TOPIC No.5-5-6 学級崩壊と悩める教師

小学生の校内暴力、過去最多 対教師が前年度比33%増

2005/09/22 The Sankei Shimbun

 2004年度に公立小学校の児童が校内で起こした暴力行為は、上昇に転じた前年度を290件上回る1890件で、1997年度の現行調査以降、2年連続で過去最多を更新したことが22日、文部科学省の「問題行動調査」で分かった。中学、高校は増加した前年に比べ減少した。

 文科省は「表現力や忍耐力不足から短絡的に暴力行為をする小学生がいる一方で、教員が子どもを注意深く見るようになったことも増加の要因ではないか」としている。

 同省によると、小学生の校内暴力のうち、教師への暴力は336件で、前年度に比べて32.8%増えた。子ども同士は992件(前年度854件)、器物損壊は544件(同477件)などとなった。校外での暴力行為は前年度比18.6%増の210件。

 中学生の校内暴力は2万3110件(同2万4463件)、高校生は5022件(同5215件)で、いずれも減った。

 小中高全体では、校内暴力は前年度比4.0%減の3万22件。校外暴力は4000件(同4114件)で、4年連続の減少だった。

 いじめは、小中高などの合計が2万1671件と、前年度から7.2%の減少。しかし、高校は51件増え、2121件に上った。学年別は中1が最も多く、全体の約30%を占めた。

 都道府県別では、小中高全体で暴力行為が増えたのが17府県、いじめが増えたのが15府県だった。1000人あたりの発生率は、暴力は高知の9.9が最多、徳島の0.2が最少で、いじめは栃木の3.9が最多、福島の0.1が最少だった。

 また、初めて実施した高校生の不登校調査では、全生徒の1.8%にあたる6万7500人が不登校で、うち36.6%が中退していた。

 国立を除く私公立の高校生の中退者は前年度より0.1ポイント減って2.1%の7万7897人だった。(共同)

 <暴力行為> 文部科学省の調査では、公立小中高校の児童生徒が起こした暴力行為を(1)対教師(2)生徒間(3)教師や生徒以外の対人(4)学校設備などの器物損壊−の4種類に分類。「教師の胸ぐらをつかむ」「生徒同士がけんかをしてけがを負わせる」「卒業式で来賓を足げにした」「トイレのドアを壊す」などを対象に集計したが、明確な基準はない。生徒間が最多で、器物損壊、対教師の暴力が続いている。(共同)

野球部員に全裸ランニングさせる 岡山の私立高

2005/09/21 The Sankei Shimbun

 岡山県鴨方町の私立おかやま山陽高校野球部で練習中、元監督(35)=今年6月に解任=が、部員に全裸でグラウンドをランニングさせていたことが21日、分かった。元監督は、全裸でのランニングが行われた事実を認め「申し訳ない」と謝罪しているという。

 同校は、嫌がる部員にも強制的に命じたのかどうかなど当時の状況や経緯について事実確認を進めており、県高野連も報告書の提出を求めている。

 原田三代治(はらだ・みよじ)校長によると、全裸でのランニングは同校野球部グラウンド(同県金光町)で行われた。部員からの聴取で、少なくとも昨年夏と今年6月の2回あったことが判明。原田校長は「2002年にも聞いたことがあるが、当時は部員たちの悪のりと受け止めていた」としている。

 元監督は6月、部員の喫煙などの不祥事を県高野連に報告しなかったとして解任された。以後進路指導に当たっていたが、8月中旬、「寮の掃除をした」とうその報告をしたとして3年生部員数人を殴り、9月1日付で依願退職した。

 この際、保護者から全裸ランニングがあったとの指摘を受け、学校側が四十数人の部員全員からアンケート形式で事情を聴いたところ、事実を認める声があり、調査を始めた。

 原田校長は「認識が甘かった。事態を重くみて早期に調べ、適切な指導をすべきだったと思う」と話している。

 元監督は母校の沖縄県立高校を甲子園出場に導いた手腕を買われ、2002年7月に同校監督に就任したという。(共同)


「受け皿」作り免職 不適格教員排除

2001.02.27 The Sankei Shimbun
地教行法改正案を閣議決定 教委に保護者も

 指導力不足が明らかな「不適格教員」を教壇から排除できる仕組みの確立や、実際に子供が学校に通っている年齢層から教育委員を任命し、教育委員会の活性化を図ることなどを盛り込んだ「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地教行法)の改正案が二十七日、閣議決定された。今国会に提出される。昨年末の教育改革国民会議最終報告の趣旨を踏まえ、地域や保護者の意見を的確に教育現場に反映させるのがねらい。

 改正案は、(1)教育委員会の活性化(2)指導が不適切な教員の転職(3)公立高校の通学区域にかかわる規定の削除−の三点が柱。

 「教育委員会の活性化」では、教育委員会に実際の保護者の意向をより一層的確に反映できるよう、委員の任命に当たって保護者が含まれるようにする「努力規定」を盛り込む。さらに、これまで非公開が通例だった教育委員会の会議についても、公開を原則とする。

 さらに、校長のリーダーシップを明確にし、責任のある学校経営を実現させるために、市町村教委が都道府県教委に教職員人事を内申する際、校長の意見を付けることが可能となる。

 「指導が不適切な教員の転職」では、(1)児童生徒に対する指導が不適切であること(2)研修など必要な措置が講じられたとしてもなお指導を適切に行うことができないと認められること−の二要件に該当すると判断された市町村の教員については、免職した上で、引き続き当該の都道府県で、教員以外の職に採用ができると定める。

 これまで、指導力不足と認められても、規模の小さい市町村の場合、教壇から排除した後の「受け皿」としての職場が確保できないケースが多かった。今回の改正で、事実上、不適格教員排除のための広域人事異動のシステムが整備されることになる。

 排除のための二要件に該当するかどうかの判断の手続きについては、各教育委員会の規則で定めるとしており、今後、各地でさらに論議が続けられる。

 「公立高校の通学区域にかかわる規定の削除」では、規制緩和を推進する立場から、公立高校の通学区域(学区)の規定を削除。学区の設定は各教育委員会の判断にゆだねるとした。この措置によって事実上、全県一区の高校の設置が可能となる。

 町村信孝文部科学相はこの日の閣議後の会見で、「先生は、子供たちの人間形成過程において、重要な役割を果たす存在。この法案で、より良い先生が増えていくことが期待されるし、そうあってほしい」と話した。

学校便りに「皇紀」「大東亜戦争」 校長に市教委が注意

2001.02.27(21:53)asahi.com
 埼玉県の大宮市立植水中学校(生徒247人)で、全校生徒に配られる学校便りに掲載された水野孝市校長(53)のあいさつ文に、戦前教育で使われた「皇紀」「大東亜戦争」という言葉が使われていたことが分かった。国旗掲揚の強制ともとれる文章もあり、同市教委は「市民に誤解を招く言葉を学校便りに掲載するのは好ましくない」として、同校長に口頭で注意した。

 問題の学校便りは、1月9日付の「睦月(むつき)は温故而知新の決意新たに行動する植水中に」と題した校長の新年のあいさつ文。

 「皇紀2661年(平成13年、西暦2001年)の新春を平穏に迎えられ……」という書き出しで始まり、「我が家でも元旦(がんたん)、成人の日に国旗を掲揚し新春を祝いました(これは国民として当然のことですし、国際的には当たり前のことです)」とのくだりが続く。

 さらに「わが国には皇紀より前に縄文時代があります。それぞれの家庭でいつから意識して生きているかが問われます」とし、「大東亜戦争の敗戦後はわが国の良き生き方の伝統が捨てられてしまって混乱している」と書いている。

 水野校長は「皇紀は年号の一つとして紹介し、大東亜戦争という言葉は父からよく聞いていたので無意識に使ってしまった。生徒への国旗掲揚の強制の意図はない。心を痛めている人がいれば訂正文を出すことも考えたい」と話した。

 1月中に保護者から市教委に苦情が寄せられたため、校長に電話で注意。校長も了解したという。市教委指導部の加々美健一次長は「校長の一つの考えを述べたのだろうが、立場と掲載場所にもっと配慮した方がよかった」と述べた。

17歳の飛び入学、全分野に/文部科学省

2001.02.25 The Sankei Shimbun
 文部科学省は二十五日までに、現在数学と物理の二分野に限って十七歳の大学入学を認めている「飛び入学」について、対象を全分野に広げるとともに、短大や専門学校への入学についても認める方針を固めた。

 今国会に学校教育法の改正案を提出し、成立すれば二○○二年度の新入生から、各校の判断で導入できるようになる。高校二年(十七歳)という対象年齢は維持する。

 飛び入学受け入れの間口を広げることで、多様な分野で優れた人材を育成するのが狙い。しかし、少子化の中で学生確保に苦労する大学などが、この制度を使って学生の「青田買い」に走ることを懸念する声も出ている。

 飛び入学は一九九七年六月の中教審答申を受け、物理と数学について、大学院研究科博士課程を持つ大学に限り認められた。

 しかし、千葉大が九八年度から導入、名古屋市の名城大が二○○一年度からの受け入れを決めただけで、ほかの大学に広がる兆しはみえない。

 こうした中で、首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」は、昨年末の報告で大学入学年齢の制限撤廃を提言した。

 これを受けて、文部科学省も制度の定着、拡大を目指し抜本的な改正を検討。対象分野の限定を外した上で「専門的な才能を伸ばすという面では、四年制大学と短大・専門学校の間に違いはない」として、受け入れ校の拡大も決めた。

校長らが教員に「退職願」強要 東京都立ろう学校

2001.02.24(06:56)asahi.com
 東京都立杉並ろう学校(杉並区)の野曽木迪雄校長と古館光夫教頭が、会議でほかのクラスの問題を指摘して教師同士の対立を招いた男性教師に対し、「教員として不適格」という理由で「退職願」を書くよう求め、自宅謹慎を命じていたことが分かった。指導が不適切な教員については、文部科学省が配置転換をする法改正を今国会に提出する予定。だが「退職の強要は認められない」としている。

 関係者によると、今月14日にあった中学部の教職員による年度末の反省会議で、資料に「心がバラバラなクラスがある。もっと担任が手をかけた方が良い」とのくだりがあった。批判されたと思った1年生の担任と、自分が書いたと認めた男性教師が言い争いになった。翌日も話し合おうとした男性教師に担任が木刀を手に「出て行け」といい、騒ぎになったという。

 このため校長と教頭は15日に男性教師を呼び、教頭が「一身上の理由により3月31日をもって退職いたします」と「退職願」の手本を書いて、3日後までに同じものを書いてくるよう指示したという。

 そのうえで「自宅で反省することを命ずる(職務命令)」との手書きの文書を渡した。理由には「教員を著しく傷つけた」「教師としての人格、資質とも不適格と判断せざるを得ない」「仲間教員との傷害事件に発展するおそれがある」などと記されていた。

 野曽木校長はこの教師を不適格とした理由について「生徒と目線があっていない、愛情がないなどの苦情があった」と説明。退職願については「教頭がしたことに私は黙って同意した。反省を促す意味で出させようとしただけで、退職させる意図はなかった。すまなかった」と話している。

 文部科学省教育企画課は「免職処分以外に退職を強要することは認められない。指導力不足の教員については、校長の判断だけでなく、都道府県教委に審査機関を設けて複数の目で判断するよう求めていく」としている。

めざせノーベル賞、浦和高校が英国留学制度創設へ

2001.02.20(15:07)asahi.com
 英国のパブリックスクールに留学し、オックスフォード大やケンブリッジ大など有力大学への進学をめざす制度を埼玉県立浦和高校が創設する。理系の研究者をめざす生徒らに早くから海外で一流の教育に触れさせ、才能を引き出す狙い。新年度は2、3年生数人を9月に派遣する。文部科学省によると、海外の大学進学に道を開く留学制度を公立高校が独自に持つのは極めて珍しい。

 浦和高は宇宙飛行士若田光一さんの出身校。倉橋政道校長は「(宇宙飛行士に続いて)卒業生からノーベル賞受賞者を出したい」と期待している。

 浦和高はロンドン近郊のパブリックスクール・ホイットギフト校の姉妹校。同校は昨年、学年の約1割がオックスフォード大かケンブリッジ大に合格した。

 今回設ける制度で留学する浦和高生は同校の第6学年に編入され、2年間かけて英国の大学入学資格(GCE―A)を取得、英国の大学進学をめざす。

児童・生徒の出席停止の要件明記 学校教育法改正案原案

2001.02.13(23:30)asahi.com
 教育改革国民会議の提案を具体化するため、文部科学省が検討している学校教育法の改正案の原案が13日明らかになった。問題行動を起こす児童・生徒を出席停止にするための要件を明記するほか、大学への飛び入学を一般化するよう法律に盛り込む。学校での「奉仕活動」については、「体験活動の充実に努める」と書き込む。細部を詰めた上で、通常国会に提出する予定だ。

 改正法案は、市町村教育委員会が出席停止を命じることができる子どもの行為として、(1)他の小中学生の心身に損害を加えるか財産に損失を与える(2)職員の心身に損害を加える(3)学校の施設または設備を損壊する(4)授業その他の教育活動の実施を妨げる――という点を示した。その上で、出席停止にした子どもに対して、「学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする」とした。

 一方、現在は学校教育法施行規則で、数学や物理の分野で例外的に認めている高校2年からの大学入学を一般化するため、各大学が定める分野で「特に優れた資質を有する」と認める者まで拡大して法律に明記する。

 また、教育改革国民会議が「小中学校で2週間、高校で1カ月」と提案した「奉仕活動」については、「社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の充実に努めるものとする」といった条文を加えるにとどめ、内容、期間は各教委や学校の判断に任せる方針だ。

