TOPIC No. 5-6-2 老人介護・介護保険

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No. 5-6-2d 2000年04月-


特集:介護と暮らしby 共同ニュース

介護保険利用者は月317万人 5年で72%増

2006/04/04 The Sankei Shimbun

 厚生労働省が4日にまとめた平成16年度の介護保険事業報告によると、サービス利用者数(1カ月平均)は前年度比30万人増の317万人で、制度が発足した12年度から5年間で72%増加した。また、65歳以上の1人当たりの年間費用は、全国平均で約22万円。都道府県別では最高の徳島県が約28万8000円、最低の埼玉県が約17万1000円で、約1.7倍の格差が付いた。

 要介護認定者数は前年度より25万人増えて409万人。「要介護2」以下の要介護度の低い人が、全体の63.8%を占めた。

 介護サービスにかかった費用(利用者自己負担分を除く)は5兆5221億円で、前年度より9パーセント、4568億円の増加。利用サービス別にみると、全体の4分の3にあたる240万人が居宅サービス利用者だった。

介護保険料、4090円に 65歳以上、24%引き上げ

2006/03/23 中国新聞ニュース

 厚生労働省は二十三日、二○○六年度の介護保険料改定に伴い、四月から三年間適用される六十五歳以上の保険料が全国平均で、月額四千九十円となる見通しを介護保険事業運営懇談会に示した。改定前の三千二百九十三円より24%アップの大幅引き上げとなる。

 高齢化や介護事業者による需要の掘り起こしで、介護サービスの利用が増加、総費用が制度開始時の二○○○年度に比べ、○六年度(予算ベース)は約二倍の七兆千億円に増え、その後も増加が見込まれるため。上げ幅は前回○三年度改定時の13%増を上回った。

 高齢者がより高齢化することで、今後も介護サービス需要が増えるのは確実なため、次回改定の○九年度以降も引き上げが続く見通し。このため、現在四十歳以上となっている保険料負担年齢の引き下げやサービスの見直しなど、保険料抑制策が課題となりそうだ。

 三月十日時点で介護保険を運営する市町村などすべての保険者千六百七十九を対象に、厚労省が条例案の数値を基に算出した。実際の保険料は市町村ごとに異なり、これまで所得により原則五段階に分かれていた保険料区分は四月から六段階に細分化される。

 国の制度とは別に低所得者に対し独自の減免措置がある市町村などは○五年四月時点で七百七十一。

 毎年改定され、医療保険料と併せて徴収される四十−六十四歳の四月以降の保険料は月平均三千九百六十四円(自己負担は半額)で、前年度に比べ5・6%引き上げられる。

介護現場、56%が暴力被害 利用者からセクハラも4割

2006/02/13 The Sankei Shimbun

 ホームヘルパーや介護施設職員など介護現場で働く人を対象に八戸大学の篠崎良勝専任講師が実施したアンケートで、利用者や家族から、精神的な面も含め暴力を受けたとの回答が56%、セクハラ(性的嫌がらせ)を経験したとの回答が42%に上ったことが13日、分かった。

 アンケートは昨年6月から9月にかけて、不当な言動などで介護従事者の人権や職域を侵害する「ケア・ハラスメント」(ケアハラ)の実態を探るため、10都道県の計500人を対象に実施。286人から回答を得た。

 暴力のケアハラを受けたのは、自宅訪問するヘルパーの45%に対し、特別養護老人ホームなど介護施設の職員は78%に上った。全体では実際に殴られたのが35%、言葉によるものが18%だった。

 篠崎氏は訪問介護より施設介護がかなり多いことについて「施設の方が利用者とかかわる機会や時間が長いのが要因。早急に労働環境の改善に向けた取り組みが必要」と指摘している。

 セクハラの内容は「胸を触られる」が21%、「性的体験を聞かされる」が18%などとなっている。

 ケアサービス料金に含まれていないサービスを強要する「利用者側の意識、態度」には、80%がケアハラを感じていた。この結果、ペットの世話や植木の刈り込みなど、本来の業務を逸脱した不適正なサービスの依頼を受けたり実際に行ったのも80%に達した。(共同)

要介護防止「地域支援事業」公表 予防教室を実施 市町村、改善度評価も導入

2005/06/28 The Sankei Shimbun

 厚生労働省は二十七日、全国介護保険担当課長会議を開き、介護予防サービスの一環として市町村がグループ向けに実施する「地域支援事業」の詳細を明らかにした。介護保険対象外の六十五歳以上の高齢者のうち、将来、要介護状態になる可能性が高い人を対象に、簡単なケアプランを作成し、予防教室に通ってもらう内容。改善度を評価する仕組みを新たに導入し、要介護状態に陥ることを防ぐのが目的だ。平成十八年度から実施する。

 介護予防サービスは先に成立した改正介護保険法で設ける仕組み。(1)市町村が六十五歳以上を対象に介護予防健診を実施(2)新設される介護予防拠点「地域包括支援センター」で簡易なケアプランを作成(3)必要度に応じて筋力トレーニングなどの予防教室を実施(4)三カ月もしくは六カ月後に改善度合いを評価、必要に応じケアプランを見直す−との内容。

 事業費は国と地方の税財源および介護保険料でまかなわれ、六十五歳以上の五%程度が対象となる見込みだ。

 市町村は公民館や保健センターなどを利用し、運動機能向上、栄養改善、口腔(こうくう)機能向上、認知症などの予防につながる教室を開く。教室は二十−三十人単位を想定している。

 厚労省は教室の具体的な事業内容の指針として、運動機能向上ではストレッチや筋力トレーニングなどを提示したほか、転倒防止のための足の巻きづめ治療教室や、認知症予防なども示した。原則的には「高齢者に通ってもらう」形で実施するが、閉じこもりなどで通所が困難なケースについては例外的に自宅などに訪問する。

 市町村は指針を踏まえ、今後さらに詳細な独自プログラムを決定する。

 運動機能向上と口腔機能向上、認知症予防については三カ月、栄養改善は六カ月後に状態の改善度を市町村などが評価。引き続き地域支援事業の対象にする場合は、ケアプランを再作成して継続してもらい、状態が悪化した場合には、医療機関への紹介や介護保険の要介護認定を受けることを勧める。

 介護予防健診での判定項目としては、友人宅を訪問しているかや、毎日の生活に充実感を感じているかなどの生活機能に着目した二十六項目を予定。利用料の自己負担分については、市町村ごとに設定する。

軽度認定8割が「新予防給付」対象に…介護保険改革

2004/12/20 読売新聞 Yomiuri On-Line
 来年の介護保険制度改革の目玉として新設される「新予防給付」の対象に、「要支援」「要介護1」と認定された人の7―8割が該当する見込みであることが、19日、わかった。

 新給付の対象になると、介護予防に適したメニューからサービスを選ぶことになる。これまで利用できていたホームヘルプサービスやデイサービスが使えなくなるわけではないが、従来とは異なる利用の仕方になると見られるだけに、介護の現場からは不安や戸惑いの声も聞かれる。

 要介護度が最も軽い「要支援」は、現行制度でも、予防を重視した「予防給付」が提供されている。しかし、メニューが、要介護者(要介護1―5)向けの「介護給付」とほぼ変わらないうえ、介護予防の効果が上がっていないと見られることから、厚生労働省は、要支援、要介護1の軽度者を対象に、「新予防給付」を新設することにした。

 新給付のメニューとして想定されているのは、筋力向上、転倒防止、栄養改善、口腔(こうくう)ケアなど。従来、利用できていたホームヘルプやデイサービスが使えなくなるのではないかとの不安が利用者の間に広がっていたが、メニューに残る見込み。だが、ヘルパーが家事をこなすような、従来見られた提供の仕方を改め、利用者がヘルパーと一緒に調理したり、洗濯物をたたんだりするような形に改める。デイサービスも、機能訓練を取り入れた提供の仕方に変える。サービス開始にあたっては、目標を定め、一定期間ごとにサービス内容を見直す方向だ。

 対象者の振り分けは、介護認定審査会が行い、市町村が決定する。従来通り、要介護度を決定した上で、「要支援」「要介護1」と判定された人については、外出頻度や歩行、調理などに関する10前後の追加質問を行い、その結果や医師の意見書などを踏まえ、新予防給付と介護給付のどちらが適当かを判定する。

 新予防給付の対象となるのは、老化に伴う生活機能の低下が見られる場合で、重度の痴呆(ちほう)や、病状が安定していない場合は除外される見込み。要支援、要介護1に占める重度の痴呆の割合が最新調査で2割程度と推測されることから、軽度の要介護認定者(現在約200万人)の7―8割が新予防給付へ移ると見られる。

 新予防給付の創設をめぐっては、効果的な予防が期待できるとの声がある反面、これまで通り、サービスが給付されるのかという不安や、新予防給付と介護給付の振り分けが適切に行われるのかについて疑問視する声も少なくない。

8年後は倍の月6千円に 65歳以上の介護保険料

2004/10/21 中国新聞ニュース
 厚生労働省は二十一日、六十五歳以上の月額介護保険料が、現状のままだと高齢者が急速に増える二○一二年度には、現在の平均三千三百円から、ほぼ倍の六千円に膨らむ見通しであるとの試算を政府の「社会保障の在り方に関する懇談会」に提示した。夫婦では一万二千円の負担となる。

 ただ筋力向上トレーニングや転倒予防などの介護予防対策の効果がかなり上がり、特別養護老人ホームなどの施設入所者から食費や光熱費の徴収が実施できれば、保険料は四千九百円にとどまる。

 現状のままだと、現在の五・五兆円から一二年度は一○・六兆円に膨らむと見込まれている給付費が八・七兆円程度に抑制されるためだ。

 予防対策の効果がある程度にとどまっても、一二年度の保険料は五千二百円に抑えられる見通し。

 今回の試算は保険料の上昇抑制のため、現行四十歳以上となっている保険料の担い手を若年層へ拡大することを念頭に、制度改革の柱に掲げている介護予防の断行に理解を得るのが狙い。

 ○六年度実施を目指す介護保険制度改革で、最大の焦点となっている保険料負担年齢の引き下げには、保険料の半額を負担する企業は反対で保険者の市町村も慎重だが、仮に引き下げが実現すれば保険料はさらに抑えられることになる。

 二○○○年度の制度導入で、六十五歳以上の保険料は各市町村が要介護者の数やサービス量を試算した上で三年ごとに見直している。平均を大きく上回る四千円以上の自治体は十二だったが、○三年度の初改定では二百以上に増え、給付費の抑制が課題となっている。

 四十―六十四歳は給付総額に応じ六十五歳以上並みの保険料を負担しているが、今回の試算では対象に入っていない。

厚労省、「介護予防拠点」3000か所整備へ

2004/08/22 読売新聞 Yomiuri On-Line
 厚生労働省は21日、高齢者が寝たきりや痴ほうになるのを防ぐ介護予防を充実させるため、2005年度に約3000か所を目標に「介護予防拠点」を整備する方針を固めた。既存のデイサービスや民間施設などを改修する費用を補助する考えで、来年度予算の概算要求に約220億円を盛り込む。

