TOPIC No.3-39 バイオディーゼル燃料(BDF)

01. バイオディーゼル byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02. 拡大するバイオディーゼル燃料利用 by NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
03. まちのエコロジーステーション油藤商事株式会社
04. バイオディーゼル事業 byサンケァフューエルス株式会社
05. フィリピン ヤトロファ原料のバイオディーゼル大増産へ(2007.08.29)農業情報研究所(WAPIC)
06. 油脂作物ヤトロファ by OKINAWA BIODIESEL
07. ヨーロッパのバイオマス利活用と再生可能エネルギー(2008/04/04) 日経Ecolomy
08. TOPIC No.3-37 バイオエタノ−ル

次世代バイオ燃料で初飛行 NZ航空が年内に試験へ

2008年05月28日 中国新聞ニュ−ス

 【シドニー28日共同】ニュージーランド航空は28日、次世代バイオ燃料の原料として注目される多年生植物ヤトロファ(ナンヨウアブラギリ)から抽出した油を使用した飛行試験を年内に実施すると発表した。

 バイオ燃料は歴史的な原油高を背景に代替エネルギーとして急速に生産が伸びているが、トウモロコシなどの食用や飼料用の穀物から生産され、世界的な穀物価格高騰を招いたとの批判が強まっている。ヤトロファは食用でないため、食料供給に影響しない。

 同社によると、次世代バイオ燃料を使う旅客機の飛行試験で世界初となる。

 ヤトロファは生育が早く、やせた土壌や乾燥した気候に強い。油の質がよく、単位面積当たりの生産量は菜種の3倍。インドやアフリカなどで栽培されている。

 世界の航空会社では、英大手ヴァージンアトランティック航空が今年2月、ココナツなどを一部使用したバイオ燃料飛行に成功した。

航空機用のバイオ燃料開発へ〜ハネウェル、エアバスなど

2008年05月20日 usfl.com

 航空・宇宙機器大手ハネウェル・エアロスペースは、航空機メーカーのエアバスや航空会社ジェットブルーなどと提携して、航空機用バイオ燃料の開発を始めた。

 アリゾナ・リパブリックによると、開発はハネウェルの本社があるアリゾナ州フェニックスで行われ、同社製の補助エンジンの燃料に、水中の藻や低木ヤトロファ(セイヨウアブラギリ)など継続的に得られる生物資源から作ったさまざまな燃料を試す。小型タービンの補助エンジンは、主エンジンを停止させている間の航空機の電源となる。

 開発に成功すれば、高騰する化石燃料の代替品になり、航空会社の収益改善や運賃値下げにつながる。また、温室効果ガスの排出量を減らして地球温暖化の抑制にも貢献できる。

 提携企業にはほかに、石油化学製品を製造するハネウェルの子会社UOP、インターナショナル・エアロ・エンジンズも含まれる。

 開発グループは、食料不足やガソリン高騰に影響しないヤトロファなど次世代のバイオ原料の活用に重点を置く。トウモロコシなど現在使われている第1世代の原料は、大量の水が必要なことや食料供給との兼ね合いが批判を招いている。原料は一般的に、燃料生産コストの約85%を占めるといわれる。

 エアバスは、世界最大の商用航空機A380で代替燃料を試験運用しているが、燃料には化石燃料や液化天然ガスが混合されている。エアバスやジェットブルーは、環境保護型の航空燃料を活用することで、コスト節約のほか、温暖化ガス排出量の将来的な規制に対処する考えだ。

ヤトロファ栽培に挑戦、バイオ燃料の新原料に 三田

2008/05/07 神戸新聞NEWS

 干ばつや、穀物を原料とするバイオ燃料の生産拡大などを背景に食糧価格の値上がりが続く中、熱帯有用作物を研究する三本木一夫さん(50)=三田市=が“夢の植物”ヤトロファの栽培に挑戦している。果実から取れる油は車の燃料などに使えるが、食用には向かないため、食糧価格の高騰を招く恐れがないという。欧州の企業が関心を示し、種子サンプルの請求が相次いでいる。(新開真理)

 ヤトロファ(ナンヨウアブラギリ)は中米原産の植物で、東南アジアやアフリカに自生する。

 三本木さんは三田市で神戸熱帯農業研究所を営む傍ら、植物燃料の開発に取り組む東京の企業でアドバイザーを務める。この企業の事業として、昨年からインドネシアとフィリピンの計三十ヘクタールで苗を試験栽培。ヤトロファの栽培技術の確立と優良種の選抜を目指している。

 種子に含まれる油分は石けんの原料になるほか、ドイツでは火力発電に利用。ダイズやナタネに比べ生産性が高いため、バイオ燃料の新たな原料としても注目されている。

 果実に毒がある種類が多く、食用には不向き。やせている土地でも育つため「使っていない荒れ地を転用でき、森林を伐採せずにすむ」という。

 食糧問題は七月の北海道洞爺湖サミットでも主要議題になる見通し。三本木さんは「コストや収量面での課題を解決し、環境保全にも役立つヤトロファを広げたい」と意気込んでいる。

DOWAエコがバイオディーゼル事業化 廃食用油を再生

2008/05/05 FujiSankei Business i.

 ■岡山市と共同 軽油代替に

 DOWAホールディングスの子会社、DOWAエコシステム(東京都千代田区)は、岡山市と共同で使用済み食用油からバイオディーゼル燃料を製造する事業に乗り出す。岡山市内から回収した使用済み食用油を再生し、ごみ収集車などの燃料として使用する計画だ。官民が協力し、資源を地域で再生利用する試みとして注目される。

 バイオディーゼル燃料は、生物由来油からつくられるディーゼルエンジン用の燃料。化石燃料である軽油の代わりに使えるため、地球温暖化対策や資源の有効利用策として、日本でも導入が進められている。

 計画では今年7月に新会社を設立し、岡山市内にバイオディーゼル燃料を製造する設備を建設する。投資額は約2億円を予定。操業の開始は来年4月になる見込み。製造能力は年間1200キロリットル。

 同新会社は岡山市内の一般家庭や飲食店、工場などから排出される使用済み食用油を回収し、これをもとにバイオディーゼル燃料を製造する。燃料は主に岡山市のごみ収集車などの軽油代替燃料として使用。このほか外販にも乗り出したい考えだ。

 また、今回の取り組みは、岡山市が国連の採択を受けて推進している「ESD」(持続可能な開発のための教育)に活用することも検討している。

 バイオディーゼル燃料は、すでに一部の自治体がバスなどに利用する試みが始まっている。技術的課題が残されているものの、海外ではガソリンスタンドで売られている国もある。

 生産量が拡大するバイオ燃料をめぐっては、食品価格に及ぼす悪影響から見直す動きも出ている。ただ、使用済み食用油を有効活用する今回の試みは、弊害がないだけに地域の期待も大きい。

黄色の海…菜の花畑初公開 栗原・細倉金属鉱業

2008年05月04日 河北新報

 宮城県栗原市鶯沢の細倉金属鉱業が、同社の入釜沢たい積場で栽培している菜の花が見ごろを迎えた。鉱石と一緒に採掘された岩を砕き、埋め立てて覆土した約1万平方メートルに、一面鮮やかな黄色い海が広がっている。

 同社は、たい積場の有効活用と、バイオディーゼル燃料(BDF)の原料となる菜種油の生産を目的に、2005年から菜の花の栽培を進めている。BDFは社内のフォークリフト燃料に使用される。今年は菜種油800リットルの製造を見込む。

 菜の花畑は今年初めて一般公開された。畑にはチョウが舞い、訪れた市民らは、穏やかな風に揺れて咲き誇る菜の花をじっくりと眺めていた。

 見ごろは今月中旬ごろまでで、7月中に刈り取る予定。大型連休中と土・日曜は午前9時から午後5時まで公開する。

宮古市もバイオ燃料導入

2008年05月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

廃食油が原料 資源回収車に

 宮古市は30日から、使用済み天ぷら油などの廃食油から作ったバイオディーゼル燃料(BDF)を、資源回収車用の燃料として使用を開始した。県内の13市で、公用車の燃料にBDFを導入したのは盛岡市や北上市などに次いで6番目。

 軽油の代替燃料として注目されるBDFは、軽油引取税がかからないため、軽油より安いうえに、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出も削減できる環境に優しい燃料だ。市は、市内のBDF精製会社「エコワン」(勝山信二代表社員)からBDF1リットルを約100円で購入する。

 同市は、資源回収用のトラック7台を保有している。当面は3台分の燃料として月500リットル程度のBDFを購入し、その後は使用状況を見ながら拡大することも検討する。

 BDFの使用開始にあたり、熊坂義裕市長は「家庭で不要になった油が新しい燃料に生まれかわる。役所としても積極的に使っていきたい」と語った。

バイオは飢餓に貢献 FAOが生産奨励に同意

2008年04月30日 Sao-Paulo Shimbun

 バイオエタノールに概して批判的な見方がされる中で、世界食料機構FAOは、エタノール、バイオディーゼルは生産が家族農業奨励政策に従い、融資が強化され国際的に農業保護政策の目的に沿っている限り、飢餓対策に貢献できるとの見方を表明した。しかし、反対の場合には食料安全政策には危険であるとした。

 グラジアーノFAOラ米、カリブ代表はこのリスク観念に同意を示すと同時に、現在の産品価格の上昇に対する対策として、バイオ燃料を根絶することは意味がない、解決策は生産性の増大にある、とした。

 肥料が大豆の生産費のコストに35%から40%も占めるように高価では、ここ数か月間に相当値上がりし、植え付けを断念させるほどになってしまっている大豆の最終価格を一層高くしてしまうと、注意を喚起した。

 

パーム油10%混合が最適 産総研、DME燃料発電システム

2008/04/29 FujiSankei Business i.

