TOPIC No.4-2 OS & CPU

Index
2-1.マイクロソフト&OS、2-2.Linux、2-3. アップル社のOS、2-4.インテルのCPU、2-5. AMDのCPU、2-6. トランスメタのCPU(クルーソー)
01. マーケット関連情報一覧 by PC WATCH
02. インテルのホームページ
03. アップルコンピューター
04. MAC OS Suppoter's Net
05. MacOSの館
06. Mac News Link
07. AMDのホームページ
08. TRANSMETA
09. まだまだ続く、インテルとAMDの新製品リリース (Tue 26 June 2001) CNET Japan
10. Athlon支援館
11. Athler's BBS
12. インテルに挑戦するトランスメタの『クルーソー』(2000年01月19日) HOT WIRED Japan

2-3. アップル社のOS


大学でMac人気上昇中 「基本ソフト便利」導入相次ぐ

2004/11/28 asahi.com
 アップルコンピュータのパソコン「マッキントッシュ(マック)」シリーズが教育向け市場で健闘している。今春、東京大学が採用するなど大学での導入が相次ぐ。マックといえば、芸術系の専門家やデザインにこだわる消費者向けというイメージが強かった。こんどは教育現場での支持を得てウィンドウズの独占状態に挑むという。

 九州産業大(福岡市)芸術学部に9月、アップルが同月販売した「iMac(アイマック) G5」80台が納入された。普及価格では初めて64ビットの高性能プロセッサーを搭載しており、映像の編集もこなせる性能が評価された。同社は「以前はキャンパスに数セットしかなかった数百万円の設備と同等の性能が、数十万円で実現する」と胸を張る。

 国立大学法人向けでは今秋、東北大や東工大、お茶の水女子大、神戸大などに数十台〜100台規模の受注が続いた。02年以降、大学との商談数が毎年2倍ペースで伸びている。教育市場の営業に10人を専従させた。

 人気の理由は、最新の基本ソフト(OS)「MacOSX(テン)」が、研究者向けコンピューターで広く用いられているUNIX環境で作動することだ。これまで大学の情報教育は研究用にUNIX機の使い方を教える一方で、リポート執筆など通常のパソコンソフトを使う作業のためにウィンドウズOS機を併用する例が多かった。

 マックを導入すると、両方の作業を1台で済ませられる。しかも操作がわかりやすいマックなら初心者が多い学生にも受け入れやすいと期待される。先行して導入した東大や東京女子大から「学生から操作についての問い合わせがぐんと減った」と評判を聞いて問い合わせる大学も多いという。

 東大の安東孝二・情報基盤センター助手は「教室で(圧倒的なシェアの)ウィンドウズ機が使われずに全員がマックで作業しているのは不思議な気もする」と話す。ビジネス向けの台数ではウィンドウズ機に圧倒されるアップルだが、マックで育った学生たちがいずれ市場地図を塗り替えると期待している。

2-4. インテルのCPU


トランスメタ、特許侵害でインテルを提訴

2006/10/12 Michael Kanellos(CNET News.com)

 Transmeta(本社:カリフォルニア州サンタクララ)がIntelを特許侵害で訴えている。Transmetaは、かつてノートPC市場でIntelと競い合ったチップデザイナー。

 Transmetaの主張によると、Intelが同社の10件の特許を侵害し、これらの特許で守られた知的財産がIntelの販売する1000億ドル相当のチップに組み込まれているという。この主張の対象は、「Pentium Pro」や「Pentium II」を含むP6世代のチップから、最新の「Core 2 Duo」プロセッサまで多岐にわたる。

 この訴訟は、デラウェア地区連邦地方裁判所に米国時間10月11日に提起された。

 Transmetaの法律顧問John Horsely氏によると、これらの特許は電力効率に関するもので、Transmetaの主張によると、Intelの「Enhanced SpeedStep」と呼ばれる技術も特許を侵害しているという。Enhanced SpeedStepは基本的に、消費電力削減を目指して未使用時にチップの速度を落とす仕組み。

 そのほかの特許は、命令スケジューリングやマイクロアーキテクチャ関連となっている。Transmetaの特許は、(Pentium Pro登場前の)1991年から2000年まで、10年以上の期間にわたって申請されている。Horsely氏によると、今回の訴訟は時効にかかっていないという。

 Transmetaは、消費電力がチップやコンピュータのメーカーにとって大きな問題になることを力説した最初の会社だった。自社のCrusoeプロセッサなら、Intelチップと同じソフトウェアを動かしても消費電力は少なくて済み、バッテリ駆動時間が延びると主張していた。

 Crusoeを投入した2000年にはソニーや富士通から早々と契約を取り付けた同社だが、自らが掲げた目標を達成することはできなかった。Crusoeのパフォーマンスは平均的なレベルにとどまり、新バージョンの投入では複数の問題を抱えた。これを受け、東芝などとの契約は消滅してしまった。

 Transmetaはその後レイオフを何度か繰り返し、2005年に特許挙管理会社として生まれ変わるまでに、最高経営責任者(CEO)も3回交替した。

 Transmetaは毎年数百万ドルの損失を計上し続けた。1998年1月から2005年6月の間、同社は1億3400万ドルの売上高から合計6億3500万ドルの損出を計上している。

 チップの売り上げは決して良くなかったが、TransmetaのアイデアはIntelの目を覚まさせ、同社が消費電力に目を向けるようし向けた。しかし、着想を得ることと、特許を侵害することは全く別の問題だ。

 Intelは、まだ訴状を見ていないとしてコメントを控えている。

MS次期OS「ビスタ」の概要明らかに 安全と娯楽追求

2006/09/28 The Sankei Shimbun

 マイクロソフト(MS)日本法人は28日、来年1月に5年ぶりに投入される次期基本ソフト(OS)「ウィンドウズ・ビスタ」に関する説明会を開いた。現行のウィンドウズXPに比べて大きく変わったのはその「エンターテインメント(娯楽)性」。パソコン(PC)用OS市場のシェアで90%を超え「社会インフラの域」(MS関係者)にまで達したウィンドウズシリーズが次に目指すのは、家庭の「お茶の間」だという。(田端素央) 

 「インターネットの能力を最大限、しかも簡単に引き出せる」

 MS日本法人のジェイ・ジェイミソン・ウィンドウズ本部長は自信ありげに語る。MSはビスタの特徴として、より安全・容易に作業が行える▽大量の情報の中から目的の情報に簡単にいき着ける▽最新のコンテンツを体験できる−の3点を挙げる。

 しかし、ビスタはこれまでのウィンドウズに「娯楽」という概念を加えた。リモコン操作で動画や音楽などネット上のコンテンツ(情報の内容)をダウンロードし、保存したコンテンツを手軽に楽しめる。

 動画や音楽を再生する機能「メディアプレーヤー」の操作性を大幅に向上させ、日本向けに新たな音楽配信サービスも準備中だ。iPodで成功した米アップルコンピュータを強く意識した作りだ。このほか、ネットを通じてデジタルカメラで撮った写真の印刷を注文することもできる。

 国内家電メーカーなどはテレビとPCの機能を融合させたAV(音響・映像)機器を模索している。ビスタは家庭向けやビジネス向けなど5つの商品群で構成す。家庭向けビスタは家電メーカーとって脅威になるのは間違いなさそうだ。

インテル、売上高過去最高

2005/10/19 The Sankei Shimbun

 半導体最大手、米インテルが18日発表した7―9月期決算は、売上高が前年同期比17・6%増の99億6000万ドル(約1兆1500億円)と四半期ベースで過去最高となった。純利益は4・7%増の19億9500万ドル。

 ノートパソコン向け超小型演算処理装置(MPU)や携帯電話向けのチップセットの出荷は引き続き順調だった。しかし、利幅が大きいサーバー向けチップの販売がライバル企業との競合で伸び悩み、純利益は市場予想に達しなかった。

