TOPIC No.3-22-3 太陽光発電

01.太陽光発電は、何年で“もと”がとれるの? 太陽光発電の損益分岐点(2003年10月27日) by All about
02.我が家のオール電化&太陽光発電 -体験談をご紹介-
03.太陽光発電オーナーのリンク集
04.太陽光発電システム 見積工場 - 価格・費用
05.太陽光発電の技術総合サイト by省エネドットコム
06.太陽光発電技術特集 by APEC環境技術交流バーチャルセンター
07.太陽光発電協会
08.太陽光発電 byby(財)新エネルギー財団
09.太陽光発電・日経エコロジー記事に、経産省の施策の問題点を見る 2008/08/16 JanJan
10.太陽光発電 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


補助金申請件数1・5倍に 住宅用の太陽光発電

2011/08/06 中国新聞

 国による住宅用太陽光発電の補助金の申請件数が、前年度の約1・5倍に増えていることが、申請窓口の太陽光発電普及拡大センター(千葉市)のまとめで分かった。東京電力福島第1原発の事故以降、計画停電への備えや節電を目的に、各家庭で太陽光パネルを設置して独自に電力を確保しようとする動きが広がっている。

 2011年度の申請は4月12日にスタート。7月末までに7万7537件の申請があり、昨年7月末時点の申請件数(5万123件)を大きく上回った。

 月別では、4月は申請開始が前年度より2週間早かったため、前年同月比約32倍と大きな伸びとなったが、5月も約1・33倍、6月は約1・37倍、7月は約1・39倍と、増加傾向が続いている。同センターは「計画停電が実施された埼玉、千葉、神奈川県での件数の増加が目立つ」と説明している。

 大手住宅メーカー各社でも、太陽光パネルを搭載した住宅の販売数が昨年に比べ増えている。三井ホームは昨年春で15%だった搭載率が、今春は45%まで伸びたという。住友林業では「環境保護の意識に加え、節電への関心も高まっている」と震災後の消費者意識の変化を分析。太陽光パネルの節電効果について説明を強化し、販売拡大につなげる方針だ。

 11年度の補助金申請の受付期間は12月22日まで。受け付け予定は10年度より2万件多い約17万件だが、申し込みは当初4カ月間で約46%に達した。経済産業省は「今後も申請数が増えれば、受け付けを前倒しで終了する可能性もある」と説明している。

ソーラー事業:韓国企業はどう戦うべきか(上)

2010/10/31 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

世界トップに躍り出た中国のソーラー事業

日本は電池の効率が世界トップ、韓国より技術力で2年先行

中国のソーラー需要、昨年4.4倍の成長

全世界の生産量の49%を占める

 中国・北京から車で南におよそ4時間走ると、山東省徳州市に到着する。料金所から市内へと続くおよそ10キロの道路の両側には、太陽光(ソーラー)発電を利用した街灯がずらりと並んでいる。市の入り口にはためく鮮やかな赤旗には、「全世界最大的太陽能生産基地(世界最大の太陽エネルギー生産基地)」と書かれていた。

 市中心部に入ると、およそ2000枚のソーラーパネルを扇状に配置した、「太陽と月の家」と呼ばれるユニークなビルが目に入る。延べ面積7万5000平方メートルのこのビルは、太陽光や太陽熱などソーラーエネルギーを50%以上利用する建造物としては世界最大規模。中国のソーラーエネルギー関連企業、皇明グループの本社だ。同グループは中国政府の支援の下、2006年以降7億4000万ドル(約614億円)を投資し、農業都市だった徳州を世界最大の太陽都市「ソーラーバレー」へと改造している。かつてニワトリの飼育場やスイカの畑があった場所には、太陽光や太陽熱関連の企業や工場、研究開発(R&D)センターが100カ所以上立ち並んでいる。

 「ソーラーバレー」を建設した中国の目標は明らかだ。19世紀が石炭、20世紀が石油の時代とするなら、21世紀はソーラーエネルギーの時代。今後100年の未来が懸かったソーラー産業の覇権を握ろうという構想だ。中国の戦略は、農村社会から都市化を飛び越え、未来都市へと変身した徳州のようにドラマチックだ。自動車や半導体など伝統的な製造業をあえて省略し、大規模な投資と研究開発で一気に未来産業へと走り出ている。

■崩れてしまった産業の伝承、韓国を飛び越え中国へ

 中国は既に、ソーラー産業で世界トップの国だ。09年の生産量ベースで、世界市場の49%を占める。世界7大太陽電池メーカーのうち、4社は中国企業だ。中国のソーラー産業の競争力は、巨大な内需を背景にした大量生産能力と、世界最低水準の製造原価にある。ソーラー産業は、昨年の金融危機にもかかわらず、新たに6.43ギガワット規模が設置され、8.1%の成長を示した。中国は440%も増加した。昨年346億ドル(約2兆8700億円)をソーラー・風力など自然エネルギー分野に投資した、中国政府の「グリーンドライブ」の威力だ。「市場がなければ作ればいい」という言葉が、中国では通用するわけだ。

 製造原価部門では、中国がほかの追従を許さない。中国の太陽電池モジュールの価格は、韓国製や日本製より10−30%も安い。ヨーロッパの企業が作ったモジュールと比べると、中国製の価格は65%にすぎない。それでは、技術力に劣る低級品なのか。太陽電池の技術力の尺度は、太陽光をどれだけ電気に転換できるかを示す「変換効率」だ。中国最大のソーラー関連企業「サンテック」が生産する太陽電池の変換効率は18%台で、世界最高水準(19%台)に迫る。北京にある新エネルギー専門ファンド「乾能投資」の喬禹智・東アジア担当社長は、「太陽光分野では、産業規模や技術力の面で、韓国が中国に追い付くのは難しい。中国は、自然エネルギー分野で、既存の産業発展段階を飛び越える“跳躍式発展”を続けていくだろう」と語った。

ソーラー事業:中国、10年間で58兆円投資へ

2010/10/31 10:57朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 チョ・ヨングォン(サムスン経済研究所首席研究員)

自然エネルギー分野で世界の覇権を狙う

 中国は太陽光をはじめ、自然エネルギーのあらゆる分野に巨額の投資を行っているが、とりわけ風力発電が注目に値する。2004年の市場規模はわずか197メガワットだったが、その後は年平均134%の割合で成長を続け、09年には14ギガワット近くにまで拡大した。この勢いで09年には、米国を抜いて世界で最も大きな風力発電市場に成長した。発電量も米国に次いで2位を誇る。

 水力分野では、すでに世界最大の水資源保有国だ。最近はヒマラヤの高原地帯、チベットを流れるヤルツアンポ江に、500メガワット規模の蔵穆ダムを建設しており、将来的にはこれを含めて五つのダムを建設する計画だ。これら五つのダムの発電総量は、現時点で世界最大といわれる三峡ダムを上回る。中国は現在、1億9000万キロワットとされる水力発電量を、2020年には3億キロワット以上に引き上げることを目指している。

 原子力分野では、2020年までに8000億人民元(約10兆円)を投じ、原子力による電力生産を8000万キロワットにまで引き上げる計画だ。昨年、中国で原子力発電は全体のわずか1%だったが、10年後には8%にまで引き上げたい考えだ。

 このように中国は太陽光、風力、原子力、水力などによる発電能力を徐々に増強し、現時点で10%のこれらの割合を、2020年までには20%に引き上げる計画だ。今後10年間にこれらの発電設備に投じられる額だけでも780兆ウォン(約58兆円)に上るが、これは韓国にとって想像もできない額だ。中国は自然エネルギー発電大国を目指し、将来のエネルギー産業の覇権を握ろうと躍起になっているのだ。

太陽電池の出荷が過去最大 9割以上が個人住宅用

2009/09/06 中国新聞ニュ−ス

 太陽光を利用して電気を生み出す太陽電池の2009年4〜6月期の国内向け出荷量が前年同期比82・5%増の8万3260キロワットと、過去最大となったことが6日、太陽電池メーカーなどでつくる太陽光発電協会の調べで明らかになった。

 用途別では、9割以上を個人住宅向け発電システムが占める。住宅1戸当たりで導入するシステムは平均3・5キロワット程度とされ、単純計算では同期間に2万戸余りで新たに太陽光発電が導入されたことになる。

 地球温暖化問題の深刻化で個人レベルでも環境意識が高まる中、今年1月に政府の補助金制度が復活、11月からは余剰電力の買い取り制度が拡充されるなど、一般の消費者が太陽光発電を導入しやすい環境が整い急増した。

 標準的な家庭用装置は、新築住宅の場合、出力3・5キロワット程度で工事費を含めて200万円前後。国や自治体の補助金を利用すれば、このうち3分の1程度が軽減され、約130万円で購入できるケースもある。今後増産などで生産コストが下がりさらに安価で購入できるようになれば、一層の拡大につながる可能性がある。

 太陽電池の国内出荷は、補助金制度があった05年度までは堅調に推移していたが、補助が打ち切られた06年度以降は出荷量がそれまでの8割前後の水準に落ち込んでいた。

 政権に就く民主党は、家庭が太陽光など新エネルギーで生み出した電力について、電力会社が全量を買い取る制度を始める方針。同協会は「今後も好調に推移しそう」と期待している。

 調査には、国内で太陽電池を出荷している三洋電機やシャープ、三菱電機など国内外の主要メーカー24社が回答した。

太陽光発電ヒートアップ 補助で割安「早い者勝ち」

2009年07月25日 asahi.com

 住宅向け太陽光発電設備に対する自治体の補助制度に申し込みが殺到している。制度を持つ全国24都府県のうち、岡山と沖縄では今年度の当初予算を使い切り、埼玉と富山では底をつきそうになって追加の対応を迫られた。今年1月から政府の補助金も復活、「割安感」で設置が予想以上に増えているためだ。

 「想定外の人気。見込みが甘かった」。岡山県は今月7日から、太陽光発電設備に対して、出力1キロワットあたり7万円(最大28万円)の補助金制度を導入。来年1月末まで受け付ける予定だった。しかし初日だけで300件、6日間で1千件を超え、2億5200万円の当初予算枠は1週間で埋まった。

 岡山県里庄(さとしょう)町では今月1日に補助金制度を開始すると、わずか1時間で17件、800万円の予算分の申請が集まった。23日には16件分、660万円の予算を追加した。

 沖縄県も4月から始めた定額2万円の補助金に対し、年間予想の300件を20件程度上回る申請があったため、今月14日で締め切った。埼玉県は6月末までの3カ月間で予算の8割超が埋まる申請があり、富山県では2カ月間で6割超となり、両県は追加の補正予算で対応。岩手県や宮城県、福井県でも、すでに予定枠の3分の2以上の申請があり、当初予算を使い切りそうだ。

 太陽光発電協会のまとめでは、都府県と市区町村を合わせると、全国447の地方自治体で補助制度が導入されている(7月24日現在、検討中も含む)。自治体は、地球温暖化防止や地域の経済効果を狙って国の補助再開に追随。東京都足立区など手厚い地域では国と都府県、市区町村の三つの補助制度が利用できる。

 さらに、太陽光発電設備の設置負担を軽減するために、家庭の太陽光発電で余った電力を、現行の2倍の価格(1キロワット時あたり48円)で、電力会社に買い取りを義務づける制度が、年内にも始まる。太陽電池メーカーは、09年度の日本市場は出荷ベースで前年度比1.7倍になる、とみる。

 熊本県大津町の会社役員、江原梅夫さん(58)は国と県、町の補助金を使って24日、太陽光発電設備をつけたばかり。設置費約270万円に対し、補助額は計約55万円。「自然エネルギーに関心があった。補助金もあり、売電価格も2倍になるから思い切ってつけた」

 一方、太陽光発電の設置現場では技術のある業者も不足気味だ。三菱電機は、自社が開く技術講座の受講者を、昨年の5倍の年間5千人に拡大。「これでも足りないぐらいだ」という。ほかのメーカーも施工業者の養成を急いでいる。

 ただ、太陽光発電ブームでも、多くの自治体の補助金は「早いもの勝ち」。希望する人に広く行き渡らない。補助金が打ち切られれば、ブームは去りかねないと心配する声もある。(堀内京子)

「太陽光発電、売ってます」流通大手が取り扱い拡大

2009.06.20 MSN産経新聞

太陽光発電装置の販売に参入したヨドバシカメラ。家電量販大手で販売拡充の動きが強まっている(東京・マルチメディアakiba)

 太陽光発電システムの購入の場が広がりつつある。大手家電量販店が相次ぎ取扱店舗を増やしているほか、イオンも京セラと提携し、太陽光発電システムの販売を拡大する。補助金などの普及促進策が相次ぎ導入されており、販売拡大を見込んでいる。太陽光発電システムはこれまでメーカー系列の訪問販売が中心で、「どこで購入すればいいのか分からない」との声も出ていたが、より身近な存在になりそうだ。

 ヨドバシカメラは先月30日に東京・秋葉原の旗艦店で家庭用システムの販売を始めた。家電フロアの中心に、実際の太陽光パネルを展示した専用コーナーを設け、専門の担当員も配置した。成約はまだ数件だが、「1日に10件あまりの見積もり請求があるなど、消費者の関心は高い」(マルチメディアakiba店・野口大希氏)という。

 6月20日からは東京・吉祥寺でも販売を始めたが、さらに都内では月内にも2店舗増やす。地方にも取扱店舗を広げ、来年夏をめどに販売から施工までの一貫態勢を整える。

 ヤマダ電機は現在約100店で販売しているが、来年3月末までに取扱店舗を400店に拡大する。「政府助成などで需要が高まっている」(ヤマダ電機)ことを背景に、今でも週に100台程度売れているというが、平成22年3月期には太陽光発電システムの売り上げを100億円規模としたい考えだ。首都圏を中心に10店舗で販売しているビックカメラは今後、一戸建ての多い地域に販売店舗を拡大する。

 一方、太陽光発電システム大手の京セラは今秋、埼玉県越谷市、東京都日の出町にあるイオンのショッピングセンターにテナント出店する。イオン傘下の「ジャスコ」などに販売や施工を請け負うコーナーも設け、今後3年間で1万戸への販売を見込んでいる。

 政府は平成32年時点で、温室効果ガスを7年比15%削減する中期目標を掲げた。実現のため、太陽光発電システムも現在の約20倍に拡大する計画。現在、一般的な家庭向け太陽光発電システム(約3キロワット)に約20万円の補助金を出しているほか、独自の助成制度を設けている自治体も少なくない。こうした制度を利用すれば、約200万円程度の購入・設置費用は150万円前後に下がる。さらに消費者に近い流通大手が普及の牽引(けんいん)役となりそうだ。

太陽電池の国内出荷17.9%増 補助金再開が追い風

2009年06月03日 asahi.com

 09年1〜3月期の太陽電池の国内出荷は、発電能力ベースで7万3268キロワットと前年同期と比べ17.9%増だった。太陽光発電協会が3日発表した。家庭用太陽光発電設備に対する国の補助制度が1月に再開されたことが、出荷を押し上げたとみられる。

 太陽光発電普及拡大センターによると、同期間の補助金申請受理件数は2万2501件。出荷量は、住宅向けが5万5347キロワットで前年同期比20.4%増と大きく伸び、前期(08年10〜12月)と比べても9.7%増だった。同協会は「4月以降は地方自治体の補助も増えるため、さらに伸びる」とみている。

 1〜3月期の輸出は、前年同期比19.4%減の17万1013キロワットだった。欧州向け出荷が21.0%減、北米向けは2.7%減だった。

 一方、08年度の総出荷量は112万521キロワットで、前年度比22.9%増。年度前半は欧州向けが好調だった。国内出荷は12.8%増の23万6787キロワットだった。

太陽光発電に沸くスペイン 電力買い取り高額保証が投資呼ぶ

2009/05/11 Fuji Sankei Business i

米仏企業の投資を受けてスペイン南部に完成した太陽光発電システム=アンダルシア州(ブルームバーグ)

 スペインの保証された電力価格が、フランスや米国の発電開発業者を引きつけ、同国が世界屈指のソーラー大国となろうとしている。

 スペイン政府は電力会社に対し、太陽・風力で発電したクリーン電力を促進するため、火力発電による電力の10倍以上のプレミアム価格で発電業者から買い取ることを義務付けている。個人世帯や事業体の支払う電気代に上乗せされるこのプレミアム価格は、米発電大手FPLグループや仏電力大手フランス電力公社(EDF)など、発電開発業者による太陽光発電投資ブームを巻き起こした。

 ◆火力の7倍の価格

 この結果、開発業者が計画している太陽光発電所がすべて完成すれば、原子力発電所9つ分に相当する1万4000メガワットの発電を行うことができるようになるという。コンサルタント会社エマージング・エナジー・リサーチの研究によると、スペインの太陽光発電は、太陽光に恵まれたオーストラリアや米国を抜いて世界最大規模となる。

 レイ・フアン・カルロス大学のガブリエル・カルザーダ教授(経済学)は「市場価格の何倍もの価格が保証され、顧客まで確保されている事業なら、参入したがらない人はいない」と指摘する。

 スペインの法律では、発電所の設立後25年間、電力会社は発電されたクリーン電力をすべて買い取り、消費者に販売することが義務づけられる。スペインは産油量が少ないが日射量は多く、政府は石油燃料の値上がりと地球温暖化防止条約での温室効果ガスの排出制限で、将来的に現在の高コストは相殺されると計算している。

 スペイン当局の推計では、クリーン電力のプレミアム価格は今年、電力価格の42%を占めて、国民は年1人当たり95ユーロ(約1万2600円)を負担する計算になる。2007年5月、太陽光発電所の電力価格は1メガワットアワー当たり300ユーロに引き上げられ、火力発電や天然ガスの平均電力価格の7倍となっている。

 ◆開発業者に魅力

 「電力価格の保証はスペイン以外の国が導入したクリーン電力政策よりも魅力的だ」と話すのは、独証券会社SESリサーチの業界アナリスト、カルステン・フォン・ブルーメンソール氏だ。

 同氏は、米国にはカリフォルニアの砂漠やネバダなど、もっと太陽光発電向きの場所があるが、「米国の減税政策と助成制度の組み合わせをみると、開発業者にとってそれほど大きな誘因にはならない」とスペインの優位性を指摘する。

 スペインのクリーン電力買い取り制度はFPLグループにとり、大西洋を横断し、50メガワットの太陽光発電所の建設計画を提案するだけの魅力がある。EDFも昨年、スペインの太陽光発電業者、フォトソーラーの保有株式を90%に引き上げている。

 スペイン太陽光発電産業協会のトーマス・ディアス広報担当は「ブレント原油の価格が1バレル=40ドルを上回り、原油価格は当面下がらないと予測された04年の夏以降、EU(欧州連合)ではクリーン電力に対する投資が増え続けている」と語った。(Gianluca Baratti)

太陽光発電:高効率・省資源の開発へ 2050年目指し「宇宙発電」も研究進む

2009年02月22日 毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE

 太陽光発電は現在、太陽エネルギーの一部しか活用できておらず、大量導入には多くの原材料が必要だ。このため、各メーカーや研究機関は薄い材料の実用化による省資源化や、集光して太陽光のすべての波長をフル活用し発電効率を上げる技術の開発に力を入れている。宇宙発電構想も進行中だ。【江口一】

 ◆厚さ1ミリ以下

 「我が国の太陽電池技術は世界一だ」。12日に開かれた民主党の勉強会で、東京工業大の小長井誠・太陽光発電システム研究センター長は日本の技術力の高さを強調した。「絶え間ない技術革新のおかげだ。薄膜などの強い分野を強化し、他国の追随を許さないことが日本の進むべき道だ」と意気込む。

 現在の太陽電池は、シリコン(ケイ素)の塊を使う「結晶シリコン」システムが一般的で、技術的には成熟してきた。しかし、太陽光から電力の変換効率が市販用では10%台とまだ低い。また、大規模に導入すると、シリコン不足が懸念されることから、政府は昨年7月、「新材料・新構造を利用し、30年以降に発電効率40%以上で1キロワット時あたりの発電コストが(原子力発電並みの)7円の太陽電池」を実現する方針を決めた。

 こうした状況の中、少ない材料で効率よく発電できる「薄膜型」太陽電池の開発に力が入れられている。その一つが銅、インジウム、ガリウム、セレンで構成する「CIGS薄膜」だ。文字通り、厚さ1ミリ以下の「薄い膜」で、シリコンを使わない太陽電池として有力視されている。

 CIGSは実用化してはいるが、市販用の効率は10%前後だ。産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の仁木栄・太陽光発電研究センター副センター長らは昨年、それを17・7%まで引き上げることに成功した。

 効率だけなら他に上回る成果があるが、仁木さんらは電池の基板を工夫して曲げられるようにし、平面でなくても設置可能にした。取り付け不可だった場所にも導入が進むことが期待される。仁木さんは「約20%の効率は現状ではかなり高効率といえる。早期に実用化したい」と話す。

 このほかシリコン自体や、別の材料による薄膜化も研究・開発が盛んだ。

 ◆光をフル活用

 豊田工業大の山口真史教授らは、太陽光をレンズで集光し、併せて可視光以外も発電に利用する「太陽光フル活用」システムの開発を目指す。

 太陽光の波長は200〜1800ナノメートル(ナノは10億分の1)。山口教授によると、現在のシリコン型電池は可視光の領域(500〜900ナノメートル)しか使っていない。紫外線や赤外線を活用できれば効率は上がるが、それには多くの材料による多層構造にする必要がある。

 これまでは波長900〜1800ナノメートルの近赤外線を電力変換する材料がなく、フル活用が難しかった。最近、窒素系化合物半導体で有力な材料を発見し、実験段階では3〜4割の効率が達成可能になった。

 一方、集光すれば電池の設置面積は小さくてよく、省資源、低コストになる。同じ発電量なら集光率500倍で理論上、面積は500分の1で済む。

 約400倍の集光率と太陽を自動追尾するシステムを併用し、多層構造の太陽電池で発電実験した結果、既存のシリコン型に比べて同じ面積での発電量が約1・7倍になった。山口教授は「集光率1000倍で効率40%の太陽電池なら、原発と同程度の費用で発電できる」と話す。

 ◆「夢ではない」

 国は50年までに宇宙太陽光発電の実現を目指すが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の佐々木進・高度ミッション研究グループ長は「夢の技術ではなく、30年には実現できる」と強調する。

 JAXAの計画では、赤道上空約3万6000キロメートルの軌道上に設置、長径約3・5キロ、短径約2・5キロの楕円(だえん)形の大型反射鏡2基で太陽電池に集光して発電し、マイクロ波に変換して地上に送る。地上には直径約2キロの受電装置を設け、電力に再変換する。規模は原発1基分相当の100万キロワット。昼夜を問わず一年中、安定した発電が可能だという。

 宇宙発電は米国が1960年代に計画したが、80年代に中断した。90年代以降日本で研究が活発化し、米が開発を再開した。この経緯から佐々木さんは「日本が宇宙発電の最先端だ」と説明する。

 現在、地上でマイクロ波の送受信実験に着手している。10年代後半には、100キロワット級の小型装置を打ち上げ、実際に「ミニ宇宙発電」を試す予定だ。

【経済深層】経産省VS環境省 縄張り争いでグリーン・ニューディール空転

2009.02.22 MSN産経新聞

  地球温暖化防止と景気浮揚を両立させる「グリーン・ニューディール政策」に期待が集まる中、日本では経済産業省vs環境省の“暗闘”で、計画策定が遅々として進んでいない。オバマ米大統領の提唱を受け、環境省が日本版の策定をぶち上げたが、経産省は“完無視”の構えだ。「グリーンな人たち」の声に耳を傾け、高い理想と目標を掲げる環境省に対し、経産省には産業界を主導し現実的な省エネ・環境対策を実現してきたとの自負がある。長年にわたる両省の反目が、ここでも最大の障害となっている。

エネ庁をやっつけろ!

