TOPIC No.6-18 NASA

Index
1. NASA、2. スペースシャトル・エンデバー

TOPIC No.6-18-1 NASA



01. NASAのホームページ
02. NASA News by Kazu Mikami
03. NASAサイトツアー

NASAの火星探査車、28日に巨大クレーターへ

2006/09/27 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=渡辺浩生】米航空宇宙局(NASA)の無人火星探査車「オポチュニティー」が28日にも巨大クレーター「ビクトリア」の縁に到着する見通しとなった。直径750メートル、深さ70メートルと過去調査したクレーターで最大規模。火星の歴史をひもとく成果が得られるのではないかと科学者の期待も高まっている。

 NSSAのドゥエイン・ブラウン報道官は産経新聞の取材に対し「ビクトリアは最大の目的地。火星探索の劇的な瞬間になる」と語った。オポチュニティーは28日にも縁に到着後、パノラマカメラで周辺を撮影。NASAは届けられた画像を来月上旬にも公開する。

 オポチュニティーはNASAが火星に送り込んだ2台の探査車の1台で2004年1月に着陸。ビクトリアは、過去調査したクレーター「エンジュランス」の5倍、「イーグル」の40倍の規模で、周囲の岩壁には非常に厚い岩石層が露出しているとみられる。

 このため、水の存在などを示す地質学的証拠など「火星の歴史書の発見になる」(米紙ワシントン・ポスト)と期待されている。

シャトル打ち上げ成功 宇宙ステーション建設再開へ

2006/09/10 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=渡辺浩生】米航空宇宙局(NASA)は米東部時間9日午前11時15分(日本時間10日午前零時15分)、スペースシャトル「アトランティス」をフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げた。NASAによると、「アトランティス」は予定の軌道に入り、打ち上げは成功した。2003年2月のコロンビア空中分解事故で中断した国際宇宙ステーション(ISS)の建設が約3年9カ月ぶりに再開される。

 ブレント・ジェット船長ら6人が搭乗、11日間の飛行中、太陽電池パネルなどを運搬し、3回の船外活動で組み立てる。3日目にはISSとドッキングする見通し。

 ISSは日本など世界15カ国が参加。2010年のシャトル退役まで今回を含めて15回の打ち上げで完成を目指す。日本の国際宇宙実験棟「きぼう」の取り付けも実現に前進した。

シャトル打ち上げ1日延期 燃料電池にトラブル

2006/09/06 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は6日早朝、同日午後(日本時間7日未明)に予定していたスペースシャトル「アトランティス」の打ち上げを1日延期すると発表した。

 搭載した燃料電池に不具合が見つかったため。三つある燃料電池のうち、一つでトラブルが発生したという。

 延期は発射台への落雷と熱帯暴風雨による悪天候に次いで3度目。打ち上げ期限は8日までで、残り2日と迫ってきた。

 今回の飛行で、2003年2月のコロンビア空中分解事故で中断していた国際宇宙ステーションの建設が再開される。ロボットアームの操作や船外活動により、来年から建設が始まる欧州や日本の実験棟に電気を供給する大型太陽電池パネルを取り付ける重要な役割を担っている。(共同)

シャトル後継機「オリオン」開発、受注はロッキード社

2006/09/01 The Sankei Shimbun

 【ロサンゼルス=松尾理也】米航空宇宙局(NASA)は31日、スペースシャトル後継機で、有人月探査に用いられる予定のカプセル型次世代有人宇宙船「オリオン」の開発を担当する主要契約社に、米防衛・航空大手ロッキード・マーチンを選定したと発表した。受注額は推定39億ドル(約4560億円)に達する。

 「オリオン」は、2010年に退役するシャトルに代わり、国際宇宙ステーション(ISS)に人員・物資を運ぶ役割を担う。さらに、ブッシュ大統領が打ち出した宇宙開発の強化計画に沿って、月・火星探査にも投入される。

 NASAは14年までにオリオンのISSへの初飛行を実現し、20年までにオリオンを利用した有人月探査を実施したいとしている。月面への有人飛行が実現すれば、1972年以来。

シャトル打ち上げ延期 雷雲発生でNASA

2006/07/02 The Sankei Shimbun

 【ケープカナベラル(米フロリダ州)1日共同】米航空宇宙局(NASA)は、1日午後(日本時間2日早朝)に予定していたスペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げを、悪天候のため延期した。2日午後3時26分(同3日午前4時26分)の打ち上げを目指す。

 発射基地のフロリダ州ケネディ宇宙センター付近で1日午後に雷が発生し、その後も上空の雷雲が晴れなかった。シャトルが雷に打たれると危険なため、NASAの規則では付近に雷雲が発生した場合は打ち上げが延期される。

 NASAによると、2日も似たような天候が予想されている。

NASA、次世代ロケットを「アレス」と命名

2006/07/01 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=山本秀也】米航空宇宙局(NASA)は6月30日、次世代の月面探査計画に投入される宇宙ロケットを「アレス」と命名した。ギリシャ語の「火星」に由来するもので、2009年に試験的な打ち上げを予定する。

 スペースシャトルを使った国際宇宙ステーション(ISS)計画が2010年に終了することを受け、NASAでは月面基地の建設を含む月面探査を次の計画目標に設定している。

 「アレス」は1型と5型の2種。月面探査機などは大型の5型を使って打ち上げられる。

 一方、約1年ぶりとなるスペースシャトル「ディスカバリー」は、1日午後3時49分(日本時間2日午前4時49分)に、フロリダ州ケープカナベラルのケネディ宇宙センターから打ち上げられる。天候や準備状況から、NASAでは予定通りに打ち上げるとしている。

米シャトル、7月1日以降に延期 燃料タンクセンサーに異常

2006/03/15 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は14日、5月を目指してきた次のスペースシャトルの打ち上げを延期し、新たに7月1―19日を目標にすると発表した。外部燃料タンクの燃料残量センサーに異常が見つかり、交換が必要になったためだ。

 ジョンソン宇宙センター(テキサス州)で記者会見したシャトル計画部長のウエイン・ヘール氏は、延期しても「(予定通り)年内に計3回の打ち上げは可能」と話し、日本実験棟「きぼう」の打ち上げを控える国際宇宙ステーション(ISS)の建設には、大きく影響しないとの見方を示した。

 NASAは、2010年の引退までにシャトルを16回飛行させ、ISSを完成させることで日本などと合意している。

 このセンサーは、シャトル打ち上げ時にエンジン燃焼の過不足を防ぐ安全装置の一種。燃料タンクの底に取り付けられた4個のうち1個が試験中に誤作動したため、NASAは4個とも交換することを決めた。同じセンサーは野口聡一(のぐち・そういち)さん(40)が搭乗し昨年打ち上げられた「ディスカバリー」でも誤作動し、打ち上げが2週間近く遅れた。(共同)

次回シャトル「5月目標」は変わらず NASA

2006/02/14 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)スペースシャトル計画部長のウェイン・ヘール氏は2月28日、シャトルの次回打ち上げに向けた準備状況についてケネディ宇宙センター(フロリダ州)で記者会見し、引き続き「5月実施」を目標に作業を進めていると明らかにした。

 NASAは、野口聡一さん(40)らが搭乗した昨年7月の「ディスカバリー」打ち上げ時に外部燃料タンクから断熱材の塊が落下したことを受けシャトル飛行を凍結した。同部長によると、落下個所から断熱材を除去するなどの改造を施したタンクがこのほど完成し、3月1日には同宇宙センターに搬入される見通しだ。

 タンク改造による安全性の最終評価は、NASAの複数施設で実施中の風洞実験の結果を受けて今後行われる。5月に打ち上げられない場合、次のチャンスは7月になる。(共同)

日本人宇宙飛行士3人にシャトル運用資格

2006/02/14 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)に14日入った連絡によると、米航空宇宙局(NASA)でスペースシャトルの運用や宇宙遊泳ができる搭乗運用技術者(MS)の訓練を受けていた日本人宇宙飛行士3人が10日に訓練コースを修了、正式にMSとして認定された。

 資格を認められたのは古川聡(ふるかわ・さとし)さん(41)、星出彰彦(ほしで・あきひこ)さん(37)、山崎直子(やまざき・なおこ)さん(35)の3人。日本人では野口聡一(のぐち・そういち)さん(40)に続いて、5―7人目のMS誕生となる。

 3人は既に、国際宇宙ステーション(ISS)で長期滞在ができる資格は取得していたが、ステーションの完成はシャトル「コロンビア」の事故で大幅に遅れる見通し。このため宇宙機構は、早期の宇宙飛行のチャンスを広げるため、1年8カ月をかけてMS資格取得にも挑戦させていた。

 MSの資格取得で、ISSの日本の実験棟「きぼう」を組み立てる作業にも参加が可能になる。(共同)

探査機で約10年 太陽系の果てに

2006/02/14 東京新聞

冥王星未知への旅

 太陽系の果て、氷の世界に何がある−。米航空宇宙局(NASA)は先月、世界初の冥王星探査機「ニューホライズンズ」を打ち上げた。「水・金・地・火・木…」と覚えた惑星の中で、太陽から最も遠い冥王星。月より小さく、惑星とはいえないという説も根強いが、太陽系研究では欠かせない存在だ。日本の研究者の貢献も期待されている。 (大島弘義)

 冥王星は太陽からの距離が平均六十億キロ。探査機が行ったことのない唯一の惑星だ。ニューホライズンズは、木星の重力を利用し高速で進むが、到着まで九年以上を費やす。そして冥王星と衛星「カロン」付近で、大気や表面観測を行う。

 国立天文台天文情報公開センター広報普及室の渡部潤一さんは「冥王星はメタンを中心に地球の十万分の一という、極めて薄い大気を持つ。この大気は冥王星が太陽から離れると凍るといわれるが、検証はされていない」と話す。一方、カロンにはメタンがなく、冥王星と表面組成が大きく異なる。この点も謎の一つで、解明が期待される。

 「冥王星は小さく、観測対象としてつまらないと考えられてきた。だが、エッジワース・カイパーベルト天体が見つかり、小さいからこそ面白い、となった」と渡部さん。カイパーベルト天体は太陽から五十億キロから七十五億キロほど離れた個所を回る多数の天体で、惑星が成長する痕跡が残っていることなどから注目を集めている。カイパーベルト天体が太陽系の軌道に入り込むと彗星(すいせい)になる。

 冥王星もカイパーベルト天体の一つとされ、惑星とはみなさない天文学者も多い。ニューホライズンズは冥王星探査後、こうした天体を調べる。ハワイにある日本のすばる望遠鏡が探査対象を決める観測を行う。

 国立天文台ハワイ観測所広報室の布施哲治さんは「すでにいくつかの候補を見つけ、今後、行けそうなものを決められると思う。探査機は冥王星通過後に軌道を修正することになるだろう」と見通す。

 冥王星は唯一、米国の科学者が発見した惑星だ。米国が強く「惑星だ」と主張したとされる背景にはこうした事情も指摘される。くしくも今年、発見者のクライド・トンボー博士の生誕百年。

 国際天文学連合は一九九九年、惑星であると宣言した。一方、二〇〇三年に見つかった「UB313」という天体は直径が三千キロと冥王星より大きいことが分かり、今後「第十惑星」かどうか話し合われることになりそう。冥王星の議論が再燃するかもしれない。

 そうした間も探査機は少しずつ冥王星に近づいていく。布施さんは「十年もの長旅の後、探査機が間近でとらえる天体の姿に、世界の誰もが興奮するはず」と話した。

 <メモ>冥王星

 太陽系9番目の惑星。太陽から44億−74億キロ離れただ円軌道を、248年かけて回る。このうち約20年は海王星の内側にくる。大きさは直径約2300キロ。1930年に発見された。

すい星のちり:NASAが顕微鏡画像を公開

2006年01月20日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 すい星のちりをナイスキャッチ−−。米航空宇宙局(NASA)は19日、無人探査機スターダストが地球への持ち帰りに成功した「ビルト2」すい星のちりの粒子の顕微鏡画像を公開した。

 粒子は黒っぽく、長さ0.01ミリほどのいびつな形。探査機の採取装置に満たされた透明な特殊保護材に取り込まれた状態のまま撮影され、高速の粒子が保護材の中で尾を引くようにして止まった様子が分かる。

 探査機は04年にすい星に接近、100万個を超す粒子が採取できたと研究者はみている。すい星のちりには、太陽系を形作った約46億年前の物質が保存されているとされ、世界中の研究者によって粒子の詳細な分析が今後進められる。(共同)

冥王星:NASAが探査機打ち上げ 2015年到着

2006年01月20日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 【ワシントン和田浩明】米航空宇宙局(NASA)は米東部時間19日午後2時(日本時間20日午前4時)、世界初の無人冥王星探査機「ニューホライズンズ」を米南部フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げた。2015年7月ごろに冥王星付近に到着、大気や表面などの観測を行ったうえ、小天体が分布する「カイパーベルト」帯の調査も試みる計画だ。

 冥王星は太陽系で唯一、未探査の惑星。ニューホライズンズの冥王星までの飛行は約9年半に及ぶ。到着時の太陽からの距離は約49億キロと遠く太陽電池の利用が難しいため、通信・観測機器の動力源としてプルトニウム電池が搭載されているため、打ち上げ時には反核団体の限定的な抗議運動も行われた。

 同探査機は高さ70センチ、最長部の幅2.7メートル、重さ478キロ。各種カメラや分光計、荷電粒子観測装置などを装備している。冥王星と、衛星のカロンに1万〜2万7000キロ程度まで接近して写真撮影などを行う。計画の総費用は約7億ドル(約800億円)。

 1930年に発見された冥王星は太陽系の最外縁部に位置し、248年周期で公転している。太陽からの平均距離は59億キロと地球−太陽間の距離の約40倍も離れているうえ直径が2300キロ強と月の3分の2ほどしかなく、地球からの観測は難しい。ニューホライズンの観測による新事実の発見が期待されている。

 打ち上げはアトラス5型ロケットで行われ、打ち上げ速度は時速約3万6000キロを超え史上最も速かった。

彗星のちり持ち帰る NASA探査機カプセル帰還成功

2006/01/15 The Sankei Shimbun

 彗星(すいせい)から噴き出すちりを収めた米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「スターダスト」のカプセルが、15日午前5時10分(日本時間同日午後7時10分)すぎ、米空軍施設があるユタ州の砂漠にパラシュートで着陸した。

 彗星の物質を地球に持ち帰るのは初めて。

 彗星には、約46億年前に地球を含む太陽系を形作った物質が、ちりやガスの形で閉じ込められているとされる。採取したちりの形状や成分を直接、詳細に調べることが可能になり、太陽系の進化過程の理解が大きく進むと期待される。

 スターダストは1999年に打ち上げられ、太陽をほぼ1周した後に地球の重力の力を借りて軌道を変え、2002年1月、ビルト2彗星(最長径約5.5キロ)に約236キロまで接近。テニスラケットに似た形の装置で彗星の噴出物を採取し、カプセルに収めた。

 格子状に区切られた採取装置の中には「エアロジェル」と呼ばれるスポンジ状の高性能保護材が入っていて、貴重なちりの粒子を傷めないように取り込んでいるとみられる。

 探査機はその後地球に向かい、15日午前零時57分(同午後2時57分)ごろ、打ち上げから約7年、約46億キロの旅の終わりに、地球の約11万キロ上空でカプセルを地上に向けて切り離した。(共同)

彗星のちり収めたカプセル、15日に地球へ NASA探査機

2006/01/11 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)が世界で初めて挑戦する、彗星(すいせい)のちりを収めたカプセルの地球への着陸が15日に迫った。

 髪の毛の直径にも満たない彗星のちりには、太陽系の起源解明に役立つ太古の物質がほぼ変化せずに閉じ込められていると期待されている。貴重な試料を無事に回収し分析できるのか、世界の注目が集まりそうだ。

 直径約80センチ、そろばん玉をつぶしたような形のカプセルが、地球の約11万キロ上空で無人探査機「スターダスト」から切り離されるのは、米東部時間15日午前0時57分(日本時間同日午後2時57分)だ。

 カプセルは猛スピードで大気圏に突入、パラシュートを開き、同5時12分、米空軍施設があるユタ州の砂漠に軟着陸する予定。試料はNASAのクリーンルームで徹底的に分析される。

 探査機は2002年、「ビルト2彗星」(最長径約5.5キロ)に約236キロまで近づき、コマと呼ばれる雲の中を通過、集めた粒子をカプセルに封印した。

 彗星は氷とちりが主成分で、衝突により太古の地球に水と、生命の基となる有機物をもたらしたのではないかと考えられている。ビルト2彗星は太陽から遠く離れていた時期が長いため物質の変化もそれだけ少ないと考えられ、NASAの科学者チームは「まさに宝物だ」と期待している。(共同)

有人探査、火星に500日…NASA計画

2005年12月29日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)のまとめた有人火星探査計画の最終報告書案が明らかになった。一度の飛行に3機の宇宙船でのぞみ、宇宙飛行士は火星に500日間滞在する。帰還まで2年半の長旅となる。実現は2030年前後とみられる。

 有人火星探査計画は、04年1月のブッシュ大統領の演説を契機に具体化した。報告書案によると、6人の飛行士が出発する2年前に、地表での居住設備などを搭載した2機の無人物資輸送ロケット(貨物船)を打ち上げる。貨物船は8か月程度かけて火星周回軌道に到達、有人着陸に備える。

 NASAは、アポロ宇宙船型の「有人探査船(CEV)」に飛行士を乗せて打ち上げ、地球軌道上の「火星輸送船(MTV)」にドッキングさせる。輸送船は半年で火星周回軌道に着く。

 飛行士らは、火星上空で着陸の可否を判断。着陸には専用の離着陸船を利用する。着陸後も短期探査を行い、長期滞在が可能かを検討する。順調なら、約500日の長期滞在となる。

 計2年半の旅行期間は、行きと帰りの時期の地球と火星の位置関係を考慮して設定した。往復の飛行時間を短くでき、宇宙線被曝(ひばく)などの危険を減らせる利点がある。地球帰還時は、CEVだけが大気圏に突入する。

 貨物重量を抑えるため、火星地表からの離脱などに、火星大気の約95%を占める二酸化炭素を化学反応させて作るメタンを燃料として利用する見通し。2018年に再開される月着陸計画で、メタン燃料エンジンをテストする。

 NASAはシャトルを10年に退役させ、11年ごろからCEVを使った国際宇宙ステーションへの飛行を始める。月着陸を果たし、月面基地での長期滞在実験を行った後、火星着陸を目指す。

火星探査へ自給自足 長期飛行…尿を飲料水に、野菜は水耕栽培

2005/12/05 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 【ロサンゼルス=岡田敏一】火星への有人探査計画を進めている米航空宇宙局(NASA)が、宇宙船の中や、火星に作った特殊な温室の中で植物を育て、宇宙での自給自足を実現する計画を進めている。宇宙飛行士の尿を飲料水に、排泄(はいせつ)物は魚が食べるというリサイクル・システムも採用する考えだ。

 AP通信によると、NASAのジョンソン宇宙センター(米テキサス州ヒューストン)では、現在の宇宙食は賞味期限が短く、火星を往復するような長期間の宇宙飛行には適さないと考えている。そのため、火星への有人探査を実現するには、宇宙食の賞味期限を延ばす技術の開発と同時に、宇宙での食料の自給自足が必要になるというわけだ。

 計画では、地球を出発して火星に着くまでの6−8カ月の間は、宇宙船の中でニンジンやレタス、トマト、イチゴ、キャベツなどを栽培。火星に到着してからは、滞在期間である約1年半の間、イモや大豆、小麦、稲などを栽培し、それらをパンやパスタ、クッキーなどに加工するという。いずれも土を使わず、水と肥料だけを用いる水耕栽培だ。

 また、同センターの宇宙食システム研究所では、飛行士の汗や尿は水にリサイクルし、排泄物などはティラピアという魚の餌にする研究に取り組んでいる。ティラピアは飛行士が食べることもできるという。