 10―12月期の売上高は、102億―108億ドルを見込んでいる。(共同)

アップル社がインテル製MPU採用検討 米紙報道

2005/05/23 The Sankei Shimbun

 23日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは関係筋の話として、米アップルコンピュータが自社のパソコン、マッキントッシュの超小型演算処理装置(MPU)に米インテルの製品使用を検討し、両社が交渉を行っていると報じた。

 同紙によると、交渉に詳しい業界幹部2人が、アップルはインテルの製品使用で合意するとの見通しを示した。アップルはこれまでIBMとモトローラが共同開発したMPUを使用。インテル製品を導入することになれば、パソコン業界に大きな変革をもたらす可能性がある。(共同)

インテル日本法人を指名停止2カ月 国交省近畿整備局

2005/04/19 The Sankei Shimbun

 国土交通省近畿地方整備局は19日、国内のパソコンメーカーに対し、他社製品を使わせないためにリベートを支払っていたなどとして、公正取引委員会から独占禁止法違反で排除勧告を受けた米インテル日本法人(茨城県つくば市)を、同日から2カ月の指名停止にした。(共同)

インテルに排除勧告 独禁法違反で公取委

2005/03/08 中国新聞ニュース

 パソコン用CPU(中央演算処理装置)などを製造する世界最大の半導体メーカー、インテル(米国)の日本法人(茨城県つくば市)が、国内のパソコンメーカーにライバル社の製品を使わせないためリベートを支払ったなどとして、公正取引委員会は八日、独禁法違反(私的独占)で日本法人に排除勧告した。

 公取委によると、日本法人は二○○二年五月以降、CPUの販売をめぐり、NECや富士通など国内メーカー五社に対し、パソコンに搭載するCPUの十―九割をインテル社製にするか、各社の売れ筋シリーズに同社製品を使うことを条件に、リベートや販売促進資金の支払いを約束。

 実際に金を支払い、シェア二位の米アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)などライバル社のCPUを使わせないようにした。

 二○○○年ごろからパソコンの需要が落ちる一方で、高性能の新製品を投入したAMDのシェアが一時20%を超え、リベートなどは対抗策とみられる。


バッテリーを丸一日持続させるインテルの『Banias』

(Wed 29 Aug 2001) CNET Japan Tech News
 カリフォルニア州サンノゼ発――米インテルは来年上半期に『Pentium 4』をノートパソコン市場に投入し、翌年にはバッテリー寿命を大幅に延ばす新モバイルチップ『Banias』(バニアス)を発売する。

 高速化と消費電力の低減がインテルのモバイルチップ戦略の柱となっている。ノートパソコン用Pentium 4は来年の登場時に1.5GHz以上、2002年末までには2GHzに達するとインテルのモバイル製品部門副社長フランク・スピンドラーは29日、『インテル・デベロッパ・フォーラム』(IDC)の基調演説で述べた。

 2003年前半に発売するBaniasには、バッテリーを丸一日持続させる新たな省電力機能を持たせる。

 非使用時にチップの一部をシャットダウンする新機能もある。現在は、使われていない部分があっても、プロセッサーのほとんどの部分に電気が通っている。Baniasではその瞬間に必要な部分にだけ電気が流れる。

 Baniasには『Micro-ops fusion』という機能も搭載される。さまざまなプロセッサー処理を計算プロセスの初期段階で融合するこの技術は、チップが実行する命令数を減らすことで仕事量を軽減する。消費電力を減らすためにトランジスタの再設計も行なっている。

 Pentium 4とBaniasは共にノートパソコン市場の主流製品になると、スピンドラーは述べている。

 「来年発売される2キロ前後のノートパソコンは、Pentium 4を搭載しているはずだ。モバイルPentium 4には、デスクトップ用Pentium 4の全機能が含まれる」とスピンドラーは語った。

 Baniasも主流技術となりそうだ。アナリストはこれまで、Baniasの市場がミニノートに限られる可能性があると予測していた。電力効率の優れたチップは、標準的なノートパソコン用チップよりも低速なため、幅広い市場で採用されない場合が多い。

 しかしスピンドラーは、Baniasが「モバイル市場で幅広く重要な役割を果たす」と語った。Baniasで開発された技術は他のチップにも導入される可能性が高い、と他のインテル幹部は述べている。

 プロセッサーだけでなく、ノートパソコン設計者やコンポーネントメーカーも消費電力を抑える努力を続ける。たとえばインテルは来年、グラフィックチップをチップセットに統合した『830』チップセットを発売する。チップセット(用語解説)は、プロセッサーを他のコンポーネントと接続するもの。現在のチップセットは、ノートパソコンを動かすのに必要な電力の13%を、グラフィックチップは14%消費している。両者の統合によって、消費電力はかなり減少するとスピンドラーは言う。

 ディスプレーやハードディスクメーカーも、消費電力の削減に取り組んでいる。おそらく全体で、実際の消費電力の30%を削減することが可能だ、とスピンドラーは述べた。

インテル、2GHzと1.9GHzのPentium 4を正式発表

(2001年08月28日) CNET Japan Tech News
 インテルは28日、Pentium 4プロセッサーに最高速の2GHz版と1.9GHz版を正式に発表した。米国での発表を受けたもの。昨年3月に1GHzのPentium IIIを発表して以来、約1年半で2GHzに乗ったことになる。すでに量産出荷中で、国内では同日、デル、日本ヒューレット・パッカード、エプソンダイレクトなどが2GHz搭載機を発表した。

 2GHz版と1.9GHz版のPentium 4では、従来の423ピンPGAのほかに新しく478ピン・マイクロPGAの2種類のパッケージが用意される。478ピンはダイサイズは同じだが、実装法の変更でパッケージ自体の面積は423ピンの半分程度になった。インテルは478ピンに移行していく方向で、2GHz版に合わせて既存のPentium 4の1.5GHz以上の製品にも478ピン版を用意した。0.13マイクロメートルプロセスへの以降は今年第4四半期の予定。

 対応チップセットは850チップセットだが、近くSDRAMをサポートする「845」チップセットをリリースする予定。RDRAMに比べて低価格のSDRAMでシステムを構築することが可能となり、製品全体の低価格化が進むと同社は期待している。新Pentium 4の価格は2GHz版が7万630円、1.9GHz版が4万7130円(いずれも1000個ロット時)。

 またインテルは同時に既存のPentium 4の価格を54%から31%の大幅値下げを実施した。メインストリームPCで一挙にPentium 4への移行を進める戦略の一環。

 デルは2GHz Pentium 4を、個人・中小企業向けデスクトップ『Dimension 8100』とワークステーション『Precision WorkStation 330』に搭載。Dimension 8100は、128MB RDRAM、Windows Me、17インチCRTモニターとセットで19万8800円から。Precision WorkStation 330は、256MB PC800 RDRAM、Windows 2000 Pro、モニター別で23万8500円から。日本HPは『hp vectra vl800』が、512MB PC800 RDRAM、DVD-ROM、CD-RW、Windows 2000 Pro、モニター別で36万9000円。

インテルが最新MPU技術

2000.12.12【ニューヨーク11日=共同】The Sankei Shimbun
 半導体最大手の米インテルは十一日、パソコンの超小型演算処理装置(MPU)に搭載するトランジスタの超小型化技術を開発したと発表した。

 同社は、まばたきをする間に四億回の演算を行うなど汎用(はんよう)コンピューターと同等の能力を持つパソコンが可能になるとし、「MPUの能力向上とコスト削減が可能になる」と話している。

 今後五年から十年で、同社のMPU「ペンティアム4」の動作周波数一・五ギガヘルツの約六・七倍となる十ギガヘルツのMPUが可能になり、同時音声通訳機能などの実現が期待できるという。

