TOPIC No.2−31N-2 2006年度 中国状況


クライスラーと中国自動車大手、小型車生産で提携へ

2006/12/31 NIKKEI Net

 【ニューヨーク=武類雅典】ダイムラークライスラーのクライスラー部門が中国自動車大手の奇瑞汽車と小型車分野で提携する見通しになった。奇瑞製の低価格車を米国を含む世界市場で自社ブランドで販売する。ガソリン高で世界的に成長が見込める小型車市場を開拓するため、米中大手が手を組んで先行する日本勢などに対抗する。

 両社は奇瑞製の小型車をクライスラー傘下のブランドで拡販する方向で交渉している。クライスラーはトヨタの「ヤリス(日本名ヴィッツ)」やホンダの「フィット」などに対抗する小型車として売り込むとみられる。奇瑞は米国など海外市場開拓や製品開発の強化につなげる。大型車に比べ利幅が小さい小型車で収益を稼ぐにはコスト競争力を高める必要があるため、クライスラーは奇瑞との提携を選んだとみられる。

中国の貧富格差「極めて深刻」9割 ネット世論調査

2006/12/25 The Sankei Shimbun Web site

 25日付の中国紙、中国青年報は、同紙などがこのほど実施したインターネットによる世論調査で、約89%が「中国の貧富の格差は極めて深刻」と回答したと伝えた。

 約1万人に聞いた調査では、貧富格差について72%が「弱い群衆と特殊利益集団」の間で広がっていると回答。67%は「権力を持つ者と持たない者」、39%は「都市と田舎」で拡大と答えた。回答者の80%は「格差拡大は必ず改善しなくてはならない」と述べた。

 同紙によると、人口の10%の最も裕福な層が、国家の富の45%を保有。最も貧しい10%は1.4%しか持っていない。世界銀行統計では1億3000万人が1日1ドル以下の収入で暮らしているという。(共同)

中国のGDP成長、10%超か 4年連続2けた成長

2006/12/09 The Sankei Shimbun Web site

 中国の通信社、中国新聞社によると、中国国家発展改革委員会の馬凱主任は9日、今年の中国の国内総生産(GDP)実質成長率は10.5%で、4年連続の2けた成長になるとの見通しを示した。北京で開かれた発展改革委の全国会議で述べた。

 馬主任によると、今年のGDPは20兆元(約300兆円)を超え、消費者物価上昇率は1.3%にとどまる見込み。2005年のGDPは約18兆3000億元で、成長率は10.2%だった。(共同)

中国の研究費、日本抜く 米に次ぐ2位に、OECD

2006年12月04日 中国新聞ニュース

 【マドリード4日共同】経済協力開発機構(OECD)は4日、2006年の中国の研究開発費が約1360億ドル(約15兆7000億円)に達し、約1300億ドルの日本を初めて上回るとの見通しを発表した。米国の約3300億ドルに次ぐ世界第2位になる。

 OECDによると、中国の研究開発費の伸びは経済成長を上回るペースで、1995年の170億ドルから2004年には940億ドルに増加。国内総生産(GDP)比では、95年の0・6%から04年には1・2%に倍増した。同期間に研究者数も77%増の92万6000人となり、米国の130万人に次ぐ世界第2位となった。

 OECDは「中国の研究開発費と研究者数の伸びは驚くほどだ」と指摘。「後れを取らぬため、OECD加盟国は研究・技術革新のシステムをさらに強化する必要がある」と訴えている。

 中国はOECDに非加盟。

不正流用額は1000億円超 中国の社会保障基金

2006/11/24 The Sankei Shimbun

 24日付の中国紙、新京報は、中国会計検査署が最近実施した全国各省や直轄市などの社会保障基金についての検査で、計約71億元(約1060億円)が規定に違反して運用されていたことが分かったと伝えた。

 基金を対外投資に流用したり、庁舎建設の穴埋めに使ったケースもあり、一部の回収は難しいとしている。

 会計検査署は22日、「一部地方では管理が不十分で、不正流用など重大な問題もある」との検査結果を政府に報告している。(共同)

中印首脳、共同宣言に合意 経済協力先行で関係強化

2006年11月21日 中国新聞ニュース

 【ニューデリー21日共同】インドを公式訪問中の胡錦濤・中国国家主席は21日、ニューデリーの迎賓館でマンモハン・シン首相と首脳会談を行い、貿易や投資の拡大などを協議、関係強化を目指す共同宣言に合意した。

 中国国家主席のインド訪問は1996年の江沢民前国家主席以来で10年ぶり。昨年4月の温家宝首相の訪問に続く主席の訪問で、両首脳は、国境画定問題などの対立点や政治的懸念を抱えながらも、経済協力を先行させる今後の両国関係の基本路線を明確に示したといえる。

 両国は投資の拡大や保護のほか、中国と南アジア地域の貿易の在り方をまとめた合意文書や覚書に調印するとみられる。

 インド側は、米国と進める民生用原子力技術協力への理解を求めたもよう。これまで中国は核拡散防止条約(NPT)を擁護する立場から、NPT加盟を拒否するインドを例外扱いすることに慎重な姿勢を見せていた。経済発展に伴うエネルギー需要の増大が必至の両国はエネルギー開発分野での協力を確認する。

 国境画定問題では、過去8回の特使級協議の結果を踏まえ、依然として隔たりの大きい見解の相違を埋め、早期解決を目指す姿勢を示した。このほか、領事館を相互に増やすことで合意、学術機関などの人的交流の拡大も話し合った。

上海バブルにブレーキ?売れぬ億ション…一方根強い投資も

2006/11/17 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 【上海=前田徹】上海の不動産バブルにブレーキがかかったのかどうかが、いま注目を集めている。胡錦濤政権が経済過熱を背景に上海市トップの陳良宇書記を解任して以来、常に右肩上がりだった不動産価格が、横ばい状態になったと発表されたからだ。だが、中国人民元の切り上げは必至とみて、切り上げ期待の不動産投資は根強いとの見方が投資会社の間などで支持されている。

 上海バブルの象徴といわれた超高級マンション「湯臣一品」。4棟を1棟ごと(約600億円)に販売する計画を香港系不動産会社が断念したというニュースが、上海紙東方早報に掲載されたのは10日のことだ。それによると、2005年に完成後、ニューヨークやロンドンで販売活動を続けたが、結局買い手がつかず2棟を賃貸に切り替え、残る2棟は個別販売に切り替えたという。黄浦江に面した絶景の「億ション」(約600平方メートル、約10億円)は結局、2室が売れただけだ。

 また、上海市房屋(家屋)土地管理局や上海社会科学院らも、胡錦濤政権の経済引き締め路線を意識して「上海の不動産過熱は峠を越し、落ち着いて推移」と強調している。手渡された「上海房地産(不動産)市場報告」最新号(10月号)でも、昨年前半まで年20%前後の高騰を続けた価格が、不自然なほど横ばい状態になっている。

 だが、一方で陳前書記時代に計画された郊外住宅地は完売状態で、不動産バブルが続いているかの様相も見せている。

 例えば、上海市政府がベッドタウン構想として建設した「テムズ・タウン」は総工費750億円。近くの湖から人工の川を引き入れ、中心に英ブリストルの教会を模して配置するなど、英国住宅街をコピーした高級住宅街となっている。

 一戸建て(500平方メートル)で2億円前後もし、安い集合住宅も含め計2000戸もあったが、05年までの予約販売で完売している。購入者の大半は上海中心街の住民だが、今年10月に正式オープン後も入居者はなく、大半が投資目的とみられる。しかもベッドタウン構想はほかにも、イタリアやドイツなどをコピーした住宅街が4カ所もあり、いずれも完売という人気ぶりだ。

 香港や台湾の不動産投資専門家は、中小不動産に投機熱が残っているとし、「人民元に25%ほど切り上げる余裕があるから」と指摘している。

 また、日本の総合銀行系研究所によれば、中国の不動産バブルは中国国有銀行の巨額マネーが流れ込んで起きている。引き締め過ぎればバブル崩壊で一気に銀行の不良債権問題が露呈するため、政府は穏やかなバブル傾向を保つ必要があるとみている。不動産価格の見事な横ばい状態の事情を裏付けているようだ。

脳死移植は違法と強調 中国衛生省次官

2006/11/17 The Sankei Shimbun

 中国衛生省の黄潔夫次官は15日付中国紙、羊城晩報に対し、中国では脳死に関する法が未整備のため、現状では脳死患者からの臓器を移植することは違法だと強調した。中国は世界第2の「移植大国」で、脳死患者からも頻繁に臓器摘出が行われているとみられるが法制度は未整備のまま。(香港 共同)

どうする?外貨準備1兆ドル 慎重に運用検討 中国人民銀

2006/11/16 FujiSankei Business i.

 ■総裁発言で為替市場も右往左往

 外貨準備高が10月末で未曾有の1兆ドル(約117兆円)の大台に達した中国が金額の「重さ」に振り回されている。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁の「発言」で世界の外国為替市場でドルが売り浴びせられ、あわてて火消しに回る場面もあった。現在も月額平均216億ドルの外貨を積み上げているが、このままではドル急落時に巨額の損失を受けるリスクが高く、欧米からの人民元の上昇圧力も強まるばかり。肥大化した外貨政策の先行きは不透明だ。(河崎真澄)

 ▼周総裁発言で混乱

 「外貨準備のポートフォリオ(構成)を多様化する明確な方針を持っている」。ロイター通信が9日、周総裁の発言を伝えたとたん、世界の外国為替市場でドルが売られてユーロが買われた。

 中国は1兆ドルの外貨準備のうち7000億ドル程度を米国債などドル資産で保有している。このため、「多様化」発言は市場で、ユーロ、円などドル建て以外の比率拡大と米国債の売却を示唆したと解釈され、ドル安を懸念した機関投資家があわててドル売りに出た。

 だが、あわてたのは機関投資家だけではなかった。中国紙、京華日報によると周総裁は、翌10日にドイツのフランクフルトで開かれた欧州中央銀行(ECB)の会議の席で、「中国は現行の外貨政策を継続し、ドルを急激に売ることや外貨準備の分散は行わない」と発言。火消しに回った。

 人民日報はこの問題について、「人民銀はドル売りという非理性的な行動は取らず、むしろ金や債券への投資など外貨を運用する」とする中国人民大学の趙錫軍・金融証券研究所副所長のコメントを掲載し、それでも市場でくすぶるドル売り懸念の煙に水をかけた。

 2000年に1683億ドルだった中国の外貨準備高は、輸出増で“ドル箱”を膨らませ続け、6年足らずで6倍にもなった。今年2月に日本を抜いて世界最大の保有国になったが、さらに毎月平均216億ドル増える。1分の間におよそ50万ドルが中国にたまる計算だ。

 このまま拡大を続けると、外貨準備は2010年には2兆ドルに達するとの見方が主流だ。周総裁は否定してみせたが、国際金融筋によると、人民銀は外貨準備の運用が国債市場に及ぼす影響を含め、日本、米国など各国中銀の経験、現状を詳細に調査した結果、ドル以外の通貨に投資した方が得策だとの認識はかなり高まってきたという。

 人民銀は、国際市場と国内経済への影響を慎重に測りつつ、運用手法を模索しているようだ。

 ▼迫られる決断

 外貨の運用多様化の一方、急カーブを描く外貨保有高の増加に歯止めをかける措置も必要だ。

 国際金融筋は、「為替を自由化して元高を許容する中で、輸出を抑制して貿易黒字を減らすのが最善」と指摘する。かつて日本が円高に直面して選んだ手法だ。元高阻止のための中国金融当局によるドル買い介入を減らせば、まず外貨準備の増大は食い止められる。

 ただ、日本が円高で受けた輸出産業の一時的な停滞のように、急激な元高で打撃を受ける中国の国内産業も多い。さらに中国に製造拠点を移した日米欧など、外資企業もその影響から逃れられない。貿易黒字も今年、1500億ドルという未曾有の水準に達するという中国。「ひとり勝ち」の様相を強める中で、多大な保有外貨の行方に政治的決断が迫られている。

中国製美白クリームに水銀2万倍 短期的には美白効果

2006/11/16 FujiSankei Business i.

 【北京=福島香織】国営新華社通信によると、中国内陸部の安徽省の検疫当局が行った中国製化粧品の抜き打ち品質検査で、合肥市など4市の市場に出回っている50種の商品のうち7商品が不合格だった。なかには水銀の含有量が国家基準の2万倍という問題商品も複数含まれていた。

 サンプルは上海市、浙江省、広東省、安徽省など9省市の37メーカーの製品。2万倍の水銀入り化粧品は、南京市の工場で製造されたクリームや広州市のメーカーの美白クリームなどだった。

 同省検疫当局は「水銀は短期的には色素を減退する効果があり、多くの不法企業は美白効果を追及するために商品に水銀を入れてる。しかし皮膚から水銀が吸収されれば慢性水銀中毒を引き起こし、骨格や歯、肝腎機能に悪影響を及ぼす」と注意を促している。

 中国ではSK−IIなど日本製輸入化粧品に含まれる微量のクロムが問題視されていたが、中国製化粧品は論外といえそうだ。

東シナ海で電池の海洋投棄が問題に 中国農業省

2006/11/15 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 14日の新華社電によると、中国農業省はこのほど、東シナ海で毎年500万個の漁業用電池が投棄されており、海底に重金属が染み出るなどの汚染が懸念されていることを明らかにした。投棄されているのは漁船の照明用電池が中心で、古くなると大半がそのまま海に捨てられているという。(北京 共同)

ヘロイン禍、中国深刻 「黄金の三日月地帯」から流入激増

2006/11/12 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】「アフガンタバコ」「黄粉」などと呼ばれるヘロインが、大量にアフガニスタンなどから中国に流入している。中国公安当局によると、新疆ウイグル自治区のウルムチ市だけで2000年の7倍、約7トンものヘロインが流通しているという。中国紙「南方都市報」がこのほど報じた。これらヘロインは最終的に北京、上海、広州など都市の「地下市場」に流れ込んでいるという。

 ヘロインは、アフガニスタン、パキスタン、イランの国境地域「黄金の三日月地帯」(ゴールデン・クレセント)から新疆ウイグル自治区に密輸されるという。

 ウルムチ市だけで中毒者は1万人を超えるといわれ、同市の疾病コントロールセンターの担当者によると、人口1900万人の同自治区では今年6月現在で、エイズウイルス(HIV)感染者が1万6000人いるが、うち1万2000人は注射の回し打ちなど、原因はヘロインに関連しているものという。

 「アフガンタバコ」の特徴は、東南アジアのヘロイン生産地「黄金の三角地帯」(ゴールデン・トライアングル)産に比べ、「4倍の吸入効果があり夢心地となる。中毒者にとっては、ゴールデントライアングル産はくず同然」とされる。

 「黄金の三角地帯」では、摘発強化でアヘンの原料となるケシ畑が減りアヘンの生産が急減、国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、アフガニスタンが世界1の供給国と報告している。

 「アフガンタバコ」の販売価格は、1グラム600元(1元約15円)で、1グラムが20パックに分割され、1パック40元から50元の安さで販売されていることも市場拡大の要因だ。

