TOPIC No.2-31a-6 2006年度(日中関係未整理情報)

日中で「アジア共通通貨」推進を 中国政府有力ブレーン 胡鞍鋼・清華大教授

2006/12/22 The Sankei Shimbun Web Site

 中国政府指導部の有力ブレーンである胡鞍鋼清華大学教授は5日、産経新聞と会見し、日中両国が共同で東アジア共通通貨を創設することに意欲を示した。貿易決済などで米ドルへの過度の依存から脱却するためで、黒田東彦アジア開発銀行総裁らが提唱してきたアジア共通通貨構想への中国側の賛意とも受け取れる。同教授はまた、日本を抜いて世界最大になった中国の外貨準備について、「米ドルの保有比率を下げ準備通貨を多元化するのは当然」とし、「ドル離れ」の必要性を強調した。人民元の対ドル・レートについてはなだらかな上昇を支持する半面で、短期間での大幅な切り上げは「中国および世界の利益にならない」と否定した。

 胡鞍鋼教授の発言要旨は以下の通り。

 一、中国の外貨準備のうちおよそ65%が米ドルだ。米ドル安の進行が心配で、今後米ドル以外の通貨準備を増やすべきだ。東アジアではドル安のリスクを下げるためにも、日本円や人民元で貿易決済する必要がある。中国は急速な外貨準備の増加を防ぐためにも中国企業による対外投資を促進しており、新しい投資国家として台頭している。これはアフリカや中南米にとってもよいことだ。

 一、人民元は引き続き徐々に切り上げることは避けられないが、大幅切り上げは望ましくない。中国経済は周辺のアジア経済と一体化しており、通貨での失敗は許されない。人民元は香港ドルの対ドル・レートと同水準まで上昇したが、人民元と香港ドルは購買力が大きく違う。香港はこれまで通り香港独自の金融・為替制度を維持する権利を持っている。

 一、中国の周辺アジアとの貿易は、輸出の50%以上、輸入は60%以上を占めており、その比率はどんどん上昇している。米ドルに過度に依存すればだれにとって有利か不利かははっきりしている。アジア共通通貨をいつどんな形にするか、欧州共通通貨「ユーロ」をどう参考にするか、これからアジア各国と検討していく。日中の両大国は協調してアジアに提起し、重大な責任をともに負わなければならない。

 一、(北京指導部のアジア共通通貨構想に対する考え方について)胡錦濤国家主席、温家宝首相をはじめ中国の指導部は少なくとも、アジア地域の経済・貿易の一体化が進み、アジア全域が中国にとってどのくらい重要なのか認識している。

 一、われわれは中国の世界貿易機関(WTO)加盟以来5年間のコストとリスクを分析して最近政府指導部に提出したが、加盟の結果は利益9に対してリスクは1に過ぎなかった。指導部が一番心配だったのは農業だったが、農民の収入は年平均で5%伸びた。(編集委員 田村秀男)

日米共同の対中政策 安保重視・民主主義が有効

2006/12/17 The Sankei Shimbun Web Site

米国防総省前中国部長 ダン・ブルーメンソール氏

 【ワシントン=古森義久】ブッシュ米政権の前国防総省中国部長でワシントンの大手研究機関研究員のダン・ブルーメンソール氏はブッシュ政権が安倍新政権による安全保障重視や民主主義など基本的価値観の強調が日米共同の対中政策にきわめて有効だとして歓迎している実情を説明する論文をこのほど発表した。

 大手シンクタンクの「AEI」研究員の同氏はまず米国歴代政権の対中政策について「多次元の対中関与の継続で強く、豊かで平和かつ民主的な中国が誕生すると期待してきたが、中国は強く豊かになっても独裁傾向が強まり、新たなパワーでアジアでの米国の主導権に挑戦するようになった」と述べ、現ブッシュ政権は中国の軍事力増強での覇権志向を警戒し、日本などとの同盟の強化と米国自身の軍事力の大西洋からアジアへの移転を進めるという対中ヘッジ(防御)戦略を採用した、と報告している。

 同論文は米国のこの対中ヘッジ戦略のカギが日本だとして、「米国はここ数年、日本に対し国際安全保障や地域的軍事危機防止へのより多くの寄与を求めてきた」が小泉政権から安倍政権にかけての日本は中国や北朝鮮の軍事脅威を十分に認識して、米国が期待する方向へ着実に前進した、としている。同論文は具体的には日米両国が今後、共同操作のできるミサイル防衛や共同の空軍司令部設置を実現させ、中国の軍拡への抑止を強めることが意義深いと強調した。

 ブルーメンソール論文はとくに安倍政権の政策について憲法の改正や集団的自衛権の行使禁止の解除への動きをブッシュ政権が歓迎し、安倍首相が対外政策で「自由、人権、民主主義、法の統治などの普遍的な価値観」を重視すると言明することが日本に(1)中国が実現できない価値の強調により中国との地政学的競合で優位に立てる(2)中国自身の改革や民主化志向への触媒を供する(3)米国、インド、オーストラリアとの民主主義有志連合の形成へと進み、中国の膨張への野望を抑える−などの実益をもたらすと論評した。

 同論文は日本の憲法改正について(1)軍事面で日本を正常な国とし、地域安全保障への貢献を可能にし、地域的な影響力を強める(2)その結果、アジアで中国の覇権や膨張に対し効果的に対応できる(3)米国からの押しつけ憲法の改正は日本の戦後世代の心理に真の第二次大戦の終わりを画す−などの理由でブッシュ政権も期待していると述べた。

 同論文は日本の「歴史問題」については「アジアの多くの国はすでに日本が過去の罪を十分に反省し、自由と人権の模範の国となったと信じている」と述べ、中国は日本の「過去」をアジアでの地政学的な競合の上での日本に対する棍棒(こんぼう)として利用している、という見解を明らかにした。

東芝子会社のWH、原発技術を中国に 米中両政府が覚書

2006/12/17 The Sankei Shimbun Web Site

 【北京=福島香織】米中両政府は16日、東芝傘下で米原子力大手ウェスチングハウス(WH)の技術を中国の次世代原発に導入するとの覚書を交わした。

 同日、北京で開かれた日米中印韓5カ国によるエネルギー担当閣僚会議に出席したボドマン米エネルギー長官と馬凱・国家発展改革委主任が署名した。中国で計4基の原子炉を建設する。WHは東芝が買収して子会社化しており、事実上、東芝は中国の原発市場に大きな足がかりを得ることになる。

 一方、5カ国エネルギー担当閣僚会議は同日、エネルギー価格の適正化や協力促進などを盛り込んだ共同声明を採択、閉幕した。

 5カ国は、世界のエネルギー消費の半分を占める。会議ではエネルギー安保と戦略備蓄、省エネや代替エネルギーの推進、投資環境整備、国際協力などのテーマを議論。日米は急激に石油消費を伸ばす中印に対し、市場原理に基づく価格設定が省エネや代替エネルギー投資などの促進につながると訴え、共同声明に盛り込まれた。

やっと修復工事始まる 反日デモ被害の上海総領事館

2006/12/14 The Sankei Shimbun Web Site

 【上海=前田徹】昨年4月16日の反日暴動で窓ガラスや壁面が破損したままだった在上海総領事館の窓ガラス付け替えなどの本格修復が14日、被害から1年8カ月ぶりに始まった。工事方法などで交渉が長引き、さらに工事材料を日本から直輸入する手続きなどが大幅に遅れたため修復開始に手間取った。

 この日修復が始まったのは総領事館東側に面した医務官室の窓ガラス4枚。破損した窓ガラスは計25枚だが、付属のガラス板も含めると計41枚が取り換えられる。また、外壁用のパネル板約300枚も投石などで破損しており、すべて交換される。工事は順調に行けば来年2月ごろに終了する予定だ。

 上海では暴動後も日系企業は増え続け、現在は6500社にものぼる。

SK−II、中国市場に復帰 販売停止から2カ月

2006/12/04 The Sankei Shimbun Web Site

 中国市場で2カ月以上販売を停止していた日本製のマックスファクター「SK−II」シリーズの化粧品が3日、広東省広州の百貨店で販売再開された。4日付の上海紙、東方早報が報じた。

 今後1〜2週間以内に上海でも販売再開の予定。中国各地での再開スケジュールは未定という。

 この化粧品をめぐっては、中国国家品質監督検査検疫総局が9月中旬に使用禁止の金属成分を検出したと発表したため、上海などで返品騒動が起き、会社側が同下旬から自主的に販売を停止。10月下旬に同総局が安全宣言を出していた。(共同)

「百度」が来年に日本進出 中国の検索エンジン大手

2006年12月04日 中国新聞ニュース

 【北京4日共同】中国のインターネット検索大手、百度(バイドゥ・コム)は4日、来年から日本語の検索サービスを開始、日本のネット検索市場に参入する方針を明らかにした。

 百度は米国留学組の李彦宏会長が、帰国後の2000年1月に中国で創業、急成長を遂げ、05年には米ナスダック市場に上場した。中国インターネット情報センターの調査では、中国のネット利用者の約6割が百度を利用、グーグルやヤフーを大きく上回り、中国語の検索サイトとしては世界最大という。

 李会長は「日本市場参入に向け半年以上準備してきた」と語り、日本語と中国語の類似性などを挙げ、成功に自信を示した。

少人数にも査証発給検討 中国人の対日旅行促進

2006年12月03日 中国新聞ニュース

 【北京3日共同】中国を訪問した冬柴鉄三国土交通相は3日、北京市内で記者会見し、中国から日本に旅行に来る3−5人の小グループにも査証(ビザ)を発給することを検討していると明らかにした。

 日中は2007年に両国の交流人口を年間計500万人台にすることで合意し、日本側はことし86万人の見通しの中国人旅行者を、来年には130万−140万人に増やす計画。一般の中国人の日本への旅行は一定規模の団体旅行に限定されていたが、家族や友人など少人数グループにも団体ビザを出すことで旅行を容易にする。 また、これまでビザを発給できなかった遼寧省瀋陽の総領事館や同省大連の駐在官事務所でも発給可能にする方向で外務省などと調整しており、邵☆偉・国家観光局長らとの会談で中国側に伝えた。

 国交相は2日からの訪中で、唐家☆国務委員らとも会談し、羽田空港と上海虹橋空港をチャーター便で結ぶ「日中シャトル便」構想についても協議。唐委員は「(虹橋が国内線専用空港で発着枠に余裕がないことなどで)困難だが実現したい」と前向きな姿勢を示した。

(注)☆は王ヘンに旋

フィリピンで日中韓首脳会談開催へ

2006/11/30 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国外務省の姜瑜報道官は30日の定例記者会見で、12月にフィリピン・セブ島で開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)首脳会議の際、日中韓3カ国の首脳会談と外相会談をそれぞれ行うと発表した。

 昨年は、小泉純一郎前首相の靖国神社参拝に中韓両国が反発、ASEANプラス3での日中韓首脳会談と外相会談はいずれも見送られた。

 中国の温家宝首相は12月11日から14日、フィリピンを訪問する。3カ国首脳会談と外相会談は、安倍晋三首相の中韓訪問を受けて実現するものだ。姜報道官は「中日韓3国の協力を進め、地域の平和、発展、繁栄のために貢献したい」と述べた。

「世界の工場」に異変 1〜10月 日本企業の対中投資30%減

2006/11/29 FujiSankei Business i.

 日本企業の対中投資が減少している。中国商務省が28日までにまとめた海外からの対中直接投資統計(実行ベース、金融を除く)によると、日本からは今年1〜10月で37億1180万ドル(約4343億円)と、前年同期に比べて30%以上の大幅な減少となった。今年は通年でも4年ぶりにマイナスとなる見通しだ。

 日本の対中投資は大型案件がほぼ一巡したことに加え、地価の上昇や最低賃金の引き上げなど人件費も高騰。コスト増への懸念から、「世界の工場」としての魅力が失われつつあるという。さらに、中国一極集中のリスクを避けるため、企業がベトナムやインドなども加えた「チャイナ・プラスワン」に海外投資戦略をシフトさせていることも背後にありそうだ。

 さらに2010年を最終年度とする中国の第11次5カ年計画で、外国投資受け入れ指針としてハイテクや環境保護、省エネルギー、内陸部開発などの案件を優遇すると定めるなど、投資内容を選別するようになった中国政府側の事情もある。

 アジアの投資事情に詳しいみずほ総合研究所の内堀敬則・上席主任研究員は、「過熱ぎみだった対中投資が中国の市場開放の遅れで、様子見の状況になっている。対中投資が再び増加に転じるかは、市場開放が進むかどうかだ」と指摘する。

 今後の中国投資は労働集約型の郊外への装置産業ではなく、技術性の高い産業やサービスなど都市集中型の投資へとシフトし、機能的分散と地理的集約が進むと見込まれる。量よりも質の拡充が課題となりそうだ。

 同時に外資の側も対中投資で「選択と集中」戦略を取り始めている。

 08年に五輪開催を控える北京市への投資は好調で、05年の投資実行額は前年比で約14%増の35億3000万ドル。そのうち日本は8億ドルで全体の約23%を占め、国・地域別でトップに立った。商業やサービス業などでの外資参入が増えている。(長谷部高史)

ホンダ、中国メーカーに「CR−V」酷似車出展で抗議

2006/11/28 The Sankei Shimbun

 ホンダの中国現地法人、ホンダ中国投資は27日、北京モーターショーに同社のスポーツ用多目的車(SUV)「CR−V」に酷似したSUVを出展した中国メーカーに、その撤去を申し入れたことを明らかにした。実際に市場に投入されれば、法的措置も検討する。ホンダによると、このメーカーは中堅の中順汽車。CR−Vについては、意匠権をめぐって他の中国メーカーとも裁判を続けている。(北京 時事)

カード偽造役の中国人逮捕 スポーツセンタースキミング

2006/11/27 The Sankei Shimbun

 東京都内の公営スポーツセンターのロッカーを狙ったスキミングによるカード偽造事件で、警視庁捜査3課は支払用カード電磁的記録供用と窃盗の疑いで、カード偽造役で中国籍の無職、楊威被告(33)=新宿区新宿、窃盗罪などで起訴=を再逮捕した。

 楊容疑者は容疑を否認しているが、都内や静岡県の10カ所以上のスポーツセンターや風俗エステ店で、実行役の中国人らにスキミングさせたデータを盗難カードに上書き。偽造カードを実行役に渡して現金を不正に引き出させる手口で平成16年3月以降、2億3000万円以上の犯行を重ねていたとみられている。

 捜査3課はこれまでに実行役の中国人ら12人を逮捕。楊容疑者は大阪や名古屋の整体院でスキミングによるカード偽造を繰り返していたとして5月に愛知県警に逮捕されていた。

 調べでは、楊容疑者は昨年10月、港区のスポーツセンターで、利用者4人のキャッシュカードを抜き取って偽造。コンビニ店のATM(現金自動預払機)から現金計753万円を不正に引き出した疑い。

中国牽制へ「民主連合」 APEC日米豪の連携目立つ

2006/11/19 The Sankei Shimbun

 【ハノイ=藤本欣也】ベトナムの首都ハノイで開催されていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)が19日、終了したが、一連の会議では高度経済成長を背景にアジア太平洋地域で台頭する中国に対し、日本と米国、オーストラリアの3カ国が連携してあたる場面が目立った。APECは、地域間の枠組みとしては日米豪3国が揃って参加する唯一のもの。来年の議長国は豪州だけに、APECにおける“民主連合”が連携する動きがさらに加速しそうだ。

 日本が参加するアジア太平洋地域の多国間枠組みとしては、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日本、中国、韓国)や、東アジア首脳会議(ASEAN10カ国、日、中、韓、インド、豪州、ニュージーランド)があるが、いずれも米国は枠外に置かれている。ASEAN地域フォーラム(ARF)には米国も参加しているが、同フォーラムは安全保障問題をめぐる各国の意見交換の場にすぎない。

 従来、日米豪3カ国は世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)をめぐる立場が異なり、ドーハ・ラウンドの再開を最優先課題に掲げるAPEC内では微妙な関係にある。ただ、今回のAPECでは「3カ国が連携して取り組む場面がかなり増えた」(APEC関係者)という。

 まず、知的財産権保護をめぐって、海賊版や模倣品の製造・流通段階での排除を目指したガイドラインが策定されたが、海賊版・模倣品対策は中国などで問題となっている分野で、「ここ数年、日本と米国がイニシアチブを取って中国を指導してきた」(同)。中国が反対していた、政府機関によるソフトウエアの不正使用禁止についても合意にこぎ着けた。

 北朝鮮問題でも外相レベルの日米豪戦略対話を開催するなど、北朝鮮に関する声明の取り扱いをめぐって足並みをそろえた。APECの機能強化でも3カ国の共同歩調が目立った。

 これらの問題で日米豪と異なる立場に立っていたのが中国だ。中国は近年、高度経済成長を背景に域内で存在感を強めており、ASEANプラス3や東アジア首脳会議で日本と利害対立する局面が増えている。日本としては「民主主義という同じ価値観を共有する」(安倍晋三首相)米国や豪州とともに参加するAPECの枠組みを活用する意義は小さくない。

P&G 「SK−II」ブランド、来月販売再開

2006/11/16 FujiSankei Business i.

