TOPIC No. 5-6-2a '99年5月-10月(介護・介護保険)

介護保険制度「法改正せずに実施」 青木官房長官

7:16p.m. JST October 26, 1999
 青木幹雄官房長官は26日、連合の笹森清事務局長と首相官邸で会談し、介護保険制度について「今のところ政府としては(介護保険法の)法改正をせずに来年4月から実施したいと思っている」と述べた。介護保険導入に伴う負担軽減策をめぐっては、丹羽雄哉厚相と自民党の亀井静香政調会長が12日に「法改正はしない」と確認したが、自自公3党の協議ではその後も、法改正が必要な1年間の保険料の徴収凍結案が検討されている。自民党内では法改正を必要としない半年間の徴収凍結案も浮上しており、青木氏の発言は今後の与党内調整に影響を与える可能性もある。

 青木氏は、笹森氏との会談後の記者会見では「いま3党で協議中だが、私個人の考えとしては、法改正を伴うようなことはできないだろうという感じをもっている」と説明した。

介護保険料徴収凍結に反対

1999年10月25日 17時27分 共同通信社
 福祉に先進的に取り組む市町村長170人でつくる「福祉自治体ユニット」は25日、来年4月から始まる介護保険制度で自民、自由両党などが打ち出している保険料徴収の一定期間凍結案に反対する要望書をまとめ、青木幹雄官房長官あてに提出した。要望書は、保険料凍結を「介護保険制度の理念や目的に反し、施行に向けて努力している多くの市町村に対する背信行為」と厳しく批判している。

保険料徴収凍結を批判

1999年10月25日 16時16分 共同通信社
 介護保険制度で保険料徴収の一定期間の凍結措置などが検討されていることについて、浅野史郎宮城県知事は25日の記者会見で「来春の制度の実施に向け県や市町村が準備を進めている微妙な時期に、いろいろな話が出てくるのは、率直に言って戸惑いがある。県や市町村の意欲をそぐことになる」と批判した。

介護家族への支給案を批判

1999年10月25日 16時32分 共同通信社
 民主党の鳩山由紀夫代表は25日に収録されたラジオ日本の対談番組で、介護保険制度に関連して自民党の亀井静香政調会長が介護家族への現金支給を提案していることについて「むちゃくちゃな話だ。自自公は甘い話ばかりで、そのツケを、だれが払うかの話は全くない」と批判、衆院選対策としての支給であるとの認識を示した。

自民政調会長が介護保険料徴収の凍結を主張

1:52p.m. JST October 25, 1999
 自民党の亀井静香政調会長は25日午前、党本部で講演し、来年4月に実施予定の介護保険制度について、「保険をかける人が、いますぐはやっかいにはならないが、これはいい制度だと理解できるまでは強制的に国はやってはいけない」と述べ、保険料の徴収を一定期間凍結すべきだとの考えを明らかにした。同日午後から、自民、自由、公明3党の介護保険制度見直しに関する実務者協議がスタートすることになっており、凍結問題と家族介護への現金給付など支援策が協議の最大の焦点になる。

 与党内では、自由党がこれまでも保険料徴収を1年間凍結するよう主張してきた。政府・自民党内では大幅な延長は制度の基本を崩し、法改正につながるため慎重論が強かった。

 しかし、自民党内では来年4月から約半年間は、法律で保険料の「仮徴収期間」とされていることに着目し、「1年延長では法改正が必要だが、半年なら改正せず凍結できる」(幹部)として、何らかの形で凍結を主張する意見も強まっている。自自公協議では、凍結の期間や対象を65歳以上の高齢者に限るかどうかが議論になる。

家族介護への「現金給付」めぐり攻防 自自公協議

11:26p.m. JST October 24, 1999
 来年4月実施に向けて準備の進む介護保険をめぐり、自民、自由、公明の与党3党は25日、実務者による作業チームをつくって制度見直しについて最終調整に入る。お年寄りを同居の家族が介護する場合に現金を給付するかどうかが焦点の一つだが、厚生省は、家族を介護から解放して「介護の社会化」をめざす制度の理念に反するとして強く抵抗している。3党合意で「10月中に結論をまとめる」とした高齢者の保険料軽減策や、自由党の主張する「保険料徴収の1年凍結」案などとともに、与党協議は大詰めを迎えた。