 開発された超小型トランジスタの大きさを示す「ゲート長」は○・○三ミクロンで、これまで最小の○・○七ミクロンから大幅に小型化。ペンティアム4はチップ上に四千二百万個のトランジスタを集積しているが、超小型トランジスタでは四億個以上が集積できるようになる。

インテル、低価格MPU「ティムナ」開発を断念 (2000.09.30) asahi.com

最速MPUをリコール 米インテル

2000.08.29【ニューヨーク28日=共同】The Sankei Shimbun
 半導体最大手の米インテルは二十八日、同社が先月から出荷を開始した動作周波数一・一三ギガヘルツと最高速の超小型演算処理装置(MPU)ペンティアム3のリコール(無料の回収・修理)を行うことを明らかにした。

 一定の温度になると、特定のソフトウエアを動かせなくなる不具合で、同社は出荷したすべてのペンティアム3をリコール対象とする。IBMなどのパソコンに搭載されているが「出荷数は多くない」という。

 インテルは年内に投入予定の、さらに動作周波数を速めたペンティアム4では、同様の問題は起こらないだろう、としている。

インテル独占にかげり 低消費電力MPUに注目

2000.07.01(01:11)asahi.com
 パソコン(PC)の頭脳にあたる超小型演算処理装置(MPU)で、国内のPCメーカーの間に新興の米トランスメタ社が開発した低消費電力のMPU「クルーソー」を採用する動きが出始めた。日立製作所が今秋にも発売、富士通なども商品化の検討に入った。小型で持ち運べる携帯型PCの普及につれ、消費電力の少なさがMPUの性能の中でも重要になってきたためだ。

 MPU市場で8割の市場占有率(シェア)を持つ米インテルの独占状態の緩和につながるかどうか注目される。

 ニューヨークで今週開かれた、パソコン関連の展示会「PCエキスポ2000」では、富士通、日立、NEC、IBMがクルーソーを搭載したPCや半導体の基盤をそろって参考出展し関係者の注目を集めた。

 クルーソーは、インテル製品と互換性を持ちながら、電力制御ソフトの採用など独自設計により、最高で8時間のバッテリー寿命を実現している。インテル製品に比べて1.5倍以上長持ちするといわれる。

 日立は、クルーソーを採用し、B5型のノートPCを10月以降に投入する計画で、DVD(デジタル多用途ディスク)再生機能をつけることも検討している。また、富士通も早ければ年内に商品化するほか、東芝も採用に向けて検討している。各社が採用に動くのは年々小型化するノート型PCにとり、消費電力の少ないMPUは大きな武器になるからだ。

 調査会社データクエストの1998年のデータでは、世界のMPU市場の79.6%を「ペンティアム」「セレロン」などのインテル製品が占めており、2位の米AMD(5.8%)を大きく引き離している。

 トランスメタ社は、マイクロソフトの共同創業者ポール・アレン氏らが出資して95年に設立。配布無料のOSリナックスの開発者、リーナス・トーバルズ氏を技術陣に迎え、今年1月、MPUを新開発、ロビンソン・クルーソーにあやかってクルーソーと名づけた。その後、ソニーなども出資を決めている。

CPUインテル帝国に変化

1:30p.m. JST April 06, 2000
パソコンやゲーム機、家電製品、自動車のエンジン制御などに「頭脳」として使われるCPU(中央演算処理装置)の市場のシェア(市場占有率)競争が激しくなっている。これまでCPU市場は世界最大の半導体メーカー、米インテルがパソコン向けを中心に牛耳ってきた。しかし、米半導体メーカー、AMDが低価格と高速化でインテルを追いあげ、日本メーカーはゲーム機やデジタル家電向けに焦点を定めた。インテル帝国といわれたCPU市場にも変化が見え始めた。
AMDは低価格パソコン向けのCPUが中心だったが、データ処理速度が速い高価格帯の製品にも力を入れ、3月には動作周波数1ギガヘルツの高速CPUを、わずかだがインテルに先んじて市場に投入した。直後にインテルも出荷、競争は「ギガヘルツ時代」に入った。
NECや富士通、ゲートウェイなどAMDのCPUを採用するパソコンメーカーは増え、今では世界の主要パソコンメーカー10社のうち9社までが採用している。勢いに乗るAMDは現在2割未満のシェアを2001年末に3割に引き上げる目標を立てている。
インテルは、動作周波数で競うほか、電力低消費型のCPUを投入し、防戦に懸命だ。インターネットの普及を背景に需要を伸ばすサーバー(中型コンピューター)向けのCPUにも力を入れる方針。
パソコン向けが大半だったCPUの市場自体にも変化が起きている。東芝は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)と提携し、3月に発売された家庭用ゲーム機「プレイステーション(プレステ)2」に搭載するCPUの生産に力を入れる。プレステ2は発売後、すでに100万台以上が売れ、「新しいCPU市場が見つかった」と東芝は意気込む。
世界全体のCPU市場では、インテルが半分近くのシェアを持ち、日本メーカーはひとけた台に低迷している。NEC、日立製作所もそれぞれ家庭用ゲーム機の「ニンテンドウ64」「ドリームキャスト」のCPUを生産する。「今後、ゲーム機を含むデジタル家電や携帯情報端末、通信機器向けの市場で強みを発揮したい」(NEC)と、各社ともデジタル家電やカーナビゲーション向けのCPUで追撃の構えだ。

Athlon 900/950MHzとPentium III 866MHzの販売開始

「ペンティアム3」の850MHzと866MHz版発売

10:16a.m. JST March 21, 2000
米半導体最大手インテルは20日、高性能の超小型演算処理装置(MPU)「ペンティアム3」の850メガヘルツ版と866メガヘルツ版の発売を開始したと発表した。価格は850メガヘルツが1000個当たり765ドル、866メガヘルツが776ドル。
同社は先に、アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ(AMD)に追随して世界最速1ギガヘルツのMPUの出荷を開始したが、現時点での出荷数は限られている。一方で850メガヘルツと866メガヘルツのMPUは、多くのパソコンに搭載されるという。(時事)

米インテルが最高速MPU

2000年2月16日 16時59分【ニューヨーク共同】
半導体世界最大手の米インテルのグローブ会長は15日、米カリフォルニア州で開幕したフォーラムで、動作周波数が、1.5ギガヘルツと最高速の超小型演算処理装置(MPU)を発表した。開発コード名は「ウィラメット」。
同会長はまた、動作周波数1.0ギガヘルツ版のMPUも発表した。1.0ギガヘルツ版の方は、7〜9月期にも発売の見込み。

サーバ/ワークステーション向けに新しい高性能プロセッサを発表〜 インテル(R) Pentium(R) III Xeon(TM) プロセッサ 800MHz、 急成長中のフロント・エンド・インターネット・サーバ及びパワー・ワークステーション向け 〜

2000年1月13日by intel

世界最大のチップメーカー、米インテルは8月2日(米国時間)、600MHz版のPentium III、500MHz版の『Celeron』とそれぞれ最速のプロセッサーを発売する。

Katmaiの名前が「Pentium III」に

Pentium IIIは3月初旬に出荷が予定されており、発売時のクロック速度は450MHzと500MHzの2種類。インテルによれば、今年末までには600MHz以上に到達するという。

2-5. AMDのCPU


日本インテルに115億円損賠要求、日本AMDが提訴

2005年06月30日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 米大手半導体メーカーの日本法人、日本AMDは30日、中央演算処理装置(CPU)の国内での取引や営業を不当に妨害したとして、同業の日本法人インテルを相手取り、損害賠償を求める訴えを東京高裁と東京地裁に起こした。請求額は計1億500万ドル(約115億円)。

