TOPIC No.2-31Q チベット問題

01. チベット問題を勝谷誠彦がズバッと断罪 第2弾 1 of 2 by YouTube
02. チベット問題を勝谷誠彦がズバッと断罪 第2弾 2 of 2 by YouTube
03. チベット・ラサを鎮圧した人民解放軍(2008年03月20日) 週刊オブイエクト
04. 【記者ブログ】時系列:チベットとその周辺でいままで何が起きたか(3月23日〜30日) 福島香織(2008.04.10)MSN産経新聞
05. 【記者ブログ】時系列:チベットとその周辺で今まで何がおこったか。(3月31日〜4月8日) 福島香織
06. 【記者ブログ】時系列:チベットとその周辺で今まで何がおこったか。4月9日〜 福島香織
07. 【記者ブログ】チベット騒乱:新華社の公式分析読んでみる? 福島香織 (2008.04.13) MSN産経新聞
08. 【記者ブログ】情報統制を超えて漏れ聞こえるラサの悲鳴をきけ! 福島香織(2008.03.17) MSN産経新聞
09. チベット byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
10. チベット自治区 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
11. チベット YAHOO!ニュース
12. チベット問題asahi.com
13. ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
14. 【2008年チベット動乱】よく聞かれる質問集 byチベット式
15. 北京五輪チベット騒動の深層 (2008年04月17日) 田中 宇の国際ニュース解説
16. テレビや新聞では報道されないチベットの写真やムービーいろいろ(2008年04月16日)GIGAZINE
17. 亡命チベット人たちが語る チベットの真実 by Lung-ta Project



チベット民族、募る不満 解放記念日「支持しない」

2009年03月28日 中国新聞ニュ−ス

 農奴解放記念日を迎え、武装警察が巡回し警戒態勢の強まる中国・四川省成都市内のチベット民族居住区=28日午前(共同)

 【成都(中国四川省)28日共同】中国チベット自治区は28日、区都ラサで「農奴解放記念日」の祝賀大会を開き、共産党統治の正統性と成果をアピールしたが、チベット民族居住地域では住民らが「党が制定した記念日など支持しない」と不満を募らせている。当局が昨年3月の暴動再発を警戒し、厳しい警備を続けていることも反発拡大の背景だ。

 チベット自治区のトップ、張慶黎共産党委員会書記は祝賀大会で「共産党の指導がなければ、チベットの繁栄した今日とさらに素晴らしい明日はない」とあいさつし、2020年までに「全面的な小康社会(いくらかゆとりのある社会)」を実現すると強調した。

 しかし、自治区や周辺地域では外国人の立ち入り禁止が続き、四川省成都市のチベット民族居住区でも28日、多数の武装警察部隊が抗議行動などを警戒。省内のカンゼ・チベット族自治州から来た僧侶や商店主は「『解放記念日』は共産党が制定しただけだ」と口々に不満を語った。

チベット「農奴解放」記念日、ダライ・ラマとの対決を強調

2009年03月28日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 【北京=佐伯聡士】新華社電などによると、中国共産党政権が1959年のチベット動乱制圧で「農奴を解放した」と主張し、その記念日と定めた28日、中国チベット自治区ラサのポタラ宮前広場で祝賀大会が開かれ、約1万3000人が参加した。

 自治区トップの張慶黎・党委員会書記が「我々は絶対に国家の安全とチベットの安定を守らなければならない。ダライ集団との闘争は国家主権と領土保全を守る闘争だ」と演説し、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世側との対決姿勢を強調した。

 チベット族居住地域では、チベット動乱50年やラサ暴動1年にあたる今月、武装警察などが厳戒態勢を敷いているが、21日には青海省のチベット族自治州でチベット僧ら数百人が警察署を襲撃する暴動が起きている。

亡命チベット人ら抗議行動 ネパール

2009年03月28日 47News【共同通信】

 【カトマンズ28日AP=共同】ネパールの首都カトマンズで28日、中国政府が1959年に「チベット動乱」を制圧し、チベット地域を統治してから50年を迎えたのを機に、亡命チベット人の僧侶ら約500人が抗議行動を行った。

 僧侶らは約1時間にわたり、ろうそくを持って「チベットでの殺りくをやめろ」と叫びながら行進。ネパールの警察は参加者を制止するよう指示されていたが、僧侶らは仏教寺院の近くにいることで逮捕を免れたという。

 参加者の1人は「チベットで殺された人々に祈りをささげ、中国に殺りくと拷問をやめるよう要求するために集まった」と話した。

ダライ・ラマ特使 「自治拡大要求ねじまげ弾圧」と中国を批判

2009.03.26 MSN産経新聞

 【ワシントン=古森義久】チベットの仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の特使を長年、務めているロディ・ギャリ氏は25日、ワシントンの大手研究機関のヘリテージ財団が開いた「チベットの将来」と題する討論会で、中国政府がチベット側の自治拡大要求を誇大にねじ曲げて弾圧強化の口実にしていると非難した。クリントン米国務長官が米中関係では人権問題を協力への障害としないと述べたことにも懸念を表明した。

 ギャリ氏はチベットと中国政府の関係の現状について、ダライ・ラマ側はチベットをあくまで中華人民共和国の枠内に留め、そのなかでチベット人の独自の自己意識や文化、言語を保つという「真の自治」拡大を求めているにすぎないが、中国政府は今月、訪米した楊外相がオバマ米大統領らに「チベット側は独立を求めている」と述べたように、偽った状況報告をしていると指摘した。

 また、楊外相は米側に「チベット側は、現在の中国全土の4分の1に達する地域の割譲とチベットからの中国人民解放軍の全面撤退を求めている」と伝えたとされるが、事実に反するとし、中国政府はとくにここ数年ダライ・ラマを「分離主義者」と断じチベット人の漢民族化を強制し、宗教や生活面での弾圧を激しく進めているとした。

 クリントン長官の発言については「オバマ政権がチベットでの人権弾圧をも無視しかねないことになり、心配している」と述べ、「米国の歴代政権ではブッシュ前政権の8年間がチベットに最も強い支援を示した。オバマ政権もブッシュ政権を見習ってほしい」とアピールした。

チベット僧ら数百人が警察襲撃…中国・青海省

2009年03月22日 読売新聞 YOMIURI On-Line

【北京=杉山祐之】新華社電によると、中国青海省ゴログ(果洛)チベット族自治州のラギャで21日、チベット仏教僧侶100人近くを含む数百人の群衆が警察署を襲撃、地元政府職員数人が軽いけがを負った。 騒動は22日までに収まり、警察が6人を逮捕したほか、89人が自首した。このうち、93人が地元寺院の僧だったという。

 インド北部ダラムサラに本拠を置くチベット亡命政府によると、警察署周辺には約4000人が集結し、「チベット独立」などと叫んだ。チベット動乱50年、ラサ暴動1年にあたる今月、チベット族居住地域では武装警察などが厳戒態勢を敷いているが、こうした大規模暴動が伝えられるのは初めて。

 新華社電は、僧侶側にけが人が出たかどうかは伝えていない。襲撃の原因については、チベット独立活動に関与した疑いで警察の取り調べを受けていた男性が、20日に警察署から逃亡し、行方不明になった事件との関連を指摘している。

 AP通信などは、亡命政府の情報として、男性が黄河に飛び込んだと伝えた。警察はこの男性の部屋でチベットの旗や政治宣伝ビラなどを見つけ、拘束したという。

ラサ暴動1年、四川は厳戒態勢…記者尾行、取材妨害も

2009年03月15日 読売新聞 YOMIURI On-Line

14日、中国・成都市内のチベット自治区成都事務所付近を警戒する警察と治安部隊(佐藤俊和撮影)

 【成都(中国四川省)=加藤隆則、竹内誠一郎】中国チベット自治区ラサの大規模暴動発生から1年となった14日、四川省などのチベット族居住地区では、抗議デモの再発を抑え込むため厳戒態勢が敷かれた。

 成都の当局は、本紙記者を常時監視し、取材活動も妨害。厳しい統制は、今年から新たに定めた「100万農奴解放記念日」の28日まで続くとみられる。

 成都市内でチベット族住民が集中する観光地の武侯●(ぶこうし)近くでは、約1キロ四方の地域で外部車両の進入が禁止された。警察官が20メートル置きに配置され、武装警察官、民兵も行進を繰り返している。チベット族女性は「2週間前から続いている。観光客の出入りは大幅に減った」と話した。(●は「示」につくりが「司」)

 香港ラジオテレビによると、ラサ市内も厳戒下にあり、多くの商店はシャッターを下ろしているという。

 ここ1か月、小規模な抗議行動が相次いでいるアバ、甘孜(かんし)両チベット族自治州では、インターネット、携帯電話のデータ通信が遮断され、チベット寺院周辺では常時、私服警官が監視。アバ州のチベット僧(33)は「1年前の犠牲者を弔いたいが、これだけ行動や情報が監視されたら何もできない」と話し、甘孜州のチベット族男性(55)は「以前はダライ・ラマの写真をひそかに身につけていたが、もう駄目だ」と話した。

 本紙記者らは成都滞在中の4日間、外出時には常に当局の尾行を受けた。13日には、郊外の取材に出ようとした記者(加藤)のタクシーが、当局により強制的に成都に引き返させられた。

外国メディア、ラサに入れず ネットも規制 厳戒の「チベット騒乱」1年

2009.03.14 MSN産経新聞

中国四川省成都市内のチベット民族居住地区で休憩する僧侶(右上)とパトロールする武装警察官=14日(共同)

 【北京=野口東秀】中国チベット自治区ラサ市で数千人が蜂起した昨年3月の「チベット騒乱」から14日で1年を迎えた。胡錦涛国家主席は「国家安全と社会安定の確保」を指示し、同自治区と周辺各省には暴動に備えて数十万規模の治安部隊が増派され、厳戒態勢が敷かれた。

 関係者によると、ラサ市内では14日、小規模の抗議行動が起きたが、大きな騒ぎにはなっていないもようだ。ラサ市内では、交通規制が導入され、自動小銃を手にした武装警察部隊が巡回するほか、各所で検問所が増設され、身分証の検査が行われるなど、「外出が事実上、できないような状況にある」という。寺院は武装警察部隊に包囲されたという。

 四川省甘孜チベット族自治州理塘県では今月初め、「チベット独立」と叫ぶなどの散発的な抗議行動が発生した。このほかにも数カ所で抗議行動が起きたと伝えられているが、参加者らは、いずれも即座に身柄を拘束されたという。

 当局は「外国人の安全」を理由に外国の報道機関による取材を拒否。現地からは、海外への電話の発進やインターネット通信も規制しており、当局は徹底した情報統制を行っている。

 政府は、昨年のラサ騒乱で、市民18人が死亡、382人が負傷、放火で商店など1000軒余が焼失したと発表した。しかし、チベット亡命政府側は、百数十人以上が殺害されたと主張している。

チベット族自治州ルポ 「何しに来たのか?」厳戒…取材の自由なし

2009.03.10 MSN産経新聞

チベット動乱50年の10日、四川省ガンゼ・チベット族自治州康定県の金剛寺の僧侶。後方にいる数人は記者を尾行する当局者

 物々しい厳戒態勢だ。中国当局が大量に投入した治安部隊の車両が行き交う。 10日未明、甘孜(かんぜ)チベット族自治州の康定県から甘孜県に向かう途中の旅館。突然、4人の警察官が、就寝中の記者(野口)の部屋に踏み込んできた。「身分証を見せろ」。「何しに来たのか」「どこへ行くのか」。パスポートをコピーする必要があると、派出所まで連れで行かれた。

 早朝も7人の警察官と押し問答になった。「あなたがチャーターした車は白タクだ。法的手続きをとる」と主張して譲らない。そして、パトカーに乗せられ康定県に戻る羽目に。さらに、夜には当局の車で成都まで“強制退去”させられることになった。「安全のため」という理由だ。政府はチベット自治区での外国メディアの取材を基本的に認めていない。その周辺のチベット族居住区では「取材妨害」が行われていた。

 ●隠し持つ写真

 アバ・チベット族チャン族自治州の理県。30歳代のチベット族の男性は、ダライ・ラマ14世の写真を服の内側からこっそり取り出した。

 「信仰の自由が欲しい。今もチベット問題が解決しないのは、中国共産党がわれわれをまったく尊重しないことが根本的な要因だ」

 ダライ・ラマの写真の所持は“ご法度”だ。周囲を気にしながら話す。「中国共産党は動乱後50年間にわたり、『民主改革』と称し、チベット人にとり文化そのものであるチベット仏教に「干渉」してきた歴史を反省せず、正当化ばかりしてきた」とも批判した。さらに、声をひそめて付け加えた。

 「暴力的な抗議行動を計画するチベット族はいつでもいる」

 中国紙によると、「チベット青年会議」などチベット独立派の一部は今年を「黒色の年」とし、抗議活動によって国際社会の支持を得たい考えだという。一方、当局は2月18日、チベット自治区で開かれた会議で、軍と警察に「ダライ集団の攻撃を断固粉砕せよ」と指示した。

 ●誰も信じない

 政府は昨年から、チベット仏教の僧侶らに対する「愛国教育」を試みている。だが、甘孜県周辺に住む若い僧侶は「ダライ・ラマは『悪』だとする宣伝なんて誰一人信じてはいない」と吐き捨てるように言った。

 彼によると、四川省の僧侶がチベット自治区ラサに行くことは禁止だ。こんな話もしてくれた。「(ダライ・ラマは)分裂主義者で、昨年の暴動の首謀者だ」と書かれた文書への署名を当局から求められたという。「従わないと、農畜産物の売却などに必要な各種の公的証明がもらえなくなるぞ」とも告げられた。

 各地の寺院に対しては、僧侶の数を半減するよう政府から指示があり、強制的に「一般人」に戻される僧侶もいるという。当局側の発砲で死傷者が出たとされるアバ・チベット族チャン族自治州のアバ県では、「読経会」が今年に入ってから禁止されているようだ。

 しかし、力による締め付けが強まるほど、住民らの不満も強くなる。2月末から今月にかけ、四川省などでは抗議行動が相次ぎ、同州理塘県ではダライ・ラマ支持をスローガンに数百人がデモ行進し、警官隊と衝突して数十人が拘束されたという。アバ県では先月27日、数百人の僧侶が抗議の座り込みをし、うち一人が街頭で焼身自殺を図った。

 ●3本柱への不満

 「政府がどれだけの投資をして街を発展させ、チベット族の暮らしを向上させたと思ってるんだ」

 康定県で雑貨を売る漢族の男性は激しい言葉で、独立を求める一部チベット族への不満を並べたてた。

 政府は多額の公共投資によってチベット自治区を発展させ、それによってチベット族の不満を解消しようとする。同時に、武装警察部隊を増員し示威行動に出る。いわば「アメとムチ」だ。「発展」「武力」「宣伝」。これはチベット問題における“安定”を維持するために、政府が駆使する3つの柱である。甘孜県周辺に住むある僧侶の言葉が印象に残った。

 「経済が安定しても宗教に対する規制と締め付けがある限り、不満は蓄積されていく」 (甘孜チベット族自治州=中国四川省 野口東秀)

「数千人を恣意的逮捕」と批判 チベット自治区周辺

2009.03.10 MSN産経新聞

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(本部ニューヨーク)は9日、中国チベット自治区や周辺地域で昨年3月に起きた暴動以降、中国当局が暴動に絡み、これまでに数千人を法律に基づかないで「恣意(しい)的」に逮捕し、不当な裁判を100件以上行ったと批判する報告を公表した。

 中国国内での公式発表などを基にした分析で、容疑者として数百人がまだ拘置中だとしている。

 チベット自治区当局者は2月、外国人記者団に対し、暴動にかかわったとして953人を拘束し、うち76人が有罪判決を言い渡されたと述べた。今回の報告は、自治区以外での暴動参加者も含めている。(共同)

「雪の下の炎」などチベット問題の話題作2作、4月から公開

2009.03.08 MSN産経新聞

「雪の下の炎」の楽真琴監督=2日、東京・渋谷(相馬勝撮影)

 チベット民衆が中国支配への不満を爆発させた「チベット動乱」の発生から50周年の10日、僧侶などチベットの人々の抵抗運動を描いた映画2作品が東京都内で上映される。抵抗運動に参加したことで逮捕され、拷問を受けながらも33年の獄中生活を耐え抜いた老チベット僧を主人公にした日本人女性監督の作品などで、いずれも4月から全国主要都市で順次公開される。

 上映されるのは米ニューヨーク在住の楽真琴(ささまこと)監督(35)の「雪の下の炎」と、米国人のポール・ワーグナー監督の「風の馬」。

 「雪の下の炎」はチベット僧、パルデン・ギャツオ氏(77)の獄中体験と、釈放後の人権活動を克明に映像化したドキュメンタリー作品だ。

 パルデン氏は1959年のチベット動乱で逮捕された後、懲役8年の判決を受けたが、他の仲間とともに脱獄。逃走中に逮捕され、量刑を加増された。囚人仲間の証言から同氏の存在が明らかになり、人権団体が中国政府に釈放を要求するなどし、92年にようやく自由の身に。2006年に冬季五輪が行われたイタリア・トリノでは、08年の北京五輪中止を求めてハンガーストライキなども行った。

 パルデン氏の著書を読んで感動した楽監督は、インド在住の同氏のもとを訪れ、「パルデンさんの人間としての強さを映画で表してみたい」と製作を決意したという。

 作品では冒頭、「チベットに人権など存在しません。私がその生き証人です」と訴えるパルデン氏の姿がクローズアップされ、これが全体を貫くテーマとなっている。

 楽監督は「何も武器を持たない非暴力の人間に対し、暴力や、言論・報道を制限するなどの手段を用いるのは、21世紀の人類に何も希望をもたらさない。そのことを中国政府は知るべきだ」と訴える。

 「風の馬」は、中国チベット自治区のラサで捕らえられ拷問がもとで死亡した尼僧の体験を核に、彼女を取り巻くチベット民衆の対中抵抗運動などの実話をドラマ化。米国の映画祭などで高い評価を受けた。

 両作品とも10日、東京都渋谷区の「アップリンク」でプレミア上映され、4月11日からは主要都市で順次公開される。問い合わせはアップリンク(電)(03)6825−5502、http//www.uplink.co.jpまで。(相馬勝)

チベット動乱制圧を自賛 中国政府が白書発表

2009.03.02 MSN産経新聞

 中国国務院(政府)新聞弁公室は2日、「チベット民主改革50年」と題する白書を発表。1959年に中国政府が「チベット動乱」を制圧し、統治権を確立したことを「チベット社会の発展と人権の進歩において、重大な歴史的事件で画期的な出来事だ」と自賛した。

 白書は、この50年間で、市民の生活は大きく改善したと強調。また白書を発表し、民主改革の歴史を振り返ることで「事実によって(チベット仏教最高指導者)ダライ・ラマ14世の本当の姿を暴く」とした。(北京 共同)


ダライ側との対話、物別れ 中国、「独立」放棄要求

2008年11月06日 中国新聞ニュ−ス

 【北京6日共同】中国共産党は6日までに終了したチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の特使との対話で、現行のチベット自治区の統治制度は断固変えないと表明、変更を求めるダライ・ラマ側の要求を拒絶した。国営通信、新華社が同日、伝えた。

 チベット自治の在り方をめぐる双方の対立の溝は埋まらず、対話は完全に物別れに終わった。

 チベット問題は北京五輪を前にした3月のラサ暴動で国際的な関心が高まったが、進展が得られなかったことで、亡命チベット人社会ではダライ・ラマの対話路線に批判が強まる可能性がある。

 対話継続の是非などについて亡命チベット人の代表らで協議する緊急会議が17日から、亡命政府があるインド北部ダラムサラで開かれる予定。

 新華社によると、対話にはチベット問題を主管する統一戦線工作部の杜青林部長が出席。杜部長は「中国は(少数)民族による地域自治制度を堅持する」と強調し「いかなる状況でもチベットの独立や半独立、形を変えた独立は認められない」と断言。ダライ・ラマに対し、政治要求を根本的に改め、暴力活動の扇動やチベット独立画策の動きを支持しないよう警告した。

米、中国に8人の即時釈放要求 チベット問題抗議で拘束

2008年08月23日 asahi.com

 【北京=奥寺淳】北京の米国大使館は23日、中国政府に対し、五輪期間中にチベット問題で抗議をして拘束された米国人8人を即時に釈放するよう求めた。米大使館は「人権や表現の自由を尊重するよう求めてきたが、中国が五輪を通じて寛容さと開放性を示せなかったことに失望している」との談話を発表した。

 8人のチベット支援家のうち6人は19日に拘束され、10日間の拘留となった。21日にも米国人2人とドイツ人、英国人が拘束されていた。米大使館員が22日に米国人8人と面会したが、「虐待などの形跡はなかった」としている。

 これまで抗議デモなどで拘束された外国人は、拘束後すぐに国外退去となる例が多かったが、司法手続きをへずに拘留されるのは異例。

チベット:18日のデモで中国軍が発砲…ダライ・ラマ話す

2008年08月21日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 【パリ支局】フランスを訪問中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は21日付の仏ルモンド紙に掲載されたインタビューで、「チベット東部のカム地方(中国チベット自治区、四川・青海・雲南省にまたがる地域)で今月18日にあったデモの参加者に中国軍が発砲した」と話した。 AFP通信の取材に、ジュネーブ駐在のダライ・ラマの代理人は「事件は四川省甘孜で起きた」と話した。一方、記事には「140人が殺された」というダライ・ラマの発言が出ているが、ダライ・ラマ事務所はそのような発言を否定した。

 ダライ・ラマはインタビューで「3月の暴動以降、チベット自治区ラサで400人以上が殺されたとの目撃情報がある」と語った。

「中国軍、群衆に発砲」五輪中にチベット弾圧?