 「家族介護への現金給付」は、介護保険法の制定時から大きな論点だったが、結局、法には盛り込まれなかった。(1)介護を事実上担っている女性を家庭にしばりつけることになる(2)自治体がサービス基盤の整備を怠る恐れがある――などの懸念が出たからだ。それでもホームヘルパーの足りない自治体を中心に要望が根強く、厚生省は今夏、ヘルパー資格がある場合に限り、一定の条件を満たせば、報酬の形で保険からの給付を認める方針を決めた。

 しかし、自民党の亀井静香政調会長が10月初めの就任直後、「子が親を介護する美風を損なうような制度は問題がある」と見直しを宣言し、家族介護への現金給付が浮上。与党3党の政策責任者は22日夜、丹羽雄哉厚相にも正式に、現金給付など何らかの手当が必要だと提案した。これを認めれば「介護の社会化」の理念を骨抜きにしかねず、丹羽氏は「現行の枠内での見直し」を譲らなかった。

 制度導入まで半年を切っているだけに、厚生省は根幹にかかわる変更に関しては防戦に必死だ。自由党が主張している「保険料徴収の1年間凍結」にも、「なし崩しに(財源をすべて税でまかなう)税方式につながりかねない」と警戒感を募らせる。29日の臨時国会開会をリミットとする攻防は、大蔵省なども巻き込んで激しさを増している。

自治体の「介護手当」見直しの機運 「介護保険と重複」

11:01p.m. JST October 24, 1999
 来年4月の介護保険スタートを控え、「介護手当」などの名称で寝たきりのお年寄りや介護をする家族に現金を支給している自治体の中で、手当の打ち切りや減額を含め制度を見直す機運が広がっている。財源難に加え、「介護保険制度と政策目的が重複する」との理由がある。全国的に突出して金額が高い東京都は、一人当たり年間最高66万円を支給しており、廃止された場合、高齢者への影響も大きい。自民、自由、公明3党は、介護家族への現金給付を含めた介護保険制度の見直し作業を進めており、結論によっては各自治体の見直しの動きを左右することになる。

 北九州市の末吉興一市長は9月、市議会決算特別委員会で「見舞金は在宅介護サービスの質、量とも整備が十分でない時代に始まった。その後、寝たきりの高齢者に必要なサービスが提供できるようになり、支給の意味合いが薄れた」と発言、見舞金制度を見直す考えを示した。

 同市の見舞金は、年間12万6600円で、昨年度の対象者は1407人。

 東京都も「介護保険との重複」などを理由に見直しの方針を打ち出した。都の制度は1972年、月額3000円で始まり、現在は対象者約5万7000人、総額370億円の規模だ。

 見直しに着手した背景には、財政難の深刻化という事情もある。

 代替策として、在宅サービスの充実を図る方向で調整が進むと見られるが、具体策は固まっていない。

 一方、神戸市は「介護手当は介護をする人の精神的、経済的負担を軽減させるためにある。高齢者本人にサービスを提供する介護保険とは制度の趣旨が違う」(市在宅福祉課)との考えで、存続の意向だ。

 自治体の介護手当は、高齢者福祉施策が注目されるようになった60年代後半から各地で始まった。

 朝日新聞の95年の調査では、全国の8割を超える市町村が、国の補助を受けない単独事業として実施していた。現在も12の政令指定市のうち大阪、福岡を除く10市で、年間7万―17万円を一般会計から支給している。

 これに対して介護保険制度では、保険料や公費を財源に、ホームヘルパー派遣や特別養護老人ホームへの入所などのサービスが提供される。しかし、家族への手当の支給は盛り込まれておらず、ヘルパー資格がある人が、家族以外のお年寄りの介護もするなど一定の条件を満たした場合に限って、報酬の形で給付されることになっている。