 一方、NASAの先端構想研究所は、工学技術を手掛ける米ショット社(本社・インディアナ州)と共同で先ごろ、火星に作った温室で植物を育てる技術を開発するための装置「火星環境シミュレーター」を開発した。

 同社の主任研究員、ポール・トッドさん(69)は「ここで火星に近い環境を作り出し、約1年前から、地球上の微生物がどのように生息するかを観察している」と話す。

 NASAは2018年に月への有人探査を行い、その後、火星を目指すことにしている。

シャトル飛行回数さらに削減、NASA長官が検討指示

2005年10月22日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)のグリフィン長官は、日本などが参加する国際宇宙ステーション(ISS)の建設に必要なスペースシャトル飛行回数の削減検討を、再び担当部局に指示した。

 NASAは日本側に、2010年のシャトル退役までに、ISS建設で18回、ハッブル宇宙望遠鏡の補修で1回とする削減案を提示したばかりだが、次回のシャトル打ち上げが来年5月以降に遅れ、07年以降の多数打ち上げが予算上厳しくなった。年2回ずつ計8回の飛行という大幅削減案も取りざたされている。

 19回の飛行を実現するには、07年以降に毎年4〜5回の飛行が必要だが、安全対策の強化により、シャトルの打ち上げコストは、コロンビア事故以前の倍近くまで増えているとされる。ハリケーン被害にあった関連施設の復旧や組織再編に伴う人員削減で作業能力も低下している。事故でコロンビアを失い、機体も現在は3機しかない。この夏に議会承認された10年までの予算計画では、年3〜4回の飛行が限界だ。

 安全確保の面でも多数打ち上げは「問題あり」との見方が強い。整備・打ち上げを半年に1機とする計8回案の方が現実的との見方もすでに出ている。

 グリフィン長官は、計画が縮小された場合でも、日本や欧州の施設を優先して打ち上げる方針を打ち出しているが、建設手順などの都合で、飛行回数が16回以下になった場合、日本実験棟「きぼう」の一部が打ち上げられなくなる可能性がある。

シャトル再開、5月が目標 タンク調査に災害追い打ち

2005/10/15 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は14日、来年3月を目指すとしてきたスペースシャトル飛行の再開時期を遅らせ、5月3日―23日を目標にすると明らかにした。

 外部燃料タンクの断熱材脱落の原因調査が長期化した上、ハリケーン「カトリーナ」の深刻な被害が追い打ちをかけた。

 断熱材は今年7月、野口聡一(のぐち・そういち)さん(40)が搭乗したディスカバリーのタンクから脱落。NASAは問題解決までシャトル飛行を凍結すると決めた。原因の一つとして、組み立て中に作業員がタンクにぶつかるなどして衝撃が加わっていた可能性があるとみているが特定には至っていない。タンク調査や組み立てを担当する施設はカトリーナで大打撃を受け、現在も作業員の4分の1しか復帰できていない。

 NASAは9月末、国際宇宙ステーション(ISS)建設のためのシャトル飛行を減らし最大で18回とする計画を発表。関係者によると、5月再開は同計画には織り込み済みだが、これ以上の遅れが出るとISSへの影響も心配される。(共同)

シャトル後継機、有人探査船のデザイン案公表

2005年10月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米ノースロップ・グラマン、ボーイング両社は12日、月飛行などの新しい宇宙探査のため、両社が共同で開発を進めるスペースシャトル後継機「有人探査船(CEV)」のデザイン案を公表した。

 CEVの受注業者は来春に米航空宇宙局(NASA)が選定する。両社の案は、直径3・9メートルのアポロ宇宙船より太い直径5・5メートルの機体に、電源供給用の2枚の太陽電池板が後部に付いており、約半年までの長期にわたる自律飛行ができる。

 スペースシャトルの固体燃料補助ブースターを下段エンジンに活用した2段式ロケットで打ち上げられ、打ち上げ時には先端に脱出用ロケットも取り付けられる。見た目はアポロとそっくりだが、機内の空間は約2倍に広がり、アポロの倍の6人まで搭乗でき、スペースシャトルの約10倍の安全性を目指している。

土星の月は“でこぼこ”…NASAが画像公表

2005年10月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 米航空宇宙局(NASA)は、探査機カッシーニが撮影した土星の月「ハイペリオン」の鮮明な画像を公表した。

 表面は赤みがかった色で、多数のクレーターが見られる。

 ハイペリオンは不規則な形で、長径は約360キロある。最大のクレーターは直径が120キロ、深さは10キロもある。隕石(いんせき)が衝突してこのような形になったと考えられ、鮮明画像が月のなりたちのナゾの解明につながると期待される。

5番目に大きいフレア、米の人工衛星が撮影

2005年09月09日 読売新聞 Yomiuri On-LIne

 米海洋大気局(NOAA)は、観測史上5番目に大きい太陽表面の爆発(フレア)を、人工衛星「GOES―12」が撮影した写真を公開した。

 写真は、フレアから放出される、高エネルギーのエックス線を画像処理した。うっすらと輪郭がわかる太陽の縁で広範囲に広がるフレアが読み取れる。爆発周辺の区域では、8月中旬から、黒点活動が活発化していた。

 フレアの発生は、米東部時間7日午後1時17分(日本時間8日午前2時17分)。今のところ、フレアの爆発面は地球に向いていないが、今後活発な活動が続けば、人工衛星の故障や地上での電波障害が起きる可能性もあるという。

土星の輪が薄くなる…NASA探査機で観測

2005年09月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 米航空宇宙局(NASA)は5日、土星の輪の一部が薄くなっていることが判明したと発表した。土星探査機カッシーニが今年実施した観測と1980年に探査機ボイジャーで行った観測のデータを比較して分かった。

 わずか25年の間に薄くなったのは、大きく分けて7本ある土星の輪のうち、最も内側にあるDリング。さらに、その一部は、土星側に200キロ・メートルも移動していた。

 原因についてはNASAが分析中だが、輪を構成するちりや氷の小さな粒がぶつかりあい、輪の構造は刻々と変化していると考えられている。

 研究チームの担当者は「土星の輪がすぐに消えてしまうとは思わないが、観測によって、輪の起源や寿命が明らかになるだろう」と話している。

ディスカバリー里帰り 専用輸送機でフロリダへ

2005/08/20 The Sankei Shimbun

 野口聡一(のぐち・そういち)さん(40)らを乗せて今月9日に宇宙から帰還した米スペースシャトル「ディスカバリー」は19日午前(日本時間20日未明)、専用輸送機の背に固定され、着陸地のエドワーズ空軍基地(カリフォルニア州)からケネディ宇宙センター(フロリダ州)に向けて出発した。

 輸送機はボーイング747を改造したジャンボ機。移動距離は約3500キロで、給油などのため途中2カ所で着陸する。同宇宙センターへの到着は日本時間21日未明ごろの見通し。

 米航空宇宙局(NASA)は当初、ディスカバリーに続くシャトル打ち上げを9月に実施する考えだった。しかしディスカバリー打ち上げ時に起きた外部燃料タンクの断熱材脱落の原因究明や対策に時間が必要なことが分かり、今月11日に「早くても11月」と発表。18日には来年3月の打ち上げを目指す方針を明らかにした。(共同)

次回のスペースシャトル打ち上げ、来年5月に延期か

2005年10月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】ロイター通信は30日、米航空宇宙局(NASA)当局者の話として、来年3月に予定されるスペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げが、同5月に延期される見通しになったと報じた。

 今年7月のディスカバリーの再開飛行で表面化した外部燃料タンク断熱材のはく離問題が未解決であることに加え、大型ハリケーンの相次ぐ上陸で米南部の関連施設が操業中断に追い込まれたことが理由。

次のシャトル打ち上げ、早くても11月 ステーション建設に影響も

2005/08/12 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は11日、次のスペースシャトル打ち上げが早くても今年11月になるとの見通しを明らかにした。外部燃料タンクの断熱材落下を防止する対策に時間がかかるため、としている。

 NASAは当初、次の打ち上げを9月に予定していた。打ち上げ凍結が続くと、2010年に予定されるシャトル引退までに、日本も参加する国際宇宙ステーションを完成させるのが難しくなる。

 AP通信などによると、断熱材落下の調査をしているNASAの担当官が、外部燃料タンクの補修が必要で9月には間に合わないと話した。落下しやすい部分の断熱材をつけ直すなどの対策が検討されているという。

 断熱材落下は、コロンビア空中分解事故の原因となった。野口聡一さん(40)が乗ったディスカバリーの打ち上げ時にも発生。NASAは次回以降のシャトル打ち上げを凍結し、原因を調べていた。(共同)

ディスカバリー無事帰還 米エドワーズ空軍基地

2005/08/09 The Sankei Shimbun

 野口聡一さん(40)搭乗のスペースシャトル「ディスカバリー」は9日午前(日本時間同日夜9時過ぎ)、米カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地に着陸した。

 当初予定のフロリダ州のケネディ宇宙センターへの着陸は天候不良のため断念した。

 乗員らは7月26日の打ち上げから14泊15日の飛行中、船外活動で耐熱タイルの修復試験や史上初の機体修復を実施。宇宙ステーションの機器交換や物資補給に当たった。野口さんは訓練の成果を発揮。3回の船外活動をすべてこなし、任務を果たした。

 2003年のコロンビア空中分解事故以来の飛行はひとまず成功。しかし、打ち上げ時に断熱材落下が再発し、米航空宇宙局(NASA)が次号機の打ち上げを凍結する事態に。機体に相次いで傷が見つかり、今後の飛行には不安を残した。(共同)

シャトル帰還、9日に延期 天候不安定で断念

2005/08/08 中国新聞ニュース

 【ケープカナベラル(米フロリダ州)8日共同】米航空宇宙局(NASA)は八日未明(日本時間同日午後)、野口聡一さん(40)らが乗った米スペースシャトル「ディスカバリー」のケネディ宇宙センター(フロリダ州)への帰還を一日延期し、九日未明(日本時間同日午後)に再挑戦すると発表した。

 八日は同宇宙センターに計二回の着陸機会があったが、一回目は雲で視界が遮られる恐れがあって見送り。地球をもう一周した二回目も、天候が不安定なため断念した。

 九日は八日と同様、ケネディ宇宙センターに二回の着陸機会がある。また、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地など二カ所の代替地への着陸も検討するため、日本時間の午後六時すぎから同十時五十分ごろにかけ、着陸機会は計六回となる。九日が駄目な場合には、十日にも同様に六回のチャンスがある。

ディスカバリーあす帰還 「問題なし」とNASA

2005/08/07 中国新聞地域ニュース

 野口聡一さん(40)搭乗のスペースシャトル「ディスカバリー」が8日未明(日本時間同日午後)、14日間の飛行を終え、フロリダ州のケネディ宇宙センターに帰還する。

 着陸は日本時間同日午後5時46分の予定。米航空宇宙局(NASA)は6日現在、「システムは正常で機体にも問題はない」としている。

 機内では6日午後(同7日午前)、目覚まし用の曲として、野口さんが選んだSMAPの「世界に一つだけの花」が流れた。野口さんは「われわれのミッションを支援してくれた世界中に感謝を表したい」と歌を選んだ理由を述べた。

 野口さんは同日、相方のスティーブン・ロビンソン飛行士(49)とともに、船外活動に使った機器を片付けるなど、帰還に向けた荷造りをした。

 NASAシャトル計画副部長のウェイン・ヘール氏は「フロリダはこの時期、夜明け前の天候条件は良い。ただ雨の可能性が少しある」と述べた。シャトルは雨や雷、横風に弱く、着陸地周辺に雷雲があると着陸許可が出ないという。

 当初予定時刻に着陸できない場合、まず1周した約1時間半後の着陸を目指し、それが駄目なら9日に順延。それでも駄目ならカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地など2カ所の代替着陸地に着陸させるか、さらに順延するかを検討する。(共同)

ディスカバリー8日帰還 ステーションを離脱

2005/08/06 中国新聞ニュース

 【ヒューストン(米テキサス州)6日共同】野口聡一さん(40)が乗るスペースシャトル「ディスカバリー」が六日午前二時半(日本時間同日午後四時半)前、帰還に向けて、ドッキングしていた国際宇宙ステーションを離れた。

 ディスカバリーは日本時間八日午後五時四十六分、フロリダ州のケネディ宇宙センターに着陸する予定。二○○三年二月、大気圏突入時に空中分解事故を起こしたコロンビア以来初めての、世界が注目する帰還となる。

 飛行中に見つかった機体外部の損傷が帰還時の懸念材料となるが、米航空宇宙局(NASA)のグリフィン局長は五日、記者会見し、「機体の状態は非常に良い」と帰還成功に自信を見せた。

 局長はまた、ディスカバリーの外部燃料タンク断熱材脱落を受けて凍結した、次号機「アトランティス」の飛行について、当初予定の九月にも可能だと述べた。当面、九月二十二日を最も早い打ち上げ目標とする。

 NASAは、機体底面の耐熱タイルの傷については、ごく浅く問題ないとした。タイルのすき間二カ所からはみ出したセラミック材は、宇宙遊泳で抜き取って修復。最後に残った操縦席横の耐熱保護材の傷についても、地上で実験した結果、大気圏突入時にちぎれ落ちて機体を傷つける確率は極めて小さいと結論付け、帰還にゴーサインを出した。

 ディスカバリーの乗員七人は六日の離脱を前に、ステーションに残る二人とお別れのセレモニー。終了後、野口さんがビデオカメラを置き忘れ、アイリーン・コリンズ船長がステーションに取りに戻る場面もあった。

シャトル損傷「帰還に問題なし」 NASA結論

2005/08/05 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は4日午後(日本時間5日未明)、スペースシャトル「ディスカバリー」の操縦席の窓の下で見つかった耐熱保護材の損傷について「地球帰還に問題なし」と判断した。

 ジョンソン宇宙センター(テキサス州)の管制官が交信で「4回目の宇宙遊泳はなくなった」とディスカバリーに伝え、応対した野口聡一さん(40)は「良いニュース」だと答えた。(共同)

シャトル損傷「地上実験で安全性検証」

2005/08/04 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は3日、野口聡一さん(40)らを乗せたスペースシャトル「ディスカバリー」操縦席の窓の下にある損傷した耐熱保護材が地球帰還時にちぎれて機体を傷つける可能性を調べるため、地上での実験を実施すると発表した。

 実験では風洞で損傷を再現した模型に超音速の風を当てる。カリフォルニア州のNASAエームズ研究センターで直ちに実施し、結果を基に4日午前(日本時間同日午後)の技術部門責任者会議で、船外活動で修復するかどうかを決める。NASAはこの問題が帰還に向け安全宣言を出すための「最後の1項目」だとしている。

 保護材は「ブランケット」と呼ばれ、表面はセラミック加工した特殊繊維で、中に耐熱材が挟み込んである。国際宇宙ステーションからの写真撮影で、幅約10センチ、長さ約52センチの保護材の表面に穴が開き、膨らんでいるのが見つかった。

 シャトル計画副部長のウェイン・ヘール氏によると、帰還時にちぎれて機体後部を傷つける恐れがある。NASAの船外活動部門は万一に備えて船外活動による修復法の検討を進めているという。(共同)

船外活動での機体修復成功 野口さんも交信を支援

2005/08/04 The Sankei Shimbun

 スペースシャトル「ディスカバリー」の機体底面を船外活動(宇宙遊泳)で修復する史上初の作業が3日午前(日本時間同日夜)成功した。スティーブン・ロビンソン飛行士(49)が、2カ所ではみ出していたセラミック材をいずれも手で引き抜き、取り除いた。

 機体修復作業は当初の飛行計画にない、ぶっつけ本番に近い作業。野口聡一さん(40)はロビンソン飛行士が無線の死角になる恐れがあったため、中継役としてステーションや地上との交信を支援する場合に備えて作業を見守った。飛行中3回目で最後となる2人の宇宙遊泳の成功に、地上の管制官も「素晴らしい仕事だった」とたたえた。

 ロビンソン飛行士は、シャトルがドッキングした国際宇宙ステーションのロボットアームの先に足を固定し、アームで機体底面まで移動。耐熱タイルのすき間からはみ出したセラミック材を、指でつまんで軽く引っ張ると、すっと抜けた。抜けない時のために用意していた大型ピンセットと糸のこは必要なかった。

 はみ出したセラミック材について米航空宇宙局(NASA)は、大気圏突入時に周辺の気流を乱して、機体に危険を及ぼすほどの高熱が発生する恐れがあるとしていた。

 2人の飛行士は機体修復に先立って、ステーション外部の物置に当たる装置や、米国の材料実験装置も取り付けた。3日午前9時半(同午後11時半)すぎにエアロック(気密室)に戻り、遊泳を終えた。(共同)

野口さん、3回目の遊泳へ準備 軌道上で記者会見

2005/08/02 The Sankei Shimbun

 スペースシャトル「ディスカバリー」の飛行8日目となる2日、乗員らは国際宇宙ステーションとの間で物資を輸送、野口聡一さん(40)は相方のスティーブ・ロビンソン飛行士(49)とともに宇宙服の点検や手順確認など、3日に予定している3回目、最後の宇宙遊泳の準備に追われた。

 ロビンソン飛行士はこの遊泳で、帰還時の安全対策として、ディスカバリー底面の耐熱タイルの間からはみ出しているセラミックス材を、引き抜くか切り取るかして除去する。

 野口さんら乗員は2日午前(日本時間同日午後)、軌道上記者会見に登場。このほか、宇宙ステーションの乗員らも参加した全員昼食会や、記念撮影も実施。初めて約4時間の休憩も与えられる。(共同)

「宇宙修復」機体損傷の恐れも 米シャトル突出材除去

2005/08/02 The Sankei Shimbun

 スペースシャトル「ディスカバリー」の船外活動(宇宙遊泳)による機体修復は、シャトル運航史上前例のない作業だけに、不確定要素が山積している。

 ジョンソン宇宙センターでは既に、船外活動に携わる専門家らの対策チームが結成され、具体的な作業手順の試行とデータ収集を始めている。この作業を宇宙遊泳で行ううえで最も重要なのは、別の部分に新たな傷をつけないよう、細心の注意をはらうことだ。

 ジョンソン宇宙センターで、野口聡一さん(40)らの飛行の後方支援にあたっている宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙環境利用プログラム推進室の福田義也さんは、「修復を担当する飛行士とシャトルを結ぶ金属製の命綱は、場合によっては一メートル近く伸びることもある。作業中、これが機体をこすり、耐熱タイルの表面に新たな傷が付く可能性がある」と指摘、「そうなれば元も子もなくなる」と述べる。

 修理作業そのものよりも、問題の場所までたどりつくことが難しいとみる関係者もいる。実際作業にあたるのはスティーブン・ロビンソン飛行士(49)が有力視されており、福田さんは「野口さんは作業の様子を写真撮影するなど、補助的な作業に従事することになるのでは」と予想している。(米テキサス州 岡田敏一)

野口さん2回目の船外へ 280キロの装置手づかみ

2005/08/01 The Sankei Shimbun

 米スペースシャトル「ディスカバリー」の飛行7日目となった1日、野口聡一さん(40)が2回目の船外活動(宇宙遊泳)を実施した。

 国際宇宙ステーションの故障した姿勢制御装置を新品と交換する作業。ステーションは故障以来、姿勢を保つために噴射する推進剤がかさむ状態となっており、復旧が急がれていた。

 装置は地上での重さが約280キロ。無重力の宇宙では地上のように下向きの力はかからないが、動かしたり、止めたりする時にはずっしりと重みがかかる。野口さんの作業はこれを手づかみしたまま、ロボットアームに乗って移動する力業だ。宇宙遊泳とアーム操作の高度な連携が必要で、野口さん自身も「最も難しい作業」としていた。