2008.08.22 Sapspo.com

 フランス訪問中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は22日付ルモンド紙のインタビューで、中国軍が18日に中国のチベット民族が住む「カム」地方で群衆に向けて発砲したと指摘した。犠牲者数については確認が必要だとしながらも、中国当局による弾圧を非難した。

 ダライ・ラマの証言が事実なら、北京五輪期間中も中国当局はチベット弾圧を継続、強化したことになり、国際的な批判にさらされることになりそうだ。

 一方、中国外務省当局者は21日、「報道を見ておらず確認のしようがない」と述べた。

 ルモンド紙の記事は、ダライ・ラマが「(カムで)140人が殺害された可能性がある」と述べたとしているが、ダライ・ラマの事務所はその後、本人が犠牲者数を140人と述べたとの記述を否定した。

 ダライ・ラマは「信頼できる目撃情報から(チベット暴動が始まった3月10日以降にチベット自治区の)ラサ地域だけで400人が殺害された。彼らの遺体は家族の元に返されていない」と強調。「チベット全体だと犠牲者数はもちろんもっと大きくなる。逮捕者は1万人に上り、どこに投獄されたか分からない」と述べた。

 その上で「3月の暴動から北京五輪までの間、われわれは(中国当局による)前向きなサインを信じていた。しかしすぐに幻想は捨てた」と述べ、中国当局の強硬姿勢に変化はないとの認識を示した。

 カム地方は、中国の現在の行政区分ではチベット自治区東部、青海省南東部、四川省西部、雲南省北西部にまたがる地域。インド北部ダラムサラのチベット亡命政府などは現在も中国の行政区分と区別し、かつてのチベットの地域名を用いている。

 ダライ・ラマは23日までの日程でフランスを訪問中で、22日にはサルコジ大統領夫人のカーラ・ブルーニさんやクシュネル外相らと会談する予定。大統領本人は、中国との関係悪化を避けるため、今回の訪問ではダライ・ラマと会談しない方針を明らかにしている。(共同)

【ワールドウォッチング】チベット問題の深層 軍系企業が離さぬ”宝石箱”

2008/08/11 FujiSankei Business i.

 チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の実兄で、チベット亡命政府の外相やダライ・ラマの対中交渉グループの責任者など要職を歴任したギャロ・トンドュプ氏と会い、2時間ほど話を聞いた。80歳の高齢だが、声は大きく張りもあり、60年近く研究してきた中国・チベット関係について、近く本を出すとのことで、かくしゃくとしていた。

 トンドュプ氏は1978年に当時の最高実力者、トウ小平氏と会談し、歓待を受け、その後のチベット亡命政府と中国政府との話し合いに先鞭(せんべん)を付けたことで知られる。この30年間で昨年を除いて毎年中国を訪問するなど、中国共産党・政府要人とも太いパイプを持つ。

 話を聞いて意外だったのは、1989年にラサで起こった大規模なチベット暴動を武力で鎮圧した張本人である当時の胡錦濤チベット自治区党委書記、つまり現在の胡錦濤中国国家主席に対する高い評価だった。

 トンドュプ氏は87年、トウ氏から胡氏を紹介され、会談した。トンドュプ氏がラサの公衆トイレの数や野犬の数などを尋ねると、胡氏は正確な数字を答えるなど、「胡氏は非常に頭がよく、実務的で、極めて有能だと思った」と語る。

 その後、トウ氏の使いの者がトンドュプ氏を訪ねてきて、「トウ小平氏があなたの胡錦濤さんへの第一印象を知りたがっています」と聞いたため、トンドュプ氏は「胡錦濤さんのような指導者が多ければ多いほど、その分、中国の問題が減るのではないでしょうか」と胡氏を高く評価するコメントを伝えたという。

 そこで、私が疑問に思ったことをトンドュプ氏に質問した。

 「しかし、そのように有能な胡錦濤主席が最高指導者である中国政府とチベット亡命政府の交渉は難航しているようですね。そればかりでなく、中国側はダライ・ラマを公然と非難しています」

 トンドュプ氏は意外な事実を明らかにした。

 「トウ小平氏は私に『チベットは宝石箱だ』と語ったことがあります。チベットは豊富な地下資源のほか、森林や動物など豊富な自然資源の宝庫ですが、その経済利権を握っているのが中国人民解放軍系の企業。このため、胡主席でさえもチベット問題の解決は難しいのです」

 新華社電によると、同自治区の地下資源の価値は1250億ドル(約13兆5000億円)にも達する。さらに、核兵器開発の軍事施設も多数、同自治区内にあるという。

 しかし、トンドュプ氏は「胡主席とダライ・ラマ法王との直接対話で道は開けると思う。中国側は早く対話に応じるべきだ」と強調する。なかなか難しいとは思うが、できるだけ早く対話が実現するのを祈るばかりだ。(相馬勝)

中国とダライ・ラマ側対話 暴動後初の接触 広東省

2008/05/04 中国新聞ニュ−ス

 【深〓(中国広東省)4日共同】インド北部ダラムサラのチベット亡命政府高官は四日、中国政府代表とチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世の特使との非公式対話が同日午前、中国広東省深〓(しんせん)市で始まったことを確認した。双方の対話は昨年七月以来中断しており、今年三月のチベット暴動後、初めての接触となった。

 胡錦濤こ・きんとう国家主席は四日の日本人記者団との会見で対話に期待を示したが、ダライ・ラマ側が求める自治権拡大などで譲歩する可能性は低く、話し合いの難航は必至だ。

 亡命政府高官によると、ダライ・ラマ側は中国当局による暴動鎮圧などに対するダライ・ラマの強い懸念を伝え、事態沈静化に向けた提言を行った。報道官によると、非公式対話は六日までの予定で、特使は七日にインドに戻り、声明を発表する。

 中国には北京五輪を前に、ダライ・ラマ側との対話姿勢を国際社会にアピールする狙いがありそうだ。

 非公式対話にはチベット側が特使のロディ・ギャリ氏ら二人。中国側はチベット問題を主管する共産党統一戦線工作部の朱維群副部長ら二人が出席しているもよう。

【お断り】〓は「土」へんに「川」ですが、JISコードにないため表示できません。

ダライ・ラマ特使、3日中国訪問 主権と領土で実質譲歩なし

2008.05.02 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】インド北部ダラムサラのチベット亡命政府は2日、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の特使ロディ・ギャリ氏ら2人が3日、中国指導部代表との非公式協議のため中国入りすると発表した。中国側がこの時期に協議に応じた背景には、胡錦涛国家主席の訪日を控える中で柔軟姿勢をアピールすることで国際社会の圧力を緩和させ、同時に急進的なチベット独立勢力の力をそぐ効果という計算もある。

 中国政府とダライ・ラマ側の対話は昨年7月以来だが、チベット騒乱の後では初めて。早ければ3日にも対話が行われる可能性があるが、主権と領土にかかわる原則問題だけに中国政府が実質的に譲歩する可能性はほとんどないとみられる。

 チベット亡命政府はインターネットサイトで「特使は中国当局にチベットに平和をもたらす方策を提案する」と述べている。これはダライ・ラマが求めてきた「高度な自治」を柱とするとみられる。

 「高度な自治」について中国側には、自治の範囲はチベット自治区、青海、甘粛、四川、雲南の各省の一部を加えた「大チベット区」▽軍の撤退▽外国との外交関係の保持−などを内容とするとの見方がある。中国指導部はこれを「実質的な独立要求」とみなしており、今回の協議でも仮に同様の提案ならば受け入れるはずがない。中国側は逆に、北京五輪の阻害活動などに対する言質を求めるとみられる。

 中国指導部はこれまで徹底的にダライ・ラマを批判し、対話のハードルを高めてきた。弱腰は国内での民族主義の暴走に火を付けることになりかねず、今回の協議で妥協点を見いだすのは極めて困難な情勢だ。

ダライ・ラマ特使訪中へ チベット暴動で懸念伝達

2008/05/02 中国新聞ニュ−ス

 【ニューデリー2日共同=田辺宏】インド北部ダラムサラのチベット亡命政府は二日、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世の特使ら二人が非公式対話のため中国に向け出発し、三日に到着すると明らかにした。早ければ同日にも対話が実現する見通し。

 チベット情勢の打開に向け、中断していた対話がようやく動きだした。中国政府とダライ・ラマ側の対話は昨年七月以来で、二〇〇二年に始まった水面下の協議は七回目。北京五輪を前に事態の打開が図られるかが焦点となる。

 特使らの滞在は短期間で、中国側に対し、チベット自治区と周辺で発生した暴動について触れ、中国当局による武力での暴動鎮圧などに対するダライ・ラマの懸念を伝えるとともに、事態沈静化に向けた提言を行う。

 特使はロディ・ギャリ氏で、過去の中国側との対話でも代表を務めていた。亡命政府報道官によると、中国側はチベット問題を主管する中国共産党統一戦線工作部の代表が協議に参加する。

 ダライ・ラマの秘書官は声明で、中国側は対話を継続するとの立場を示したとしており、今回の協議を、チベット問題が満足のいく解決に向かう対話プロセスにつなげるよう提案するとした。共同で何らかの対話の枠組みをつくるよう提案する可能性もある。

 中国政府は四月二十五日、国営通信新華社を通じ、ダライ・ラマ側との「接触と協議」を行う準備を進めていることを明らかにしていた。

 チベット亡命政府は、チベット自治区と周辺のチベット人居住地域で、三月の暴動発生から四月二十五日までの累計で二百三人のチベット人の死亡が確認されたとしている。

チベット対話 中国の姿勢が試される

2008/04/27 中国新聞ニュ−ス

 一日も早く対話を再開して、平和的に問題を解決してほしい。チベットの人たちの切実な願いだろう。

 中国政府はおととい、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世の私的代表と、約十カ月ぶりに協議する意向を明らかにした。

 チベット亡命政府の当局者はいち早く「歓迎する」と応じた。日米両政府も期待感を表明している。双方の対話は昨年七月以来途絶えていただけに、やっと再開に向けた第一歩を踏み出したことは前進といえる。

 この間、中国政府は高度の自治を求めるダライ・ラマを、「独立を求める分裂主義者」と断じて非難。チベット自治区などでの人権問題や暴動鎮圧に対し、対話を求める国際世論に背を向ける形で、強硬な姿勢を取り続けてきた。

 ところが、ここに来てブラウン英首相をはじめ欧州各国首脳の間で、五輪開会式に不参加を表明する動きが拡大。今月に入ると、世界各地で始まった聖火リレーでも、チベット支援者らによる妨害が相次いだ。

 威信をかけた北京五輪の開幕まで百日余り。悪影響が懸念される事態に、中国側が一定の譲歩を余儀なくされたとしても不思議はあるまい。

 しかし、今回の発表が直ちに実質的な対話の進展につながるとみるのは早計のようだ。

 具体的な日程を明らかにしていないことに加え、ダライ・ラマ側に条件を付けているからだ。「祖国分裂や暴力扇動」と「北京五輪の妨害・破壊活動」を停止した上で、「本格的協議の基礎をつくる」としている。「暴力行為も妨害も行っていない」としているダライ・ラマ側と、どこまでかみ合うだろうか。

 無視できないのが中国国内での愛国心の高まりだ。パリでの聖火リレー混乱で、フランス系スーパーの不買運動が起きている。ダライ・ラマ側の出方次第では、さらに反発を招きかねない。中国指導部にとっては試金石となろう。

 きのう、三千人が警備する中で行われた長野市内の聖火リレーでは、逮捕者六人と負傷者四人を出した。中国側は「成功」と報じたようだが、問題の根深さをあらためて見せつける形になった。

 対話表明を単なる五輪向けのポーズに終わらせないためには、国際社会の粘り強い後押しが欠かせない。来月六日に胡錦濤国家主席を迎える日本も、大きな役割があるはずだ。

ダライ・ラマが中国提案を歓迎 対話解決訴え

2008/04/27 中国新聞ニュ−ス

 【ニューデリー26日共同=田辺宏】チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世は二十六日、中国政府がダライ・ラマの私的代表と対話の意向を示したことについて、インド北部ダラムサラで「歓迎する」と述べた。AP通信などが報じた。二十五日に中国側が示した提案に対し、ダライ・ラマ自身がコメントしたのは初めて。

 ダライ・ラマは、対話が行われることを前向きに受け止め、双方がチベット暴動が起きた原因を探り対話を通じて解決策を追求する必要があると指摘。「チベット人の怒りをどう収めるかを真剣に議論し、チベット問題全般について対話を求める」とする一方「単なる顔合わせでは不十分」と述べた。

 ダライ・ラマは二十六日、訪問先の米国からチベット亡命政府があるダラムサラに戻った。中国政府が国際社会の要請を受け対話に応じる用意があるとの姿勢にやや軟化したとの報告を受けたが、対話の具体的な日程など詳細は届いていないとしている。

 チベット亡命政府は、中国政府が示した対話は「純粋で解決に向け前進するものであるべきだ」とし、国際社会の批判をかわすための見せかけであってはならないと指摘。「現実を理解し、ダライ・ラマを中傷するのではなく、(問題解決に)果たすことができる役割を認識することが重要だ」としている。

 ダライ・ラマは中国側との対話の動きを喜んでいるかとの記者団の質問に対し「どんな対話になるのかによる。真剣な内容なら最も歓迎する」と述べた。

 またPTI通信によると、亡命政府のリンポチェ首相は「対話の正式再開前にチベット情勢の正常化が必要だ」と強調した。

「民族でなく分裂の問題」 中国、ダライ批判続ける

2008年04月26日

 【北京26日共同】26日付の中国共産党機関紙、人民日報は、対中批判が広がっているチベット情勢について「民族問題ではなく、中国の分裂にかかわる問題だ」とする評論を掲載、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世側をあらためて批判した。

 中国政府は25日、国営通信の新華社を通じ、ダライ・ラマの私的代表との「接触と協議」を行う方針を表明。北京五輪を控えて国際批判に配慮、1歩譲歩した形だが、評論は、チベット問題で従来の原則的立場を崩す考えはないことを示している。

 評論は「事実は捏造してはならない」とし、チベット自治区が成立した1965年から40年間で中国政府が自治区に969億元(約1兆4000億円)の財政支援を行い、少数民族保護策を実施してきたと強調した。

中国批判かわす目的 チベット問題 成果は疑問

2008.04.25 MSN産経新聞

 【北京=矢板明夫】中国当局は、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世側と接触すると発表した。国際社会で高まる対中批判をかわすことが目的とみられるが、これまでの中国指導者の言動から、チベット問題を対話で解決することを本気で考えている可能性は少ない。

 中国はこれまで、ダライ・ラマ側と対話する条件として「チベットの独立という主張、北京五輪への妨害、暴力行為の扇動」をやめることをあげている。しかし、ダライ・ラマはこれらすべてについて記者会見などで関与を否定。その結果、「中国側には対話の誠意がない」との印象を国際社会に与え、北京五輪の開会式のボイコットや、聖火リレーなどで人権団体などによる抗議活動につながった。

 今回は、中国側はダライ・ラマ側との接触に応じたが、国際社会などが求めている中国指導者とダライ・ラマ本人との直接対話ではなく、ダライ・ラマ側の代表と中国当局者による、いわば事務レベルの接触にすぎない。3月14日のチベット騒乱後、当事者の双方が初めて対話のテーブルにつくという意味で一歩前進といえるが、大きな成果を期待することは難しいとみられる。

 中国側とダライ・ラマ側の事務レベル接触はこれまでもたびたび行われており、2002年以後だけでも、6回に及んでいるが、いずれも双方の主張が平行線のままに終わっている。

 ダイラ・ラマ側はチベットで、香港やマカオのように、「一国二制度」の導入を求めている。外交と国防を中国に委ねる以外は、チベットのことはすべてチベット人が管理するということだ。

 しかし、チベット以外にも4つの少数民族自治区を抱える中国は、チベットに高度な自治を認めることによる他の地域への波及効果を恐れている。また、無神論を信奉する共産国家の中に、神職者が政治を主導する地域が生まれれば、宗教の影響が拡大し、一党独裁体制の崩壊につながることを警戒している。

中国が対話再開へ ダライ・ラマ私的代表と

2008/04/26 中国新聞ニュ−ス

 【北京25日共同=渡辺陽介】中国国営の新華社通信は二十五日、中国政府の関係部門がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世側の度重なる求めを考慮、ダライ・ラマの私的代表と対話を行う準備を進めていると伝えた。

 中国政府とダライ・ラマの対話が実現すれば昨年七月以来。欧米諸国や日本などから双方の対話再開を求める声が強まっていたことを受けた動きとみられる。

 二十五日、北京で記者会見した欧州連合(EU)欧州委員会のバローゾ委員長は、温家宝首相との会談後「近くチベット問題で前向きな動きがあるだろう」と述べ、対話の再開を示唆していた。

ダライ・ラマが胡氏に書簡 米議会への声明で側近証言

2008年04月24日 中国新聞ニュ−ス

 【ワシントン23日共同】チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が、チベット情勢に関して中国の胡錦濤国家主席に書簡を送り、事態沈静化への協力を申し出ていたことが23日、分かった。ダライ・ラマの側近が米上院外交委員会に提出した声明で明らかにした。

 声明を提出したのはダライ・ラマの外交特使として中国側と交渉経験のあるロディ・ギャリ氏。声明によると、書簡は3月19日付で、ダライ・ラマは胡主席に対し、混乱を収めるため自らの使節団をチベットに送りたいと申し出たという。

 委員会終了後、ギャリ氏は記者団の取材に応じ、中国側から書簡への返事はあったが、ダライ・ラマの申し出に対し具体的な諾否は含まれていなかったなどと述べた。

チベット問題聞く耳なし、中国外相激しい批判に終始

2008年04月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 来日中の楊潔チ(ようけつち)中国外相は18日、福田首相や与野党幹部らとの一連の会談で、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世側への激しい批判を繰り返し、日本側の対話呼びかけにはほとんど耳を貸さなかった。(「チ」は竹かんむりに「褫」のつくり)

 楊外相は民主党の小沢代表らとの会談で、「人権問題で中国は批判を受けているが、人権問題を起こしているのはダライ・ラマ側だ。中国国民の命や人権を守るため、治安を強化する必要がある」と強調。自民党の伊吹幹事長との会談では、「西側メディアは、明らかに(中国政府に不利なことを)選んで報道している」と、報道にも批判の矛先を向けた。

 楊外相は17日の日中外相会談で、「アジアで中国に何か言っているのは、日本だけだ」とも述べており、自民党内では「胡錦濤国家主席来日の地ならしで来日したはずだが、逆効果だ」と反発する声も出ている。

ダライ・ラマ代理人が中国側と非公式対話

2008年04月14日 nikkansports

 米紙シアトル・タイムズ(電子版)は14日までに、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が13日、米西部シアトルで行った記者会見で、ダライ・ラマの代理人と中国側がチベット暴動後、「非公式対話」していることを明らかにしたと報じた。

 チベット情勢をめぐっては、北京五輪の聖火リレーが各地で混乱するなか、中国政府とダライ・ラマに対話による解決を求める声が国際社会で強まっている。

 同紙によると、ダライ・ラマは会見で、中国側との接触について「非公式なチャンネル」を通じた「取り組みだ」と述べた。自身が直接行っているわけではないとし、接触の成果はなお不透明だとして「憶測はしてほしくない」と語った。

 中国政府はダライ・ラマを「祖国分裂主義者」と非難、「対話のドアは今も開かれているが、問題はダライ・ラマ側が暴力を選んだことだ」との立場を強調している。

 

中国が外国観光客の受け入れ再開 雲南省チベット族自治州

2008.04.13 MSN産経新聞

 13日の新華社電によると、中国雲南省北部の迪慶チベット族自治州は、チベット自治区ラサでの暴動発生後に見合わせていた外国人観光客の受け入れを約1カ月ぶりに再開した。同自治州当局者が12日、明らかにした。

 迪慶は人口の約3分の1がチベット民族。香格里拉(シャングリラ)県などの観光地がある。(共同)

ダライ・ラマ生家、厳しい監視下…現住の親族は事実上の軟禁

2008年04月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【西寧(中国青海省)=加藤隆則】中国チベット自治区ラサで大規模暴動が発生してから14日で1か月を迎える。

 同自治区に隣接する青海省にあるチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世(72)の生家は、当局の厳しい警備下に置かれ、外部との接触が制限され、現住する親類らは事実上の軟禁状態に置かれていた。

 「ずっと山の奥だよ。先で聞けばすぐわかる」。10日、省都西寧市から延びる高速道路を下り、生家の所在を尋ねると、チベット族の住民らは驚いた様子もなく、教えてくれた。インターから約40キロ、高度3000メートル級の山々を越えて平安県の生家に到着したのは午後5時過ぎだった。

 正面の門扉は固く閉ざされたまま。両側には、同省司法当局による4月2日付の通知が張り出されていた。通知は中国とチベット語の2通。中国語では、政府への破壊行為やダライ・ラマの肖像や写真の制作、配布を禁じ、情報提供者には報酬が出ることなどが書かれてあった。

