TOPIC No.5-19 健康保険


Index
a.1999/04-2000/04、b.2000/04-
01. 医療と健康保険について知っておきたいこと
02. 健康保険組合連合会
03. 国民健康保険中央会
04. 医療制度改革 YAHOO!ニュース
05. 健康保険法等の一部を改正する法律案の概要 厚生労働省
06. 医療・介護情報CBニュ-ス
07. 後期高齢者医療制度【こうきこうれいしゃいりょうせいど】(2006/07/26)Iza


健保組合の9割が赤字見通し 10年度、給与減が影響

2010年04月07日 asahi.com

 大企業のサラリーマンらが加入する全国の健康保険組合の9割近くが、2010年度予算で赤字になる見込みになった。赤字は総額6600億円に上り、過去最悪だ。健康保険組合連合会(健保連)が7日に公表したもので、不況による給料の減額が保険料収入を直撃した。

 健保連が全1462組合のうち1313組合(89.8%)の予算データをもとに推計した。前年度予算に比べて赤字額は398億円増え、1295組合(88.6%)が赤字の見込み。保険料の算定基準で、給料に応じて決まる標準報酬月額の平均額は前年度より1.98%減少。賞与に応じた標準賞与額は6.51%減と落ち込みが顕著だ。

 財政を安定させるため、352組合が保険料率を引き上げた。保険料率の平均は全体でも前年より0.19ポイント上がって7.62%になる。財政悪化から09年度中に13組合、今月1日付で3組合が解散。一方で、61組合は保険料率を引き下げた。

 今国会では、中小企業のサラリーマンらが加入する協会けんぽの保険料負担急増を抑える法案が審議されている。高齢者医療への支援金について、協会けんぽの負担分を健保組合などが「肩代わり」する内容で、成立すると健保組合全体で今年度はさらに約330億円の負担増となる。

健保組合、過去最大の赤字=10年度予算で6600億円超

2010/04/07 時事ドットコム

 健康保険組合連合会(健保連)は7日、大企業の会社員らが加入する全国の1462健保組合の経常収支が2010年度、過去最大の6605億円の赤字になるとの見通しを発表した。景気低迷に伴う被保険者の給与・賞与減で、保険料収入が落ち込むことが最大の要因。3年連続の赤字となる。

 赤字組合の割合は88.58%(1295組合)。厳しい経済状況を反映して、保険料算定の基準となる標準報酬月額(月収)、標準賞与額(ボーナス)の1人当たりの平均額がそれぞれ1.98%、6.51%減少する見通し。この結果、保険料収入が前年度に比べて829億円減少する。

療養病床、20万床が存続 39都道府県の削減計画

2008年03月16日 中国新聞ニュース

 高齢患者らが長期入院する療養病床の都道府県の削減計画概要が15日、分かった。共同通信の同日までの集計によると、計画が判明した39都道府県は、2006年10月現在で31万床の病床を12年度末までに35%、11万床削減し、20万床を残す。他の8府県は検討中としている。

 国は、医療の必要度が低いのに長期入院する「社会的入院」の解消と医療費抑制のため、療養病床を大幅に削減する計画。06年10月現在で全国に35万床(回復期リハビリテーション病棟を除く)あった病床が15万床に削減される見通しを立て、年間4000億円の医療費圧縮を見込んでいる。しかし、存続病床は8府県分が上乗せされ、さらに増えるため、医療費抑制の見直し議論も出てきそうだ。

 都道府県の削減計画が国の見通しに達しないのは、医療機関が収入減が予想される介護施設への転換に消極的で、退院しても地域に受け皿がないことなどが要因。

技術料など0.3%引き上げ 診療報酬、政府与党が方針

2007/12/17 中国新聞ニュース

 政府、与党は十七日、来年度の診療報酬改定で焦点となっている医師の技術料など「本体部分」の改定率について、0・3%余り引き上げる方針を固めた。本体とは別に「薬価・材料部分」は、市場実勢価格との隔たりの是正などで1・2%引き下げる方針で固まった。診療報酬全体では約0・8%の引き下げとなる見通し。

 最終調整を経て十八日午後、舛添要一厚生労働省と額賀福志郎財務相が会談し、正式に決定する。

 「本体」のプラス改定は二○○○年度改定以来、八年ぶり。政府側は財源不足を理由に0・1%台を主張したが、医師不足に伴う地域医療の崩壊危機を懸念する与党が「政治判断」で上積みした形。前回○六年度改定で、本体はマイナス1・36%と過去最大の下げ幅だった。

 診療報酬の改定率0・1%は国庫負担約八十億円に相当する。全体の改定率は○二年度改定から四回連続マイナス。

 与党が本体引き上げを要求したのには、地域の医療崩壊が次期衆院選に影響しかねないとの思惑もうかがえ、○六年成立の医療制度改革関連法など小泉政権下での医療費抑制策との整合性が問われそうだ。

 診療報酬の本体部分は○二年度にマイナス1・3%と初めて引き下げられ、○四年度は据え置きだった。

年金額7万円違いで2割高 75歳以上の医療保険料

2007年12月08日 中国新聞ニュース

 75歳以上を対象に来年4月スタートする後期高齢者医療制度で、厚生年金受給者(単身)の場合、厚生労働省が従来の平均受給額としていた年208万円の人は、現在の平均受給額の年201万円の人より、医療保険料が47都道府県平均で19・5%、年額で1万3744円高くなることが8日、共同通信の調べで分かった。

 年金受給額が年7万円多いだけで保険料が2割も高くなるのは、所得が一定以下だと受けられる軽減措置が年203万円以下に設定されたため。これより所得が低い水準でもさらに2段階の軽減措置がある。高齢者には年金以外に収入がないケースが多く、年金額のわずかな違いで1カ月の保険料負担が1000円超も重くなることに不満の声も出そうだ。

 年間差額は福岡が最高で1万6650円。最少は長野で1万1700円。差額幅は各都道府県とも19%台だった。

調剤報酬の見直し、検討項目を提示/厚労省

2007/12/05 CBニュース

 2008年度の診療報酬改定における調剤報酬の見直しについて厚生労働省は12月5日、来年4月から始まる75歳以上の後期高齢者の医療制度や在宅医療の推進などを踏まえた検討項目をまとめ、中央社会保険医療協議会(中医協)基本問題小委員会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)に提示したが、夜間開業する薬局の時間外加算などに支払い側の委員が反対し、継続審議となった。

 次期診療報酬改定に向けて厚労省は、在宅患者の緩和ケアや後期高齢者医療において薬剤師の取り組みを十分に評価する方針を既に示しており、一連の方向性は同小委で了承されている。

 厚労省はこの日、これまでの議論を踏まえた調剤報酬の検討項目として、(1)調剤基本料と基準調剤加算、(2)調剤技術料の時間外加算、(3)一包化、(4)錠剤の半割、(5)服薬指導、(6)長期投薬、(7)在宅患者への訪問指導、(8)麻薬管理――の8項目を挙げた。

 具体的には、 (1)後発医薬品を促進するための調剤基本料の見直しと、薬局の24時間体制を進めるための基準調剤加算の施設基準の見直し、 (2)夜間に開業する薬局の調剤技術料の時間外加算、 (3)服用時点が同一ではない場合の一包化の評価、 (4)自家製剤で1錠を正確に半分に分ける場合の評価、 (5)薬剤服用歴管理料と服薬指導加算の統合、 (6)長期投薬情報提供料1の算定要件の見直し、 (7)在宅患者訪問薬剤管理指導の対象者の拡大、 (8)麻薬管理指導加算の算定要件の見直し――など。

 このほか、有床診療所においても薬剤管理指導料を算定できる方針も示している。

 全体について山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)は「ぜひ、このような方向で進めてほしい」と評価しながらも、調剤基本料の見直しについて「マイナスにすると明確に言われてしまっては議論するのが難しくなってしまう。激変がないようなご配慮をお願いしたい」と求めた。

■ 調剤基本料と基準調剤加算の見直し

 1.調剤基本料

 特許が切れた先発医薬品と有効成分が同じで価格が安いジェネリック医薬品(後発医薬品)の普及を促進するため厚労省は、薬局での後発医薬品の処方せん枚数が全処方せんの中で一定割合を占めた場合に調剤基本料に点数を上乗せする方針を11月9日の小委で提案している。

 この日、厚労省は「一定割合」について30%を提案。調剤基本料(1回受付ごとに42点)を引き下げて新たな加算の区分を設け、後発医薬品の調剤率が30%を超えた場合に加算する方針を示した。

 2.基準調剤加算

 「基準調剤加算1」の施設基準を見直し、医師や患者の求めに応じて自らの薬局のみで24時間調剤可能な体制を整えている場合を評価する方針を示した。

 現在、一定の施設基準を満たしている薬局は基準調剤加算(10点または30点)が調剤基本料に加算される。この基準調剤加算の施設基準1は、輪番制など開局時間外の調剤体制を評価する加算だが、夜間に痛みを訴える患者などに対応するために薬局の24時間体制を進める必要があると判断し、24時間体制の薬局も同様に評価することを提案した。

■ 調剤技術料の時間外加算

 調剤技術料について、輪番制の当番薬局などに該当しない薬局でも時間外加算が取れるように変更する方針を示した。

 現在、夜間や休日などの調剤について夜間に開業している薬局は、輪番制や救急医療の確保のために調剤していると認められる場合などの要件を満たさない限り「時間外加算」が取れない。厚労省は診療所の夜間開業などに対応して薬局の24時間体制を進めるため、夜間の調剤体制を評価する必要があると判断した。

 質疑で、対馬忠明委員(健康保険組合連合会専務理事)は「チェーン薬局など、夜間に開業している薬局にも(点数が)付いてしまうのはいかがなものか」と不満を表し、他の委員からも同様の指摘が相次いだ。

■ 一包化薬の取り扱い

 服用時点が同じでも、薬剤の種類が複数あって「一包化」が必要な場合には一包薬の調剤料を算定できる方針を示した。

 現在、数種類ある薬剤を1つの袋にまとめる「一包化」は、例えば「朝と夜」に服用する薬と「朝・昼・夜」に服用する薬を別々の袋に分けた場合に「一包化薬の調剤料」を算定できる。

 しかし、多くの種類の薬を処方した場合、薬の飲み忘れなどを防ぐために種類別に分けても服用時点が同一の薬であれば評価されない。

 そこで、厚労省は「服用時点が異なるか否かにかかわらず一包化の手間は同様である」と判断し、「一包化が必要な場合」には一包化薬の調剤料を算定できることを提案した。「必要な場合」の内容は明示していない。

■ 調剤料の自家製剤加算における錠剤の半割

 錠剤の半割について、投与日数も考慮した上で自家製剤に要する手間に応じた評価にする方針を示した。

 現在、患者が服用しやすいように錠剤を砕いたり、1錠の薬を半分に割ったりする場合に加算される「自家製剤加算」は、薬の量や日数に関係なく1調剤につき90点になっている。しかし、1錠の薬を正確に半分に割る場合、薬を粉砕する場合よりも手間がかかるのに点数が同じであるため、錠剤の半割の点数を引き上げる必要があると判断した。

■ 薬剤服用歴管理料と服薬指導加算の見直し

 薬剤服用歴管理料(22点)と服薬指導加算(22点)を1つに統合する方針を示した。

 現在、薬剤師が患者に薬を渡す際に薬の飲み方などを説明した場合には、「薬剤服用歴管理料」と「服薬指導加算」が取れるが、両者の算定要件は似ていて分かりにくいと判断した。

■ 長期投薬情報提供料1の算定要件の見直し

 14日分を超える投薬で、薬剤交付後の患者への情報提供を評価する「長期投薬情報提供料1」の算定要件を見直し、実際に情報を提供した場合のみ算定できるように変更する方針を示した。

 現在、長期投薬情報提供料1の算定要件は実際の情報提供の有無にかかわらず、患者に情報を提供することについて「患者の同意を得た場合」に算定できる。 しかし、厚労省の調べでは、長期投薬情報提供料1の算定回数1万570回のうち、実際に情報を提供した回数は947回と1割以下にとどまっており、長期投薬情報提供料1の算定回数に比べて、実際の情報提供の回数は著しく少なかった。このため、実際に情報を提供した場合のみ算定できるよう変更する必要があると判断した。

■ 在宅患者訪問薬剤管理指導

 後期高齢者医療制度で、厚労省は75歳以上の入院患者や在宅患者などに対する薬剤師の服薬指導などを診療報酬で評価する方針を既に示している。

 しかし、74歳以下の患者についても同様のニーズがあるため、厚労省は75歳以上の後期高齢者に対する服薬指導と同様に、74歳以下に対する服薬指導も評価する方針を示した。

 一方、高齢者が多く生活する施設に訪問して服薬指導をする場合には、一人ひとりの患者を訪問する手間が少ないことから、点数を引き下げる方針を示した。厚労省は「後期高齢者に限らず、適正な評価」としている。

■ 麻薬管理指導加算

 1.在宅患者の場合

 麻薬管理指導加算の算定要件を見直し、定期的に残薬を確認したり廃棄方法について指導をすることを算定要件に加える方針を示した。

 在宅での緩和ケアを推進するためには、在宅における麻薬の服用、保管、廃棄などが確実に行われることが重要であると判断した。

 2.外来患者の場合

 麻薬が処方されている患者に対して薬剤師が電話などで定期的に残薬を確認するなど、麻薬の服用に関する指導を実施した場合に評価する方針を示した。

■ 有床診療所における薬剤管理指導の評価

 有床診療所も薬剤管理指導料を算定できるように変更する方針を示した。

 現在、入院患者に対して薬剤師が薬の副作用などを説明した場合の評価として、薬剤管理指導料(350点)があるが、一定の施設基準を満たした「病院」しか算定できない。

 しかし、有床診療所であっても「2人以上の常勤薬剤師の配置」などの基準を満たしている施設があるため、算定できる施設を病院から有床診療所に拡大する必要があると判断した。

75歳以上の医療制度は、どうなるの?