 介護予防は、早い段階から高齢者に体力トレーニングや栄養改善に取り組んでもらうことで、要介護状態にならないようにする取り組み。厚労省は来年度から介護予防の拠点整備をスタートさせ、将来的には「中学校区に1か所程度」を目標に拠点整備を進めていく方針だ。

 介護予防拠点では、身体機能を維持するための筋力向上トレーニングのほか、パソコンや園芸などを通じて痴ほう予防プログラムを実施したり、食が細くなりがちな高齢者への低栄養予防教室などを開催する。

 拠点には、既存のデイサービスセンターや公民館など公共施設、民間施設などを活用する。厚労省では、整備に取り組む市町村に対し国が整備費の半分を補助することを検討している。

 介護予防は、来年の通常国会で予定される介護保険制度見直しの柱にもなっており、利用が急増している軽度の要介護者に介護予防を提供することで、今後の給付費の増加に歯止めをかける効果も期待されている。

 ◆デイサービス=正式名称は「通所介護」。在宅で介護を要する人が、デイサービスセンターなどに通所して、食事の提供や入浴の介助、健康状態のチェックなど日常生活の世話を受ける。家族の介護負担を軽減することにも役立っているとされる。


介護サービス利用、予想外の低調 自治体調査で判明

2001.03.04(12:41)asahi.com
 昨年4月に始まった介護保険について、朝日新聞社が全市町村アンケートを実施したところ、7割はサービス提供にあたる給付実績が予算を下回る見通しと答え、介護サービスが予想ほど利用されていないことがわかった。家にいて介護を受ける在宅サービスが全般的に低調で、認定を受けてもサービスを使わない人が5人に1人いる。利用料などの自己負担や介護スタッフを家に上げることに抵抗感があるという見方が多い。一方、特別養護老人ホームなど施設サービスは人気が高く、在宅のニーズにこたえる制度のねらい通りには進んでいない。

 介護サービスにかかる費用は原則として、介護を受けた本人が1割を支払い、残る9割を事業主体の市町村が支払う。2000年度は国全体で約3兆8000億円が当初予算で見込まれた。市町村ごとに実際にどう使われたか聞いたところ、「ほぼ予算通り」だったのは16%にとどまり、「予算を下回る」が69%、「上回る」が13%だった。

 在宅サービスの利用状況は、限度額に対する利用割合が「かなり少ない」18%、「やや少ない」48%と予想以下だったところが66%にのぼり、「かなり多い」「やや多い」の計11%を大きく上回った。

 在宅サービスが低調だった市町村で、介護保険担当者が挙げた理由で最も多かったのが「自己負担を気にして利用が抑制された」で62%(複数回答)。次いで「介護スタッフを家に上げるのに抵抗があった」(41%)「制度や手続きに不慣れ」(31%)といった理由が目立った。

 また、回答した市町村で介護が必要と認定された人は計237万5000人で、65歳以上の高齢者の11%を占めた。このうち、施設に入所せず、在宅で認定を受けたとみられる人は159万7000人いるが、サービスを受ける前提になるケアプランの作成依頼届を出していない人が19%にあたる30万7000人に上った。

 サービスを利用していない人は、家族が介護していたり、病院などに入院していたりするケースとみられる。千葉県佐倉市では在宅の3割の約500人がサービスを受けていないと推計されたため、市が最近調べたところ、6割近い人が医療機関に入っていた。担当者は「とりあえず権利を得ようと認定を受ける人が多いようだ」と話す。

 一方、予算を上回る市町村では複数回答で71%が「施設サービスが多かった」ことを理由に挙げた。介護保険の導入で、特養ホームなどに入るための要件が緩和され、施設サービスの利用が大幅に増えている。施設サービスが増えたが、在宅サービスがその分減ったため、予算通りで済んだという市町村も多い。

 介護保険の支払いが予算を上回った場合、赤字分の一部は都道府県の財政安定化基金から借り入れることになり、保険料が見直される2003年度以降、保険料の引き上げにつながる。一般財源からの繰り入れを検討する市町村もあるが、厚生労働省は「負担と給付の関係を不明確にするおそれがある」と認めていない。今後、対応に苦慮する市町村が増えそうだ。

在宅介護のコムスン、赤字47億円 12月中間決算

2001.02.22(19:42)asahi.com
 在宅介護サービス大手で事業の不振が続くコムスン(東京)は22日、12月中間決算を発表した。昨年7月―12月の売上高は60億6200万円、経常損益は47億5200万円の赤字だった。介護保険スタート時の昨年5月に1208カ所あったサービス拠点を12月末で382カ所に統廃合し、業務の合理化を進めた結果、7月に単月で11億円余りだった赤字が12月は4億円余りに減ったという。

 記者会見した折口雅博会長は、訪問介護サービスのうち、介護報酬が1時間1530円と低い家事援助だけを求める利用者とは契約せず、身体介護など同社の他のサービスも利用する場合に限り家事援助を提供していることを明らかにした。「家事援助だけでは株式会社はやっていけない。NPO(非営利組織)にお任せしたい」と述べた。

介護タクシー「待った」 旧運輸省OK、厚生労働省覆す

2001.02.13(14:27)asahi.com
 利用料が介護保険から賄われる「介護タクシー」に「待った」がかかった。先月初め、旧運輸省(現国土交通省)が、運賃を取らなくても道路運送法上は問題がない、として業者の参入にゴーサインを出した。しかし、厚生労働省は、送迎時の介助だけでは保険制度の基準を満たしていないとして、14日に開かれた都道府県担当課長会議で指導した。

 介護タクシーは、ホームヘルパーの資格をもった運転手が要介護のお年寄りを自宅から病院などに送迎する際、車の乗降の介助などを「訪問介護」とみなして保険から料金を受け取り、運賃は無料とするしくみ。

 30分未満の「身体介護」の基本的な介護報酬は2100円。利用者はこの1割を負担すればよいため、タクシーの正規運賃より安く利用することができる。

 福岡県の会社が昨年5月に事業化したのを皮切りに広がり、今年初めに運輸省の「OK」が出て以降、進出企業が増えていた。

 しかし、事業者が都道府県から訪問介護の指定を受ける際の基準には「入浴、排せつ、食事の介護など生活全般にわたる援助を行う」と決められている。介護タクシーであっても、送迎介助以外のヘルパー派遣にも応じなければならない。

 厚生労働省が全国22社の実態を調べたところ、送迎介助のみを行っている会社が13社、送迎の割合が「9割以上」も3社。大半がタクシーの送迎に偏っていることが分かった。

 同省の担当者は「訪問介護の報酬額は利用者の様々なニーズに応じることを前提に設定してあり、1つの業務に特化した場合にこの額を払うのは無理がある」と話す。

 厚生労働省は、14日に開かれた都道府県担当課長の会議でこの原則を確認したうえ、(1)指定事業者には幅広い業務に取り組むよう指導すること(2)それでも移送介助に限る業者は指定の取り消しもありえること、などを通知する考えだ。

 ただし、介護保険を運営する市町村が地域の実情を踏まえて必要と判断したサービス事業者は、指定の基準に満たなくても保険の対象とできる、という法令上の特例を利用。省令を一部改正し、送迎に特化した介護タクシーにもこの特例を適用できるようにする。

介護保険 半年の更新忘れ、全額負担

2000.12.09(14:38)asahi.com
 介護保険の更新をうっかり忘れたために、保険証が失効し、介護サービスを自腹で受けざるを得なくなる例が全国各地で起きている。介護保険証の実質的な有効期間は市町村が利用者の症状に応じて、半年をめどに決めるため、制度のスタートから半年をすぎた今秋以降、トラブルが目立ってきた。利用者が払う費用は失効すると、1割負担から全額負担になり、追加で約15万円の出費を強いられるケースも出てきた。厚生省はこうした失効を「想定していなかった」という。市町村の対応は、自己負担を求める「しゃくし定規派」や、失効しないように書類上の操作をする「温情派」など、ばらつきがある。

 千葉県流山市の女性(64)は10月中旬、夫(72)が入所している県内の老人保健施設からの電話で、夫の介護保険証が9月末で失効していることを知った。

 あわてて市役所を訪ねると、職員から「今すぐ手続きをしても、失効してからの18日分は全額自己負担」と告げられた。施設利用料は1日約1万円で、約18万円の負担。失効で空白期間にならなければ18日分なら4万円弱で済んでいたはずだった。

 流山市は、保険証の有効期間が切れる2カ月前の人に対して、通知の書類を自宅に郵送している。しかし、この女性は「受け取った記憶がなく、更新手続きが必要なことも知らなかった」と語る。

 同市の介護支援課は「最終的に利用者の自己責任だとはいえ、入所していた施設がなぜ見落としたのか。同様の例があった老人病院の場合は全額を病院側が負担した」と、施設の責任を強調する。8日になって「施設側に善処を求めた」という。

 一方、施設の担当者は「新制度に伴う業務に追われて、十分なフォローができなかった」とミスを認める。しかし、この施設で同じ「うっかり失効」した別の入所者の場合は、住民票を置いている東京都内の区役所が、書類上の申請日を期限に間に合わせてくれたという。

 この区役所の担当者は「こうした例が区内で10件ほどあった。利用者は高齢の人が多く、ケアマネジャー(介護支援専門員)や施設も不慣れなことを考えて、判断した」と明かす。

 横浜市では2カ月前に通知を送ったうえ、1カ月前の段階で更新未申請者に対し、職員が手分けして電話を入れている。同市緑区だけでも「忘れていた例がいくつかあった」という。

 法令上は、在宅ならケアマネジャー、入所だと施設職員に申請の手助けをする義務がある。ただ、弱い立場の利用者がこの義務違反を追及するのは難しい。

 厚生省介護保険課は「更新漏れが出てくることは想定していなかった。市町村の対応はケース・バイ・ケースで判断することで、一概に是非は言えない」と話している。

千葉の老人ホーム、無届けで定員倍増 県が改善を指導

2000.11.26(10:09)asahi.com
 千葉県君津市内の有料老人ホームが無届けで部屋の8割を介護用に切り替え、入居定員を2倍以上に増やしていることがわかった。千葉県はこうした「すし詰め介護」の状態を改めるように指導に乗り出した。有料老人ホームへは4月に導入された介護保険から入居者の介護費用が支払われ、要介護者を多く入居させれば収入も安定する。部屋を使う目的を変える際の規制があいまいなことを逆手にとって介護保険収入を得ている実態が明らかになった形だ。

 指導を受けたのは「川島コーポレーション」(千葉県木更津市、川島輝雄社長)が経営する「サニーライフ君津」。

 1995年12月の開設時、県に届け出た定員は166人(134室)だったが、県高齢者福祉課が今年7月、定期調査に入った際、定員を120人上回る286人を入居させていることがわかった。ホーム側は2年前から定員を徐々に増やし、現在377人として運営しながら、変更の届けを怠っていたことを県に対し認めた。