2校で相次ぎ窓ガラス割られる 千葉

2001.02.12 The Sankei Shimbun
 十二日午前七時半ごろ、千葉市若葉区若松町の市立若松中学校で、校舎一階の事務室などの窓ガラス計四十九枚が割れているのを出勤してきた教諭(43)が見つけ、千葉東署に届けた。

 また同校から約五百メートル離れた市立若松小学校でも校舎一階の窓ガラス計四十七が割れているのを近所の人が見つけた。

 調べでは、いずれも現場に石などが散乱していた。同署は同一犯が投石した可能性があるとみて器物損壊の疑いで調べている。

高校で不審火、スクールバス焼ける 京都・福知山

2001.02.12 The Sankei Shimbun
 十二日午前三時四十分ごろ、京都府福知山市正明寺の私立福知山淑徳高校(山口亨校長)で火事があり、鉄骨平屋の車庫約百五十平方メートルと、車庫と隣接の体育館をつなぐひさし約百平方メートル、車庫などに止めてあったスクールバス四台を焼いた。けが人はなかった。

 福知山署の調べでは、体育館付近から炎と煙が上がっているのを近所の人が見つけた。現場に火の気がないことなどから、同署は不審火とみて調べている。

教育正常化へ「ご意見番」 北海道

2001.02.12 The Sankei Shimbun
改革協議会14日に設立 財界人ら発起人に

 北海道の教育関係者や財界関係者が結集し、教育現場の改革をめざす「教育改革道民協議会」が設立されることが、十一日までに決まった。北海道では、道教委と北海道教職員組合(北教組)間で違法な協定(46協定)が存在する事実が明らかになるなど、教育の正常化に向けての取り組みが進められている。教育改革のうねりが本格的に地方にも波及した形で、今後、教育正常化に向けての民間の「ご意見番」の役割も期待できそうだ。

 協議会の設立発起人には戸田一夫・北海道経済連合会名誉会長をはじめ、伊藤義郎・北海道商工会議所連合会会頭、大森義弘・北海道経済同友会代表幹事ら、北海道を代表する顔ぶれがそろった。今月十四日午後四時から、札幌市中央区のホテル札幌ガーデンパレスで設立大会を開く。

 同協議会の設立趣意書は、「二十一世紀の日本や、わが子の未来はどうなるのかという危機感から、教育改革こそ最重要の国家的課題であるとの認識が急速に広がってきた」と指摘。

 憲法調査会の設置や、国旗国歌法の制定、教育基本法見直しの議論などの社会の動きが、教育の分野でも正常化運動や教科書改善運動のかたちをとって国民的な高まりをみせているとして、「明るい未来の根底となる教育の充実をめざし、民間レベルの道民運動組織として教育改革を強力に推進する」としている。

 北海道では昨年九月、札幌市教委が学校現場での「国旗・国歌」の適正な指導を求める職務命令を出したことをきっかけに、これに反発する北教組など教職員組合側との対立構造が表面化。北教組の支部の札幌市教組が、市教委の指導主事の学校訪問を組織的に拒否したり、市教委の庁舎内に座り込んだりするなど、混乱が起きた。

 問題は国会でも取り上げられ、学校を四時に退勤できるなど違法な勤務実態の原因となっている46協定の存在が問題となり、北海道教委の鎌田昌市教育長が一部破棄を表明。さらに、文部省(当時)が北海道の教育現場全体について調査を指示する事態になっている。

 同協議会は「一つの問題だけにとらわれず、子供たちのための幅広い道民運動にしていきたいが、北海道の教育の正常化にも全力で取り組む」と話す。

 北海道を選挙区とする町村信孝・文部科学相も「これまで、教育現場の実態があまりに外部に知らされていなかった。正常化に向け、民間の力に期待したい」としている。

 設立大会では、「これからの教育のあり方」と題して、清水司・早稲田大名誉教授の記念講演も行われる。問い合わせは同協議会事務局(TEL.011-271-7567)まで。

歴史、道徳教育を推進/大阪の公立校 教職員が新教組結成へ

2001.02.08 The Sankei Shimbun
 日本の伝統・文化を尊重する歴史教育や道徳教育の推進を目的に、大阪府内の公立学校教職員の有志が八日までに、新しい職員団体(組合)の結成を決め、十一日に支援団体の設立総会を開く。一年以内に、教育委員会との交渉権を持つ職員団体として登録し、適正な勤務状況の実現など教育行政機関への交渉・要望活動を行うほか、研修会を通じてメンバーの資質向上や教育内容の充実を目指す。日本の伝統文化や道徳を否定・軽視する教育や、勤務時間中の違法な組合活動などが全国で明らかになり、教育正常化が急がれるなかで、注目を集めそうだ。

 支援団体の名称は「教育懇話会・大阪」とし、公立学校の教職員数十人のほか賛同する府民らも参加。職員団体の結成を準備し、その後も教職員と府民が意見交換する組織とする。

 職員団体は、定期的な研修会の開催を通じ、歴史・道徳教育などについて研究し、管理職としての資質も養成する。広島県や三重県では勤務時間中の違法な組合活動が明らかになり、大阪府立学校でも処分者が出たことを受け、教育行政機関との交渉や要望活動で、勤務の適正化も目指す。

 支援団体の設立趣旨書や綱領案は、(1)日本固有の伝統と文化を次代に確実に伝える(2)児童・生徒に国民、公民としての自覚を抱かせ、義務感、規範意識の向上に努め、祖国愛、郷土愛を高めさせる−ことなどを目的に教職員団体を結成する、としている。

 日本教職員組合(日教組)や全日本教職員組合(全教)の勢力がなお強い公立学校の現場では、日本の伝統文化を尊重する歴史教育や道徳教育が軽視される風潮が強い。大阪府内も同様で、例えば公立小・中学校(大阪市除く)の平成十年の卒業・入学式の国歌斉唱率は全国最低だった。

 懇話会事務局担当の玉置裕俊・府立養護学校教諭は「職員団体にはできるだけ多くの教職員に参加してもらい、大阪の教育を立て直していきたい」と話している。

 藤岡信勝・東大教育学部教授の話 「日教組の教研集会で組合員たちが来賓にやじを飛ばしていたが、社会常識に反する先生たちが学校現場に存在する。この教師たちがいて、成人式で騒ぐような若者が育っている。教職員も権利や生活の保障を求めて団結するのは当然だが、偏ったイデオロギーに支配されてきた。良識を備えた職員団体が生まれなければ、教育現場はよくならない。教育正常化に向けて芽が出ている表れと歓迎したい」

 「教育懇話会・大阪」の設立総会は十一日午後一時半から、大阪市天王寺区東高津町の大阪府教育会館で。問い合わせは玉置教諭(TEL0726・33・4626)へ。

教室で爆発、中3大けが 千葉・市原

2001.02.06 The Sankei Shimbun
 六日午前八時半ごろ、千葉県市原市不入斗の市立有秋中学校(下原正規校長、生徒数七百人)の三年生の教室で、朝のホームルーム中に男子生徒(15)が手に持っていたプラスチック製容器が「ボン」と大きな音を立てて爆発。この男子生徒が砕け散った破片などで左手や顔に大けがをした。

 市原署などの調べでは、爆発したのは口臭防止スプレーの空容器とみられ、市販のおもちゃ用火薬をほぐしたものと、釣り用のおもりを加工した二−三ミリの粒状の鉛が多数詰めてあったという。男子生徒が遊びで作ったものらしい。

 教室には、担任の男性教諭(47)を含め計三十五人がいたが、ほかにけがはなかった。

 男子生徒は当時、前から二番目の廊下側の席に着席。手元で容器をゆすったりしているうちに何らかの原因で爆発したとみられ、同署が詳しく調べている。

 同級生らによると、この生徒は以前から火薬を詰めた小さな容器を持ち歩いていたといい、公園などで地面や壁に投げ付けて爆発させ遊んでいたという。

 下原校長は「安全であるべき学校でこのようなことが起き、申し訳ない」と話している。

特色ある学校を 横浜市が市立各校に3〜5百万円配る

2001.02.01(23:28)asahi.com
 横浜市は1日、地域の特性を生かした学校づくりを支援しようと、市立の全520校を対象にした「学校の特色づくり推進費」を新設すると発表した。2001年度予算案に17億3100万円を計上し、各校に300万―500万円を配る。自由に教育活動に使えるのが大きな特徴だ。市によると、自治体が独自にこれだけの金額を一律に配るのは、全国でも珍しいという。

 市教委によると、2002年度からの新教育課程の実施に伴い、各学校が創意工夫を生かした学校づくりに本格的に取り組めるように設けた。

 1校あたりの額は小学校と盲・ろう・養護学校が300万円、中学校400万円、高校500万円。市教委は、使ってはいけない項目を集めた簡単な指針を作るが、活動内容には口を出さない考えだ。

 高秀秀信市長は「予算の使い道を決めずに渡すことで、学校が自主性を発揮する。評価は地域の人がするのが好ましい」と期待する。文部科学省初等中等教育企画課は「学校には計画を練って運営していく能力が求められる。いい取り組みだと思う」と話している。

小学校のクラブ活動、釣りや登山も 新潟・川口小

2001.01.28(18:11)asahi.com
 学校週5日制が来年4月から完全実施されるのに伴い、小学校のクラブ活動が「存亡の危機」にさらされている。これまで週一コマあった授業時間が、新学習指導要領ではゼロになるためだ。そこで新潟県川口町立川口小学校は、クラブ活動を学校教育から地域活動に衣替えさせて続けていく試みを始めた。授業時間の確保に苦心しているのはどの学校も同じで、こうした動きが広がる可能性もありそうだ。

 釣り、川遊び、登山、キャンプ料理、大昔体験、ゲートボール……。川口小がクラブ活動の「どようクラブ」にとり入れた内容だ。月一回、土曜日に校外で活動する。先生のほかに地域住民の約20人も趣味や特技をいかして指導に参加している。一昨年秋から試み始めた。

 週一コマの授業時間をまとめて使う形で、今年度はあくまで学校教育の一環。毎週土曜日が休みになると、「授業」ではなくなるが、そのまま地域の活動へ移行させる心づもりだ。

 こうした試みの利点は、クラブ活動を事実上続けられるだけではない。平沢平四郎校長は「土曜日をまるごと使うので、これまでできなかった活動ができる。地域の人の目が子どもたちに向くようにもなってきた」と語る。

 半面、休日の活動は先生には勤務時間外のボランティアになり、「強制はできない」という難点はある。それでも活動を進めてきた同小の鷹巣大城教諭は「地域と家庭、学校が、子どもを育てるという理念を共有することが出発点になる」と話している。

基本法見直しの諮問時期は明示せず 教育新生プラン

2001.01.20(15:19)asahi.com
 教育改革国民会議の最終報告を受けて政府・与党が検討していた「21世紀教育新生プラン」の全容がわかった。与党筋によると、不適格教員の配置転換や問題を起こす児童・生徒の出席停止措置について、通常国会への法案提出などの手順を示した。一方で、与党内にも異論がある教育基本法の見直しは中央教育審議会(中教審)への諮問時期を明示せず、満18歳を超えた青年の奉仕活動は2001年度中をめどに結論を出すとした。意見の分かれる課題は先送りする意向をにじませ、7月の参院選を意識した仕分けになっている。

 プランは教育改革国民会議の最終報告に盛り込んだ提言について、具体的な施策とスケジュールを示している。25日に開く文部科学省の教育改革推進本部の会合で正式に決める。

 教育基本法改正についてはこれまで、森喜朗首相が参院選前に自民党の方針をまとめるよう指示。町村信孝文部科学相も参院選前にも中教審に諮問する考えを示し、「法案に近い姿で諮問したい」と語っていた。しかし、連立を組む公明党が慎重なうえ、教育改革国民会議でも根強い反対意見が出ていた。

 このため、文部科学省としては「諮問が参院選の前か後かは政治判断だ」(幹部)として、諮問の時期を示さないことにした。

 奉仕活動の推進では、小・中・高校の児童・生徒を対象にしたものについては、通常国会に学校教育法と社会教育法の改正案を提出するとした。しかし、18歳を超える青年の奉仕活動のほか、教員免許の更新制など、国民会議でも異論のあったテーマは2001年度中をめどに結論を出すとして、参院選後の検討課題とした。

 一方、不適格教員の配置転換、いじめや学級崩壊の一因となる問題児童・生徒の出席停止措置、大学入学年齢の撤廃などを進めるため、学校教育法や社会教育法の改正案を通常国会に提出すると明記した。優秀な教員の昇給や表彰など人事上の措置は2002年度をめどに実施するほか、大学の9月入学も大学に働きかける。

小中学校 進学しやすく/文部科学省会議最終報告 就学基準を緩和

2001.01.15 The Sankei Shimbun
障害のある児童・生徒

 障害のある児童生徒の教育のあり方を検討していた文部科学省の調査研究協力者会議(河合隼雄座長)は十五日、それぞれの子供の障害の程度・種類によって就学先を判断する際の基準(就学基準)の見直しを軸とする最終報告をまとめ、文部科学省に提出した。これまでの基準では盲・聾(ろう)・養護学校に進むとされている場合でも、今後、小中学校への進学が可能だと判断されるケースが出てくることになる。就学基準の本格的見直しは、昭和三十七年の制定以来初。