 野口さんと相棒のスティーブン・ロビンソン飛行士は同日未明(日本時間午後)、ハッチから2度目の宇宙へ。若田光一さんが2000年、ロボットアームでステーションのほぼ中央に取り付けたZ1トラスという構造物が作業現場だ。

 野口さんはロボットアームの先に両足を固定。故障した装置を外して両手で持ったまま、屋根を開いたシャトルの貨物室にアームで移動。新品を持って再びアームで現場に戻り、ロビンソン飛行士と2人がかりで取り付ける。

 一方、NASAは、ディスカバリーの機体底面で見つかった耐熱タイルのすき間からはみ出したセラミック材を、宇宙遊泳で修復することを検討していると明らかにした。1日に結論を出すが、宇宙遊泳による機体修復が実施されれば史上初。野口さん1人か、ロビンソン飛行士と2人でやるかは今後検討する。

 機首に近い底面の2カ所で見つかったはみ出しは、1000度を超える高温となる大気圏への再突入時に気流を乱し、付近がさらに高温になるため、機体に危険を及ぼす恐れがあるという。(共同)

宇宙遊泳7時間「驚きの連続」 野口さん

2005/07/31 The Sankei Shimbun

 米スペースシャトル「ディスカバリー」で30日に初めての船外活動(宇宙遊泳)を終えた野口聡一さん(40)が31日午前7時半前(日本時間同日午後9時半前)から、地上との交信で米メディアのインタビューに答え、「7時間近く、驚きの連続だった。地球が足元で回っており、息をのんだ」と宇宙遊泳の感動を語った。

 またシャトル安全対策の柱の1つであるタイル補修試験について「試験が完了できてとてもハッピーだ」と答えた。

 野口さんは、宇宙遊泳の相棒のスティーブン・ロビンソン飛行士(49)や、アイリーン・コリンズ船長(48)らとともにカメラの前に現れた。

 野口さんとロビンソン飛行士は30日、6時間50分にわたる1回目の宇宙遊泳を実施。耐熱タイルの補修試験などを無事成功させた。(共同)

太陽系に第10惑星 NASA発表 冥王星の1.5倍

2005/07/30 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は二十九日、太陽系で最も外側の惑星とされる冥王星の外側に、冥王星の一・五倍程度の大きさの天体が発見され「太陽系の十番目の惑星に位置づけられる」と発表した。国際天文連合が今後、惑星と認定するかどうかを検討する。

 NASAによると、発見したのは米カリフォルニア工科大のマイケル・ブラウン博士らのグループ。米カリフォルニア州サンディエゴ近郊にあるパロマ天文台のサミュエルオースティン望遠鏡で二〇〇三年に発見し、今年に入ってハワイ島のジェミニ天文台による観測データを改めて分析した。その結果、大きさは冥王星(直径約二千三百キロ)と同等かそれ以上で、約一・五倍の可能性が高いとみられる。

 この天体は、太陽系の最も外側にある「カイパーベルト」と呼ばれる小惑星帯にあり、太陽からの距離は、地球−太陽間の距離(約一・五億キロ=一天文単位)の九十七倍に位置しているという。

 ブラウン博士は「太陽系の九つの惑星に対するこの天体の大きさは、惑星に分類できることを意味している」と語っている。

 ただし、一九三〇年に発見された「太陽系第九惑星」の冥王星についても、現在は「小惑星の一つ」と考える専門家は多く、発見された天体が惑星かどうかも議論が分かれそうだ。

 国立天文台の渡部潤一助教授は「国際天文連合の次の総会で惑星と認定されるのは難しいのではないかと思う。その次の総会まで、データを積み重ねて議論されることになるだろう」と話している。

滞在1日延長も 米シャトル「ディスカバリー」

2005/07/30 The Sankei Shimbun

宇宙ステーション、物資搬入の時間増

 【ジョンソン宇宙センター(米テキサス州)=岡田敏一】米航空宇宙局(NASA)は二十九日の会見で、スペースシャトル「ディスカバリー」の宇宙での滞在日数を、一日延ばす方向で検討していることを明らかにした。新たなシャトル計画の凍結で、国際宇宙ステーション(ISS)への物資運搬作業時間を増やす必要が生じたためで、三十日に最終結論を出す。一日滞在日数を延ばすと、着陸日は八月八日で時間も変更され、同日の午前五時二十三分(日本時間同日午後六時二十三分)になる予定だ。

 延長すると当初予定のフロリダ州のケネディ宇宙センターではなく、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地に着陸する可能性も出てくる。

 NASAによると、延長はISS側からの要望。九月に打ち上げ予定のシャトル「アトランティス」の打ち上げ時期が大幅に延びることが予想されるため、食料や水の運び込みとともに、宇宙で出たゴミをシャトルに積んで持ち帰るといった作業を十分に行う必要性が出てきたためという。

 また延長は、NASA側にとっても好都合で、ディスカバリーの翼や機体の前部着陸装置の収納扉に張られていた耐熱タイルなどの剥離(はくり)の修復作業に十分な時間がとれる。

 また、NASAは同会見で、タイルのはがれなどの傷が、シャトルの機体の裏側を中心に計三十一カ所確認できたと発表した。

 比較的目立つものはうち六カ所だけで、他のものは比較的浅く「運航に問題がない」との見解を明らかにした。

シャトルのタイル損傷個所を特定 NASA写真を公開

2005/07/29 The Sankei Shimbun

 スペースシャトル「ディスカバリー」に耐熱タイルの損傷が見つかった問題で、米航空宇宙局(NASA)は28日、国際宇宙ステーションから撮影した写真の分析で、損傷個所を機首直下にある前輪格納部のタイルの隅と特定し、写真を公開した。

 NASAは「これまでの分析では、ディスカバリーは安全に帰還できるとみられる」としている。

 画像は、宇宙ステーションに滞在する2人の飛行士が、400ミリと800ミリの2本の望遠レンズ付きのデジタルカメラで撮影。超望遠となる800ミリレンズでは、約180メートル離れたタイルにある1.3センチほどの傷を判別できるという。飛行士らは、ディスカバリーの底面をくまなく撮影。NASAの地上部隊が分析した。

 NASAは今後、ほかに損傷がないか、さらに詳細に分析する。(共同)

ステーションとドッキング シャトル飛行3日目

2005/07/28 The Sankei Shimbun

 野口聡一さん(40)ら7人が搭乗した米スペースシャトル「ディスカバリー」が飛行3日目の米中部夏時間28日午前(日本時間同日夜)、国際宇宙ステーションとドッキングした。

 国際宇宙ステーションとスペースシャトルのドッキングは、2002年11月のエンデバー以来2年8カ月ぶり。ディスカバリーの乗員は、ステーションへの物資の搬入や、姿勢制御装置など機器の交換に当たる。

 これに先立ち、米航空宇宙局(NASA)はディスカバリーを宇宙ステーションの真下、約180メートルに近づいたところで後方に360度宙返りさせ、宇宙ステーションの乗員2人が、耐熱タイルの張ってある底部を含めて約1分半、機体をくまなく撮影した。

 コロンビア事故を受けた安全対策で、打ち上げ時に損傷したとみられる機首下部の前輪格納部付近を中心に耐熱タイルの詳細な状況を調べ、他に損傷がないか、帰還時に大気圏に突入しても問題がないか分析する。

 一方、打ち上げ時に野口さんが窓から撮影した、分離後の外部燃料タンクのビデオ映像が28日未明、地上に届いた。ゆっくりと回転しながら落ちてゆく様子を鮮明にとらえており、NASAはこれまでに届いた写真データと合わせ、燃料タンクから断熱材がはがれ落ちた状況や原因の調査に役立てる。

 野口さんは、地上の管制官から映像をほめられると「ありがとう。訓練のおかげだ」と答えていた。日本上空を通過した際は、デジタルカメラで富士山の撮影も試みたという。(共同)

シャトル飛行を当面凍結 タンク断熱材が落下

2005/07/28 中国新聞ニュース

 【ヒューストン(米テキサス州)27日共同=渡辺寛樹】野口聡一さん(40)らが乗ったスペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げ時に、外部燃料タンクから断熱材がはがれ落ちていたことが分かり、米航空宇宙局(NASA)は二十七日夕(日本時間二十八日午前)、「問題を解決できるまで今後のシャトル打ち上げは凍結する」と発表した。

 ディスカバリーの万一の際の救援機の飛行も難しくなった。

 NASAは破片がディスカバリーの機体には当たっておらず、ディスカバリーの飛行、帰還に影響はないとみている。しかし、断熱材の破片が翼を直撃したことが直接原因となったコロンビア事故と同様、機体に当たっていれば深刻な事態になっていた恐れも認めており、不十分な安全対策のままシャトル飛行に踏み切ったNASAに批判が集中するのは必至だ。

 今回の凍結で、九月打ち上げを目指していた再開二号機「アトランティス」の飛行は遅れる見通し。アトランティスは、現在飛行中のディスカバリーの機体に深刻な損傷が見つかり、地球への帰還が困難と判断された際の救援機にも予定されていたが、救援飛行は難しくなった。その後のシャトル飛行再開のめどは未定としている。

 ジョンソン宇宙センターで記者会見したパーソンズ・シャトル計画部長によると、打ち上げ約二分後に、燃料タンク中央部の配管に沿った断熱材が、推定で長さ最大八十センチ、幅約三十センチにわたってはがれ落ちた。厚さは不明だが、コロンビア事故時に「スーツケース大」とされた長さ約五十センチ、幅約三十センチを上回る可能性がある。

 今回の飛行再開に当たり、NASAはコロンビア事故を受けた再発防止策として、断熱材などの落下物を最小限に減らすよう改良を施したはずだったが、ほかにも機体との接合部付近の断熱材も二カ所で小さくはがれ落ちていた。

 断熱材の落下は、ディスカバリーの機体に設置したカメラと、燃料タンク分離後にディスカバリーの窓からロビンソン飛行士が撮影したデジタルカメラ映像などで判明した。

野口聡一さん宇宙へ シャトル打ち上げ成功

2005/07/27 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は米東部夏時間26日午前10時39分(日本時間同日午後11時39分)、日本人飛行士、野口聡一(のぐち・そういち)さん(40)が搭乗するスペースシャトル「ディスカバリー」をフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げた。

 ディスカバリーは約9分後に外部燃料タンクを分離、打ち上げは成功した。

 シャトルの飛行は、2003年2月のコロンビア空中分解事故以来、約2年半ぶり。13日に燃料センサーの異常で打ち上げが直前で延期されていた。NASAのその後の調査でも異常の原因は完全には特定できていないが、26日の燃料注入後に行った最初の試験では、センサーは4つとも正常に作動した。

 野口さんら乗員7人は同日午前7時前(同午後8時前)、オレンジ色の宇宙服に身を包み、アストロバンと呼ばれる専用のバスで発射台に向かった。

 ディスカバリーは、コロンビア事故を受けNASAが講じた安全対策が有効かどうか調べるのが最大の任務。米国だけでなく、有人活動をシャトルに頼る日本の宇宙開発の将来も左右する重要な飛行となる。

 野口さんは初のシャトル搭乗で、日本人飛行士では毛利衛(もうり・まもる)さん、向井千秋(むかい・ちあき)さん、若田光一(わかた・こういち)さん、土井隆雄(どい・たかお)さんに次ぐ5人目、8回目。

 8月7日までの13日間の飛行中、3回の船外活動(宇宙遊泳)の主担当として、耐熱タイルの傷の補修試験など、安全対策を検証する重要な役割を担う。日本人の宇宙遊泳は1997年の土井さんに次いで2人目。

 ディスカバリーは、女性船長、アイリーン・コリンズさん(48)ら7人が搭乗。外部燃料タンクの断熱材が脱落して翼を傷つけたことが原因となったコロンビア事故を教訓に、タンクにヒーターを設置するなど断熱材や氷塊の落下を防止する対策が講じられた。(共同)

 ■中山成彬文科相の話 飛行再開に向け、NASAが事故再発防止、安全性向上の対策を講じたことに心から敬意を表する。今回、野口宇宙飛行士は、国際宇宙ステーションの姿勢制御装置の交換など重要な任務に当たる。このような活躍は国民、とりわけ青少年に大きな夢を与えると期待している。宇宙ステーションに滞在する野口飛行士との交信が楽しみだ。(共同)

 ■シャトルに2回搭乗した宇宙飛行士、毛利衛(もうり・まもる)さんの話 再開への幕がついに開いた。これから約2週間にわたるフライトだが、成功を祈念している。今回が初飛行となる野口宇宙飛行士も、1日おきに計画されている3回もの船外活動を持ち前のガッツでこなしてくれるものと期待している。(共同)

 満面の笑みにガッツポーズ―。26日午前打ち上げのスペースシャトル「ディスカバリー」に乗り込んだ日本人宇宙飛行士、野口聡一(のぐち・そういち)さん(40)は、成功を確信しているかのような落ち着いた様子で宇宙飛行の瞬間を待った。シャトル搭乗口では、ちゃめっ気たっぷりに余裕のパフォーマンスも見せた。

 打ち上げ最終準備が進む中、乗組員の控室でオレンジ色の宇宙服着用を終えた野口さんは、満面の笑みを浮かべながら両手でガッツポーズ。その後、6人の仲間とともに控室を出て、小さく左手を振ってシャトル搭乗口へと向かった。

 搭乗口では、お気に入りの漫画キャラクターの絵や「出発へ」と英語で書かれたカード、日本の宇宙開発の先駆けとなった「ペンシルロケット発射50周年」の旗を次々と取り出し、カメラに向かってにっこり。作業を急ぐ米航空宇宙局(NASA)の搭乗担当職員を苦笑させた。

 NASAによると、野口さんらの朝食は、ステーキサンドイッチと果物だった。(共同)

野口さん、宇宙で活動開始 燃料タンクをビデオ撮影

2005/07/27 中国新聞ニュース

 【ケープカナベラル(米フロリダ州)26日共同=吉本明美】米航空宇宙局(NASA)ケネディ宇宙センター(フロリダ州)から、野口聡一さん(40)ら七人を乗せて打ち上げられたスペースシャトル「ディスカバリー」は、順調に飛行を続け、野口さんはシャトルから分離された外部燃料タンクをビデオ撮影するなど、初の宇宙で本格的な活動を開始した。

 一方、打ち上げ直後にディスカバリーの機体の耐熱タイルの一部が損傷し、脱落したことを示すデータを、打ち上げを監視していた地上のレーダーがとらえていたことが分かった。NASAは延長アームなどを使った飛行二日目以降の検査でさらに詳しく調べ、地球への帰還に問題がないか、分析を急ぐ。

 野口さんは、打ち上げ約九分後に切り離された燃料タンクを、天井の窓からビデオカメラで撮影。コロンビア空中分解事故を受けた安全対策の一環で、映像を地上で解析し落下物の有無などを確認する。飛行を支援する宇宙飛行士の若田光一さんによると、野口さんは宇宙初仕事の撮影を、完ぺきにこなした。

 若田さんの話では、野口さんの両親=神奈川県茅ケ崎市在住=は打ち上げ時、ディスカバリーが空のかなたに遠ざかるまで、ずっと見つめた。家族はこの日「やっと宇宙への旅立ちを見送ることができ、一同感激しています」とのコメントを発表した。

打ち上げ直後、耐熱タイルの一部脱落 シャトル

2005/07/27 The Sankei Shimbun

 日本人飛行士、野口聡一さん(40)ら7人が搭乗するスペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げ直後に機体の耐熱タイルの一部が損傷し、脱落したことを地上の監視レーダーがとらえていたことが分かった。米航空宇宙局(NASA)は延長アームなどを使った検査で詳しく調べ、地球への帰還に問題がないか、分析を急ぐ。13日に異常を起こした燃料残量センサーに異常はなかった。

 打ち上げから約9分後に外部燃料タンクを切り離し、2003年2月のコロンビア空中分解事故から約2年半ぶりの打ち上げは成功。約40分後には予定した地球周回軌道に入り、順調に飛行を続けた。野口さんはシャトルから分離された外部燃料タンクをビデオ撮影するなど本格的活動を開始した。(共同)

ディスカバリー再び姿現す きょう打ち上げ

2005/07/26 The Sankei Shimbun

 野口聡一さん(40)が搭乗するスペースシャトル「ディスカバリー」が25日午後(日本時間26日午前)、米フロリダ州のケネディ宇宙センターの発射台に再び姿を見せた。

 米航空宇宙局(NASA)は、26日午前10時39分(日本時間同日午後11時39分)の打ち上げを目指して、最終的な準備作業を進めると同時に、13日の打ち上げ直前に異常を起こした燃料センサーの監視を続ける。野口さんら7人の乗員は、手順書を確認するなどして打ち上げに備えた。

 この日は、前面を覆っていた回転式整備塔がゆっくりと開き、約30分かけて、外部燃料タンクと合わせて高さ56メートルとなるシャトルの全体像が姿を現した。

 ディスカバリーは26日未明(日本時間同日午後)に極低温の燃料注入を開始。NASAは、4つの燃料センサーに異常がないことを確認するが、1つに異常が再発しても、追加試験をして3つが正常であることが分かれば打ち上げ作業を続行する。(共同)

シャトル、異常再発でも打ち上げへ NASA「例外的措置」

2005/07/25 The Sankei Shimbun

 野口聡一さん(40)が乗る米スペースシャトル「ディスカバリー」について、米航空宇宙局(NASA)は24日(日本時間25日)技術部門の責任者会議を開き、残量センサー4個のうち1個に異常が再発しても、他のセンサーや装置に影響がないことがはっきりすれば、打ち上げることを決めた。

 4個すべてが正常でないと打ち上げられない規則になっているが、会見したヘール・シャトル計画副部長は「規則自体を変更するわけではない」と述べ、今回は例外的な措置であることを強調した。

 問題のセンサーは、シャトルの燃料の液体水素がなくなりそうになるのを検知して主エンジンの異常燃焼を防ぐ。13日に1個が誤作動し、打ち上げが直前で延期された。センサーのうち2個が働けば機能上は問題ないが、打ち上げ直後に爆発した1986年のチャレンジャー事故後、4個とも異常がないことを確認する規則になった。

 ディスカバリーは26日午前10時39分(日本時間同日午後11時39分)打ち上げの予定。ヘール副部長によると、26日未明の極低温燃料注入の時点からセンサーの監視を続け、打ち上げ直前まで試験信号を送って反応を見る。

 誤作動したセンサーにつながる配線を、正常なセンサーにつなぎ替えており、異常が再発すれば配線の問題なのか電子機器の問題なのかが判別できるため、追加試験を実施した上で打ち上げることが可能だとしている。

 最終的に原因が絞り込めない可能性も残るが、NASAはこの誤作動が他に影響しないことが分かれば安全性は保たれると判断した。(共同)

米下院、月・火星への有人飛行計画に「ゴーサイン」

2005年07月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米下院は22日、ブッシュ大統領が提唱する月や火星への有人飛行計画への財源を優先的に確保し、代わりに、日本などが参加する国際宇宙ステーション計画の縮小を容認する法案を383対15の圧倒的多数で可決した。

 法案は、ほかの宇宙開発予算を圧迫しない範囲で、シャトル後継機の早期開発や、2020年を目標とする有人月着陸への予算の重点配分を認める一方、完成時に最大7人の滞在を計画していたステーションの定員規模を6人以下に縮小することを容認する内容になっている。

 定員の削減は設備の縮小を意味する。下院は、歯止めとして、6人規模を下回ってステーションを完成させる場合、議会に減員の理由を報告するよう米航空宇宙局(NASA)に義務付ける付帯決議を行ったが、実効性はほとんどなく、日本の滞在計画にも影響することは確実だ。

 法案には、NASAが消極的なハッブル宇宙望遠鏡のシャトルによる延命改修も主要項目に盛り込まれている。

 上院でも同様の法案が審議されている。

ディスカバリー秒読み開始 修復作業ほぼ終了

2005/07/24 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は23日、野口聡一さん(40)が乗るスペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げ延期の原因とされた電子回路の修理をほぼ完了し、26日(日本時間同)の打ち上げに向け、発射台のあるケネディ宇宙センターで秒読みを始めた。NASAは、当日が打ち上げ可能な天候になる確率を60%とした。

