたからだ。実際、いまの上海は家族帯同の長期滞在者が四万数千人、3カ月以上の出張ビジネスマンを加えると常時6万人から7万人、周辺地域も含めると10万人超にもなる。

 だが、そんな松岡さんは最近、事情が変わったと実感している。

 顧客の主流である工場経営者の表情が一様に厳しくなっているからだ。顧客の1人、名古屋の通販会社社長の場合、自前の繊維工場で働く3000人の工員のうち500人を昨年暮れ、解雇した。理由は今年1月1日に「労働契約法」が施行されたためだ。

 中国では必要なくなった労働者は簡単に解雇でき、これが労働コストの安さを支えてきた。ところが今度の労働法は労働者を手厚く保護することを目的にしており、いったん雇うとまるで終身雇用のようになる。このため施行前に事前リストラに踏み切ったそうだが、今後、人件費の8%以上の上昇は確実と覚悟している。

 中国を拠点に加工して輸出する企業にとってもう一つ憂鬱(ゆううつ)なのは人民元高だ。中国はこれまで人民元を比較的安く抑えることによって輸出を伸ばしてきたのだが、アメリカなどの圧力もあり徐々に引き上げられてきた。

 だが、最近になって世界的インフレに対抗するため一気に引き上げるという観測が出始めた。そうなれば加工を専門にする多くの外資企業は撤退するほかないだろう。

 実際、世界の工場の終焉(しゅうえん)を思わせる現象は「靴の都」と呼ばれる広東省東莞ですでに起きていた。東莞工商局の資料によると、2006年に883社もの外資系製靴工場があったのにいまでは250社に激減している。いずれも人民元高や原材料費の高騰に加え労働契約法の施行が大きな打撃になったという。

 中国はさまざまな優遇策によって外資を積極的に導入し急速な経済成長を達成してきた。だが、外資を通じた資本と技術の蓄積は十分な段階に達したのかもしれない。優遇策のさらなる撤廃が用意されているからだ。

 松岡さんは中国人向け日本料理店への切り替えを考え始めている。(産経新聞上海支局長)

米製品購入や投資、9000億円の商談成立 中国産業代表団

2008/06/19 FujiSankei Business i.

 第4回米中戦略経済対話出席のため訪米中の陳徳銘商務相は、中国産業界の同行代表団が米国企業との間で、総額83億ドル(約9000億円)を超える商談を成立させたと発表した。

 ロイター通信によると訪米団による米国製品の購入や投資契約は、最終的に136億ドルに達する見通しだという。

 米中戦略経済対話ではこれまでも米国側が両国間の貿易不均衡問題を取り上げており、中国側には是正に努力する姿勢をアピールする狙いがある。

 米自動車大手ゼネラル・モーターズやフォード・モーターが乗用車や自動車部品の輸出契約を締結したほか、航空機や半導体などハイテク分野でも商談がまとまる見通し。(ワシントン 共同)

【アジア株あすを読む】(10)軟調の中国市場、誰が笑う

2008/06/19 FujiSankei Business i.

 ■羊とハゲタカの一騎打ち

 前回の本欄で「実体経済優先で中国株式市場は一時的に停滞するかもしれないが、投資魅力そのものがなくなるわけではないのである。インフレ地獄から最初に抜け出るのは、やはり中国のように思われる」と書いた。消費者物価指数(CPI)上昇に対する中国政府の電光石化の行動力と不退転の決意を評価した。

 しかし、今月7日の預金準備率引き上げ発表(2段階に分けて月内に1%引き上げで17・5%)は投資家にとってサプライズで、パニックを引き起こした。17日までの段階で、上海深センCSI300指数の安値は2820・64で、昨年10月17日の史上最高値5891・72から52%下落した。

 8カ月という短期間でこれほどの下げは、1990年12月に始まった中国A株の歴史でも例を見ない。過去に、2001年6月から05年7月まで上海総合指数が56%下がったことがあるが、4年の歳月を要したことを思えば、今回の下落はやはりただ事ではない。

 では、なぜこれほどまでに中国本土市場は軟調になったのか。下げの実体は何なのか。3月のチベット問題も、5月の四川大地震も下落の遠因にこそなれ、下げの本質ではない。ましてや、非流通株売り出しなどの際に主要株主に一定期間保有を義務づける「ロックアップ期間」明けによる下落などではない。一言でいえば個人投資家のパニック売りに尽きるのである。

 現在、中国本土市場の売買代金に占める個人投資家の割合は約85%で、投資信託のそれは10%。投信の買い主体もほとんどが個人だから、中国本土市場のプレーヤーは90%以上が個人投資家ということになる。

 「ムトニスム」というフランス語がある。「付和雷同し一方向に突き進むムトン(羊)の集団」という意味で、個人主義を尊ぶフランス人的観点からは、衆愚を揶揄(やゆ)する言葉だ。中国市場はいわば羊が暴走しているのが実体ではないか。

 昨年末、証券会社中心に市場関係者は、今年の北京五輪(8月8日開催)前までは中国本土市場は上昇基調と煽(あお)った。昨年までの上昇相場(05年6月から07年10月まで上海深センCSI300指数の上昇率は629%で7・3倍)に乗り遅れた新規個人投資家は羊のように昨年末から今年の初めに株式市場に群がった。

 半面、そのころには中国人寿保険、中国人民財産保険などの機関投資家は昨年10〜12月期の投資収益の悪化を嫌気して、ほとんどの保有株を売却。いよいよ中国市場は羊ばかりになっていたという実情がある。「羊の進軍」は難儀な問題だ。

 市場では「当然」だといわんばかりに政府の株価支援策を期待しているが、金融担当の王岐山副首相は17日からの「第4回米中戦略経済対話」出席のため訪米中でタイミングが悪い。

 しかしこの急落、虎視眈々(こしたんたん)と狙っている一群がいるようだ。QFII(適格海外機関投資家)申請に外資が長蛇の列と聞く。制度面で中国での認可枠、海外投資数がすぐに急増するとは思わないが、急落後のいまこそ「買い」と考え、利益をタカのようにかっさらう欧米機関投資が触手を動かし始めているのである。

 中国市場は「羊とハゲタカの一騎打ち」だ。果たして最後に笑うのは誰か。(アイザワ証券投資リサーチセンター)

中国出張、ホテルにパソコン放置ご用心 米商務長官機密データまるごと抜かれる?

2008/06/17 FujiSankei Business i.

 【ワシントン=山本秀也】中国への出張で、パソコンをホテルに残して外出するのは危険かもしれない。米政府の電子機器監察チームは、昨年12月のグティエレス米商務長官の訪中で、米側随員が目を離したパソコンからデータがまるごとコピーされ、商務省のコンピューターシステムへの不正アクセスに利用された疑いが強まったとして、調査に乗り出した。

 中国政府は暗号化されたパソコンの持ち込みを規制し、商業用の暗号キーについて登録を義務付けるなど、外国人のパソコンにも監視を強めている。外国使節の公用機器を狙ったデータ抜き取りは大胆なスパイ行為であるだけに、ビジネスマンらのデータはより脆弱(ぜいじやく)な状態にあることが裏付けられたかたちだ。

 AP通信によると、グティエレス長官は、「調べが進んでいることなので、コメントは控える」と語り、監察チームの調査を事実上確認した。同長官は昨年12月に「第3回米中戦略経済対話」出席のため、北京を訪問。これまでの調べで、持ち込まれた政府業務用のパソコン1台が、「少なくとも3度」にわたり、データを抜き取られた可能性が強まっている。

 監察チームでは、訪中終了から8回程度、商務省に係官を派遣して機器を調べるなどしてきた。米連邦政府で使われるパソコンは、通常、パスワード設定などの保安措置が取られているが、こうしたセキュリティーの壁を破られると、内部に蓄積されたデータのほか、本省のホストコンピューターへの接続情報が盗まれる危険がある。米政府機関ではこれまで、国防総省の電子メール・システムが中国から大量不正アクセスを受けたほか、国務省、商務省などのシステムでも不正アクセスが検知されていた。中国では軍・情報機関のサイバー部門のほか、民間のハッカーが不正アクセスやデータ抜き取りを図っていると、広く伝えられている。

 AP通信は、情報当局者のアドバイスとして、中国を訪れる際には、パソコンのほか、携帯電話や通信機能をもつ電子端末の保管に細心の注意が必要だと指摘した。

【ヤマトナデシコ大陸奮闘日記】(71)中国には「浄水器」がない?!

2008/05/24 FujiSankei Business i.

 国が違えば人も違う。お国柄も違えば、民族気質も違う。生活習慣も、文化も何もかもが違う。そんな当たり前のことを、いまさら書くのは、そろそろ中国在住5年目に入ろうかという私でさえ「あ、そうなのか!」と“再発見”する中国がたくさんあるからだ。

 先日、実家の母から電話があった。「あんた、水は何を飲んでるの? 水は生活の基本よ。どれだけ高くてもいいから、高品質の浄水器を買いなさい! わかったの?」とのお達し。

 確かに水が豊富できれいな日本から来た日本人からすれば、中国の水事情は悲惨の一言。先日も、貴州省で品質管理が不十分なミネラルウオーターが原因の集団A型肝炎が流行した。五輪開催を控える首都の北京市でも、市場に出回るミネラルウオーターの半分が実はニセモノだった、という衝撃的な報道もあった。

 そして何より、私自身がこのまえ、不覚にもコンビニで買った「ミネラルウオーター」を飲んだ後、激しい下痢と嘔吐吐(おうと)に襲われて散々な目にあった。お医者には「ミネラルウオーターには気をつけろ」と言われたが、もはや何を飲んだらいいのか、途方に暮れた。

 そこで、母に言われて私は「中国で手に入るちゃんとした浄水器」を買いに出かけた。外資系スーパーなどにいけばすぐにみつかるだろうと思っていたのが間違い。上海や北京の友人にも聞いたが、どこにいっても浄水器は売ってない。

 中国在住者や中国出張経験者はご存じだろうが、中国の一般家庭やオフィスでは、飲料水は毎度購入することが多く、約20リットル入った大型のミネラルウオーターのボトルを業者に注文して購入、使い終わりそうになったら次のボトルを持ってきてもらうのが普通。それをサーバーに設置、サーバーの蛇口をひねって飲んだり料理に使ったりする。