 今回の最終報告は、昨年十一月に公表された中間報告にほぼ沿った内容。

 「障害のある子供たちの視点に立って一人一人のニーズを把握すべきだ」との基本姿勢の上で、(1)医学、科学技術の進歩を踏まえ、就学基準を見直す(2)学校の施設の状況などを含めて総合的に判断し、盲・聾・養護学校に進むべきだとされても、合理的な理由がある場合には小中学校に進むことができるように、就学手続きも見直す(3)就学指導委員会の審議で、保護者が意見表明できる機会を設ける−などの改革案を示した。

 また、学校教育法で「特殊教育」という名称が使われていることに対し、「特別支援教育など、従来の名称に代わる適切な用語を検討すべきだ」とした。文部科学省は今月の省庁再編にともない、すでに旧特殊教育課を特別支援教育課に変更している。

 これまで、障害のある子供の保護者が小中学校への進学を強く希望した場合、それぞれの教育委員会の判断で、暫定的に進学を認めるケースはあったが、その場合でも盲・聾・養護学校への進学を勧めるという姿勢は変わらなかった。今回の提言では、正式に進学できるよう方針の転換を求めた形。

教育研究全国集会が開幕 教育基本法改正に反対アピール

2001.01.11(19:44)asahi.com
 全日本教職員組合(全教)などが主催する教育研究全国集会が11日、4日間の日程で青森市を中心に始まった。開会集会で山口光昭・全教委員長は、政府が検討を始めた教育基本法の見直しについて「教育基本法の理念と内容がひとつひとつ具体化されてこそ、今日の子どもと教育の危機を解決する道すじがある」とあいさつした。会場で「憲法改悪にはずみをつけようとする政治的なねらいを含んだ危険な動き」だというアピールが読み上げられた。

 開会集会には、全国の教員や研究者ら約2000人が参加した。集会の実行委員会は、現在の教育の全体像を「政治経済的、文化的ないきづまりの中で、競争と管理の教育が子どもたちを追い込み、いじめ、学級崩壊、不登校などになって象徴的に表れている」などと分析。子どもの声に耳を傾け、父母らも参加して学校や教育内容を考える必要を訴えた。

「ゆとり教育」の見直しはせず、充実を 文相が年頭会見

2001.01.05(20:55)asahi.com
 知識を教え込むことを減らし、子どもが自分で学び考える力を伸ばそうと文部省が進める教育改革について、町村信孝文相は5日、年初の記者会見で、「さらにしっかり進めていく」と路線転換の考えがないことを明言した。「学力低下」論など向かい風が強まっているが、基礎の大切さを強調しつつ「ゆとり教育」を堅持する方針を示した。

 文部省はかつての「知識詰め込み」を反省し、ここ20年ほど、子どもにゆとりを与える方向で改革を進めてきた。2002年度からの新しい学習指導要領で小中学校は、教育内容を基礎基本に厳選して3割減らし、完全週休2日にかえる。だが、一方で最近、大学生らの「学力低下」や小学校の学級崩壊などは、こうした「ゆとり教育」が原因という指摘も出始めた。

 これに対して、町村文相は「内容は減らすが、基礎基本は徹底する。それはいわずもがな。ゆとりと言うと何でもありというのは誤解だ」と反論。文部省は習熟度別授業や少人数授業を提唱しているが、これも分かりやすい授業のためだと説明した。

 また、新指導要領の目玉である「総合的学習」について「先生たちが考えて、子どもが考える力を身につける時間にしてもらいたい。科目として何かを暗記するのでは本来の趣旨に反する。体験学習こそ採り入れて欲しい方法の一つ」と強調した。

中学校の窓ガラス破損

2001.01.04 The sankei Shimbun
 四日午前八時半ごろ、千葉市中央区問屋町の市立新宿中学校(渡部敏校長)の窓ガラスが割れているのを警備員が発見、一一○番した。千葉中央署が器物損壊事件として調べている。

 調べによると、体育館や校舎一階の窓ガラス計約七十枚が割られていた。一日昼に職員が校舎に立ち寄っており、無人だった四日朝までの間に割られたらしい。

窓ガラス150枚割られる 三重

2000.12.30The Sankei Shimbun
 三十日午前七時四十分ごろ、三重県菰野町福村八七○の県立菰野高校(永平紀邦校長)の教室や体育館の窓ガラス計百五十枚が割られているのを、宿直員が発見、同校を通じ四日市西署に連絡した。

 調べでは、教室のほか、体育館、武道場、トレーニングセンターの窓ガラスが被害に遭い、周辺に角材やブロック片が散乱していた。同署は角材などを使って何者かが割ったとみて、器物損壊事件として調べている。宿直員が最後に見回りをした二十九日午後九時ごろから三十日朝までの間に割られたとみている。

新しい時代の「教養」身につく教育を求める 中教審報告

2000.12.25(21:23)asahi.com
 中央教育審議会(会長・根本二郎日本郵船会長)は25日、「教養教育」についての「審議のまとめ」を町村信孝文相に報告した。新しい時代に求められる「教養」を「目標の実現のために主体的に行動していく原動力」と位置づけ、小学校から国語教育に力を入れるなど、基礎的な知識・技能を確実に身につけさせるよう求めている。また、自然体験や社会体験などを重視した教育をするよう指摘している。

 この問題は、少年による凶悪事件が相次いだことを受けて、今年5月に諮問されていた。

 報告では、教養教育について「1人ひとりが生涯にわたって自覚的に培っていく努力が必要なもの」との考え方を示した。具体的には、小・中・高校では、「理解力や思考力、表現力など重要な能力の基盤」として、特に国語を重視する考えを示した。さらに読書を、「異なる環境を体験する身近な機会」として、推奨するよう訴えている。

 大学入試については「目的意識や将来の生き方を考える態度などを、より適切に評価する方策について各大学が真剣に検討すべきだ」と、一層の改革を求めた。さらに大学でも、知的な思考方法や表現方法を身につけるために、「教養教育」を重視する方向で見直しを進めるよう求めた。

 また、体験活動の重要性を指摘し、小学校から授業に積極的に取り入れるよう要請。ボランティア活動や職業体験などの一部を、大学のカリキュラムに組み込むことを検討課題として示した。

校長が児童に「死ね」 埼玉/教委が文書で厳重

2000.12.24 The Sankei Shimbun
 埼玉県皆野町の町立小学校の校長が、清掃活動中の女児が清掃用具を取ってくるのが遅かったと腹を立て「どけ、死ね」などと発言していたことが二十四日までに分かった。

 同町教育委員会は「児童の心を傷つけた」として校長に対し文書で厳重注意した。

 町教委によると、校長は今月七日昼すぎ、五年生の児童らと一緒に校庭わきの側溝の掃除をしていた際、清掃用具を取りに行った女児二人がなかなか戻らないことに腹を立てたという。

 児童の保護者から、学校と町教委に連絡があり問題が発覚。学校側は二十日、五年生児童の保護者を対象に保護者会を開き、校長が発言を認めた上で「大変申し訳ないことをした」と謝罪したという。

 町教委は「児童の心のケアが必要であり、今後の学校運営を注意深く見守る」としている。

ガラス割った中3を告訴 宇都宮市教委

2000.12.24 The Sankei Shimbun
 宇都宮市教育委員会は二十四日までに、市立陽南中学校(君島勇校長)の窓ガラスを割ったとして、器物損壊容疑で同校三年の男子生徒四人を宇都宮南署に告訴し、同署は受理した。

 市教委の山市隆学校教育課長は「学校と家庭が連携して指導を重ねたが生徒に改善の様子がみられず、日ごろの生活態度など総合的に判断して苦渋の選択をした」と話している。

 今年八月末、同校の玄関や教室などのガラス計百七枚が割られた問題で、警察から今月上旬、市教委に男子生徒らの関与についての報告があったという。

 市教委は委員会を三回開いて対応を協議。「在校生を告訴するのは忍びない」という意見もあったが、「法によって責任を取らせるのも教育のひとつ」として全員一致で告訴を決めたという。

学級崩壊、子どもの3割が実感 総務庁調査

2000.12.24(13:42)asahi.com
 騒がしくて学校の授業が成り立たないと思う小中学生が3割近くいることが、総務庁が23日発表した「低年齢少年の価値観に関する調査」で明らかになった。子どもたち自身が「学級崩壊」を肌で感じているようだ。

 調査は昨年9月から10月にかけ、9歳から14歳までの小中学生とその保護者3000人ずつを対象に実施。子どもの75%、保護者の76%から回答を得た。

 学校生活について「騒がしくて授業ができないか」という問いに「あてはまる」「まああてはまる」と答えた子どもが合わせて29%いた。総務庁は「いわゆる学級崩壊と関係しているのかもしれない」と分析している。自分の性格については「ひどく怒ったり、乱暴をしてしまうことがある」と感じる子が26%。4人に1人がキレやすい、とも読める結果だ。

 家庭生活では、朝食のとり方を聞いたところ、「ほとんど毎日食べる」が85%、「だいたい毎日」が8%で、朝食抜きの子は少ない。親との会話については「父親と話をする」が84%、「母親と話をする」が97%。ただ、「よく話をする」に限ると、父親(52%)が母親(84%)を大きく下回った。

 一方、保護者側は「子どもが何を考えているか分からない」37%、「子どもをうまくしかれない」35%、「子育てに関して途方に暮れることがある」26%など。親の悩みが浮き彫りになった。

園児縛り無理に給食を食べさせる 女性教諭、書類送検

2000.12.23 The Sankei Shimbun
熊本・天草の私立幼稚園

 熊本県天草郡内の私立幼稚園の女性教諭(39)が七月、給食を食べさせようとして男児(6つ)をひもで縛ったり口を押さえつけたりしたとして、今月五日に暴行容疑で書類送検されていたことが二十三日、分かった。  幼稚園側は男児の両親に謝罪、教諭は「一身上の都合」として十一月三十日付で退職している。

 本渡署の調べによると、教諭は七月三日、給食のカレーを食べようとしない男児をソファに座らせ、ナイロン製のひもで上半身を縛り、身動きできないようにして食べさせた。しかし、男児が吐き出したため、つめ跡が数カ所残るほど、口を手で押さえつけたり、つまんだりした疑い。

 教諭は「偏食がひどい男児に何とか食べさせようと思い、やってしまった」と話しているという。

 口の周囲につめ跡があるのを不審に思った両親が男児に尋ねて発覚。十月下旬に同署に被害届を出した。

 教諭は五月にも、男児に無理やり給食を食べさせようとしたことがあり、両親が「強制的に食べさせないで」と幼稚園に申し入れていた。

奉仕義務「憲法抵触の恐れ」内閣法制局見解/h3>2000.12.23 The Sankei Shimbun

 教育改革国民会議が九月の中間報告に盛り込んだ満十八歳時の奉仕活動実施について、内閣法制局が「『奴隷的拘束及び苦役からの自由』を規定した憲法一八条に抵触する可能性がある」と見解を示していたことが二十二日、分かった。

 国民会議関係者によると、内閣法制局は十二月に入ってから、中間報告の「満十八歳の国民すべてに一年間程度義務付けることを検討する」との提案が、憲法一八条に触れる恐れがあるとする見解を国民会議側に示した。これを受けて国民会議の企画委員会で検討した結果、最終報告では「満十八歳後の青年が一定期間行うことを検討する」と書き換えた。

 憲法一八条は「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」と規定している。

大学で受講すると高校の単位に 都立国分寺高校

2000.12.22(21:58)asahi.com
 東京都立国分寺高校(佐藤徹校長)は22日、中央大など4大学と来年1月に協定を結び、同高の生徒が大学で学んだ科目について来年度から高校の単位として認めると発表した。高校と大学との連携は各地で始まっているが、4大学と同時に単位取得の協定を結ぶのは珍しい。中大の場合は同大の単位としても認め、高校と大学とで単位の「ダブル認定」となる。

 国分寺高校は進学校として知られ、2002年度から進学重視型の単位制高校に改編される。これを前に、学習に意欲的な生徒に大学での受講を認めることにし、近隣の大学に協力を呼びかけたところ、中大のほか津田塾大、東京経済大、明治薬科大が応じた。

 対象は当面3年生とし、修得単位数は年間6単位まで。受講料は無料とする方向。中大は商学部と理工学部が対象で、一般学生と同じく試験やリポート提出などをこなせば評価が与えられ、中大に入学すれば取得済みの単位として扱われる。他の3大学での履修は聴講生扱いとなる。

奉仕活動など17の提案 教育改革国民会議最終報告

2000.12.22(23:42)asahi.com
 森喜朗首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」(江崎玲於奈座長)は22日、教育基本法の見直しや、学校教育での奉仕活動の実施など、「17の提案」を盛り込んだ最終報告をまとめ、首相に手渡した。首相は来年の通常国会を「教育改革国会」と位置づけたいとしており、学校での奉仕活動の促進など提言をふまえた教育改革関連法案を提案する方針だ。教育基本法改正についても、文部省内で検討を進めたうえで早ければ来年春にも中央教育審議会(中教審)に諮問し、夏の参院選後の実現を目指す考えだ。

 焦点となっていた教育基本法の見直しについて、最終報告は「政府においても教育基本法の見直しに取り組むことが必要」と、政府に法改正に向けた作業を進めるよう求めた。その理由については「伝統、文化など次代の日本人に継承すべきものを尊重する」ためなどから、教育システムの改革が必要としている。基本法の改正は森首相が意欲を示していたが、9月に出した中間報告では「国民的な議論」の必要性を唱えたのにとどまった。これに比べ、今回の報告は積極的な姿勢といえる。

 委員の中には「時代が変わったからといって、教育の基本理念の何が変わるのか」といった反対論もあったが、「基本法見直しなどで方向性を出さないと、会議としての存在意義を失う」といった声に押し切られる形になった。