 このホームは、健康な高齢者が入居し、将来介護が必要になってもそのまま施設内で生活できる「介護付き終身利用型」。134室の全部が1Kか1DKで、浴室やトイレ、ミニキッチンがついたマンション風の間取りだ。高齢者が1人か、夫婦など2人の想定で設計されている。

 ところが、98年夏ごろ、この一般居室をそれまではなかった「介護居室」に用途変更し、入居当初から介護が必要な人を受け入れ始めた。割合を次第に増やし、現在は116室が介護居室だ。入居一時金を200万―750万円と、一般居室の1550万―3400万円より安く設定した効果もあった。

 ただし、これまでの1―2人用の部屋にベッドを3、4台入れ、間仕切りカーテンもつけていない。1人あたりの床面積も、「国の指導指針に明記はないが、台所やトイレを除いて測ると、決められた広さに足りないおそれがある」と県。

 また、現在の入居者301人のうち、介護保険の要支援・要介護認定を受けた人は、9割以上の274人。厚生省の老人保健福祉局振興課は「しっかり介護が行われているか、介護保険の観点からも調査・指導が必要だろう」と話す。

 ホーム側は「当初の募集条件ではなかなか入居者が集まらず、逆に最初から介護が必要な人で『手ごろな資金で入居したい』という希望が多かった。各部屋はもともと終身で介護できる設備が整っているので、改装なしで用途変更しても問題ないはず。ただ、出来る範囲で指導に沿えるよう来週にも、県に改修計画案を提出する」としている。

介護疲れ?寝たきりの義母を殴り死なす 主婦を書類送検

2000.11.18(13:43)asahi.com
 寝たきりの義母を殴って死なせたとして、大阪府警西淀川署は、大阪市西淀川区の主婦(45)を傷害致死容疑で大阪地検に書類送検した。義母は昨年1月から主婦宅で同居し始めたが、主婦は義母の介護について収入が多いと介護保険が受けられないと誤解し、保険の申請をしていなかった。最近は、「なぜ私だけが面倒を見ないといけないのか」と介護疲れを家族に訴えていたという。

 調べによると、主婦は7月15日夕方、自宅で寝たきりの義母(85)に水を飲ませようとしたところ、「前の家に帰りたい」と言われたことなどに腹を立て、義母の顔などを数回殴り、このときの暴行により同月24日午後3時ごろ、硬膜下血腫で死亡させた疑い。夜になって家族が和室の布団の上で死んでいるのを見つけ、同署に通報した。発見時、義母の体重は24キロだったという。

 主婦の家は夫(52)と10代の息子2人の4人暮らしだったが、富山県で1人暮らしをしていた義母が手の骨折で生活が不自由になり、同居し始めた。義母は今年7月ごろからトイレや食事に介助が必要になり、寝たきりの状態になっていた。

 主婦は事件後、同署から任意で事情聴取を受け、今月17日に書類送検された。

ニチイ学館、介護サービス拠点170カ所を閉鎖へ

2000.11.17(22:23)asahi.com
 在宅介護サービス最大手のニチイ学館は17日、778カ所にある訪問介護(ホームヘルプ)のサービス拠点のうち、利用者が1人もいない拠点を中心に約170カ所を閉鎖し、今月中に約600カ所にすると発表した。今後は高齢者を日帰りで受け入れるデイサービスセンターの開設に力を入れる。センターは訪問介護も提供する「複合型」にするため、「事業規模を縮小するわけではない」と説明している。

 同社は今年4月の介護保険スタートに合わせて事業を展開したが、予想ほど利用が伸びず苦戦している。現在も利用者がゼロの拠点が約100カ所に上る。このため、利用者が10人以下で、統廃合をしやすい拠点とともに閉鎖を決めた。各都道府県には指定事業所の廃止届を出す。

 同日発表した9月中間決算では介護サービスの不振が響き、18億6000万円の経常赤字となった。

ニチイ学館19億円の赤字 介護不振、9月中間決算修正

2000.11.03(00:54)asahi.com
 介護サービス事業の不振が続く在宅介護サービス大手のニチイ学館(本社・東京)は2日、9月中間決算の営業損益が19億8000万円の赤字になるとの業績予想修正を発表した。本業の医療関連事業などを除く介護サービス単独の営業赤字は69億6000万円に膨らむ見通し。同社は7月に39億円の営業黒字をゼロに修正したが、その後も好転せず、2度目の下方修正となった。

 介護サービスの主力である訪問介護は、9月に1万5000人が利用し、1人あたりの利用単価は4万7200円だった。介護保険が始まった4月当初は、利用者を5万人、単価を6万5000円と見込んでいた。

 介護保険が始まる前からサービスを提供している社会福祉協議会などの公的セクターの事業者に利用が集中し、利用者を獲得しても利用料の1割負担を気にして利用を手控えられる傾向が続いているという。

 この結果、4―9月の売上高は535億円の予想を530億円に、経常損益ベースでは80億円の黒字から18億8000万円の赤字に修正した。赤字は毎月減ってはいるが、9月も9億円にのぼり、今年度内の単月での黒字化は難しい情勢だ。

ニチイ学館とコムスン、介護サービスで業務提携

2000.11.01(19:15)asahi.com
 在宅介護サービス大手のニチイ学館とコムスンは1日、介護サービスに関する業務提携の覚書を結んだ。両社はホームヘルパーを派遣する訪問介護サービスを主に提供しているが、4月の介護保険スタート後、予想したほど利用が伸びず苦戦している。近く専門委員会を設けてサービスを相互に紹介するなどの提携内容を詰め、協力体制による事業の拡大をめざす。

 ニチイは現在、訪問介護の事業と並行して、高齢者を日帰りで受け入れるデイサービスセンターの開設に力を入れている。コムスンは24時間の巡回介護など、夜間のサービスを売り物にしている。利用者がこうしたサービスを希望した場合、ほかの事業者に優先して紹介するような仕組みを予定している。

 また、コムスンは約1200カ所にあった訪問介護のサービス拠点を年内に500―550カ所に減らすことにしており、1カ所あたりのサービス提供地域が広がっている。約800カ所にあるニチイのサービス拠点と補完し合うことができないかも検討する。

介護サービスの利用率は43% 当初見込みをやや上回る

2000.11.01(00:34)asahi.com
 厚生省は31日、介護保険制度の施行状況を定点観測している全国106の市町村で、初めて本格的に在宅サービスの利用状況を調べたところ、7月は限度額に対する平均的な利用率が43%だったことを明らかにした。また、介護保険スタートから最初の3カ月間で、介護サービス事業者が提供した訪問介護などのサービスに対して支払われた介護給付費は総額8070億円で、予算額のほぼ8割にとどまることもわかった。給付は毎月増えているが、今後の保険料の改定にも影響するため、今後の伸びが注目される。

 調査対象は東京都荒川区や横浜市、京都市などが無作為抽出した約8300人。介護の必要な度合い別では、最も軽い要支援の高齢者が54%と一番よくサービスを使っていた。要介護1が38%で一番利用せず、要介護2―5の人は40%台前半だった。

 厚生省は、2000年度の予算上では、介護が必要と認定されてもサービスを利用しない人も含めて利用率を33%と見込んでいた。今回の調査はサービスを利用している人だけが対象で、要介護認定を受けてサービスを利用しない人も勘案すると「当初の見込みをやや上回るほど」(老人保健福祉局)と推計しており、実際の利用率は30%台になるとみられる。

 一方、各都道府県の国民健康保険団体連合会からサービス事業者に支払われた介護給付費の4―6月分の集計は、在宅サービスが2380億円、老人福祉施設などの施設サービスが5430億円(概算払い分を除く)。

 介護保険の今年度予算のうち、利用者負担を除いた3.8兆円を在宅と施設の両サービスに分けて3カ月分で計算すると、在宅サービスの給付実績は予算の6割、施設が8割となった。

 給付は、6月の施設サービス分が予算の9割と好調だ。しかし、在宅サービスへの給付は6月でもまだ8割に達せず、在宅サービスが低調であることが浮き彫りになった。

 厚生省によると、今年6月末までに全国で約280万人が認定を申請。約150万人が在宅サービスを、約60万人が施設サービスを利用している。

高齢者の短期入所利用を促進 別サービスと枠一本化で

2000.10.31(23:38)asahi.com
 厚生省は31日、介護保険で高齢者を一時的に施設に預かる短期入所(ショートステイ)サービスを使いやすくするために、利用制限を大幅に弾力化する案を医療保険福祉審議会に諮問し、答申を受けた。短期入所と、訪問介護など訪問通所サービスとは、別枠で利用限度が決まっているが、訪問通所サービスを使い残して、その分を短期入所に振り替える場合、2001年1月から、現行の「月に2週間まで」の制限をなくし、ほぼ全部を振り替えられるようにする。2002年には両方のサービスの枠を一本化して、その中で自由に選べるようにする。

 いずれの場合も短期入所の最大利用可能日数は最も重い要介護5なら、現行の半年に14週間が1カ月に30日まで増える。実質的な長期入所にならないように、連続した利用は30日まで、半年に3カ月を超えないといった制限が設けられる。

 現行制度では、利用者の中には「万が一」に備えて使い控えする人が目立っていた。短期入所の利用者はほかのサービスを使わないことが多く、振り替え枠の拡大を望む声が高まっていた。

おしぼり代も? 長期入院の「日常生活費」を是正へ

2000.10.29(22:44)asahi.com
 高齢者らが長期入院するときに病院から請求される「日常生活費」など実費名目の料金が、あいまいだったり割高だったり、不適切な例が目立つとして、国や地方自治体が是正を求める動きが強まってきた。入院時の自己負担が全国最高の月約20万円ともいわれる東京都は、介護保険の適用される病院80余の実態を調べたうえで、この秋から立ち入り検査に乗り出した。年内にも適正な範囲の解釈事例集をまとめ、各病院を指導する方針だ。また、厚生省は医療保険の対象となる診療機関について、入院実費の徴収基準を明確化し、近く関係機関に通知することを決めた。

 東京都はこの夏、介護保険適用の病院で1日4000円の「日常生活諸雑費」を求められたとの訴えを受けて実態を調べた結果、内訳のイベント代や衛生管理費(おしぼりやシャンプー)、アメニティー代(病室の音楽や防臭剤)など、ほとんどの項目が不適切だと指摘し、是正を指導した。

 また、都内の病院84カ所に料金表の提出を求めたところ、日用品を10点程度まとめて「セット料金」とするケースが目立ち、項目や料金設定に疑問のあるものが一部にあった。9月から国の指針に基づいて始めた指導検査でも、料金表に明示がないのに患者から預かった「預かり金」から入浴料を引き落とすなど、問題事例が見つかった。

 都高齢者施策推進室は今後、解釈事例集を示し、「病院側に正しく理解してもらいたい」と言う。が、都内のある病院事務長は「都市部は人件費などがかさむのに、医療保険や介護保険では地域加算などで配慮されていない。その分を患者負担で補てんしている現実がある」と打ち明ける。

