TOPIC No.3-22 クリーン エネルギー(Clean Energy)

1. クリーン エネルギー(バイオマス エネルギー, 燃料電池等) , 2. 風力発電, 3. 太陽光発電

01.新エネルギー by環境Goo
02.新エネルギーとは
03.自然エネルギー促進法
04.財団法人 新エネルギー財団(New Energy Fundation)
05.新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO:New Energy and Industrial Technology Cevelopment Organaization)
06.資源エネルギー庁


三菱重工業 リチウムイオン電池事業、12年めど参入

2009/06/04 Fuji Sankei Business-i

 三菱重工業は3日、2012年をメドにリチウムイオン電池事業に本格参入する方針を明らかにした。09年度中に、数十億円を投じて量産化に向けた実証試験を行う工場を建設し、生産態勢の構築を図る。世界的な需要拡大を視野に、三菱重工としてはリチウムイオン電池をはじめ原子力、風力発電といったエネルギー・環境事業の売り上げ規模を、現在の約2兆円から12年度以降に3兆円規模まで拡大する方針だ。

 具体的には、自社製造する印刷機械の技術を転用。リチウムイオン電池の電極に電解質の薄膜を形成する手法などを、電池に電解液を注入する工程に活用することで「優れたリチウムイオン電池が作れる」(福江一郎副社長)としている。

 すでに生産拠点の選定を終え、今後1年以内に量産化に向けたテスト工場を稼働する。当初は60メガワットの生産能力でスタートし、量産のメドがつき次第、200メガワットに生産ラインを拡充。12年には、本格的な量産を開始したい考えだ。

 当面、天候によって発電力が左右される風力発電や太陽光発電などの再生可能電力向け蓄電池として使うほか、自社で生産するフォークリフトなど業務用車両のハイブリッド化にも利用する。

 将来的には家庭用蓄電池や、バス・トラックといった電気自動車(EV)向けの製品も検討していく方向だ。

 環境・エネルギー関連分野に対する世界的な投資規模について、三菱重工は2015年以降に年間20兆円、30年以降は年間50兆円規模まで拡大すると予想。自社の「総合力」をフル動員することで、事業拡大が進むとみている。

 このため、リチウムイオン電池にとどまらず、世界最高の燃料効率を誇り、石炭タービンに比べて温室効果ガスの排出も少ないガスタービン事業も生産態勢を年50台に拡大するほか、欧米に加えて、中東や新興国も視野に原子力発電プラント事業の強化にも乗り出す。

 風力発電については北米向けの陸上建設だけでなく、英国などで計画の進む洋上風車の建設に向け、欧米に生産拠点を新設も検討。環境・エネルギー分野の積極的な投資を通じ、将来の成長に弾みをつけたい考えだ。

再生可能エネ20年に倍増 太陽光など、環境省検討会

2009年02月10日  中国新聞ニュース

 太陽光や風力発電などで発電した電力を電力会社が高い価格で長期間買い取る「固定価格買い取り制度」などの実施で、再生可能エネルギーの導入量を2020年に現状の約2倍に増やせるとの調査結果を、環境省の検討会がまとめ、10日の中央環境審議会地球環境部会に報告した。

 再生可能エネルギーは二酸化炭素の排出が少なく、地球温暖化対策として期待されているが、化石燃料による発電よりコストが高いことが課題。だが、適切な支援策で大規模な普及が可能なことが示された形。

 環境省は、費用負担などへの国民の理解が得られれば、この制度を実施したい意向。さらに日本の温室効果ガス排出削減の中期目標を決める際にも、こうした分析を考慮するよう求める方針だ。

 検討会は、発電パネル設置などの投資額を10年で回収できるような固定価格買い取り制度の実施や、公共施設での率先導入などで、太陽光発電の導入量を20年に現状の25倍、30年に55倍にすることが可能だとした。


鶏ふん発電実用化へ短時間でガス化

2006/08/14 中国新聞地域ニュース

 中国電力エネルギア総合研究所(東広島市)は十一日、鶏ふんを高温高圧で短時間でガス化するパイロット試験装置の本格運転を始めた。世界初のシステムという。鶏ふん処理の主力である堆肥(たいひ)が供給過剰傾向の中、新たな処理法として期待される。ガスでバイオマス(生物資源)発電することで将来的に中電の新エネルギーのウエート向上にもつながる。