小沢・自由党党首、介護保険料の1年凍結を改めて主張

6:50p.m. JST October 24, 1999
 自由党の小沢一郎党首は24日、盛岡市で記者会見し、介護保険制度の見直し問題に関連して「保険制度そのものがおかしいと指摘してきた。当面制度の見直しをじっくり議論し、1年間、保険料の徴収は凍結しようという(自由党の)主張に政府・自民党もかなり理解を深めているのではないか」と述べ、改めて保険料凍結を求めていく姿勢を強調した。

 また、自自公3党の政策責任者が政府側に求めている、家族介護への現金給付について、小沢氏は「できれば家族が面倒をみるのが望ましい姿だ。そうした人たちに公的な援助をすべきだ。実施する場合、一般歳出がいい」として、介護保険とは別枠で予算を確保すべきだとの考えを示した。

 一方、衆院解散・総選挙について「新しい連立が始まり、できるだけ早いほうがいいという要請があるが、まだ今日の経済状況は予断を許さない。思い切った対策を実施する政治に課せられた要請がある」として、早期解散には慎重な姿勢を示した。

家族への現金支給に賛成

1999年10月24日 15時39分 共同通信社
 自由党の小沢一郎党首は24日午前、盛岡市内のホテルで記者会見し、介護保険制度をめぐり自民党の亀井静香政調会長が提案した介護家族への現金支給について「哲学としてはいい。一生懸命面倒を見ている人に公的な援助をすべきだという考えには賛成だ」として、基本的に支持する意向を明らかにした。財源は一般歳出からの支出が望ましいとの考えを示した。

与党と厚相、「現金給付」で平行線 介護保険見直し

00:15a.m. JST October 23, 1999
 自民、自由、公明3党の政策責任者と丹羽雄哉厚相は22日夜、来年4月に始まる介護保険制度の見直しについて、東京都内のホテルで意見交換した。与党側は介護保険のサービスを受けずに家庭で家族が介護するようなケースが出ることを指摘。そうした家族に現金給付など何らかの手当てをするよう要求した。厚相は「法改正を伴い、現場を混乱させる」として反対し、平行線だった。

 会合で、厚相は「現在の法律の枠内で改革を行ってほしい」と強く要請したが、与党側は「枠内でどこまでできるか検討したうえで判断したい」と応じ、場合によっては法改正を求めることに含みを残した。与党側は今月内に見直しの結論を出す方針は確認し、週明けから3党の実務者による作業チームを設け、最終調整に入る。

「広域連合」が急増し55団体に 背景に介護保険導入

9:40p.m. JST October 18, 1999
 国と都道府県から権限を移譲され、市町村が広域にわたる事務を処理するために組む「広域連合」の数が、今年に入って急増していることが自治省の調べで分かった。17日現在、55団体あるが、今年に入って38団体設立された。急増の背景には来春に予定された介護保険の導入があるとみられる。

 広域連合は、地方分権に対応する目的で導入された。1996年の設立は1団体、97年6団体、98年10団体と、緩やかな増加だった。

 設立目的をみると、97年までは総合文化センター設置、救急医療施設運営、公立大学設置など、地域独自の行政課題に対応するものが多い。しかし、98年に入ると、介護保険事務や介護認定審査会の設置・運営など、介護保険に対応する設立が増え、今年設立の38団体では、うち35団体が介護保険対応を目的としている。

家族介護への配慮必要

1999年10月12日 18時44分 共同通信社
 自民、自由、公明3党の政策責任者は12日午後、衆院第一議員会館で介護保険制度をめぐる初めての協議を行った。2000年4月の制度発足を確認した上で「予見できる問題は実施前に解消すべきだ」として、家族介護に対する配慮など制度を見直すことで一致。今月中に結論を出すことになった。

安価な介護支援システム

1999年10月12日 17時30分 共同通信社
 NECは、来年4月に介護保険制度が導入されるのに合わせ、中小規模の介護サービス事業者を支援するための安価な情報システムの受注を11月から始める。ホームヘルパーにNTT移動通信網(NTTドコモ)の情報サービス「iモード」対応の携帯電話を持たせ、要介護者の訪問スケジュールなどを簡単に伝えられるのが特徴。