 一方、厚生省は、中央社会保険医療協議会が27日に患者負担の基準を了承したのを受けて、全国の関係機関に通知し、徹底を求める。基準は手続きとして(1)受付窓口や待合室など院内の見やすい場所に徴収内容を掲示する(2)患者に明確に説明し同意をとる(3)料金などを明示した文書に患者側の署名を受ける(4)内容のわかる領収書を発行することが必要としている。

高齢者にも応分の負担求める報告書 社会保障有識者会議

2000.10.24(21:06)asahi.com
 年金や医療、介護などの社会保障制度の将来像を検討してきた首相の私的諮問機関「社会保障構造の在り方について考える有識者会議」(座長・貝塚啓明中央大教授)は24日、世代間の不公平を小さくするために「高齢者は一律弱者」という考えを転換し、高齢者にも応分の負担を求めることを柱とする報告書「21世紀に向けての社会保障」をまとめた。「税か保険か」で論争の続いてきた社会保障の財源については現行の社会保険方式を維持することを明記した。近く森喜朗首相に提出する。

 提言は、社会保障制度の選択の幅が、「負担を増大させても給付を確保」という線と「負担を増大させずに給付を見直す」という線の間にあるとしたうえで、「ある程度の負担増は避けられないが、特に現役の負担増を抑える」と強調した。

 方策としては、「支え手を増やす」「高齢者も負担を分かち合う」「給付の見直しと効率化」の3つを挙げ、中でも高齢者に経済的な能力に見合った負担を求める方向を打ち出した。

 例えば、現在は公的年金支給額34.3兆円のうち、所得税を源泉徴収する対象は2.3兆円だけでほとんど課税されていない点を挙げ、高齢者の税負担が課題だとした。医療保険にでは、老人医療費10兆円のうち高齢者自身の負担が1.6兆円だとして、さらに税や保険料、自己負担が必要だとした。

 さらに、貯蓄や不動産など資産をみても、70歳以上の世帯は40代の2倍以上あるのに、年金などで現役世代に支えられ、資産は相続で子孫に継承していると指摘。資産や相続に対する税負担を広げることも求めた。

 一方、財源については「社会保険方式を主とする」と明示。2年前に基礎年金の税方式化を打ち出した経済戦略会議の提言を打ち消す形となった。理由は負担と給付が連動する自助の仕組みで、理解を得やすいなどとした。

 このほか、景気対策で凍結されている年金保険料の早期引き上げや、女性の雇用を抑制しないように年金制度を世帯単位から個人単位に改めることを検討する方向を盛り込んだ。

 会議は今年1月に、小渕恵三首相の意向で発足した。今井敬経団連会長や高木剛ゼンセン同盟会長、坪井栄孝日本医師会長、学者、医療福祉関係者ら19人で構成。12回の議論を重ねた。

コムスンを監督指導/解雇問題で労働省

2000.10.20 The Sankei Shimbun
 労働省は二十日、介護保険事業の不振でリストラを進めている介護サービス大手のコムスン(本社東京)に労働基準法に基づく監督指導に入ったことを明らかにした。「解雇された」「賃金不払いがあった」などと従業員からの相談申告が全国で計十六件あったことを受けた措置。

 同省は十二月、全国で千以上の介護関係事業所を対象に、介護労働者の雇用管理の実態調査を行う方針。

低所得者からの介護保険料徴収に不服 石川県に申し立て

2000.10.16(00:42)asahi.com
 介護保険の保険料を低所得者から徴収するのはおかしいなどとして、金沢市などの高齢者29人が15日、同市などが出した徴収額の決定の取り消しや変更を求める審査請求を石川県介護保険審査会に出した。同審査会は今後、金沢市などに決定の経緯について説明を求めるなどし、請求が妥当かどうかの裁決をする。厚生省介護保険課によると、集団での審査請求は全国でも初めて。

 請求したのは元金沢市議の杉浦常男さん(76)が代表を務める市民グループのメンバーを中心に金沢市や同県内灘町に住むお年寄り29人で、全員が65歳以上の「第1号被保険者」にあたる。請求の理由は「年金で何とか生活しているから、保険料の負担は苦しい」「利用料まで払うのは納得できない」など。

 県長寿社会課によると、請求人らは、3月までに計7087円から1万1812円の保険料を納めるよう求められている。年金からの天引きは13日に済んでおり、金融機関を利用して納める普通徴収の通知も始まっている。

介護保険料徴収額295人分に誤り 岡山市おわび発送へ

2000.10.03(19:37)asahi.com
 岡山市は、10月から徴収が始まった介護保険の1号被保険者(65歳以上)の特別徴収対象者のうち、295人に誤った徴収額を通知していた、と3日発表した。電算処理のミスが原因といい、同市は該当者におわび文を送り、改めて徴収納付書を送付するという。厚生省によると、電算処理のミスに伴う通知間違いは全国で10件余りが報告されている。

 特別徴収の対象者は、年金から保険料を天引きされる人。同市によると、8月1日、市が対象の約8万7000人に通知書を発送した。しかし、市民税と関連させているコンピューターの変換プログラムのミスで、295人に実際より低い徴収額を通知していたという。最も差額の大きい68人には、実際は1万5228円のところを7614円低く通知されていた。

 このため市は、対象者に差額分の納付書を送り、普通徴収として金融機関で納めてもらうという。

 岡山市の岡崎範雄・介護保険課長は「該当者の方には大変な迷惑をかけた。今後はこのようなことがないよう適正な事務処理を心掛けたい」と話している。

亀井氏「介護保険料、低所得者は減免を」

2000.10.02(22:37)asahi.com
 自民党の亀井静香政調会長は介護保険の保険料徴収について、「低所得者に対する配慮が必要だ。来年の通常国会で改革が必要ではないか」と述べ、65歳以上のお年寄りから徴収する1号保険料を、低所得者に対して減免する措置を検討し、来年の通常国会で法改正など必要な措置をとる考えを示した。東京都内で1日夜、記者団の質問に答えた。

 1号保険料は、1日から徴収が始まっているが、低所得者の負担が重すぎるとして、保険料を独自に減免する市町村が相次いでいる。また、低所得者から集めた保険料が高額所得者の家事援助のために使われるように思えては「理解が得られない」と判断した。

 ただ、厚生省は「少額でも全員が負担すべきだ」との立場を繰り返しており、森喜朗首相も「一般財源を用いて一律に減免するのは、制度の趣旨とは必ずしも一致しない」と述べているため、調整は難航も予想される。

介護保険スタートから半年 深まる国と地方との溝

2000.10.01(22:20)asahi.com
 介護保険がスタートして1日で半年がたち、凍結されていた65歳以上の人からの保険料徴収も始まった。だが、厚生省の意向に反して低所得者の保険料を独自に減免する市町村は増える一方だ。応分に負担するという前提が崩れるのを恐れ再考を求める国。高齢者の生活ぶりを身近に知るがゆえに独自策を譲らない地方。市町村からは、「国も税金を投入して徴収を半年延ばしたのに、筋違いだ」と怒る声も聞かれる。地方分権の流れの中で、両者の溝は簡単に埋まりそうにない。

 2760人の署名が減免策のきっかけだった。旧城下町で古い家が密集する和歌山県湯浅町。生活保護を受けている人の割合は県内で2番目に高い。

 町の保健婦、金森敏代さんは、少ない年金で暮らす人たちと接してきた。寝たきりの妻を1人で介護する男性は、ぬれた紙おむつを乾かしてまた使っているという。「月3万円程度で暮らす人には、月2000円強の保険料でもつらい」

 署名活動の中心だった電器店経営林出さん(46)は「互いの生活をよく知っている土地だから、みんな理解してくれた」と話す。署名は人口の約2割。9月末の町議会で、低所得者の保険料を全額または一部免除すると全会一致で決めた。

 山間地にある島根県六日市町。保険料をいったん納めてもらい、あとで町が全額を助成するやり方を選んだ。「提供できるサービスが不十分だから」という。定員30人の特別養護老人ホームが1カ所あるが、50人が順番待ちだ。老人保健施設もない。七五三(しめ)勝巳町長は「国から聞かれれば、いつでも実情を訴える」と公言する。

 やはり9月に減免策を打ち出した愛知県の豊田、碧南、知立3市は「自治体が判断する問題」と強気だ。9月26日の衆院本会議で、森喜朗首相が「一般財源を用いて一律に保険料を減免するのは、制度の趣旨とは必ずしも一致しない」と発言したのを聞いて、ある担当者は「国も同じ税金を使って保険料の徴収を半年延ばしたじゃないか」と語気を強めた。

 ただ、小さな町が国に異を唱えるには勇気がいる。

 「減免はいいが、国に反旗をひるがえして町の福祉は大丈夫なのか」。老齢福祉年金をもらう人の保険料を全額肩代わりする岩手県山田町では、9月に開いた住民説明会で、不安の声が出た。町の今年度の負担額は23万円。役場内では意見が分かれたが、「制度と実情のはざまで悩み、最後は住民の方を向いて決めた」という。

有料老人ホームの4割が多額の介護一時金徴収

2000.09.09(09:14)asahi.com
 高齢者の介護費用を介護保険から受け取れるようになった有料老人ホームの約4割が、介護保険導入後も引き続き新規入居者に数百万円の介護一時金を払うように求めていることが、業界団体の全国有料老人ホーム協会(有料協)の調べでわかった。厚生省は、介護保険に上乗せするサービスの費用を入居者に負担させることを条件付きで認めているが、上乗せサービスの内容や費用の算定根拠といった肝心の情報が入居希望者に十分開示されていない。このため、介護保険からの給付と入居者負担の「二重取り」としてトラブルになる例も出てきそうだ。

 有料協は会員ホーム172施設を対象に、介護保険導入後の介護一時金や管理費、食費などを7月1日現在で調べた。その結果、67施設が一時金の支払いを求めていた。設定されている金額は100万―800万円。300万円台が最多で16施設、200万円台と400万円台が各12施設、500万円台が11施設だった。

 介護一時金を取らないホームは、介護が必要になったときに月額数万円の上乗せ金を徴収したり、基本的には介護保険の範囲内で介護サービスを賄い、おむつ代などの実費を負担してもらったりする方式だ。

 保険からの収入が見込めるため多くのホームは介護保険導入前より介護一時金を下げているが、中にはまったく変更しないホームや「赤字」を理由に値上げするホームもある。

 各ホームが介護一時金で提供するとしているサービス内容などを比較検討する情報はほとんどない。このため有料協は今後、介護保険に対応した入居者向けガイドを作成する。

 有料老人ホームには、介護保険から1人当たり月額約7万―約25万円(利用者負担込み)が支払われる。保険の指定を受けるホームは、看護・介護職員を要支援者10人当たり1人、要介護者3人当たり1人配置する必要がある。対象者30人以上の場合、2.5人当たり1人の看護・介護職員を配置すれば、上乗せの介護費用を請求できる。