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究。広島大大学院工学研究科、産業技術総合研究所バイオマス研究センター(呉市)、実験用プラント製造の東洋高圧(広島市西区)に機器の開発や試験評価などを委託している。

 試験装置は中電エネルギア総研内に設け、高さ約四メートル、長さ約十メートル。鶏ふんと水、触媒の活性炭を混ぜて一ミリ以下に粉砕し液状化。六〇〇度、二五〇気圧にして、メタンや水素、二酸化炭素などのガスや水、触媒に分ける。高温高圧処理により、従来のメタン発酵では二週間かかるガス化を約一分に短縮できるという。

 一日当たり一トンの鶏ふんを処理でき、百十六立方メートルの可燃性ガスを回収。実用時には処理能力を一日十トンに引き上げ、ガスを利用した発電量は、終日安定稼働した場合、九百六十キロワット時となる。採卵業者を中心に設置を進め、ガスを自家発電や熱エネルギーに活用してもらう方針だ。

 二〇〇五年度にNEDOとの共同研究に採択され、〇六年度に試験装置の動作試験、〇七年度に連続運転試験などを計画。その後、実証試験を経て実用化を目指す。

 試験装置と建物などの投資額九千五百万円を含め総研究費は約三億円。中電が三分の一、NEDOが三分の二を負担する。(萩原英一郎)

東京農工大、産学連携で次世代蓄電装置の研究強化

2006/04/19 NIKKEI NeT

 東京農工大学は短時間で充放電が可能な次世代の蓄電装置「キャパシター」の研究で産学連携を強化する。蓄電器大手の日本ケミコンの寄付で大学院にキャパシター専門講座を開設したほか、同大発のベンチャー企業と連携してキャパシター用の新素材を開発する。将来は経済界の支援を得て、専門の研究所を開設したい考えだ。

 キャパシターは多くの穴があいた活性炭を電極に使い、その穴にイオンを吸脱着させることで充電と放電を行う装置。物質の化学変化で電気を起こす従来の蓄電池と比べ充放電にかかる時間が短く、瞬発力がある。太陽電池や風力発電などと組み合わせると力を発揮するほか、燃料電池自動車にも使われている。

 このほど大学院に設置した「キャパシタテクノロジ講座」には、日本ケミコンの内秀則取締役が客員教授に就任。大学院共生科学技術研究院の直井勝彦教授が中心となって運営する。年度前半に内容を詰めたうえで今秋から講義を始める。キャパシターを専門とする講座を開くのは、国内外の大学で初めてという。

太陽光、風力発電… 新エネルギー普及遠く

2005年09月26日 読売新聞 yomiuri on-line

◆高コスト 発電量にムラ

 地球温暖化への危機感の強まりを受けて、太陽光や風力など自然環境に優しい新エネルギーに対する関心が高まっている。一段の普及策を探るため、7月26日には総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会(経産相の諮問機関)も約3年ぶりに再開された。このところの原油価格の高騰により、さらに注目が集まる新エネルギーだが、本格的な普及には、なお課題が少なくない。(栗原公徳)

 ■自然の力利用

 新エネルギーは、太陽光、風力、生ゴミなどの発酵の際に出るガスを燃料にするバイオマスなど、自然の力や廃棄物などを有効利用するエネルギーだ。

 温室効果ガス排出削減を決めた京都議定書が2月に発効し、国は一次エネルギーに占める割合を2002年度の1・3%(原油換算で764万キロ・リットル)から、2010年度までに3%(同1910万キロ・リットル)に引き上げる計画だ。

 新エネルギーの中で、一般家庭への普及が最も進んでいるのが太陽光発電だ。1994年に設置された太陽電池は0・7万キロ・ワットだったのが、2004年には40倍近い27万キロ・ワットに急増、累積設置量は113万キロ・ワットと、日本は世界最大の太陽光発電国となった。

 ■補助金

 普及を後押ししたのが、国が1994年に導入した住宅用の設置補助制度だ。当時、太陽電池を導入するには1キロ・ワットあたり200万円。一般家庭で標準的な3〜4キロ・ワットでは600〜800万円と高価だったが、国が半額を補助した。