介護保険巡り激しい応酬 亀井氏と菅氏がテレビ討論で

9:35p.m. JST October 10, 1999
 自民党の亀井静香、民主党の菅直人両政調会長が10日、そろってNHKの討論番組に出席し、与野党の新しい「政策の顔」として、介護保険制度などを巡って激しい応酬を繰り広げた。

 亀井氏は介護保険について、「親と子の関係を、老人と社会の関係に置き換えてはいけない」として、改めて制度の見直しを提起した。これに対し、厚相時代に法案をとりまとめた菅氏は「家庭介護を基本にするか、社会的にサービスを提供するかは、制度を決める前に、5、6年かけて議論した。今さら、もう1回議論するのか」と批判、予定通り来年4月に制度を始めるべきだと主張した。

 2000年1月から政治家個人への企業・団体献金を禁止する問題でも、亀井氏が「個人献金中心が本当に政界浄化につながるのか」と疑問を呈したのに対し、菅氏は「亀井さん自身、政界で最も集金力が大きい。業界からのお金の方が政治をねじ曲げる」と反論した。

介護保険名目に詐欺

1999年10月5日 20時21分 共同通信社
 5日午前10時ごろ、広島市西区の一人暮らしの無職女性(77)方に、架空の「広島県福祉課」職員を名乗る男が訪れ、「介護保険の要介護認定申請の手続きに3万円かかる」などと偽り、女性から現金2万円をだまし取った。広島中央署は詐欺事件とみて捜査を始めた。

 また広島南署によると、4日にも広島市南区の一人暮らしの無職女性(75)方にも男が訪れ、現金1万円をだまし取っていた。

全国的に要介護認定始まる

1999年10月2日 10時40分共同通信社
 来年4月の介護保険制度導入を半年後に控え、お年寄り一人ひとりに介護が必要か、必要ならどの程度のサービスが適当かを判定する「要介護認定」の申請受け付けが1日、全国の市町村で本格的に始まった。

 介護保険では、この認定作業が事実上のスタートとなる。厚生省は全国で200万〜300万人が認定を申請するとみている。

「要介護認定」の申請受け付け、全国で始まる

0:57p.m. JST October 01, 1999
 介護保険で、ホームへルパー派遣などのサービス提供が必要かどうかを判定する「要介護認定」の手続きが1日、全国の市町村(東京23区を含む)で始まった。申請受け付けから、お年寄りへの訪問調査、コンピューターによる1次判定、介護認定審査会による2次判定を経て、「自立」「要支援」「要介護1」―「要介護5」の7段階の認定が出される。一連の手続きをなんとか円滑に進めようと、各市町村が様々な工夫をして作業に入った。

 1日午前9時、東京都品川区立在宅介護支援センターの塚本鈴子主任が、調査員として同区豊町4丁目の佐藤仲男さん(75)方を訪問。パーキンソン病で寝たままの妻初子さん(73)の申請手続きを進めた。

 塚本さんはベッドの初子さんにかがみ込んで体に触れまひの具合を調べる。

 「力を抜いてみて」

 「手を精いっぱい握ってみて」

 男さんがそばで「左半身はいくらか良いけど、右は硬くなっているね」と、具合を説明する。

 「トイレはどうされていますか」「食事は」などと仲男さんにも質問したりして調査書の項目を埋めていく。初子さんのことをよく知る塚本さんは「以前、大きな床ずれがありましたよね。特記事項に書いておきましょう」。

 認定結果は来春までに出る。仲男さんは「現状のサービスを続ける場合、どのくらい出費が増えるのか。安くなることはないだろうけど……」と、負担増を気にしている。

 大阪府箕面市は、訪問調査用に12台の小型パソコンを用意した。85ある調査項目について、調査員がお年寄りの答えを聞きながら打ち込めるよう、独自のソフトを作った。

 市は2000人が要介護認定を申請すると見込む。紙に書き取った調査内容を入力するだけでも手間がかかるため、少しでも時間を節約しようとした。週に3回、調査員が所属する法人ごとに入力済みのパソコンを市の施設に持ち込み、データをホストコンピューターに送り込む。