 裏手に回り、戸をたたくと男性が現れた。「あなた方はどこから?」。記者の身分を名乗ると当惑した表情に一変し、「今は対応ができない。すぐに帰ってほしい」と敷地内に姿を消した。その後、付近の住民が「日中は警官が何人もいて生家への道を封鎖している。さっき帰ったばかりだ」とこっそり打ち明けた。

 ダライ・ラマは出生後の数年間、この家で過ごした後、ラサに転居。1959年のチベット動乱でインドに亡命した。今回の暴動で、中国政府はダライ・ラマを「首謀者」と非難しているが、今もダライ・ラマは周辺に住むチベット族の信仰の中心だ。

 ラサの暴動に先立つ2月21日には、同県から南へ約150キロの黄南チベット族自治州同仁県で僧と警官の衝突事件が発生している。12日、発生現場を訪れると、若い僧が「軍隊が毎日部屋の捜索にやってくる。ダライ・ラマの写真を持っていれば、すぐに連行される」と恐怖におびえていた。

【ウイークリーワールド】騒乱から1カ月 中国国内のチベット族を見る

2008.04.12 MSN産経新聞

 中国チベット自治区ラサで起きた大規模暴動は、4月14日で発生からちょうど1カ月となる。

 ラサに続いて外国メディアの訪問が許された甘粛省く甘南チベット族自治州では、僧侶らが取材団に中国政府批判などを直接、展開する騒ぎが再び起きた。現地から送られてきた街中の写真には、ところどころ焼けこげた建物が写り、ラサから飛び火したとみられる暴動の激しさを生々しく伝える。

 ラサを含む、中国国内のチベット族居住地で4月初旬に撮影され、配信された数少ない写真は、制服姿の治安部隊が相も変わらず徹底的に街頭を警備している様子をくっきりととらえている。

チベットは完全に内政問題 中国の胡錦濤主席

2008年04月12日 中国新聞ニュ−ス

 【博鰲(中国海南省)12日共同】新華社電によると、中国の胡錦濤国家主席は12日、オーストラリアのラッド首相と海南省三亜で会談し「チベット問題は完全に中国の内政にかかわること」と述べ、外国の干渉を許さない姿勢を強調した。

 主席は「ダライ・ラマ(14世)一味との闘争は民族、宗教や人権の問題ではない。国家の統一を守るか、あるいは祖国の分裂を許すのかという問題だ」と述べた。

チベット騒乱に国連、沈黙のナゼ

2008.04.11 MSN産経新聞

 【ニューヨーク=長戸雅子】チベット騒乱をめぐり、中国の人権弾圧に対する国際的非難が高まっているなか、国連の沈黙ぶりが目立っている。国連人権理事会(本部・ジュネーブ)ではチベットの人権問題を取り上げようとした米欧に対し、「内政干渉だ」と反発した中国にキューバなどの独裁国家が加勢、議題として取り上げられることもなく、同理事会は会期を終えた。安全保障理事会でも常任理事国の中国とロシアが人権問題を扱うことを頭から拒否。これまで人権弾圧を非難する本格的な決議や声明は出されておらず「人権のとりで」としての存在意義が問われている。

 「安保理が扱う問題でないことは明らかだ」

 3月の安保理議長国を務めたロシアのチュルキン国連大使は同月17日、チベット問題を安保理が討議する可能性を言下に否定した。

 「国際の平和と安全に対する脅威」を議題とする安保理だが、最近は「組織的で大規模な人権侵害は(地域の安全への)脅威の予兆」という発想から人権問題を取り上げる動きが米欧を中心に活発になり、昨年9月のミャンマー軍政による反政府デモ隊の武力鎮圧では議長声明採択にまでこぎつけた。

 しかし、自国内の人権問題が取り上げられることを恐れた中国やロシアが必死の巻き返しに出た。両国は常任理事国として拒否権を持っており、決議案や声明案を葬り去ることができる立場にあるのが強みだ。

 「人権侵害国家同士が手を組み、自国に不利な決議案が採択されるのを阻止する」と悪名高かった人権委員会を改組、2006年から活動を始めた人権理事会も無力さを証明した。中国やロシア、キューバ、パキスタンなどがメンバーになり、チベット問題でも討議の可能性を封印した。

 頼みの綱は「紛争の仲介・調停」を主要な任務とする事務総長だが、潘基文事務総長はこれまで中国の王光亜国連大使に「懸念」を伝え、北京五輪開会式への出席見送りを決めたものの、中立性を生かした独自の活動に乗り出す気配は見せていない。中国があくまで「内政問題」と主張し国際社会の介入を拒否していることに加え、06年の事務総長選挙で中国が潘氏を積極的に支援しており、さらに、再任に対して拒否権を行使できる立場にあることも影響しているとみられる。

【記者ブログ】日本はまだ沈黙ですか…〜中国の“チベット問題”

2008.04.11 MSN産経新聞

 欧州から米国・サンフランシスコ…。中国のチベットへの人権侵害問題に対する抗議行動として”聖火リレー”に禍が及んでいるが、事の発端はあくまでも”中国の長年にわたるチベット弾圧”なのだが…。

 中国の姜瑜報道官は10日までに、ペロシ米下院議長がサンフランシスコでの聖火リレーに対する抗議運動を支持したとして「最低限の道徳も良心も完全に喪失している」と述べ、激しく非難した。

 といった声明を出している。とにかく、自己の発することがすべて正論とする姿勢でいる。それが、たとえ他国の内政干渉となろうと…。しかし、他国からの批判は許さない、というこれまた徹底的な”非民主主義”の立場でいるからたまらない。

 そんな中国に対して、本来なら隣人である日本は、毅然とした態度で国際ルールにのっとって、人権侵害など国際的非道に対しては、”意見”をすべきであるが、前日のもこのブログで書いたが、一向に埒があかないのがこの国のカジ取りしている人々である。

 かつて日本の政治家は、国体を守るために毅然とした態度をとっていた。だからこそ、明治維新以降、飛躍的な発展を遂げて、そして戦後、敗戦したのにもかかわらず、再び隆起した経緯を持っている。そういえば、何かの本で読んだことがある。戦後の混乱期、時の総理だった吉田茂氏は、占領下にあった日本において『連合国軍最高指令官総司令部』(GHQ)のマッカーサーと対面した折、こう話した、という。

「GHQって、Go Home Qiuckly(ゴー、ホーム、クイックリー=速く、家に帰りな…)って意味かと思ったよ」

 実話だという。占領されているとはいえ、ジョークにしても粋な言葉を口にしたものである。こんな政治家が、いまはいなくなった……。

チベット問題で中国 国連人権弁務官の「訪問拒否」

2008.04.11 MSN産経新聞

 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報道官は10日、アルブール高等弁務官の中国チベット自治区への訪問許可要請に対し、中国側から「時期が適切でない」として拒否する回答が届いたことを明らかにした。

 報道官によると、高等弁務官は3月末、チベット自治区などでの暴動鎮圧を受け、現地の人権状況を把握するため「できるだけ早く自治区を訪問したい」との意向を中国政府に伝えていた。

 これに対し中国は、今月8日になって「今は高等弁務官にとっても都合のいい時期ではない。いずれ、互いに都合のいい時期が来れば訪問を歓迎する」との趣旨の回答があった。訪問可能な時期については言及がなかったという。

 一方、国連人権理事会の専門家グループは10日、声明を発表し、国連特別報告者らの訪問を受け入れるよう強く求めた。(共同)

ダライ・ラマ14世が会見 「今こそ現実を受け入れを」と対話訴える

2008.04.10 MSN産経新聞

 チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世は10日、米国訪問のトランジットで日本に立ち寄り、千葉県成田市内のホテルで記者会見し、「暴力による弾圧ではなく現実的なアプローチが必要だ」と、中国チベット自治区などでの騒乱を力で押さえ込んだ中国に対話の必要性を改めて訴えた。

 3月中旬のチベット騒乱以降、ダライ・ラマが亡命先のインド以外で、見解を明らかにするのは初めて。

 騒乱の原因については、チベット民族の固有の宗教や文化、教育などが抑圧されているため、「チベット民族の憤りが表出した」と指摘。「いまこそ現実を受け入れるべきときだ」とし、中国に対し対話路線への転換を強く促した。

 また、欧米諸国で北京五輪の聖火リレーに対する抗議行動が激化していることについて、「表現の自由は暴力によって確保されるべきではない」として非暴力主義の重要性を力説。9日に聖火リレーが行われたサンフランシスコの知人に「気持ちを表現することは自由だが、暴力は絶対に振るってはならない」とのメッセージを送ったことを明かした。

 ただし、抗議行動の原因については理解を示し、「民主主義に含まれるべき表現の自由が中国のチベット民族には許されていないためだ」と述べた。

 8月の北京五輪ついては、「中国は人口も多く、歴史も長く、五輪を開催するだけの十分な力のある国だ」と、改めて開催に支持を表明した。一方で「透明性のある情報を提供すべきだ」とし、国際機関に調査を依頼するなど騒乱の真実を公表するよう要求した。

 会見終了後は米シアトルに向けて出発。米国にはニューヨーク州などに約2週間滞在し、講演会や法話などを行う。

ダライ・ラマが成田到着

2008.04.10 MSN産経新聞

 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は10日、ニューデリーから訪米する途中、航空機の乗り継ぎのため成田空港に到着、空港近くのホテルに入った。同日午後に日本メディアと会見し、米シアトルに向かう予定。赤い法衣を着たダライ・ラマはホテル到着後、報道陣に手を振り「午後に会いましょう」と笑顔で話した。

 ダライ・ラマの滞在先のホテルにはチベット民族や支援者の日本人ら計約30人がダライ・ラマを一目見ようと駆けつけた。チベット民族の女性(50)は「中国のチベット民族には自由がない。ダライ・ラマ14世と中国政府が対話をして問題を平和的に解決してほしい」と話した。

 中国外務省は1日の記者会見で「いかなる名目や身分であれ、ダライ・ラマが外国に行き、祖国分裂活動に従事することに反対する」としていた。(共同)

「非暴力と対話」解決促す 中国側に豪首相

2008.04.10 MSN産経新聞

 中国を訪問中の豪州のラッド首相は10日、中国の温家宝首相と会談し、チベット情勢について「重大な人権問題がある」との考えを伝えた上で「非暴力と対話」の原則で問題を解決するよう中国側に促した。会談後にラッド首相が記者会見して明らかにした。

 会見で首相は、24日に豪州を通過予定の北京五輪聖火リレーについて「完全な警備を豪州政府が提供する」と強調。五輪ボイコットには賛成しないとしたものの、自らが開会式に出席するかどうかは明言を避けた。

 また、両首相は気候変動問題で両国が協力を強化するとした共同声明に合意。この問題で閣僚級の定期協議を今後実施することでも一致した。さらに、石炭利用時の環境汚染を減らすための技術協力を進めることでも合意した。(共同)

「チベットでは容赦なく厳罰下す」 中国が警告

2008.04.09 MSN産経新聞

 中国チベット自治区のシャンパプンツォク主席は9日、北京で記者会見し、北京五輪の聖火リレーが同自治区を通過する際の当局対応について「大胆にも破壊活動を企てる者がいれば、容赦なく厳罰を下す。手加減は一切しない」と述べ、中国の人権問題を理由とした妨害運動があれば徹底的に取り締まる考えを表明した。

 ロンドン、パリで起きた妨害については「チベット独立派分子が一部勢力の支持、擁護の下で起こした活動だ。(五輪成功という)大局にいかなる影響も与えることはない」と強調。「少数の分裂主義者の行動によって(成功が)損なわれることはない」と述べた。(共同)

チベット弾圧で日本の文化人有志が声明

2008.04.08 MSN産経新聞

 中国チベット自治区での騒乱を中国政府が強権的に鎮圧したことを受けて、映画監督の龍村仁さん、ジャーナリストの下村満子さん、音楽評論家の湯川れい子さんらが8日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見し、文化人有志65人の連名による「14世ダライ・ラマ法王と中国政府首脳との直接対話を求める声明文」を発表した。

 声明文は「ダライ・ラマ法王に扇動された一部チベット人による暴力的反政府活動」という中国政府のキャンペーンを「真実とかけ離れたもの」と批判したうえで、国際的な仲介者のもとでの中国政府首脳と法王との対話を提言。「それこそ中国政府が世界の信頼を取り戻すことのできる唯一の道」と訴えている。

 ダライ・ラマ法王の「愛と非暴力」を貫く姿勢に共感する龍村さん、下村さん、湯川さんが呼びかけ人となり、作家の池澤夏樹さん、女優の岸恵子さん、俳優の堺正章さん、詩人の谷川俊太郎さん、音楽家の細野晴臣さんら計65人が賛同者として名を連ねた。

 会見では「中国政府の報道はでたらめ。真実を見てほしい」と龍村さんが訴えると、親を虐殺や拘束で失ったチベットの子供を支援する下村さんは「私はアンチ中国ではありませんが、いま中国が主張していることは正しくない。ダライ・ラマ法王は一貫して非暴力を唱え、中国との対話を求めています。中国政府は心をオープンに対話を開始してほしい」と強い口調で語った。また、湯川さんは「こういう活動は正直言って怖い。原子力潜水艦に立ち向かうイワシのよう」と不安を吐露したうえで「中国はジャーナリストを受け入れるべき」と述べた。

 3人はさらに賛同者を集めたうえで、声明文を日本政府と中国政府に渡したい、としている。

チベット問題 中国の古来からの排他的な中華思想が背景

2008.04.08 MSN産経新聞

 【北京=矢板明夫】3月中旬に起きたチベット騒乱以降、中国当局はチベット仏教の最高指導者のダライ・ラマ14世との直接対話を拒否し、僧侶らの取り締まりを強化した。この強硬姿勢は欧米社会から厳しい批判を受けたが、中国国内ではむしろ若者を中心に支持を広げている。古くから伝わる排他的な中華思想がいまだに中国人の考え方の底流にある。それに加えて1990年代以後、強化された愛国主義教育が、民族主義をますます高揚させたともいえそうだ。

 中国の大手ポータルサイト「捜狐」に、「五輪聖火リレー、パリで妨害される」とのニュースがアップされてから半日ほど経った8日午後3時。ニュースの感想を自由に述べる欄にはすでに約2000件の書き込みが殺到した。「聖火を守れなかった仏政府に謝罪を求める」「フランスの五輪参加資格を剥奪(はくだつ)せよ」「妨害者に死刑を」といった過激な言葉が大半で、チベット人に同情的な意見は皆無だ。

 普段は、物価上昇や株価急落などで中国政府の政策を批判する意見も散見されるが、「台湾」「チベット」など民族や国家統一の問題になれば、瞬時に愛国主義一色となる。

 ある中国人学者によれば、中国には古くから周辺民族に対する根強い優越感があり、“優れた”文化を持って他民族を征服し同化できると考えられてきた。「中華思想」だ。逆に中国中心の秩序から離脱しようとする民族やグループがあれば、中国の文化的優越感を根底から否定するとみなし、自尊心が傷つけられ、反発が起こるという。

 聖火リレーで抗議行動をしているのは、チベット人と彼らを応援する欧米人だといわれる。共産党の一党独裁に反発し、外国に追われた数万人の中国人民主化活動家の姿はほとんど見られなかった。チベット人と同じく中国当局に弾圧されているにもかかわらず、応援しないのは、彼らも中華思想の影響を受け、本音ではチベット独立に反対しているからだとみられる。

 中華思想から生まれた中国の民族主義は近年、より偏狭となり、過激さを増した。江沢民時代に始まった愛国主義教育の結果といわれる。1989年6月の天安門事件以後、中国当局は共産党政権の求心力を取り戻すべく、青少年への愛国主義教育を強化。共産党建党記念日や建軍節などに歴史記念館や烈士墓地の見学を小中学校に義務づけた。

 歴史教育で、中国が列強の侵略を受けた悲惨な一面を強調する一方、外国人宣教師を虐殺し外国大使館を襲撃した義和団事件(1900年)などの外国排斥運動を「愛国主義運動」として大々的に宣伝。その結果、若者の間で民族主義が膨張し、欧米への不信感は高まった。

 99年の北大西洋条約機構(NATO)軍による在ユーゴスラビア中国大使館誤爆事件に抗議し、中国各地ではデモが発生。一部の若者が外国領事館に侵入、放火するなど暴徒化した。日本への反発は最も多く、2005年春、日本の国連安保理常任理事国入りに反対する若者が全国的にデモを展開し、日系百貨店や料理店などが襲撃された。

 チベット騒乱後、中国の知識人の間でも「チベットに対する経済援助中心の政策を改め、高圧政策に転じるべきだ」といった強硬意見が目立つ。過去約20年の愛国主義教育が背景にちらつくが、こうした民族主義の高揚が、結果的に中国政府の外交姿勢を硬直化させてしまった。一方、国際世論に少しでも歩み寄れば国民から「弱腰」と批判されかねなず、中国当局は諸刃の剣にさらされている。

新華社が死者名リストは偽物と報道 チベット亡命政府を批判

2008.04.07 MSN産経新聞

 中国の国営通信、新華社は7日までに、チベット亡命政府(インド・ダラムサラ)が発表したチベット暴動などでの死者名リストについて「まったく事実と符合しない」と指摘、偽物だとして亡命政府側を批判した。

 亡命政府が3月25日に発表した40人の死者名リストで、住所が示された5人のうち4人は同姓か似た名前の人がいたが、いずれも生きており、1人は該当者がいないとした。残りの35人は、具体的な住所や職業などが発表されておらず、調査できないとしている。

 また中国の大手ニュースサイト「新浪網」が、欧米メディア報道は事実を歪曲(わいきょく)しているとして、インターネット上で呼び掛けた抗議署名は7日、220万人分を越えた。(共同)

チベット問題で「中国支持の声相次ぐ」と新華社

2008.04.07 MSN産経新聞

 中国国営通信、新華社は6日、チベット情勢をめぐり中国当局に批判的な欧米メディアなどの報道を非難する各国市民の声がインターネットなどを通じて中国に「相次いで寄せられている」とする記事を配信した。

 イタリア、スペイン、ブラジル、インドなど19カ国から北京市にあるラジオ局、国際放送に届いたとする意見を詳しく紹介。19カ国に日本は含まれていない。

 チベット情勢に関し北京五輪ボイコット論がくすぶる中、中国が国際世論の支持を得ているとの印象を国民に与えることで動揺を抑える狙いがあるとみられる(共同)

五輪妨害しないよう訴え ダライ・ラマが声明

2008.04.07 MSN産経新聞

 チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は6日、すべてのチベット人に向けた声明を発表し、北京五輪について「開催を支持するとした最初の立場は変わっていない」と強調、五輪への妨害行為をしないよう求めた。

 声明は、チベット人は「自由とさまざまな権利のため闘う法的な権利があるが、中国人の心に憎しみを生むのは無益で助けにならない」とした。

 チベット暴動については「肉体的、精神的にうっせきした苦悶(くもん)の噴出であり、権利の抑圧、宗教の自由の欠如に対する長年の憤りだ」と理解を示したが、非暴力を貫くよう強く訴えた。

 多数の死傷者、拘束者が出たことに「深い悲しみと懸念」を示し、命を落としたチベット人、中国人に祈りをささげるとした(共同)

チベット騒乱と経済格差 街の“富裕”漢族へ恨み噴出

2008.04.07 MSN産経新聞

 先月中旬に発生したチベット騒乱の影響で、チベット自治区を訪れる旅行客が半減しているという。同自治区にとって、観光収入はGDP(域内総生産)の10%を占めるので深刻な問題だ。

 青蔵鉄道開通2年目の昨年1年間で、同自治区を訪れた観光客は約402万人で、観光収入は前年比約2倍増の48億元(約720億円)を超えたが、今年はかなりの打撃を受けることが懸念されている。

 そもそも同鉄道の開通は西部大開発の一環で、同自治区と沿海部および同自治区内の住民間の格差解消が目的だったはずだが、鉄道開通で所得が増加したのは漢族ばかりとの報道もある。

 例えば、鉄道開通で急増した四川料理店やサウナ、カラオケ、土産物屋の大半は漢族が経営しているという。つまり、開通で、漢族とチベット族の所得格差は逆に拡大してしまったというのだ。

 中国政府は両民族の平均所得について、具体的な数字を発表していないが、公表している経済統計で、それぞれの所得を推計することができる。

 2004年の同自治区の都市部住民1人当たりの可処分所得は8200元(約12万3000円)だが、農牧畜民の純収入は1681元(約2万5200円)。都市部と農村部の所得格差は5倍にも達する。

 同自治区の人口は06年末現在、281万人で、そのうちの92%がチベット族。しかも、チベット族の8割は農村部に住んでおり、都市部にはわずか2割しかいない。反対に漢族の大半はラサなど都市部に住む。つまり、ちょっと乱暴な計算だが、チベット族の所得は漢族のほぼ5分の1との仮説を導き出すことができる。しかも、その額は全国平均からみるとかなり低い。中国の農民の平均所得は約4000元(約6万円)なので、チベット族の農牧民の所得は3分の1だ。

 さらに、同自治区では他の地域同様、物価上昇が続き、低所得のチベット族世帯の家計を直撃している。主食の粉状のツァンパの材料となる大麦などが昨年に比べて5倍も値上がりしているほか、他の品目も軒並み20〜30%程度上昇しているという。