 ただコストも高く、いちいち業者に電話をかけてボトルを持ってきてもらう手間も面倒。やっぱり蛇口をひねって浄水器でキレイにする方が楽だ。母の心配もわかるので、私なりにいろいろと業者の人に問い合わせてみたのだが、実際、水道に設置するタイプの浄水器は中国市場ではほとんどないという。日本人駐在員の奥さまなどが一部、日本から持ち込んだりしているそうだが、どこまで飲用やお料理用に安全に使っているのかは定かではない。

 中国では農民は別としても、都市部住民はほぼ全員が「水道水は飲まない」のが共通認識だ。となれば当然、日本人が一般的に想像する「水道に設置する型の浄水器」は使われないとハタと気づいた。なにしろ水道水は恐ろしいことに、細菌だの、寄生虫だの、有毒化学物質だのが完全除去されずに残っている可能性がとっても高い。それが「中国クオリティ」の常識。

 そんな水道水を、たとえ最新型の超高性能ナノフィルターを通したって、中国人自身が「ぜったい飲む気などしない」のも当然。

 そもそも中国において「水道水を飲用として使う」ことは無謀だった。安全にお金を払う中国人富裕層が増えつつあるけれども、日本の基準を持ち込んでもそうそう上手くはいかない、ってことだね。

 とはいえ、どなたか中国仕様の本当にいい浄水器を知りませんか?(農業経営コンサルタント 五十嵐らん)

                   ◇

【プロフィル】五十嵐らん

 いがらし・らん 明大農学部卒。専門は細胞研究。東大大学院で農学博士号を取得後、2003年に中国雲南省の日米中合弁に赴任、いきなり経営者に。05年暮れに独立、現在は農業経営コンサルタントとして日中を飛び回る。東京都出身。著書に「『人』を食う中国人 割を食う日本人」(ワニブックス刊)など。

中国の知財保護「不十分」 WTOが貿易審査報告

2008/05/11 中国新聞ニュ−ス

 【ジュネーブ10日共同=新井琢也】世界貿易機関(WTO)がまとめた、中国に対する最新の貿易審査報告書の全文が十日、明らかになった。内需よりも輸出と投資に経済の成長が偏り巨額の貿易黒字を生み出している点など、国際的に問題視される中国の課題を包括的に指摘。特に知的財産権の保護は不十分で「問題を残している」と批判、違反者への罰則を強化する必要があるとの考えを示した。

 中国との貿易をめぐっては、模倣品や海賊版問題などで一層の対策を求めた日本の「不公正貿易報告書」が八日発表されたばかり。審査報告書は中国への懸念をWTOも共有していることを示しており、中国に早急な対策を求める国際社会の声が強まりそうだ。

 審査報告書は中国のWTO加盟以来二度目。今月二十一、二十三の両日、ジュネーブで開かれる対中貿易政策審査会合での基礎資料となる。

 報告書は中国が国際的な通商ルールへの適応に向け対策を強化していることは評価しながら、中国の知的財産権保護について、侵害行為を防ぐための罰金や刑事罰が不十分だとした。

 また、都市と農村部の大きな所得格差などの「さまざまな不均衡」が中国経済の特徴だと指摘。インフレ抑制のため「より柔軟な為替政策」や適正な金融政策の実施を求め、人民元相場の一段の弾力化を促した。

 さらに、持続的な成長を続けるには「多くの社会的、経済的課題を克服する必要がある」と言明。地域間の所得格差を緩和するため、農業部門から製造業部門への労働力の移動を進めることや、医療、年金などの社会サービス充実に向けた政府支出の拡大が必要だと提言した。

中国、手足口病で28人死亡 五輪観光への影響懸念も

2008年05月07日 中国新聞ニュ−ス

 【北京7日共同】中国国営通信の新華社は7日、国内各地で流行が拡大している手足口病で今年に入り28人が死亡したと報じた。感染者は約1万6000人。中国衛生省と世界保健機関(WHO)は同日、北京で緊急記者会見し、同省報道官は「北京五輪に影響を与えない自信を持っている」と述べたが、今後五輪観光への影響の懸念も出そうだ。

 報道官は、28人のうち22人が死亡した安徽省阜陽市以外では大流行は発生していないとした上で「中国は感染拡大を防止する能力がある」と指摘。同病の感染者が出た場合の報告を義務付け、感染予防や感染者の治療に全力を挙げるとした。

 阜陽市のケースについては「患者が病院に来るのが遅く、治療が手遅れになった」と述べ、早期治療を始めたこの数日は死者が出ていないと強調した。

 報道官によると、同病を引き起こすエンテロウイルスに大きな変異は発見されていない。WHOの北京代表も、今年に入って既にシンガポールやマレーシアなどアジアの5カ国で手足口病が流行していると指摘。

手足口病1万2千人に 中国、死者26人

2008年05月06日 中国新聞ニュ−ス

 【北京6日共同】5日の新華社電は、中国安徽省などで猛威を振るう手足口病の感染者が同日までに、全国で1万1905人に達したと伝えた。死者は26人となり、感染は拡大の勢いを見せている。

  新華社によると、死者の多くは安徽省阜陽市に集中し、22人が死亡した。ただし、感染は全国に広がり、北京では5日までに1482人が、隣接する河北省でも206人が感染。江蘇、湖南、湖北の各省などにも拡大している。

  ロイター通信によると、世界保健機関(WHO)の北京代表は感染がピークを迎えたかどうかは不明としつつも「五輪への影響はないと思う」としている。

  手足口病は3月上旬から安徽省で広がりが確認された。5歳以下の子供の感染が多く、肺水腫を併発するなどして死亡することがある。北京では感染者のうち818人が幼稚園内で感染した。

手足口病感染4529人に 中国安徽省、他省でも発生

2008年05月04日 中国新聞ニュ−ス

 【北京3日共同】新華社電によると、中国安徽省当局者は3日、今年に入ってから同省全体で手足口病に感染した子供らが4529人に上り、感染者が最も多い阜陽市で22人が死亡したと発表した。

 また広東省でも、仏山市で2日、1歳6カ月の男児が死亡するなど2人が死亡。他にも、これまでに陝西省で118人、湖北省で340人が感染した。

 手足口病の感染拡大を受け中国衛生省は3日、対策チームを設置。感染地域の衛生状況を改善して予防措置を徹底するとともに、治療の強化を図ることを決めた。

 衛生省によると、同病は通常6−7月が感染のピークとなるため、今後も感染者が増加する恐れがあるという。

中国で再び抗議デモ カルフールに対し不買運動

2008/05/02 FujiSankei Business i.

 【北京=野口東秀】中国国営新華社通信によると、北京市、重慶市、湖南省長沙市、福建省福州市、遼寧省瀋陽市の少なくとも5都市で1日、仏系スーパー「カルフール」に対し、「北京五輪支持」「チベット独立反対」などとシュプレヒコールをあげた中国の若者ら数百人の抗議行動が発生した。

 パリでの聖火リレートラブルを発端としたカルフールに対する大規模な抗議デモは、4月19、20日を軸に中国各地で相次いだ。中仏両国政府は、関係悪化を懸念し双方で「特使」を派遣するなど沈静化策をとってきた。中国商務省も抗議行動や不買運動の拡大と過激化を懸念し、自粛を求めていたが、愛国感情の高まりをコントロールする難しさがあらためて示された。

 中国は1日からメーデーの連休に入っており、携帯電話メールなどで連休中のカルフールに対する不買運動などが呼びかけられていた。今月中旬にも同様の呼びかけがある。一部では米系チェーン店への抗議も呼びかけられていた。

 1日付の共産党機関紙・人民日報は、メーデーに関する社説で「愛国の熱情を祖国建設に振り向けることは、13億人の国民共通の気持ちだ」と指摘、愛国感情を国家貢献に生かすよう理性的な行動を求めている。

 中国ではチベット自治区ラサで3月に大規模な暴動が発生、周辺地域では今も緊張状態が続いており、北京五輪聖火リレーの4日の中国本土入りや、胡錦濤国家主席の6日からの訪日を控え、当局は国内の治安情勢に警戒を強めている。

“潮目”が変化 中国経済スローダウン

2008/04/30 FujiSankei Business i.

 中国経済が減速し始めた。今年第1四半期(1〜3月)の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比10・6%と、昨年の年間成長率(11・9%)を1・3ポイント下回った。貿易黒字の減少が主因だが、この傾向は今後さらに強まるとの見方が多い。株価が半年で半値に暴落して政府がてこ入れに乗り出す一方、物価上昇には歯止めがかからない。5年連続の2ケタ成長で爆走してきた中国経済の“潮目”が変わりつつある。

 中国国家統計局によると、1〜3月期の固定資産投資(企業の設備・不動産投資や公共事業)は約2兆1845億元(1元は約15円)と前年同期比25%も増え、引き続き“膨張”を続けている。消費も消費財小売り総額が2兆5555億元と同21%も増えた。しかし貿易黒字が414億米ドルと前年同期を49億ドル下回り、成長率を押し下げた。

 ■サブプラ影響?