 訪問調査は、9月20日に始めており、すでに約60人の調査を終えた。が、訪問先で直接回答を打ち込んでいる調査員はまだ少ないという。慣れないと使い方を間違えてデータを消してしまう恐れもあるため、市は今のところ、調査結果は紙にも書いておくように指示。今後の「習熟」に期待をかけている。

  ◇   ◇

 茨城県東海村で起きた民間ウラン加工施設の事故現場に近い常陸太田市は、県などが「外出しない方がいい」と呼び掛けていることから、1日に予定していた要介護認定の申請の受け付けを、4日からに延期することに決めた。

 一方、東海村福祉課では通常通り、介護保険の申請があれば対応する体制を取った。しかし本来、同課の職員4人で対応することになっていたが、1日は2人が対策本部への応援のため、残り2人での業務になった。対象となるのは同村内で約350世帯と見られるが、午前11時までに「自宅待機の状況中で、まだだれも見えていない」と同課では話している。

家族介護に現金給付

1999年8月27日 20時50分共同通信社

 介護保険では原則として現金給付が認められない同居家族による介護に対して、千葉県野田市が来年4月から一家族につき月額1200円から1万5000円を給付することを決め27日、発表した。

 家族介護を介護保険の対象外とすることについては自治体などから批判が上がっているが、厚生省によると単独事業での給付を決めた自治体は例がないという。

全国に先駆け要介護認定の申請受け付け開始 山形・鶴岡

7:01p.m. JST August 24, 1999
 山形県鶴岡市は全国に先駆けて、介護保険の要介護認定の申請受け付けを24日から始めた。要介護認定は、申請があったお年寄り一人ひとりについて、介護が必要かどうかと必要な介護の度合い(要介護度)を判定する手続き。初日に申請をしたのは64人だった。全国の多くの市町村は、厚生省の指導もあって10月1日からの受け付けを予定している。

 市福祉課によると、9月中旬から、申請があったお年寄りに対する訪問調査、コンピューターによる1次判定などを行い、10月半ばに最初の介護認定審査会を開く方針だ。「10月初めの受け付け開始だと、審査会直前に申請が殺到し、事務作業が混乱することも考えられる。効率よく訪問調査を進めるためにも、受け付け開始日を早める必要があった」と、市介護保険準備室は説明している。

 要介護認定の有効期間は6カ月。来春の介護保険実施以降、半年ごとに認定を更新する必要がある。

 市の65歳以上の人口は約2万1700人で、要介護認定を申請するのは約2800人の見込みだ。

介護保険の自己負担分、所得控除を 厚生省が要望

5:44p.m. JST August 17, 1999
 来年4月に導入される介護保険制度で、厚生省は、介護サービスを受けた場合の自己負担分について所得控除する制度を設けるよう、来年度の税制改正要望に盛り込むことにした。医療費控除と同額の年間10万―200万円を別枠で所得税・住民税の課税対象額から控除する案が有力だ。医療費控除に上乗せして上限を引き上げる案や、医療費控除の枠内で控除対象とする案も出ている。大蔵省との調整の過程で最終的にどういう形になるかはまだ分からない。

 介護サービスの利用者は、保険料とは別に、かかった費用の1割を自己負担する仕組み。厚生省の試算では在宅介護で月6000―3万5000円、施設介護では最も高い療養型病床群で6万円などと見積もっている。

 現行の医療費控除制度では、老人保健施設の利用料など医療サービス分野は年間10万―200万円が所得税・住民税の課税対象額から控除されるが、特別養護老人ホームの入所費用など福祉サービスの自己負担分は控除されない。介護保険の導入によって、同じ施設サービスなのに控除の有無が生じる事態を避けることや、在宅介護を支援するため、自己負担分を控除する制度を求めることとした。保険料は全額が社会保険料控除の対象となることが、すでに決まっている。

 介護保険の関連では、介護保険の補完的役割を担うと位置づけている民間介護保険加入者の保険料についても、所得税、住民税とも5万円を上限に所得控除の制度を設けるよう、昨年に続いて税制改正要望項目に盛り込む方針だ。