 2月10日、環境省が開いた中央環境審議会(環境相の諮問機関)の地球環境部会。環境省の事務方から太陽光発電の発電能力を2030年に05年の55倍に引き上げる案が提示されると、鈴木基之・放送大教授が気勢を上げた。

 「これでナントカ省のナントカ庁をやっつけて!」

 ナントカとは、経産省資源エネルギー庁のことだ。同庁は2030年に40倍との目標を打ち出している。

 環境省案を実現するには、太陽光発電設備への補助を手厚くするほか、発電した電気を電力会社に割高な固定価格で買い取らせる制度を新たに導入することが条件になる。電力業界は経産省の所管。環境省の“領海侵犯”に対する反発は必至だ。

 同部会は、主に学識者で構成され、産業界の代表は猪野博行・東京電力副社長らごくわずかで、「“野心的”な目標を打ち出すのが、大好き」という。実際、固定価格制に異論を唱えたのは、出席した28人の委員のうち猪野氏ただ1人だけだった。

 鈴木教授の発言には委員から苦笑も漏れたが、一部の委員は、事務方の環境省職員に「こういうのを待っていたんだ」「ようやく中環審らしい提案ができる」と、声をかけた。

 環境省では、太陽光発電の普及で関連産業が活性化され、新たな雇用が創出されるとし、日本版グリーン・ニューディール政策にも反映させたい考えだ。

「根拠のない数字」と反論

 これに対し、エネ庁幹部は「彼らの数字には何の根拠もない」と一蹴する。

 環境省案では、高コストの太陽光発電による電気を電力会社が購入した場合、1キロワット時あたり0・86円の負担増となり、その分を電気料金に転嫁することになっている。試算では、標準家庭で月額260円の負担増だ。日本の全5000万世帯では年約1500億円に上る。

 一方で2030年までに太陽光発電を05年比55倍にするという目標を達成するには25兆円が必要としている。年間1兆2500億円となり、消費者の負担増では1割強しかまかなえい計算だ。

 エネ庁幹部の「根拠がない」との主張は、この矛盾をついたものだ。

 足りない分はどうするのか。エネ庁幹部は「(経産省が大反対する)環境税の導入で賄うという環境省の意図が透けて見える」と指摘。「怒るよりもただあきれる」と言い放つ。

電力業界の反発必至

 もっとも、エネ庁が掲げる40倍も達成は怪しいものだ。同庁では、電力会社に太陽光や風力などの自然エネルギーによる一定の発電量を義務づける「新エネルギー利用特別措置法(RPS法)」で普及を図る考えだ。

 電力会社は、自前で新エネ発電を手掛けるか、他の事業者から新エネ発電の電気を購入し義務量を賄う。ところが、現在は義務量よりも実際の新エネ発電量の方が多い供給過剰の状態にあり、電力会社による購入価格は安く抑えられており、「ドイツのように一定の価格で固定しないと、新エネ発電の事業化が進まず、普及しない」との批判が根強い。

 このため、エネ庁では、義務量を大幅に引き上げる方針を固め、具体的な検討を始めた。ただ、コスト増を強いられる電力業界の反発は必至で、環境省は「業界の方にばかり顔を向けているエネ庁に大幅な引き上げは無理」との不信を募らせている。

省益優先で

 日本版グリーン・ニューディール策の取りまとめをめぐっては、環境省の政策実現能力を疑問視する声が多い。

 斉藤鉄夫環境相は今年1月6日に、省内でまとめた政策案を麻生太郎首相に提出したが、「環境省だけで考えるから、シャビー(みすぼらしい)なものになった」と突き返され、各省と連携するよう指示を受けた。

 ところが、その1週間後の13日、エネ庁は庁内各部署にとどまらず、他省とも連携して新エネ・省エネ促進策の具体化や雇用の創出などに取り組む「新エネルギー社会システム推進室」を新設。環境省のお株を奪う行動に出た。

 あるエネ庁幹部は「グリーン・ニューディール政策に関して、彼ら(環境省)からは何も言ってこないし、こっちからわざわざ何か言ってやる必要もない」と冷ややかで、あからさまに環境省を蚊帳の外に置こうとしている。

 庁内からは「1930年代の世界恐慌後に米国で実行されたニューディール政策は失敗だった。グリーン・ニューディールなどと期待をするのは間違い」との声まで聞こえてくる。

 一方の環境省も、エネ庁とは距離を置き、アイデアを一般公募したり、有識者からのヒアリングや地方自治体の首長との意見交換を重ねている。

 斉藤環境相は「技術面で非常に優位にある日本が、気候変動問題でリーダーシップをとっていこう」と気勢をあげるが、その技術を持つ企業と太いパイプで結ばれている経産省やエネ庁との対話すらないというのが実情だ。

 このままでは、“省益”優先の霞が関の縄張り争いを繰り広げている間に、日本だけが世界から取り残されてしまうという最悪の事態を招きかねない。

京セラ、中国に太陽電池新工場

2009/02/21 Fujisankei business i

 京セラは20日、中国・天津市にある太陽電池の生産拠点「京セラ(天津)太陽エネルギー」に、新工場を建設すると発表した。部品を組み合わせた太陽電池モジュールを製造する。これにより生産能力を2011年以降に現状の4倍となる年産 240メガワットに増強し、欧州や米国に続く成長市場と見込まれる東南アジア市場向け事業を強化する。

 新工場は延べ床面積2万8800平方メートル。4月に着工し、来年春ごろに完成する予定だ。

 京セラは03年、日本企業として初めて中国に太陽電池モジュールの生産拠点を開設。八日市工場(滋賀県東近江市)で生産した太陽電池セルを搬入し、関連部品を組み合わせたモジュールを天津工場で作っている。

 新工場完成後は、現在の生産を順次、移管して最終的には新工場に集約するという。京セラは「消費地近くに工場を持つことで物流面からもコストダウンが図れる」(広報担当者)とみている。

 日本の太陽電池メーカー大手は相次いで生産増強を進めており、京セラもセル生産能力を11年度までに倍増させて 650メガワット体制に引き上げる計画だ。そのための総投資額 500億円のうち、数十億円を天津の新工場建設に投じる。

 太陽電池の生産で京セラは、日本、中国、メキシコ、チェコの4極体制を敷いており、日本では野洲事業所(滋賀県野洲市)に年内にもセル生産の新工場を建設する予定だ。

 国内大手は海外での事業強化に力を入れており、シャープはイタリアで現地資本と共同で大規模工場を建設するほか、三菱重工業も欧州で大型工場の新設を検討している。

特集 世界市場拡大で太陽電池関連銘柄に脚光(第2回)

2009/02/21 サ−チナ

 【世界市場拡大で競争激化】

■需要増大で相次ぐ量産化

  三洋電機 <6764>は、HIT太陽電池セルの二色の浜工場(大阪府貝塚市)に新棟を建設すると発表。HIT(Heterojunction with Intrinsic Thin layer)太陽電池は、同社が開発した独自構造の太陽電池セルで、結晶シリコン基板とアモルファスシリコン薄膜で形成したハイブリッド型のもの。旺盛な需要に対応するため、二色の浜工場内に新棟を建設し、生産能力を増強する。完成は10月を予定。現在は、島根三洋電機(島根県雲南市)と合わせて340メガワットの生産能力だが、2010年度には、2工場合わせて600メガワット程度の生産能力を目指すという。

  また、三洋電機は、新日本石油 <5001>と薄膜太陽電池合弁会社「三洋ENEOSソーラー株式会社」を設立し、、三洋電機がHIT太陽電池で培った世界最高水準の変換効率を誇る太陽電池要素技術、薄膜太陽電池の基礎技術、および新日本石油が持つ石油精製や化学品製造で培ってきたガスの原材料技術、大規模な太陽光発電の有望市場と目される中東産油国との信頼関係等、両社の強みを結集し、早期事業化を図っていく。80メガワット規模で2010年度内の生産・販売を開始した後、順次生産規模の拡大を図り、国内外を合わせ2015年度に1ギガワット規模、2020年度には2ギガワット規模の生産・販売を目指していく。

  トクヤマ <4043>や三菱マテリアル <5711>は、新工場建設などで生産能力を増強する計画を打ち出している。そして、09年には、多結晶シリコンの供給不足が解消する見込みとされている。しかし、こうした調達難や価格高騰を背景に、シリコン使用量の少ないタイプや、シリコンを使用しないタイプの太陽電池の開発、量産も活発化しつつある。

  シャープ <6753>は堺市に建設中の液晶パネル新工場に、薄膜型太陽電池の専用工場を併設して10年に稼働する計画。薄膜型太陽電池はガラスなどの基板上にシリコン薄膜を形成したもので、結晶型太陽電池に比べてシリコンの使用量を100分の1に減らすことができる特徴がある。また、結晶型に比べて暑い地域に適していることも特徴だ。シャープは多結晶シリコンの調達が遅れてきたことで、世界首位の座を明け渡し、収益も悪化したと見られている。このため、シリコンの調達量に左右されない事業構造を築き、薄膜型太陽電池の生産能力を拡大して、世界首位奪回を目指す。

  また、カネカ <4118>も、薄膜型太陽電池の生産能力を増強する計画。2010年夏稼働に向けて、変換効率12%のハイブリッド技術を使った薄膜系太陽電池の生産能力を80メガワット増強し、150MWとすることを正式に決定。100%出資子会社であるカネカソーラーテック株式会社に新設備を設置する。設備投資額は100億円強。コストダウン策を更に加速推進し、事業規模拡大を目指している。

  東京製綱 <5981>は、フェローテック <6890>と太陽電池のシリコン結晶を切断するワイヤソー事業で提携した。その他では、オーナンバ <5816>は、太陽光発電配線ユニットの販売が増加しており、増収を見込んでいる。

  シリコンを使わないタイプには金属化合物型太陽電池、色素増感型太陽電池などがある。このうち、金属化合物型太陽電池は、銅やインジウムなどの化合物を薄膜に使うもので、すでに、ホンダ <7267>が07年から住宅向けに量産を開始している。昭和シェル石油 <5002>も09年に量産工場を建設する計画だ。

  色素増感型太陽電池は、太陽光を吸収すると電子を放出する有機色素の性質を応用した次世代の太陽電池。光電変換効率の低さが欠点だが、材料費や製造コストが安いのが特徴。スイスの技術者が保有する製造上の基本特許が08年中に切れたため、TDK <6762>、太陽誘電 <6976>、フジクラ <5803>、アイシン精機 <7259>などが量産化に向けて開発に取り組んでいる。

  太陽電池向け製造装置の分野では、アルバック <6728>が液晶パネル製造装置の技術を応用して、薄膜型の製造装置を手がけている。東京エレクトロン <8035>はシャープ <6753>と共同で、太陽電池製造装置の開発会社を設立した。エヌ・ピー・シー <6255>は、太陽電池セルをつなぎ合わせてパネルモジュールにする後工程の分野で世界市場シェア4割を握る。同社では後工程用装置の世界市場が08年に190億円、10年に300億円に拡大すると予測している。(情報提供:日本インタビュ新聞社 Media-IR)

太陽電池世界3位の中国サンテック、日本進出 販売網100社構築

2009/02/18 NIKKEI NeT

 中国の太陽電池メーカーで、世界シェア3位の尚徳太陽能電力(サンテックパワー)は、家庭用太陽光発電装置の販売で日本市場に本格参入する。25日から販売代理店の募集を開始し、年内をメドに100社程度の国内販売網を構築、発電効率の高い新製品も発売する。政府や自治体の補助金制度が相次いで整備されており、今後、市場の拡大が見込めると判断した。海外有力メーカーの参入でシャープや京セラなど国内メーカーとの市場争奪が激化しそうだ。

 江蘇省無錫市の工場で生産した太陽光発電装置を輸入し、販売する。太陽光発電装置の施工をする地域の工務店やリフォーム会社、電気店などを対象に販売代理店を募る。全国規模の販売網を年内にも構築し、本格的な販売に乗りだす。

渋谷区:太陽光発電補助の方針 一般家庭の売電量に応じ /東京

2009年02月19日 毎日新聞 地方版 Mainichi INTERACTIVE

 渋谷区は、一般家庭が太陽光発電で作った電気を電力会社に売った場合、1キロワット時(1時間当たり1キロワットの発電)につき30円の補助金を支給する方針を明らかにした。区の試算では、1世帯が年間約4万円の補助を受けられる。発電装置設置時の補助は他の自治体でも進んでいるが、売電量で補助額を決めるのは全国的にも珍しいという。

 区によると、補助期間は09〜11年度の3年間。既に太陽光発電装置を設置しているか、新設する区内の住宅が対象で100戸程度を予定している。上限は年額4万2000円。

 一般家庭でよく使われる3キロワットのパネル(30平方メートル)を使った場合、年間発電量は約2800キロワット時。発電をするのは電気の使用量が少ない日中のため、このうち半分程度は契約を結んだ電力会社に売却されるという。

 電力会社が買い取る額は1キロワット時当たり20〜30円で、さらに区が30円を上乗せする。設置時に出る国と都の補助金(計50万円)を合わせると、21〜23年で設置費用の約200万円を回収できる計算になる。装置の法定耐用年数は18年のため、区は「渋谷方式を導入すれば、設置費用の大部分を回収できる」としている。【前谷宏】

三菱、高効率の多結晶Si太陽電池セルとパワーコンディショナを開発

2009/02/18 マイコミジャ−ナル

 三菱電機は2月18日、150mm角サイズの多結晶Si太陽電池セルで、光電気変換効率が同社従来品の18.6%から0.3ポイント向上した18.9%を達成したことを発表した。また、太陽電池が発電する直流電力を交流電力に変換する太陽光発電システム用パワーコンディショナの変換効率も向上し、100kWのパワコンで、97.5%を達成したことも併せて発表した。

 太陽電池セルは、太陽電池の裏面を光反射構造とし、裏面に到達した赤外線を反射して太陽電池内部へ取り込むことで、赤外線の利用効率を従来比26%向上させている。

 また、高効率化の実現のために、セル表面の光反射率を低減させるために、低反射表面構造「ハニカムテクスチャー」を開発、適用することで受光量を増やし、効率の向上を図った。

 一方、パワコンでは、家庭用で実用化した単相の階調制御型インバータ技術を用いて3相の階調制御型インバータを開発、100kWパワーコンディショナに適用した。階調制御型インバータは、階段状の擬似正弦波を出力するため一般的なPWM方式と比較して、出力波のひずみの要因となる高周波の電圧振幅が小さくなり、パワー半導体のスイッチング損失やフィルタでの損失が低減される。これにより、パワーコンディショナ全体の損失が低減され、変換効率の向上が可能となった。

 また、太陽電池の直流出力をまず昇圧してからインバータへ供給する小型のDC/DC昇圧器を開発、従来必要とされていた出力側の昇圧トランスをなくすことで、パワーコンディショナの容積縮小にも成功している。今回開発した100kWパワーコンディショナの容積は約1.8m3(1200mm×800mm×1900mm)となっている。

 なお、同社では今回開発した太陽電池セルについては、2010年度以降の太陽電池モジュールのセルに順次導入していくほか、パワコンについても2010年度に実用化を予定しており、太陽光発電システムの効率向上を図っていくとしている。

住友商事株式会社(2)世界の環境ニーズ満たせ

2009/02/18 FujiSankei business i

 ■太陽光を新たな収益源に

 「初めて訪れた際、『よそ者が来た』という雰囲気を強く感じた」−。カナリア諸島のテネリフェ島は「太陽の国」スペインから南西方向に約1800キロ離れ、日照条件も良い離島だ。この地で太陽光発電事業の新たなプロジェクトを立ち上げるため、住友商事の環境・省エネ事業部で新エネルギー事業チーム長代理、萩原直之は2006年半ばに現地入りする。しかし、待ち受けていたのは予想外の反応で戸惑いを覚えた。

 ◆1990年代に先陣

 住商はスペイン領のカナリア諸島で約30年にわたり、トヨタ自動車のディーラー事業を手掛けている。「太陽光発電を求める声があるぞ」という情報が寄せられたのは、現地で培ってきた人脈から。太陽光発電の建設候補地を探していた萩原らにとっては福音のはずだった。しかし、住商に対する信頼感は極めて低かった。

 「お前ら、本当に太陽電池を出せるのか。そう言い寄ってくる奴はたくさんいるんだよ」

 現地の交渉先の声は辛辣(しんらつ)だった。ただ、萩原と一緒にプロジェクトを進めた同チーム長、福原豊樹は冷静だった。住商は1990年代から総合商社の中でいち早く「新ビジネス」として太陽光関連事業を展開。シャープなどの太陽電池の輸出ビジネスを、順調に進めていたからだ。その実績を踏まえると「太陽光パネルを融通することはできる」(福原)という計算はあった。

 その年の10月、まずは発電能力4メガワットの太陽光電池を約20億円で納める契約にこぎつけた。それでも交渉相手は、住商の調達能力を信用していなかった。しかし、12月に英国からシャープ製の太陽光電池を納入すると、一気に信用が高まる。年明けの07年1月には地元資本との間で太陽光発電事業の合弁会社を設立する合意を得た。

 巡航速度に入ったかに見えた住商初の太陽光発電事業。しかし、事業を実現するまでに萩原は日本との間を40回以上往復した。また、冷や汗の連続だった。大きく立ちはだかったのは、納期までの時間。住商社内で太陽光発電の新事業を説明したが「総論賛成だが、事業としてうまくいくのかという疑問の声ばかり」(萩原)と、周囲の説得に時間を要したからだ。

 サブプライムローン問題も障壁だった。一時は決まりかけた銀行の融資話は頓挫。最終的にみずほコーポレート銀行から融資を引き出せたのは08年4月だった。一方、スペインの法律によると、現地の電力会社との間で有利な買電契約が保証されるには08年9月末までに太陽光発電所を完工しなければならず、「計画がすべて無駄になる不安もよぎった」(萩原)という。

 ◆独自ノウハウ蓄積

 全く何もない岩場に、わずか半年弱で東京ドーム3個分、約8万枚の太陽光パネルを敷き詰め“期限”には間に合った。事業総額は約85億円。日本企業が事業主体として過去最大級となる12メガワットの太陽光発電事業が実現した。石炭火力発電所に比べ、25年間で約18万トンの二酸化炭素(CO2)の排出削減効果がある。“生みの苦しみ”を味わった福原だが「今後の事業で間違いなく当社独自のノウハウとして生かせる」と充実感を感じている。

 同業他社が一目置くほど、住商は素材のポリシリコンからウエハー、パネルの輸出取引まで太陽光関連のバリューチェーンが充実。地球温暖化問題に関心が高まる前から「世界の有力メーカーと取引があり、歴史も知見もある」(蔵本誠・金属素材開発部副部長)という点が強みだ。米国ではオバマ大統領がグリーン・ニューディール政策を打ち出すなど環境ビジネスに追い風は吹く。これまで「もうからない」とされた環境ビジネスの分野だが、太陽光を軸に、風力発電、ペットボトルのリサイクルなどを収益源へと育成する。=敬称略(西川博明)

三洋電機:太陽電池工場を増強

2009年02月17日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 三洋電機は16日、太陽電池を生産する主力の二色の浜工場(大阪府貝塚市)を増強すると発表した。新たに1棟を約60億円かけて建設し、10年末の稼働を目指す。子会社の島根三洋電機(島根県雲南市)を合わせた生産能力を、08年度末見込みの34万キロワットから10年度末に約1.7倍の60万キロワットへ引き上げる計画だ。

 新棟では、結晶系と薄膜を組み合わせて、太陽光を電気に変える効率が高い「HIT太陽電池」を生産。20年度に200万キロワット体制とする計画。薄膜では新日本石油と共同での事業展開を進めている。【新宮達】

公共施設に太陽光発電 「環境価値」売却で利益 帯広市が新事業

2009/02/17  北海道新聞

 【帯広】環境モデル都市の帯広市は新年度中にも、公共施設に太陽光発電設備を設置し、それによって削減される二酸化炭素(CO2)排出量を「環境価値」として企業などに売却し、その収益で、さらに太陽光発電設備を増やしていく事業を始める。新年度予算案に二百万円を計上、先行事例の調査や制度づくりなどを行う。

 地球温暖化防止意識の高まりから国内でも、企業などが自らの活動で出たCO2を相殺するため、別の事業者などから「環境価値」を購入する取り組みが拡大している。

 帯広市の構想では、基金を設け、運営をNPO法人などに委ねる。同市の年間日照時間は二千十六時間(平年値)と札幌市より二百時間以上長い。

 こうした地域特性を生かした取り組みで、帯広市環境課は「最終的に市内の公共施設すべてに太陽光発電設備を設置したい」と話している。

 太陽光発電を軸とした同様の事業は、兵庫県の財団法人ひょうご環境創造協会が展開している。

 Jリーグのヴィッセル神戸が今季ホーム開幕戦で同法人の持つ「環境価値」を約九万円で購入し、スタジアム全体の使用電力量(約六千キロワット時)を「CO2を発生させずに賄った」と、みなす計画がある。

アメリカで繰り広げられる 太陽エネルギー発電競争

2009年02月13日 www.forbes.com

革新的な大規模太陽エネルギー発電プロジェクト。近い将来、家庭へ電力を供給するかもしれない。

 米国ではこの20年、太陽エネルギーを利用する大規模発電の市場は暗闇に包まれていた。しかし近い将来、この暗闇に光が差す可能性がある。10を超える新興企業が、米国南西部の広大な砂漠で、それぞれの太陽発電プロジェクトを計画しているのだ。各プロジェクトを合わせれば、発電規模は少なくとも5ギガワットに達する。125万世帯以上に電力を供給できる量だ。

 カリフォルニア州は再生可能エネルギーの利用割合に関する基準が厳しく、電力会社は来年までに発電量の20%を再生可能なエネルギー源で賄わなければならない。さらに、太陽エネルギー関連のプロジェクトに投資すると30%の税額控除を受けられる制度が、最近になって延長された。太陽エネルギー関連の企業がプロジェクトを進めやすくなったというわけだ。

 しかし、現在計画中のプロジェクトが利用しようとしている新技術は、信頼性や発電コストについて、いまだ十分に実証されていないものが多い。電力会社に供給する規模のプロジェクトでは、メガワット単位で発電を行う。住宅の屋根や会社の屋上でキロワット単位の発電をすればいいソーラーパネルとはわけが違う。

 こうした新プロジェクトは、税額控除をはじめとする優遇措置を活用し、基準となるガスタービン発電にできるだけ近いコストで電力を生む必要がある。ガスタービンでは、1キロワット時当たり15セント以下で発電できる。

 プロジェクトに取り組む新興企業は、さまざまな設計を採用している。膨大な数の太陽電池で太陽エネルギーを直接電力に変える企業もあれば、鏡で光を1点に集めて水を沸騰させ、その蒸気で従来のタービンを動かす集光型太陽熱発電を行う企業もある。各社とも、電力会社が利用する新しい大規模太陽エネルギー発電の標準方式の立場を獲得しようと、しのぎを削っている。

 しかし、電力会社は新興企業への金銭的な援助を意図的に抑えている。技術的な主導権を互いに争わせることが狙いだ。「技術的なリーダーの座を懸け、激しい競争が起きている現状を、電力会社は分かっている」と、米 BrightSource Energyの最高財務責任者(CFO)Jack Jenkins-Stark氏は言う。同社はカリフォルニアの砂漠で900メガワット規模の発電を目指している。「誰がリーダーになるか、まだ不透明なことも、彼らは分かっている」

 カリフォルニアの電力会社Southern California EdisonとPacific Gas and Electric(PG&E)は、新興企業との間に、プロジェクトが資金を調達して成功したときに、作られた電力の大部分を購入するという契約を結んでいる。太陽エネルギー関連の投資に対する税額控除が2008年10月に延長されたため、電力会社はこの制度を利用することもできる。しかし、両社とも資金調達は新興企業に任せている。プロジェクトに必要な資金は数十億ドルに達する可能性がある。

 「多様化が重要だ。1つの技術だけに執着したくない」とPG&Eの広報担当Jennifer Zerwer氏は言う。

 技術はまさに多様だ。各社が独自のシステムを開発している。

 カリフォルニア州サンノゼのSunPowerは、ラスベガスにほど近いネリス空軍基地で、米国最大の太陽光発電施設を稼働させている。設備は住宅の屋根で使っているものと同じ太陽電池から成り、14メガワットを発電できる。同社によると、この太陽電池は太陽エネルギーの22%を電力に変えることができるという。SunPowerは、カリフォルニア州サンルイスオビスポ郡に250メガワット規模の発電所を計画している。農場だった1900エーカー(約770ヘクタール)の土地に 80万枚のソーラーパネルを広げる計画だ。

 Southern California Edisonは米First Solarが開発した薄膜のパネルを多くの商業施設の屋上に設置し、全体で250メガワット規模となる発電システムを作ろうとしている。薄膜技術のおかげで高価なシリコンを必要とせず、安価なソーラーパネルを製造できる。ただし、薄膜は発電の効率が悪く、最高の技術でも太陽エネルギーの10%しか電力に変換できない。狙いは、既存の建物の使われていない屋上を利用し、電力の使用者の近くで発電することだ。こうすれば、遠隔地で発電する場合の大きな障害となる送電線新規敷設が不要になる。

 このほか、太陽エネルギーを1点に集めて蒸気を作り出し、その蒸気で発電機を動かして電流を生む方法もある。この技術は今でこそ多様化しているが、いずれも20年前にカリフォルニア州のハーパーレイクに作られた発電所に起源を持つ。発電所はイスラエルのLuzが建設したもので、太陽エネルギーを利用した世界初の大規模発電所だったが、この会社は倒産してしまった。

 Luzは1990年に350メガワット規模の発電システムを完成させた。しかしちょうどその頃、プロジェクトに競争力を与えてくれていた固定資産税の優遇措置が終了に近づき、化石燃料の価格が下がっていった。システムの設計は、湾曲した鏡をずらりと並べ、前を横切るパイプに光を集め、パイプの中の油を加熱するというものだった。この油が水を沸騰させ、その蒸気で発電機を動かした。

 17年後、スペインのAcciona Energiaが2億6000万ドルを投じ、64メガワット規模の発電所Nevada Solar Oneを完成させた。米国に大規模な集光型の発電所が作られたのは、Luz以来のことだった。AccionaのシステムはLuzのものとよく似ている。しかし、1970年代の後半にLuzを立ち上げたArnold Goldman氏は、2004年にBrightSource Energyを設立し、今度はタワー式の設計を採用した。

 BrightSourceはカリフォルニア州バーストーに最初の発電所を作ろうとしている。9万枚の鏡を円形に配置し、太陽の光を中央のタワーに集める仕組みだ。タワーの上部には、ドイツのSiemens製の100メガワットの蒸気発電機がある。同社のJenkins-Stark氏によると、タワー式のシステムは蒸気を摂氏500度まで加熱でき、300度までしか加熱できない Luzの方式より効率がいいという。

 米eSolarもBrightSourceのものに似たタワー式の集光システムを開発している。ただし、こちらは46メガワットと規模が小さい。eSolarのシステムは数百メートル四方のモジュールからなり、都市近郊の小さな空地にも設置できるため、容量の小さな送電線にたよって遠距離から送電せずにすむ。上級副社長のRob Rogan氏は、安価なモジュール方式の設計のほうが投資家を引き付けられるとも期待する。「実証されていない技術を用いる数百万ドルのプロジェクトに投資したいと思う人は限られている」と同氏は話す。

 これらの新興企業はまだプロジェクトに着手していない。ただし、いくつかの建設が2010年に始まる可能性はある。新興企業も、その電力を購入するカリフォルニアの電力会社も、プロジェクトに掛かる費用を明かそうとしない。資金の問題だけでなく、プロジェクト企業は、作った電力をカリフォルニアの都市部に運ぶ方法も考えなければならない。米連邦議会で議論されている景気刺激策に、高電圧の送電線の予算110億ドルが盛り込まれる可能性がある。今は、皆がその詳細を心待ちにしているところだ。

太陽光発電:2030年に55倍…環境省が試算

2009年02月10日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 環境省は10日、太陽光発電の導入量を2030年までに現状の55倍に増やすことが可能とする試算を公表した。これを含む再生可能エネルギーの普及で、二酸化炭素(CO2)排出量を90年比で8%減らせるという。

 電力会社が個人や企業などから一定期間一定額で電力を買い取る「電力固定価格買い取り制度」が実現した場合を試算。現在の投資回収年数は約30年だが、10年程度で回収できるよう電力会社が高値で買い取ることなどを想定した。その結果、20年の太陽光発電量は3700万キロワット、30年には現状の55倍に相当する7900万キロワットが可能とした。

 設備導入のための補助金、余剰電力買い取りなど現行の制度だけでは20年までの導入量は790万キロワット程度にとどまるという。

 一方、電力会社が太陽光を含む再生可能エネルギー買い取りの費用などを電気料金に上乗せした場合、11〜30年の毎月の追加負担は1世帯当たり平均258円、最大でも341円と試算した。

 導入時の補助金制度は政府の支出が多くなり、電力会社の売り上げ減少などの影響が見込まれる。これに対し、買い取り制度は電力を利用する人が広く薄く負担することになる。

 太陽光発電について経済産業省の「長期エネルギー需給見通し」は、最先端の技術を最大限普及させた場合、20年に1400万キロワット、30年に5300万キロワットとしている。【大場あい】

太陽光発電所:山梨県と東電が建設 国内最大級の出力に

2009年01月27日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 山梨県と東京電力は27日、甲府市下向山町の米倉山に約3400世帯分の電力をまかなえる太陽光発電所(出力約1万キロワット)を建設すると発表した。出力は国内最大級で、内陸部に建設されるのは全国で初めて。10年に着工し、12年の運転開始を目指す。

 山梨県が無償で提供する造成地約20ヘクタールに、太陽光パネルを設置する。川崎市や堺市の臨海部でも同様の発電所の建設計画が進められており、これに次ぐ規模。

 二酸化炭素(CO2)排出量の削減効果は年間約5100トンとなる見込みで、一般家庭用なら約1000世帯分の年間CO2の排出量に相当するという。

太陽電池:三洋電機と新日石が合弁会社設立

2009年01月23日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 三洋電機と新日本石油は23日、太陽電池を製造・販売する新会社「三洋ENEOSソーラー」を同日付で設立したと発表した。原料となるシリコンの使用量が少なく安価な「薄膜太陽電池」の製造を10年度に開始し、20年度には発電能力2ギガワット規模の販売を目指す。

 新会社の資本金は2億円で、両社が50%ずつ出資する。太陽電池の基礎技術を持つ三洋と、砂漠が多く太陽光発電に適した中東産油国と関係の深い新日石が協力することで、環境問題を背景に市場拡大が予想される太陽電池の需要を取り込みたい考えだ。

 発電所など大規模施設向けを中心に販売する計画で、欧米などでも販路拡大を目指す。【谷川貴史】


相乗効果狙い1000億円投資 三洋電機の子会社化発表

2008/12/20 中国新聞ニュ−ス

 パナソニックと三洋電機は十九日、来春をめどにパナソニックが三洋を株式公開買い付け(TOB)により子会社化することを柱とする、資本・業務提携契約を締結したと発表した。相乗効果を高めるためエネルギーや環境関連など主要事業に一千億円規模の投資を実施、二〇一二年度に二社合計の営業利益で八百億円の増益を目指す。

 パナソニックの大坪文雄おおつぼ・ふみお社長は記者会見で「電機業界を取り巻く環境はグローバル競争の激化と世界的な景気後退で厳しさの一途をたどっており、抜本的なアクションが今こそ必要だ」と意義を強調。三洋の佐野精一郎さの・せいいちろう社長も「競争を勝ち残っていく上で非常に大きなアドバンテージを得た」と評価した。

 三洋のブランドや株式の上場は当面維持する。ただ、大坪社長は将来的な経営統合の可能性についても示唆した。

 両社は今後、「コラボレーション委員会」を設置。三洋が得意とする太陽電池事業やリチウムイオン電池事業を中心に世界戦略を加速させるとともに、パナソニックのコスト削減ノウハウを取り入れ、三洋の経営体質を強化する。

 TOBは三洋の全株式を対象に一株百三十一円で実施する。実施時期は国内外の独占禁止規制をクリアするのに必要な手続きの状況をみて決める。

 三洋の大株主の米ゴールドマン・サックスなど金融三社はTOB価格について合意しており、パナソニックは三社が保有する三洋の優先株約四億三千万株を普通株に転換した上ですべて買い取る。優先株一株は普通株十株に当たり、三社の保有分は議決権の約70%に相当する。

 三社からの株式買い取り額は約五千六百億円で、一般株主が応募すれば買収額はさらに膨らむ見通し。パナソニックは四千億円を上限に普通社債を発行し、三洋株の取得などに充てる。

国内最大級の太陽光発電所 東電が川崎市に建設へ

2008年10月20日 中国新聞ニュ−ス

 東京電力と川崎市は20日、川崎市臨海部の2カ所に出力計約2万キロワットの国内最大級の太陽光発電所を共同で建設すると発表した。東電が、一般向けに電力を供給する太陽光発電所を建設するのは初めて。

 川崎市川崎区浮島町の市の廃棄物埋め立て地に出力約7000キロワット、同区扇島の東電の所有地に出力約1万3000キロワットの発電所をそれぞれ設置。2009年度に着工し、11年度に運転開始する予定。

 年間発電量は、一般家庭の約5900戸分に相当する約2100万キロワット時。年間で約8900トンの二酸化炭素(CO2)の排出を削減する見通し。

 東電の広瀬直己神奈川支店長は「太陽光発電はほかの電力と比べコストがかかるが、脱炭素化に向けて積極的に取り組みたい」と決意を表明。

 阿部孝夫川崎市長は「建設予定地は羽田空港から近いので環境問題への取り組みを国内外にアピールできる」と話した。

 国内の太陽光発電では、関西電力とシャープが堺市に発電出力約1万8000キロワットの設備を計画している。

自然エネルギー活用の次世代住宅 菱重エステートなど開発へ

2008/07/01 FujiSankei Business i.

