仮面ライダーアギト
トリプルフラッシュDX変身ベルト

光る!回る!3つのフォームに変身だ!!

 

 

仮面ライダークウガは、メインターゲットである児童の間でも、高い年齢層のファンの間でも、大きな反響を呼び起こした。
そのクウガの後を受け、また一人、新たな仮面ライダーが登場した。新ライダーの名は仮面ライダーアギト!!
そして同時に、またひとつ新たな変身ベルト玩具が登場した。変身ベルトアイテムが気になるわしとしては、非常にうれしい状況である。

 

アギトのベルトは、設定上「オルタリング」という名称がついているが、玩具は「トリプルフラッシュDX変身ベルト」という商品名で発売されている。
クウガのベルトが、古代文字などを書きこんだ複雑で緻密なものだったのに対し、アギトのベルトはシンプルでストレートなカッコよさを追求した、ヒーロー的なものに仕上がっている。「仮面ライダーらしさ」という点ではクウガよりも上をいっている。

外観は、渦巻きをイメージした二本の金ラインが特徴的だ。この渦の中心に、回転発光する窓「タイフーン」が配置されている。ベルトのバックル全体が大きな渦巻きになっていて、その中心が激しく光って回るようになっているのだ。歴代ライダーにも負けないカッコよさである。

この金ラインは、アギトの頭部の角や、アギトの使う槍の穂先などにも似た形状をしている。また、アギトの乗るバイクや、剣の鍔、フォームチェンジした時の肩などにも、やはり同じような金ラインが配されており、アギトのトータルイメージを作り出している。
その金ラインをデザインに取り入れる事で、この変身ベルトは「仮面ライダーらしさ」だけでなく「アギトらしさ」をも表現する事に成功している。一目で「アギトのベルトだ!」とわかる、秀逸な工夫だ。

 


透明カバー内の小型タイフーン

 

もうひとつの特徴は一見シンプルなバックルのボディ部分が、よくみるとスモークブラックの透明ドームになっていることだ。その内部を覗き込むと、なにやら複雑なモールドが施されている。シンプルな外観の中に、複雑なメカが隠されているという二重構造がまた魅力的だ。

それも、ただのメカではない。その内部モールドは、機械や電子部品などとは全然違う、なにやら怪しげな古代遺跡かなにかのような形をしているのである。
アギトのストーリーは、謎の古代遺物オーパーツが鍵となっている。謎に包まれた敵である「アンノウン」のロード怪人も、まるで神話の世界から抜け出してきたかのような姿をしたヤツばかりだ。何らかの関連があるのはすぐに想像できる。

物語が始まった時点では、アギトに変身する主人公「津上翔一」は過去の記憶を失っており、なぜアギトに変身出来るようになったのか、どういう原理で変身しているのかといった事が、全く明らかにされていない。
だが、本編と共にこのベルトを見れば、アギトがメカニックなサイボーグとは少し違う、未知の超科学とでもいうべき何かの力によって変身しているのだという事が想像できる。
変身アイテムというものは、そのヒーローの設定や背景までも一目で示すモノのほうが印象深くなるものだ。

 

さらにもうひとつ、この変身ベルトには大きな特徴がある。
透明ドームの中には、右と左にひとつづつ、小型の「タイフーン」が収められているのだ!
仮面ライダーV3の変身ベルトは、風車がふたつついた「ダブルタイフーン」というものだった。ライダーパワーの源である風車が二個もついている事で、V3が最強のライダーである事をアピールしていたのだ(しかも同時に、1号ライダーと2号ライダーの、両方の力をあわせもっているということも示していた)。
ところが、アギトは真ん中にでかいタイフーンが一個ついてるのに、それとは別に左右にも一個づつ、全部で三個もあるのだ!いわゆる「トリプルタイフーン」ベルトなのである!!
問答無用のパワフルさである。仮面ライダー史上、最強のベルトといっても過言ではないだろう。

 

 

 

君のままで変わればいい

電源スイッチをオンにすると、中央のタイフーンが金色に輝き、キィィィィィィィィ…………ン!という起動音が鳴って作動を開始、続いて待機状態に入り、左右の小型タイフーンが交互に光りながら、同時にヴォォォォン………ヴォォォォン………ヴォォォォン………という、いかにも力を溜めていそうな音が鳴る。
本編を見ているファンならばわかると思うが、第一話などの「ベルトから目が眩むほどの強烈な光を放ちつつ、ゆっくりと歩きながら翔一がアギトへと変身していく」シーンで印象的だった「あの」音である。
音だけでもかなりカッコイイのだが、この時、左右のタイフーンが音にあわせて柔らかい感じにぼうっと光るのが最高にカッコイイ。

この状態で腰のボックス部分(昔のライダーベルトで言うところの「エナージ・コンバータ」の部分)を左右同時に押すと、カッコイイ変身サウンドと共に中央のタイフーンが金色に光る!!回る!!

 


変身!!グランドフォーム!!