TV電話で在宅介護

1999年8月11日 20時52分 共同通信社
 大手総合商社のトーメンは11日、介護保険制度の導入を控え、テレビ電話を使った在宅介護事業に本格的に乗り出すことを明らかにした。在宅介護サービスの会社などを通じ、介護を受ける人の自宅にテレビ電話システムを配置。ホームヘルパーステーションにいるヘルパーとの連絡を密に取り合うことで、質の高いサービスを目指す。

 今後3年間で約1万台の設置が目標。

介護保険料の本人負担分、組合健保は月1700円

1:50p.m. JST July 28, 1999
 2000年4月に始まる介護保険制度で、40―64歳の国民が支払う保険料の初年度の平均月額(本人負担分)は、大企業のサラリーマンらの組合健康保険で約1700円、中小企業などの政府管掌健康保険で約1500円、自営業者らの国民健康保険で約1300円と見込まれることが分かった。28日の医療保険福祉審議会運営部会で厚生省が保険料率などを示した。

 40―64歳の保険料は、加入している医療保険ごとに決まり、それぞれ医療保険に上乗せして徴収される。

 厚生省が示した保険料率は組合健保が0.88%、政管健保が0.91%。組合健保の保険料は、1999年度予算ベースの標準報酬月額をもとに計算すると約3900円、政管健保は98年度実績に基づくと約3000円になる。いずれも企業と本人が折半して負担するが、組合健保は企業側の負担割合が多い所もあり、本人負担分は組合健保で約1700円、政管健保で約1500円と算出される。

 一方、国保については、1人あたりの平均保険料は月額約2600円。半分を国が負担し、本人負担分は約1300円となる計算だ。

 健康保険法は、保険料率の上限を組合健保は月収の9.5%、政管健保は同9.1%と定めている。40―64歳の介護保険料が上乗せされると、上限を超えるところが出てくるとみられる。宮下創平厚相は27日、組合健保と政管健保の保険料率について、上限引き上げを検討する考えを国会答弁で示した。

条件付きで家族介護認める

1999年7月26日 18時12分 共同通信社
 厚生省は26日、お年寄りを同居の家族が自宅で介護する「家族介護」を、一定の条件付きで介護保険の給付対象とすることを認め、その条件を医療保険福祉審議会に示した。離島やへき地など事業者による在宅介護サービス提供が不足しがちな地域を対象に、ホームヘルパーなど訪問介護を行う資格のある家族がお年寄りを介護するケースを、市町村の判断で保険給付の対象にできるようにする。

介護保険料 全国平均は2885円

1999年7月26日 17時11分 共同通信社
 厚生省は26日、来年4月から始まる介護保険制度で、65歳以上のお年寄りが支払う保険料(基準額)は全国平均で、月額2885円になるとの集計結果をまとめ、26日開かれた医療保険福祉審議会に示した。

 最高は、北海道厚田村の6204円、一番安かったのは、兵庫県内の町の1409円。全国平均は同省が見込んでいた「3000円弱」に収まったが、自治体間の格差は最大で4.4倍の開きとなった。

介護保険料を半額に

1999年7月17日 16時37分 共同通信社
 自民党の丹羽雄哉政調会長代理は17日、自民党全国研修会の分科会で、65歳以上のお年寄りが支払う介護保険料を、全市町村を対象に当初の3年間は半額とする方針を明らかにした。

介護保険制度の介護報酬の骨格案示す

00:34a.m. JST July 03, 1999
 介護保険について検討している医療保険福祉審議会の部会が2日開かれ、保険からサービス提供事業者に支払われる介護報酬(サービス単価)の骨格案が厚生省側から示された。介護報酬は、医療保険の診療報酬と同じように点数(医療保険は1点10円)で表示することになっており、具体的な数字は来年1月に決まることになっている。この日は介護が必要な度合いに応じて金額を設定したり、施設の人員配置が多いほど手厚い報酬を出したりするという、基本的な考え方だけが提示された。

 厚生省案によると、施設サービスでは基本的に、5段階の介護が必要な度合い(要介護度)に応じて入所者1人1日当たりで点数を設定する。職員が多い施設については点数を高くし、「入所者3人に対して看護・介護職員1人」という厚生省が目標とする態勢への移行を促すという。