 産業技術総合研究所(産総研)は、バイオ燃料を混合したジメチルエーテル(DME)を燃料とした発電システムを開発、400時間の耐久試験に成功した。DME燃料は天然ガスなど複数合成可能な液化ガス燃料で、排気ガスのクリーン化技術に期待されている。今回は潤滑油としての機能性が高いパーム油を混合し、その割合では10%が最適であることが分かった。

 DMEは、燃焼時にすすや硫黄酸化物(SOX)を発生せず、ディーゼルエンジンの大気汚染対策に有効な非石油系新燃料に期待されている。

 しかし、DMEは天然ガスや石炭といった化石燃料から製造されるため、原料段階も考慮するとCO2削減効果が決して高くないほか、その燃料特性から、ディーゼルエンジンに使用する際は潤滑性向上剤の添加が必要になっていた。

 一方、植物を原料とし抽出精製されるバイオ燃料はCO2削減効果は高いものの、すすなど大気汚染物質の排出は、DMEほどの優位性はなく、酸化安定性や低温流動性が低いといった課題を抱える。

 実験結果から、バイオディーゼル燃料として、潤滑性向上にも役立つパーム油メチルエステルを10%混合したDMEが最適燃料と判明した。

 災害対策用や外食産業向け小規模商用施設への需要を想定しており、産総研では「排ガスがきれいで燃費のよいDMEディーゼルエンジンの普及により、地球温暖化対策に貢献できる」としている。

白老にバイオディーゼル工場…廃食油を原料

2008年04月29日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 廃食油から軽油の代替となる「バイオディーゼル燃料」を製造・販売する「エポック・サービス」(本社・函館市、吉田孝社長)は、白老町の工業団地内に白老工場を建設した。来月にも本格稼働する。廃食油を原料として1か月で9万リットルのバイオディーゼル燃料を生産することが可能で、生産能力は道内最大規模だ。2009年2月ごろまでに工場設備を増強し、生産能力を倍増させる予定。

 原料となる廃食油は、同町の一般家庭や道央圏の飲食店、食品加工工場など70〜80か所から回収する。生産したバイオディーゼル燃料は、自治体や民間の運送会社などへ、軽油価格と同程度か、やや安価で供給する方針。

 隣接地を取得して、ヒマワリや菜種を栽培、食用油を生産・販売し、使用後に回収する計画も立てている。

 同社では「現在は廃食油の回収が十分ではないが、今後、回収先を拡大して生産量を安定させていく」としている。

コープさっぽろ 宅配車をバイオ燃料で 7日から十勝で実験

2008/04/29 北海道新聞

 生活協同組合コープさっぽろ(札幌)は二十八日、バイオディーゼル燃料(BDF)を使った宅配トラックの走行実験を五月七日から帯広地区で実施すると発表した。実験結果を踏まえ、二〇〇九年度からBDFでの走行区域を全道に拡大する方針だ。

 BDF製造のエコERC(帯広)の協力を得て、帯広市と十勝管内幕別、広尾両町で実施する。帯広の宅配センターに専用の給油スタンドを設け、〇九年三月末までBDFでトラック三台を走らせる。

 また、十月からは全道の組合員からBDFの原料になる廃食油を店頭などで回収。店舗で使用した廃食油と合わせ、年間四十万リットルの回収を見込み、トラック百二十台分の燃料に当たる三十七万リットルのBDFを精製する。

 実験の目的は、宅配事業で使用しているトラックの軽油消費量を減らして、二酸化炭素の排出量削減につなげるため。エコERCが同管内豊頃町に道内最大級のBDF製造工場を建設したため、帯広地区での実施を決めた。

 二酸化炭素の排出量削減については、トラック三台による実験期間中で三十六トンを見込む。回収した廃食油からBDFを精製し、トラック百二十台で利用すれば、年間九百七十トンの削減が期待できる。

 またBDFは軽油より割安のため、燃料費も年間五百万円程度削減できる。同生協は「将来的には札幌にBDF製造工場を建設してもらい、宅配事業のトラック全七百七十台で使用したい」と話している。

日本触媒、廃棄物のほとんど出ないバイオディーゼル燃料製造固体触媒プロセス

2008年04月28日 NIKKEI BP NeT

 日本触媒は、植物油脂を原料とするバイオディーゼル燃料とグリセリンの併産製造方法に関して、新規の触媒と製造プロセスを開発した。廃棄物がほとんど出ず、従来の製造方法と比較して、設備費を約10%、変動費を約15%削減できる。

 バイオディーゼル燃料とは、菜種油やパーム油のような植物性油脂(バイオマス)を化学変換して得られる脂肪酸エステルを指す。「化石エネルギー」である軽油と性状が似ているため、ディーゼル燃料として使えば地球温暖化の一因となるCO2の排出量を削減できることから、近年「再生可能エネルギー」として注目を集めている。

 しかし、均一系のアルカリ触媒を使う従来の製造方法では、触媒の分離、回収、再使用が難しいため、触媒を分離する操作で多量の廃液と固形廃棄物が発生する。また、石鹸が副生することによって収率が低下し、製品としては損失になる。さらに、副産するグリセリンが低品位であり、有効利用するためにはさらに精製する工程が必要になる。

「全国菜の花サミット」 5月17、18日に大町市で

2008年04月26日 信濃毎日新聞

 菜種油や廃食油を原料とするバイオディーゼル燃料(BDF)の普及などに取り組む全国の団体や個人が集まり、地球温暖化防止や循環型社会づくりを考える「第8回全国菜の花サミット」が5月17、18日、大町市内で開かれる。県内での開催は初めて。各地の活動報告やシンポジウムを通じ、地域からの温暖化対策をアピールする。

 初日は、JR信濃大町駅前をバスで出発し、同市中山高原の菜の花畑や残雪の北アルプスを楽しむエコツアーを計画。午後2時から、主会場の大北農協会館アプロードで全体会を開く。

 「菜の花プロジェクト」などの名前で活動する全国約150団体と連携、情報提供などを行うNPO法人「菜の花プロジェクトネットワーク」(滋賀県安土町)の藤井絢子代表が「温暖化防止と循環型社会を地域から」と題し基調提案。大町市で活動する「NPO地域づくり工房」も地元での活動を報告する。

 その後、菜種油を食油として使っているフランス料理シェフの石鍋裕さんらが参加し「食油文化を広げよう」のテーマでシンポジウム。夜は交流会も予定する。

 2日目は、菜種の生産方法やバイオ燃料の利用技術、循環型社会をつくるための政策提言のあり方−など11のテーマで分科会を開催。大会宣言を採択する。

 サミットは2001年に滋賀県で初開催。今回はこれまでに、須坂市、安曇野市など県内の市民団体や全国の自治体関係者ら約200人が参加を申し込んでいる。

 全体会と分科会の参加費は2000円(エコツアーと交流会は別料金)。問い合わせは実行委員会事務局の地域づくり工房(電話0261・22・7601)へ。

「 車に食べさせる」ための穀物生産にギモン

2008/04/25 swissinfo.cn

 スイスではナタネがバイオ燃料になることはほとんどない

 連邦農業局によると、増加するバイオ燃料の製造でスイスが食糧難になるとまではいわないものの、スイスにも影響を与える可能性がある。

 つい最近まで地球の温暖化対策の福音として崇められていたバイオ燃料が、人間の基礎食糧の価格上昇を招くようになり、批判の的になっている。

 バイオ燃料のための農作物が広く栽培されるようになった。二酸化炭素 ( CO2 ) の排出量が少なく、環境破壊が少ないことから、後ろめたさもあまりなく満タンにできたドライバーたちが、今度は食糧問題に心を痛めることになりそうだ。

採算性の問題

 現在、ハイチやエジプトで食糧の値上がりに暴動が発生するという事件が、大きなニュースとなっている。スイスの食糧自給率はおよそ6割。バイオ燃料の製造増加によるスイス国内への影響はどれほどあるのだろうか。スイスの農家はバイオ燃料へ生産を移行するのか。

 ディーゼルオイルの価格は1リットルにつき2.30フラン ( 約230円 ) 、ガソリンは2.70フラン ( 約270円 ) に上昇した現在、バイオ燃料用のナタネやトウモロコシの大量生産が大きな意味を持ってきた。しかしこれには、安価なバイオ燃料の輸入に規制措置が敷かれることが条件になる。連邦工科大学チューリヒ校 ( ETHZ ) がこのほど、連邦農業局 ( BLW/OFAG ) の依頼で調査した結果だ。

 バイオガソリンの末端価格を1リットルあたり3.70フラン ( 約370円 ) にするためには、スイス全土の耕地の8割が当てられる必要がある。それでも全消費量の8%をカバーする量しか生産できないという。

 連邦農業局の報告は、石油の高騰が食糧生産にも影響する可能性があると指摘する。「この調査は想定にすぎず、非現実的なシナリオだ。万が一、バイオ燃料用の農作物にスイスの農家の経営が移行するような兆候があれば、関税や税制面で対策が施されるだろう」

 と連邦農業局のエドアルト・ホーファー副局長はみているという。燃料価格が上昇すれば、食糧価格も上がる。よって、エネルギー用と食糧用の両方に農家は魅力を感じるはずだとホーファー氏は言う。

生産の初期段階

 「スイスでエネルギー用の農作物の栽培が大規模に行われるようになると、食糧の自給率を下げることになる。それを避けるために、結果として食糧用の農作物の栽培が狭い面積で集中して行われることになり、これがまた環境に悪い影響を与えるだろう」

 と連邦物質検査局( EMPA ) によるエネルギー製品と環境バランスを調査した報告書で指摘し、スイス産のナタネをエネルギー用として生産することは環境面では良くないと結論付けた。

 例えば2006年のスイス国内におけるバイオディーゼルの生産量は約9000トンと、スイスにおけるバイオ燃料の生産は初期段階、もしくは試験的段階にあると連邦農業局は見ている。現在バイオ燃料を給油できる車は国内に4000台。アメリカやオーストラリアのようにバイオガソリンの給油スタンドが全国に行き渡るまでには、まだまだ遠い。

 こうした問題もある中、連邦政府はバイオ燃料の生産を促進し、競争力を持たせる方針にある。2007年春期の連邦議会では従来の石油や液体ガスの課税を軽減しバイオ燃料は非課税とすることに決めた。

 さらに、国内でのバイオ燃料の生産を促進し、国内生産が不足した時点で輸入を検討することを要求したが、政府は国際貿易協定に違反することなどを理由に挙げ、議会の要求は退けた。今年半ばに発効する輸出規定でも、バイオ燃料の輸入規制は定めないと決定している。swissinfo、コリン・ブクサー 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 訳

米・ブラジル企業、サトウキビ由来のディーゼル用バイオ燃料開発へ

2008年04月24日 AFP BB News 発信地:サンパウロ/ブラジル

【4月24日 AFP】米国とブラジルの企業は23日、サトウキビ由来の新たなディーゼル用バイオ燃料の共同開発に乗り出すと発表した。

 バイオ燃料開発などを手掛ける米アミリス(Amyris)のジョン・メロ(John Melo)CEOは、抗マラリア薬として知られるアルテミシアを研究していた同社の研究員が、新たな燃料の生産方法を偶然発見したと説明。その技術を用いれば多様な燃料を作ることができるが、ブラジルのCrystalsevと共同でディーゼル用燃料を作ることを決めたという。ディーゼル用燃料はガソリンの2-3倍の需要があることが理由。

 メロCEOはサトウキビから作られるこの新たな燃料を「バイオディーゼル」と呼ばないでほしいと述べた。この用語はすでに、油を含む穀物から作られる燃料に対して適用されているからだ。

 両社はまず1000万ドル(約10億4000万円)を投じてブラジル・サンパウロ(Sao Paulo)に事務所を開設するとともに、新燃料実験用の工場を建設するという。(c)AFP

バイオ燃料:給食廃食油で製造 富士・知的障害者就労支援施設、収入源に /静岡

2008年04月19日 毎日新聞 地方版 Mainichi INTERAVCTIVE

 ◇利用者14人の収入源に

 富士市大野新田の知的障害者就労支援施設「まつぼっくり」(萩原久江所長)で学校給食の廃食油を主原料としたバイオディーゼル燃料(BDF)の製造が17日始まった。市が買い取ってごみ収集車の燃料に使う準備を進めている。施設利用者の自立に向けた収入増と、環境への負荷を少なくする一石二鳥の取り組みだ。

 BDFは軽油の代替燃料として利用でき、黒煙が出にくく、硫黄酸化物もほとんど出ない特性から、環境にやさしい燃料として全国で広がりを見せている。

 今回導入した装置は廃食油100キロとメタノール20キロ、カセイソーダ1キロを混ぜ、1日90リットルのBDFを生産する。廃食油を加熱せず常温のまま粘度を下げるなどの処理が自動的にできるのが特徴。