 NASA内外の技術者数百人が原因を分析した結果、外部燃料タンクの底にある残量センサーからの信号を受ける電子回路のアースに問題があった可能性が最も高いという。回路の基板を付け替え、回路をまとめて収納した箱をケネディ宇宙センターの発射台に立つディスカバリーの機体後部の所定位置に戻し、修復作業をほぼ終えた。今後、機能に問題がないか、信号を送って反応を確認する。

 ケネディ宇宙センターのあるフロリダ半島には大型の熱帯性低気圧「フランクリン」が接近しているが、NASAは、進路が東にそれるため打ち上げに影響はないとしている。(共同)

ディスカバリー、26日打ち上げ 誤作動原因ほぼ絞り込み

2005/07/21 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は20日、野口聡一さん(40)が搭乗するスペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げを26日午前10時39分(日本時間午後11時39分)に設定したと発表した。

 13日の打ち上げ直前に起きた燃料センサーの誤作動について、可能性が高い原因をほぼ絞り込めたためとしている。

 原因特定のための調査はさらに続けるが、順調に進めば、23日から秒読みを開始する。(共同)

次期火星探査機、NASAが公開 来月打ち上げ

2005/07/21 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は20日、8月に打ち上げる米国の次の火星無人探査機「マーズ・リコネサンス・オービター(火星偵察衛星)」を、ケネディ宇宙センター(フロリダ州)で報道陣に公開した。

 火星上空を周回しながら、将来の火星有人探査の際の着陸に適した場所を探すほか、生命の存在に不可欠な水の痕跡などを詳しく調査する。

 衛星は8月10日(日本時間同)にケープカナベラル空軍基地からアトラス5ロケットで打ち上げ、7カ月後の来年3月に火星に到達。その後、火星の上空250−320キロを約110分で1周する軌道に入る予定。

 高分解能カメラや分光計、レーダーなど6種類の計測装置を使い、着陸の適地や、水の流れによって形成された地形などを探査する。さらに火星の気候変化や大気も観測、レーダーで地下の水や氷の動きを調べる。

 衛星は重量約2・2トンで、アンテナと太陽電池パネルを開くと高さ約10メートル、幅約14メートルとなる。(共同)

広工大が衛星ビジネス

2005/07/21 中国新聞地域ニュース

 広島工業大(広島市佐伯区)は、建設コンサルタントの復建調査設計(東区)など三社と共同で、人工衛星の画像処理技術を災害監視に生かすシステムのビジネス化に乗り出す。宇宙航空研究開発機構(東京)が二十日、事業費などを支援する「宇宙オープンラボ」制度の支援事業に選定した。

 人工衛星の撮影データは最大一メートル四方の物体の解析が可能。地形の変化を自動的に検知、土砂崩れや地盤沈下をいち早く発見し、被害を正確に測定できるシステムを作る。復建調査設計のほか、ソフト加工の日本キャディック(南区)荒谷建設コンサルタント(中区)と共同で取り組む。

 同大は米国や欧州など三機の人工衛星の写真撮影データを受信できるパラボラアンテナを備え、高い画像処理技術を持つ。複数の人工衛星のデータを融合できる独自技術で精度の高いデータ処理が可能で、最短六時間で画像処理もできる。

 災害現場の調査を手掛ける建設コンサルタントとの連携により、よりニーズに合ったシステムを作り、国や全国の自治体に向けて二〇〇六年度の販売開始を目指す。山火事の被害測定などにも応用可能という。

 同機構は、財政支援とともに、人工衛星のデータ処理でも研究に協力する。「大学側がすでに高い技術を保有しており、実用化の可能性が高い」としている。

 <宇宙オープンラボ> 宇宙航空研究開発機構が、宇宙技術をビジネスに生かすため2004年度に始めた助成制度。宇宙飛行士の無重力空間での生活支援や宇宙輸送機の素材の研究などを毎年、十数件選定。1件につき最大3000万円を補助し技術的なアドバイスもする。支援期間は最長で3年間。

シャトル打ち上げ26日以降 原因調査いぜん難航

2005/07/19 The Sankei Shimbun

 打ち上げ直前に燃料センサーに異常が見つかった米スペースシャトル「ディスカバリー」について、米航空宇宙局(NASA)は18日(日本時間19日)、打ち上げが早くても26日(日本時間同)になることを明らかにした。

 31日までの打ち上げ可能期間は残り少なくなってきたが、ケネディ宇宙センターで記者会見したパーソンズ・シャトル計画部長は「今月中の打ち上げに向け全力を挙げる」と述べた。

 NASAの技術陣は週末の休日返上で、センサーや電子回路、配線を試験したが、常温ではすべて正常に作動し、異常はなかった。このため、20日ごろまでに原因が特定できない場合には、外部燃料タンクに実際に極低温の液体燃料を注入し、その温度でセンサーがどうなるか確認することを検討している。

 ケネディ宇宙センターで待機中の野口聡一さん(40)ら7人の乗員は地上での訓練のため、19日早朝に本拠地のジョンソン宇宙センター(テキサス州)にいったん帰るが、同日中に再びケネディ宇宙センターに戻る。

 NASAは15日の段階では、最も早くて今週後半の打ち上げが可能との見通しを示していた。

≪日本もデータ提供し協力≫

 米航空宇宙局(NASA)のヘール・シャトル計画副部長は18日の記者会見で、日本の宇宙航空研究開発機構からスペースシャトル「ディスカバリー」のトラブルについて助言を受けていると述べた。

 宇宙機構によると、1999年9月、現在のH2Aロケットの先代のH2ロケット8号機の打ち上げが、今回のディスカバリーと同じ液体水素燃料の残量センサーに異常が見つかって延期されたことがある。NASAにはその際の原因究明に関するデータを提供したという。

 8号機のセンサー異常では、ディスカバリーと同様に原因究明が難航し、最終的にセンサーがタンク内部の金具に接触したのが原因と分かった。さらに、その調査の過程で2段目ロケットの電池にも欠陥が見つかり、打ち上げは同年11月まで、延期された。

 8号機は打ち上げ後、1段目ロケットエンジンが突然停止して軌道を外れ、搭載した運輸多目的衛星ごと地上からの指令で爆破された。(共同)

シャトル、原因調査は難航 配線に欠陥見つからず

2005/07/17 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は16日、打ち上げを延期したスペースシャトル「ディスカバリー」の燃料タンクのセンサーの不具合について、週末も調査を続けた。だが原因は不明のままで、作業は難航している。

 米メディアによると、打ち上げ直前に誤作動した燃料タンクの残量センサーについて、機体の機器からの配線を調べたところ欠陥は見つからなかったという。

 一方、野口聡一さん(40)ら乗員を率いるアイリーン・コリンズ船長が同日、声明を発表。船長は「われわれ乗員は当面、隔離状態で訓練を続ける」と現状を紹介した上で「ベストのチームが問題解決に当たっていると確信している。飛行は安全なものとなり、成功するだろう」とした。(共同)

ディスカバリー打ち上げは「来週後半以降」 秒読み解除

2005/07/16 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は15日午後(日本時間16日午前)、野口聡一さん(40)が乗る米スペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げが「最も早くて来週後半になる」と発表した。

 13日の打ち上げ直前に誤作動した外部燃料タンクの残量センサーの異常原因特定に、さらに時間がかかることが明らかになったため。

 NASAは同日、異常の発見以来維持してきた、72時間で打ち上げが可能な秒読み態勢を解除。野口さんら7人の乗員は、発射台のあるケネディ宇宙センターから、本拠地のジョンソン宇宙センター(テキサス州)にいったん戻り、打ち上げに備える。(共同)

シャトル打ち上げ、早くても18日以降

2005/07/15 The Sankei Shimbun

 直前で延期になった野口聡一(のぐち・そういち)さん(40)搭乗の米スペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げについて、米航空宇宙局(NASA)は14日午後(日本時間15日未明)の記者会見で「最も早くて17日午後(同18日未明)になる」と発表した。NASAはこれまで日本時間の17日未明以降としていた。

 だが、NASAは「17日の打ち上げは最も幸運な場合だ」としており、打ち上げがさらに遅れる可能性が高いことを示唆した。

 NASAは、13日の打ち上げ直前に異常が見つかった外部燃料タンクの残量センサーの試験などを徹夜で続けたが、異常原因は特定できず、調査は長期化することも考えられる。

 技術部門の責任者会合後に会見したヘール・シャトル計画副部長によると、タンクから極低温の液体水素燃料を抜いた後、問題のセンサーの動作試験をしたところ、いったん正常に反応したが、3時間後に再び異常を示すなどの不具合が確認された。

 野口さんらディスカバリーの乗員は、ケネディ宇宙センターで訓練を続けながら、休息もとり、リラックスしているという。(共同)

センターの報道陣、一時騒然 シャトル打ち上げ延期

2005/07/14 The Sankei Shimbun

 スペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げ延期が伝わると、ケネディ宇宙センターにあるプレスセンターの広報カウンターに、100人を超す報道陣が押し寄せ一時騒然となった。

 今回のミッションの取材を米航空宇宙局(NASA)に申請した報道関係者は、約2800人。プレスセンター前の広場に並んだテントやプレハブでは、米大手テレビ局などが慌ただしく中継を始めた。

 宇宙センターにはNASAが招待した米議員らも多数滞在。大統領選挙でブッシュ大統領に敗れたケリー上院議員は「残念だ」などと取り囲んだ報道陣に答えた。

 駐在している宇宙航空研究開発機構の職員は、NASAが中継するテレビ映像で延期を知った。ミッション企画主任の福田義也(ふくだ・よしや)さんは「野口さんも気持ちが高ぶっていたが、慎重を期すためにはやむを得ない判断だ」と話した。(共同)

米シャトル打ち上げを延期 燃料タンクのセンサー異常

2005/07/14 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は米東部夏時間13日午後(日本時間14日未明)、発射まで2時間半弱に迫っていた野口聡一(のぐち・そういち)さん(40)が搭乗するスペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げを延期すると発表した。

 打ち上げは最も早くて16日午後2時40分(同17日午前3時40分)。原因次第ではさらに遅れる恐れもある。

 延期は、外部燃料タンクの残量を検知するセンサーの一部が正常に働かなかったため。NASAは、4月の試験でも同種のトラブルがあったのに、原因を特定していなかった。

 タンクはその後、別の理由で交換されたが、新しいタンクでは燃料注入試験を行っていなかった。NASAはセンサー自体の異常か、それともコードや電気系統の異常か、現時点では不明と説明している。

 NASAによると、外部燃料タンクの液体水素の残量を検知する四つのセンサーのうち一つが誤った信号を出した。4月に行った燃料注入試験では、同じセンサーのうち二つが似た異常を示すトラブルがあった。

 このセンサーはシャトルの打ち上げ時に、燃料が少なくなったら主エンジンの燃焼を停止させるのが役割。主エンジンはコンピューター制御で止まるが、これが何らかの原因で働かなかった場合など異常時にセンサーが必要となる。本番で誤作動すれば、エンジンが止まって予定された軌道に乗れず、乗員が危険にさらされる恐れもあるという。

 ディスカバリーの当面の打ち上げ可能期間は7月31日までで、間に合わない場合、次のチャンスは9月になる。(共同)

ディスカバリー、燃料の注入開始 最終準備進む

2005/07/13 The Sankei Shimbun

 コロンビア空中分解事故から2年5カ月ぶりの飛行となる米スペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げ準備は順調に進み、米航空宇宙局(NASA)は米東部時間13日午前(日本時間同日午後)、ケネディ宇宙センターで、外部燃料タンクに燃料の注入を開始、最終準備を進めた。

 野口聡一さん(40)ら7人の乗員は打ち上げの約4時間前に、オレンジ色の宇宙服を着て待機していた建物を出発、発射台に向かう。(共同)

テロ警戒、ケネディ宇宙センター  米シャトル打ち上げ

2005/07/13 The Sankei Shimbun

 スペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げを翌日に控えた12日、米航空宇宙局(NASA)のケネディ宇宙センターやその周辺では、テロ警戒のため万全の態勢が取られ、警備担当職員らが緊張した面持ちでパトロールに当たった。報道陣への規制も厳しく「過剰警備」との批判も出ている。

 センター周辺では、車両によるパトロールに加えて、上空を時折ヘリコプターが旋回。警備は、2001年の米中枢同時テロを契機に段階的に強化されてきたが、NASA広報官は「警備の詳細についてはノーコメント」と情報漏れを警戒している。

 米メディアによれば、ロンドン同時テロの影響もあり、地元警察は基地周辺の不審者対策に力を入れ、周辺の空軍基地では、戦闘機が常時緊急発進可能な状態で待機している。

 報道陣についても、外国籍の記者の場合、センター内への車の乗り入れが禁止され、20分以上離れた集合場所からバスでの移動を義務付けられた。ある中国人記者は「世界中の人が注目するイベントなのに過剰警備だ」と不満を漏らした。(共同)

シャトル「準備万全」 NASA

2005/07/12 The Sankei Shimbun

 【ケープカナベラル(米フロリダ州)=岡田敏一】日本人宇宙飛行士の野口聡一さん(40)が乗り込み、13日午後3時51分(日本時間14日午前4時51分)に打ち上げが予定されているスペースシャトル、ディスカバリー号について、米航空宇宙局(NASA)は11日、打ち上げ直前の安全対策などに関する関係者会議を開催し、準備は万全であるとの認識で一致した。

 同日、会見したNASAのスペースシャトル計画マネジャー、ビル・パーソンズ氏らは、「9日に乗組員ら関係者と話したが、地上側の要員ともに準備は万全だ。(関係者は)まるでクリスマス・イブのように興奮している」と強調した。

 パーソンズ氏らは、雷雨などの「天候のために打ち上げが延びる可能性は30%しかない」と語り、予定通りに打ち上げが行われる見通しは高いとの見方を表明。「リスクは受け入れ可能なレベルにまで軽減している」と、成功に自信を見せた。

ボークスが二足歩行ロボットを発売

2005/07/11 The Sankei Shimbun

 模型製造販売のボークス(京都市)は11日、滑らかな動きで物をつかんだり、投げたりできる家庭用の二足歩行型ロボット「ロボフィー」を8月下旬発売すると発表した。リモコンなど一式で18万6900円。

 近未来を思わせる外観で高さ約30センチ、重さ約1キロ。踊ったりパンチをしたり球をけったり、旋回歩行など約30の動きをあらかじめ入力している。購入者が8―10時間で組み立てられる。

 ボディーは好みで塗装でき、着せ替え用として女性的な外観などのボディーも別売りする。

 年内1000体の販売が目標。8月末までに電話やインターネットなどで予約すると、16万5900円で買える。問い合わせはボークス、電話075(813)1171。(共同)

「体調万全」野口さん、ケネディ宇宙センターに到着

2005/07/10 The Sankei Shimbun

≪シャトル、13日打ち上げ≫

 2003年のコロンビア空中分解事故以来、初飛行となる米スペースシャトル「ディスカバリー」に乗り組む野口聡一さん(40)ら7人の宇宙飛行士が米東部夏時間の9日午後6時半(日本時間10日午前7時半)、13日(同14日)の打ち上げに向け、発射基地の米航空宇宙局(NASA)のケネディ宇宙センターに到着した。

 青い飛行服でジェット機から降り立った野口さんは「いよいよあと4日。素晴らしいミッションを確信している。最後まで見届けてスペースシャトルの復活を感じてもらえれば」とあいさつし、英語で「レッツ・ゴー・フライ(さあ、宇宙へ飛ぼう)」と力強いガッツポーズ。体調を問われると「万全です」とリラックスした笑顔を見せた。

 野口さんらは、ハリケーンの影響を避けるため当初予定を1日早め、本拠地のジョンソン宇宙センター(テキサス州)からケネディ入りした。

 ハリケーンは一時、フロリダ上陸の恐れもあり、NASAは打ち上げ延期も検討したが、進路がそれたことから、13日の打ち上げには影響ないと判断した。10日午後、秒読みが始まる。(共同)

横浜のドングリ宇宙旅行へ 野口さんとシャトルに搭乗

2005/07/06 The Sankei Shimbun

 日本人宇宙飛行士、野口聡一(のぐち・そういち)さん(40)とともに、出身地の横浜市で採取されたドングリ20粒も米スペースシャトル「ディスカバリー」に“搭乗”し、宇宙へ出発することになった。中田宏(なかだ・ひろし)・横浜市長が6日、記者会見で明らかにした。

 ディスカバリーの打ち上げは今月14日。中田市長は「地球帰還後は植樹して緑化推進のシンボルとしたい」と、話している。

 2003年に予定されていたアトランティス打ち上げの際も、野口さんが「何か記念に宇宙へ」と申し出たのがきっかけで、ドングリの搭載が決まっていたが、飛行延期で実現しなかった。

 ドングリは米航空宇宙局(NASA)が保管していたが、カビが生えていため、昨年秋、横浜市職員が市内の植物園などであらためて採取。品種はスダジイで今年2月、野口さんに届けた。(共同)

彗星核に衝突体命中 NASA探査機「ディープ・インパクト」

2005/07/04 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は米東部夏時間の4日午前1時52分(日本時間同日午後2時52分)、太陽を周回するテンペル第1彗星(すいせい)の固体部分(核)に、無人探査機「ディープインパクト」から放出した直径約1メートルの銅製の衝突体を命中させることに成功した。

 衝突の決定的瞬間の画像を、500キロ以上離れた探査機本体が撮影し、数分後に地球に送信してきた。画像は、霧状に飛び散った物質が太陽光で白く輝く様子をとらえており、TNT火薬約5トン分の爆発に相当する衝突の衝撃で彗星の表面が割れ、内部の成分が噴出したとみられ、予想を上回る大成功となった。

 約46億年前に太陽系ができた当時の物質が閉じこめられているといわれる彗星の内部が、こうした形で直接観測できたのは初めて。衝突体が突入約3秒前まで、彗星表面を詳細に撮影するのに成功したほか、宇宙空間と地上にある世界中の望遠鏡も一斉に観測しており、太陽系の起源解明に大きく貢献しそうだ。

 衝突体は長さ約1メートル、重さ約370キロ。前日に本体から分離され、軌道を自動修正しながら彗星に対して秒速約10キロの高速で突っ込んだ。

 標的となった彗星は地球から約1億3400万キロのかなた、火星の軌道付近に位置している。米独立記念日に衝突のタイミングを合わせたミッションだったが、固体部分が直径約4・6キロ、長さ約14キロと推定されるだけで詳しい形態は事前に分かっておらず、NASAは「大きな困難を伴う」としていた。

 衝突の数分後、探査機からの信号と画像で命中が確認されると、緊張に包まれていたNASAジェット推進研究所(カリフォルニア州パサデナ)の管制室には大歓声が上がり、職員らが抱き合って成功を喜び合った。(共同)

彗星狙い、衝突体を放出 NASA探査機「ディープ・インパクト」

2005/07/02 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は米東部時間の3日未明(日本時間同日午後)、史上初めて彗星(すいせい)の核に人工物を衝突させて内部の成分を観測する無人探査機「ディープ・インパクト」から、標的のテンペル第1彗星に向けて銅製の衝突体を放出した。

 衝突体は直径約1メートル、長さ約1メートルのほぼ円筒形で、重さ約370キロ。米国の独立記念日である4日午前一時52分(同午後2時52分)に、長さ約4.6キロと推定される細長い彗星の核に、秒速約10キロの猛スピードで突っ込む予定。NASAの予想では、TNT火薬約4.8トン分の爆発に相当する衝突の衝撃で、彗星に巨大なクレーターができ、内部の氷やちりが噴き出す。