 販売組織は、アフリカ人、パキスタン人を運び屋として雇い、体内に隠すなどの方法で1キロ単位で密輸、成功報酬は4500米ドルという。

 中国国家禁毒委員会は今年6月、ヘロインなどの麻薬や覚せい剤の常用者が昨年末で78万人、ヘロイン常用者の7割が35歳以下と深刻な状況を報告している。中国当局は昨年、薬物事件で5万8000人を摘発、ヘロイン約7トンを押収しているが、当局者は、新疆ウイグル自治区になだれ込むヘロインの量は、摘発分の約10倍と指摘する。

WHO事務局長にチャン氏 中国から初の国連機関トップ

2006/11/09 The Sankei Shimbun

 世界保健機関(WHO)の執行理事会は8日、次期事務局長を選出する本選挙を実施し、五候補の中から中国が推すマーガレット・チャンWHO事務局長補(香港出身)が当選した。尾身茂WHO西太平洋地域事務局長は3回目の投票で落選した。中国が国連機関トップのポストを獲得したのは初めて。3回目の投票でチャン氏が15票、メキシコのフリオ・フレンク保健相が10票、尾身氏が9票を得た。この段階で尾身氏が脱落し、上位2人による4回目投票の結果、チャン氏が24票を獲得、10票のフレンク氏を破った。

 執行理事会は日本を含む34カ国の構成で、選挙は無記名の投票で実施。各理事国が1票ずつを投じ、得票が最も少ない候補を排除しながら、過半数の18票以上を獲得する当選者が現れるまで投票を繰り返した。(共同)

中国外貨準備、1兆ドルに

2006/11/07 The Sankei Shimbun

 【北京=共同】6日の新華社電によると、中国の外貨準備高はこのほど約1兆ドル(約118兆3000億円)になった。貿易黒字の増加などを背景に、同国の外貨準備高は今年2月末で日本を抜いて世界1になったが、1兆ドルの大台に達したのは初めて。

 外貨準備高の増加に対し、人民銀行は元の対ドル相場安定のため、元売りドル買い介入を繰り返している。この結果、国内の流動性が過度に高まり、金融政策に影響することを懸念する声も強まっている。

戦略的関係を強化 アフリカサミット「北京宣言」採択、閉幕

2006/11/06 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】北京で開催中の中国アフリカ協力フォーラム北京サミットは5日、中国とアフリカの関係について、内政不干渉を前提にした新たな戦略的パートナーと位置づける「北京サミット宣言」を採択し、閉幕した。

 中国とアフリカ48カ国が調印。宣言は、中アを国際舞台における途上国利益の代弁勢力として明確に位置づけ、国連改革を通じ、アフリカ諸国の国連における代表性を向上させることで合意。中国が、そのリーダーシップをとるとの姿勢も盛り込まれた。

 中アの政治・経済・社会協力の方針を決める「行動計画」も採択され、アフリカ諸国への援助規模を今後3年で2倍にすることや、反テロ協力などが盛りこまれた。

 サミットと並行して行われた中アの企業関係者の会合では、総額19億ドル(約2240億円)に上る協力協定が調印された。

中国、資源狙い援助攻勢 北京でアフリカサミット開幕

2006/11/04 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 【北京=福島香織】中国とアフリカ諸国42カ国首脳による中国・アフリカ協力フォーラム首脳会議(サミット)が4日、北京で開幕、中国は約100億ドルの債務減免など破格の対アフリカ優遇措置を発表した。さらに双方の貿易額を昨年の397億ドルから2010年までに1000億ドルに引き上げるという。参加国には人権問題や腐敗で知られる独裁国家も名をつらね、人権よりも資源囲い込みなど実利を重んじる中国外交の姿勢が明確に打ち出された。

 中国のアフリカ援助は、人権状況改善や民主化推進のカードとしてODA(政府開発援助)や債務減免を行っていた欧米の努力を無にする結果にもなり、欧米から「新植民地主義」「新帝国主義」などの批判が噴出している。

 胡錦濤国家主席が演説で発表した中国からの対アフリカ優遇措置の主な内容は(1)09年までにアフリカ援助規模を06年の倍に増やす(2)3年以内に30億ドルの優遇借款など(3)中国企業のアフリカ投資促進のための基金(50億ドル)設立など−8項目。

 この会議には、ダルフール住民虐殺で国際的非難を受けているスーダンのバシル大統領、腐敗政権で知られるジンバブエのムガベ大統領、内戦が続いたアンゴラのサントス大統領らも参加。首脳らが一人ずつ進み出て胡主席に握手を求める様子は、中国皇帝に謁見(えっけん)する朝貢国を連想させ、中国がアフリカの新たな“宗主国”であることを国内外に見せつけた。

 しかし、こうした協力はアフリカの権力者と結託した利益搾取の構造を生み、必ずしも現地の住民は恩恵にあずかれていない。ジンバブエのぜいたくな大統領府は中国の無償援助1300万ドルで建てられ、見返りとして中国企業が数億ドルの水力発電プロジェクトなどを受注した。

 中国企業が投資したザンビアの炭坑では低賃金で地元労働者が働かされ、7月に大規模な暴動が発生。中国企業の安価な中国製品がアフリカ市場に出回ったことで欧米や日本のODAで建てられた工場が倒産、失業者が逆に増えるという現象も起きているという。

 そのため欧米メディアからは「19世紀の帝国拡張政策がアフリカで再び起きている」(英紙ガーディアン電子版)「中国の『単刀直入』な投資政策が欧米の築いてきたアフリカとのきずなを損なっている」(同タイムズ電子版)と批判が噴出。

 しかし、中国外務省は対アフリカ援助については「内政干渉はしない」との立場。さらに「かつて植民地主義の奴隷役を経験したアフリカ、中国の人民が最もはっきりと植民地主義をわかっている」(劉建超報道官)と強調し、中国とアフリカ諸国の結束を非難するのは、旧宗主国・先進国の狭隘(きょうあい)な理屈だと反論している。

中国最大の銀行、香港と上海の株式市場に上場

2006年10月27日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=寺村暁人】中国最大の国有商業銀行、中国工商銀行が27日、香港・上海の両株式市場に上場した。

 香港市場では公募価格を17・3%上回る3・60香港ドル(約55円)の初値をつけ、3・52香港ドルで取引を終えた。

 売買代金も760億香港ドルと、香港市場では過去最高となった。上海市場でも公募価格を6・4%上回る3・32元で取引を終え、終値ベースの時価総額は約18兆7400億円となり、日本最大の三菱UFJフィナンシャルグループ(16兆258億円)を上回った。

 中国工商銀行は、昨年末の資産総額が6兆4541億元(約97兆円)。2005年4月に中国政府から150億ドルの資本注入を受けて経営再建を進め、今年1月には米大手証券ゴールドマン・サックスや独保険大手アリアンツなど3社から総額約38億ドルの出資も受けた。

北朝鮮核実験に深刻な懸念 中仏首脳が共同声明

2006/10/26 中国新聞ニュース

 【北京26日共同】新華社電によると、中国の胡錦濤国家主席とフランスのシラク大統領は26日の会談後に発表した共同声明で、北朝鮮の核実験に深刻な懸念を表明。関係国が対話を通じた問題解決を目指し、早期の6カ国協議再開に向け努力するよう訴えた。

 声明は、核実験について「朝鮮半島非核化の目標と国際的な核不拡散努力に反する」と批判、両国は国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議を支持すると強調した。安保理常任理事国の両国が足並みをそろえ、核問題で北朝鮮に対して強い自制を促したといえる。

 声明はまた、欧州連合(EU)が検討してきた対中武器禁輸の解除について、早期解除すべきだとの考えで一致。イラン核問題では平和的解決に向け両国が緊密に協調することで合意した。

 大統領は26日午後、呉邦国・全国人民代表大会常務委員長、温家宝首相ら中国指導部と相次ぎ会談。両政府は同日、中国によるエアバスA320、150機の購入や宇宙開発、鉄道、原子力発電など広範囲な分野の経済協力でも合意した。

中国、和諧と逆行 思想・民族弾圧強める

2006/10/22 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】先の第16期中央委員会第6回総会(6中総会)で「和諧(わかい)(調和のとれた)社会」構築を打ち出した胡錦濤政権だが、今回のチベット亡命者射殺事件に象徴されているように、少数民族政策や思想統制は強化される傾向にあり、「和諧」と逆行する強権体質が浮き彫りになっている。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が運営するチベット難民受け入れセンターによると、年間のチベット亡命者は約2500人。一方、中国公安省の発表によれば、2005年下半期から今年上半期にかけて国境で逮捕された不法出国者の総数は2459人。このうちチベット亡命者がどれほどの割合を占めるかは不明だが、今回のような事件は氷山の一角、という見方もある。

 中国では今夏、ラサと青海省ゴルムドを結ぶ青蔵鉄道が開通、開通式には1989年のラサ暴動鎮圧の指揮をとった当時の自治区書記、胡錦濤国家主席が臨席し、中央のチベット支配強化を改めて印象づけた。このほか、米国に亡命したウイグル人権擁護家のラビア・カーディルさん(58)の新疆ウイグル自治区在住の息子ら3人が逮捕されるなど、ウイグル族への締め付けも目立っている。

 6中総会で採択された「社会主義と和諧社会建設に関する若干の重大問題の決定」には、貧富の差の是正など弱者擁護がうたわれる一方、社会安定と秩序維持のために「国内外の敵対勢力」の取り締まり強化も盛り込まれた。国内敵対勢力にはチベットやウイグルの民族活動家や民主化運動家、宗教家らも含まれると解釈されており、「和諧」というソフトな言葉の響きの裏側には思想や民族の弾圧強化を伴う血生臭さも漂っているようだ。

中国企業、北朝鮮から撤退の動きも

2006/10/15 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 北朝鮮の核実験発表から1週間、中国、北朝鮮間の経済活動にも影響が出始めた。香港の中国系紙「大公報」によると、核実験発表後、北朝鮮との国境沿いにある経済コンサルタント会社には連日、北朝鮮に進出している中国企業から問い合わせが相次いでいる。

 中国遼寧省丹東市にある「朝鮮半島経済サービス情報センター」で、「核実験で中国からの注文がぱったりとこなくなっており、ビジネスに大きな影響が出ている」「北朝鮮が今後も核実験を行えば、撤退せざるを得ない。どうしたら投資した資金を回収できるのか」などの相談が数多く寄せられている。

 大公報によると、そのうちの一人、陳小洋氏は北朝鮮で200万トンの埋蔵量がある炭田を開発し、毎月2万トンの無煙炭を中国に輸出していたが、9日の核実験発表以来、中国からの買い注文がぱったりと途絶えたという。

中国困った「対朝」制裁 稀少鉱物輸入急増で経済緊密

2006/10/13 FujiSankei Business i.

 ■貿易総額が年28%成長、輸入は約3倍に

 【北京=福島香織】北朝鮮の「核実験」発表で国際社会の対朝経済制裁論が強まるなか、中朝経済の行方が注目されている。北朝鮮はハイテク製品に欠かせないタングステンやモリブデン、マグネサイトなど希少鉱物の宝庫で、これを狙う中国企業の投資がこのところ集中。国際社会は中国に北朝鮮制裁に加わるよう期待するが、資源戦略と企業利益からみて、中国には北朝鮮に冷たくできない事情もある。

 中国外務省傘下の国際時事誌「世界知識」(10月1日発行)によれば、中朝貿易総額は2001年わずか7億4000万ドルだったが、05年は15億8000万ドルと、年平均28%の速度で成長してきた。このうち北朝鮮からの輸入は01年に1億7000万ドルだったのが05年には5億ドル以上と約3倍に。鉱物類輸入は01年1000万ドルだったものが05年は2億1000万ドルになった。

 同誌は「中朝貿易の迅速な発展は相互補完性強化と密接な関係がある」とし、中朝経済は援助ばかりではない、中国側にとってもビジネスチャンスがあるとしている。

 鉱物類の内訳は出ていないが、北朝鮮はハイテク製品に欠かせないタングステンの潜在的埋蔵量が世界1位。建材の材料となるマグネサイトは世界4位とされている。タングステンもモリブデンも中国で産出するが、くらしのハイテク化が進むなか、世界でこれら希少鉱物は争奪戦。めざとい中国企業がこれを見逃すわけはない。

 今年9月には、民間企業の広寿集団(浙江省温州市)が605億ドルを投資して北朝鮮にモリブデン採掘事業のための合弁企業を設立したほか、林宝鉱産開発有限会社(河北省秦皇島市)も北朝鮮からモリブデン採掘の批准を得ている。

 最近、国有金属大手の中国有色集団が北朝鮮の恵山銅鉱開発協力に調印したが、これも希少鉱物開発が視野に入っているとみられている。このほか朝鮮茂山鉄鋼プロジェクト、黄海油田共同開発プロジェクトなど大型資源開発投資の協議も進められている。

 こういった資源的魅力のほか、世界に500万人散らばる「朝僑」が大量の外貨を送り込む北朝鮮市場の潜在的な購買力も、中国にとっては決して小さくないとされる。同誌は「市場リスクは低くない」としながらも、「韓国や日本、ロシアも対朝投資の好機を捜している。今後朝鮮市場の競争は激化する」とし、経済制裁よりもむしろ投資強化を促す論調だ。

カジノへ押し寄せる中国人富裕層 前年比8.9%増の43万人

2006/10/13 FujiSankei Business i.