 「まつぼっくり」を運営する市社会福祉協議協議会が、利用者14人の新たな収入源として導入した。当面、市内の小中学校39校のうち22校から廃食油を回収し原料に充てる。今夏からは、市内のスーパーを回収拠点に家庭で使われたてんぷら油なども集める計画だ。

 「まつぼっくり」では従来、自前のクッキー製造販売の他、トイレットペーパーの巻き紙などの単純作業を受注してきた。萩原所長は「仕事の幅が広がり、利用者の意欲がわいている。廃食油集めでのあいさつなどでコミュニケーションが図れるうえ、仕事の手順を自分で考えることで就労にも結びつく」と話す。担当職員の藍川博男さんが、装置を作った「BDF」(東京都墨田区)で研修を受けており、運用に万全を期す。

 装置はリースで月額6万円。作業棟は木造平屋36平方メートル。建設費約600万円のうち578万円を県の補助金で賄った。【安味伸一】

ごみ収集車にエコ燃料 広島

2008/04/19 中国新聞地域ニュース

 広島市は、使用済み食用油や植物を原料とし、地球温暖化への影響が小さいとされるバイオディーゼル燃料を、ごみ収集車に試験的に導入する。「温暖化対策行動元年」で位置付けた2008年度の対策の一つ。民間にも使用を呼び掛ける。

 家庭用一般ごみの収集車6台を対象に、7月から来年2月まで実施する。国の品質規格に基づき、軽油に5%のバイオディーゼル燃料を混合した「B5燃料」を使用する。B5燃料は販売店から購入するほか、市がモデル実験で回収する家庭用の使用済み食用油を業者に委託し、精製する。

九州初のバイオ燃料スタンド

2008/04/16 RKB毎日放送

 暫定税率問題で、ガソリンや軽油の価格に敏感になっている方も多いと思います。

 福岡県久留米市では、通常の軽油よりさらに安い、ディーゼル車用の燃料を販売する給油スタンドができました。

 使用済みの食用油を再資源化した、バイオディーゼル燃料を軽油と混ぜて販売する九州初のスタンドです。

 きょうから営業を開始した、BDF=バイオディーゼル燃料の給油スタンドは、久留米市梅満町の工業団地の中にあります。

 午前10時前には、契約している企業のごみ収集車に早速36リットルを給油しました。

 ここで販売されている燃料は、使用済みの植物性の食用油から造られたバイオディーゼル燃料と軽油を混ぜたものです。

 大手外食チェーンの店舗などから出た廃油を、スタンドに隣接するプラントに集め、バイオディーゼル燃料に精製しています。

 先月から、自社を含めた複数の企業のディーゼル車に使用したところ、品質に問題はなく自動車燃料としての検査基準もクリアしました。

 「B‐100」と表示された混じり気のない、100パーセントのバイオディーゼル燃料は、運送会社など事業者用の卸販売扱いとなります。

 一方、給油スタンドでの一般向けの販売は、軽油95パーセントとバイオディーゼル5パーセントを混ぜた混合油です。 顧客以外に価格は明らかにしていませんが、付近のガソリンスタンドの平均よりも1リットルあたり数円安く設定されています。

 九州経済産業局によると、一般向けに小売するBDFの給油スタンドは九州で初めてです。

 運営会社は、ひと月に50キロリットルの廃油を集めたいとしていますが、現在はまだ20キロリットルしか集まっていません。

 来月から回収する廃油の量は、大幅に増える見込みですが、量が安定するまでは事前に登録した個人や企業を対象に給油することにしています。

ヒマワリ種のバイオ燃料、筑波大ベンチャーが三井物産と販売

2008/04/08 NIKKEI NeT

 筑波大学発ベンチャーのサンケァフューエルス(茨城県土浦市、若林恒平社長)は三井物産と組み、ヒマワリの種から造ったバイオディーゼル燃料を24日から一般向けに販売する。山梨県富士吉田市にスタンドを設置し、トラックや建機などの利用を見込む。

 国産バイオディーゼル燃料は、滋賀県豊郷町の油藤商事が廃食油を使い一般向けに先行販売している。サンケァ社によると、植物油を直接使ったバイオ燃料のスタンド販売は全国初。軽油との混合率は5%。1カ月で50キロリットルの販売を目指す。価格は未定。

DOWA、バイオディーゼル燃料製造を事業化(DOWA)

2008/04/08 IP NEXT

 DOWAホールディングスは4日、子会社であるDOWAエコシステムと岡山市が共同で使用済み食用油からバイオディーゼル燃料を製造する事業を実施すると発表した。2008年7月に新会社を設立し、2009年4月から操業を開始する。投資金額は2億円。一般家庭や飲食店、工場などから排出される使用済み食用油を回収し、BDF(バイオディーゼル100%)を製造。製造能力は年間1,200キロリットルで、主に岡山市のゴミ収集車などの軽油代替燃料として供給するほか、外販も検討する。

 DOWAグループは岡山を同事業における主要拠点としており、地球環境負荷低減への取り組みと新規事業の開拓を進めている。また、岡山市が国連の採択を受け推進しているESD(持続可能な開発のための教育)の取り組みのコンテンツとして、同事業を有効活用することも検討中。今後は農林水産省が実施する「バイオ燃料地域利用モデル実証事業」への応募も予定しているという。

DOWAエコ、岡山でバイオディーゼル燃料製造へ

2008年04月07日 The Chemical Daily

 DOWAホールディングスは4日、グループのDOWAエコシステムが岡山市と共同で、使用済み食用油からのバイオディーゼル燃料(BDF)製造事業を実施すると発表した。両社は7月に新会社を設立、来年4月から操業開始する。

 DOWAグループでは、エコシステム岡山(岡山市)が自動車シュレッダーダスト処理、エコシステム山陽が産業廃棄物(岡山県美咲町)処理を手掛けており、岡山県は主要拠点の一つとなっている。

 新会社はDOWAエレクトロニクス岡山(岡山市)内に設立される。2億円を投じ設備を建設、一般家庭、飲食店、工場などから排出される使用済み食用油を回収し、BDFを製造する。製造能力は年1200キロリットル。BDFは市のごみ収集車などの軽油代替燃料として供給するほか、外販も検討する。

食用廃油でレンタカー運行、中標津

2008年04月06日 釧路新聞

 地域の飲食店や家庭の食用廃油をリサイクルし、バイオディーゼル燃料を製造・販売している、中標津町のエナジー・ファクトリー・ミームの滝田英彦さんが、町内のトムソーヤレンタカー(小野隆司社長)と提携し、観光客向けのバイオディーゼル燃料レンタカーを走らせる。

 1台目は4月中旬から利用できるようになる。クリーンエネルギーとして注目されるバイオ燃料。「道東の自然を楽しみに道内外からやって来る観光客は環境問題に関心があるはず。知床や阿寒国立公園などへバイオディーゼル車で行ってほしい」と願っている。利用価格は同格のガソリン車と同じ料金で提供するという。

食料と競合しないバイオ燃料「ヤトロファ」 日、越、比で開発へ

2008.02.16 MSN産経新聞

 地球温暖化防止のために植物由来のバイオ燃料がブームとなっているが、この一方で穀物価格の高騰という弊害を招いている。そこで、注目されているのがヤトロファという中南米原産の樹木。毒性があるため食料にならない点がポイントで、新たなバイオディーゼル燃料(BDF)の原料として日本、ベトナム、フィリピンなどで商用化に向けた動きが始まった。

 中小企業の優れた技術の事業化を支援するNPO法人(特定非営利活動法人)である日本技術振興会(東京都港区)は、ベトナムでヤトロファを植林して、その種子を輸入。日本でBDFに加工して燃料として販売する事業に乗り出す。

 来年に2万ヘクタールを植林。12万トンの種子を輸入し、3万6000トンのBDFを生産する予定だ。ベトナムの国営商社などと植林契約を締結しており、日本で建設する工場の出資者を募っている。すでに農協や地方自治体が関心を寄せているという。

 同振興会の清水自朗理事は「日産200トン規模の工場建設費は6000万円。製品価格は1リットル80円程度で供給できる」とみている。

 都バスにパーム油を原料としたBDFを供給している日本植物燃料(東京都品川区)は、5月をめどに、BDFに関心の高い石油元売りなどの企業とフィリピンのヤトロファ農場とを契約させ、農場管理を受託する事業を開始する。

 合田真社長は「来年には5社程度、1社当たりで300〜500ヘクタールの農場管理を受託したい」と話す。同社は、ヤトロファ農場運営受託に専念し、「精油はパートナー企業に任せる」(合田社長)考え。2年後には1万ヘクタールの農場管理の受託を目指す。

 同社はすでに、インドネシアで現地財閥のモダングループと20ヘクタールのヤトロファ農園を経営中で、同グループが経営するニッケル鉱山採掘場跡地に表土を戻してヤトロファを植林する計画も進めている。この実績を見込んで、複数の石油元売り会社が関心を寄せているという。

 【ヤトロファ】中南米原産のトウダイグサ科の樹木。和名はナンヨウアブラギリ。ジャトロファとも呼ばれる。樹高は3mから8m程度。やせた土地でも成長が早く、干魃(かんばつ)や病気に強い。600ミリグラム前後の黒褐色の種子は油分が多く、種子重量比約3割の油が取れ、せっけんやロウソクの原材料になる。戦前にはインドネシアで日本軍による栽培計画もあったという。有毒成分を含むため食用にならないが、食料との競合が起こらないバイオディーゼル燃料の新原料として注目されている。

廃食油でディーゼル燃料 宮城・塩釜市、眠れる油田を活用

2008年01月02日 中国新聞ニュース

 水産練り製品の生産量日本一を誇る宮城県塩釜市で、名物の揚げかまぼこをつくる際に排出される廃食用油をバイオディーゼル燃料(BDF)に転換する官民一体の取り組みが注目を集めている。価格も1リットル当たり105円で「原油高で高騰している軽油より大幅に安い」と評判は上々だ。

 中心となっている塩釜市団地水産加工業協同組合によると、市内の揚げかまぼこの生産量は年間約2万トン。生産で出る廃食用油は年間50万リットル以上で、これまで県外の業者が買い取りペットフードの油脂成分やインクの溶剤にしてきたという。

 塩釜市はこの「港町の眠れる油田」に注目。2005年に同組合などと廃食用油によるBDF精製を推進する協議会を設立した。組合は環境省の補助金も得て06年、東北最大の精製プラントを魚市場に近い組合団地内に完成。同11月から稼働させた。

 BDFの利用は事前登録制だが、市の公用車のほか、運輸会社のトラックや一般家庭の自家用ディーゼル車も増え、登録車は150台を超えたという。

割安エコ燃料の人気急上昇 原油高で 姫路の障害者施設

2007/12/30 神戸新聞

 姫路市の知的障害者施設が、兵庫県内で市販に乗り出した軽油代替燃料「バイオディーゼル燃料(BDF)」に原油高の思わぬ追い風が吹き、人気を集めている。家庭や飲食店の天ぷら油など食用廃油を再生し、1リットル85円で販売。小売価格が130円を突破した軽油との差は開くばかりで、自治体に加え物流業界などコストに敏感な民間企業が次々と導入し始め、追随する福祉施設も現れた。担当者は「造っても造っても追い付かない」とうれしい悲鳴を上げ、原料となる廃油の提供を呼び掛けている。(直江 純)