 訴えによると、インテルは2002年5月から、国内のパソコンメーカーに対し、資金提供の見返りに、AMD製CPUを採用しないことなどを求めて圧力をかけた。

 公正取引委員会は今年3月、妨害行為に対し、独占禁止法に基づく排除勧告を行い、インテルもこれに応じている。インテル日本法人は「訴訟の詳細が分からないのでコメントできない」としている。

 AMDは米国の本社も、インテルが取引を妨害したとして、6月28日に米デラウェア州の連邦地裁に損害賠償を求める訴えを起こした。


日本AMDが『モバイルAthlon 4 1500+』発表

2002年01月28日
 日本AMDは28日、ノートパソコン向けプロセッサー『モバイルAthlon 4 1500+』を発表した。すでにデスクトップ機向けプロセッサーに導入している「モデルナンバー」を付けた初のモバイルプロセッサーで、米コンパックコンピュータが『Presario 700』シリーズに採用した。

 実クロックは1.3GHzで、FSBは200MHz。L1キャッシュ128KB、L2キャッシュ256KBの計384KBをオンチップで搭載する。プロセスルールは0.18マイクロメートル(ミクロン)。『QuantiSpeedアーキテクチャ』、『3DNow!プロフェッショナル』『PowerNow!テクノロジ』対応。ソケットインターフェースはソケットA。1000個ロット時の価格は7万875円。

日本AMD『Athlon XP 2000+』を正式発表

2002年01月07日 CNET Japan Tech News
 日本AMDは7日、『Athlon XP』の最高速版『Athlon XP 2000+』を発表した。性能を表すモデルナンバーが2000で、実クロックは1.67GHz。即日出荷を開始し、米国では、コンパックコンピュータ、ヒューレット・パッカード(HP)などが採用を決めた。

 クロック以外は、従来のAthlon XPと変更はなく、『QuantiSpeedアーキテクチャ』を採用し、L1、L2合わせて384KBのキャッシュをオンチップで搭載。『3DNow!プロフェッショナル』命令セットをサポートする。FSBは266MHz、0.18マイクロメートル(ミクロン)プロセスの銅配線で製造する。価格は1000個ロット時で4万5765円。

 国内では、フェイス、フリーウェイ、オーテック、エムシージェイ、九十九電機、サードウェーブ、神代、アロシステムが順次採用する予定。

 米インテルが7日(米国時間)、『Northwood』(ノースウッド)コアを採用した2.2GHzと2.0GHzの『Pentium 4』を発表すると伝えられており、これに対抗する製品とみられる。

AMD、Athlon XP 最上位となる「Athlon XP 1900+」を発表

(2001/11/05) PC WEB

AMD、『アスロンXP』を発表

2001年10月09日 Wired News
 米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)社はデスクトップパソコン用プロセッサー・シリーズに新たな製品を加えた。名称は従来の『アスロン』を引き継ぎ、処理速度が向上している。また同社は、プロセッサー・パフォーマンスの新たな測定方法を提案している。

 AMD社が9日(米国時間)に発表したのは、4タイプの『アスロンXP』プロセッサー。AMD社によると、「XP」は、米マイクロソフト社の『ウィンドウズXP』のように「経験」(experience)を意味するのでなく、「エクストラ・パフォーマンス」のXPだという。

 アスロンXPチップは1.33〜1.53GHzのクロック速度で動作するが、ライバルである米インテル社の『ペンティアム4』プロセッサーには速度の点で依然として及ばない。ペンティアム4は最高2GHzのクロック速度を誇る。

 AMD社は、チップのクロック速度の数字だけではなく、実質的なパフォーマンスを新たな方法で数値化し、マーケティングではこれを強調していくことになるだろう。新チップの1.53GHz版は『アスロンXP 1800+』、1.33GHz版は『アスロンXP 1500+』という製品名で販売されるが、1500や1800という数字がパフォーマンスを表わしているという。

AMD、値下げでインテルに対抗

(Mon 27 Aug 2001) CNET Japan Tech News
 米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は27日(米国時間)、米インテルの『Pentium 4』の値下げに対抗し、『Athlon』(アスロン)の価格を大幅に引き下げた。

 1GHzから1.4GHzのデスクトップ向けAthlonを約半分に引き下げた。

 1.4GHzのAthlonは、49%引き下げられ253ドルから130ドルになった。

 1.3GHzのAthlonは、46%下げられ230ドルから125ドルに、1.2GHzは40%下げられ199ドルから120ドル。

 1.1GHzは36%引き下げて179ドルから115ドルに、1GHzは28%安くして160ドルから115ドルに改めた。

 値下げは、Pentium 4に対する価格競争力を維持するための措置。1.4GHz Athlonは同速度のPentium 4にくらべて3ドル安い。

 インテルは27日、1.9GHzと2GHzのPentium 4チップを発売したのち、Pentium 4の価格を最大で54%引き下げた。

 AMDの値下げは、新Athlon投入の準備ともなる。来月には1.5GHzのデスクトップ向けAthlonを発売すると見られている。先日は、10月出荷予定のデスクトップ向け1GHz『Duron』(デュロン)チップを発表している。

 価格はAMDとインテルがパソコンメーカー向けに設定している1000個ロット時の単価。

 実勢価格はさらに流動的だ。特にAMDは1000個ロット以上で購入する顧客とは個別に価格交渉を行うからだ。こうした顧客は、値引きを目的として、実際に必要とする以上のチップを購入することもあり、使い切れない分はグレーマーケットに流す。このため供給過剰となり、末端価格は定価を大幅に下回ることがある。

 しかし、27日午前のプライスウォッチのウェブサイトでは、Athlonの末端価格はAMDの改定価格に近いものだった。例えば、1.4GHzのAthlonは107ドル以上、1.3GHzは101ドル以上、1.2GHzは91ドル以上の値がついていた。

 AMDはデスクトップ向けDuronとモバイル向けAthlon 4チップも最近値下げした。

AMDが1GHzのモバイル『Athlon 4』を発表

(14 May 2001) CNET Japan Tech News

インテルに挑戦状をたたきつけるAMD

2001年03月22日 Wired News
 ドイツ、ハノーバー発――米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)社は、かさにかかって米インテル社を攻めたてている。

 ヨーロッパ最大のハイテク展示会『セビット』(CeBIT)で22日(現地時間)、AMD社はインテル社の最高速チップにも勝ると主張する1.3GHzのチップをリリースした。AMD社はまたインテル社製品と互換性がないチップを出荷するという大胆な戦略を打ち出している。これはソフトウェア市場の分割にもつながるかもしれない。

 過去数十年間にわたってPCチップ市場で優位を占めてきたインテル社だが、最近、売上見通しを25%下方修正した。さらに同社は、パソコン需要の停滞が当面予想されるかなりの期間にわたって影響するだろうと述べた。

 一方AMD社は、インテル社が述べたような類の停滞を感じたことはなく、今後も新たなチップを出荷して前進を続けると述べた。「チップの世界は今も動いているのだ」と語るのは、AMD社のヨーロッパ・マーケティング部門の責任者、ロバート・ステッド氏。

 ステッド氏によれば、同社はチップ販売の見通しを変更していないという。かつての強さを失いつつあるインテル社に追い討ちをかけるAMD社の新たな一手が、1.3GHzの『アスロン』チップだ。このチップはすでにメーカー向けに出荷されており、同チップを搭載したパソコンがまもなく店頭に並ぶはずだ。

 パソコン自作派なら、『CNET』や『ZDNet』などのサイトからチップを購入して自前のマシンをアップグレードすることもできる。

 ステッド氏によれば、メモリとのデータ転送の高速化等の最適化により、同チップはインテル社製チップならば1.7GHzに相当する処理速度を実現するという。現時点におけるインテル社の最速のチップは、1.5GHzで動作している。