 香港紙、文匯報などによると、10月1日の中国国慶節(建国記念日)をはさむ9月30日から10月1日の3日間に、中国本土からの旅客数はマカオが約42万8000人と前年同期に比べ8・9%増加したのに対し、香港は約17万3000人で逆に同8・7%減少し、明暗を分けた。米ラスベガススタイルの新しい高級カジノ開業が大きな話題となったマカオへは、不動産売買などで収入を得た裕福な中国人観光客などが押し寄せている。

 一般的に中国人の「賭け事」好きは知られているが、本土では違法なため、合法カジノが楽しめるマカオが最も手軽な娯楽観光先になってきたようだ。マカオ当局によると、今年1〜9月のカジノ収入は、中国人旅行者の増大などで前年同期に比べ14・7%増えた。

 一方、香港旅行業議会によると、中国人旅行客が香港での買い物や観光で、同協会に寄せた苦情件数が今年は1〜8月に合計400件以上と、昨年通年をすでに3割上回るペースで増え続けている。「香港の旅行ガイドが観光スポット案内よりも土産物屋への案内を優先した」「人民元での支払いが香港ドルより不利だった」などの苦情が観光客から出たという。

 香港当局の統計によると、中国本土から香港への入境者数は昨年、1254万1000人と、香港の人口の697万人の2倍近くに上った。同時に、香港ディズニーランドや香港島のビクトリアピーク(山頂)など観光スポットの混雑ぶりとマナーの乱れも加速。中国人観光客に原因があるにもかかわらず、口コミで香港の評判が下がる皮肉な結果も生んでいた。このため相対的に、カジノの存在を売りにしたマカオに中国人富裕層の注目が集まったようだ。

 中国国家旅遊局のまとめによると、国慶節の連休(10月1〜7日)中に香港やマカオを除く中国本土内の延べ旅行者数は1億3300万人に達した。昨年同期比で19・3%増えた。連休期間中の観光収入は同20・7%増の559億元(約8100億円)になった。

 期間中の観光客1人当たりの消費支出は420元(約6100円)。6日が「中秋節」にあたった相乗効果もあり、家族連れの博物館や科学館の参観者が増えたほか、書籍の売れ行きが好調だったとして、文化的なレジャーが人気を呼んだという。農村の生活体験やエコ(環境)ツアーなどが浸透し始めたことも今年の特徴としている。(河崎真澄)

格差是正訴え指導力強化 胡主席、「上海閥」排除

2006/10/11 中国新聞ニュース

 【北京11日共同】中国共産党の第十六期中央委員会第六回総会(六中総会)は最終日の十一日、貧富の格差是正などを目指す「調和の取れた社会」づくりを強調したコミュニケを採択して閉会した。コミュニケでは発表されなかったが、汚職事件で上海市トップを更迭された陳良宇・前同市党委書記の扱いについても討議したとみられ、陳氏は党規律検査当局の調べを待って政治局員の職を解任される見通しだ。

 「調和社会」づくりは経済成長最優先だった江沢民前指導部の路線からの脱却を図るため、胡錦濤国家主席(総書記)が打ち出した政策理念。胡主席は江氏系の「上海閥」に連なる陳氏解任で権力基盤を一段と固めたのに続き、政策面でも指導力強化をアピールした。

 総会は八日に始まり、来年の第十七回党大会に向けた次期指導部人事も討議したとみられる。胡主席は地方の幹部人事などでも自身の出身母体である共産主義青年団などからの登用を進め、権力の完全掌握を目指す考えだ。

 胡指導部はまた、格差是正の推進とともに汚職官僚らの摘発を強めて綱紀粛正も図り、共産党に対する国民の求心力を高めることを狙っている。

 十一日付の中国紙、第一財経日報は専門家の話を引用して「理念を実施に移す段階に入った」と指摘。胡指導部は「調和社会」づくりの具体的な目標を示し、就職や教育、医療など国民の不満が強まっている分野で改革を優先的に進める構えだ。

中国での外国通信社規制凍結を要求 米商工会議所

2006/09/20 Iza

 北京の米国商工会議所は20日、中国で外国通信社の記事配信を規制する管理規則が10日公布されたことについて「近代的かつ情報化された経済をつくるという中国の目標にとって一歩後退だ」と批判、同規則の実施凍結を求める声明を発表した。

 声明は、同規則の実施で「中国市場が世界の情報へのアクセスを奪われることになれば中国の金融市場の発達が制限される」と指摘。また、新華社の許可なしに外国通信社が国内で情報発信することを禁じたことについて「中国最大のニュース供給者(の新華社)に規制と検閲の権利を与えたのは根本的に不適当」と強調した。(共同)

中国女性は楽観的?「3年後、現在より良くなる」

2006/09/18 Iza

 中国女性の7割までが3年後の生活が「現在より良くなる」と予測しており、将来を楽観視していることが、国務院(政府)直属の中国社会科学院がまとめた「女性生活白皮書(白書)」で明らかになった。2008年の北京五輪と10年の上海万博を控える中国で、生活レベルの向上が続くとみる女性が大半を占めていることを裏付けた。女性の生活意識に関し、国家機関が白書を公表したのは初めてという。

 中国紙、京華時報が伝えたところによると、主に都市部在住の女性を対象に調査を行った女性生活白書で、69・1%までが3年後の生活が向上すると答えた。一方、「現在より悪くなる」と予測した女性は2・3%に止まったほか、「現在とあまり変わらない」との回答は28・6%だった。

 同紙は、中国の都市部の女性の現在の生活レベルに対する満足度が比較的高く、将来の生活環境に対しても自信を持ち始めたと分析している。年齢別では若い女性ほど将来の生活への楽観度が高い傾向があるという。

 また、国務院系のニュースサイト、中国網によると、シンクタンクの華坤女性消費指導センターが、都市部女性の消費行動について調査したところによると、衣料品や日用品、食料品など家計の消費支出で主導権を握っていると回答した女性は77・3%にのぼった。

 既婚者に家庭の収入の扱いについて聞いたところ、「夫の収入も含めて自分で管理する」と答えた女性が46・5%。「夫の収入も含めて夫婦で共同管理する」が51・3%にのぼったが、「夫に管理させる」との回答はわずか2・2%で、98%近い女性が何らかの形で家庭収入管理に積極的にかかわる姿勢を示した。

 また集合住宅なども含めマイホームを購入したという家庭で、43・6%までが女性側の名義にしたと回答した。共働きが一般的な中国の都市部では、家庭内の発言力や経済力で女性の地位が高まっているようすがうかがえる。消費分野でも女性の決定権がさらに強まっていく可能性がある。

 このほかに、女性が消費生活のなかで不安を感じている問題として、食品安全で38・1%、薬品安全で13・4%、住宅改築工事信頼性で12・8%が指摘。このほかにも化粧品、健康食品、整形美容、家電製品などへも安全性で厳しい目を向けているという。中国の消費市場開拓を狙う外資にとって、経済力と発言力をつけた女性層へのマーケティング戦略が欠かせなくなっているようだ。(河崎真澄)

中国の研究開発費、24%増も先進国水準とは依然格差

2006/09/15 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 中国国家統計局は14日、中国の企業、研究機関、政府が2005年に支出した研究開発(R&D)費が2450億元(約3兆6000億円)となり、前年比24.6%増加したと発表した。国内総生産(GDP)比では1.34%と、前年の1.23%から上昇。ただ、先進国の2%台半ばから3%前後の水準とは依然格差がある。(北京 時事)

地方の変革ほど遠く 冷めぬ投資過熱 中央政府の意向に逆行

2006/09/14 FujiSankei Business i.

 中国人民銀行(中央銀行)は8月、預金、貸し出し金利を一斉に引き上げた。狙いは景気過熱の主な要因となっている固定資産投資(公共投資と企業設備投資)を抑制することにある。しかし、安定成長への移行を目指す中央政府の意向とは裏腹に、地方政府は積極的な投資を続けており、マクロ経済調整を難しくしているのが現状だ。(上原隆)

 人民銀の利上げは、銀行など金融機関の1年ものの定期預金の基準金利を0・27%引き上げて従来の2・25%から2・52%に、貸し出し金利についても、年間で5・85%から6・12%に変更するもので、長期金利が短期金利よりも大幅に引き上げられたのが特徴だ。

≪マクロ調整強化≫

 新華社電によると、今回の利上げは、過熱経済を抑制し、投資に対する中央政府のマクロ調整効果を強化するという政策目標が背景にある。

 2003年から本格化した景気過熱は、投資バランスの失調となって現れている。

 政府、人民銀は金利を引き上げることで、資金調達のハードルを高め、暴走し続ける投資を押さえ込もうという手法に踏み切った。

 しかし、その効果についてはすでに疑問の声が出ている。理由は中国経済におけり投資構造の特性にある。

 市場経済が機能している先進国では、利上げはコストの増大に直結し、投資に対するリスクが高まるため、いったん利上げが実施されると、新規投資は減少することになる。

 しかし、中国はまだ市場経済と計画経済の混合した状況にあり、企業だけでなく、地方政府が投資主体として大きな役割を演じている。

 中央政府が投資主導型から消費牽引(けんいん)型の成長モデルへの転換を訴えても、投資過熱が収まらないのはこうした特殊な要因があるためだ。

 銀行も地方政府が強い影響力を保持しているため、商業ローンを抑えても、財政支出に形を変えて、投資が行われることになる。

 専門家は、「お金を右から左のポケットに移し替えるだけ」と揶揄(やゆ)する。

 地方政府の行う投資は、非生産的なものが多く、利上げや人民元の為替レート上昇に影響されるのは目に見えている。

 中国国家発展改革委員会の発表では、今年上期(1〜6月)に全国31の省・市・自治区のうち、域内総生産(GDP)の成長率が12%以上となったのは23にのぼっている。

 このうち、固定資産投資の前年同期比伸び率が50%を超えたのが2つ、40%以上が5つとなり、投資過熱がまったく冷めていない中国経済の実情があらためて浮き彫りとなっている。

 成長率では内モンゴル自治区の18・2%が最高で、投資伸び率では吉林省の55・6%がトップだった。

 中国の上期の国内総生産(GDP)成長率は10・9%、固定資産投資伸び率の平均は31・3%だったが、これを大幅に上回っている省・市・自治区が多数あることが明らかになった。

 東北、中西部など、これまで発展が鈍かった地方が目立ち、先行発展した沿海地域に追いつこうと、地方政府が投資にてこ入れしている様子がうかがえる。

≪地元経済を重視≫

 これら地方政府は、中央が安定成長を唱えても、地元の経済発展を優先する政策を変えようとはしない。むしろ拍車がかかっているようだ。

 利上げによる投資抑制策が、地方政府という厄介な「経済主体」にまで効果を及ぼすことができるか。財政支出に依存した地方経済の変革は程遠いのが現実だ。

「新聞は“党の舌”」 中国、報道統制強化の綱要公布

2006/09/14 The Sankei Shimbun

 中国共産党と国務院(政府)は14日までに、メディア規制強化を盛り込んだ「国家文化発展計画綱要」を公布した。

 指導部人事を決める来年の第17回党大会や2008年の北京夏季五輪を控え、胡錦濤指導部はメディア統制を一層強める方針を明確にした。

 綱要は全10章48項目で構成。新聞メディアについて「主要任務は宣伝。『党ののどであり、舌』としての役割を堅持しなければならない」と規定した上で、「全面的に党の主張を宣伝し、民衆の意識や思想に対する影響力を不断に強化」することを義務付けた。

 特に地方党幹部や学生らに対し、10年までに「理論、思想、道徳」の教育を強化するとし、党が掲げる理論をあらゆるメディアを通じて「頭にたたき込ませる」と強調した。

 中国国家新聞出版総署の柳斌傑副署長は、記者会見で「中国は市場経済体制の期間が短く、法整備が進んでいないため、行政規定での管理が必要な時もある」と述べ、メディア管理強化を正当化した。(共同)

 

中国、外電流入に報道規制と独占規則

2006/09/11 中国新聞ニュース

 【北京11日共同】中国国営通信の新華社が十一日までに、外国通信社による中国国内での記事配信を規制する管理規則を公布した。中国国内での情報通信市場の独占化を図るとともに、国内メディアに対しては外国通信社の記事使用を新華社配信分に限ることで、報道規制を強める狙いがある。

 規則は二十二条からなり、国内における記事配信では新華社が優先権を持つとして、新華社の許可なしに外国通信社が中国国内で情報発信することを禁じている。

 また、許可を得て配信した場合でも(1)中国の統一を損なう(2)国家の名誉を傷付ける(3)中国経済を混乱させる−ような記事を禁止、新華社に取捨選択権があるとした。外国通信社の一部報道に対する「検閲」を正式に規定したといえる。

 国務院(政府)は一九九五年末、外国通信社による国内での経済ニュース発信を規制する通達を交付。今回は規制を一般ニュースに拡大するもので、経済発展に伴い拡大している中国の情報市場に外国通信社が加わるのを規制し、市場独占を確保する構えだ。

 一方、国内メディアにとっては外国通信社からの自由な引用が制限されることになる。ある大手中国誌の記者は「中国政府が『不利』と判断した情報流入を制限するもので、言論統制が一層強化されるのは確実だ」と懸念を表明した。

中国、河川の6割“深刻な汚染” 当局内部資料流出

2006/09/05 The Sankei Shimbun

 【上海=前田徹】中国全土の河川の6割が水銀など危険な重金属や農薬で汚染され、こうした水質悪化が疾病の8割、さらには病死の3割に関係していたと指摘した中国食品薬品監督管理局の内部資料が明るみに出た。また、重金属による汚染面積は2000平方キロメートルにもおよび、汚染地域を含む経済先進都市周辺での食の安全に内部資料は強い疑問を投げかけている。日本はすでに野菜の残留農薬規制を強めているが、ほかにも中国から安い食品を輸入していることから今後、対応を迫られそうだ。

 資料は4章に分かれ、問題の汚染実態は第3章に書かれていた。

 それによると、産業廃棄物による深刻な汚染は中国全土の河川と湖の6割におよび、残りの河川もまだ軽度ながら汚染が進んでいる。さらに農産物に影響のある全潅漑(かんがい)用水の2割が規制基準を大幅に上回る水銀に汚染されている。水質汚染が関係したとみられる症例は全疾病の8割、病死の3分の1にのぼり、2004年以降、幼児の頭が巨大化する奇病が汚染地域で次々に確認されているという。

 体内に残留しやすい有毒重金属による汚染危険地域は(1)天津、北京など渤海沿岸工業地帯(2)上海など江蘇、浙江省の華東工業地帯(3)珠江三角州と呼ばれる華南工業地帯−の3カ所に集中し、汚染面積は2000平方キロメートルに及んでいる。

 また、中国の化学肥料の年間使用量は4100万トンで、その結果、黄河や長江、珠江を経て流れ込んだ無機窒素が中国近海の赤潮の主な原因になっていると内部資料は断じている。毒性の強い農薬使用で汚染された土壌を元に戻すのに最長で33年間が必要という。

 加工食品についても作業員による衛生管理の質が悪く不衛生としたほか、偽ブランド食品の安全性に特に問題があると警告している。衛生より利益優先のため、重さをごまかすのに牛や豚に水を注入したり、大量の食塩を食べさせるなどのほか、ペンキの材料など極度に毒性の強い添加物や防腐剤を使用するケースが多いと、その危険性を指摘している。

天安門描いた映画作品、中国当局に無許可でカンヌに出品

2006/09/05 The Sankei Shimbun

≪監督ら処分≫

 【北京=福島香織】北京青年報などが5日までに報じたところによると、中国国家ラジオ映画テレビ総局はこのほど、当局の許可なくカンヌ映画祭に映画「サマー・パレス」(中国語名・頤和園)を出品した若手監督の婁●氏と映画製作関係者らに今後5年の映画製作を禁止する処分を言い渡した。

 同作品は、天安門事件(1989年)時代の恋人同士を描いた作品で、今年のカンヌ映画祭のコンペティション部門で最初に上映、アンダーヘアを露出したセックスシーンで話題をよんだ。天安門事件という政治的要因と性表現の過激さがカンヌ出品不許可になったとみられている。

 同総局は、婁監督に映画フィルムと同映画で得た収入の没収も命じたという。

 同作品は今年のカンヌ国際映画祭で、アジアからコンペティション部門に出品した唯一の作品となっている。

 過去、カンヌに無許可で出品され処分を受けた中国映画では姜文監督の『鬼が来た!』がある。

 中国当局は現在、言論統制を強化しており、映画を発表する際は、当局の許可が必要と規定している。●=火へんに華

中国の“邪教”気功集団創始者、米国で交通事故死

2006/09/02 The Sankei Shimbun

 1日付香港紙、星島日報によると、中国で非合法化されている気功集団「中華養生益智功(中功)」の創始者で、米国に政治亡命していた張宏堡氏が7月31日、米アリゾナ州の高速道路で発生した交通事故で死亡した。  同紙によると、張氏の友人や中功の信者らは事故の真相を調査する委員会を発足させた。