 昨年八月、約八十人が利用する「姫路学園」(姫路市飾東町大釜)が、環境への負荷が少なく、製造や配送時の作業が障害者の職業訓練に適しているBDFに着目、約三百五十万円の製造機を導入し販売を始めた。

 県内では伊丹、淡路市などの自治体や豊岡市内の産業廃棄物業者なども手掛けるが、いずれも所有する車への利用などが多く、市販では同学園が草分け的な存在。加西市や姫路市など賛同する自治体と契約し、給食などの廃油を一リットル一円で譲り受け、製造した燃料を販売している。

 軽油は今春から急激に高騰。大口事業者向けは一般の小売りより安いとはいえ、製造開始時の九十円台が、現在は約百十円前後に跳ね上がった。BDFは当初、品質のばらつきや安定供給に課題があり、民間からは敬遠されがちだったが、改良が進んだこともあって原油高に苦しむ物流業界が関心を示し、同学園の販売先は百貨店の配送子会社など約二十社に増えている。

 トラック二台分にあたる月約七百リットルを購入する地元運送業者は「馬力も燃費も軽油と遜(そん)色(しょく)なく満足」と話す。

 神戸市北区の障害者施設でも今秋から製造が始まるなど好調の余波が広がる一方で、廃油の確保が追い付かないという問題も浮上。飲食店などを営業で開拓しているが、集まる廃油は月八千リットル程度にとどまっている。

 栄藤岩夫事業部長(52)は「多くの事業所では廃油を再利用する先が既に決まっている。一般家庭からの回収を増やし、地球温暖化防止に貢献したい」と、廃油を提供してくれる団体を募っている。姫路学園TEL079・262・0176

 バイオディーゼル燃料 食用廃油の不純物を除去し、メタノールと反応させた軽油の代替燃料。トラックや重機などディーゼルエンジンに使え、1リットル当たり32.1円の軽油取引税が免除される。燃焼時に出る二酸化炭素は原料植物が育つ際に吸収したとされ、地球温暖化の原因とはみなされない。排ガス規制対応の新型エンジンには使えないなどの課題もある。

大豆、34年ぶり高値・バイオ燃料向け需要増が影響

2007/12/28 NIKKEI NeT

 大豆油や豆腐の原料になる大豆の国際価格が34年ぶりの高値に達した。指標となるシカゴ商品取引所の先物相場は26日、1ブッシェル(約27.2キロ) 12.2075ドルで引け、終値での最高値を上回った。異常気象の余波で配合飼料需要が膨らんだ1973年6月の取引時間中の最高値12.90ドルをうかがっている。

 米国でのバイオ燃料向け需要の高まりが背景だ。原油高を受け、大豆から作るバイオディーゼル向け燃料の利用が増えている。米議会がバイオ燃料の使用拡大を盛り込んだ新しいエネルギー法案を可決、需要は一層増えるとの見方が多い。

【パリダカ】右京は環境問題考え“てんぷら油”で参戦

2007年12月25日 SANSPO.COM

 大会には97年にパジェロで日本人として初優勝を果たした篠塚建次郎(59)=日産パスファインダー=や、元F1ドライバーの片山右京(44)=写真、=トヨタ・ランドクルーザー、三橋淳(37)=同、カミオン(トラック)部門の菅原義正(66)、照仁(35)親子(日野レンジャー)らの常連も参戦する。

 右京は環境問題に力を入れる横浜ゴムの後援を受け、前回に続き、てんぷら油などからリサイクルしたバイオディーゼル燃料使用での参戦。前回は足回りやバッテリーなどさまざまなトラブルに見舞われながら総合68位、クラス19位完走を果たした。

 今回は耐久性、耐摩耗性、走行性能をより高めたヨコハマの特製タイヤを使用。上位を目指し、バイオ燃料でのモータースポーツの可能性を実証するとともに、環境に優しいエコタイヤの開発に貢献するつもりだ。

廃てんぷら油で運行 宮古島、丸筑タクシー

2007/12/22 琉球新報

 【宮古島】宮古島市平良の丸筑タクシー(下地栄一社長)は20日から、飲食店や家庭から出る使用済みのてんぷら油などから製造するバイオディーゼル燃料でタクシーの運行を始めた。二酸化炭素排出がほとんどなく環境に配慮した取り組みに加え、大幅な燃料費の削減も見込む。

 燃料製造は、同社の子会社として4月に設立した「エコ・ピット」(下地康子代表)が担当。1月と5月にバイオディーゼルの製造装置を1台ずつ購入し、市内の居酒屋やレストランなどから使い終わったてんぷら油を提供してもらっている。

 同燃料は二酸化炭素排出がほとんどゼロで、小児ぜんそく、酸性雨の原因とされる硫黄酸化物もほとんど排出されない。

 同タクシーが所有する15台のうち、20日から開始したのは1台だけだが、状況を見て台数を増やす予定。1日の燃料費は、従来から使用しているガス車が平均で1台約4500円に対し、バイオディーゼル燃料は、約3000円に抑制。年間で50万―100万円の燃料費削減を見込む。

 同タクシーの下地隆之専務(41)=エコ・ピット取締役=は「先島では輸送料もあるため燃料費が高く、何とか経費削減できないかと環境にも優しい燃料を考えた」と説明。乗務員の平良和秀さん(55)は「燃費も環境にも優しく、良い取り組み。前の車よりパワーがある」と話した。

 同社は「現在、3台分を運行できるほどしか油が集められず不足している。家庭から出る使用済みのてんぷら油を提供してほしい」と呼び掛けている。提供者には廃油で製造したせっけんを贈る。問い合わせはエコ・ピット0980(72)8293。

バイオ高速船で世界周航最速記録に挑戦 来年3月スペイン出港

2007.12.22 MSN産経新聞

 【ロンドン=木村正人】燃料は100%、地球に優しいバイオディーゼルという高速船「アースレース」が来年3月1日にスペインのバレンシア港を出航、世界周航の最速記録に挑戦する。ニュージーランド人のピート・ベシューン船長(42)は21日、ロンドンのテムズ川に停泊中の船内で「新記録を達成し、バイオ燃料が石油に代わりうることを示したい」と語った。

 これまでの最速記録は英国船が従来燃料を利用して1998年に樹立した74日と23時間53分。ベシューン船長は大西洋−パナマ運河−太平洋−インド洋−スエズ運河−地中海の約4万8000キロを航海して記録更新を狙う。

 前回の挑戦は、事故のため途中で断念した。

 船長が自宅を売り払って建造したという同船は全長24メートル、3胴艇型。最高時速90キロ。最大の特徴は燃料として大豆原料などのバイオディーゼルしか使わないことだ。バットマンシリーズの車、バットモビールを連想させる斬新なデザインで、大きな波が襲ってきても突き抜けて進む構造になっている。

軽油高騰でBDF(バイオディーゼル燃料)が人気

2007年12月18日 物流weekly

課題は「廃食油の安定確保」

 原油価格の高騰で先行きが見えない中、トラックなど大口の軽油ユーザーの間で、再び廃食油を使ったバイオディーゼル燃料(BDF)への関心が急激に高まっている。

 昨年8月にBDFの精製を開始した知的障害者入所更生施設「姫路学園」(兵庫県姫路市)でも徐々に廃食油の確保量が増えており、再生されたBDFが地元自治体のゴミ処理車に採用されるなど実績を伸ばしている。

 ただ、最大の課題は「最新の排ガス規制に対応しているトラックには使えない」(同学園の栄藤岩夫・事業部長補佐)という点。高騰する軽油価格の代替燃料としてだけでなく、だれもが環境に優しいと認めるBDFが、物流現場では使えないという矛盾も垣間見られる。

姫路学園で活躍する軽四ローリー

 昨年9月からBDFの活用を始めた百貨店配送の山陽デリバリーサービス(同市)はこのほど、およそ1年余りにわたって使ってきたBDFの利用を停止した。「BDFを使っていたトラックが(NOx・PM法によって)代替え時期を迎えてしまったため」と井奥和也・代表取締役は説明する。「5000km 走行ごとにフィルターを交換していれば何のトラブルもなく、『燃費もよくなってきている』というドライバーの声もあっただけに…」と残念そうだ。

 航空貨物やペット用品などを扱うシキトウサービス(同市)でも最初に活用した4t車が「制限時間」を迎えたことで現在、平成11年式の2t車と同 1t車の計2台でBDFを使っているという。同社は姫路学園のBDF事業に当初から関係しており、「定期的にフィルターを交換していれば問題なく、むしろ馬力を感じるくらい。ただ、いまのトラックが代替えの時期になればBDFを使えるトラックがなくなってしまうのが現実」と清瀬一郎社長。

 また、姫路学園とは別に、独自でBDFの精製に着手したのが競走馬輸送を手掛けるサラブエクスプレス(西脇市)。矢納利夫社長によれば「都市部にある競馬場への輸送業務などを考えれば、さらに積極的に環境問題に取り組む必要があると感じていた」という。精製装置を購入し、手のあいた運転者が廃食油を回収するなどしてBDFの利用を本格化させており、現在は大型トラック3台と乗用車で使用。「(てんぷらなどの)におい以外に問題はないが、課題は材料となる廃食油の安定した確保」と話す。

 一方、姫路学園が手掛けるBDFの単価はリッター85円。シキトウサービスの清瀬社長が「使い始めたころは軽油との差額が10円もなかったが、いまは大きな差となっている」と指摘するように、高騰を続ける軽油価格を横目に、トラック事業者がBDFへ関心を示すムードが高まっているのは間違いなさそうだ。

 ただ、「現行の環境法令によって代替えした車両には使えない」など当面する課題に加え、大阪府などで施行が予定される厳しい環境条例も踏まえれば、さらにBDFにとって逆風が強まりそうな状況にある。

 廃棄物を活用するという地球に優しい燃料と、それを使った環境に優しい取り組みに臨む企業の割り切れない思いが伝わってきそうだ。 

タイ、2月からバイオディーゼル燃料販売義務化

2007年12月13日 The Chemical Daily

 タイのエネルギー省は、来年2月にも従来の軽油へ植物由来のバイオ燃料を添加したバイオディーゼル燃料の販売義務化に乗り出す。同国ではバイオエタノールをガソリンに添加したバイオガソリン「ガソホール」の一般スタンドでの販売はすでに始まっている。今回の動きは軽油に添加したバイオディーゼル燃料の販売を法で定めるもので、来年2月以降は軽油100%の販売が禁じられる見通し。同時に販売で先行したガソホールについても、今後の普及促進を狙いに販売義務化に向けた動きが進展する可能性がある。(シンガポール支局)

代替燃料開発 活発に コスト、供給体制 課題

2007年12月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

「合成」、バイオ、廃食用油

 天然ガスを原料にした合成燃料や、廃食用油などを精製したバイオ燃料を普及させる動きが、東海地方の自動車産業で広がっている。将来の資源枯渇が懸念されるガソリンや軽油の代替燃料となりうることに加え、排ガスに含まれる粒子状物質(PM)や二酸化炭素(CO2)の削減で、地球温暖化防止など環境対策に役立つ、という期待が背景にある。(小野田潤)