 奉仕活動については、小・中学校で2週間、高校で1カ月の実施を提言した。ただ、具体的な中身は「各学校の工夫による」と現場の判断にゆだねた。

 満18歳以降の国民に対しても奉仕活動を行うことを求めているが、中間報告にあった「すべての」や「義務づける」といった表現は外された。いずれも「義務化」に対する反発の強さを考慮したものだ。

 一方、教育施策を進めるうえでの長期的目標や、必要な財政措置などを規定する「教育振興基本計画」の策定を求めた。さらに、問題を起こす子どもに出席停止などの措置をとることや、高校での学力向上のため、学習達成度試験を年複数回行うこと、中高一貫教育校を全体の半分くらいまで増やすことなどが掲げられた。

 また、「不適格」と判断された教員を他の職種へ配置換えしたり、免職にしたりすることや、大学教育の強化なども提言した。

 政府はすでに中間報告を受けて、奉仕活動を促すための学校教育法改正案や、問題教員の配置転換、教育委員会の活性化などに必要な関連法案を来年の通常国会に提出する方針で準備を進めており、教育基本法の見直し問題などを含め、議論の場は国会に移っていく。

教育改革国民会議 最終報告の17提案の骨子

2000.12.22(22:48)asahi.com
 【人間性豊かな日本人を育成する】

 ●教育の原点は家庭であることを自覚する

 ●学校は道徳を教えることをためらわない

 ●奉仕活動を全員が行うようにする

 ●問題を起こす子どもへの教育をあいまいにしない

 ●有害情報等から子どもを守る

 【一人ひとりの才能を伸ばし、創造性に富む人間を育成する】

 ●一律主義を改め、個性を伸ばす教育システムを導入する

 ●記憶力偏重を改め、大学入試を多様化する

 ●リーダー養成のため、大学・大学院の教育・研究機能を強化する

 ●大学にふさわしい学習を促すシステムを導入する

 ●職業観、勤労観をはぐくむ教育を推進する

 【新しい時代に新しい学校づくりを】

 ●教師の意欲や努力が報われ評価される体制をつくる

 ●地域の信頼にこたえる学校づくりを進める

 ●学校や教育委員会に組織マネジメントの発想を取り入れる

 ●授業を子どもの立場に立った、わかりやすく効果的なものにする

 ●新しいタイプの学校(”コミュニティー・スクール”等)の設置を促進する

 【教育振興基本計画と教育基本法】

 ●教育施策の総合的推進のための教育振興基本計画を

 ●新しい時代にふさわしい教育基本法を

いじめ調査資料の開示認めず 長野地裁

2000.12.21(18:12)asahi.com
 長野県須坂市で1997年1月、「いじめられていた」との遺書を残して自殺した市立常盤中学校1年、前島優作君(当時13)の父親前島章良さん(46)が、市教委に対して優作君のいじめに関する調査資料などの開示を求めた訴訟の判決が21日、長野地裁であった。佐藤公美裁判長は「情報公開の範囲は地方自治体が自主的に決めるもので、非開示とした処分に違法性はない」として原告の訴えを棄却した。前島さんは「非常に冷たい判決。息子のために1日泣いた後で、控訴するかを考えたい」と話した。

 開示を求めていたのは、担任の報告や生徒からの聞き取り調査の結果を記した資料で、市教委が優作君の自殺を調査するために設置した「検討会議」に提出された。市の公文書公開条例に基づいて公開の請求を受けた市教委は、98年12月に「個人が識別できる」「生徒との信頼関係を損なう」などとして非開示処分を決定。これを不服とした前島さんが99年3月、提訴した。

 裁判で原告側は「学校側は親に対する説明義務があり、個人情報であってもプライバシー侵害のおそれのない本人や親に対する開示は認められるべきだ」と主張していた。

 判決は市教委側の主張をほぼ全面的に認め、開示要求のあったすべての資料を「個人が識別される個人情報」と結論づけた。その上で「市の条例は市民が自己情報を取得する制度ではない。公開にあたってプライバシーの侵害を考慮する規定もない」とした。

中3期末試験に「配偶者を殺す方法を書け」

2000.12.20(16:09)asahi.com
 奈良市法蓮町の私立奈良育英中学校(幸田乙三校長、生徒数367人)で、3年生の2学期末の保健体育の期末試験で、「法に触れずに夫または妻を殺す方法2つ書きましょう」という問題が出題されていたことが20日、わかった。学校側は不適切な出題だったとして、出題した教諭に厳重注意した。幸田校長は8日付で、保護者に「命の尊さを軽視した設問で、生徒らに誤解や不安を招いた。深く反省している」とのおわびの文書を配った。

 学校の説明によると、この問題は今月6日、1時限目の授業にあった期末試験で、3年の4クラスの135人全員に出題された。保健体育担当の男性教諭(51)が出題した。この教諭は「長生きする方法を逆説的に説明しようとした」と釈明した。教諭はこの試験を出す前の授業で、長生きできない例として、「タバコや酒の量を増す」「油こいものばかりをたくさん食べさせる」「運動をさせない」などを黒板に書き、説明していたという。

 生徒からは「飲酒運転をさせて事故を起こさせる」などの解答があったという。6日夕、保護者から「設問は配慮を欠いている」との苦情が寄せられた。学校側は8日付で謝罪の文書を保護者に配った。この教諭は8日、生徒らを講堂に集め謝罪したという。

 幸田校長は「出題者も深く反省している。今後、このようなことが2度と起きないようにしんしに教育に取り組んでいきたい」と話した。

 奈良育英中学校は、1916年に開校した私立育英女学校が前身。幼稚園から高校まで一貫教育している。

暴力で出席停止の小中学生、前年の5割増に 文部省調査

2000.12.14(20:59)asahi.com
 教師に暴力をふるうなど授業を妨害して出席停止の措置を受けた小中学生が昨年度、全国でのべ84人にのぼったことが14日、文部省の問題行動調査でわかった。前年度の1.5倍で、校内暴力で荒れた1985年度以来の水準。今年9月には教育改革国民会議が「問題を起こす子どもへの対応をあいまいにしない」と提言し、文部省は出席停止のさらなる徹底など対策を検討している。だが一方で、学校の責任放棄につながるとの批判も根強い。

 文部省によると、出席停止は懲戒ではなく、ほかの子どもが義務教育を受ける権利を保障するため、学校教育法が市町村教育委員会に認めた措置。この間は家庭で過ごさせ、本人や保護者に自覚を促すとしている。

 昨年度、出席停止を受けたのは84件のべ84人で、うち中学3年生が72件、2年生が10件、1年生が2件で、小学生はいなかった。全体のうち男子が78件を占めた。

 措置の主な理由は、対教師暴力(35件)▽生徒間暴力(16件)▽授業妨害(12件)▽いじめ(6件)の順。期間は教委の判断に任され、3日以下が35件、7日―13日が19件、14日―20日が14件の順だった。

 総数は、統計をとり始めた85年度に137件だったが、以降は多い時でも60件程度で推移してきた。

 この時期、教員への暴力も小康状態が続き一定の「効果」を見せたが、生徒間の暴力や器物損壊は増加を続けた。また、不登校も増え続け、昨年度は30日以上欠席した小中学生が13万227人で、過去最多を更新した。

 文部省は校内暴力が相次いだ83年に、学校が最大の努力をしても防げない場合、出席停止などの対応が必要と通知。「事前に保護者の弁明を聞く」「期間中は教員が家庭訪問し反省文、読書など課題学習をさせる」などの基準を示した。98年には女性教師刺殺事件などが起き、中央教育審議会も「出席停止などの措置をためらうべきではない」と答申していた。

小3女子7人を裸に 「脱いで動物のマネしろ」

2000.11.19 The Sankei Shimbun
 熊本県玉名郡内の町立小学校で、男性教諭(33)が写生大会の際、「指導に従わないのは動物以下だ」として三年生の女子児童七人を空き教室で裸にしていたことが十九日分かった。同小は行き過ぎを認め保護者に謝罪した。

 同小によると、教諭は十月末の写生大会で、担任するクラスの女子児童七人が互いに似たような絵をかいたことに「自分の考えでかけと言ったのに、理解できないのは犬や猫と同じだ」と怒り、空き教室で「全部脱いで動物のまねをしなさい」と服と下着を脱ぐように、指示。教諭は、児童が裸になっていた数分間、教室から出ていたという。

 同小は児童の保護者から抗議され、校長が教諭に事情を聴いたところ事実を認めたため、今月七日に校長と教諭らが保護者に謝罪した。

 同小の校長は「やってはならないことで、児童に申し訳ない。指導の行き過ぎだと思う」と話しており、教諭は普段通り授業を続けているという。

授業受けたい先生選べます 静岡中央高が新制度

2000.11.09(18:26)asahi.com
 生徒が自分で時間割りを決める「単位制」の静岡県立静岡中央高校(静岡市城北2丁目)は、開講する科目と担当教諭名を生徒に事前に知らせ、「どの先生の授業を受けるか」も自由に選べる新制度を導入する。来年4月から実施する予定。教師との相性が生徒の「やる気」に影響することに配慮し、教える側の意識改革も狙った試みで、生徒の選択の幅がさらに広がる。こうした制度は大学や予備校では一般的だが、文部省高校課は「公立高校で導入するという話は初めて聞いた」という。

 静岡中央高校は1993年に同県内では初の単位制高校として開校し、定時制(生徒数約240人)と通信制の課程がある。単位制の特徴を生かし、中学時代に不登校だった生徒や中退、転校による編入生を多く受け入れている。

 生徒の保護者から「せっかく単位制なのだから、科目だけでなく、自分が学びたい教諭の授業も選べるようにできないか」との要望が多く寄せられたため、2年前から検討を重ねてきた。

 その結果、生徒が年度初めに時間割りを決める際に使う開設科目の一覧表に、それぞれの授業を担当する教師の名前も明示することにした。生徒は同じ科目の場合でも、複数いる教師の中から自分が希望する教師の授業を選ぶことができるようになる。

 検討の当初は選ばれる教師側に少し抵抗感もあったというが、現在では「単位制の趣旨を生かそう」という理解が深まったという。

 一人の教諭に受講希望が集中するケースも考えられ、同校では「その場合は第二希望に回ってもらうかもしれない」としているが、「生徒数やこれまでの履修傾向から可能性は低いと思う」とみている。

 同校の男子生徒の一人(18)は「同じ科目でも、先生によって進度や分かりやすさは全然違う。だから自分で選ぶことができるほうがいい」と歓迎。大川輝之校長も「生徒に人気があるかどうかで先生を評価することはしない。先生たちにはこれを機に、自分が受け持つ生徒にどれだけ充足感を与える授業をできるか、競い合ってほしい」と期待している。

障害児を弾力的に普通学級へ 研究者ら文部省へ提言

2000.11.06(16:29)asahi.com
 心身に障害のある子どもそれぞれに合った教育を行うため、「就学基準」を医学や技術の進歩に合わせて見直すよう求める中間報告を、6日、文部省の調査研究協力者会議がまとめた。現在の基準は、障害の程度によって例外なく就学先を割り振っているが、車いすで移動が可能など適切な教育条件がそろえば、普通の小中学校での受け入れを認めるよう提言した。基準の抜本的見直しは1962年の制定以来。また、注意欠陥・多動性障害(ADHD)児や高機能自閉症児の存在を初めて取り上げ、全国で実態調査をするよう求めた。年度内には最終報告がまとまり、同省は来年度以降、順次政策に反映していく方針だ。

 現在、障害のある子どもは、就学時健康診断の結果などに基づいて「歩行が困難なら養護学校」というように、就学基準に照らして市町村教委や都道府県教委が就学先を割り振っている。法令上は保護者に選択権はなく、該当者はすべて特殊学校に行くこととされている。

 だが、補聴器や義肢などの進歩や、障害者トイレやスロープなどの整備が進み、普通の学校に就学可能な例も出てきた。実際に受け入れている自治体もある。このため、就学基準を見直すとともに、基準通り割り振るような指導を改め、弾力化するよう求めた。早ければ2003年度の入学者から基準を緩和する方向で、文部省は検討を始めた。

 また中間報告では、全体の知的発達に遅れはないものの読み書きなど特定の事柄だけ習熟が困難な学習障害(LD)児について、同省が昨年示した障害の判断基準が適当かどうか全国調査をするよう求めた。さらに、何らかの原因で集中を持続できないADHDや、知的障害をともなわない自閉症である高機能自閉症についても、判断基準や指導方法を確立するため、全国的な実態調査が必要だとした。同時にこうした子どもの存在が国民に理解されるよう啓発に努めるべきだとした。

就学前の親に子育て講座 来年度から文部省方針

2000.11.05(10:27)asahi.com
 文部省は来年度から就学前の子どもを持つ親を対象に全市区町村で子育て講座を開く方針を決めた。放任されて育ち、集団生活の基本的ルールを身につけないまま入学する小学1年生が増え、一方で完ぺきな子育てを目指すあまりに過干渉になったり不安にかられたりする母親も多い。こうした若い親たちに幼児期からの家庭教育のあり方を講義し、核家族で孤立しがちな親同士の交流も促そうという狙いだ。また、思春期の子を持つ親への、精神科医や警察官らによる教育講座も各都道府県で試験実施する計画だ。

 文部省は厚生省とも協力し、入学前年に義務づけられた就学時健診や、3歳児健診など集団健診で保護者が集まる機会をとらえて、市区町村が講座を開けるよう助成する方針。小学校区を単位に学校や保健センターなどを会場にする考えだ。