 今回のチベット騒乱では、僧侶のほか、チベット族の一般市民らが漢族の商店などを襲撃している映像が頻繁に流されたが、「チベット族と漢族の深刻な経済格差が今回のチベット騒乱の原因の1つ」(ウォールストリート・ジャーナル紙)との指摘もある。

 同自治区では政治的、民族的に複雑な要因は無視できないが、衣食が足りた生活を送りたいとの庶民の気持ちは、どこの国でも変わらないはず。経済格差によって、チベット民衆の生活が徐々に追い詰められていたところに、今回の騒乱の原因が隠されているような気がしてならない。(相馬勝)

チベット旗掲揚 中国がチェコ代表団の訪問拒否

2008.04.05 MSN産経新聞

 香港紙、明報(電子版)は5日、チェコ教育省の建物にチベット独立の象徴「雪山獅子旗」が掲げられていたことを理由に中国政府が同省からの訪中団受け入れを取り消したと伝えた。

 同紙によると、プラハの中国大使館は声明を発表。この中で、同旗を掲げることはチベット独立への支持を意味し、中国政府は受け入れられないと主張した。

 代表団はチェコ教育省の次官を団長に、同国の大学代表らからなり、両国の学生交流などについて話し合う予定だったという。(共同)

中国の情報統制に不満表明 チベット視察で米副報道官

2008.04.05 MSN産経新聞

 米国務省のケーシー副報道官は4日の記者会見で、中国政府が手配し、日米欧などの外交官が参加した3月末のチベット自治区ラサ視察について「参加者は中国政府が許可した場所しか見ることができなかった」と述べ、情報統制に不満を表明した。

 北京の日本大使館の和田充広公使も視察後「(中国が)説明していない部分がまだたくさんある」と記者団に述べている。ラサの大規模暴動に伴うデモ隊と治安部隊の衝突をめぐり、都合の悪い情報を開示しない中国政府に対する批判が一段と高まりそうだ。

 視察は3月28〜29日に行われ、米国からは北京の米大使館の政務担当外交官が参加した。しかし、視察活動が制限されたため、副報道官は「われわれが得た情勢評価は(衝突の)全体像を伝えているとはいえない」と語った。(共同)

「チベット問題解決で中国政府と協力も」イエズス会総長が表明

2008.04.03 MSN産経新聞

 世界に約2万人の会員を持つカトリックの男子修道会、イエズス会トップのアドルフォ・ニコラス総長(71)は2日、共同通信などとのインタビューで、チベット問題解決のため「中国政府と協力する」用意があると述べた。今年1月に総長に選出されて以来、外国メディアとのインタビューは初めて。

 総長は中国政府によるチベット自治区暴動鎮圧について「人を圧迫するようなことには賛成できない」と述べたが、中国との具体的な協力の在り方には触れなかった。

 また、ローマ法王ベネディクト16世が昨年末、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の会談要請を拒否したことに関しては「不思議に思った」と疑問を投げかけた。会談拒否の背景には、国交のない中国との関係改善を図るバチカンの思惑があると指摘されている。(共同)

「情報操作が中国不信を増幅」と在米女性ジャーナリスト

2008.04.03 MSN産経新聞

 チベット騒乱の幕引きを狙った中国政府の公式発表に対して、米欧など主要国の政府、マスコミは、懐疑的な姿勢を崩さない。「中国の闇」(扶桑社刊)などの著書がある在米女性ジャーナリスト、何(か)清(せい)漣(れん)氏は、産経新聞への寄稿で、エスカレートする中国当局の情報操作が対中不信を増幅してきた構図を指摘した。寄稿の抄訳は以下の通り。

              ◇

 世界的な注目を集めたチベット騒乱とその後の情勢について、国際社会は中国の国営新華社通信を通じて発表される情報に疑念を隠さない。マスコミを使った中国政府の情報操作に加えて、以下の事情が不信の下地になっている。

 中国当局はまず、外国メディアをチベットから締め出し、報道ルートを新華社に一元化した。事件の情報源と媒体が鎮圧側と三位一体化した情報であり、信じることに土台無理がある。多くの外国人記者が現場に留まり、人民日報や国営中央テレビまでもが官製ではない報道を続けた天安門事件(1989年)とは状況が異なるのだ。

 この十数年間、中国政治で3つの傾向がはっきりしてきた。すなわち、(1)公権力の私物化(2)政府活動の裏社会化(3)暴力行為の合法化と広がり−である。

 03年以降をみると、中国では年間5万から8万件の騒乱が起きている。社会の抵抗を手際よく抑えるため、当局は暴力に依存する習慣を強めてしまった。

 民衆の権利擁護の活動も動き始めているが、こうした活動家や反体制分子に対して、当局は国家安全局など情報・治安機関の介入のほか、犯罪の証拠をでっち上げて投獄することまでしている。

 マスコミに対する暴力団的な脅しや暴力もよくみられる。外国人記者も例外ではない。北京の外国記者クラブでは、昨年80件あまりの記者への嫌がらせなどを報告しているが、犯人を捜しても「身分不詳の暴徒」で終わるのが関の山だ。

 温故知新という言葉があるが、天安門事件の当時にも、学生デモが荒れるように共産党が巧みに仕掛けていたことを思い出してほしい。私服の特務が学生に武器をこっそり渡すといった具合だ。当時総書記だった趙紫陽氏に「米中央情報局(CIA)のスパイ」という罪名を着せる策謀がめぐらされ、連絡役とされた富豪、ジョージ・ソロス氏が●(=登におおざと)小平氏に強く抗議し、米紙ワシントン・ポストが事態をすっぱ抜くまでこの茶番劇は続いた。

 中国政府のやってきたことは、こんな具合である。どうやって一方的に発表される“ニュース”を信用しろというのだろうか。

                 ◇

 か・せいれん 中国の女性経済学者、ジャーナリスト。同国の経済改革の構造的問題をえぐった「中国現代化の落とし穴」が1998年にベストセラーとなったが、発禁処分となった。2001年に渡米。

福田首相、改めて慎重姿勢 チベット情勢

2008.04.02 MSN産経新聞

 福田康夫首相は2日の衆院外交委員会で、5月に訪日する中国の胡錦濤国家主席との会談で、チベット情勢を議題とするかついて「状況を注視している。

 関係者が冷静な対応をしてくれることを望んでいる」と改めて慎重な姿勢を示した。

 また、首相は同日夜に首相官邸で記者団に対し「チベット問題は中国の内政問題だが、人権にかかわるようなことがあれば心配、懸念を表明せざるを得ない。そういうメッセージはいろいろな方に伝えてある」と、非公式な形で中国政府側に懸念を伝えていることを示唆した。

 一方、同日開かれた自民党の外交関係合同部会では、「国連常任理事国入りを目指す日本がチベットの人権問題を中国の国内問題ということだけで済ませてよいのか」などと政府に厳しい対応を求める声が相次いだ。

中国の研究者「チベット僧の愛国教育強化を」

2008.04.02 MSN産経新聞

 中国国務院(政府)新聞弁公室は2日、チベット情勢に関する記者会見を開き、共産党の幹部養成機関、中央党学校の研究者らがチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世を強く批判した上で「若手のチベット僧を対象に愛国主義教育をさらに進めるべきだ」(胡岩・同校教授)と主張した。

 胡教授は、ダライ・ラマについて「特に若いチベット僧に対し一定の影響力を有している」と分析。チベット僧は僧侶である以前に「中国国民」であるべきだとして、今後の対策として「(共産党が)チベットを平和的に解放した事実」を周知徹底する必要性があると訴えた。(共同)

新華社記事に反発 チベット亡命政府

2008.04.01 MSN産経新聞

 インド北部ダラムサラに拠点を置くチベット亡命政府は31日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と亡命政府がラサなどの暴動に関与したと断定した中国国営通信、新華社の30日の配信記事について「でっち上げられた言い掛かりだ」と強く否定する声明を発表した。

 声明は、真相解明のため国際機関の独立した調査を中国政府が直ちに受け入れるよう、あらためて求めた。(共同)

岐路に立つチベット亡命政府

2008.04.01 MSN産経新聞

 中国のチベット自治区での騒乱以後、「チベットの自由」を求めて中国政府と戦い続けているチベット亡命政府が、にわかに注目されるようになった。インド北部にある約50年前の小さな難民キャンプから今、直接選挙のある三権分立の“民主主義国家”に変身した同政府は、チベット仏教の政治的、宗教的中心として、これからも、国際政治における存在感を増していくとみられる。(北京、矢板明夫)

               ◇

 1959年のチベット暴動で、インドに亡命したチベット仏教の最高指導者・ダライ・ラマ14世はヒマラヤ山脈のふもとにある小さな町・ダラムサラにたどり着き、定住した。

 その後、インド各地に散在しているチベット人が集まり、亡命政府が出来上がった。直接選挙で選出された国会が可決した憲法では「チベットは、自由で社会福祉を大切にする連邦民主主義国家」と規定した。

 亡命政府は現在も毎年、約2000人の新たな中国からの亡命者を受け入れている。外国の承認を受けていないが、外交を積極的に展開している。日米など主要国に事務所を設置し、ダライ・ラマ自身も精力的に外遊をこなし、チベット問題の解決を訴えている。

               ◇

 亡命政府は近年、インドとの関係が微妙になっている。インドと中国が急接近したことが原因だ。

 インド政府がダライ・ラマらの亡命を受け入れた59年ごろ、中国とインドは国境問題をめぐり激しく対立していた。その3年後の62年に双方で計数千人の死者を出す大規模な武力衝突に発展した。しかし、88年にラジブ・ガンジー首相が訪中し、中印関係が緩和して以後、インドによる亡命政府の支援はなくなったといわれる。

 3月の騒乱で、インド政府は国内のチベット人抗議者100人以上を逮捕し、警察当局による亡命政府への監視を強めている。亡命政府にとって、インドはもはや味方ではないようだ。

                 ◇

 3月21日、ダラムサラを訪れた米国のペロシ下院議長は、約5000人の亡命者を前に講演した。「チベットの独立を信じる世界の人々が、中国の弾圧に対し声をあげなければならない」と強調した。

 中国からの完全独立は、チベット人の長年の夢であり、ペロシ氏のように、これを明確に支持する欧米の指導者も少なくない。

 しかし、平和主義者のダライ・ラマは、流血を避けるため、中国当局に対して求めているのは、外交と国防を中国政府に委ねる「高度な自治」だ。

 その要求も中国政府から「分離・独立につながる」と一(いつ)蹴(しゆう)され、チベット人への弾圧は逆に強化された。近年、亡命政府の中からも、ダライ・ラマの「弱腰」姿勢の批判する急進派も増え、今後も流血が続けば、こうした声が一段と高まりそうだ。

 独立を求めるか、出口の見えない「高度な自治」を続けるか、亡命政府は岐路に立っているといえる。

EU チベット弾圧中止を要求

2008.03.30   MSN産経新聞

 【ベルリン=黒沢潤】スロベニアの首都リュブリャナ近郊のブルドで開催された欧州連合(EU)非公式外相会合は29日、中国・チベット自治区での弾圧を直ちに中止するよう中国側に求める声明を採択した。北京五輪の開会式参加問題については、加盟各国の立場が分かれたため言及を避けたが、強権的な態度をとる中国政府に対し、一致して厳しい姿勢を見せた形だ。

 ロイター通信によれば、声明は「EUは、弾圧に終止符を打つよう(中国政府に)求めるとともに、国際基準に従って(チベット人の)逮捕者を慎重に取り扱うよう要求する」と強調。チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世への言及を避けた上で、「EUは(中国とダライ・ラマの)対話開始に協力する用意がある」と呼び掛けた。

 会合での討議では、2012年の五輪開催国である英国のほか、スウェーデンやポルトガルが開会式への参加を明言。これに対し、ドイツやチェコ、ポーランド、エストニア、スロバキアの5カ国が首脳の欠席を表明し、アイルランド外相も不参加を示唆するなど、対応が割れた。このため、EUとして統一見解を打ち出すのは避けた。

 ただ、中国への反発は、五輪開会式の不参加問題のみならず、経済分野にまで及んでおり、フェレロワルトナー欧州委員は30日発売予定のドイツ週刊紙に対し、「中国を拠点に活動する外国企業はビジネスを早急には中止できないだろうが、チベットがこうした状況下にあるときに、企業は重い責任を持つ」と語り、弾圧が続くならば企業の活動を自粛するよう求めた。

「兵士が僧侶に変装」とダライ・ラマ 中国に反論

2008.03.29   MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は29日、インド・ニューデリーで記者会見し、チベット自治区の騒乱について、「中国軍の兵士数百人が僧侶姿に変装していたと聞いている」と述べた。インドのPTI通信(電子版)が伝えた。

 AP通信などによると、ダライ・ラマは北京五輪支持の立場をあらためて述べる一方、中国に対し、「開催国として人権、宗教の自由を尊重すべきだ」と要求した。

 一方、中国国営新華社通信は同日、騒乱をめぐり北京五輪開会式へのボイコット問題が浮上していることについて、「五輪が政治の人質になっている」と批判、「五輪に名を借りた政治的恐喝は受け入れられない」と強調した。さらに、「ボイコットは、中国をダライ(・ラマ14世)一派に妥協させる圧力とはならない」と指摘した。

「自由欲しい」と直訴 チベット寺院で若手僧侶

2008年03月27日  中国新聞ニュ−ス

 【ラサ(中国チベット自治区)27日共同】「ダライ・ラマは暴動と関係ない」「政府の言っていることはうそだ」。27日、中国政府手配の取材で北京からチベット自治区ラサ入りしている外国メディアの記者団がチベット仏教の最有力寺院ジョカン寺で取材中に、外出を禁止されている若い僧侶ら30人ほどが突然現れて叫びだし「自由が欲しい」などと興奮した様子で“直訴”した。

 僧侶らが姿を見せたのは27日午前。ラサ中心部にある同寺院で、記者団が責任者から14日の暴動後の対応などを聞いていた時だった。

 「うそだ。みんなうそだ」。1人の僧侶が記者らに近づき、叫んだ。「何がうそなんだ」と聞くと「みんなだ。政府の言っていることだ」と声を震わせて訴える。チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の関与について「(暴動に)関係ないとみんな分かっている」と叫ぶ僧侶も。

 外国メディアに政府の見解を否定するような意見を訴えれば、厳しい処分を受ける可能性もある。だが、訴えを伝えるため、危険を承知で外国メディアの記者らを待ち受けていたようだ。

米大統領 中国にじわり圧力

2008.03.27 MSN産経新聞

 【ワシントン=山本秀也】チベット仏教僧のデモに対する中国当局の弾圧に対し、ブッシュ米大統領は26日、騒乱の発生以来、初めて中国の胡錦濤国家主席と直接電話で意見を交わした。ブッシュ大統領は、かつてチベット統治のトップも務めた胡主席に対し、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世との「実質的な対話」を迫る一方、北京五輪のボイコット問題にはあえて踏み込まないことで、逆にじわりと圧力をかける姿勢を示した。

 チベット騒乱を受けて、米政府は中国への接触レベルを大使・次官級から外相級と順次引き上げ、ようやく首脳級の協議に踏み込んだ。米国内でのブッシュ政権に対する弱腰批判や、中国側が依然、軍・治安部隊による鎮圧方針を崩さないことを踏まえてのものだ。

 ペリーノ米大統領報道官によると、ブッシュ大統領は、(1)チベット情勢への懸念表明(2)ダライ・ラマと中国首脳の実質的な会談要請(3)外交官、報道関係者によるチベット訪問の許可要請−を中国側に伝えた。

 中国側によれば、胡主席は一連の騒乱を「明らかな犯罪活動」と非難し、警備当局の対応をあくまで正当化した。米側の求めるダライ・ラマとの直接対話については、「祖国分裂活動の停止」「チベット独立主張の完全な放棄」などに加え、「北京五輪を破壊する活動の扇動停止」を新たに条件とした。

 北京五輪について米政府は「政治とスポーツは別」として、ブッシュ大統領の視察訪中の計画を崩さず、こうした機会を通じて中国側に「さまざまな問題への懸念」を伝えるとしている。開会式のボイコットに言及したフランスのサルコジ大統領と対照的に、慎重な外交対応によって中国に、じわじわと圧力をかける方針に徹している。

 中国側が北京五輪の妨害に懸念を示したことも、裏を返せば五輪の成否が胡錦濤政権にとり、きわめて重大な政治問題となっていることの証左だ。態度を留保するほど、米側の五輪カードは重みを増す。

 ただ、中国共産党チベット自治区委員会書記時代に、ラサに戒厳令を敷いた胡氏は、チベット問題の複雑さを熟知する。仮にダライ・ラマとの対話実現で譲歩すれば、他の民族問題や国内矛盾に飛び火する危険も承知している。それだけにチベット問題の処理は米中双方にとって慎重を要する難題だ。

暴動で死者130人 中国、新たに5人逮捕

2008年03月24日  中国新聞ニュ−ス

 【ティンプー、北京24日共同】中国チベット自治区ラサなどの大規模暴動で、インド北部ダラムサラに拠点を置くチベット亡命政府の報道官は24日、抗議行動に加わったチベット民族と中国当局との衝突で確認された死者数が130人になったことを明らかにした。

 これまでチベット亡命政府は80人の遺体を確認したと発表していた。中国国営通信新華社は死者を19人としており、大きな隔たりがある。

 一方、中国公安省報道官は、ラサ暴動で2件の放火事件に関与したとして、チベット民族の容疑者計5人を24日に逮捕したと発表した。当局が発表した逮捕者は計29人となった。ラサ暴動に関連し公安省が記者会見したのは初めて。

 発表によると、女の容疑者3人が14日午後、ラサの洋品店に放火し店員5人が焼死。男の容疑者2人は15日午後、バイク販売店に放火し、店内にいた5人が焼死したとされる。被害者には乳児(8カ月)も含まれており、報道官は「2件の放火はラサの事件が平和的デモでなく、完全な暴力犯罪であることを証明している」と強調した。

海外メディア批判が本格化 チベット報道で中国政府

2008/03/23  中国新聞ニュ−ス

 【北京23日共同】中国政府は二十三日、チベット自治区ラサなどで起きた暴動をめぐる報道に関し「事実をねじ曲げている」と米テレビ局を名指しで批判するなど、海外メディア批判キャンペーンを本格化させた。

 中国国営の新華社通信は同日、米CNNテレビのウェブサイトが報じた軍用トラックの写真について「暴徒が石を投げつけていた場面を削除している」と非難するインターネットの中国市民の声を報道。英BBC放送のサイトについても公平さに疑問符を付けた。

 中国政府はラサへの外国人記者の立ち入りを認めず、他のチベット民族居住地域での外国人記者の取材にも厳しい規制を行っている。

 北京の「中国外国人記者クラブ」は二十二日、「少なくとも外国メディア一社が(市民によるとみられる)電話やファクスによる嫌がらせを受けている」と海外メディアに警戒を促した。

 二十三日の中国青年報は一面で「ダライ・ラマ(十四世)一味の非暴力はうそだ」などと大きく報道するなど、国内向けのキャンペーンも続いている。

 一方、国際人権団体「インターナショナル・キャンペーン・フォー・チベット」(本部・米ワシントン)は二十二日、各地の抗議行動は収束していないとする一方、中国軍が甘粛省のチベット民族居住地域などの部隊を増強していると発表、現地の緊張が続いていることを強調した。

死者19人、負傷者600人超 ラサ暴動の規模膨らむ

2008/03/22  中国新聞ニュ−ス

 【北京22日共同】中国国営通信の新華社は二十二日、チベット自治区ラサで十四日起きた暴動の死者数がこれまでの市民十三人から市民十八人と警官一人の計十九人に増えたことが自治区当局のまとめで分かったと伝えた。負傷者数も市民三百八十二人、警官ら治安当局者が二百四十一人に膨れ上がり、暴動の規模が大きかったことをあらためて示した。

 新華社はまた、暴動の詳細な経緯や背景をまとめた長文の記事を二十一日に配信。チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ十四世側が扇動したと非難し「祖国の統一と民族の団結を守る闘争だ」と強調した。暴動に加わるなどして当局に出頭した人数は、二十一日までに百八十三人になったという。

 一方、インドに拠点を置く非政府組織(NGO)チベット人権民主化センターは二十一日、各地の抗議行動などでの逮捕者が千人を超え、当局の取り締まりによるとみられる行方不明者も数百人に上ると発表した。

 同センターは、中国当局がチベット民族などによる抗議行動への取り締まりを強めるため、暴動の起きた甘粛省や四川省にも多数の軍部隊を投入していると伝えた。

 甘粛省甘南チベット族自治州では二十日、二十五日深夜までに出頭を求める中国語とチベット語の通知が各地に掲示されたが、既に厳しい取り締まりが始まっているという。

「チベット独立が目的」 各地が連携、抗議デモ

2008/03/20  中国新聞ニュ−ス

 【成都(中国四川省)19日共同】中国四川省成都のチベット仏教の僧侶(38)が十九日、チベット自治区や四川、青海両省のチベット民族居住地域の僧侶らの間に抗議デモをめぐる連携ネットワークが存在していることを認め、デモの目的は「ダライ・ラマの帰還とチベット独立だ」と、共同通信の取材に証言した。