2007年12月05日 asahi.com

 75歳以上が加入する、後期高齢者医療制度の保険料が、公表されました。

 後期高齢者の保険料は、自治体ごとにちがう均等割と所得で変わる所得割りを合算したものになりますが、保険料が最も高い神奈川県では、平均で月7729円。最も低い青森県だと、月3865円とのこと。

 一般的な厚生年金受給者(年210円)でみると、一番高いのが福岡県の月7175円。ちなみに、東京は、月6170円です。

 なぜ、こんなに開きがあるのかと言えば、収入が高ければ所得割りの保険料が上がるし、医療費がかかる自治体だと均等割の保険料が高くなるので、どちらかというと都会のほうが高くなりがちになります。しかも、この保険料は、介護保険の保険料とは別に引かれるので、両方あわせると月に保険料が1万円を超えてしまい、負担は大きい!

 現在、75歳以上は、老人医療の対象ですが、息子などの扶養家族になっていれば、保険料の負担はありません。けれど、4月からは、75歳以上が単一の家計となるので、扶養家族から外れて保険料が発生します。ただし、今まで扶養家族だった人は、半年だけは保険料の支払いが凍結されます。

 75歳以上が支払う医療費は、1割負担。たとえば、月100万円の医療費がかかると、10万円は本人が負担しなくてはならなくなりますが、ただし、ここで覚えておきたいのが、高額療養費制度。一般的な収入の老人の場合、入院費が月に4万4400円以上かかると、超えた分は、請求すれば戻してもらえる制度です。外来の場合、戻してもらえるのは1万2000円以上。

 この制度を知らずに、年間、請求されないお金が、高齢者だけで100億円くらいあるとのこと。東京の世田谷区のように、請求してなければ自治体が教えてくれるところもあれますが、こうしたサービスがないところも多いのが実情。戻してもらえるなら、積極的に請求しましょう。

新医療制度 75歳以上の保険料軽減…低所得者対象

2007年12月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

自民税調の大綱素案

 自民党税制調査会(津島雄二会長)が今月中旬にまとめる2008年度税制改正大綱の素案が4日、明らかになった。「後期高齢者医療制度」が2008年度に始まることに関連し、低所得者世帯の負担を軽くする措置を創設する。

 75歳以上の高齢者は、08年度に、新たな医療保険制度に加入することになっている。この際に、低所得の高齢者世帯が現在受けている国民健康保険税(料)の軽減と見合うだけの負担軽減を、新制度移行後も受けられるようにするものだ。

 また、地方自治体の事務処理負担を軽減するため、本来の税率を一時的に増やしたり減らしたりしている租税特別措置を、廃止または縮減合理化していく方針を盛り込むことが固まった。

 一方、素案では、上場株式などの売却益と配当の税率を20%から10%に軽減している証券優遇税制が08年度内に期限を迎える後の延長の是非や、中小企業の後継者の相続税を軽減する措置(事業承継税制)などは結論を持ち越した。

 法人課税の実効税率の引き下げや、自動車関係諸税の簡素化などは、09年度以降の中長期的な検討課題とした。

外来患者に定額払い方式導入 後期高齢者医療で厚労省が提案

2007.11.28 MSN産経新聞

 厚生労働省は28日、75歳以上を対象に平成20年度からスタートする後期高齢者医療制度に関し、慢性疾患を抱える通院患者に対して年間診療計画の作成や検査料などの定額払いを行い、継続的に病状管理していく方針を、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に示した。また、重複投薬を防ぐため、医師や薬剤師に薬局で配布する「お薬手帳」の内容確認も義務付ける。20年度の診療報酬改定で実現を目指す。

 後期高齢者は糖尿病や高血圧などの慢性疾患で長期間通院するケースが多く、診察内容は経過観察や継続的な指導が中心。新制度では、これらの患者の継続的な医学管理を、かかりつけの主治医に担当してもらう考えだ。

 具体的には、主治医が治療方針や1年間の検査予定などを分かりやすく記入した年間診療計画書を作成し患者に提供。治療費の高騰を防ぐため、医師による指導、検査、画像診断などを包括して計算する定額払いも導入する。かかりつけ医に対しては研修の受講を義務付け、新制度の周知徹底を図る。

 また、後期高齢者の薬歴管理として「お薬手帳」を積極活用する。調剤時に「手帳」へ薬剤情報や注意事項を記入した場合に調剤報酬を上乗せするほか、医師や薬剤師には「手帳」などで患者の服薬状況を確認することを義務付ける。

所得同じでも格差1・4倍 75歳以上の新医療保険料

2007年11月27日 中国新聞ニュース

 75歳以上を対象に来年4月スタートする後期高齢者医療制度で、年金額が201万円の厚生年金受給者(単身)の医療保険料は、年額で最高の福岡県が8万5100円なのに対し、最も低い長野県は6万円と、同じ所得でも都道府県によって1・4倍の格差があることが27日、厚生労働省の調査で分かった。47都道府県の平均は7万570円。

 制度に加入する高齢者にかかった老人医療費を1人当たりで見ると、福岡が最多で長野が最少となっている実態が、そのまま保険料に反映された格好。両県以外でも、1人当たり老人医療費が多いほど保険料が高くなる傾向がみられた。

 新制度は、都道府県内の全市町村が参加する広域連合が運営主体となり、国民健康保険などに加入している75歳以上の約1300万人が加入、一人一人が保険料を負担する。

混合診療、国の解釈は誤り 全額自己負担は違法

2007/11/07 中国新聞ニュース

 健康保険がきく診療ときかない自由診療を併用する「混合診療」をすると、通常の保険適用診療まで含め医療費が全額自己負担となるのは違法として、神奈川県のがん患者の男性が訴えた訴訟で、東京地裁は七日、国の法解釈を誤りとして男性勝訴の判決を言い渡した。

 国側は「混合診療は、保険診療と自由診療の一体の医療行為と見るべきで全額負担になる」と主張したが、定塚誠じょうづか・まこと裁判長は「規定上、一体と解釈できる根拠は見いだせない。法は個別診療ごとに、保険適用診療かどうかを判断する仕組みを採用している」と判断した。

 混合診療をめぐっては、がん患者らが「保険外の抗がん剤などを使えば自己負担が膨大」と解禁を求めるなど規制緩和の要望が多い一方、医師会側は「高所得層だけが良い治療を受けられる」と反論。判決は、こうした議論や医療現場に大きな影響を与えそうだ。

 判決などによると、男性は二〇〇一年九月から、神奈川県立がんセンターで腎臓がん治療のため、保険適用のインターフェロン治療に加え、適用対象外の「活性化自己リンパ球移入療法」を併用、治療を受けていた。

 国は「医療の平等原則」を保障するため、混合診療を原則禁止。一部の先進医療などに特別認めているが、判決は「混合診療全体の在り方とは別問題」と指摘。あくまで法解釈の問題として原告勝訴の結論を導いた。

高齢者医療費の負担増を凍結 舛添、谷垣氏が確認

2007/09/27 中国新聞ニュース

 舛添要一厚生労働相と自民党の谷垣禎一政調会長は二十七日午後、党本部で会談し、来年四月から予定されている高齢者医療費の負担増を凍結する自民、公明両党の与党方針を確認した。財源確保などを検討する与党プロジェクトチームを新たに設置し、十月中に結論を出すことをめざす。

 会談後、舛添氏は記者団に「(凍結は)自公両党の合意だから、やらざるを得ない」と述べ、与党の成案を得た上で政府として正式決定する考えを示した。

 負担増部分に国費を補てんすることにより、高齢者の負担軽減を図る方向で調整するが、最大千七百億円前後と見込まれる財源確保や凍結の期間などが検討の焦点となりそうだ。

 与党内の一部には、負担増を決定した昨年六月成立の医療制度改革関連法などの改正を求める意見もあるが、昨年十月から現役世代並みに所得がある高齢者に対しては窓口負担を二割から三割に引き上げるなど一部の負担増が既に実施されていることから、法改正は行わない見通し。

 会談で舛添氏は、来春からの七十五歳以上を対象にした後期高齢者医療制度の導入に向け、市町村が進めているシステムの変更や条例制定の準備を考慮すると、十月中に結論を出す必要があると指摘、与党で検討を急ぐよう求めた。

 凍結の対象は(1)七十―七十四歳の一般的な所得者の窓口負担を現行の一割から二割に引き上げ(2)七十五歳以上の一部高齢者からの新たな保険料徴収―の二点。

 厚労省の試算によると、窓口負担を一割のまま凍結した場合、医療給付費は計約二千五百億円の増となり、このうち国庫負担と地方への財政支援を合わせ千三百億円の財源確保が必要。新たな保険料徴収も凍結すると、さらに約四百億円分を国が肩代わりする必要が生じる。

477市町村で交付不足 国保、国の算定ミス

2007年06月26日 中国新聞ニュース

 厚生労働省は26日、国が市町村に交付する国民健康保険の特別調整交付金で、同省の算定ミスがあり、1996年度から2005年度の間、毎年370市町村から477市町村で交付額が不足していた疑いがあると、発表した。

 交付ミスは93年度から続いており、300前後の市町村では交付額が過大となっていた。交付ミスによる不足、過大を合わせた影響額は数百億円に上るとみられる。同省国民健康保険課は「チェックが不十分で、おわびする」と陳謝している。

 昨年秋のシステム改修の際、厚労省の担当者がミスに気付いたが、上司に知らせないまま放置。今月中旬、那覇市から指摘され、交付ミスが発覚した。

 不足が生じた市町村では、加入者の保険料(税)が引き上げられていたなどの影響が出ていた恐れもある。厚労省は07年度以降の交付金で過不足を調整する方針。不足分は補てんされるが、過大交付のあった市町村は減額されることになる。

高額医療制度 健保変更後も割引維持 厚労省

2007/04/22 The Sankei Shimbun WEB-site

 厚生労働省は、月間医療費がかさんだ場合に一定額を超えた分を健康保険が負担する高額医療制度の見直しに着手した。見直されるのは、過去12カ月間で制度適用月が3カ月を超えると患者の自己負担分をさらに少なくする割引ルール(多数該当)だ。退職や転職で加入健保が変わると、このルールは適用されない。そこで、健保を移っても継続して割引の恩恵を受けられるようにする。

団塊退職迎え改定

 見直しの背景には、団塊世代の大量退職がある。退職すれば、企業健保から国民健康保険に、再就職の場合も、新しい勤務先の健保に加入することになる。こうした健保の移動が不利益にならないよう環境を整備し、不安を少なくして第二の人生に臨んでもらおうというわけだ。

 さらに、現役世代でも終身雇用がくずれ、自分の人生設計に合わせて転職する人も増えているという実態がある。

 本人だけでなく、扶養家族も制度対象であるため、与党内で「現行のままでは、医療費補助を十分に受けられない人が急増する」と是正を求める声が強まっていた。

 現在の高額医療制度では、69歳以下で月収53万円未満の人は、3カ月目までは「8万100円+限度額を超えた分の1%」が自己負担分だが、4カ月目以降は割引の適用で、4万4400円ですむ。月収53万円以上だと、3カ月目までが「15万円+限度額を超えた1%」、4カ月目以降が8万3400円となる。

