Q | 精神分裂病の患者でも一人暮らしができますか。 |
A |
■できます。精神分裂病の方でも単身生活を送っている人は多くおられます。
■しかし、単身生活が送れるためには、必要な条件があります。まず病状が安定化していることが必要です。自ら服薬や通院できることが必要です。基本的な生活が送れるだけの生活技能を有していることが必要です。金銭が計画的に使えること、規則正しい生活が送れること、適切な食事ができること、身の回りの整頓ができ清潔を保てることです。もちろん、近所迷惑になる行動や危険な行動をとる人は不適切です。音楽をボリュームいっぱいかけたり夜中に大きな音を出すために周囲から苦情が出るようでは困ります。また、ごみを決められたとおりに出せたり、近所の人に会ったら簡単な挨拶ぐらいはできないといけません。経済的にある程度の安定が得られていることが重要です。生活保護や障害年金が該当する場合は利用しましょう。毎日あるいは週に何日かでもよいので通える場所を持っていることです。職場があればもちろんいいし、就労していなくても作業所やデイケアなど行き場所が必要です。訪問看護を受けることができれば、より安心できるかもしれません。やはりいろんな人とのかかわりを持っておくことは大切ですし、万一病状が悪化した時の対策をたてておくことが重要だと思います。 ■どうしても家族と相性が合わない時には、単身生活を始めて状態が安定化する場合があります。「気兼ねをせずに気楽に過ごせてストレスがかからずいい」と言われる方もおられました。しかし、ご家族の方にもお願いがあります。「もう家を出たから何が起きても知らない」というのではなく、本人さんが困った時には必要に応じて援助はして欲しいと思います。 ■単身生活を送ることは自立する意味もあります。今後、いつまでも家族の援助が得られるとは限りません。チャンスがあれば、単身生活を考えてみるのもいいでしょう。一人暮らしを始めて浪費しなくなった例がありました。 ■病状が悪くなった時に初めて「一人暮らしがしたい」と家を出ていこうとする場合があるので注意は必要です。あくまで一人暮らしを始める際には病状が安定していることが条件です。 (2001.8.26) |