 彗星は約46億年前に太陽系ができた当時の物質を閉じ込めているとされ、それが観測できれば太陽系の成り立ちに迫る貴重なデータが得られると期待されている。

 衝突の瞬間は、約500キロ離れた探査機本体がカメラや分光計で観測して地球に送信。ハッブル宇宙望遠鏡などNASAの宇宙望遠鏡3基のほか、地球上でも日本を含む約20カ国、60以上の天文台が一斉に観測。どの望遠鏡が最も詳細に迫力ある画像をものにするかも注目される。

 画像などが公開されるNASAのホームページはhttp://www.nasa.gov/deepimpact(共同)

野口聡一さん宇宙へ シャトル飛行再開決まる

2005/07/01 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)のグリフィン局長は6月30日、日本人宇宙飛行士、野口聡一(のぐち・そういち)さん(40)が搭乗する米スペースシャトル「ディスカバリー」を、米東部時間の13日午後3時51分(日本時間14日午前4時51分)に打ち上げると発表した。

 乗員7人が死亡した2003年2月のコロンビア空中分解事故以来約2年5カ月ぶりの飛行再開。NASAの威信がかかるとともに、シャトル運航が有人宇宙活動の継続に不可欠な日本にとっても重大な節目になる。

 NASAは当初、03年中の飛行再開も検討したが、安全上の問題で延期が相次ぎ、今年5月の打ち上げ予定も、外部燃料タンクに付着する氷が機体を傷つける可能性が判明し、対策のために延期されていた。

 NASAの安全対策を評価する独立委員会は、15項目中3項目の対策が完全には達成されていないと指摘したが、グリフィン局長はそれを認めた上で「危険を減らすために可能なことはやった。これまでで最も安全な打ち上げになるだろう」と強調。ディスカバリーと、続くアトランティスを試験飛行と位置付け、事故防止のために開発した異常監視や検査法の有効性を検証するとしている。

 ディスカバリーには女性船長、アイリーン・コリンズさん(48)ら計7人が搭乗。安全対策の検証のほか、国際宇宙ステーションへの装置取り付け、物資補給を行う。

 今回が初飛行の野口さんは1996年に宇宙飛行士に選抜され、シャトルに乗る日本人宇宙飛行士としては5人目。足掛け13日の飛行中、宇宙空間でシャトル機体を緊急修理する技術の試験や、故障したステーションの姿勢制御装置の交換など計3回の船外活動(宇宙遊泳)を行う。

 コロンビアでは打ち上げ時に外部燃料タンクから断熱材が落ち、翼を傷つけたのが事故の原因となったため、今回は地上や航空機に配置した100台以上のカメラで監視、野口さんも分離されたタンクを機内から撮影する。(共同)


再開1号のディスカバリー、5月22日へ打ち上げ延期

2005/04/21 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)は20日、日本人宇宙飛行士・野口聡一さんらが搭乗するスペースシャトル再開飛行1号機「ディスカバリー」の打ち上げを1週間延期し、来月22日とすると発表した。

 これまでの整備作業や発射点への移動などで予備日をすべて使い切ったうえ、コロンビア事故の教訓で導入された再発防止策の準備作業や安全評価試験が当初予定の15日までに完了できない見通しになったため。

 NASA当局者は同日の記者会見で「この程度の日程変更は想定の範囲内」とし、深刻な欠陥や問題点による遅れではないことを強調した。すでに再発防止のための20の改修場所のうち19か所は問題がないことがが確認されたという。

 ディスカバリーの飛行は12日間。野口さんは3回の船外活動(宇宙遊泳)を担当、国際宇宙ステーションの部品交換などを行う。

「火星の有人探査は実現できる」NASA新長官

2005年04月19日 asahi.com

 米航空宇宙局(NASA)のマイケル・グリフィン新長官は18日、就任後初めて記者会見し、「火星の有人探査は実現できる」と強い意欲を見せた。スペースシャトルの打ち上げ再開については、来月15日を目標に準備を進めて、場合によっては事故再発防止策を点検している外部評価委員会の最終報告前に打ち上げる可能性を示唆した。

NASA、シャトル機体を組立棟に 5月打ち上げへ最終段階

2005/03/30 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は29日、2年前のコロンビア空中分解事故以来、約2年3カ月ぶりとなる打ち上げを5月に目指すスペースシャトル「ディスカバリー」の機体を、ケネディ宇宙センター(フロリダ州)の整備棟から、52階建てビルに相当する巨大な組立棟に移動させた。

 ここで機体を、外部燃料タンクや固体補助ロケット(ブースター)と結合させて組み立ては完了する。4月4日にディスカバリーを発射点に移動させる予定で、野口聡一さん(39)らを宇宙に運ぶ打ち上げの準備は最終段階を迎えた。

 NASAは、コロンビア事故の直接原因となった外部燃料タンクからの落下物を最小限にする改良を施したほか、シャトル本体にも機体点検用の装置や異常を検知するセンサーを新たに取り付けるなど計41カ所の改良を加えた。(共同)

燃料タンクとロケット結合 米シャトル、組み立て着々

2005/03/02 The Sankei Shimbun

 日本人宇宙飛行士、野口聡一さん(39)らを乗せ、5月に宇宙に飛び立つ予定の米スペースシャトル「ディスカバリー」の組み立てが、米航空宇宙局(NASA)ケネディ宇宙センター(フロリダ州)で進み、1日までに外部燃料タンクと固体ロケットブースターの結合が終了、ディスカバリー本体の取り付けを待つばかりとなった。

 NASAの発表によると、結合作業は2月28日、52階建てビルに相当する高さの組み立て棟内で行われた。移動式発射台の上に垂直に立った2本の固体ロケットブースターの間に、巨大クレーンでつり下げた外部燃料タンクを、技術者が慎重に据え付けた。外部燃料タンクには、7人が死亡した2年前のコロンビア空中分解事故を教訓に、落下物を最小限にする改良が施されている。(共同)

野口さん搭乗の「ディスカバリー」再開、5月15日に

2005/02/19 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)は18日、日本人宇宙飛行士・野口聡一さん(39)らが乗り組むスペースシャトル「ディスカバリー」の再開1回目の打ち上げ目標を5月15日とすると発表した。

 シャトル打ち上げは、一昨年2月のコロンビア空中分解事故で凍結されて以来、2年3か月ぶり。

 今回は、新たな事故防止策として、国際宇宙ステーションとのランデブー飛行による機体の点検作業や、機体補修の試験などを実施する予定。野口さんは、船外活動も検討されている。

 コロンビア事故調査委員会が再開の条件として提示した15項目の勧告のうち、7項目しか解決できていないが、NASAのビル・レディ長官補は「残された項目の多くは、間もなく作業が完了する」と述べ、再開に自信を見せた。

野口さん搭乗シャトル用、改良型燃料タンクを搬入

2005/01/07 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】日本人宇宙飛行士・野口聡一さん(39)らが5月に乗り組むスペースシャトル「ディスカバリー」に取り付ける改良型燃料タンクが、米ルイジアナ州の製造工場から、打ち上げ基地のあるフロリダ州の米航空宇宙局ケネディ宇宙センターに6日搬入された。

 2年前のコロンビア事故では、燃料タンク接続部の断熱材が氷結してスーツケース大の塊となってはがれ落ち、左翼を損傷した。

 改良したタンクは接続部の断熱材をなくし、氷結防止ヒーターを取り付け、大きくはがれないよう断熱材の成分を変更した。

スペースシャトルにエンジン取り付け 再開へ準備着々

2004/12/11 asahi.com
 米航空宇宙局(NASA)は10日、スペースシャトルの飛行再開1号機となるディスカバリーへの、主エンジン3基の取り付けを終えたと発表した。野口聡一飛行士らを乗せて来年5〜6月に打ち上げるための準備の大きな節目だ。

 エンジンは重さ3.2トン。ケネディ宇宙センター(フロリダ州)で、1基ずつ慎重にシャトル本体に装着された。

 NASAは「大きな取り付け部品としてはエンジンが最後。打ち上げ再開に向け、我々は正しい方向に進んでいる」と説明している。

月・火星へのシャトル後継機、米大手2社が共同受注へ

2004/11/10 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙産業最大手のノースロップ・グラマンとボーイング社は9日、月や火星への有人飛行に使用される米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル後継機の受注を2社合同で目指す方針を明らかにした。

 競合相手を減らし、数十億ドル(数千億円)規模とされる大型事業の受注を有利にするのが目的。

 共同声明によると、2008年までに予定されるテスト飛行までの開発初期には、ボーイングが下請けに回り、月や火星への有人飛行を目指す実用化段階では、グラマンが下請けに切り替わる。

 NASAは来年から契約業者の選考作業を開始する。

ジェネシスの薄膜板ほぼ全部破損、復旧可能とNASA

2004/09/11 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=笹沢教一】今月8日に空中での捕獲に失敗し、米ユタ州の地面に激突した無人探査機「ジェネシス」のカプセルについて、米航空宇宙局(NASA)は10日、回収後の調査の結果、宇宙空間の粒子を集めた貴金属製の薄膜板のほぼ全部が破損していたことを明らかにした。

 カプセル内の別の粒子収集器のなかには無傷のものもあるが、カプセルの破損によって気密が壊れ、地上の環境に汚染されてしまった可能性があるという。

 しかし、NASAの科学者チームは「薄膜板は復旧が可能で、激突直後の予想よりもはるかにたくさんの成果が期待できる。当初の目的のすべてではないにしても、多くを達成できるだろう」と楽観的な見通しを強調、失敗との見方を否定している。

試料の重要部分は無事 NASAがカプセル回収

2004/09/11 The Sankei Shimbun
 米航空宇宙局(NASA)は10日、太陽風の粒子を宇宙から地球に持ち帰る際、減速用パラシュートが開かず米ユタ州の砂漠に激突した無人探査機ジェネシスのカプセルについて「内部の損傷は予想より少なく、試料の重要な部分は無事とみられる」と発表した。

 記者会見した科学者チームによると、研究目的のかなりの部分は達成できる見通しという。NASAは同日、パラシュートが開かなかった原因を解明する調査委員会を発足させた。

 カプセルの内部容器には、さまざまな種類の太陽風の粒子が付着した複数の薄い板がおさめられている。NASAが砂漠からカプセルを回収、ユタ州の陸軍施設で調べたところ、衝撃で板の多くは壊れていたものの、重要な試料は損傷や汚染を免れていたという。

 8日に地球に戻ったカプセルは時速約310キロで砂漠に激突して破損。内部容器にもひびが入ったため、粒子を調べて太陽系の進化を解明する研究が実施できるか懸念されていた。(共同)

宇宙粒子の空中捕獲に失敗 NASAの探査機カプセル

2004/09/09 The Sankei Shimbun
 米航空宇宙局(NASA)は8日、無人探査機ジェネシスが宇宙空間で集めた太陽風の粒子入りのカプセルを地球の大気圏に突入させ、米国西部ユタ州の上空をパラシュート降下中にヘリコプターを使って回収する計画だったが、パラシュートが正常に開かず、空中捕獲に失敗した。

 カプセルは時速約160キロで地上に激突、地面に半分埋まっている状態だという。現場はクレーターのようになっており、カプセルは大きな損傷を受けている可能性があるという。

 ジェネシスは太陽系の起源を探る目的で2001年8月に打ち上げられ、地球から約150万キロ離れ、地球の磁気圏の影響を受けない宇宙空間で、約2年4カ月にわたって太陽の表面からふき出す太陽風の粒子を収集してきた。

 太陽風の粒子を調べることで、現在の太陽の活動や、太古の太陽系の組成も明らかになると期待されており、NASAは試料をジョンソン宇宙センターに運び、長期的に分析する予定だった。

 宇宙からの試料回収は、1960−70年代に米国のアポロ、旧ソ連のルナ宇宙船が「月の石」を持ち帰って以来。NASAは貴重な試料が地上への衝突で傷むのを防ぐため、アクション映画並みのヘリでの空中回収を採用していた。(共同)

空中で“フィッシング” 宇宙から帰還の探査機カプセル

2004/09/05 The Sankei Shimbun
 太陽から宇宙空間にふき出す太陽風の粒子を収めた米航空宇宙局(NASA)の探査機ジェネシスのカプセルが8日、地球に帰ってくる。

 宇宙からの試料回収はアポロ宇宙船による「月の石」以来となる。NASAは大切な試料が地上への衝突で傷むのを防ぐため、上空に待機させたヘリコプターでカプセルをキャッチするアクション映画並みの回収法を採用する。

 ジェネシスは2001年8月に打ち上げられ、今年4月まで宇宙空間で太陽風の粒子を直径約1.5メートルのカプセルに集めてきた。何年もかけて集まった量はたったの20マイクログラム。塩で言えば数粒分で、いかに貴重な試料かが分かる。

 地球に向けて放出されるカプセルは米山岳時間の8日朝(日本時間9日未明)、大気圏に突入。大きなパラシュートを開き、高度約2800メートルまで降りてきたところで、待ち構えたヘリ2機のうちの1機が、先端に巨大なフックが付いた長さ約6メートルの棒で引っかけて捕獲することに挑戦する。

 NASAによると、空中キャッチ自体は米軍でも1950年代から行われてきたが、今回の任務に当たるのは、ハリウッド映画で荒技も経験したヘリ操縦のプロたち。NASA当局者は「劇的な幕切れが期待できそうだ」と話している。(共同)

来春打ち上げのスペースシャトル設計変更、事故教訓に

2004/08/14 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)は13日、日本人宇宙飛行士・野口聡一さん(39)らを乗せて来春打ち上げられるスペースシャトル「ディスカバリー」について、「コロンビア」の事故につながった外部燃料タンクの設計を変更すると発表した。

 タンク上部には、監視ビデオカメラを設置する。

 「コロンビア」は、打ち上げ時にタンクとシャトル本体の接合部付近からタンクの断熱材が氷結して落下、左翼に衝突して亀裂が走り、事故の原因となった。

 NASAは、はがれても大きな破片にならないように断熱材の施工を変える。接合部には、ヒーターを取り付ける。

重力探査衛星:アインシュタイン理論を検証 NASA 毎日新聞 2004年4月21日 Mainichi INTERACTIVE
 【ワシントン河野俊史】米航空宇宙局(NASA)は米東部夏時間20日午後0時57分(日本時間21日午前1時57分)、アインシュタインの一般相対性理論を検証するための「重力探査衛星B」をカリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地からデルタ2型ロケットで打ち上げた。

 NASAによると、衛星は1時間15分後にロケットから分離し、地球周回軌道に入ったことが確認された。

 理論物理学者のアインシュタイン博士(1879〜1955)は1916年に発表した一般相対性理論で、太陽や地球のような質量の大きな物体の周囲では時空(時間と空間)がゆがむことを予測。その後の宇宙物理学の発展で理論の正しさが裏付けられてきたが、NASAによると、ゆがみが実験によって証明されたことはない。実証作業のための重力探査衛星の打ち上げは59年以来、何度も計画されてきたが、予算や技術的問題などで、これまで実現しなかった。

 この日打ち上げられた衛星には、極めて精度の高いピンポン球大の水晶玉を使った4基のジャイロスコープが搭載されている。北極と南極の上空を通る地上約640キロの極軌道を周回しながら、真空の環境の中で、これらの水晶玉を回転させる実験によって、回転方向のわずかな変化を観測する。回転方向のずれが確認されれば、アインシュタインの理論が初めて実証されることになる。

 また、衛星は地球の自転によって時空が引きずられるとされる「フレーム・ドラッギング効果」についても検証する。

 検証は軌道上での2カ月間の準備作業の後、1年4カ月間にわたって続けられる。

スペースシャトル:再開1号機は7人体制に

2003年11月07日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【ワシントン河野俊史】米航空宇宙局(NASA)は7日、野口聡一飛行士(38)らが搭乗するスペースシャトルの再開1号機「アトランティス」に新たに3人の飛行士を加え、7人体制とすることを正式に発表した。打ち上げは来年9月以降になる。

 今年2月の「コロンビア」事故を踏まえたシャトルの安全性確認のため、アトランティスは宇宙空間でさまざまなテストを予定している。シャトル底部の耐熱タイルの損傷を修理する技術の確立などが目的で、NASAはさらに飛行士が必要と判断、NASAから3人を追加選出した。

 野口飛行士は国際宇宙ステーションとのランデブーや、船外活動による耐熱タイルの修理テストを担当する予定。

レーザー光で飛ぶ飛行機 NASA、実験に成功

2003年10月10日 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は9日、翼につけた光電池に地上からレーザー光を当てて、模型飛行機を飛ばす実験に成功したと発表した。

 燃料切れの心配なしに、地上からの無線操縦でいつまでも飛び続けることができる未来の飛行機の基礎になるという。

 NASAやアラバマ大などのグループが作った飛行機は、全幅約1・5メートル。超軽量の木材や炭素ファイバーのチューブなどで作られ、わずか約310グラムと軽量だ。

 光電池は太陽電池と同様に、光のエネルギーを電気エネルギーに変換する素子。レーザー光を当てると、飛行機はモーターでプロペラを回しながら舞い上がり、レーザー光を止めると、ゆっくりと着陸したという。

 NASAの研究チームは「飛行機は、地上からのレーザー光が当たっている限り飛び続けることができる。将来的には科学研究や無線通信の中継などへの応用が期待できる」としている。(共同)

NASA、シャトル打ち上げを来秋以降に延期の見通し

2003/10/04/読売新聞Yomiuri On-Line
 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)は3日、日本人宇宙飛行士・野口聡一さん(38)らが搭乗する予定のスペースシャトル打ち上げ再開1号について、来年9月以降に延期される見通しを明らかにした。準備の進展状況によっては、来年冬か2005年にずれ込む可能性もある。

 これまでNASAは来年3、4月を想定して打ち上げ準備作業を進めていたが、再発防止策の整備などで日程的に厳しく、遅れは必至と見られていた。

木星探査機ガリレオ、14年の使命終える

2003年09月22日 The Sankei Shimbun
 1989年にスペースシャトルから放出された米航空宇宙局(NASA)の木星探査機ガリレオが21日、木星の大気層に突入し、14年間の使命を終えた。

 NASAの当局者は「ガリレオは当初の予定を大幅に超える長期間にわたり、多くの成果を挙げた。昔からの友人にさよならを言った時みたいな気持ちだ」と述べ、探査機との別れを惜しんだ。

 ガリレオは95年12月に木星の軌道に到達。これまでに34回、巨大なガス惑星の周囲を回って、さまざまなデータを地上に送ってきた。

 しかし、搭載した燃料が残り少なくなってデータ送信ができなくなる上、衛星の一つエウロパに衝突して汚染してしまう可能性も出てきたため、木星の大気層に突入させることにした。

 NASAによると、米東部時間の21日午後3時43分(日本時間22日午前4時43分)に地球に届いた信号を最後に、ガリレオと地上との交信が途絶。探査機はばらばらになって燃え尽きたとみられている。(共同)

野口さんの飛行、夏ごろに NASA、シャトル再開

2003年09月17日 The Sankei Shimbun
 
 米航空宇宙局(NASA)は16日、スペースシャトル飛行再開の第一号で、日本人宇宙飛行士の野口聡一さんが搭乗する予定の「アトランティス」の打ち上げは、来年夏ごろになるとの見通しを明らかにした。

 また、同日行われた記者会見で最初の飛行に加え、2回目の飛行も、機体の損傷の点検や修理などの技術開発を主目的とすることを示した。

 これらのことで、シャトル以外では行うことが難しい国際宇宙ステーションの建設計画がさらに遅れることになり、日本の実験棟「きぼう」打ち上げにも影響が出るのは確実。宇宙基地計画自体も、さらに不透明なものとなりそうだ。

 NASAによると、アトランティス打ち上げは、早ければ3、4月との見通しもあった。しかし、再開の前提となるコロンビア事故調査委員会の勧告の実施に多くの技術的な課題が残るとして、さらにずれこんだ。