 ■太陽熱で効率化 光熱費ゼロ目標

 三菱重工業グループの住宅会社、菱重エステート(東京都港区)など7社は30日、OM計画(静岡県浜松市)と共同で、自然エネルギーを活用した次世代型の超省エネ住宅を開発すると発表した。「太陽光発電+パッシブソーラーハイブリッド」「高蓄熱」「ソーラーベンチレーション」という3つの技術を組み合わせることで、標準家庭のエネルギー使用量を97%削減する方針だ。

 核となる3技術のうち、太陽光発電+パッシブソーラーハイブリッドシステムは、設置した太陽電池パネルと屋根面との間に空気の流路をつくり、流れる空気で太陽電池裏側から熱を回収し、電気と温風を作り出す仕組み。熱回収により太陽電池裏面の温度上昇が抑制でき発電効率が落ちないほか、回収した太陽熱を暖房や給湯に利用できる利点がある。

 また、高蓄熱技術は住居床下の地中温度が年間を通して安定していることに着目したもので、夏場には地熱とヒートポンプ給湯器の冷排熱利用による「ライト クーリングシステム」の構築で冷房負荷を軽減。回収暖気を蓄熱し、室内暖房に活用できると見込まれている。これに空気の比重差を利用して自然換気するソーラーベンチレーション技術を加えた3技術を駆使し、2008年末をめどにモデルハウスを建設する。

 「エコスカイハウス」(仮称)と呼ぶこの住宅では、深夜電力を貯蔵する蓄電池システムなども用い、実際に平均的な4人家族に生活してもらう予定。それを通じ室内外の温湿度、電力消費量などのデータを収集し、最終的には光熱費ゼロの住宅の実用化につなげたい考えだ。

 共同開発相手のOM計画は、太陽熱と空気を用いて暖房、給湯などができるシステムの普及に取り組んでいるメーカー。また、同プロジェクトは08年度の国土交通省の補助事業にも選定された。

住宅向けの補助制度導入 太陽光発電の普及で提言

2008年06月24日 中国新聞ニュ−ス

 経済産業省の総合資源エネルギー調査会は24日、太陽光発電の普及策を柱とする緊急提言をまとめた。住宅での太陽光発電の利用拡大に向け「思い切った支援措置を講じる」として国による設備費用の一部補助や減税の検討を政府に要請。メーカーのコストダウンを促し「3−5年以内に機器の価格を現在(約230万円)から半減する」との目標も掲げた。

 経産省は、提言内容を来年度の予算要求や税制改正要望などに反映させ、早期実現を図る。補助金額などは今後詰める。

 福田康夫首相は温暖化対策の「福田ビジョン」で、2030年までに太陽光発電を新築住宅の約8割に広げる目標を掲げ、発電量トップのドイツから「世界一を奪還する」と宣言。この方針を受けて同調査会で具体策を議論してきた。

世界最大級の太陽光発電所 関電とシャープ、堺市に

2008年06月23日 中国新聞ニュ−ス

 関西電力は23日、堺市の臨海部に発電出力が約1万キロワットの太陽光発電所を建設すると正式に発表した。隣接地にシャープが建設中の液晶パネル工場にも、両社が共同で太陽光発電施設を設置。全体の発電出力は約2万8000キロワットと世界最大級となり、大阪湾沿岸に太陽光発電の大規模集積地帯が誕生する。

 関電は一般家庭などへの送電を行う予定で、国内の電力会社で初めて太陽光発電事業に本格参入する。

 来月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)では温暖化対策が主要議題となる見通しで、両社は二酸化炭素(CO2)削減への努力姿勢をアピールしたい考えだ。

 関電の太陽光発電所は約20ヘクタールの敷地に約50億円を投じて2009年度に着工、11年度に運転を開始する。約3000世帯の電力を賄える計算だ。太陽電池パネルは、シャープが液晶工場に併設する太陽電池工場で生産する次世代型の「薄膜型」が有力とみられる。

イタリアに太陽光発電所 シャープ、電力大手と提携

2008年05月18日 中国新聞ニュ−ス

 シャープがイタリアの電力大手ENELと太陽光発電事業の提携で基本合意したことが18日、分かった。2011年末までにイタリアに複数の太陽光発電所を共同で設置し、発電能力は計約160メガワットで1つのプロジェクトとしては世界最大級になる見通し。

 また「薄膜型」と呼ばれ、今後に普及が見込まれる太陽電池の工場建設も検討する。

 太陽光発電は二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンエネルギーとして、各国が普及策を打ち出している。市場の大きい欧州で生産することで、輸送コストなどの低減を図る。

 発電所の具体的な運営主体や投資額などは今後詰める。完成すればイタリアで8万世帯強の電力を賄えるという。

 薄膜太陽電池は、製造コストを従来型より大幅に削減できるのが特徴で、シャープは世界での生産能力を現在の年間15メガワットから将来的に6000メガワットに引き上げる計画。

次世代太陽電池を研究 新日石、東大先端研と共同で 発電コスト5分の1に

2008/04/15 FujiSankei Business i.

 石油元売り最大手の新日本石油は14日、東京大学先端科学技術研究センター(先端研)と連携して、1キロワット時当たりの発電コストが現状比5分の1以下となる次世代型太陽電池の共同研究を開始したと発表した。先端研内に共同研究ラボを設置し、新日石からの常駐研究者10人を含む20〜30人体制で基礎技術の確立に取り組む。2015年度をめどに1キロワット時当たりの発電コストを現状比半分の23円、30年度には7円まで低減し、電力からの需要取り崩しを狙う。

 両者で共同研究する次世代太陽電池は、現状型に比べ発電効率を20〜30%高めた「次世代有機系」や、効率が40〜50%アップする「量子ドット構造」など。

 研究費用は年間数千万円の見込みで、新日石が負担する。研究期限は設けず、基礎研究で確立した技術は、新日石の社内研究所で開発し、商品化を目指す方針だ。

 現在の一般的な太陽電池は発電コストが43円と、火力発電の23円に比べ約2倍となっており、太陽電池の普及に向けコストが課題となっている。

 こうしたなか、大学の「知能」と企業の「資金力」を融合し、高効率で低コストな次世代太陽電池の開発に取り組むことにした。

 新日石は、ガソリンなど石油製品の国内需要が縮小する中、新たな成長施策として燃料電池や太陽電池など新エネルギー分野に取り組む。

 すでに三洋電機の家庭用燃料電池事業を統合したほか、太陽電池分野では、三洋などから太陽光発電システムを調達し、家庭向けに近く販売を始める計画など、事業基盤の拡大を進めている。

日本、太陽電池生産のトップ転落 07年、欧州に抜かれる

2008/03/29 中国新聞ニュ−ス

 太陽電池の生産量で長く世界一を保ってきた日本が、二〇〇七年にトップの座を欧州に譲り渡したことが二十九日、米国の専門紙の調査で分かった。世界市場が急拡大する中、原材料の調達が遅れたことに加え、住宅用太陽光発電への補助金廃止などにより日本市場が縮小しているのが原因。企業別で七年連続一位だったシャープ(大阪市)もドイツのメーカーに抜かれた。

 太陽電池生産は、地球温暖化対策が急務となる中、国際競争の激化が確実視されている分野。日本は太陽光発電の累積導入量でも〇五年にドイツに抜かれており、国内市場の拡大対策を求める声が高まりそうだ。

 太陽電池業界の米専門紙「PVニュース」によると、〇七年の日本の太陽電池生産量は九十二万キロワットで、前年比11・3%減少。逆に欧州の生産量は43・9%も増え、百六万キロワットに達した。米国は二十七万キロワットで、中国、インド、台湾などでも生産量が急激に増えている。

 企業別で生産量が一位になったのはドイツのQセルズで、前年比約一・五倍の三十九万キロワット。シャープは16%減の三十六万キロワットだった。三位は前年から倍に伸ばした中国のサンテック・パワー。日本企業は十位以内に京セラ(四位)、三洋電機(七位)も名を連ねたが、ともに順位を下げた。

 業界関係者によると、太陽光発電からの電力を電力会社が優遇価格で買い取る制度を導入する動きがドイツやスペイン、ギリシャ、韓国などで広がり、市場が急拡大している。逆に日本は普及をけん引してきた住宅用太陽光発電への補助金が〇五年度に廃止されて以来、市場が縮小。日本企業も工場建設などで増産を計画しているが、多くが海外向けだという。

太陽電池堺工場 2010年春めど操業…シャープ発表

2008年03月28日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 シャープは27日、堺市に計画している太陽電池工場の操業を2010年3月までに始めると発表した。当面の投資額は720億円。年間生産能力は480メガ・ワットで、最終的に25万世帯分にあたる1ギガ・ワット(1000メガ・ワット)に増やす。

 また、堺工場が稼働するまでに、欧州にも太陽電池工場を作る。奈良県の既存工場と合わせ、2010年4月をメドに、まず1ギガ・ワットの生産体制を整える。

 堺工場では、原料のシリコンの使用量が従来の結晶型に比べて約100分の1の薄膜型を生産。結晶型よりも高温で効率よく作動するので中南米やインドなどでの需要が見込まれている。

 電池パネルに組み立てるガラス基板の面積は従来品の約2・7倍(1メートル×1・4メートル)で、大型化でコストを下げる。太陽光エネルギーを電力に変える変換効率は現在の1・5ポイント増の10%を目指す。

薄膜太陽電池、世界で1ギガワット生産へ シャープ

2008/03/27 中国新聞ニュ−ス

 シャープは二十七日、コストを抑制できる薄膜太陽電池の世界での生産体制を、二〇一〇年四月に現在の六十倍以上に相当する年間一ギガワット(千メガワット)に増強すると発表した。

 世界最大となる薄膜太陽電池工場を堺市に約七百二十億円で建設。新たに海外での生産も展開し、将来的には六ギガワットの体制を構築する。

 地球環境保護のため二酸化炭素(CO2)排出の心配がない太陽電池の需要が高まる中で、メーカー間の競争が激化。かつて世界でトップだったシャープは現在、海外メーカーに首位を奪われており、生産体制を強化し巻き返しを狙う。

 堺新工場では、縦一・四メートル、横一メートルと面積が従来の二・七倍となる大型ガラス基板を採用。一〇年三月までに四百八十メガワット体制で生産を開始する。ガラス基板の大型化と変換効率の向上により、一〇年には生産コストを現在の半分程度に低減できるという。

 シャープは現在、葛城工場(奈良県葛城市)で薄膜太陽電池を生産。現在は主流で、薄膜に比べ生産コストがかかる結晶系太陽電池も製造している。今後は薄膜太陽電池について、海外でも工場を新設する計画で、需要の大きい欧州が候補地として挙がっており、時期などは今後詰める。

            ◇     ◇

 薄膜太陽電池 現在主流の結晶系太陽電池と比べ、価格が高騰している原材料のシリコンの使用量が約100分の1と少ないのが特徴。太陽エネルギーから電気への変換効率は結晶系より低いが、緯度が低く気温が高い地域での発電に向いている。

日本の太陽電池メーカー自滅の原因はエネルギー政策の失敗

2008年03月24日 週刊ダイヤモンド編集部

2004年までは、セル生産量も導入量も世界一だった“太陽電池立国”日本。だが近年、ドイツの固定価格買い取り制度導入による市場拡大に圧倒されるかのように日本市場は停滞し、日系太陽電池メーカーも伸び悩んでいる。背景に横たわる日本特有の問題を浮き彫りにする。

「第1回国際太陽電池展」では、日本のモジュールメーカー、MSKを買収した中国のサラテック・パワーが、シャープをも凌ぐひときわ大きなブースに陣取っていた

 2008年2月27日、東京ビッグサイトで開幕した第1回国際太陽電池展。3日間の来場者数は2万7000人を超え、部材や装置、太陽電池セルやモジュール、システム技術など、関連メーカーの出展社数は301社を数える盛況ぶりだった。

 その初日を飾る講演に、シャープのソーラーシステム事業を率いる、濱野稔重専務が登場した。太陽電池セルの生産量で世界首位を堅持してきた同社だが、2007年累計値でついにドイツ・Qセルズに追い抜かれる見通しが濃厚だ。

 濱野専務は席上、その悪夢を振り払うかのように、「早期にグローバルで6ギガワットの生産能力体制を整えたい」とぶち上げた。

 シャープの現在の生産能力は、710メガワット。2009年に堺新工場を立ち上げても、2ギガワット弱だ。6ギガワットといえば、2006年の世界生産量の2.4倍に当たる大容量である。

 実際、世界需要の成長率は40%をも超え、成長性は大きい。牽引するのは、環境立国として主導権を握ろうとするドイツだ。累積導入量は2005年に日本を抜いて世界首位となり、2006年の市場規模は日本の約3倍に急拡大した。

 成長のドライブとなったのは、2004年に導入したフィード・イン・タリフ(FIT)と呼ばれる固定価格買い取り制度である。事業所や家庭が太陽電池で発電した電力を、電力会社が市場価格より高く買い取るよう義務づけたものだ。太陽光による発電分は、通常の電力価格の2〜3倍で買い取られる。毎年 5%ずつ引き下げられるが、20年間は買い取りが保証され、約10年で初期費用が回収できる計算だ。

 これによって、投資対象として太陽電池を導入する企業や個人が急増。ドイツが牽引した結果、全世界における2007年の新エネルギーへの投融資は 850億ドルと前年より20%上回った。うち太陽電池向けはバイオ燃料向けと並び、公開株式市場でもベンチャーキャピタルでも注目が高い。

 大量の資金流入で、製造設備も原材料も手当てできたことから、新興メーカーが雨後の筍のごとく登場した。世界首位に立ったQセルズも、1999年に設立、2005年に上場したばかりだ。

 ドイツと同様の買い取り制度を導入したスペインやイタリアなど欧州圏の成長も著しい。また潜在市場として、2007年末に包括エネルギー法案が可決されたばかりの巨大市場、米国も導入を控える。

シャープ、京セラ、三洋 いずれも世界順位下落

 こうした市場の“熱狂”ぶりを尻目に、日本の太陽電池メーカーは完全に勢いを失っている。2007年の生産量ランキングは、シャープの首位転落に加え、3位だった京セラが4位中国サンテック・パワーに抜かれ、5位三洋電機、6位三菱電機も7位台湾モーテックに抜かれる見通しだ。

 日本勢の失速の理由は、海外勢台頭だけではなく、自滅もある。

 まず、原料であるシリコンの調達失敗である。太陽電池の需要急増と半導体需要が重なり、シリコンメーカーへの前払い金支払いや長期契約が常態化した。日本メーカーはこれに躊躇しているうちに、シリコンのスポット価格は急騰し、手が出せなくなった。京セラや三洋も遅ればせながら長期契約を結んだが、出遅れたシャープを含め調達は不十分である。

 その結果、シャープの場合、2007年は生産能力の半分程度の363メガワットしか生産できなかった。部門損益は非公表だが、2007年度は営業赤字に沈んだ模様だ。

 もう一点は、足元の日本市場の停滞である。導入成長率は、経済産業省による住宅向け設置補助金が打ち切られた2005年以降、横ばいが続いている。

 もっとも、太陽電池モジュールの国内向け価格は、欧州の60〜70%程度であり、儲けは薄い。結果的に、日系メーカーも輸出優先でその比率は7割を超え、国内市場をさらに収縮させている。だが、「技術革新を続けるうえでも母国市場の活性化は必須」(木山精一・三洋電機ソーラー事業部事業企画部部長)である。エネルギー自給率が4%と先進国でもとりわけ低いにもかかわらず、行政、メーカー、電力会社の思惑が交錯し、打開への光明はいまだ見えない。

 まず国の前提として「基幹電源はあくまで原子力発電」(資源エネルギー庁)であって、新エネルギー政策は二の次だ。それでも過去、2003年までは行政と電力会社の“予期せぬ”コラボレーションで、太陽電池普及が進んできた。

 夏場の電力ピーク対策のため、1992年に、電力会社が自主的取り組みとして新エネルギーの電力を購入する「余剰電力購入メニュー」を導入。これに呼応するように1994年には、前述の住宅向け設置補助金制度が導入された。この二つは産業政策を俯瞰し連携してできた制度設計ではない。いわば偶然の産物で、住宅向けを中心に需要は拡大し、販路も整備された。

 だが2003年、太陽光発電市場に停滞の予兆が訪れる。ドイツで導入されたようなFIT導入には電力会社が猛反発し、2003年にRPS法、すなわち電気事業者にその販売電力量に応じて一定の新エネルギー利用量を義務づける法律が施行された。だが新エネルギーの選択肢が広く、しかも利用超過分は翌年に繰り越せるなど制度設計上の問題も多く、結果的に太陽光発電の普及促進策としてFITに劣ったといえる。

「政策に市場形成の視点を欠いたまま、市場の自立化という神話が平然とまかり通った」(飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長)結果である。

 さらに同2003年、当時の小泉純一郎内閣で特別会計のスリム化が図られるなか、財務省は、前例のない“個人向け補助”で規模も大きかった住宅向け設置補助金の打ち切りを決めた(実施は2005年)。

 2007年には改正RPS法で、太陽光発電システムに関しては2011年から利用量を2倍換算と設定し、普及を促す手直しもされたが、遅きに失した。他方、太陽電池メーカー側にも、産業としてまとまって国内市場の活性化を訴える姿勢はなかった。

 だが今後、国産エネルギーとして太陽光発電を育てるには、電力会社に限らず広く産業界、国、自治体などとの協力体制が欠かせない。ドイツでは、電力会社の買い取りコストが転嫁され、国民の電気料金が約1割上がったが、脱原発を掲げて政治が主導した。

 日本でも、総量ではなくFITのように価格設定まで踏み込んだ制度導入はできないか。また、産業向けを中心に、発電所向けなど用途開拓も必要だろう。このままだと国内市場が縮小するばかりか、メーカーの生産拠点も大きな市場に近い東欧やアジアに流出し、産業集積も崩れかねない。

技術面では原料低減と変換率向上に尽きる

 では政策を置いて、日本メーカーに巻き返しの妙手はあるか。

 まず、太陽光発電システムのコスト構造を押さえておこう。一般的な住宅向けの3キロワット規模で、売価が約200万円。コストのうち、7割程度がモジュールで、3割がパワーコンディショナを含む工事費だ。現在、市場の8割を占める結晶系の場合、モジュールのコストのうち、6割程度をシリコンウェハが占めるといわれる。

コスト低減も普及の重要な条件 電源別コストの低減計画

 原材料のシリコン価格は「重量」で、製品化した太陽電池モジュール価格は「発電容量」で決まることから、メーカーが付加価値を高める方策は、大きく二つしかない。シリコンのコストを抑えるか、太陽電池の変換効率を高めるかだ。

 その両方の条件を打ち破らんと、メーカーは技術開発を進める。原材料シリコンの使用量が100分の1ですみ、高温条件下に強い薄膜系の技術開発には、シャープをはじめ各社が躍起になっている。さらにシリコンを使わない化合物系では、ホンダや昭和シェル石油など異業種が参入して量産を開始し、変換効率は結晶系に近づきつつある。

 経済産業省がまとめた技術開発のシナリオでは、発電コストを、2007年の46円/キロワット時から10年に23円まで半減、さらに30年には原発並みの7円まで下げる計画だ。当面、23円が普及ラインと見られている。住宅向けの設備が現在の半分のざっと100万円、10年で元が取れれば、需要もおのずと増え、販売コストの軽減にもつながる。

 こうした技術開発に加え、効果的な提携・出資策も必要だろう。QセルズがシリコンメーカーRECに出資したほか、シャープが薄膜製造装置の強化で東京エレクトロンや、シリコン精錬で新日本製鐵と組むなどの例はすでに見られる。

 他方、結晶系と薄膜系のハイブリッド技術を持つ三洋は、太陽電池の事業責任者が経営支援する大和証券出身者に代わったことから、逆に買収対象として動向が注目される。行政、メーカーを含め、日本勢は本当の正念場を迎えている。 (『週刊ダイヤモンド』編集部 柴田むつみ)

堺の太陽電池工場、シャープ6月めど着工

2008年03月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 シャープが、堺市で計画している太陽電池工場を、6月をメドに着工し、2009年末にも操業を始めることがわかった。フル稼働時に一般家庭の25万戸分にあたる1000メガ・ワットを生産する。投資額は1000億円弱を見込んでいる。

 建設地は、シャープがソニーと共同生産する世界最大の液晶パネルの工場や関連部品の集積を目指す「21世紀型コンビナート」と名付けた一角にある。

 製造するのは薄膜型と呼ばれるタイプで、原料のシリコンは通常の結晶型に比べ約100分の1で済む。

 シリコン価格が需要増で上昇する中、シリコンの使用量を抑えるとともに、コンビナートの他の施設と生産設備を共有できることから、価格競争力のある太陽電池を量産できるという。

 米調査会社によると、太陽電池の世界生産量でシャープは06年まで7年連続首位だったが、07年はシリコンの調達難でドイツのQセルズに首位を明け渡した。

 こうした状況も踏まえ、シャープは、堺での生産開始に先駆けて、奈良県の葛城工場で、薄膜型の太陽電池の生産量を08年10月に現在の10倍強に引き上げることにしている。

三菱電機、Poly-Si太陽電池で変換効率18.6%を実現

2008.03.21 Semiconductor Internationsi Japan

 三菱電機は、150mmの実用サイズのPoly-Si太陽電池セルで変換効率18.6%(従来比0.6%増)を実現したと発表した。

 太陽電池の高効率化のためには、セル表面の反射率を低減して受光量を増やす必要があり、そのひとつの方法としてハニカム(ハチの巣)状に直径10数μm ほどのくぼみを形成したハニカムテクスチャー構造が考えられているが、同構造の形成技術は量産品への適用が困難であった。同社は今回、レーザーパターニングと湿式エッチングによって150mm角のPoly-Si太陽電池セルの表面にハニカムテクスチャーを形成する技術を開発、実用化の目処をつけたという。

 さらに、n層を薄くすることにより受光量を増大して電流を効率的に取り出すことに成功した他、集電用グリッド電極の細線化(従来比約25%減)によって有効発電面積を拡大させることを実現したという。

 今後、三菱電機では低反射テクスチャー形成技術の量産性向上を図り、2010年度以降にも同社製の太陽電池モジュールセルに順次導入していくという。なお、今回の成果については、2008年9月にスペインで開催される「The 23rd European Photovoltaic Solar Energy Conference」にて発表予定。

三菱電機,太陽電池の生産能力を2012年度に500MWへ

2008年03月21日 NIKKEI BP net

 三菱電機は,太陽電池の年間生産能力を,2007年8月の150MWから,2008年10月には220MWへ,さらに2012年度には500MWへと拡大する。材料調達のメドが付いたことと,変換効率を高める技術が開発できたことから,増産を決めた。2008年10月までの設備投資額は約70億円となる。

 三菱電機は,太陽電池の需要が2008年度には対前年度比約30%増の2.5GWになると予想している。この旺盛な需要に対応するために,飯田工場(長野県飯田市)のセル製造ラインと,京都工場のモジュール製造ラインを増強する。

三菱電機、太陽電池の生産倍増・100億円投資、年230メガワットに

2008/03/18 NIKKEI NeT

 三菱電機は2009年度までに、太陽電池の生産量を現在のほぼ2倍の年間230メガ(メガは100万)ワットに引き上げる。投資額は約100億円。地球温暖化の深刻化に伴い、太陽電池の世界需要が欧州を中心に拡大しているのに対応する。12年をメドに年間500メガワット程度にまで生産体制を拡充することも検討している。

 増産するのはシリコンウエハーをスライスして作る「結晶型」と呼ぶ太陽電池で、発電効率の高さが特徴。基幹部品のセルを生産する飯田工場(長野県飯田市)と、セルと周辺部品を組み合わせたモジュールを作る京都工場(京都府長岡京市)の生産能力をそれぞれ増強する。

色素増感太陽電池:2層型を開発−−産総研

2008年03月16日 毎日新聞 東京朝刊

 可視光と赤外光を効率よく吸収する2層型の色素増感太陽電池を、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)が開発した。従来の変換効率を0.5%上回る世界最高の11%を実現。2層型電池に最適な色素の開発などで、変換効率を大幅に向上できるとしている。

 色素増感太陽電池は、光を受けた色素から電子が放出される現象を利用して、太陽光を電気エネルギーに変換させる電池。シリコンを使った太陽電池に比べ、素材が安く大幅なコストダウンが期待される。色素を変えれば色も自由で、基板もプラスチックフィルムに変えることで形態を自由に変えられる。しかし、変換効率がシリコン型(20〜25%)に比べて低い短所がある。

 産総研の太陽光エネルギー変換グループは、波長の短い光を使って高い電圧を発生する電池を上部に、波長の長い光で電圧は小さいが大きな電流を発生する電池を下部に配置、太陽エネルギーを効果的に電気に換えることに成功した。

 杉原秀樹グループ長は「2、3年後には、実用化する企業も出てくると思う。ステンドグラスやインテリアにも応用できる」と話した。【石塚孝志】

インクジェット印刷の安価な有機薄膜太陽電池、年内に商品化へ?