 米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)グループは15日、9月から停止している「SK−II」ブランドの化粧品の中国での販売を12月初めに再開することを明らかにした。

 「SK−II」はグループ会社のマックスファクター(本社神戸市)が製造。9月14日に中国の検疫で重金属のクロム、ネオジムが検出された。P&Gは当局と協議する一方、顧客と返品の際に混乱が発生したため、同22日から中国での販売を全面停止した。

 10月23日に当局が事実上の「安全宣言」を出したことを受け、販売再開の準備を進めていた。P&G(中国)は「全製品について再開するが、当初の販売は北京、上海、広州などの大都市になる」とし、国内すべての販売拠点での再開には時間がかかるとの見通しを示した。 (北京 時事)

中国副主席、日中関係強化に期待感 野中氏との会談で

2006/11/09 The Sankei Shimbun

 中国の曽慶紅国家副主席は8日、中国を訪問している野中広務元自民党幹事長(日中友好協会名誉顧問)らと会談し「安倍晋三首相の訪中により、不愉快な(政治的冷却)状態から脱却したことをうれしく思う」と述べ、今後の日中関係の発展に期待感を表明した。会談後、関係者が明らかにした。

 中国は靖国神社参拝を繰り返した小泉純一郎前首相を激しく非難してきた経緯があり、自らの靖国参拝をめぐる意思や事実関係を明言しない「あいまい戦術」を取っている安倍首相をけん制する狙いがありそうだ。

 野中氏は「安倍首相の訪中が日中発展の大きな礎になることを願う」と応じた。会談には日本画家の平山郁夫氏(同協会会長)らも同席した。

 野中氏らは北京で同日、日中友好に貢献した故宇都宮徳馬元参院議員と故西園寺公一氏の2人の生誕百周年の記念行事に出席した。(共同)

中国で「プロジェクトX」放映へ

2006/11/08 The Sankei Shimbun

 日中両国は7日、日本が人気ドキュメンタリー「プロジェクトX」など360番組に関する放映権を中国に無償提供することで合意、文書に調印した。北京の日本大使館によると、提供されるのはすべてNHKの番組で、中国側は翻訳作業を経た上で、国営教育テレビで来年にも放映を開始する見通し。調印式に出席した宮本雄二駐中国大使は「テレビを通じ、より多くの中国の方々に等身大の日本を理解してもらいたい」と話した。

 今回の無償提供は、日本政府が実施している対中政府開発援助(ODA)の文化無償資金協力の一環で、中国側が一昨年に申請していた。総額は3540万円。

APECで日中首脳会談 中国外務省が発表

2006/11/07 The Sankei Shimbun

 中国外務省は7日、ハノイで18日から開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際、胡錦濤国家主席が安倍晋三首相、ブッシュ米大統領とそれぞれ会談すると発表した。

 日中首脳会談は、10月8日、安倍首相が就任後初の外遊先として北京を訪問、胡主席と会談して以来。この会談で双方は「戦略的互恵関係」の構築で合意しており、ハノイの会談でも同関係の強化を目指すとみられる。

 安倍首相と胡主席は、10月の会談の際、APEC首脳会議で再会談することで合意していた。(共同)

「SK−II」問題を反省 中国紙、論評で当局・報道批判

2006/11/03 FujiSankei Business i.

 中国紙、中華工商時報は2日までに、日本製化粧品のマックスファクター「SK−II」シリーズから、中国で使用が禁じられている重金属が検出されたとして、北京や上海など各地で返品騒動や暴力行為が相次いだ問題で、「起きるべきでない騒動であり、反省に値する」との異例の論評を掲載した。当局の発表方法や中国メディアの行き過ぎた報道も批判した。

 同紙は騒動が広がった後、香港や韓国などの当局が「SK−II」化粧品の検査し、微量の重金属を検出したものの「健康に影響を与えるレベルではない」と、それぞれ安全を宣言した。しかし中国メディアの多くは韓国などで「重金属が検出された」とする“都合のいい”部分だけを報じ、安全宣言を伝えないなど問題があり、中国人消費者の不安や返品を求める行動をあおったという。

 さらに中国当局が重金属検出を公表した際、実際に健康被害が起こり得るのかどうかを説明せずに、問題を大きくした点を「情報が不十分」と指摘。「検査結果の発表は慎重にすべきだ」との専門家の声も紹介。中国メディアと消費者にそれぞれ反省を促した形だ。(河崎真澄)

SK−2騒動、反省すべき 中国紙が異例の批判

2006年10月31日 中国新聞ニュース

 【上海31日共同】中国紙、中華工商時報は31日、日本製化粧品のマックスファクター「SK−2」シリーズから使用禁止の重金属が検出され、中国で返品騒動が起きた問題で「本来起きるべきでない騒動だった。反省に値する」と当局の発表や一部中国メディアの報道を批判する記事を掲載した。中国メディアのこうした批判は異例。

 同紙は、香港や韓国などの当局が「SK−2」化粧品を検査し、微量の重金属を検出したものの「健康に影響を与える水準ではない」と安全宣言したことなどを紹介。これに対し一部のメディアは各国での「重金属検出」の事実だけを報じ、安全宣言の部分は省いたため、消費者の不安心理をあおったと批判した。

 さらに中国当局が重金属検出を公表した際、どのような健康被害が起こり得るのかを説明しなかったことを「情報が不十分」と指摘。「検査結果の発表は慎重にすべきだ」との専門家の声を紹介した。

中国をWTO提訴へ 模倣品摘発強化求める

2006年10月28日 中国新聞ニュース

 日米欧などの主要国が、違法な海賊版や模倣品の製造・販売取り締まりが不十分だとして、来週中にも中国を世界貿易機関(WTO)に提訴することが28日、分かった。知的財産保護で摘発強化を求めるWTO提訴は初めてで、違反業者への刑事罰強化を中国に要請する。

 日米欧は中国製などの模倣品の横行に歯止めをかけるための条約締結の準備にも着手しており、国際的な対中包囲網が一段と強化されそうだ。

 今回の提訴は、米国がWTOに訴状を提出する一方、日本とカナダ、欧州連合(EU)は第三国として参加する見通し。

 中国では不正コピーしたDVDなどの映像、音楽ソフトや偽ブランド品が横行し、日米欧の企業が多額の被害を受けている。日本政府などは、中国の不十分な対応は知財保護を定めたWTOの貿易関連知的所有権(TRIPS)協定に触れる恐れがあると判断した。日本企業の被害額は年間約9兆円に上るという。

 中国では押収した模倣品・海賊版の総額が一定額未満の場合、刑事訴追の対象外とされており、日米欧は中国に訴追の対象範囲を広げるよう求める。

 WTO提訴後、日米欧はまず事態改善を求めて中国と協議。その後60日以内に中国が対応しなかった場合、紛争処理小委員会(パネル)設置を要請し、中国がTRIPS協定に違反しているかどうかを判定する。

 ただ「知財保護を目的としたWTO提訴の前例はない」(経済産業省幹部)ため、日米欧の主張が受け入れられるかどうか不透明との見方もある。

駐日中国大使「日中関係、難局は去った」

2006/10/27 The Sankei Shimbun

 中国の王毅駐日大使は27日、横浜市で講演し「安倍晋三首相の歴史的な訪中で、日中間の政治的障害を克服するための意見の一致を見た。政治的難局はすでに去った」と述べた。その上で両国の今後について「日本は最も重要な隣国のひとつであり、友好的な関係を築こうという姿勢は変わらない」と説明。「これは既定の政策であり、国策だ」と強調した。

 さらに王大使は韓国も含めたアジア情勢に触れ「日中韓の3カ国が手を携えれば、アジアの平和に貢献するだろう」と語った。講演は「神奈川経済と今後の日中交流」とのテーマで、日本語で行われた。

中国大手に冷蔵庫の生産を委託 三洋電機

2006/10/26 The Sankei Shimbun

 経営再建中の三洋電機が冷蔵庫の生産を中国の家電最大手、海爾(ハイアール)社に全面委託する方針であることが26日明らかになった。三洋ブランドで供給を受け、品ぞろえは確保する。

 同社は赤字が続く白物家電の立て直しを進めており、冷蔵庫の生産移管でコスト削減を図る。中小型の冷蔵庫などを年間約100万台生産しているタイの生産会社「三洋ユニバーサル電機」の株式を、来春までに海爾に売却するほか、東京製作所(群馬県大泉町)で生産している大型の高級冷蔵庫も生産委託することを視野に入れている。

「外交カードにせず」 歴史で中国共産党部長

2006/10/16 中国新聞ニュース

 自民、公明両党と中国共産党による「日中与党交流協議会」が16日、都内のホテルで始まった。中国共産党の王家瑞対外連絡部長は歴史認識問題について「外交圧力をかけるカードには使わない。(提起は)恨みの継続のためではない」と言明。双方は日中首脳が先に「戦略的互恵関係」で合意したことを踏まえ、関係改善に向けて政党間交流を深めていくことで一致した。

 北朝鮮の核実験実施発表を受けた対応では「危機をエスカレートさせないよう日中間の連携強化が極めて重要」であることを確認した。

 王氏は「日中間には近代の不幸な歴史だけでなく2000年の歴史があり、1972年以来の友好の歴史もあるとのとらえ方をしたい」とも強調。その上で、先の戦争に関して「(日本側は)被害国民の感情に十分配慮してほしい」と求めた。

 自民党の中川秀直幹事長らは「重く受け止めたい。未来志向を原則に協力を強化するのが両国の共通の利益だ」と応じた。

 王氏は台湾問題に関しては「武力行使カードを声高に主張するものではない」とし、東アジアの地域協力で日中が積極的に取り組む必要性に言及しながら「米国など域外国の参加も排除しない」とも述べた。

 協議会は2月に北京で開かれて以来で、今回が2回目。3回目の会合は来年中に再び北京で開催することになった。17、18両日は、中国側と財界、有識者との意見交換が中心となる。

「核兵器持たない」と強調 安倍首相、中国共産党部長に

2006/10/16 中国新聞ニュース

 安倍晋三首相は十六日午後、国会内で、来日中の王家瑞中国共産党対外連絡部長らの表敬を受けた。自民党の中川昭一政調会長の核保有論議をめぐる発言を念頭に王氏が「非核三原則を守ってもらいたい」と要請したのに対し、首相は「核兵器は持たない。安心してほしい」と応じた。

 首相はその後、官邸で記者団に「政府として(三原則の見直しを)議論することはない。国是として三原則を守り続けていく方針に全く変わりはない」と言明した。

 王氏との会談で、首相は先の訪中に関し「両国首脳が胸襟を開いて話し合える関係になった。まさに戦略的互恵関係という新しい時代のスタートになった」と強調。王氏も「(小泉政権の)五年間の両国間の氷を溶かすことができた。安倍首相の訪中で雲が晴れた」と評価した。

 都内での外相主催歓迎会では、麻生太郎外相が日中首脳会談に触れ「日中関係は新たなスタート地点に着いた」と指摘。王氏も「冬の後に必ず春が来るのと同様、両国関係も友好的な歴史が続くと思う」と述べた。

日中共同プレス発表

平成18年10月08日 安部総理大臣 by外務省

1.安倍晋三日本国内閣総理大臣は、温家宝中華人民共和国国務院総理の招待に応じ、2006年10月8日から9日まで中華人民共和国を公式訪問した。安倍総理は、胡錦濤中華人民共和国主席、呉邦国全国人民代表大会常務委員会委員長、温家宝国務院総理とそれぞれ会見、会談を行った。

2.日本側及び中国側双方は、国交正常化後34年間、日中両国間の各分野における交流と協力が絶え間なく拡大・深化し、相互依存が更に深まり、日中関係が両国にとり最も重要な二国間関係の一つとなったとの認識で一致した。また、双方は、日中関係の健全かつ安定的な発展の持続を推進することが、両国の基本的利益に合致し、アジア及び世界の平和、安定及び発展に対して共に建設的な貢献を行うことが、新たな時代において両国及び両国関係に与えられた厳粛な責任であるとの認識で一致した。

3.双方は、日中共同声明、日中平和友好条約及び日中共同宣言の諸原則を引き続き遵守し、歴史を直視し、未来に向かい、両国関係の発展に影響を与える問題を適切に処理し、政治と経済という二つの車輪を力強く作動させ、日中関係を更に高度な次元に高めていくことで意見の一致をみた。双方は、共通の戦略的利益に立脚した互恵関係の構築に努力し、また、日中両国の平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展という崇高な目標を実現することで意見の一致をみた。

4.双方は、両国の指導者の間の交流と対話が両国関係の健全な発展に重要な意義を有すると考える。日本側より中国の指導者の日本訪問を招待したのに対し、中国側は感謝の意を表明し、原則的にこれに同意し、双方は、外交ルートを通じて協議することで意見の一致をみた。双方は、両国の指導者が国際会議の場においても頻繁に会談を行うことで意見の一致をみた。

5.中国側は、中国の発展は平和的発展であり、中国が日本をはじめとする各国と共に発展し、共に繁栄していくことを強調した。日本側は、中国の平和的発展及び改革開放以来の発展が日本を含む国際社会に大きな好機をもたらしていることを積極的に評価した。日本側は、戦後60年余、一貫して平和国家として歩んできたこと、そして引き続き平和国家として歩み続けていくことを強調した。中国側は、これを積極的に評価した。

6.双方は、東シナ海を平和・協力・友好の海とするため、双方が対話と協議を堅持し、意見の相違を適切に解決すべきであることを確認した。また、双方は、東シナ海問題に関する協議のプロセスを加速し、共同開発という大きな方向を堅持し、双方が受入れ可能な解決の方法を模索することを確認した。

7.双方は、政治、経済、安全保障、社会、文化等の分野における各レベルでの交流と協力を促進することで意見の一致をみた。

エネルギー、環境保護、金融、情報通信技術、知的財産権保護等の分野を重点として、互恵協力を強化する。

経済分野において、閣僚間の対話、関係当局間の協議や官民の対話を推進する。

2007年の日中国交正常化35周年を契機として、日中文化・スポーツ交流年を通じ、両国民、特に青少年の交流を飛躍的に展開し、両国民の間の友好的な感情を増進する。

日中安全保障対話や防衛交流を通じて、安全保障分野における相互信頼を増進する。 日中有識者による歴史共同研究を年内に立ち上げる。

8.双方は、国際問題及び地域問題における協調と協力を強化することで意見の一致をみた。

 双方は、核実験の問題を含む最近の朝鮮半島情勢に深い憂慮を表明した。この関連で、双方は、関係方面と共に、六者会合の共同声明に従って六者会合プロセスを推進し、対話と協議を通じて、朝鮮半島の非核化の実現、北東アジア地域の平和と安定の維持のため、協力して共に力を尽くすことを確認した。