 中国当局の説明では「国内経済は堅調だが、米サブプライム(高金利型)住宅ローン問題の深刻化で輸出の伸びが鈍り、成長が減速した」ということになる。

 果たしてそうかには、大いに疑問がある。実は国内経済にもあまたの問題が表面化しているからだ。第一にインフレの高進である。

 消費財小売り総額が2割も伸びたのは、物価急騰のためだ。1〜3月の消費者物価上昇率(CPI)は前年同期比8%上がった。特に必需品である食品価格は21%も上がった。

 ■工業製品に波及

 世界的な穀物価格の高騰や中国の食肉需要の急拡大で、食物インフレに歯止めがかからない。政府にとってさらに頭が痛いのは、食品など一部消費財から始まった価格上昇が工業製品全般に波及し始めた点だ。

 昨年前半は2〜3%台で落ち着いていた工業品の工場出荷価格(PPI、卸売物価に相当)までが6・9%(3月単月では8%)も上昇した。これも世界的なエネルギー、鉱物資源価格急騰の影響が大きいが、中国はその多くを輸入に依存している。

 しかも長い間、これらを低価格で統制してきたため省エネが遅れ、消費効率が極めて悪い。原材料価格高騰のコストを消費者に転嫁するか企業がかぶるかは、需給関係で決まる。

 消費者が負担すれば消費に響くし、企業が負担すれば収益悪化につながる。どちらが負担するにせよ大きな景気後退要因だ。

 ■不動産値崩れも

 固定資産投資の膨張が続いていることも要注意だ。不動産バブルは昨秋、曲がり角を迎え、年初から北京、上海、広州などで値崩れが始まっている。土地競売で買い手がつかないケースが各地で続出している。

 企業の投資も省エネ効率化や研究開発に向かっていれば結構だが、従来型の単なる増産投資なら危険だ。世界景気が後退色を強めつつあるだけに、直ちに生産過剰につながるからだ。公共事業についても日本の“二の舞”になりかねない。

 中国の株式バブルは崩壊したといえよう。上海総合指数は昨年10月に6124(瞬間値)の最高値を付けたが、今月22日には一時3000を割り込んだ。株式投資に失敗し自殺する素人投資家が増えている。

 社会不安を懸念した政府は24日、株式売買時の印紙税率を0・3%から0・1%に下げるなどの株価てこ入れ策を講じた。相場は3500台まで戻したが、翌日には反落している。

 企業収益は今年に入り急速に落ち込み始めているだけに、政府の買い支えがなければ、再び3000台割れの可能性が大きい。

 ■アングラマネー

 中国経済を取り巻く環境がきな臭くなるなかで、海外からのアングラマネーの流入が激増している。広東省社会科学院の推計によると、1〜3月期に850億ドルもの巨額資金が流入したという。多くは中国系マネーで、ケイマンなどのカリブ海諸島や香港経由で流入、人民元の切り上げ差益獲得や、中国株暴落後の底値買いなどを狙っているようだ。

 政府がインフレ抑制のために利上げや元切り上げを進めればこうした投機マネーの急増に拍車をかけ、過剰流動性がさらなるインフレを招きかねない。中国政府を苦しめているのは、愛国心の豊かなはずの中国人でもある。(産経新聞編集委員兼論説委員 山本勲)

ボイコットに不満表明 EU委員長、中国首脳と会談

2008/04/26 FujiSankei Business i.

 欧州連合(EU)欧州委員会のバローゾ委員長は25日、北京の人民大会堂で温家宝首相と会談した。

 会談後の記者会見で同委員長は中国国内でフランス系スーパー、カルフールへのボイコット運動が起きていることについて「中国と欧州の関係に利益とならない」と不満を表明した。

 記者会見で委員長は「カルフールの従業員のほとんどは中国人で、製品の95%は中国製だ」と指摘。「カルフールは中国の会社と言ってもよく、ボイコットはまったく道理に合わない」と述べた。委員長は胡錦濤国家主席とも会談した。

 また、委員長によると、温首相との会談では急拡大するEU側の対中貿易赤字について「よりバランスの取れた貿易収支」を目指すことで双方が合意した。

 双方は気候変動問題や対アフリカ支援でも協力を緊密化することで一致した。EU側は中国に対し「人権問題は国境を超えた問題であり、内政干渉に当たらない」として改善を求めた。(北京 共同)

印紙税引き下げ、上海株が急反発 株価維持、景気抑制 “矛盾”苦渋の中国政府

2008/04/25 FujiSankei Business i.

 昨年10月から下落を続けていた中国の上海株式市場が急反発している。22日に一時、約1年ぶりに3000割れした上海総合指数だが、底を打ったように上昇に転じた。中国財政省が24日、証券取引で売買代金に対する印紙税率をこれまでの0・3%から0・1%に引き下げるなど、当局が株価浮揚策を取り始めたことが好感されている。株価下落で個人投資家の不満が危険水域に近づいたと判断した。一方で金融当局は、インフレ抑制と景気過熱への引き締め策も急務であり、株価対策は政策バランスを崩しかねない問題もはらんでいる。(坂本一之)

 新華社電によると、財政省は24日に、印紙税率を3文の1の0・1%に引き下げた。売買回数の多い個人投資家を念頭に、市場活性化を狙った措置。市場では当局の株価対策とみて買いが殺到。代表的指標である上海総合指数は24日、前日比で9・29%上昇、3583・03で取引を終えた。

 上海総合指数は07年10月16に終値で6092・06と史上最高値をつけた。その後、政府の金融引き締め策などを背景に調整局面に入り、およそ半年で50%以上も下げる“暴落”となっていた。市場参加者の過半数は証券開設口座数で1億を超える個人投資家で、市場関係者は「下落が続けば破産の増大などで社会不安を引き起こす恐れがある」として、投資家らの不満の矛先が当局に向けられる恐れがあると警戒していた。

 そもそも金融当局は、経済成長や国有企業の株式上場などを材料に、一般投資家のタンス預金の流入が拡大し加速する株価上昇を抑えるため、昨年5月末に印紙税率を0・1%から0・3%に引き上げて株価沈静化の動きを強めていた。

 共産党機関紙の人民日報は07年5月の「印紙税引き上げ調整により投機的行為が大いに抑制された」と同政策の効果を評価し、税率操作は「政府の市場調整の重要なツールでもある」とまで指摘。株価操作も政府の役割と公言していた。

 同時に、過熱する景気の抑制に本腰を入れた中国政府は金融引き締め策を断続的に実施。株価の押し下げ効果がある引き締め政策などによって株価はじりじりと下がり、ピーク時の半分にまで落ち込んでいた。

 華僑向け通信社の中国新聞社電によると、中国の07年財政収入は前年比32%増の5兆1304億元(約76兆9560億円)で、税率を引き上げた印紙税が大幅増収の一因となり、3月の政治協商会議で税率引き下げが議論されたという。

 ただ、08年1〜3月期のGDP(国内総生産)成長率は前年同期比10・6%と2ケタを維持しており、専門家は「金融引き締め策の継続は不可欠」と指摘している。景気過熱の抑制と株価維持という“矛盾”を抱えた中国政府の苦渋が見え隠れしているといえる。

仏元首相、中国首相と会談 聖火問題で関係修復図る

2008年04月24日 中国新聞ニュ−ス

 【北京24日共同】フランスのラファラン元首相が24日、北京五輪聖火リレーの混乱を受けて悪化した中国との関係修復を図るため、北京市で中国の温家宝首相と会談した。

 中国外務省の姜瑜副報道局長は同日の定例記者会見で「元首相の訪中を非常に重視している。両国が戦略的、長期的な視点から、不断に(関係を)発展させることを希望する」と述べ、関係修復に期待感を示した。

 一方でフランス系スーパー、カルフールへの抗議行動などについて「中国人が何をしたかではなく、中国人を挑発した人がいる事実に目を向けるべきだ」と強調。「中国人民が表明したのは正義の声で、国際社会が真剣にその声を聞くことを望む」と指摘、あらためて反仏行動を容認する姿勢を示した。

 フランス公共ラジオなどによると、ラファラン元首相は、フランスのサルコジ大統領からの親書を温首相に渡す予定。

中国各地で反仏抗議行動 反日デモ以来の規模

2008/04/20 中国新聞ニュ−ス

 【武漢(中国湖北省)19日共同=番場恭治】パリでの北京五輪聖火リレー妨害などへの反発が強まっている中国各地で十九日、フランスに抗議するデモなどが起きた。中国での特定の外国を対象にした大規模デモは二〇〇五年四月の反日デモ以来で極めて異例。

 五輪を前に社会不安につながることを懸念する中国共産党は同日付の機関紙、人民日報に「大国としての態度を養い、世界に中国人の団結、理性、知恵を見せよう」との文章を掲載、冷静な対応を呼び掛けた。

 目撃者によると、湖北省武漢では、大学生ら約二千人が「五輪を応援し、祖国を愛す」などと書いた赤い横断幕や中国国旗を掲げながらフランス系スーパー、カルフールまでデモ行進。「フランス(製品)をボイコットしよう」などのスローガンを叫び、不買を呼び掛けた。夜になっても若者ら三百人以上が「北京五輪を支持する」などと叫び、気勢を上げた。

 北京のフランス大使館前では十九日「チベットは中国のもの」などと車体に書いた約十五台の車が警笛を鳴らしながら何回も通過、約十人がプラカードを掲げて抗議活動を行った。新華社電などによると、雲南省昆明、山東省青島、安徽省合肥、海南省海口のカルフールでも抗議行動が起きた。

 中国では、聖火リレー妨害に反発したネットユーザーが、中国で百店舗以上を展開するカルフールでの不買を呼び掛ける運動を開始した。

 ブッシュ大統領らの五輪開会式出席を禁止する新法案が米下院で提出されたことなどを受け、ネット上で六月一日にケンタッキー・フライド・チキンで飲食しないよう呼び掛ける運動も起きている。

 一方、欧州在住の中国人数千人は十九日、チベット情勢をめぐって中国政府を非難する報道機関や、五輪の開会式不参加を検討する欧州各国政府に反発する中国側の立場を主張する抗議活動をパリとロンドンで一斉に行った。

在欧中国人が一斉抗議 数千人が「偏向」と非難

2008/04/20 中国新聞ニュ−ス

 【パリ、ロンドン19日共同】チベット情勢をめぐって中国政府を非難する報道機関や、北京五輪の開会式不参加を検討する欧州各国政府に対して反発する欧州在住の中国人数千人が十九日、中国側の立場を主張するための抗議活動をパリとロンドンで一斉に行った。欧州の「偏向報道」に抗議し、北京五輪の成功を訴えるのが目的。

 パリでは十代後半から二十代の若者が、レピュブリック広場に集結。正午時点で約三千―四千人だった参加者は時間とともに増え続け、赤い中国国旗が広場から道路にあふれた。「一つの中国、一つの家族」「メディアはゆがんだ報道をやめよ」などのプラカードを掲げた若者らは「北京、万歳」などのシュプレヒコールや中国国歌の斉唱で声をからした。

 ロンドンの英国会議事堂前にも午前十一時までに「BBC(放送)はうそつきだ」などのプラカードを持参した学生ら千人近くが集まった。

 六日にロンドンで、七日にパリでそれぞれ実施された聖火リレーは中国政府の責任を追及する抗議行動によって大混乱した。非難の矢面に立たされた在留中国人らが反論の機会を求めた形だ。インターネットを通じて学生らが参加を呼び掛けたほか、口コミで広まったもようだ。

 パリの集会に参加した上海出身の学生、黄悦こう・えつさん(20)は「欧米メディアはチベット人の声だけ伝えて、中国人の声を伝えていない。中国人が平和を求めていることを訴えたい」と強調した。

 中国紙はベルリンでも抗議行動が実施されると伝えたが、十九日午後の段階では未確認。

高まる中国ナショナリズム 仏カルフール、不買に困惑「五輪を支持」

2008/04/18 FujiSankei Business i.