 AMD社のチップはダブルデータレート(DDR)メモリを利用できるが、これはインテル社製チップがサポートする米ラムバス社のメモリより優れている、とステッド氏。DDRメモリはより高速にCPUへ情報を伝えるため、「瞬発力で勝る短距離走者のようなものだ」とステッド氏は語る。

 ステッド氏は、ラムバス社製メモリが優れた「マラソン走者」だと認めているが、それは継続的なデータ転送でより高速の帯域幅が活用できるからだ。

 だがAMD社によるインテル社への最大の挑戦は、独自の64ビット・チップをおいて他にないと言えるだろう。

 インテル社はパソコン市場の創造を支援して以来、常に新たなチップデザインを生み出し市場を拡大してきた。他のチップメーカーは、インテル社製チップの機能をリバースエンジニアリングして、インテル社製品対応のソフトが実行可能な互換プロセッサーを生産してきた。

 だが年内の発表が予定されているAMD社の『ハンマー』(Hammer)プロセッサーは専用設計であるため、ソフトウェア企業は同チップとインテル社の次世代『アイテニアム』(Itanium)プロセッサー向けに、異なるバージョンのソフトを開発することを余儀なくされるだろう。

 AMD社は、このチップをサポートするために結集したリナックス開発者と緊密に協力している。同社はオープンソースのプログラマーたちがリナックスの取り組みに貢献している『x86-64.org』サイト上でこの新チップの動作をシミュレートするソフトウェアを提供している。

 AMD社はまた、ヨーロッパ最大のリナックス開発企業である独SuSE社に資金を提供し、このオペレーティング・システム(OS)の発展を支援している。

 だが、AMD社の努力が成功するか失敗するかは、この新たなチップへの米マイクロソフト社のサポートを取りつけることができるかどうかが鍵になりそうだ。AMD社のソフトウェア・エンジニアであるマッツ・ピーターソン氏は、マイクロソフト社との交渉に関しては「コメントできない」と、にこやかに語ったが、新チップがウィンドウズを実行できなければ一巻の終わりだということは認めた。

 ピーターソン氏によれば、このチップはリナックスで動くデスクトップ機、ワークステーション、サーバーに搭載されるという。

 インテル社は、セビットで新製品を発表しなかったものの、AMD社にリナックス市場を譲るつもりはないと述べた。

 インテル社は、SuSE社や米レッドハット・ソフトウェア社のようなリナックスソフト用ソフト開発企業に出資し、さらにはアイテニアム・チップ用にソフトウェアを書き直す顧客にも資金を提供している。

 インテル社は2億4300万ドルの基金を設立し、バンク・オブ・アメリカ銀行などの顧客が外部のソフト開発会社に発注してアイテニアム用ソフトを開発するための資金を用意している。

 「アイテニアムの公開はこれまでのCPUの公開時とまったく異なっている」とインテル社。インテル社はオープンソースの開発者に対し、この新チップのコンパイラを配布し、同様にアイテニアムのシミュレーターを提供した。

 インテル社はまた、マイクロソフト社と協力して次世代OS『ウィスラー』(ウィンドウズXP)をアイテニアム上で走らせることに取り組んでいる。このOSは夏までに公開されるはずだ。

 インテル社によれば、より広いバスを持つ将来のプロセッサーと連動させるには、ラムバス社製メモリのアーキテクチャーのほうが適しているという。

 インテル社は、AMD社がインテル社に直接対決を挑むことで試練を経験することになると述べ、米サン・マイクロシステムズ社やその他の企業が試みては失敗したことを指摘する。また、ソフトウェア開発者にAMDチップ用の別のコードを書くよう依頼することは、非現実的かもしれない。

 「複雑さを極める64ビットのアーキテクチャーを完璧に開発できるかどうかは疑わしい」とインテル社。

 インテル社は、暗い業績の見通しにもかかわらず、この1年で42億ドルの研究費を投じることを公言している。

 かつてインテル社から重要な市場シェアを奪おうとして失敗したチップメーカーの米サイリックス社を最近買収した台湾のビア・テクノロジーズ(Via Technologies)社も、セビットで新製品を公開した。だがまだインテル社と正面きって対決するには至っていない。

 ビア・テクノロジーズ社はその代わり、200〜300ドルの低価格パソコン市場の規模の拡大に狙いを絞り、新たな700MHzのチップを発表した。同社の国際マーケティング部門のマネージャーであるシェイン・デニソン氏によれば、インテル社にたてつく代わりに、目立たぬよう進むことは、当面は最良の戦略だという。「われわれは歩けるようになる前に、這うことを学んでいるのだ」とデニソン氏。

 デニソン氏によれば、ビア・テクノロジーズ社はインテル社製CPUと連動するDDRメモリシステムを使用可能にするマザーボードを実現するようなチップセットを開発して、顧客に選択肢を提供したいと考えているという。

 「インテル社は(相当な投資額のために)ラムバス社にこだわっているのだ。われわれはその選択が唯一の答ではないと考えている」とデニソン氏は語った。

AMD、低価格PC向けCPU「Duron」を正式発表。キャッシュは予想通り128KB+64KB

【PC Watch 2000年6月20日号】
 米AMD社は6月19日(現地時間)、低価格PC向けのSocket A用プロセッサ「Duron」を正式に発表した。クロックは予定通り600/650/700MHzの3機種。1,000個ロット時の 単価は、それぞれ112ドル、154ドル、192ドル。国内価格は13,440円、18,480円、 23,040円。

 Duronは、0.18μmルールプロセスで設計され、米オースチンのFab 25で生産される。オンダイのキャッシュ容量は1次キャッシュ128KB、2次キャッシュ64KBの計192KB で、キャッシュ内容が重複しない排他的な管理が行なわれる。AMDによれば、IBM、 HP、NEC、Compaqなどが採用を予定しているという。

IBMがAthlonを採用、直販で販売推進

By Brooke Crothers/日本語版 喜多智栄子(Wed 11 Aug 1999 10:00 PT )from C NET Japan
 米IBMは11日(米国時間)、広範な直販を展開することを発表し、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の新しい『Athlon』チップへの大々的な支持を明らかにした。同社はこれにより、一般ユーザー向けパソコン製品ラインを改良し、市場で勢いを得ようと企てている。

 11日発表された新しい『Aptiva』は、ほぼすべてが直販され、一部の機種はIBMからの直販のみで入手できる。これは、同社が米デルコンピュータ、米ゲートウェイと、一般ユーザーおよび小規模ビジネスの分野で競うために最大限の努力をしていることを示唆するものだ。

 またIBMは、米コンピュサーブの無料サービスと、一部の市場での非対称デジタル加入者線(ADSL)モデムを――法外な設置料金抜きで――搭載した機種などを含む、インターネット推進計画も開始する予定だ。

 一部略)

 以前は『K7』と呼ばれていたAthlonは、AMDの最新プロセッサーで、今週、正式に発表されている。アナリストはこのチップの性能を絶賛しており、Pentium IIIよりも優れていると述べている。ここで大きな疑問となるのは、AMDが十分な数量を製造し、ハイエンド・コンピューターの領域でインテルから市場シェアを奪うことができるかどうかだ。

 「これはパソコン業界の勢力地図を大きく塗り替えるものだ」と語るのはAptiva部門の責任者マーク・デル・トゥフォ。「AMDは、実際にインテルを(性能で)しのいだ」。IBMは、インテルのチップよりもAMDのチップに肩入れしているようだ。これまでインテルの砦となっているハイエンド部門でも同様だ。「Athlonの方が(インテルよりも)、わが社の顧客に高い価値と性能を提供してくれる」とトゥフォは付け足した。

 (後略)

米AMD、新世代MPU「Athlon」を発表。最速版は650MHz

【PC Watch 8月10日号】
 米Advanced Micro Devices(AMD)社は、新世代のx86MPU「Athlon」を正式に発表した。今回発表されたAthlonのクロックは650、600、550、500MHzの4種で、650MHzはIntelのPentium IIIを抜いて、最もクロックの高いx86MPUとなる。