 双方は、東アジア地域協力、日中韓協力における協調を強化し、東アジアの一体化のプロセスを共に推進することを確認した。

 双方は、国連について安保理改革を含む必要かつ合理的な改革を行うことに賛成し、これにつき対話を強化する意向を表明した。

9.日本側は、安倍晋三内閣総理大臣の中国訪問期間中における中国側の心のこもった友好的な接遇に対し、感謝の意を表明した。

 2006年10月8日北京で発表した。    

日中貿易戦争、「中国産マツタケ」に飛び火

2006/10/02 朝鮮日報 香港=宋義達(ソン・ウィダル)特派員

 農産物と食品検疫をめぐる「日中貿易戦争」が拡大している。先月、中国当局が日本産SK-2化粧品から重金属を検出した事実を公表すると、今度は日本が中国産輸入マツタケから残留農薬が超過検出されたとし、一斉検査を指示した。

 日本の厚生労働省は先月15日、日本の関西空港検疫所で搬入待機中だった中国産マツタケからアセトクロール系除草剤の成分が日本の残留農薬基準(0.01ppm)69倍の0.69ppm検出されたと香港メディアが1日、伝えた。

 先月25日にも、中国産マツタケから0.04ppmの除草剤成分が2度にわたり検出され、安全基準を超過した中国産マツタケは計126キロになった。

 日本政府は関連法に従い、中国産マツタケを輸入する日本の輸入業者と加工業者に対し、一斉検査命令を出し、市場でも販売禁止措置を取った。今後、中国産マツタケは検疫当局の検査を受けないと輸入ができない。

 日本は最近、300トン余りのマツタケを輸入しているが、このうち半数以上が中国産だ。先月末に収穫期を終えた中国産マツタケは今回の日本の検査命令により、輸出への打撃が予想される。

 中国と日本は最近、検疫機関を通じ、相手国の輸出品が自国の安全基準に合わないという理由で輸入禁止措置を取り、神経戦を繰り広げている。これまでに日本産化粧品と魚肉スープ、すし、冷凍イカと中国産ウナギ、ハクサイ、はちみつが対象となった。

 両国の貿易問題は5月末、日本が輸入農産物検疫基準を大幅強化し、中国との検疫摩擦が起こって以来、本格化している。

 同措置により、中国産農産物の対日輸出が困難になったため、中国当局が報復措置を相次ぎ取っていると通商専門家は指摘した。

 全体の農産物輸出量の30%以上を日本で売っている中国は、今年に入ってから8月末までに農産物貿易赤字が21億5000万ドル(2538億円)に増加した。また、8月の対日農産物輸出は前年同期比で18%減少した。

麻生外相「ハードル上げているのは中国」日中首脳会談で

2006/09/27 The Sankei Shimbun

 麻生太郎外相は26日、産経新聞などとのインタビューで、安倍晋三首相と中国の胡錦濤国家主席との日中首脳会談について「早くやった方がいい。ボールは向こうに投げている」と語り、11月にベトナムで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議前の実現に積極的な姿勢を示した。

 首相サイドは、10月中の首相訪中も視野に入れるが、中国側が依然として靖国神社参拝自粛を会談の条件にしている。麻生氏は「ハードルを上げているのは中国だ」と指摘し、中国側との調整は時間がかかるとの見通しも示した。

 また、麻生氏は北朝鮮への対応について、「北朝鮮が(核問題に関する)6カ国協議に参加した上で話をしないと、制裁は強まる」と語った。政府は9月末に国連安全保障理事会の決議に基づく金融制裁措置に踏み切ったが、北朝鮮が6カ国協議復帰を拒み続ければさらなる制裁を発動する考えを示したものだ。

中国人は化粧ができなくなる? 重金属含有で中国が警告

2006/09/25 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】香港基準・鑑定センターは25日までに、クリスチャン・ディオール、ランコム、エスティ・ローダー、クリニークの世界4大化粧品ブランドすべての化粧品に、微量のクロム、ネジウムなどの重金属類が含まれていると発表した。

 中国では日本製化粧品のマックスファクターSK−IIにクロムなどが含まれていたとして非難報道が続き、全国で返品騒ぎが発生しているが、ディオール、エスティ・ローダーに含まれているクロム類はSK−IIよりも多いという。

 センターによれば、クリスチャン・ディオールのファンデーション、エスティ・ローダーのファンデーションにはクロムがそれぞれ、キロあたり4.5ミリグラム、3.9ミリグラム含まれ、SK−IIより多かった。この他のブランドのファンデーションにもクロム、ネオジムが含まれていた。

中国、日本アニメ制限 代わりは「抗日」アニメ?

2006/09/24 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国で圧倒的人気の日本アニメをはじめ外国アニメが今月からゴールデンタイムでテレビ放映を禁止された。北京映画学院内の孫立軍・アニメ学院長は「中国のアニメ産業を保護し、発展させる必要性に迫られている。日米など西側の文化が子供たちに与える影響も心配だ」と禁止の理由を説明した。その一方で、7年近くかけ製作した抗日アニメが11月から放映されるなど、愛国主義教育の意図も垣間見える。

 孫院長は日本アニメについて「素晴らしいが、大人向けアニメには色情部分が多く中国には適さない。3・6億人の子供に見せることはできない」と指摘した。

 孫院長によれば、一流アニメは、一連の宮崎駿監督作品や『一休さん』『鉄腕アトム』。二流は『ちびまる子ちゃん』『名探偵コナン』。三流は『クレヨンしんちゃん』『美少女戦士セーラームーン』『スラムダンク』で、判断能力に欠ける子供への教育にはふさわしくないそうだ。漫画のまねをして社会問題になったこともあるという。

 孫院長がインターネット上の討論で「日本アニメがすべて良いわけではない」と書き込んだところ、日本アニメの擁護派から「無知」とまでののしられた。「中国のアニメ専門家として非常に傷ついた。中国では、子供時代から日本アニメで育った擁護派が圧倒的に多い。その影響は大きい」という。

 今月1日から午後5〜8時の時間帯で外国アニメ放映が禁止された。

 「日本のアニメはすでに日本市場でコストが回収されており、中国では1分間の放映で数元(1元約15円)しかもらえなくても、利益が出る。しかし中国アニメは1分間で1万元前後の製作コストがかかるため、売れなかった」と述べ、文字通り“文化赤字”になっている現状を訴えた。

 中国メディアが「日本アニメは『誤った歴史観』に青少年が毒される」と警鐘を鳴らしていることについて、孫院長は「異なる文化の交流、吸収は必要だ」と述べる一方で、「色情、暴力物は別であり、日本アニメを選ぶ中国の関係当局にも責任があった」との反省を示した。

 抗日アニメについては「わが学院が製作した。抗日の貧しく、苦しいときに主人公の子供が快活に成長していく極めて有名な話」と説明した上で「民族主義や恨みを扇動するものではない。一人っ子政策による身勝手な『小皇帝』への愛国および教育的な意味だ」と強調しているのだが…。

首脳会談再開は結論出ず 日中外務次官、協議継続

2006/09/24 中国新聞ニュース

 日本、中国両政府は二十三日、外務次官による「総合政策対話」を都内の外務省飯倉公館で行った。安倍新政権発足が決まったのを機に、小泉純一郎首相の靖国神社参拝が原因で約一年五カ月途絶えている日中首脳会談の早期再開について意見交換したが、結論に至らず二十五日以降に協議を継続することになった。

 谷内正太郎外務事務次官、中国の戴秉国外務次官らが出席。首相に就任する安倍晋三自民党総裁と胡錦濤国家主席との会談を、十一月中旬にベトナムで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場や、その前の十月中にも実現させる方向で協議した。

 谷内氏は、安倍氏が自らの靖国神社参拝をめぐる意思や事実関係を明言しない「あいまい戦術」を取っていることなどを説明。戴氏は首脳会談再開の条件として「政治的障害を取り除いてほしい」と重ねて首相の参拝自粛を求めた。

 このほか両氏は北朝鮮の核、ミサイルをめぐる六カ国協議の再開問題、日中が対立している東シナ海のガス田開発などについても意見交換した。

 谷内氏は協議終了後、記者団に「二国間の問題や国際情勢について友好的で冷静な話し合いができた」と強調した。

化粧品「SK−2」、中国で販売停止 返品で売り場混乱

2006年09月22日 asahi.com

 米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の中国法人は22日、グループのマックスファクター(神戸市)製の化粧品「SK―2(「2」はローマ数字)」の販売を、同日から中国全域で一時中止する、と発表した。中国政府から使用禁止物質が含まれているとの指摘を受け、返品を求める利用者が各地の売り場に殺到。同社は「現場の混乱を避ける措置」と説明しており、禁止物質を原材料に使ったことは否定している。

 中国の国家質量監督検験検疫総局は今月半ば、SK―2の9商品から使用禁止物質のクロムなどが検出されたと発表。地方検疫機関や日本政府に日本製化粧品の検査強化を求めた。上海市政府も21日、別の3商品からも同じ使用禁止物質が検出されたとして販売中止を求めていた。

 SK―2は、仏ロレアルや資生堂と並んで中国でも人気の高い高級化粧品ブランド。ほぼ全量を滋賀県野洲市の工場で生産しており、中国では高級百貨店を中心に95店舗で販売している。

 P&Gは「空気や水に微量に存在する成分が検出されたとしても、日本の安全基準は満たしており問題とされない」と反論しているが、中国各地で返品・返金に応じている。ただ、窓口が少ないうえ領収書持参が条件だったため混乱が拡大。上海の地元紙によると警察が収拾する事態にもなった。今のところ販売再開のメドは立っていない。

中国・瀋陽で反日騒動、日の丸燃やす

2006/09/19 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国遼寧省瀋陽市の日本総領事館によると、満州事変の発端となった1931年の柳条湖事件から75周年の18日夜、瀋陽市の同事件現場近くで開催された記念式典の終了後、一部市民が「日の丸」を焼くなどの騒動が起きた。負傷者などはいないという。

 式典終了後、周辺で1000人近い警察官が警戒していたが、男性2人が「日の丸」を広げ、「打倒、日本軍国主義」などと叫んだ。市民約100人が集まり、中国の国歌を歌いながら「日の丸」を焼いたという。

四川省成都で小規模な反日デモ 日系店前で約40人

2006/09/19 The Sankei Shimbun

 中国四川省成都の日系スーパー、イトーヨーカ堂の前で18日夜、「日本製品不買」などを叫ぶ小規模な反日デモがあったことが19日分かった。

 目撃者によると、18日午後8時(日本時間同9時)ごろ「歴史を忘れるな」などと書いた横断幕を持った若者ら30―40人が、「イトーヨーカ堂春熙店」の前で「日本製品を買うな」などとシュプレヒコールを繰り返した。一時は見物人も含めて100人ほどが店の前に集まったという。

 デモは約1時間ほど続き、最後は中国国歌を斉唱して終わった。破壊行為などはなかった。

 四川省のイトーヨーカ堂では昨年4月、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに反対する抗議活動で、窓ガラスが割られるなどの被害が出たことがある。

 18日は満州事変の発端となった1931年の柳条湖事件から75年の記念日だった。(共同)

柳条湖事件から75年…中国で追悼式

2006/09/18 The Sankei Shimbun

 満州事変の発端となった1931年の柳条湖事件から75年の18日、中国遼寧省の14都市で抗日戦争犠牲者の追悼式が行われた。

 事件現場となった同省瀋陽市の九・一八歴史博物館は同日、無料で開放された。事件発生の日にちなみ午後9時18分には空襲警報を鳴らし、市内の幹線道路ではこれに合わせて一時停車した車両が3分間、クラクションを鳴らす。

 空襲警報などによる追悼の意思表示は、抗日戦争勝利60周年に当たった昨年、一連の愛国キャンペーンの最終的なヤマ場として行われ盛り上がったことから、恒例行事として定着したとみられる。

 抗日戦争研究者で反日活動家の王錦思氏は「東北地方の主要都市をはじめ、全国約300都市以上で(空襲警報などによる追悼が)実施される」と述べた。

中国と日本、「食品衛生戦争」ぼっ発?

2006年09月18日 朝鮮日報 北京=チョ・ジュンシク特派員

 中国と日本の双方が、輸入した相手国の食品に問題があるとし、「食品衛生戦争」を繰り広げている。

 中国の国家質量監督検験検疫総局は最近、日本産の化粧品から禁止されている重金属が検出されたとし、日本製化粧品に対する検査強化を指示したと中国のマスコミらが17日、報じた。

 化粧品だけが問題になったのではない。深セン検査検疫局は今年6月、日本から輸入された魚の内臓から中国の国家基準の17.3倍を超える酢酸の成分が検出されたと発表した。続いて広東、山東、遼寧などの各地方の検査検疫局が、茶葉、ケーキ、コーヒーなどの日本製食品から基準を超える重金属や二酸化硫黄などが検出されたと相次いで発表した。

 こうした中国の日本食品に対する攻撃は、日本が今年5月に輸入食品の検疫を大幅に強化した制度を導入したことによって始まった。日本はその後、中国産のエンドウ豆、落花生、冷凍キクラゲなどから基準を超える残留農薬が検出されたとし、輸入禁止措置を下した。また、中国産のウナギから殺虫剤の成分が検出されたと発表したこともある。

日中首脳会談の再開難航も 安倍氏の歴史認識に懸念

2006年09月17日 西日本新聞

 政府が、11月中旬のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の前にも再開させる方向で調整している中国との首脳会談設定が難航する可能性が出てきた。次期首相就任が確実視される安倍晋三官房長官の歴史認識をめぐる最近の発言に中国が懸念を強めているためだ。

 安倍氏は自民党総裁選の討論会などで、中国政府が1972年の日中国交回復で戦争賠償請求権を放棄した際、日本の戦争指導者と一般国民を区別する論理を取った経緯について「そんな文書は残っていない」と述べ、中国独自の立場だとの認識を表明。その後も「私は会談の場にいなかったのでやりとりは知らない」などと強調している。

 これに対し中国側は現段階で「総裁選向けの発言と受け止めている」(中国筋)と冷静を装っている。しかし実際には当時の交渉記録精査を既に始めており「首相就任後に同じ発言をすれば強く反発する。安倍氏の言動を見極める必要がある」(同)と態度を硬化させ始めている。

 中国政府は、賠償請求放棄の際に「戦争責任は日本の一部の軍国主義者にあり、日本の一般国民も被害者だ」との論理で中国国民を納得させた経緯がある。安倍氏の発言は、A級戦犯を祭る靖国神社への首相参拝と同様、中国政府にとっては自らの説明の正当性否定につながりかねない。

 また、「植民地支配と侵略」に言及した1995年の村山富市首相談話への評価もあいまいで、当初は「踏襲」を明言しなかった。その後「基本的な精神を引き継いでいく」との見解を表明したものの、談話の中身自体を問われると「(評価は)歴史家に任せるべきだ」と繰り返している。

 このほか安倍氏はA級戦犯に関し「国内法では犯罪者ではない」などと述べたことで、「歴史観が極東軍事裁判否定に近い」(加藤紘一自民党元幹事長)との指摘も受けている。

 日本政府は、22日にも都内で行う日中外務次官による「総合政策対話」などで首脳会談の実現へ向け調整する構えだが、早期の合意は困難とみられる。

 また、首脳会談の早期再開に積極的な韓国も中国に歩調を合わせ、慎重姿勢に転じることもあり得るとの見方が出ている。

日本製化粧品から禁止物質 検査強化を要請

2006/09/16 FujiSankei Business i

 15日付の中国各紙によると、日本から輸入された化粧品から使用が禁止されている物質が検出された。検疫当局はこれを受けて、日本側に輸出管理と品質保証を要請するとともに、中国各地の担当機関に日本製化粧品に対する検査強化を指示した。

 検疫当局によると、P&Gジャパンのグループ会社、マックスファクター(本社神戸市)が生産した「SK−II」ブランドの乳液などから、中国で禁止されているクロム、ネオジムが検出された。

 検疫当局は先に、魚肉ソーセージ、茶葉など日本製食品から基準を超える防腐剤が検出されたと発表したばかり。日本が5月29日に施行した残留農薬の規制強化で中国製食品の不合格が相次いでいることを受け、中国側も検査を強化している可能性がある。(北京 時事)

                ◇

 マックスファクターは15日、中国各紙の報道について、「SK−IIのすべての製品で報道された成分を原材料として配合していない。なぜ今回のような報道があったのか中国当局と協力の上、早急に事実確認を進めたい」とのコメントを発表した。

日本の食品に相次ぎ不合格 茶葉などから基準超す添加物

2006/09/15 FujiSankei Business i

 新華社電によると、日本から中国に輸入された茶葉、冷凍魚などから基準を超える添加物、細菌が相次いで検出され、中国検疫当局が日本側に輸出食品の安全確保策を強化するよう要請した。

 6月に広東省深センの検疫局が、日本産魚肉ソーセージから基準を超える防腐剤を検出したのをはじめ、広東、天津など各地の検疫局で、茶葉、冷凍タチウオなどが不合格となった。中国中央テレビによると、不合格食品はこれまでに40件、20種類以上に達したという。

 日本は5月29日に食品の残留農薬の基準を厳しくした新規制を施行。中国からの輸入農産物で、基準値を超える例が相次ぎ、大きな影響が出ている。このため、中国側は輸出入の検疫体制を強化しているとみられる。

 中国からの要請について厚生労働省は「通知は来ているが、内容を確認中」としている。(北京 時事)

反日系中国紙が日本絶賛 冷却ムード改善狙う?