 具体的な課題として、コロンビアの空中分解事故の直接の原因となった外部燃料タンクからの断熱材の脱落がどのような仕組みで起きたのか、詳細な解明が必要とした。

 また、シャトルの機体損傷を飛行中に修理する技術の開発にも課題が多く、修理したことによって大気との摩擦が増え、別の場所が高温にならないかなども詳しく検討する必要があるという。(共同)

探査機ガリレオ、使命終え21日に木星突入

2003年09月13日 The Sankei Shimbun
 

 米航空宇宙局(NASA)は12日、1989年にスペースシャトルから放出した木星探査機ガリレオを、21日に木星の大気層に突入させ、すべての観測を終了すると発表した。

 木星の大気や衛星を観測し、多くの画像やデータを送ってきたガリレオは、この日で使命を終える。

 NASAによると、木星の周囲を回るガリレオに搭載している姿勢制御用の燃料がほとんどなくなり、今後の観測やデータ送信が間もなくできなくなる。木星の衛星エウロパに衝突する恐れも出てきた。

 このため、木星の大気層に突入させて、最後の観測を行うことにした。ガリレオは突入の前後、数時間にわたって大気の成分などに関するデータを地球に送信してくる。

 ガリレオはエウロパなどの氷の下に水が存在する可能性を示すデータなどを送信。衛星イオで盛んに起こっている火山活動の観測なども行った。

 木星に到達する前には、火星と木星の間にある小惑星帯を通過し、小惑星の画像をすぐ近くから撮影することにも成功した。(共同)

小惑星に7飛行士の名前 米シャトル事故の犠牲者

2003年08月07日 The Sankei Shimbun

 米航空宇宙局(NASA)は6日、NASAの研究者が2001年7月に発見した7つの小惑星に、今年2月の米スペースシャトル空中分解事故で死亡した乗員7人の名前が付けられることになった、と発表した。

 小惑星はいずれも火星と木星の間の「小惑星帯」にあって太陽の周囲を回っており、直径は5−7キロ。

 小惑星を発見した研究者が所属していたNASAジェット推進研究所が、スペースシャトル「コロンビア」の空中分解事故で死亡したリック・ハズバンド船長ら7人の宇宙飛行士の名前を付けることを提案。国際天文学連合に認められた。

 NASAは「今後、何十億年も太陽の回りを回り続ける小惑星によって、七人の名前は永遠に記憶されることになるだろう」としている。(共同)

米シャトル打ち上げ、来年3−4月の再開目指す

2003年08月06日 The Sankei Shimbun
 2月のコロンビア空中分解事故で中断しているスペースシャトルの打ち上げ再開について、米航空宇宙局(NASA)は5日の記者会見で、事故調査委員会の勧告を着実に実行し、飛行再開につなげるための特別チームを発足させたことを明らかにした。

 シャトルの運用再開第1号となるアトランティスの打ち上げを、トラブルを把握しやすい日中に行うためには「3月11日から4月6日までが打ち上げ時期となる」とし、NASAはこの時期までに、委員会の勧告を受けた改善策を完了させる方針を明らかにした。

 アトランティスには、日本人宇宙飛行士の野口聡一さんも搭乗することになっており、建設中の国際宇宙ステーションにドッキングする予定になっている。

 だが、委員会の勧告は、事故の再発防止策だけでなく、NASAの安全管理体制など事故の背景となった問題点にまで及ぶものとなるため、3、4月の打ち上げ再開は微妙な情勢だ。(共同)

シャトル、今後も重大事故のおそれ 民間機関の報告書案

2003年07月15日 The Sankei Shimbun
 米スペースシャトル、コロンビアの空中分解事故の原因が克服されても、シャトルが今後さらに重大事故を重ねる可能性があるとの民間調査機関の報告書案を、15日付の米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。

 報告書案は、米航空宇宙局(NASA)がシャトルのさびや金属疲労を十分に監視していないことを間接的に批判。シャトルの翼は打ち上げや大気圏再突入、輸送の際に変形圧力や過熱で亀裂を起こす恐れがあるのに、NASAは翼の疲労テストを実施したことはないという。

 さらに「コロンビア事故の原因の全容はいまだに不明で、予測外の老朽化も考慮すれば、シャトルの耐用年数は(予定の40年を下回る)30年に達するかどうかも明白ではない」と警告した。

 報告書案は、コロンビア事故調査委員会に提出するため、民間調査機関のランド・コーポレーションがまとめた。(共同)

左翼に最大25センチの穴 シャトル事故で調査委

2003年07月12日 The Sankei Shimbun
 2月に発生した米シャトル空中分解事故の原因を調べているコロンビア事故調査委員会は11日の記者会見で、最終報告書の根幹となる、事故原因に関するシナリオを公表した。断熱材の衝突によって、コロンビアの左翼前縁部に、直径15−25センチの穴が開いたとみられるとの推定結果を明らかにした。

 英文で約190ページになる「作業シナリオ」は、米航空宇宙局(NASA)が想定していたものの2倍近い大きさの断熱材が、打ち上げ時に外部燃料タンクから脱落。「左翼の炭素強化複合材(RCC)パネルに穴が開き、左翼内部に高温のガスが流入する経路となった」と分析した。

 断熱材の脱落は、ひびが入ったことや接着不良など、複数の原因が競合して起こったとみられ、打ち上げ時にコロンビアに吹き付けた強風も、大きな断熱材が脱落する一因となった可能性があるという。

 記者会見で委員会は、過去の打ち上げで、今回のような事故につながる可能性を示す事象が少なくとも7件はあったと指摘。最終報告では、なぜ、これらの前兆が見逃されたかなどに言及し、NASAの安全管理体制上の改善点を勧告する。

 またシャトルは技術的に完成されたものではなく、試験段階にあると考えるべきだとの見方も盛り込む。

 ゲーマン委員長は、報告書の公表は、当初の予定より1カ月遅い、8月末になるとした。(共同)

再現実験で翼に大きな穴 米シャトル空中分解事故

2003年07月08日 The Sankei Shimbun
 米シャトル空中分解事故の原因を調べているコロンビア事故調査委員会は7日、外部燃料タンクの断熱材の破片をシャトルの翼の模型に衝突させる7回目の再現実験で、模型に直径40センチ近くもの大きな穴が開いたことを明らかにした。

 委員会は空中分解のきっかけとなったコロンビア左翼の損傷も、同程度の大きさに達していた可能性があるとみている。

 再現実験はこれで終了。委員会は、今月末をめどに、打ち上げ時に外部燃料タンクから脱落した断熱材が翼を損傷したことが主因だとの調査結果や、米航空宇宙局(NASA)への改善勧告などを盛り込んだ報告書をまとめる。

 この日の実験で、実際に機体に衝突したものとほぼ同じ大きさの、重さ約760グラムの断熱材を翼の前縁部の模型に衝突させたところ、強化炭素複合材(RCC)のパネルに巨大な穴ができることが確認された。(共同)

太陽系の謎解明へ「ディープ・インパクト」 彗星“爆撃”し飛散物質分析

2005/06/26 The Sankei Shimbun

来月4日 NASA壮大計画

 「ディープ・インパクト」といっても映画の題名や競走馬の名前ではない。人類史上初めて、彗星(すいせい)の内部を直接調べようという米航空宇宙局(NASA)の彗星探査計画だ。米独立記念日の七月四日、重さ三百七十キロの銅製の衝撃弾(インパクター)を彗星に撃ち込み、飛び散った内部物質の観測を目指す。約四十五億年にわたって彗星の内部に閉じ込められてきた原始太陽系の構成物質に、米国らしい壮大な手法で光をあてる。(溝上健良)

                  ◆◇◆

 「タイムカプセルのふたを開けるような試みです」。国立天文台すばる望遠鏡(米ハワイ島)広報担当の布施哲治さんはそう解説する。

 彗星は地球や火星のような惑星になれなかった星くずで、原始太陽系を構成したガスやちりが凍りついた小天体。大きな楕円(だえん)軌道を描いて太陽への接近を繰り返すうちに、「汚れた雪だるま」のように表面は焼けただれ、炭のように黒っぽい殻ができている。

 この殻を壊して、中に保存されているはずの新鮮な氷の成分を調べることで、太陽系や惑星の起源に迫るのが「ディープ・インパクト」の目的だ。

 ターゲットの「テンペル第1彗星」は、縦約十五キロ、横五キロの細長い形でニューヨーク・マンハッタン島ぐらいの大きさ。太陽から離れているので、ハレー彗星のような尾はない。ほぼ五年半の周期で火星と木星の間の楕円軌道を公転しており、地球に近づいたところを狙い撃つ。

 今年一月に打ち上げた「ディープ・インパクト」の探査機は、四億三千万キロの行程を順調に飛行しており、七月三日には銅製の衝撃弾(直径一メートル、長さ一メートル)を、八十八万キロ先の彗星の核に向けて発射する。銅を撃ち込むのは、飛び散った彗星の物質と区別するためだ。

 衝突は米東部夏時間で七月四日午前一時五十二分(日本時間午後二時五十二分)。日本は日中なので衝突時の観測は無理だが、国立天文台のすばる望遠鏡をはじめ、ハワイ・マウナケア山頂にある各国の大型望遠鏡が、テンペル第1彗星に向けられる。地球から観測できるように、衝撃弾は太陽光が当たっている側に撃ち込む。最短で五百キロまで接近する「ディープ・インパクト」の探査機からも、観測データを地球に送ってくる。

 人類史上初の「深い衝撃」によって、どんなことが起きるのか。

 大まかなシナリオとしては、最大でサッカー場規模のクレーターができ、そこから内部の氷が解けて構成物質が噴出する−と考えられる。

 その通りになれば、噴き出した物質が太陽の光を受けて彗星が明るさを増し、衝突から数時間後の様子を日本で観測することもできそうだ。

 国立天文台などは夕方から観測を試みる。明るさは十等星くらいで、「熟練したアマチュア天文家が、都市部ではない星空のきれいなところで挑戦すれば、なんとか彗星そのものは見えるはず」という。

 ただし、シナリオ通りにいかない可能性もある。計画自体が初めてで、目標の彗星の実態も詳しく分かっているわけではない。研究者にとっても本当のところは「やってみなければ分からない」のだ。「衝撃弾がブスッと彗星の中に突き刺さってしまうかもしれないし、衝突せずにかすめてしまうかもしれない」(布施さん)。中には「衝突で彗星が割れてしまう」と考える専門家もいるという。布施さんは「どんな結果が出るか、予想は非常に難しい。楽しみにしていてください」と、人類にとって未知の“インパクト”に期待を寄せている。

NASAのソーラー無人実験機が墜落

2003年06月27日 The Sankei Shimbun
 米航空宇宙局(NASA)は26日、太陽電池で超高空を飛行する無人飛行機「ヘリオス」が、実験飛行中、ハワイ・カウアイ島の米海軍基地内に墜落したと発表した。原因は不明だが、死傷者など、地上での被害は出ていないという。

 ヘリオスは地上からのリモートコントロールで飛行する実験飛行機。2001年8月には高度約2万7000メートルにまで上昇。飛行機としての高度記録を樹立したこともある。

 6万個以上の太陽電池と14台のプロペラを備えた軽量機で、超高空を燃料補給なしに6カ月以上にわたって飛行を続ける能力がある。地球観測や、通信衛星に代わる低価格の通信中継などへの応用が期待されていた。

 この日午前10時すぎに実験飛行のために離陸。その29分後にコントロールが利かなくなって墜落したという。

 NASAは、ヘリオスに燃料電池を搭載するなどの改造を加え、長期間無補給飛行の技術開発を進める予定だった。(共同)

米シャトルの翼強化勧告へ 7月末にも調査委報告

2003年06月25日 The Sankei Shimbun
 2月1日に発生した米シャトル空中分解事故の原因調査を進めているコロンビア事故調査委員会は24日、記者会見し「打ち上げ時に外部燃料タンクから脱落した断熱材が、翼にぶつかったことが事故の原因となった可能性が最も高い」との見解を明らかにした。

 シャトルの翼の模型を使った再現実験などの結果を踏まえたもので、来月末をめどに、シャトルの翼の強度を高めることなどを米航空宇宙局(NASA)に求めた最終報告書をまとめる。

 ゲーマン委員長は、NASAの安全管理態勢の強化など、事故の直接の原因以外についての改善策も報告書に盛り込むとの考えを示した上で「勧告内容はそう難しいものではなく、6カ月から9カ月で実行できるだろう」との見通しを示した。

 委員長によると、委員会は翼の強化のほか、断熱材の大きな破片が脱落しないような対策を取ることなどを勧告する。また、飛行中にシャトルの機体の損傷の有無を検査し、大事故につながる可能性がある損傷が見つかった時には、船外活動などで修理できるようにすることも求める。(共同)

米シャトル「コロンビア」機内の写真公表 NASA

2003年06月25日 The Sankei Shimbun
 米航空宇宙局(NASA)は24日、米シャトル空中分解事故で死亡したリック・ハズバンド船長ら7人の乗員が撮影した、飛行中のコロンビア機内の写真とビデオテープを公表した。

 写真は92カット、ビデオは約10時間分。空中分解したコロンビアの破片の回収作業中に発見された。シャトルの乗員がにこやかな表情を見せる記念撮影のような写真やシャトルから見た地球の姿、無重力状態での乗員や実験機器の様子などが映っている。

 NASAによると、コロンビアはビデオ337本、写真フィルム137本を積んでいたが、画像が再生できたのはそれぞれ、28本と21本だけだった。(共同)

補助ロケット部品に欠陥 シャトル事故調査で判明

2003年06月13日 The Sankei Shimbun
 米国のシャトル空中分解事故の原因を調べているコロンビア事故調査委員会は12日の記者会見で、打ち上げ時に使う固体補助ロケット(ブースター)をつなぐボルトとその周辺に構造的な欠陥があり、機体の損傷につながる危険性があることが分かったと発表した。

 委員会は「今回の事故とは直接つながらない」としながらも、米航空宇宙局(NASA)に関連部分の改良を勧告する方針で「早ければ年内にも」とされたシャトルの飛行再開が遅れる可能性も出てきた。

 調査委によると、コロンビア打ち上げ時のレーダーのデータ解析で、燃焼を終えたブースターの切り離し直後に、大きな物体がシャトルの近くを通過したことが判明。この物体はブースターを固定する長さ60センチ以上のボルトと分かった。

 シャトルの外部燃料タンクの両側に付けたブースターは、爆薬を使ってボルトを切断して切り離すが、外れたボルトを受け止める「ボルトキャッチャー」と呼ばれる容器がうまく機能しないことや、ボルトの衝突でキャッチャーが壊れる可能性があることも分かった。(共同)

翼のひび割れがはっきり シャトル事故の再現実験

2003年06月12日 The Sankei Shimbun
 米航空宇宙局(NASA)のオキーフ局長は11日記者会見し、空中分解したスペースシャトル、コロンビアの翼の模型に、外部燃料タンクの断熱材の破片をぶつけた再現実験の画像を公表した。

 画像では、断熱材を高速で衝突させた強化炭素複合材製の翼のパネルや、パネルとパネルをつなぐ接合部などに、大きなもので長さ13−14センチのひび割れが入っている様子などが、肉眼でもはっきりと確認できる。

 オキーフ局長は「事故調査委員会はまだ、原因についての結論を出すには至っていない」と強調したが「このような傷が、空中分解事故に関連しているとすれば、非常に詳細な検査が必要になる」と述べた。

 NASAは、飛行再開に当たってはすべてのシャトルの打ち上げをカメラなどで損傷を確認しやすい日中に行うことや、宇宙飛行士による船外活動で、飛行中のシャトルの状態を詳細に観察するようにすることなどを検討する。

 同局長は、今年末から来年初めには打ち上げ再開が可能だとの、これまでの立場を強調した。(共同)

ディスカバリー燃料タンク、再度の注入試験で異常なし

2005/05/21 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)は20日、スペースシャトル「ディスカバリー」の外部燃料タンクに、液体水素と液体酸素を注入する試験を行い、異常がないことを確認した。

 先月の同様の試験でセンサーの動作不良が見つかっていたが、配線の再確認などを行った結果、不良個所が改善された。

 ディスカバリーの燃料タンクは、別の部分の改修が必要なため、救難用に待機する「アトランティス」のタンクと交換される。

 センサーの不良が解決しなかった場合、アトランティスのタンクとしても使用できなくなるため、救難機を確保できず、野口聡一さんらがディスカバリーに搭乗する7月の打ち上げに影響を与える恐れがあった。

打ち上げ延期のシャトル、油漏れで引火の危険も

2005/04/30 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】外部燃料タンクなどの安全対策のため、打ち上げが7月に延期された日本人宇宙飛行士・野口聡一さん搭乗のスペースシャトル「ディスカバリー」に、後部油圧系統から漏れた油が引火する恐れがあるという別の問題点が見つかっていたことが29日、明らかになった。

 本紙が入手した内部資料によると、機体左側後部の油圧系統の継ぎ手部分から漏れた油が、エンジン燃焼の熱などで発火し、機体後部の約100個の耐熱部品を損傷する恐れがあるとしている。米航空宇宙局(NASA)の技術チームは、一部の耐熱部品を交換することや、エンジン燃焼の高温にさらした再現実験による安全確認を検討している。

 この問題は、重要な問題点として28日になってようやく責任者に報告されたが、同日に行われた打ち上げ延期の検討会には間に合わなかった。検討会で打ち上げ延期が決まらなかった場合、この状態のままで打ち上げられていた可能性がある。

 NASA当局者は29日の記者会見で、ディスカバリーの外部燃料タンクのセンサーにも動作不良があったことを明らかにした。新しい打ち上げ目標日は7月13〜31日だが、今後の日程で予備日は約20日しかなく、問題点を改善するための作業が長引けば、7月の打ち上げも危うくなる。

野口さんの「ディスカバリー」打ち上げ、7月に延期

2005/04/30 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)のグリフィン長官は29日、日本人宇宙飛行士・野口聡一さんらが搭乗するスペースシャトル再開飛行1号機「ディスカバリー」の5月22日の打ち上げを7月に再延期すると発表した。

 コロンビア事故の再発防止策の整備や安全試験が打ち上げに間に合わない可能性が出てきたため。整備にかかる期間や、再発防止の一環として安全確認がしやすい昼間に打ち上げる都合により、新たな打ち上げ目標日は7月13〜31日の間と設定された。

 発射点のシャトルは、残された時間を使って、可能な限り安全試験を続け、週明けにも再び組み立て棟に戻される。

 グリフィン長官は、再発防止策の一部が間に合わないままの“見切り発射”の可能性を示唆していたが、28日に開かれた打ち上げ責任者の検討会で異論が出た。特に、コロンビア事故を再現した安全評価の計算方法を、NASAが不当に下げていた問題が批判を浴び、安全評価のやり直しや装備の改善を求める声が強まったという。

 再検討に伴い、28日の打ち上げ準備作業は丸一日凍結されていた。

「地球はスモッグに覆われて…」 露宇宙飛行士が警告

2005/04/28 The Sankei Shimbun 大阪夕刊から

 【モスクワ=内藤泰朗】「地球はスモッグに覆われ、写真撮影するのも難しかった」−。国際宇宙ステーション(ISS)からこのほど地球に帰還したロシアのシャリポフ宇宙飛行士は27日、同じく帰還した米国とイタリアの宇宙飛行士との共同記者会見で、地球環境保全の緊急性を訴えた。

 モスクワ郊外の宇宙施設「星の街」で会見したシャリポフ氏は「自然を汚す工場の煙で覆われた地球を見るのは悲しいことだ」と述べた。工場からのスモッグが特に深刻なのが東アジアで、この地域は「写真撮影することすら困難なほどのスモッグで覆われていた」という。