 Athlonは、K7のコードネームで呼ばれていた製品で、第7世代に当たるx86コアと、スーパースカラーの浮動小数点演算ユニットを持ち、128KBのL1キャッシュをオンチップで備える。特徴として、Slot Aインターフェイス、200MHzの高速バス、Alpha EV6バスプロトコル、AMDのマルチメディア命令3DNow!対応などがあり、チップは0.25ミクロンルールでテキサス州のFab 25工場で製造される。

 1,000個ロット時の単価は、650MHzが849ドル、600MHzが615ドル、550MHz 449ドル、500MHz 249ドル。

 なお、Athlonは、専用のチップセットを必要とし、AMDのリリースによればVIA Technologies、Acer Laboratories(ALi)、SiSが提供する予定。

 また、対応マザーボードはMicrostar、Gigabyte、Asus、FICを含むメーカーから出荷されるとしている。

2-6. クルーソーのCPU


トランスメタ、『Crusoe』搭載ノートで巻き返し

(26 Feb 2002) CNET Japan Tech News
 チップメーカーの米トランスメタは、製造が遅れていたチップが最新しいノートパソコン3機種に搭載されたと述べた。同社の業績が回復に向かうことを示すものだという。

 ソニーと富士通のノートパソコンが、トランスメタの『Crusoe』(クルーソー)の最新プロセッサーを搭載している。新Crusoeの製造は大幅に遅れ、トランスメタの前四半期の売上を減少(日本語版記事)させ、株価に打撃を与えた。

 2001年6月に発表された『Crusoe 5800』と『Crusoe 5500』チップは、当初の予定では2001年下半期に出荷されるはずだった。しかし、製造工程に不具合が生じたため、最新チップは量産出荷できなくなっていた。

 ソニーの『PictureBook PCG-C1MV』は、733MHzの最新『TM5800』チップを搭載。重さ約1キロのPCG-C1MVは、8.9インチのディスプレーを備えている。価格1899ドルから販売されるPCG-C1MVは、小売店やソニーのウェブサイトで購入可能だ。

 来週出荷予定の富士通の『LifeBook P-2040』は、800MHzの『TM5800』チップを搭載し、802.11b無線LAN機能を内蔵する。重さ約1.5キロのP-2040は、10.6インチのディスプレーを備え、1499ドルからの価格で販売される。

 同じく富士通の『LifeBook P-1000』は、700MHzの『TM5500』チップを搭載する。重さ1キログラム、8.9インチのタッチスクリーンを搭載したP-1000は、一部の特定業務向けに設計されている。たとえば、病院で患者の医療データを収集したり、倉庫で在庫確認をするような用途に便利な設計となっている。来週から発売されるP-1000の価格は1499ドルからになる、と富士通の広報担当者は述べている。

 チップ製造の遅れにより、トランスメタの2001年第4四半期の諸経費差し引き後の純損失は2300万ドルにのぼった。同四半期の売上は、全体でわずか150万ドルしかなかった。

 トランスメタは売上だけでなく勢いまでも失った、とアナリストは述べている。同社は2001年上半期、NEC、東芝、そしてサーバーメーカーの米RLXテクノロジーズを含む新規顧客の獲得に時間を割いた。トランスメタは当時、TM5800を搭載する様々な最新ノートパソコンが2001年下半期に登場するとしていた。

 しかし、チップの製造工程に不具合が生じたことで、ソニーをはじめとする顧客の多くはTM5800を搭載するノートパソコンの出荷を延期せねばならなくなった。東芝など、製造計画を中止した企業もある。

 トランスメタは現在、過去数ヵ月間で最も多くのチップを顧客に向けて出荷し、回復の方向に進んでいると述べている。

 「顧客への出荷数を増やしており、TM5800回復計画は順調だ」と、トランスメタ広報担当のフィリップ・バーグマンは述べている。

 今のトランスメタは前進あるのみだと、アナリストは言う。

 「結局のところ、トランスメタは苦境に陥っているわけではない。銀行には現金準備がたっぷりあり、優れた技術も持っている。しかし、決め手となるものを欠いている。今後2、3発のヒットをとばさねばならない。さもなくば沈んでゆくだろう」と、フェイバス・ストラテジック・コンサルティングの主席アナリスト、マイク・フェイバスは述べた。

トランスメタ、新型クルーソーを正式発表搭載パソコンは年末、国内登場

(2001/06/26)ASAHIパソコンHot News
 トランスメタ・コーポレーション(米国)は、25日、新型のクルーソーマイクロプロセッサを正式発表した。

 新型のクルーソー TM5800とTM5500マイクロプロセッサ(それぞれ512K、256K L2のキャッシュ・メモリー内蔵)には、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)の最先端0.13ミクロン・プロセス技術が採用され、従来の0.18ミクロン製品よりも性能が向上し、消費電力は従来製品より低減。製造コストも大幅に削減されたという。 (以下 略)

「クルーソー」のトランスメタ、下方修正で株価急落

(2001.06.21) CNN.co.jp
ニューヨーク(CNNfn) 低電力消費型の超小型演算処理装置(MPU)「クルーソー」の開発会社である米トランスメタは20日、日本の景気低迷などを理由に、4-6月期(2001年12月期の第2四半期)の収益見通しを大幅に下方修正した。それによると、売上高は、前四半期比で40-45%の減収となるという。これまでの見通しでは、1-3月期実績の1860万ドルとくらべ、横ばいか微増程度としていた。

マーク・アレン社長兼最高経営責任者(CEO)は、「当社の事業は現在のところ、日本が中心だが、年初に他地域でみられた景気減速が、日本にも波及している」と述べ、日本経済の低迷が、収益圧迫要因となっているとの見方を示した。

4-6月期決算では、在庫調整に関連する費用も計上する見込みという。

トランスメタ株は、1ドル(7.35%)安の12ドル60セントで通常取引を終えたが、発表を受け、その後の時間外取引では、4ドル60セント(36.51%)安の8ドルと下げ幅を拡大している。

トランスメタ、『Crusoe』チップを高速化

(13 Jun 2001) CNET Japan Tech News
 米トランスメタ(カリフォルニア州サンタクララ)は、今月中に新しい『Crusoe』(クルーソー)チップをリリースする。米国のノートパソコンメーカーによる初の採用を狙う。

 トランスメタは13日(米国時間)、新しい『TM 5800』の性能は、従来製品の『TM 5600』に比べ50%向上すると発表した。新チップのクロック速度は今までで最高速になり、コード変換ソフトウェアの効率が向上し、高速なDDR SDRAMをサポートしたという触れ込みだ。これらの組み合わせにより、全体の電力消費量は20%減少するという。

 アナリストたちは、新チップの性能アップによって、トランスメタは新たなビジネスチャンスをつかめる可能性があると見ている。同社はこれまで、ミニノートパソコン向けの省電力プロセッサー製造に特化してきた。しかしこれまでところ、同社のチップを採用するのは、日本のノートパソコンメーカーだけだ。ちなみに、トランスメタの最初の製品は2000年1月に市場投入されている。

 米マーキュリー・リサーチの主席アナリスト、ディーン・マッキャロンは、「どんな部分であれ(トランスメタが)性能を向上させれば、競争力が高まる。これが他分野への進出につながる」と述べている。

 アナリストたちは、新しい高速チップによって、薄型軽量と呼ばれる大型のノートパソコン分野でもトランスメタ製チップが採用されるようになる可能性があると見ている。軽量薄型ノートはミニノートよりもはるかに人気がある。