2006/09/15 The Sankei Shimbun

 対日批判記事が多いことで知られる中国紙、環球時報は15日付紙面で、日本の社会、文化などを8ページにわたり現地リポートした「日本特集」を掲載し、日本を「あらゆる面で発達した社会」などと持ち上げた。中国紙が日本を正面から評価するのは極めて異例。次期首相の就任を前に、日中の冷却化したムードを改善したいとの中国政府の意向を反映しているとみられる。

 日本特集は、東京の様子について「高層ビルだけでなく、地下街も発達している」「都心は緑一色。都市開発と環境保護のバランスの良さを実感できる」と報道。東京での取材を通じ「日本経済は再生したと感じた」とも伝えた。

 ただ靖国神社については、侵略戦争を美化しているとして「憤りを隠せない」と批判。また「大多数の庶民は歴史に無関心だった」と不満を述べている。(共同)

省エネ・環境協力で一致 日中経済協会訪中団 国家発展改革委と会談

2006/09/05 FujiSankei Business i.

 御手洗冨士夫・日本経団連会長と日中経済協会(会長・千速晃新日本製鉄会長)訪中団は4日、国家発展改革委員会の幹部と北京市内で会談した。席上、日中両国は、中国の経済成長を持続するために、日本がノウハウを持つエネルギーの効率利用を進める省エネ協力や環境汚染を防止する環境技術協力を進めることで一致した。

 民間の技術協力と政府による省エネ普及のための制度作りの支援を両輪に官民協力を進める方針。御手洗経団連会長は「相互に利益がある関係を構築することで中国の経済発展に寄与できると確信している」と会議を総括した。

 《ポストODA》

 中国はすでに世界第2位の石油消費国。年率二桁で石油消費が増える“エネルギー爆食経済”に陥っており、油田などの資源開発だけでは到底消費をカバーできなくなっているのが実情だ。

 今井敬・新日本製鉄名誉会長は席上、中国のエネルギー効率性は単位GDP(国内総生産)あたりでみると日本の約8倍も不効率で「エネルギーの効率性を改善することが最優先課題」だと指摘した。

 中国側も今年からの「第11次5カ年計画」で国内エネルギー消費を2010年に05年末比で20%減らすことを明言。7月から鉄鋼、非鉄、化学などエネルギー大量消費型の1000社を対象に省エネの実施を義務化するなど実施策に乗り出した。

 日本側は従来、中国の環境協力などに寄与してきた政府開発援助(ODA)が08年に終了することを念頭に民間主体の省エネ・環境協力を“ポストODA”の重要協力に位置づけたい考え。

 一方、国家発展改革委員会の韓永文秘書長(総括次官補に相当)は過熱経済のバブル崩壊が世界的に懸念されていることについて「ここ数年のマクロコントロールの効果がでている」とすぐに中国経済の破綻(はたん)につながることはないと強調。安定成長の阻害要因として「固定資産投資の急増や、(工場や不動産投資に向けた)金融機関の貸し出し規模の増大、加工貿易による多額の貿易黒字」の3点をあげ、引き続き工場の設備投資抑制や不動産投資の過熱を冷やすための金融引き締めなどマクロコントロールに最優先で取り組む方針を強調した。

 《楽観的見通し》

 中国政府は8月には4月に続き2回目の利上げを実施し、金融引締めに動いているが、不動産過剰投資も目立って改善したとはいえない状況だ。今後も新規大型プロジェクトの凍結に加えて(素材産業などの)「新規参入のハードルを厳格化する」など追加措置を検討していることも明らかにした。 

 国家発展改革委員会によると、上半期(1〜6月)の企業の設備投資と公共事業を足した固定資産投資は前年同期比に比べて29・8%増加したほか、GDP成長率も10・9%と成長、金融機関の人民元の貸し出し規模は同期間で2兆500億元増え「明らかに成長速度が早すぎる」と警戒感を強調した。

 一方で、ここ数年のマクロコントールの効果が表れているとアピール。(1)固定資産投資の増加率のスローダウン(2)企業の生産活動を支える電力需給の逼迫(ひっぱく)の改善(3)農村の食料供給の改善による所得の増加−などの事例をあげ、政策誘導の結果「経済成長が投資主導型から消費牽引(けんいん)型へ切り替わりつつある」との楽観的な見通しを示した。(北京=上原すみ子)

「レアメタル」輸出 中国が規制の動き

2006/09/01 FujiSankei Business i.

 中国の資源保護や国内販売を優先する動きから日本企業の先端技術に欠かせないレアメタル(希少金属)の安定確保に影響が出始めている。レアメタルはハイブリッドカーや液晶パネルに不可欠な材料だが、希少なだけに世界的に生産量や生産国が限られる。中でも中国への依存度が高いのが特徴で、産業界も防衛策を迫られている。(上原すみ子)

 レアメタルの中でも特に中国への依存度が高いのが、タングステン、レアアースなど4品目。タングステンは自動車部品を切断したり削るのに必要な超硬工具に使われ、レアアースはハイブリッド自動車の駆動モーターやハードディスク駆動装置(HDD)向けの永久磁石の保持力を強化するのに最適とされる。インジウムは液晶パネルに、アンチモンはプラスチック、ゴムに添加される難燃助剤に使われ、いまや産業界には欠かせない鉱物資源に位置づけられる。

 中国国内需要の拡大は、原油、銅など世界のあらゆる商品市況を押し上げる撹乱(かくらん)要因になっており、産業界に必要なレアメタルもその例外ではない。

 需給逼迫(ひっぱく)だけではない。中国政府の資源ナショナリズムの高まりを背景に、将来的には中国がレアメタルも輸出規制に動く可能性も高まっている。

 すでに事実上の輸出規制に動いている品目もある。タングステンは昨年に続き今年1月、輸出振興のために輸出すると税金が還付される増値税(付加価値税)の還付率を引き下げており、実質的な輸出規制に踏み切ったといえる。 

 このまま放置すれば産業界への影響が避けられないと、経済産業省資源エネルギー庁も対応に乗り出した。6月、レアメタルなどの鉱物資源も石油や天然ガス同様に資源戦略の一環だとする報告書をまとめ、安定確保に向けた探鉱開発や備蓄の強化を提言。これに加えて、レアメタルに変わる代替材料開発やリサイクル推進にも乗り出す計画だ。

 この資源戦略研究会には、ハイブリッド自動車で世界の先端を行くトヨタ自動車、液晶パネル世界シェアトップのシャープ、レアアースを使う磁石メーカーの信越化学工業など日本を代表するメーカー幹部が顔をそろえ、「現状のままだと中国が輸出規制に転じた場合の代替材料が確保できない」と危機感をあらわにした。

 一方、安定確保に向けて中国国内で鉱山などの上流部門に投資できるかといえば、資源保護の観点から難しい。例えば外資はレアアースの探査、採掘などに参入できないほか、精製や分離工程も制限業種に位置づけられている。 

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構は先行して、昨年からこの問題に取り組み、今春にはタングステンなどの代替調達先を求め、ベトナム、カナダに調査団も派遣した。従来は価格が低迷していたため、カナダなどでは生産を休止したところもある。今後は、価格上昇を背景に再開できる可能性もあり、実現できれば有力な代替地になる。

 レアメタルは少量輸入で、原油や銅などスケールメリットが物をいう商社の仕事にはなじまないと消極的だった大手商社も関心を高めている。最大手の三菱商事は4月、非鉄金属本部内に非鉄事業開発ユニットを立ち上げ、レアメタルの研究に乗り出した。

 だが、石油や天然ガス同様に鉱山や権益確保に動くかと思いきやそう簡単ではないという。

 レアメタルは「技術動向の行く方次第で需要が激減するため、簡単には投資できない特性がある。まずは今後の先端技術動向を見極めるほか、代替技術開発などの提案につなげたい」(三菱商事非鉄金属本部三輪純丈次長)と新機能も模索している。

 丸紅経済研究所の柴田明夫所長は「レアメタルも石油や銅など他の資源同様に需給逼迫が予想され、中国以外の調達先の確保や代替技術開発を急ぐ必要がある」と警鐘を鳴らしており、中国の資源保護が本格化する前に官民で先手を打つ必要がありそうだ。

省エネ、環境分野の協力で合意 日中経済協会

2006/09/05 The Sankei Shimbun

 【北京=高橋俊一】中国を訪れている日中経済協会訪中代表団は4日、国の経済計画を立案する国家発展改革委員会との全体会議を開き、省エネや環境対策分野でさらに協力を進めることで合意した。日本側は大気汚染や水質汚濁などの環境対策や、省エネ技術で協力することを提案。その場合には正当な対価に基づくビジネスが成り立つ条件整備が不可欠であるとの認識を示し、中国側も同意した。

 来年、中国で開く「第2回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」までに具体的な枠組みをつくり、ビジネスベースでの交流を推進する。訪中代表団の最高顧問である日本経団連の御手洗冨士夫会長は「日本が蓄えてきたエネルギーの効率化に関する知識や技術は、大変役に立つものと確信している」と述べ、幅広い分野で協力することを約束した。

「障害除けば相互訪問」 中国首相、関係改善に意欲

2006/09/05 中国新聞ニュース

 【北京5日共同=飛世良範】中国の温家宝首相は五日、日本経団連の御手洗冨士夫会長ら日中経済協会訪中団と北京の人民大会堂で会談、小泉純一郎首相の靖国神社参拝で両国関係が悪化していることを踏まえて「障害を除けばハイレベルの相互訪問がすぐに実現できる」と述べ、靖国問題が解決すれば中断している首脳の相互訪問を再開することが可能との立場を示した。日中関係筋が明らかにした。

 温首相は、日中関係について「政治的な障害が生じている」として靖国参拝に反対する姿勢を維持しつつ、小泉首相が今月で退任し、次期首相が誕生するのをにらみ、対日関係改善への意欲をアピールした。

 中国首脳が日本の訪中団と会談するのは、今年三月末に胡錦濤国家主席が日中友好七団体代表団(団長・橋本龍太郎元首相)と会って以来。温首相は「ここにいる方以外にも伝えてもらいたい」と語ったという。

 会談では、御手洗会長が投資協定の早期締結など中国での日本企業の事業環境改善や省エネルギー、環境分野の日中協力推進を求めた。さらに、温首相の訪日を要請したのに対し、首相は「大変ありがたく感謝している」と述べた。

 温首相は「日中の経済、貿易がさらに発展すれば、両国人民の利益になる」とした上で、「環境、省エネなど新しい分野で協力ができる。人的往来も促進してお互いに学び合いたい」と述べ、今後も日中の経済協力や交流促進に努める考えを明らかにした。

 首相はまた「知的財産権保護に努力している」として、中国国内で横行する模倣品や海賊版の取り締まりに力を入れる方針も表明した。

瀋陽の反日騒ぎ、タクシー運転手殴打は日本人でなく中国人

2006/08/25 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国東北部の瀋陽にある日本総領事館前で今月21日から22日未明にかけ、「日本人がタクシー運転手に暴行を加えた」とのうわさが広がり、200〜300人が抗議行動を展開したが、国営新華社通信は23日、日本人の男性客がチューインガムをタクシーのシートにつけたため運転手と口論になったものの、運転手を殴打したのは日本人の友人の中国人だったと伝えた。

 総領事館もホームページで「日本人と同乗していた複数の中国人客がタクシー運転手に暴行を加えたことが、日本人による暴行としてタクシー運転手の間に広まった」と説明している。

日中「刑事共助条約」締結向け本格協議で合意

2006/07/20 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】訪中した杉浦正健法相は20日、中国の呉愛英司法相と会談、双方は犯罪の証拠収集などで協力する「刑事共助条約」の締結に向けた協議を正式に進めることで合意した。受刑者を母国に送還する「受刑者移送条約」なども締結に向けて協議していくことで一致した。条約締結により、日本で急増する中国人犯罪の抑止効果が期待されている。

 日中間では、犯罪捜査に関して外交ルートを通じて証拠収集や聴取などを実施してきた。しかし平成15年に福岡県で発生した一家4人殺害事件では両国の捜査当局の連携が評価されており、「刑事共助条約」が締結されれば捜査の迅速化につながる。

 また、日中間での犯罪者の引き渡しについても協議することになるが、杉浦法相は会談後、「中国が自国民の犯罪人引き渡しを禁止しており、この点が焦点になる」と指摘した。

 杉浦法相は同日、最高人民法院(最高裁)の肖揚院長と会談、人的交流の促進などで一致した。21日には羅幹共産党政治局常務委員(共産党中央政法委員会書記)らと会談する予定。

サミットでは日中首脳会談の予定なし

2006/07/12 The Sankei Shimbun

 中国の崔天凱外務次官補は12日の記者会見で、主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)で日中首脳会談が行われる予定がないことを確認した。  崔外務次官補は、同会談が開催されない理由について「どこに問題があるのか、誰もが知っていると思う。東京(日本政府)に聞けば答えは得られる」と述べ、これまで通り小泉純一郎首相の靖国神社参拝を理由に応じないことを強調した。(共同)

旧満州引き揚げ60年で記念式典 中国、対日友好アピール

2006/06/25 The Sankei Shimbun

 第二次大戦後に旧満州(中国東北地方)から引き揚げた日本人約105万人の輸送拠点となった中国遼寧省葫蘆島市で25日、引き揚げ開始60年の記念式典が開かれた。中国からの引き揚げ者の多くは葫蘆島経由で帰国しており、大規模な式典が同市で開かれるのは初めて。

 式典には中国の唐家●(王ヘンに旋)国務委員(前外相)や武大偉外務次官らも出席。歴史問題で日中関係が冷え込む中、中国は引き揚げに協力した自国の「人道主義」を日本の世論にアピール、対日友好姿勢を強調する狙いがある。

 関係筋によると、昨年12月に式典の計画が持ち上がった当初は、市当局と日本の関係者で小規模に実施する予定だった。その後、胡錦濤指導部が対日政策の柱に「民間交流促進」を掲げたのを受け、中国政府幹部も参加する大規模な式典に格上げされたという。

 日本側からは村山富市元首相のほか、全国の引き揚げ者や遺族代表ら計約250人が参加。新たに建設する平和公園のくわ入れ式なども行う。(共同)

中国国務委員、次期首相の靖国参拝中止求める

2006/06/23 The Sankei Shimbun

 【北京=田中靖人】中国訪問中の片山虎之助参院自民党幹事長は23日、北京市内で唐家セン国務委員と会談した。唐氏は「日中間は少しずつ良い面も出てきたが、まだ問題は多い。当面の政治的障害を一日も早く取り除くよう政治家として対応をお願いしたい」と述べ、日本の次期首相が靖国神社参拝を行わないよう影響力行使を求めた。