 その後、メーカーのコスト削減で価格が3分の1程度にまで値下がりしたこともあり、補助金の支給額は段階的に縮小され、今年度を最後に住宅用の補助制度は廃止される。

 ただ、国は2010年度に太陽光発電を482万キロ・ワットまで増やす目標を掲げており、達成に向けて、今後は、学校や病院などの業務用を対象にした補助制度を拡大する方針だ。

 ■技術革新がカギ

 普及が補助金頼みになるのは発電コストが高いためだ。太陽光発電の1キロ・ワット時あたりの発電コストは46〜66円(電気事業連合会調べ)で、電力各社の電気料金の2〜3倍だ。

 「太陽電池が現在の半額程度になれば、発電コストは電気料金並みの1キロ・ワット時あたり23円になる」(経産省)というが、それには一層の技術革新が必要になる。住宅向けの普及をさらに進めるには、「狭い敷地の住宅でも発電量を確保できる効率の高い太陽電池が必要」(住宅メーカー)との指摘もある。この点で、年産400万キロ・ワットで太陽電池メーカー世界最大手のシャープなど、国内メーカーの新技術開発とコスト削減がカギを握りそうだ。

 ■曲がり角

 太陽光発電と並んで順調に拡大してきた風力発電も、壁に突き当たっている。風力発電は、電力会社が発電事業者から電力を買い取る仕組みだが、電力各社のうち、北海道、東北、四国、九州の4社が新規受け入れを制限すると表明した。電気は東日本で50ヘルツ、西日本で60ヘルツの周波数で流れているが、風力発電は風の強さで発電量の変動が大きく、周波数を乱す要因になるという理由だ。

 国は、93万キロ・ワット(今年3月末現在)の風力発電累積設置量を2010年度に300万キロ・ワットに引き上げることを目指しているが、4社が受け入れ制限に踏み切れば、到達は難しい。

 日本総合研究所の飯田哲也主任研究員は「個別電力会社の枠を超えて周波数の乱れを調整するような仕組みにすれば、まだ余力はあるはず。そうした抜本的な対策が必要になる」と指摘している。

 廃棄物発電とバイオマス発電も国が普及を急いでいる。廃棄物発電は1キロ・ワット時あたりの発電コストが9〜11円で、最もコスト競争力があるとされるためだ。ただ、ダイオキシンの排出抑制対策や焼却灰の減量化などが問題だ。バイオマス発電は生ゴミや木を発酵させた際に出るガスを燃やすため地球環境にやさしいが、将来は廃材の不足も予想され、低価格で燃料を確保する仕組み作りが不可欠だ。

畜産バイオマス発電 稼働へ

2005/07/27 中国新聞地域ニュース

 ▽周南の鹿野ファーム、豚のふん尿を燃料に活用

 畜産業の鹿野ファーム(周南市)は二〇〇六年二月、本社近くの農場で豚のふん尿から発生させたメタンガスを燃料にする畜産バイオマス(生物資源)発電設備を山口県内で初めて稼働させる。建設業のコプロス(下関市)が開発したプラントの導入第一号。コージェネレーション(熱電併給)システムで光熱費などを削減し、二酸化炭素(CO2)の排出量を抑える効果が見込まれる。

 約十ヘクタールの農場の一角、約二百六十平方メートルに設備を設ける。メタン発酵槽として深さ十一メートル、直径三メートルの鋼管を地中に埋め、三五度に加温。飼育する約四千五百頭のうち、約三千頭が出す一日二一・六トンのふん尿などを微生物が分解して、約四百三十立方メートルのガスを発生させる仕組み。

 ガスの成分は、メタンが七割を占める。一立方メートル当たりの熱量は約五千八百キロカロリーで、出力三十キロワットのガス発電機を二十四時間運転できる。発電の際に生じる熱で温水をつくり、発酵槽や豚舎の加温に充てる。発酵後の残りかすは、堆肥(たいひ)に利用する。

 発電と熱利用を合わせた熱効率は約67%と高く、光熱費など年間約千三百万円を削減できる。原油換算で年間六万一千キロリットルに相当し、CO2排出量では年間百四十二トン減らせる見込みという。