 

クウガのベルトでは、腰のボックスについている大型スイッチを押すことでギミックが作動したのだが、アギトのベルトではさらに進化し、ボックスそのものがスイッチになっている。
外見上スイッチが見当たらないというのが凄い。機械的なスイッチが付いているのではなく、「ベルトに触れると作動する」というのが、いかにも神秘の力を秘めた謎のベルトらしくてナイスである。
ただ、そこまでやるんなら電源スイッチも目立たないところに付けておいて欲しかったような気もするが。

 


変身!!フレイムフォーム!!

 

左右同時に押すとベルトは金色に輝き、必殺キックを放つ大地の力の戦士「グランドフォーム」の変身サウンドが鳴る。
右側だけを押すと中央のタイフーンは赤く回転発光、同時に右の小タイフーンも赤く点滅発光して、長剣フレイムソードを振るう炎の力の戦士「フレイムフォーム」の変身サウンドが鳴る。
左側を押すと、中央のタイフーンは青く回転発光、同時に左の小タイフーンも青く点滅発光して、長槍ストームハルバードを振るう風の力の戦士「ストームフォーム」の変身サウンドが鳴る。
待機状態ではぼうっと光っていた左右の小型タイフーンが、変身の時には力強い光を放つのがカッコイイ。

 


変身!!ストームフォーム!!

 

設定では、グランドフォームはバランスのとれたタイプ、フレイムフォームは右腕にパワーを集中したタイプ、ストームフォームは左腕にパワーを集中したタイプ、ということになっている。
だから、スイッチ操作の方法や発光ギミックなども、いかにもそれらしくて自然だ。なかなか面白い。

それから、このベルトにもやはり、隠された秘密の能力が……。

 

 

今、君がいないと……

このトリプルフラッシュDX変身ベルトにも、やはり不満はある。
第一に、サウンドギミックが乏しいということだ。
クウガのベルトは四形態それぞれの変身サウンドに加え、各フォームのアタックサウンドまでも収録しており、全部で八種(+α)のサウンドを内蔵していた。それに対し、アギトのベルトは三形態の変身サウンドのみでアタックサウンドが無いため、たった三種(+α)のサウンドしか内蔵していない。半分以下である。

第二に、スピーカーが一個で、モノラルサウンドになってしまっていること。
クウガでは左右ニ個のスピーカーからステレオでサウンドが鳴り響き、音が右から左へ、左から右へと駆けぬける「ソニックウェーブ」サウンドが最高に凄かった。それに対し、アギトのベルトはスピーカーが左にしかなく、そのうえ音が抜けるスリットが小さいせいか、音量自体も小さい。はっきりいって迫力不足だ。
使われている変身サウンドが、非常にカッコイイ、素晴らしいものなので、よけいに残念に感じてしまう。

 


スピーカー部分。スイッチに見えないのは凄い!

 

アギト以外にも「G3」や「ギルス」といった別の仮面ライダーが登場する関係上、フォームチェンジがクウガより少ない三形態になったのはわからないでもない。だが、変身サウンドだけでなく、アタックサウンドまで削られているのはちょっと納得できない。去年に比べていきなり半分ってのはひどすぎる。
サウンドに関しては、クウガとアギトでは質も量も、天と地ほどの差がある。

クウガのベルトが4500円だったのに対して、アギトのベルトは4000円と安くなっているから、多少のグレードダウンは仕方ないと思う。だが、それにしてもちょっとダウンしすぎではないだろうか。むしろ、これだけグレードダウンしていながら、500円しか安くなっていないという事のほうが問題だ。
変身サウンドそのものがカッコイイのがせめてもの救いか。

第三に、左右の小タイフーンが回転せず、ただ点滅発光するだけ、ということ。
「ドラゴンアイズ」という名のこの部分は風車ではないし、設定上は回転しなけれならないような必然性など全くない。だから、別に回らなくても特に支障はない。
だがそれでも、やはりどうにかして回して欲しかった。単に光るだけでなく、「回転発光する」というところがライダーベルトの「タイフーン」における最大の魅力なのだから。
三つのタイフーンが全部回るんだったら、はっきりいってわしは他の欠点には目をつぶってもよかった。
中央のタイフーンがクウガのものより小さくなっているのも、収録サウンドが少ないのも、モノラルサウンドになってるのも、みんな帳消しにしてもよかったのに……。

 

とはいえ、これらの欠点を考慮に入れても、アギトのベルトが魅力的な変身アイテムであることには変わりはない。クウガのベルトがあまりにも凄すぎた為に、やや見劣りしてしまうのは残念なところではあるが……。
ベルト止めの部分がワンタッチで止められるバックルになった事や、うっとおしい電源切り忘れ防止のお知らせ音が削除されている事など、良くなっている部分も結構ある。
起動・待機サウンドや変身サウンドもカッコイイし、なによりデザインがとてもカッコイイ。
アギトのファンならば、やはりぜひとも入手しておきたい変身ベルトである。

 

 

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