 張氏は、中功が中国で「邪教」として非合法化された2000年に偽造パスポートでグアム島に渡った。その後、米移民当局に拘束されたが、01年4月に釈放された。

 中功は1987年に創設され、最盛期には中国内に数千万人の信者がいたという。(共同)

中国「非文明行動」撲滅へ 礼儀の国目指す

2006/08/27 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】2008年8月の北京五輪に向けて、中国政府は「マナー向上」キャンペーンを本格化させた。国営新華社通信などによると、党中央精神文明建設指導委員会はキャンペーンを指示する通知の中で、「礼儀の国のイメージが損なわれている」と現状に危機感を示し、「旅行先で大声で騒ぐ」「たんを吐く」などの「非文明行動」の撲滅を目指している。

 「中国公民旅遊文明素質行動」と題された通知は、礼儀を知らず、秩序や法を守らず、環境保護を守らない非文明的な一部の(中国人)観光客が海外から批判されている、と指摘。そのうえで、「良好な国際イメージを確立することが急務だ」としている。

 撲滅の対象となっているのは、▽レストランなど公共の場で大声で騒ぐ▽たんを吐く▽どこでもごみを捨てる▽電車、バスで降りる人を押しのけて乗り込む▽列に並ばない−など。テーマパークや公園で子供に小便をさせるなどの行動も批判されている。キャンペーンは、観光、公安、商務、建設、鉄道、交通など関係部門が、今月から3年間継続実施する。

 一方、北京では五輪をにらみ、「文明礼儀」に関したパンフレットを作成。上海でも2010年の上海万博を視野に入れ、「100万人家庭礼儀学習」と題するマナー向上運動を始めている。

 今年に入り、中央政府は「八栄八恥」運動を展開している。道徳心を高め、文明的な国家建設の意義を強調しているが、「個人主義」「拝金主義」の広がりに対する懸念が背景にある。北京五輪まであと2年。どこまで効果が上がるか注目されている。

17歳未満、幼女と性行為合法? 中国最高裁が新解釈

2006/08/26 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 【北京=伊藤正】日本に劣らず性の低年齢化が進む中国で、最高人民法院(最高裁)が今年1月、公告した未成年者の刑事事件に関する司法解釈が論議を呼んでいる。14歳未満の女子との性行為を「強姦罪」としている刑法に対し、14歳以上17歳未満の男子に限り、条件付きで犯罪にならないと例外にする新解釈をしたためで、司法の現場が混乱する一方、青少年の性犯罪を助長するなどの批判が出ている。

 最高法院の司法解釈(全20条)は、法的責任を負う14歳以上18歳未満の未成年者の犯罪構成要件を規定。例えば摘発2回までの窃盗は、犯行を供述、盗品を返却すれば犯罪と見なさないとするなど、「教育を主とし、懲罰を従とする」(前文)寛大さが特徴だ。

 このうち最も議論になったのが、幼女(14歳未満)との性行為に関する規定。「たまの行為で、情状が軽く、重大な結果を引き起こさない」ことを条件に、14〜16歳の少年の刑事責任を問わないとしているが、条件規定のあいまいさが混乱を招いた。

 中央テレビの報道によると、今年5月、甘粛省の農村で、16歳未満の中学生3人が、9歳と10歳の女子に5時間にわたって性的暴行を加える事件が発生。警察は容疑者を拘束したが、検察は最高法院の司法解釈により立件できないとし、容疑者を釈放させたという。

 悪質な犯罪を免罪にしたこのケースは、幼女の人権無視と批判を浴びた。北京市石景山区人民法院(区裁)は今月初め、公安、検察当局と協議、17歳未満男子と幼女との性行為は「双方の意思に基づくもので、暴力によらず重大な結果を引き起こさなければ免責する」との共通認識に達した。

 最高法院の解釈より具体的だが、問題は「双方の意思」。中国刑法が、幼女との性行為を、年齢や同意の有無にかかわらず「強姦」と規定しているのは、性知識や判断力を欠く幼女の保護のため。この点は日本の刑法も同じだが、女子の早熟化が著しい現状にそぐわないとの指摘もある。

 例えば北京で2年前、ネットで知り合い恋に落ちた17歳男子と13歳少女が性関係を結び、少女の家人の訴えで少年が強姦罪で懲役1年6月の判決を受けた事件があった。このケースは少年が17歳のため、新解釈の適用外だが、強姦罪が妥当か議論になった。

 中国では青少年犯罪が社会問題化する中で、青少年の保護、育成強化を主眼にした未成年者保護法の改正案が全国人民代表大会(国会)で審議中だ。犯罪歴のある少年が社会から疎外され、犯罪を重ねることが多い現実を踏まえ、非行少年に社会が温かく接し、更生を促そうとの狙いが最高法院の新解釈にも反映している。

 いわば胡錦濤政権の看板である和諧社会路線に沿った法解釈だが、貧富の差拡大など、青少年が犯罪や非行に走る社会環境の下では、青少年犯罪を助長し、特に幼女を性的被害にさらすとの指摘も多く、司法現場の混乱は続きそうだ。

中国、世界に通用する「民族ブランド」確立の動き

2006/08/26 The Sankei Shimbun

【北京=野口東秀】「中国のシリコンバレー」と呼ばれる北京・中関村のハイテク企業などが集まって、世界に通用する「中国民族ブランド」の製品を確立、「国家と民族の利益を守り民族ブランドを世界に向け発進させよう」(中国紙)との動きが出ている。中には抗日戦争勝利の8月15日に合わせた「V(勝利)815」を共通マークに運動を展開する動きもある。

 中国では日米欧の国際的ブランドに対抗して、中国製品の競争力を高めたいとの意識が根強くある。国内デジタルカメラ市場を席巻する日本企業に対抗し、『愛国者(aigo)』と名づけたカメラが2年前に登場、話題となったほどだ。

 中関村科技園区管理委などによると、今月15日には企業家100人近くが集まってイベントを実施した。5月には「中関村自主ブランド発展協会」が発足。「自主革新し、国に報いる」とのスローガンで団結し、ブランド製品を確立しようというねらいだ。

 中国青年報は「民族精神で民族ブランドを打ち立てる」と強調した。中国メディアによると、コンピューター関連の曙光集団の歴軍総裁は、「外国人は軍艦に乗ってやってくるのでなく、ブランドで中国に『進軍』してきている。われわれが民族ブランドを作らなければ、次世代の中国は海外ブランドに飲み込まれるだろう。今こそ反撃の時だ」と指摘。別の企業家も「30年以内に中国で必ず世界的に知名度のある企業が生まれる」と強調したという。

陸上学校、10代の選手に違反薬物投与 中国当局衝撃

2006/08/25 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国遼寧省鞍山市の陸上学校の運動チームで組織的に10代の選手に違反薬物を投与していた事件が発覚、2年後の北京五輪を国威発揚の場として活用しようと、総力を上げて準備している中国指導部をあわてさせている。

 国営新華社通信などによると、国家体育総局監察局や中国オリンピック委員会は8日、練習中の同チームを抜き打ち検査。校長室の冷蔵庫などから300本近い「持久力向上に効果がある薬」や、ステロイド系興奮剤の一種である141本の「注射薬」などを発見した。

 また、10人の選手が薬物を投与した疑いがもたれ、尿検査で8人が陽性反応を示した。今月下旬の大会で良い成績を得るためとみられ、最終的に相当数の選手の薬物投与が明らかになりそうだ。校長は解雇されており、このほか関係者多数が刑事責任が追及されることになるという。

 同学校は1992年に鞍山市体育局が全額出資して創設。著名コーチもおり、過去数回の遼寧省の大会では金メダル獲得数が最多となっている。

中国の医療腐敗が深刻…120億円を不正徴収

2006/08/25 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】25日付中国各紙によると、中国の国家発展改革委員会は全国の医療機関で行われている法外な医療費や謝礼などの医療機関の不正事件が昨年、1万件、金額にして8億元(120億円)に達していたとの報告を発表した。

 北京大学人民病院は手術執刀医師を指名するための"袖の下"や使い捨て医療器具費を患者から不正に徴収し、その額は少なくとも482万9000元(約7200万円)に上った。このほか四川、浙江、黒竜江、河南の各省や広西チワン族自治区、天津市の一部病院で、手術室の空調費や、基準価格を上回る輸液、麻酔薬費、注射の針代、必要のない化学検査の強制など、法外な医療費を徴収していた。

 中国では共産党幹部ら約850万人の特権階級は医療費を免除されており、国の医療予算は主に特権階級医療に費されている。このため一般患者に高額の医療費負担が生じ、都市民の7割、農民の9割以上は医療を受けられないのが実体だ。急病で病院に担ぎこまれても所持金がないため、ロビーの床に放置され死亡したケースも報告されている。「医療は金持ちのためのもの」との認識が病院側に根付いており、担当医への袖の下のほか、医薬品や検査費の上増し請求などは常態化していた。

 北京市衛生局が今月9日、「医師への謝礼は、わいろにあたらない」と袖の下容認姿勢を示したことがきっかけで最近、中国メディアも医療腐敗問題をクローズアップしていた。今回の報告で、中国政府は医療腐敗に厳しく対処する姿勢を示し、市民に不正の告発を呼びかけ、市民の医療不信を解消していきたい考えのようだ。

中国・松花江支流で汚染事故 武装警察動員し除去作業

2006/08/24 The Sankei Shimbun

 中国吉林省吉林市で今月21日、市内の化学工場から有毒なアニリン系化合物が、付近を流れる松花江の支流に大量に流れ込む事故が起き、武装警察部隊、消防隊など約1000人が汚染物質の除去作業に投入されていたことが分かった。新華社電が23日、伝えた。発生当時、河川には赤い色の汚染物質が約5キロにわたり帯状に広がった。住民の健康被害などは不明。工場の責任者は身柄を拘束されたという。

 武装警察隊員らは支流が松花江と合流するところから約8キロ上流で、汚染物質を無毒化するための活性炭を投入。23日現在、松花江の水質に大きな影響は出ていないとしている。松花江では昨年11月、化学工場爆発に伴い、大規模な汚染事故が発生した。(共同)

中国河南省、エイズ対策食い物 党幹部ら治療支援金横領

2006/08/20 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】売血によりエイズの病原ウイルスHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染が広がった中国河南省上蔡県で、地元の中国共産党幹部らが中国政府などの治療支援金や医療補助費を横領していたことが明らかになった。その額は1億元(約15億円)にも達するとみられる。

 河南省では、1990年代に省政府幹部の発案で農民から血を買って血液製剤を作り、それを上海の製薬企業などに売って省の収入にする「血漿経済」を導入。ずさんな採血システムや器具の使用でHIV感染が一気に広がった。公式統計では河南省の感染者数は約3万5000人で、その5分の1が人口130万の上蔡県に集中している。

 中国や海外メディアの報道によって、事態の深刻さを知った中国政府や省政府は同県に多額の支援金を投入。昨年の県の歳入8369万元(約12億5500万円)の大半が、これらの支援金や補助金とみられている。

 また中央や省政府はエイズ治療に使われる115種類の薬品の代金を基本的に国などが負担し、患者は無料とする支援策をとっている。

 こうした中で、同県の最高幹部である楊松泉・党委書記が昨年8月、タクシー会社設立をめぐる収賄事件で逮捕されたことから、エイズ支援金をめぐる汚職事件が明るみに出た。

 中国の週刊紙「南方人物週刊」などによると、1年間にわたる取り調べの結果、楊書記の在任中の5年間で、中央政府の支援金の大半が楊書記ら20人の県幹部に横領されていた。

 エイズ治療薬についても、県内のある病院では患者から薬代を二重請求しているほか、市場価格3元(約45円)の抗生物質に6.9元(約103円)の値段をつけるなど2、3倍の水増し請求を行っていたという。

 温家宝・首相が昨年の春節(旧正月)に、上蔡県でも特にエイズ患者が集中している文楼村を訪問した際、県は村に水道を敷設し、診療所に大量の看護婦、医師を派遣。事前に感染者のうち希望者にブタを贈ることまで約束して、県がいかに感染者に配慮しているかをアピール。温首相が村を去ると同時に水道は止められ、医師、看護婦も村を出て、豚のプレゼントも立ち消えになったという。

 さらに、温首相は村人1人につき「お年玉」10元(約150円)を配ったが、県政府は村の人口を883人水増しして申請し、少なくとも8830元(約13万3000円)を詐取したという。

「食事まずい」などと数千人が3日間暴動 中国の工場

2006/07/29 The Sankei Shimbun

 29日付香港紙、明報によると、中国広東省東莞市にある香港資本の工場(従業員約8000人)で今月23日から3日間、労働条件が劣悪などとして従業員数千人が工場内の食堂などを壊したり、近くの道をふさいだりする騒ぎを起こした。

 従業員1人が頭部を負傷し、警察が十数人の身柄を拘束したという。

 同紙によると、従業員側は残業代の不払いや工場の食事のまずさなどに不満を持ち、騒ぎの後は辞職を求める従業員が相次いでいる。(共同)

中国−チベット間に今月1日開通の「青蔵鉄道」、問題続出

2006/07/29 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】中国青海省ゴルムドとチベット自治区ラサをつなぐ「青蔵鉄道(青海チベット鉄道)」が今月1日に開通してから、早くも問題が噴出している。

 中国紙・新京報(28日付)によると、半永久凍土を通る線路の基礎の一部が沈下したり、コンクリートの構造物や橋の表面に亀裂が走って劣化が始まっているほか、砂塵(さじん)被害が予想以上で、安全性の脅威となっている。野生動物の線路進入もあとを断たず、事故の原因になりかねないという。

 氷の粒を含む半永久凍土帯が夏の気温上昇とともに若干緩み、路盤を不安定化させる問題はかねてから指摘されていたが、アンモニア水を充填(じゅうてん)した鋼鉄棒を線路脇に差し込み、地中の熱を吸収する技術の導入によって解決ずみとされていた。

 しかし、開通1カ月足らずで問題が生じたうえ、温暖化傾向で夏の気温が上昇するとの予測のなか、今後、根本的な技術の見直しや運行管理に影響が出てくるのは必至とみられている。

 一方、1日2500人の旅客輸送量しかない同鉄道には数十倍の乗車希望者が殺到し、23日から乗車券販売は一時停止された。しかし乗車券管理の不備もあり、すでに募集済みの旅行社ではツアーのキャンセルが相次ぎ、多大なキャンセル料に悲鳴を上げているという。

中国“就職氷河期” 学生急増、大卒半数以上就職できず

2006/07/20 The Sankei Shimbun

 中国で、大学卒業者のうち半数以上の就職が決まらない未曾有の就職難が起きている。国策で大学生が急増したことなどが背景だが、大量の青年が仕事に就くことができず「過激な行為に走る若者が出ないか」(上海の研究者)と社会的影響を懸念する声も出ている。