 ところが、異なる健保同士で、加入者の医療情報を交換したり、共有したりする仕組みはない。加入健保が変わると、移動前から高い医療費を払っていても、その分はカウントされず、改めて1カ月目とみなされ、割引ルール適用外となる。

 ルール変更には、過去12カ月間に何カ月高額医療制度の適用を受けたかなどの患者情報を健保間で共有する必要がある。これについては、平成23年度をめどに導入を予定している健康保険証のICカード化や患者の病歴情報のデータベース化などで、健保を移動しても、高額医療費支給情報を一元的に把握できるめどが立った。

 また、各健保の財政的な負担増に配慮し、激変緩和策を導入する一方、健保全体で財政調整する基金の設置案なども浮上している。

 <退職後の健康保険> 会社を定年退職した後、再就職すれば再就職先の健康保険に移る。再就職しない場合は、条件を満たせば、退職前の勤務先の健康保険に一定期間加入できるが、一般的には国民健康保険(国保)に加入する。さらに、平成20年度以降は、75歳以上になると自動的に「後期高齢者医療制度」に移る。このように、定年退職後の加入健保がめまぐるしく変わることで、患者がこれまでは考えにくかった不利益を受けることもあるとの見方が強い。

健康保険証をICカード化 データベース診療へ

2007/03/16 The Sankei Shimbun WEB-site

 厚生労働省は16日、経済財政諮問会議に対し、平成23年度をめどに健康保険証をICカード化し、医師が患者の病歴や受診内容を簡単に見られるようにする「健康ITカード」(仮称)構想を示した。他の医療機関での受診データも閲覧できるため、持病やアレルギーなど患者の詳細な健康状態を踏まえた診断ができるほか、医療機関を変わるたびに行われる同じような検査や薬の過剰投与を省き、医療費抑制につなげる狙いもある。

 健康保険証については、22年度にもすべて個人単位カードに切り替えることがすでに決まっており、ICカード化はこの一環。健康ITカード構想は、患者の病歴や受診内容をデータベース化し、医師や患者はICカードを使ってこれに接続する仕組みで、当初は希望者のみとし順次対象を広げる。医師は他の医療機関での診療内容も把握できるため、複数の病院で同時期に受診している患者の薬の飲み合わせなどの危険も防げる。

国保保険料の上限56万円へ 低所得世帯の負担軽減へ

2007/01/21 The Sankei Shimbun WEB-site

 厚生労働省は、自営業者やパート社員らが加入する国民健康保険(国保)の年間保険料の上限額を現行の53万円を3万円引き上げ、56万円にすることを決めた。平成19年度から実施する。高所得世帯の保険料負担を増やし、全体の7割を占める中所得世帯の保険料を引き下げる狙い。上限額の見直しは9年度以来10年ぶりとなる。

 今回の見直しで、国保に加入する約2489万7000世帯(16年度末)のうち、所得が上位5%の約124万世帯が新たな引き上げ対象となる。厚労省は、自営業の夫婦のみの世帯の場合、事業所得が660万円程度のケースが該当するとみている。

 国保は加入者の所得や世帯人数、資産に応じて運営主体である市町村などが保険料額を決める。ただ、上限額は国が決めている。

 高齢化社会の進行に伴う医療費の増加で財政状況が悪化している国保が多くなっており、各市町村は独自の税投入や保険料の引き上げで対応している。

 しかし、保険料については高所得世帯がすでに年53万円の上限額に達しているケースが多い。結果として、引き上げ対象は53万円に満たない中所得世帯にせざるを得ず、中所得世帯の不公平感が強まっていた。また、重くなり続ける保険料を滞納して資格停止に追い込まれる例も増えていることから、厚労省は中所得世帯の負担軽減が必要と判断した。

 厚労省は、上限額引き上げによる増額分で、中所得世帯の保険料を引き下げるよう市町村側に求めていく考え。

 一方、すでに保険料の減免措置を受けている低所得世帯は、今回の保険料引き下げ対象にはならない。

療養病床の食費や部屋代、重症・難病患者は軽減 医療制度改革

2006/07/11 The Sankei Shimbun

 厚生労働省は10日、長期入院患者向けの療養病床の高齢者から食費と部屋代(光熱水費相当)を全額徴収することを決めた医療制度改革で、人工呼吸器を必要とするなど重症状態が続く場合や、集中的なリハビリテーションを必要とする「回復期リハビリテーション病棟」の入院患者については徴収額を軽減し、現行の食材費負担とすることを決めた。相部屋利用の70歳以上の場合、食費と部屋代は月5万2000円かかるが、2万4000円で済む計算だ。

 今回、食費と部屋代の軽減対象となるのは(1)人工呼吸器や24時間点滴などが必要な難病・重症患者や、肺炎や脱水など医療の必要度が高い状態が続いているケース(2)脳卒中などの発症後に集中的なリハビリの必要のある「回復期リハビリテーション病棟」の入院患者。

 入院中に(1)のケースになった場合は、1カ月の入院日数のうち、こうした状態に陥った後の入院日数が悪化前日数を超えた分を減免対象として計算する。

 療養病床の入院患者は現在、食費や部屋代については一部負担となっているが、70歳以上は今年10月から、65〜69歳は平成20年度から全額負担に変わる。厚労省の試算では、相部屋の70歳以上の場合、一般的な自己負担額は患者窓口負担分を含めて現在は月6万4000円だが、食費と部屋代が全額自己負担化されることで月9万4000円となる。

窓口負担は限度額まで 高額療養費償還払い制度で厚労相

2006/03/07 The Sankei Shimbun

 川崎二郎厚生労働相は7日の参院予算委員会で、自己負担限度額を超える医療費をいったん病院で支払い、後から患者本人に超過分が返還される高額療養費償還払い制度について「医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額にとどめたい」と表明した。時期に関しては「市町村が事務処理体制の整理に要する期間を考慮し、2007年4月から実施したい」との方針を示した。

 小泉純一郎首相はNHK改革に関連して「受信料収入を基にした公共放送と、広告収入を基にした民放は、共存共栄、それなりの役割がある」と述べ、二元体制を維持すべきだとの認識を明らかにした。竹中平蔵総務相も「公共放送は重要で必要だ。二元体制を前提に、どう改革するか議論すべきだ」と同調した。

 国・地方財政の三位一体改革で、地方側が目指す2007年度以降の第2期改革について、首相は「まずは今回の三位一体改革の成果を一定期間見た上で判断すべき課題だ」として、早期着手に慎重な見解を示した。

 中馬弘毅行革担当相は、天下り規制を強化するなどの公務員制度改革法案に関して「できたら今国会にでも提出したい」と述べた。

 首相は、北朝鮮による拉致問題について「期限を区切って、ということではなく、粘り強く交渉していかなければならない」と指摘した。

 自民党の片山虎之助、公明党の木庭健太郎の各氏への答弁。

診療報酬4億8000万円不正受給 病院と元院長を告発

2006/02/18 The Sankei Shimbun

 群馬県と群馬社会保険事務局が、勤務していない医師が働いているように見せかけて診療報酬約4億8000万円を不正に受給したとして、詐欺容疑で同県太田市の三峰病院(現在は廃院)と元理事長を県警に告発していたことが18日、分かった。

 県国保援護課によると、同病院は1995年4月から99年12月にかけ、既に退職した医師の名前を非常勤医師として名簿に記載。医療法の定める医師数を満たしているように見せかけ、健康保険組合などから入院時医学管理料などを不正受給していた。

 99年11月の県の医療監視がきっかけで不正が発覚。県は翌2000年3月に保険医療機関の指定を取り消し、不正受給額を返還するよう命じたが、めどが立たないため告発に踏み切った。(共同)

在宅療養の支援を新設 06年度診療報酬改定

2006/02/15 The Sankei Shimbun

 中央社会保険医療協議会(中医協)は15日、2006年度の診療報酬改定案を公表した。昨年の政府、与党の医療制度改革大綱に沿って在宅医療を推進するため、在宅療養支援の制度を新設した。診療報酬全体は昨年末の予算編成で3.16%引き下げられたが、改定案では救急医療や小児医療など、改革大綱が重視した分野は引き上げた。

 同日中に川崎二郎厚生労働相に改定案を答申、一部を除き4月1日から実施される。改定はほぼ2年ごとに行われ、前回は04年度。

 改定案では、病院(ベッド数20床以上)と医院など診療所(20床未満)の初、再診料の格差を是正。初診料は、現在病院2550円、診療所2740円を2700円に統一した。病院を引き上げることで、患者が診療所に向かうよう促し、病院と診療所の役割分担を明確にする。

 新設される在宅療養支援診療所は、他の医療機関との連携も含め24時間の往診と看護を担当。在宅患者の診療費を高く設定するほか、夜間などの緊急往診や在宅ターミナルケアについては報酬を上乗せした。

 医師や医療拠点の不足が指摘される小児科については、入院の報酬を引き上げるほか、救急の深夜加算も増額した。

 先発医薬品に比べ価格の安い後発薬の使用を促進。患者の視点を重視し、治療費の内容が分かる領収書を無料で発行することを義務付けた。ただ、一部委員が患者の要望として求めた診療報酬明細書(レセプト)並みに詳細な記載の義務付けは見送られた。医療の必要性の低い慢性期患者の入院費など、改革大綱で抑制方針が示された分野は引き下げた。

 04年に発覚した中医協を舞台とした汚職事件後初めての改定となる。昨年の中医協改革を受け、今回初めてパブリックコメント(意見公募)を実施した。

 診療報酬の引き上げは、患者の窓口での支払い増につながり、引き下げは支払い減になる。

 <診療報酬> 治療や入院、調剤などの医療行為に対し、公的医療保険から医療機関や調剤薬局などに支払われる公定価格。ほぼ2年ごとに改定される。2006年度予算編成で、医師の技術料などに当たる本体部分が1.36%、薬価が医療材料を含め1.8%、合計3.16%の引き下げが決まった。この枠内で、中央社会保険医療協議会(中医協)が、個別診療行為の点数(1点は10円)を定める。(共同)

≪診療報酬改定案の骨子≫

 一、在宅医療の要件を整えた「在宅療養支援診療所」を新設

 一、初診料は病院を引き上げ、診療所は引き下げで統一、再診料の格差も是正

 一、小児医療の入院報酬を引き上げ、救急の深夜加算も増額

 一、医療の必要性が低い慢性期入院患者は引き下げ

 一、後発医薬品の使用を促進

 一、治療費の内容が分かる領収書の無料発行の義務付け (共同)

医療費負担、「70歳以上」より現役世代で重さ実感

2006年02月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 働き盛りの現役世代の4人のうち3人は、医療費の負担を「重い」と感じていることが、読売新聞社が実施した医療に関する全国世論調査(面接方式)でわかった。

 負担を感じている人は、70歳以上では5割強にとどまっており、高齢者世代との違いも目立った。

 調査は1月21、22の両日に行った。それによると、保険料や医療費自己負担を「重いと思う」人は、全体では計70%、「そうは思わない」は計28%。年代別に見ると、30〜60歳では、各年代とも7割超が「重い」と答えた。特に30歳代は76%、40歳代は75%と、働き盛りの人の多くが負担を重圧に感じていた。これに対し、70歳以上は54%と、20ポイント以上も少なかった。

 現行の医療費自己負担は、30、40歳代を含む現役世代3割、70歳以上の高齢者は原則1割。一方、実際にかかった国民1人当たりの医療費は、65歳未満約15万円に対し、65歳以上約65万円(いずれも厚生労働省の国民医療費概況=2003年度)となっている。高齢世代ほど実際に使った医療費が多いのにもかかわらず、自己負担率が低いことに加え、30、40歳代は、住宅ローンの返済や子育て・教育費の負担も重いケースが多いことから、負担感が強いと見られる。

同じ手術なのに 入院日数に差、最大7.6倍/医療費は3.9倍に 21病院調査

平成18(2006)年01月07日 The Sankei Shimbun

 肺がんや白内障など同じ病気で入院しても病院によって入院日数や医療費に大きな開きのあることが「病院可視化ネットワーク」(代表・東京医科歯科大学大学院の川渕孝一教授)の加盟二十一病院のデータ分析で分かった。化学療法による肺がん治療の場合、入院日数で七倍以上、医療費で四倍近い差があった。また、入院後、病院の努力で防げたはずの院内感染や床ずれなどにかかる患者が二十五人に一人の割合と高く、発症の有無で一人当たりの医療費に三倍近い差があった。(飯塚隆志)