介護保険導入で、GDP成長率を0.1%押し上げ

2000.09.08(20:30)asahi.com
 経済企画庁は8日、今年4月からの介護保険の導入が、4―6月期の個人消費を0.2%程度押し上げ、国内総生産(GDP)の成長率を0.1%程度押し上げたとみられる、と発表した。4―6月期のGDPは11日午前に発表される。

 同庁の推計によると、2000年度予算ベースで、介護保険の費用は利用者負担と保険給付を合わせ4兆3000億円。一方、介護保険に移行する形でなくなる従来の高齢者福祉、医療費の合計は3兆7600億円。この差である増加分の5400億円を、四半期ベースに直すと約1500億円のプラスに作用し、成長率の押し上げ要因になる。

与党、介護保険見直しへプロジェクトチーム設置

2000.08.31(19:21)asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党は31日、介護保険制度の運用の見直しを検討するためのプロジェクトチーム(座長・熊代昭彦自民党社会部会長)を設け、初会合を開いた。庭の草むしりやペットの世話など「家政婦代わりに利用している」という批判がある訪問介護サービスの家事援助の適用を厳格にすることが焦点。市町村長や事業者らからヒアリングをして、65歳以上の介護保険料の徴収が始まる10月までに結論を出すことで一致した。

コムスン社長に樋口氏 折口氏は会長専任

2000.08.31(22:03)asahi.com
 在宅介護サービス大手のコムスン(本社・東京)は31日、折口雅博会長兼社長が会長専任となり、樋口公一副会長を社長にあてる人事を発表した。9月1日付。コムスンは、この春に訪問介護サービスの拠点を1200カ所に設けたが、赤字経営が続くなかで拠点を500―550カ所に統廃合して効率化をはかり、2001年に単月黒字化を目指すことにした。

 樋口氏は、コムスンが吸収合併した介護サービス会社を設立して経営してきた実績があるといい、実務面でのさい配をふるう。親会社のグッドウィル・グループの会長でもある折口氏は、コムスンの最高経営責任者(CEO)として残るものの、グループ全体の経営に専念する。

介護サービスのコムスン、サービス拠点をさらに削減へ

2000.08.28(21:56)asahi.com
 在宅介護サービス大手のコムスン(本社・東京)は28日、ホームヘルパーを派遣する訪問介護サービスの全国の拠点を、現在の約700カ所から500―550カ所に減らす計画を発表した。年内に実施する。4月に介護保険が始まった時点では、全国に1200カ所の拠点を設けた。6月、事業の不振を理由に統廃合に踏み切ったばかりで、1年たたずに拠点が半数以下に減ることになる。

 親会社のグッドウィル・グループ(同)の決算発表で折口雅博会長(コムスン会長兼社長)が明らかにした。6月以降の統廃合で、サービス拠点は685カ所になっており、今回の見直しではサービスエリアは変えず、拠点の数だけ減らすという。事業所ごとに常駐する義務がある、サービス提供責任者らの固定費を軽くするねらいだ。

 また、月2億円かけていた広告宣伝費を5000万円に減らすなど、本社の経費も圧縮する。前回は約1400人の人員を削減したが、今回は減らさない。

 合理化の理由を、折口会長は「一刻も早く事業を黒字にするため」と語る。コムスンの4―6月の売上高は14億9900万円、経常損益は85億3000万円の赤字だった。経費節減を進め、来年1月に単月での黒字をめざすという。

介護保険見直しに与党3党が着手 家事援助など焦点

2000.07.26(00:23)asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党は25日の政策責任者会議で、今年4月に導入された介護保険制度の運用見直しの検討に着手した。ホームヘルパーの掃除や洗濯を想定した家事援助の利用者が、「家政婦代わり」に庭の草むしりやペットの世話、家具の修繕まで求めた事例が報告されていることから、家事援助の利用制限などが焦点となる。

 与党内に「家政婦のために保険料を払うのか」など批判が出てきたため、亀井静香自民党政調会長は23日、家事援助の実態を把握するよう津島雄二厚相に要請。25日の与党政策責任者会議でも「例外のはずの家事援助の利用割合が多いのはおかしい」などの意見が出た。

 一方、厚生省は不適正な事例の基準を示し、事業者は不適正なサービスの要求を拒否できると指導しているため、「市町村に混乱を与える」などと見直しには慎重な姿勢だ。

「自治体はケアマネ支える態勢を」厚生省が“支援会議”

2000.07.26(20:01)asahi.com
 厚生省は26日、大学教授や医師、省内の担当者らでつくる「介護支援専門員(ケアマネジャー)支援会議」を初めて開き、事務作業に追われがちなケアマネジャーを支えるため、都道府県ごとに同様の「支援会議」を設けて実情調査をしたり、技術研修などのサポートをしたりするよう、自治体に促す方針を明らかにした。

 ケアマネジャーは、介護保険制度で要介護認定を受けた高齢者らの相談に応じ、心身の状態に応じた介護サービス計画(ケアプラン)をたて、サービス事業者の手配などや日程調整なども行う。しかし、制度の立ち上がりということもあって事務作業が多く、「本来の仕事ができない」という悩みや、利用者と事業者の板挟みになるといった負担が指摘されていた。

宮崎・延岡の病院、全国初の介護保険指定事業者取り消し

2000.07.18(22:09)asahi.com
 宮崎県は18日、介護保険法による介護療養型医療施設の指定を申請する際、必要な医師数を満たしていないのに虚偽の記載をして指定を受けたとして、同県延岡市柳沢町2丁目、医療法人八田病院(八田純雄理事長)の指定を8月10日付で取り消すと発表した。厚生省によると、介護保険の指定事業者取り消しは全国初という。

介護保険、サービス事業者と厚生省が意見交換会

2000.06.15(22:16)asahi.com
 介護保険で訪問介護サービスを提供している事業者の3団体から厚生省が実情を聞く第3回意見交換会が28日あった。事業者側は「報酬単価が低い家事援助が多いところで7割を占め、経営を圧迫している」と訴えた。ヘルパーが契約外の仕事をさせられたとの声もあり、厚生省は「不適切な事例集を公表するなどして、業務の適正化を図りたい」としている。

 厚生省によると、「家事援助サービスの契約にもかかわらず、単価の高い身体介護にあたる仕事を頼まれる」「草むしりや窓ガラスふきまでさせられる」などの不満が出された。

 全体として「家事援助の単価を上げてほしい」との注文が多かったという。

 また、「ケアマネジャーが給付管理の事務作業で忙しく、本来の仕事ができない」との報告もあった。

大同、太陽生命が無料の介護情報サービスを7月から開始

2000.06.15(21:26)asahi.com
 大同生命保険(本社・大阪)と太陽生命保険(同・東京)は7月1日から、保険の契約者と被保険者を対象に、地域の介護情報を無料で紹介するサービスを始める。

 医療福祉情報サービス会社と提携し、全国約2300市町村で事業を営む約2600の介護事業者の紹介や取り次ぎをする。両社では4月から介護保障保険の販売を始めているが、顧客から優良なケアマネジャーや事業者が知りたいという要望が高いため、情報提供サービスの開始を決めた。問い合わせはフリーダイヤル(大同=0120―269480、太陽=0120―811010)で。

コムスン労組が初の団交 会社側は解雇はしないと回答

2000.06.20(22:44)asahi.com
 介護サービス事業の不振に伴い、大規模な人員削減を進めている在宅介護サービス大手のコムスン(本社・東京、折口雅博会長兼社長)と、労働組合による初の団体交渉が22日、開かれた。労組の「全国一般埼京ユニオン・コムスン分会」が遠隔地への異動や希望退職に応じなかった社員の身分保障などを求めたのに対し、会社側は「個別に話し合いをしたい。解雇はしない」と答えた。

 希望退職の募集などはホームヘルパーや営業、事務の約1600人が対象で、約1400人が希望退職に合意した。約50人は広域的な異動に応じた。残る約150人は、同組合のメンバーをはじめ、意思表示をしていない。

 団交で組合は、介護保険の開始2カ月余りで事業拠点の4割を減らし、人員の3割を削減する経営責任をただしたが、会社側は「この状況下ではベストの経営をしている」と答えた。

介護大手のコムスン、希望退職募集に1400人

2000.06.20(21:13)asahi.com
 介護サービス事業の不振に伴い、合理化を進めている在宅介護サービス大手のコムスン(本社・東京、折口雅博会長兼社長)は20日、社員に異動や希望退職を求めた結果、1400人が希望退職に応じたと発表した。同社は「強制的な解雇はなかった」と説明している。しかし、地域に密着して働いているホームヘルパーらに遠隔地への異動を提示し、応じない場合は希望退職を求めるなど、異例の合理化となった。

 異動と希望退職は、全社員の約36%に当たる計約1600人に13日付で提示され、18日付までの6日間が結論を出す期限とされた。希望退職を提示されたのが700人。異動するか希望退職を選ぶよう求められたのは900人で、異動を受け入れたのはこのうちの約50人だった。

 退職は23日以降に実施し、約4400人いた社員は約3000人に減る。希望退職は郵送でも受け付けており、退職者が増える可能性もあるという。

 同社は、訪問介護を中心に全国約1200カ所にサービス拠点を開設して、4月の介護保険スタートを迎えた。しかし、利用者ゼロの事業所が約250カ所にのぼり、利用者がいても単価の安いサービスに集中するなどで苦戦し、合理化を迫られていた。

事業拠点の統廃合など発表 コムスン

2000.06.16(23:21) asahi.com
 ホームヘルパーら社員の大幅削減計画が明らかになった在宅介護サービス大手のコムスン(本社・東京)は16日、全国1208カ所の事業拠点を4割減の731カ所に統廃合するなどとした計画の詳細を発表した。利用者の多い都市部に集約するねらいだとし、異動や希望退職募集の対象は社員の3分の1を超す1600人に上ることも明らかにした。遠隔地への異動に応じられないなどの事情で、退職を迫られる社員は約1400人になるとみられる。

 統廃合するのは利用者が2人以下の事業拠点で、現在の計画では477カ所としている。このうち約250カ所は顧客がゼロだったという。利用者には、原則として隣接する事業拠点がヘルパーを派遣してサービスを継続するが、やむを得ない場合にはほかの事業者に確実に引き継ぐ、としている。

 また、社員約4400人のうち900人を対象に東京・大阪などへの異動を打診、ほかに700人に希望退職の募集を通知した。異動に応じない場合は希望退職を提示したといい、折口雅博会長兼社長は「異動に応じるのはせいぜい2割」との見方を示した。

 退職金などの特別損失が発生することから、親会社「グッドウィル・グループ」の今年6月期連結業績予想について、2月時点で約8億円の黒字と見込んでいた当期損益を、約88億円の赤字に下方修正した。コムスンの事業見通しでは、7月から1年間で売上高350億円、経常利益1億円を達成する計画を示した。全国で1日に150人ずつ利用者が増え、1人あたりの利用額が月額7万円として計算したという。