2008/03/14 日経Ecolomy

 太陽光発電技術を手がける米Konarka Technologies社は3月4日(米国時間)、インクジェット印刷を利用して非常に低いコストで製造できる有機太陽電池のデモンストレーションを行なったと発表した。

 有機太陽電池とは、シリコン製の無機太陽電池に対する言葉で、炭素やプラスチック、油を原材料とする太陽電池のことだ。有機太陽電池は、シリコン電池と違ってクリーンルームでの生産工程が不要で、簡単かつ安価に製造できるため、太陽発電の用途を拡大するものとして期待されている。

 環境志向型の画期的な技術を開発したように聞こえるが、CNETの報道によると、この有機電池は非常に軽量で柔軟なので、Konark社は「宣伝のために、店頭に並ぶソフトドリンクのボトルにプラスチック製太陽電池を張り付ける」ことさえ示唆しているという。

 Konarka社は多額の投資を行なってきたので、利益を上げるために多くの市場を開拓する必要があるのはわかるが、使い捨てボトルの外側にプラスチック製の太陽電池シートを張り付けるのは、資源の持続可能な利用の実現という同社の目標と矛盾するだろう。

 (以前にKonarka社がAir Products社と提携して製造する計画を発表した)窓ガラスに張れる透明で柔軟なソーラーパネルの開発は、良いアイディアだと思うのだが。

 繊維に織り込むことができ、テントや衣服を太陽電池として利用できる。過去記事(日本語版記事)より。Image:Konarka Technologies

 従来のシリコン太陽電池が太陽エネルギーの15-20%を電力に変換するのに対して、有機太陽電池はエネルギー変換効率が5%程度にとどまる[CNETの記事によると、無機太陽電池に比べて耐久性も劣るので、建築には向いていないとされる]。しかし、柔軟性に優れ、カラーや透明、さらには迷彩パターンなどでの印刷も容易にできる。Konarka社はすでに、自家発電する軍用テントの開発に着手している。

 この技術の商業利用はこれからだが、Konarka社は多くの民間企業とも提携しており、年内に利用可能になる可能性が高い。

 『Engadget』の「マサチューセッツの企業がインクジェット印刷式ソーラーパネルを開発」を参照した。

 [カーボン・ナノチューブとカーボン・フラーレン(別名バッキーボール)を利用し、「家庭用の安価なインクジェット・プリンターで自前の太陽電池を印刷できるようになるかもしれない」というニュージャージー工科大学の研究についての過去記事(日本語版記事)はこちら]

ホンダ、産業・業務用に参入 住宅向け低迷 太陽電池フル生産へ

2008/03/01 FujiSankei Business i.

 ホンダは29日、昨年10月に参入した太陽電池事業で、現在の一般住宅向けに加え、今春から企業や官公庁などの大口顧客向け製品の生産・販売を始めることを明らかにした。2005年度に国の補助金制度が打ち切られて以降、国内の住宅向け太陽電池の需要は伸び悩んでいるが、一方で地球温暖化防止のための二酸化炭素(CO2)排出量の削減が課題となっている産業・業務用は堅調に推移している。ホンダは販路拡大により、早期のフル生産を目指す。

 太陽電池事業を手がけるのはホンダの全額出資子会社の「ホンダソルテック」(熊本県大津町)。同社の太陽電池は材料に主流のシリコンを使わず、銅やインジウムなどの金属化合物を使用しているのが特徴。

 太陽光をどれだけ電気エネルギーに変換したかを示す「変換効率」は11%とシリコン系より数%低いが、世界的に品薄のシリコンに比べ安定的に調達でき、生産コストも低減できる。施工費を含む価格は一般住宅向けで200万円弱と安いのが売り物だ。

 現在、同社が販売する住宅向け太陽電池は発電能力が3キロワットの比較的小さいが、「次のターゲット」(数佐明男社長)と位置付ける大口顧客向けに、さらに発電能力の大きなシステムの開発に取り組んでいる。

 すでに10キロワット以上のシステムの商品化にめどをつけており、今春から学校や病院、小規模商店向けの販売に乗り出す。さらに100〜200キロワットのシステムも開発中で、早ければ来年度中に工場など大規模施設向けの販売も始める方針。

 こうした販路拡大により、年2万7500キロワットの生産能力を年内にもフル稼働させたい考え。将来的には欧州など海外での事業展開も検討する。

 06年度の住宅用太陽電池の新規導入は6万2500件と初めて前年度を下回った。補助金打ち切りに加え、改正建築基準法の影響もあり、「当初は10万件程度とみていた07年度の市場規模が5万件くらいに落ち込む」(数佐社長)との誤算に見舞われており、大口への参入で巻き返しを狙う。

iPod充電器にも──フィルム型太陽電池の柔軟な活用法

2008年02月29日 [宮本真希,ITmedia]

 フィルム型の太陽電池は、軽くて割れにくく、曲げられるのが特徴。登山に持って行ったり、iPodのポータブル充電器に応用するなど、使い方もさまざまだ。

 掛け軸のようにぐるぐる巻けます――太陽電池や水素・燃料電池の展示会「PV EXPO 2008」「FC EXPO 2008」(東京ビッグサイト、2月29日まで)で、フィルム型の太陽電池が多数展示されている。軽くて割れにくく、曲げられるのが特徴。登山に持って行ったり、iPodのポータブル充電器に応用するなど、使い方もさまざまだ。

 富士電機システムズが展示しているフィルム型アモルファス太陽電池「FWAVE」は、基板にプラスチックフィルムを使い「サランラップに電極を付けたようなイメージ」(説明員)の太陽電池だ。

 薄さは50μメートル、重さは1平方メートル当たり1キロ。ガラス基板を使った従来の太陽電池より軽く、自由自在に曲げられる。体育館などドーム型の屋根に貼り付けることも可能だ。

  94年ごろから研究を始め、昨年10月、本格的に量産を始めた。アルピニストの野口健さんがエベレストに登る際、FWAVEを掛け軸のように巻いて持っていき、テントに貼って発電。その電力でPCに給電し、ブログを更新していたという。

 グンゼも太陽電池を開発

 フィルム型太陽電池でMP3プレーヤーを充電――桐蔭横浜大学発のベンチャー、ペクセル・テクノロジーズとグンゼがそれぞれ「フィルム型色素増感太陽電池」のデモを行っていた。色素増感太陽電池は、高温・高真空の製造工程が不要で、低コストで生産できるのが特徴。実用化に向けて各社が研究を進めている。

  ペクセル・テクノロジーズは「iPod」「iPod nano」向け充電器の試作品を展示。ケースの前面にフィルム型色素増感太陽電池が付いており、iPodを差し込むと、直射日光なら約1時間でフル充電が完了するという。

  ズボンのベルトなどに通して持ち運べ、アウトドアにも便利だ。ブースを訪れた人からは「是非すぐに売り出してほしい」という声が寄せられたという。

  グンゼの太陽電池付きトレーニングウェアも注目を集めていた。両袖とズボンの側面に、フィルム型色素増感太陽電池が一列に並んで付いており、MP3プレーヤーを接続すれば、運動しながら充電することが可能だ。フィルム型だから、体を激しく動かしても割れる心配はない。

  グンゼは3年ほど前から、岐阜大学と共同で太陽電池の研究を始めた。下着などアパレル事業のほかに、ペットボトルの包装フィルムやタッチパネルの生産も手がける同社。太陽電池の研究にも、タッチパネルの開発技術を応用しているという。

「iPod」向け試作品に注目…国際太陽電池展が東京で開幕

2008/02/28 FujiSankei Business i.

 クリーンエネルギーとして普及が期待される太陽電池が進化している。東京・有明の東京ビッグサイトで27日始まった「国際太陽電池展」には、新型の太陽電池が数多く登場した。

 桐蔭横浜大学発のベンチャー企業、ペクセル・テクノロジーズ(横浜市青葉区)は、プラスチックフィルムを使った色素増感型太陽電池の大面積化に成功し、米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」向けの充電器=写真=を試作した。軽量なうえに、割れにくく安全性が高いのが特徴。商品化されれば電池切れを心配することなく、野外で音楽などを楽しむことができる。

 性能の向上も著しい。京セラは太陽電池表面にある格子状の電極を裏側に配置することで、受光面積を最大限拡大した製品を出展した。「変換効率は研究レベルで世界最高の18・5%を達成した」(広報担当者)。

 富士電機システムズもフィルム型アモルファス太陽電池を出展し、曲がった屋根などにも据え付けられる点をアピールしていた。

シャープの太陽電池生産が200万キロワット突破

2008.02.27 MSN産経新聞

 シャープは27日、同社製の太陽電池の生産量が平成19年末に累計で200万キロワットを突破したと発表した。世界の累計生産量の約4分の1に当たるという。シャープは昭和38年に太陽電池の量産を開始し、平成17年に累計100万キロワットを超えた。19年の年間生産量は原材料のシリコン不足が響き約36万キロワットで前年を下回ったが、太陽電池の需要は伸びるとみており、21年度には年間生産能力が1 00万キロワット規模と世界最大級の工場を堺市に稼働させる計画だ。

ベランダに太陽熱パネル 省エネ給湯システムを開発

2008年02月25日 中国新聞ニュース

 建築研究所(茨城県つくば市)は25日、東京ガスと共同開発した集合住宅用ソーラー給湯システムの効果や特性を調べる実験を公開した。ベランダの手すりに太陽熱を集めるパネルを設置するタイプで、屋根に置くタイプに比べ入射量は減るが、安価で手軽に使えるのが売りだ。

 給湯は家庭のエネルギー消費の約30−40%と最大の割合を占める。省エネ給湯システムを集合住宅に大量普及させることで、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出削減を目指す。

 システムは約1平方メートルのパネル2枚と容量100リットルの貯湯槽のセット。手すりに取り付けたパネルで太陽熱を集めて貯湯槽の水を温め、ガス給湯器で温度を調節する。

 2月9日から15日までの実験では、1日の平均給湯量は457リットルで、快晴だと真冬でも約41度のお湯が得られた。一般的な家庭の給湯エネルギーの約13%をまかなえる計算で、ガス使用料が年平均1万円前後安くなる見込みという。

世界最大規模の太陽電池発電所

2008.02.21 GIZMODO

 太陽電池を使った発電所ですって。

 場所はスペイン。なんと12万枚のソーラーパネルを使用し、その面積は100ヘクタール以上に及ぶんだそうです。最高で20メガワットの出力ができ、2万世帯に電力が供給可能という、世界一の規模を誇るんだとか。

 この発電所は1年に2800万ドルの収入を見込んでいて、二酸化炭素の排出量を1年で4.2万トン減らせるとのこと。環境面でも素晴らしいということですかね…でも、この発電所を作るためには、相当の森林が破壊されたのではないか? という疑問が沸かないでもありませんね。特にこの発電所があるJumilla地方はワイン生産で有名だそうですし。その辺どうなんでしょう。

太陽光発電所建設を検討 堺市でシャープと関電

2008年02月14日 中国新聞ニュース

 シャープと関西電力が堺市に太陽光発電所の建設を検討していることが14日、分かった。シャープが三重県亀山市の液晶工場に設置している国内最大の太陽光発電システム(約5200キロワット)を上回る規模になる可能性もある。

 環境問題への関心が高まる中、大阪府や企業は環境に配慮する姿勢をアピールする狙い。

 発電所は、府が所有する堺市臨海部の産業廃棄物処分場に建設する計画。府が処分場の有効活用を模索していた。シャープが関電に太陽電池パネルを供給し、発電した電力は関電が引き取る方向で協議している。

 シャープは処分場の隣接地に世界最大となる太陽電池工場を建設しており、稼働予定の2010年には年産約1000メガワット、25万世帯の電力を賄える規模の太陽電池の生産を見込んでいる。

 ただ、太陽光発電は、通常の電力の2倍近い発電コストがかかるため、採算が取れるかが課題となる。

太陽光発電1400万戸に 30年まで全世帯の3割普及

2007/12/30 中国新聞ニュース

 政府は三十日、地球温暖化対策の一環として、太陽光発電の普及を進めるため、一般住宅への太陽光パネル設置を現在の約四十万戸から、二○三○年までに全世帯の約三割に当たる千四百万戸に拡大する方針を明らかにした。この目標を盛り込んだ「エネルギー革新技術計画」をまとめ、来年の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)で表明する。

 一般家庭でも購入できるよう、低コストの新型太陽光パネル開発に向け、内外の専門家を集めた国際研究機関を○八年度に設立。関連経費として○八年度予算に二十億円を計上した。

 標準的な三・七キロワットの太陽光発電設備を導入した場合、四人家族の消費電力がほぼ賄える上、地球温暖化対策にもなる。今後はこうしたメリットを享受できる家庭が増えることになりそうだ。

 太陽光発電では、シャープなど日本のメーカーが世界の生産量の約半分を占めるが、海外市場向けが多く国内での普及は遅れている。企業も含めた発電容量は百七十一万キロワット(○六年実績)で、一位のドイツとの差が拡大している。住宅用の太陽光発電設備は二百万円程度と高く、発電コストも含めた低価格化が課題だ。

 このため政府は、エネルギー効率を現在より二―三倍に高めた新型パネルを開発し、発電コストを現在の一キロワット当たり四十六円から三○年までに七円に低下させ、火力発電とほぼ同水準にする計画。

 京セラが一○年度に生産量を三倍に引き上げる方針を打ち出しており、メーカーが増産体制に入れば、初期費用の低下が期待できる。政府としては、住宅用の電力容量(現在は百三十万キロワット)を三○年までに三十倍に拡大することを目指す。

風力大手のユーラスエナジー、韓国で太陽光発電・08年6月から

2007/12/29 NIKKEI NeT

 風力発電大手のユーラスエナジーホールディングス(東京・港、永田哲朗社長)は韓国に太陽光発電所を建設する。出力1000キロワットの発電所の運転を、南部の全羅北道で2008年6月から開始する。太陽光を利用した発電事業に参入し、風力と合わせ、自然エネルギー利用の範囲を広げる。韓国のほか、導入を積極化している欧州各国などでも事業化を検討している。

 ユーラスの現地子会社が発電所用地として全羅北道淳昌に2万9000平方メートルの土地を取得した。太陽光発電機は三菱電機から調達する。総事業費は同規模の風力の3―4倍の8億円強になる見通しだが、年間日照量が多く、太陽光発電に適していると判断した。

県庁エコ発電スイッチオン

2007年12月28日 読売新聞 YOMIURI On-Line

太陽光利用屋上パネル

 地球温暖化につながる温室効果ガスの排出量を削減し、エコオフィス化を進めている県は27日、県庁本館の屋上に設置した太陽光発電装置で発電を始めた。削減される二酸化炭素排出量は年間約4トンで、スギの木約300本の年間吸収量に相当するという。

 屋上に設置される太陽光発電装置は2基。発電量は推定で年間約1万キロ・ワット時で、県本庁舎の事務用ノートパソコン(2400台)の8分の1に当たる約300台分の年間消費電力に相当する。また、県庁東館2階ロビーに液晶モニターが設置され、日射量や発電量が表示される。

 発電装置の設置は、県が2006年3月に定めた県庁地球温暖化防止率先行動計画に基づく県庁舎エコオフィス推進事業の一環。10月には文書溶解システムを導入しており、08年度末には、県庁本館屋上に芝生(620平方メートル)、菜園、花壇などを整備し、屋上緑化を完成させる予定だ。

 県の施設では、ほかに環境放射線監視センター(御前崎市)や都田浄水場(浜松市)に太陽光発電装置が設置されている。

 県地球環境室は「県庁が率先して二酸化炭素の削減に取り組むことで、県民や事業者に取り組みが広がってくれればいい」と期待している。

米工場、太陽光発電でCO2年260トン削減 州制度活用

2007.12.27 MSN産経新聞

 資生堂は27日、米ニュージャージー州の工場に今年4月導入した太陽光発電設備で、年間260トンの二酸化炭素(CO2)削減が見込めることを明らかにした。

 太陽光発電を導入したのは、化粧品を現地生産している「資生堂アメリカ」(SAI)のウインザー工場。工場倉庫の屋根の30%にあたる約4100平方メートルに、約3500枚のパネルを設置した。同州の自然エネルギー発電への助成制度を活用したもので、約5億円の設備投資のうち半額程度の還付を受けた。

 資生堂の太陽光発電の能力は最大約700キロワットで、日照量が多い5〜7月には月平均10万キロワットを発電し、すでに100トンのCO2削減に貢献した。同州の制度を活用した約100社の中では発電規模で最大という。

 資生堂によると、年間稼働すれば工場使用電力の25%、約80万キロワットを賄える見込みで、260トンのCO2削減につながるという。SAIでは、併せて導入した屋内省エネ照明と合計して年1100万円程度の電気代を節約できるとみる。

 資生堂は今後、助成制度のない米国内の工場でも自然エネルギー発電の導入を積極的に検討していく方針だ。

2007/12/25 時事ドットコム

 トヨタ自動車は25日、太陽光発電システムの設置など環境保護を重視した工場運営を世界規模で実施すると発表した。今回、英国など海外4工場を環境重視のモデル工場に指定。二酸化炭素(CO2)の排出量削減や緑化活動を通じた地域貢献も積極的に進める方針だ。

太陽光発電システム、新設件数が頭打ち

2007年12月25日 下野新聞

 右肩上がりで増えてきた県内の住宅用太陽光発電システムの新規設置件数にブレーキがかかっている。二〇〇六年度は約千百件で前年度に比べ約四割減少、〇七年度も三割減のペース。国の補助制度終了に加え、太陽電池の材料となるシリコン不足で発電装置の価格が上昇したためだ。環境意識の高まりに水を差しかねない状況に、県環境森林部は「太陽光発電は環境にやさしいだけでなく子どもの教育にも大きなメリットがある。自宅を新築する人などはぜひ検討して」と訴えている。

 新エネルギー財団(NEF)によると、県内の新規設置件数は一九九九年度は約三百十件、二〇〇二年度は約八百八十件と右肩上がりで増加。国の補助金が年度途中で終了した〇五年度も約千八百七十件増えた。

 しかし〇六年度は約千百四十件にとどまり、前年比約四割減少。〇七年度も九月末現在、約四百七十件と前年同期比で約三割減った。

 新規設置件数が減少に転じた理由について、県内の各住宅メーカーは「国の補助金が打ち切られたため」と口をそろえる。国は九四年度に補助制度を導入。〇五年度は一キロワット当たり二万円補助していたが、「発電システムの価格が三分の一に下がり当初の目的が達成された」(NEF)として終了した。

 これにシリコン不足による発電システムの価格上昇が追い打ちをかけた。

 NEFによると、一キロワット当たりの設置価格は〇五年度が六十六万千円だったのに対し、〇六年度は六十八万三千円にまで値上がりした。国内メーカーが海外に多く輸出しているこもあり、「国内の設置件数はしばらくは右肩上がりしない見通し」という。

 発電システムの需給状況や価格動向には不透明な部分もあるが、県環境森林政策課は「太陽光発電は地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出せず、太陽の恵みを電力に変換する無尽蔵のエネルギー」とメリットを強調。県も低利でシステム設置の資金融資を継続している。宇都宮市や大田原市など県内十一市町は補助制度を設けている。

 県は「本県は日照時間が長く、太陽光発電に適している。新エネルギーは太陽光中心に位置づけている」と説明。NEFも「環境問題を考えると積極的に導入する努力をしなければならない」と訴えている。

「1か月で元が取れます!」 シリコン不要の太陽電池、薄型パネルで99セント/ワットで登場

2007年12月24日 Garbagenews.com

 太陽電池開発のベンチャー企業である、アメリカ・カリフォルニア州サンノゼに拠点を置く【Nanosolar】は12月18日、銅とインジウムなどを使用しシリコンを使わない薄膜太陽電池の商品化に成功、実際に出荷を開始したと発表した(【発表リリース「Nanosolar Ships First Panels」】)。

 リリースによればこの薄膜太陽電池にはツールの開発や各種試験、工場建設も含めて5年の開発期間がかかった。そして12月18日にドイツの発電所に対して初めての商品を出荷し、対価を受け取ったという。出荷先の発電所の詳細は【このリリースに記載されている】が、ドイツの太陽発電システムのメーカー Beck Energy社と共に、東ドイツにある発電所に太陽電池を供給。初期設置の発電量は1メガワットで、これは400世帯の住宅向け電力に相当するという。 NanosolarのCEOであるMartin Roscheisen氏によれば、今回ドイツの発電所に提供した太陽電池は、試験利用ではなく商業ベースとしては世界初となるプリント技術による薄膜太陽電池であり、自然環境に優しい発電手法として今後普及するだろうと述べている。

 この商用化された薄膜太陽電池についてのセールスポイントは次の通り。

 ・商業ベースでは世界初のプリント技術による薄膜太陽電池。

 ・安価で量産が効く。

 ・世界でもっとも安価な太陽電池となる。1ワットあたり99セント(110円)ベースで販売しても自社に利益が出ると試算している。

 ・これまでの薄膜太陽電池の5倍もの通電量を誇る。

 ・デザイン的にも最適化されておりコスト面からも設置するに相応しいシステム。

 太陽電池はその名の通り「太陽に照らされていないと発電できない」「太陽光を受ける広い面積が必要」というウィークポイントはあるが、メンテナンス費用も安価で済み、一度生産してしまえば何らかの原材料を消費することなく電力を生み出せるというメリットを持つ。

 問題なのはその生産コスト。技術革新により電力変換率は高まっているものの、太陽電池そのものの需要増加や同じ原材料であるシリコンを用いるICチップの需要増大が続く中で、慢性的なシリコン不足による価格上昇は否めないのが現状。例えば【三洋電機(6764)】は12月5日に開発センターの設置を発表、この研究所で薄膜型太陽電池の開発・量産に乗り出し、現在は1ワットあたり250円ほどのコストを150円までに引き下げたいとしている(【参考:Fuji Sankei Business-i】)。

 量産が始まったばかりで宣伝効果も兼ねた価格とはいえ、Nanosolar社の「99セント/ワット」というのはあまりにも安く、ライバルの太陽電池開発会社からすれば驚異的な数字でもある(同社のリリースによれば、通常の太陽電池のコストなら1.7年から3年かかるが、このコストなら1か月で「元が取れる」とのこと)。

 ちなみに初期量産ロットの第一号機は上記にあるようにドイツの発電所に納入されたが、第三号機は会社のあるサンノゼの技術博物館に寄贈された。そして第二号機は記念ということもありebayに出品。99セントが開始価格だったものの、27日の締め切り前の21日にはすでに1万3000ドル以上に達していた。しかしebayからオークションに関する規約に抵触するとして(どうやらeBay担当者がチャリティに関する部分で誤読したらしい)、出品そのものを取り消されてしまった。Nanosolar社では「誤解だ」としてeBayに電話で問い合わせたが、これ以上論議しても無駄だと判断。結局eBayにかけられた第二号機はNanosolar社内に残ることになったという。

 少々ケチがついた形になってしまった感のある初期量産ロットだが、低価格で量産が効く太陽電池のライン構築に成功したのは賞賛に値する。世界中、特にヨーロッパで需要が急増している太陽電池のニーズの多くに応えるまでの増産はさすがに無理だが、今後確実に同社の薄膜型太陽電池は市場、あるいは発電所をはじめとする需要に応える形で普及するだろう。そしてそれと共に、太陽電池開発競争にも一層拍車がかかり、技術革新と低コスト化、そして普及が進むに違いない。

 単に安価の太陽電池を市場に供給したというだけでなく、太陽電池開発の現場に刺激を与えたという観点でも、Nanosolar社の商業ベースでの生産開始には注目したいところだ。

新エネルギー施設の誘致推進 中部空港一帯

2007年12月21日 中日新聞

 地球温暖化問題への対応として、太陽・風力発電や燃料電池など「新エネルギー」関連の予算1113億円(前年度比4・5%増)が、20日内示された2008年度予算の財務省原案に盛られた。世界に環境問題をアピールした愛・地球博(愛知万博)の理念を引き継ぐため、愛知県は08年度から常滑市の中部国際空港対岸部(前島)で、予算化された国の支援制度を活用しつつ、新エネルギーの実用化を目指す。実証実験を行う民間企業の誘致を進め、空港一帯を最先端研究の拠点にしたい考えだ。

 新エネルギーは、地球温暖化を抑える石油代替エネルギーとして期待されるが、コスト面などから普及が進んでいない。国は10年度までに、日本全体の発電量のうち新エネルギーが占める割合を3%に上げる目標を掲げ、08年度の財務省原案では、コストを下げるための技術開発や実証実験などの関連予算を前年度から48億円上乗せした。

 一方で愛知県は太陽光発電設置の補助制度を独自に設けるなど普及を進めており、今年3月の太陽光発電の設置件数は1万9784件(発電出力約7万キロワット)と全国一を誇る。

 昨年は、愛知万博で太陽光発電を行った新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の新エネルギープラントを、県が常滑市の前島へ移設。NEDOは「あいち臨空新エネルギー研究発電所」として、常滑市役所の全電力を供給するなど実証実験を行ってきた。

 08年度、県はNEDOから太陽光発電システムなどを無償で譲り受け、実証実験を継続するほか、新エネルギーの産業育成のため、前島に企業が実証実験を行うエリアを設定。企業の研究施設を募る。

 企業は県のインフラを利用できるほか、県が国の助成が得られるよう支援。実証研究は2−5年で、研究成果の広報、PRなどを通じ県が実用化をバックアップする。

 中部国際空港でも燃料電池バスと燃料の水素ステーションの実証実験を実施し、「エコ空港」としての認知に力を入れている。

 県新産業課の中野達夫主幹は「新エネルギー関連予算の増え方に、国の力の入れようを感じる。セントレア一帯を新エネルギー研究の一大集積地にしたい」と意気込む。

【新エネルギー】太陽光、風力、バイオマス、廃棄物、燃料電池など石油代替の資源から生まれるエネルギーで、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」には15種類が挙げられている。2005年度の発電量のうち新エネルギーはわずか2%。

1ワット当たり1ドルを切った!太陽光発電もコスト競争時代に

2007年12月20日 NIKKEI BP NeT

 太陽光発電というと、地球温暖化防止には効果的でも割高というイメージがあります。住宅用の太陽光発電パネルの設置に対する国の補助が始まったころは、1キロワット当たり200万円くらいだったそうですから。

 しかし、このほど米国カリフォルニア州サンノゼに本拠を置くナノソーラー社は、これまでの常識を破る低価格な太陽光発電パネルを初出荷しました。ナント、1ワット当たり99セントという低コストの実現に成功したのです。

 この太陽光発電パネルは、ドイツ東方に建設される出力1メガワット(1000kW)の太陽光発電プラントに使われ、約400戸の住居に電力を供給するものです。1ワット99セントなら、仮に住宅1戸3kWとしても、40万円足らずで済みますから、かなりコスト競争力がついてきたと言えるのではないでしょうか。

 同社では、最初に「製品」として製造した太陽光パネルの2号機をオークションにかけていますが、こちらの方は逆に歴史的価値を見込まれてか、99セントでスタートしたのが急上昇しています。今は、いくらになっているのでしょうか。

環境配慮型にシフト…韓国・ソウル火力発電所、地中化へ

2007/12/18 FujiSankei Business i.