 北京大などが最近発表した「大学生の求職と就職状況調査報告」によると、今年卒業の大学生のうち五月末時点で就職が決定または内定したのは49%。残りは「求職したが見つからなかった」(27%)「すぐに就職したくない」(15%)など。就職難の最大の理由は卒業生の急増だ。高度経済成長下で高学歴の人材増を急いだ結果、2004年に約280万人だった大学などの卒業者は今年413万人と増加。多くの大学生は大都市で高給を求めるため雇用側の要求との不適合も指摘される。(共同)

農地の10%以上汚染 中国国家環境保護総局が調査

2006/07/19 The Sankei Shimbun

 中国国家環境保護総局は18日、同国の土壌汚染状況の調査結果を発表。全国の農地の10%以上に当たる約12万3000平方キロメートルが汚水や廃棄物などによって汚染され、汚染面積はさらに拡大傾向にあることが明らかになった。中国の華僑向け通信社、中国新聞社が伝えた。

 汚染農地の面積は、北海道と九州を合わせた面積よりも大きい。

 調査結果によると、毎年生産される食糧のうち1200万トンが金属汚染されており、廃棄せざるを得ないために生じる経済的損失は200億元(約2900億円)に達するという。

 周生賢局長は農地の汚染について「農業の持続的発展にとって大きな脅威」と指摘し、人体や生態系に対する悪影響を引き起こしかねないことに危機感を表明。土壌汚染に対応する法律が未整備な上、地方幹部らの汚染対策に関する知識や意識の欠如が深刻な事態を招いているとの見方を示し、全国の環境保護部門に対し早急に対策を取るよう命じた。

 中国では経済発展に伴い、各地で農地や水質の汚染が深刻化。広東省韶関市翁源県の村では、重金属による水質汚染が原因で過去20年間に約300人の住民が死亡した。(共同)

高度成長にむなしさ…中国で“隠れキリシタン”拡大

2006/07/11 The Sankei Shimbun東京朝刊から

≪共産党でもお金でもない≫

 「主は偉大なり、並ぶものなき偉大な主よ」。中国語の賛美歌がマンションの居間に響く。日曜の午後。子供からお年寄りまで約20人が祈りを込めて声を張り上げる。香港から旅行で来たという牧師が「心貧しき者は幸せだ。天の王国は彼らのものだから…」と、マタイ伝の「真福八端」について講話を始め、厳かな沈黙が流れて、「アーメン」のつぶやきが人々の口から漏れた。中国公認のプロテスタント組織「三自愛国運動委員会」と「中国キリスト教協会」の指導を受けない、“隠れキリシタン”たちのミサ風景である。信者宅に集まり、聖書を読み語り合って信仰を深める「家庭教会」が今、北京で静かに広がっている。

 中国の公認教会の信者はカトリックで500万人、プロテスタントで1200万人であるのに対し、非公認教会の信者は7000万人前後もいるという。このうち非公認のカトリック教会、通称「地下教会」の信者500万〜800万人を除けば、大半がこうした「家庭教会」の信者という。

 「家庭教会」はもともと、改革開放の副作用で貧富の格差が拡大していく中で、搾取と貧困に苦しむ農民の心の支えとして広がってきた。1990年代後半からは都市の比較的裕福な層にも急速に拡大しているという。

 「方舟教会」と呼ばれるこの「家庭教会」は2000年に創設された。大学教授や弁護士ら知識人を含む約60人の信者を抱え、5月にブッシュ米大統領と面会し、信教の自由を訴えて話題を呼んだ作家の余傑さん(34)や、言論の自由を訴える活動で知られる元北京大学助教授の焦国標さん(42)も所属している。

 この日も新たに2人が入信しており、1人は北京の名門大の教授で、1人は中国の人権問題に関心を持つ知識人である。都市中産階層の間でなぜ今、キリスト教なのか。

 ミサに自宅を提供している女性デザイナー(38)は「金もうけだけ考えてきたけど、豊かになっても心は満たされなかった。そんな生活が信仰ですっかり変わった。同じ思いを抱えるホワイトカラーは多い」と語る。

 89年の天安門事件で機銃掃射を受け、左足を失った男性(54)は「事件に巻き込まれ障害者になり、それが原因で妻とは離婚。不幸のどん底で社会を、国を、共産党を恨んだ。信仰はその怨念(おんねん)を癒やし、平安をくれた…」と入信理由を明かす。

 高度経済成長の過程で勝ち組になった者はそれにむなしさを感じ、虐げられた者は恨みを抱く。そうした人たちは、毛沢東思想にも共産主義にも期待できない救済をキリスト教に求めたうえで、「共産党の指導下の公認教会に真の救いはない」と見限って、「家庭教会」に走っているのだ。

 心満たされれば、隣人にも優しくなれる。信者らは北京に陳情にきた農民らに食事を差し入れるなどのボランティア活動のほか、信者で身体障害者の権利擁護活動をし、当局に拘束されている盲人の弁護士、陳光誠氏の救出キャンペーンを行っている。

 「家庭教会」には、当局の圧力がつきものだ。「方舟教会」も旗揚げ以来、ミサ会場を追われて6回も引っ越しした。党よりも神を偉大とするキリスト教の普及は一党独裁への脅威だからだ。

 先の牧師はまだ、「真福八端」を続けている。「義のために迫害に苦しむ者は幸せだ。天国は彼らのもの…」。社会の激変から取り残された中国人たちの心のケアが今、ようやく始まっている。(北京 福島香織)

中国で汚職高官の取り締まり過熱 胡錦濤氏の直接指示も

2006/07/11 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】中国では首都・北京市や天津市、福建省などで、地方政府高官が汚職の疑いで、相次いで党内部の取り調べを受けている。このうち、北京市副市長解任は、中国の最高指導者、胡錦濤・国家主席が直接指示したと伝えられるなど、来年秋の第17回党大会をにらんだ権力闘争の動きとの見方も一部には出ている。

 報道を総合すると、北京市ではこのほど、劉志華副市長が「生活の腐敗と堕落」を理由に解任された。これに絡み北京の大手不動産、首都創業集団の劉暁光社長や、2008年夏の北京五輪の主要施設建設などを担当している金●(●=森の木の位置に金)・北京五輪プロジェクト副指揮が党内の取り調べを受けた。同集団は「北京地主」とも呼ばれる北京市直轄の最大規模の企業集団で、五輪施設周辺の土地競売をめぐる不正疑惑が浮上している。

 劉副市長の処分については、胡主席自らが決定しており、事前に劉淇・北京市党委書記や王岐山市長ら市最高幹部に相談しなかったという。

 劉氏は賈慶林・政治局常務委員(全国政治協商会議主席)が北京市党委書記時代に市政府秘書長、副市長を務め都市管理や工商行政などの実権を掌握した人物。しかも、劉氏の後任の吉林・副市長は共産主義青年団幹部を務めるなど、胡主席に近いとされる。

 また北京の事件とほぼ同時期に、福建省の局長以上の幹部3人が汚職がらみで党内の取り調べを受けたほか、昨年8月に発覚した同省のスポーツクジに絡む汚職事件に関して、党内で特別調査グループが設立されたと伝えられる。

 2つの事件の舞台になった福建省は賈常務委員が省長や党委書記を務めた“地元”。さらに、天津市でも、賈氏に近いとされる幹部が汚職で取り調べを受けるなど、これら一連の汚職取り締まりは来年の第17回党大会を前に、賈氏をターゲットにしたものとの憶測を生んでいる。

違法企業、百億円超を国外持ち逃げ 中国福建省

2006/06/26 The Sankei Shimbun

 26日付香港各紙によると、中国福建省泉州市で高利息をうたい市民の金を違法に集めていた地元企業グループ、●(門がまえに虫)林集団の林鳳良総裁が今年4月、客の金10億元(約145億円)以上を持って国外逃亡した。同集団は直後に倒産、少なくとも10万人の市民が被害を受けたとみられる。

 地元の区幹部が収賄容疑で3月に当局の調べを受けたことから、捜査が及ぶのを恐れて逃亡したとみられ、公安当局が行方を追っている。福建省では以前、アモイ市で巨額密輸事件が起きており、主犯とされる頼昌星氏はカナダに逃亡中。林氏も同国に逃げたとの情報がある。(共同)

青蔵鉄道、7月から全線で試運転開始

2006/06/24 The Sankei Shimbun

≪チベット自治区への観光客増加に期待≫

 「世界の屋根」と呼ばれる中国・チベット高原を貫く青蔵鉄道が7月1日、全線で旅客輸送の試運転を開始する。青蔵鉄道の開通で、中国のすべての省、自治区に鉄道が通ることになる。全土が鉄路で結ばれることで、今後、チベット自治区への大幅な観光客増加が期待されている。(松尾理也)

 青蔵鉄道は、青海省の省都・西寧とチベット自治区の区都ラサ間を結ぶ高原鉄道。全長は約2000キロに達し、経済発展から立ち遅れた内陸部を重点的に開発する中国政府の国家プロジェクト「西部大開発」の目玉の一つ。

 最も標高が高い地点は海抜5072メートルで、南米ペルーのアンデス山中の地点を抜いて世界一。工事区間の標高平均は4500メートルで、多くの部分が凍土になっており、ロシアやカナダの凍土研究の成果も参考にしての難工事となった。

 列車の最高時速は100−120キロで、気圧が低いため、飛行機同様の気密構造車体が採用されている。

 昨年10月に線路の敷設が完了し、今年2月から貨物便の試運転が行われていた。来月1日の全線試運転が順調にいけば、来年4月には全線開通する。

 中国の華僑向け通信社、中国新聞社電によると、青蔵鉄道へは西寧線、北京線、四川省・成都線、上海線の4路線の乗り入れが決まっており、今年のチベット自治区への観光客は前年比40万人増の約220万人が見込まれている。

中国の人口、2030年代に15億人台でピークに

2006/06/24 The Sankei Shimbun

 23日付の中国英字紙チャイナ・デーリーは、中国政府が、同国の人口について2030年代半ばに15億人台でピークに達し、それ以降は緩やかに減少に転じると予測する研究報告をまとめたと伝えた。

 報告は一方で、男児の出生が女児を上回る男女人口の不均衡は今後も続くと指摘した。中国では伝統的に男児を歓迎する傾向が強く、2000年の国勢調査では男女の割合が女児100人に男児116人になっている。報告は現在では男児119人になっているとして、妊娠中の性別判断や違法中絶が男児増加に拍車を掛けていると警告した。

 中国の人口は昨年末で約13億700万人。人口計画出産委員会はこれまで、2043年に約15億5700万人まで増加、その後は16億人近くで横ばいになると予測していた。(共同)

中国浙江省で工場爆発事故 大規模な河川汚染も

2006/06/16 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】16日の国営新華社電によると、浙江省南部麗水竜泉市の化学工場で15日午前爆発が発生、16日朝まで断続的に爆発が続いており、少なくとも2人が行方不明、1人が負傷した。現場は浙江省第2の河川、●(区へんに瓦)江の水源となる竜泉渓近くだけに、地元当局では大規模な河川汚染に発展する可能性があると警告している。

 爆発したのは国有企業改革により株式化した竜●(森の木を金に)化工の過酸化水素水工場。15日午前8時(日本時間同9時)ごろ突然爆発、黒煙を上げながら連鎖的に爆発を繰り返し、有毒ガスがあたりに充満した。いまのところ事故原因は不明。

 現場は竜泉渓から100メートルたらずの距離で、工場で使われていた化学品などを含む汚水が流入した可能性があり、200キロ以上下流の沿海都市、温州市にかけた地域住民の飲料水に影響を及ぼすことが懸念されている。

 竜泉市当局は活性炭などで汚水漏れ地点を防ぐなど、河川汚染防止の応急措置をとっている。

 また、浙江省当局は寧波市、温州市などの周辺市から応援の消防部員を招集している。

 竜泉渓は宋−元代に隆盛を誇った竜泉青磁の産地としても知られる観光名所で、その水は自然景観の美しい☆江に流入、最終的には東シナ海に流れ込むだけに、環境汚染に拍車をかける恐れがある。

 中国では昨年11月、東北部の吉林省吉林市の石油化学工場で大規模な爆発事故が起き、東北有数の大河、松花江がベンゼンで汚染され、周辺住民の飲料水の供給がストップしたほか、広東省などでも同様の事故が起きるなど、工場の河川汚染事故が相次いでいた。

中国、密造銃などによる犯罪が深刻化

2006/06/15 The Sankei Shimbun

≪北京五輪控え、公安当局取り締まり強化≫

 【北京=福島香織】中国で密造銃や密造爆弾による犯罪が深刻化している。ここ数年の違法銃の押収数は380万丁に上り、内陸部の青海省のほか、貴州・湖南両省などの一部地域が「黒三角(ブラックトライアングル)」と呼ばれる密造銃製造地区を形成、廉価な銃の供給源になっている。中国は2008年8月に北京五輪を控えているだけに、政府も治安対策に本腰を入れ、今月から違法銃・爆発物の集中取り締まりキャンペーンを開始した。

 中国公安省の最新統計によると、昨年発生した非合法の爆発物による爆発事件は22件で101人が死亡、181人が負傷。今年に入ってから、すでに9件発生し100人近くが死傷している。昨年、摘発された刃物の違法所持は5万3000件で、16万5000以上の刃物が押収された。

 さらに、中国は年32億個の起爆装置(雷管)を生産しているが、公安省は、その横流しについて「ここ数年来の突出した問題となっている」と指摘。昨年3月、河北省の京広鉄道白馬河鉄橋で、全国人民代表(国会議員)をねらった爆破未遂事件が起きているが、この事件でも横流し起爆装置が使われたことが確認されている。

 一方、携帯電話やインターネットの発達で、こういった密造拳銃や横流し起爆装置などは誰でも電話一本で簡単に買える状況だ。一般市民の携帯電話には頻繁に密造銃のセールスショートメールが流れ、最近では銃による報復代行まで請け負っていると伝えられる。

 こうした事態に、公安省は危機感を募らせており、今月から10月まで違法銃、爆発物の集中取り締まりキャンペーンを展開している。

米政府、中国企業4社の資産凍結 「イランのミサイル開発支援」

2006/06/10 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=気仙英郎】米財務省は13日、中国企業4社とその中の米国現地法人1社について、イランのミサイル開発を支援したとして、在米資産の凍結や米企業・米国民との取引停止を発表した。

 対象となったのは北京海立総合科術有限公司、LIMMT経済貿易公司、中国長城工業総公司、中国精密機械輸出入総公司、それに長城工業公司の米国法人GWエアロスペース社(本社・カリフォルニア州トーランス)。

 同省によれば、これら中国企業は、北朝鮮が保有する中距離ミサイル・ノドンを改良するなどして行われているイランのミサイル開発に対して、部品提供などで協力した。リービー財務次官(テロ・金融犯罪担当)は発表した声明の中で、「世界中の国々が、自国企業や金融機関がイランの核開発を支援することがないように適切な手段を取るべきだ」と語った。