                  ◆◇◆

 調査対象は、全国の国立大学病院など同ネットに加盟する主要医療機関二十一病院。平成十六年度中に計約五万八千人の患者が入院しており、これらすべてのデータを分析した。白内障などの個別手術の分析は八大学病院を対象に行われた。

 白内障の場合、患者の平均入院日数が一番短い病院で三・六日なのに対し、最長は一二・五日と三・五倍の差が開いた。一人平均の医療費でみると、最短の病院の場合が二十六万円だったのに対し、最長の病院は三十九万円と一・五倍の差があった。

 入院日数に差が開く最大の原因は、目の検査や画像診断を入院前に済ますかどうかだった。同ネットワーク代表の川渕教授が入院日数の長い病院に調査結果を伝えた際、病院長は「病院経営上、空いたベッドは埋めざるを得ない側面がある」という話をしており、外来で済む患者をあえて入院させている実態も明らかになった。

 また、化学療法だけによる肺がんの場合、入院日数に七・六倍の差が出た。化学療法は治療行為自体に日数はかからないが、長期間にわたる複数回の治療が必要となる。このため、入院日数の短い病院では平均一〇・四日で済んでいたのに対し、複数回の治療期間中ほとんど入院させていたとみられる最長の病院では平均で七九・四日となっていた。

 このほか、病院の施設管理が問題となる院内感染や同じ体位での寝かせすぎが原因となる褥瘡(じょくそう)(床ずれ)、手術の不具合が要因の一つとなる縫合不全出血など「医療側の質の向上によって未然に防げたはず」の計二十傷病について分析した。

 全入院患者のうち二十五人に一人にあたる4・3%がこの二十傷病を発症し、発症した患者の入院日数は平均三八・一日と、発症しなかった患者(平均一五・八日)の倍以上だった。一日当たりの入院単価も四万五千円から五万三千円に上がり、総医療費は発症なしの七十二万円に対し、発症ありが二百四万円と三倍近い差が開いた。

 データを分析した医療コンサルタント会社「アイブレイン」の今西陽一郎社長は、「入院中に発症した傷病が付け加わることで、本来の傷病だけの場合に比べて入院単価が増加したり、不要だったはずの手術が必要となったりする」としている。

 同ネットワークでは八日午後に都内で開くワークショップでこれらの調査結果を発表する。

 川渕孝一教授(医療経済学)の話「日本の診療報酬制度の問題は、努力した医療機関に見返りがないどころか、収入が減る点にある。入院日数はただ短くすればいいというものではないが、短くした方が患者にとってもいいケースはたくさんある。医療機関が患者のために努力する動機付けを働かせる仕組みが必要だ」

国保「停止」の11人死亡 保険料払えず受診遅れ

2005/12/29 中国新聞ニュース

 国民健康保険(国保)の保険料を滞納して保険証を返還し、医療機関の受診の遅れから病状が悪化、死亡したとみられる患者が過去六年に少なくとも十一人いたことが二十八日、共同通信の調べで分かった。

 患者のほとんどは不況の影響などによる低所得者という。滞納世帯は年々増加し、保険証を返還した世帯は昨年六月時点で約百三十万世帯。誰でも安心して医療が受けられるはずの国民皆保険制度の中で「格差社会」の一端を示した形だ。

 保険証を返還すると、自治体は代わりに「被保険者資格証明書」や「短期保険証」を交付。資格証明書では、窓口で医療費をいったん全額支払うため患者の負担は重い。後で給付を受けられるが、滞納分を差し引かれる場合もある。長期滞納者には二○○○年に資格証明書の交付が義務付けられ、医療機関離れを招くと指摘される。

 今回は、二○○○年以降のケースについて、民主医療機関連合会(民医連)などを通じ調べた。

 それによると、松江市の病院では資格証明書の患者三人が死亡。うち、今年二月に直腸がんで死亡した四十代の女性は○二年ごろから嘔吐(おうと)や腹痛を繰り返し、○三年半ば以降は症状がひどくなったが、市販の痛み止めで紛らせていた。自営業が振るわず保険料を滞納、○三年に資格証明書を交付されていたという。

 名古屋市の病院で今年一月に大腸がんで死亡した五十代の男性も、救急搬送される約五カ月前から痛みを我慢し、受診時には手遅れの状態だった。同様に、札幌市では五十代の男性二人、千葉、岐阜両市で各一人の死亡が判明した。

 短期保険証は、通常の保険給付を受けられるが、数カ月ごとに更新が必要。甲状腺疾患と糖尿病を患った北九州市の三十代の女性は期限が切れた後に治療が中断したとみられ、○一年に容体が悪化、死亡した。体調が悪くアルバイトも思うようにできなかったという。

 沖縄県豊見城市の病院でも、短期保険証が期限切れとなった那覇市の四十代の男性が糖尿病の治療を受けられず、○二年に死亡。松江市では、短期保険証の交付の際に滞納分の一部の支払いを求められ、用意に約四カ月かかった六十代の男性が、肝臓がんの治療が手遅れとなり○三年に死亡した。

 ▽「娘の学費に」「生活苦で」命落とす低所得層

 一人娘の学費を優先し、がん治療が手遅れになった父親。「体がつらい。病院にかかれない」と書き残した糖尿病の女性もいた。ぎりぎりの暮らしの中、国民健康保険(国保)の保険料が支払えずに命を落としたといえる人にとって「医療」は遠く手の届かないものだった。

 二○○一年十一月、脇腹を押さえた五十代の男性が妻に抱えられ、札幌市内の病院を訪れた。末期の胃がん。緊急入院したが、全身に転移していて手遅れで、約二カ月後に亡くなった。

 男性はその八年前に勤務先の建築会社が倒産、入院前日までトラック運転手の仕事を続けた。月収は手取りで約二十万円。親子三人の生活費と一人娘の高校の授業料を払うのが精いっぱい。月二万円以上の保険料は払えず、一九九八年ごろから被保険者資格証明書の交付を受けていた。

 資格証明書で病院に行けば保険が利かず、医療費はいったん全額自己負担。男性は「数カ月前から腹が痛かったが我慢した」と話したという。

 甲状腺疾患と糖尿病の持病があった北九州市の三十代の女性は○一年四月、衰弱死した。

 女性は前年二月、保険料を三千円だけ納め、二カ月間有効の短期保険証をもらった。滞納分を月々分納すると誓約書も書いたが、体調が悪くて働けず、保険料が払えないまま保険証は期限切れに。自宅で動けなくなり、救急車で運ばれた三日後に息を引き取った。

 女性の死後、自宅から手紙が見つかった。「つらい。病院にも行けない。何でうまくいかんのやろう」。手書きで苦しさがつづられていた。

 北九州市は「保険証更新のため、自宅を何度も訪問したが本人に会えなかった」と説明する。

 女性の友人杉本巌さん(48)は「もっと密に連絡しなかったのが悔やまれる。本当に必要な人に保険証が届くようにしてほしい」と話している。

禁煙治療:来年4月から公的保険適用対象に 厚労省

2005年11月09日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 厚生労働省は9日の中央社会保険医療協議会小委員会で、現在全額自己負担となっている医師による禁煙指導について、来年4月から公的保険の適用対象とする方針を示した。

 生活習慣病を予防し、医療給付費を抑制する政策の一環。「禁煙外来」の保険適用で給付費は膨らむ見通しだが、同省は「喫煙による健康被害で1兆3000億円余計に医療費がかかっているという試算もあり、喫煙者が減れば中長期的には給付費が減る」と想定している。

初診料:来春値上げへ 大病院、紹介状なしは保険対象外

2005年11月09日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 厚生労働省は9日、06年度診療報酬改定で、病院(20床以上)より診療所(20床未満)に対し高く設定している初診料を一本化し、現行水準よりも引き上げる考えを中央社会保険医療協議会の小委員会に示した。病院の引き上げ幅を大きくし、外来患者を病院から診療所にシフトさせるのが狙い。診療報酬総額は引き下げる一方、メリハリをつける同省の改定方針に沿ったものだ。値上げ幅は今後詰めるが、実現すれば来年4月以降、診療内容によっては患者負担がアップする。

 病院は現在、初診料が2550円、再診料は580円なのに対し、診療所は初診料2740円、再診料730円と格差がある。病院が外来患者を診た場合の収入を低くし、患者を診療所に誘導する狙いがあった。しかし、患者が初診料の安い病院に集中するという、当初の想定とは逆の現象が生じていた。

 次期改定では初診、再診料とも、病院、診療所で一本化し、初診料は引き上げる一方、再診料は下げる。初診料のアップは、あらゆる疾病の可能性を考える必要があるなど、医師の負担が重い初診を重視する考えに基づいているが、患者の受診手控えによる医療費抑制も見込んでいる。

 また同省は、同じ日に同一病院内で複数の診療科にかかった場合、初診料負担は現在1科分だけだが、それぞれの診療科ごとに初診料を払う制度に改める方針を示した。

 このほか、大学病院などの大病院に紹介状を持たずに来た患者への初診料を保険対象外とする方針も提示した。大病院は保険外で初診料の上乗せ請求をできるが、実施が3分の1程度にとどまっているため。【吉田啓志】

25年度に国民所得の9% 厚労省、医療費抑制で

2005/10/10 The Sankei Shimbun

 尾辻秀久厚生労働相は9日、今後の医療費抑制について、2025年度の医療給付費を国民所得の9%程度に抑制する方向で、政府・与党内の調整に臨む方針を固め、事務当局に指示した。

 従来、特別の抑制策をとらなかった場合には国民所得の7%(04年度の予算ベース)から25年度には国民所得の11%に達すると推計されていたが、抑制に向け1歩踏み出す。

 今月示す医療制度改革の同省試案に、抑制のための中長期的対策として生活習慣病対策や入院日数の短縮など、短期的対策として高齢者の自己負担増や診療報酬の見直しなど―が盛り込まれる。

 厚労省は、こうした個別抑制策の積み上げで削減を進める方針だ。

 経済財政諮問会議の民間議員は、医療費を国内総生産(GDP)などと連動した数値目標で管理することを主張している。同会議の民間議員が求めている抑制目標はさらに厳しく、今後の調整が難航することも予想される。

 医療給付費は老人医療費を中心に急速な伸びが予想されている。今年6月の政府の「骨太の方針」を決定する際には、諮問会議の民間議員が経済指標による管理を要求したが、厚労省や与党側が強く反発し結論が出ず、年末までに抑制の「政策目標」を示すことになっていた。(共同)

18年度診療報酬改定 「本体5%減」軸 政府検討、物価下落を反映

平成17(2005)年10月09日 The Sankei Shimbun

 平成十八年度の診療報酬改定をめぐり、政府部内で薬価を除く医師の技術料にあたる「本体部分」だけで5%引き下げることを軸に検討が進んでいることが明らかになった。高齢化などで医療費の大幅な増大が確実ななか、医療費の単価である診療報酬を引き下げることで伸びを抑制するのがねらいだ。聖域とされてきた診療報酬の大幅なマイナス改定の可能性が高まっている。(福島徳)

 <財務省支持>

 「過去、物価、賃金がマイナスになっている。診療報酬(本体)の改定は二〇〇二(十四)年度以降行われていない。物価の動向が反映されるべきで、私どもの試算では具体的にはマイナス5%ぐらいになる」

 四日の経済財政諮問会議の席上、民間議員の吉川洋・東大大学院教授はこう指摘、薬価を除く、医師の技術料など診療報酬本体だけで5%のマイナス改定を迫った。

 診療報酬改定はほぼ二年に一度行われているが、本体部分のマイナス改定は、平成十四年度(マイナス1・3%)だけ。十六年度は参院選を控え、政治判断で据え置かれた。

 民間議員が根拠とするのは、過去の人事院勧告と消費者物価指数の推移だ。吉川氏ら民間議員によると、物価・賃金がマイナス傾向となった十一年度以降、人事院勧告、消費者物価指数ともマイナスが続き、それぞれ十年度を「100」とした場合、「92・4」、「97・2」でともに下落している一方、診療報酬本体は逆に「100・6」と微増していることを指摘した。

 同日の会議で谷垣禎一財務相も「十八年度は避けて通れない課題」と語るなど、予算編成にあたって財務省もこうした考え方を支持している。今回から診療報酬全体の改定率は政府が予算編成で決定することを明確にしたため、財政当局の方針は従来にも増して重い意味がある。

 <大ナタ確実>

 平成十六年度の医療給付費は予算ベースで二十六兆円だが、二十七年度には四十一兆円、三十七年度には五十九兆円に膨らむと試算される。財政当局は、増大する医療費を経済成長に見合った規模に抑えたい。