 トヨタ自動車は今月4日から、昭和シェル石油や豊田通商などと共同で、天然ガスを原料とする合成燃料「FTD燃料」の実用化に向けた公道実験を始めた。日野自動車のディーゼルトラック2台にFTD燃料を給油し、豊田市内などを走行している。

 FTD燃料は市販車を改造しなくても使用できるのが特徴で、試験車両も改造を加えていない。理論上は、軽油に比べてPMを50%、一酸化炭素(CO)を20%削減できるという。

 日本の自動車産業向け拠点「オートモーティブセンター」を名古屋市に開設している米化学大手デュポンは、将来の主力商品として、トウモロコシを原料にしたバイオエタノールの開発を急いでいる。普及への最大の課題となっている精製コストを削減するため、触媒となる微生物やトウモロコシの遺伝子組み替えなどに取り組んでいる。

 デュポンの担当者は「バイオ燃料の原料としての需要が増え、トウモロコシ価格が上昇していることが課題だ。どの程度ガソリンと混合して使用するかなどを研究していく」としている。

 各社が、こうした取り組みに積極的なのは、ユーザーの環境意識の高まりに加え、ガソリン価格の高騰を受け、より安価な代替燃料の登場を消費者が求めているという事情もある。

 一方、トヨタ車体は、廃食用油を再利用してディーゼル車の燃料とする市民プロジェクト「バイオディーゼル・アドベンチャー」に車を提供するなどの支援をしている。

 写真家の山田周生さん(東京都練馬区在住)が、自家用車の荷台に小型精製プラントを積み込み、市民から集めた廃てんぷら油などを精製して世界一周を目指すという“草の根運動”だ。山田さんには「世界には食べ物がなくて困っている人がいるのに、穀物を代替燃料にするのはどうか」という問題意識がある。

 しかし、廃油は菜種油、オリーブ油、パーム油などが混ざっていることが多く、精製した燃料も品質が一定しない。トヨタ車体も「現時点で商業化は考えていない」としており、普及にはさらなる技術革新が必要だ。

 代替燃料の供給体制も課題だ。トヨタをはじめとする日系メーカーや、米3大自動車メーカーはすでに、サトウキビなどから精製したバイオエタノールを燃料にした車を、北米やブラジルで販売している。トヨタは「バイオ燃料の供給体制が整った国では需要がある」として、今後も途上国を中心に販売国拡大を目指す方針だが、日本での販売のめどは立っていないのが実情だ。

植物廃油を再利用 今月からごみ収集車燃料に 豊田市

2007年12月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

廃食用油の入ったコンテナ

 豊田市は今月から、天ぷら油など家庭から出る植物性廃食油を市内5か所のリサイクルセンターで回収、バイオディーゼル燃料(BDF)にしたうえ、試験的にごみ収集車の燃料として再利用することになった。7日は同市清掃管理課の担当職員が巡回し、これまでに市民から持ち込まれた廃油約150リットルを回収した。

 同市が試行するのは、BDF燃料化ができる植物性食用油に限って回収し、市のごみ収集車1台の燃料として再利用する実証実験。

 同市広路町のスーパー・ジャスコ豊田店など5か所のリサイクルセンターでは1日から、廃食用油の引き取りを始めた。同市清掃管理課では「軽油よりコスト高になるが、地球温暖化、資源の再利用という観点での取り組み。回収油の質や量をみながら、問題点も確かめたい」としている。

バイオディーゼル拠点をシンガポールに…フィンランド企業

2007/12/05 FujiSankei Business i.

石油精製ネステオイル、年産80万トンで2010年稼働

 フィンランドに拠点を置く石油精製大手のネステオイルは、軽油の代替となるバイオディーゼル燃料の生産工場をシンガポールに建設する。年間生産能力は80万トンで世界最大規模。地球温暖化防止に向けて東南アジア各国でも代替燃料の取り組みが加速しており、貿易や石油製品の物流拠点であるシンガポールを、バイオ燃料産業での新たな集積地にする戦略だ。(坂本一之)

 ネステオイルが4日までに公表した計画によると、シンガポールの南西に位置するチュアス工業地域に約5億5000万ユーロ(約891億円)を投じてバイオディーゼル燃料の生産工場を建設する。東南アジアや周辺地域で利用が進む代替燃料の需要増に対応する。

 2008年1〜6月期に着工し、10年までに生産を開始する予定。原材料にはアブラヤシの果肉からとる植物油のパーム油を使う。パーム油はマレーシアなど、周辺国から調達する見通しだ。

 同社はフィンランドのポルボー製油所に、同社初のバイオディーゼル燃料の生産プラントを建設して今夏に操業を開始。09年には2番目となる生産ラインの操業予定で生産設備を急ピッチで拡充している。

 先進諸国でバイオ燃料の需要が急拡大するとみているネステは、植物油や動物性脂肪などから生産するディーゼル燃料の世界最大メーカーになることを経営戦略に掲げており、東南アジアの物流拠点であるシンガポールに世界最大規模の生産工場を建設することで、販売網を強化する方針。

 シンガポールは石油精製や石油関連製品の拠点で地理的にもアジア地域の中心地にあり物流拠点としても適している。さらに、京都議定書に参加し政府が温室効果ガス削減に積極的で、ネステの投資計画でも研究開発センターや人材育成などをサポートする方針を進めている。このため、ネステはアジアのバイオ燃料生産の拠点になるシンガポールの潜在能力を評価し、建設を決めた。

 隣国のマレーシアでも政府がバイオ燃料産業の育成に取り組んでいるほか、タイやインドネシアでもエネルギー政策に盛り込むなど、パーム油を使ったバイオディーゼルやキャッサバを原料にしたバイオエタノールなどのバイオ燃料産業への投資が活発化している。

 ネステがもつ技術は既存の工業施設や港湾、貯蔵サービスなど、石油関連産業が整備している事業環境を、バイオ産業に転用・応用できるとして注目が集まっている。

               ◇

【用語解説】バイオディーゼル燃料

 植物や動物など生物油から精製して作られるディーゼルエンジン用の燃料の総称。Bio Diesel Fuelの頭文字からBDFと略される。パーム油のほか菜種油、オリーブ油、大豆油などからも作られ、排ガスに含まれる有害物質の減少がみこめる。一部は軽油と混合して使用される。京都議定書では生物由来の燃料は、二酸化炭素(CO2)排出量が計上されない規定だ。

天ぷら油でGO! バイオ燃料車、今月にも公道へ

2007/12/05 神戸新聞

 環境に配慮したエネルギー源の実用化を目指す丹波市の特定非営利活動法人(NPO法人)「BFたんば」が、廃食用油から作ったバイオディーゼル燃料(BDF)を、メンバーの車に使用する準備を進めている。住民にBDFを身近に感じてもらう取り組みで、原料となる天ぷら油の回収も始めた。今月中にも公道を走る「BDFカー」がお目見えする。(太中麻美)

 同法人は、丹波地域で環境問題などに取り組むNPO法人や個人とともに「循環ネット」を組織。十月の「丹波市産業交流市」で試乗会を開くなど、BDFを紹介する活動を続けている。

 BDFは、排出ガスから硫黄酸化物や二酸化炭素を減らす効果があるとされている。同法人は、「イベントだけでなく日常的にBDFカーを目にすることで、多くの人に環境問題に関心を持ってもらいたい」と導入を計画。手始めに同法人の会員が所有する乗用車三台で運用し、ステッカーを張ってPRすることを決めた。

 三台の燃料をまかなおうと、市内の商店や事業者に天ぷら油の提供を依頼し、十一月初めから回収を始めた。油の精製は、京都市の製造会社に依頼した。今後、賛同者を増やし、月千リットルの回収を目指す。

 三台は同法人の会員の自家用車や、加盟団体の送迎車両などで、近く燃料を入れ替えて走行を開始する。同法人は市民にも天ぷら油を回収してもらう計画で、東間徴代表は「住民が定期的に集まりを持つことで、ご近所のつながりも強くなる」としている。今後は公用車にも活用するよう市に働きかけていくという。

バイオ資源の研究開発 神戸大が本格化

2007/12/04 神戸新聞

 神戸大学は植物などのバイオ(生物)資源を有効に活用するため、原料確保から低コストの生産技術確立、実用化まで一貫した研究開発に、国内で初めて乗り出す。今秋に開設した専門教育研究機関「統合バイオリファイナリーセンター」が、軽油の代替燃料・バイオディーゼル製造の研究プラントを年内に導入。内外の研究機関や企業と連携し、バイオ資源の次世代技術を世界に発信する。(段 貴則)

 同センターは、水資源や原料の植物の確保、効率よくバイオ燃料などを作り出す新しい微生物の研究、低コストでの量産方法まで一貫して取り組むのが特徴。大半の研究施設は、原料確保や製造など個別テーマにのみ取り組んでいた。企業なども交え総合的に研究し、バイオ燃料や製品の実用化につなげる。

 燃料分野ではバイオディーゼルに加え、二〇〇八年度にはガソリンの代替品となるバイオエタノール製造の研究用プラントを導入。三年後には、より大型の実証実験プラントの稼働を目指す。

 同センターは、近畿のバイオ関連企業や大学で構成するNPO法人「近畿バイオインダストリー振興会議」が運営を支援。副センター長の福田秀樹神大教授は「バイオ資源を生かしたものづくり分野では世界トップクラスの研究をやりたい」と話している。

 センター名の「バイオリファイナリー」は、石油依存の社会や経済構造から脱して資源循環型の社会を目指す概念。

成否の鍵廃食油確保

2007年10月29日 読売新聞 Yomiuri On-Line

米子のBDF・リサイクル運動

 使い古した天ぷら油など廃食油から精製され、環境に優しいとされるバイオディーゼル燃料(BDF)を、米子市が今月から専用のごみ収集車1台で使い始めた。BDFを製造するのは同市彦名町の知的障害者通所更生施設「吾亦紅(われもこう)」。障害者の自立支援と環境保全の両立を目指したユニークな取り組みで、昨年、NPO主導で始まったリサイクル運動だ。成否の鍵は、原料となる廃食油の確保で、関係者は支援の輪を広げようと模索を続ける。(米子支局 大櫃裕一)

 この取り組みを考案、指導しているのは同市のNPO法人・エコパートナーとっとり(大野木昭夫理事長)。県の補助金を受けて昨年8月、同市富益町の知的障害者入所授産施設「もみの木園」に1回で100リットルの廃食油から90リットルのBDFを精製できる装置を1台導入し、製造を開始。「吾亦紅」も同様に今年8月から製造を始めた。

 「もみの木園」は、園の食堂や入所者の家族、運送会社、飲食店、同NPO法人の関連企業などから1か月当たり1200リットルの提供を受け、BDFを県や民間企業などに販売。装置のリース料を売り上げで賄え、利益が出るまでにこぎ着けている。

 一方、後発の「吾亦紅」は、病院やホテル、食品製造会社など約20か所に協力してもらっているが、活動を始めて間もないため、集まる廃食油は1か月500〜600リットルにとどまっている。