 経営責任について、折口会長は「未知の事業分野で、変化がありうることは社員も理解のうえ入社していると思う。我々の戦略以外に成功の道はなかったと思う」と語った。

介護大手コムスンの1000人削減で地方切り捨ての懸念

2000.06.15(22:28)asahi.com
 介護保険には、高齢者介護に民間企業の参入を促すことでサービス不足を解消し、質の向上にもつなげるねらいがあった。だが、最大手の一つコムスン(本社・東京)が1000人規模の人員削減を柱に早々と事業の縮小を決めたことで、介護保険の「仕掛け」が本当に機能するのか、正念場を迎えることになった。民間が過疎地などから撤退することによるサービスの「空白」も心配される。

 コムスンの事業縮小は、始まって2カ月余りの介護保険市場で、民間事業者が予想以上に苦戦している状況を示している。

 東京都内で、約100人の高齢者宅にホームヘルパーを派遣している事業者はコムスンのリストラに「ひとごとではない」と深刻だ。当初、報酬単価が低い「家事援助」は全体の4割と予想したが、6割を占め、収入見込みが大幅に狂った。

 「訪問介護サービスを一本化してほしかった。このままでは撤退する事業者が増えるだろう」という。

 ただ、1000カ所以上を一気に立ち上げたコムスンのやり方に「もともと無理があった」(大手事業者)とみる関係者もいる。

 コムスンと並ぶ最大手のニチイ学館(同)は積極的な姿勢を変えていない。利用者がゼロか1人という事業所が5月末現在、全体の3割近い217カ所にのぼっているが、寺田大輔取締役は「2カ月だけで事業性を判断するのは早急すぎる。介護サービス市場は40―50年伸び続ける。少なくとも、今ある事業所の統廃合や人員削減は考えていない」と明言する。

 介護保険に先立って国のモデル事業が行われた宮城県栗駒町では、事業に参加したコムスンが引き続き訪問介護と訪問入浴を提供していることから、15日、町職員が確認作業に追われた。コムスン本社は「撤退はない」としているが、町は「あす、地元の責任者に面会したい」という。

介護大手のコムスン、社員1000人削減へ

2000.06.15(03:08) asahi.com
 在宅介護サービス大手のコムスン(本社・東京、折口雅博会長兼社長)が、社員約4000人の半数近くを対象にした希望退職や解雇によって、約1000人の削減を計画していることが14日、明らかになった。同社は4月の介護保険スタートに向け、全国約1200カ所に事業所を設けるなど急速に事業を拡大した。しかし、単価が低いサービスの利用が予想を上回るなど市場予測の誤りもあって苦戦、事業規模の大幅縮小に踏みきった。ほとんどの社員は今年に入って採用されたばかりで、きわめて異例のリストラになる。

 同社は、利用者が少ない事業所を閉鎖するか縮小する一方で、利用者の多い事業所を拡充するといった組織の見直しをし、人員の再配置に合わせて人員削減を進めるとしている。閉鎖・縮小計画の対象となる事業所の社員に希望退職や異動を求め、異動に応じない場合には、解雇するケースも出る見通しだ。

 退職者には、給与3カ月分を基本に、特別退職金を支給する。過疎地などの社員を中心に、今月13日付で通知したという。現時点で、事業所の何カ所を閉鎖するかは未定という。

 同社は「利用者が少ない地域のサービス態勢を見直す。従って、利用者に迷惑をかけることにはならないと思う」と言っている。

 コムスンは介護保険のスタートに合わせ、昨年まで約100カ所しかなかった事業所を一気に1200カ所に増やした。事業所1カ所あたり、介護支援専門員(ケアマネジャー)を含む社員を3―4人、パートタイマーのヘルパーを十数人ずつ配置した。1万人以上のスタッフを集めるため、今年1月だけで求人広告に8億円をかけた。

 情報技術(IT)関連の人材派遣や事務処理を手がける親会社のグッドウィル・グループ(本社・東京)が資金面を支えてきた。

 介護サービスが始まり、4月の1カ月間の利用状況を調べたところ、客単価の平均が6万4800円で、予想の9万7000円を大きく下回った。同じ訪問介護サービスでも、単価の高い身体介護よりも、単価の安い家事援助を選ぶ利用者が多かったためだ。事業所によって営業成績も大きく異なり、事業の抜本的な見直しを進めていた。

介護報酬請求書類の3割強にエラー 都内の事業者

2000.06.09(03:09) asahi.com
 介護保険で、東京都内のサービス事業者から4月分の報酬として請求があった計29万件、約180億円分のうち、3割を超える9万件に書類上の不備があったことが8日、明らかになった。都はこれらの支払い不能分について、請求金額の9割を事業者に前払いする方針を決め、各区と市町村の同意を得た。本来は事業者に差し戻して再審査となり、支払いが1カ月遅れる。このため、事業者の経営を圧迫することが心配されていた。

 都の対応方針によると、不備があった分は、請求額が記入されていないなどの例を除き、請求額の9割を今月末に支払う。事業者は6月分の報酬請求と一緒に再請求し、精算することとする。原則として4月分のみの対応としている。

 介護保険では、各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)が請求書類の審査と支払いに当たる。審査の際は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の給付管理表と請求書を突き合わせ、データの不一致や記入漏れなどがあると、はじかれる仕組みだ。

 東京都国保連が不備とした書類は、日付の記入形式が違っていたり、必要な項目が抜けていたりで、事業者の勘違いと思われるものも目立ったという。

 都介護保険室は「請求書の9割以上にミスがある事業者もあった。制度の円滑なスタートのために、請求の9割を前払いすることにした」としている。

介護事故予防への取り組み不十分 国民生活センター

2000.06.06(21:38)asahi.com
 介護中などに起きた事故の報告書を作って再発防止を図っている高齢者施設は少なく、損害保険を請求するケースも限られる――。国民生活センターが首都圏の特別養護老人ホームなどを対象に昨年行った介護事故の実態調査で、こんな結果が出た。介護保険では、事故が起きた場合速やかに市町村や家族に連絡することがサービス事業者に義務づけられたが、事故原因の調査や分析に取り組む姿勢は事業者によって大きなばらつきがあるようだ。

 調査は首都圏にある特養ホームと有料老人ホーム計16施設を対象に面接で行った。最近数年間に起きた事故を中心に220の事例を分析した。

 種類別では、「転倒」が64例で最も多い。「ベッドからの転落」26例、「原因不明の骨折・あざ・出血など」21例、「誤飲」20例――と続く。

 事故報告書の書式は16施設中10施設が作っていたが、日常的に活用しているのは2施設だけ。未遂事例も含めて報告書を提出させ、サービス全体の見直しにつなげている施設は1カ所しかなかった。

 この施設では、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のお年寄りが大たい骨を骨折した際、体位変換やおむつ交換などが原因になった可能性があると考え、それ以後、2人の職員でおむつを交換するようにするといった工夫をした。

 損害賠償責任保険にはすべての施設が加入していたが、保険金を請求していたのは6施設13件(保険が支払われたのは12件)で、全ケースの5%にすぎない。すべての事故について施設に責任があるわけではないが、「家族は保険のことを知らない」「家族が賠償を請求しなかった」などを理由に、保険請求を控えている場合が多かった。

 国民生活センターの調査報告書は、転倒防止という「結果」だけでサービスを評価すると、施設がお年寄りの身体抑制に傾く恐れがあるとして、「施設側の介護事故防止と抑制に対する考え方を確認するとともに、廊下の段差やベッドの高さ、照明、職員の配置状況などにどんな配慮がされているか注意する必要がある」としている。

介護施設の「身体拘束」実態を初の全国調査 厚生省

2000.06.04(10:38)asahi.com
 介護保険施設での「身体拘束」をなくすため、厚生省は全国の施設を対象にした初の実態調査を実施し、改善指導に乗り出すことを決めた。9日には「身体拘束ゼロ作戦推進会議」を発足させる。また、市町村の委託で利用者からの相談を受け、施設に対して拘束廃止の助言・指導をする「介護相談員」を新設、7月から養成を始める。

 身体拘束は、高齢者をベッドや車いすにベルトやひもで縛りつける、自分では脱げないつなぎの服を着せるなどの行為を指す。「抑制」とも呼ばれ、特別養護老人ホームなどの介護保険施設では、厚生省令で原則禁止された。介護保険の指定取り消しもある厳しい基準だが、制度スタート後もなくなっていない。

 このため厚生省は、「介護の質の向上は介護保険の成否にかかわる」(丹羽雄哉厚相)として、身体拘束ゼロ作戦を打ち出した。

 推進会議には、病院・施設団体、利用者・家族の代表に加え、先駆的に努力してきた施設代表らが参加。縛らない介護のマニュアルづくりや介護用具の開発にも取り組む。

 実態調査は、介護サービス事業者への都道府県の監査指導を通して行う。

 拘束している場合は(1)状態(2)時間(3)理由(4)本人や家族の承諾の有無(5)施設内の手続きなどを調査。ほかに方法がないかも検討して、改善の指導をする。

 介護相談員は、利用者の立場に立って施設との橋渡しに当たる。民生委員経験者などのボランティアで、現時点で全国の154市町村が計800人の養成を希望している。厚生省が「さわやか福祉財団」(堀田力理事長)に養成を依頼、早ければ9月以降に現場に出る見込みだ。

衰弱死の母親遺体、3週間放置 東京・足立

2000.06.03 The Sankei Shimbun
 警視庁綾瀬署は三日までに、死亡した母親の遺体を自宅に約三週間放置したとして、死体遺棄の疑いで東京都足立区弘道一ノ一五ノ一、運転手、鈴木幸信容疑者(48)を逮捕した。

 調べでは、鈴木容疑者は五月七日午前六時ごろ、同居していた母親のシゲさん(82)が六畳間のベッドで衰弱死しているのを見つけたが、そのまま同二十八日まで放置した疑い。

 二十八日に鈴木容疑者宅を訪れたシゲさんの長女(52)が遺体を発見し、綾瀬署に届けた。

 同署は、遺体放置の理由などを調べている。

寝たきりの母を放置して死なせたと、殺人罪で起訴 茨城

2000.05.27 (21:50)asahi.com
 同居していた寝たきりの実母を放置して死なせたとして、水戸地検は27日、茨城県鉾田町半原、土木作業員小沼幸夫容疑者(37)を殺人の罪で水戸地裁に起訴した。小沼容疑者は今月6日、保護責任者遺棄致死の容疑で、県警鉾田署が逮捕、同地検に身柄を送検していた。

 起訴状によると、小沼容疑者は、脳血管障害の後遺症などで、寝たきりの重度障害者であった実母の幸子さん(当時56)と同居していたが、4月15日ころから同月下旬ころまでの間、幸子さんの傍らに数日分の水と食料を置いただけで、殺意を持って家を立ち去り、幸子さんを放置し、栄養状態不良などで衰弱させて殺害した、とされる。

 殺人罪で起訴したことについて、同地検の石橋基耀次席検事は「被害者は寝たきりで、介護なくしては生存できないこと、小沼容疑者は被害者に対する殺意も認められることなどを総合的に判断した」とコメントしている。