 鹿野ファームとコプロスは一九九九年から農場内に試験プラントを設置し、経済性を確保できるめどが立ち、近く着工することにした。総事業費約八千万円。うち半分は国の補助を見込む。

 鹿野ファームの佐武克也社長は「これまで使っていないエネルギーを有効活用し、化石燃料の使用削減につなげたい」と意気込む。コプロスは、乳製品メーカーや水産加工場にも同システムを売り込み、年間三億円の売り上げを目指していく。

廃棄物発電

2002年08月29日 東奥日報

 廃棄物を燃やす際に出る高温の排ガスをボイラーを使って熱エネルギーに換え、発電する仕組み。ごみ処分場不足が深刻化した1990年代に、排出減量化のため自治体の取り組みが本格化した。最近は単にごみを燃やすのでなく、可燃性物質を固形燃料(RDF)にする方式が、貯蔵や運送の利便性から注目されている。

 発電焼却炉は90年度で215カ所あり、発電量は106万キロワット。環境省は2003年度からスタートさせる廃棄物処理施設整備計画で、自治体の焼却炉に新たな発電設備を設け、廃棄物発電を積極的に進める方針を打ち出した。民間事業者による産業廃棄物発電も促し、10年度に417万キロワットの達成を目指している。

バイオマスエネルギー推進に2百億円要求…農水省

2002年06月30日Yomiuri On-Line

 農林水産省は29日、新たなエネルギー資源として、生ゴミや木材クズなどを使った「バイオマス(生物資源)エネルギー」の利用を推進するため、2003年度予算の概算要求に約200億円を盛り込む方針を明らかにした。

 バイオマスエネルギーは石油やガスなどの石化燃料とは違い、二酸化炭素(CO2)の排出量を減らせるクリーンエネルギーとして注目されており、農水省は研究開発に対する補助制度などを拡充する。

 農水省は、生ゴミや木材などから取り出したメタンガスやアルコールを使った発電などの研究開発に対する融資制度創設や、バイオマスの施設建設への補助金支給などを検討している。

 バイオマスなど新エネルギーの必要性は、京都議定書に地球温暖化防止策の一つとして、盛り込まれており、政府が3月に決定した「地球温暖化対策推進大綱」では、2010年度のバイオマスエネルギーの目標として、「発電分野」では現在の5万4000キロ・リットル(原油換算)から約6倍の34万キロ・リットルに増やし、「熱利用分野」との合計で101万キロ・リットル(同)まで拡大することを掲げている。

 アメリカではエネルギーの総供給量に占めるバイオマスエネルギーの比率を現行の3%から8%に、欧州連合(EU)も2010年に現行の3%から9%に引き上げる計画だ。

 日本では三菱重工業が稲ワラやモミ殻などをガス化して、液体燃料のメタノールを取り出す装置を開発するなど、企業や地方自治体レベルでは様々な取り組みが行われているが、国としての対応は欧米に比べて、遅れが指摘されている。

 ◆「バイオマス」とは◆

 バイオマスは、生態学で使われる言葉で、「生態活動で生成される植物、微生物などの有機物の量」という意味を持つ。現在は、エネルギーとして利用できるまとまった量の「生物資源」を指す言葉として定着しつつある。

 具体的には、廃木材などや生ゴミなどの農畜産廃棄物などからアルコールを取り出してエネルギー源としたり、合成樹脂の原料として使われるトウモロコシなどのデンプンなどもバイオマス資源と言われる。

 サトウキビなどを発酵させて作ったエタノールをガソリンに混ぜて自動車燃料に使用する取り組みなどが、ブラジル、スウェーデン、カナダなどで行われており、日本でも自動車メーカーなどが研究を進めている。

途上国のエネルギー政策支援めざし官民が協議会

2001.03.04 asahi.com

 途上国の離島や山間部では、風力や太陽光による小規模発電が有効とされ、中国などアジアを中心に、新エネルギー・産業技術総合開発機構や国際協力事業団、日本貿易振興会など政府系機関が独自に取り組んできた。だが、それぞれの調査や研究は2年前後と短く、継続せず普及にはつながっていない。

 協議会には政府系機関をはじめ、省エネプラント技術のある新日本製鉄や川崎重工業のほか大手銀行も参加して、約20団体・企業で構成される予定。関係機関が連携をとると同時に、新エネ・省エネ施設の開発やコストダウンなどにもつながり、ビジネスとしても成り立つ支援策を後押しする。