 この量だと、装置を稼働させるのは週1回程度。市のごみ収集車1台分の燃料は十分に賄えるが、BDFを普及させ、収益を安定させるためには、もっと多くの廃食油が必要だ。

 支援員の足立圭さん(35)は「採算を考えると毎日でも動かしたいが、あちこちに頼んで回ってもなかなか集まらない」と言う。

 廃食油は、配合飼料や塗料など様々な工業製品の原料となるため、専門の業者が外食産業や食品製造業など大口の使用事業所に代金を支払って回収している。このため、吾亦紅などが廃食油を集めるには一般家庭や事業所有志の協力が欠かせない。同NPO法人理事で中海の水質保全活動を繰り広げている向井哲朗さん(66)は、「彦名地区環境をよくする会」の会長も務めており、同地区1200世帯に協力を求め、全15自治会に廃食油回収用のポリタンクを置いた。

 「一般家庭から回収すれば、生活雑排水に混じって川や海の水を汚染することはなくなる。家庭のごみも減量化できる」と力説し、市民の協力に期待する。

 市によると、BDF使用の収集車1台で削減できる二酸化炭素の排出量は年間8・4トン。市が市役所庁舎で冷暖房を節約するなどして削減した量21トン(2005年)と比較すれば、効果の大きさがわかる。

 障害者の自立支援にもつながるため、市環境政策課はBDF使用車を増やしたい考え。「廃食油を集める機運を盛り上げたい」と今月20日、陰田住宅自治会(50世帯)で初の説明会を開き、協力を取り付けた。

 今後、環境問題に関心が高い自治会などを対象に個別で協力を求めていく方針というが、行政支援は緒についたばかりだ。

 <BDF>軽油に比べ、排ガスの黒煙が3分の1、硫黄酸化物は100分の1以下で、環境への負荷が少ないという。原料の食用油は二酸化炭素を吸収する植物から作られるため、燃やしても二酸化炭素の排出量は「差し引きゼロ」となる。

松下電工 社員食堂の廃油をトラック燃料に採用

2007/09/10 The Sankei Shimbun WEB-site

 松下電工は10日、社員食堂で出る使用済み食用油から精製したバイオディーゼル燃料を、商品配送トラックの燃料として今月20日から利用すると発表した。

 大阪府門真市の本社構内にある2カ所の食堂から出る廃油を、精油会社のレボインターナショナル(京都市)に引き渡し、バイオ燃料の供給を受ける。

 食堂は1日に計5000-6000人が利用し、廃油から年間で4トントラック3台の使用量に当たる約7300リットルを精製できるという。

 今後、全国の他工場の社員食堂で出る食用油の再利用も検討する。

石油を上回る自動車燃料は現れるか

2007/07/04 日経Ecolomy

 地球温暖化の原因のかなりの部分は自動車に帰することができる。日本に限って言えば、運輸部門からの二酸化炭素排出量が2億6200万トン。これは、総排出量の約20%に相当する。もしも、運輸部門の排出を半減できれば、京都議定書に基づく日本の削減目標値、マイナス6%の達成も簡単である。

 バイオ燃料とは、ガソリンエンジン用の代替燃料であるバイオエタノール、ディーゼルエンジン用の代替燃料であるバイオディーゼル油の両者を意味する総称である。バイオ燃料がなぜ二酸化炭素の排出量削減になるか、それは、「カーボンニュートラル」という考え方に基づく。もともと、植物は大気中の二酸化炭素を吸収し、光合成によって炭水化物に変えることで成長している。そのため、植物のどの部分を使った場合でも、それを燃やして出る二酸化炭素はもともと大気中にあった二酸化炭素であると見なして、排出量に算入しないという約束ごとがある。これをカーボンニュートラルと呼ぶ。

■バイオ燃料の問題点とは

 バイオ燃料を使っている限り、二酸化炭素の排出量はゼロである。もしも自動車用の燃料をすべてバイオ燃料にすることができれば、地球の大気中の二酸化炭素は増加しないことになる。京都議定書のような国際的枠組みにも縛られず、自由にエネルギーを使うことができる。そのため、各国でバイオ燃料製造競争が始まった。ところが、このバイオ燃料は以下のような問題が山積みである。

 バイオエタノールの問題点:

(1)もともと、アルコール発酵によって作られる。すなわち、焼酎の原料になるような農作物が必要である。そのため、食料と競合関係にある。

(2)現在の農業は、化石燃料を大量に使用している。そのため、バイオエタノールを得るにも、化石燃料が必要である。

(3)食料とあまり競合しないような原料、例えばサトウキビを使ったとしても、土地が必要であることに変わりは無い。

(4)そのため森林が開墾され、地表での炭素蓄積量が減少。その分、大気中の二酸化炭素が増加する。

 バイオディーゼル燃料の問題点:

(1)自然林が、パームヤシなどの単一林になり、生物多様性が失われる。

 これ以外にも問題がある。それは価格の問題である。2006年の統計では、現在、米国が世界の53%のバイオエタノールを生産している。そして、米国のトウモロコシ農家は、完全にエタノールマネーに踊らされている。まず、シカゴ市場でのトウモロコシ価格が2倍になった。さらに、周辺農家で共同出資してエタノール工場を経営する例が119ヵ所あり、さらに、新増設も85ヵ所で進行中。全部稼動すると、生産能力は、現在の2倍の年125億ガロンにまで増加する。さらに、農地自体も投資の対象になっている。そのため、農地の評価額は、3年間で2倍になっている。このため、メキシコなどで食料用のトウモロコシ価格が上昇して、問題になった。

■バイオ燃料よりもガソリンのほうがエネルギー効率がいい

 もうひとつの問題が、エネルギー効率だ。バイオエタノールを製造するときに、もしも、大量の化石燃料由来のエネルギーを使うのであれば、それをそのままガソリンとして使う方が賢い使い方である。

 こんな観点からさまざまなデータが出されている。例えば、米国環境保護局の研究者が出したデータによれば、1という化石燃料を投入した場合に、得られるバイオエタノールのエネルギー量を次のように推定している。

 米国でトウモロコシを原料として作ったエタノールは1.3で、ガソリンをそのまま使った場合とほとんど変わらない。すなわち、エネルギー的にあまり意味は無い。それに比較すれば、ブラジルでサトウキビから作るエタノールは、かなりエネルギーのゲインがある。

 考えてみれば、当然かもしれない。サトウキビは、あまり化学肥料などを使わないでも育つが、米国中西部のトウモロコシは、地下水を電気でくみ上げ、GPSを付けたトラクターが化石燃料を使って農地を耕し、化学肥料をかなり大量に使用しているからである。

 このようにバイオエタノールは、環境負荷を下げる効果は低い。しかも、穀物を人と車が奪い合う形になることが最悪である。

 米国の大きなSUVなどは、人間の100倍ぐらい大食いである。世界には、現時点で8億台程度の車があるが、2050年ごろを考えると、人口も増え、同時に20%の人が車を所有するとしたら15億台以上の車が存在することになる。1台で100人分とすると、地球上の人口が1500億人ということになる。一方、地球上で養える人口の上限は、牛肉などを大量に摂取しなければ、120億人ぐらいは可能だとされている。車だけで、その限界を10倍も超えるのである。

 それならば、農業廃棄物を使ったエタノールならば良いのか。確かに問題は無い。しかし、農地を維持するためには、すべての農業廃棄物をエタノールの原料にすることは難しい。そもそもそれほど多くの廃棄物はでない。

 このような考察から、バイオ燃料は車の燃料としては、かなり限定的なものにしかならないことが分かるだろう。

■日本のバイオ燃料の状況

 日本のバイオ燃料の状況は、さらに混迷の極みである。現在、経産省、農水省、環境省が三つ巴でバイオエタノールプロジェクトを進めている。農水省に至っては、2030年ごろまでには、日本のガソリンの10%の600万キロリットルのエタノールを日本で作ることができるとしている。

 ところが石油連盟は、エタノールをガソリンに混ぜることに反対している。品質の維持ができない、ということが表面上の理由であるが、実際には、その分売り上げが減るからである。そこで、「ETBE」という化合物をエタノールから合成して混ぜるという方法論を主張している。しかし、ETBEは有毒性の液体であり、もしも大量に漏れたことを想定すると、とても安全な方法だとは言えない。

 発想を全く変えて、日本海の大和堆で1万平方キロの海域(100km四方!)を確保し、海草を育てて、それから燃料を作ろうという計算もなされている。なんと、2000万キロリットルが供給可能ということで、これは現状で30%の自給が可能だということを意味する。もしも、車自体を改善し、燃費を3倍にすれば、全量の自給が可能になる。詳細は不明だが、どうやら発酵法は採用しないらしい。しかし、常識的に考えて、どうやって海草を集めるのか、海草に含まれる水分をどうするのか、セルロース・ヘミセルロースの分解をどうするのか、アルコールをどうやって作るのか、などクリアーすべき課題満載状態だろう。

 現状だと、車は、やはり化石燃料というきわめて便利でかつ安価な資源のおかげで成り立っているといわざるを得ない。すなわち、ここで何ら変革が行われないと、車文明は、化石燃料があと300年程度で完全に枯渇してしまえば、終焉を迎えるべきもののように思える。いやいや、そこまで持たない可能性もある。

 いずれにしても、バイオ燃料は正解では無さそうである。地球が先に壊れそうだからである。

■バイオ燃料以外の選択肢は?

 人によっては、水素がある、と言うだろう。しかし、水素が自動車用燃料として実用化されることはまず難しい。水素をどうやって作り、どうやって車に供給するか、その道筋がはっきりしていないからである。昨年のNEDOの報告書によれば、水素燃料電池車ができたとしても、水素を作るときに排出される二酸化炭素量は、プリウスから排出される二酸化炭素量よりも多い。しかも、水素燃料電池車の価格は、プリウスどころではない。

 加えて、水素の最大の欠点は、気体だということである。貯蔵を考えると、液体燃料というものが最高の選択肢だ。将来なんらかの方法で水素が得られれば、石炭を原料として合成液体燃料が使われることになるだろう。

 日本では環境先進国といわれているドイツでも、最大の問題は、車である。自主協定ではあるが、2008年までに140gCO2/kmまで二酸化炭素排出量を抑える約束がある。しかし、ドイツのメーカーでこの数値を満足させることができるメーカーは無いだろう。最近のドイツ車は重過ぎる。もっと軽量で燃費のよい車を作るべきである。ドイツ人の環境マインドも、やはり本物では無いのである。ドイツが環境先進国かどうか、それ自身も怪しい。

 EU委員会では、2012年の目標として、120gCO2/kmをすでに掲げており、軽量化・エンジンなどの改善で130gCO2/kmを達成し、10gCO2分は、バイオ燃料で実現しようと目論んでいる。この程度のバイオ燃料の使い方が妥当なところだろう。

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安井至(やすい・いたる)

国際連合大学副学長、東京大学名誉教授。1945年東京都生まれ。東大工学部卒。環境科学(環境負荷総合評価、ライフサイクルアセスメント、環境材料、グリーンケミストリー評価尺度)を専門分野とし、日本LCA学会副会長などを務める

BP、D1オイルズ、合弁企業設立へ−バイオディーゼル原料ヤトロファ*(Jatropha)を開発−

29 June 2007 BP

 BPとD1オイルズは29日、50%ずつの出資で、D1-BP Fuel Crops Limitedという合弁企業を設立し、ヤトロファの栽培を推進すると発表しました。

 ヤトロファは、食用には適さない油種のできる干ばつに強い木です。肥沃な農地を食用作物から奪うこともなく、熱帯雨林への悪影響もありません。より持続可能なバイオディーゼル原料をより広範囲で確保することが狙いです。