 北京五輪聖火リレーがパリで激しい妨害を受けたことへの報復として、中国本土で112店舗を展開している小売り大手、仏カルフールに対する不買運動が波紋を広げている。カルフールがチベット独立を主張する団体を支援したなどとして、中国でインターネットの掲示板や携帯電話のメッセージを使ったカルフールへの不買運動が猛威を振るっているが、カルフールは17日までに、「事実でないうわさが流れている。北京五輪を積極支援し成功を願っている」とする声明を発表、事態収拾へ理解を求める異例の事態になった。

 カルフール中国地区の最高経営責任者(CEO)名で発表された声明は、「カルフールグループは中国国民の感情を傷つけたことはない。『個別の非合法組織を支援している』とのうわさは完全にデマで根拠がない」と強調した。その一方で「悪質なデマを流した組織や個人を訴える権利を留保する」とも警告した。

 中国共産党機関紙、人民日報によると、中国外務省の報道官は「これら(不買運動)はみな原因あってのものであり、仏側はよく熟考し再考すべきだ」などと表明。聖火リレーの妨害事件など仏側に責任があるとして、カルフールなど仏側の主張を切り捨てている。

 ただ、中国側も運動の過激化は懸念しており、著名キャスターが反対を唱えるなど沈静化に向けた動きも出始めている。13億人の中国消費市場を狙う外資にとって、ナショナリズム問題が新たなカントリーリスクとして浮上した格好だ。(坂本一之)

高まる中国ナショナリズム 世論誘導し対外非難強める

2008/04/18 FujiSankei Business i.

 中国政府がチベット自治区での暴動や北京五輪聖火リレーの妨害を受けて、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(インド亡命中)や西側メディアの“歪曲(わいきょく)報道”への非難を強める中、国内のナショナリズムが高まってきた。対外非難には少数民族政策への国民の疑念をそらす思惑があるが、社会の不安定化や国際社会からの孤立化を招きかねない。

 □文革の亡霊

 「外国の祖国分裂勢力を撃破しろ。政府は強硬手段を取れ」

 「米英帝国主義の害毒に目覚め、団結を」

 インターネット上の書き込みには、西側を敵視した文化大革命時代のような文言があふれる。

 暴動発生後、中国のチベット報道は国営通信、新華社の“大本営”報道に一本化され、「ダライ集団」が暴動を画策したと繰り返す。当局は米CNNテレビや英BBC放送などのチベット関連ニュースの映像を遮断し、偏向報道と非難する。

 「外国の報道に誤りがあるのは事実だが、報道が規制されている国内メディアが真実を伝えていると言えるのか」。広東省の南都週刊の編集者がネット上にこんな評論を発表すると「南都は反中メディアになったのか」といった非難が押し寄せた。

 編集者の「西側の中国への偏見の裏には優越感があるが、漢民族にも(チベット民族など)少数民族に対する優越感があるのでは」との問い掛けにも「抗日戦争以来、中華民族は一つだ」といった反発が相次ぐ。

 □責任転嫁

 中国メディアには、これまでの少数民族政策を反省する言論は一切載らず、世論も影響を受ける。中国の著名な民主活動家、劉暁波氏は「宗教の意義を理解しない唯物主義の共産党によるチベット政策の失敗を露呈した」と政府を批判する論文をBBC中国語サイトに発表したが、国内の中国人はアクセスできない。

 中国外務省の姜瑜副報道局長は会見でチベット騒乱に関し「民族や宗教、人権をめぐる問題ではなく、反分裂、反暴力の問題だ」と強調した。しかしチベット情勢に詳しい作家の王力雄氏は「政府はチベット政策の失敗を認めたくないからダライ・ラマや外国メディアに責任転嫁している」と指摘する。

 ロンドンやパリなどでの聖火リレーを妨害した人々の多くは、中国の人権問題を重視する地元市民らの非政府組織(NGO)であることを中国メディアは伝えず、すべて「チベット独立勢力」の仕業とする。これも人権批判に矛先が向くのを避けるためのようだ。

 □民族差別

 こうした世論誘導が「中国で対外的にはナショナリズムを、国内的にはチベット民族に対する民族差別を強める」(王氏)結果を招いている。

 中国では2005年、小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝などをきっかけにナショナリズムがエスカレートし、大規模な反日デモが発生。中国当局は社会の不安定化を懸念し、日中関係を改善しつつナショナリズムを沈静化させた。

 8月の北京五輪は、中国が開放性や友好姿勢を世界に示す絶好の機会。だが再び狭量なナショナリズムが暴走すれば失敗する恐れがある。王氏は「世界が、この国はまだ国際社会に入れないと感じてしまう危険がある」と強い懸念を示した。(北京 共同)

預金準備率、中国が再び引き上げ

2008/04/18 FujiSankei Business i.

 中国人民銀行(中央銀行)は景気過熱抑制のため金融機関の預金準備率を25日から0・5%引き上げ、16・0%にすることを決めた。準備率引き上げは2カ月連続で、今年3回目。国家統計局が発表した1〜3月期の国内総生産(GDP)統計で、内需が堅調に伸び、特に不動産開発投資の大幅増などが確認されたため、一段と引き締めを図るのが狙いとみられる。(北京 共同)

中国、化学肥料の輸出に100%関税

2008/04/18 FujiSankei Business i.

 中国財政省は17日、国際価格の上昇で化学肥料の輸出が急増し、国内の需給が逼迫(ひっぱく)しているとして、20日から9月末まで化学肥料と一部原料の輸出に対し100%の特別関税を課すと発表した。財政省によると、尿素の輸出が1〜2月は前年同期に比べ計2・5倍になるなど化学肥料の輸出が大幅に増加。半面、国内では春の耕作で化学肥料の需要期に入り、価格上昇圧力が一段と強まっているという。(北京 共同)

北京−上海高速鉄道に着工 総投資額3兆2000億円

2008年04月18日 中国新聞ニュ−ス

 【北京18日共同】中国政府は18日、北京−上海間の高速鉄道に本格着工した。5年後に完成、設計時速350キロで、両都市間を最短5時間(現在は同10時間)で結ぶ。総投資額2209億元(約3兆2000億円)の大規模プロジェクトとなり、高成長が続く中国経済の新たな大動脈として期待を集めている。

 高速鉄道は北京、上海を含め計21の駅でつなぎ、全長1318キロ。当初は時速300キロで営業、年間の旅客輸送能力は往復1億6000万人を見込む。18日の着工式典に出席した温家宝首相は「高水準、高品質、高効率」のプロジェクトとするよう関係者に求めた。

 運営は鉄道省と沿線の7省・直轄市、全国社会保障基金理事会などが出資した「京滬高速鉄道」が当たる。

中国 1−3月、10・6%成長 経済膨張やまず 外貨準備、年内2兆ドル突破へ

2008/04/17 FujiSankei Business i.

 中国経済の膨張が続いている。中国国家統計局は16日、今年1〜3月の国内総生産(GDP)成長率を前年同期比10・6%と発表した。昨年の確定値11・9%からは減速したものの、今年の政府年間目標「8%前後」に抑制できるかどうか予断を許さぬハイペースとなっている。また、中国人民銀行(中央銀行)によると、3月末の外貨準備高は1兆6822億ドル(約171兆5800億円)と1年間で39・9%増加。日本の1兆156億ドルを大きく引き離した。現在の増加ペースが続けば、年内に2兆ドルを突破するのは確実だ。(河崎真澄)

 ■不動産高い伸び

 1〜3月のGDP成長率が11%台に達しなかったのは、冬季の大規模な雪害や米経済の不振で輸出が伸び悩んだためという。先に国家統計局は、昨年の中国のGDP成長率が11・9%だったと発表、1月公表の速報値から0・5ポイント上方修正している。サービス業など第3次産業の規模が底上げされた。同時に06年の成長率も0・5ポイント上方修正して11・6%に確定された。

 1〜3月の固定資産投資は前年同期比24・6%増だった。8月の北京五輪や2010年の上海万博を控えて、不動産開発を中心に高い伸びが続いている。個人消費の指標となる小売り総額は20・6%増だった。

 また、外貨準備高で中国は昨年末の1兆5300億ドルから今年1〜3月に1522億ドル増加。香港の昨年末の1527億ドルに並ぶ外貨を3カ月で積んだ。

 ■人民元で再燃も

 外貨準備高の膨張は主に貿易黒字によるところが大きいが、中国税関総署によると昨年は前年比20%増の2622億ドルを稼いだ。3月の貿易黒字は前年同月比98・6%増の134億700万ドルだった。1〜3月の黒字は414億1800万ドルで前年同期比10・6%減にとどまった。雪害などの影響と同時に、人民元相場の上昇も背景にある。

 中国人民銀行は先週、上海の外国為替市場での人民元取引の基準値を、05年7月の切り上げ後、初の6元台に突入させ、元高誘導による貿易摩擦の緩和を狙った。3年弱で累計約16%の元高となる。だが、上昇幅を不十分とする米国の不満は消えておらず、6月にワシントンで行われる「第4回米中戦略経済対話(SED)」では、人民元の問題が再燃する恐れもある。

 ■インフレを懸念

 中国の経済膨張の歪(ひず)みはインフレ面で顕著だ。中国人民銀行によると3月末の通貨供給量(M2)は、前年同期比16・3%増。中国政府の今年の年間目標である16%を上回った。カネ余り現象がインフレを生んでおり、2月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比で8・9%と12年ぶりの高い水準。1〜3月は8・0%の上昇だった。

 しかし、先月の全国人民代表大会(全人代=国会)で温家宝首相は政府活動報告で、今年のGDP成長率の目標を昨年と同じ「8%前後」に、CPIは「4・8%以内」としており、いずれも実態と差が大きい。