 僧侶は各地との連携を成都で中継する「連絡役」で、僧侶らは携帯電話などで連絡を取り合っていると語った。チベット自治区ラサで火が付いた抗議行動の拡大の背景に、インド亡命中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世の帰還と中国からの独立を目指す僧侶の緊密な連携があることが判明した。

 僧侶によると、同日も四川省のアバやカンゼ、青海省ゴロクなどのチベット族自治州で衝突が発生し数人が死亡。アバのランタン県では十八日、群衆が県庁舎に掲揚されていた中国国旗を引きずり降ろして燃やしたため、十九日早朝から武装警官がチベット民族の家を一軒ずつ家宅捜索して犯人を捜し、多くの男性が殴るけるの暴行を受けた。

 また成都では、ラサでの暴動発生後、チベット民族の家庭でダライ・ラマの肖像画を掲げることが禁止され、小さな肖像画を身に着けて出歩くことを余儀なくされている。

 僧侶宅も肖像画が外された壁にくぎだけが残る。僧侶は「チベット民族は皆、心に痛みを抱えている。(反発心があるが)銃を突きつけられ怖くて一人では何もできない」と述べ、各地のチベット民族が連携する重要性を指摘した。

 僧侶は、チベット民族すべてがダライ・ラマの帰還を求めているとした上で「漢民族と共生することは永遠に不可能だ」と述べ、ダライ・ラマがチベットに帰還した後にチベットが独立すべきだと強調した。

中国、日本人観光客にも口止め・脅し? チベット問題

2008/03/19 JCAST テレビウォッチ

中国チベット自治区・ラサに端を発した中国政府への激しい抗議行動は、燎原の火のように周辺に広がり、3月18日には甘粛省でデモに参加した19人が中国武装警察に射殺されたのと情報も。

『とくダネ!』では、笠井信輔アナが「北京五輪ボイコットの動きも活発になっています」と報じた。

まずは、18日閉幕した全国人民代表大会後に温家宝首相が記者会見し、「ダライ(・ラマ14世)が『独立は求めない』との表明は偽り。ダライ一派が組織的かつ念入りに企てた策動だ」と厳しい口調で批判した。

これに対しダライ・ラマもチベット亡命政府のあるインド北部のダラムサラで会見し、脅しともとれる次のような発言を。

「われわれの策動というならここへきて調べたらいい。運動は我々の掌握できる範囲を超えている。制御できなくなれば、残された選択肢は(亡命政府の元首の地位を)辞任することだ」

報道によると、ダライ・ラマは、これまで対話を通じ「高度な自治」を獲得する路線を模索してきた。が、これに不満の若い世代が独立を求め過激化しているという。今回のダライ・ラマの発言は、辞任すれば、『過激な活動に歯止めがなくなるゾ!』とも取れる。

一方、北京五輪ボイコットの動きも確かに活発になっている。フランス外相が「五輪ボイコットを検討すべきだ」と発言しているほか、親中国のはずの台湾総統選の国民党候補、馬英九氏が、「(当選した場合は)弾圧がつづけば北京五輪ボイコットも排除しない」という声明を発表した。

脅しといえば、チベットから帰国した日本人ツアー客へのインタビューを聞いてオヤ!と感じた。

番組では、どこかの空港についた日本人ツアーの女性客にインタビューを試みたが、「中国当局から話すなと言われています。自分たちの身を守るために話せません」と一蹴された。

他局の報道番組でも成田空港に到着したツアーの男性客にインタビューしたが同様のコメント。

中国の報道統制で外国のジャーナリストは現在、チベットに入れない。唯一"真相"の一端を知るツアー客が、日本に帰国してまで自分の目で見た事実を語れないというのは解せない。中国政府の脅しがそれほど怖いのか。

「収拾不能なら引退」 中国での暴動でダライ・ラマ14世

2008/03/18  中国新聞ニュ−ス

 【ニューデリー、北京18日共同】チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ十四世は十八日記者会見し、中国での暴動が収拾不能となった場合、引退すると述べた。発言についてダライ・ラマ側近は「政治的指導者や亡命政府トップからの辞職を意味する」と解説、政治的ポストからの辞職であることを強調した。

 チベット民族にとっての精神的支柱であるダライ・ラマが亡命政府から退けば、急進的グループが暴走する恐れもある。

 温家宝首相は同日の記者会見で「チベット暴動はダライ・ラマ集団が企て扇動した。証明する事実は十分にある」と名指しで批判。

 さらに中国外務省の秦剛しん・ごう副報道局長は同日午後の定例会見で、ダライ・ラマが国際社会の調査を受けるべきだと中国に求めたことについて「(暴動で)どんな役割を果たしたのか、ダライ・ラマ自身こそ調査を受け、裁きを受けるべきだ」と非難した。

 一方、インドに活動拠点を置く非政府組織(NGO)チベット人権民主化センターは十八日、チベット自治区ラサ市近郊のトルン・デチェン県で十七日、チベット民族のデモ隊と治安部隊が衝突、僧侶ら約三十人が拘束されたと伝えた。

 目撃者によると、ラサ市近郊のデモは、地元の寺院に集まった数十人の僧侶に民間人が加わって徐々に膨れ上がり、現地の治安当局は別の場所から応援部隊を求めて鎮圧した。参加者の具体的人数、負傷者の有無など詳細は不明。

 また、甘粛省でも僧侶約五百人が十八日、ダライ・ラマをたたえるスローガンを掲げながら抗議デモを実施、地元の治安当局が出動する騒ぎになったという。

中国の「報復」に不安表明 ダライ・ラマが米議員に

2008.03.20 MSN産経新聞

 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は、ファインスタイン米上院議員(民主党)に送った18日付の書簡で、大規模騒乱が発生した中国チベット自治区の当局から「報復すると脅されている」と述べ、今後の事態の推移に不安を表明した。

 ダライ・ラマは書簡で「長い目で見れば、(当局による)これ以上の抑圧的な措置が、統一と安定という目的の達成につながるとは思えない」と指摘。自らと中国当局の直接対話こそが問題解決のための「最善の方法」と述べた。

 その上で、中国側が、暴動鎮圧のためさらに武力を行使するのではなく、信頼の積み重ねによってチベット住民の心をつかむことが必要と認識することが「絶対に必要だ」と訴えた。(共同)

「ダライ・ラマは分裂主義」 中国政府が米国に反論

2008.03.19 MSN産経新聞

 中国外務省の秦剛報道官は19日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世について「中国からの分裂活動を放棄したことはこれまでない」と批判する談話を発表した。米国務省が18日にダライ・ラマは「中国からの独立を主張していない」と表明したことへの反論とみられる。

 談話はダライ・ラマが(1)チベットを歴史的に中国の一部と認めたことがなく占領された国と主張(2)チベットの現行制度を認めず“大チベット”構想を訴えている(3)チベット民族以外のチベットからの退去と中国軍の撤退を求めている−などと批判。今回の暴動はダライ・ラマの扇動で起きたとし、ダライ・ラマ側の訴える「平和」や「非暴力」は「人を欺くもの」と決め付けた。(共同)

中国チベット自治区 暴動参加者100人が自首

2008.03.19 MSN産経新聞

 中国中央テレビ(電子版)は18日、チベット自治区ラサの騒乱で、これまで騒乱に加わった100人が、警察当局などに自首してきたと自治区政府幹部が明らかにしたと伝えた。(共同)

首相「冷静に適切な対応を」 チベット騒乱

2008.03.18 MSN産経新聞

 福田康夫首相は18日夜、中国西部のチベット自治区で起きた大規模騒乱が周辺にも拡大していることに対し、「憂慮している。(中国当局とデモ参加者の)双方が冷静に適切な対応を取ってほしい」と述べ、自制を求めた。首相官邸で記者団の質問に答えた。

「中国はオープンに」 チベット騒乱で高村外相が苦言

2008.03.18 MSN産経新聞

 高村正彦外相は18日、中国のチベット自治区の騒乱を理由に夏の北京五輪をボイコットする可能性を否定し、「成功裏にやってもらいたいと日本政府は考えている。中国は成功裏に終わるような措置をとってほしい」と述べた。

 また高村氏は、中国が国際調査団の受け入れを事実上拒否していることについて「大使館員が(チベット自治区の)ラサに行って調べようとしたら『内政問題だから来ないでほしい』という。なるべくオープンにして中国側の言う通り『中国は乱暴なことはしていない』と国際社会が分かるようにした方がいい」と注文をつけた。閣議後の記者会見や参院予算委員会で答えた。

【主張】チベット騒乱 国際監視下で真相究明を

2008.03.18 MSN産経新聞

 中国のチベット自治区ラサで起きた僧侶らによる大規模な騒乱が周辺の青海、甘粛、四川の3省にも広がった。流血の拡大が懸念される。騒乱が起きた現地からの報道は中国当局の強い統制下にある。犠牲者数もチベット自治区主席が17日、北京での記者会見で「(14日に)罪のない市民13人が殺害された」と公表したのに対し、在インドのチベット亡命政府は「少なくとも80人の死亡を確認」(16日)と食い違っている。

 中国政府は「暴動で民家や商店が焼き打ちや略奪に遭った」(チベット自治区主席)とし、暴徒を取り締まるのは当然との立場をとる。しかし、半世紀にわたるチベット独立運動が常に弾圧の対象とされてきた経緯を考えると、今回も中国当局の発表をうのみにはできない。

 そもそも、騒乱の直接のきっかけは何だったのか。ラサやその他のチベット族自治区域で何が起き、どのような措置がとられたのか。

 これだけ世界中に報じられた事件である。中国当局は従来の紋切り型ではなく、国際社会も納得しうる率直な説明をすべきではないか。

 チベット仏教の法王が聖俗両界を治める独立政権だったチベットに1951年、中国人民解放軍が進駐した。8年後の「チベット動乱」で独立運動は武力弾圧され、現法王のダライ・ラマ14世はインドに亡命し現在に至る。

 この間、中国は文化大革命の嵐を経て改革・開放に舵(かじ)を切り、今や中国抜きに世界経済は語れない。その投資によってチベット経済が発展をとげたのも事実だ。

 しかし、北京五輪を開催するような「大国」が、ノーベル平和賞受賞者であるダライ・ラマ14世を念頭に、「(騒乱は)組織的破壊活動だ」とみることには違和感をおぼえる。

 当のダライ・ラマ14世はインドでの会見で、今回の中国当局の対応を「恐怖による統治」と非難しつつ、北京五輪について聞かれると、「中国には、開催の資格はある」と冷静に述べた。こちらの方が国際社会にアピールするのは明白である。

 ダライ・ラマ14世が提示した、騒乱についての「国際的な組織による調査」を受け入れる度量を示してこそ、五輪ホスト国にかなう。

デモ参加者の摘発が本格化 チベット騒乱

2008.03.18 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】中国チベット自治区ラサなどでの騒乱で18日、デモ参加者らの徹底した摘発が本格化している。全国各地でチベット仏教寺院は警戒態勢下に置かれており、軍も高度な警戒態勢に入っているもようだ。一方、フランス通信(AFP)によると、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世は同日、亡命政府のあるインドで記者会見し、「チベットで暴力が続くなら退位する」と述べた上で、「非暴力を貫く。中国に対話を通じた解決を呼びかける」と強調した。

 米政府放送局「ラジオ自由アジア」は18日、治安部隊がラサで実施している身元捜査による拘束を含め数百人がこれまでに拘束されたと伝えた。当局は150人の逮捕状を用意、逃亡者の行方を追っているという。

 ラサ以外で死者が15人と伝えられる四川省のアバ県では、地元消息筋の話によると、幹線道路など各地で検問が行われている。武装警察官らがチベット寺院や繁華街などを中心に隊列行進など示威行動をとるなど厳重な警戒態勢が敷かれ、警戒要員は1万人近いとされる。

 「ラジオ自由アジア」などによると、ラサでは軍用トラックに乗った武装警察官らが市内の家々を1軒ずつまわり尋問している。一切の国の外交官も記者も入らせず、封鎖状態で不穏分子を徹底検挙する構えだ。

 地元紙「チベット日報」(電子版)は同日、市民の生活が平穏に戻ったことを強調、国営テレビもラサで学童の通学が再開したことなどを流し、安定が戻ったことを印象づけている。

 一方、インドに活動拠点を置く非政府組織「チベット人権民主化センター」は、青海省チグドリル県で17日夕、数百人の僧侶らが「チベット独立」とスローガンを叫び、公安庁舎に向けてデモ行進した。ほかの寺院でも小規模な衝突が発生しているようだ。同省貴南県でも同日、約70人の僧侶が「チベット独立」と叫びデモ行進、市民が加わり約500人のデモ隊に膨れたという。

 また、チベットと同じ独立運動を抱える新疆ウイグル自治区の一部都市では夜間外出禁止が発令されたとの情報がある。地元当局は産経新聞の電話取材に対し否定しているが、ワシントンに本部を置く人権団体によると、同自治区カシュガルとホータンで夜10時以降は外出しないよう通達が出ているという。

「海外メディアは不公正」 チベット質問に中国不満

2008.03.18 MSN産経新聞

 「不公正な態度だ」。中国外務省の劉建超報道局長は17日夜、チベット自治区などで発生した暴動に関する記者会見で、外国人記者側が「当局は市民に発砲したのでは」と繰り返し質問したのに対し、声を荒らげて不満をあらわにした。

 現地の目撃情報などをもとに「実弾を発射していないとする中国当局の発表は疑わしい」と追及する記者側に対し、劉局長は「みんなはそろって当局側の行為に関心を向けている」と強調。「暴徒がチベットでどのように(建物や車を)壊し、焼き、奪ったか誰一人聞かない」といらだちをむき出しに。

 会見は、欧州などで中国の在外公館が投石などを受けたことを発表し「(チベット独立派が)非暴力を唱えるのは欺瞞(ぎまん)だ」(劉局長)とアピールするのが狙いだったが、記者側の関心は中国当局の弾圧に集中、当てが外れた結果となった。(共同)

「暴力続くなら退位」ダライ・ラマ14世 死者は99人に

2008.03.18 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】フランス通信(AFP)によると、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世は18日、亡命政府のあるインド北部ダラムサラの私邸で記者会見し、「チベットで暴力が続くなら退位する」と述べた上で、「非暴力を貫く。中国に対話を通じた解決を呼びかける」と強調した。一方、中国チベット自治区ラサなどで起きた騒乱は18日、沈静化し市民は日常生活に戻りつつある。しかし、市内では中国当局によるデモ参加者らの徹底した摘発が本格化。全国各地でチベット仏教寺院は警戒態勢下に置かれており、軍も高度な警戒態勢に入っているもようだ。

 米政府系放送局「ラジオ自由アジア」は18日、ラサで数百人がこれまでに拘束されたと伝えた。当局は150人の逮捕状を用意、逃亡者の行方を追っているという。一切の国の外交官も入らせず、封鎖状態で不穏分子を徹底検挙する構えだ。

 チベット亡命政府スポークスマンによると、甘粛省瑪曲県で18日午後、チベット人のデモ参加者19人が射殺されたといい、同亡命政府が確認した死者は全体で99人に達した。亡命政府側によると、チベット自治区の区都ラサ以外での死者は「約150人」との未確認情報があるという。

 一方、四川省のアバ県では、地元消息筋の話によると、幹線道路など各地で検問が行われている。武装警察官らがチベット寺院や繁華街などを中心に隊列行進で示威行動をとるなど厳重な警戒態勢が敷かれ、警戒要員は1万人近いとされる。

 17日夜にも銀行などが焼き打ちにあったほか、紅原県でも僧侶らの抗議行動が行われた。

 また、インドに活動拠点を置く非政府組織「チベット人権民主化センター」によると、青海省チグドリル県で同日夕、数百人の僧侶らが「チベット独立」とスローガンを叫び、公安庁舎に向けてデモ行進した。ほかの寺院でも小規模な衝突が発生しているようだ。同省貴南県でも同日、約70人の僧侶が「チベット独立」と叫びデモ行進、市民が加わり約500人のデモ隊に膨れたという。

 チベットと同じ独立運動を抱える新疆ウイグル自治区の一部都市では夜間外出禁止が発令されたとの情報がある。地元当局は産経新聞の電話取材に対し否定しているが、ワシントンに本部を置く人権団体によると、同自治区カシュガルとホータンで夜10時以降は外出しないよう通達が出ているという。

「ダライ・ラマの陰謀」 チベット騒乱で中国政府が宣伝工作を本格化

2008.03.18 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】「旗印を鮮明にダライ・ラマ集団の民族分裂の行動に反対せよ」−。中国各地で起きているチベット族による騒乱について、中国政府はメディアや各地の座談会などを通じ、チベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世への批判キャンペーンをいっせいに強化し始めた。中国各紙は相次いで「分裂の陰謀は失敗する」などとする社説を掲載、ダライ・ラマ14世を「陰謀の首謀者」とする宣伝活動は日増しに強まっている。

 中国チベット自治区の共産党委員会機関紙「チベット日報」(電子版)は17日の社説で、「ダライ・ラマ集団は人民の利益を顧みず、民族団結と祖国統一にそむき、宗教と人権の衣を装った反動的本質を暴露した」と糾弾、「これは生きるか死ぬかの闘争だ。違法分子は容赦しない」と強く警告した。

 ダライ・ラマ14世を「独立運動の分裂主義政治集団の頭目」とする非難はメディアだけでなく、政府系の幹部会や宗教関係者を含めた各地・各界の座談会でも始まっており、「旗印を鮮明にする」ことがたたき込まれている。

 「旗印を鮮明にする」とは、1989年の天安門事件で、共産党が軍を使い民主化運動を弾圧した際にも使われた言葉だ。中国筋は「今後の方向や力量を指すもので、党の指導思想と行動指針となるもの」だと解説する。つまり「今回の事件にはダライ・ラマ集団との長期的かつ先鋭的な闘争が反映されており、事態に確固たる態度でのぞみ、旗印を鮮明にすること」で、国民を宣伝していくことだという。

 騒乱が波及している四川省の「アバ日報」も18日付で同様の文言を掲載。全国系主要紙も同日、「旗印を鮮明にせよ」とする国営新華社の配信記事をいっせいに掲載し、騒乱がダライ・ラマ14世によって「入念に計画された事件」であるとする宣伝工作を強化している。

 一方、中国政府は外交面でも「外国の政府当局者がダライ・ラマと会見したり、その分裂活動に便宜を図ったりすることに断固反対する」(秦剛報道官)と表明。内外の通じてダライ・ラマ支持の阻止に全力をあげる姿勢を示している。

「五輪破壊狙った」 チベット騒乱で温家宝首相

2008.03.18 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】中国の温家宝首相は18日、全国人民代表大会(全人代=国会に相当)閉幕後に記者会見し、チベット自治区ラサなどで発生した大規模な騒乱について「北京五輪破壊を狙ったものだ。北京五輪を政治化することはできない」と述べ、「五輪の政治化」を許さない姿勢を強調した。騒乱の背景については「(チベット仏教最高指導者の)ダライ(・ラマ14世)集団が組織、扇動した」とし、ダライ・ラマ支持派を激しく非難した。

 14日にラサで騒乱が発生した後、中国首脳が見解を公式に示したのは初めて。

 温首相は「(ダライ・ラマ14世の)『独立を追求しない、平和対話』という主張がでたらめであることを露呈させた。偽善に満ちたうそであることは動かせない」と述べ、ダライ・ラマ14世が求める「高度な自治」を一蹴した。

 さらに「これまでチベットは進歩、発展した」と声を上げ、「『中国政府がチベット文化を消滅させている』というのは完全なうそだ」と指摘。「われわれはチベットの安定と正常な社会秩序を維持する能力があるだけでなく、今後もチベットの経済発展を支援し、チベット文化と自然環境を保護する立場は不動だ」と述べ、従来のチベット政策を堅持していくことを強調した。

チベットの現場入り妨害と中国非難 国境なき記者団

2008/03/18  中国新聞ニュ−ス

 【北京18日共同】国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(本部パリ)は十八日までに、中国チベット自治区などの暴動で、中国政府が外国人記者らの現場入りを妨げていると非難する声明を発表した。

 声明は、今月十二日から同自治区などへの外国人記者らの立ち入りが認められない上、香港メディアを含む二十五人の記者が自治区や隣接省のチベット民族居住区から強制退去させられたと指摘。

 こうした行為は中国が北京五輪招致の際に表明した報道の自由に関する約束に違反するとし「中国政府は目撃者のいない場所で弾圧を準備している」と批判した。

 さらに、中国は外国メディアのニュースサイトなどを厳しく検閲する一方「『分裂主義者は殺せ』などとするチベット民族への差別的なコメントは許している」とした。

 温家宝おん・かほう首相は十八日の北京での記者会見で、同自治区ラサは基本的に平穏を取り戻したとした上で「ラサはいずれ開放される。(その際に)海外メディアなどの現地視察団を組むことを検討するだろう」とした。

国際調査団受け入れは事実上拒否 中国報道官

2008.03.18 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】中国外務省の劉建超報道官は17日、チベット自治区ラサでの騒乱について緊急記者会見を開き、今回の騒乱を「内政問題」としたうえで、「中国はこの問題を解決する能力と自信がある」と強調、国際調査団の受け入れを事実上拒否した。

 チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世は16日の会見で、チベット自治区への国際調査団の派遣を求めていた。