 文部省は昨年、「間違った行いはしっかりしかる」「命の大切さを教える」など教育のヒントを集めた「家庭教育手帳」を妊婦や乳幼児を持つ保護者に配布し始めた。講座では、この手帳や家庭教育についてのビデオなどを教材に、元教員や児童相談所関係者らが若い親に心構えを説明する。子育ての悩みや不安を抱えた親同士の交流のきっかけにもしたいとしている。

 文部省によると、昨年、公民館など自治体の社会教育施設を会場に、家庭教育講座が全国で2万1000件以上開かれ、4年前に比べて倍増した。だが、受講者は教育に関心の高い保護者に偏っているとみられ、同省は「ふだん受講しないような層に参加を促したい。入学直前ならみんな関心も高いだろう」という。

 昨年の文部省が行った小中学生を対象にした調査では、「先生の言うことをよく聞きなさい」と母親に言われた経験がないと答えた子は38%、父親に言われた経験がないという子は59%に達した。「人に迷惑をかけないように」と言われたことのない子もほぼ同数にのぼるなど、家庭のしつけが徹底していないことを裏付けた。また、今年3月にまとまった文部省の委嘱研究も、小学校低学年にも広がる学級崩壊の背景として、自分の権利を主張し他者への配慮に乏しいような親の存在や、家庭の教育力の低下を指摘している。

千葉県の中学生いじめ自殺、母親に聞く

2000.10.21(03:01)asahi.com
 「いつになったらいじめられなくなるんだろう」。今月13日、自ら命を絶った千葉県市原市立有秋中学校3年の女子生徒(15)はそう漏らしていた。「あいつらは絶対許さない」などと記したメモを残しており、小学校時代から続いていたいじめが自殺の原因だったとみられる。中学2年の2学期には、見かねた級友の訴えで学級会も開かれたが、家族には最近も悩んでいる様子をみせていたという。いじめの経緯を母親(54)に聞いた。

 ――いじめには気づいていましたか。

 小学校時代は分かっていました。5、6年生のときは市営プールにも行けませんでした。同級生の男の子が必ずいて「お前が入ると水が腐る」と言われるのです。6年生の7月には、学校でいすの座布団にしている防災ずきんに、千枚通しを仕込まれました。このときは緊急保護者会を開いてもらいました。

 ――その状態がずっと続いたのでしょうか。

 続いていると知ったのは今年の夏以降のことです。雨の日に車で娘を学校に迎えにいったとき、「小学3年生から始まって、今もいじめられているんだよ。いつになったらいじめられないようになるのかなあ」と打ち明けられました。

 中学に入った直後は「ほかの小学校から来た子にもいじめられる」と言っていました。でも、その後は親友もでき、手芸部の活動も熱心にやっていたので安心していたんです。

 ――日ごろ変わった様子はなかったのでしょうか。

 今思えば、娘は車に乗っていても、同学年の緑色っぽいジャージーの子を見かけると体を伏せて隠れるんです。登校したがらない日もありました。よく「私が休むと○○ちゃん(親友の名前)が1人になっちゃう」と自分に言い聞かせていました。「がんばって行っておいで」と送り出していましたが、これほど残酷な言葉はなかったんですね。

 言葉のいじめだけではなかったようです。3年生で、いじめグループとは別のクラスになりましたが、「あいつをいじめるとおもしろい」と、娘のクラスにわざわざ言いに来ていたそうです。

  ――いじめられる理由は思い当たりますか。

 さっぱり分かりません。「大魔神」と言われても、娘はむしろ小柄な方です。「臭い」と言われ続けましたが「おふろにも入っているし、どこが臭いんだろうね」と話していました。不登校の子を迎えに行くような、優しい子でした。

 小学3年からと言えば、6年間もいじめが続いていたことになります。いまさらですが、「強かったんだね」と、心の中で娘をほめてあげています。

集団暴行受けた少年死亡 香川

2000.10.18 The Sankei Shimbun
 香川県善通寺市内の駐車場で十二日未明、重体で見つかった同県多度津町、中国籍の土木作業員、孫続華さん(17)が十七日、急性脳腫脹(しゅちょう)で死亡した。

 同署は殺人未遂容疑で逮捕、送検した同町内の少年(16)ら十五−十六歳の少年五人を殺人容疑に切り替えて調べている。

 五人は十一日午後十時半ごろ、同町内の資材置き場で孫さんに暴行を加え、駐車場に運んで放置した疑いで逮捕された。

 少年のうち一人が孫さんに貸したミニバイクをめぐって口論となり、集団で暴行したという。

いじめ特定のため担任が教室にビデオカメラ 鹿児島

2000.10.17(12:43)asahi.com
 鹿児島市立中学校の男性教諭(44)が担当する2年生のクラスの教室にビデオカメラを設置し、生徒の行動を撮影していたことが分かった。このクラスの1人の女子生徒に対し、1年近くいじめが続いており、教諭が加害者を特定するため、設置したという。市教委は「教諭は加害者を特定するためにやむを得ずこうした方法をとったが、教育上好ましいことではない」と話している。

 市教委指導課によると、ビデオカメラは教室前方にあるテレビのスピーカー内に取り付けられていた。撮影した映像は隣の教員準備室にあるモニターテレビで見たり、録画したりできるようになっていたという。

 男性教諭が学校を休んでいた9月下旬、教員準備室に入った生徒がモニターテレビをつけたところ、教室の様子が映ったことから、カメラの設置が発覚。生徒から連絡を受けた校長が教諭に事情を聴いたところ、「1人で考えて、8月下旬に設置した」と説明した。教諭はクラスの生徒や保護者に謝罪したという。

 このクラスの1人の女子生徒は昨年10月から、「死ね」と書かれた手紙や電子メールを送られたり、教科書やカバンを刃物で傷つけられたりする嫌がらせを、50回以上受けている。学校が生徒から話を聴いたり、保護者や地元の警察署員が集まって対策を話し合ったりしたが、加害者は分かっていないという。

 今年7月には、この女子生徒の自宅にカミソリが入った封筒が届けられ、生徒が指にけがをした。男性教諭がカメラを設置したのは、この後だった。

「新指導要領は学力低下招く」シンクタンクが中止提言

2000.10.14(13:33)asahi.com
 新しい学習指導要領が2002年度から導入されれば今以上の学力低下を引き起こしかねず、実施を中止すべきだとする提言を、民間シンクタンク「地球産業文化研究所」(平岩外四理事長)が13日、首相官邸や文部、通産両省に提出した。「学力レベルを回復させなければ、産業経済の国際競争力が失われる」と指摘している。

 同研究所は1980年代から進む「ゆとり教育」で国語、算数(数学)など基礎教科の教育内容や授業時間が減らされる一方で、大学の少数科目入試が広がり、基礎学力が低下したと分析。新学習指導要領は教育内容を約3割減らして基礎理解を徹底するとしているが、提言をまとめた西村和雄・京大教授(経済学)は「これまでも内容を減らしてきたのに生徒の理解度は上がっていない。内容や時間を削るのでなく、教える方法を改善すべきだ」とした。

 具体策として▽20人ほどの少人数学級編成の早期実現▽習熟度別授業の迅速な実施▽高校の科目選択制の中止▽大学入試で英語、数学、国語の必修化▽教育行政の地方分権化、などを挙げた。

新規採用教員はうどん屋で「修業」 大阪初芝学園

2000.10.09(10:31)asahi.com
 大阪府と和歌山県で高校や中学校を経営する学校法人「大阪初芝学園」=本部・大阪府堺市、椋本(むくもと)彦之理事長(64)が、新規採用した教員に対し、理事長の経営するうどん店などの外食チェーン「グルメ杵屋(きねや)」(本社・大阪市)の社員として雇用して学校に出向させる形を採り、評価が低ければ会社に呼び戻す制度を実施している。「われわれはうどん店員を志したわけではない」と組合は反発しているが、一代で全国展開の店舗網を築いたオーナー経営者、椋本氏は「やる気のない者に安住の地を与えるわけにはいかない」と、耳を貸す気配はない。

 大阪の米穀店の後継ぎだった椋本氏は1971年、杵屋1号店を奈良市に出店。これまでに約520店舗を全国展開し、業界では立志伝中の人物として知られる。

 大阪府堺、富田林の両市と和歌山県橋本市で高校や中学校を持つ同学園が、前理事長の財テク失敗で経営危機に陥った91年、椋本氏は、地元の要請を受けて理事長に就任、学園を再建した。

 同学園が杵屋社員の出向制度を採り入れたのは昨年度から。1年目は試用期間として学園が常勤講師の待遇で採用する。2年目からは杵屋の正社員に身分を移し、学園に5年間出向する形を採る。

 富田林、橋本両市の学校で昨年度初めて教壇に立った教員計12人が今年度から杵屋の出向社員となった。今年度は堺市の学校を含む3校で教員計18人が採用され、来年度から出向社員になる見通しだ。制度設立前に採用された教員の身分は学園職員のままで変わらない。

 椋本氏によると、制度の狙いは「やる気のある先生集団の形成」。出向教員は、現場の上司らから「能力が低い」と判断された場合、出向期限が終われば会社に戻り、教職以外の仕事を与えられる。逆に評価の高い教員は、5年ごとに期間を更新して引き続き教壇に立ってもらう、という。

 堺市の学校の大阪私学教職員組合初芝分会は「このままだと学園は全員、杵屋の社員で占められ、乗っ取られてしまう」と反発。団体交渉などの場で「ワンマン社長の顔色をうかがう上意下達の職場になれば、教師が生徒の気持ちをくむことなどできなくなる」と訴える。

 これに対し、椋本氏は「理事長に就任後、教育界の悪いところをつぶさに見てきた」と反論。「努力せんでも教職に居座ることのできる現状はあかん。能力のない者には新天地を与えて、別の能力を引き出してやることこそ人材育成だ。この制度については本人たちから了解をとっている」と話し、組合との溝は深まるばかりだ。

個々の子どもの到達度で評価 教育課程審中間まとめ

2000.10.06(20:07)asahi.com
 新しい学習指導要領の下での学習評価について検討していた文相の諮問機関「教育課程審議会」(木村孟会長)は6日、集団の中での比較ではなく、個々の子どもが学習目標にどの程度到達したかをみる絶対評価に改めるとする中間まとめを発表した。

 学校が子どもの学習状況を記録する指導要録も絶対評価に基づいて記述部分を充実させるなど様式を変え、本人からの請求には開示を前提にするとした。また、指導や教育課程の見直しのために全国的な学力調査を継続的に行い、学校の教育状況を自己評価して親に公開するとしている。

 小中学校で2002年度、高校で2003年度から導入される新学習指導要領は、知識量に偏りがちな従来の「学力」でなく、自分で課題を見つけて学び考える力など「生きる力」を育てることを重視している。

 中間まとめは、こうした指導を生かすため、学級内のテスト順位など比較による相対評価でなく、学習目標にどの程度達したかを個々に判断する絶対評価に改めると提言した。また、子どもの意欲をみたり自分の特性に気づかせたりするために自己評価の手法も参考にするとした。

 これに伴い学習状況を記録し、通知表や内申書などの原簿にする指導要録も書式を改める。小学3年以上で3段階、中学で5段階の評定も、個々の到達度をもとにする。また、「生きる力」を判断するため、行動欄に「自律」「生命尊重」「公徳心」などの評価項目を追加。成長の状況を総合的に把握するように、現在は学習、特別活動、行動などごとに分かれている所見欄を1つにまとめ、記述部分を充実させる。

 新設される「総合的な学習の時間」の評価は、「問題設定能力」「主体的取り組み」などの観点に沿って記述するとした。

 一方、高校の入試に使う内申書の様式は各都道府県教委の判断に任せ、指導要録上も、テスト順位など相対評価の結果を所見欄に記述できる、と例外として認めた。

求む森林ボランティア 高知・四万十川源流近くの村

2000.10.01(14:25)asahi.com
 「日本最後の清流」と呼ばれる四万十川の源流点近くにある高知県東津野村の旧・県立森林センターで、森林ボランティアの活動拠点として管理運営する人を県が全国公募する。過疎化や高齢化で流域の森林が荒廃する中、「空き家」になった施設を活用し、ボランティアの力で森づくりなどを進めようとの企画。22日に現地説明会を開いた後、11月10日まで企画書を受け付け、合格者には来年4月から働いてもらう。

 募集するのは1人で、年齢制限はなく家族同居可。住居費は無料で、最初の2年間は管理運営費として月額約20万円を県が支払う。その後は独立採算で運営し、森林ボランティアの非営利組織(NPO)法人を設立するのが条件だ。

 旧センターは、四万十川の源流点から車で約10分の山中にある。本館は鉄筋2階建てで、大小の教室、図書室、食堂、浴場があり、50人が宿泊できる。

 県は、旧センターを「森林NPOボランティアセンター(仮称)」に移行させる考え。子どもたちの林間学校や、四万十川流域の間伐ボランティアの活動拠点として使われることを期待している。

 安岡健・県森林局長は「単なる管理人ではなく、森林ボランティアの事務局として企画運営できる、山や木を愛する人に来て欲しい」と話している。

 問い合わせは県森林政策課「木の文化県推進班」(088・821・4586)へ。

生徒が授業中の教諭に暴行 愛知・小牧市の中学校

2000.09.23 The Sankei Shimbun
 愛知県小牧市西之島の市立小牧西中学校(清野羊子校長)で二十日、一年生に授業を教えていた女性教諭(50)が、教室に突然入ってきた二年生の男子生徒(13)に顔を殴られ、鼻の骨を折るけがをしていたことが、二十三日までに分かった。教諭は小牧署に被害届を提出、現在は自宅療養中という。