 重さが1.4キロ未満のミニノートは、ノートパソコンの範疇に入る最も小型の製品だ。一方、薄型軽量ノートパソコンは、重さが1.8キロから2.3キロ程度で、フロッピードライブやCDドライブ用のスロットを装備している。また、ミニノートよりも大型の画面と高速チップを搭載している。ミニノートはドライブベイを装備していないのが普通だ。

 現行のCrusoeチップとなるTM 5600の最高速度は667MHz。トランスメタは近々、600MHzから800MHzまで3種類から4種類のTM 5800を発表する。低速バージョンは既存の同社顧客企業のミニノートに、高速バージョンはより大型の次世代ノートパソコンに搭載されると見られる。

 米インターナショナル・データ(IDC)のアナリスト、アラン・プロミセルは、「トランスメタはチップの性能向上で、ミニノート以外の分野にも手が届くようになった。高速と省電力を組み合わせたプロセッサーで、軽量薄型分野にも格好の足がかりが得られる。この分野は現在の市場の中でも、うまみのある分野だ」と分析する。

 しかしプロミセルは、これが一夜にして達成されることは望めないと言う。米国のノートパソコンメーカーは、痛い目にあうことを恐れ、新技術の採用には腰が重いことで悪名高いからだ。

 マッキャロンも、「トランスメタ製チップが広く採用を勝ち取るには時間が必要だ。通常は、1つの製品が企業の行く末をすっかり変えてしまうことはない」と述べている。

 トランスメタの幹部たちは、新市場の開拓には喜んで時間をかけると語っている。

 トランスメタのマーケティング責任者、エド・マッカーナンは、「(これからのノートパソコンに)最も重要なのはバッテリー寿命だ。今後6ヵ月から1年で、ノートパソコンにもワイヤレス(のネットワークおよび接続)が統合されることになる」と述べる。ワイヤレス化は、バッテリーへの依存度が高まることを意味している。

 マッカーナンは、消費者はノートパソコンを購入する際、ワイヤレス性能について尋ねるべきだと言う。「ワイヤレス化が進むと、何がノートパソコンに適しているかがすっかり様変わりするだろう」

 ノートパソコンのバッテリーは、通常2時間から4時間持続する。トランスメタ製チップを搭載したノートパソコンのバッテリー寿命は4時間から6時間だと謳われている。

 TM 5800の性能アップにより、トランスメタのコード変換ソフトウェアが新バージョンの4.2となる。コード変換ソフトは、米インテル製チップ向けに書かれた命令をCrusoeが理解できるような命令コードに変換するものだ。同ソフトは、コード変換作業を監視し、変換中に微調整も行う。また、何度も繰り返される演算の速度を上げるために、変換された命令をメモリに保存することもできる。これは、DDR SDRAMの到来で、Crusoe搭載コンピューターの速度が更に速くなることを意味している。

 日本の大手ノートパソコンメーカーはこぞってトランスメタ製チップを採用しているものの、米国のメーカーはまだ採用を思案している段階だ。米国メーカーは、新技術だからという理由でCrusoeチップを無視しているだけでなく、冷たくあしらうには他にも理由があるのだと述べている。たとえば米IBMは昨年秋、トランスメタ製チップはバッテリー寿命を大幅に伸ばすような省電力能力を持っていないという理由で、採用を一時棚上げにした(日本語版記事)

 さらに情報筋によると、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の『Athlon』(アスロン)チップ搭載のデスクトップとノートパソコンを販売する米コンパックコンピュータは、今月中に発表予定のミニノートパソコンに引き続きインテルチップを採用するようだ。

 しかしアナリストたちは、米国のノートパソコンメーカーが、インテルチップの代わりにミニノートにトランスメタチップを搭載するようになるのは時間の問題だと主張している。よりサイズが大きいモデルについては、インテルの代替製品として、AMDの『Athlon 4(日本語版記事)』という選択肢もある。

 ノートパソコン向け省電力チップのリーダーであるインテルは、今月末に低電力の新製品を披露する。発表されるのは新しい0.13ミクロン製造プロセスを採用したノートパソコン向けPentium IIIプロセッサー『Tualatin(日本語版記事)』(テュアラティン)だ。新チップにも省電力とクロック速度の向上が施されており、7月に出荷されると見られている。

サーバーに省電力MPU 日本メーカーも追従必至/米トランスメタ

2001.02.19 The Sankei Shimbun
 来日中のデービッド・ディッツェル米トランスメタ最高経営責任者(CEO)は十九日、米カリフォルニア州の電力危機などを背景に、米国のコンピューターメーカー四社が同社の省電力MPU(超小型演算処理装置)「クルーソー」をサーバー製品に採用することを決めたと明らかにした。

 クルーソーはソニー、NEC、富士通など日本のパソコンメーカーが昨年秋以降、ノートブック型パソコンに採用、米インテル製MPU内蔵パソコンに比べ一回の充電でより長時間動作するとして好調な売れ行きを示している。

 米四社がサーバーへのクルーソー採用を決めたことで日本メーカーにも同様の動きが広がるのは必至。MPUの世界標準を誇ってきたインテルは、モバイル分野以外でもトランスメタの追撃を受けそうだ。

 インテルが対抗策として発表した省電力MPUについて同氏は「動作周波数が300メガヘルツしかない」とし、性能向上が見込まれるクルーソーの敵ではないとの見方を示した。

Weeklyスペシャル:Crusoe(クルーソー)関連情報 (80件) (2000年)BizTech Web Guide


クルーソー問題で日立、富士通が「安全宣言」(2000年12月01日)CNET Japan Tech News

 米トランスメタのプロセッサー『Crusoe』(クルーソー)の不具合を受けて、自社製品を調査していた日立製作所は1日、同社が出荷した製品には不具合はないことを確認したと発表した。

 同社は先月27日に発売した『FLORA 220TX』に、一部ロットで不具合の出たTM5600 600MHzを採用しており、トランスメタとともに調査していた。その結果、日立には、製造上の不具合の可能性のあるプロセッサーは出荷されていないことが確認できた▽本体の出荷試験時にリカバリー動作確認を全数実施している――という2点から、日立製品には問題はないと結論した。

 一方、富士通も同日、「該当する不具合は無いということを確認」し、ウェブで告知した。不具合の原因となる一部のロットが富士通に納入されていないため。

NECが「クルーソー」搭載PCをリコール、不具合で

(2000.11.30) CNN.co.jp
東京(CNN) NECは30日、米トランスメタ社製の中央演算処理装置(CPU)「クルーソー」に不具合が生じる可能性があるため、同CPUを搭載したノートパソコンの一部製品について、12月1日から無償修理の受け付けを開始する、と発表した。29日の米店頭株式市場(ナスダック)では、「NECがクルーソー搭載パソコンのリコール検討に入った」との一部報道を受け、トランスメタ株は急落していた。

NECによると、無償修理の対象となるのは、10月17日発売の「LaVieMX」シリーズと10月25日発売の「LaVieG」シリーズの一部製品。クルーソーのロット不良のため、添付されているバックアップCDによる再セットアップ作業が正常に終了しないなどのエラーが生じる可能性があるという。対象台数は284台。

クルーソーの特徴は、「コードモーフィング」というソフトウエア技術で電力消費を調整することを可能にした点。最大手インテルの製品よりも消費電力が低く抑えられ、ノートパソコンや携帯通信端末などに適していると評価されていた。

トランスメタは今月7日に株式をナスダックで公開。クルーソーに対する期待を背景に、取引初日には公募価格の21ドルを大きく上回る45ドル25セントまで株価が値上がりした。ただ今月中旬以降は、ナスダック市場の低迷を受け、株価は軟調に推移していた。

29日の終値は、5ドル6セント(17.53%)安の23ドル81セント。その後の時間外取引では、さらに2ドル81セント(11.81%)安の21ドルまで下げ、公募価格に並んでいる。