中国南部で大雨 死者93人、経済損失1100億円超

2006/06/10 The Sankei Shimbun

 中国南部の福建省などで5月末から降り続いた大雨の影響で、10日までに少なくとも93人が死亡、11人が行方不明になった。56万人が避難し、経済損失は約76億6000万元(約1100億円)以上との見方も出ている。

 被害は福建省のほか広東省、広西チワン族自治区などに及び、10日付の中国英字紙チャイナ・デーリーによると、民政省の集計で、5月28日以降、9の省・自治区の計1200万人の生活に影響が出た。(共同)

中国独自設計DSPは大学教授の捏造

2006/05/23 The Sankei Shimbun大阪夕刊から

≪米のコピー、研究費15億円“詐取”≫

【北京=福島香織】中国で国内初の独自設計DSP(デジタルシグナルプロセッサー)とされた「漢芯」シリーズの研究が捏造(ねつぞう)だったことが上海交通大学の調査で判明した。温家宝首相も絶賛し、研究開発費など1億元(約15億円)を得ていたが、米製品のコピーとわかった。事件の背景には、核心技術をほとんど持たない後発国の焦りや知的財産権侵害に慣れきった研究者のモラルの低さなどが指摘され、中国の「独自技術」への信頼性を揺るがす問題に発展している。

 上海交通大学の声明によると、2003年に米国の研究機関から同大学に戻った陳進教授らが開発したとして大々的に発表したDSP「漢芯」シリーズについて、「調査の結果、重大な捏造と詐欺行為があり、虚偽の研究成果で鑑定専門家、上海交通大学、地方政府および中央関係部門、メディア、大衆をだましていた」ことが判明した。

 陳教授は解雇され、中国教育省が授与した「長江学者」の称号も剥奪(はくだつ)。国家発展改革委員会などが承認していた関連プロジェクトの中止および経費返還が命じられた。

 自主開発したとされていたDSPは、米モトローラ社などの製品を解体し組み立て直したものにすぎなかったという。匿名の告発を受けた大学側が1月から調査を進めていた。当初陳氏は疑惑を否定していたが、最近は沈黙したままだという。

 漢芯は中国独自のIT核心技術とされ、温家宝首相が研究施設を訪れるなど国中の期待が寄せられていた。この3年間で、陳氏らが中央から引き出した研究費は1億元を超えると報じられている。

 事件の背景には、核心技術の自主開発を焦る当局の研究費管理のずさんさや、知的財産権侵害に抵抗のない中国人科学者の功名心などが重なったとみられる。また鑑定に当たった中国科学院の専門家らによる汚職の可能性を指摘する声も出ている。

 中国では今年から始まる第11次5カ年計画(2006−10)で、自主技術開発を重点課題としている。しかし、研究の検証や研究費管理システムの確立など、研究環境の抜本的な改革がなければ、科学立国への道は険しい。

北京で大発生!害虫アメリカシロヒトリ 世界遺産周辺にも出現

2006/05/23 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】北京市郊外や河北省などで、外来種の害虫アメリカシロヒトリが爆発的に増殖し、最近では市中心部まで被害範囲が拡大している。市は4月以来、薬剤を空中散布するなど大がかりな駆除作戦を展開しているが、生命力の強い蛾(が)だけに、大きな成果は上がっていないようだ。2年後に控える北京五輪のテーマ「緑色(エコロジー)五輪」の実現にも影響すると危惧(きぐ)されている。

 中国紙「新京報」などによると、北京市の調査では、1年前に確認されたアメリカシロヒトリの成虫は700匹だったが、現在では2万匹に激増。最近では市中心部の二環路(第二環状線道路)内で初めて発見され、天壇(てんたん)公園など世界遺産周辺にも出現しているとして危機感が高まっている。

 アメリカシロヒトリが中国で最初に見つかったのは1979年、遼寧省丹東市だった。しかし85年には陝西省、92年には河北省、95年には天津と被害が拡大。北京市内でこの蛾が巣くう樹木はすでに5万本が確認されている。

 国家林業局は3月末の段階で「アメリカシロヒトリに対する認識が不足していた。このままでは、無残に葉が食い荒らされた木々が並ぶ中で北京五輪を行わねばならない」と懸念を表明した。中国政府も「アメリカシロヒトリ駆除工作の強化に関する通知」を関係部門に伝達するなど、対策に躍起だ。

 市は今月からヘリによる駆除薬散布を強化したほか、被害地域に誘蛾灯などを設置。また林業当局は天敵のアシナガバチなど10億匹を放す準備を進めており、累計3000万元(約4億2000万円)を投じて、撲滅作戦を展開している。

中国は映画「ダ・ヴィンチ・コード」をノーカット上映へ

2006/05/18 The Sankei Shimbun

 中国の映画配給関係者は18日までに、キリストの描写などをめぐり国際的な論争を呼んでいる映画「ダ・ヴィンチ・コード」のノーカット上映が当局から認められたことを明らかにした。

 封切りは19日だが、17日夜には北京市内で試写会があり、観客の反応はまずまずだった。

 中国当局は映画に対しても厳しい規制を実施しているが、同映画については「上映に積極的」(中国紙記者)という。司教任命などで中国と対立するローマ法王庁(バチカン)が同映画に強く反発していることから、バチカンをけん制する思惑もあるのではないか、との憶測も出ている。

 試写会で映画を見た女性会社員は「キリスト教はよく知らないが、映画そのものは面白かった」と語った。同映画の国内配給会社、中国電影集団公司の担当者は「世界的に注目されている映画だけに、中国でも大ヒットを期待している」と話している。(共同)

注射液に不純物 中国また5人死亡の惨事

2006/05/17 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国国営新華社通信などによると、黒竜江省のチチハル第2製薬が生産した注射液を使用した患者11人に異常が表れ、5人が死亡、6人が重症となる惨事が起きた。注射液の中に不純物が含まれていたことが判明した。

 広東省の中山大学付属第3病院で先月下旬、この注射液を使用した重症の肝炎患者が突然、急性腎機能障害になった。

上海のイメージダウン…中国で「MI3」上映は無期延期

2006/05/15 The Sankei Shimbun

 【中国総局】中国で、トム・クルーズ主演の米人気映画「ミッション・インポッシブル3(M:I:3)」の中国本土での上映が無期延期になる見通しとなった。映画では、上海の都市の景観が映し出されておらず、屋上や横町で破れた服が干されているところばかり描かれているためとみられる。

 中国では今年2月に上映予定だった、中国の人気女優、チャン・ツィイー主演のハリウッド映画「SAYURI」や、米アカデミー賞でアジア人監督が初めて監督賞を受賞した「ブロークバック・マウンテン」も上映されておらず、中国の“文化障壁”に不満が高まっている。

 「M:I:3」の上海での撮影は昨年秋に行われたが、同映画について、14日付の新華社電は上海国際映画祭組織委員会の関係者の話しとして、同映画の公開が無期延期になるとの見方を示した。

 また、上海のメディアは13日、この映画には上海の「マイナスイメージ」の場面が多すぎるため、中国本土では上映されない可能性が高いと報じていた。

 中国ではスティブン・スピルバーグ監督によるハリウッドの話題作「SAYURI」についても、人気女優のチャン・ツィイーが日本の芸者役をしていることから、2月に予定されていた中国での上映が無期延期になったとの観測が流れた。

 さらに、今年3月のアカデミー賞でアジア人監督が初の監督賞を受賞した「ブロークバック・マウンテン」も、男性同士の同性愛を描いていることから、上映されなかったと伝えられている。

 このように米国の話題作がたて続けに上映されないことについて、米メディアの間で、「中国当局による意図的な文化障壁」との見方も出ている。

文化大革命から40年 北京の骨董市場で「毛グッズ」人気

2006/05/15 The Sankei Shimbun

≪「貧しくても平等」な時代懐かしむ?≫

 【北京=野口東秀】中国を大混乱に陥れ、死者1000万人を出したともいわれる「文化大革命」(1966―76年)の開始から、16日で40周年を迎える。14日付の香港紙・明報によると、中国当局は国内での文革の記念活動を一切禁止すると各地に通知した。毛沢東主席(当時)の責任などをめぐり、党への批判が高まることを防ぐ狙いとみられる。しかし、当局のこうした心配と裏腹に、北京市内の骨董(こっとう)市場などでは当時の「毛グッズ」「文革グッズ」が高値で売買され、人気を博している。

 文革当時は、毛沢東主席を礼賛する陶器から書籍まで、あらゆる宣伝道具が製造された。それがいま、北京市内の骨董市場で「毛・文革グッズ」として主役の座を占めている。毛氏の陶器、金属バッジは1元(約14円)から30元、セットものは1000元を超える。「打倒され、紅衛兵に踏まれる劉少奇国家主席」を描いたポスターは珍品として800元。20万元の値がついた毛主席の肖像画の油絵もある。

 記念品としてグッズを買いに来た中年男性は懐かしそうに宣伝ポスターを見つめ、「いわば懐古趣味だね」といい、人民服姿で骨董品を売っていた任義芝さん(85)は「当時は何しろ貧しかったから資本家を憎んでいた。今の中国は金がすべてになってしまって、強い指導力を持つ皇帝が必要なのでは」と語った。

 40年後のいま、毛・文革グッズが売れている現象には、文革の傷が民衆の間で癒えつつある一方で、特権階級の腐敗などから社会への不満が高まっていることを背景に、毛沢東が掲げた平等社会の理想を懐かしむ心理も働いているといえそうだ。

上海協力機構が外相会議 イラン核問題で外交的解決を確認

2006/05/15 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国とロシア、中央アジア4カ国で構成する上海協力機構外相会議が15日、上海で開かれた。昨年、イラン、インド、パキスタンが準加盟国となっており、今回の会議ではイランの核問題で、改めて外交的解決を確認したとみられる。また、6月中旬に開催される同機構の首脳会議に向けた議題や日程などを調整したほか、テロ対策など安全保障面での協力強化に向けて意見交換したもようだ。

中国、地方幹部を一斉交代へ 来年の第17回党大会にらみ

2006/05/15 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国共産党機関紙「人民日報」は15日、全国の省・自治区・市・県・郷の各地方党幹部が今年と来年の2年間で一斉に交代すると伝えた。

 胡錦濤総書記の指導思想を重視した幹部起用を指摘しており、江沢民時代に選ばれた地方幹部を一掃、若手幹部の登用などを通じ、政治基盤を固めるのが狙いとみられる。

 地方幹部の人事は来年の第17回党大会をにらんだもので、同紙によると各レベルでの幹部の数を減らすことで官僚主義の弊害を改善。特に「若さや知識、専門性」を重視し、省レベルで複数いる副書記が削減されるほか、幹部登用のための複数候補制による選挙が一層拡大される見通しという。

中国報道官が米を挑発 胡主席演説妨害で

2006/04/26 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国外務省の秦剛報道官は25日、定例記者会見で、胡錦濤国家主席の訪米歓迎式典の最中に、中国で非合法化されている気功集団「法輪功」メンバーの女性が胡主席の演説を妨害した問題について、「安全対策が厳格で知られる米国でこのような事件がなぜ発生したか、米側に聞くべきことだ」と米当局の警備態勢を皮肉った。

 秦報道官は、この事件で法輪功が「単なる邪教組織ではなく、反中組織であり、中米関係を破壊しようとする政治組織であることが明らかになった」とも指摘した。

ソロモン暴動、中華街で略奪…中国政府が脱出機派遣

2006年04月25日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=杉山祐之】ソロモン諸島の暴動で中華街が焼き打ちに遭い、同諸島と国交のない中国政府がチャーター機による中国系住民脱出作戦を強力に進めている。

 外遊中の胡錦濤・国家主席も23日、住民の安全を確保するよう関係各機関に命じた。

 中国の報道によると、同諸島には約1000人の中国系住民がいる。多くは商店を経営して豊かになり、一部住民に敵視されていた。首都ホニアラで18日に起きた暴動はすぐに中華街に波及、放火や略奪が相次ぎ、19日には中華街の90%が破壊されたという。

 同諸島は台湾と外交関係を持つため、在パプアニューギニア中国大使館が前線本部の役を担った。大使館は航空機をチャーターし、中国籍か同諸島国籍かを問わず、パプアニューギニアなどに出国させた。22日から23日にかけて脱出者は249人に上った。

中国GDP、10.2%成長 1―3月期

2006/04/20 The Sankei Shimbun

 中国国家統計局は20日、ことし1−3月期の国内総生産(GDP)実質成長率は前年同期比10.2%だったと正式発表した。四半期別では昨年4−6月期(10.1%)以来の2けた成長で、工業生産の伸びがけん引し、ことしの成長率目標8%を大きく上回った。

 中国政府は、投資と輸出が主導する過熱気味の景気を抑え、消費主導の成長に移行する方針を表明しているが、1−3月期は投資、貿易とも政府の年間目標を上回り、安定成長路線が軌道に乗っていないことを示した。

 統計局の鄭京平報道官は「貧困問題の解決などを考えると一定の成長は必要」と述べたが、「むやみに高い成長を追求せず、経済発展の持続性に注意する」として、引き続き過熱抑制に努力する姿勢を示した。

 固定資産投資は、年間目標の18%増に対し、前年同期比27.7%増の高い伸びが続いた。個人消費の伸びを示す小売総額は12.8%の伸びにとどまった。消費者物価上昇率は1.2%。

 産業別では、自動車が36%増、小型コンピューターが40%増など工業生産の伸び目立った。

 貿易総額(輸出入合計)も25.8%増と目標の15%増を大きく上回った。輸出は1973億ドル(約23兆1700億円)で、輸入の1740億ドルを上回り、期中の貿易黒字総額は233億ドルに達した。

 1−3月期の成長率は、16日に胡錦濤国家主席が台湾国民党の連戦名誉主席との会談で明らかにしていた。(共同)

中国でなぞの病気?1人死亡 高校1週間閉鎖

2006/04/17 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】中国陝西省岐山県の衛生当局などによれば、同県の益店高校で3月下旬から4月初旬にかけて学生ら200人以上が発熱などの症状を訴え、うち1人が死亡した。同校は1週間閉鎖し、すでに症状の広がりは抑えられたという。一方、4月初旬、北京市門頭溝区の小学校でも数10人が発熱、せきなどの症状を呈し、学校で消毒薬がまかれるなどの事態が起こっていた。

 4月初めに河南省洛陽市の河南科学技術大学で400人以上の学生が発熱やせきなどの症状を訴えていたケースでは、原因は「ウイルス性の呼吸器感染症」とされている。新型インフルエンザやSARSの発生が懸念される時期だけに、国内外の医療関係者の関心は低くない。

中国の1−3月期GDP、10.2%成長

2006/04/16 The Sankei Shimbun

 新華社電によると、中国の胡錦濤国家主席は16日、中国の1―3月期の国内総生産(GDP)実質成長率が前年同期比10.2%に達したことを明らかにした。訪中した台湾国民党の連戦名誉主席との会談で述べた。

 中国の昨年のGDPは9.9%成長で、3年続けて10%前後の高成長を記録。政府は今年の目標を8%前後と設定し、消費主導の安定成長を目指している。1―3月期の貿易総額の伸びは25%だった。