 韓国電力公社傘下の韓国中部発電は、ソウル市麻浦区にある火力発電所を2012年までに地下に移設し、跡地に公園を造成する計画を打ち出した。既存発電所の地下化は世界的にも珍しい。韓国では原油高や地球温暖化問題を背景に太陽光発電設備の建設ブームとなっているほか、環境問題に配慮した発電ビジネスが社会的にも高い評価を受け始めている。 (坂本一之)

 韓国紙の朝鮮日報によると、韓国中部発電は同市麻浦区のソウル火力発電所の地中化に7925億ウォン(約951億円)を投じる計画。地下30メートルの深さに発電所を建設し、50万キロワット級の発電設備2基を設置する。来年10月に着工し11年9月に工事を終える予定だ。

 1930年に建設され韓国初の火力発電所として誕生した同発電所は、

70年代まで石炭を主な燃料にしていたため、住民から移設を求める声が上がっていた。現在は環境汚染の少ない液化天然ガス(LNG)を燃料を変えて発電している。

 発電所は政府機関庁舎への供給や非常時用の予備電力など重要な役割を担うため、設備を地中に隠して跡地に住民が使える公園をつくることで生活環境への配慮を高めた格好だ。

 地上には発電設備として事務所や環境との調和に配慮されたデザインの高さ60メートルの煙突が残るが、噴水やスポーツ施設などを整備した公園ができる予定だ。

 また、化石燃料を必要としない太陽光発電の普及も韓国全土で急拡大で進んでいる。太陽光発電設備は06年末時点で運転しているものが69カ所あり、発電量は合計1万1000キロワット。今年3月時点では建設許可を受けた未完成設備を含め261件に達し、その供給量は一般家庭約5万世帯の供給量に相当する計12万1000キロワットに達する。

 産業資源省は太陽光発電による世帯への供給を10年までに10万世帯に引き上げる方針だ。

 太陽光発電の需要拡大に合わせて韓国企業による同ビジネスへの新規参入も活発化している。

 また、韓国の聯合ニュースによると、中央銀行の韓国銀行が4日公表した支出統計で、06年の環境保護に対する支出額は下水処理場の建設や火力発電所の脱硫、脱窒設備建設に対する投資などで前年比10・4%増の19兆4571億ウォン(約2兆3350億円)に拡大した。

 環境対策への投資額は公共部門や企業で増加傾向にあり、環境関連のビジネスが注目を集めている。

家庭用電力料金並みの発電コストの実現目指す 先進太陽光発電開発センターを来春岐阜に開設【三洋電機】

2007/12/17 Economic News

 三洋電機株式会社(本社・大阪府守口市京阪本町2−5−5、佐野精一郎社長)は岐阜県安八郡安八町大森180にある同社の大規模太陽光発電施設ソーラーアーク岐阜事業所内に「先進太陽光発電開発センター」を2008年4月1日に開設する準備をすすめている。

 センターでは家庭用電力料金並みの発電コストの実現を目指すとしており、次世代薄膜シリコン系太陽電池の開発をすすめる計画だ。

 事業には開設から3年間で約60億円を投資する。

 同社では「次世代薄膜シリコン系太陽電池を、第1世代のアモルファス太陽電池、第2世代のHIT太陽電池に続く、第3世代太陽電池と位置づけており、岐阜事業所内に集積された半導体技術や薄膜トランジスタ技術などとの融合により、技術革新をすすめてゆきたい」としている。

コスモ石油、アラブ機関と太陽光発電研究開始

2007年12月17日 CARVIEW

 ガソリンスタンドで知られるコスモ石油は、アラブ首長国連邦(以下、UAE)のアブダビ政府系機関であるMASDAR-アブダビ・フューチャー・エナジー・カンパニー(以下MASDAR-ADFEC)と共同で、東京工業大学(以下、東工大)と集光太陽熱発電技術開発のための共同研究開発契約を締結した。

 この契約は、UAEのアブダビ政府系機関であるMASDAR-ADFECと共同で、東工大が持つビーム・ダウン方式による集光太陽熱発電独自技術の実証実験を行うための共同研究開発契約で、共同研究開発に必要な資金は、コスモ石油とMASDAR-ADFECがそれぞれ50%ずつ拠出し、東工大は各種独自技術の提供ならびに技術移転、人材育成を行うという。

 この共同研究開発は、UAE国内への技術移転や次世代の人材育成のために設けられた国家方針であるマスダール・イニシアティブの基盤となるマスダール・リサーチ・ネットワーク(以下、MRN)の枠組みのなかで実施されるもの。MRNは、世界中の科学技術系大学や産業界の協力により、化石燃料に代わる多種多様な新エネルギー研究開発を実施し、ノウハウの蓄積を狙っている。

 集光太陽熱発電技術は、MRNのなかの最重要研究開発のひとつに位置づけられており、MRNは太陽熱エネルギーを利用した最先端発電技術開発の将来性に大きな期待を寄せている。集光太陽熱発電技術には、大きく分けてトラフ型とタワートップ型があり、トラフ型とは、広大な用地に敷き詰められた集光設備を用い、反射させた太陽光を、熱を伝達するチューブに集め、その熱を利用して蒸気タービンを回して発電する手法で、実際に大規模な集光太陽熱発電として商業化されている。一方、タワートップ型は、敷き詰められた反射鏡(ヘリオスタット)を用いて、敷地全体に降り注ぐ太陽光を敷地中央のタワー先端に取り付けた太陽炉に集光して、その熱を利用して発電する手法で、トラフ型より、相対的に発電コストは低いと言われている。

 今回の共同研究開発では、東工大炭素循環エネルギー研究センター・玉浦裕教授が提案してきた東工大式ソーラータワービームダウン集光技術を実証し、太陽熱発電コストのさらなる低減をめざすという。この技術はタワートップ型をさらに進化させたもので、一度タワー先端に集光された太陽光を、東工大独自技術を結集した中央反射鏡により地面に据え置きした太陽炉に再反射させます。太陽炉を地面に据え置くことによって、建設コストやメンテナンスコストを低減することが可能。来年100kWの実証実験プラントを建設し、実証実験の結果次第では、商業化プラント建設準備に入るという。

次世代型の太陽電池「異業種」の参入相次ぐ…視野は世界市場

2007/12/14 FujiSankei Business i.

 太陽光発電が環境に優しいクリーンエネルギーとして期待される。その要である太陽電池の製造に「異業種」のホンダなどがシリコンを使わない次世代型で相次ぎ参入している。既存メーカーも増産や新製品開発に余念がない。新規参入組の多くは、人材確保が容易な九州に相次いで生産拠点を設置しており、各社は、太陽光発電の普及が著しい欧州などの市場に狙いを定め、事業展開を加速させる。

 ■シリコン使わず

 「世界に向けて発信する態勢を整えたい」

 11月中旬、ホンダの福井威夫社長は100%子会社で太陽電池製造のホンダソルテック(熊本県大津町)の工場開所式に出席し、新事業が世界市場を視野に入れていることを強調した。

 ホンダの太陽電池は銅などの化合物の薄膜が太陽光を吸収して発電する仕組み。半導体にも使われ、供給不足懸念が付きまとうシリコンをまったく使わない。

 現在、国内総出荷量(2006年)の9割以上はスライスしたシリコンを使う結晶型。「シリコン調達が生産量を決める」と言われる状況だけに、シリコンを使わない次世代型への注目度は高い。福井社長は「予想を超える展開があるかもしれない」と、その将来性に期待を寄せる。

 ■中核事業の一つ

 ホンダだけではない。昭和シェル石油も今年7月から宮崎市にある子会社の工場でシリコンを使わない電池を量産開始。シリコン使用量が結晶型の約100分の1という電池を製造する三菱重工業長崎造船所も「中核事業の一つに」と力を入れる。

 熊本県に工場を構える富士電機システムズは、シリコン使用量が少ない厚さ1ミリのフィルム状の新製品の開発に成功した。「カーペットのように丸めて保管でき、コンパクトに収納しておけば災害時の非常用電源になる」(斉藤純一郎・太陽電池統括部長)と用途拡大に自信を示す。

 こうした動きに、世界最大手のシャープもシリコンの使用量を抑えた電池の生産能力の引き上げを発表するなど、競争は激しさを増している。

 ■この数年がカギ

 競争激化の背景には、地球温暖化抑制のために主に欧州の国々が太陽光発電導入への優遇策を展開、市場が急拡大していることがある。世界市場は今後も年率3割近い伸びが見込まれており、国内の太陽電池メーカー各社とも増産に力を入れている。

 太陽電池のコンサルティング会社、資源総合システムによると、生産能力増強で、数年後には結晶型の足かせとなっているシリコンの供給体制が整うという。同社の一木修社長は「この間に新規参入企業がどれだけシェアを拡大できるかがカギ」と分析。結晶型に比べまだ低い電力への変換効率の改良や製造コスト削減など「さらなる付加価値の追求が不可欠」と指摘している。

シャープ、太陽光発電事業への取り組みが「eco japan cup 2007」の“環境ビジネスアワード”を受賞

Dec 13, 2007 (JCN Newswire) Tokyo, Japan

シャープ(TSE:6753)の太陽光発電事業への取り組みが、エコビジネスの芽を見つけ、育てるコンテストである「eco japan cup 2007」(環境省・有限責任中間法人 環境ビジネスウィメン・株式会社 三井住友銀行 共催)の「環境ビジネスアワード」を受賞しました。

当社のソーラー事業が、環境ビジネスに取り組もうとする個人や企業の目標となる事業モデルとしての役割を担っていると評価されたものです。

当社は、1959年に太陽電池の研究を、1963年に太陽電池モジュールの量産を開始して以来、灯台(1,889ヵ所に設置)や人工衛星(150基以上に導入)といった過酷な条件下での使用や住宅用で技術の信頼性を高め、単結晶、多結晶、薄膜、化合物半導体など幅広い技術の蓄積を重ねて、7年連続太陽電池生産量No.1(*1)を達成しています。

当社の葛城工場(奈良県)においては、結晶系太陽電池と薄膜太陽電池のセルを生産し、モジュールは葛城工場、八尾工場(大阪府)、矢板工場(栃木県)と、米国(テネシー州メンフィス)、英国(北ウェールズ州レクサム)で生産しています。また、端材を利用した太陽電池用シリコン材料を生産する富山事業所を2007年1月から稼動させました。

さらに、2010年3月までに大阪府堺市に薄膜太陽電池を量産する最先端の工場(年間生産能力1,000MW規模)を稼動させる予定です。当社は今後も、太陽電池事業により、世界中にクリーンエネルギーの普及拡大を図り、地球環境保全に貢献してまいります。

なお、表彰式は東京国際展示場(東京ビッグサイト東館展示場)で開催される「エコプロダクツ2007」の会期中、12月14日(金)に隣接する東京ベイ有明ワシントンホテルで行われる予定です。

「eco japan cup 2007」とは

環境省・環境ビジネスウィメン・三井住友銀行の3者共催により、エコビジネスの芽を育てるため、個人レベルやベンチャー企業レベルにおける環境ビジネスを見出し、表彰するとともに支援することを目的に2006年度にスタートした。2007年から、企業を対象とした「環境ビジネスアワード」が新設された。

*1 米国「PV News」(2007年3月号)による。

尚徳、年末までに生産能力500メガワットで世界第2位に

2007/12/13 News China
 

中国の太陽光発電メーカー大手である尚徳太陽能電力有限公司が、年末までに生産能力500メガワットを実現形成し、世界第2位となる見込みであることが12 日、明らかになった。国家発展改革委員会能源局(エネルギー局)の呉貴輝副局長は、「中国は現在すでに、世界三大太陽光発電製造基地の1つに発展した」と語っている。相次ぐ太陽光発電プロジェクトの大量の出現は、中国が世界の太陽光発電製造大国入りすることを推進している。

呉副局長は12日に開催された「2007年中国太陽光発電産業国際競争力トップフォーラム」で、「尚徳はわずか6年で、世界の太陽光発電業界トップ3に入った。このことから、中国製品が国際市場入りし、世界的ブランドとなるには、1つには技術、そしてさらに品質が重要であることがわかる」と指摘している。

同社の市場価値はすでに100億ドル相当を突破したといわれる。尚徳は今年末までに生産量350メガワットを達成、販売収入は100億ドルを越え、今後さらに500メガワットの生産能力を実現形成し、その生産能力は世界第2位となる見込みだ。同社の生産能力は昨年末、300メガワットを突破し、世界の太陽光発電業界第4位に入った。(編集NT/D)

太陽光発電を公共施設に 岡山など4市1町パネル40ヵ所設置計画

2007年12月09日 山陽新聞

備前みどりのまほろば協議会が事業化へ

 備前市や地元商工会などが資源循環型社会の実現を目指して設立した「備前みどりのまほろば協議会」(同市吉永町吉永中)は、太陽光発電パネルを公共施設に設置する事業に乗り出す。同市のほか岡山、赤磐、瀬戸内、和気の計4市1町で年明けからパネル設置工事を始め、本年度中、40施設に設置する計画。

 同協議会の提案をもとに環境省のモデル事業として取り組み、複数の自治体にまたがる大規模な事業化は全国でも珍しいとされる。同協議会の有吉年夫会長は「日照時間の長い岡山で、“晴れの国”のキャッチフレーズに見合う成果を上げたい」と話している。

 電力の一部をクリーンエネルギーに置き換えることで地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)放出を抑制する。40施設を合わせた年間のCO2の削減量は、標準的な家庭70軒分の発電の放出量に相当するという。

 事業は、同協議会の傘下で市民も出資した株式会社「備前グリーンエネルギー」が主体。同社が幼稚園、保育園など小規模な公共施設の屋根に太陽光発電パネルを設置し、パネルで得られた電力を施設に販売、施設が必要とする電力を賄ってもらう。余った電気は同社が電力会社に売却する。

 電気料金は電力会社と同額に設定し、施設が支払う電気代はこれまでと変わらない。パネル設置費は環境省の交付金などを充てるため、施設側の金銭的な負担はない。大地震などの停電時の電力も確保できる。

 現在、各市町がパネル設置候補施設の選定を行っており、来年1月以降、設置工事が始まる。【詳しくは山陽新聞紙面をご覧ください。】

“環境ビジネス”合戦 COP13特設会場で展開

2007年12月07日 朝刊 中日新聞

 【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)=蒲敏哉】「アメリカと欧州連合(EU)は二酸化炭素排出権取引で連携し今こそ市場を広げるとき」。国連気候変動枠組み条約の第13回締約国会議(COP13)が開かれているインドネシア・バリ島の会議場近くには特設会場が設けられコンサルタントや企業関係者が“環境ビジネス”合戦を繰り広げている。

 来年から京都議定書の第1約束期間が始まるとあって今会議は世界中から政府代表団、企業関係者ら約1万人が集まる絶好の“商談場”となり、小会議場ではバイオエタノールや太陽光発電、排出権取引など温暖化防止に向けた技術や制度の発表が行われている。

 6日には米国とドイツのコンサルタントや経済団体が、排出権取引の連携強化をアピールした。

 排出権取引は議定書から離脱している米国には国連の枠組みでは資格はないが、2005年から先行して域内取引を始めているEUと米国の約10州が取引の連携を進めており米国の発表者は「次の大統領が批准してくれれば、市場は活発化しビジネスチャンスが生まれる」と期待する。

 COP13会議場前にはドイツの「Qセル」社が協力した無料タクシーが置かれ、同国から来たコンサルタントは「バリで公道でのタクシー運転が認められた太陽光発電自動車はこれだけ。無料なのは太陽の光がタダだからさ」と汗だくで説明に追われていた。

再生エネ導入など雇用創出、UNEP公表・温暖化防止バリ会議

2007/12/07 NIKKEI NeT

 国連環境計画(UNEP)は7日までに、インドネシア・バリ島で開催中の国連気候変動枠組み条約締約国会議で、温暖化対策が新たな雇用を各国で創出しているとする調査結果を公表した。温暖化ガスの削減につながる再生可能エネルギーやバイオ燃料の導入で技術職が生まれたという。対策に後ろ向きな政府や産業界にクギを刺した格好だ。

 主要国の分野別雇用状況を調査。米国では環境に配慮した製造業が2005年までに530万人の雇用を生み出し、米国における製薬企業の雇用数の10倍に達した。ドイツとスペインは太陽光発電などの導入で新たに数十万人が職に就いた。

 バイオエタノールの需要が膨らむブラジルでは農村を中心に数十万人が新たな職を得た。中国でも太陽光発電の需要拡大によって05年時点で15万人以上が仕事を得たほか、インドの首都ニューデリーでは天然ガス車の導入で1万8000人が就職できたという。(バリ=竹下敦宣)

インドの環境問題A・・・自然の恵み・太陽光発電・・・

2007/12/07 Iza(さまよえる団塊世代 ・・・インド在年9年・・・ 夢翔る世界紀行

インドの2億世帯の内、50%の1億世帯は未だ電気を使用していない。殆ど農村世帯である。インド政府は発電所建設を急いでいる。その殆どが石炭火力発電所である。 インドで100万人以上の大都会人口は約1億5千万人、約2億人が中規模都市や小規模の町に住んでいる。インド中の至る所に点々と無数の集落があり、8億人ぐらいの人が集落に住んでいる。この集落の殆どの世帯は電気を使っていない。この集落に電気を通す事は気が遠くなるような作業であると共に巨額な資金を要する。多分、天文学的な金額になるだろう。発電所建設の他に配電・変電設備が必要となる。インドの道路網は330万km、中国の1.8倍、この数倍の長さの電線が必要になるはずだ。これを解決する方法は分散型発電にするしかない。

インドでは意外と太陽光発電が普及している。世界の5.1%はインドで生産されているし、輸出もしている。インドには太陽光と言う宝、大自然の恵みがある。特に北インドやデカン高原地帯は、雨季の3ヶ月を除けば連日快晴、湿度も低く気温は筆舌を絶する程の高温になる。時に摂氏50度を超す気温、3年前オリッサでは非公式だが摂氏55度を記録した。公式気温は摂氏52.5度であった。当然、百葉箱の中での気温である。炎天下の気温は想像を絶する。IT都市のハイデラバードも毎年数回摂氏50度を越す暑さになる。今年はデリーでも摂氏48度近くになったそうだ。湿気の多いムンバイやチェンナイは摂氏40度を越すことは滅多にないが、一年中、最高気温は摂氏33度近辺、最低気温は摂氏20〜25度の都市である。どこに言っても陽射しは強い。強いを通り越して強烈である。モンスーンの時期は時たま強風が吹くが、海岸線以外では殆ど風は吹かない。インドでは風力発電はあまり期待できない。インドはこの強烈な太陽光と高温をもっと利用すべきだろう。

現状は、コストをベースとした太陽光発電ビジネスの域を出ていない。従い、余り普及していない。しコストが高くて貧民には手が届かない。

地球環境問題が真剣に討論され始め、CO2発生を抑える新技術導入にはCDMが認められるようになっている。太陽光発電はCO2発生ゼロである。石炭火力発電によるCO2発生量全量が削減量になる筈である。プラス配電線使用量削減効果もある。電線を生産するためには多量のエネルギーを必要とする。全てをCO2排出権として販売する前提で、コスト計算を見直せば十分採算に合う可能性もある。対象は1億世帯、大変な量になる事は間違いない。電化による経済的波及効果も大きい。

日本は太陽光発電の技術は多分はかなり進んでいる筈、また省エネ型電灯など家電製品で様々な省エネ技術を持っている筈である。これらの新技術使用もCO2排出権の対象になるはずである。関連企業が組織化して動けば実現可能性の大きいプロジェクトになるだろう。

だが、個々の企業が個々に動くのでは実現性は乏しい。環境ビジネス・コンソーシアムを組閣して実現すれば、例えばの話だが、経団連プロジェクトとして取り組めば、‘日本の技術をアピール’する格好のCSR事業になるだろう。残念ながら、この様なプロジェクト推進の旗を振り、音頭を取ってリーダーシップを発揮するような企業経営者は日本には未だ見られない。そのような企業風土も企業マインドも無いようだ。日本の最大の弱点である。

インドでは、真夏には車のボンネットで目玉焼きが出来るほどのエネルギーが放置されている。牛糞だけでなく、この自然の恵みをもっと有効活用すべきだろう。知恵を使えば出来る筈である。対象は少なくとも1億世帯あるからだ。彼らが石炭火力発電所の電気を使い、家庭用燃料として石化燃料を使い出せば、大変なことになる。

太陽電池「薄膜型」へ…主材料シリコン高騰でダイエット作戦

2007/12/06 FujiSankei Business i.

三洋、研究拠点に60億円

 太陽光発電で、原材料のシリコン使用量を大幅に抑えられる「薄膜型」の太陽電池に注目が集まっている。三洋電機は5日、薄膜型の研究開発拠点として来年4月に岐阜事業所(岐阜県安八町)内に開設する「先進太陽光発電開発センター」の概要を発表した。太陽電池で7年連続世界首位のシャープも来年10月に薄膜型の年産能力を現状の10倍強に引き上げる予定で、薄膜型をめぐるメーカー同士の開発・生産競争が熱気を帯びてきた。

 三洋は先進太陽光発電開発センターで薄膜型太陽電池の開発に本格着手する。2008年度から3カ年で約60億円を投資。当初は技術者約30人でスタートする体制を早い段階で50人以上に増員する。大学など研究機関とも積極的に連携し、早ければ12年にも、薄膜型の量産に乗り出す。

 三洋は11月に発表した08年度からの3カ年の中期経営戦略(マスタープラン)で、太陽電池に約800億円を投資する計画を掲げた。年産能力を現状の2・5倍の650メガワットに引き上げ、欧州を中心とした需要拡大に対応する方針だ。現在は単結晶とアモルファス(非結晶)の薄膜を融合した「HIT太陽電池」を生産しているが、「ハイエンド市場にはHIT太陽電池、低コストが要求される市場には薄膜型で住み分けを図る」(津田信哉執行役員)として“二本柱”の展開を進める。

 薄膜型が脚光を浴びるのは太陽電池の主原材料のシリコンが不足し、価格が高騰していることが一因。従来の半導体向けに加えて太陽電池市場の急拡大で需給が逼迫(ひっぱく)し、「今年は昨年に比べて価格が約2割上昇した」(市場関係者)とされる。シリコン使用量が少なくて済む薄膜型への注力でコスト面での競争力を強める狙いがある。

 ただ課題は、太陽電池の大半を占める単結晶・多結晶の結晶系に比べて低いとされる変換効率(太陽光を電気に変換できる割合)の向上。変換効率は結晶系で10%を大きく上回るが、薄膜型は7〜8%前後にとどまり、三洋は12%の実現を目指す。大幅増産するシャープも従来の2層構造を3層構造にすることで10%を目標とする。

 また、薄膜型の場合、現在は1ワット当たり250円前後かかる発電コストを、三洋は12年に150円と家庭用電力料金並みの発電コストに引き下げたいとしている。

 薄膜型をめぐっては、シャープが葛城工場(奈良県葛城市)に約220億円を投じ、年産能力を現在の15メガワットから来年10月に160メガワットと10倍強に増強。堺市で09年度までに稼働予定の液晶パネル工場には薄膜型太陽電池工場を併設する。

 さらに、後発組の昭和シェル石油が今年7月に宮崎県で、ホンダが今年10月下旬に熊本県で、それぞれ子会社を通じ、シリコンを使わずに銅やインジウムなどの金属化合物を使った薄膜型太陽電池の量産を始めるなど、薄膜型は業態の壁を越えて注目を集めている。

ソニースタイル、携帯・パソコンから“グリーン電力”購入可能に

2007/12/04 ケータイ Watch

 ソニースタイル・ジャパンは、ソニーグループのポイントプログラム「ソニーポイント」で、風力や太陽光で発電した、いわゆるグリーン電力を購入できるサービスの提供を開始した。

 グリーン電力購入機能は、ソニーポイントの「社会貢献メニュー」として提供されるもの。グリーン電力は一定規模以上の企業や団体でなければ購入できないが、今回の試みは、ソニースタイルが自然エネルギー・コムからグリーン電力証明書を一括購入し、ユーザーに対して小口分割して提供する形となっている。最低購入額は1口で、風力発電は1kWhあたり11円相当のポイントで、太陽光発電は1kWhあたり13円のポイントで購入できる。

 同社では、「個人が携帯・パソコンからグリーン電力を1kWh単位で購入できるのは国内初」としている。

■ URL   プレスリリース http://www.jp.sonystyle.com/Company/Press/071204.html (関口 聖)

九州の次世代型に注目 世界の太陽電池が福岡に集合

2007年12月04日 TVQ

次世代エネルギーのひとつ太陽電池を集めた展示会が4日から福岡市で開かれています。

この展示会は3日から始まった太陽光発電国際会議にあわせて開かれたもので国内外の太陽電池メーカー46社が出展しています。 原油高や環境問題などで太陽光発電は次世代のエネルギーとして注目を集めていて会場は世界中の太陽電池研究者でごったがえしました。

特に九州では価格が急騰している多結晶シリコンを使わない次世代型の太陽電池の生産が盛んで曲がる太陽電池を生産している熊本の富士電機システムズや、同じく熊本のホンダソルテック、宮崎の昭和シェルソーラーなどの太陽電池が注目を集めていました。

この展示会は今月6日までです。

次世代型に大きな期待 太陽光発電の国際会議始まる

2007年12月03日 TVQ

次世代エネルギーのひとつ、太陽光発電の国際会議が3日から福岡市で開かれています。

会議には世界中から太陽光発電の研究者およそ1000人が出席しました。 はじめに組織委員長で豊田大学の山口真史教授が「環境問題やエネルギー問題を解決する手段として太陽光発電には大きな期待がよせられている。会議を意義深いものにしてください」と挨拶しました。

九州では、価格が急騰している多結晶シリコンを使わない次世代型太陽電池の生産が盛んになっていて自動車や半導体に次ぐ新たな産業としての期待が高まっています。

会議は6日までで4日からは太陽電池の展示会も開かれます。

太陽電池の最新技術が一堂に、Samsungも発表予定

2007年12月03日 NIKKEI BP NeT

 太陽電池関連技術の国際学会「PVSEC-17(17th International Photovoltaic Science and Engineering Conference)」が、2007年12月3日〜7日まで福岡国際会議場で開催される。学会開催に先立って今回の見所を、薄膜太陽電池の専門家である産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 産業化戦略チーム チーム長の増田淳氏に聞いた。

 PVSEC-17は、八つの分野で構成されている。(1)有機や量子などを含む新材料太陽電池、(2)集光型を含むIII-V族太陽電池、(3)結晶Si太陽電池、(4)薄膜Si太陽電池、(5)化合物薄膜太陽電池、(6)モジュール技術、(7)システム技術、(8)政策・産業・市場・環境対応である。

 増田氏によると、今回は日本で開催されることもあって、主力メーカーが集まっている薄膜太陽電池の発表がやや多い傾向があるという。薄膜太陽電池の最新動向を探るには絶好の機会になりそうである。

 さらに、中国や台湾の研究機関から多数の発表がある。ポスター・セッションでの発表が中心になるようだ。成長著しい中国や台湾の技術レベルを確認するのにも良い機会となっている。

日本は太陽電池生産トップの座を守れるか?