 もっとも、厚生労働省や日本医師会には異論がある。厚労省は「診療報酬を下げても人件費が減るわけではない」と指摘。消費者物価指数と比較する考え方にも「診療報酬は医療機関の費用全体を賄うという考え方のため、必ずしも各診療行為の原価を反映しない」と反論する。医師会も大幅引き下げには「われわれの医療がもたない」と反発している。

 今後、財務、厚労両省の折衝や与党との協議のなかでマイナス幅を“圧縮”する可能性もある。だが、小泉純一郎首相が「既得権益にとらわれない改革」を訴えた先の衆院選で圧勝したことから、長らく“聖域”とされてきた診療報酬の、とりわけ本体部分に大きく切り込んでくるのは確実といえそうだ。

                  ◇

 <診療報酬> 医療機関や薬局に支払う報酬の公定価格。医師の技術料である「本体部分」と薬価からなる。「初診料」「入院基本料」など医療行為ごとに点数が決められ1点10円で計算する。ほぼ2年に1度改定される。財務省によると、1%の改定で国庫負担への影響額は初年度で約700億円といい、5%引き下げれば3500億円程度の軽減につながる。

医療報酬:大幅引き下げ検討の政府に対抗姿勢 日医会長

2005年10月02日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 日本医師会(日医)の代議員会が2日、東京都内で開かれ、植松治雄会長は06年度診療報酬改定について、「財務省が考える『2〜5%引き下げ』というようなことでは、我々の医療は持たない」と述べ、財政再建の一環として診療報酬の大幅引き下げを検討している政府に対抗する姿勢を示した。近く、プラス改定を求める要望書を政府に提出することも表明した。

 また、来年4月に2年の任期が満了する植松会長は、2期目も続投する意思を表明。代議員から「正念場を迎え、来期続投を表明して強固な体制で対応すべきだ」との声が上がり、同会長が応えた。

42%が患者負担2割以下 医師、建設などの国保組合

2005/09/16 The Sankei Shimbun

 医師や弁護士、建設業などの同業者でつくる166の国民健康保険組合(国保組合)のうち、42%に当たる69組合が患者の医療費の自己負担を2割以下にしていることが16日、厚生労働省の調べで分かった。

 国保組合へは医療給付費の32%の国庫補助があり、さらに財政力に応じて1―20%が上乗せされる。2003年度は全組合で3241億円の補助金が支払われており、自己負担3割で原則国庫補助のないサラリーマンらが加入する健康保険組合などは不公平と批判、来年の医療制度改革で国庫補助を見直すべきだと主張している。

 前回の医療制度改正で、03年度から健保組合の本人負担も2割から3割に引き上げられ、すべての公的医療保険の自己負担は原則3割となった。ただ負担割合は最高限度を定めたもので、保険財政の健全性を損なう恐れがなければ、自己負担を下げることが可能で、これら69の国保組合は財政に余裕があるとみられる。

 国保組合は(1)医師、歯科医、薬剤師の92組合(69万人)(2)建設関係従事者の33組合(221万人)(3)弁護士や魚市場といった市場従事者など一般業種の41組合(113万人)―に分類される。03年度は81組合は赤字だったが、全体の収支は45億円の黒字。1世帯当たりの平均保険料は市町村が運営する国民健康保険の約1.5倍となっている。

 自己負担が2割以下の69組合は、2割が67組合、1割が2組合。1割のところは10月に2割と3割に引き上げる。

 8月に2割に引き上げたばかりの全国歯科医師国民健康保険組合は「自分の診療所で、本人や家族の治療をする際の材料費などは自己負担とするなど医療費を抑える努力をしている。他と同じ3割になったら努力を求めにくい」としている。

 <国民健康保険組合> 自営業者や退職者などが加入、市町村が運営する国民健康保険(市町村国保)とは別の、医師や建設業従事者ら職域ごとの保険組合。相互扶助の目的で任意に組織していた同一業種の組合が、1938年に成立した旧国民健康保険法で保険事業を行う国保組合として認められた。48年からは国保事業は市町村が運営することになったが、国保組合はそのまま残り、現在に至っている。

 医療給付費に対する補助金は市町村国保が原則50%、中小企業の従業員が加入する政府管掌健康保険も13%受けているが、患者の自己負担はいずれも3割となっている。 (共同)

政管健保、2年連続黒字 老人医療費への負担減少

2005/08/04 The Sankei Shimbun

 社会保険庁は3日、中小企業の従業員が加入する政府管掌健康保険(政管健保)の2004年度決算が2464億円の黒字になったと発表した。02年度の医療改革で、本人の窓口負担が03年度から3割に引き上げられたことによる受診抑制などの効果が続いているため。黒字は2年連続で、前年度の647億円の3.8倍になった。

 医療分は、02年度から老人保健制度の対象年齢が段階的に引き上げられ老人医療費が抑制されたことに伴い、同健保の負担も減少。加えて窓口負担増による受診抑制効果や診療報酬のマイナス改定の影響で、保険給付費の伸びが1.1%にとどまり、支出が2069億円減と大きく減り、全体の黒字幅拡大に貢献した。

 介護分は加入者が増加に転じたことで、保険料収入が22.8%増となり、57億円の赤字から2年ぶりに59億円の黒字に回復した。

 また、医療、雇用、年金部門を統合した船員保険は2年連続黒字で、黒字額は51億円。部門別では、年金部門だけが赤字だった。

 社保庁では、「予想以上の黒字幅だが、05年度以降は予断を許さない」と分析している。(共同)


診療報酬不正請求:63億3000万円 厚労省調べ

2004年12月17日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE
 厚生労働省は17日、昨年度の保険医療機関の指導・監査状況を発表した。診療報酬不正請求などで監査を受け、保険医療機関の指定を取り消された病院・診療所は、名義借りで医師らを水増しした7施設を含め計38施設(前年度比9施設増)で、保険医の登録取り消しは29人(同3人減)。不正に伴う返還請求額は計約63億3000万円(同21億円増)に上り、このうち名義借りによる返還請求は16億円(前年度は1億5000万円)だった。【玉木達也】

健康保険組合の解散急増、今年度すでに21件

2004/11/06 読売新聞 Yomiuri On-Line
 企業のサラリーマンらが加入する健康保険組合の2004年度の解散数が11月1日現在で21件に上っている。

 健保組合の解散は1990年代までは年間数件程度だったが、ここ数年で急増し、2002年度は37件、昨年度は36件に達した。

 高齢者医療費の増大による財政難が主たる原因で、今年度も増加傾向が続いている。

 健康保険組合連合会によると、健保組合は1日現在、全国に1590ある。1992年の1823をピークに、解散や合併などで年々減少している。

 解散の理由は、今年度の場合、組合の財政悪化が20件、設立母体の倒産が1件。最近は、母体の企業が存続していても、小規模の健保組合が財政難で解散する例が増えている。

 財政悪化は、高齢化による医療費の増大による老人保健制度への拠出金が増えた影響が大きい。拠出金が保険料収入に占める割合が40%以上の組合が今年度は全体の約4割に上った。

 厚生労働省は、健保組合の規模拡大に向け、地域規制を緩和しているが、組合の合併は母体企業の合併によるものがほとんど。健保連は「自主的な再編を進めるため、政府の誘導策が必要だ」と主張している。

混合診療、全面解禁へ…首相が年内結論を指示

2004/09/11 読売新聞 Yomiuri On-Line
 小泉首相は10日の経済財政諮問会議で、規制改革を担当する金子行政改革相らに対し、保険診療と保険外の自由診療を併用する混合診療について、「全面解禁する方向で年内に結論を出してほしい」と指示した。

 政府の規制改革・民間開放推進会議が今年度中の全面解禁を求めていることなどを踏まえたものだ。

 現在、混合診療の対象は、厚生労働相が承認する124か所の病院における77種類の高度先進医療に限られている。それ以外は、自由診療を一部でも受けると、すべての診療が保険の対象外として扱われ、患者が全額自己負担しなければならなくなる。

 混合診療の全面解禁について、患者からは「治療の選択肢が広がる」として、早期実施を求める声が出ている。だが、厚生労働省や日本医師会は「安全性が確立していない診療が増えかねない」と強く反対している。

「高度な医療」特区の株式会社参入基準まとまる 厚労省

2004/08/30 asahi.com
 構造改革特区で「自由診療」と「高度な医療」に限り認められた株式会社の病院経営参入をめぐり、厚生労働省は30日、「再生医療」など五つの分野について、求められる医師の配置などそれぞれの基準を公表した。9月13日まで関係者の意見を聞いたうえで、10月1日の施行日に向けて、関連する省令や告示をまとめる予定だ。

 高度な医療の5分野は、(1)特殊な放射性同位元素を用いる陽電子放射断層撮影(PET)による高度画像診断(2)脊髄(せきずい)損傷の患者に対する神経細胞の再生及び移植による再生医療(3)肺がん及び先天性免疫不全症候群の患者に対する遺伝子治療(4)高度な技術を用いる美容外科医療(5)提供精子による体外受精。

 いずれも専門的知識を備えた医師の常勤を条件とした。それぞれで必要な設備を示し、再生医療、遺伝子治療、体外受精の3分野については、倫理審査委員会の設置を求めている。

 特区の申請は、10月1日から。特区計画が認定されたあと、病院開設許可を都道府県知事に申請する必要がある。

 厚労省によると、参入についてはこれまでに複数の問い合わせがあるが、最終的な申請件数は不透明だ。一方、「細かい条件がつくと、実際の参入が見込めない」などとする声もあがっている。

レセプト誤り、最多の615万件 カード化で混乱?

2004/08/30 asahi.com
 医療機関が発行する診療報酬明細書(レセプト)の誤りが03年度は615万件にのぼり、現行基準になった97年度以降で最多だったことが30日、審査をする社会保険診療報酬支払基金の調べでわかった。前年度比9万件の増加で、レセプト全体に占める割合も0.782%と過去最多だった。

 本人と家族を間違える誤りが前年度比18万件増の70万件と大幅に増えたのが主な要因。03年度から一部の健康保険組合で被保険者証のカード化が始まったため、「従来と違い、家族が1枚ずつカードを所有するケースが増えていることが影響しているのではないか」と同基金は分析している。

 レセプトの誤りの発生を防ぐため、同基金は医療機関や保険者団体との懇談を増やすなどして働きかけを強める方針。

超高額医療、月額1000万円以上が101件

2004/06/18 The Sankei Shimbun
 大企業のサラリーマンらが加入する健康保険組合で、月額1000万円以上の超高額医療費がかかったケースが、2003年度は101件あったと、健康保険組合連合会が18日発表した。01年度の106件に次いで過去2番目に多く、前年度より20件増えた。このうち生体肝移植が11件、骨髄移植が6件あり、健保連は「移植治療の増加も、医療費の高額化につながっている」とみている。

 最も高額だったのは大動脈瘤(りゅう)の当時55歳の患者(死亡)で、月額2985万円。18日間の入院で、手術費用が2433万円と8割を占めた。一定額を超える医療費は公的医療保険で賄われるため、自己負担は約36万7000円だった。

 2番目は治療中の血友病患者で、月額2883万円。23日間の入院で注射費用が2852万円と医療費のほとんどを占めた。

 健保連は超高額の医療費がかかる症例について「新たに認可された高価な新薬や、専門的な病院で高度な治療を受けたケース」と分析している。

 健保連は医療費が高額になった場合、各組合に交付金を出している。一般疾病で月額100万円以上、特定疾病で40万円以上が対象で、03年度は約27万2000件と前年度より約2万件減った。人工透析機器の価格が下がり透析費用が低下したことなどが要因。

国民医療費、最高の31兆円 01年度、高齢化で再び増加

2003/07/28 中国新聞ニュース
 厚生労働省は二十八日、二〇〇一年度に病気やけがの治療のため全国の医療機関に支払われた医療費の総額(国民医療費)が過去最高の三十一兆三千二百三十四億円で、二〇〇〇年度より九千六百五十一億円、3・2%増加したと発表した。

 二〇〇〇年度は介護保険制度実施に伴い、訪問看護費などが医療費から介護保険に移行したため、国民医療費は一九五四年度の調査開始以来初めてマイナスとなったが、介護保険による引き下げ効果は一年しか持たず、国民医療費は再び増加に転じた。

 国民医療費は急速な高齢化を背景に膨張を続け、財政難にあえぐ健康保険組合や国民健康保険(市町村国保)の存立が危うくなっており、抜本的な医療制度改革が急務となっている。