 同氏は「宇宙に行って初めて私たちの地球がいかに壊れやすいものか理解できた。私たちは一刻も早く環境保護に努めなければならない」と警鐘を鳴らした。

 ISSで活動していた3人の宇宙飛行士たちは今月25日未明、ロシアの宇宙船ソユーズで無事カザフスタンに着陸した。

 米航空宇宙局(NASA)が来月、打ち上げ再開を目指す米スペースシャトル「ディスカバリー」には、日本人宇宙飛行士の野口聡一さん(40)も搭乗し、ISSに向かうことになる。


シャトル再開1号機に野口さん搭乗、年内か

2003/04/26 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)のオキーフ長官は25日、スペースシャトル「コロンビア」事故で凍結されている打ち上げの再開1回目に、日本人宇宙飛行士・野口聡一さん(38)ら4人が搭乗することを明らかにした。

 シャトルの乗組員は通常7人体制で、残る3人は国際宇宙ステーションの交代要員に割り当てられる予定。

 コロンビア事故の原因究明が終了していないため、具体的な打ち上げ時期は示さなかったが、オキーフ長官は「できれば年内に再開したい」と話している。

断熱材落ち左翼損傷、シャトル事故原因ほぼ断定

2003/04/23 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=笹沢教一】米スペースシャトル「コロンビア」事故調査委員会は22日、事故のきっかけは、打ち上げ直後に外部燃料タンクの断熱材が落下して左翼前縁部を損傷したためとほぼ断定する見解をまとめた。

 これまで事故調では「特段のシナリオはなく、すべての可能性を分析している」(ゲーマン委員長)と繰り返し強調してきたが、コロンビアに使用されたのと同じ型式の燃料タンクの分析や再現実験から、当初から可能性が指摘されていた断熱材衝突による左翼損傷が有力であると判断した。

 事故調は最終報告を今夏にまとめる方針で、米航空宇宙局(NASA)は早ければ秋にも飛行を再開したい考えだ。

          ◇

 米航空宇宙局(NASA)は22日、空中分解事故で死亡したスペースシャトル「コロンビア」の乗組員7人を追悼する慰霊碑を、ワシントン近郊のアーリントン国立墓地に建てると発表した。

米シャトル:事故原因、被覆損傷の見方強める NASA

2003年04月16日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【ワシントン斗ケ沢秀俊】米スペースシャトル「コロンビア」の空中分解事故で、米航空宇宙局(NASA)が設立した独立事故調査委員会は15日、左翼前縁部の被覆の損傷が事故につながった可能性が高いとの見方を明らかにした。

 回収した機体の部品の分析やコンピューター解析に基づく推定で、左翼前縁部の炭素繊維製の被覆がはがれて細長い穴が開き、外部の高温ガスが流入した可能性が高いとしている。

 被覆がはがれた原因は不明で、同委員会はコロンビア打ち上げの際に外部燃料タンクからはがれ落ちた断熱材が左翼を直撃したトラブルとの関連を調べている。

離脱物体は翼の一部か コロンビア事故

2003年03月19日 The Sankei Shimbun
 空中分解した米スペースシャトル、コロンビアの事故調査委員会は18日の記者会見で、コロンビアが軌道上を飛行中に機体から離れていったことが確認されている物体が、翼の一部である可能性もあるとの見方を明らかにした。

 委員の一人ジェームズ・ハロック博士は「離れていった物体は、左翼前縁部の強化炭素複合材(RCC)のすぐ後ろの部分である可能性がある」と述べ「この部分が損傷していると、飛行中は問題がなくても、大気圏にシャトルが再突入した際に翼の前縁部が壊れやすくなると考えられている」と述べた。

 しかし、実験装置の一部である可能性も残り、特定にはまだかなりの時間がかかるという。

 飛行中に小さな物体が機体から離れていったことは地上のレーダーで確認されており、事故との関連が注目されている。

 博士はまた、回収された左車輪収納庫の破片の中に半分溶けたチタン合金製の部品があり「融点から考えて、収納庫内の一部は1600度以上の高温になっていた部分があった」との見方を明らかにした。

 委員会のゲーマン委員長は「多くの証拠が集まっている」としているが、翼のどの部分に最初に損傷が生じたかなどはなお不明で、調査は難航している。(共同)

老朽化も一因との見方 米シャトル空中分解

2003年03月12日 The Sankei Shimbun
 米シャトル空中分解事故の原因を調べているコロンビア事故調査委員会は11日、記者会見し、コロンビアの機体の老朽化が、事故の一因となった可能性があるとの見方を明らかにした。

 委員会のゲーマン委員長は、コロンビアの打ち上げ時に外部燃料タンクから脱落した断熱材が、左翼部分に衝突したことが直接の原因だった可能性を排除していないと指摘。「健全な機体だったら断熱材の衝突は問題にならなくても、何らかの理由で不健全な状態になっていたら、大事故の原因となることが考えられる」とした。

 ゲーマン委員長は「さまざまな複雑な要素が絡み合って、悲劇的な結果を招いたと考えられる」と述べた。

 また、委員の一人、ジョン・バリー少将も「研究開発段階にあるスペースシャトルの老朽化という問題については、これまでほとんど経験がない」と述べ、過酷な条件で飛行するシャトルの老朽化問題を視野に入れて原因調査を進めていることを明らかにした。(共同)

損傷は左翼前縁部が最初か シャトル空中分解

2003年03月09日 The Sankei Shimbun
 米シャトル空中分解事故の原因調査を進めているコロンビア事故調査委員会の9日までの解析で、空中分解を招いた左翼の損傷は、最初に翼前縁部の胴体付近で発生した可能性が高いことが分かった。9日付のニューヨーク・タイムズ紙など米主要メディアが伝えた。

 米航空宇宙局(NASA)や調査委による写真の分析や、翼内部で熱が広がる経過のシミュレーションなどから、大気圏再突入時の高温に耐えられるよう作られた強化炭素複合材(RCC)のパネルが再突入直後に脱落し、脱落部から高温ガスが入り込んだとするのが最も可能性が高い、との結果が出た。

 また、回収された破片の焼け焦げ方は、左翼の車輪収納庫に高温のガスが入り込んだのではなく、収納庫内部から外部に向けて高温ガスが噴き出したとみられる様子を示していた。

 これらのことから、翼前縁部のRCCパネルの損傷によって高温ガスが翼内部に入り込み、収納庫内の車輪やセンサー、ワイヤなどを次々と破損。収納庫のドアを内側から破ってガスが外に噴き出し、空中分解を招いた可能性が高いことが分かったという。(共同)

時速2万キロ、大気圏への再突入時に高温で破壊か

2003年02月02日 Yomiuri On-Line
 スペースシャトルの地球への帰還途中に起きた初の大惨事に米航空宇宙局(NASA)は、シャトルの機体が大気圏に再突入した際に空中爆発した可能性が高いとみて、調査している。NASAや専門家の間では、再突入時は大気との摩擦で機体が非常に高温になるため、機体が耐えきれず、破壊されたという見方も出ている。

 地球への帰還は通常、すべてコンピューター制御で、人為的なミスは起きにくいとされている。シャトルは、後ろ向きで、軌道進入用エンジンを作動させて減速し、地球周回軌道から大気圏突入のための長円軌道に入り、大気圏に接近。エンジンを止めた後、機首を再び進行方向に向け、機首を水平より36―38度上向きに引き起こし、大気圏に突入する。

 着陸25分前の高度80キロ・メートルで、スピードが時速2万6000キロにも達する。NASAによると、コロンビアの交信が途絶えた時点では、高度62キロで時速が約2万キロだった。

 シャトルは降下するに従い、大気の濃度が増していき、大気との摩擦で1500度以上に達する。この高温から、機体を守るため、耐熱タイルが機体を覆っている。このため、タイルが飛行中に多数はがれて落ちてしまうと、機体が燃え尽きてしまう可能性がある。

 さらに、1500度以上の高温に機体はさらされるため、突入角度を誤ると、高温から機体を守る耐熱タイルでも守りきれないほどに機体が熱せられる可能性があるほか、耐熱タイルがはがれ落ちてしまうと、機体を守りきれなくなる。このため、何らかの機器の故障などで大気圏への突入時の機首の角度を誤ったのではないか、と指摘する専門家もいる。

 航空宇宙問題専門家の中冨信夫さんによると、スペースシャトルの再突入では進入の角度が重要だ。角度が深すぎても浅すぎても、再突入に失敗する。いったん高速の再突入が始まると、進入姿勢を修正することは極めて困難だ。

 進入の角度が深すぎると、エンジン付近に高温の大気が直接当たり、爆発事故を誘発する危険性がある。普通はフラップ(昇降舵(だ))が大気が当たるのを防ぐが、角度が深いとフラップで大気を防ぎきれなくなる。浅すぎると、機首の方から加熱され、機体が損傷する恐れがある。再突入の角度は、機内のコンピューターが制御しており、機長らが誤った操作をしようとしても、警告が出る。加えて地上の管制センターでもモニターしており、誤りに気付かないというのは考えにくい。

 中冨さんは、これまでの情報を総合して、耐熱タイルの破損で機体が壊れた可能性よりも、再突入の角度に問題があったのではないかという見方を示している。角度が深すぎる場合、高温の大気が直接機体後部のエンジンに当たり、爆発を誘発することも考えられるとしている。

初飛行は81年4月、コロンビアは最古の機種

2003年02月02日 Yomiuri On-Line
 コロンビアは1981年4月に初飛行。現在4機あるスペースシャトルのうち最も古い機種。今回は28回目の飛行。日本人宇宙飛行士の向井千秋さんと土井隆雄さんも搭乗した。

 99年には発射直後に外部タンクの液体燃料が漏れ、主エンジン3基のうち1基のノズル(噴射口)から異常な炎が出るトラブルがあった。97年にも積んでいた燃料電池3個のうち1個が故障し、飛行期間を短縮して帰還した。96年には固体燃料ロケットに不具合が打ち上げ後に見つかるなど、トラブル続きで老朽化が懸念されていた。

 NASAも99年9月から1年半近くをかけて、大改修し、昨年3月から飛行を再開した。

米シャトル、着陸直前に空中分解 乗員7人死亡

2003/02/02 中国新聞ニュース
 【ワシントン1日共同=井田徹治】飛行士七人を乗せた米スペースシャトル「コロンビア」が、米東部時間一日午前九時(日本時間同日午後十一時)ごろ、着陸直前にテキサス州上空で空中分解、炎上の末、墜落した。

 ブッシュ大統領は同日午後、ホワイトハウスでテレビを通じて全米向けの声明を発表し「生存者はいない」と全員の死亡を確認。「遺族とともに全米が悲しんでいる」と述べ、初のイスラエル人飛行士一名と六人の米国人乗員に哀悼の意を表明した。

 米航空宇宙局(NASA)のオキーフ局長は同日、フロリダ州ケネディ宇宙センターで記者会見し、原因究明のため独立の特別事故調査チームを設置すると発表。NASA当局はまた、外部的な原因はなかったとの見方を示し、テロや空中衝突などを否定した。

 シャトルの事故としては、一九八六年に「チャレンジャー」が発射直後に爆発、墜落し七人が死亡して以来の大惨事。次の打ち上げは、日本人宇宙飛行士の野口聡一さん(37)が搭乗するアトランティスで、三月に予定されていたが、大幅延期は必至。シャトルを利用して軌道上で組み立てが進む国際宇宙ステーションにも大きな影響が出そうだ。

 NASAによると、コロンビアは着陸約一時間前にインド洋上空で着陸体勢に入ったが交信が途絶。テキサス州ダラスの南約百六十キロの上空で空中分解し、残がいが同州北部に散らばった。

米シャトル「コロンビア」 打ち上げは9月半ば以降

2002年07月13日 The Sankei Shimbun
 4機の米スペースシャトルすべての燃料配管内部に、微小なひび割れが見つかった問題で、米航空宇宙局(NASA)は12日、当初は19日に予定されていた「コロンビア」打ち上げが早くとも9月半ば以降になることを明らかにした。

来年1月に予定されている日本人宇宙飛行士、野口聡一さんが搭乗する「アトランティス」の打ち上げも、延期される可能性が強まった。

 NASAは、8月に予定されているアトランティスの打ち上げなど、コロンビア以降の打ち上げ日程の変更については「現状では何も言えない」としている。だが、原因究明や影響評価などにはまだ、時間がかかる見通しという。

 NASAは、現在、燃料配管の金属製内張り表面のひび割れが拡大して破損、破片がエンジンに達して大事故につながる可能性がないかなどを解析中。これまでの検討で、この可能性はほとんどないことが分かったが、今後さらに解析を行う必要があり、次回の打ち上げは、早くても9月半ばになるという。

 ひび割れは肉眼で見えるか見えないほどの小さなものだが、4機のシャトルすべての配管に、計11カ所確認されている。(共同)

米、すい星探査機打ち上げ

2002年07月03日 The Sankei Shimbun
 米航空宇宙局(NASA)は米東部時間3日午前2時47分(日本時間同日午後3時47分)、太陽系内のすい星に接近し、構成する物質などを調べるすい星探査機「コンター」をフロリダ州のケープカナベラル空軍基地からデルタ2ロケットで打ち上げた。

 コンターは2003年11月に地球から約4000万キロ離れた場所でエンケすい星に、さらに06年6月には地球から約4800万キロ離れた場所でシュワスマン・ワハマン第三すい星に接近。すい星の核から約100キロの場所を高速で飛行し、さまざまな観測に取り組む。

 まだよく分からないことが多いすい星の成り立ちや太陽系の歴史を探る上で、重要なデータが得られるという。また、2つのすい星が太陽に比較的近い場所にある時に接近するため、太陽の熱とすい星を構成する物質との相互作用などの研究に役立つデータも得られると期待されている。

 コンターは高さ1・8メートル、幅2・1メートルの8角柱型で、ジョンズ・ホプキンス大などが開発。すい星を構成する物質の分析装置やカメラを搭載している。(共同)

NASAの宇宙ロボは“ハロ”だった

2001年08月03日 ZDNet Japan
 米航空宇宙局(NASA)のエイムズ研究所が宇宙開発ロボットを研究開発中だと報じられた。ZDNet/USAは「スターウォーズのドロイド」「スタートレックのトリコーダー」に似ていると記しているが,日本人的には「機動戦士ガンダム」に登場した「ハロ」にしか見えないことが分かった。

 ロボットは「Personal Satellite Assistant」。6インチの球形で,“視力”となるビデオカメラや音声機能の搭載を検討している。微少重力環境で自律的に動作し,宇宙ステーション内などで宇宙飛行士の活動を手助けするのが目的。エイムズ研究所のサイトによると,ロボットは飛行士の周囲を離れずに漂い,積極的にサポートしてくれるらしい。

 この“ハロ”,Pentium IIIプロセッサとLinuxがベース。各部のパーツも秋葉原で購入できるもので代用できそう。つまり今ならその気になれば,アムロのようにハロ(もどき)を自作できるのかもしれない。宇宙世紀は近い!?

米シャトルが着陸

2001.02.21【ワシントン20日=共同】The Sankei Shimbun
 軌道上の国際宇宙ステーションに米国製実験棟「デスティニー」を取り付けた米スペースシャトル「アトランティス」(五人乗り組み)は米東部時間二十日午後三時三十三分(日本時間二十一日午前五時三十三分)、米カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地に着陸した。

 通常の着陸基地であるフロリダ州のケネディ宇宙センターが悪天候のため、二日連続で着陸を延期していた。

 次のシャトル打ち上げは三月八日の予定。昨年十一月からステーションに居住してきた米国、ロシア三人の宇宙飛行士と交代する米露の男女三人を運ぶ。現在は米国人のウィリアム・シェパード船長がステーションの指揮をとっているが、次の船長はロシア人のユーリー・ウサチェフ宇宙飛行士が務める。

小惑星エロスに軟着陸 米無人探査機ニア (2001.02.13) asahi.com(時事)

小惑星回る軌道入り成功

2000年2月15日 9時55分【ヒューストン共同】
 米国の無人探査機ニアが14日、小惑星エロスの周囲を回る軌道に入るのに成功した。小惑星は主に木星の軌道より内側にある小天体。既に約1万個発見されているが、探査機が周回軌道に入って近距離から観測するのは初めて。ニアはさっそく、軌道上からとらえたエロスの画像を地球に送ってきた。


「説得力ある」火星の生物痕 NASAが発見

2000.12.19【ワシントン18日=共同】The Sankei Shimbun
いん石中から磁鉄鉱の結晶

 米航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センターは十八日までに、火星から地球に飛来したいん石の中から、微生物によって作られたとみられる磁鉄鉱の結晶を発見した、と発表した。火星に原始的な生物が存在していた痕跡をうかがわせる「説得力のある証拠」だとしている。

 このいん石は一九八四年に南極で発見された「ALH84001」。約四十五億年前にできた火星の岩石が小惑星の衝突で宇宙空間に放り出され、地球に飛来したと考えられている。

 同センターの研究者らがいん石を分析し、内部から磁鉄鉱の結晶を見つけた。結晶構造や組成の詳細な研究の結果、地球の走磁性細菌が作る結晶とほとんど同一と分かった。

 磁鉄鉱自体は無生物的にもできるが、同センターによると、いん石内部から見つかったような純粋で欠陥がない結晶は微生物にしか作れないという。

 ALH84001からは九六年に多環式芳香族炭化水素(PAH)と呼ばれる有機物が見つかっており、生命活動の結果である可能性が指摘されていた。

日本向けの探査車開発中止 NASA

2000.11.04【ワシントン3日=共同】The sankei Shimbun
 米航空宇宙局(NASA)は三日、日本の文部省宇宙科学研究所が二○○二年冬に打ち上げる予定の小惑星探査機「ミューゼスC」に搭載を計画していたNASAの小型探査車「ナノローバー」の開発を中止した、と発表した。

 二千百万ドル(約二十二億四千万円)の予算でNASAジェット推進所が開発を進めていたが、軽量化などで開発費が膨らみ、NASA本部の判断で中止が決まった。

 NASAは、探査車以外の方法でミューゼスCに協力できないか宇宙科学研究所と話し合いたいとしている。

NASAが再び火星に探査車 2004年着陸へ (2000.07.28) asahi.com

シャトルの宇宙服に油汚染、土井さんにも危険 (2000.07.15) asahi.com

米NASA、2003年に火星探査ミッション

00年5月16日 18時39分[ワシントン 15日 ロイター]
 米航空宇宙局(NASA)は、2003年に火星探査機を送る準備を進めている。周回探査機か着陸探査機のどちらかにする予定。

 NASAが電子メールで発表した声明文で明らかにした。米国は98年と99年に探査機を打ち上げたものの、目的を果たせず、失敗に終わっている。

 同ミッションについての決定は7月の予定。予算上の制約から、打ち上げるのは周回探査機か着陸探査機のいずれかになる。

 周回機の場合、現在飛行中の「マーズ・グローバル・サーベイヤー」と同様のものになる見通し。また、着陸機の場合は、1997年の「マーズ・パスファインダー」のようなエアバッグを利用した着陸機になるという。

木星探査機「ガリレオ」、木星の衛星の高解像撮影

2000年04月25日 16時17分[ワシントン 24日 ロイター]
 米国の木星探査機「ガリレオ」が木星の衛星テーベ、アマルティア、メティスを高解像撮影することに成功した。

 アマルティアは一部が光を放っていることで知られる。今回の新画像を調べた専門家によると、光は50キロの長さに及び、いん石の衝撃によるものか、山の峰である可能性があるという。

 衛星の画像はホームページで公開されている。

毛利さん古里で宇宙教室

2000年4月18日 17時09分
 故郷の北海道に戻っている米スペースシャトル日本人宇宙飛行士毛利衛さん(52)が18日、出身地の北海道余市町を訪れ、地元の小中学生らを前に講演、母校の後輩らの質問に答えた。

 会場には、余市町の小中学生約1600人が集合。母校の東中2年の女子生徒が「今度は宇宙で何をしたいですか」と質問すると「(今回は)地球ばかり見ていたので、天体観測をしたい」と答えた。

NASAが画期的な航空機を開発中、高速通信を可能に

00年4月11日 15時16分[ロサンゼルス 10日 ロイター]
 