2007年09月28日 NIKKEI BP net

■中国企業などの本格参戦で市場に波乱

 長年にわたり世界のトップを走ってきた日本の太陽光発電ビジネスが揺らいでいる。世界の太陽電池市場が急成長するなか、ドイツ企業や中国企業の猛追を受けてシェアを落とし始めているのだ。累計導入量でも、1997年に米国を抜いて以来8年間守ってきた世界一の座を2005年にドイツに譲るなど、地盤沈下が始まっている。

 地球温暖化問題に対する関心が高まるなか、無尽蔵の太陽エネルギーから得られるクリーンエネルギーとして注目される太陽電池市場は急速に拡大し始めている。世界の太陽電池生産量は2005年には約1727MWに達しており、1996年に245MWにとどまっていた累計導入量も2005年には 3700MWと、10年足らずで約15倍に急増した。こうしたなかで力をつけてきているのが、ドイツの太陽電池専業メーカーのQセルズや日本の太陽電池メーカーMSK(東京・新宿区)を買収したことで注目を集めた中国の専業メーカーのサンテックだ。このほかにも新規参入を窺う企業が多く、シェアが大きく変動する可能性が強まっている。

 実際、ここ1、2年で、市場の様子は大きく変わり始めた。2005年の生産量上位5社は、シャープ、Qセルズ、京セラ、三洋電機、三菱電機の順で、 2位のQセルズを除くと日本企業が世界市場を圧倒していた。ところが2006年には、2位のQセルズのシェアが9.3%から10.1%へと拡大する一方で、1位のシャープは、それまで、ほぼ4分の1を占めていた世界シェアが17.4%に低下した。Qセルズの生産量は、2007年には前年の253.1MW から370MWへと拡大が予想されている。一方、中国のサンテックは2006年に、世界シェアを6.3%と大きく伸ばし、三洋電機、三菱電機を抜いて4位に浮上した。

 こうした背景には、国策として太陽電池導入を進めようと力を入れ始めたドイツや、エネルギー不足に悩む中国の国情がある。

【コラム】屋根に「太陽光発電機」を取り付けてみたら(上)

2007/07/27 朝鮮日報/朝鮮日報JNS ハン・サムヒ論説委員

 今年4月、自宅の屋根に太陽光発電機を取り付けた。マンションから一戸建てに引っ越して2カ月目のことだった。専門の業者に頼んだところ、4月18日に半日かけて出力3キロワットの太陽光発電機を設置してくれた。屋根には日本製の縦124.8センチメートル、横80.3センチメートルのソーラーパネルが24枚張り付けられた。そしてベランダの壁面には太陽光から作られた直流の電気を交流に変えるオーストリア製の変換器(インバーター)が設置された。これはちょうど登山用リュックサックくらいの大きさだ。玄関には従来の消費電力を測定するメーターとは別に、太陽光発電で生産された電気料金を知らせるメーターが取り付けられた。

 太陽光発電機が稼働し始めてからというもの、門の横にある韓国電力のメーターを眺めるのが1つの楽しみとなった。発電量が消費電力を上回る日中には、余った電気が韓国電力の送電線に送られ、メーターが逆行するのだ。通常、午前7時から午後7時まではメーターが逆行する。そのため、5月初めに検針に訪れた韓国電力の担当者は当初、メーターが故障したと思ったそうだ。

 1月末に越してきてから2月、3月の電力消費量はそれぞれ449キロワット、497キロワットだった。電気料金は、2月が9万4290ウォン(約12200円)、3月が11万4290ウォン(約14800円)。それが途中で発電機を取り付けた4月は、301キロワットで4万2500ウォン(約5500円)だった。さらに5月は77キロワット、7680ウォン(990円)にまで減少し、エアコンを使うことのあった6月でも126キロワット、1万450ウォン(約1350円)にとどまった。太陽光のおかげで、月に9万−10万ウォン(約1万1600−約1万2900円)節約できることになる。もちろん冬になれば発電量はやや減少するという。

 一般家庭に設置される太陽光発電機は、1時間あたり2−3キロワットを発電できる。政府はこの値を基準に、1キロワットあたり520万ウォン(約67万円)の設置補助金を支給している。3キロワットの発電機なら、1560万ウォン(約202万ウォン)が支給される。消費者が負担する額は、屋根の形や材質、太陽電池の種類などによって大きく変動する。通常の自己負担額は500万−800万ウォン(約65万−103万円)程度だ。業者の説明によると、5年ほどで投資費用が回収できる計算になるという。また太陽光発電機の寿命は20年以上といわれている。

【コラム】屋根に「太陽光発電機」を取り付けてみたら(下)

2007/07/27 朝鮮日報/朝鮮日報JNS ハン・サムヒ論説委員

 電気料金は累進制となっているため、電力消費の多い家庭ほどメリットは大きい。料金体系は、最初の100キロワットまでは1キロワットあたり55.1ウォン(約7.2円)だが、電力消費に応じて上昇し、500キロワットを超えると1キロワットあたり643.9ウォン(約83円)にまで跳ね上がる。月の電力消費量が700キロワットに達する家庭が300キロワットの太陽光発電機を設置し、400キロワット分の料金を支払うことになれば、どれほど節約できるだろうか。設置前に26万8040ウォン(約3万4700円)だった料金が、なんと7万490ウォン(約9100円)にまで下がる。

 世界で太陽光発電機がもっとも普及している国は日本だ。日本ではこれまで政府が太陽光発電機の設置に際して補助金を支給してきたが、昨年打ち切りとなった。現在は自治体ごとに2万−10万円(約2600−13000円)ほどの補助金が支給されるだけだ。それにもかかわらず、昨年も7万世帯が太陽光発電機を設置した。日本の業者によると、日本での設置費はキロワットあたり60万円だという。3キロワットなら、180万円ということになり、韓国に比べ非常に安価であることが分かる。それは30年間にわたる、技術発展の成果だ。そして日本で太陽光発電がさかんなもう1つの要因は、韓国の2倍に達するほどの電気料金の高さだ。それだけに、太陽光発電のメリットも大きい。

 韓国では今年、8000世帯が太陽光発電を導入すると見込まれている。これは日本とはまだ比較にならない水準だ。しかも太陽電池はほとんどが輸入品だ。従って、韓国の大企業も、この分野に取り組む必要がある。市場が拡大するまでの間は、利益が投資額を下回ってしまうのは確かだ。しかし太陽光発電は世界的に見ても年に35%も成長している有望分野だ。全世界に設置された太陽光発電機の導入量は2000年の729メガワットから、昨年は5805メガワットにまで増加した。取りかかるのが遅くなれば遅くなるほど、外国の技術への依存度が高まるだけだ。政府の補助金で外国製品を取り付けるような状態が長く続くのは好ましくない。政府も企業が思い切って参入できるよう、一貫性のある支援策を提示すべきだ。

韓国の研究チーム、世界最高水準の次世代太陽電池を開発

2007/07/13 朝鮮日報/朝鮮日報JNS イ・ヨンワン記者

 化石燃料に代わる世界最高水準の次世代太陽電池(写真)が韓国で開発された。研究チームは2012年までに性能を2倍程度高めて商用化する計画を発表、これにより国内独自の技術で次世代エネルギー市場を世界に先駆け占有できるものと期待されている。

 光州科学技術院の李光熙(イ・グァンヒ)教授(47)=新素材工学科=の研究チームは12日、「2000年にノーベル化学賞を受賞したカリフォルニア大学サンタバーバラ校のアラン・ヒーガー教授とともに、商用化水準に近い6.5%効率のプラスチック太陽電池を開発した」と発表した。今回の研究結果は、世界的な科学学術誌『サイエンス』13日版に掲載された。

 既存のシリコン半導体太陽電池は電力1ワット当たりの製造単価が2.3ドル(約282円)であり、これは火力発電や水力発電に比べ 3‐10倍程度高い。一方、プラスチック太陽電池はワット当たりの製造単価が0.1ドル(約12円)にすぎず、従来の発電システムをしのぐ。

 イ教授は「商用化のためには太陽エネルギーが電気エネルギーへと転換される効率を最低でも7%とする必要があるが、海外の科学者は5%を超えることができなかった。エネルギーの転換効率を15%まで高め、2012年ごろの商用化を実現するため、現在国内の電子業界と技術協力について協議している」と明かした。

 プラスチック太陽電池は、植物が光合成をするときのように太陽光を受けた高分子物質がプラスの電気粒子 とマイナスの電気粒子を分離して流すことで電気を発生させる。

企業の未来の成長エンジンは環境にやさしい経営

MAY 19, 2007 東亜日報

 中古製品をリサイクルしたり環境にやさしい製品を開発したりて環境保護に役立てる一方で利益も上げる「市場親和的な環境経営」が脚光を浴びている。各企業が「環境を考える企業」というイメージ広報のレベルを超えて、環境を利益創出の原動力に据えているわけだ。

 専門家らは、「遠くない将来に環境にやさしい製品のみが消費者に選ばれる時代がやってくるだろう」とし、「今から備えておかなければ新しい市場環境で淘汰されかねない」と警告している。

 従来の環境関連製品は消費者が選択するには高すぎたり使いにくかったりした。例えば、「クリーンエネルギー」と呼ばれる水素を燃料にする自動車は、価格が高いうえ水素充電所もあまりなく、普及が遅かった。

 しかし、ここ数年で消費者の環境製品に対する好感度が高まり、企業はこれまで蓄積してきた環境を考える技術を活用して収益性を確保できる環境にやさしい製品を生産し始めた。トヨタの燃料低減型ハイブリッド自動車が代表的な例だ。

 米GEは05年、「エコメジネーション」という計画を打ち出し、環境産業で2010年までに200億ドル以上の売り上げを上げると宣言した。同社の環境事業分野は、太陽熱機関車と公害の排出を減らした航空機エンジン、エネルギー効率を高めた電球の開発などだ。

 GEはこの計画を通じて、既に昨年風力発電機、太陽光線を利用した光電池、水素エネルギーなど環境関連事業で101億ドルの売り上げを記録した。

 中古製品のリサイクルも環境と収益の同時追及を可能にしている。LG電子は韓国、欧州、北米や日本などで寿命が切れた家電製品を回収してリサイクルしている。このように回収された家電製品の部品リサイクル率は60〜70%に上る。

 三星(サムスン)電子、HP、デル、ノキアなどの電子メーカーは、消費者から回収した使い切れの家電製品をリサイクルして新しい製品の生産に使うことで、コストを減らしている。

 最近ではゴミも新しい価値を創り出す商品になった。韓国の埋立地再処理会社のポスベルは、埋立地のゴミを掘り出して、土は地に返しゴミだけを分離する。このように選別されたゴミの中で、木材、ビニールなどは発電用の燃料に再活用され、鉄と骨材は建築資材に再活用される。ゴミが消えた埋立地は住宅用地か新しい埋立地に活用されるため、新しい付加価値を生む。

 大韓商工会議所持続可能経営院のチェ・グァンニム・チーム長は、「以前は製造と販売、サービスが企業の利潤を残せる『価値のサイクル』のすべてだったが、今はこのサイクルが製造―販売―サービス―回収―リサイクルに拡大した」として、「この新しいサイクルから価値を創り出す企業が未来に競争力を持つ」と述べた。

 環境を考える技術が最も脚光を浴びる分野は代替エネルギー産業だ。国内ではLG―CNSと現代(ヒョンデ)重工業、イゴンチャンホなどの企業が最近、太陽光発電分野に進出したり投資を増やしたりした。ウソンネクスティアは風力発電機メーカーのコーウィンテックを買収して風力発電分野を新しい成長エンジンに据えると、最近発表している。

 エネルギーの消費量は急速に増えており、「安いエネルギー」が切実な中国企業も本腰を入れている。中国の代表的な太陽光電池メーカーのソンテックパワーは、2001年設立されてから6年間で世界10大太陽光電池メーカーに成長したほどだ。

 韓国科学技術研究院(KIST)の金ホンゴン・クリーンエネルギーセンター長は、「水素エネルギーを利用した燃料電池は値段が安くて充電も簡単で、太陽光電池は電気代の負担がほとんどない」とし、「このような技術が早いスピードで商用化されているため、企業の投資は引き続き拡大するだろう」と述べた。

 環境と高収益といった二兎を得る環境技術が登場していることで、この分野に対する投資家の関心も高まっている。

 昨年末、米シリコンバレーでは、「ジョン・ドアが環境技術に投資した」というニュースが話題になった。ドアはアマゾンやグーグルなどに投資して10億ドル以上の財産を取得した有名なベンチャー投資家で、同氏が1億ドルを環境技術に投資すると発表したからだ。米国で技術変化の収益性を計算するのに最も敏感なベンチャーキャピタルが動き出したわけだ。これは環境技術の未来が明るいという証拠だ。

 国家清浄生産支援センターの金ジンホ選任研究員は、「一般消費者はまだ環境問題を企業の社会的責任だと考える傾向が強いが、企業は収益事業として捉えている。最近になって、環境技術を先取りした企業が政府や国際社会に環境関連規制を要求しながら、自分たちの利益を増やすために努力している傾向が目立つ」と説明した。

 このように変化速度がだんだん速くなっていることを受け、環境にやさしい製品に対する楽観的な見解が増えている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書の著者であるウィリアム・ムーモ米タフツ大学教授は、「1905年にはわずか3%の所帯にのみ電気が供給されたように、今もわずか3%の所帯だけが代替エネルギーを使っている」とし、「しかし1905年には誰も電気の速い普及を予測できなかったように、代替エネルギーのような技術もさらに速く普及するだろう」と展望した。

三菱重工、太陽光発電設備を全事業所へ導入

2007/05/17 IB Times

 16日、三菱重工業は、CO2排出量削減対策の一環として、今年度末までに太陽光発電設備を全事業所へ導入すると発表した。

 発電出力720kW分の設備を今秋以降順次、未導入の全事業所と一部既設事業所へ導入し、今年度末までに、既に導入済みの事業所分も含めた太陽光発電の全社総導入量を1090kWとする予定。

 今回太陽光発電設備を導入するのは、これまで未設置だった冷熱事業本部(愛知県清須市)、紙・印刷機械事業部(広島県三原市)、工作機械事業部(滋賀県栗東市)、名古屋航空宇宙システム製作所(愛知県名古屋市)、名古屋誘導推進システム製作所(愛知県小牧市)の5事業所と、既設分に追加導入する長崎造船所諫早工場(長崎県諌早市)、神戸造船所(兵庫県神戸市)、下関造船所(山口県下関市)及び広島製作所(広島県広島市)の4事業所で、これによるCO2排出削減量は、年間約225トン、既設分も含めると同約340トンとなり、東京ドーム約50個分の森林植林によるCO2吸収と同等の効果が得られるとしている。

韓国で太陽光発電施設建設ラッシュ(上)

2007/05/17 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 方聖秀(パン・ソンス)記者

 太陽光発電事業が注目されている。建設・化学・情報技術(IT)・重工業など業種に関係なく、太陽光発電所の建設や関連分野への参入が相次いでいる。国際原油価格の高騰や気候協約などに伴う二酸化炭素の排出抑制や環境に優しい産業への関心が大きく高まっているためだ。さらにここ最近費用も安くなり、今後30%以上の成長も見込まれている。

◆これまでの10倍以上の施設が建設中 

 産業資源部は「3月現在、全国で建設許可を受けて建設中か事業を推進している太陽光発電設備は261件、発電容量は121メガワットに達する」と発表した。通常1メガワットで440世帯が使用できることから、これは5万世帯が使用できる容量だ。昨年末時点で運用されていた太陽光発電設備は69カ所、発電容量は11メガワット(1万5000戸使用分)であることから、現在は完成した施設の10倍以上の規模の施設が建設中ということになる。産業資源部は「2010年までに太陽光発電で10万世帯に電気を供給することを目標としている」と明らかにしている。

◆太陽光発電施設建設ラッシュ 

 ポスコ建設は今年エネルギー事業本部を発足させ、3メガワットの太陽光発電所事業に進出する。昨年2月末には韓国ソラパークから全羅南道霊光太陽光発電所の建設事業を受注し投資もした。システム統合(SI)企業のLG・CNSは最近、慶尚北道聞慶市に単一施設としてはアジア最大の1634キロワットクラスの太陽光発電所を完成させ、また全羅南道新安郡と10メガワットクラスの太陽光発電所建設に合意し、投資覚書(MOU)を交換した。LG・CNSは840億ウォン(約110億円)を投じた新安発電所が完成すれば、年間102億ウォン(約13億円)の売り上げを見込めると期待している。熊津グループは熊津エネルギー、STXグループはSTXエンジンなどを通じて太陽光発電事業に参入している。東洋建設産業も最近1500億ウォン(約196億円)を投じ、全羅南道新安郡の20万坪の敷地に世界最大規模の太陽光発電地域を建設することにした。

韓国で太陽光発電施設建設ラッシュ(下)

2007/05/17 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 方聖秀(パン・ソンス)記者

◆太陽光発電設備の部品産業も好況

 現代重工業は蔚山で30メガワットクラスの太陽光モジュール生産工場を運営しており、太陽光発電で世界5位以内に入ることを目標としている。昨年スペインと太陽光モジュール6000万ドル(約72億円)の輸出契約を締結するなど、技術力も認められている。東洋製鉄化学は2013年までに1兆5000億ウォン(約1957億円)を投じて群山にポリシリコン生産工場を増設する。ポリシリコン生産企業のKPEは現在35メガワットの設備を持っているが、60メガワットの設備を追加で建設している。イゴンチャンホは壁面・バルコニーなど建物外部に太陽光発電装置を設置し、建物自体で発電・消費するシステム開発に乗り出した。

 1970年代まで、太陽光発電は1ワットの生産コストが70ドル(約8500円)にまで達した。しかし2000年以降はコストが3ドル(約360円)にまで下落するなど、技術開発と普及速度が速まっている。あるエネルギー専門家は「中国や中東地域で太陽光発電の普及が本格化すれば、世界の市場は想像できないほど拡大する」と述べた。太陽電池分野だけでも、10年までに現在のメモリー半導体市場と同じ規模になると予想されている。

■キーワード:太陽光発電

 太陽エネルギーを利用して電気エネルギーを生産する発電方式。基本原理は、シリコン素子からなる半導体の一種である太陽電池に光を集めて電気を発生させるというもの。太陽電池に太陽光を当てれば電流が流れる光起電力効果(photovoltaic effect)により起電力が生じ、外部に接続された装置に電流が流れる。

鏡600枚で6000世帯!スペインのソーラー発電塔

2007/05/16 GIZMODO

無錫尚徳太陽能電力、上海で太陽電池製造基地の定礎式

2007/05/15 IBTimes

 無錫尚徳太陽能電力有限公司が建設する尚徳電力上海太陽電池製造基地の定礎式がこのほど、上海漕河開発区浦江ハイテクパークで行われた。

 同製造基地の敷地面積は200ムー(約13.33ヘクタール)、投資総額は約3億元で、シリコン薄膜太陽電池などのハイテク製品の研究開発と生産が行われる。第1段階として、来年半ばに生産能力60メガワットの第1生産ラインを稼働させる。その後、2010年までには生産能力を400メガワットにまで拡大させていく予定。

 同社は、上場している世界の太陽光発電メーカーのうち、市場価値が最も高い企業。同社の太陽光発電製品は全て独自の知的財産権を有する。このうち、主要製品である高効率太陽電池の製造技術は世界をリード。今年末までの生産高は300メガワット、生産能力は500メガワットを超える見通しで、世界第2位にランクアップするものと予想される。(日中経済通信)

NECトーキン、マンガン・ラミネート電池事業を本格展開へ

2007年05月14日 (日刊工業新聞社)asahi.com

 NECトーキンは08年3月期から電力貯蔵向けのマンガン・ラミネート電池事業を本格化する。成長が期待される風力発電や太陽光発電用の電池市場の開拓が狙い。風力や太陽光の発電関連システムメーカーなどと提携して電池を開発し、量産化する。

 08年3月期の電池事業の設備投資は前年度より多少抑えるが、市場の盛り上がり次第で上積みする。自動車分野では日産自動車とNECグループで共同開発を進め、09年の量産化を目指す。

 08年3月期業績は、上期に海外携帯電話メーカー向けの需要が調整局面に入るため伸び悩みを予想。ただ、タンタルコンデンサーなど新製品の投入拡大などで増収を確保する。売り上げ増や合理化努力によって当期損益の黒字化を目指す。

住友倉庫、物流施設で太陽光発電──大阪・南港に08年完成、CO2を200トン削減

2007年05月08日 NIKKEI NeT

 住友倉庫は大阪・南港に建設する物流施設に太陽光パネルを設置する。発電容量は300キロワットで、国内の物流施設としては最大規模。太陽光発電で施設の消費電力の10%を賄う計画だ。地球温暖化防止策の一環として二酸化炭素(CO2)の排出量を削減し、環境負荷の低減を目指す。

 太陽光発電システムを導入するのは、2008年5月に完成予定のミズノ向け物流施設。屋上に1枚約1.2平方メートルの太陽光パネルを約1600枚取り付ける。年間予測発電量は約30万キロワット時で、個人住宅換算で37軒分に相当するという。削減できるCO2量は年間約200トンの見込み。

 施設が稼働しない週末などに発電した電力は関西電力に売る。併設する倉庫の屋上部分(1400平方メートル)を緑化し断熱性も高める。

 住友倉庫は国土交通省などが主導し建物の環境性能を5段階で評価する「建築物総合環境性能評価システム(CASBEE)」の上位ランクを取得する方針。今後建設する物流施設についても取得を検討し、環境配慮をアピールする。

普及高まる関心、太陽光発電システム

2007年05月05日 釧路新聞

 北海道電力釧路支店は住宅用太陽光発電システムの普及促進を図っているが4月末現在、同支店管轄地域での一般住宅などの太陽光発電システムによる余剰電力購入契約が200件に達した。市民の環境問題に対する関心の高まりなどが背景にあるが、釧路市で2004年から3年間実施した「住宅用太陽光発電システム普及促進制度」も環境保全意識の浸透、太陽光発電システム普及拡大をけん引した。

次世代エネルギーパーク 県、HTBで整備構想

2007年05月04日 長崎新聞

 国が推進する「次世代エネルギーパーク」として、県が佐世保市のハウステンボス(HTB)を整備する構想をまとめたことが三日、分かった。構想では、HTBの施設や県内の資源、技術などを活用、太陽光発電や電気自動車などを体感してもらい、韓国などアジアにも開かれた施設を目指すとしている。

 次世代エネルギーパークは、原油高騰でエネルギー情勢が厳しさを増す中、太陽光や風力など次世代エネルギーに国民の理解を深めてもらい、エネルギー政策の推進につなげる施設。

 経済産業省は昨年度、同パークの整備を希望する自治体のプランづくりを支援。本県では、県産炭地域振興財団が実施した可能性調査が支援対象となった。さらに県内で候補地を探る中でHTBが浮上した。

 本県の「長崎次世代エネルギーパーク」(仮称)構想では、太陽光発電と風力発電、電気自動車の活用などを柱とする。HTB内の施設の屋根などに、大規模な太陽光発電パネルを設置する。

 また、長崎らしさを演出する「海」をキーワードに、HTBの運河船の動力に太陽光やメタノール燃料を使用。太陽光発電のソーラーボートも走らせるほか、三菱自動車(東京)が開発中の電気自動車を業務車両として使用する計画もある。

 HTBは韓国など海外客が多いのも特徴。集客ノウハウを活用することでアジア諸国と交流し、次世代エネルギーの見学客を国内外から幅広く受け入れる方針。HTB全体の入場者数の増加にもつなげることができるメリットも候補地とした判断材料とみられる。

 国は最終的に全国で十カ所程度の整備を目指すが、昨年度のプランづくり支援を受けたのも約十自治体だったという。整備の条件として▽地域の特色を生かした創意工夫がある▽複数の種類の新エネルギー設備の見学が可能−などが挙げられている。九州では複数の自治体が構想策定を進めているという。本年度以降、国が整備先を選択する見通し。

アメリカにみる太陽光エネルギーへの振興政策(石戸 太氏)

2007/04/23 NIKKEI NeT

 ドイツ、日本、米国の3国が世界市場の88%を独占している太陽エネルギー市場において、ドイツ、日本に大きく水を開けられた米国は市場奪回を目指し様々な振興政策を打ち出している。

 地球温暖化ガスの排出量削減、自国におけるエネルギー自給力の確保と云った背景から再生可能エネルギーへの関心が急速に高まっている。1995年から2004年までの10年間、世界の太陽光エネルギー生成量は年率平均32%の伸びを示しており、特に2004年は前年比45%といった際立った数字を示している。アメリカにおけるエネルギー消費量は1993年以降上昇傾向を示し、特に2007年以降から著しい消費増加が見込まれている。

 エネルギー消費量を燃料別に捉える場合、石炭を原料としたエネルギー依存は2005年を境に全エネルギー消費量とほぼ並行する傾斜で拡大傾向を示している。天然ガス、原子力は2016年から2019年を境に消費量の伸びは上限に達し、微量ではあるが2029年までの見込みはほぼ同一か、若しくは微量に減少傾向を示す。石炭の伸びと比較するとその傾向カーブは小さいが、水素を除く代替えエネルギーの消費量は、2029年に向け安定した伸びを示すものと予測されている。

 太陽光エネルギー、バイオマス、風力、燃料電池などといったクリーン?エネルギー世界市場は2015年までに4倍以上に拡大し、1,672億ドル規模に拡大し、太陽光エネルギーは全体の30%を占めるものと見込まれている。

 一方において、アメリカの太陽光発電セル製造市場占有率は、世界市場全体の8.75%に留まっているといった厳しい数字が示されている。2029年に向け拡大するアメリカのエネルギー消費、微量ではあるが代替えエネルギーによる供給増が見込まれているが、実情は日本と欧州に大きく遅れをとっている。この状況を打破すべく、米エネルギー工業界は「太陽光エネルギー産業ロードマップ」を打ち出している。このロードマップは、2004年9月にDOE Energy, Office of Energy Efficiency and Renewable Energy, Solar Energy Technologies Program の協力の下にPV、インバータ、システム、機器、材料などの製造メーカに加え、電力事業者、大学、太陽光エネルギーの開発、ポリシー策定者などが参加し、作成されたものであり、「2030年を目標にアメリカにおける太陽光エネルギーの競争力、市場、供給源を確立し、2025年迄にアメリカの新しい電力生成量の50%以上を太陽光エネルギーから生成する」といった目標を立てている。

 この目標数値を達成すべく着手されているプログラムに、「ソーラー・アメリカ・イニシアティブ」がある。このイニシアティブを通じ「2015年までに産官学、国立研究所、州、その他の公共機関との連携を図り太陽光エネルギーの市場競争力を確立し、集中型集熱システムに関する既存の研究、新たな研究を継続することにより2020年までに集中型集熱システムの市場競争力を構築する」といった振興政策を打ち出している。

 また、DOEは全米50州への働きかけ、並びに電力事業者を対象とした促進活動をおこなっている。 “State and Utility Solar Technical Outreach”と呼ぶ取り組みは、州レベルで成功した事例をより多くの州に普及すべく、DOEが仲介役を務め州ごとに異なる個別の課題に対し、全体を把握しているといった立場にあるDOEが支援を提供する事により、米エネルギー工業界の掲げる目標を達成しようとするプログラムである。

 再生可能エネルギーやエネルギー効率に関する研究を行なう国立研究所としてアメリカの研究所の中でも主幹的な立場にある米国立再生可能エネルギー研究所が中心となり200億円相当の予算規模で推進されている振興プログラム、日本の「エネルギー・イノベーション計画」の予算と比べる場合遥かに少額ではあるが、2015年を目指したイニシアティブは着手されたばかりである。

◆石戸 太(いしど・とおる)氏◆

 ディト株式会社(本社サンフランシスコ市)President & CEO。1984年よりシリコンバレーを拠点に半導体を中心としたビジネス(製造、販売)を手がけるとともに、インテル社との間で0.13um向け装置共同開発を5年間行なう。現在, セキュリティーに特化したネットワーク・コンサルティング、システム開発、米国製品の日本市場向けローカリゼーション、日米企業間の業務提携、共同開発を中心に活動を行っている。昨年、フォーチュン・トップ100米国企業と日本企業との業務提携をまとめた。http://www.dittoinc.comを参照。

