仮面ライダーBLACK RX
アクションコントロールDXライダー変身ベルト

アクションポーズで光る!回る!!

 

暗黒結社ゴルゴムに続いて現れた新たな敵、クライシス帝国。その圧倒的な力の前に、仮面ライダーBLACKは敗れた。宇宙へと放逐された光太郎。だがその時、奇跡が起こった!瀕死の光太郎は、太陽の光をその身に受けてパワーアップ!仮面ライダーBLACK RXとなって甦ったのである!!

同じキャラクターを主人公に据えながらも、原点回帰を目指したBLACKとは逆に、「仮面ライダー」にとらわれない、自由な発想でトバしまくったのが「仮面ライダーBLACK RX」だ。
「仮面ライダー」の約束事を意図的に外し、斬新なライダー像を生み出したRXは、熱心なライダーファン達から激烈な批判を浴びた。
だがわしは「カッコよければそれでよし」と考えているほうなので、それほど嫌悪感は感じなかった。RX自身のデザインやなんかにはちょっと気に食わない部分もあったが、番組そのものは毎週楽しみにしていた。

 

あらゆる面で以前よりもパワーアップした「RX」だが、変身ベルトもまた例外ではない。
BLACKのエネルギー源だったキングストーンの力に、太陽の力が加わって生まれた「ハイブリッドエネルギー」がRXのパワーだ。その事を示すかのように、変身ベルト「サンライザー」は光って回る部分が二つ並んだ、いわゆる「ダブルタイフーン」型になっている。

 

光のオーロラ身にまとい

 

仮面ライダーBLACKの「テレビパワーDX変身ベルト」は大変画期的ではあったが、ひとつの弱点があった。
それはいうまでもなく、テレビがないところではテレビパワーが作動しないという事である。放送時間や放送期間の問題は、ビデオに録画さえしておけば、ある程度解消される。だが、テレビそのものがない場所ではどうしようもない。
テレビパワーが使えないのなら、今までの変身ベルト玩具と同じだ。屋外や友達の家など、あらゆる場所で遊びたい児童にとっては、せっかくの夢の機構も無意味なのである。

その弱点を解消したのが、RXの「DXライダー変身ベルト」だ。

 

RXのベルトは変身ベルト本体に加え、リストビットと呼ばれるブレスレットが付属している。
このブレスレットには、振動を感知すると電波を発信するギミックが組み込まれている。
その電波をベルト本体が受信すると、二つの風車が光って回るようになっているのだ。
要するにラジコンで遠隔操作できる変身ベルトなのだが、レバーやボタンの操作によって動かすのではなく、「ブレスレットをつけた腕を振る」事で作動させるようになっているのがミソだ。実に秀逸である。

RXの変身ポーズは両拳を握って構えたポーズから入って、まず右腕を縦横に振り、最後にブレスをつけた左腕を振ってキメる、というものなので、うまく力を加減すれば、変身ポーズが完了した瞬間にベルトが光って回り出すのだ。
もちろん、パンチやチョップを繰り出した時にもベルトが回ってライダーの力をアピールしてくれる。しかも、テレビパワーと違い、リストビットさえあれば、いつでもどこでも楽しめる。
テレビパワー変身ベルトのような、「テレビで活躍するライダーのパワーを同時に自分自身でも体感できる」という独特の一体感はなくなってしまったが、アクションにあわせてベルトが回るというのはとても楽しい。テレビパワーに負けないくらいナイスなギミックだ。

 

 

また、光って回る二つの風車部分も、よくみると結構趣向がこらされている。
片方は前年から引き継いだキングストーンの光なので、「テレビパワー変身ベルト」と全く同じように、赤い電光が高速回転する。
それに対し、もう片方は新たに得た太陽の力を示す。柔らかい黄色い光をバックに回る様子が、まるでメラメラと燃え上がる太陽のように見えるのだ。
どちらも光って回る事には変わりないのだが、左右でそれぞれ光り方・回り方が全く違うというのがよく出来ている。

 

 

悲しみの王子

 

だが、こんなに楽しいRXのベルトにも、やはり弱点がある。
第一に、リストビットが無闇にでかくてうっとおしい事だ。9Vの006P電池が入る為に、ブレス本体も結構大きいのだが、電波を発信する為のアンテナがついているので余計にうっとおしい。はっきりいってジャマだ。

第二に、サウンドギミックがない事。テレビパワー変身ベルトの音も大迫力というわけではなかったが、それでもギューンと音が鳴るとやはり気分が違う。ところが、RXのベルトはサウンドギミックそのものが全くないのである。全然ないというのはちょっと寂しい。

第三に、ベルト本体のデザインが、あまりにもカッコワルイ事だ。なんだか弁当箱みたいな単純な長方形で、全然カッコよくないうえに、劇中のRXについているベルトに比べると、異常に分厚いのである。

劇中のRXが腰につけているサンライザーは薄く出来ているが、それに対して玩具のほうはギミックの都合があるからそういうわけにはいかない。仕方のない事ではある。しかし、それならそれで、はじめから不自然にならないようなデザインにしておくべきではないだろうか?
BLACKのベルトだって、本編に登場するものに比べると、玩具はずいぶん分厚かったけれども、それほど不自然でもなければ、カッコわるくもなかった。

さらにいえば、劇中のRXのベルトそのものではなく、変身する瞬間の、内部メカが透けて見える状態を再現しているのも問題だ。TVでは、この形態は一瞬しか映らないので、買ってもらった後に「これはRXのベルトと違う」と思う子供だっているだろう。また、内部メカがカッコよく造りこまれているのならまだいいが、かなり安っぽい出来なので、よけいにみっともなく感じてしまう。

RXのベルトのダサさは、はっきりいって歴代ライダーの中でもトップクラスに位置するものといっていいだろう。
もうちょっとどうにかならんかったものかと本気で思う。

 

結構キツイ事を書いてしまった。
ただ、デザインはカッコよくないけれども、ギミック自体は非常によく出来ているし、面白い。それに、実際にリストビットを振って「光る!回る!」ギミックを作動させてみると、やっぱり楽しい。なんだかんだいって、結構気に入ってるのも確かだ。腕を振ることで作動するという発想そのものは非常に優れていると思う。

クウガやアギトの変身ポーズも悪くはないが、キメポーズでスイッチ操作をする都合上、歴代ライダーに比べるとイマイチという感がある。
最近は、赤外線通信を利用した玩具などが色々出ているし、RXのようなギミックの変身ベルトが新たに出てきてくれたら嬉しいのだが……。現代の技術なら、リストビットもずっと小型化できるだろうし、サンダーアームのように振り方によって違う音が出たりといった具合に、色々工夫を盛り込む事も出来るだろう。
いつかまた、楽しい「アクションコントロール変身ベルト」が登場する事を、わしは心から願っている。

 

 

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