グリーン電力基金、まずは「出足順調」

2001.01.27 The Sankei Shimbun

風力、太陽光…自然エネルギー普及に協力したい
加入1万口突破、定着なお課題も

 風力発電など自然エネルギーの普及を進めようと、電力各社が昨年十月から始めた「グリーン電力基金」への加入申し込みが十二月末で一万口を超えた。五千七百万といわれる一般住宅の電力契約数からすれば、まだ〇・〇二%以下に過ぎないが、契約者が毎月の電気代に寄付金を上乗せするという制度自体が広く知られていないだけに、電力会社の間では「順調」と評価する声が多い。ただ、一般の認知度が低いうえ、加入者数の地域差もはっきりと出始めており、全国規模で制度が定着するまでには課題も少なくない。

 グリーン電力基金は自然エネルギー普及のための資金の一部を一般消費者からの寄付で賄う制度。趣旨に賛同した人が毎月の電気代に一口五百円を上乗せする仕組みで、一人で何口でも応募できる。集まった金額と同額を電力会社も寄付し、風力や太陽光の発電施設に助成する。資源エネルギー庁の試算によると、一キロワットあたりの発電コストは既存の火力、水力、原子力が六−十円ほどであるのに対し、事業用風力発電が十六円、住宅用太陽光発電が八十一円。自然エネルギー普及の大きな壁となっている発電コストの高さを寄付金で補おうというわけだ。

 寄付する側の見返りはない。「わたしたちは、グリーン電力基金に参加しています」とかかれたステッカーをもらえるだけだ。寄付行為自体に決してなじみが深いとはいえない日本で、こうした制度が広く浸透するかどうか当初から危ぐする向きもあった。電力会社側が「壮大な社会実験」というのはこのためだ。

 そうしたなかで、とりあえず一万口を超えたことに、電力会社関係者の間では「スタートとしては順調」と胸をなで下ろしている。グリーン電力基金の海外事情に詳しい日本エネルギー経済研究所の工藤拓毅さんもその一人だ。一九九六年七月から導入したドイツの電力会社、RWEでは半年で加入者が〇・一%に達したが、日本の加入ペースはそこまで達していない。それでも工藤さんは「寄付行為の文化もなく、制度自体の認知度も低いなかだけに、健闘していると思う」と話す。一方で今のところは電力会社の社員や自然エネルギー普及のために以前から熱心に活動していた人たちが加入しているとみられ、「制度が成功するためには、一般の人をどう掘り起こすかが課題」と指摘する。

 基金加入者数の地域差も目立つ。電力契約数では関西の半分しかいない東北電力の方が、基金加入者数では逆に二十倍以上多いという結果になっている。風力発電施設は東北や北海道に集中しており、関西電力では「身近に施設がないことが関係しているかもしれない」(地域共生・広報室)とみている。

 ただ、東京電力などのように新聞の一面広告を出したり、テレビコマーシャルを流すなどPRに熱心な電力会社がある一方で、関西電力では「検針のお知らせに基金ができたことを書いている程度。それ以上のPRは考えていない」(同)というところも。こうした姿勢の違いは、基金自体の認知度に影響しているとみられる。

 助成方法や助成先について、学者やNGO(非政府組織)関係者らを交えた地域ごとの検討会が近く本格的に始まる。電力会社では「助成先が明確になれば基金への加入も増えるのではないか」と期待するが、自然エネルギー促進法推進ネットワークの代表を務める飯田哲也さんは「自然エネルギー普及のために、それぞれの地域事情にあった独自プログラムをつくっていけるかが成功のカギになる」と話している。

電力各社のグリーン
  電力基金加入状況
  件 数 口 数
北海道 81 102
東 北 2664 2925
東 京 4903 5750
中 部 174 223
北 陸 219 229
関 西 128 212
中 国 488 601
四 国 125 154
九 州 515 593
沖 縄 42 54
合 計 9339 10843
(12月末現在、東北は12月27日現在)