 過疎地や大都市部の小規模な特別養護老人ホームには特別の加算をつける。

 また、ホームヘルパーによる訪問介護は、身体介護と家事援助の報酬額に差をつけ、離島や山間地の事業者には加算を付ける。

1都5県でケアプラン作成事業者の申請受け付け始まる

11:16a.m. JST June 14, 1999
 来年4月の介護保険制度開始を前に、介護の必要な人のためにケアプランを作る「居宅介護支援事業者」の指定申請が、14日から東京都など1都5県で始まった。介護保険に基づいてサービスを提供する事業者の指定申請の第1弾で、東京では受け付け開始の2時間前から窓口に並ぶ事業者もいた。

 東京都の受付窓口である「介護保険サービス提供事業者相談センター」(新宿区)では、介護サービス会社「やさしい手」(本社・目黒区)の香取幹常務が一番乗りした。「都内は介護事業への参入が多くて競争が激しい。指定番号1番を取れれば、関係者に覚えてもらいやすい」と、他の社員と交代で午前7時から並んだが、受け付け開始の9時になっても3事業者しか並ばず、やや拍子抜けした表情。

 申請書のほかに9種類の添付書類をそろえて申請に臨んだが、記入方法など不備な点を数カ所指摘され、受理されなかった。「社長に怒られます。今日中に直してまた来ます」

 この日受け付けを始めたのは、東京都のほか埼玉、千葉、神奈川、石川、徳島各県。富山県が6月1日、岐阜県が7日に受け付けを始めているほか、7月1日に開始を予定している府県が多い。

全国町村会が介護保険で財政支援強化要望

11:34a.m. JST June 10, 1999
 全国町村会は10日、宮下創平厚相に、来年4月に実施される介護保険制度に関する緊急要望を提出した。「予定通り実施するには強力な財政支援策が必要」として、来年度予算編成で特別の予算枠を確保することなどを要望。具体的には、(1)見込みを上回る市町村負担には国の責任で必要額を措置する(2)保険財源の国の負担分25%のうち5%とされている調整財源を別枠化する(3)低所得者の保険料や利用料負担には減免措置を講じ、国と都道府県で補てんする制度をつくる(4)保険料が高額になる場合は適切な措置を講じる――などを求めている。

 全国町村会は昨年10月、準備が整わなければ実施を延期することなどを政府に要望していたが、その後の準備の進行などによって方針を転換した。宮下厚相は「最終的には財政調整問題に帰着すると思うが、当面は法定の枠組みの中で何ができるかを来年度予算の概算要求で明確にしたい」と答えた。

菅、小泉両氏が介護保険論議で宮下厚相を激励

6:57p.m. JST June 02, 1999
 介護保険論議で揺れる宮下創平厚相に強力な援軍――介護保健法にかかわった小泉純一郎前厚相(自民党)と菅直人元厚相(民主党代表)が2日、一緒に厚生省を訪ね、「介護保険は予定通り来年4月実施を」と宮下厚相を激励した。

 菅氏が厚相時代に法案を取りまとめ、小泉氏が国会提出から成立まで担当した。10月から介護認定が始まるというのに、自民党などでは実施延期や保険料徴収先送りといった見直し論議が沸騰。黙っていられなくなった菅氏が小泉氏に「厚相激励」を呼びかけた。

 大臣室に入った小泉、菅両氏は宮下氏をはさんで握手。「社会福祉に党派なし」(小泉氏)、「介護党だ」(菅氏)とエールを送った。

 激励後、菅氏は記者団に「選挙にプラスとかマイナスとかで考えるのは次元が違う」。小泉氏は「民主党の方がしっかりしてる。与党の方が無責任。嘆かわしいことだ」。

 宮下厚相は「光栄至極。4月からの実施に全力投球したい」と意を強くしていた。

介護保険で市町村の「広域化」1割超える見通し

  03:04a.m. JST May 30, 1999
 来年4月から実施が予定される介護保険で、近隣の自治体と一緒に運営し、高齢者から集める保険料も同じ水準にする市町村が、全体の1割を超える見通しになっている。厚生省が3月末現在で都道府県を通じて調べたところ、全国約3200市区町村のうち、広域連合や一部事務組合の形で介護保険の運営を「広域化」することを決めた自治体が四11地域、324市町村に上り、準備中の市町村数を含めると400を超えることがわかった。