 年齢別に見ると、七十歳以上の高齢者医療費は十一兆九千五百三十九億円で医療費全体の38・2%を占め、前年度より約六千六百億円、5・9%増えた。

 国民一人当たりの医療費は二十四万六千円で約七千円増。七十歳以上の高齢者は前年度より一万円増えて七十六万七千円。国民平均の約三倍の金額となっている。

 医療費の財源は、保険料が十六兆四千七百六十九億円で全体の52 ・6%を賄っている。国庫負担は七兆七千三百九十九億円(24・7%)、患者負担は四兆六千八百四十一億円(15・0%)。

 診療種類別では、一般診療医療費が二十四兆四千百三十三億円で 77・9%を占め、薬局調剤医療費は10・4%、歯科診療医療費は8・3%。一般診療費を病状別に分類すると、「循環器系疾患」が五兆四千六百九億円で最多。「がん」の二兆七千四百二億円が続いた。

赤字の健保組合、8割超に

2003年07月10日 The Sankei Shimbun
 健康保険組合連合会(東京、健保連)は10日、大企業のサラリーマンが加入する健康保険組合の2002年度決算見込みを発表。経常収支は過去最悪の4003億円の赤字、赤字組合の割合も80・6%と初めて8割を超えた。

 景気低迷による倒産、リストラの増加で組合や加入者数が減少し、保険料収入が落ち込んだのが最大の原因。さらに高齢者医療費などを賄う拠出金の増加が財政を悪化させた。

 健保連加入の1672組合(未報告の2組合を除く)の決算見込みを集計した。

 経常収支は、収入が前年度比1・9%減の5兆6796億円、支出は0・2%減の6兆799億円で、4003億円の赤字。過去最悪だった前年度の赤字幅より990億円拡大した。赤字の組合数は1347組合。

 収入は、報告があった組合数が前年度に比べ50組合減少。加入者数も1495万人で前年から23万人減った。このため保険料収入は前年度に比べ約1000億円減少した。

 支出は昨年4月、診療報酬がマイナス改定(薬価込みで2・7%引き下げ)された影響で、医療機関に支払う保険給付費は前年度に比べ740億円減少した。しかし、老人保健や退職者給付などへの拠出金が前年度から877億円増加。診療報酬の引き下げ効果を打ち消す形となった。

サラリーマン 医療費負担3割に

2003年04月01日 The Sankei Shimbun
 医療、年金などの社会保障関係の制度の多くも1日から変わる。キーワードは「負担増」と「給付削減」で、少子高齢化が進行し、国の財政が厳しさを増すなか、社会保障制度を維持するため、国民に一段の痛みを求めるものだ。

 サラリーマン本人が病院などで支払う医療費の自己負担割合は、2割から3割に引き上げられる。サラリーマンの家族は外来診療ですでに3割を負担しているが、今後は2割ですんでいた入院も3割となり、国民健康保険に加入する自営業者らと同じ負担割合になる。

 サラリーマンの医療保険料には「総報酬制」も適用される。年金、介護の保険料にも適用され、ボーナスを含む年収をベースに保険料を弾き出す制度だ。月々の保険料は若干減るが、ボーナスの天引き額が増えることになる。

 中小企業向けの政府管掌健康保険料も年収換算7・5%が8・2%(労使折半)にアップ。厚生年金の算定方法はこれまでの「月収の17・35%+ボーナスの1%」が、「月収+ボーナスの13・58%」(労使折半)になる。年収に占めるボーナスの割合が高い人ほど負担が増えるしくみだ。

 高齢者が受給する公的年金は、昨年の消費者物価下落分に応じて給付額が削減され、0・9%のダウンとなる。生活保護、福祉手当も0・9%削減される。

 一方、15年度税制改正のうち配当課税の軽減や登録免許税の軽減などが1日から実施される。ただ、相続税・贈与税の最高税率70%から50%への引き下げなど一部は1月1日にさかのぼって適用され、5月1日からは発泡酒やワインなどの増税が、7月1日からは、たばこの増税も予定されている。

75歳以上の新保険創設

2003年03月28日 The Sankei Shimbun
 政府は28日の閣議で、75歳以上を対象に新たな保険制度を創設することなどを盛り込んだ医療制度改革基本方針を決定した。2005年から必要な法律改正に着手、08年度までの実現を目指す。

 焦点となっていた高齢者医療制度は(1)75歳以上は公費、保険料、国民健康保険(国保)や組合管掌健康保険(組合健保)などからの財政支援で賄う独立保険に加入(2)65−74歳は国保など各医療保険に加入し、医療費負担の不均衡を各保険者間で調整−するとした。

 ただ高齢者が払う保険料や新制度の運営主体、財源確保策など具体的な内容は明示しておらず、問題解決の先送りとの批判も出そうだ。

 75歳以上の独立保険では、給付費の5割を公費で負担する。残りの5割は加入者自身が払う保険料と、現役世代の連帯保険料で賄う。サラリーマンの扶養家族でこれまで保険料を払っていなかった高齢者も、75歳になると保険料を徴収されることになる。

 全国に約5000ある保険運営主体の統合、再編では、自営業者らが加入する市町村国保は、市町村と都道府県が連携して県単位で運営。中小企業サラリーマンの政府管掌健康保険(政管健保)も県単位で運営し、大企業サラリーマンの組合健保は小規模組合の再編統合を進めるため、県単位の新たな地域型健保組織を設立する。

 複雑な診療報酬体系は分かりやすいように基準を明確化。医療技術の難易度や生活指導、医療機関の運営、施設に関するコストなどの評価を盛り込む。患者への情報提供も進める。

政府が医療改革の基本方針案

2003/03/24 読売新聞 Yomiuri On-Line
 政府・与党は24日、75歳以上を対象に新たな保険制度を創設することなどを盛り込んだ医療抜本改革の基本方針案をまとめた。2005年にも法改正に着手し、2008年度の実現を目指す。

 この日の与党実務者協議で合意したもので、28日に閣議決定する。新たな高齢者医療制度は、<1>75歳以上は、公費と保険料、国民健康保険(国保)や組合健保などからの財政支援によって賄う新たな制度に加入<2>65―74歳は国保など各医療保険に加入し、医療費負担の不均衡を各保険間で調整する――とした。現在の老人保健制度と退職者医療制度は廃止する。

 75歳以上の新制度では、給付費の5割を公費で負担する。残る5割は、高齢者が払う保険料と、64歳以下から高齢者支援のために徴収する「連帯保険料」で充当するが、負担割合は明記せず、今後の調整に委ねた。

 各医療保険の運営団体は、都道府県単位を軸に再編・統合する。市町村が運営する国保は、広域連合などを活用し、「都道府県と市町村が連携し、統合を計画的に推進する」とした。保険料徴収などの事務は引き続き市町村が実施する。中小企業のサラリーマンらが加入する全国一律の政府管掌健保は、都道府県単位で保険料率を設定するなどの仕組みを検討する。

医療保険 :75歳を対象に新制度創設 厚労省が骨格提示

2003年03月20日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 厚生労働省は20日、月内にまとめる医療保険制度の抜本改革のうち、焦点の高齢者医療制度の骨格を与党3党の実務者協議で示した。75歳以上の高齢者を対象にした新たな保険制度を創設することを明記。65〜74歳の高齢者については、同年代の加入者が多い国民健康保険に対し、被用者保険から財政支援する仕組みを作るとしている。政府は与党各党の了承を得たうえで、28日に「基本方針」を閣議決定したい考えだ。新制度に伴い、現行の老人保険制度と退職者医療制度は廃止する。

 75歳以上の高齢者の新保険は、公費と他の保険からの拠出金、加入者自身の保険料で財政運営を行なう。ただ、それぞれの割合については記述がなく、自民党からは「具体的に明らかにすべきだ」と強い不満が出ている。【三岡昭博】

17日以降に本格協議 医療制度改革

2003年03月14日 The Sankei Shimbun
 坂口力厚生労働相は14日の閣議後の記者会見で、政府、与党が3月中の取りまとめを予定している医療制度改革の基本方針について「来週あたりから本格的に与党内の折衝を行いたい。月末ぎりぎりまでかかるだろうが、今月中に決着させたい」と述べ、17日以降に政府、与党の協議を本格的に進める考えを示した。

 焦点となっている新たな高齢者医療制度について「75歳以上の高齢者の(医療費)問題が中心だが、65−74歳の問題も大事だ。そこをどうするかも決着させなければならない」と述べた。

 75歳以上を対象とする独立保険の創設を求めている自民党案を念頭に、74歳以下の医療費財源問題も合わせて検討すべきだとの認識を重ねて示した。

昨年度診療報酬の返還66億、目立つ悪質な不正

2002年12月21日 Yomiuri On-Line
 診療報酬の水増し請求や架空請求があったとして、昨年度に国が医療機関に返還を求めた額は約66億3000万円に上ることが19日、厚生労働省のまとめでわかった。返還金額は過去2番目に多い額で、前年度に比べて6億8000万円増えた。看護師数の水増しや二重請求など悪質な不正請求が目立った。

 不正請求の疑いで、国と都道府県が監査した医療機関は78施設で、医師、歯科医、薬剤師は139人だった。

 国は、特に悪質だった49施設の保険医療機関指定を取り消し、医師ら47人の保険医登録を取り消した。

3割の病院が赤字 全日病調査

2002年11月25日 The Sankei Shimbun
 全日本病院協会は25日までに、民間病院の約3割が赤字で経営が悪化しているとする調査結果をまとめた。同協会は「不況と診療報酬引き下げの影響が病院経営を圧迫している」として、厚生労働省に診療報酬の再改定を求めている。

 会員の個人病院や医療法人など500病院を無作為に抽出し、ことし5月の医業収支率(収入に対する支出の占める割合)などを調べた。回答率は47・6%。

 その結果、28%が医業収支率100%未満となり、実質赤字と判断された。特に大都市にある比較的規模の小さい病院の経営が苦しくなっているという。

 一病院当たりの収入をみると、前年同月と比べ、外来患者数が5・7%も減ったことなどから、医業収支率が2・7ポイント落ち込んだ。

 この調査結果に対し、健康保険組合連合会の下村健副会長は「1カ月だけの調査で収支が悪化したからといって、診療報酬を見直してくれというのはどうか。(医療費)支払い側としては納得できるものではない。通年のデータで判断したい」と反論している。

不況で外来患者3年ぶり減

2002年10月30日 The Sankei Shimbun
 病院を受診した外来患者数が昨年、3年ぶりに減少したことが30日、厚生労働省の「医療施設(動態)調査・病院報告概況」で分かった。同調査で外来患者が減ったのは、サラリーマンの自己負担が1割から2割に引き上げられた1997年と翌年に続き3回目。

 長引く不況や、2001年から実質導入された高齢者の医療費1割負担などの影響があるとみられる。

 昨年の1日平均外来患者数は180万133人で前年より0・6%減少。病院の種類別では一般病院が0・7%減だったが、精神病院では3・7%増え、伸びが目立った。

 一方、病院に勤務する医師と看護師の数はともに増えた。医師は16万9769人で、前年比で1・4%増。病院100床当たりでは10・3人と医師過剰が進んだ。看護師は53万6121人で前年より2・2%増加。100床当たりでは、32・6人だった。准看護師も含めると、総数は75万6278人に上った。

 都道府県別で、100床当たりの医師が多いのは東京(16・5人)、神奈川(13・0人)、滋賀(12・3人)。少ないのは鹿児島(7・4人)、北海道(7・5人)、福島(7・6人)などが目立った。

 看護師は滋賀(44・2人)、山形(41・0人)が多く、高知(25・9人)、鹿児島(26・3人)が少なかった。

1カ月以上、医師不在 西日本入管センター診療所

2002年08月08日 The Sankei Shimbun
 大阪府茨木市の法務省西日本入国管理センターの診療所が、医療法で義務付けられた管理者の医師がいないにもかかわらず、1カ月以上、違法状態で診療を続けていることが8日、分かった。厚生労働省近畿厚生局は同日までに、是正を指導した。  同センターによると、診療所管理者の常勤医師が6月30日に退職。7月以降は後任を置かず、民間の医師の派遣を受けたり、必要に応じて、収容者には外部の医療機関で診療を受けさせたりしてきた。

 難民支援団体によると、トルコ国籍のクルド人男性が高血圧の症状を訴えているにもかかわらず、医師の診療を十分受けられないなど、常勤医師がいないことで支障が生じているという。

 近畿厚生局は「往診には問題はないが、診療所で診察しているなら管理者を定めてほしい」と指摘。入国管理センターの石田正信次長は「医師がいないことは好ましくない。厚生局と相談し、早急に手続きしたい」と話している。