上海株 半年で50%近く下落 金融引き締め、世界経済後退懸念

2008/04/16 FujiSankei Business i.
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 中国で上海株式市場の調整局面が続いている。代表的な指標である上海総合指数が昨年10月16日、終値で史上最高値の6092・05を記録して今月16日で半年を迎えるが、この間、半値近くに下げた。米サブプライム(高金利型)住宅ローン問題をきっかけとした世界経済の後退懸念と、中国当局によるインフレ抑制に向けた金融引き締め策がダブルパンチとなった。

 北京五輪閉幕まで株価上昇が続くと信じた中国の個人投資家が買い続け、半年で2倍近いペースで急騰したが失速状態となった。

 15日は中国人民銀行(中央銀行)が、前週10日に続いて人民元の為替取引の基準値で6元台とし、インフレ抑制策として元高誘導を継続する姿勢を鮮明にしたことなどから、上海株式市場で輸出銘柄などが売られた。一方、米航空業界の再編影響もにらみ、中国の航空関連や石油関連銘柄が買われ、この日の上海総合指数は前日比1・57%高い3348・35で引けた。ただ中期的に調整局面であることに変わりはなく、昨年10月16日の最高値に比べ、6カ月で45%以上も資産価値が減少した計算になる。

 高騰前の昨年4月上旬の水準まで、逆戻りした。

 上海株はこの半年間、サブプライム問題の影響拡大を受けて景気に慎重な見方が広がり、じりじりと下落し「調整局面」を迎えていた。一方、国内は2月の消費者物価指数が8・7%上昇。単月ベースで約12年ぶりの上げ幅を記録して、中国政府は社会不安を引き起こす懸念のあるインフレへの対策を優先せざるを得ない状況に追い込まれた。

 昨年10月までの上げ局面では、ほぼすべての銘柄が買われる展開だったが、市場関係者は「今後は中国でも国策に沿った上場企業の銘柄が選択的に買われるなど、市場の機能が成長していく」と話しており、実体経済に即した安定相場に移行するとの見方もある。(河崎真澄)

中国の名目GDP、今年にも日本を「逆転」へ

2008/04/07 中国新聞ニュ−ス

 高成長を続ける中国が早ければ今年、名目国内総生産(GDP)の米ドル換算額で日本を追い抜く可能性が出てきた。最も有力なのは二〇〇九年か一〇年で、遅くとも一二年には「逆転」する見通しだ。

 日本は一九七二年から米国に次ぐ世界第二の経済大国(旧共産圏を除く)で、アジアトップの座を維持してきたが、人口十三億人を抱える大国・中国に「指定席」を譲ることになり、アジア域内の力関係にも影響しそうだ。

 ただ、豊かさを示す一人当たり名目GDPでは、中国は〇六年時点で日本の十七分の一にとどまる。内陸部などの所得水準が依然低いためで、格差を縮小して国全体に経済発展の恩恵を行き渡らせることが課題だ。

 中国はここ数年でイタリア、フランス、英国といった欧州の先進国を抜き、〇七年は三位ドイツに小差の四位。今年、ドイツを抜くのは確実だ。

 日本の〇七年の名目GDP改定値をドル換算すると、約四兆三千八百億ドル。中国は二十四兆六千六百億元で、昨年末の為替相場で計算すると約三兆三千八百億ドル。

 新光証券の試算によると、〇八年に日本の名目成長率が1%で一ドル=一一五円と仮定すると、名目GDPは四兆五千二百九十億ドル。同様に中国は17%で一ドル=六・三元とすると、四兆五千八百億ドルと日本を上回る。

 中国は通貨・人民元の相場が上昇、インフレも進行しているため、名目GDPが膨らみやすい。ただ、最近の円高で日本もドル換算の名目GDPが増える可能性がある。

 新光証券の小原篤次おはら・あつじグローバルストラテジストは「日中の名目GDPが逆転する確率は〇八年が10%程度、〇九年と一〇年がそれぞれ40%程度」と予想している。

中国国内エコノミスト50名:2008年中国GDPは減少、CPI上昇を予測

2008/04/07 CHINA PRESS

 4月7日、中国経済専門誌―第一財経日報は、国内50名のエコノミストを対象に、「第2四半期マクロ経済展望及び専門調査」を行った。

 調査の結果、調査対象のエコノミストのうち40%が2008年中国通年GDP成長は10%増と予測し、44%が10%以下と予測していることが明らかになった。

 また、2008年通年の、消費者物価指数(CPI)に対し、10%の専門家はCPI5%以下を予測していることに対し、エコノミストの90%以上がCPI5%以上を予測したという。

 さらに、CPI6%以上と予測する専門家は54%に達しているとのこと。

 これをうけ、2008年の中国経済は、成長速度が落ち、インフレ予期の特徴が現れ、マクロ経済コントロールは困難を極める見解が多数であることがわかった。

一、GDPについて:

 同紙が2008年1月に行った調査では、60名を対象とした専門家のうち、その73%が2008年通年GDPを10%以上と予測した。

 また、GDP10%以下と予測した専門家は全体の27%に止まった。

 米国経済の低迷が明らかになるにつれ、中国のエコノミストたちは経済成長への自信を落としつつある。

 シティグループアジア太平洋部の首席エコノミスト、黄益平氏は、中国経済の短期的な問題はCPIの上昇であるが、今後第2四半期には米国経済の低迷による影響が際立つことになると見込んでいる。

 世界銀行が発表した最新の中国経済予測報告によると、2008年の中国GDPは2007年の11.4%から9.4%までに減少するという。

 なお、世界銀行が2007年9月発表の、2008年中国GDP予測は10.8%、今年2月の予測では9.6%だった。

 そのほか、国際通貨基金(IMF)はGDP成長10%、アジア開発銀行(ADB)は2008年は10%前後、2009年は9.8%まで下降すると予測している。

 今年3月、国連アジア太平洋経済社会委員会が北京で発表した「2008年アジア太平洋経済社会全般」によると、中国の輸出の下落や、政府の緊縮的経済政策の実施によって、2008年の中国のGDPは10.7%までに下降すると予測している。

二、CPIについて:

 2008年1月に、同紙が行った調査では、2008年の中国CPIを4%以上と予測したエコノミストは全体の90%を占めた。 

 一方、今回の調査では、90%のエコノミストがCPI5%以上と予測しており、インフレ圧力はますます拡大していることが明らかになった。

 国家統計局データによると、2008年1月のCPIは7.1%、2月8.7%とのこと。 

 国家統計局局長、謝伏瞻氏は、「中国経済は現在、成長スピードは『やや速い』から『過熱』へと転換し、価格上昇は一部構造的上昇から全面的上昇となる危険をはらんでいる。」と指摘している。

 アジア開発銀行(ADB)の最新報告では、2008年の中国CPIは5.5%と予測されている。

三、緊縮的貨幣政策の実施

 今回の調査で、70%のエコノミストが、インフレ抑制対策として、まず緊縮的な貨幣政策を実施すべきとの見解を示した。

 また、54%は人民元為替レートの上昇、46%は預金利率の引き上げを行うべき、と主張した模様。

 インフレ抑制を実施すると同時に、低所得者層への資金援助を実施すべきと主張する専門家は70%に達した。

四、GDP上昇とCPI抑制

 マクロ経済コントロール政策について、国務院発展研究センター副主任の劉世錦氏は、「現在、マクロ経済コントロールの問題は経済の安定的な成長と、インフレ抑制との均衡をとることにある。」とコメントした。

 中国経済は現在、食糧や、原油価格をはじめとする世界規模の価格上昇に直面している。

 また、国内価格の上昇には、人件費や、環境保護・資源コストなどの上昇も含まれているという。

 このような状況のなか、国内物価のコントロールは至難の業であり、貨幣政策の調整効果に限界があるとの見方も出ている。

 商務部政策研究室副主任である王子先氏は、「中国は、マクロ経済コントロール政策の実施レベルと実施タイミングを見極め、インフレ防止と安定的成長との関係に真剣に向き合い、さらに人民元為替レートを安定させることも必要不可欠だ。」と述べた。(China Press 編集:TY)

アジア成長率7%台に減速 中国、インドは高成長維持

2008年03月27日 中日新聞

 【ジュネーブ27日共同】国連のアジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)は27日、アジア太平洋地域の途上国の2008年実質国内総生産(GDP)成長率が3年ぶりに7%台に減速し、7・7%になると予測した年次報告を発表した。

 過去10年間で最高だった前年から0・5ポイントの減速だが、成長の鍵を握る中国、インドがそれぞれ10・7%、9・0%の高成長を維持し、地域全体を下支えすると見込んだ。予測の対象は計約40カ国・地域。

 これとは別に、域内先進国の日本は前年の1・8%から1・4%に減速すると予測。オーストラリア、ニュージーランドの成長率も大きく減速するとした。

 報告は途上国について、米サブプライム住宅ローン問題を「主要な下振れリスク」と位置付け、米景気の後退と急速なドル安が進行する「悲観シナリオ」も検討。この場合、対米輸出への依存度が高い台湾、韓国の成長率をそれぞれ6−7ポイント前後も引き下げ、マイナス成長に陥る危険性を指摘した。

中国、バブル崩壊の兆し 株価下落、不動産も異変

2008/03/27  中国新聞ニュ−ス

 活況に沸いた中国の株式や不動産市場で、バブル崩壊の兆しが出ている。上海株式市場の総合指数はここ五カ月間で約40%も下げ、一九九〇年代にあった日本のバブル崩壊時並みのペースで急落。不動産では香港に近い地域を中心に異変が起きている。

 サブプライム住宅ローン問題による欧米景気の先行き不安に加え、中国当局が金融引き締めを強化していることが理由。中国では「八月の北京五輪までは値上がりが確実」という見方が支配的だったが、最近は悲観論が急速に広がりつつある。

 ▽ビル建設急減

 「周囲を見てもらえば分かるが、新たに建設を始めたビルなどない」。中国南部の広東省深〓市で地元の不動産会社の女性社員はうんざりした表情で話した。二〇〇七年後半から不動産取引が激減。〇七年後半の不動産取引はピーク時の六分の一程度に落ち込んだ。

 香港に隣接する深〓は、電車を利用すれば香港中心部から約一時間。女性社員は「以前は金持ちの香港人が買いあさったけれど、ほとんどなくなった。政府の統計では値上がりが続いていることになっているが、調整局面に入ったのは確実だ」と指摘した。

 上海市にある証券会社の店内。個人投資家ら約百人が端末を使って株式を売買するが、さえない表情の人が多い。三十歳前後の女性は「一体、どれだけ損をしたのか分からない」と嘆いた。

 上海株は年間で三倍以上も上昇した時期があったが、〇七年十月に総合指数終値で六〇九二・〇六を記録した後はじりじりと下落。二十七日現在で株価はピーク時より約40%も下落した。

 ▽誤算の引き締め

 投資家の誤算は、中国当局が予想以上の利上げなどで金融引き締めを強化したこと。同国の二月の消費者物価は前年同月比8・7%増で、約十二年ぶりの上げ幅を記録するなどしており、当局にとってインフレ抑制は最重要課題だ。

 ただ、このまま株式や不動産価格が下落し続けると、中国企業にも巨額の損失が発生する恐れがある。

 深〓市に工場がある日本の情報機器メーカー幹部は「販売した製品の代金が回収できない問題が徐々に起きている」と明かす。中国企業が倒産した場合は中国の債権者を優先し、日系企業への支払いは後回しになる傾向があると指摘、バブル崩壊を前提とした対策を検討し始めたという。(深〓、共同=番場恭治)

 【お断り】〓は「土」へんに「川」を書きますが、JISコードにないため表示できません。

中国富裕層、自国産は口にせず!? 高級和牛肉の密輸相次ぐ

2008/03/08 FujiSankei Business i.