 片山氏は「いろんな経緯や考え方がある。日中の政治家がそれを踏み越えていくかどうかだ」と中国側の自制的対応も必要だとの認識を示した。

 片山氏は北朝鮮の核開発をめぐる6カ国協議の議長を務める武大偉外務次官とも会談。北朝鮮がテポドン2号の発射準備を進めていることについて「あなたがしっかり対応してもらわないと困る」と発射阻止の努力を求めると、武氏は「よく考えている」と応じた。

中国当局、「尖閣の日」ネット投票に中止命令

2006/06/21 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 【北京=野口東秀】尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する中国の民間団体「中国民間保釣連合会」が「釣魚島の日」制定に向けて呼びかけていたインターネット投票が、当局による中止命令を受けていたことがわかった。中国指導部が日中関係改善に向け、「反日機運」を醸成する動きを封じ込めた形だ。

反日デモ破損の上海総領事館、ようやく修復で合意

2006/06/20 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】昨年4月の反日デモで暴徒化したデモ隊の投石などで破損した上海日本総領事館の修復について、上海市は20日までに、日本側の要求通りに原状回復すると通達してきた。

 総領事館の窓ガラスやペンキなどで汚された壁は現在もそのままになっているが、デモから1年以上を経てようやく修復に向けて具体的に動き出すことになった。日本側の見積もりでは、修復費用は資材だけで約4000万円となる。

日本の漫画家ら31人、中国学生60人と友好

2006/06/20 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】日本の漫画家や衆院議員らによる日中友好漫画家訪中団が19日、北京の中国人民大学を訪れ、漫画家を目指す学生たち約60人と交流した。

 訪中団は新日中友好21世紀委員会の小林陽太郎日本側座長を名誉団長、同委員で作家の石川好さんを団長に、ちばてつやさん、古谷三敏さん、横山孝雄さんら60年前に中国からの引き揚げ経験を持つ漫画家ら31人が参加。この日はちばさんが欠席したが、「ダメおやじ」の作品で知られる古谷さんらが、なつかしの中国で漫画家の卵たちと大きな模造紙に楽しげに漫画を描きあった。

 訪中団はこの後、河北省石家荘、大連で同様のイベントを行う。

小泉首相「日中首脳会談、条件なしで応じる」

2006/06/12 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は12日夜、中国の胡錦濤国家主席が条件が整えば訪日したいとの意向を示したことについて「日本はいつも(首脳会談に)オープンですから。条件が整わなくても、ひとつの問題で意見が違っても日本は会談します」と述べ、無条件で日中首脳会談に応じる考えを強調した。

 中国側が首相の靖国神社参拝中止を条件とするのではないかとの指摘にも「日本は条件を付けない。先方次第だ」と語った。官邸で記者団の質問に答えた。

マンガで親日派育成? 日中漫画センター設立

2006/06/11 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 【北京=野口東秀】中国に日本の漫画文化を紹介する「日中アニメ漫画文化研究センター」が11日、北京の北京電影学院内に設立され、開所式に日本の井出敬二公使が出席した。

 同センターは、超党派議員で構成する「日中新世紀会」(遠藤乙彦会長)と中国側が合意して設立。中国の知識人や制作関係者に日本の漫画やアニメを研究する場を提供し、日本に親近感を持ってもらいたいとの狙いだ。ただ、中国では最近、日本の漫画やアニメの流入を警戒する声も相次いでいる。

中国「開放」は口だけ!? 大手損保、認可進まず

2006/06/10 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 経済成長の続く中国への日本の大手生損保の進出申請が加速する中で、現地進出の認可が遅々として進まず関係者のいらだちを募らせている。直接進出にこだわらず、現地企業への出資などに取り組みを拡大しているが、今年末には中国が世界貿易機関(WTO)に約束した金融自由化の期限が到来するが、進出が実現するかどうか不透明感も増しており、期待と不安が交錯している。

 2001年12月のWTO加盟で、中国が保険分野の開放を国際公約してから5年がすぎたが、商品や地域制限の撤廃など規制は順次取り払われてきたものの、現地法人設立が認可されたのは国内損保では損害保険ジャパン1社のみ。

 同社と同時期の2003年夏に東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険も現地法人の認可を申請しているが、保険監督管理委員会は「事実上の放置」(関係者)状態という。

 天津への支店開設を申請しているあいおい損害保険の児玉正之社長は「地元・天津は熱意を持ってくれているが、中央(政府)の反応が鈍い」と嘆く。損保関連セミナーを定期的に開催するなど地道な活動で理解を求めているが、「先行きはまったく見えない」(児玉社長)。

 こうした中、昨年12月に東京海上日動が現地損保大手、天安保険(上海市)に約70億円出資し24.9%の筆頭株主となったほか、損保ジャパンも今年1月、中堅の陽光財産保険(北京市)と業務提携するなど、現地企業との関係強化にかじを切る動きが強まっている。

 損保と比べれば生保各社の進出は順調だが、時間がかかっている。住友生命保険は昨年2月に中国最大の損保、中国人保控股公司(PICCホールディング)と生保合弁を設立することで合意したが、北京での支店開業は今年3月と1年以上かかった。第一生命も昨年ごろから中国進出の本格検討を始めたが、「今のところ提携先を探している状況」だという。

 それでも、人口減少時代に入った日本市場の将来性が不透明な中、海外進出の強化は各社の重点課題となっており、04年に生保分野で7.3%、損保25.4%と急速にのびている中国市場は魅力。

 ただ、靖国参拝問題や、中国の軍事的脅威の高まりなど日中関係は緊張の度合いを深め、この先中国当局がどう折り合いをつけるか予断を許さない。

日本次期首相、靖国参拝全面自粛でも 中国側の非難続く

2006/06/07 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 【ワシントン=古森義久】靖国神社参拝問題について、日本の将来の首相がたとえ中国政府の要求に応じ、靖国神社を参拝しないと誓約したところで、中国側の日本非難はまったく終わらないという見解が、在米中国系ジャーナリストにより米国の新聞のコラム論文としてこのほど掲載された。

 米紙ニューヨーク・サンは5月16日付のコラムにキンミン・リウ氏の「誰が話すかを注意せよ」と題する論文を掲載した。

 同論文は最近の日中関係について、中国政府の「小泉首相の靖国神社参拝が中国人民の感情を傷つけ、中日関係の政治的基盤を壊したために中日関係が悪化した」という主張は虚構だとして、中国側は日本の対外政策全般に批判的で、日本を弱者の立場に抑えておくことが真の目的だと論じている。

 同論文は「もし日本側が中国政府の要求に応じ、次期首相が戦争の歴史に正直に直面して対中関係を修復するためだとして(1)靖国神社を決して参拝しない(2)日中間で問題が起きるたびに第二次大戦での残虐行為について謝罪し続ける(3)中国が不満を表明する歴史教科書はすべて使用禁止にする−ことを誓って実行し、全面的に土下座すれば、中国は日本を許し、抱擁するだろうか。いや、そんなことはない」と述べている。

 同論文は、日本の次期首相が靖国参拝の全面自粛など中国側の要求を満たしたとしても、なお「中国政府は『日本はまだ十分に悔い改めていない』として日本の国連安保理常任理事国入りには反対し、日本領海への潜水艦での侵入を繰り返し、時には大規模な反日デモを扇動するだろう」と断じている。

 その理由について同論文は「靖国問題は日本側に原因があるのではなく、中国側が日本からの種々の実利上の譲歩を獲得するために日本側の贖罪(しょくざい)意識を責める手段としているからだ」と説き、中国政府の靖国参拝攻撃は対日戦略の一環だと述べている。

 筆者のリウ氏は香港の蘋果日報の編集長やワシントン駐在コラムニストを経て、現在は在米のアジア問題専門のジャーナリストとして活動している。

東芝社長、WH買収完了は9月末 中国での原子力事業にも意欲

2006/06/07 The Sankei Shimbun

 東芝の西田厚聡社長は7日、米大手原子力発電所メーカー、ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の買収について、今後米国と欧州連合(EU)の独占禁止法関係当局の審査を受ける必要があるとして、買収手続きが完了するのは9月末ごろになるとの見通しを示した。北京市内で開いた東芝の総合展示会で、記者団の質問に答えた。

 米財務省報道官は5日、米政府が東芝のWH買収を承認したことを明らかにしたが、西田社長は手続きが終わっていないことを理由に、買収完了後の事業展開などについては言及を避けた。

 中国政府が今後の原発新設でWHを含む海外メーカーと交渉していることに関してもコメントを避けたが、「中国は原子力発電では米国に次ぐ市場だ」と述べ、将来の中国での原子力事業拡大に意欲をにじませた。(共同)

領事館員自殺で「遺憾な行為あり」 日中当局間協議で日本側抗議

2006/06/05 The Sankei Shimbun

 第12回日中領事当局間協議が5日、都内で開かれた。日本側は在上海総領事館員の自殺問題について「中国公安当局の遺憾な行為があった」とあらためて抗議し事実関係の究明を申し入れたが、中国側は「中国政府は全く関与していない」と従来の主張を繰り返すにとどまった。

 日本側は、中国からの留学生、就学生に不法残留や犯罪が多いことに懸念を表明。日本国内で犯罪に関与する中国人は中国で犯罪の前科がある例が多いことから、中国側にパスポートの発給制限などを要請した。

 中国側は、留学に必要な日本語履修証明書の偽造などに関与した中国の語学学校についての取り締まり強化や、犯罪者に関する日本との情報交換を積極的に進める意向を示した。

残留農薬、輸入食品も規制強化 中国野菜に影響か

2006/05/30 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 一定基準以上の農薬類が検出されれば食品の出荷や流通、販売を禁止するなど、残留農薬への規制を大幅に強化した「ポジティブリスト」制度が29日施行された。国内産だけでなく、外国から輸入された農作物や加工食品にも適用される。

 新制度では、どんな農薬でも0.01PPM(PPMは100万分率)を超えて含まれた食品は販売禁止となるほか、特定の799種の農薬類には別の基準値も定められている。平成15年の食品衛生法改正で導入が決まっていた。

 従来の制度では、238種類の農薬や飼料添加物にだけ基準値が設けられ、それ以外の残留農薬には規制がなかった。

 【北京=共同】日本政府が、国内外で使用されている全農薬などに残留基準を設け、それを超えると食品の販売を原則禁止する「ポジティブリスト制度」を29日から導入したのに伴い、対日農産物輸出の比重が高い中国では、輸出企業や農家への影響を懸念する声が出ている。

 中国商務省によると、2005年の中国の農産物輸出額は約272億ドル(約3兆円)で、うち約3割に当たる約79億ドルが日本向け。タケノコの水煮や生きウナギ、マツタケなどは輸出全体の8−9割にも上る。

 商務省はこのような状況下で、日本の規制強化は「農家などの経営リスクが強まった」(外国貿易局)としている。一部の中国メディアは日本の対中圧力の表れ、というトーンで報道したケースも出ている。

 ただ、商務省は最近発表した「対日輸出農産品のリスク評価報告」の中で、農薬使用の厳格化や製品の質の向上を呼び掛けた。農薬規制強化が世界的流れになっているのを受けて、「中国産農産物の質の向上に結び付けようという考え方に変わっている」(日中関係筋)と受け止められている。

経済ビジョン策定で合意 経産相、中国商務相と会談

2006/05/27 The Sankei Shimbun

 二階俊博経済産業相は27日夜、京都市の京都迎賓館で中国の薄煕来商務相と会談し、両国が「経済貿易関係に関する中長期ビジョン」を策定することで合意した。近く北京で事務レベル協議を開いて作業を始める。

 ビジョン策定は中国側から提案され、中国の5カ年計画に合わせて5−10年の期間を想定。貿易円滑化▽投資環境整備▽中国の知的財産問題の改善▽重点産業分野の協力−などを盛り込む方向で検討する。

 二階経産相は会談後の記者会見で、「互いに課題解決に向けて研究を重ねたい」と述べた。

 一方、会談で薄商務相は「政治関係の冷却が経済貿易関係に影響することを懸念する」などと述べ、日本側に関係改善へ努力するよう求めた。

 薄商務相は、経産省が29日から東京で開く「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」に出席するため来日した。これに合わせて、二階経産相が個人的にも親しい薄氏を京都に招いて会談し、歓迎の夕食会も催した。

キッシンジャー氏「ジャップは裏切り者」 日中国交正常化に不快感 米極秘文書

2006/05/27 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=有元隆志】1972年の日本と中国の国交正常化をめぐり、当時、ニクソン米政権の大統領補佐官だったキッシンジャー氏が、政権内の会合で不快感を示していたことが26日、米民間シンクタンク「ナショナル・セキュリティー・アーカイブ」(NSA)が情報公開法に基づき入手したホワイトハウスの極秘文書で明らかになった。

 「あらゆる裏切り者の中で、ジャップ(日本人の卑称)が他に抜きんでた」。キッシンジャー氏は72年8月31日、滞在中のハワイ・オアフ島のホテルで行われた会合の席上、日中国交正常化交渉について、こう発言。さらに「彼らは中国との国交正常化を急ぐだけでなく、国慶節(10月1日の中国の建国記念の日)を選んだ」とも指摘した。

 キッシンジャー氏は72年2月に行われたニクソン大統領の中国訪問準備のため、71年にひそかに訪中し、周恩来首相と会談するなど、米国の対中外交で主導的役割を果たしていた。

 日本政府には事前に連絡せず、頭越しに交渉を進めたが、その日本政府がニクソン訪中からわずか7カ月後に、米国より先に国交を結ぶところまできていることに驚きを隠せなかったようだ。

「日本人戦犯釈放は日中友好に配慮」 中国、外交文書公表

2006/05/11 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国外務省は11日までに、第2次大戦後に中国で収容された日本人戦犯1017人の起訴を免除した理由を示す決定書を外交文書として公開した。中国紙「京華時報」などによると、決定書は「中日人民の友好関係発展」など戦後10年余の状況の変化を指摘し、「寛大な処分」を下したとしている。

 決定書は1956年7月に最高人民検察院(最高検)が出したもの。当時、日本人戦犯は、遼寧省撫順と山西省太原などに収容されていたが、最高人民検察院は56年6月から8月にかけ、相次いで3回の決定書を出し、日本の侵略行為を非難する一方で、高官を含め、それぞれ335人、328人、354人の戦犯の起訴を免除した。

 決定書では、「両国人民の友好関係発展と同時に、戦犯の反省態度の良好さ」に基づき、釈放を決定したとしている。しかし、中国は当時、日本との関係正常化を重要な外交課題と位置付けており、戦犯の釈放には、毛沢東主席(当時)の意向が働いたとされている。

母への感謝につけ入る“海賊版” 中国産カーネーション急増

2006/05/10 The Sankei Shimbun

 「母の日」の14日を控え、出荷の最盛期を迎えているカーネーションの中国産の輸入が急増している。中国産の8割強が育成者権を侵害した違法栽培のいわゆる「海賊版」とみられ、粗悪品も多く、国内の生産者からカーネーション全体のイメージ低下を懸念する声が上がっている。育成者権を管理する種苗会社は業を煮やして10日、中央卸売市場に立ちいり調査に入った。今後、輸入業者に警告した上で、改善されなければ刑事告訴も検討している。

 10日午前5時、東京都大田区の中央卸売市場大田市場では、フジ・プランツ(愛知県一色町)など種苗会社2社が独立行政法人種苗管理センター(茨城県つくば市)の品種保護Gメン同行のもと、立ち入り調査を行った。

 種苗法では育成者権を持つ者は権利侵害の差し止めを請求できると規定されており、そのための調査だ。

 調査のターゲットは種苗法により日本で品種登録されたカーネーション。契約を交わしロイヤルティーを払った種苗からできた正規輸入品には昨年から箱に「輸出許可証」のステッカーが張られている。