 医療法によると、管理者がいない場合、診療所での診療はできず、同法施行令は、管理者の変更があった場合には、10日以内に近畿厚生局に届け出ることを定めている。

[医療制度改革]「負担増に見合う抜本見直し急げ」

2002年07月27日<7月28日付読売社説(1)>Yomiuri On-Line
 これはゴールではない。あくまでスタートラインに着いたに過ぎない。

 サラリーマンの医療費自己負担を三割に引き上げることなどを盛り込んだ、医療制度改革関連法が成立した。

 自己負担や保険料の引き上げに伴う新たな国民負担増は年間一兆五千億円に上る。国民の不満は強い。しかも、危機的な医療保険財政を五年程度延命させる効果しかないとあっては、なおさらだ。

 国民の理解を得るには、法律の付則に示された抜本改革のメニューを確実に実施し、効率的で質の高い医療の実現を急ぐことが、何よりも求められている。

 喫緊の課題は、保険財政の最大の圧迫要因である高齢者医療の改革だ。七十歳以上の高齢者の医療費は十一兆円と医療費全体の三分の一を占める。高齢化の進む二〇二五年には四十兆円を超え、医療費全体の六割を占める見通しだ。

 年をとると病気になりやすい。医療費がかさむのは当然とはいえ、過剰診療や長過ぎる入院など無駄な医療も多い。

 医療機関に通う回数も、日本は欧米に比べ三倍近く多い。とりわけ高齢者にその傾向が強い。必要な医療が抑制されてはならないが、無駄な医療は徹底的に排除すべきだ。

 そのためには治療回数や薬の量が多いほど診療報酬も増える「出来高払い」を減らし、病気の種類ごとに医療費を決める「包括払い」を拡大する必要がある。医療の無駄の構造に、大胆に切り込まない限り、抜本改革はできない。

 競争原理の導入も欠かせない。カルテや治療実績などの医療情報は原則として開示すべきだ。優れた医療機関が患者に選ばれ、劣るところは淘汰(とうた)される仕組みができれば、医療の質も向上する。

 膨れ上がる高齢者医療費をだれが、どれだけ負担するかも大きな問題だ。

 現在は現役世代からの拠出金で賄っているが、急激な少子高齢化の進展で制度の維持は難しくなってきた。かといって安易な公費の投入もできない。

 抜本改革のメニューには、新たな高齢者医療制度の創設が掲げられている。公費や現役世代からの支援は当然だが、所得や資産がある高齢者には現役並みの負担を求めることもやむを得ない。

 社会保障制度の基本は、現役世代が高齢者を支える「世代間扶養」である。だが、これからは高齢者が高齢者を支える「世代内扶養」の視点を取り入れない限り、持続可能な制度は望めない。

 負担増を国民に強いるのである。小泉首相は強力なリーダーシップを発揮し、抜本改革の断行に邁進(まいしん)すべきだ。

政管健保から拠出取りやめ 社会保険病院統廃合

2002年07月24日 The Sankei Shimbun
 自民党は24日、医療制度の抜本改革の一環として、政府管掌健康保険(政管健保)の保険料で設置されている社会保険病院の施設整備費を絞り込み、保険料からの拠出を原則として認めない方向で検討を始めた。

 民間病院と競合し、財政悪化の要因と指摘される社会保険病院の経営合理化を図り、厚生労働省が2003年度予算の概算要求に向け進めている同病院の統廃合計画を促進する狙いがある。

 24日の自民党医療基本問題調査会で、社会保険庁改革を担当するワーキンググループがこうした方針を説明。

 同調査会長の丹羽雄哉元厚相も「今まで保険料で病院をつくったりしてきたが、そんな余裕はない。(保険料の使途は)本来の目的に絞るべきだ」との考えを示した。

 社会保険病院は、中小企業のサラリーマンらが加入する政管健保の保険料で国(社会保険庁)が全国54カ所に設置。02年度予算では施設整備費などとして計234億円が組み入れられている。

 厚労省は、国会で審議中の医療制度改革関連法案にも盛り込まれているため、社会保険病院の民間への売却を含め統廃合計画の立案作業を急いでいる。施設整備費は減額傾向にあるが、保険料からの拠出がなくなれば行き詰まり、統廃合の流れが強まるのは確実。

 同調査会ではこのほか、新たな高齢者医療制度創設や診療報酬体系見直しを担当するワーキンググループが検討状況を説明。年末までに基本方針を策定することを確認した。

健保法改正案が可決

2002年06月14日 The Sankei Shimbun
 来年4月からサラリーマンらの医療費の自己負担率を2割から3割に引き上げる健康保険法改正案など医療制度改革関連法案は14日午前、衆院厚生労働委員会で自民、公明、保守の与党3党の賛成で可決された。情報公開請求者リスト作成に関する防衛庁の調査報告書問題をめぐり審議拒否方針を決めた野党側は委員会を欠席した。

診療報酬700万を架空請求 徳島のリハビリ病院

2002年06月12日 The Sankei Shimbun
 徳島社会保険事務局は12日、徳島市の徳島リハビリテーション病院(斎藤勝彦院長)が2000年6月から1年間で、診療報酬を架空請求し計約710万円を不正受給したとして、同病院の保険医療機関の指定と斎藤院長の保険医登録を取り消すと発表した。期間は7月1日から5年間。

長期入院:平均期間は1・9年 日本医師会が調査

2002年05月21日Mainichi INTERACTIVE
 日本医師会は21日、長期の入院に対応する療養病床の運営実態調査の結果を発表した。平均入院期間は1・9年(1年11カ月弱)、「6カ月以上」が全体の64・9%を占めた。医療保険が適用される療養病床に6カ月以上入院している患者は今春の診療報酬改定により、今年10月以降に入院基本料の自己負担増が迫られる。このため、医師会では、医療保険適用から介護保険適用の療養病床への移行が増えると分析。介護保険適用療養病床の整備促進が急務だと指摘している。

 調査は昨年10月、全国33病院を通じて実施。医療保険適用の療養病床については9月に入院した1929人を調査した。退院の可能性については、36・2%が「受け入れ態勢があれば、現時点でも退院可能」と回答し、入院治療の必要性が低い、いわゆる社会的入院の実態を裏付けた。

69歳以下で年間医療費4千円増…医療制度改革で試算

2002年05月08日 Yomiuri On-Line
 サラリーマンの医療費自己負担を3割に引き上げることなどを柱とした医療制度改革関連法案が成立した場合、1人当たりの医療費自己負担額は現行制度と比べ、平均で69歳以下は年間約4000円、70歳以上は同8000円増えることが8日、厚生労働省の試算で明らかになった。主に60歳代のサラリーマンや公務員OBが加入する退職者医療制度に限れば、年約1万円増になることも分かった。


29万人が国保から退職者医療制度にくら替え

2001.02.24(03:16)asahi.com
 会社や役所を退職して市町村の国民健康保険(国保)に加入した人が、「退職者医療制度」の適用を申請すれば自己負担が医療費の2割で済む。それを知らずに3割負担の一般加入のままだった人らが1999年度以降、全国で少なくとも約29万人見つかり、厚生労働省の指導で退職者制度に移っていた。会計検査院から制度の不徹底を指摘され、厚労省が市町村に対象者の掘り起こしを指示したためだ。恩恵を受け損なう人が大勢出るほど、医療保険制度が複雑になりすぎているといえそうだ。

 84年に始まった退職者制度は、国保に移った退職者が所属していた健保組合や中小企業の政府管掌健康保険、公務員の共済組合などから拠出金を集め、年金生活を始めた退職者の患者負担を軽くする仕組み。医者にかかりやすくなる退職者の費用負担を自営業者ら国保の一般加入者に押しつけない狙いもある。だが、広く知られていないうえ、制度が複雑で市町村も対象者を十分把握できなかった。

 国保の一般加入者は保険給付の半分が国庫負担となるため、会計検査院は96年、国庫負担を減らすことも狙って、健保組合などの拠出金に支えられる退職者制度への移し替えを求めた。

 昨年1月までに54万人の潜在的な対象者が見つかり、うち29万人が市町村から連絡を受けて退職者制度に移る手続きをした。残る25万人は「再就職した人や、返事のない人もいて、実態はよくわからない」(厚労省)という。

 加入者が急増した退職者制度は昨年度から財政状況が悪化し、今年度は医療費を支払うために1000億円を超す過去最高の借り入れとなる見通しだ。この借入金は2年後に、健保組合などに全額請求される仕組みになっている。健保組合は別の老人医療制度に対する拠出金の負担などが重荷となり、2002年度には積立金が底をつくなど解散寸前となる組合が全体の2割に達する見込みだけに、重いつけ回しとなりそうだ。

 退職者制度の加入者は昨年11月時点で約512万人、99年度の医療費の支払いは約1兆1800億円にのぼる。厚労省は「今年度予算は加入者急増の傾向がわかる前に組み、うまく見込めなかったのは事実だが、本来の制度に移ってもらったわけで問題はない」としている。だが、健康保険組合連合会は「市町村の窓口にすら制度が周知徹底されていなかったツケが、2年後にどんと回ってくる」と当惑を隠さない。

 <西村周三・京大教授(医療経済学)の話> 国が行き当たりばったりで医療保険制度を改めてきた象徴のような事例だ。制度が複雑すぎて、専門家でさえわかりにくい。健保組合など保険財政がどこも赤字の今こそ、国民にわかりやすい制度へ抜本的に改革する必要がある。

       ◇

 <退職者医療制度> 会社や役所を退職して国民健康保険に入り、厚生年金や共済年金を受けている人とその家族が対象。年金に20年(または40歳以降で10年)以上の加入が条件。年金証書を受け取って2週間以内に市町村に届け出る。医療費の自己負担は2割(家族の通院は3割)。70歳になると原則1割負担の老人医療制度に移る。

国保の医療費「使い過ぎ」、130市町村に改善計画指示

2001.01.31(22:33)asahi.com
 国民健康保険の医療費が全国水準より著しく高い130の市町村に対し、厚生労働省は31日、法に基づく指定をしたうえ、保険運営の安定化のために改善計画を作るよう求めていくことを決めた。毎年1回、基準に照らして改善を求める指定自治体が決まるが、「保険の使い過ぎ」を指摘される自治体の数は毎年微増しており、現行の指定要件になってからの6年間では今回が最多となった。

 市町村が指定を受けるのは、国保加入者1人あたりの医療費が、年齢構成のばらつきなどを加味して全国平均値と比べたとき、14%以上高い場合。指定されると、医療費が高い理由を分析したうえで、訪問看護を充実させて社会的入院を減らしたり、過剰診療を防ぐための点検を強化したりするなど、具体策を盛り込んだ「安定化計画」を作らなければならない。効果が上がらない場合は、自治体の財源で保険財政の一部を負担するなどのペナルティーもある。

 今年度指定された130の市町村の大半は、北海道と四国、九州に集中。このうち30の自治体は、当初から14回連続で指定されている。

医療定額払いの導入に「前向き」 自民・橋本派

2001.01.10(03:16)asahi.com
 自民党橋本派(橋本龍太郎会長)が今夏の参院選に向けて党の公約と並んでまとめる政策の柱のうち、社会保障政策に関する論点整理の内容が9日、明らかになった。医療保険制度の改革では、医療費の抑制効果があるとされる定額払い制度について「導入が適当な分野には積極的に導入する」とした。雇用保険制度では、財源の充実を唱える一方、「失業中の生活の安定から再就職の促進に重点を移す」という方向性を打ち出した。

 論点整理では、「定額払い」の積極導入を掲げる一方、現行の医療費支払い制度の大半を占める「出来高払い」については「堅持する」としている。適用範囲が拡大されつつある定額払い制度をさらに多くの医療分野で導入する考えを示したものだ。

 高齢者医療では、定額制だった医療費負担を1割負担の定率制に改める制度が今月から実施されていることにも触れた。論点整理では、低所得の高齢者への配慮を示したうえで、「最低1割以上の定率負担を老人医療制度にも導入する」として、定率制の導入を支持する考えを打ち出している。

 公的年金については議論がまとまらず、現行の国民、厚生年金という「2階建て」を維持する考えと、給付額が運用成果で変わる「確定拠出型年金」に切り替えるべきだ、という2つの考えが併記されている。


医療保険制度改正案が成立 高齢者に負担求める

2000.11.30(23:45)asahi.com
 高齢者らの患者負担増を柱とする健康保険法や医療法など医療保険制度改正関連法が30日夕、参院本会議で採決され、与党の自民、公明、保守党などの賛成多数で可決、成立した。2001年1月から実施される。制度改正は、70歳以上の診療窓口負担を1日530円の定額制から医療費の1割の定率制に改めるほか、69歳以下の患者負担も高所得者を中心に引き上げる。ただ、赤字にあえぐ医療保険財政を立て直すには遠く、先延ばしにされている高齢者医療制度など「医療保険制度の抜本改革」を求める声が一層強まりそうだ。

