仮面ライダーファイズ 変身ベルト DXファイズドライバー

ファイズフォンに555を入力!

 

 

 

「仮面ライダー龍騎」での玩具展開は、今までの仮面ライダーとは違って変身ベルトが主力アイテムから外れ、武器アイテムの「ドラグバイザー」とアドベントカードを中心としたものになった。多彩な音声ギミックやカードコレクションとの連動は非常に楽しかったが、そのぶん変身ベルトのギミックがシンプルなものにとどまっていたのは残念であった。
だが、龍騎に続いて登場した平成ライダー第四弾「仮面ライダーファイズ」では、また以前のように変身ベルトが最大の玩具アイテムとして登場した。
変身ベルト好きのわしとしては、うれしい事だ。

ファイズの変身ベルト「ファイズドライバー」は、メカニック感覚を強調したスタイルが特徴だ。
平成ライダーは、古代の戦士だとか鏡の中に入るとか、どちらかというとファンタジーっぽい非現実的な設定が主体となっており、渋いドラマが展開してリアルだとか言われる事はあっても、主役キャラクターの変身ベルトがリアルなメカニックとして描かれる事はなかった。

それに対して、「ファイズドライバー」は、謎の巨大企業「スマートブレイン社」が開発した「製品」という設定になっている。といっても、普通に市販されている「商品」というわけではない。巨大企業の研究所で、最新の科学が産みだした驚異の秘密メカニック、というわけだ。デザインにもそれが反映され、前三作の変身ベルトとは大きく違ったものになっている。玩具のほうも、メカニックらしい魅力を損なわないように美しい塗装が施されており、カッコイイ。
新たなライダーが登場するたびに新型の変身ベルトも次々に現れるわけだが、毎回趣向を凝らして違ったものにする工夫は素晴らしい。

 

ちょっと変わっているのは、主人公達がこの変身ベルトを、トランクに入れて持ち歩いている、というところだ。
次々に現れる謎の敵、「オルフェノク」は、変身ベルトを狙って主人公たちを襲う。
変身ベルト自体がストーリーのキーアイテムになっているというのも、意外と今までに少なかった趣向だ。また、今までの変身ベルトは、普段体内に収納されていて、変身する直前に出現するというパターンが多かったが、今回は、戦う時にいちいちケースからベルトを取り出し、ガチャガチャと身につけるのが面白い。

 

 

キミが仮面ライダーファイズだ!!

 

玩具のファイズドライバーは、携帯型端末「ファイズフォン」と組み合わせて使うようになっている。
戦隊ヒーローの変身アイテムには、以前にもケイタイザーやGフォンなど、携帯電話がモチーフとなっているものがあったが、仮面ライダーの変身ベルトで携帯電話を使う、というのはちょっと意外だった。
この携帯電話が今回のキモらしく、パッケージでも強調されている。
ギミックも、ファイズフォンに全ての機能が集中しており、ベルト部分はいわば飾りに過ぎない。

 


これがファイズフォンだ!

 

まず、ファイズフォンの電源をONにすると、「ピポッ!…ギュワーン!」という起動サウンドと同時に、本体の左右についているラインに内蔵された二個のLEDが赤く発光して作動を開始する。このLEDを内蔵したスモークブラック部分は、内側のモールドの為にライン全体が発光しているように見えるのが、ちょっといい。
ファイズの全身には「フォトンストリーム」と呼ばれる赤く発光するラインがあり、見た目の特徴になっている。ベルトにもそれと同じようなラインを配する事で、ファイズのベルトであることを強調しているのだろう。
作動中は常に、このLEDが10秒に一度発光して、電源が入っている事を知らせてくれる。電源切り忘れ防止のための配慮だが、ピコピコと音が鳴るよりもずっとシャレていて、なかなかイイカンジだ。

ファイズフォンをひらいて、「555」のナンバーを入力、「ENTER」キーを押すと、「STANDING BY」の声と同時に変身モードがスタート、「キュワン!キュワン!キュワン!…」という待機サウンドが鳴り、左右のLEDが発光をはじめる。さあ、ファイズに変身だ!!

 


ファイズフォンを開いて、555を入力!「スタンディングバイ!」

 


待機状態に入ったら上に向いているベルトのホルダーに向かって…

 


ファイズフォンをブッ差す!

 


差し込んだ携帯を90度回転!「CONPLETE」の声と同時に変身サウンドが鳴る!光る!

 

携帯電話をベルトに差し込むと変身、というのはなんだかマヌケなような気もするが、本編での見せ方が上手く、非常にカッコイイために気にならない。
また、真正面を見据えたままベルトを見ずに携帯を差しこむのは少々難しいが、前年に登場した龍騎の「Vバックル」よりはかなり楽で、慣れれば結構簡単だ。
ファイズフォン自体も、塗装がキレイなのでヘンテコな形をしている割にはちゃんと携帯電話に見える。単4電池を二本内蔵しているという事もあり、携帯電話にしてはかなりでかくて重いが、あまり小さくても見栄えが悪いし、これはこれでいいような気もする。

 


携帯を開いてENTERを押せ!「エクシードチャージ」!!