 この日の調査では、ステッカーがない登録品種4種の花が見つかった。品種保護Gメンが入荷したカーネーションの箱を開けると茎がしおれ、縮こまった小さな花はカサカサ、がくもしっかりしていない。「子供たちがお小遣いをためて、プレゼントで買うこともあるだろうに」。あまりの品質の悪さに、同行した生産業者らもため息をついた。

 中国産は国産品卸値の1本150−80円(大田市場、5月上旬現在)の半額以下が相場。なかには輸出を前提に種苗会社と正式契約を交わし丁寧に栽培されたものもあり、品質はピンからキリまでという。

 フジ・プランツの鈴木善和社長は「中国産の約85%にあたる約2億−3億本が知的所有権を侵害している種苗会社で生産された種苗。品質の悪いものが出回ることは日本の生産者にも大きな影響を与えている」と話す。

 農水省によると、平成16年の国産シェアは76%。輸入品は植物検疫統計(17年)でみると、(1)コロンビア(9680万本)(2)中国(5560万本)(3)ベトナム(530万本)−の順に多い。中国産は7年には10万本だったが、12年に250万本、16年には3750万本と爆発的に増えている。

 日本花き生産協会の岡内正明カーネーション部会長は「母の日などの需要期を狙って粗悪な中国産を仕入れる輸入業者もいる。どさくさにまぎれて販売されるが、消費者に届く段階では産地表示がないため全体の印象が悪くなってしまう」と危惧(きぐ)する。対するコロンビア産は契約が比較的守られており、安定した品質の花が多くなっている。

 15年の種苗法改正で切り花を含む「収穫物」の育成者権が認められるようになり、法人が侵害した場合の罰金も上限300万円から1億円に引き上げられた。このような背景もあり、国内では花や野菜、果物の権利侵害の調査が急速に進められるようになった。

 今回サンプリングした花は、品種保護Gメンが持ち帰った。花は育つ場所で大きさや色などが変化するため、正確を期して岡山県にある種苗管理センターの農場で挿し木による栽培試験も実施。1年後にオリジナル同様の花が咲けば育成者権侵害の証拠となる。

 鈴木社長は「輸入業者には警告を続けた上で、改善されなければ刑事告訴もありうる」と話している。

日中総合対話で外相会談実現で合意 ガス田開発協議も開催へ

2006/05/09 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国・貴州省貴陽市で開かれていた日中両国の次官級による総合政策対話は9日、約1年間途絶えていた外相会談を実施する可能性について、外交ルートを通じ具体的な日程の調整に入ることで合意。双方はさらに東シナ海のガス田開発をめぐる政府間協議も、15日からの週に実施することで合意した。

 今回の対話は谷内正太郎外務事務次官と中国の戴秉国外務次官が7日から北京で実施、8日からは同外務次官の故郷に場所を移して実施していた。外相会談は小泉純一郎首相の靖国神社参拝を理由に中国側が拒んできたが、中国側にも実務的な協議の進展に支障が出ることを避けたいとの思惑が働いているとみられる。

 谷内次官は、今月下旬にカタールで開かれるアジア協力対話(ACD)に合わせて外相会談を行うことを提案しており、今回の対話でも同国での外相会談開催を前提に話し合われているとみられる。

 また、対話では旧日本軍の遺棄化学兵器の処理事業開始に向けた協議の促進で合意したほか、長期的な日中関係の発展を目指し、中国人高校生を日本に招待する「日中21世紀交流事業」(16日に開始)など青少年交流の重要性で一致した。

上海日本商工ク懇談会が報道非公開、政府の姿勢影響か

2006年04月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【上海=加藤隆則】上海で12日に開かれた上海日本商工クラブ主催の「日中経済交流促進懇談会」が、同席した上海市側から「北京の反応が予測できない」と要請を受け、当初は報道陣に公開するとしていたにもかかわらず、非公開とされた。

 中国政府が小泉首相の靖国参拝批判を繰り返すなか、「『日中交流』で突出した印象を与え、中央政府から批判を受けることを上海市が気遣ったためでは」と関係者の間で憶測を呼んでいる。

 関係者によると、上海市側は当初、広報に積極的で、同クラブはその意向を受けて先月下旬、日本メディアに取材案内を出した。市当局は、胡主席が先月31日、日中友好7団体との会談で交流に前向きなメッセージを伝えると想定し、同懇談会を目玉行事にしようとしていたとみられる。

 ところが、同日の胡主席による「重要講話」は対日強硬姿勢が目立ち、市当局はその後、「取材はご遠慮願いたい」と同クラブに申し入れた。

 懇談会では、地元有力者の一人、上海市政治協商会議主席が「日中経済交流促進報告」と題する講演を行う予定だったがキャンセルされ、副主席が外資に関する経済統計を説明する程度にとどまった。日系企業の関心も高く400人以上が出席したが、不満の声も聞かれた。

 同市政治協商会議の担当者は「メディアへの取材案内を頼んだことはない」としている。

 上海日本商工クラブは、日中経済交流の促進などを目的に設立された団体で、上海に進出した日系企業などが参加している。

対日理解促進へ人気番組を中国のTV局に無償提供

2006年04月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=末続哲也】日本政府は、中国国民の対日理解促進のため、中国のテレビ局に、NHKの人気番組「プロジェクトX」をはじめとする日本のドキュメンタリー番組や教育番組など計360の番組を無償提供することになった。

 北京の日本大使館によると、訪中している金田勝年・外務副大臣が12日、北京で呉啓迪教育省次官と会い、提供する番組の目録を手渡した。中国側も、番組の放映に合意しているという。

 昨年4月に中国各地で反日デモが起きるなど、中国国民の対日感情悪化が目立つが、背景の一つには、厳しい言論統制下で、日本についての情報不足や誤解があると指摘される。日本で編集された番組の提供は、こうした中国の現状の改善を図るものだ。

当局の抑え込みで平穏 反日デモ1年の北京

2006/04/10 The Sankei Shimbun

 中国の首都北京で昨年4月に起きた大規模な反日デモから9日で1年となったが、当局がデモ呼び掛けなどの動きを抑え込み、昨年のデモで投石があった日本大使館周辺などは平穏だった。

 日本大使館当局者は同日夕、「地方も含め、特に異常な動きは報告されていない」と述べた。同大使館前を歩いていた中国人男性(24)は「今日でデモから1年とは気が付かなかった」と話していた。(共同)

「侵略のシンボル」「桜に罪ない」 中国で論争

平成18(2006)年4月8日 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国各地で桜が満開となっているが、湖北省武漢市の武漢大にある桜をめぐり、今年も「侵略のシンボルで中国の恥だ」「桜に罪はない」などとした熱い論争がネット上で展開されている。

 もともと、同大学の桜は、一九三八年に武漢を占領した旧日本軍が傷病兵の慰安のために、日本から持ち込んで植えたとされる。国交回復後は、友好の象徴として日本側関係者も寄贈、百数十本が花を咲かせている。しかし、反日デモが激化した昨年は伐採すべきかどうか、激しい議論が行われ、残った経緯がある。

 今年は同大のアンケート調査によると、「恥」とする者が44%に対し「花は花だ」とする意見は49%と上回った。

 駐仏大使などを務めた呉建民・外交学院長は、北京紙「新京報」で「国辱は忘れてはならないが、感情に流され、歴史建築や植物を侵略戦争と結びつけ、美しさも拒絶するようでは、歴史に対する自信を持つには程遠い」と戒めている。

「日系企業相手に民間賠償訴訟中国で起こす」反日団体責任者

2006/04/05 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】北京、上海など中国各地で吹き荒れた昨年4月の反日デモからほぼ1年。中国の反日団体のひとつで、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有を主張する「中国民間保釣連合会」の童増会長(49)は産経新聞との電話インタビューで、今後の運動方針として、日本企業などによる日中戦争中の中国人強制連行などに対する損害賠償請求訴訟を中国内で起こしていくことを明らかにした。

 童会長は、裁判で訴える相手としては、中国内の日本企業の事務所などを挙げている。

 提訴する理由として、童会長は「中国政府は戦争賠償を放棄したが、個人や団体など民間問題までは提起していない」と主張。また、童会長は訴訟による日中両国間の経済活動への影響は少ないとしたうえ、現在の中国の対日姿勢について「(昨年の反日デモの時点とは違い)中国は現在、理性的だ」指摘した。

中国の対日感情、民間は改善の兆し

2006/04/05 The Sankei Shimbun

≪反日デモから1年≫

 【北京=福島香織】昨年北京や上海で吹き荒れた反日デモからまもなく1年を迎えるが、民間の対日感情に改善傾向が見えている。中国政府としては批判の対象を日本指導者に限定し、民間交流は支持。テレビのゴールデンタイムに日本ドラマを登場させるなど、日本理解促進にも積極的で、現地の日系企業の間では「今年は大丈夫」との楽観が広がっている。

 「もう韓流は終わり、これからは日本ドラマだ」。昨年の今ごろ、日貨(日本製品)排斥運動参加が呼びかけられていた中国のインターネットでは最近、日本ドラマへの熱烈な賛美があふれている。3月半ば、中国中央テレビ(CCTV)の海外ドラマチャンネルのゴールデンタイムに登場した日本ドラマ「白い巨塔」が大ヒットしたからだ。上海地方局では「女系家族」が放送され、これも大人気となった。

 中国で、「文化侵略」と批判されてきた日本ドラマが放送されたのは多分に政治的意図があるが、ネット上の反響から察するに、上質の番組は一般中国人の日本に対する共感を呼んでいる。

 温家宝首相は全国人民代表大会閉幕記者会見で日中関係悪化の原因について、わざわざ「日本国民のせいでない」と述べており、中国政府としても日中友好七団体や日中卓球交流50周年の日本卓球協会代表団の訪中を手厚くもてなすなど、民間交流重視姿勢は明確だ。

 こういったムードを反映してか、反日デモで暴徒の襲撃に遭い、店舗が破壊された北京の日本料理店・月山の王小一店長は「反日デモから半年は、日本料理屋は怖いといわれていましたが、今はまったく影響ない」という。7日に北京第6店舗をオープンさせる日系スーパー華堂商場の麦倉弘社長は「こういう状況で、反日デモなんてありえない」と断言する。

 ただ、一部の民族主義者の間で中国国内での民間対日戦時賠償請求裁判を起こそうとする動きがあることも確かで、日中経済協会北京事務所の高島竜祐所長は「デモは抑えられても、引き続き反日機運はくすぶっている」と見ており、警戒感はまだ完全にはぬぐえないようだ。

「日本の指導者に責任」 反日デモで中国外務省

2006/04/04 The Sankei Shimbun

 中国外務省の劉建超報道局長は4日、昨年4月に中国で発生した反日デモについて「日本の指導者の歴史問題に関する誤った行動に向けられたものだ」と述べ、靖国神社参拝を続ける小泉純一郎首相らに責任があるとする見解を明らかにした。

 また、一連のデモの性質について「私は『反日デモ』だったとは思わない。日本人民にも、日本という国家に向けられたものでもなかった」と指摘した。

 さらに劉局長は、日中首脳会談再開の必要性に言及した安倍晋三官房長官の発言について「単に会談するためだけの会談を開くべきではない」と批判。小泉首相が靖国神社参拝を中止しない限り、会談を再開する必要はないとの考えを強調した。(共同)

「どんな状況でも日中交流を」 高村元外相が北京で講演

2006/04/02 The Sankei Shimbun

 【北京=佐々木美恵】中国を訪問中の日中友好議員連盟会長の高村正彦元外相は1日、北京市内で開かれた中日友好協会主催のシンポジウムで講演し、「(日中の)政治関係が悪いと(両国の)国民感情は悪くなり、国民感情が悪くなれば政治もなかなか良い関係が築けない。このマイナスの連鎖を断ち切るのに一番必要なのは互いの理解だ。どんな状況下にあってもあらゆるレベルで交流することだ」と強調した。

 中国側が小泉純一郎首相の靖国参拝に反発して「参拝をやめればいつでも首脳会談の用意がある」(胡錦濤国家主席)などと主張しているのに対し、日中双方に首脳レベルの交流を促したものとみられる。

胡主席「靖国参拝やめれば首脳会談する」

2006/03/31 The Sankei Shimbun

 【北京=佐々木美恵】日中友好議連(高村正彦会長)、日本国際貿易促進協会(橋本龍太郎会長)など日中友好7団体の訪中団は31日午後、北京市内の人民大会堂で、胡錦濤国家主席と会談した。胡主席が中国国内で日本の政治家と正式な会談に応じたのは昨年5月の与党訪中団以来。

 会談で胡主席は小泉純一郎首相の靖国神社参拝に関連し、「日本の指導者が『A級戦犯』を祀る靖国参拝をやめるのなら、いつでも首脳会談を開く用意がある」と述べ、改めて参拝中止を求めた。

 しかし、日中間の懸案について、中国側は靖国問題に大きく時間を割いたが、東シナ海の石油ガス田開発問題や在上海日本総領事館員自殺問題などは取り上げなかった。

≪小泉首相は批判≫

 小泉純一郎首相は31日夜、靖国神社を参拝しなければ首脳会談に応じる考えを中国の胡錦濤国家主席が示したことに対し「靖国参拝するから首脳会談に応じないというのは、いいとは思っていない」と批判した。

77.9%が日中関係改善望む 外務省の意識調査

2006/03/29 The Sankei Shimbun

 外務省は29日、「日中関係に関する意識調査」の結果を公表した。日中関係の現状を「良好だと思わない」と回答した人は66.7%に達し、「良好」は6.9%のみ。こうした関係を「改善すべきだ」とした人は77.9%にのぼった。

 また、具体的な日中間の問題を3つ選んでもらったところ、「歴史認識などの問題(靖国神社参拝、歴史教育など)」が58.9%で最も多く、次いで「相互理解の不足」32.1%、「国際政治での政策の不一致(国連改革など)」30.2%。20年後の日中関係は、「好転する」(46.5%)が「悪化する」(10.7%)を上回った。

 調査は2月10日から3日間、全国の20歳以上の男女2000人を対象に行われ、調査員が個別に面接した。有効回答数は1314人(65.7%)。

八栄八恥「反愛国は恥辱」 中国

平成18(2006)年3月28日[火] The Sankei Shimbun

新たな道徳宣伝、活発化

 中国で新たな道徳規範とされる「八栄八恥(八つの栄光と八つの恥辱)」の宣伝運動が活発化している。中国共産党の幹部昇進の基準となるほか、小中学校での必須カリキュラムに組み込まれる予定だ。ただ、「祖国を愛する」「人民に奉仕する」など、これまでも散々言われてきた陳腐な内容だけに、来年秋の第十七回党大会を控えて、最高指導者の胡錦濤・国家主席の政治基盤固めとの見方も出ている。(相馬勝)

 新華社電などによると、八栄八恥は胡主席が今月十三日閉幕した国政助言機関、人民政治協商会議(政協)で、若者や党幹部らの新たな道徳規範として提唱した。

 愛国や法順守など八つの行為を「栄光」とし、その反対の反愛国的行為や無知蒙昧(もうまい)など八つの行為を「恥辱」とするなど、それぞれ栄光と恥辱が一対になっている。

 胡主席はこれを中国の社会主義社会における是非や善悪などの新たな道徳規範として、「青少年を中心に学習していく必要がある」と強調し、中国の教育理念の根幹にすえる必要性を打ち出した。さらに、共産党や政府、地方自治体の各機関においても学習するよう主張している。

 日本の文部科学省に当たる中国教育省の周済・教育相は八栄八恥を今後、必須科目として、小中学校の国語や歴史のカリキュラムに組み込むほか、高校や大学でも、重点学習の内容とする方針を打ち出している。党中央組織部でも各地の党機関に対して、学習活動と同時に、幹部を評価する重要基準の一つとして導入するよう通達した。

 八栄八恥について、米紙ワシントン・ポストは北京の知識人のコメントとして、「社会主義でなくても、人間社会の基本的な生活規範で、ごくごくありふれた内容」と報じた。米国の反体制月刊誌「北京の春」の胡平編集長は「中国の汚職などの腐敗現象を念頭に置いたもの。来年秋の第十七回党大会を前に、胡主席が自身の政治的影響力の増大を目的とした一種の政治運動」との見方を示した。