 同校によると、二十日午後二時四十五分ごろ、教諭が六時間目の英語の授業を始めた直後、男子生徒二人が教室に入り、うち一人が素手で教諭の顔を数回殴った。

 駆け付けたj性教諭がこの生徒に理由を聞いたところ、生徒は「一年生の終わりに授業中にごみを捨てに行こうとしたら注意され、気に入らずに恨んでいた」と話したという。

 この生徒は今月中旬にも、授業をサボり廊下で遊んでいたところ、この女性教諭に注意され、教諭の胸ぐらをつかんだという。

 女性教諭は一昨年九月に英語の非常勤講師として着任。昨年はこの生徒のクラスで英語を教えた。生徒は自宅待機をしている。

 同校は二十一日に緊急の全校集会を開き、生徒に事情を説明した。

 清野校長は「何があろうと暴力に訴えるのはいけない。今後こういう事件が起きないようにしたい」と話している。

中2生徒に10人で暴行/3年生2人逮捕

2000.09.22 The Sankei Shimbun
 静岡県警磐田署は二十一日夜、磐田市見付の市立城山中学校(村松伸洋校長)の校庭で、二年生の男子生徒(一三)に集団で暴行したとして、暴力行為法違反の疑いで十四歳と十五歳の三年生の男子生徒二人を逮捕、ほかに中学三年の生徒八人から任意で事情を聴いた。

 調べでは、逮捕された二人は二十一日午後三時ごろ、校庭でほかの男子生徒八人とともに中二の男子生徒に殴るけるなどの暴行を加え、鼻の骨を折るなどのけがをさせた疑い。二人は二年生の男子生徒について、「普段から生意気だと目をつけて「た」と供述しているという。

 男子生徒に暴行を加えた他の三人と、周りで取り囲んでいた五人の生徒については、暴力行為法違反の疑いで静岡地検浜松支部に書類送検する方針。

 二十二日早朝、村松校長は全校生徒を集めて事件の経過を説明した。

私立大など補助金1.8%増 不交付短大も急増

2000.09.22(00:07)asahi.com
 国の補助金を私立大などに交付している日本私立学校振興・共済事業団は21日、私立大学、短大、高専への1999年度の交付結果を発表した。補助金の総額は過去最高の約2963億9200万円で、前年度に比べ1.8%増えた。学生1人当たりの換算では15万2000円で、前年度に比べて3000円増えた計算だ。一方、学生数が定員の半数以下で不交付になる短大が急増し、64学科にのぼった。

 補助金は、各校の専任教員数と学生数などに応じた一般補助に、高度な研究・教育や留学生受け入れなどに応じた特別補助が上乗せされ配分される。

 交付を受けた学校は、大学421校、短大454校、高専3校。1校当たりの交付額は大学で約6億1200万円、短大で約8400万円、高専で約1億4000万円だった。大学別では日本大が約101億2900万円で1位だった。

 また、学生数が収容定員の半数に達しない学部学科は補助金を受けられないが、短大では52校の64学科に急増し、大学でも1大学1学部が初めて不交付になった。

小中高で継続的な学力テストの実施提言へ 教育課程審

2000.09.20(03:06)asahi.com
 新しい学習指導要領の下での学習評価について検討している文相の諮問機関、教育課程審議会(木村孟会長)は、小・中・高校の各段階で全国規模の継続的な学力テストを行うよう提言する方針を固めた。これを受けて文部省は、新指導要領が完全実施される2003年度以降の開始をめどに、具体的な方法の検討を始める。新指導要領がいう「自ら学び考える力」「生きる力」などを含めた学力の定着を調べることが主眼だが、計算能力など基礎学力が低下したとの指摘もあり、経年的に学力を調べる必要に迫られていた。継続的な全国テストを行うとすれば、「学テ裁判」で1966年に途絶えて以来となる。

 同審議会の中間報告原案は、学習の到達度について全国的な状況を把握して、国民に明らかにし、指導や教育課程の見直しに反映していくべきだとし、全国的な学力調査を継続的に行う必要を指摘している。

 具体的な方法として、学校や地域の点数競争や序列化をあおらないように、全国から学校を抽出して、学年や教科を年度ごとにばらして行うとした。知識に偏らず、その教科が「好きか」「学びたいと思うか」を問うなど、関心や意欲、思考力、判断力、表現力まで考えて問題を研究すべきだとした。また、調査に用いた問題や結果は、各学校で利用できるよう公表すべきだとした。

 文部省は、すでに来年度に現在の指導要領での学習到達度を測る全国テストを行うことを決めているが、これとは別に新たなテスト方法を研究し、新指導要領の下では継続的なテストを実施したい考えだ。統計として意味を持つよう各学年とも全国の1%(約1万2000―1万5000人)を抽出して行う方向で検討している。

中学歴史教科書から「加害」の記述大幅に減

2000.09.10(07:24)asahi.com
 文部省に検定申請された2002年度版の中学の歴史教科書で、旧日本軍の加害行為についての記述が大幅に減っていることがわかった。現在使われている7社の教科書にはすべてに従軍慰安婦問題が載っているが、新しい教科書で「慰安婦」という言葉を使ったのは1社のみ。3社は一切触れなかった。中国北部の抗日勢力の壊滅をはかった「三光作戦」をとり上げたのも5社から1社に減った。従軍慰安婦問題が一斉に扱われ始めたのは前回大改訂した1997年度版からだが、5年で一転したことになる。

 従軍慰安婦問題では、現在使用されている教科書で「朝鮮などの若い女性たちを慰安婦として戦場に連行しています」などとしていた3社が一切記述をなくした。2社は日本政府に補償を求めてデモ行進する元従軍慰安婦の写真も掲載していたが、ともに消えた。

 97年度版では「多くの朝鮮人女性なども、従軍慰安婦として戦地に送り出された」としていた社は、現在の2000年度版で「従軍」の文字を削り、さらに2002年度版では「多くの朝鮮人女性なども、戦地に送り出された」と「慰安婦」の表現もなくした。

 ほか2社は「非人道的な慰安施設には、日本人だけでなく、朝鮮や台湾などの女性もいた」などと旧日本軍による強制色を薄めた。

 三光作戦についても、「『焼きつくし、殺しつくし、奪いつくす』という三光作戦を行った」としていた教科書から一切なくなるなど、現在の教科書で取り上げている5社のうち4社が削除した。

 また、南京大虐殺事件について、「首都南京を占領した。その際、婦女子を含む約20万人ともいわれる中国人を殺害した」としていた教科書の、人数部分が「大量」に変えられるなど、数字を出していた6社のうち4社で具体数がなくなった。「南京大虐殺」の表現を「南京事件」に改めた社も2社ある。

 ある出版社の編集幹部は「中学生には『慰安』の意味を教えにくいと指摘があるなど、前回の改訂時とは情勢が変わった。南京事件は人数で説がわかれている。知識詰め込みの反省から生まれた新学習指導要領のもとで、用語も厳選した」と説明している。

奉仕活動「義務化」外す 教育改革国民会議中間報告案

2000.09.14(22:58)asahi.com
 森喜朗首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」(江崎玲於奈座長)が22日にまとめる中間報告は、焦点の教育基本法の見直し問題について、改正の是非や方向性を示さず、「議論を希望する」との表現にとどまることになった。14日までに固まった最終案で明らかになったもので、小・中・高校生に対する奉仕活動の義務化に関しても、「義務化」との言葉を外すことにした。いずれも反対論が強い問題について、明確な態度を避けたものだ。

 教育基本法の見直しについて、国民会議は7月末、「改正が必要だとの意見が大勢を占めた」との分科会報告を発表した。今月上旬に作成された中間報告の原案でも分科会報告を踏まえた表現にしていたが、委員の中では、改正に対して慎重な意見も根強く、6日の全体会議でも「変える必要はない」との反対論が出された。このため、最終案では「幅広い視点からの議論が必要であり、中間報告を機に各方面で様々な議論が行われることを希望する」と記すことになった。

 また、小・中・高校生に対して奉仕活動を義務づけるかどうか、といった点に関して、最終案は「奉仕活動を全員が行うようにする」と述べている。義務化に対しては、委員の中で消極的な意見があるうえ、自民党内からも異論が出ていることを考慮したと見られる。7月末の分科会報告は、将来的には満18歳の全国民に1年間の奉仕活動を義務づける、と提案していたが、この部分についても「検討する」との表現にトーンダウンさせている。14日までの調整で、学校評価制度の導入と連動する形で、子どもの学校選択の幅を広げるため、小・中・高校の学区制を弾力化するとの提言を新たに盛り込むことも固まった。国民会議は22日に全体会合を開いて、中間報告を決定し、森首相に提出する。

奉仕活動義務化法案に異論 自民の村上、野中両氏

2000.09.11(18:52)asahi.com
 政府が小・中・高校生にボランティア活動などの奉仕活動を義務づけるための関連法案を来年の通常国会に提出する方針を固めたことについて、11日の政府・与党連絡会議で与党側から異論が出た。自民党の村上正邦参院議員会長は「奉仕は心の中から発露するものであって、法律で縛るものではない」。野中広務幹事長も、会議後の記者会見で足並みをそろえた。

 会議の中で村上氏は「奉仕とは非常に高次元の概念で、法律で強制すべきものを超えた考え方だ。言葉の表現として、奉仕を義務づける法律というのはいかがか」と述べた。これに対して、森喜朗首相は「奉仕を法制化しようというのではなく、社会体験とか課外活動を積んでもらい、奉仕の心を養うということだ」と説明。「来年の通常国会は教育国会にしたい」と改めて意欲を示した。

 一方、野中氏は記者会見で「奉仕とは一人ひとりの心の発露であり、それを強制すべきではないという村上氏の考え方に同感だ」と語った。

学生の奉仕活動義務化、通常国会に法案提出へ

2000.09.05(23:42)asahi.com
 政府・与党は5日、小・中・高校生にボランティア活動など奉仕活動を義務づけるための関連法案を、来年の通常国会に提出する方針を固めた。奉仕活動の義務化は、森喜朗首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」(江崎玲於奈座長)が、22日にまとめる中間報告に盛り込まれる見通しで、政府・与党は国民会議の提言をいち早く具体化することで、教育改革に対する森政権の積極姿勢を示す考えだ。しかし、自発性が重要と見られてきた奉仕活動を一律的に義務化することには、反対論も多く、波紋を呼びそうだ。

 大島理森文相は5日の記者会見で、国民会議での議論に関連して「奉仕活動を充実させることは我々(文部省)の方針にものっとるものだ。首相からも来年の通常国会に照準を合わせて準備をしていくべきだと話があった」と述べて、通常国会に向けて法案化の作業を急ぐ考えを表明した。

 ただ、どのような奉仕活動を義務づけるのか、といった点は議論が詰められていない。文部省内でも「奉仕活動の定義も含めて検討する」といった段階で、与党幹部からは「消防団でも、予備自衛官でも、介護でも良い」との声が出ている。

 国民会議は7月末にまとめた分科会報告の中で、小・中学生には2週間、高校生には1カ月の奉仕活動を求め、将来的には、満18歳の全国民に1年間の奉仕活動などを義務づけることを提言した。法案は、これを軸に検討が重ねられる見通しだ。今後、年間に「2週間」にするのかといった詰めや、授業中に実施するのか、夏休みなどにするのか、といった議論を急ぐ。

 奉仕活動の義務化について、首相は7月の臨時国会の所信表明演説で「学校教育に奉仕活動や自然体験活動を導入し、全人教育を推進することが極めて大切だ」と述べた。

 政府・与党が義務化を急ぐ背景には、「1つでも形にすることが大事だ」(与党幹部)との言葉のように、内閣支持率の低迷を脱するため、教育改革を森首相の指導力をアピールする舞台にしたい、との狙いがある。

 ただ、奉仕活動の義務化については、国民会議の議論で、一部のメンバーから「一律に期間を決めて義務づけることには違和感を感じる」「慎重に議論すべきだ」などの意見が出ていたほか、文部省内でも「法律になじむものかどうか問題がある」(幹部)との懐疑的な見方もある。

先生もホテル接客で「勉強」、文部省が研修に補助金

2000.08.26(14:17)asahi.com
 学校の中に慣れきった先生たちに、「社会勉強」を積んでもらおう――。文部省は来年度から、公立の小、中、高校の教員を長期研修で一般企業に派遣する場合、教育委員会に費用を補助する新たな制度を設ける方針を固めた。ホテルや百貨店、レストランなどで接客に当たることなどを想定している。初回の来年度は小学校を中心に1500人の教員を送り出し、その後も増やしていく方針だ。同省は、地域の人たちに特別非常勤講師として教壇に立ってもらう制度も拡充する考えで、互いの交流を広げることで、学校の閉鎖性を取り払いたいとしている。

 公立校の教員は現在、年間800人程度が企業などでの長期研修に派遣されているが、国による財政補助はなく、各教委の負担となっていた。新しい制度は1カ月以上の研修を対象とし、受け入れ企業への謝礼や研修前後の説明会などにかかる費用を国が半分補助する。受け入れ先をスムーズに見つけられるよう、各地で教育委員会と地元経済界の連絡機関も設ける考えで、どんな職場でどのような内容の研修を実施するかを調整する。

 教員の社会研修を進めるという方向性は、教育改革国民会議(首相の諮問機関)や教育職員養成審議会(文相の諮問機関)で示された。同会議などでは「子どもや父母の気持ちを考えず、社会性のない教員がいる」という指摘があった。また、わいせつ事件など教員による事件が相次いでいることもあり、国として社会研修を制度化することにしたという。

 現場の教員の中には、「校長や教頭にひるまず意見するような教員の『キバ抜き』に利用されるのではないか」という反発もある。これに対して文部省は、「努力を惜しまない一般企業の姿に触れ、平衡感覚を身につけてもらうための制度だ。対人関係の能力を伸ばし、学校運営についても考えてもらうきっかけにしてほしい」としている。