 米航空宇宙局(NASA)は、災害時などに高速で広範囲な通信を可能にする画期的な航空機を開発中であること明らかにした。

 この航空機は、在来の航空機が達しなかった高い高度で、数カ月間飛行することができる。

 NASAの担当者は、「これで、新しい時代が始まると期待している。1903年のライト兄弟のときと同様に」と述べた。

 この無人機「ヘリオス」は、昼間は太陽電池で、夜間は燃料セルなどの新エネルギー貯蔵システムで飛行する。

 NASAはまず、2003年に96時間のノンストップ飛行を目指すが、最終的には6カ月の間飛行を実現するという。

 同機は既に、NASAとカリフォルニア州のAeroVironmentが、共同で製造し、昼間飛行も行った。

 今後の課題は、新エネルギー貯蔵システムの開発という。

生まれたての「赤ちゃん星」をX線観測でとらえる

9:13p.m. JST April 02, 2000
 誕生から1万―10万年、人間でいえば生後1日に満たない生まれたての「赤ちゃん星」をX線観測でとらえることに、米ペンシルベニア州立大の坪井陽子研究員(宇宙物理学)らが成功した。3日から東京大学で開かれる日本天文学会で発表される。

 この赤ちゃん星があるのは、オリオン座の方向の約1500光年かなたにある暗黒星雲。分子ガスに覆われていて星が誕生していると考えられているが、ガスのために目に見える光では見つからない。

 坪井さんらは、米航空宇宙局(NASA)が昨年7月に打ち上げたX線観測衛星「チャンドラ」を使って、暗黒星雲の中で誕生後1万―10万年段階の2個の星が出しているX線をキャッチした。

 誕生直後の赤ちゃん星は、X線でも観測は難しく、誕生から10万―100万年ぐらいのものをとらえるのが精いっぱいだったという。

  研究グループの小山勝二・京都大学教授(X線天文学)は「この方法を使えば、星の進化を一番若い段階から追っていけるようになる」と話している。

大型衛星落下の恐れも

2000年03月11日 10時21分【ワシントン共同】
 重量17トンの米大型衛星コンプトンの姿勢制御装置が一部故障し、将来、落下して被害が出る恐れが出てきたとして、米航空宇宙局(NASA)が、対策の検討を進めていることが10日、分かった。制御が可能なうちに太平洋に落下させる案と、従来とは別の方法で制御するようコンピュータープログラムを組み直して飛行を続ける案が検討されており、今月中にも結論を出す。

経費節減のあおりでスペースシャトルの安全確保に問題

10:10p.m. JST March 10, 2000
 米航空宇宙局(NASA)が経費削減を進めすぎた結果、スペースシャトルの整備・点検に問題が起き、安全が確保できなくなっているとの報告書を、NASAが設置した調査委員会が10日までにまとめた。

 委員会は、昨年7月に米国発の女性船長が乗った「コロンビア」で、配線類の損傷が表面化したことを受けて設置された。

 報告書によると、NASAは1996年、経費の大幅削減のため、整備や打ち上げ準備などの委託契約を民間会社と結んだ。重要なスタッフが去り、残った作業員の負担が増え、作業が簡略化された結果、安全に問題を生じたという。次の打ち上げの12月までに電気系統など様々な分野での改善を求めている。

140億光年先の天体を発見 老舗望遠鏡がお手柄

2:10p.m. JST February 19, 2000
 米航空宇宙局(NASA)などの研究チームは18日、地球から約140億光年のかなた、最も遠くにあるとみられるクエーサーを発見したと発表した。カリフォルニア・パロマー山の口径5メートル望遠鏡、アリゾナ・キットピークの4メートル望遠鏡という2つの老舗(しにせ)望遠鏡のお手柄で、その結果をもとに、ハワイにある最新鋭のケック大型望遠鏡で確認した。

 クエーサーは、宇宙のごく初期に生まれた天体。銀河系の1万倍ものエネルギーが放出されている。研究チームは、くじら座の方向で今回発見されたこのクエーサーをくわしく観測、宇宙のごく初期の進化を探る手がかりを得たいとしている。

「宇宙の花火」超新星のガスの輪、NASAが画像公開

0:28p.m. JST February 17, 2000
 米航空宇宙局(NASA)は16日、超新星1987Aから噴き出す爆風がガスの輪にぶつかって光る様子をとらえたハッブル宇宙望遠鏡の画像を公開した。

 超新星は地球から約17万光年のかなたにある。星の一生の最後を飾る大爆発は1987年に観測された。時速6000万キロを超える爆風が星を取り巻くガスにぶつかって何百万度にもなっているらしい。

 ガスの輪の一部が光り始めたのを2年前にハッブルがとらえたが、「宇宙の花火」の観測はこれからが本番と研究者はみている。

宇宙望遠鏡の修理終える

1999年12月25日 12時01分【ワシントン共同】
 米スペースシャトル「ディスカバリー」の宇宙飛行士2人が24日、船外活動を行い、ハッブル宇宙望遠鏡に新型のデータ送信装置などを取り付けた。

 22日から始まった望遠鏡の修理作業は、この日で終了。3日間の作業で取り付けたコンピューターや姿勢制御装置は、すべて正常に動くことが確認されており、望遠鏡の修理は成功した。

宇宙飛行士ら、ハッブル宇宙望遠鏡のコンピューターを交換

99年12月24日 18時10分[ケープカナヴェラル(米フロリダ州) 23日 ロイター]
 米スペースシャトル「ディスカバリー」(カーティス・ブラウン船長)の宇宙飛行士が、船外活動を行い、ハッブル宇宙望遠鏡のコンピューターを高性能のものと交換する作業を行った。 宇宙飛行士らは前日22日、故障していたハッブル宇宙望遠鏡のジャイロスコープ(方位測定装置)を新しいものと取り替える作業を行い、既に主要作業を無事に終えている。ハッブル宇宙望遠鏡は、ジャイロスコープの故障のため、11月から観測不能に陥っていた。 ハッブル宇宙望遠鏡は、25日にシャトルから観測軌道に戻される。

ディスカバリー、ハッブル宇宙望遠鏡を確保

99年12月22日 18時14分[ケープカナヴェラル(米フロリダ州) 21日 ロイター]
 米スペースシャトル「ディスカバリー」(カーティス・ブラウン船長)が、装置の故障で観測不能に陥っているハッブル宇宙望遠鏡の修理態勢に入った。 既に、シャトルのロボットアームで軌道上の望遠鏡を確保する作業を終え、今後は宇宙飛行士らが3日間の船外活動で望遠鏡の修理作業を行う。 7人の宇宙飛行士らは27日に地球に帰還する予定。

スペースシャトル、執念の旅立ち

3:04p.m. JST December 20, 1999
 9回打ち上げが延期されたスペースシャトル・ディスカバリーが19日午後7時50分(日本時間20日午前9時50分)、フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。シャトル史上初のクリスマス休暇中の飛行に加え、コンピューターの2000年問題を避けるため日程を2日も縮めるなど、異例ずくめ。故障したハッブル宇宙望遠鏡の修理を何とか年内に終えたい米航空宇宙局(NASA)による執念の旅立ちだ。

 ディスカバリーはもともと10月の打ち上げ予定だった。配線不良などのトラブルで7回延期された後、17、18日は悪天候に阻まれた。これで年内打ち上げを断念するはずだったが、天候好転の兆しに、NASAは計画を変更して今年最後のチャンスにかけた。

 ディスカバリーはまず、宇宙望遠鏡に追いついて捕まえ、荷物室に固定した後、宇宙飛行士が2人ずつ船外に出て、故障の原因となった姿勢制御装置6個をすべて交換する。コンピューターなども取り換える。飛行の短縮で船外活動は4回から3回に削られた。限られた時間の中で、難しい作業になりそうだ。

 これでシャトルの今年の飛行回数は3回。チャレンジャー事故後に飛行が再開された1988年の2回以来の少ない回数となった。27日に帰還の予定。

スペースシャトル打ち上げ、天気にたたられ8度目の延期

11:50a.m. JST December 18, 1999
 米航空宇宙局(NASA)は17日夜(日本時間18日午前)に予定されていたスペースシャトル・ディスカバリーの打ち上げを、悪天候のために再び延期した。これで延期は8度目。コンピューターの2000年問題が控えているため、年内に残された打ち上げ機会は18日の1回のみ。天候はやや改善する見通しだが、打ち上げられるかどうかは微妙だ。

 17日、NASAは当初の打ち上げ予定時間を約40分遅らせて天候の回復を待ったが、雨と低くたれこめた雲は消えず、延期を決めた。18日の天候の予想では、打ち上げられる確率は40%。

ハッブル宇宙望遠鏡が観測不能に、ジャイロが故障

10:32a.m. JST November 16, 1999
 米航空宇宙局(NASA)は15日、ハッブル宇宙望遠鏡の姿勢を制御するのに使われるジャイロスコープ(回転儀)が故障したため、望遠鏡は観測を停止して待機状態に入ったと発表した。12月6日に打ち上げ予定のスペースシャトル・ディスカバリーで宇宙飛行士が代わりのジャイロを取り付けるまで、しばしの「休眠」となる。

 望遠鏡には6個のジャイロがあり、正確に観測対象に向けるには3つが必要。今年2月までに3個のジャイロが故障したため、NASAは来年6月に予定していたシャトルによる修理を早めることを決めた。今月13日、さらに1個が故障したため、望遠鏡は自動的に鏡のふたを閉じ、「安全モード」に入った。太陽を向いた姿勢で電力だけは確保する。

 ハッブル宇宙望遠鏡は1990年に打ち上げられ、93年に6個のジャイロのうち4個が交換されている。今回の修理では、すべて新品のジャイロに交換するほか、新しいコンピューターも運ぶ。当初の寿命は15年だったが、2010年まで使われることになっている。

NASAが帝人の織物採用

1999年12月8日 18時30分 共同通信社
 帝人は8日、米国の帆布メーカーと共同で開発したポリエステル織物が、気球を使った環境観測を進める米国の航空宇宙局(NASA)の「バルーンプログラム」の素材として採用されたと発表した。NASAは2年後にこの気球に観測機器をつり下げて、高度約52キロの成層圏を、約100日間かけて地球を6周させ、大気や地球環境などを観測する。気球の直径は約140メートルあり観測時は無人。

木星の衛星・イオの火山噴火をとらえる ガリレオ探査機

11:57a.m. JST December 18, 1999
 米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所は17日、木星の衛星イオの火山から溶岩が噴き出している瞬間を木星探査機ガリレオが初めてとらえたと発表した。溶岩の高温と強い光のために露出過剰となり、画像では溶岩周辺が白くなっている。

 この現象は溶岩噴泉と呼ばれる。幅100キロ、長さ290キロに及ぶ、太陽系でも最大級のカルデラの中に走る亀裂から、溶岩がカーテン状に1.5キロ以上の高さに噴き出していた。ハワイなど地球の例では、高さが2、300メートルを超えることはまれだ。

 今回の噴火はきわめて大規模だったため、ハワイ・マウナケア山頂の赤外線望遠鏡でもとらえられた。このタイプの噴火はまれで、時間も短いため、今回のように直接とらえられる確率は0.2%ほどという。

米機、木星の衛星に接近

1999年11月26日 18時01分【ワシントン共同】
 米国の無人木星探査機ガリレオが米東部時間25日、木星の衛星イオの上空に近づいた。

 ガリレオは先月11日にもイオに約610キロまで接近、太陽系で最も活発とされる火山活動を観測したばかり。イオの火山の中には噴煙を、上空約300キロまで噴き上げているものもあり、今回の最接近では噴煙の中を通過しながら観測できた可能性もある。

NASAの火星探査機、通信回復の望み薄く

11:57a.m. JST December 06, 1999
 米航空宇宙局(NASA)は5日午前(日本時間6日未明)、火星探査機「マーズ・ポーラー・ランダー」に対し、これまでとは別系統の通信を試みたが、探査機からの信号は届かず、交信回復の望みは大きく後退した。着陸直前に放出され、火星の南極探検をするはずだった2つの小型観測装置、「アムンゼン」と「スコット」からの信号もまだ届いていない。

 この日、ランダーの通信装置のうち、これまで試みてきた地球に直接送信するアンテナではなく、UHFアンテナを使って発信、火星軌道を回っているグローバル・サーベイヤー経由での通信を試みた。電波が広範囲に広がるので、火星軌道で信号がつかまると期待されたが、うまくいかなかった。

 NASAは今後、大きくアンテナを動かす命令を送るなどの対策を試みるが、7日までに信号が届かない場合は、通信関係のトラブルだけでなく、探査機が火星に無事着陸したかどうかも問い直されることになりそうだ。

Mars Polar Lander Official Website-火星探査機「Mars Polar Lander」の着陸から1時間以内に、火星の画像をインターネット上で見られる-

火星探査機、失敗濃厚に

1999年12月5日 18時01分 【パサデナ(米カリフォルニア州)共同】
 米航空宇宙局(NASA)は米太平洋時間4日夜(日本時間5日午後)、火星に到着後に通信を絶った探査機マーズ・ポーラー・ランダーとの通信を試みたが、ランダーからの信号をキャッチできず、失敗に終わった。ランダーの状態は不明だが、着陸に失敗し機能を失った可能性が濃厚になった。

火星着陸失敗の可能性も

1999年12月4日 18時14分 【パサデナ共同】
 火星の南極付近に着陸して氷の層を調べる予定だった米探査機マーズ・ポーラー・ランダーからの信号は、火星到着から11時間以上経過した米太平洋時間3日午後11時(日本時間4日午後4時)をすぎても地球に届いていない。米航空宇宙局(NASA)は、星のランダーに向け指令を送って通信を試みているが、ランダーは着陸に失敗し作動していない可能性が強まってきた。

火星探査機、交信途絶える アンテナが地球見失う?

0:40p.m. JST December 04, 1999
 米航空宇宙局(NASA)は3日、火星着陸を目前に火星探査機「マーズ・ポーラー・ランダー」からの連絡が途絶えたと発表した。探査機にトラブルが起こったか、無事着陸したもののアンテナの向きが悪いのではないか、とみられている。NASAは、探査機に問題がなければ交信再開の見込みがあるとして回復に努めている。9月には姉妹機のマーズ・クライメート・オービターの火星軌道投入に失敗しており、もし交信回復の望みが絶たれれば、米国の火星探査は大きな痛手を受けることになる。

 計画では、ランダーは同日午後零時1分(米太平洋標準時、日本時間4日午前5時1分)、火星の南極近くに軟着陸し、38分後には信号が戻ってくるはずだった。同日早朝の最後の軌道修正の時点ではすべて順調で、探査チームは目的地から2、3キロ以内の着陸に自信を見せていた。

 大気突入から着陸までは、探査全体の中で最も複雑で難しい部分だ。ランダーは搭載コンピューターの指示に従ってパラシュートを展開、レーダーで火星の表面を調べながらエンジン噴射などをして着陸する。

 NASAが望みを捨てていないのは、着陸したもののアンテナの向きが違っているということが考えられるからだ。ランダーは着陸後、火星からは点のようにしか見えない地球を探し、アンテナを向けなければならないが、いったん固定した後で機体が動いたり傾いたりすると地球を見失う。

 このため、NASAはアンテナの向きを変える信号を送るなどしている。

 NASA・ジェット推進研究所(JPL)の探査責任者リチャード・クック氏は記者会見で「全く予想外の事態ではないが、失望していることも事実」と話した。

 ランダーは1月3日に打ち上げられ、約7億6000万キロを旅して火星に到着した。地球と火星との距離は現在約2億5000万キロ、電波が届くのに片道だけで約14分かかる。改めて、探査の難しさを示している。

着陸知らせる信号届かず

1999年12月4日 10時23分 【パサデナ共同】
 火星の氷を調べる目的の米火星探査機マーズ・ポーラー・ランダーが日本時間4日午前5時すぎ、火星に到着したが、予定時間を過ぎても着陸成功を知らせる信号が地球に届かず、着陸の成否が気遣われている。米航空宇宙局は、ランダーのアンテナが地球を向いていない可能性が高いと指摘。着陸失敗とは断定せず、アンテナの向きを変える指令を送り、通信回復を試みている。

米スペースシャトルを11日に打ち上げ 5カ月ぶり

2:03p.m. JST December 03, 1999
 米航空宇宙局(NASA)は2日、スペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げを11日に行うと発表した。NASAは今年7月に飛行した「コロンビア」がエンジン制御装置にトラブルを起こしたことから、4機あるシャトルを一斉点検していた。

 ディスカバリーは故障したハッブル宇宙望遠鏡の修理が主要任務となる。来年1月13日には、日本人飛行士、毛利衛さんの搭乗する「エンデバー」の打ち上げが予定されている。(時事)

米探査機途絶、人為ミスも

1999年9月24日 13時39分【ワシントン共同通信社】
 米航空宇宙局(NASA)は23日、火星への軌道投入途中に通信を絶った探査機マーズ・クライメート・オービターは、低高度で火星大気に突入して摩擦で壊れたか、火星に激突してしまった可能性が高い、と発表した。

 飛行経路を読み取るコンピューターの故障か、飛行を監視した係員の人為ミスの可能性があるという。

土星探査機カッシーニ、地球の重力で加速

7:43p.m. JST August 18, 1999
 米航空宇宙局(NASA)の土星探査機カッシーニは17日午後11時28分(日本時間18日午後零時28分)、南太平洋東部上空、約1170キロをかすめて飛び去った。地球の重力でエネルギーを得て加速するのが目的で、NASAによれば秒速は5.5キロ速くなった。接近中に地球の磁場などの観測も行った。来年12月に木星に接近してさらに加速した後、最終目的地である土星をめざす。

 カッシーニは1997年10月に打ち上げられ、すでに金星に2回接近して加速している。土星には2004年7月に到着する予定。総費用34億ドル(約4000億円)という、NASAにとって最後の重厚長大の探査機だ。

 電源として約33キロのプルトニウムを使った原子力電池を積んでいることから、環境団体などは事故を心配していたが、NASAは、カッシーニが誤って大気圏に突入する可能性は100万分の1以下ときわめて低いとしていた。

さっそう宇宙の女性管理職、ついに打ち上げ

5:55p.m. JST July 23, 1999
 初の女性船長、アイリーン・コリンズさん(42)が乗り組むスペースシャトル・コロンビアが23日午前零時31分(日本時間同日午後1時31分)、米航空宇宙局(NASA)ケネディ宇宙センターから打ち上げられた。打ち上げは2度延期され、予定より3日遅れの旅立ちとなった。男性3人、女性1人の部下を率いて、さっそうと宇宙の女性管理職がデビューした。約5日間飛行し、27日深夜に帰還する。

 最大の任務は、大型X線望遠鏡「チャンドラ」を放出することで、打ち上げから約7時間後、コリンズさんらは早速その作業に取り組んだ。この望遠鏡は重さ約23トン、開発費15億ドル(約1800億円)と、シャトルで運ぶ荷物としては重さも値段も最高。800メートル離れて新聞が読めるほどの高性能で、ブラックホールなどの観測をする。

 子供のころから「人形より化学の実験セット」が好きで、飛行機にあこがれた。空軍で2人目の女性テストパイロットになり、1990年、NASA初の女性パイロットとして採用された。95年にシャトルで初飛行、産休をはさんで97年に2度目の飛行をした。空軍で知り合った夫は航空会社のパイロットをしている。

ママはシャトルの船長さん

1999年7月23日 17時12分 共同通信社
 初めて米国宇宙船の船長になったアイリーン・コリンズさん(42)は、空軍から1995年に女性初のスペースシャトル操縦士となり、その4年後、シャトル乗組員を指揮する大役を射止めた。

 家に戻り、一人娘のブリジットちゃん(3っ)に、シャトルの模型を手にしながら宇宙飛行の様子を教える時、コリンズさんはごく普通の母親の顔になる。

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