中国の反日デモ 今年は気配なし 「小泉後」にらみ関係改善へ助走

2006/03/28 The Sankei Shimbun

 【北京=伊藤正】中国各地で反日デモが吹き荒れてから間もなく一年。日中関係はむしろ悪化しているにもかかわらず、今年は反日運動再発の気配さえない。中国当局のコントロールが利いているためだが、背景には、大衆行動「暴走」の危険性への警戒心だけでなく、日中関係改善への期待感もあるようだ。

 昨年三月、日本の国連常任理事国入りに反対するネット署名から始まった反日運動は、四月に入ると、成都市を皮切りに毎週末の街頭デモに発展。同九日の北京、十六日の上海でのデモは、日本の外交公館も襲撃、外交問題になった。

 中国当局は日本側の抗議に対し、小泉純一郎首相の靖国神社参拝など日本の歴史認識への大衆の怒りが原因として、デモ隊の破壊行為を擁護、事態を悪化させた。昨年は抗日戦争勝利六十周年にあたり、「反日愛国キャンペーンを準備していたことが影響した」(中国筋)という。

 しかし上海事件後、中国政府はデモの抑制に転じ、四月下旬の日中首脳会談(ジャカルタ)で、関係は修復軌道に乗ったかに見えた。五月に訪日した呉儀副首相の“ドタキャン事件”を契機に、関係改善の動きは停止したものの、大衆行動が再発することはなかった。

 とりわけ注目されたのは、昨年十月に小泉首相が在任中五度目の靖国神社参拝をした後、反日グループの日本大使館への抗議行動が封じられたことだった。これより前、中国当局は四月のデモ呼びかけに威力を示した反日サイトを次々に閉鎖ないし一時停止にした。

  中国当局が暴力デモへの国際社会の厳しい批判に驚いたためだけではない。中国各地では昨年も、土地収用や環境汚染などをきっかけに暴動や紛争が頻発。反日デモはそれとは性格が異なるが、中国筋によると、暴力行為の実行者には、失業者など「不満分子」が多数含まれていたとされ、街頭行動は一律規制対象になったという。

 日中の政治関係は靖国神社参拝問題に加え、東シナ海のガス田開発や台湾問題、安保問題などで、昨春より悪化している。しかし、中国当局が昨年、「日本当局に不満な民衆の自発的行動」と擁護した反日デモが再発する可能性はまずない。昨年のデモも当局の容認なしにはあり得なかった。

 中国政府はいま、「ポスト小泉」を視野に入れた関係改善の助走に入った。温家宝首相は先の記者会見で、関係改善に向けた三項目の提案をしたが、これと前後して日本の閣僚や与党有力者を招請、月末には胡錦濤国家主席が日本の友好七団体首脳と会談する。

 こうした動きには、胡主席の四月訪米も絡んでいると北京の外交筋は分析している。米国が懸念する日中関係について、改善努力を強調し、最大のネックである靖国神社問題で米側からの対日圧力を期待しているのでは、と同筋はいう。

                  ◇

 【日中関係の最近の動き】

 2005年3月 日本の国連安保理常任理事国入り反対の署名運動が中国国内のネットなどで始まる

      4月 北京、上海などで反日デモ相次ぐ

         町村信孝外相が中国訪問

         小泉純一郎首相がジャカルタで胡錦濤中国国家主席と会談

      5月 呉儀副首相が訪日、小泉首相との会談をキャンセル

      9月 中国各地で「抗日戦争勝利60周年」記念イベント

     10月 小泉首相、5度目の靖国神社参拝

         奥田碩経団連会長らが訪中し、胡錦濤国家主席と会談

     12月 上海総領事館員が自殺した事件で日本外務省が中国政府に抗議

 2006年2月 自民党の中川秀直政調会長、二階俊博経産相ら相次いで訪中

      3月 中国の李肇星外相が靖国神社参拝を批判

         温家宝首相、対日関係改善3項目提案

首相、透明性欠く軍拡懸念 中国念頭、防大卒業式で

2006/03/20 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は19日午前、防衛大学校(神奈川県横須賀市)の卒業式で訓示し、「近年、透明性を欠く軍備拡大を進めている国も見られ、そうした国々の意図も影響して、大量破壊兵器や弾道ミサイルなどに関する技術が無軌道に拡散する傾向が顕著だ」と指摘した。高い国防費の伸び率を維持している中国や、核開発問題で国際社会と対立する北朝鮮に懸念を示したとみられる。

 その上で、大量破壊兵器や国際テロ組織の活動の脅威に対応していく考えも表明。また、在日米軍再編の最終報告に関し「取りまとめに向けて全力を傾注している」と強調した。

 額賀福志郎防衛庁長官は防衛施設庁発注工事の談合事件など相次ぐ不祥事について「防衛庁として深く反省すべきだ」とした上で、「事実関係の徹底的な究明と再発防止策(立案)に全力で取り組み、国民の信頼を回復していきたい」と述べた。

 卒業生は計380人で、うち女性は24人、タイ、ベトナム、モンゴルなどからの留学生は14人。任官辞退者は15人だった。

靖国解決が発展の前提 日中関係で温家宝首相

2006/03/14 中国新聞ニュース

 【北京14日共同】中国の温家宝首相は十四日午前、全国人民代表大会(全人代=国会)閉幕後に北京の人民大会堂で記者会見し、日中関係悪化の責任は「日本国民にはない」と指摘した上で、靖国神社参拝を続ける「日本の指導者」に責任があるとして小泉純一郎首相を非難、靖国問題の解決がなければ、日中関係の順調な発展は困難だと述べた。

 半面、日中関係発展に向けて (1)政府間の戦略対話を継続し、障害を取り除く (2)民間交流を強め、相互理解と信頼を増進 (3)経済貿易関係を発展し、双方に利益のある協力を拡大 −の三点を提案。靖国問題では妥協しないものの、民間交流や経済交流で対日関係を重視する姿勢を強調した。

 台湾問題では、台湾当局が中台統一を前提とした諮問機関、国家統一委員会などを事実上廃止したことについて「中台の平和と安定を破壊した」と非難。台湾の今後の状況を注視し「いかなる結果に対しても準備を怠らない」として、台湾への武力行使を放棄しない方針を示したが、発言は抑制的だった。

 さらに「一つの中国」原則の下に、台湾の与党民主進歩党(民進党)が台湾独立綱領を放棄すれば、対話に応ずる考えを示し、「台湾問題の平和解決の努力は決して放棄しない」と強調した。

 また、中国の発展と安定は世界の平和と繁栄に大きく貢献しており、国防政策は透明だと述べて「中国脅威論」を否定した。

 今回の全人代で採択した二○一○年までの国民経済の新中期計画「第十一次五カ年計画」では農村対策が最重点課題となったが、首相は農業問題は中国現代化のための「根本的問題」と述べ、農村振興を通じて内需と消費を拡大する方針を強調した。

「中国の台頭」討議へ 日米豪が安保対話

2006/03/11 The Sankei Shimbun

 ライス米国務長官は10日までに、オーストラリアなどのメディアのインタビューに応じ、18日に同国で開かれる日本、米国、オーストラリアの閣僚級安全保障対話で、中国をめぐるさまざまな問題を討議する考えを示した。

 長官は、東アジア地域が大きく変動している主な要因は「台頭する中国」の存在だとして「中国が軍備を強化していることを認識しなければならない」と指摘した。

 また、地域の安全保障対話に中国を引き込まなければならないと強調。中国の活発なエネルギー外交に絡み、経済問題も協議したいと語った。

 長官は10日、チリ、ペルー、インドネシア、オーストラリアへの歴訪に出発した。(共同)

中国を「圧政国家」と同列に 米政府05年版人権報告

2006/03/09 The Sankei Shimbun

 米国務省は8日、世界各国の人権状況に関する2005年版の年次報告書を発表、中国を北朝鮮など「圧政国家」と同列に位置付け、「世界で最も組織的な人権侵害」が行われていると批判した。04年版報告書でも、中国の人権状況に「失望している」と不満を示したが、今回批判のトーンを一段と強めた形で、胡錦濤国家主席の訪米を来月に控え、波紋が広がりそうだ。

 報告書は「中国政府が深刻な人権侵害への関与を続けている」と指摘。「抗議行動に対する当局の妨害がかなり増加しており、暴力的に弾圧される事例がある」と、土地収用などをめぐる住民と治安当局との衝突に懸念を表明。「メディアやインターネットへの制限が続いている」として言論の自由拡大も求めた。

 その上で「権力が説明責任のない支配者の手に集中、最も組織的な人権侵害が行われやすい国」に中国を分類。中国以外でこのグループに入ったのは、ライス国務長官が昨年1月、「圧政国家」と名指しした北朝鮮、ミャンマー、イラン、ジンバブエ、キューバ、ベラルーシの6カ国だった。

 北朝鮮については「おびただしい数の深刻な人権侵害が続いている」と非難。昨年、売春目的での「女性人身売買」が指摘された日本は「重要な進展を遂げた」と政府の努力が評価された。

 ■人権報告 米国務省が議会の定めに基づいて毎年1回、米国を除く世界各国の人権状況に関して調査した結果をまとめて報告する。1977年以来続いており、国連の「世界人権宣言」に照らして、各国の人権侵害の事例を調べ、人権がどの程度守られているか判断する。近年は中国や北朝鮮、中東諸国が批判のやり玉に挙がる"常連"だが、旧アブグレイブ刑務所でのイラク人収容者虐待など米国自身の人権侵害には目をつぶり、他国を批判できるのかとの声も強くなっている。(共同)

 中国国務院(政府)新聞弁公室は9日、「2005年米国の人権記録」と題した報告を発表、01年の米中枢同時テロ以降、米国内で政府による盗聴が行われている例などを挙げ、米国の人権状況を厳しく批判した。

 新華社電によると、中国は2000年から、米国の人権報告書に対抗する形で同様の報告を発表しており、今年で連続7回目。

 報告は米治安状況を取り上げ「米国民の47人に1人は暴力犯罪の犠牲者」と指摘、警察の権力乱用も広く行われていると批判。また「民主主義のモデル」を自称しているが「米国の民主は金持ちのためのゲームに過ぎない」と述べ、先進国の中で貧困率が最も高い国の1つだと強調した。

 さらに、イラクでの米軍による捕虜虐待を非難し、米国は人権問題で「二重基準」をとり「世界各国の反対に遭っている」とした。

 報告は米国の人権状況について「民族差別」「他国の人権の侵害」など7部分に分け、米国が内外で深刻な人権侵害を行っていると糾弾した。(共同)

「靖国参拝は愚かで不道徳」 中国外相会見

2006/03/07 中国新聞ニュース

 中国の李肇星外相は七日、北京で記者会見し、日中関係の悪化の原因は「日本の指導者がA級戦犯を参拝していることにある」と指摘、小泉純一郎首相の靖国神社参拝を厳しく非難した。関係改善に向けて「鍵となるのは日本側が勇気と誠意を持って間違った行動を正すことだ」と述べ、参拝中止を求めた。

 李外相は靖国参拝について、ドイツ政府当局者の言葉を引用する形で「愚かで不道徳」と批判。時に興奮した表情で対日批判を展開した。

 その一方で「日本と善隣友好協力を発展させる基本方針に変わりはない」と話し、対日関係の改善に努力していく方針をあらためて示した。

 北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議については、早期再開に向けて「一貫して努力している」と話した。また、台湾が米中間にある最大の問題とした上で、米国が「台湾独立勢力に間違ったシグナルを送らないよう希望する」と述べた。

中国 首相の靖国参拝問題 米に対日圧力働きかけ

2006/03/06 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 【ワシントン=古森義久】複数の米国政府関係筋は5日までに、中国政府が日本の首相の靖国神社参拝に対し、米国のブッシュ政権から日本への抑制の意向を伝えさせようと非公式に米側に要請していることを明らかにした。中国側は在米の外交官や政府直属の学者などによりホワイトハウスや国務省に日本への圧力行使を働きかけているという。

 米中関係に詳しい米国政府関係筋は「中国政府の代表たちがブッシュ政権に対し日本の首相の靖国神社参拝への反対や抑制の意向を日本側に伝えることをさまざまな形で求めてきている」と述べた。同筋によると、中国側は小泉純一郎首相の靖国参拝だけでなく後継首相の参拝にまで米国が留保をつけ、日本側に米政府として難色を示すよう訴えている。

 この非公式の働きかけは、ワシントンの中国大使館の周文重駐米大使周辺の外交官や訪米する鄭必堅氏(前共産党中央党校副校長)のような党中枢につながる中国側学者によるホワイトハウス、副大統領府、国務省などの中国担当者あての「訴え」や「要請」が中心だという。

 別の米国政府関係筋によると、日本にとっては同盟国としての米国の発言の比重が最も高く、日本側が米国の意向には最も注意深い関心を向けることや、第二次大戦で中国が米国と共同戦線を組んで日本と戦った歴史を踏まえて「A級戦犯合祀(ごうし)」を強調しながら日本の首相の靖国参拝についてブッシュ政権に反対あるいは抑制の意向を述べさせることを目的としている。

 香港在住の著名な中国ウオッチャーのウィリー・ラム氏も2月中旬に北京から得た情報として、胡錦濤国家主席の外交関連顧問たちが日本との靖国問題などで米国が日本を抑制することを求めて米側に圧力をかけるべきだという政策勧告をした、と明らかにしている。

 ラム氏は、(1)中国政府は日本への直接の要求では靖国問題などでの譲歩は得られないと判断し、米国からの圧力に期待をかけるようになった(2)中国側は、ゼーリック米国務副長官が「中国はステークホルダー(利益の保持者)」と表明したことなどから、米国が中国重視を高め、対日案件でも中期、長期には中国の要請を聞くと判断するようになった−などと解説している。

 しかし現実には、ブッシュ政権はいまのところ中国側の要請に応じる気配をまったくみせていない。ブッシュ大統領は「小泉首相の靖国参拝が日中関係を悪化させている」という因果関係の主張をも排し、「日中関係は単なる神社への参拝よりはずっと複雑だ」と言明。また最近までブッシュ政権の国家安全保障会議のアジア上級部長だったマイケル・グリーン氏も「首相が靖国参拝をやめても、なんの問題解決にもならない。中国側は他の苦情を持ち出してくるだろうからだ」と述べ、中国側の主張には同調しない姿勢を示した

中国全人代控え取り締まり強化 野宿の陳情者ら拘束

平成18(2006)年03月04日 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国で五日に開幕する全国人民代表大会(全人代=国会)を前に、北京南部の通称「直訴村」で公安当局が取り締まりを強化、路上で野宿していた陳情者らのテントやベッドなどを強制撤去した。一泊数十円の簡易宿舎に寝泊まりしていた陳情者も多数拘束したもようだ。

 直訴村には、土地の強制収用や地方官僚の腐敗などに抗議して、北京へ直訴に来た農民らが集まっている。陳情者によると、公安関係者ら当局者がまず今月一日未明、トラックを含む十数台の車両に野宿している者の所有物を強制的に積み込んで持ち去った。

 全人代を控え、陳情者を地方に送り返すのが狙いとみられ、強制撤去に抗議する陳情者らは同日午後、「中国に人権なし」などと書いた布を掲げて訴えた。海南省から来た陳情者の一人は「持ち物のすべてを奪われた。政府は『和諧(調和のとれた)社会』を掲げているが、口先だけだ」と怒りをあらわにした。

 陳情者の話を総合すると、当局は連日、数百人規模の陳情者を拘束しているもようだ。

 当局が取り締まった「直訴村」は、地方からの農民ら四、五千人が住む一帯。市内全体では一万人を超えるこうした人々がいるとされる。土地を失い行き場のない農民や、「唯一の家族だった子供を村幹部に奪われ、帰る場所もない」と訴える陳情者もいる。一人っ子政策に反する形で生を受けた無戸籍者もおり、身分証も現金もないために正規の宿舎に宿泊できない者も少なくない。

