先生からデイケアをすすめられました。デイケアに参加すると何かいいことがあるのですか。
まず、デイケアとは何かということですが、日中、病院に行き、スタッフの指導のもとで仲間と一緒にさまざまな活動を行うことです。軽作業、スポーツ、編み物やビーズなどの手工芸、木工、園芸、陶芸、料理、ワープロ、カラオケなどを楽しみます。また、グループでいろんなテーマで話し合いをしたりします。時には、行楽地に遊びに行ったりもします。学校のクラブ活動のようなものを想像していただくとよいと思います。スタッフとしては、看護婦、作業療法士、心理療法士、ケースワーカーなどさまざまな職種がかかわります。毎日何時から何時まで必ず参加しないといけないという義務的なものではなく、休みたければ休んでもいいし、個室で寝ていてもいいし、また、週1回あるいは2回参加するだけでもいいという比較的自由なものです。最近、デイケアを行う病院やクリニックなどが急増しています。私の勤務する病院では、毎日平均約70名の参加者がいます。次にデイケアに参加することでどのような利点があるかを考えてみましょう。規則正しい生活ができるようになります。退院はしたけれど毎日特にすることもなく、ぶらぶら過ごしているうちに朝が起きれず夜になるとごそごそして、そうこうするうちに病状が悪化すことはよくあります。デイケアに参加することで生活にめりはりがつきます。また、人とのつきあいかたや社会性などを知らず知らずのうちに学んでいきます。特に精神分裂病の場合、生活の仕方や人付き合いが下手になるといった生活障害が生じてきますが、その生活障害の改善にデイケアは役立ちます。いろんな遊びや集団活動を通じて「楽しむ」ことは重要です。人生は十分楽しみましょう。さまざまな活動に自主的に参加する機会が与えられる事で積極性が引き出されます。さらに、デイケアにはさまざまな職種のスタッフがいるので困ったことや不安なことを相談することができます。いろいろ利用できる制度についても教えてもらうことができます。私の勤務する病院では、職探しや諸手続きにスタッフが同行することがあります。退院後、将来を焦り、「もろい時期」にすぐ就職を試みて失敗する人がいますが、とりあえずの目標を下げてもらい病状の安定度を高める期間を与える意味もあります。以上のようにデイケアに参加することでたくさんのいいことがあります。ただ、デイケアは最終目標ではなく社会復帰の途中経過と考えて下さい。