 一方、文部省は学校の活性化を目指し、地域の人たちに教壇に立ってもらう特別非常勤講師の制度も拡充する考えだ。費用の3分の1を国が補助して招いている枠を、現在の約1000人から来年度は4000人にまで増やしたいという。

学級崩壊阻止へ対応策/文部省計画

2000.08.20 The Sankei Shimbun
 文部省は十九日、小中高の教師を一般企業の現場に派遣して研修させる「社会体験研修」を、来年度から現在の二倍から三倍に大幅拡充し、国としてバックアップしていく方針を固めた。「学級崩壊」などの問題で教師の指導力不足が指摘される中、競争原理の働く企業社会の空気に触れることによって、意識改革を促す狙い。さらに、小中学生を中心に一週間程度の奉仕活動をさせる計画も決定。ともに外部の教育力を学校に導入しようとする試みで、開かれた学校づくりに向けた動きが急ピッチで進んでいるといえそうだ。

教 師 →「社会体験研修」を拡充
小中学生→夏休みなどに介護・清掃

 文部省によると、学級崩壊や父母とのコミュニケーション不足といった問題が指摘される中、教師の力量を向上させるため、教育現場の外での社会体験研修が教師にとって有益と判断。百貨店やホテルなど企業の現場への長期派遣を拡充する方針を固めた。

 これまで、社会体験研修は都道府県それぞれの教育委員会が、教員の定数の中の、研修のための人員枠を活用して独自に行っていた。

 来年度からは、教育委員会と各企業や経済団体との定期的な意見交換を行うための相互交流推進会議を各地に設置。さらに、社会体験研修のための人員枠の設置を検討するなど、国としてバックアップする態勢を整える。

 平成十一年度の研修者数は全国で約八百人。文部省では来年度予算に必要な経費を盛り込み、二倍から三倍への大幅な拡充を予定している。

 文部省は「いわゆる学級崩壊と呼ばれるような現象が問題となっているが、そもそも教師に子供を把握できる人間的能力が必要。自由競争の中の厳しい企業努力の現場に身を置くことで、子供たちや父母とのコミュニケーション能力を高めるなどの効果が期待できる」と話している。

 一方、小中学校の児童生徒たちに対しては、来年度から約一週間の奉仕活動に参加させる事業を始める。各都道府県ごとに三カ所程度をモデル事業に指定し、必要な経費を来年度予算の概算要求に盛り込む。

 具体的には介護、清掃などの奉仕活動を夏休みを利用したり学期中に「総合学習の時間」を活用したりするなどによって実施する。

 子供の奉仕活動については首相の私的諮問機関の教育改革国民会議の分科会報告でA「共同生活による奉仕活動などの義務化」が提言された。今回の文部省の事業はこの提言を受けたもので、将来の義務化の可能性をにらみ教育委員会レベルで奉仕活動実施に向けたノウハウの蓄積を進める。

学校週5日制、私学中学は半分どまり

2000.08.15(21:12)asahi.com
 全国の私立中学で、国公立校と同様に月2回以上、土日休みの週5日制をとっているところは、全体の約半分にとどまっていることが文部省の調査でわかった。私立中の3校に1校が土曜日を一切休まない週6日制にしている。国公立校は2002年度からすべての土日を休みにする完全週5日制に移行するが、23.5%の私立中学は検討に入っていない。「中高一貫教育」で大学受験のシフトを組んでいる学校が多いためとみられ、文部省が提唱する「ゆとり教育」が私立抜きになって、有名無実化する可能性もある。

 全国の私立小学校、中学校、高校などを対象に、今年4月現在の状況を調べたところ、月1回だけの実施も含め、何らかの形で週5日制を実施しているところは全体の94.3%。しかし、国公立並みに月2回以上実施しているところは、小学校81.2%、中学校52%、高校70.4%という状況だった。

 完全週5日制について、すでに実施しているか、あるいは2002年度からの導入を決めている私立校は小学校54.7%、中学校32.5%、高校43.9%。「検討中」としたところは3―4割程度あるが、検討すらしていないところも小学校15.3%、中学校23.5%、高校で17.9%あった。

校内暴力、99年度は3万6600件で過去最多

2000.08.11(22:35)asahi.com
 公立小、中、高校の児童・生徒が1999年度に起こした暴力行為の報告数は3万6577件と前年度を3.8%上回り、過去最多を更新したことが、文部省が11日に発表した「問題行動調査」の速報でわかった。一見して普通の生徒がふとしたきっかけで突然暴力を振るうケースが目立つという。いじめの報告数は4年連続で減少したが、なお約3万1400件にのぼった。高校中退者は約10万6600人と前年度より4.3%減った。

 暴力行為の内訳は校内3万1055件、校外5522件で、校内暴力は初めて3万件を超えた。件数自体は中学校が全体の76.8%を占め、高校は18.7%、小学校は4.6%。校内で暴力行為が起きた学校の割合は小学校2.3%、中学校34.1%、高校41.6%だった。

 暴力行為を形態別に見ると、(1)生徒間暴力51.6%(2)器物損壊29.3%(3)対教師暴力13.6%(4)自校以外の人への暴力など5.5%の順になる。件数はそれぞれ前年度より増えたが、対教師暴力の伸びが11.2%増と目立った。文部省は「ひと昔前は不良生徒が群れて事件を起こすケースが多かったが、今は単独で何度も暴力を繰り返す生徒が目立ち、学校の『荒れ』は様変わりしている」といい、心が不安定な生徒らの相談に乗るスクールカウンセラーの大幅増を図りたいとしている。

 一方、公立校のいじめの報告件数は3万1369件(小学校9462、中学校1万9383、高校2391、盲・ろう・養護学校133)。前年度に比べて5027件、13.8%減った。ただし、各都道府県ごとの報告数には開きがあり、例えば小学校では最多の栃木県(1652件)に対して最少の鳥取県は5件しかない。現場の教員に「問題視されるのを恐れ、地域によっては校長らが過少に報告したがる傾向がある」という指摘もある。

 また、公、私立高校中退者は10万6578人で、中退率は2.5%。中退理由は、「学校生活・学業への不適応」37.1%、「進路変更」36.8%、「学業不振」6.7%など。

生徒に椅子投げケガさせた教諭書類送検/名古屋の市立高校

2000.08.09The Sankei Shimbun
 愛知県警中川署は九日、名古屋市中川区の市立工業高校(八百四人)で一月、当時三年生だった男子生徒(18)に向かっていすを投げつけ、けがをさせたとして傷害の疑いで男性教諭(34)を書類送検した。

 調べによると、教諭は一月、始業式の準備中に、男子生徒が作業せずに携帯電話を操作していたことをとがめ、生徒に向かっていすを投げつけたり、顔を殴ったりして十日間のけがをさせた疑い。

 学校側の対応に誠意を感じられないと生徒が五月十三日、中川署に被害届を出していた。

 名古屋市教育委員会は三月「行き過ぎた指導があった」として、教諭を一カ月間、十分の一の減給処分とし、当時の校長を訓告とした。校長と教諭は四月、別の高校へ異動した。

教育改革国民会議が全体会議を28日から再開

2000.08.12(19:31)asahi.com
 先月末に3つの分科会が報告書をまとめた首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」(江崎玲於奈座長)が、今月28日から全体会議を再開する方針を固めた。分科会報告をもとに、9月22日まで5回程度の議論を重ね、国民会議としての中間報告をまとめ、首相に提出する。分科会では議論されなかった、国が教育分野に投入すべき財政の規模などについても話し合われる見通しだ。

 奉仕活動の義務化、小学校5歳入学など、分科会報告には大胆な提言が盛り込まれた一方で、国民会議の内部からも異論のある内容も少なくない。このため、中間報告で国民会議の統一見解としてどこまで踏み込んだ内容を示せるかが、全体会議の議論の焦点となる。教育基本法見直しや、道徳教育の内容なども分科会で十分詰まっておらず、全体会議にゆだねられる。

 中間報告については、教育関係者を中心に広く各界から意見を募る。公聴会も開き、早ければ年内にも最終報告をまとめる。教育改革を内閣の重要課題に掲げる森喜朗首相は、次期通常国会で、可能なものから法改正や予算上の措置をとりたい考えだ。

教育基本法「改正論が大勢」 国民会議分科会報告

2000.07.26(22:04)asahi.com
 戦後教育の見直しを進めている森喜朗首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」(江崎玲於奈座長)の3つの分科会が26日、報告書をまとめた。教育基本法について「分科会としては改正が必要であるという意見が大勢を占めた」として、見直しに積極的な姿勢を示している。ただし、「改正が教育をめぐる諸課題の解決に直ちに結びつくものではない」とも指摘。具体的な見直しの方向については、各委員の意見を列挙するにとどめ、8月末から再開される国民会議の全体会議での議論にゆだねる考えを示した。国民会議は9月中には中間報告をまとめて、森首相に提出する。

 国レベルの審議会などが教育基本法の改正について提言するのは、今回が初めて。この問題を論議してきた第1分科会の報告では、教育基本法が制定された戦争直後と現在との「時代」の違いを指摘したうえで、「社会的ショック療法として改正が必要」「国家や郷土、伝統、文化、家庭、環境の尊重などが抜け落ちている」など委員の意見を紹介した。

 第1分科会はこのほか、小中学校で年に2週間、高校で1カ月間の共同生活による奉仕活動を義務化することを提言。将来的には満18歳のすべての国民に1年間の奉仕期間を設定するとしている。

 小学校の道徳に加えて、「人間科」(中学)、「人生科」(高校)を新設することや、古典、歴史、言葉の重視を提言している。

 第2分科会の報告では、教員免許の更新制を検討する考えが盛り込まれた。教師の評価に応じて、人事・給与で差をつけるだけでなく、研修を重ねても改善が見られないとされた場合は、転職や免職も検討すべきだとしている。

 少人数による習熟度別クラスの導入など、弾力的な学級編成に向けて校長の裁量を広く認める考えも示した。情報技術(IT)、英語教育は、小学校のなるべく早い時期から始めるべきだとしている。

 第3分科会は、義務教育を、家庭と学校の判断で1年早く始めることの検討を打ち出した。中高一貫教育を全学校の半分程度にまで拡大することも求めている。さらに、大学入試センター試験を、高校での学習の成果を客観的に評価するための「学習達成度試験」に切り替え、学年を問わず、年に複数回受験できるようにすることを提言している。

幼稚園と小学校の連携強化、文部省会合が報告

2000.07.24(14:03)asahi.com
 幼児教育について話し合ってきた文部省の調査研究協力者会合は24日、幼稚園と小学校の連携を強化し、運動会などの行事を一緒に実施したり教員が合同で研修を実施したりすべきだとする中間報告をまとめた。

 幼稚園では近年、子どもの自主性を尊重した保育が進められているが、一方でそれが小学校の一斉授業になじめない子を生み、「学級崩壊」の遠因になっているという指摘もある。中間報告は、地域の幼稚園と小学校が共通認識をもち、一貫性のある教育を進める必要があるとした。

 文部省は今年度中に最終報告をまとめ、施策に反映させていく考えだ。

 中間報告は、双方の教員による合同研修のほか、情報交換のための定期的な会議の場を設けることも提唱した。子どもたちの交流を進めるため、運動会や遠足を一緒に行い、小学校の生活科の授業に幼稚園児が参加することも提案した。

ナイフで指周辺を連打 横浜の小学校教諭 -小1児童が解答間違えた「罰」として-

2000.07.08The Sankei Shimbun
 横浜市都筑区の小学校で男性教諭が問題を間違えた一年生の児童の指の周辺をカッターナイフで連打する体罰を行っていたことが八日、関係者の話でわかった。横浜市教委は「報告は受けており、事実関係を調査している」としている。

 関係者によると、今春、入学したばかりの児童が文字を教わっていて問題を間違えたところ、クラス担任の男性教諭が罰として児童の手を机に置かせ、指を避けながらカッターナイフを次々と机に打ち付ける体罰を加えた。児童は指にけがした疑いがあるという。

 この小学校ではすでに保護者懇談会を開き、概要を説明、男性教諭は休養中という。横浜市教委は「カッターナイフの刃が出ていたかどうかなど詳細を調べたうえで、処分などを検討したい」と話している。

いじめ加害生徒を転校措置 兵庫の市立中

2000.06.22(01:23)asahi.com
 兵庫県中部の市立中学校で5月下旬、2年生の女子生徒が同級生の女子生徒3人から暴行などを受けて記憶の一部を失ったことから、被害者の生徒の親が「安心して学校に通わせられない」と訴え、加害者側の生徒のうち1人の親が転校に同意し、市教委がこの生徒1人を転校させる措置をとっていたことが21日、わかった。残る2人の生徒も転校を検討しているという。文部省中学校課によると、いじめられた側を緊急避難的に校区外に転校させることはあるが、その逆のケースは把握していないという。

 女子生徒は5月26日の休憩時間中、同級生の女子生徒3人から「家族の悪口を言った」と言われ、1人からたたいたりけったりされる暴行を受け、ほかの2人からも暴言をあびせられた。女子生徒に大きなけがはなかったが、その後、友達や担任の名前を忘れるなどの異変に家族が気づいた。精神科医から「心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性がある」と診断され、学校に行けない状態が続いている。

 学校が双方の保護者を交えて話し合いの場を持った際、女子生徒の親が「このままでは子供が安心して通学できない」と3人の転校を強く要請、3人の親は転校に同意。うち1人は6月中旬に別の市立中学校に転校したという。市教委は「被害を受けた生徒の精神的ショックが大きく、すぐに回復する状況にないため、(加害者側の生徒の転校も)やむをえないと判断した」としている。