 ■組織介在?関空で数百キロ差し止め

 関西空港から中国に向かう航空便の旅客が牛肉を手荷物で密輸しようとするケースが相次ぎ、大阪税関が2月から3月上旬にかけて、関税法に基づき計数百キロの牛肉の持ち出しを差し止めていたことが7日、分かった。中国は、2001年に日本国内で牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛が見つかって以降、日本からの牛肉輸入を禁止しているが、中国では富裕層らの間で高級な日本産牛肉の人気が高まっており、組織的な密輸が絶えないとみられている。

 中国政府は、航空機乗客による日本からの牛肉の密輸を重くみており、昨年12月、防止策を講じるよう日本政府に要請した。

 日本の税関などは警戒を強めており、成田空港でも同様に牛肉の差し止めが相次いでいるという。

 大阪税関の関係者によると、差し止めを受けたのは日本人など男性約10人。スーツケースに20キロ程度の牛肉を入れて運ぶ手口が多いが、数人で1度に計200キロ以上を持ち出そうとするケースもあった。1日に5件の密輸を阻止したこともあった。

 差し止められた牛肉は、神戸牛など高級な日本産牛肉とみられ、旅客らの話では市価で100グラム数千円のものも含まれていたという。旅客は牛肉を放棄してから出国したり、出国せずに持ち帰ったりした。

 日本側と中国側に密輸を仲介する組織があるとみられ、密輸された牛肉は現地で高級レストランなどに卸されている可能性が高いという。

 中国政府が密輸防止策を要請した後、肉製品の輸出検査を担当する農林水産省動物検疫所の関西空港支所は、関空の館内放送や掲示板で「(輸入を)禁止している国には持ち出せない」などと、呼びかけている。

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【メモ】畜産物の輸出

 家畜や畜産物を日本から海外に輸出する場合、輸出者は農林水産省動物検疫所に事前申告して検査を受け、輸出が可能なことを証明する「輸出検疫証明書」を発行してもらわなければならない。証明書がない場合は関税法に基づき税関が輸出を止める。この証明書制度は、日本が輸出先の国で家畜の伝染性疾病を広げないための仕組みで、「家畜伝染病予防法」に規定されている。

原因不明の河川汚染で20万人以上が水道水を使えず…中国

2008/02/28 FujiSankei Business i.

 中国湖北省の地元紙、楚天都市報(電子版)は、同省を流れる漢江が汚染され、支流流域に住む20万人以上が水道水を使えなくなったと報じた。

同紙によると、流域のある町の浄水場関係者が27日までに、取水地点の水が赤く変色し、大量の泡が発生しているのを発見、水質基準を満たしていないと判断して供給を停止した。

住民は市販の飲料水や地下水に頼らざるを得なくなり、学校も休校となった。

汚染の原因は不明だが、最近、気温が急上昇したため、川の中でごみなどが腐敗した可能性があるという。(上海 共同)

北京五輪後も経済安泰…次期世銀副総裁林氏「中国擁護論」

2008/02/27 FujiSankei Business i.

 北京大学中国経済研究センター主任(所長)の林毅夫氏は26日までに同大で講演し、「中国では北京五輪後に経済不況が出現しない3つの理由がある」と述べた。新華社電などが伝えた。林氏は5月31日付で世界銀行の副総裁兼主任エコノミストに起用されることが決まっており、その発言が注目されている。

 五輪後に不況にならないとする最初の理由として、林氏は中国がギリシャやオーストラリアなど最近の夏季五輪開催国と異なり、五輪後も上海万博(2010年)を始めとする国際イベントが続き、大型の投資案件が減少しないと指摘した。

 次に、中国の国内総生産(GDP)は06年でギリシャの17倍、オーストラリアの7・5倍の規模にあり、五輪開催のための投資が国内経済に与える影響は比較的小さい点を挙げた。最後に、五輪や万博以外にも、施設建設投資の余地が大きいことや産業の高度化、個人消費の安定拡大など有利な条件があり、中国は中長期的に経済発展を続けるとの見方を示した。

 林氏は台湾出身。台湾支配下にある金門島から泳いで中国の福建省に渡って亡命した。北京大で経済学を専攻、米シカゴ大、エール大で研究活動に従事し、1987年に中国に戻り国務院発展研究センター農村部副部長などを歴任。朱鎔基前首相のブレーンとして知られる。「五輪後」への警戒感が高まる中での「中国擁護論」であり、世銀でも中国寄りの立場をとり続ける可能性がある。(河崎真澄)

華為技術など米3Com買収を中断…「安全保障」議会反発で

2008/02/22 FujiSankei Business i.

22億ドル計画、投資摩擦も

 21日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)によると、中国の通信機大手、華為技術と米投資ファンド大手ベインキャピタルは、共同で進めていた米通信機器大手スリーコムの総額約22億ドル(約2376億円)の買収計画で、米当局への認可申請を取り下げる方針を決めた。安全保障問題を理由に米議会で強まった反対の声で“自主規制”した。中国資本の米上陸では3年前に中国海洋石油(CNOOC)が米石油大手ユノカル買収計画を、米議会の反対で断念した経緯がある。(河崎真澄)

 ≪政治目的も懸念≫

 一方で、米国の低所得者向けサブプライム(高金利型)住宅ローン問題で巨額損失を出した金融機関向けでは、証券大手モルガン・スタンレーに対する国家ファンド(SWF)の中国投資有限責任公司(CIC)からの50億ドル出資を歓迎。そうした状況下でのスリーコム問題で、中国では米議会の選択的な姿勢に不満も噴出し始めている。

 フィナンシャル・タイムズによると中国はCICを通じ、40億ドルの対米投資基金の設置を準備している。中国は軍需産業など敏感なテーマとなる対米直接投資はしないと表明している。しかし、サブプライム問題を発端に出資する米金融機関を使う迂回(うかい)投資の形で、中国が政治的な投資目的を果たす懸念も残される。

 米国内に根強い「中国資本アレルギー」が散発的に噴出しているが、中国ではネットニュースの新浪網などが21日、華為技術のスリーコム買収案件失敗を報じる中で、華為技術とベインが米の受け入れ可能な別の手法を探るとも伝えており、迂回投資も含むあらゆる手法を繰り出して米に挑戦する姿勢を示唆した。

 ≪米にジレンマ≫

 華為技術などの認可申請取り下げに対し、米議会は、「昨年成立した外国投資規制改革法が機能している証左」(ドッド上院銀行委員長)と歓迎の意向。ただ、ポールソン米財務長官は、中国や中東などSWFからの投資受け入れで安全保障上の懸念に配慮する必要を指摘しながら、「米国経済は外資に開かれていなければならない」と保護主義台頭も警戒した。

 年間8000億ドルもの経常赤字を計上するだけでなく、サブプライム問題の影響で景気後退(リセッション)懸念も消えていない米国として、外国からの投資は欠かせない存在となってきた。そこに中国や中東産油国など、民主主義や市場経済以外の新興国の比重が高まってきた問題へのジレンマが米国にはある。

 ≪申請取り下げ≫

 華為技術とベインは昨年9月、スリーコムを買収することで合意。安全保障などの点から買収計画を審査する米外国投資委員会(CFIUS)に認可を求めていた。しかしスリーコムがネットワーク機器など軍事機密に関わる製品を米国防総省にも納入している点や華為技術が中国人民解放軍と関係がある点が指摘され、米議会などから反発の声が上がり、CFIUSからの認可は得られなくなったと判断した。

 買収計画では華為技術のスリーコム株式保有は16・5%にとどまっており、華為は経営権を握らない方針だった。華為技術などはCFIUSの審査が最終的に「ノー」をつきつける前に申請を自主的に取り下げ、協議継続の道を探るという。

 華為技術は1988年に広東省深センで設立された中国では老舗の通信機器メーカーで、05年度売上高は82億ドルだった。ブリティッシュ・テレコムなど海外からの受注が過半数を占めており、「中国のシスコ」とも呼ばれる。米スリーコムとの合弁、H3Cテクノロジーズも設立し、日本でも営業活動を行っている。

中国 1月消費者物価7・1%上昇 11年ぶり高水準、インフレ懸念強まる

2008/02/20 FujiSankei Business i.