 胡主席は中国経済について「良好な発展の勢い」を維持していると強調する一方、「速すぎる成長は望んでいない。発展の効率や質により重点を置き、(投資や輸出を中心とした)成長方式の転換や資源節約、環境保護、国民生活の改善を重視している」と指摘。現在の経済成長の内容に満足していないことを示唆した。(共同)

黄砂汚染が深刻な北京、青空見えたのは54日

2006/04/14 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】中国では今春、過去5年で最悪とされる黄砂汚染に見舞われている。北部では3月以来9回、黄砂が飛来。北京では呼吸器疾患が急増しているという。北西部の砂漠地帯や黄土高原から偏西風に乗って飛来する黄砂は古来、春の風物詩だが、今や排ガスとの複合汚染として、中国市民の健康を脅かしている。

 北京市環境保護局によれば、今年に入り今月13日までに、青空の見える天気はわずか54日。中・重度の黄砂汚染天気は13日にのぼり、過去5年で最多となった。報道によれば、市内の病院では今週、呼吸器系、眼科、耳鼻咽喉科の外来患者が2割から4割増加したという。黄砂発生源に近いモンゴルでは黄砂の嵐にのまれて遊牧民8人が死亡、4人が行方不明となっている。

海外衛星放送の映像 使用禁止 中国、言論統制強まる

2006/04/14 大阪夕刊からThe Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国国家ラジオ・映画・テレビ総局は「外国の衛星テレビなどのメディアが配信した映像を国際ニュースの番組で使用してはならない」との規定を全国のテレビ局に通知した。中国では新聞、出版、インターネットで言論統制が強まっているが、これに加え一般市民に強い影響力をもつテレビ放送に規制を加えることで、メディア統制を一層強化するねらいがある。

 十三日付の中国共産党機関紙「人民日報」などによると、通知では「いくつかの外国のメディアがさまざまなルートで、国内の地方テレビ局に国際ニュースの素材(映像)を配信・販売しており、政治的意図は明らかだ」と指摘したうえで、「国際ニュースへの規制を強めなければならず、問題が発生すれば、速やかに報告し指示を仰ぐべきだ」と強調した。

 各テレビ局は国際ニュースの映像として、中国中央テレビ局など中国政府指定の国内メディアが配信した映像のみ使用するよう規定している。これは、西側の価値観が普及することや、中国の体制に疑問を抱かせるような映像が放送されるのを阻止する狙い。

 中国では昨年七月、国内のテレビ、ラジオなど電波メディアと外資との合弁を全面的に禁止する措置を講じ、外資との番組共同制作についても厳しく制限しており、このところテレビへの統制も強まっている。

 今回の通知に対し、ネット上では「中央テレビは党を賛美するニュースが多すぎる」などと批判が相次いでおり、「いっそ国内映像の配信も禁止して、テレビ放送そのものをやめたらどうか」と過激な意見も出ている。

知財保護で米中合意 合同商業貿易委

平成18(2006)年04月12日 大阪版夕刊The Sankei Shimbun

海賊版の工場閉鎖など

 【ワシントン=気仙英郎】米中間の通商問題を話し合う米中合同商業貿易委員会(JCCT)が十一日、ワシントンで開かれた。中国側は知的財産権保護対策として、海賊版ソフトの製造工場の閉鎖や正規のソフトウエア利用を義務付ける法律整備を約束したほか、米国産牛肉の輸入再開で合意した。

 JCCTには、中国側は呉儀副首相や薄煕来商務相、米側はグティエレス商務長官、ポートマン米通商代表部(USTR)代表、ジョハンズ農務長官ら主要経済閣僚が出席。合意内容によれば、知的財産権保護では、中国政府や中国国内の企業で使われるコンピューターに合法的なソフトウエアの使用を義務付け、海賊版のCDやDVDを製造している工場を閉鎖する。中国で販売されるすべてのコンピューターに、合法的なOS(基本ソフト)をインストールする。

 また、模造品販売に対する取り締まりを強化し、個人(企業)の知的財産権を保護する。中国側は、これらの合意事項を順守するため、二〇〇六年行動計画を作り、実行することを表明した。

 一方、世界貿易機関(WTO)関連では、中国がWTOの政府調達協定に加盟するための交渉を、二〇〇七年十二月までに開始することでも一致した。

 会談後、記者会見したポートマンUSTR代表は、「中国側に対するわれわれの持続的メッセージは明確だった。中国に対して提供している米国市場と同様の市場整備を中国側に求めてきた」と対中圧力の成果を強調した。中国の呉副首相は会見で、「中国と米国は共に利益を得る合意ができた」と語った。

排水汚染に激怒、中国福建省で住民が工場襲撃

2006年04月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【香港=吉田健一】12日付の香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、中国福建省泉州市で8日夜、工場排水による汚染に不満を募らせた住民約200人が皮革工場や韓国系プラスチック工場など4施設を鉄パイプなどで襲撃、住民と工場従業員双方に複数の負傷者が出た。

 住民は、工場敷地内にある事務所や社宅、食料品店などのガラスやエアコンなどをたたき壊し、金目の物を奪ったという。

 警察が現場に出動したが事態を見守るだけで、地元警察幹部は同紙に「激しい襲撃で、我々は何も手出しできず、一人も拘束できなかった」と述べた。

 工場周辺では、排水による悪臭や農作物・生活用水の汚染などが数年前から問題になっていたという。

広東省で農民ら抗議の座り込み

2006/04/10 The Sankei Shimbun

 10日付香港紙、明報などによると、中国広東省仏山市の農村地帯で農地収用をめぐる地元当局への抗議デモの際に警官との衝突で農民側約100人が負傷したなどとして、女性農民ら数十人が9日、当局に対する抗議の座り込みをした。

 報道によると農民らは、当局が農地を勝手に収用したとして反発。5日に約2000人がデモを行い、警官と一部農民が衝突。農民側は補償などをめぐる当局との話し合いを拒否、衝突の際に拘束された仲間5人の釈放などを求めているという。(共同)

中国の学者ら多党制議論か 香港紙が報じる

2006/04/08 The Sankei Shimbun

 9日付香港紙、明報によると、中国国務院(政府)に属する「経済体制改革研究会」が3月、北京で学者ら約40人を招いて会議を開き、銀行改革のほか、将来の多党制導入の可能性など、現行の共産党一党体制下では「敏感」なテーマを議論した。

 会議は非公開だったが、その後「左派系」ウェブサイトを通じて会議録が外部に流出。「改革名目で党の分裂や政権転覆を狙っている」などと会議の開催に批判の声が出ているという。

 出席者の北京大教授は、サイトに流れた会議録にはいくつか間違いがあるが、実際の内容とほぼ同じであることを認めた。研究会の副会長は、会議の目的は改革について共通認識を得ることであり「個別参加者の過激な言論は会議を代表しない」と話したという。(共同)

中国、“文化赤字”に危機感 ハード製造もソフト作れず

2006/04/08 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 輸出の急激な増大で中国では貿易黒字が拡大し続けているが、その一方で中国の国内メディアでは「外国との文化交流では私たちは完全に赤字になっている」「われわれの祖先はすばらしい文化を作り出しているが、私たちは何も作り出していない」といった“文化赤字”に対する危機感が広がっている。

 華僑向け通信社「中国新聞社」などによると、この問題を最初に提起したのは、前国務院新聞弁公室主任(閣僚級)で人民大学新聞学院の趙啓正院長。同氏は今月初めに北京市内で行われているシンポジウムで、具体的な数字をあげながら中国文化が外国文化に押されている現状を示した。

 具体的には2004年に中国が米国から購入した書籍の著作権は4068種に対し米国に輸出したのは14種。02年までの3年間、中国を訪問して公演活動を行ったロシアの芸術団体は285団体に対し、中国からロシアに訪問したのは30団体。04年までの5年間、中国は外国から4332本の映画を輸入したが、輸出したのはわずか数えるほどしかなかったという。「中国は今、テレビを製造して輸出できても、テレビに載せるソフトを作り出すことができなくなっている」と趙氏は述べた。

 こうした問題提起を受け、中国の各メディアやインターネットの掲示板では「今までの文化政策を反省すべきだ」「海外向けに中国文化を宣伝する政府の部署を設けるべきだ」「外国文化の輸入を制限すべきだ」といった意見が相次いで寄せられている。「四千年」の文明史を持ち、世界文化の発信地の一つと自任する中国にとって、趙氏の「文化赤字」の指摘は、民族のプライドにかかわる一大事のようだ。(矢板明夫)

河南の大学で奇病 400人集団発生

2006/04/04 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】3日付中国青年報などによれば、河南省洛陽市の河南科学技術大学の大学生の間で、高熱や頭痛を伴う原因不明の奇病が集団発生し、患者は少なくとも400人に上っている。3月26日に22人が症状を訴えたのが最初で、27日に88人、28日には204人と、その後も増え続けているという。患者は隔離され、河南省衛生当局が原因を調査中だが、インフルエンザのA型、B型の可能性はないとしている。

中国「バチカンと早期復交可能」 台湾断交など条件に

2006/04/03 The Sankei Shimbun

 中国国務院(政府)の宗教管理部門である国家宗教事務局の葉小文局長は3日付中国英字紙、チャイナ・デーリーのインタビューで、1951年に断交したバチカンとの復交について、バチカン側が台湾との断交など中国側の条件を受け入れれば「早期に復交が可能」との見解を表明した。

 ローマ法王ベネディクト16世が昨年就任後、中国政府の担当部門幹部が復交の可能性について公に言及したのは初めて。

 葉局長は「バチカンとは接触を続けている」とした上で、対台湾断交のほかバチカン側が「内政不干渉」を約束する必要があると述べ、中国政府に司教任命権があることを認めるよう要求。その上で同任命権問題について「協議の余地がある」として柔軟な姿勢も見せた。(共同)

中国外貨準備世界一に 8537億ドルと中国紙

2006/03/28 The Sankei Shimbun

 28日付の中国紙、第一財経日報は、消息筋の話として、中国の2月末現在の外貨準備高が8537億ドルに達し、初めて日本を抜いて世界一になったと伝えた。

 金融関係者の間では、貿易黒字の拡大に加え、中国が現在の人民元の為替レートを維持するため、積極的に元売りドル買いを進めた結果、外貨準備の急増につながったとの見方が根強くある。

 4月の胡錦濤国家主席の訪米を控え、米議会などからは人民元切り上げに向けた圧力が一層強まりそうだ。

 日本の財務省の今月7日の発表によると、日本の2月末の外貨準備高は8500億5800万ドル。中国の外貨準備は早晩日本を抜くとの観測が強まっていた。(共同)

中ロ首脳、エネルギーや核問題協議 戦略関係も確認

2006/03/21 中国新聞ニュース

 【北京21日共同】ロシアのプーチン大統領が二十一日、二日間の日程で北京を公式訪問し、胡錦濤・中国国家主席と首脳会談を行った。双方はエネルギー協力などを協議し、戦略的パートナー関係の深化を確認、共同宣言や二国間協定などの文書に調印する。

 両首脳はイランや北朝鮮の核問題も協議。国連安全保障理事会常任理事国の中ロの首脳がイランの核問題で外交解決を目指す立場で一致し、共同歩調を取れば、安保理協議に影響を及ぼすのは必至だ。

 イランの核問題で、中ロはこれまで「外交ルートを通じて解決すべきだとの主張で一致している」(ロシアのラゾフ駐中国大使)と強調。北朝鮮の核問題では六カ国協議の早期再開を求めてきた。

 日本と中国が競合してきた東シベリアからの石油パイプライン建設計画で、太平洋岸までの中間地点から中国への支線建設で具体的に合意できるかどうかも焦点。

 両首脳はまた、米国の「一極支配」や「単独行動主義」へのけん制をあらためて明確にするものとみられる。

 プーチン大統領の訪中は二○○四年十月以来。胡主席とは昨年十一月にも韓国・釜山でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に会談している。

 両首脳は中国での「ロシア年」開幕式典に参加し、蜜月をアピール。二十二日には中ロ経済界のフォーラムを開催する。

 プーチン大統領は六月には、中ロと中央アジア四カ国が加盟する上海協力機構の上海での首脳会議に出席するため、今年二回目の訪中を計画している。

中国紙調査、80%が対米関係満足 「日中関係とは対照的」

2006/03/18 The Sankei Shimbun

 中国紙「環球時報」は18日までに、中国国内の都市住民約1200人を対象に実施した意識調査で、現在の米中関係について「まあまあ満足」「満足」「非常に満足」と答えた人が計約80%に達したと報じた。

 調査結果について、同紙は識者の発言を引用する形で「歴史を反省しない日本の政治家が日中関係を破壊し、(中国人の)対日イメージが悪化しているのと対照的だ」と分析している。

 調査では一方で、台湾問題で米国と衝突する可能性について「あるかもしれない」「ある」が計60%、「米国は中国を抑え付けている」とした人が59%に達した。

 調査は同紙が2月に北京、上海、重慶など5都市で実施した。(共同)

懲役5年以上が13万件 04年の死刑執行数、世界の9割 中国

2006/03/11 The Sankei Shimbun

 中国最高人民法院(最高裁)の蕭揚院長(長官)は11日、全国人民代表大会(全人代=国会)への活動報告で、全国の裁判所が昨年出した1審判決のうち、死刑を含む懲役5年以上の判決が13万1869件に上ったこと明らかにした。死刑判決の数や執行状況には言及しなかった。

 アムネスティ・インターナショナルによると、中国では2004年に、世界の9割にあたる3400人に死刑が執行された。

 1審判決の総数は前年比約6.2%増の68万3997件。うち国家公務員の公金流用や収賄に対する判決は2万4277件だった。

 また、判決を不服とする住民らが最高裁に行った陳情は昨年、14万7449件に上り、このうち383件を再審決定とした。(共同)

汚職深刻化歯止めかからず 中国検察院が全人代で報告

2006/03/11 The Sankei Shimbun

 中国最高人民検察院(最高検)の賈春旺検察長(検事総長)は11日、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)で、昨年1年間に汚職などで立件された国家公務員が4万1447人に上ったとの活動報告を行った。

 昨年の報告と比べ2310人減ったが、胡錦濤指導部の汚職撲滅強化の姿勢にもかかわらず、汚職の深刻化に依然歯止めがかからない実態が裏付けられた。

 報告によると、収賄額10万元(約147万円)以上、横領額100万元以上の事件で立件された国家公務員は計8490人で、うち閣僚級が8人、局長級が196人に上った。

 国有財産を横領した国有企業の職員は9117人。教育、医療、電力など公共性が高い分野での職員も7805人が刑事事件で立件された。

 また昨年の刑事事件での起訴人数は前年比9.6%増の計95万804人。このうち、商標詐欺や著作権侵害など知的財産権の侵害は1286件、治安当局者などによる不法拘禁や虐待などの事件は599件だった。(共同)