積水化学、既設住宅に太陽光発電システム1万棟達成

2007-4-23 住宅ニュース

 積水化学工業・住宅カンパニーは、既設住宅への太陽光発電システムの搭載件数が3月末で累積1万棟を超えたと発表した。

 既設住宅1万棟への搭載は、住宅会社では初めてという。

 同社は、新築住宅では、現在、50%以上に太陽光発電システムを搭載、3月末までで新築累積で4万7000棟を突破していた。

太陽光発電所を宇宙に!(上) 〜世界のトップを走る日本の宇宙発電計画〜

2007年04月23日 Livedoor News

【PJ 2007年04月23日】− ここ数年、太陽電池の価格が安くなってきたこともあって、住宅の屋根やビルの屋上に太陽電池パネルが設置されることが多くなった。使用しない余剰電力を電力会社が買い取る制度を始めたことも普及を後押ししている。ただ、天気が悪いと発電量は小さく、悪天候が続くと見込みどおりの収入が得られないこともあるようだ。

 独立行政法人・宇宙航空研究開発機構(JAXA)が研究を進めている技術の一つに、「宇宙太陽光利用システム(SSPS)」がある。SSPSは、宇宙空間に作った太陽光発電所から、地上あるいは海上の基地に送電して、電気や水素を作り出して利用するシステムだ。このシステムでは、太陽電池を地上約36000 kmの静止軌道上に設置するため、太陽の陰に隠れる数時間を除いて、確実に発電することができる。

 ただ、実用化にはまだいくつかの課題が残されている。ひとつは、巨大な太陽光発電所を宇宙空間に建設するコストだ。現在のH-IIAロケットは、一回の打ち上げで8トン程度の衛星を運ぶことができるが、一回の打ち上げに100億円前後の費用がかかってしまうため、数万トンと見込まれる発電所建設に使う資材を運ぶコストだけでも莫大な金額になってしまう。

 もうひとつの大きな課題は、宇宙で生み出された電気を、効率よく地上に伝送するシステムの開発だ。現在検討されているのは、電力をレーザー光やマイクロ波に変換して地上に伝送する方法である。しかし、地球一周に匹敵する36000 kmもの長い距離を伝送する技術は、誰も試みたことがない未知の技術だ。

 欧米でもSSPSの研究は進められてきたが、JAXAの技術は世界をリードしている。特に伝送技術では、世界で初めて実証実験を行うなど、その成果に世界中の注目が集まっている。

 SSPSの現状と将来について、JAXAでのSSPS研究を統括するJAXA・高度ミッション研究センターの森雅裕・センター長にお話をうかがった。

 −宇宙に太陽光発電所を設置するSSPSのアイデアは1968年にアメリカのクレイザー博士が提案されました。その後のオイルショックを契機に、1977年からアメリカ航空宇宙局(NASA)とアメリカエネルギー省(DoE)が、SSPSの利用を検討し始めました。1990年代初めには、JAXA(当時の宇宙開発事業団)が研究を開始されましたが、研究を始めることになった当時の背景を教えてください。

 「SSPSの研究を開始した理由は、経済的な宇宙開発事業の一つとして有望であると考えたからです。折しもアメリカからはスーパー301条の適用で実用衛星調達の門戸開放を迫られておりました。宇宙での活動を経済的なものに衣替えするには、使い捨て型輸送系つまり既存のロケットを使っている限りは限界があり、再使用型輸送系に変える必要があります」

 「現在、全世界で一年間に80回の衛星打ち上げが行われています。このうち、官需と軍需でその8割に達しており、純粋の民間利用はたったの2割しかありません。2割に当たる約16機の人工衛星を、世界の6社が打ち上げているわけですが、日本の打ち上げ会社がこれに参入して量産効果を生むだけの数を受注することは不可能に近いのが現状です」

 「さらに世界の打ち上げを全て受注したとしても、使い捨て型のロケットでは限界があり、打ち上げにかかる費用は安くなりません。もし、再使用可能な打ち上げ機を使ったとしても、従来の衛星を運ぶだけでは安くならず、大量に宇宙と地上の間を往復させる必要のある新規ミッションを創出する必要があります。この大量輸送が必要なミッションとして白羽の矢が立ったのは費用対効果が大きく社会還元性の高いSSPSでした」

 「アメリカで進められていたSSPS研究が、1980年に中断したことがあります。これは、技術的な問題ではなく、建設コストや発電コストが高いことが理由でした。現在、JAXAの試算では1 kWhあたりのコストは20円にまで下がってます。NASAの試算でも16セントとなっています。これは、20〜30年間の技術革新によるものです。これであれば、これから30年後には10円以下にまでコストが下がり、経済的な面からも現実的な価格になっていくのではないかと考えており、研究を加速しています」

太陽光発電所を宇宙に!(中) 〜実用可能な発電コストは?〜

2007年04月24日 Livedoor News

【PJ 2007年04月24日】− (上)からのつづき。

 −欧米でのSSPS研究はJAXAより早く始められましたが、実証研究を行ったのはJAXAが世界で初めてで、欧米の研究チームを追い越しました。後発だったJAXAでのSSPS研究が、世界のトップにまでたどり着いたのはなぜでしょうか。

 「JAXAのSSPS予算はNASAの十分の一ですが、継続は力なりということです。1990年台初頭から、組織的に、中断することなく研究開発を継続しているのはJAXAの我々のチームぐらいです」

 「先ほどお話ししましたように、経済的に実用化の可能性が見えているのはNASAとJAXAだけなのですが、実用可能だという試算結果を見て、2つの機関の研究者のモチベーションは一気に高まりました。しかし、アメリカではブッシュ大統領が"宇宙でもエネルギーは原子力"という政策を打ち出し、SSPS関係の研究者はNASAから追い出されてしまいました」

 「日本では、2003年10月に閣議決定された「エネルギー基本計画」の中で、宇宙太陽光利用の研究は"長期的視野に立って研究する必要のある課題"として、国際熱核融合実験炉(ITER)とともに取り上げられたことが、SSPS研究の追い風になっています。ちなみに自民党には「宇宙エネルギー利用推進議員連盟」が出来ており、会長には甘利明・経済産業大臣、加納時男・自民党政調副会長が就任されています」

 −SSPSシステムは、宇宙での太陽光発電、電力の電磁波(マイクロ波、レーザー)変換、地上へのエネルギー移動、電磁波からの発電あるいは水素合成技術から構成されていると理解しておりますが、実現が難しい技術的課題は残されているのでしょうか。

 「SSPSを実現するための技術的な課題はほぼクリアしています。実現できるかどうかは予算次第です。安全評価などについては、経済産業省の無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)と業務分担をして研究を進めています」

 −SSPSの効率を高めるためには、太陽電池の発電効率や伝送効率などの効率を高める必要がありますが、現状では、どの程度の効率が得られているのでしょうか。

 「SSPSの効率は、地上にエネルギーを伝送する媒体として、レーザー光を使うか、マイクロ波を使うかで変わってきます」

 「マイクロ波の場合は、集光効率90%、太陽電池での発電効率が19%、マイクロ波発振管の効率が70%、伝送効率(大気透過率)98%、マイクロ波を再び電気に変換する効率が60%、商用電力ネットワークに電気を送る際の接続効率が95%です。システムの総効率は現状6.2%で、将来8.2%を目指しております。レーザー光の場合は、レーザー光の発振効率が25%、レーザー光を再び電気に変換する効率が50%で、総効率は現状10.5%で、将来は16.3%を目指しています」

 「宇宙空間に設置した太陽電池では、地上の太陽電池に比べて5〜10倍の電力を作り出すことができます。これは、宇宙では天候に左右されず、長時間発電できるからです」

 −SSPSは、さまざまな科学技術を結集して初めて実現するシステムだと思いますが、各要素技術についての研究はどのように進められているのでしょうか。

 「たとえば、水素を作り出す方法には電気分解や、光触媒による人工光合成などがありますが、人工光合成の効率は低く、新たな光触媒の開発が求められています。このような技術の開発では、東北大学など外部の研究者との密接な連携が重要だと考えています。JAXAの内部に閉じこもった研究開発をするのではなく、全日本的体制で取り組む必要があると強く感じています」

 −先ほど、コストのお話がありましたが、JAXAでは具体的にどのぐらいのコストを目標としているのでしょうか。

 「JAXAでは、目標コストを一キロワット時あたり8円としています。この目標を達成するため、関連する全ての技術課題について平行させて取り組んでいます。目標コストを実現するためには、SSPSのエネルギー効率も重要ですし、打ち上げのコストを下げるためには、宇宙の発電設備の重量も重要になります。効率を犠牲にしても、重量を軽くする方が得策な場合もあります」

 「したがって、我々が究極の目標としている8円のコストを達成するためには、コストを決める様々な因子を注意深く分析し、効率よくコスト削減のための研究投資をしていく必要があります」

 −SSPSの構築には、ロケット打ち上げ費用などを含めて、多額の費用がかかると思います。どの程度の費用がかかるとお考えでしょうか。

 「このシステムは全て循環再使用型システムとして設計されてきました。真新しいものをすぐ捨ててしまうロケットではなく、飛行機のように何回も使える経済的な再使用型輸送機をベースに考えていますし、SSPSが壊れたらロボットで修復して、再利用を図るように運用設計されています」

 「開発費は20年〜30年間で8000億円、初号基の製造運用費は1.2兆円です。発電コストが8円となり、20円で電力を売れるようになれば、メンテナンスに3%程度の費用がかかっても、運用開始から約30年で建設運用費を償還できる計算になっています」

太陽熱温水器のガラス板落下 京セラが無償修理へ

2007/02/05 中国新聞ニュース

 京セラは五日、屋根に取り付けて太陽熱で水を温める太陽熱温水器の一部で、ガラス板が落下する事故が八件発生したため、対象の約四千九百台の無償点検、修理を実施する、と発表した。

 二○○二年に最初の落下事故を把握していながら、今回の公表になったことで、対応の遅れが厳しく問われそうだ。

 京セラによると、事故は松山市や熊本市などで起き、けが人はなかった。愛媛県西予市ではガラスが隣家の物置に当たるなど物損が二件あった。

 点検、修理の対象は、主に西日本の二十八都府県で販売した温水器「H−220」。一九九一−九六年十月に大阪市の排気筒製造会社からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けて販売していた。九六年十一月以降に生産した「H−220」に問題はないという。

 ガラス板下部にある集熱部分に雨水がたまって、留め具が腐食し、ガラスを押さえている金属が外れて落ちるという。ガラス板は、縦約一・五メートル、横約一メートル、重さ約十一キロで、温水器には二枚セットで付いている。問い合わせは、フリーコール(0120)924622。

 ○二年の事故を受け、○三年以降、販売先が特定できた約六百台を点検。しかし落下の可能性が低いと判断し、公表していなかった。京セラは「当時の対応が甘かった」(広報担当者)と陳謝している。

太陽光発電を優遇 経産省、新エネルギー利用で新目標値

2007/01/29 The Sankei Shimbun WEB-site

 経済産業省は29日、電力会社に風力や太陽光などの新エネルギー利用を一定量以上義務づけたRPS法(新エネルギー利用法)の新目標をまとめた。太陽光利用の発電量を実際の発電量の2倍にカウントする特例措置を導入するなどして新エネを促進。新エネの割合を平成22年度目標の122億キロワット時(電力販売総量の1・35%)から、26年度には160億キロワット時(1・63%)へ引き上げることも決めた。

 15年に導入されたRPS法は、4年ごとの目標量見直しを定めており、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会(経産相の諮問機関)の小委員会が同日、答申案の骨子をまとめた。

 新たな施策として、新目標期間(23年度から4年間)の太陽光発電量をRPS法上、実際の発電量の2倍とみなす。太陽光発電は1キロワット時あたり約46円とコストが高い。22年度には技術革新により約23円にまで引き下がる見込みだが、それでも新エネの主力である風力発電(11〜14円)の2倍程度のコストがかかることから、特例措置による優遇を決めた。

 委員会では、電力会社側から「数値は厳しく、コスト負担は業界として容認できない」との声が強く上がっていた。このため、骨子案は「技術革新や政府の追加対策などによるコスト低減効果を考慮」すべきと言及。太陽光発電以外でも、税制など新エネ普及政策のさらなる必要性を指摘する内容となった。

太陽光利用“点から面”へ 環境省、大口への助成で設置促進

2006/11/25 FujiSankei Business i.

 環境省が二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するために、「ソーラー大作戦」として2006年度からスタートした太陽エネルギーの普及事業が、相次いで具体化し始めている。地球温暖化防止に向け、先進国が温室効果ガスの排出削減を取り決めた京都議定書に基づき、日本も“省CO2化”を急ピッチで推し進めなければならない状況。そこで環境省が着目したのが、技術力で世界をリードする太陽光発電などの面的展開。これに民間企業が呼応した形だ。

 環境省が新規事業として今年度から始めたのは、「街区まるごとCO220%削減事業」や「ソーラー・マイレージクラブ事業」「メガワットソーラー共同利用モデル事業」。このほか風力なども含めた「再生可能エネルギー高度導入モデル事業」(継続事業)などもある。

 一定の要件を満たした民間プロジェクトに、費用の一部を助成するスキーム自体は従来と変わらない。だが、助成の要件に「面」を課した。

 これまで太陽光発電がらみの助成は、一般家庭が太陽光発電設備を導入した場合に、経済産業省が補助金を出すケースが代表例。これに対して今回は、地域ぐるみでのまとまった住宅建設など、大規模プロジェクトが対象。「点から面」に広げることで、太陽光発電などの普及に弾みをつけるのが狙いだ。

 「街区まるごとCO220%削減事業」で、助成先に決定したのは、大和ハウス工業が埼玉県越谷市で計画している太陽熱利用の集合住宅建設と、新日鉄都市開発などが北九州・八幡東田地区で進める新エネルギーを活用したCO2対策の2事業。この事業では太陽エネルギーを利用して街区全体のCO2排出量を20%以上(標準的街区との比較)削減できれば、対象となる設備工事費などに最高2分の1の助成が得られる。

 大和ハウスは06年から3カ年計画で、越谷市の越谷レイクタウン内に省エネ性に優れた集合住宅を建設。併せて住宅向けでは日本最大規模の「太陽熱給湯・暖房システム」を地域全体で導入し、CO2排出量を20%以上削減するという。

 一方、新日鉄都市開発が地元の特定非営利活動(NPO)法人と協力して開始したのは「北九州八幡東田グリーンビレッジ・東田アーバンレジデンス」の建設。この建設プロジェクトでは、やはり高断熱住宅の整備や省エネ機器の導入とともに、太陽光をはじめとした再生可能エネルギー、さらには天然ガスコージェネレーション(熱電併給)システムなどを有効活用し、地域全体でCO2排出量を大幅に削減する。

 地域のまとまった戸数の住宅が太陽光発電設備を設置した場合に、発電実績に応じて助成金を出す「ソーラー・マイレージクラブ事業」も、助成先が月内に決定。マイレージのポイントをためる感覚で自家発電する、わが国初の試みがスタートする。

 また、環境省が経済産業省と進める「再生可能エネルギー高度導入CO2削減モデル事業」の地域もこのほど決定した。

 この事業は、一定の地域に太陽光などの再生可能エネルギーを集中的に導入する自治体を支援するもので、今年度は千葉県鴨川市と群馬県草津町が選定された。

 房総半島の南に位置し、太平洋に面する鴨川市では、1500キロワットの風力発電機3基と、3カ所で合計50キロワットの太陽光発電設備を設置する計画。これによって計画区域の年間CO2排出量(4万1304トン)を15%削減できる見通し。

 また、日本有数の温泉地として知られる草津町では、1000キロワットの地熱発電装置を温泉供給基地の近くに設置。このほか温泉熱を利用する4台のヒートポンプ、出力50キロワットの太陽光発電設備も設ける。計画地域のCO2排出量は年間5万180トンだが、これらが稼働すれば14・1%を削減できるという。

 鴨川市と草津町は、認定の要件である(1)計画対象区域のCO2排出量を10%以上削減できる(2)複数の種類の再生可能エネルギーを導入する(3)地域の特性を生かす−などをクリアした。

 日本はCO2など温室効果ガス排出量を90年比6%削減する義務を達成するために、10年までに482万キロワットの太陽光発電を導入する目標を掲げる。しかし、04年までの実績は113万2000キロワットにとどまる。単純計算で年間60万キロワットの発電設備を導入していく必要がある。新エネルギー事情に詳しい専門家は「経済的に見合えば、地域が一体となった自発的取り組みも増える。支援などの制度的枠組みをどう充実していけるかが今後のポイント」と話している。

日本が最大の排出枠購入国 世界の温暖化ガス市場

2006/05/13 中国新聞ニュース

 世界銀行は十二日までに、世界の温暖化ガスの排出量取引市場で二○○五年一月−○六年三月の期間、日本が全体の排出枠の38%を購入し、最大の買い手になったことを明らかにした。15%を購入した二位の英国に大差をつけた。

 世銀は、日本の民間部門の安定した需要に加え、日本政府が今後、発展途上国での排出削減分枠の購入を計画していると、日本の取り組みを評価している。

 排出枠購入の順位は三位イタリア(11%)、四位オランダ(8%)、五位スペイン(5%)の順。最大の売り手は中国で全体の66%、二位はブラジルで10%。

 世銀によると、同期間に設定された排出枠の合計は、二酸化炭素換算で推計四億五千三百五十万トン。排出量取引市場は○五年通年の取引総額が百億ドル(約一兆一千億円)を超え、○六年一−三月期だけで既に約七十五億ドルに達し、急成長している。

太陽光で「エネループ」充電 三洋が11月に装置発売

2006/10/31 The Sankei Shimbun

 三洋電機は、充電池「エネループ」シリーズで、太陽光で充電できるソーラー充電器セットを11月21日から発売する。店頭価格は2万円前後の見込みで、当初は受注生産する。

 太陽電池であらかじめつくった電気を装置内の別の充電池に貯蔵しておくことで、天候に左右されずにエネループを充電できるという。充電時間は単三形が1〜2本で約2時間半。セットには単三形の充電池4本が付いている。

 また、充電して約500回繰り返し使えるカイロ「エネループカイロ」も12月1日に売り出す。店頭価格は4000円前後の見込みで、1回当たり使用コストは使い捨てカイロの約4分の1から6分の1で済むという。

太陽光発電No.1はドイツ 政策に差、日本は2位転落

2006/04/29 The Sankei Shimbun

 長く世界一を誇ってきた日本の太陽光発電の容量が昨年、ドイツに抜かれ、2位に転落したとみられることが民間のシンクタンク、環境エネルギー政策研究所(飯田哲也代表)の調査で29日、分かった。

 飯田代表は「ドイツが2004年の法改正で、電力会社などが太陽光発電の電力を買い取る際の価格を引き上げるなどの支援政策を導入した結果だ」と分析。「新エネルギー導入を支援する政策が不十分な日本との差は、今後も大きくなるだろう」としている。

 同研究所によると、ドイツでは04年に50万キロワット、05年には60万キロワット分の太陽光発電装置が設置され、05年末の総発電容量ではほぼ大型原発1基分の157万キロワットになった。

 これに対し日本で04年に設置されたのは27万キロワットで、同年末の総容量は113万キロワット。05年の数字は未確定だが、同年末の総容量は140万キロワット前後、最大でも150万キロワット弱にとどまる見通しで、1997年から世界1位だった日本の容量がドイツに追い抜かれたのは確実だという。

三菱電機、欧州市場向け太陽光発電システム用パワーコンディショナを製造開始

2006/04/20 NIKKEI NeT

日本メーカーで初めて、欧州市場向けに自社開発・製造

太陽光発電システム用「パワーコンディショナ」欧州市場向け事業展開について

 三菱電機株式会社(執行役社長:下村 節宏)は、日本メーカーとして初めて(※1)、欧州市場向けの太陽光発電システム用パワーコンディショナを自社開発・製造することを決定しました。

 2006年9月に新商品2機種を発売し、欧州市場向けの事業展開を開始します。

※1:2006年4月21日現在。日本の太陽光発電システム用パワーコンディショナメーカーにおいて

<発売の概要> 製品名   パワーコンディショナ 販売地域  ドイツ・ベルギー・オランダ・ルクセンブルク・オーストリア・スイス・イタリア 販売目標  2006年度 5,000台

<背景>  欧州の太陽光発電システム市場は、ドイツの割増発電電力買取制度(フィードイン・タリフ)に続き、スペイン、イタリアなどでも同様の普及策が開始されたことにより、近年は年率約50%の伸長を続け、世界最大の市場として急拡大しています。

 当社は、1981年にNEDO(現新エネルギー・産業技術総合開発機構)、電力会社と共同で太陽光発電システムの直流出力を交流に変換するパワーコンディショナの研究を開始して以来、25年間にわたり国内市場向け太陽光発電システム用パワーコンディショナの開発・普及に取り組み、今年初めには業界最高の変換効率95.5%の製品も発売しました。

 海外市場向けには、国ごとに電力系統、設置環境、安全規格等が異なることから、太陽電池モジュールのみを供給してきましたが、世界最大の市場として今後も拡大が期待される欧州市場を捉えるため、このたび自社で開発、製造したパワーコンディショナを投入し、事業強化を図ることにしました。

<欧州市場向け事業展開>

1. 日本メーカーで初めて欧州市場向けのパワーコンディショナを自社開発・製造

 長年のパワーコンディショナ事業で培ったノウハウと近年の欧州市場における市場調査に基づき、日本メーカーとしては初めて、欧州市場向けのパワーコンディショナを、当社中津川製作所(岐阜県中津川市)で自社開発・製造します。

 国内向けモデルと同様に、高効率・高信頼性・高安全性をキーワードに、初年度は屋内設置タイプ2機種を発売し、以降、屋外設置タイプ等、順次ラインアップの拡大を図っていきます。

2. ドイツ、イタリアの2支店に販売・サービス部門を設立

 ヨーロッパ ドイツ支店、イタリア支店内に太陽光発電システム専門の販売・サービス部門を設立し、お客様へのサポート向上に努めます。

 また将来的には、パワーコンディショナのラインアップ、取得規格の拡大にあわせて、スペイン等への事業拡大を目指します。

新エネルギー機器導入 袋井市が新たに奨励金

2006/04/20 静岡新聞

 袋井市は本年度から、太陽光発電など環境にやさしいとされる新エネルギー機器の導入に対する奨励金交付制度を新たに創設した。これまで、太陽光発電システムに限っていた対象機器を、太陽熱温水器やハイブリッド車などに拡大し、新エネルギーのさらなる普及を目指す。

 同市は昨年度まで、太陽光発電の購入者に対し、新エネルギー財団が行う補助金の半額を交付していた。本年度から同財団の補助金がなくなったため、市自ら額を設定し、多様化する新エネルギーに対応するため、対象機器を増やした。

 対象機器は、(1)太陽光発電システム(電力会社と売電契約を締結した場合に限る)(2)太陽熱利用システム(3)太陽熱温水器(4)風力発電機(5)クリーンエネルギー自動車(6)ヒートポンプ型給湯器(7)潜熱回収型給湯器(8)ガスエンジン給湯器―。交付額は、(1)―(3)は、購入経費の2分の1以内で限度額3万円、(4)―(8)は、同範囲で限度額2万円。

 問い合わせは、同市環境衛生課[電0538(44)3115]へ。

太陽光発電助成、共同住宅共用部に拡大/ 京都市、本年度から

2006/04/19 京都新聞

 京都市は、太陽光発電パネルなどを設置した個人住宅への助成制度を、本年度からマンションの廊下など共同住宅の共用部分にも拡大することを決めた。共用部分への助成は政令指定都市では初めてで、「マンションの多い市都心部で、自然エネルギーの活用を広げたい」(地球温暖化対策課)としている。

 新たな助成は、マンションなど共同住宅の管理組合が対象。エレベーターや廊下の照明など、共用部分に電力供給を行うための太陽光パネルを設置−といったケースを想定している。

 これまでは、個人住宅を対象にした制度だったが、「共同住宅も対象にすることで、マンションが多い市都心部での太陽光発電普及と消費電力の削減が見込める」(同課)として、拡大を決めた。

 助成額は、1キロワットあたり2万5000円(上限50万円)を想定しており、6月ごろに具体的な要綱を定める。初年度は20件近くの申請を見込んでいる。

 京都市の太陽光発電設備への助成は、2003年度から始めており、年間150件程度ある。

セルコホーム、太陽光発電でオール電化住宅

2006/04/19 NIKKEI NeT

 輸入住宅の建設・販売を手がけるセルコホーム(仙台市、新本恭雄社長)は今月下旬から、価格を抑えた太陽光発電装置付き戸建て住宅の販売を始める。間取りや建物のプランを限定して価格を抑え、初めて住宅を購入する一次取得者の需要を取り込む。主に関東や関西地区での販売を見込んでいる。

 販売する住宅の名称は「ルセル」。屋根の上に置く装置はシャープ製を採用した。昼間は太陽光発電による電力を使い、余った電力を電力会社に販売する。夜間は電気料金が割安な深夜電力を活用する。暖房から調理、給湯まですべて電気でまかなう「オール電化方式」を標準仕様とした。

 従来の太陽光発電付き住宅は装置の価格が住宅価格に上乗せになり負担も大きくなるため、建て替え層による購入が多かった。「ルセル」は施工面積のタイプを92平方メートルタイプから132平方メートルタイプまで5タイプに絞り、間取りも4LDKに限定した「規格型住宅」とすることで従来の太陽光発電付き住宅に比べて販売価格を抑制。セルコホームは「住宅の一次取得者層の需要を取り込む」(営業開発本部)考えだ。

エネ庁、太陽光発電システムで新モニター制度創設を検討−住宅用普及拡大ねらい

2006/04/17 電気新聞

 経済産業省・資源エネルギー庁は、住宅用太陽光発電システムの普及拡大に向けて、新たなモニター制度を創設する方向で検討を始めた。

 住宅用太陽光発電システムの設置者に実際の発電量など運転データの提供を求めるだけでなく、設置後の使い勝手や意識変化などをアンケート調査することを想定。これらデータを今後の住宅用太陽光発電システムの普及拡大に活用する一方、モニター制度の「調査協力費」として年間に数万円の対価を支払う仕組みにする。今夏の年度予算の概算要求に盛り込みたい考えだ。

 ただ、住宅用太陽光発電システムについては補助金が05年度で打ち切られた経緯があるだけに、財務省との予算折衝の壁を乗り越えられるかは微妙だ。

 住宅用太陽光発電システムに対する国の補助制度は94年度から05年度までの12年間続いたが、太陽電池のコストが1キロワット当たり40万円程度まで下がったことなどを踏まえ、支援打ち切りが決まった。

 地方自治体の中には独自に住宅用太陽光に対する補助を行っているケースもあるが、現実的には民間企業である電力会社の余剰電力購入メニューが普及の下支えになっているとの声が強い。

 エネ庁はメーカーのコスト削減努力により住宅用太陽光の低価格化は進んだと認識しており、今後も設備に対する単純な補助金は必要ないとの考え。その一方で、政府の「京都議定書目標達成計画」では、2010年度の新エネ導入量を1910万キロリットル(原油換算)と設定。

 この目標の一部として、エネ庁は太陽光発電を02年度の64万キロワット(原油換算で16万キロリットル)から年度には482万キロワット(同118万キロリットル)まで引き上げることを想定している。

 エネ庁は今後の住宅用太陽光の自立的な普及拡大には設備に対する補助ではなく、消費者の口コミによる広がりなどが重要な要素になると認識。この一環として新たなモニター制度を創設し、消費者意識の調査などを実施することが必要としている。

フジプレアムが大幅反発

2006年04月14日 兜町ネット

 フジプレアム(4237)が大幅反発。2010円まであって現在105円高の1955円。

 主力の P D P 用光学フィルターが好調。同社では従来型結晶系太陽電池セルと同等の性能で、価格が高騰している原料のポリシリコン使用量が従来の結晶系の約5分の1という優れた特徴を有する集光型球状シリコン太陽電池の開発でグリーンベンチャー21と業務提携。太陽光発電事業の拡大を計画している。