Crusoe(クルーソー):ノートPCが続々採用する超低消費電力CPU

開発の陰にRISCの父とLinux創始者 [2000年09月25日(木)] 日経エレクトロニクス

 Intel社を脅かすベンチャー企業が現れた。その名はTransmeta(トランスメタ)社。同社が2000年1月に発表したx86互換CPU「Crusoe(クルーソー)」は,Intel社の支配が続くパソコン業界に大きな衝撃を久々に与え,熱狂的な支持を集めている。4月にはCompaq Computer社,AOL社,ソニーなどが同社への出資を決めた。

 AMD社やCyrix社など,これまでにもx86互換CPUを開発してIntel社に挑んだメーカーはある。しかし従来の互換CPUメーカーは,いずれもIntel製品と同様の性能を持つ互換品をより安価で提供する戦略で挑んでいた。この方法ではIntel社が自社の製品価格を下げ,低価格競争をしかけて来るとどうしても不利で,Intel社を脅かすには至らなかった。

 彼らとTransmeta社の違いは,価格ではなくIntel社の製品にない特徴を武器に市場の獲得を狙うというアプローチにある。その特徴とは低消費電力だ。

 Crusoeの消費電力は500MHz動作品で2W弱。Intel社のノートPC向けCPU「Mobile Pentium III」と比べても圧倒的に小さい。つまりCrusoeを使うと「ノートPCの電池駆動時間を5時間程度に延ばせる」(VAIOの次機種にCrusoeを採用するソニー)のだ。実際,ソニーをはじめ,NECや富士通,日立製作所,IBM社などが相次いでCrusoe搭載のノートPCの開発に乗り出している。今年の年末にはCrusoe搭載のノートPCがずらりと店頭に並びそうだ。

 DaveのアイデアをLinusが実現

 Crusoeを実現した技術を語るうえで,2人の天才の名前を忘れるわけにはいかない。1人はDave Ditzel(デイブ・ディツエル)氏。Ditzel氏は,1980年に世界で初めてRISC型CPUの論文を発表した技術者だ。PowerPCやCompaq社(元DEC)のAlpha,Hewlett-Packard社のPA-RISCといったRISC型CPUは彼の論文を基にしている。

 Ditzel氏は1995年,過去にないCPUを開発する目的でTransmeta社を設立した。当時のDitzel氏は,CPUの回路構造がどんどん複雑になっていく傾向に危惧をいだいていた。回路が複雑になればトランジスター数が増え,コストや消費電力の増大などデメリットが無視できなくなる。

 そこでDitzel氏は,回路は単純だが性能を高められるVLIW技術の応用を思いついた。VLIW技術は簡単な回路で複数の命令を同時に実行するため,CPU全体の構造をシンプルにできる。事実,Crusoeのトランジスター数(キャッシュを除いたロジック回路部)は280万個で,同条件のPentium IIIの約半分。回路が単純な分だけCrusoeの消費電力は小さい。

 ただし,VLIW技術を導入したCPUの命令セットはx86命令セットと根本的に構造が異なり,そのままではx86互換CPUは作れない。問題の解決のためDitzel氏がCrusoeへ盛り込んだアイデアが「Code Morphing Software」と呼ばれるエミュレーション技術である。Code Morphing Softwareはx86命令セットをVLIW命令に変換するソフト。Crusoe上に常駐して機能する。Crusoeは受け取ったx86命令をVLIW命令に変換して実行するのだ。

 このアイデアの実現に大きく貢献したのがもう1人の天才,Linus Torvalds(リーナス・トーバルズ)氏である。Linuxの創始者として知られる彼は大学時代までをフィンランドで過ごした後,1997年に渡米してTransmeta社に加わった。Code Morphing Softwareは,Torvalds氏を中心としたチームが開発した。

 Crusoeは同じ動作周波数のPentium IIIの少なくとも80〜90%程度のパフォーマンスを叩き出す。Crusoeがエミュレーションで動作している事実を考えると驚異的である。エミュレーション効率が悪ければ,いかに高速なVLIW CPUと言えども,従来のCPU並みのパフォーマンスは出ない。つまり,Crusoeの最も重要な技術はCode Morphing Softwareなのだ。

 ソフトエンジニアが会社の資産

 Torvalds氏がTransmeta社に参加した当時「ソフトウエア技術者の彼がなぜチップメーカーに?」との声も聞かれたが,Crusoeの完成にはTorvalds氏のような技術者が不可欠だったのである。

 Crusoeは単なる低消費電力CPUではない。Code Morphing Softwareを入れ換えるだけで別のCPUに変身するからだ。x86互換チップを足がかりに普及が進めば,今後の展開はいろいろ考えられる。実際,Transmeta社はJavaのバイトコードに対応したCode Morphing Softwareを組み込み,Javaチップとして動作するCrusoeを試作している。PowerPCの命令セット対応のCode Morphing Softwareさえ用意できれば,Crusoeを使ったMacintoshも夢ではない。

トランスメタ社の『クルーソー』チップ、ついに発表へ

(2000年01月17日)ロイター Wired News

 シリコンバレーでもきわめつけの秘密主義企業、米トランスメタ社が、今週ついに秘密をあかし、モバイル・コンピューティング機器向けの新プロセッサーを発表しようとしている。情報筋によれば、この新プロセッサーにはチップ設計で革新的な手法がとられているという。

 カリフォルニア州サンタクララに本拠を置く同社は、4年前の会社設立以来、公に姿を見せないことで知られた作家のサリンジャーさながらの秘密主義を貫いてきた。しかし19日(米国時間)にカリフォルニア州サラトガで行なわれる記者会見で、同社は期待されている『クルーソー』(Crusoe)チップにまつわる秘密をついに明かすことになる。

(途中略)

 情報筋やアナリストらは、トランスメタ社は、あらゆるプロセッサー・アーキテクチャーを真似できる、非常に電力消費の少ないチップを開発し、米インテル社の、広く使われているx86プロセッサー・アーキテクチャーに的を絞っていると考えている。これはつまり、標準的なパソコン・アプリケーションならどれでも、クルーソー搭載のノートパソコンや他のインターネット機器などで利用することができる、ということだ。

 同社は昨年、2つの特許を取得した。1つは『コード・モーフィング』技術。これは基本的には、プロセッサーにカメレオンのように振る舞わせ、(インテル社のx86命令など)任意のチップ・アーキテクチャーからの命令を、クルーソーのチップ命令に翻訳するという技術だ。

 またトランスメタ社は、性能向上と電力節約を実現する、いわゆるVLIW(超長語命令)エンジンの設計も行なったと考えられている。VLIWアーキテクチャーを使用したプロセッサーは、あらかじめすべてのコンピューターの命令を並列に実行できるように組織化するので、性能がぐんと向上する。標準的なチップ・アーキテクチャーでは、命令をチェックしたり取り出すのに行ったり来たりするため、モバイルシステムではバッテリーが食い尽くされてしまう。

 「インテル社のモバイルチップは10〜15ワットの電力を使用する。トランスメタ社のチップでは、1〜2ワットだと聞いている」とグエナップ氏は言う。しかし同氏は、複雑なコードモーフィング技術によって、プロセッサー性能が落ちるかもしれないとも聞いた、と指摘した。

 トランスメタ社に対抗すべく、インテル社は18日、ノートパソコン市場向けのより高速な『ペンティアム3』プロセッサーを発表する予定。これには、ノートパソコンでデスクトップパソコンと同等の性能を可能にしながらバッテリーの寿命を延ばす新技術『スピードステップ』が採用されている。

 トランスメタ社は、クルーソープロセッサーの生産は自社では行なわず、他社との契約によって行なうと見られている。先週『フィナンシャル・タイムズ』紙は、トランスメタ社が同社チップに関して米IBM社と契約を結んだと報じた。IBM社の広報担当からは、すぐにコメントを得ることはできなかった。

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