 新華社電によると、中国国家統計局は19日、1月の中国の消費者物価指数(CPI)が、前年同月に比べ7・1%の上昇だったと発表した。中部から南部を襲った寒波と雪害の影響で食品価格が高騰した。上昇幅は昨年11月の6・9%、同12月の6・5%から一段と加速し、単月ベースでは1996年12月に記録した7・0%以来、約11年ぶりに7%台にのせた。

 中国では1月10日ごろから各地で50年ぶりの大雪となり、送電線の破損による停電、交通遮断などが頻発した。石油や石炭など燃料、食品の輸送が停滞し、CPIを一時的に押し上げた可能性も指摘されている。“便乗値上げ”も相次いだ。

 なかでも農村部のCPIが7・7%上昇と、都市部の6・8%を上回っており、低所得層への重圧感が強まっている。北京五輪が開催される今年も10%以上の経済成長率が予想される中国で、インフレ懸念と社会不安の増大が高まりそうだ。

 商品別のCPI内訳は食品価格が18・2%の値上がり。なかでも豚肉は58・8%もの高騰となった。このほか生鮮野菜13・7%、果物10・3%などと軒並み上昇した。またガソリンなど自動車用燃料が6・8%、家庭用の電力・燃料が5・5%と値上がりしている。

 中国では昨年半ばから豚肉など食品価格の高騰が続き、8月以降は連続してCPIが6%を超えるハイペース。年間では4・8%と政府の目標だった「3%以内」を大幅に抑えることはできなかった。バブル化しつつある景気過熱とインフレ防止が中国政府の急務となっており、金融引き締めや物価監視強化を継続している。しかし特に農村部で早急に効果が上がらなければ、暴動など社会不安に発展する恐れもあると指摘されている。

 だが新華社電は、1月のCPIは雪害など特殊要因によるとして、今年通年のCPIとしては前半に高く、後半に下がって平準化されるとの楽観的な見通しも伝えた。(河崎真澄)

                ◇

【用語解説】消費者物価指数

 消費者が実際に購入する段階の商品小売価格やサービス価格を総合した物価の変動を表す指数。英語のConsumer Price Indexの頭文字からCPIと呼ばれている。物価が持続的に上昇する現象がインフレーション(インフレ)で、好況時に商品やサービスの需要が供給を上回ったときに、物価上昇による調整で発生する。

中国の卸売物価3年ぶりの高水準…今年1月、6.1%上昇

2008/02/19 FujiSankei Business i.

 中国国家統計局は18日、今年1月の同国の工業品出荷価格指数(卸売り物価指数=PPI)が前年同月比6・1%上昇したと発表した。

 昨年12月の同5・4%から加速し、2004年12月(6・1%上昇)以来、約3年ぶりの高水準となった。

 中国では食料品を中心に昨年半ばから物価高が鮮明になり、消費者物価指数(CPI)は8月以降、5カ月連続で6%超の上昇を記録。中国政府は、景気過熱とインフレ防止を当面の経済政策の最大課題と位置付け、金融引き締め、供給確保など各種対策に着手している。

 1月のPPIでは、原油が29・9%の大幅値上がりとなったほか、中型鋼材が28・6%、線材が25・0%、石炭は14・9%それぞれ上昇した。

 統計局は19日にもCPIを発表する予定だが、上昇幅は昨年12月の6・5%から7%台半ばに加速するとの予想が多い。(北京 時事)

農民がマンション占拠 激化する“土地闘争”中国

2008.02.18 MSN産経新聞

 【北京=福島香織】中国の首都、北京で土地を都市再開発に奪われた北京市豊台区太平橋村の村民200人以上が、その土地に建設されたマンション2棟を占拠、昨年12月1日から居座り続けている。

 「だって、このマンションは私たちのものだから…」。マンション占拠メンバーのひとりの女性(42)は興奮した口ぶりで言い放った。2月中旬、完工直前のマンション「首科花園」のロビー。壁にペンキで「村居委会(村民居住委員会)」の文字がでかでかと書かれ、10人前後の元村民が怖い顔で座り込んでいた。

 「毎日、退職した老人、女性たちが交代で占拠し続けているんだ」と老人(68)のひとりが言う。電気もスチームも水も切られ、豆炭を燃やして暖をとっている。

 「いつまでいるって? 問題が解決するまでだ」とある男性は徹底抗戦の構えだ。占拠したばかりの12月初め、開発業者が武装警察とともに追い出しにきたが「私たちはすでに最悪のところまで追いつめられている。今さら怖いものなどない」と、追い返した。

 話はややこしい。地元紙・新京報(12月23日付)によると、人口3000人あまりの太平橋村は1993〜94年、木材加工・製紙などの集団経営の成功で年間の村内経済生産1億元(1元=約15円)をほこる豊かな村だった。しかし94年、都市緑化・再開発計画の通達により、工場をたたまねばならなくなった。同村は開発業者に土地109ヘクタールを提供、マンションを建設する契約をかわす。

 再開発が完了すれば、村民は大人1人あたり80平方メートルの住宅が分配される約束だった。「マンションが完成すれば、私たちもいい家に住め、車も持つような豊かな生活ができると信じていた」と冒頭の女性。

農民がマンション占拠 激化する“土地闘争”中国

2008.02.18 MSN産経新聞

 ところが2005年までに776世帯2100人はマンションを分配されたが、約500世帯1090人には分配されなかった。この理由として開発業者は、旧家屋の撤去費用などに村に融資した1億2800万元が焦げ付き、村民に提供する予定だった床面積4万平方メートル分を差し押さえた、と説明した。

 この融資については当時の村の指導部だけが承知していたというが、村民には寝耳に水。しかも当時の書記らはすでに村にいない。さらに調べると、村の開発業者に対する負債は全部で4億元にのぼり、村民は「前書記らが開発業者と結託して私腹を肥やしたのではないか」と疑心暗鬼に陥っている。

 「裁判を起こすにしても、私たちに勝てる見込みはない。ならば…」と、12月1日、200人あまりの村民がマンション2棟に突入。開発業者側は「村民の行動は違法」とするが「政府の調停に期待する」と目下強硬手段には出ていない。

 このマンションは5月に受け渡される予定のため、購入者がときどき心配そうに様子を見に来るが「自分たちは契約書があるから法律に守られる。でも村民は戦うしかないからがんばってほしい」と応援する人も少なくない。

 双方が納得できる解決策が探り当てられるのか、いつものように強制排除で幕となるのか。いずれにしろ経済のゆがみの中で庶民の抵抗ぶりは近年、ますます過激になってきているようだ。

平均月給1160元・広州外来工の今年の給与待遇

2008年02月17日 エクスプロア上海

 中国では外来工(出稼ぎ)の多くは春節休暇後に都会に戻り新しい仕事を探す。広州日報によると昨日、春節後第1回の就職招聘会が開催され、7000余りの求人に対し約4000人の入場者があった。求職者のほうが少ないが、今年は大寒波の影響で帰省できずに広州で春節を迎えた外来工が120万人いて、そのほとんどは固定の仕事についている。また帰省した外来工も初十五の元宵節までは田舎にいる人も多い。就職招聘会は4月末まで33回開催される。

 広州市における春節後補充求人数上位の全体に対する占有率は

 1位 紡績(服装、製靴)・玩具製造業 16%

 2位 建築業 13.2%

 3位 飲食サービス業 12.9%

 4位 電子・機械・化工製造 10.5%

 5位 商業・居民サービス業 9.8%

 広州市の給料の高い職種の上位の平均給与は

 1位 交通運輸・通信・物流 1850元

 2位 建築施工 1658元

 3位 機械製造 1446元

 4位 食品・薬品製造 1376元

 5位 商業サービス 1276元

 一例では、ある衣服工場では最低保障1200〜1800元だが残業代、皆勤賞、旅行などの福利厚生を含めると実質2000元くらいになるという。 月給1100元〜2000元が全体の63.9%、月給900元以下はわずか7%。しかし紡績、靴製造工場などの平均は960元。

 給料が高い背景には求人側も高学歴または経験者を求めるからで、今年の求人の12%は大卒者、31%は初、中級以上の技能者を求めている。求人全体の平均給与は従来の13%増、1160元となった。

 春節後の仕事探しは6月に卒業する大学生の就職とは違います。学歴のない外来工の仕事探しは<越来越難>低学歴ほど難しいそうです。この記事の給料の高い職種に金融と不動産業が入っていないのは外来工の求人がないからでしょう。

EUの対中貿易赤字、過去最大・07年26兆円

2008/02/17 NIKKEI NeT

 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)の対中貿易赤字の急拡大が続き、2007年は過去最大の1600億ユーロ(約26兆円)前後に膨らんだもようだ。中国からの安価な製品の大量流入に伴い、欧州の貿易赤字のなかでも対中国が突出してきた。欧州委員会は「相互の利益のために市場開放を進めるべきだ」と中国に警告。貿易不均衡の是正に向けて人民元改革への圧力も強めている。

 EUの対中貿易赤字は昨年1―11月累計で約1480億ユーロに膨らんでおり、前年同期に比べて約280億ユーロ、23%拡大した。すでに年間で過去最大の赤字となった06年の1307億ユーロを超えており、欧州委は最終的に1600億ユーロを上回るとみている。

中国、インフレ懸念の深刻さ増す…1月CPIは7.6%の予測

2008/02/01 FujiSankei Business i.

 31日付の中国紙、京華時報によると、国有商業銀行の中国銀行は、中国の今年1月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で7・6%に上るとの予測値を公表した。

 寒波と大雪による物流寸断で春節(旧正月)を前に食料品や衣料品などの価格高騰が続いていることから、同行では「楽観できない情勢」と懸念を表明。昨年11月に記録した6・9%を上回って7%台を突破するとしている。寒波の影響は2月に入っても続く恐れがあり、昨年後半からのインフレ懸念は一段と深刻さを増してきたようだ。

 この予測は同行グローバル金融市場研究部がまとめた。それによると食料品では、高騰が続いた豚肉価格が落ち着きを取り戻したものの、CPIを押し上げる最大要因となる食料品全体の価格上昇率は、1月に19・3%におよぶと指摘した。

 中国国家統計局が1月24日に発表した2007年のCPIは、年初に示した目標値の3%を大きく上回る4・8%。昨年8月以降、月次で6%台が続いており、今年1月も改善の兆しはみられなかった。ただ同行は今年通年ではCPIも4・5〜4・8%と前年並みに落ち着くとみている。

 また同行はインフレ懸念打ち消しを狙い、中国人民銀行(中央銀行)が2月にも今年初の利上げに踏み切り、6月までに再利上げを検討する可能性があると分析した。しかし人民銀は昨年、6回の利上げと10回の預金準備率の引き上げを実施したものの、CPI上昇に歯止めをかけられなかった。中国では物価高騰は社会不安に結びつきやすく、当局は寒波への対応と並行してインフレ対策も急務となっている。(河崎真澄)

1人当たりGDP、深セン市が初の1万ドル突破…中国本土で初

2008/01/31 FujiSankei Business i.