 昨年10月に行った前回の調査では、広域化を「検討中」とした自治体は27地域、252市町村だった。市町村の中で他の自治体と保険料で差が出ることや、単独で保険財政を維持することへの懸念が根強いことが、広域化への動きを強めることにつながったと見られる。

 複数の自治体が共同で介護保険を運営する手法には、(1)広域連合(2)一部事務組合(3)市町村相互財政安定化事業、の3種類がある。厚生省のまとめでは、広域連合として取り組むことを決めたのは18地域の178市町村、一部事務組合が23地域の146市町村。加えて10カ所程度で市町村相互財政安定化事業の導入が検討されている。

東京23区の「ベッド買い」、介護保険導入で白紙の恐れ

03:04a.m. JST May 02, 1999
 東京の高齢者介護の現場で慣例化している特別養護老人ホームの「ベッド買い」が、来春から始まる介護保険の導入で揺れている。地価が高く、区内に自前の施設整備が困難な23区の大半が、他の市町村にある特養ホームの建設費を補助する代わりに、区内の高齢者を優先的に入所させてきた。ところが、介護保険制度のもとでは入所者個人と施設が個別に契約する形となり、この「優先権」が通用しなくなる可能性があるからだ。厚生省は「そもそも公的には認めていない制度」とはっきりした見解をしめしていないが、場合によっては、都内で約1万5000人いる特養ホームの待機者の行方にも影響が出かねない事態だ。

 「ベッド買い」は特養ホーム不足が表面化してきた1980年代に始まった。都は「そんな制度は把握していない」としているが、朝日新聞の取材に対し、23区のうち20区が、この手法で、都内の市町村や都外にできている施設にそれぞれ入所枠を確保していることを認めている。

 ベッド数では1区平均約120床で、補助金として投入した「ベッド代」は20区合計で約170億円。財政が厳しいここ数年は、20年の分割払いにしている区も多い。東京以外の大都市でも行われているとみられているが、実態は明らかになっていない。

 仕組みはこうだ。

 特養ホームの建設費は4分の3を国と都道府県が補助し、残りを社会福祉法人など施設を設置する側が支払う。この施設側負担分を定員で割って1床当たりの価格を出す。区が一定の床数分に相当する建設費を補助する代わりに、区内のお年寄りを確実に受け入れてもらう仕組みだ。契約にあたっては、区と施設が「優先権」を確認する「覚書」を交わすのが通例になっている。

 介護保険の導入で、この優先権が揺らぐのは契約の形が変わるからだ。

 現在は区市町村が入所者の介護を委託する契約を各施設と結び、介護費用を措置費として支払っているので、「優先権」を主張しやすい。

 しかし、介護保険導入後は、入所者個人と施設との個別契約になる。介護保険から介護費用を負担するからで、施設側はどこからの入所申し込みでも平等に扱うことが建前になる。

 これに対して、「平等と言っても、多額の税金を使って確保してきた権利は手放せない」というのが、「ベッド買い」をしている区側の言い分だ。

 区内には3施設で190床しかない新宿区の場合、これまでに都内24の施設に473床を「ベッド買い」で確保してきた。補助金も昨年度までに約18億円。2017年度まで分割払いをする分も約10億円ある。

 同区の担当者は「仮に優先権が確保できないとなると、これまでの補助金はどうなるのか。住民に説明できない」という。

 やはり、分割払い分も含めて21億円を負担し、275床を確保している目黒区の担当者も「何とか介護保険制度とうまく折り合えばいいが、先が見えない」と話す。

 施設側も戸惑っている。定員の半分を「ベッド買い」している複数の自治体にあてている八王子市内のホームは「介護保険制度では入所希望をわけ隔てなく受け入れるのが建前だが、建設を補助してくれた自治体との関係を解消することなどできますかねえ」。

 「ベッド買い」は、施設側が区に持ちかけることが多い。建設資金がまかなえるうえ、簡単に入所者を確保できるからだ。

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