 同町保険課によると、小沼容疑者は町に母親の要介護認定の申請をしていた。申請には主治医の意見書が必要だったが、母親を主治医のもとに連れていかなかったため、介護認定審査会にはかれなかったという。

伸び鈍い訪問介護サービス

2000年5月22日 19時48分共同
 大手訪問介護のニチイ学館は22日、4月以降の訪問介護サービス利用者の伸びが鈍いことを受け、デイサービス(通所介護)など訪問介護以外の事業を拡大すると発表した。ライバル社のコムスン(東京都)も事業計画の見直しを進めており、介護保険開始後2カ月足らずで事業者側は予想外の軌道修正を迫られることになった。

グループホームの質確保を

2000年5月20日 15時59分 共同
 介護保険のスタートで今後、全国的に普及するとみられる「痴ほう性高齢者グループホーム」のサービスの質をどう確保していくかを話し合う全国シンポジウムが28日、全国痴呆(ほう)性高齢者グループホーム連絡協議会(事務局横浜市)の主催で東京都墨田区の江戸東京博物館で開かれる。

介護労働者の雇用助成が人気、2カ月で目標の1万人

7:29p.m. JST May 11, 2000 asahi.com
 労働省は11日、介護労働者を雇い入れた社会福祉法人や民間企業、非営利組織(NPO)などに対する「人材確保助成金」制度の実績が、4月からの2カ月で今年度の目標を上回る見通しだと発表した。4月からの1年間で1万人の雇用増を図るのが目標だったが、実績は1カ月間で約8300人に達し、今月末には1万2、3000人ほどになりそうだという。

 この制度は、4月に施行された改正介護労働者法の「目玉」として創設された。新たな介護サービスや事業を始めた事業者に対し、常勤の新規雇用者1人につき賃金の2分の1を1年間支給する(6人まで)。

 労働省では「このペースだと年度内に3万人前後の雇用増につながる可能性もある」とみている。

介護保険導入で255健保が財政支援を申請

8:58p.m. JST May 10, 2000 asahi.com
 大企業の社員らが加入する健康保険組合のうち、255組合が介護保険導入に伴う政府の財政支援を申請したことが10日、健康保険組合連合会(健保連、1766組合)の中間集計でわかった。申請額は合計で203億3690万円余り。今後さらに申請が増える、と健保連はみている。

 財政状況の厳しい健保組合に対する支援は政府が昨年、介護保険の特別対策の一環として決め、1999年度第2次補正予算に2000―2001年度分として計600億円を計上した。支援を受けるには、(1)介護保険と医療保険の保険料率(月収に対する保険料の割合)の合計が、中小企業の従業員らが加入する政府管掌健康保険の保険料率(月収の8.5%)を超える(2)支払いに備える法定準備金が3カ月未満――などの条件がある。

 健保連は10日、与党3党が医療保険制度改正関連法案の今国会成立を断念したことを受けて、改正の遅れに伴って生じる介護保険料の収入不足分について延納を認めることや、延納による将来の過重な負担を避けるため必要な財政措置を講じるよう、政府・与党などに申し入れた。

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寝たきりの母親を放置、衰弱死させた疑いで息子を逮捕

01:20a.m. JST May 07, 2000 asahi.com
 同居していた寝たきりの実母を放置して死なせたとして、茨城県警鉾田署は6日、同県鉾田町半原、土木作業員小沼幸夫容疑者(37)を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕した。

 調べでは、小沼容疑者は今年4月23日ごろから今月2日までの間、重度の身体障害で自力歩行ができない母親の幸子さん(56)を自宅に置き去りにして家を空け、衰弱死させた疑い。同容疑者は「世話をするのが嫌になって、家を出た」と言っているという。

 幸子さんは小沼容疑者と2人暮らし。1年半ほど前から同県旭村の身障者療護施設に短期入所を繰り返していた。4月スタートの介護保険制度の適用を受けようとしたが、同施設は同制度の指定事業所ではなかったため、3月25日に退所。自宅に帰ってからは小沼容疑者が食事の世話などをしていたが、4月23日ごろから家を空けたらしい。小沼容疑者は今月2日、自宅に戻り、布団の中で死んでいる幸子さんを発見、同署に届けたという。

 鉾田町保険課によると、小沼容疑者は町に要介護認定の申請をしたが、介護認定審査会にはかるためには、主治医の意見書が必要なことから、同課は幸子さんを主治医のところに連れていくように、たびたび催促の電話を入れた。しかし、小沼容疑者は「必ず連れていきますから」と答えたものの、結局は連れていかなかったという。

重度障害の母死なせ逮捕

2000年5月6日 18時00分 共同
 茨城県警鉾田署は6日、介護が必要な寝たきり状態の母を放置し死なせたとして、保護責任者遺棄致死の疑いで、鉾田町半原、土木作業員小沼幸夫容疑者(37)を逮捕した。小沼容疑者は4月23日ごろから今月2日までの間、寝たきり状態の母幸子さん(56)を自宅に置いたまま外出し、4月30日ごろ、幸子さんを衰弱死させた疑い。同容疑者は「面倒を見るのがいやになった」などと話しているという。

介護保険の短期入所と訪問サービス、利用限度額一元化へ

06:25a.m. JST April 29, 2000
 介護保険制度で、ホームヘルパーによる訪問介護などの訪問通所サービスと、特別養護老人ホームなどの施設への短期入所(ショートステイ)の2つに分けて設けられている利用限度額・日数について丹羽雄哉厚相は28日、1年後をめどに一元化する方針を明らかにした。高齢者を介護する家族や保険を運営する自治体から、ショートステイの利用日数の拡大を求める意見が出ていることに考慮したものだ。

 厚相は朝日新聞記者のインタビューに対し、「個人的な見解で、様々な意見を聞かなくてはならないが、1年後をめどに一元化することは、検討課題だと思っている。多くの方々や市町村から要望が出ている」と述べた。

 在宅で介護を受ける高齢者は、介護が必要な度合い(要介護度)に応じて利用できるサービスの上限が定められており、この範囲内でホームヘルパーの訪問介護やデイサービスなどを組み合わせる。

 ただ、ショートステイについては、希望が集中して使えない人が出るといった事態を避けるため訪問通所サービスとは別枠で扱い、半年の間に利用できる日数が決められていた。

 その結果、「以前より使える期間が短くなる」との不満が利用者から噴出。厚生省は先月、ショートステイのための施設が整備されている自治体を対象に、1カ月2週間を限度に訪問通所サービスの分をショートステイに振り替えることを認めた。

 しかし、振り替え分については、利用者がいったん全額を払い、後で九割分の払い戻しを受ける手続きが必要になる。このため、もっと使いやすくするには限度額の一元化が必要だとの意見が出ていた。

  ◇   ◇

 <在宅介護サービスの利用限度額・日数>
     訪問通所サービス(月) ショートステイ(半年)
 要支援    6万1500円     1週間
 要介護1  16万5800円     2週間
 要介護2  19万4800円     2週間
 要介護3  26万7500円     3週間
 要介護4  30万6000円     3週間
 要介護5  35万8300円     6週間

NPOの介護事業は内容次第で非課税も 蔵相が国会答弁

10:01p.m. JST April 27, 2000
 非営利組織(NPO)法人による介護サービスの所得を、大蔵省・国税庁が法人税の課税対象と決めた問題について、宮沢喜一蔵相は27日の参院財政金融委員会で、「NPOはすべて課税というわけではないし、なんでも非課税というわけにもいかない。個々のNPOの活動、事業内容に即して判断し、場合によっては非課税もありうる」と答弁した。桜井充委員(民主)の質問に答えた。

 宮沢蔵相は「同じことをして、社会福祉法人は非課税、NPOには課税するというだけの説明では十分でないと思う。NPOに偏見を持たず、新しい考え方を打ち出さなければならないかもしれない」と述べた。

 一方、薄井信明大蔵事務次官は同日の記者会見で、「NPOの税負担の在り方を考えるなら、立法論として議論する必要がある」と述べ、NPOの介護サービスを非課税にするためには、その条件などを税法上、明確にする必要があるという認識を示した。

 法人税法では、NPOも特定の33種類の収益事業を行う場合は課税対象となる。大蔵省・国税庁は、訪問看護などの介護サービスは収益事業の1つの医療保健業にあたると判断した。社会福祉法人は非課税で、NPO団体などが「不公平だ」と非課税扱いを要請しており、厚生省も来年度税制改正で、NPOを非課税にするよう求める方針だ。

介護保険サービスの利用に上限定めた自治体も

11:46p.m. JST April 24, 2000
 介護保険で提供される個別のサービスについて、独自に上限を設けて利用を制限する自治体が出ていることが、朝日新聞の全国市町村アンケートで明らかになった。上限を設けたと回答したのは、三重県中部の一志地区広域連合(一志町や嬉野町など6町村で構成)と埼玉県和光市で、いずれも介護保険条例に上限を定めた規定を盛り込み、4月から実施している。特定のサービスが不足する可能性を公式に認め、そのうえで希望者に公平に行き渡るようにする措置だ。

 一志地区広域連合は、日帰りで施設に通い食事や入浴をするデイサービス(通所介護)について、「国が定めた利用限度額の80%まで」との制限を設けた。担当者は「家族が農作業などに手を取られるうえ、他人を家の中に入れたがらない地域性もあって、どうしてもデイサービスに人気が集まる」(長崎直子介護保険課長)と話す。

 同広域連合は、要介護1の一般的なケースで、デイサービスの最大利用回数が月18回から16回に減ると説明している。

 和光市は、デイサービスに加え、高齢者が医療機関や老人保健施設に通って機能回復を図る「通所リハビリテーション」にも上限を設けた。国のモデル利用量を基に標準的な利用回数を定め、デイサービスはその60%、通所リハビリは75%までに制限した。

 これによって、要介護1の場合、デイサービスが利用できるのは実質的に月4回に限定される。

 介護保険制度は、介護が必要とされる度合い(要介護度)に応じてサービスの利用限度額を設けている。たとえば要介護1の場合は訪問通所サービスは月額16万5800円で、この範囲内で、ホームヘルパーが自宅を訪れる訪問介護やデイサービスなどを使うことになっている。

 一方で、利用者間の不公平や「奪い合い」を防ぐため、自治体が一部のサービスについて独自の限度(種類支給限度基準額)を設けることも認めている。ただし、条例で定めることが必要なため、厚生省はこれまで「サービス不足を内外に公言することになる」(担当者)として、実際に踏みきる自治体はほとんどないと見ていた。

介護保険実施2週間、苦情や不満は2358件

0:53p.m. JST April 15, 2000
 介護保険の実施から2週間で、全国の市町村に寄せられた苦情の件数は2358件にのぼったことが15日、厚生省のまとめでわかった。2週間を通じて、サービス提供事業者やケアマネジャー、利用者の連絡がうまくいかないことによる苦情のほか、サービス自体に関する不満が目立つ。厚生省では、今後の改善指導などの参考にしていく方針だ。

