サウンドアクション サンダーアーム

君のパンチが音になる!!

 


その気になって引き締まった表情を見せるガキがイカすパッケージ

 

サイバーコップの、もうひとつのメイン商品が、この「サウンドアクション サンダーアーム」だ。
ミニチュアモデルである「サイバービット シリーズ」に対して、これは実際に身に付けて遊ぶ玩具で、「1/1ギア シリーズ」と呼ばれる。

カタログなどには「驚異的なパワーを秘めたギア」などという記述がある。他にもサイバーコップと同時期に放送されていた、同じくタカラ提供のTVアニメ「鎧伝サムライトルーパー」でも、主人公達の装着する和風アーマーに「ヨロイ・ギア」などという名が付けられていた。もしかするとバンダイが「星闘士星矢」の「クロス」でヒットを飛ばしていたのに対抗して「ギア」という言葉を流行らせようとしていたのかもしれない。

 

この「1/1ギア シリーズ」は、他にも色々なアイテムが発売されていた。

角センサーが起き上がる「ジュピターヘルメット」(これで君もジュピターだ!!)
ZACの警棒「ポリスバトン」(スティック部分が光る!!)
銃口が光る光線銃「SDガン」(発射音が2段階に変化する!!)
離れた場所から交信ができる「リストシーバー」(FMラジオも聞けるゾ!!)

これら四種にサンダーアームを加えた全五種が発売ラインナップである。「これでキミもサイバーコップのメンバーだ!!」とキャッチコピーは元気がいいが、これらの商品が人気があったとか、よく売れたとかいう話は残念ながら聞いた事がない。
ビットスーツ装着前のZAC通常装備は、劇中では玩具が欲しくなるほど印象に残るような活躍を見せているわけではないし、仕方のないところだろう。(でも科特隊の流星バッジやウルトラ警備隊のビデオシーバーなんかは、見ていてものすごく欲しいと思ったのに…この差はナニ?)
他にも、ポリスバトンなんかはスターウォーズのライトセイバーを流用した物だし、リストシーバーは主役メカでもないのに6980円という最も高価な値段がついているなど、色々な部分からなんだか売れなさそうな雰囲気が漂ってくる。

そんななかで、このサンダーアームだけは、当時評判になった唯一の「1/1ギア」なのである。

 

 

大迫力のリアルサウンド!!


これがサンダーアームだ!

さて、この「サウンドアクション サンダーアーム」だが、実際に撮影に使用していた小道具に比べると子供用に縮小されたサイズでつくられているので、どちらかというと「1/1ギア」というよりは「2/3ギア」という感じである。
しかし、小さいとはいえ、大人でもちゃんと装着できるのがありがたいところだ。「勇者王ガオガイガー」の「ガオーブレス」などは、とてもじゃないが大人が腕につけられるようなものではなかった。そのような物に比べれば、たとえ小さめでも、腕に装着できるレベルにとどまっているのが嬉しい。

側面にはCYBER-COPのロゴとZACのエンブレムが入っているが、劇中でのサンダーアームは稲妻と共に天空より飛来する謎の装備なので、当然ながら本編に登場する物にはこんなものは描かれていない。まあ、あんまり気にする人もいないとは思うが。

 

この玩具のギミックは、「サウンドアクション」と名付けられているとおり、腕に装着してアクションをすると、それに合わせて様々な音が出るという、大変楽しいものだ。
それも、ひとつやふたつではない。なんと9種類もの音が飛び出すのだ!凄い!!
今は電子部品がずいぶん安くなったからそうでもないが、サイバーコップの頃は電子音を発する玩具もまだまだ高価だったから、この9種類というのはなかなかのものだ。どんな音が出るのかを紹介しよう!

 

ハイパー・アタック サンダーアームによってより強力になったものすごい威力のパンチやチョップだ!!
鋭いパンチを繰り出すと「バシッ!」という打撃音が出る!基本だ!!

ハイパー・クラッシャー 超強力な握力を使ったクラッシュ攻撃だ!どんなに固い金属でも握りつぶしてしまうゾ!!
モード1スイッチを押すと「ボキッ、ボキッ」という、物を握りつぶす音が出る!友達の腕を握りながらやってみよう!!

ハイパー・シールド 相手からの攻撃を防ぐバリヤー!どんなに強力な武器もかわしてしまうゾ!!
モード2スイッチを押すと「キーン!」という、敵の攻撃をはね返す音が出る!体をかばうようにして押すのがコツだ!!

ハイパー・ストーム 腕をものすごい勢いで一回転させて空気の渦を起こし、相手を切り裂いてしまうゾ!
腕を大きく振ると「ブォォォォォン!」と風をきる音がする!!ハデなアクションでハデな音が出るのが楽しい!!  