 BPの精製・マーケティング部門の最高経営責任者(CEO)、イアン・コンは、合弁企業について次のように述べています。

 「この合弁企業は、より持続可能で先進的な形で世界にエネルギーを供給することを目的とするBPの戦略をさらに一段階進めることになります。「輸送部門では、複数のバイオ原料の混合が、数少ない現実的な前進のための選択肢の1つになっています。BPは今週、英国ハル市に世界規模のバイオエタノール工場を、バイオブタノール実証工場に隣接して建設する計画を発表し、ガソリンに代わるバイオ燃料の幅広い供給が現実に一歩近づきました。

 今回の合弁企業は、バイオディーゼルの世界で同様の進歩を可能にすることでしょう。」合意に基づき、BPとD1オイルズは、向こう5年間で約1億6,000万ドルを投資する計画です。D1オイルズは、インド、アフリカ南部、東南アジアで経営している17万2千ヘクタールのプランテーションを、合弁企業のために拠出します。合弁企業は、D1オイルズの工場科学プログラムを通じて生産された、高品質のヤトロファ苗の独占的使用権を与えられます。

 BPバイオフューエルズの経営トップ、フィル・ニューは次のように述べています。

 「ヤトロファは、ほかの多くの植物に比べて、農地としての価値の低い土地で、少ない農業用水で栽培が行える優れたバイオディーゼル原料です。

 「D1オイルズがヤトロファの最も生産性の高い種を特定しているため、合弁企業は、1ヘクタール当たりのヤトロファ油の生産を大幅に増加する種を手に入れることができます。」合弁企業は主に東南アジア、アフリカ南部、中南米、インドを中心に、ヤトロファを栽培していきます。今後4年間で、100万ヘクタールに作付けが行われると見込まれています。

 その後の作付けは、年間30万ヘクタールと推定されています。自社の所有地または借地におけるプランテーションの直接経営に対して投資します。その過程で、投資先コミュニティで雇用を創出します。また、契約農家や種子の購入契約にも投資を行っていきます。

  D1オイルズの最高経営責任者(CEO)のエリオット・マニス氏は、合弁企業について次のように語っています。

 「これはD1オイルズにとっても、大きな転機となります。BPが、弊社とこの合弁企業を設立することは、持続可能なバイオディーゼルを作る原料として、世界規模でヤトロファを開発している我々の戦略を、BPが支持したという重要な意味合いがあります。

 「我々が大きく前進をしたことを示しています。実績あるBPが、物流、管理、資金面で支援してくれれば、ヤトロファの栽培が広がり、拡大のペースを大幅に速めることになります。」

 プランテーションで栽培したヤトロファ油は、地元のバイオディーセルの需要を満たすだけでなく、欧州などの海外市場向けにも利用されるでしょう。

 今後予想される環境規制の強化によって、バイオ燃料需要は2010年以降、年間約1,100万トンと見込まれており、国内の菜種油や廃油では賄いきれなくなることが予想されるからです。

  BPのフィル・ニューは次のように述べています。

 「すべて計画通りにプランテーションが整備された段階で、この合弁企業は世界最大の原料ヤトロファの生産者となると見込まれています。ヤトロファ油の推定生産量は、年間200万トンです。

 「この作物は耐久性が高いため、幅広いタイプの土地で栽培できます。発展途上国の農村部で栽培すれば、地元の雇用に意義ある影響を及ぼします。これは、 BPが理想としているお互いを利する関係の実現につながります。」

 編集者への注記:

 # D1オイルズは英国を本拠地とし、2002年に設立。2004年10月からAIM市場(ロンドン証券取引所の高度成長ベンチャー企業向け市場)に上場しています。

 # D1オイルズは国際的なバイオディーゼル・メーカーです。持続可能で、”earth-to-engine”(「地球からエンジンまで」)という同社の価値観を実現するための、国際的サプライチェーンとネットワークを形成しています。事業内容は、作物の栽培学、精製、商取引で、先端科学研究、栽培、食用以外の植物油の生産なども手がけています。

 Dまた、バイオディーゼル精製所の設計、建設、所有、操業、マーケティングのほか、種子、苗、種子油抽出かす、原料植物油、バイオディーゼルの原料確保、輸送、商取引を行っています。

 # BP、アソシエーティド・ブリティッシュ・フード社、デュポン社は、世界規模のバイオエタノール工場の建設に、約4億ドル投資する用意があることを、 2007年6月26日に発表しました。この工場は、ハイテクバイオブタノール実証工場に隣接して建設し、次世代のバイオ燃料の開発を推進していきます。

 *)Jatropha(ナンヨウアブラギリ)はヤトロファ、ジャトロファの両方の表記が見られますが、学名表記としてはヤトロファが一般的ということで、弊社ではヤトロファと記載し、以後統一することに致します。                 以上

英BP、インドネシアにバイオ燃料工場

2007年03月01日 NIKKEI NeT

 【ジャカルタ=代慶達也】英BPがインドネシアで年産35万トン規模の大型バイオディーゼル燃料工場の建設を計画していることが2日、明らかになった。同国はパーム油などバイオ燃料の原料となる植物資源が豊富なため、主に欧州市場向けの輸出拠点として整備する。東南アジア地域で欧米の石油メジャーがバイオ燃料生産に乗り出すのは初めて。域内で最大規模のバイオ燃料工場となる。

 インドネシアのエネルギー・鉱物省によると、BPはバイオ燃料工場と、原料を調達するための農園約10万ヘクタールの買収を計画。工場建設の初期投資額は約5000万ドル(58億円)程度とみられる。農園取得の費用は明らかになっていない。

バイオ燃料でラリー完走

2007/02/20 Daily sports online

 使用済みの天ぷら油から製造したバイオディーゼル燃料を100%使用したディーゼル車で、今年一月のダカール・ラリーに出場し、完走した元F1ドライバーの片山右京氏が二十日、松岡利勝農相を表敬訪問した。

 片山氏は出場した自動車の写真を農相に贈呈。「バイオ燃料を商品化できるというだけでなく、性能も実証できた」と報告した。

 政府は、現在のガソリン使用量の一割に当たる年間六百万キロリットルのバイオ燃料の国内生産を将来目標に掲げている。農相は「政府としてもバイオ燃料を大々的に使っていこうと考えている。(完走は)心強く勇気づけられる」と述べた。

サラダ油買って給油 ロスでローテク環境車快走

2007/02/15 The Sankei Shimbun WEB-site

 「そろそろ燃料切れだ。ちょっとそこのスーパーでサラダ油を買って“給油”しよう」。ロサンゼルスでは実際に、こんな光景がみられる。100%の植物油で動くバイオ燃料車が、人気を集めているのだ。といって、ハイテクを駆使しているわけではなく、中古のディーゼル車の部品にフィルターを取り付けただけだ。このローテク環境車は、環境やエネルギーをめぐる複雑な議論をよそに、のんびりとロスの街を快走している。(ロサンゼルス 松尾理也)

バイオ燃料車

 サンフランシスコ在住のブライアン・フリードマンさん(40)が、バイオ燃料車の開発を始めたのは約5年前。完成の域に達した2005年、より大きな市場を求めてロスに移ってきた。

 フリードマンさんの前職はタトゥー(入れ墨)パーラーの経営で、自動車とはなんの関係もない。車の改造という趣味が高じて、ディーゼルエンジンを植物油で動くようにできる改造キットを開発した。といっても、燃料タンクとエンジンの間に、手のひらほどの大きさのフィルターを取り付けるだけだ。

 通常、バイオディーゼル車は規格に沿ったバイオディーゼル燃料を使用するが、フリードマンさんの車は、スーパーで売っているサラダ油で動く。世界各国で進められているバイオ燃料計画と比較すれば、拍子抜けするほどだ。「シンプルであることが難しいんだよ」とフリードマンさんは澄ましているが、これが「バイオ燃料車」といわれてもにわかには信じがたい。

 だが、実際にサラダ油をタンクに注ぎ込み、キーをひねると、軽快にエンジンは始動する。「少しパワーは落ちるけど、石油よりむしろスムーズ。もちろん、排ガスも格段にクリーンだ」

 車両は、サラダ油だけでなく、レストランなどから出る廃油でも稼働する。濾過(ろか)の手間は必要だが、こうなると燃料費はタダということになる。

追い風

 改造費用は700ドル。ベースとなる車両は、10〜20年前のディーゼル車が多い。これまでに1000台以上の改造を行ったが、うち8割は昨年1年間の受注。フリードマンさんは、「初めは見向きもされなかったが、急激に注目を浴びるようになった」と、時代の変化を指摘する。

 追い風は、石油価格の高騰と、地球温暖化防止に向けての環境問題への関心の高まりだ。その結果、クリーンで、海外に供給を依存しない代替燃料に注目が集まるようになった。

 もっとも、年間の石油代金の総額が300億ドル(約3兆6000億円)に達するカリフォルニア州経済への影響など微々たるものだが、一方で、環境への気配りは、ハリウッドの業界人の間でもブームになるなど、市民権を得つつあることも事実だ。

 ロサンゼルス・タイムズ紙によると、バイオ燃料車やトヨタ・プリウスなどハイブリッド車によるリムジン・サービスをおこなっている「エコ・リモ」社の売り上げは、05年の11万ドルから06年には60万ドルに急増した。

 顧客には映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏や、俳優のレオナルド・ディカプリオさんらが名を連ねる。燃費の悪い大型車を乗り回すのは、むしろカッコ悪いという意識の変化が背景にあるのだという。

将来に懸念も

 もっとも、フリードマンさんの未来は必ずしも順風満帆ではない。違法改造に該当するのではないかという指摘もあり、米環境保護庁(EPA)も「植物油を燃料とする車を承認したことはない」と、距離を置く姿勢をみせている。

 また最近では、メキシコで、トウモロコシを原料とする代替燃料の「エタノール」の需要拡大を受け、主食であるトルティーヤが高騰し社会不安にまで発展した経緯もあった。バイオ燃料をめぐる論議には、食糧問題とも関係する微妙さがある。

 こうした雲行きに、フリードマンさんは「僕は過激な環境保護論者でも、社会変革を目指す活動家でもない。ただ、こんな車が売れる社会になればいいな、と思っているだけさ」と話している。

             ◇

【用語解説】バイオ燃料

 石油の代替物として、植物から製造される燃料の総称。ガソリンの代替としてトウモロコシやサトウキビから作られる「エタノール」が代表格として知られる。ディーゼル燃料の代替としては、食用油や廃油を加工したバイオディーゼル燃料がある。いずれもさまざまな種類、規格があり、石油と混合して用いられる場合もあれば、単体で用いられる場合もある。日本でも2003年、バイオ燃料推進のための総合戦略が策定され、研究が進められている。

バイオ燃料 試験運転

2007/02/20 東京新聞

桐生市の環境対策 ごみ収集車など2台で

 桐生市は環境対策の一環で、廃てんぷら油から作るバイオディーゼル燃料(BDF)を入れたごみ収集車の試験運転を今月から始めた。燃費効率や走行性など軽油より優位性が確認できれば、将来的にはてんぷら油を分別収集して、BDF活用の拡大を検討する。