 劉報道官はまた、治安部隊は「実弾を使用していない」と指摘。チベット族に対する政策についても「中国の少数民族政策は世界でも成功した政策だ」と強調した。

 一方、チベット自治区のシャンパ・プンツォク主席は17日、北京で記者会見し、同自治区の区都ラサで発生した暴動について、死者が当初の10人から13人に増え、61人の警察官が負傷したと発表した。うち6人が重傷という。

 シャンパ・プンツォク主席は、ラサの被害について、300カ所が放火され、214の商店が燃やされたと述べた。同主席の会見は、暴動の激しさを強調、鎮圧の正当性を強調する狙いがあったようだ。

 インド北部ダラムサラに拠点を置く非政府組織「チベット人権民主化センター」は同日、ラサの封鎖区域で武装警察部隊などがしらみつぶしに実施している身元捜査で、すでにチベット族数百人が拘束されたと発表した。元政治犯も全員収監されたとされる。

 民主化センターはまた、四川省のアバ県で16日に発生した抗議行動に対する当局側の発砲で死者は15人になったと述べた。別のチベット支援団体は死者数を13人から30人とする目撃者の話を伝えている。

 ラサでは事実上の外出禁止令が敷かれ、自治区当局は暴動に関与した者に対し17日中に「自首」するよう通告している。

 一部の情報によると、甘粛省蘭州の西北民族大学でも16日、チベット族の学生約500人が座り込みなどの抗議行動を展開したが、学生がビラを構内で配布した後、当局の部隊が構内に入り、学生を解散させ、学校を封鎖した。また、同省の甘南チベット族自治州でも抗議デモが起き、警察車両1台が放火されたという。

チベット入り妨害と中国非難 国境なき記者団

2008.03.18 MSN産経新聞

 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(本部パリ)は18日までに、中国チベット自治区などの暴動で、中国政府が外国人記者らの現場入りを妨げていると非難する声明を発表した。

 声明は、今月12日から同自治区などへの外国人記者らの立ち入りが認められない上、香港メディアを含む25人の記者が自治区や隣接省のチベット民族居住区から強制退去させられたと指摘。

 こうした行為は中国が北京五輪招致の際に表明した報道の自由に関する約束に違反するとし「中国政府は目撃者のいない場所で弾圧を準備している」と批判した。

 さらに、中国は外国メディアのニュースサイトなどを厳しく検閲する一方で、「『分裂主義者は殺せ』などとするチベット民族への差別的なコメントは許している」としている。(共同)

中国大使へ「懸念」伝える 潘国連総長

2008.03.18 MSN産経新聞

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連の潘基文事務総長は17日、中国のチベット自治区で起きた暴動について「(中国の)当局に自制を要請し、全当事者にさらなる対立と暴力を回避するよう求める」と記者団に述べた。

 潘事務総長は「平和的解決の重要さ」を強調、この問題で中国の王光亜国連大使と会い、「懸念」を伝えたことを明らかにした。

 インドに亡命中のチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世は国際社会による調査を求めているが、潘事務総長は「事態を注視し続けていく」と述べ、具体的な言及を避けた。

 安全保障理事会の今月の議長国を務めるロシアのチュルキン国連大使は「安保理が扱う問題でないことは明らかだ」と述べ、「安保理がこの問題を扱うべきだ」とするチベット独立派の要求を一蹴した。この日の安保理の会合でもチベット情勢に関する発言は出なかったという。

 AP通信によると、王大使は「国連による調査は適切でない」との考えを表明し、「中国当局は十分に自制している」と強調したという。

中国大使館に投石、欧州各地で鎮圧に抗議

2008.03.17 MSN産経新聞

 欧州各地の中国大使館や総領事館周辺などで16日、中国当局によるチベット自治区ラサなどでの暴動鎮圧に抗議するデモが相次ぎ、スイス・チューリヒやオランダ・ハーグではデモ隊が建物に投石。警官隊が催涙弾などを使って排除した。

 デモ隊は「虐殺を中止せよ」「北京五輪ボイコットを」と訴え、気勢を上げた。パリ、ロンドン、ローマ、ブリュッセル、プラハなど各国の首都でも亡命チベット人や支援者がデモを行った。(共同)

チベットのネット統制“ほぼ万全” 中国、巧みに世論操作

2008.03.17 MSN産経新聞

 【北京=福島香織】中国チベット自治区ラサで発生した僧侶、市民らの騒乱後、2億1000万人(07年末)のネットユーザーをかかえる中国ではネット統制に拍車がかかった。国際的な動画投稿サイト「You Tube」はアクセス禁止。メール検閲も厳格化され、掲示板、チャットも監視がきつくなっている。ネットは中国においてしばしば情報統制のほころびとなってきたが、ネット人口が少ないチベットにおいては徹底統制にほぼ成功しているといえそうだ。

 You Tubeは、ミャンマーの民主化要求デモ発生時など国内世論に影響を与えそうな国際事件が発生するたびアクセス禁止となっていた。BBCなど今回の事件の動画が見られる海外メディアサイトも軒並みアクセス禁止。海外のチベット独立派や人権団体のサイトはもともとアクセス禁止なため、海外の視点からの報道は国内ではほぼ得られない。

 一方、チベット側のネットユーザー管理も強化。チベット自治区内のネットユーザーは07年末でわずか32万人。数は極めて少なく徹底管理がしやすい。記者あてのラサ発のメールも届かないものが多く、ネット上のチャットルームは開くだけで画面にサイバーポリスのアイコンが浮かび牽制(けんせい)をかけてくる。

 チベット人ユーザーのネット使用言語は英語か中国語で、ほとんどが当局関係者、企業関係者か学生で富裕層。民族意識と共産党政権との折り合いをつけねばならない苦しい立場で、ネットから自由に真実が発信できない状況もある。

 国内公式報道は、抜き身の刀を下げているチベット人や僧侶が商店の破壊に参加する映像とともに「ダライ・ラマ独立派の策動」などといった内容を伝えている。このためネットの掲示板でも当局の鎮圧行動を支持する意見が多く、世論操作に成功しているようだ。

チベット騒乱拡大 四川と青海の自治州でも

2008.03.17 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】中国西部のチベット自治区ラサで起きた僧侶らによる大規模騒乱に続き、16日には、抗議行動がチベット自治区以外に拡大し、AP通信によると、四川省のチベット人の自治州で起きた当局と市民の衝突で少なくとも7人が死亡した。一方、インド亡命中のチベット仏教指導者ダライ・ラマ14世は同日、亡命政府のあるインド北部ダラムサラで記者会見を開き、騒乱で多数の死者が出たことについて「文化的虐殺だ」と非難、事態の解明に向けた国際社会の調査を要請した。

 APやロイター通信がチベット人人権団体や住民の話として伝えたところによると、四川省の自治州では、約200人が警察署に火炎ビンを投げつけた。警官隊の発砲で、少なくとも7人が死亡。また、チベット僧と警官隊の衝突で警官1人が殺害され、3、4台の警察車両が放火された。

 青海省の自治州では、僧侶約100人が修道院に監禁されたことに反発し、修道院裏の丘に登って花火を打ち上げたり香をたいたりした。甘粛省の省都蘭州では、学生100人以上が抗議デモを展開。15日に警官隊が僧侶らのデモ隊に催涙弾を発射した同省内の自治州夏河県やラサには16日、外出禁止令が出され、厳しい統制下にある。

 チベット亡命政府のあるインド北部のダラムサラで記者会見したダライ・ラマ14世は、中国当局の弾圧を「恐怖による統治だ。平和を装うため、武力に頼っている」と批判、「国際的な組織がチベットの状況を調査する努力をしてほしい」と訴えた。 

 また、チベット亡命政府は同日、騒乱で「少なくとも80人が死亡したことを確認した」と発表した。犠牲者数をめぐっては、中国国営新華社通信は「少なくとも10人」とするこれまでの発表数字は変更しておらず、警官と武装警察部隊員計12人が重傷を負ったと指摘。中国当局は、外国メディア、特に中国国内の常駐記者がチベットから報じることを禁じており、実際の被害状況を把握することは難しい状態。中国政府の情報統制に、国際社会の批判が高まっている。

 亡命政府によると、10日の抗議行動は平和的に行われていたが、軍が装甲車両とみられる車を投入。群衆に発砲したために混乱し、一部当局者は僧侶に変装してデモ隊の鎮圧にあたり、これがデモ隊を挑発し当局車両への放火などにつながったとしている。

         ◇

昭和40年にチベットから来日し、桐蔭横浜大学法学部教授でダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当の初代代表も務めたペマ・ギャルポさん(54)は、チベットでの騒乱について、「チベット人たちの安否が心配だ。中国はいつまでチベット人を傷つけるのか」と同朋たちが危険にさらされていることに怒りをあらわにしている。

 ペマさんは「チベットは歴史的にも文化的にも独立性が高く、これまで中国政府が抑圧的な態度で掌握しようとしたができなかった。今回もあくまでチベット側の暴動というようにしたいようだが、騒ぎが拡大したのは中国公安当局が挑発したのが原因」と引き金を引いたのは中国政府側との見方を示した。

 その上で「北京五輪が目前だが、中国政府が人権を尊重し、チベット人の権利を認めるまでは、国際社会にふさわしい国とはいえない」と話している。

中国紙が死者数を報道、暴動でダライ・ラマ非難 チベット騒乱

2008.03.17 MSN産経新聞

 中国の国営通信新華社は17日未明、ラサの大規模暴動について「10人の罪のない群衆が殺された」などと国内向けの中国語記事を配信、17日付の一部中国紙が掲載した。中国メディアは報道規制を受けており、これまで死者数情報などを伝えていなかった。

 記事は「(暴動は)国外のダライ・ラマ14世の勢力が組織し、入念に画策、指揮した」と決めつけ「ダライ・ラマの勢力は口先ではチベットの独立を放棄すると言いながら、実際は祖国分裂と破壊活動をやめていない」と激しく非難した。

 また、国外のダライ・ラマの勢力は、さまざまな方法で指令を出し、群衆に行動を起こすよう扇動していると指摘した。

 暴動では、警官ら12人が負傷、うち2人が重体となり、3つの学校を含む22の建物が焼かれ、数十台の警察車両や自家用車が破壊されたとしている。(共同)

暴動で市民13人殺害と発表、チベット自治区主席

2008.03.17 MSN産経新聞

 中国国営新華社通信によると、中国チベット自治区のシャンパプンツォク主席は17日、中国チベット自治区ラサで14日に起きた暴動で市民13人が殺害され、重傷者6人を含む61人の警察官が負傷したと述べた。

 ロイター通信によると、同主席はまた、武器による発砲などはなかったと言明。当局側は最大限に自制したと強調した。(共同)

「数百人拘束」の情報も チベット騒乱

2008.03.17 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】中国チベット自治区のシャンパ・プンツォク主席は17日、北京で記者会見し、同自治区の区都ラサで発生した騒乱について、死者が当初の10人から13人に増え、61人の警察官が負傷したと発表した。うち6人が重傷という。インド北部ダラムサラに拠点を置く非政府組織「チベット人権民主化センター」は同日、ラサの封鎖区域で武装警察部隊などがしらみつぶしに実施している身元捜査で、すでにチベット族数百人が拘束されたと発表した。元政治犯も全員収監されたとされる。

 シャンパ・プンツォク主席は、ラサの被害について、300カ所が放火され、214の商店が燃やされたと述べた。ロイター通信などによると、同主席は、武装警察など治安部隊は武器を携行しておらず、発砲などはなかったと表明した。同主席の会見は、騒乱の激しさを強調、鎮圧の正当性を強調する狙いがあったようだ。

 民主化センターはまた、四川省で16日に発生した抗議行動に対する当局側の発砲で死者は15人になったとしている。別のチベット支援団体は死者数を13人から30人とする目撃者の話を伝えている。

 ラサでの捜査は、部隊が市内の家を一軒一軒捜索し、若者を中心に“容疑者”を連行しているようだ。ドイツのテレビは、その際、警棒で住民を殴打している様子を流している。しかし、どのように容疑者を特定し連行しているのか不明だ。

 民主化センターによると、連行される息子を助けようと、治安部隊員に哀願している母親もいたという。捜索は今後数日間続き、拷問が行われる懸念を同センターは表明している。

 ラサでは事実上の外出禁止令が敷かれ、自治区当局は騒乱に関与した者に対し17日中に「自首」するよう通告している。

 一方、民主化センターなどによると、甘粛省蘭州の西北民族大学でも16日、チベット族の学生約500人が座り込みなどの抗議行動を展開したが、学生がビラを構内で配布した後、当局の部隊が構内に入り、学生を解散させ、学校を封鎖した。また、同省の甘南チベット族自治州でも抗議デモが起き、警察車両1台が放火されたという。

外国人旅行受け入れ停止、数百人拘束 四川省の死者は15人に チベット騒乱

2008.03.17 MSN産経新聞

 チベット自治区当局は17日、新華社通信を通じて、「安全」を理由に、外国人の同自治区内への受け入れを停止したと発表した。チベット仏教の僧侶らの暴動で、同自治区の情勢が緊迫しているためとみられる。インドに拠点を置く人権団体は16日、ラサの封鎖区域で、武装警察部隊などがすでにチベット族数百人を拘束したほか、四川省の阿ば(土へんに貝)県で16日に発生した抗議行動に対する当局側の発砲で、死者は15人になったと発表した。

 新華社電によると、チベット自治区当局はすでに旅行社に対し、外国人の同自治区への入境申請はできないと指摘。国家観光局は旅行会社にチベットツアーの中止を通知した。また、自治区内に現在滞在中の外国人にも退去を勧告するとしている。ラサには現地人と結婚し長期滞在している日本人がいるが、退去するのかどうか不明だ。

 一方、インド北部ダラムサラに拠点を置く非政府組織「チベット人権民主化センター」は16日、ラサでの捜査は、部隊が市内の家を一軒一軒捜査し、若者を中心に“容疑者”を連行。その際、暴力的行為も伴っている。元政治犯も全員収監されたという。

 ラサ市内では、戒厳令下のように厳重な警戒態勢が敷かれ、装甲車の配備が確認されているが、同センターでは軍の戦車も配備されていると伝えている。

 同センターなどによると、甘粛省蘭州にの西北民族大学でも16日、チベット族の学生約500人が座り込みなどの抗議を展開。同時に、抗議行動に関した情報を書いたビラをキャンパス内で配布した。その後、当局側が学生の抗議行動を解散させ、大学を封鎖した。また、同省の甘南チベット族自治州でも抗議デモが起き、警察車両1台に放火するなどしたという。

 一方、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が15日、「文化的虐殺が起きている」「恐怖の支配だ」などと記者会見で語ったことについて、チベット自治区高官は新華社電を通じて「全くナンセンスだ」と指摘した上で、「僧侶と住民は完全な宗教の自由がある」と強調した。また、ラサのツェジュグ市長は「ダライ(ラマ14世)の分裂主義者が邪魔しなければ、チベットは歴史的に最良の発展の時期にあり、チベットの人々は現代的生活を享受し、伝統的文化の発展を満喫していた」と述べ、ダライラマを批判した。(野口東秀)

チベット騒乱 4省540万人連動

2008.03.17 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀、矢板明夫、福島香織】「あいつら(デモ隊)は狂っている」。四川省の衝突で、現地の警官はロイター通信に話した。チベット自治区ラサでの騒乱と連動する形で抗議行動は各地に飛び火し始めた。チベット人はチベット自治区を含め、四川、青海、雲南、甘粛などの各省にまたがる形で人口が約540万人とされている。当局が厳戒態勢を敷いても広範囲にまたがる地域だけに騒乱の連鎖を未然に防ぐことは難しく、暴動は一層の広がりを見せるとみられる。

 チベット支援関連団体のサイトなどによると、四川省内のアバ・チベット族チャン族自治州内のアバ県(約6万人の人口のうち9割がチベット人)のチベット寺院の僧侶ら数千人がデモ行進、「ダライ・ラマの帰国を」「自由を」と叫んだ。デモ隊に武装警察部隊が発砲、僧侶を含む7人が死亡したという。

 ロイター通信によると、アバ県では、チベット人約200人が警察署や店を襲撃、店や警察車両、トラックに放火、警察官数人も大けがを負った。デモ隊らは火炎瓶や石を投げつけ、これに対し、100人を超える武装警察部隊らは催涙弾などで鎮圧、5人を逮捕したと伝えられる。

 同団体などによると、甘粛省夏河県でも15日、チベット寺院やその周辺で数百人規模の抗議行動が発生、同じように治安当局は催涙弾などで解散させた。

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 チベット自治区のラサは16日も引き続き武装警察部隊が市内の交差点や寺院など要所を銃を手に警戒し、封鎖区域は昨日より拡大しているようだ。ラサ在住のビジネスマンはフランス通信(AFP)に対し、「町は死んだように静まりかえっている。わずかに子供や人々が出歩きはじめたくらいだ」と話した。

 中国政府は現在、外国人のチベット自治区入りを事実上制限、ラサでは市民も外出できない状況が続いている。外部から電話をかけても「故障」との理由で電話回線が切られる場合があるなど、情報の統制は続いている。

 ラサ在住で比較的正確に情報を知る立場にあるチベット人女性が、インターネットのチャット形式を使って情報を提供してきた。

 それによると、抗議活動はチベット第2の都市シガツェなどにも拡大。5人の回族を除くとすべてチベット人市民と僧侶らだという。「ラサの街は武装警官隊であふれている。私たちは大丈夫だが、バルコ(ジョカン寺近くの土産物街)エリアの人たちは外に出られず食料が不足している」

 また、僧侶の抗議活動の目的について「中国政府は漢族・回族のラサ移民計画を進めているが、僧侶らはこれをやめるように要求していた」と説明。ダライ・ラマ独立分子の策動だとの中国当局の説明は、欺(ぎ)瞞(まん)に満ちているとした。

混迷チベット 騒乱の発端はどこに

2008.03.17 MSN産経新聞

 中国西部のチベット自治区ラサで起きた大規模騒乱は自治区周辺にも拡大し、チベット族の反中感情がいかに強く、広範囲に存在するかを示すものとなった。これほどの大規模な騒乱は1989年以来。今回の事件の発端はどこにあったのか。(宮下日出男)

 10日、ラサでは僧侶約300人による抗議行動が発生した。この日は59年にチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世がインドに亡命することになった「チベット動乱」から49年という、チベット人にとって重要な日にあたる。ダライ・ラマは同日、亡命先のインド北部ダラムサラで演説を行い、チベット人の窮状を訴えていた。

 ダラムサラからは僧侶ら約100人が抗議のため、チベット自治区に向けて出発。ネパールの首都カトマンズではチベット人約1000人が中国大使館に向ってデモ行進するなど、チベット問題を訴える動きが歩調を合わせるかのように相次いだ。チベット自治区を目指したデモ参加者は13日、インドの警察に逮捕された。

 ラサでの抗議活動がこうした一連の動きと連動していたかどうかは不明だが、ラサでの抗議活動が表面化したのは翌11日だった。中国当局に拘束中の別の僧侶らの解放を求めてデモを行った僧侶のうち、50〜60人が逮捕されたと米政府系放送局「ラジオ自由アジア」が報じた。

 デモはその後も続く。11日には3大寺院のひとつであるセラ寺の僧侶約600人が抗議活動に参加した。これに3大寺院のひとつ、ガンデン寺の僧侶らが加わり、デモが拡大の様相を呈する中、警察側は催涙弾を使うなどの対応に乗り出した。米国に拠点を置くチベット人の支援団体「インターナショナル・キャンペーン・フォー・チベット」はラサに戒厳令が出された89年の騒乱以来、「最大のデモだ」とする声明を発表した。

 ロイター通信はさらに13日、人権団体の話として10日、自治区に隣接する青海省でも僧侶約400人がダライ・ラマの帰還を求めるデモが発生したことを報道、同省の東隣の甘粛省でも約100人の僧侶による抗議活動があったと伝えた。関係者によるとチベット族の居住地区では比較的早い段階で抗議活動が起こっていたという。

 14日、ラサを取り巻く緊張感は一気に高まる。抗議行動はデモ隊による車両への放火などの暴動に発展し、デモ隊に警察が発砲して2人が死亡した。これを契機に騒乱は青海や甘粛、四川各省の自治区周辺にも波及、デモ隊と警察隊が激しく衝突した。

 17日付の中国国営新華社通信では、デモを行ったのはラサの3大寺院のひとつのデプン寺の僧侶らで、政府関係者を殴打したことから、衝突が起きたとしている。しかし、詳しい状況は不明だ。

 新華社通信は17日、ダライ・ラマ14世が「2008年はカギとなる年だ。北京五輪はチベットの最後のチャンスとなる」と述べた発言が一般群衆を扇動するきっかけとなったと伝えた。しかし、ダライ・ラマ側はダライ・ラマ派による「陰謀説」を強く否定している。

 中国政府はダライ・ラマ一派の策動と決めつけ、その構図を定着させようとしている。しかし、各地でいっせいに噴き出した抗議活動は、中国政府に抑圧され、このままでは「民族自決」を求める運動が力を失ってしまうという危機感を表れだとみる声が強い。

チベット暴動、少女含む80人の遺体確認 四川省に拡大

2008/03/16 中国新聞ニュ−ス

 【ダラムサラ(インド北部)、北京16日共同=田辺宏、渡辺陽介】中国チベット自治区ラサでの大規模暴動で、インド北部ダラムサラに拠点を置くチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世の亡命政府は十六日、ラサ市内で少女五人を含む八十人の遺体が確認されたと記者団に明らかにした。負傷者は七十二人という。事実なら一九八九年のラサ暴動の死者十六人を大幅に超える。