ローリング・チャージャー 腕を連続回転させてエネルギーをチャージ!攻撃力がグーンとパワーアップするゾ!
腕をグルグルと回してハイパー・ストームの音を4回連続で鳴らすと「ピピピピ」という音が出てパワーアップ完了だ!30秒間持続するぞ!!

サンダー・アタック ローリング・チャージャーでパワーアップしたパンチ!ハイパー・アタックの数倍の威力だ!!
パワーアップしてからパンチを繰り出すと「ガシューン!!」という、より強力そうな音が出る!やかましさもかなりのものだ!!

サンダー・マグナム エネルギーを固形化した光子ナパーム弾!一発で戦車をコナゴナにする爆発力だ!!
パワーアップ状態でモード1スイッチを押すと「ズダダダダ」というマシンガン音が鳴る!戦車も砕く弾を連射するとは物騒な警官だ!!

サンダー・レイザー エネルギーをレーザービームに換えて放射!厚さ10メートルの鉄板を切り裂くゾ!!
パワーアップ状態でモード2スイッチを押すと「ピュピュピュピュ」というレーザー発射音が出る!結構情けない音だが、なんだかすげえ!!

サイバニック・ウェーブ 超必殺技!サンダー・アタックの連続攻撃だ!1秒間に百発のパンチ・チョップを繰り出すゾ!!
パワーアップ状態で連続パンチを繰り出すとトドメの一発に「ガシュウォォォ……ン」という残響音がつくぞ!迫力満点だ!!

 

このギミックを知れば、サイバーボミング時のジュピターのアクションがどうしてあんなポーズなのか、特定の決め技を持っていないのは何故なのかがよくわかるだろう。
欲を言えば、モードスイッチを側面ではなく手元につけて欲しかったところだが、まあ些細な事だ。構造や強度の面からも難しいのだろう。
音も、ちょっとばかり電子的な不自然さを感じさせるが、これもまあつくられた時代を考えれば仕方のないところだ。
とにかく、この「サンダーアーム」を腕につけて遊べばその楽しさは最高!ついでにハデなアクションで恥ずかしさも最高、やかましさに家族の嫌がる顔も最高だ。
親切な事に音の大きさを大小2段階に切り替える事ができるので、室内で遊ぶ時は小さい音にしておこう。

 

 

 

劇中での活躍が印象的な「サンダーアーム」だが、玩具のギミックもそれに負けないほど印象的な、大変楽しいものだ。
「なんだいこんなもん」とバカにしているような人でも、実際に身に着けさせると実にうれしそうに腕を振り回しまくったりする。はたから見てるとバカまるだしだが、やってる本人はとても楽しいものなのである。まあ、さすがに数千円も払う気になるような人はあまりいないだろうが。

そんなわけで、この玩具は発売当時に結構話題を呼んだ。他の商品は知らなくても、サンダーアームだけは知っているという人は多いし、少年ジャンプのマンガ「こち亀」にも登場した事があるくらいなのだ。

その後、サイバーコップとは無関係な玩具として、成形色を変更したものが発売された。こちらは「サウンドアーム」という名で、シブめのパッケージが特徴だ。評判になったから別モノとして売り出したのか、売れなかったからモトをとるために出したのかはわからないが、玩具のギミックだけでもウリになるほど魅力的なアイテムだという事が、この事からもわかると思う。

 

また、先に述べた「サムライトルーパー」でも、同様のギミックをそなえた「烈火拳」という玩具が発売されていた。
リアルタイムで見ていた人なら、TVCMで「烈火拳もあるぞ!!」とやっていたのを憶えているだろう。メカっぽいサンダーアームに対して、烈火拳は鎧の篭手をおもわせる形状をしていた。こちらは「バットマンアーム」として再販された事もあるらしい。
わしは烈火拳を持っていないが、アイアンドリルからもリンクさせて頂いている「Kノどらんく」さんのところにくわしい紹介がある。興味がある方はこちらを覗いてみるといいだろう。他にも楽しいコンテンツがいっぱいあるし、オススメだ。

スイッチを押すと音が鳴る玩具は多いが、それよりもアクションに応じて音が出るほうが絶対に楽しい。
他にもこういう玩具が多く出てきて欲しいところだが、サンダーアームのように多彩なサウンドが楽しめる、本格的な物は出ていないのが残念である。
現在の技術なら、映画で使われているような効果音をサンプリングした、もっとリアルな音が出るカッコイイ玩具が作れるはずだ。いつかまた、そんな楽しい玩具が登場する事を期待したい。

 

 

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