大宝東小学校で開校式

2006/04/10 BBC TV

 栗東市内で9番目の小学校となる大宝東小学校がきょう開校し、関係者や児童らが出席して開校式が行われました。栗東市野尻に新たに開校した栗東市立大宝東小学校は、平成3年のJR栗東駅の開業による人口増加に伴い、開校の準備が進められていたもので、きょうの開校を迎えました。開校式では栗東市の國松正一市長が式辞にたち、「大宝東小学校に愛着を深め、輝かしい歴史のページを重ねてください」と挨拶しました。続いて、相間芳和校長が「みんなで力を合わせて、楽しい大宝東小学校を作って行きましょう」と児童らに呼びかけたあと、全校児童を代表して6年生の中井栄樹さんが「新しい学校を大切に使います」と挨拶しました。きょう開校した大宝東小学校は全校児童が、きょう入学した127人を含め、合わせて444人の小学校で、学校内には子供たちに木のぬくもりを感じてもらえるよう木がふんだんに使われているほか、環境にも配慮して太陽光発電システムなども設置されています。

積水化学の光熱費ゼロ住宅 「省エネ助言付き」発売へ

2006/04/05 FujiSankei Business i

 積水化学工業は四日、太陽光発電システムを搭載した鉄骨プレハブ住宅「光熱費ゼロ住宅」で、同社が省エネ生活をアドバイスするサービスがついた新製品「パルフェ マスターデザイン」を二十九日に発売すると発表した。二〇〇六年度に二千棟の販売をめざす。

 発売するのは、〇三年から販売している光熱費ゼロ住宅の新製品。太陽光発電システムや大気中の熱を使った給湯システムの性能を高めたほか、建物の構造を工夫し、省エネ性能を高めた。

 また、新たに省エネコンサルティングサービスを導入。居住者は専用ウェブサイト上で、一週間分の消費電力や太陽光発電システムの発電量を入力すれば、使用量の推移を折れ線グラフで表示。それをもとに同社が電力使用の改善ポイントをアドバイスし、省エネ化に役立てられる。

 これにより、〇三年の発売時の光熱費ゼロ住宅に比べ、およそ年間三万七千円の光熱費削減が可能になるという。

 一方、快適性も追求。夏場の快適性を高めるため、部屋にこもった熱を外に出すなどして、温度を抑えるシステムを導入。冬場に使う既存の床下蓄熱暖房システムなどと合わせ、「年間通して快適な暮らしを提供できる」(中村良和・住宅カンパニー住宅事業部企画部部長)。

 一般家庭におけるリビングの年間冷房時間は、従来の約一千時間を四百時間程度に短縮できるという。

 目安となる価格は、三・三平方メートルあたり六十九万円から(標準仕様は百四十平方メートル)。

新基準の光熱費ゼロ住宅 次世代省エネIII地域断熱性能を標準仕様

2006-4-4 新建ハウジングWeb

 積水化学工業・住宅カンパニーは、新しい基準の光熱費ゼロ住宅「パルフェ マスターデザイン」(鉄骨系ユニット住宅)を4月29日から発売する。

 標準で4kW以上の太陽光発電システム(PV)搭載し、大容量のPV開発により小規模建物でも6kWまで搭載可能。開口部をアルミ樹脂複合サッシに統一し、次世代省エネIII地域レベルを超える断熱性能(モデルプラン標準値:Q値=2.12)を標準仕様した。

 また、これまでの断熱性能Q値、光熱費、LCC(ライフサイクルコスト)などに加え、夏場の冷房性能に大きく影響する日射取得係数μ値を設計検討時に邸別チェック。さらに、快適性能に大きく影響する気密性能C値についても邸別に実邸測定・提示する。

キリン、太陽光発電システムの導入を加速

2006/03/27 NIKKEI NeT

 キリンビールは27日、グループ工場での太陽光発電システムの導入を加速すると発表した。2007年3月にも取手工場(茨城県取手市)と岡山工場(岡山県瀬戸町)に新たに導入する。これで導入済みのグループ工場は合計で7カ所になる。

 2工場に導入する発電パネルの容量は10―20キロワットになる予定。同社では05年6月の神戸工場(神戸市)を皮切りに今年に入ってから福岡工場(福岡県甘木市)、広島ブルワリー(広島県府中町)、横浜工場(横浜市)やキリンビバレッジの湘南工場(神奈川県寒川町)などに導入してきた。

 同社は2010年に、二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスを1キロリットル生産するにあたり1990年比で25%以上削減する目標を立てている。

太陽光発電導入相次ぐ 日本テクノ、キリンビール 企業PRにも一役

2006/03/25 FujiSankei Business i

 神奈川県内で、太陽光発電システムの導入が相次いでいる。同システムの導入は、電気料金の節約といった実利面にとどまらず、環境保全に対する企業姿勢をアピールできるといった効果も期待できそうだ。

 相模原市の国道一六号線沿いには、ビル壁面に太陽光発電システムを導入した「ソーラーパワービル」が完成、発電を開始した。

 “総合エネルギーサービス企業”をめざす「日本テクノ」(馬本英一社長)の自社ビル(地上六階、地下一階建)で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同研究事業で開発したもので、ビルの東側と南側の壁面に百七十二枚の太陽光パネルを設置、最大三十キロワット時の電力を発電、最高稼働時で需要電力の40%、低稼働時は100%の電力を自給できる。

 ソーラーシステムの製造・施工は、京セラソーラーコーポレーションが行った。

 一方、キリンビール横浜工場(横浜市鶴見区)は、工場内の広報施設「キリン横浜工場ビアビレッジ」に自然エネルギーを利用した太陽光発電システムを導入した。発電パネルをビアビレッジのビール試飲会場屋上に設置したもので、一般にも公開した。

 また、同工場では太陽光発電と風力発電を併用したハイブリッド照明設備も導入、二十八日から稼働を始める予定だ。

 今回導入した太陽光発電は、面積が百平方メートルと二十五平方メートルの太陽電池二セットで構成する。発電パネルは合計百二十五平方メートル、容量は二十キロワット時。

 NEDOの支援を受けて設置した。太陽光発電とハイブリッド照明設備合計で、キリンビアビレッジ・広報ゾーンで使用する年間電力使用量の約1・7%にあたる約二万一千キロワット時を発電する。

オランダ:持続可能なエネルギーへのアクセス確保に尽力する

2006/03/24 (IPSJapan) JANJAN

【アムステルダムIPS=ヤネケ・スフールマン、3月15日】

 オランダ外務省は、SNVやノビブ(Novib:オックスファムと連携しているオランダ最大の開発協力NGO)といったオランダのNGO(非政府組織)や、フリー・エナジー社、シェル・ソーラー社、ヌオン社(Nuon:オランダ最大の電力配給会社)などの企業の援助により開発途上国の持続可能なエネルギーを調達する契約に調印した。

 例えばシェル・ソーラー社では、電力網の不十分な国々に多くのソーラーホームシステム(小型家庭用太陽光発電)を設置した。同社の広報担当者アンドレ・ロメイン氏は「我々の目的は、製品の販売・設置からアフターサービスにわたる全ての事業を地元で行う強力な市場組織を設立することである」と述べる。しかし、このような事業から得られた電力供給は、地元政府・オランダ外務省・銀行融資からの財政支援に頼っている。同氏は「投資を促すためには、マイクロクレジット(小額の短期融資)といった革新的な金融メカニズムを拡大していくことも重要である」と述べる。

 ヌオン社も、官民パートナーシップ(PPP)の実現に向けて、南アフリカのクワズルー・ネイタルにおける太陽光発電事業についてオックスファム・オランダおよびオランダ外務省と合意。同社の広報担当者は「この事業のねらいは、新しい経営者の支援と、農村部での持続可能なエネルギー確保の推進である」と説明した。

 事業の妨げとなる電力不足問題を解決するためには、生活や産業・公共面で不可欠なエネルギーを持続的に生産できるよう、開発途上国におけるエネルギー産業の活性化を目指すことが不可欠である。アグネス・ヴァン・アルデネ開発協力大臣は、オランダ外務省による途上国に対する公共・民間投資が農村地帯の貧困層を救うことができると主張した。オランダによる途上国のエネルギー開発の取り組みを報告する。(原文へ) 翻訳/サマリー=松本宏美(Diplomatt)/IPS Japan山口響

日本の世界一危うし、太陽光発電 独に抜かれるか

2005年07月10日 asahi.com

日本とドイツの太陽光発電設置量比較

 95年に米国を抜いて以来、世界一を続けてきた日本の太陽光発電の年間設置量が、04年に初めてドイツに抜かれた。ドイツの伸び率は日本を大きく上回っており、世界で断トツだった累積設置量でもドイツが急迫、逆転の可能性も出てきた。国は脱石油戦略の一つに「世界一の太陽光先進国」を掲げている。新たなてこ入れ策を迫られそうだ。

 経済産業省によると、04年の年間設置量は日本が約27万キロワット(前年比約1.2倍)、ドイツが約36万キロワット(同約2.4倍)。04年末の累積設置量は日本が約113万キロワット、ドイツが約79万キロワットだった。

 ドイツは、太陽光や風力などの電力を優遇価格で買い取るよう電力会社に義務づけているが、04年8月から太陽光の買い取り価格を大幅に引き上げた。その結果、住宅用のほか、サッカー場などの広い屋根に設置したり、鉱山跡などにメガソーラーと呼ばれる1000キロワット級の大規模発電所の建設が進んだりしており、一気に普及したという。

 日本は、90年代半ばから、国が住宅用太陽光発電システムへの設置補助制度を、電力会社が太陽光発電による余剰電力の優遇価格買い取り制度をそれぞれ設け、着実に伸ばしてきた。03年末には、世界全体の累積設置量の約半分を占めた。

 だが、住宅用システムの価格低下に伴い、国は補助金を年々減額、05年度で打ち切ることが決まっている。住宅用がこれまで以上に伸びるかどうか不透明な部分がある。また、大規模発電所の整備は進んでいない。このため、ドイツのような大幅な伸びは今のところ期待できない。ただ、ドイツも太陽パネルの生産が追いつかず、「一気に追い越されることはない」(経産省新エネルギー対策課)とみる。

 太陽電池の生産量は、日本が99年以降、世界一を維持している。04年にはシャープが1位のほか、京セラ、三菱電機、三洋電機などが、企業別世界シェアの上位を占め、輸出も順調に伸びている。

 経産省は「コストダウンが鍵。住宅向けは標準化が進み、これ以上補助を続けるのは難しいが、住宅以外の分野は補助を続ける。『世界一』は重要だし、太陽光を着実に伸ばしていくためにも、他省庁と連携しながら新たな施策を検討したい」としている。

太陽光発電国際会議が開幕

2003年05月12日 The Sankei Shimbun
 太陽光発電の普及拡大を目指す国際会議「ワールドPVエポック・イン・大阪」が12日、大阪国際会議場(大阪市)で開幕した。

 20日までの期間中に開かれる「第3回太陽光発電世界会議」や国際エネルギー機関(IEA)主催の会議では、風力など他の自然エネルギーに比べ割高なコストを低減させる技術開発や方策などが話し合われる。

 14−18日の展示会では、太陽電池で世界首位のシャープ、同3位の京セラなどが住宅向けの最新の太陽光発電システムなどを紹介する。

 太陽光発電(PHOTOVOLTAIC POWER)は地球温暖化防止の有効な手段として期待されており、太陽電池の生産は、近年は毎年二けた増を続けている。日本は世界シェアの半分を占めており、関西に有力な太陽電池メーカーが集中していることなどから、大阪でのイベント開催となった。

京セラ、太陽電池生産を4割増へ

2003年04月07日 The Sankei Shimbun
 京セラは7日、太陽電池セルの生産能力を現在の7万2千キロワットから、2004年末に約4割増の10万キロワットへ増強することを明らかにした。

 太陽光発電システムの販売が「国内、海外とも好調に推移しているため」(湯川勲常務)で、滋賀八日市工場(滋賀県八日市市)に生産ラインを増やす。併せて、セルを太陽電池パネルに組み立てる合弁会社を中国・天津に設立し、ことし10月をめどに製造を始め、04年には1万キロワット態勢にする予定。

 また京セラは同日、太陽電池パネルの新製品を発表。小型化して搭載容量を増やせるようにした機種を6月2日、平板瓦に装着する屋根材一体型の機種を10月1日にそれぞれ発売する。販売目標は04年3月末までに計1万1千棟。

京セラ、太陽電池の生産能力増強

2003年01月31日 The Sankei Shimbun
 太陽電池で世界3位の京セラは31日、太陽光発電の需要拡大に伴い、太陽電池セルの年間生産能力を7万2000キロワットから8万キロワット超に、今春にも増強することを明らかにした。

 発電装置の販売は、国内の住宅向けやドイツで堅調に推移。さらに、中国での販売も今年から始めるのに対応する。

 セルは滋賀八日市工場(滋賀県八日市市)で製造。数億円を投じ、製造ラインを増やす。昨年後半に年間製造能力を6万キロワットから高めたのに続き、さらに1割以上伸ばす。

 並行して、セルで組み立てる太陽電池パネルについても、三重伊勢工場(三重県伊勢市)の製造能力を増やす。中国・天津でも現地企業と合弁会社を設立して、今年半ばに生産を始めるが、組み立てる規模は今後詰めるという。

太陽光発電で財布ぽかぽか 中国地方で人気上昇

2002/08/29 中国新聞
  超低金利時代の「屋根上貯金」
 「屋根上貯金」という言葉をご存じだろうか。屋上を利用する太陽光発電を指す。自然の恵みで電気を起こし、余れば電力会社に売る。結構「黒字」になるのだという。今や銀行に預けても普通金利は年0・001%。超低金利時代で注目度が急上昇している。(二井理江)

 広島県大野町の松原洋治さん(57)宅。今年三月、母屋の東西と納屋の南側屋根の上に計七十平方メートルの発電パネルを置いた。出力九・三六キロワットは、一般的な導入規模の二・六倍。新エネルギー財団(NEF)の補助金を除いて、約五百万円を自己負担。早期優遇制度での退職金の一部を充てた。

 「月給がないから、光熱費や水道代を払うのに貯金を取り崩さないといけない」と松原さん。ところが、この太陽光発電で「年6%くらいの金利を生んでいるんじゃないか」と説明する。

  年間で30万円

 そのからくりを解いてもらうと―。

 四人暮らし。昨年末にオール電化にし、夜間の電気代を安く、昼間は売電、買電とも高い料金メニューを選択した。

 四月九日から八月八日までの四カ月間、中電に売った電気は二千九百四十三キロワット時で計七万六千四百二十円。発電できない夜間や雨の日などに買った電気代は二万五千七百二十円。差し引き五万七百円の「黒字」だった。

 昨年同時期の電気、ガス代を加算すると、四カ月で十万六千四百七十六円が浮いたことになる。この調子だと、約五百万円の投資で年間約三十万円が生まれる計算だ。

 「子どもがテレビゲームのコンセントをこまめに抜くようになった」。広島市西区高須台の会社員山本律子さん(39)は節電意識の高まりに驚く。

 一九九九年に新築住宅を買う際、出力四・五キロワットの設備を取り付けた。NEFの補助金を引いて、約三百六十万円の費用がかかった。

 毎月五千円から八千円を中電に売っている。その売電料で毎月の電気代の四分の一から半分からを賄う。台所の壁に付けた発電量の表示板を、小学四年の長男直哉君(9つ)がチェック。環境問題に関心が高まった。

 山本さんは「元を取ろうと考えると、大したメリットはないだろう。でも、地球に優しく、新たに発電所を建設しなくてよくなるかも、と考えればいい」とみる。

 NEFによると、設備の設置補助を始めた一九九四年度から二〇〇〇年度まで、中国地方では、五千二百六十二世帯が太陽光発電を導入。普及率0・19%と、全国平均を0・07ポイント上回る。瀬戸内海側で晴れた日が多いイメージが一因のようだ。

 ただ、補助事業は来年三月で打ち切り。今後は未定だ。

 中電は〇一年度で千二百四十四万キロワット時と、九四年度の千八百倍の余剰電力を買い取った。「高くて不安定な電気を買うデメリットはあるが、新エネルギーの普及に協力している」と言うが、オール電化住宅の普及促進につなげるも狙いもある。

 ▼メーカー注目

 太陽光発電設備を提案する住宅メーカーも出てきた。広島セキスイハイム(広島市中区)は、出力三キロワットの屋根一体型を百五十万円で提供する。新築物件の半分は、このタイプにしている。

 二酸化炭素を排出せず、温暖化の抑制に役立っている満足感。そんな気持ちに、超低金利も加わって、身も心も、財布までもあったかくなる太陽光発電を導入する住宅が今後も増えそうだ。

家庭用、太陽光発電 熱帯びる市場

2002年08月19日 The Sankei Shimbun
装置付き住宅好調

電機メーカー電池増産へ 環境保護の高まり要因

 環境保護への意識の高まりをうけて、家庭用太陽光発電装置の需要が高まっている。新エネルギー財団への太陽光発電住宅に対する助成金申請が、前年同期を20%上回るハイペースで急増。関連する住宅向け商品のメーカーや太陽電池を製造する電機各社でも、新製品開発や増産態勢の整備を進めるなど、市場はさらに拡大しそうだ。

≪応募が急増≫

 太陽光発電付き住宅への助成事業を行う新エネルギー財団(NEF)が今月5日に発表した「住宅用太陽光発電導入促進事業」の申請状況によると、8月2日時点での応募は1万2429件。前年同期を約2000件上回るペースで応募が急増しているという。

 昨年度まで1キロワットの設備あたり12万円だった助成金を、今年度から10万円に引き下げた。だが、「週平均の申込数は800件。過去最高だった昨年よりも、1カ月半は早いペース」と同財団。環境問題への意識の高まりに加え、1キロワットあたりの設置費用が70万円前後と、低価格化が進んだのが要因とみている。

≪事業本格化≫

 需要の増加にともない、住宅向けメーカーも事業を本格化させている。屋根一体型の太陽光発電設備を扱うクボタは、今年度の販売件数を前年度から倍増させる。大手ハウスメーカーや地元デベロッパーと協力し、新設する住宅地の全区画に太陽光発電を備える集中立地事業を推進している。また、今年度からは屋根のリフォーム事業も本格化。「今年度は約1000件の受注を見込む」(クボタ)という。

 業界トップの積水化学工業でも、太陽光発電装置付き住宅の受注を、前年比20%増の4190件と見込んでいる。特に設置面積などの関係で施工が少なかった3階建て住宅向けの製品を強化。前年比170%を目指しており、新規住宅着工戸数が伸び悩む中、大きな期待を寄せている。

≪拡大にらみ≫

 こうした国内需要の拡大をにらんで、電機メーカーは、太陽電池の増産などに力を入れる。

 世界の生産シェアトップのシャープは、奈良・新庄工場の生産ラインを拡充。年間生産能力を従来より5万4000キロワット高め、年間14万8000キロワットに増産した。合計投資額は45億円で、今年度末までにほぼ同額を再度投じて、年産20万キロワットの態勢を整える。

 同様に三洋電機は、住宅の屋根などに取り付ける太陽電池モジュールの生産能力を、平成17年までに、現在の約3倍にあたる年産10万キロワットに引き上げる。

 各社は「今後、日本だけでなくグローバルな需要拡大も見込める」と判断している。環境意識が高まる中、太陽光発電への注目はますます高まりそうだ。

平成14年度 上期 「住宅用太陽光発電導入促進事業」のご案内

byイワタニ山陽株式会社
上期募集期間/平成14年4月17日(水)〜平成14年9月30日(月)<消印有効>

駅の屋根で太陽光発電 京王電鉄

2001.02.27 The Sankei Shimbun
 京王電鉄(東京都多摩市)は二十七日、駅構内の照明や自動券売機など業務電力の一部を賄うために都内の二駅と車両基地の計三施設の屋根に太陽光発電システムを導入した、と発表した。

 同社によると、駅のホームの屋根に太陽光発電システムを取り付けたのは私鉄で初めてという。

 設置したのは明大前駅、若葉台駅、高幡不動検車区(車両基地)。同社の環境対策の一環で、周りに高層建築物がなく、日陰になりにくい駅を選んだ。

 明大前駅の場合、発電容量は三○キロワットで、同駅で使用する電力の約三割を賄うことができるという。

住宅用太陽発電、助成先を追加募集 新エネ財団 (2000.12.31) asahi.com
 資源エネルギー庁は、新エネルギー財団を通じた住宅用太陽光発電の補助金交付について、1月22日から募集を再開すると発表した。今年度は応募が殺到し、当初予定していた予算額、145億円分の受け付けを9月で締め切っていた。

 追加予算額は33億円。最大出力1キロワットあたりの補助額を前回募集分の18万円から15万円(4キロワット分が上限)に減らし、6000件程度の補助を想定している。問い合わせ先は同財団(03―5275―3046)。

三洋電機、社長交代を正式発表 (2000.10.26) asahi.com
 三洋電機は27日の取締役会で、太陽光発電システム不正販売問題の責任をとって退任を表明していた近藤定男社長(62)の後任として、桑野幸徳取締役(59)を起用する人事を正式に決めた。就任は11月1日付。近藤氏は当面取締役にとどまり、不正販売問題への対応を支援するという。27日には、三洋製冷蔵庫の欠陥を4年間にわたって公表せず、12人が負傷していた問題も判明。三洋は、15年前に石油ファンヒーターの欠陥で死者を出して社長が引責辞任して以来の危機に立たされている。信頼回復に取り組む新体制の前途は、極めて厳しいものになりそうだ。

三洋電機の新社長に桑野幸徳氏 (2000.10.26) asahi.com
 太陽光発電システムの不正販売問題で近藤定男社長(62)が退任を表明していた三洋電機は26日、次期社長に桑野幸徳取締役(59)を起用する方針を固めた。27日の取締役会で正式に決定する。桑野氏は主に研究開発部門を歩み、太陽光発電では国際的な研究者として知られる。現在は社内分社組織であるセミコンダクターカンパニー社長を兼任し、半導体部門を強化した。太陽光発電で失った信頼回復に適任であることと、先端技術に明るいことが買われた。

 桑野氏は太陽光発電などに関する著作が多数あり、電卓などに使われるアモルファス(非晶質)太陽電池を世界で初めて実用化するのに貢献した。

 ◆桑野 幸徳氏(くわの・ゆきのり)

 熊本大卒。63年に三洋電機に入り、研究開発本部長、情報通信事業本部長などを経て99年4月からセミコンダクターカンパニー社長。

三洋電機の近藤社長が辞意 不正販売の責任とる (2000.10.24) asahi.com
 三洋電機が出力を偽って太陽光発電システムを販売していた問題で、近藤定男社長は24日、責任をとって辞任することを表明した。

 この問題は、三洋の子会社が1996年11月から98年3月に製造・販売した太陽光発電システムに、従来型の低出力の太陽電池パネル約5400枚を意図的に交ぜていたもの。

 近藤社長は、三洋で初めて創業家の井植家と親せき関係にない社長として98年6月に就任。経営責任を明確にする社内分社制の導入や不採算事業からの撤退など事業改革を進めていた。

通産省、太陽光発電装置の不正販売で三洋電機の処分検討 (2000.10.24) asahi.com
 太陽光発電システムの購入者に補助金の返還を求めることが事実上、不可能なため、三洋電機の子会社が出力が不十分な部品の交換などを進めることになるとみられる。処分については、一定期間、補助金の支給対象から同社の製品がはずされる可能性がある。

2年前から問題把握 三洋電機の太陽光発電出力パネル (2000.10.22) asahi.com
 三洋電機が出力を偽って太陽光発電システムを販売していた問題で、2年前にも社内有志や市民団体が問題を指摘し、三洋も近藤定男社長に報告していたことが22日、わかった。

 市民団体などによると、三洋社内の有志が1998年9月末、「低出力の太陽光パネルが3000枚から4000枚、交ぜられて販売されている」との内部告発文書を社長あてや市民団体などに送っていた。しかし、三洋からは明確な説明はなく、「初めて知った」と述べた社長会見にもこの市民団体は不信感を募らせている。

 一方、三洋はこの間の経緯について、22日に文書などでマスコミ各社に説明。それによると、2年前に報告を受けた近藤社長は、太陽光発電システムの販売を担当した子会社「三洋ソーラーエンジニアリング」の当時の会長(後に本社執行役員)に調査を命じた。その後、この会長から「問題はなかった」と報告を受けたため、それ以上の調査はしなかったという。

 また、同様の文書は、98年の10月に新エネルギー財団や国民生活センターにも届き、三洋へ問い合わせていたが、三洋は「事実無根」と回答していた。

出力偽り、太陽光発電システム販売 三洋電機

2000.10.21 asahi.com

 三洋電機は20日、1996年から98年にかけて同社が販売していた家庭用の太陽光発電システムに、出力を偽って販売した商品があったと発表した。生産・販売を担当した当時の子会社の社長(その後本社執行役員)が、低い出力の発電パネルを交ぜて製造するよう部下に指示していた。通産省に内部告発があり、同省から9月19日に指摘を受けて初めて問題の存在を把握。10月5日付で同執行役員を解任していた。だが「対応を検討していた」との理由で、20日まで問題を公表しなかった。三洋は検査体制が確立している新型製品には問題がないというが、信用低下は避けられない状況だ。

 太陽光発電システムは、発電パネル(1枚約1メートル四方)を20枚程度並べて住宅の屋根に取り付けたもので、環境・エネルギー問題への関心の高まりから急速に普及している。より狭い面積で発電効率が高いシステムの需要が伸びているが、当時は、生産が追いつかなくなったため、子会社の社長が従来型の低出力のパネルをシステムの一部に交ぜて出荷するよう指示していた。

 1996年11月から98年3月までの間に生産した太陽電池パネル2万3460枚のうち、5476枚が出力不足で販売された。出力の不足率は平均で3.5%、最大で10.4%だった。

 これらのパネルを組み合わせたシステムを購入したのは、一般家庭など769件。出力不足のパネルを使うと、購入時に説明されたほど、発電できず、その分、電力会社から余計に電気を購入することになる。3年間で1件あたり平均1万円程度の損になるという。購入者からの苦情はなかった、という。

 三洋は販売先をすべて調査し、出力が足りない製品については総額約5億円をかけて最新設備と無償で交換するとともに、出力が足りなかった分の電気代を顧客に支払う。

太陽電池の生産、本家・米国抜いて日本が世界一に

April 23, 2000

 日本の太陽電池の年間生産量が1999年、米国を抜いて世界一になった。地球環境保護の機運が高まっていることに加え、政府が住宅用の太陽電池の設置に補助金を出していることが生産急増の理由だ。太陽電池は1954年に米国で発明されたが、生産量で日本が「本家」を追い抜いた。

 米国の業界雑誌社PVニュースによると、世界の太陽電池生産は、米国がトップで、日本と欧州が2位争いを続け、96年以降、日本が2位の座を固めていた。

 ところが、99年の日本の太陽電池生産量は前年比62.6%増の8万キロワットだったのに対し、米国は20.3%増の6.5万キロワットにとどまり、全世界の太陽電池生産量に占める日本のシェアは39.7%とトップに立った。京セラ、シャープ、三洋電機が世界の上位メーカー5社に入っている。

 業界によると、4人家族の電気をすべてまかなうためには、3キロワット程度の太陽電池が必要で、300万円前後かかる。しかし、日本政府は94年から住宅への設置を促進するため、太陽電池を設置した世帯に対し、1キロワット当たり30万円程度を補助するなどの施策を取ってきた。このため、太陽電池の需要が急増した。

 太陽電池をめぐっては、ドイツで99年に、毎年6000軒に導入し続ける10万軒導入計画が発表され、米国でも97年に、2010年までにビルや住宅の屋根に100万台の太陽光発電システムを設置する計画が立てられた。

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