 AP通信によると、ダライ・ラマは十六日、記者会見し、中国政府の鎮圧について国際的な調査を求めると呼び掛けた。

 夏に北京五輪を控え、胡錦濤指導部がチベット情勢で難しい対応を迫られるのは確実だ。

 同自治区の共産党委員会は十五日、「分裂に反対し安定を維持するため(大衆動員し総力で闘う)『人民戦争』を発動する」と強調、ラサの暴動に強い姿勢で臨むことを決めた。

 大規模暴動から二日たったラサ市は抗議行動や衝突などは起きていないが、中心部の至る所に軽機関銃を持った警察官が立つなど街頭は異様な緊張感に包まれている。ロイター通信によると、四川省のチベット民族の自治州で十六日、約二百人が警察署に火炎ビンを投げるなど抗議活動が発生、暴動は同省にも拡大した。

 亡命政府によると、八十人のうちラサ市内の刑務所周辺で二十六人の遺体が確認されたほか、中心部のマーケット「八角街」やチベット仏教寺院、モスク(イスラム教礼拝所)の周辺などでも見つかった。抗議活動に参加した僧侶や市民らが何人なのかは不明。

 中国国営通信新華社は十五日、暴動の死者は十人と報じたが、その後は死者数を伝えていない。

 ラサ市を訪れていた日本人団体旅行客らは十六日、鉄道などで同市を脱出した。

暴動に強硬姿勢を確認 中国チベット自治区党委

2008/03/16  中国新聞ニュ−ス

 【北京16日共同】中国チベット自治区の共産党委員会は十五日、緊急拡大常務委員会を開催、ラサで起きた暴動に関し「分裂に反対し安定を維持するため(大衆動員し総力で闘う)『人民戦争』を発動する」と強調、強い姿勢で臨むことを決めた。自治区当局のウェブサイトで十六日明らかにした。

 会議は、暴動が「国内外の反動的分裂勢力が起こした事件」との認識で一致。今後の対応として「正確な世論」を導き「(チベット仏教の最高指導者)ダライ・ラマ(十四世)一味の醜い姿を天下にさらす」と述べ、反ダライ・ラマの宣伝キャンペーンを展開する方針を示した。

 会議には自治区トップの張慶黎ちょう・けいれい・同区共産党委員会書記のほか、党中央統一戦線部の副部長、公安省の次官らが出席。欧米諸国などがデモに抑制的な対応を求めているのに対し、地元当局が強硬姿勢を確認した形だ。

 同ウェブサイトが掲載した地元紙の記事によると、張書記は十五日未明にラサ市内の公安と武装警察の部隊を慰問。その際、「(治安当局は)敵対勢力の勢いに有効な打撃を与え、段階的に成果を挙げた」と称賛。さらに「安定維持のため闘争の手を決して緩めず徹底した勝利まで闘い抜く」と表明した。

抗議活動は周到に準備されていた? 英紙分析

2008.03.15 MSN産経新聞

 【ロンドン=木村正人】中国チベット自治区で起きたデモが事前に組織されていたかは不明だが、1959年の「チベット動乱」から49年を迎えた10日以降、ラサやインド各地で一斉に展開された抗議活動は周到に準備されていたようだ。

 同自治区の人権、独立運動を支援する国際人権団体「フリー・チベット・キャンペーン」(本部・ロンドン)には10日以降、ラサなどでの抗議活動の様子がメールやブログで伝えられていた。

 広報担当のマット・フィッティケース氏は「チベット人にとって10日は独立運動が始まった重要な日」と解説。北京五輪が開かれる特別な年の特別な日に抗議活動が始まったことに注目する。

 チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は49周年に合わせ「恐怖、迫害、疑心に包まれ、チベットの抑圧状況は悪化している」と語っている。

 支援者のメールによると、ラサでは10日午後6時を機に僧侶らが警察官を取り囲むなどし抗議を開始。僧侶6〜7人が逮捕され、警官隊が出動するなど緊張した空気が流れた。インドでもこの日を境に、ダライ・ラマ14世の亡命政府があるヒマチャルプラデシュ州やニューデリーなどで抗議活動が広がった。

 英紙ガーディアンは「計画されたものかは明らかでないが、抗議活動の時期、横の広がり、大胆さから見ると、民主化運動が盛り上がった1989年より周到に計画されていることがうかがえる」と分析している。

チベットで大規模デモ 北京五輪に影響必至

2008/03/15 中国新聞ニュ−ス

 【北京14日共同=渡辺陽介】一九五九年の「チベット動乱」から四十九年を迎え僧侶らの抗議デモが続発している中国チベット自治区ラサ中心部で十四日、複数の店舗や車が燃やされ負傷者が出た。国営新華社通信が伝えた。米政府系放送局「ラジオ自由アジア」はデモ隊に警察が発砲、少なくとも二人が死亡したと報じた。チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ十四世は「強い懸念」を表明、中国政府に武力を使用しないよう求めた。

 中国政府は十日以降のデモについて「人民の生活は正常」(自治区当局者)と平穏を強調してきたが、事態は一気に拡大、深刻化した。北京五輪を控え国際的な反響を呼ぶのは必至で、中国は難しい対応を迫られそうだ。

 インド・ダラムサラでは十三日、亡命チベット人が抗議デモを行い、約百人がインド警察に拘束された。抗議活動が連動している可能性もある。

 ラサにいる英誌エコノミストのジェームズ・マイルズ記者は共同通信の電話に「夜に入っても市中心部は数百人を超す抗議参加者が占拠、警察はそれを包囲しつつ上部の命令を待っているようだ」と指摘した。

 また漢民族の商店や事務所が略奪の対象になり「漢民族の児童に石が投げられるのを見た。漢民族は街を離れたようだ」と述べた。市内の数十カ所で火災とみられる炎が見えるという。

 北京の米大使館はウェブサイトで「現地の米国市民から発砲があったとの報告を受けた」として米市民に注意を呼び掛けた。

 新華社によると、市中心部のジョカン寺周辺の市場などに十四日午後二時(日本時間同三時)ごろ火が付けられた。周辺の店舗はすべて閉店し「暴力行為」のために複数の人が負傷、入院した。

【記者ブログ】チベット暴動の悪夢再び!五輪どころじゃねぇ! 福島香織

2008.03.15 MSN産経新聞

■チベット民族蜂起49周年の3月10日にラサでおこった僧侶に対する公安、武装警察らの暴力以降、14日、ついに暴動に発展してしまいました。ラサが燃えています。

■11日にセラ寺でおこった抗議デモは催涙弾で制圧されました。このあと、ジョカン、デプン、セラのラサ3大寺院は人民解放軍に包囲されていました。数千人規模のデモ隊と武装警察が衝突、警察の発砲して2人が死亡した、と自由アジア放送が報じました。セラ寺では、僧侶らが抗議のハンストを行って、当局の暴力に抗議しています。2人の僧侶が、抗議の意味で手首を切って重体。

■今、ラサの友人とチャットしています。14日、街は中国系商店などが焼き討ちにあいました。この日の午後7時ごろ、娘熱路と2環路の交差点あたりで、衆人環視の中で3人のチベット族が撲殺されたそうです。誰に殺されたの?「そんな怖いこと聞かないで!私はここで生きていかねばならいの!」。パソコンに浮き出る英語の文章を見て、自分の愚かさを恥じました。恐怖を抑えながら、チャット必死で現地の様子を私に伝えてくれる彼女を、神様仏様、どうかお守りください。。

■友人によると、このほかにもparko (八角?) エリアで男性2人、女性2人が殺されたとか。あちこちで、暴行がおこなわれているもようです。インドからは応援のデモ隊がチベットに向かっているそうです。インド警察が押しとどめようとしていますが、おしとどめらるか。ああ、私の不注意で、怖がらせてしまって、友人はラインオフです。

■中国外務省の秦剛報道官は13日の会見で、「少数の僧侶が社会動乱を起こそうと企てた。これはダライ・ラマ派の集団がチベット分裂をたくらみ、チベット人民の正常で調和ある平和な生活を破壊しようとした政治的陰謀。目下、政府と寺院民主管理委員会のおかげで沈静化している」と説明していましたが、ぜんぜん沈静化していない!

■これは中国当局の大失態です。こんな体たらくで、本当に五輪を開催するつもりなのでしょうか。デモくらいやらせてあげればいいのです。報道では、さも五輪反対がお坊さんたちの抗議活動の目的のように伝えられていますが、僧侶の願いは、政治犯として拘束されている僧侶の釈放です。この数年に急激に締め付けが厳しくなった宗教の自由です。ダライ・ラマ14世が求めるのは独立でなくて自治だ、と譲歩を見せているのに、中国側が強硬手段をとるので、ダライ・ラマ猊下のやり方は生ぬるい!と思っている一部若い僧侶が「チベット独立!!」といいうスローガンを唱えてしまうのです。

■独立が現実的に無理なのは、多くのお坊さんも認識しているのです。本当は中国がちょっと譲歩し、自治と宗教の自由、そしてチベット文化への尊重をもてば、話し合いの余地が生まれる関係なんです。実際、昨年はダライ・ラマ14世の密使が、私の聞くかぎりでも2度訪中しているはずです。

■なのに、中国側は僧侶に公然と暴力を振るいました。坊さんに暴力を振るうことが、どれほど信仰深い人々の怒りを買うか、国際社会から軽蔑されるか、わかっていない、まさか?まさか、中国の指導者ってそんなにあほなのか〜?本当に五輪を無事開きたいなら、この局面で絶対暴力をふるってはならなかったのです。

■胡錦濤国家主席は、すぐダライ・ラマ14世に事態の収拾を助けてもらうよう、丁重に頼むべきです。でないと、血の気の多いチベット族の若い僧侶は抑えられない。宗教に生きる民族を抑えることができるのは宗教指導者だけなのです。万が一でも、解放軍の武力で鎮圧なんてことになったら、五輪はあきらめなければならない。

■15日はポタラ宮近くのRamucheという修道院のリノベーションという特別な日らしい。何かがおこるのか?事態は深刻を極めています。

チベット、潜在的不満が爆発 胡錦濤政権に衝撃

2008.03.14 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】中国チベット自治区での僧侶らによる暴動は、「和諧(調和のとれた)社会」を提唱してきた胡錦濤指導部に大きな衝撃を与えた。北京では全国人民代表大会(全人代)が開催中で、チベット自治区の代表者らが「チベットは目覚ましく発展し安定している」と強調した矢先だった。今回の僧侶らの抗議活動の背景には、「自治」が足踏み状態の中で「中国化」が進む一方という状況に対するチベット人の焦りと不満が横たわっており、五輪開催に向け、チベット問題を国際社会にアピールするねらいがあるとみられる。

 チベットでは1980年以降、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の特使団が中国政府と断続的に交渉、同氏の帰国やチベット情勢などを協議してきた。ダライ・ラマも独立をうたわず、中国政府に「高度な自治」を求めてきた。

 しかし、中国政府のダライ・ラマ批判は止まず、チベット自治区のトップ、張慶黎・党委書記らは全人代で、北京五輪に向け「最大の不安定要素はダライ・ラマ集団。一日たりとも分裂活動を中止しない(分裂主義者)」と非難していた。

 チベットでは、僧侶に対するダライ・ラマ否定の思想教育だけでなく、学校教育や治安面などでも「中国化」を実施してきた。一方で、資金力を背景に老朽化した仏教関連施設の大規模補修事業を実施するなど、チベット民族の心を懐柔し、独立運動を押さえ込もうとする“硬軟両様”の政策を講じてきた。

 だが、ラサでは潜在的に反政府感情は強く、きっかけさえあれば反中国感情が一気に吹き出す状態だった。チベットでは昨年も数十人、数百人レベルの民衆と当局が衝突した末、当局は武装警察を動員し、摘発を繰り返したといわれる。全人代の2日目、胡錦濤国家主席がチベット自治区の分科会に出席、「チベットの安全は全国の安全にかかわる」と強調したのも危機感の表れといえる。

 胡主席は、チベット自治区党委書記時代の89年、ラサ暴動を鎮圧し、その功績が故トウ小平氏に評価され昇進につながった経緯がある。今後、抗議行動に対して当局が強硬手段をとれば、国際社会から人権批判や五輪ボイコットの声はさらに強まりそうだ。

チベット騒乱!僧侶が五輪開催に抗議 弾圧で死者も

2008.03.14 MSN産経新聞

 【北京=野口東秀】中国国営新華社通信は14日、チベット自治区のラサで同日、複数の店舗が燃やされ、暴動で負傷者がいると公式に伝えた。AP通信などは目撃者の話として、同日に数百人の抗議行動が発生、数台の公安車両などに火が放たれたほか、主要寺院が封鎖されたと伝えている。中国支配に抗議したチベット人らの騒乱は北京五輪開催に抗議する意味もあるとされ、当局が社会安定を理由に、相当な弾圧を加える可能性が出てきた。抗議行動が青海省など各地に飛び火する可能性もある。

 騒乱は1989年のラサ暴動以来、最大規模となりそうだ。新華社電は、店舗への放火で煙がもくもくと立ちのぼったとし、ジョカン寺など主要寺院に近い土産物販売の店舗は店を閉じたとしている。複数の車両が燃やされたとの情報もある。

 AP通信などによると、14日のデモ隊は僧侶と一般市民で、放火された車両には軍車両も含まれるほか、焼け落ちた建物もあるという。同日までに、ラサにあるセラ寺院など3大仏教寺院を含めた複数の寺院が数千人規模の武装警察部隊などにより封鎖されたほか、寺院では僧侶が、拘束された僧侶らの釈放や武装警察部隊の撤退を要求し、抗議のハンガーストライキに入っているとされる。

 観光客は主要な寺院に入れず、現地の当局者は、抗議行動に関する詳細な情報の提供を拒否している。

 米政府系放送局「ラジオ自由アジア」などは14日、チベット自治区のラサで、僧侶2人が武装警察の暴力などに抗議する形で手首を切るなど混乱が続いていると伝えた。手首を切った僧侶は腹も刺し重体となったが、病院への搬送を拒否したという。

 ラサでは1959年の「チベット動乱」から10日に49年を迎えた。チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世がインドのダラムサラに亡命して49年となるが、亡命チベット人住民がダラムサラ近郊で13日、中国政府への抗議デモを行い約130人が拘束されたと伝えられる。ダライ・ラマは最近、「想像を絶する人権抑圧」が続いていると述べ、極めて事態が緊迫していると訴えていた。

僧侶2人が重体、混乱続く チベット動乱49年

2008.03.14 MSN産経新聞

 米政府系放送局「ラジオ自由アジア」は14日、1959年の「チベット動乱」から10日に49年を迎え、中国政府に対する抗議デモが起きた中国チベット自治区ラサで、僧侶2人が手首を切り重体に陥ったほか、寺院で僧侶がハンガーストライキに入るなど混乱が続いていると伝えた。

 AP通信によると、ラサ中心部では14日、デモ行進を阻止しようとした警察車両に僧侶が火を付け、車両が炎上した。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(本部ニューヨーク)は、抗議の規模は89年に戒厳令が敷かれたラサ暴動以来最大と指摘、隣接する青海省にも広がっていると指摘した。一方、中国政府は「少数の僧侶が騒ぎを起こした」(外務省)と抗議の発生を認めたが「人民の生活の一切は正常」(自治区当局者)と強調している。(共同)

チベット人ら100人拘束 インド警察、反中国デモで

2008.03.13 MSN産経新聞

 AP通信によると、インド北部ヒマチャルプラデシュ州ダラムサラから中国チベット自治区を目指しデモ行進していた、インドで亡命生活を送るチベット人ら非政府組織(NGO)の百人余りが13日、インド警察当局により拘束された。

 今年行われる北京五輪を前に中国のチベット政策に抗議するデモで、今後、抗議行動は活発化するとみられる。

 インド当局は亡命チベット人による国内での政治活動を認めておらず、チベット亡命政府があるダラムサラの警察当局はデモ行進を中止するよう警告していた。12日には首都ニューデリーの中国大使館前でも抗議行動が行われた。

 APによると、デモ参加者は13日早朝、ダラムサラを含むカングラ地区の境界を越えようとした際に拘束された。

 チベットへのデモ行進は、チベット独立を求めるNGOの5組織が計画。チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の亡命につながった1959年のチベット動乱から49年を記念し10日にダラムサラを出発した。

僧侶に公然と暴力 緊迫するチベット

2008.03.12 MSN産経新聞

 【北京=福島香織】1959年のチベット民族蜂起から丸49年を迎えた中国チベット自治区ラサでは、僧侶・尼僧らが政治犯として拘留中の僧侶の釈放などを訴えるデモなどがあり、首謀者とされる僧侶など数人が公安当局に拘束された。観光都市ラサ市中心での衆人環視の中、神聖なる僧侶へ公然と暴力が振るわれ、地元では強い緊張が走っている。

 米短波放送・自由アジア放送などによれば、10日、ジョカン寺近くの土産物街バルコで僧侶や尼僧を含む10人あまりのチベット族がチベットの旗をふり、ビラを配りながら抗議活動を行ったところ、武装警察が殴るなど暴力で抗議活動を鎮圧。聖職者への突然の暴力に、パニック状態になりバルコは一時封鎖された。またこの日、300人の僧侶が参加してデプン寺からジョカン寺までデモ行進する計画があったが、市中心10キロの地点で武装警察に鎮圧され50人以上が連行されたという。

 中国外務省は11日に、デモを阻止し僧侶ら数人を拘束した事実を確認。「僧侶は一握りの民衆にそそのかされて違法行為をした」として法に従って処罰する方針を示した。国営新華社通信は、チベット当局者の話として、「デモは説得によって解散させられた」としているが、ラサ在住チベット族が産経新聞に対して送ろうとしたメールはすべて届いておらず、携帯電話ショートメッセージなどで「事情はよくない」「妨害されている」などと検閲をさけるための短いローマ字文面などで緊迫した状況を訴えている。

 一方、新疆独立を主張するウイグル族への圧力も強化されており、新疆ウイグル自治区ウルムチ発の旅客機ハイジャック未遂事件なども発生。五輪が近づくにつれ、国内の民族問題はむしろきな臭さを漂わせている。 

秘境の旅にご注意 中国、半年で8邦人死亡

2008年01月17日 中国新聞ニュース

 【北京17日共同】中国チベット自治区などで高山病などを患って死亡する中高年の日本人旅行者が急増していることが北京の日本大使館の調べで17日までに明らかになった。大使館関係者は「危険を理解し十分な準備で臨んでほしい」と呼び掛けている。

 大使館によると、昨年5月から10月の半年間で高山病などで死亡した日本人は女性1人を含む8人。チベット自治区で5人、青海省で2人、甘粛省で1人が死亡し、8人のうち6人は60歳以上で最高齢は88歳の男性だった。発症後、日本に搬送し命を取り留めたケースが2件あった。

 北京の日系旅行社によると、「秘境の旅」などのうたい文句でチベット自治区などを訪れるツアーが中高年に人気で、2006年、自治区と青海省を結び、鉄道として世界最高地点(5072メートル)を走る「青蔵鉄道」の開通が拍車をかけた。

 一方、旅行者が高地に到着後、当日から旅程を開始するなど過密スケジュールのツアーも目立つ。心臓病や高血圧などの持病があると、高山病が重症化する例もあるという。

チベットで住民と当局衝突 僧侶の連行きっかけ

2007.11.26 MSN産経新聞

 ロイター通信などは26日までに、中国チベット自治区ナッチェ(那曲)地区で先週、チベット民族の住民約600人と警官との衝突が起きたと伝えた。当局は約800人の武装警官を派遣して現場を封鎖、外部との連絡ができないよう電話回線を切断するなどの対応を取ったという。

 衝突のきっかけは3人のチベット仏教僧侶と、商店を経営する漢民族との間の小競り合い。駆け付けた警官が僧侶だけを拘束して地元公安局に連行。これに不満を抱いた住民らが公安局や警察施設に押しかけて釈放を求め、警察車両や漢民族の商店を壊すなどした。

 発生日時は不明。26日付の香港紙、明報は地元政府関係者の話として、現場は封鎖され、外部の人間が入れない状況が続いていると報じた。(共同)

懐柔策にチベット民衆なびかず

2007.11.19 MSN産経新聞

 チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世は19日、産経新聞との会見で、このところ中国政府によるチベット民衆への弾圧が一層激しさを増していることを明らかにしたが、これは中国政府によるチベット民衆への懐柔策が奏功していないことを示している。中国政府は、威信をかけて開催する来年8月の北京五輪を前に、強権で事態の乗り切りを図ろうとしているようだ。

 ダライ・ラマは今年6月の中国政府との交渉について、「全く進展がなかった」と語ったうえで、「交渉決裂以来、中国側の態度が硬化している」と指摘した。

 ダライ・ラマによると、今年8月に四川省のチベット族居住地区で行われた祭りで、「ダライ・ラマの帰還を願う」と大声で叫んだ1人のチベット族男性が当局に逮捕されたことをきっかけに、数百人の民衆と警官隊が衝突、多数の民衆が殴打された。その数日後、軍兵士ら計約1万人が出動し、住民4000人の村を包囲し、不穏分子を次々と逮捕したという。