 BDFは、植物性の廃油にエタノールなどを混ぜて精製する軽油の代替燃料。排ガス中の二酸化炭素が少なく、小児ぜんそくやアトピー、酸性雨の原因とされる硫黄酸化物もほとんどないなど利点が多い。地球温暖化防止協定上の二酸化炭素の排出量はゼロカウントになる。最近では原油価格の高騰で軽油より価格も安い場合がある。

 市生活環境課によると、実験車は、収集車一台と市清掃センター内の作業車一台の計二台。玉村町の特定非営利活動法人(NPO法人)からBDFを一リットル当たり八十五円で購入し、無改造のまま使用する。三カ月間の走行試験でパワーや燃費のデータを蓄積し、利用価値が高ければ、市はすべてのごみ収集車(計十八台)でも順次導入を進める方針だ。

 同課は「てんぷら油の分別収集でごみ減量につながり、排水口にてんぷら油を流さなくなれば、下水施設の老朽化や河川の水質汚濁の防止にもなる」と期待している。(藤原哲也)

トヨタなど、都バスに次世代バイオ燃料導入へ、軽油と同品質を実現

2007年02月07日 NIKKEI NeT

 トヨタ自動車など3社と東京都は2月6日、第2世代バイオディーゼル燃料の実用化に向けた共同プロジェクトを実施すると発表した。植物由来の原料や牛、豚の脂などを水素化処理と呼ぶ手法で加工し、一般の軽油と同品質の新燃料(BHD)を製造。軽油に混合して使用し、環境性能を確認する。

 同プロジェクトには東京都とトヨタのほか、新日本石油、日野自動車が参画する。新たに製造するBHDは、第1世代バイオディーゼル燃料(FAME)に比べ酸化による劣化が起きにくい。そのためFAMEが5%しか軽油に混合できないのに対し、BHDは10%まで混合できる。東京都が定めた最新の排ガス規制にも対応するという。

 さらに植物、獣脂、廃食油などFAMEでは個別に処理が必要な原料を、BHDでは単一の手法で加工し、一定以上の品質の燃料を製造できる。東京都などでは2007年度中をめどに、BHDによる都バスのデモ走行を予定する。併せて国内における供給体制の構築についても検討する。

 なお、都バスはこれに先立ちFAMEの導入も行う。3月末以降をめどに、FAMEを5%混合した軽油を使用し、CO2排出量の最大5%削減を目指す。東京都などでは「第2世代(BHD)は高い将来目標に向けた取り組み」、「第1世代(FAME)は今すぐに始める取り組み」と位置付け、両プロジェクトを並行して進める。

【東北】山形市中心商店街がバイオ燃料生産へ

2007/02/03 NIKKEI NeT

 山形市の中心商店街である7日町商店街は廃食油をディーゼル車の燃料に再利用するバイオディーゼル燃料(BDF)の生産に乗り出す。商店街の飲食店などで発生する天ぷら油などの廃油を集め、集中的にBDFに精製して利用者に提供する試み。市の公用車や運輸業者のディーゼル車などの需要を見込んでいる。単独の商店街がBDF事業に乗り出すのは珍しい。

 計画では7日町商店街振興組合(松倉公一理事長)が主体となり、商店街の駐車場に1200平方メートル余りの敷地を使って日産250リットル能力の精製施設や廃油の貯蔵施設などを設置する。早ければ年内にも基本設計を終えて設備を建設、来年春をめどに本格運営を始めたい考え。

 山形市では環境への配慮から市長の公用車をBDF燃料仕様に変えているほか、ゴミ収集車など公用車の一部もBDFを活用している。同燃料に興味を示している運輸業者もあるという。

バイオ燃料高騰 進む鶏脂肪油燃料 穀物より低コスト

2007/01/09 FujiSankei Business i.

 バイオディーゼル燃料向けの需要拡大で急騰する穀物に代わり、家畜の脂肪を原料とする低価格燃料が米国で急速に普及しそうだ。食肉大手や中小ベンチャーが相次いで事業化に向け始動。5年後にはバイオ燃料の半分を占めるとの予測も出ている。

 AP通信によると、食肉加工米最大手のタイソンフーズ(アーカンソー州)は、昨年11月、再生可能エネルギーの専門会社設立を発表。年内にも稼働する見込みだ。

 同社の食肉加工工場で発生した家畜の脂肪などの大量の副産物は現在、ペットフードやせっけんの原料として出荷されているが、新会社では、これを燃料として再生する事業を視野に入れている。

 スミスフィールド・フーズ(バージニア州)、パーデュー・ファームス(メリーランド州)など他の大手各社も同様の子会社設立に動いている。

 すでに、鶏脂肪からバイオディーゼル燃料を製造するベンチャー、グローバル・フュエルス(ミズーリ州)が500万ドルを投じ、新工場を建設。大豆油燃料と混合した低価格燃料を生産する計画を進めている。

 家畜脂肪燃料が注目されているのは、2012年までに年間75億ガロン(1ガロンは約3・78リットル)の再生燃料使用を義務づける新エネルギー法が05年に施行されたことをきっかけに、穀物価格が急騰し、穀物油燃料価格が値上がりしているためだ。

 大豆油燃料の場合、1ポンド(約0・45キロ)のコストは33セントなのに対し、鶏脂肪燃料は19セントと6割以下で製造できるという。

 このため、家畜脂肪燃料は急速な普及が見込まれており、同紙によると、ミネソタ大のバーノン・エイドマン教授は5年後に大豆油燃料がバイオ燃料全体の2割にとどまるのに対し、家畜脂肪燃料は5割を占めると予測している。家畜脂肪燃料の生産が本格化すれば、穀物油燃料の価格低下にもつながりそうだ。

 米バイオディーゼル協会によると、06年のバイオディーゼル生産量は前年(7500万ガロン)の2〜3倍に当たる〜1億5000万〜2億2500万ガロンに達したとみられている。

天ぷら油が燃料に?

2006年12月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 何度も天ぷらを揚げた後の天ぷら油など、廃棄する食用油をディーゼル車の燃料にする方法があります。市民の協力を得て、環境保護の一環として廃食用油から作った燃料を、ゴミ収集車や市バスに使っている京都市に聞きました。

 食用油はそのままでは燃料として使うことができません。食用油にメタノールを加えると、脂肪酸とグリセリンに分解され、脂肪酸がメタノールとくっつき、メチルエステルができます。このメチルエステルがバイオディーゼル燃料としてディーゼル車に使えるのです。

 バイオディーゼル燃料をそのまま使うと車の部品が腐食するため、部品をバイオディーゼル燃料用に替える必要があります。ただ、バイオディーゼル燃料の混合比率が5%以下の場合は、部品を交換する必要はありません。

 京都市は1996年に車両のテストを開始し、ゴミ収集車は97年、市バスは2000年にバイオディーゼル車を導入しました。今ではゴミ収集車220台全車が100%バイオ燃料車です。市バスは97台がバイオディーゼル車で、95台はバイオ燃料の混合比率が20%の車両です。今年5月から100%バイオ燃料のバス=写真=2台が運転を開始しました。

 京都市ではこれらの車両のバイオ燃料をまかなうため、市民や市内のホテル、レストランなどから集めた廃食用油を、年間150万リットル使っています。

横浜ゴム、片山右京の天ぷら油でパリダカ参戦プロジェクトを支援

2006年12月14日 Response

 横浜ゴムは14日、東京ビッグサイトで、環境関連活動の発表会ならびに環境技術を駆使したタイヤ新製品の発表会を行った。

 その中で、同社のサポートを受けて「ダカールラリー2007」(パリダカ)に参戦するレーシングドライバーの片山右京氏がゲストとして登場。環境啓蒙活動の一環として、今回バイオ燃料で挑戦することに関して抱負を語ると同時に、ミニトークショーを行った。

 今回、片山氏がダカールラリーで運転するトヨタ『ランドクルーザー100』は、大阪産業大学などが中心になって立ち上げた「OSUパリダカ参戦プロジェクト」の集大成。

 燃料として、軽油(ディーゼル)に比べて黒煙や硫黄酸化物などの排出量が少ない、天ぷら油の廃油から生成したバイオ燃料を使用して挑戦する。天ぷら油のリサイクルにもつながるとして、環境への負荷が少ない。そして、ランドクルーザーが装着するスペシャルなSUV用タイヤ「GEOLANDAR A/T − S」を供給するのが横浜ゴムということで、今回の登場となったわけである。

 片山氏によると、バイオ燃料はすでに一般車のレベルでは軽油と何ら遜色ないクォリティに達しているとのこと。ただし、300馬力ものラリー用エンジンで順位を競うとなると、さすがにカロリーがまだ不足気味で、熱量が少ないと、プロのドライバーならではのコメントである。

 また、今回の参戦に当たっては、天ぷら油だけでは不足したため、企業の廃油なども利用しているとのこと。量的な確保で関係者が苦労したようだ。

 話が横浜ゴムのタイヤに及んだときは、製造工場を訪れた際に、現場のスタッフから、「片山さんにがんばってもらうために手作りでがんばりました」というメッセージをもらい、気持ちがこもっていて感動したという。応援の横断幕なども製造ラインに掲げられており、気合いが入ったそうだ。

 そして、競技の展開に関しては、「今回ももちろん上位を目指すが、2回目、3回目につながるようデータ収集もしっかり取ってきたい」とベテランならではの視野で語っていた。ダカールラリー2007は、現地時間で1月6日にスタートする。《デイビー日高》

ヤシの実油をディーゼル燃料に

2006年10月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 新日本石油とトヨタ自動車は、マレーシア国営石油会社ペトロナスと共同で、ヤシの実から採るパーム油を原料にした自動車用ディーゼル燃料の開発に乗り出す。

 2007年度にも共同研究に着手し、09年度からマレーシアで試験生産を始める。パーム油は主にアジアで生産され、収量も安定していることから、価格が高止まりしている原油の代替品として普及すれば、燃料調達方法の多角化につながるものとして注目されそうだ。

 パーム油はマーガリンや菓子などの原料で、自動車用燃料に転用する試みは世界で初めてだ。世界最大のパーム油生産国のマレーシアと日本最大手の石油会社、自動車メーカーが手を組むことで、植物由来のバイオ燃料の開発競争で優位に立つ狙いがある。

 二酸化炭素を吸収する植物栽培を伴うことで、原油などを原料とする燃料に比べて地球温暖化対策にもつながるとみられている。

 開発計画は、今年5月に来日したマレーシアのアブドラ首相が、小泉前首相に日本とバイオ燃料技術での関係強化を求めたことをきっかけに生まれた。

 共同研究では、ペトロナスが提供するパーム油を原料に、新日石がパーム油をディーゼル燃料となる軽油に転換する精製技術を、トヨタが自動車用燃料として使う場合の安全性や性能の検証をそれぞれ担当する。

 これまでの研究では、パーム油から精製した軽油を現在のディーゼル車に使っても問題はないという。試験生産の結果を踏まえながら、商品化の時期や規模を判断する。

 パーム油は世界で年間約3300万トン(05年)生産され、マレーシアとインドネシアがその約8割を占めている。新日石などは、パーム油から精製した軽油を日本へ供給することに加え、アジア各地への輸出も視野に入れている。

 バイオ燃料としては、ガソリン車向けにはサトウキビなどを原材料にしたバイオエタノールがブラジルなどで利用されている。ディーゼルエンジン用では、ディーゼル車の普及率が高い欧州で、菜種油などを原料にした燃料の開発競争が活発となっている。

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