 法案には民主、社民党が「医療保険の抜本改革のない負担増は認められない」と反対、共産党も「負担増」だとして反対した。抜本改革については参院国民福祉委員会で「新たな高齢者医療制度などの創設は2002年度に必ず実施すること」などとする付帯決議が採択された。この法案は先の通常国会で廃案となり、再提出されていた。

健保組合、21%が「2年後解散も」 財政危機深刻に

2000.11.27(23:12)asahi.com
 サラリーマンが加入する健康保険組合の約2割にあたる340組合が、2002年度には解散の危機に陥る――健保組合が来年度予算の編成時期を前に危機的な財政状況に陥っている実態が27日、健康保険組合連合会(1761組合)がまとめたアンケートで明らかになった。高齢者の医療費が増え続け、それを支える老人保健拠出金の負担が重くのしかかっているためだ。健保連は30日の全国大会で、「このままでは医療保険制度全体が崩壊する」として、国に高齢者医療制度の抜本改革などを求める方針だ。

 健保連によると、貯金にあたる別途積立金を使い果たしたため、解散しても当面の支払いができるようにする法定準備金(保険給付費と拠出金の3カ月分)を取り崩す予定の組合が218ある。このうち、来年度予算で準備金もすべて使い、破たん状態に陥るのが102組合(今年度は13組合)にのぼった。

 「2002年度以降、組合方式を維持するか否かを視野に入れざるを得ないか」という設問に「はい」と答え、自主解散を考える組合が、回答した1585組合の21%にあたる340組合もあった。健保組合が解散すると、中小企業主体の政府管掌健康保険に加入する。健保組合のように独自に保険料負担を抑えたり、保養所などの給付をしたりできなくなる。

 健保連は「解散する健保組合はここ数年の10前後にとどまらない。10年後には健保組合がなくなる事態もある」(下村健副会長)と危機感を深めている。

 拠出金は1999年度で、保険料収入の40%。今年度予算では介護保険制度が始まり、医療保険の一部が移ったために39%に落ちたが、来年度は41%と再び上昇すると健保連は見込んでいる。

 問題点(複数回答)としては、83%の組合が「これ以上の拠出金負担には応じられない」、44%が「(労使の了解が得られないなどで)保険料率引き上げは困難」と答えた。

 財政悪化対策では「医療機関から請求される診療報酬明細書(レセプト)点検の強化」(59%)や「医療費削減に向けた(人間ドック補助など)保健事業の充実」(39%)をあげた組合が目立ったが、一方で財政に余裕がなくなって「保健事業の縮小」(33%)や「付加給付の廃止」(38%)をあげた組合もあった。財政窮迫で健保組合の独自性という利点が失われつつある実態が浮き彫りになった。

医療保険制度改正関連法案、参院で審議入り

2000.11.06(21:43)asahi.com
 70歳以上の患者が病院で支払う医療費自己負担を1割の定率制に改めることを柱とする健康保険法など医療保険制度改正関連法案は6日、参院で審議入りした。本会議での質疑で、野党側が、医療保険制度の抜本改革が置き去りにされているなどと指摘したのに対して、森喜朗首相は「今回の改正が抜本改革に向けた第一歩」と答弁した。法案は参院国民福祉委員会に付託され、今国会中に可決、成立する見通しだ。

 森首相は抜本改革について「今回の法案は医療保険制度の安定が目的。残された高齢者医療制度の見直しについては、2002年度をめどに改革を進めていきたい」と答弁した。松崎俊久氏(民主)、緒方靖夫氏(共産)、清水澄子氏(社民)の質問に答えた。

医療保険制度改正関連法案、警察法改正案が衆院通過

2000.11.02(18:53)asahi.com
 老人医療費の自己負担を定額制から1割の定率制に改めることを柱とする健康保険法など医療保険制度改正関連法案と、一連の警察不祥事を受けて国や都道府県の公安委員会の監察機能を強化した警察法改正案は2日の衆院本会議で、自民、公明、保守の与党3党などの賛成多数で原案通り可決され、参院に送られた。民主、共産、社民の野党3党はいずれも反対、自由党は警察法改正案には賛成した。

医療保険改正案が衆院委で可決 会期中に成立の見通し

2000.11.01(19:51) asahi.com
 70歳以上の患者が病院の窓口で払う医療費の自己負担を定額制から1割の定率制に改めることなどを柱とする健康保険法など医療保険制度改正関連法案が1日夕、衆院厚生委員会で採決され、自民、公明、保守の与党3党と21世紀クラブの賛成多数で可決された。民主、共産などの野党は「医療保険制度の抜本改革なき負担増だ」などと反対した。改正案は2日の衆院本会議で可決され、参院での審議をへて12月1日までの会期中に成立する見通しが強まった。全体に患者の負担増になる法改正は、成立すれば来年1月に施行される。

 法改正により、70歳以上については現在の1日530円の定額制(5回目から無料)が薬代も含め、かかった費用の1割を負担する定率制になる。負担が重くなりすぎないよう、月額の上限は大病院なら5000円、中小の病院だと3000円とする。診療所の場合は1日800円(5回目から無料)の定額制を選ぶこともできる。定率制は上限を引き上げれば負担を増やしやすく、将来の高齢者の負担増に道を開いたともいえる。

 69歳以下も「高額療養費」制度の改正で、負担が増える。これまで患者負担の上限は月に6万3600円で、超えた分は医療保険から償還払いされているが、今後は医療費が一定額を超えればその分の1%も自己負担となる。月収が56万円以上の人は、この上限を12万1800円とする。たとえば医療費が100万円かかった場合、一般の人の自己負担は今より6820円増えて7万420円となる。

 入院時の食費負担も1日760円から780円に引き上げる。

 医療の質をあげるため、医師は2年以上、歯科医師は1年以上の臨床研修を義務づけ、医師は2004年から、歯科医師は2006年から、研修を終えないと届け出による開業ができなくなる。

 また、一般病床の看護婦の配置基準を手厚くし、入院患者4人に看護婦1人の現行基準を3人に1人の体制に改める。

健保保険料の上限、介護保険は枠外に 厚生省方針

2000.09.22(00:09)asahi.com
 厚生省は今国会に提出する医療保険制度改正関連法案で、大企業の健康保険組合などが医療保険料に上乗せして集める介護保険料(40―64歳)について、同法改正の遅れで十分に徴収できていない2000年度分の介護保険料の不足分を、2001年度からの2年間で徴収できるようにした。長期間の分割徴収で、被保険者の負担感を減らす狙いだ。

 現行法では、健保組合だと医療保険料の上限を月収の9.5%(労使折半)と定め、介護保険料はその範囲で徴収している。医療保険料率を高めに設定する健保組合は介護を合わせた率が上限を越え、介護保険料を十分に徴収できないでいる。今回改正で上限は医療保険料率にのみ適用され、介護保険料は枠外の扱いとなる。

国保医療費、山口県の47万円がトップ 厚生省がマップ

2000.08.10(19:31)asahi.com
 厚生省は10日、自営業者らが加入する国民健康保険の医療費を都道府県・市町村別にまとめた1998年度の「国民健康保険医療費マップ」を公表した。加入者1人当たりの医療費の全国平均は、35万4000円と前年度より1万円(2.9%)増え、過去最高を更新した。都道府県別で最も高いのは前年2位だった山口県で47万8000円。最も低い千葉県(26万7000円)との格差は約1.8倍で、「西高東低」の傾向が続いている。

 「マップ」は、医療費の地域格差を解消するために86年度分から公表し、今回は13回目。

 都道府県別の1人当たりの医療費を比較すると、前年度まで10年連続トップで今回は2位だった北海道(47万2000円)を除くと、人口流出などによる高齢化が進む中国・四国・九州地方が高くなっている。山口県の場合も、高齢化が原因とみられる。一方、人口の割に医療機関が少ない関東地方は低い。

 市町村別で見ると、最も高い高知県本川村は77万8000円で、最も低い東京都小笠原村の15万4000円との格差は、約5.1倍だった。

 高齢化による影響を除外した地域差指数で比べると、最も高い北海道と最も低い千葉県の格差は約1.5倍。地域差指数が高い北海道や中国・四国・九州地方では、入院医療費が高くなっている。厚生省は「負担の公平性の観点から格差を縮小したい」としている。

98年度国民医療費は、29兆8千億円 過去最高を更新

2000.06.29(20:07)asahi.com
 国民が病気やけがで医療機関にかかった費用の総額である国民医療費が、1998年度は29兆8251億円にのぼり、過去最高を更新したことが29日、厚生省のまとめでわかった。

 同年4月に診療報酬が実質マイナス改定され、医療費縮小の要因となったにもかかわらず、前年度より2.6%、7600億円増えた。原則70歳以上の高齢者の医療費が34%を占めており、高齢化の進行などが医療費を押し上げていることも改めて浮き彫りになった。

 国民医療費のうち、医療保険が支払った額は、前年度比1.6%減の約13兆4600億円。このうち、会社員や公務員らの被用者保険は、不況の影響で加入者が少なくなるなどして4.3%減り、逆に国民健康保険は加入者が多くなって2.3%増えた。原則70歳以上を対象とする老人保健制度は、5.1%増えて約10兆1700億円。患者負担は97年秋の負担増により10.8%増と大幅にふくらみ、約4兆4000億円にのぼった。

 国民1人あたりの医療費も前年度より2.3%、5400円増え、23万5800円となった。年齢層別に比べると、65歳以上は69万8000円で、65歳未満の14万6300円の5倍近くとなっている。また、国民医療費の国民所得に対する割合は7.86%で、これも過去最高を記録した。

深夜労働者の健診受診助成へ

2000.06.09(11:51) asahi.com
 政府は9日午前の閣議で、深夜労働に携わる人の健康診断受診を促すため、かかった費用の一部を労働福祉事業団が助成できるように同事業団法施行令の改正を決定した。14日から実施する。これにより、深夜労働者が自分で健診を受診した場合、7500円を上限に、かかった費用の4分の3が同事業団から支給される。労働省は初年度に16万人の利用を見込んでいる。

診療報酬不正受給で監査

2000年4月15日 11時29分
 福岡県勝山町の勝山病院(木村繁輝院長、252床)が、医師の数を水増しして診療報酬を不正に受給した疑いがあるとして、社会保険庁福岡社会保険事務局から監査を受けていたことが15日、分かった。

 ただ、病院側は「常勤医師の数え方などについて保険事務局との見解に相違がある」としており、今月下旬にも事務局や県と協議を予定している。

医療保険改正法案の成立を断念 政府・与

03:03 a.m. JST April 12, 2000
 70歳以上の医療費自己負担への定率制導入などを柱とする医療保険制度改正関連法案について、政府・与党は今国会での成立を断念せざるを得ないとの判断を固めた。同法案を審議する衆院厚生委員会で他の法案の審議日程が詰まっているうえ、改正で患者負担が増えることから総選挙への影響を考慮した。同法案の内容の大半は7月実施を前提としており、成立しない場合は医療保険の新たな財源を確保する必要が出てくる。

 法案は(1)定額払いとなっている70歳以上の医療費の自己負担を、上限を設けて原則1割負担に変える(2)患者が診療費とは別に払っている薬剤費の1部負担を、70歳以上では廃止する(現在は特例措置で免除)(3)70歳未満の患者の自己負担の上限を引き上げる――が柱。改正案には、医療保険から病院などに支払う診療報酬が、実質0.2%アップした財源を賄う側面もある。

 政府が2000年度実現をめざした医療保険制度改革が先送りされる一方、患者の負担増で診療報酬アップの財源を賄う形になることから、野党側は「膨張する医療費の解決策を示さずに、被保険者や患者の負担に転嫁している」と法案に反対している。

 このため、衆院厚生委での審議は後回しになる見通し。同委では12日から児童手当法改正案の審議に入る。その後は、社会福祉事業法改正案の審議があり、医療保険法案は時間切れとなる公算が大きい。

 医療保険法案では、患者に負担増を求めることで約3100億円の財源確保を見込んでいる。そのうち560億円を診療報酬の引き上げの穴埋めにあてる予定だ。改正が遅れれば、それだけ保険財政への負担になる。高齢者の薬剤費一部負担の廃止が8月以降にずれ込み、免除の特例措置を継続する場合には、1カ月に160億円の国費が必要になる。

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