中国、失地農民4000万人 突然の略奪、揚げ句…犯罪者扱い

2006/03/07 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 中国では開発に伴う農地収用で土地を失った農民は4000万人に上るといわれ、土地問題を主な原因とする農民の暴動を含む住民の集団抗議行動は、昨年だけで8万7000件に達した。5日に開幕した全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で温家宝首相は社会のひずみを是正、発展から取り残された農民ら弱者を救済する方針を強調した。しかし、実際に土地を奪われた農民には、救いの手はほとんど届かず、不満は高まるばかりだ。(北京 野口東秀)

 始まりは1997年秋だった。山西省臨汾市の村に住む楊如梅さん(45)の土地に突然、10人ほどの男がトラクターで乗りつけ、農地を徹底的に踏みつぶした。夫婦でやめさせようとしたが、髪をつかまれ殴られた。「村幹部が加わっていた。警察官2人も見ているだけ。私は農地の写真を撮るしかなかった」

 楊さん夫婦の農地は0.3ヘクタール。白菜、トウモロコシなどを栽培。小麦の生産は年350キロ、羊も放牧するなど食糧以外に年間6、7000元(1元約14.5円)の現金収入があり、そこそこの暮らしだった。それが突然、村から土地の明け渡しを要求された。最初に襲われたのはその直後だった。村の幹部に掛け合ったが、十分な補償も得られないため、裁判に訴えた。

 ところが判決を待っていた2003年6月21日。楊さんの家の畑は再び襲われた。8月には鉄パイプを持った男たちが自宅に押しかけ、子供2人も殴られた。しばらくすると、今度は4人の男たちが無断で楊さんの農地を耕していた。やめさせようとしたが、男たちは楊さんを殴り、言い放った。「土地はおまえらのものじゃない」

 03年12月に出た判決は、「村民委員会は13万7000元余を賠償せよ」と楊さんの訴えを認めたが、いまだ1元も支払われていない。

 楊さんは山西省や臨汾市政府などへ「直訴」を始めた。ところが04年8月、自宅に公安当局者が来て拘束された。公安当局者は「あの農地を村に渡していたら罪には問われることはないんだ」と言ったという。

 「地元じゃ解決できない」と思った楊さんは、同年10月末から北京に出た。高架下や駅で野宿し、政府機関を陳情して回った。拘束されては地元に送り返され、05年1月、ついに詐欺容疑で逮捕された。

 親戚(しんせき)を通じ、裁判で認められた13万7000元を放棄し、直訴をやめれば罪は問わないと言われたが、結局詐欺罪で有罪となり、懲役1年、執行猶予1年の判決を受け、控訴した。

 その後、再び北京に出て直訴を再開。貯金も底を突き、借金は3万元以上に膨れあがった。訴えもむなしく11月の2審判決では懲役1年、執行猶予1年、罰金2000元を言い渡された。

 今年の元日、天安門広場の国旗を前に、「冤罪(えんざい)だ!」と大声で叫んだ。3度叫んだとき、駆けつけた警察官に拘束された。「社会秩序を乱した」として10日間拘留された。

 故郷の二男は、山西省太原市の経済管理幹部学院に合格したが、入学金もなく入学できなかった。「土地も奪われ、金ももらえない。犯罪者として罪にも問われた。家があっても帰れない」と嘆いた。

格差縮小へ農村対策重視 中国首相、全人代で報告

2006/03/05 The Sankei Shimbun

 中国の第10期全国人民代表大会(全人代=国会)第4回会議が5日午前、北京の人民大会堂で始まった。温家宝首相は冒頭の政府活動報告で、内需主導の安定成長に向け、今年からの国民経済の中期計画「第11次5カ年計画」期間中の年平均成長率を7・5%とする目標を表明。深刻化する貧富の格差縮小のため、農村対策を最重点課題とする方針も示した。

 今年の経済成長率目標は昨年と同じ8%前後。昨年までの5年間の実績は年平均9・5%と高い伸びになったが、活動報告は「一方的に(成長)速度を追求してはいけない」と指摘、新5カ年計画では、省エネルギーや環境問題にも配慮し、国内総生産(GDP)に対するエネルギー消費を20%減らす目標を掲げた。

 農村対策では今年、3397億元(約4兆9000億円)の財政支出を充て、昨年より422億元増やした。「社会主義新農村の建設」をスローガンに、農村のインフラ整備や農業の生産性と農民の生活水準の向上にも力を入れる方針。

 活動報告はまた、台湾問題について「独立の分裂活動に反対し、決して妥協しない」と表明。同時に「中台間の経済、文化交流を促進し、安定的な関係を構築する」と強調した。

 国民が不満を強めている官僚の汚職に対しては「土地取引などのビジネスをめぐる汚職問題の処理に力を入れる」と対策強化をアピールした。(共同)

乳幼児78人売買 中国・福祉機関も関与か

平成18(2006)年2月28日 The Sankei Shimbun

懲役15年判決 孤児院長ら海外斡旋

 中国の内陸部、湖南省の孤児院で、院長を含む十人が二〇〇五年一年間で七十八人の孤児を海外に斡旋(あっせん)したとして、最高で懲役十五年の判決を受けた。中国では、同年一年間だけで四百四十九件の幼児や女性の誘拐事件が摘発され、約九千人が保護されるなど、犯罪組織による人身売買が“ビジネス化”しているが、この背景には中国の厳しい産児制限を定めた「一人っ子政策」がある。

 英BBC放送などによると、湖南省衡陽県の孤児院の院長らは〇二年から孤児の売買に関係し、乳幼児を八百−千二百元(一万千二百−一万六千八百円)で引き取り、その養育費を上部機関に請求する一方で、一人当たり三千二百−四千元(四万四千八百−五万六千円)で養子縁組を望む国外の人々に紹介していたという。海外の引き取り手については、明らかにされていないが、この売買に関しては、湖南省の福祉機関の組織ぐるみの可能性が高く、福祉機関の関係者ら二十二人が解雇処分を受けた。

 今回の事件で斡旋された乳幼児は広東省から連れてこられたという。

 中国で近年、乳幼児や女性の人身売買が社会問題化している。中国国営の新華社電によると、中国公安当局は〇一年から〇三年までに約二万件の人身売買事件を摘発、女性と子供約四万二千人を解放したという。

 中国では、政府が推進する「一人っ子政策」に加え、依然男の子の赤ちゃんをほしがる伝統も手伝って、赤ちゃんの誘拐事件が続発している。

 同政策は一九七八年末の改革・開放路線の導入にともなって本格化。女児の出生数が男児に比べて少ないことから、一部の農村部では男性の結婚難が深刻化しており、女性の誘拐事件多発に拍車をかけている。

趙紫陽氏一周忌、追悼の市民排除 中国、再評価せず

2006/01/17 The Sankei Shimbun

 1989年の天安門事件で失脚し、昨年1月に死去した趙紫陽・元中国共産党総書記の1周忌の17日、北京市の自宅周辺では多数の警官が警戒に当たり、関係者によると、追悼に訪れた市民約100人を排除、多数を拘束した。胡錦濤指導部は昨年11月、80年代に趙氏とともに改革を推進した故胡耀邦・元総書記について事実上の名誉回復を行ったが、趙氏については再評価する考えがないことをあらためて明確にした形だ。

 趙氏の家族によると、17日は自宅で身内による追悼会を開催。遺骨は、党幹部らを埋葬する「八宝山革命公墓」への埋葬を当局が認めなかったため、今も自宅に保管されている。

 中国当局は天安門事件を「政治風波(騒ぎ)」と位置付け、民主化運動への武力弾圧を今も正当化。趙氏の1周忌でも、治安当局が記念集会開催を呼び掛けた男性を事前に拘束し、民主活動家約30人を自宅軟禁下に置くなど、市民や活動家らによる追悼の動きに対し力ずくで抑え込みを図った。

 中国では天安門事件当時に民主化運動に参加した学生らが批判した「官僚の腐敗」が一層深刻化、貧富の格差拡大に対する不満も強まり、各地で抗議行動が相次いでいる。胡指導部は、民主化要求への対応を緩めれば社会の不安定化を招き、共産党一党支配への批判が噴き出しかねないとして警戒を強めている。

 国営通信の新華社は昨年1月、趙氏の葬儀の際に同氏が「党と人民に有益な貢献をした」としながら、天安門事件で「重大な過ちを犯した」と伝えた。しかし、趙氏の側近だった鮑●氏は16日に手記を発表し「民主制度を確立しない限り、中国の経済や社会は必ず危機に直面する」と指摘、本格的な政治改革を避けている胡指導部を批判した。(共同)●=丹彡

中国新富裕層に資産格差 年収20万元までが8割

2006/01/16 The Sankei Shimbun

 中国の都市部住民のうち、世帯年収8万―100万元(約114万―1420万円)の「新富裕層」が全体の10%前後を占めることが北京の民間調査会社「新生代」がこのほど行った調査で分かった。

 新富裕層は、年収20万元までが81%と大多数で、20万―40万元は15%、40万元以上は4%にとどまった。大卒以上が7割で、専門職や経営者が多いとしている。

 保有資産にも格差があり、20万元までの多数派の不動産保有は平均1.5件で、床面積は97.5平方メートル。自動車保有率は5割弱にとどまり、平均価格も7万7000元と大衆車クラス。

 一方、40万元以上の最富裕層は、1世帯当たり平均2.3件の不動産を保有し、住居の平均床面積も155平方メートル以上。9割以上が自家用車を保有し、平均価格も約33万元と高級車クラス。3分の1が自ら起業した経営者だった。

 調査は昨年7月から10月にかけて、北京、上海、広州など12都市の約1万人を対象に実施した。(共同)

減りゆく中国人の「姓」 背景に一人っ子政策?

2006/01/15 The Sankei Shimbun 【東京朝刊から】

 【北京=福島香織】中国科学院が最近「姓」の分類調査を行った結果、20年前は1万2000種以上あった姓が4100しか確認されなかった。中国は古来姓の種類が少ないとされ、南宋の学者・王明清が漢族の姓についてまとめた「百家姓」に紹介されている姓は500余。「現代版百家姓」調査では人口の87%が129種の同姓に分けられるという。

 調査結果によると全国2億9600万人のサンプルで4100種の姓が確認され、多い姓ベスト3は李(7.4%)、王(7.2%)、張(6.8%)。13億人口で換算するとそれぞれ9600万人、9400万人、8800万人となった。比率は若干下がったが、中国人が5人集まれば李さんか王さんか張さんがいることになる。ベスト4、5は劉、陳が続いた。人口の1%以上の姓は18種、0.1%以上の姓は129種で、人口の87%が129種の姓に分けられる。

 中国でこれまでに存在してきた姓は累計2万2000種。姓の種類が減った理由の説明はないが、一人っ子政策などの影響で希少な姓が消滅する傾向にあるといえそうだ。

中国の公害対策「日本の経験手本に」 共産党の機関紙

2006/01/15 The Sankei Shimbun

 中国共産党の幹部養成機関、中央党校の機関紙、学習時報は16日付で、日本が戦後行ってきた公害対策を紹介し「経済成長の過程で直面した環境問題を解決してきた日本の経験を手本にするべきだ」とする記事を掲載した。

 中国では、急速な経済発展に伴い環境破壊も深刻化。最近も工場廃水の垂れ流しなどによる河川や農地の汚染が相次いで発生しており、日本の経験を参考に環境対策に力を入れる必要性を強調したものとみられる。

 同紙は、日本で1960―70年代の経済高度成長期に大気や水質の汚染が深刻化して公害病が頻発したと指摘。その後(1)公害対策を定めた法律の整備(2)技術開発を含めた企業の環境対策強化(3)ごみの分別処理など消費者の意識向上―を挙げ、官民の協力で80年代には公害を「ほぼ解決した」と評価した。

 さらに「日本は現在も省エネや環境への負担減少のために技術開発を続けている」と指摘、中国は日本の方法を参考にすべきだと強調した。(共同)

子ども50人が鉛中毒 中国甘粛省で河川汚染

2006/01/14 The Sankei Shimbun

 中国甘粛省天水市の農村で昨年10月、吐き気や食欲不振などの症状を起こした子ども50人が鉛中毒と診断されていたことが分かった。中国紙、北京青年報が14日報じた。

 中国では各地で河川汚染が相次いでいるが、地元の環境当局は、今回の集団中毒も鉛を含んだ工場排水による河川汚染が原因とみて排出源の工場に一時、操業停止を命じたという。

 同紙によると、同省蘭州市の研究所が子ども50人を検査した結果、体内から基準値を上回る鉛が検出された。同村では過去数年間に、約200人の子どもが同様の症状を起こし、一部の子どもについては汚染された河川で遊んでいたことが確認されている。

 地元住民によると、村内の2つの工場から出る排水のため、以前は清流だった付近の河川は真っ黒に汚染。特産のリンゴ生産量も年々減少、収穫しても「同村産は危険」とされて売れ行きが悪くなり、生活面でも深刻な影響が出ているという。(共同)

中国ハルビンで氷雪祭 河川汚染、「安全」アピールに躍起

2006/01/05 The Sankei Shimbun

 中国東北部の黒竜江省ハルビン市で5日、恒例の氷雪祭が開幕したが、同市を流れる松花江で化学工場爆発による大規模河川汚染が起きたばかりで、観光客減少を懸念する地元政府は安全性アピールに躍起になっている。

 ハルビン市政府は氷雪祭宣伝のため、外国人記者約50人を招待。市共産党委員会トップの杜宇新書記は記者会見で「河川汚染による影響は極めて小さかった。飲料水も安全だ。安心してほしい」と述べ、環境への影響に対する懸念を打ち消した。

 さらに市当局者の一人は、氷像などに使うために松花江周辺から切り出した氷と雪について「河岸上の氷雪を利用しており、汚染されているはずがない」と説明。矢継ぎ早に汚染問題を訪ねる外国人記者団に「あまり騒がないでほしい」と述べ、観光客減少への不安をのぞかせた。

 市側によると、ハルビンの氷雪祭は「世界四大氷祭」のひとつとされ、昨年は40万人が訪れたという。市内にはモスクワのクレムリン宮殿を模した氷の建造物や竜の氷像などが立ち並ぶほか、寒中水泳も行われ、祭ムードは徐々に盛り上がった。(共同)

汚染河川からの取水再開 中国広東省

2006/01/03 The Sankei Shimbun

 中国広東省を流れる北江にカドミウムなどの有毒物質が流出した問題で、住民10万人以上が給水停止などの影響を受けた同省英徳市は1日、停止していた河川からの取水を再開した。3日付中国系香港紙、文匯報などが報じた。

 報道によると、同市の取水口での汚染濃度が、浄水措置により国の基準を下回った。ただ、下流の清遠市近くでは依然、基準濃度を上回る汚染が確認されており、専門家らが浄水作業を続けている。(共同)

中国のGDP、05年は9.8%成長か

2006/01/03 The Sankei Shimbun

 3日付の中国英字紙チャイナ・デーリーによると、中国国家発展改革委員会の欧新黔・副主任はこのほど、2005年の中国の国内総生産(GDP)実質成長率が9.8%に達したとの見通しを明らかにした。

 05年のGDPは3年連続で9%台達成が確実視されていたが、これまでは9.4%程度とみられていた。(共同)

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