 

変身サウンドが鳴った後は、ファイズフォンをベルトにセットしたまま開いて、ENTERキーを押すと「EXEED CHARGE」という声と同時にパワーアップサウンドが鳴り、LEDが光る。
ファイズの武器、ファイズポインターやファイズショットは、ファイズフォンに装着されているミッションメモリーをセットすることで戦闘モードへと変形する。そして、手や足に武器を装備した後、ベルトの操作でエネルギーを送りこんで、必殺技を放つのである。
玩具でも、別売りの武器を持っていれば、同じように遊べる。ベルトからミッションメモリーを抜き取って、武器にセット!変形した武器を手や足に装備したら、ベルトを開いてENTERキーを押し、「EXCEED CHARGE」でパワーを注入!そしてライダーキックやライダーパンチを繰り出すというわけだ。

携帯電話やデジカメにメモリーカードをセットしてパワーアップ、というのは妙に説得力があって面白い。カードを差しこむと隠しスイッチが押されてギミックが作動する、というだけなのだが、単純な割には楽しめる。
また、ファイズフォンに付いているミッションメモリーは、別売り武器に付いているものとはまったく違う、精密で塗装も凝ったものになっている。武器玩具に付属しているものは、あくまで単体で遊ぶ時の為に付いているオマケなのである。

 


ミッションメモリーを抜き取った状態。

 

携帯電話を差し込むと変身、というのは前年に登場した「仮面ライダー龍騎」のベルトがカードホルダーを差しこんで変身するものだったのを踏襲しているのだろうし、ベルトからミッションメモリーを抜き取って武器に挿入するギミックも、同じく龍騎のアドベントカードを抜いて武器に入れるアクションを受け継いだものだろう。
今までの流れを少しづつ残しながら、新たな要素も取り入れて進化していくのを見るのは、なかなか楽しい。
次あたりはそろそろ「光る!」だけではなくて「回る!」のほうもやって欲しいところではあるけれども。

 


光線銃「フォンブラスター」に変形!悪を撃て!!

 

ファイズの武器はベルトとは別売りだが、武器がなくても武器遊びを楽しむ事ができるのがファイズドライバーのもうひとつの特徴だ。ファイズフォンは、それ自体が強力な武器でもある。変形させると、光線銃「フォンブラスター」になるのである。
ファイズフォンを開いて伸ばし、折り曲げる。そして「103」のナンバーを入力、ENTERキーを押すと「SINGLE MODE」という声がして、変形完了だ。
トリガーを引くと射撃音がなって、上側のラインと銃口のLEDが発光する。この銃口は、本来携帯のアンテナなのだが、銃になった時だけ銃口が光るようになっているところが凝っている。

また、「106」のコードでは「BURST MODE」の声がしてバーストショットに切り替わる。
シングルモードと違い、一回トリガーを引くと三連射するので、ちょっと気持ちがいい。この時、ボディのラインが上下とも発光するので、片側しか光らないシングルモードに比べて、いかにも強くなったような感じが出ていてナイスだ。

しかも、12発撃つと弾切れとなり、トリガーを引いても発光せず、「ガチャッ」という弾切れ音が鳴るようになるのが凝っていて上手い。
シングルの時は12発、バーストの時は4射分でやはり12発とちゃんと同じなのもいい。

弾が切れた時には、「279」のナンバーを入力し、ENTERキーを押せば「CHARGE」の声がして「ギュイーン!」という音と同時に弾が補充される。
ただ射撃音が鳴るだけでなく、弾切れや弾の補充といったアクションを盛り込む事で、より楽しめるようになっているのがうれしいところだ。

 

それから、ナンバーを一桁以上入力してから、左上の電話マークのボタンを押すと、「CONNECTIONING」の声が出てコール音が鳴り、左右のラインLEDが交互に発光する。電話として使うためのモードというわけだ。
主人公の声なんかを出すのはさすがに無理だったのだろうが、それでも、ちゃんと携帯電話の玩具としても遊べるように配慮されているのはさすがだ。
せっかく電話の形をしているのだから、やはり電話らしい遊びもあったほうがいい。

 

 

謎のハイテク企業、スマートブレイン社とは?

 

ファイズドライバーの玩具がもうひとつ面白いのは、そのパッケージデザインだ。
白を基調にした形態やスマートブレイン社のロゴなど、玩具というよりは市販の家電製品かデジタル機器のような物になっているのである。
まあ、ファイズの姿がでっかく入っているし、ブルースワットの「ディクテイター」ほどではないが、結構よくできている。
また、箱の中のブリスターにまでもスマートブレインのロゴが入っているので、ちょっと笑ってしまった。ブリスターの成形色も黒くて、妙に「ホンモノ」っぽい。
前年の「ドラグバイザー」が、ギミック的にあまりにも凄すぎたので、玩具としての出来には、少々物足りない部分もある。しかし、「ホンモノ」っぽく見せようというコダワリが、あちこちに見られるのは好感が持てる。

 


パッケージと、内部のブリスタ。スマートブレインのロゴ入りだ。

 

仮面ライダーの変身ベルトとして、悪と戦う武器として、身近なアイテム携帯電話として…三種の楽しみ方が出来るのは楽しい。そして、音声は一種かニ種のみ、という玩具が多い事を考えると、どのモードでも楽しめるようにギミックが仕込まれているのは、結構凄いような気もする。しかもそれが、戦隊の変身ブレスと同じ大きさの携帯電話玩具に納まっているのかと思うと、ますます凄いような気がしてくる。

多少の不満もないわけではないが、総合的にみれば、なかなか面白い変身アイテムだ。

 

 

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