エネルギー政策の抜本的見直しへ 10年ぶりに調査部会

April 24, 2000

 通産相の諮問機関、総合エネルギー調査会の総合部会(部会長・茅陽一東京大名誉教授)が24日、通産省で開かれ、21世紀に向けた国のエネルギー政策の抜本的見直し作業がスタートした。調査会の最高機関ともいえる総合部会が開かれるのは1990年以来約10年ぶりで、脱原発を訴えて活動している非政府組織のメンバーも初めて委員に加わった。今後約1年かけて議論を進め、長期的な視野に立ったエネルギー需給見通しを改定する。

 総合部会は学識経験者など約30人の委員で構成。最も大きな焦点になりそうなのが、原子力発電所の増設目標削減を含めた長期的な原子力政策のあり方で、相次ぐ原発関連の事故で新規立地の環境は格段に厳しくなっている状況にどう対応するか注目されている。

 一方、二酸化炭素(CO2)削減に向けて、太陽や風力など自然エネルギーなど新エネルギーの活用やいっそうの省エネ推進もテーマになる。アラビア石油の権益失効でエネルギー調達戦略のほころびも目立っており、原油や天然ガスの安定供給に向けた新たな方策の確立も重要課題だ。
 初会合で茅部会長は「実現性がある政策を考えると同時に、はっきりと根拠を示していきたい」との方針を示した。一部の委員からは「『まず原発ありき』ではなく、新エネルギー導入の可能性を真剣に探るべきだ」といった指摘があった。

太陽光、風力発電の促進を

2000年04月21日

太陽光、風力発電などの導入推進を目指す超党派の「自然エネルギー促進議員連盟」は21日、国に自然エネルギーを活用した発電の供給目標策定を義務付ける一方、導入促進に、補助金支出を定めた「自然エネルギー発電促進法」の大綱をまとめた。各党内の調整を経て法案の細部を詰め、今国会に提出する方針。

自民の「原発地域振興法案」原案が判明

April 15, 2000

 自民党が検討してきた、原子力施設のある地域への新たな振興策を盛り込んだ法案の原案が14日、明らかになった。今国会への提出を予定している。原発などのある自治体にはすでに特別財源から交付金などが支給されているが、道路、鉄道など大型の公共事業のために一般財源からの支出を可能としているのが特徴で、将来の原発新設を促す狙いもある。だが、今国会では、自民を含む超党派の国会議員が風力など自然エネルギー発電の促進法案の提出も計画しており、エネルギー政策のあり方ともからみ、対立も生まれつつある。

 自民党の電源立地等推進に関する調査会(桜井新会長)は来週中にも「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法案」(仮称)を党内に示す予定だ。原案によると、首相を座長に蔵相、通産相など関係閣僚と学識経験者から成る原子力立地会議が、地元の知事の提案に基づいて、公共事業などを盛り込んだ振興計画を審議する。計画達成のためには一般財源からの支出や自治体による地方債の起債も可能とする内容だ。

 原子力施設を抱える自治体にはすでに、電気料金に上乗せされている電源開発促進税(電促税)を集めた特別会計から、年間に1600億円を超える交付金が支給されている。だが、昨秋の茨城県東海村の臨界事故を機に、自治体から「見返り」拡大を求める声が強まった。

 一方、自然エネルギー促進法に関しては共産党を除く各党の国会議員約250人による自然エネルギー促進議員連盟(愛知和男会長)が、風力や太陽光などで発電した電力の買い取りを電力会社に義務づけ、電促税を財源とする支援を内容とする法案を練っており、今国会での提案を目指している。ところが、自民党内では「自然エネルギーの買い取り義務化は電力自由化の流れに逆行する」とする声が強まり、「原発振興の新法は選挙対策のばらまき」と批判する「自然エネルギー派」との摩擦が生じている。

海洋温度差発電 発電コスト、原発に劣らず

1999年10月30日 10時02分
 海水の温度差を利用して発電する海洋温度差発電(OTEC)の発電単価は、安いとされる原子力発電や火力発電に劣らないとする試算を、世界初の1000キロワット実証プラントを建設中のインド国立海洋技術研究所がまとめた。

 入札が済み建設資材を調達している中での初の試算で、OTEC研究の第一人者、上原春男佐賀大理工学部教授は「実用化への弾みになる」としている。
海洋温度差発電応用物理, 第63巻, 第8号, pp.805-808 (1994) by 上原 春男

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