 また、ダライ・ラマが米議会から議会名誉黄金章を授与された当日の早朝、ラサでチベット仏教の僧侶数百人が受章を祝う活動を行っていたところ、4000人の武警や軍兵士が出動し、多数の僧侶を殴打し、数十人の僧侶が逮捕された。

 中国政府はダライ・ラマのインド亡命以来、チベット民衆に対して厳しい思想統制を敷き、僧侶を中心にダライ・ラマを否定する思想教育を強化してきた。その一方で、膨大な経済支援を投入するなど“アメとムチ”を使い分け、チベット民衆の懐柔に努めてきた。

 しかし、チベット亡命政府によると、毎年2000人ものチベット民衆が自らの生命を懸けて、同自治区などから国外に脱出し続けている。また、中国当局の厳しい監視下にもかかわらず、ダライ・ラマを慕う民衆の活動は活発化しており、暴動やデモなどもしばしば伝えられる状態だ。

 中国政府は今年9月1日、チベット仏教で「活仏」と呼ばれる高僧の転生に申請許可制度を導入しており、来年8月の北京五輪を前に、今後も締め付けを強化するものとみられる。(相馬勝)

チベットの「活仏」少年 中国隔離12年 米外交委、人権状況を懸念

2007/03/15 The Sankei Shimbun Web-site

 【ワシントン=山本秀也】米国務省のドブリアンスキー次官(チベット問題特別調整官)は13日、下院外交委員会(ラントス委員長)でのチベット問題に関する公聴会で、中国がなお「チベット人政治犯100人以上を投獄している」として、人権状況に懸念を示した。さらに次官は、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世によって高位の活仏と認められた少年が、中国当局により約12年間も隔離されている事実を取り上げ、国際社会との接触を早急に実現する必要を訴えた。

 この少年は、来月で18歳を迎えるゲドゥン・チューキ・ニマ氏。1995年5月にダライ・ラマに次ぐ高位活仏で、チベット仏教では阿弥陀如来の化身とされるパンチェン・ラマ11世としてダライ・ラマに認められたが、ニマ氏はこの直後に中国当局の手で家族とともにいずこかへ連れ去られた。

 中国当局は同年、別の少年(ギャンツ・ノルブ氏)を「パンチェン・ラマ11世」と認めた。ノルブ氏は中国の立場に立った民族融和の象徴として、成長するにつれて公式活動が増えている。

 公聴会証言で、ドブリアンスキー次官は「最も注視すべき拘束者」としてニマ氏を挙げた。その上で、同氏を「普通の学童」として国際社会の接見要求を拒み続ける中国側に不快感を示し、「接見の許可こそが信教の自由に関する強いシグナルを世界に示すことになる」と指摘した。

ダライ・ラマ十四世、米訪問へ 11月8日から

2005/10/19 The Sankei Shimbun

 チベット仏教の指導者、ダライ・ラマ十四世が11月8日から米国の首都ワシントンを訪問、ブッシュ大統領らと会談する見通しになったと、十四世の支援団体が18日明らかにした。

 支援団体によると、ダライ・ラマはワシントンに10日間滞在。大統領のほかライス国務長官らとも会談するとしている。

 ワシントン訪問は2003年9月以来で、ブッシュ大統領とはこの時と01年5月に非公式に会談している。(共同)

中国、ダライ・ラマ訪日にも余裕 チベット支配に自信

2006/11/04 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 【北京=福島香織】訪日中のチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(71)に対し、中国が余裕の構えをみせている。昨年4月のダライ・ラマ訪日については、崔天凱・アジア局長(当時)が「チベット問題は完全に中国の内政問題でいかなる外国勢力の干渉も許さない」などと激しく抗議したが、今回は「われわれは日本にまじめに中国の関心事に対応してくれるよう希望する」などと答えるにとどまった。

 背景には中国がチベット支配に自信を深めていることが大きい。特に北京とラサをゴルムド(青海省)経由で1本の鉄道でつないだ青蔵鉄道は、中央のチベット掌握を加速させた。中国の対チベット投資は建国以来累計1500億元(約2兆2350億円)にのぼり、チベット自治区政府は今後5年間の経済成長率を12%以上とはじいている。

 インドとチベット国境のナトゥラ峠貿易ルート再開など対インド関係の大幅な改善も追い風となった。

 高齢のダライ・ラマの望郷の念も逆手にとり、国内外の世論操作も成功している。香港消息筋によれば今年2月の亡命政府特使訪中の際、中国側から「ダライ・ラマ訪中時に中国の仏教聖地訪問を認める」との発言があり、これを受けて4月に胡錦濤国家主席が訪米した際、亡命政府から在米チベット人組織に抗議活動を行わないよう呼びかけたという。また香港紙などを通じて「ダライ・ラマ帰国情報」を流し、支持者を攪乱したともいわれている。

 しかし、中国側はダライ・ラマの帰国交渉に独立放棄宣言などの厳しい条件を求めており、妥協の余地を見せていない。

 チベット自治区の人権問題も深刻化しており、9月30日に発生した子供を含む約70人の亡命者に向かって中国側の国境警備隊が発砲し2人が死亡した事件は、1カ月を過ぎた今も解明されていない。

 中国人権観察(本部・ニューヨーク)が10月26日に出した声明によれば、この事件で尼僧のケルサン・ナムツォさん(17)とチベット男性のクンサン・ナムギャルさん(23)の2人が死亡したという。

中国、和諧と逆行 思想・民族弾圧強める

2006/10/22 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】先の第16期中央委員会第6回総会(6中総会)で「和諧(わかい)(調和のとれた)社会」構築を打ち出した胡錦濤政権だが、今回のチベット亡命者射殺事件に象徴されているように、少数民族政策や思想統制は強化される傾向にあり、「和諧」と逆行する強権体質が浮き彫りになっている。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が運営するチベット難民受け入れセンターによると、年間のチベット亡命者は約2500人。一方、中国公安省の発表によれば、2005年下半期から今年上半期にかけて国境で逮捕された不法出国者の総数は2459人。このうちチベット亡命者がどれほどの割合を占めるかは不明だが、今回のような事件は氷山の一角、という見方もある。

 中国では今夏、ラサと青海省ゴルムドを結ぶ青蔵鉄道が開通、開通式には1989年のラサ暴動鎮圧の指揮をとった当時の自治区書記、胡錦濤国家主席が臨席し、中央のチベット支配強化を改めて印象づけた。このほか、米国に亡命したウイグル人権擁護家のラビア・カーディルさん(58)の新疆ウイグル自治区在住の息子ら3人が逮捕されるなど、ウイグル族への締め付けも目立っている。

 6中総会で採択された「社会主義と和諧社会建設に関する若干の重大問題の決定」には、貧富の差の是正など弱者擁護がうたわれる一方、社会安定と秩序維持のために「国内外の敵対勢力」の取り締まり強化も盛り込まれた。国内敵対勢力にはチベットやウイグルの民族活動家や民主化運動家、宗教家らも含まれると解釈されており、「和諧」というソフトな言葉の響きの裏側には思想や民族の弾圧強化を伴う血生臭さも漂っているようだ。

中国の人権蹂躙映像が世界へ 亡命少年僧ら射殺

2006/10/22 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】9月末に中国チベット自治区とネパールの国境近くで亡命を試みたチベット尼僧(25)や少年僧(15)らが、中国の国境警備隊の銃撃を受け少なくとも2人が死亡した事件の映像が世界中で放映され、国際社会を騒然とさせている。

 北京五輪を控え、「和諧(わかい)(調和のとれた)社会」構築という胡錦濤政権が提唱する“理想”の陰で行われている中国の人権蹂躙(じゅうりん)に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も調査を開始、米国などが非難の声を上げ始めている。

 映像はルーマニアの登山家、セルゲイ氏が偶然撮影したものをルーマニア民放局が14日に放映。その後、日本を含む各国でも放映され、米国の動画投稿サイト「ユーチューブ」などインターネットの映像配信で世界中を駆け巡っている。

 現場はエベレストに近いチョオーユー峰のベースキャンプから見渡せる氷河。映像は9月30日早朝、氷河の上を1列に並んでネパール国境のナンパラ峠に向かって歩いている約30人の行列を見下ろすように撮影されている。警告発砲音が響いた後、次の発砲音で先頭の尼僧が倒れた。カメラは銃を構える中国兵士の姿、続く発砲で行列の最後尾の少年僧が倒れる様子、倒れた人を抱き上げる兵士の姿をとらえ、目撃した登山家の「犬のように撃ち殺された」というコメントが流れる。

 セルゲイ氏がテレビのインタビューに答えたところによると、一行はチベット仏教徒でダライ・ラマ14世に会うために亡命を敢行した。セルゲイ氏は兵士の襲撃を逃れた亡命者を助け、食料や衣類を分け与えたという。

 この事件について12日に中国当局は、兵士が違法越境者に対し引き返すように説得したものの、「(抵抗したため)発砲した。正当防衛だ」との公式見解を発表。1人が死亡、2人が負傷したとしている。

 しかし、映像が公開されたことで、亡命者の約半分が6〜10歳の子供で、無防備な状態を背後から銃撃されたことが判明。チベットの難民組織など複数の人権団体の情報を総合すると、亡命者は全部で73人で、ネパールにたどりついたのは43人。そのほかは子供を中心に相当数が当局に拘束されているという。

中国、亡命チベット人を銃撃か 数人死傷と人権団体

2006/10/13 The Sankei Shimbun

 ニューヨークに本部を置く人権団体「中国人権」によると、9月30日に、中国チベット自治区からネパールにナンパラ峠を通って亡命しようとした約70人が中国人民解放軍に銃撃され、少なくとも尼僧1人が死亡、数人が負傷した。42人がネパールにたどり着いたが、子供を中心に一部が中国側に拘束されているという。人権団体は、この事件に関して12日、米国や各国が中国軍の殺害に公式に抗議すること、ネパール政府が亡命チベット人に保護を与えるよう各国が関心を示すこと−などを求める声明を発表した。(北京 福島香織)

中国−チベット間に今月1日開通の「青蔵鉄道」、問題続出

2006/07/29 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】中国青海省ゴルムドとチベット自治区ラサをつなぐ「青蔵鉄道(青海チベット鉄道)」が今月1日に開通してから、早くも問題が噴出している。

 中国紙・新京報(28日付)によると、半永久凍土を通る線路の基礎の一部が沈下したり、コンクリートの構造物や橋の表面に亀裂が走って劣化が始まっているほか、砂塵(さじん)被害が予想以上で、安全性の脅威となっている。野生動物の線路進入もあとを断たず、事故の原因になりかねないという。

 氷の粒を含む半永久凍土帯が夏の気温上昇とともに若干緩み、路盤を不安定化させる問題はかねてから指摘されていたが、アンモニア水を充填(じゅうてん)した鋼鉄棒を線路脇に差し込み、地中の熱を吸収する技術の導入によって解決ずみとされていた。

 しかし、開通1カ月足らずで問題が生じたうえ、温暖化傾向で夏の気温が上昇するとの予測のなか、今後、根本的な技術の見直しや運行管理に影響が出てくるのは必至とみられている。

 一方、1日2500人の旅客輸送量しかない同鉄道には数十倍の乗車希望者が殺到し、23日から乗車券販売は一時停止された。しかし乗車券管理の不備もあり、すでに募集済みの旅行社ではツアーのキャンセルが相次ぎ、多大なキャンセル料に悲鳴を上げているという。

青蔵鉄道、7月から全線で試運転開始

2006/06/24 The Sankei Shimbun

≪チベット自治区への観光客増加に期待≫

 「世界の屋根」と呼ばれる中国・チベット高原を貫く青蔵鉄道が7月1日、全線で旅客輸送の試運転を開始する。青蔵鉄道の開通で、中国のすべての省、自治区に鉄道が通ることになる。全土が鉄路で結ばれることで、今後、チベット自治区への大幅な観光客増加が期待されている。(松尾理也)

 青蔵鉄道は、青海省の省都・西寧とチベット自治区の区都ラサ間を結ぶ高原鉄道。全長は約2000キロに達し、経済発展から立ち遅れた内陸部を重点的に開発する中国政府の国家プロジェクト「西部大開発」の目玉の一つ。

 最も標高が高い地点は海抜5072メートルで、南米ペルーのアンデス山中の地点を抜いて世界一。工事区間の標高平均は4500メートルで、多くの部分が凍土になっており、ロシアやカナダの凍土研究の成果も参考にしての難工事となった。

 列車の最高時速は100−120キロで、気圧が低いため、飛行機同様の気密構造車体が採用されている。

 昨年10月に線路の敷設が完了し、今年2月から貨物便の試運転が行われていた。来月1日の全線試運転が順調にいけば、来年4月には全線開通する。

 中国の華僑向け通信社、中国新聞社電によると、青蔵鉄道へは西寧線、北京線、四川省・成都線、上海線の4路線の乗り入れが決まっており、今年のチベット自治区への観光客は前年比40万人増の約220万人が見込まれている。

チベット―青海省結ぶ鉄道完成 年内にも試運転

2005/10/15 The Sankei Shimbun

 中国政府は15日、青海省ゴルムドとチベット自治区ラサをつなぐ青蔵鉄道(全長1142キロ)のレール敷設が完工したと発表した。年内にも試運転に入るとみられ、2006年に貨物輸送、07年7月に旅客輸送を始める予定。(共同)

砂金の開発を全面禁止 チベット、環境破壊で

2005/10/08 The Sankei Shimbun

 新華社電によると、中国のチベット自治区政府は8日、来年1月から自治区内での砂金開発を全面的に禁止すると発表した。現在操業中の採取場も年末までに完全に閉鎖するよう命じた。

 鉱物資源の豊富なチベットでは数年前から一獲千金を狙った砂金開発ブームが起きていたが、乱開発による環境破壊が問題になっていた。自治区政府は2002年末から新たな砂金採取場への認可を停止、当時65もあった採取場の約半数に閉鎖を命じるなど規制に乗り出した。

 その後も乱開発が続いたため、全面的な開発禁止を宣言したとみられる。(共同)

チベット批判は内政干渉 中国外務省

2005/09/01 The Sankei Shimbun

 中国外務省の秦剛副報道局長は1日の記者会見で、チベット自治区の独立運動を封じ込めている中国の姿勢に海外から懸念の声が上がっていることについて「中国の内政問題で、いかなる国家、個人の干渉も許さない」と述べ、一切受け入れないとの姿勢を示した。

 また「チベット人民は中国憲法によって与えられた各権利を十分に享受している。公正、客観的な立場に立つ人なら、こうした事実を認めるべきだ」とし、チベット政策は順調に推移していると強調した。(共同)

チベット独立派をけん制 自治区40周年式典で中国

2005/09/01 The Sankei Shimbun

 中国チベット自治区の区都ラサで1日、自治区成立40周年記念式典が行われ、賈慶林・共産党政治局常務委員は演説で「民族の団結強化と祖国統一の維持がチベットの根本的利益。愛国の旗を掲げ、チベットの安定と団結を強固にしなければならない」と強調し、チベット独立派をけん制した。

 さらに「党の指導がチベット発展の根本的保証であり、党の民族地域自治制度を堅持してこそ、チベットは繁栄できる」と、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が求める自治権拡大を拒否する姿勢を示した。

 近年、独立派の大きな動きは伝えられていないが、中国政府は、ダライ・ラマを「分裂主義者」と批判、独立運動への警戒を解いていない。(共同)

 1959年にインドに亡命し、同国北部ダラムサラに亡命政府を維持するチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世は自身のチベット帰還を実現するため、2002年から特使を中国側と水面下で接触させてきた。だが、中国は「ダライ・ラマは独立要求を放棄していない」と警戒を解いておらず、協議は進展していない。

 「生きている間に、故郷のチベットに帰りたい」。今年7月6日、70歳の誕生日を迎えた際、ダライ・ラマ14世はこう語ったという。高齢化に加え、02年1月に感染症で入院したこともあり、焦り始めているとみられている。

 14世は近年「独立ではなく、チベットの高度な自治を求めている」と繰り返し表明。しかし、今年8月に海外記者団と会見した中国チベット自治区政府の呉英傑副主席は「英国の植民地だった香港のような高度な自治はあり得ない」と述べ、帰国の条件は「祖国分裂のたくらみを放棄すること」と突き放した。

 今年6月のスイスでの14世の特使と中国側の接触も進展はなかったもようだ。

 国際社会も関心を強めており、ライス米国務長官は7月に訪中した際、中国指導部に直接対話を促した。だが、14世の高齢化やチベットでの影響力低下により「時は北京の側に立っている」(香港誌)と、時間が経過するほど中国に有利になるとの見方も出ている。(共同)

チベット安定を宣伝 中国、自治区40年記念で

2005/08/29 The Sankei Shimbun

 中国政府・共産党が9月1日のチベット自治区成立40周年記念日に向け、祝賀ムードを盛り上げている。独立運動の封じ込めと経済振興を柱にしたチベット政策の「成果」を内外に宣伝、中国によるチベット統治の正当化を図るのが狙いだ。

 「党のチベットへの思いやりと、40年間のチベットの進歩を明らかにするため、祝賀活動を真剣に行う必要がある」

 党政治局会議は26日、祝賀行事の重要性に言及した見解をまとめ、国営通信の新華社を通じて発表。人民日報など主要紙が一面で新華社電を大きく掲載した。

 翌27日には、党は賈慶林政治局常務委員を団長とする代表団を現地に派遣。メディアは来訪を歓迎する民族衣装姿の地元民の姿を盛んに報じ、チベット民族との信頼関係を強調したい党の思惑をうかがわせた。

 新華社電は、1980年に3525人だったチベット旅行客が2004年には122万人に達した例なども示し、チベット経済振興策の実績をアピールした。

 こうした宣伝政策について北京の外交筋は「党が独立派の動きを抑えきっていないからこそ、ことさらにチベット統治の軌跡を美化する必要があるのではないか」と分析する。背景には、中国のチベット統治に反対し、依然住民への影響力を維持しているとみられるダライ・ラマ14世(亡命中)の存在がある。

 党側はこうした指摘に反論するかのように、毛沢東以来の歴代指導者の功績が「住民の心に永遠に刻まれるだろう」とするチベット民族出身の熱地・全国人民代表大会(全人代)常務委員会副委員長による論文を発表。住民が党方針を受け入れていると印象付けるのに躍起となっている。

HREF="http://www.sankei.co.jp/news/050404/kok061.htm">青蔵鉄道、基礎工事完成 チベット自治区 2005/04/04 The Sankei Shimbun

 4日の新華社電によると、中国政府が内陸部振興策「西部大開発」の目玉事業として進めているチベット自治区と青海省を結ぶ青蔵鉄道(全長1142キロ)で、橋の建設や、がけを切り開くなどの基礎工事がほぼ完成した。

 レールもすでに67%が敷設され、今年末までには敷設工事を終える見通し。2006年7月の試運転、07年の開通を目指している。

 青蔵鉄道の平均海抜は約4、500メートル、最高地点は5、072メートルに達するだけに、高山病になる作業員が続出。衛生当局は沿線の随所に診察所を配置したり、酸素ボンベを備えるなど健康対策に腐心している。

国境問題解決急ぐ中国、「対露」画定が完了

2004/10/17 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=竹腰雅彦】中国の胡錦濤政権が、近隣諸国との国境問題解決に向けた動きを加速している。16日までのプーチン・ロシア大統領の訪中では、約40年に及ぶ懸案だった中露東部の国境線をすべて画定した。

 中国はさらに、かつて国境付近で戦火を交えたインドやベトナムとの間でも国境問題の解決に乗り出している。

 14か国と陸上国境を接する中国は、周辺諸国との関係安定が、国家戦略の柱である経済発展を続ける上で不可欠と見ている。国境線を巡って紛争や摩擦を繰り返してきた中国にとって、「相互不信の歴史の清算」(中国筋)につながる国境問題を前進させることは、経済発展の条件整備に等しい。軍事的な負担軽減にもなる。

 今回のプーチン大統領訪中で中露両国は、一部未解決だった東部国境画定の「追加合意文書」に調印。約4300キロに及ぶ中露国境は完全に画定した。タス通信などによると、両国は、同地域のアムール川にある大ウスリースキー島(黒瞎子島)など2島の共同利用と、周辺水域の相互の船舶航行でも合意した。

 東部国境は1969年に中ソ両軍が武力衝突したダマンスキー島(珍宝島)事件など、「対立の歴史」に彩られた地域で、プーチン大統領も自ら「40年にわたる国境問題が解決した。過去の清算をようやく成し遂げた」と評価した。

 昨年6月には、訪中したインドのバジパイ首相(当時)が、初めてチベット自治区を中国領と認めたのに対し、中国側も「独立国」とみなしてきたインド北東部のシッキムを、事実上、インド領と認めた。この後、両国の国境協議は、今年7月までに3回という異例のペースで開かれている。

 ベトナムとの陸上国境を画定する協定は2000年に発効した。河川などに残る未画定地についても、今年5月、首脳間で「国境問題の妥当な処理」の必要性を確認。8月の実務者協議では、武力行使の回避や、紛争処理のためのホットライン設置などに合意した。

 このほか中国は昨年来、カザフスタンやタジキスタンなど中央アジア諸国との国境協定を相次ぎ結んでいる。「潜在的には最も不安定」とされる対北朝鮮国境では、今年6月、北朝鮮の国防委員会と国境警備に関する協力文書を締結した。

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