先進国の水準 広東省全体で台湾抜き、経済成長象徴の地域に

 30日付の中国紙、広州日報などによると、香港に隣接する広東省深セン市で、2007年の同市の1人当たり域内総生産(GDP)が1万628ドル(約113万円)となり、中国本土の都市として初めて1万ドル台を突破した。また、広東省全体のGDPは07年に3兆元(約45兆円)に達し、台湾のGDPを抜いたという。深センを含む広東省は1978年に始まった「改革開放」で先陣を切り、上海と並んで中国の経済成長を象徴する地域となっている。(河崎真澄)

 香港に境界を接する深セン市は、市場経済化の中核として中国政府が積極的に外資を導入した「経済特区」の代表都市。79年に中国初の経済特区として広東省珠海市、同省スワトー(汕頭)市、福建省アモイ(厦門)市とともに特区に指定された。

 最高指導者だった故トウ小平氏が92年の春節(旧正月)時に深セン市を視察し、改革開放路線の加速を求めた「南巡講話」を発表。成長が一段とスピードアップした。同市によると昨年のGDP成長率は14・7%だった。

 1人当たりGDP1万ドルは先進国の経済水準といえる。日本は06年で3万4252ドルだった。

 深センのほか、自動車メーカーなど日系企業が多数進出している省都の広州市も昨年の1人当たりGDPが9302ドルに達した。北京市は7370ドルで来年にも1万ドルを突破する見通しという。

 広東省全体では昨年のGDPが3兆元に達して台湾を抜いた。台湾のGDPは昨年、3800億ドル(約42兆円)に止まったもようだ。中国の省GDPが台湾を上回るのは初めて。台湾経済の相対地位の低下を印象づける結果となった。数年内に山東、江蘇、浙江などの省GDPが台湾を超える可能性もある。

 広東省が中国全体のGDPに占める割合は8分の1といい、省全体では1人当たりGDPが4000ドルを超えた。一方で台湾は06年ですでに1万5936ドルと、1人当たりGDPでは深セン市を大きく引き離している。

中国「世界の工場」に陰り…韓国続々撤退/台湾は南アへ

2008/01/30 FujiSankei Business i.

 「世界の工場」「13億人の巨大消費市場」として海外から投資を吸い寄せてきた中国だが、ここ数年、事業撤退や投資国の変更に踏み切る東アジア企業が増えてきた。今年1月に外資優遇を原則廃止した新たな企業所得税法や、従業員の待遇を向上させる労働契約法を相次ぎ施行。さらに投資先での現地トラブルが外資企業に「中国離れ」を加速させている。外資を装った中国資本の迂回(うかい)投資増で外国直接投資(実行ベース)総額が増大する半面、日韓台などは下降線をたどっている。(坂本一之)

 ≪工場「夜逃げ」≫

 韓国紙の朝鮮日報によると、中国山東省青島に進出した韓国企業は約5000社だが、賃金上昇などの経営環境の変化に対応できず、今年1〜6月期中に事業撤退する企業が1000社に達し、同地区進出企業の2割が姿を消す可能性もあるという。繊維やアクセサリーなど軽工業の製造業などが苦戦している。

 2005年8月に中国に進出し山東省で皮革工場を展開した韓国企業の場合、中国で広がる賃金上昇で人件費コストが拡大し採算が悪化。撤退に伴う設備の賃貸料金の交渉で現地トラブルに発展した。韓国系工場の中には事業清算せずに、「夜逃げ」のように中国から消えるケースもある。

 中国商務省の統計によると、韓国企業の対中投資実行額は04年の62億5000万ドルから、昨年は1〜11月段階で32億3000万ドルと3年でほぼ半減のペースになった。

 ≪「先行指標」悪化≫

 また、米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、台湾企業が中国から投資先をベトナムなど東南アジアなどに移す動きがめだち始めた。

 中国商務省の統計で台湾企業の1989年から2007年11月までの累積投資額は約439億ドルという。租税回避地(タックスヘブン)の英国領バージン諸島など、台湾にカウントされない第3地経由を含めると、台湾企業の対中投資は500億ドルを大きく上回る可能性もある。中国のビジネス環境をよく知る台湾の動きは、日本など外資にとり「対中投資の先行指標」と目されてきた。

 中国進出する台湾企業2000社への昨年末の市場調査で、中国本土への投資拡大を検討していると答えた企業の割合は前年調査から10ポイント近くも下がり約50%という。先行指標である台湾の「中国離れ」は、対中投資環境悪化を予感させる。

 ≪沿岸から内陸へ≫

 韓国や台湾に加え日本など東アジアの主要プレーヤーが中国から徐々に腰を引く背景には外資優遇制度の廃止がある。昨年まで法人税率は15%などの優遇税率が適用されてきた外資だが、中国企業と同じ25%に統一された。労働者権利を強化した労働契約法も今年から施行され、外資にとって中国ビジネスのコストが急速に上昇している。

 こうした投資環境変化について日本貿易振興機構(ジェトロ)では「中国での生産拠点は沿岸部から徐々に内陸に移行していくことになる」と話し、中国政府が進める内陸部新興の動きに合わせて低賃金労働を求める製造業などが沿岸部から内陸に移る動きもあるとみている。

 しかし、実際には中国政府による加工貿易の禁止品目の拡大や増値税還付率の削減などの産業政策もあり、もはや内陸部ではなく「チャイナ・プラスワン」、さらに中国を飛び越える「チャイナパッシング」として、ベトナムやカンボジア、インドなどに注目する外資が増えており、対中投資ブームは完全にピークを過ぎたといえそうだ。

「総合国力は世界3位」中国科学院…2030年に日本抜く

2008/01/31 FujiSankei Business i.

 政府系研究機関、中国科学院は、経済規模、教育水準などから総合的に見た中国の国力は1990年の世界16位から急上昇し、2004年に米国、日本に次ぐ世界3位になったと発表した。

 同科学院は「中国の国力は2030年前後に日本を抜き世界2位になる」と言明。今後、約20年で米国に次ぐ総合力を持つ大国になるとの見通しを示した。

 同科学院は、最近発表した08年版「中国現代化報告」の中で、経済規模などに加え国土面積、国防費、国民の健康水準、科学技術費など計18の指標を用いて独自に計算した数値で各国の「客観的国力」を算出。中国は1995年に11位、2000年に6位と急速に順位を上げた。

 04年の段階で米日中に次ぎドイツ、英国、フランス、ロシア、ノルウェー、カナダ、オーストラリアがトップテン入り。アジアでは韓国が17位、インドが25位だった。

 中国の別のシンクタンク、中国社会科学院は06年、中国の総合国力は米ロなどに次いで6位で、7位の日本を既に上回ったとの報告書を発表している。(北京 共同)

30年ぶり大雪、24人死亡 中国で7800万人被災

2008.1.28 MSN産経新聞

 中国民政省は28日、同国の中西部や南部を中心に大雪の被害が拡大、同日までに24人が死亡し、約7800万人が被災したと発表した。

 30年来の雪害とされ、中央気象台は大雪警報を発令。14の省、直轄市、自治区で被害が出ており、経済損失は約220億元(約3300億円)に上るという。

 新華社電によると、湖南省では26日、送電線の鉄塔が倒れ、送電線などに付いた氷を取り除く作業をしていた作業員3人が死亡。江西省では27日、41人の乗客を乗せたバスがスリップして横転、5人が死亡した。

 貴州省では1600以上の家屋が倒壊し、5人が死亡。停電による被害も深刻で、ある病院では節電のため手術ができない状態だという。

 広東省の広州駅では列車の運休により、27日までに17万人以上が足止めされ、改善されない場合、60万人に増える可能性があるという。

 積雪のため27日、全国で19の空港が閉鎖された。発電用石炭の輸送にも支障が出ており、多くの発電設備が停止しているという。(共同)

北京の結婚費用80万円 4年で倍増

2008年01月17日 中国新聞ニュース

 【北京17日共同】17日付の中国紙、法制晩報によると、北京市当局がこのほど実施した結婚費用に関する調査で、2007年の平均費用は5万3645元(約80万円)で、03年の2万7520元のほぼ2倍となった。

 03−07年の間に結婚した764世帯を対象に調査。新郎側が披露宴の費用を負担するケースが79%で、91%が親の財政支援を受けていた。

 結婚費用の主な内訳は披露宴、指輪などの貴金属、新婚旅行、記念写真など。

中国、値上げ承認制を導入 物価抑制へ食品や燃料対象

2008年01月16日 中国新聞ニュース

 【北京16日共同】中国国家発展改革委員会は16日、物価抑制のため食料品や燃料の値上げを承認制とする「臨時価格干渉措置」を15日から導入したと発表した。インフレ抑制に向けた価格統制色の強い措置だ。

 中国では昨年8月から消費者物価指数の上昇率が4カ月連続で前年同月比6%超を記録、インフレ懸念が強まっている。今回の措置の対象は穀物製品や食用植物油、肉類、牛乳、卵、液化石油ガス(LPG)などで、期間は物価の大幅上昇が収まるまでとしている。

 対象製品の生産業者は、値上げ実施前に政府に新価格の申請が義務付けられる。政府は値上げの「理由が不十分」「幅が不合理」と判断すれば、値上げを認めなかったり、値上げ幅を抑えることができる。

 卸売、小売業者に対しても(1)一度に4%以上(2)10日間で計6%以上(3)30日間で計10%以上−の値上げの場合は政府への届け出を要求。政府が不当と判断すれば、価格は元に戻される。

大学卒業しても・・・中国で新卒100万人が就職できず

2008年01月09日 エクスプロア上海

 中国社会科学院が明らかにしたデータによると、2007年に卒業した500万人の大学生のうち、100万人が未だに就職できてない現実を報告している。中国では1996年〜2001年にかけて就職が極めて困難な時期を乗り越えたが、それでも年間500万人の新卒大学生が発生しており、大卒の就職問題を早急に解決すべきだとしている。

 そのほか、2007年度の都市部住民の収入の増加率は、GDP増加率を超えたものの、インフレに対する懸念があり、貧富の差がより一層拡大していることを指摘した。

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