 厚生省が都道府県を通じて、介護保険が始まった1日から14日までの苦情の状況をまとめた。最初の1週間に1575件あったのが、2週目には783件と半減し、数字の上からは日がたつにつれて次第に制度になじんできていることはうかがえる。

 2週目に問題事例として報告された中では、「訪問してきた看護婦やホームヘルパーの態度が悪い」「老人保健施設で、オムツがずれているなどサービスの質が悪い」「訪問入浴介護で事業者が1時間半も遅れてきたため、ほかのサービスを受ける時間にずれ込んでしまった」といったサービス提供そのものに関する苦情が多かった。

 このほか、「制度が始まる前と同じ頻度で施設での日帰り介護を受けようとすると限度額を超えてしまい、自己負担が大きくなる」「ショートステイ(短期入所)で、急な発熱のため入所を取りやめたが、キャンセル料を取られ納得できない」などの負担をめぐる苦情や、「周りの人と同じような状態なのに、自分の介護度だけが低く不公平」という要介護認定に関する不満もあった。

 苦情の件数は、サービス不足・サービスの内容について481件▽利用者負担で401件▽要介護認定379件▽ケアプランの作成遅れや内容354件――などだった。

介護保険の巡回相談開始

2000年4月10日 14時51分
 噴火中の有珠山を抱える北海道虻田町は10日、介護保険制度の巡回相談を各避難所で始めた。住民のほとんどが町外に避難しているため、担当者は11日までに、近隣4町村の計16カ所の避難所を回る予定。

介護サービス、NPO事業参入は1%

06:02a.m. JST April 09, 2000
1日から始まった介護保険制度で、都道府県からサービス事業者の指定を受けた特定非営利活動法人(NPO法人)は、延べ274事業所で、事業者全体の約1%にとどまっていることが朝日新聞社の調べで分かった。NPO法人は、高齢者の介護のほか、幼児や障害がある人を預かるなど、幅広く活動している。民間企業と並んで、介護サービスの重要な担い手として期待されているが、NPO本来の活動が制約されることを避けるため、指定を受けない法人も目立つ。

 各都道府県に3月下旬の指定状況を聞いた。介護サービス事業の指定を受けた事業所は、社会福祉法人や医療法人を除くと、延べ2万8840。このうちNPO法人関係は、ホームヘルパーを派遣する訪問介護が185▽日帰りの通所介護が58▽グループホームが10などだった。

 複数の事業の指定を受けている法人もあり、実際のNPO法人の数は200前後とみられる。

 NPOの指定数が最も多かったのは神奈川県(36)。次いで東京都(35)、大阪府(24)と続き、大都市に集中している。一方、NPOが参入していない指定ゼロは、青森、茨城、山梨、山口、鹿児島など15県あり、3割余りを占めた。

 経済企画庁によると、NPO法人の認証を受けている団体は3月末の時点で1724。同庁の昨年9月末の実態調査では、NPO法人の64%が「保健、医療、福祉」を活動分野に挙げていた。介護と関係があるNPO法人は1000余りと推計される。

 NPOの参入が低調な背景には、介護保険の要件が厳しいという面もある。指定を受けるためにサービスごとに部屋を分けたり、専従の職員を置いたりしなければならず、踏み切れない団体が多いようだ。

 「NPO事業サポートセンター」事務局長の田中尚輝さんは「まだ一部とはいえ、資金もネットワークもない草の根団体が、よくぞこれだけ参入してきたと思う。介護保険のサービスだけでなく、保険外のサービスにも力を入れることで、存在感を示してほしい」と話している。

1週間で苦情1557件 介護保険スタート

10:15p.m. JST April 08, 2000
 1日から始まった介護保険制度で厚生省は8日、利用者や事業者から全国の市町村に寄せられた苦情が1週間で1557件に上ったと発表した。スタート直後の3日間(335件)に比べて、4、5の両日は642件と増えたが、6、7の両日は580件と減少傾向を示した。制度に不慣れなため、利用者とサービス提供事業者との間の行き違いから生じたものが多かった。

 苦情は、「4月から事業者を変えたが、ヘルパーに不満なので元の事業者にしたい」「訪問入浴サービスの際にやってもらうことになっていた便の摘出をしてもらえなかった」など、サービス内容に対する不満が目立つ。「利用者が毎日のようにサービス利用時間を変更する」など事業者からの苦情もある。

 「施設入所の際に車いすを購入するよう言われた」との苦情で、定められた利用料以外の負担を求めたと分かり、自治体が施設を指導したケースもあった。

 1週間の苦情の内訳は、利用者負担に関するものが289件▽サービス内容が289件▽ケアプランの内容が232件――などだった。

市町村による介護サービス量、2年間で急増

11:06p.m. JST April 07, 2000
 介護保険法の成立から実施までの2年間で、ホームヘルパーによる訪問介護の回数が2.15倍に増えるなど、市町村の介護サービス量が大幅に伸びた――。介護保険の導入に積極的だった174の市町村でつくる「福祉自治体ユニット」が7日、会員のうち114市町村を対象に1997年度と99年度末の介護サービス状況を比較した結果を発表した。

 調査によると、市町村が提供した介護サービス量は、通所介護(デイサービス)は1.5倍、短期入所(ショートステイ)は1.23倍、訪問看護サービスは1.55倍に増えた。特に訪問介護は、長崎県佐世保市の4.67倍をはじめ、3市で4倍以上の伸びを示した。

 「ユニット」の会員自治体の人口規模は平均約3万3900人。全国平均の3万8700人より少ない。

人事のごたごたで入所受け入れできず 東京の特養ホーム

2:46p.m. JST April 06, 2000
 介護保険に向けて開設された東京都杉並区の特別養護老人ホームで、人事をめぐるごたごたで施設長など職員4人が職務を離れる事態となり、介護保険の要介護認定を受けて入所が決まっていた高齢者の受け入れができなくなっていることがわかった。施設運営の正常化が遅れると、入所希望者に深刻な影響が出ることが予想される。都と杉並区は関係者から事情を聴くなど、調査を始めた。

 この施設は社会福祉法人「えのき会」(榎本信雄理事長)が運営する沓掛ホーム(同区本天沼3丁目、入所定員60人)。

 区や関係者の説明では、同ホームは3月31日に都から特別養護老人ホームとしての施設認可を受け、1日から介護保険の指定施設となった。これに先立って、区内の入所希望者のうち緊急性の高い9人に受け入れを通知。3日以降に順次、受け入れる手はずになっていたという。

 ところが、法人側は1日の辞令交付式で開設準備の中心だった看護・介護部門の職員3人に辞令を渡さなかった。理事を兼ねている施設長は5日になって辞表を出した。

 職員は約25人が残っているが、新規の採用者が多く、入所者の受け入れができなくなった。同ホームは、入所希望者に今月中旬まで待ってくれるよう伝えたと説明している。

 関係者によると、3月末になって理事長らが介護部門のトップにいた職員を辞めさせる意向を示し、施設長らが反対したという。

 この職員は「理事から、あなたはえのき会にあわないから辞めてくれと言われた。全く心当たりがなく、理由も説明してもらえなかった」と話している。

 保住俊朗事務長は「(この職員の人事については)私には状況がわからない」と話している。

 都高齢者施策推進室地域施設課は「トラブルがあったことは確認している。少しでも早く正常化するよう指導したい」という。区西福祉事務所によると、同ホームへの入所希望者は124人いる。

  同会は昨年3月、社会福祉法人の認可を受けた。ホームは短期入所(12床)と日帰り介護(デイサービス)の機能も備えている。建設費は約12億円。国、都、区から計9億円余りの補助金を受けた。残りは社会福祉・医療事業団の融資で、元本返済分は区が負担することになっている。

「重度の人しか扱わない」

2000年4月6日 11時29分
 介護保険がスタートしてから5日間で,全国の市町村に977件の苦情が寄せられたことが,6日、厚生省の集計で分かった。

 苦情の中には「在宅サービス事業者が『重度の要介護者しか扱わない』として、要支援のお年寄りにはサービス提供しないので困っている」「介護支援専門員(ケアマネジャー)が特定の事業者を勧め、選択の余地がない」といったケースもあった。

介護保険、初日は大きな混乱なし

00:28a.m. JST April 02, 2000
 1日スタートした介護保険制度について、厚生省は「緊急を要するトラブルに関する連絡はなく、順調にスタートしたようだ」と見ている。介護サービスの利用者や事業者、市町村からの問い合わせは厚生省の相談窓口に43件。全国の都道府県には朝日新聞社が同日夕までに集計したところ、計約650件が寄せられた。都道府県は「予想より少ない」という反応が大半だった。

 厚生省は都道府県を通じて全国の市町村に対し、「大きなトラブルは必ず連絡するように」と伝えていた。午後6時までに寄せられた43件のうち、自治体が20件、事業者が9件。利用者からは14件あり、「ケアマネジャーの説明が足りない」「デイサービスの負担が増える」などの意見もあった。

 都道府県で最も多い86件だった東京都は、このうち60件が利用者や家族らからの問い合わせ。「ケアマネジャーに話を聞いたが、ちゃんと教えてくれないので指導してほしい」「要介護認定が低い」という声もあったが、担当者は「苦情は予想ほど多くはなかった」としている。

 大阪府は16件で、職員10人が待機した高齢介護室は「思ったほど多くなかった」としている。

 相談ゼロと回答したのは秋田、栃木、岡山、宮崎の4県。沖縄県は相談窓口を設けていなかった。6件だった高知県介護保険推進課の池田泰三課長は「市町村の窓口にどれだけ相談が寄せられているかわからないので、安心はできない」と語った。

ニチメンと東京電力が介護ビジネスで提

11:11p.m. JST April 01, 2000
 ニチメンは29日、東京電力とそれぞれの子会社を通じ、介護ビジネス分野で業務提携契約を結んだことを明らかにした。滞在型の施設を経営するニチメンの子会社と、訪問介護に進出する東電の子会社が協力して、サービスの充実や顧客の相互紹介を進める。

 業務提携契約を結んだのは、ニチメンの子会社のエヌエムライフと、東電の子会社の東京リビングサービス。エヌエムライフは東京都八王子市で、居住棟とケアセンター棟からなる大規模な有料老人ホーム「ジョイステージ八王子」を経営している。東京リビングサービスは東電の厚生施設や社宅の管理会社だが、公的介護保険制度の導入をにらんで、4月から東電グループの社員、家族、OBを主な対象として、訪問介護と居宅介護支援事業に進出する。

 営業活動で掘り起こした顧客を相互に紹介するほか、東京リビングサービスはジョイステージ八王子の施設を利用した介護サービスの提供など、訪問介護だけではカバーしきれないサービスをメニューに加える。

 ニチメンは、比較的所得水準が高い東電グループ関係者の紹介を受けることで、介護付き終身利用で2000万円台から4000万円台するジョイステージ八王子の販売促進につながると判断した。

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