君が代斉唱率9割超す 今春の公立校の卒業・入学式

2000.06.02(22:43) asahi.com
 今春の卒業式、入学式で君が代を斉唱した公立校が急増し、斉唱率の全国平均は小、中、高校でそれぞれ9割を超えたことが2日、全都道府県と政令指定都市の教育委員会を対象にした文部省の調査で明らかになった。国旗・国歌法の成立で文部省が圧力を強めた結果、斉唱率が低かった地域で軒並み上昇して全体の数値を押し上げた形だ。ただし、斉唱率がなお1―5割台の地域もあり、文部省は同日、各教委に対し「すべての学校で掲揚・斉唱が実施されるように」と指導の徹底を求める通知を出した。

 日の丸掲揚率は昨春の時点で小、中、高校とも98―99%台に達しており、全国平均の数字の上では、その後の法制化による影響は小さかった。

 斉唱率は、高校の入学式で、大阪市と神戸市がいずれもゼロから100%に跳ね上がった。ほかにも、三重県が100%(前年3.2%)、東京都が99%(同5.9%)、神奈川県が98.8%(同26.6%)へと急上昇した。文部省は昨年9月と今年1―2月の2回にわたり、実施率の低い13の教委を呼び、「適切な指導」を求めている。国旗・国歌法という「根拠法」ができたことにより、各教委で実施に向けた指導が強まったようだ。

小学校から教養教育を 少年事件多発受け中教審に諮問

2000.05.29(22:09) asahi.com
 少年による重大事件が相次いでいることなどを踏まえ、中曽根弘文文相は29日、「教養教育のあり方」の検討を中央教育審議会(会長=根本二郎・日本郵船会長)に諮問した。「学校が受験指導に偏り、幅広い人間づくりを怠ってきたのではないか」との反省から、もっぱら大学で実施されてきた教養教育を、小学校段階から採り入れることを視野に入れている。また、大学の教養教育についても抜本的に見直す。

 教育改革は首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」でも議論されているが、文部省も独自の視点から並行して議論することにした。1年程度で答申を得ることを目指している。

 文部省はこれまで、「ゆとり教育」や、業者テスト廃止による「偏差値追放」といった施策をとってきたが、受験競争はなお収まっていない。学校では受験に必要がない部分を省く傾向が強く、倫理観や幅広い物の見方が養われていないという指摘がある。折しも少年事件が続発していることから、「処方せん」の1つとして、規範意識を持たせられるよう、早い時期から教養教育を採り入れることが発案されたという。

 中教審内部では「幼稚園段階から、自分以外の存在を尊重する姿勢を学べるようにする」「その上で、小、中、高校でも環境問題や歴史、文学などを素材に教養教育を進めて人格を形成する」といった意見がある。

 大学教育をめぐっては、全人的な教育機能が弱まっているという指摘がある。1991年に大学設置基準が弾力化されて以後、専門教育の体制が強化され、引き換えに教養教育が弱体化した影響もあるとされる。

 中教審内部には「1、2年で終了してしまうのでなく、学部4年間を通じて体系的に教養教育を進める」といった意見がある。遺伝子工学や生命科学といった先端分野を志望する学生についても、職業上必要な高い倫理性を身につけられる教育を検討する方向だ。

学力検査なしわずか2校

2000年5月22日 18時06分共同
 今春から公立高校入試で学力検査や調査書(内申書)の義務付けがなくなり、面接や作文だけによる選抜を行えるようになったが、一般入試でこの方式を採用した高校は全国で2校にとどまったことが22日、文部省の高校入試の改善状況に関する調査で分かった。

 入試の多様化を狙った改革の一環だったが、学力検査なしの高校入試を定着させるのは難しいようだ。

「学校・子ども観の転換を」求める学級崩壊調査報告書

10:26p.m. JST May 18, 2000 asahi.com
 学級崩壊を越えるために、学校観や子ども観ごと転換する必要があると求める報告書を、文部省の委嘱を受けて全国各地の150の崩壊学級を調査した「学級経営研究会」(代表=吉田茂・国立教育研究所前所長)が18日、発表した。報告書は、学級人数が前年度より急増したことが崩壊の一因になっていることも指摘したが、文部省は「退職教師を非常勤講師として配置するのを補助しているので、学級経営が困難になった段階で対応したい」とした。

 報告書は回復に向かった事例を紹介したうえで、「かかわり方や見方を転換しないまま問題が解決すると考えるのは楽観的すぎる」と学校観や子ども観などを転換する必要を打ち出した。

 そして、教師や子ども、保護者が考え、成長する機会として学級崩壊を積極的にとらえるよう提言。学級や子どもを「かくあるべし」という固定観念にとらわれて見つめないこと、子どもを「異文化」として尊重し、学級の主人公となる可能性を切り捨てないことを主張した。

 教員研修を抜本的に検討し具体的、臨床的なものにすることや、ゼロ歳児からの子育て支援に学校を活用し、子どもが基本的な生活習慣を身につけるようにすることも提案している。

 また、報告書は聞き取りをした150学級について崩壊の要因を分析。

 学級規模について、150学級の中に、前年度より学級数が減ったために学級人数が急増し、40人近くになっていた学級が8学級あることに触れ、人数の急増が崩壊の一因になっていると注意を促した。

 研究会は文部省が学級崩壊を把握する初めての試みとして昨年2月に委嘱した。

いじめ訴えた生徒に体罰

2000年5月12日 20時41分共同
 愛知県警千種署は.12日までに、いじめ被害を訴えていた中学1年の女子生徒(13)に「目立った行動をしないように」などと言ってほおを平手打ちするなどの体罰を加え、負傷させたとして、名古屋市立東星中学校(同市千種区)の男性教諭(46)=今春に別の中学に異動=を傷害容疑で書類送検した。

 名古屋市教育委員会も3月中旬、この教諭と当時の校長を口頭訓告処分とした。

窓ガラス221枚割られる

2000年4月25日 14時53分
 25日午前1時ごろ、滋賀県能登川町の町立能登川中学校の校内でガラスが割れる音がする、と近所の人が110番した。

 八日市署の調べによると、能登川中学の体育館や校舎玄関の窓ガラスなど計221枚が割られており、校内の自転車置き場に、犯行に使われたとみられる鉄パイプのようなもの一本が放置されていた。警察は器物損壊事件として調べている。

高3グループが大暴れ、教師18人けが

(4月22日21:17) byYomiuri On-Line
 広島県因島市の県立高三年生のグループが、二十日から二十一日にかけて校舎の窓ガラスを割ったり、暴力を奮ったりして教師十八人にけがをさせていたことが、二十二日わかった。同県警因島署は傷害、暴行の疑いでグループのうち生徒六人から事情を聴いている。

 学校側の説明によると、二十日午後、校内の改築工事をしていた業者からの知らせで、教師四、五人が、三階の教室に行くと、生徒数人が窓を割って廊下に飛び出し、校舎の窓ガラスを割ったり、止めようとした教師に暴力を振るったりした。教諭が生徒を諭して帰宅させたが、翌日、学校側が生徒から事情を聞こうとしたところ、うち六人が職員室に乱入、いすや机の上の物を投げたうえ教師の腹を殴るなどして再び暴れ始めたという。

 学校側の連絡で駆け付けた署員が説得し、約二十分後に騒ぎは収まった。二日間の騒ぎで、教師一人が手の小指の骨にひびが入ったほか、他の教師十七人も打撲や擦り傷などの軽傷を負った。

「子どもは危機的状況」

2000年1月27日 17時55分 共同通信社
 子どもが教師の指導を無視して授業が成り立たない「学級崩壊」などの教育課題を論議する全日本教職員組合(全教)など主催の教育研究全国集会が27日から4日間の日程で、山口市で始まった。

 開会のあいさつで山口光昭委員長は、不登校、いじめ、学級崩壊などの問題を挙げ「日本の子どもたちは危機的な状況に直面している」と指摘。

「学級崩壊」など討議

2000年1月7日 16時26分 共同通信社
 子どもが先生の指導に従わず授業が成立しない「学級崩壊」や不登校(登校拒否)、2002年度からの新教育課程への対応など学校現場が抱える問題を討議しようと日教組と全日本教職員組合(全教)が教育研究全国集会を1月下旬に相次いで開く。日教組は22日から4日間の日程で金沢市を中心に開催。初日には暉峻淑子埼玉大名誉教授が「21世紀への希望と子ども」と題して記念講演。

教師の「心のケア」組織、千葉大教員ら立ち上げへ

4:28p.m. JST October 23, 1999
 学級崩壊や不登校など変化する教育現場で、一人で悩みや孤立感を抱える教師を支援したい――。千葉大学の教員を中心に、現役教師やカウンセラーらがボランティア組織「悩める教師を支える会(仮称)」を立ち上げるために協力者を募っている。全国の教師が利用できるようインターネットやファクスで相談を受け、一緒になって解決策まで考える青写真を描いている。11月下旬には、できる範囲で相談受け付けを始めたいという。

 発起人代表は千葉大教育学部助教授(教育臨床学)の諸富祥彦さん(36)。

 諸富さんは今年4月からスクールカウンセラーとして、千葉県内の小中高校で講師に招かれたり、児童・生徒や父母の相談にのったりしている。ここ5年ほどは臨床心理士の資格をいかして教師のカウンセリングもしてきた。学校をまわって教師の置かれる環境の変化や大変さを実感、心理面から支える組織作りを思い立ったという。

 知り合いらに呼びかけたところ、諸富さんを含め千葉大の教員4人や、神奈川や北海道の大学教員、東京都内の小学校教師、カウンセリングの専門家ら36人が発起人として集まった。

 発起人に加わった教師自身も悩みを抱えている。千葉県の高校の男性教師(43)は「生徒になめられるのが一番怖く、いつも声を張り上げていた。猛烈な孤立感に襲われたことがある。悩んでいる教師だから、ほかの教師の相談にのれるのではないか」と言う。別の女性教師(44)は「昔は年上の先生にいろいろ相談して教わった。今は同年代ばかりで、相談するという雰囲気はない」と話す。

 協力者はあらかじめ登録。事務局が相談者の住む地域やどんな種類の助けが必要かを考えて協力者をリストアップし、相談者に連絡先を教える方法を検討している。

 11月から、発起人が中心となって、無料でインターネットやファクス、郵便を使った相談に応じるほか、月1回500円程度の参加費で、東京都内に集まり、悩みを聞いて話し合うという。

悩める教師の集会所

学級崩壊の3割、担任の能力超越 文部省調査中間報告

03:05a.m. JST September 05, 1999
 学級崩壊の事例のうち、指導力のある教師でも運営が困難な学級が3割あることが、文部省から調査研究を委嘱された「学級経営研究会」(代表・吉田茂国立教育研究所長)が4日までにまとめた中間報告でわかった。研究会が当事者らに聞き取りし、「学級がうまく機能しない状況にある」と判断した小学校の102学級を分析した。また、学級規模や担任の性別、年齢にかかわらず学級崩壊が起きていることも指摘、特効薬はなく、複合している要因をときほぐし丁寧に対処する必要を訴えている。この研究は、文部省が学級崩壊の実態把握に乗り出した初めての試みだった。

 文部省は学級崩壊を「特殊なケース」と見てきたが、実態を調べるためにこの2月、研究者や小学校長ら18人のグループに研究を委嘱した。

研究会は、学級崩壊の件数といった量的な調査より特徴や要因などといった質の分析を目指し、崩壊した学級の担任本人や同僚、校長、保護者、教育委員会などにインタビュー。事例ごとに要因や対策を分析した。

 報告書はまず、学級を「もともと形のあるものではなく、かっとうや摩擦が生じるのが自然」ととらえ、学級崩壊という言葉を「秩序が壊れたかのような印象を与える」として避け、「学級がうまく機能しない状況」と呼んだ。

 そのうえで、7月末までに調査した全国の小学校102学級について、要因を10に分類。ほとんどの学級でさまざまな要因が絡み合い、1つの学級で平均3つの要因が重なっていることがわかった。

 一番多かったのは、担任の指導が柔軟さを欠いていることに一因があると考えられる場合で、全体の7割の学級が当てはまった。研究会は、この7割について「教師次第という議論を実証する数値」と受け止め、特定の学年しか担任できない教師や転勤など環境の変化に弱い教師の存在を指摘しながらも、「問題はむしろ残り3割の学級」であり、「指導力のある教師をもってしても、かなり指導の困難な学級が存在することだ」と提起。担任だけでなく関係者すべてが自分の問題として受けとめることを求めた。

 報告書は10の要因について類型ごとの事例を紹介して、対応の方法を考察。対策として(1)早期の実態把握と早期対応(2)子どもの実態をふまえた魅力ある学級づくり(3)TT(チーム・ティーチング)などの協力的な指導体制の確立と校内組織の活用(4)保護者などとの緊密な連携と一体的な取り組み(5)関係機関との積極的な連携――を掲げている。

 研究会は、各地の改善策の事例を重点的に研究し、今年度末に最終報告をまとめる予定だ。

中学校の窓ガラス割られる

1999年9月5日 16時39分 共同通信社
 五日午前7時ごろ、福岡県津屋崎町の津屋崎町立津屋崎中学校で、校舎の窓ガラスなどが割られているのを生徒の父母が見つけ、連絡を受けた学校が宗像署に届けた。

 調べによると、割られていたのは出入り口の扉や、3年生の教室の窓ガラスなど計12枚(7万〜8万円相当)。警察は悪質ないたずらとみて、器物損壊の疑いで調べている。

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