中国「氷点週刊」が復刊 処分前の評論を全面否定

2006/03/01 The Sankei Shimbun

 中国当局から1月に停刊処分を受けた中国紙、中国青年報の付属週刊紙「氷点週刊」が1日、復刊した。中国の歴史問題に関する評論が原因で停刊となったが、復刊した紙面では処分前の評論を全面的に否定する論文を大きく掲載した。

 当局の規制を受けながらもリベラル志向の報道を目指してきた同紙の方針は事実上、打ち消され、当局の厳しい指導下で復刊が認められた格好となった。

 今回の論文は「反帝国主義と反封建主義は近代中国史のテーマ」と題し、政府系研究機関、中国社会科学院の研究員が執筆。問題となった評論について「マルクス主義に基づき結論づけた中国近代史を否定し、青少年を著しく誤った方向に導いた」などと徹底して批判している。

 氷点週刊は1月、中国で「反帝国主義の愛国運動」と評価されている19世紀末の義和団事件について、残虐な行為があったなどと指摘した学者の評論を掲載。この直後、当局は同紙を停刊処分にするとともに編集長と副編集長を更迭、言論規制問題として内外から批判を浴びていた。(共同)

中国、家電製品28品目で生産量世界首位

2006/02/28 The Sankei Shimbun

 高成長が続く中国が、冷蔵庫やエアコン、洗濯機など計28の家電製品の生産量で世界一になったことが28日、民間調査会社の富士経済(東京)がまとめた2005年の白物家電生産動向調査で分かった。

 中国企業が生産量を伸ばしたほか、低賃金を背景に日米欧のメーカーがこぞって製造拠点を移しているためで、調査対象となった32品目のうち9割近くでトップを占めた。メーカー別でも中国企業が上位に並び、「世界の工場」としての実力を見せつけた。

 製品別では、05年の冷蔵庫の生産台数は世界全体で7835万台に上った。このうち中国は34%、2690万台。首位は海爾(ハイアール)の650万台だった。

 エアコンは67%、5350万台を中国で生産。メーカー別では韓国のLG電子に首位を譲ったが、中国の「格力」が2位、「美的」が3位に入り、上位3社はいずれも800万台以上生産した。洗濯機は35%、2350万台が中国で生産された。

 日本の大手家電メーカーは、付加価値のある高機能の製品に比重を移している。このため、主な製品の生産量では上位に入っておらず、松下電器産業がエアコンで5位、洗濯機で6位になったのが目立つ程度。

 中国以外の国・地域が首位になったのは、電磁誘導加熱(IH)クッキングヒーターとアルカリイオン整水器、食器洗浄乾燥機、衣類乾燥機の4品目だった。(共同)

対中貿易赤字が過去最高 286億6千万ドル

2006/02/21 The Sankei Shimbun

 日本貿易振興機構(ジェトロ)は21日、2005年の中国に対する日本の貿易赤字額(香港を含まない)が、286億6143万ドルと2年連続で増加し、4年ぶりに過去最高を更新したと発表した。04年は203億8203万ドルだった。

 日本の自動車や家電メーカーなどが製造拠点を中国に移し、日本からの製品や材料輸出が減って輸出の伸びが大幅に減速したことが主因だ。輸出は8.9%増の803億6297万ドルと、前年の29.0%増から伸びが縮小した。輸入は15.7%増の1090億2439万ドル。

 対中貿易総額は前年比12.7%増の1893億8736万ドルと、7年連続で過去最高を更新した。

 06年についてジェトロは「日系メーカーが中国での生産を拡大するため輸出の伸びは鈍化するが、貿易総額は2000億ドルを上回り8年連続で過去最高となるだろう」とみている。

 財務省の貿易統計をドルに換算し、ジェトロがまとめた。(共同)

言論の自由奪ったと批判 中国、学者らが公開文書

2006/02/17 The Sankei Shimbun

 中国の有力紙、中国青年報の付属週刊紙「氷点週刊」に執筆したことがある北京大の学者らが17日、同紙に対する停刊処分は「言論や報道の自由をはく奪するもので、社会に悪影響を及ぼした」と非難する胡錦濤国家主席ら指導者あての公開文書を公表した。

 中国共産党元幹部が14日には当局を批判する声明を発表、民主派知識人などの間で言論統制を強化している胡指導部への不満が高まっていることを示すものといえる。

 公開文書は、同紙が掲載した歴史教科書に関する評論に対して反対意見を示すことなく、強圧的に「(学者らが)見解を発表する機会を奪ったことに断固反対する」と強調。

 胡主席が以前「憲法による監督制度」を重視する演説をしていたことを指摘し、停刊処分は「言論、出版、集会、結社、デモなどの自由を認めた憲法に違反している」と批判。さらに「(違憲の事実は)容易にお分かりになると思いますが」と皮肉った。

 また、民主や法の支配の確立に向けた動きは「緩慢であっても正確でなくてはならない」と指摘。胡指導部がスローガンとして掲げる「調和の取れた社会」建設には「異なる価値観を尊重する公正な制度が不可欠だ」と強調した。

 氷点週刊をめぐっては、歴史教科書に関する評論が問題視されて1月に停刊処分となったが、16日に編集長が更迭されて復刊が決まった。(共同)

中国、報道規制を強化 メディア幹部の処分相次ぐ

2006/02/16 The Sankei Shimbun

 中国の胡錦濤指導部が報道規制を強め、国内メディアに対する処分が相次いでいる。貧富の格差拡大や環境汚染など社会矛盾が深刻化する中、「社会の安定」最優先を強調しつつ、共産党の一党支配を揺るがしかねない体制批判を封じ込める方針が鮮明になっている。

 有力紙、中国青年報の付属週刊紙「冰点週刊」は先月、歴史教科書に関する評論が問題視され停刊処分となり、関係筋によると、編集長が16日に更迭された。人気大衆紙「新京報」の編集局長も昨年末、編集方針で批判を受け更迭された。

 中国外務省の秦剛副報道局長は同日の定例会見で、冰点週刊について「歴史の事実に反する文章を掲載し、人民の感情を著しく傷付けた」と指摘、処分は適切との認識を示したが、国内メディアの記者は「江沢民前指導部時代に比べ、明らかに規制が厳しくなった」と指摘する。

 中国消息筋によると、胡指導部は2004年9月の共産党中央委員会総会後、党の宣伝強化を命じる文書「16号文件」を全国に通達。昨年も国内メディアの記者証を全面的に更新し体制への批判記事を書くフリーの記者を締め出したほか、党と国家の機密厳守を求めた規定を定めるなど規制を次々と打ち出した。

 冰点週刊の停刊に対し、1980年代に当時の胡耀邦総書記に仕えた朱厚沢・元党宣伝部長ら改革派の元幹部らが「言論の自由のはく奪」と批判。しかし、胡指導部が「報道機関は党の代弁者」との指導を徹底させる中、元幹部らの発言が影響を与える余地は極めて小さいのが実情だ。

 02年秋に発足した胡指導部は一時、メディア改革に取り組み報道規制を緩和する姿勢を打ち出したが、翌春の新型肺炎(SARS)の大流行をめぐって政府の不手際を批判する報道が吹き出して以降、引き締め策に転じていた。(共同)

精密機器不正輸出で捜索 警視庁、外為法違反で

2006/02/13 中国新聞ニュース

 警視庁公安部は十三日、核兵器製造にも転用可能として輸出が厳しく規制されている「三次元測定機」を許可を得ないまま中国とタイに輸出していたとして、外為法違反(無許可輸出など)容疑で川崎市高津区の大手精密測定機器製造会社「ミツトヨ」の関係先を家宅捜索した。

 二○○三年十二月から○四年三月にかけて国際原子力機関(IAEA)の査察を受けたリビアの核関連施設から、同社がマレーシアに輸出した同じタイプの測定機など精密測定機器三台が見つかり、公安部が捜査していた。

 リビアはIAEAに対し「核の闇市場」を通じて核技術を調達したと説明しており、公安部は同国で見つかった測定機などはこのルートで流出した可能性があるとみて、同社の輸出実態やリビアへの流出経緯を調べる。

 調べでは、同社は○一年から○二年ごろ、外為法の輸出貿易管理令などで輸出が厳しく規制されている三次元測定機と付属するソフトウエアを、経済産業相の許可がないまま中国とタイに一台ずつ輸出した疑い。

 日本企業の現地法人の注文で輸出していた。中国とタイから第三国に転売されたり、軍事転用された形跡はないという。

 ミツトヨは精密測定機器メーカーとしては国内最大手で、海外二十カ国以上に販売網などを展開している。

川崎の精密大手 核関連機器を不正輸出 警視庁、あすにも強制捜査 北に流出か

平成18(2006)年02月12日[日] The Sankei Shimbun

 核兵器開発に転用可能な精密測定機器「三次元測定器」を中国とタイに無許可で輸出していた疑いが強まったとして、警視庁公安部は外為法違反(無許可輸出)の容疑で十三日にも、川崎市の大手精密機器メーカーの強制捜査に乗り出す方針を固めた。警視庁は三次元測定器がタイなどを経由して、北朝鮮に流出していた疑いがあるとみて調べている。同社製品はIAEA(国際原子力機関)がリビアで核査察した際に発見されており、警視庁が捜査を進めていた。

 調べでは、このメーカーは平成十三年、外為法の輸出貿易管理令などで輸出が制限されている三次元測定器と、付属ソフトウエアを経済産業相の許可がないまま中国とタイに輸出していた疑い。

 三次元測定器は核兵器の製造過程で重要なウラン濃縮用の遠心分離機の管理などに利用される。

 このメーカーが製造した精密測定機器は、リビアの核開発疑惑をめぐって最高責任者のカダフィ大佐が核兵器や化学兵器を含む大量破壊兵器を開発していたことを認め、廃棄に同意したのを受けて、IAEAが二〇〇三年十二月から〇四年三月にかけて行った核査察の現場で発見されていた。アルファベットで社名が記された同型の三次元測定器と「円筒形状測定器」「形状計測器」の三台で、リビア国内の核開発研究所から見つかり、問題となった。

 いずれも第三国を経由してリビアに流入したとみられ、IAEAからの通報を受け、警視庁では外務、経産省と連携して関係国に捜査員を派遣するなど同社製品の供与先について捜査を進めていた。

 リビア政府はIAEAに、「核開発関連機器を国際的密売市場『核の闇市場』で調達した」と説明しており、警視庁は「核の闇市場」を通じてリビアに流出したとみている。

 これまでの調べで警視庁は、このメーカーの三次元測定器が、タイなどを経由して北朝鮮や「核の闇市場」に流れていた疑いが強いとみており、解明を図る方針だ。平成十五年には、核開発に転用可能な「直流安定化電源装置」を無許可で北朝鮮に輸出しようとしたとして、外為法違反容疑で警視庁が摘発した商社が、経産省のチェックを逃れるため、タイの企業を迂回(うかい)して北朝鮮に不正輸出を図っていたことが明るみに出たケースがある。

 このメーカーは昭和九年創業、十三年設立の国内最大手。中国やベトナムなど共産圏や、インドなどの核保有国を含む海外二十三カ国に拠点を構えている。

金前大統領の訪朝計画、金総書記の訪韓が目標

2006年02月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=平野真一】韓国の文化放送(MBC)テレビは3日、韓国政府高官の話として、同国の金大中(キム・デジュン)前大統領が4月に計画している訪朝は、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記による訪韓を今年6月に実現させることが目標だと報じた。

 韓国政府は、5月に地方選挙が終わり、次期大統領選に向けた動きが活発化する前の6月が適時と見ており、次期統一相に内定している李鍾■(イ・ジョンソク)前国家安全保障会議(NSC)次長の任命手続きが終わり次第、金総書記の訪韓実現に向けた動きを本格化させる見込みという。(■は「大」の両脇に「百」)

 金大中氏は大統領時代の2000年6月に訪朝し、金総書記と初の南北首脳会談を行っており、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は金総書記の答礼訪韓と第2回首脳会談の実現を検討しているとされていた。金前大統領は1月末、韓国紙とのインタビューで、4月中に南北縦断鉄道を利用して訪朝したい考えを表明している。

中国「麻生たたき」過熱 ポスト小泉牽制 最有力視?安倍氏避ける

平成18(2006)年2月12日[日] The Sankei Shimbun

 【北京=伊藤正】中国が麻生太郎外相への批判を強めている。中国外務省は、これまでも麻生氏の「反中言論」を再三批判してきたが、外相が最近、日本の台湾植民統治を賛美したとして批判のトーンを上げ、メディアの「麻生たたき」もエスカレートした。「ポスト小泉」に対日関係改善を期待する中国は、麻生氏批判を通じて、同氏や安倍晋三官房長官ら次期首相候補を牽制(けんせい)し始めたようだ。

 中国外務省の孔泉報道官は五日、春節連休最後の日曜日にもかかわらず談話を発表、麻生外相が四日、福岡市で行った講演で、台湾の教育水準を引き上げ、識字率が高まったのは、日本統治時代の教育のおかげなどと語ったことを「人類の正義と良識への挑戦」と強く批判した。

 外務省報道官による麻生氏の発言への直接批判は、昨年十月末の外相就任以来、(1)昨年十一月二十二日(靖国神社問題)(2)同十二月八日(マレーシアでの対中批判演説)(3)同十二月二十二日(中国の軍事増強)−に次ぐ四回目。

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝(十月十七日)に対し、中国は町村信孝外相(当時)の訪中を拒否するなど反発したが、二週間後の内閣改造で有力閣僚ポストに就いた安倍、麻生両氏が靖国参拝を積極支持したことには、「日本の指導者」への歴史認識に注文を付け、直接批判を控えた。

 しかし小泉首相の靖国参拝への攻撃は続き、十一月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)以降、国際会議の場での首脳会談や外相会談も拒否。これに反発して麻生外相は十一月下旬、靖国神社の博物館「遊就館」を「侵略戦争美化」とする中国の主張に反駁(はんばく)、中国側を強く刺激した。

 中国側は、麻生氏が、中国脅威論を繰り返したことにも危機感を持ったようだ。これには十二月に訪中した民主党の前原誠司代表が訪中前の訪米中に中国脅威論をぶったことも影響した。「靖国参拝中止」に集中した中国側の関係改善戦略が見直しを迫られたからだ。

 そうした中での麻生外相の福岡市講演は、「台湾侵略の美化」として、一段と激しい反発を受けた。共産党機関紙「人民日報」や系列紙、国営新華社や傘下の各紙などメディアも大々的な批判を展開、新華社系の国際情報週刊紙「国際先駆導報」最新号は麻生氏を「日本右翼勢力の広告部長」と呼び、日本の台湾統治に関する三ページの特集記事まで組んだ。

 麻生氏への熾烈(しれつ)な攻撃の一方で、中国当局は安倍長官への名指し批判を控えている。中国のメディアは、例えば今年初めの安倍氏の靖国参拝への積極発言を批判したが、外務省報道官はこれを含め、直接批判はしていない。

 国際先駆導報は、ポスト小泉の分析記事で、フロントランナーの安倍氏が、小泉外交政策を継続することに党内外の不安があると指摘、最近相次ぐ日本の政治家の訪中は、自民党総裁選に向け対中外交で主導権を握る意思の表れと述べた。

 日中関係筋によると、中国は次期首相には安倍長官が最有力と分析、「小泉政権とはできない」(唐家●国務委員)関係改善を次期政権とどう実現するか検討しているという。中国は次期首相に安倍長官を想定して、直接批判を控えているのではないかと同筋は指摘している。●=王へんに旋

批判記事めぐり、警官に暴行受けた新聞編集幹部が死亡 中国

2006/02/04 The Sankei Shimbun

 4日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国浙江省台州市で昨年10月、批判記事をめぐり警察の暴行を受けて入院していた地元紙、台州晩報の呉湘湖・副編集局長(41)が2日、肝不全などのため死亡した。以前に移植を受けた肝臓が暴行を受けた際、損傷していたという。

 台州晩報は、警察が市民から不当な金を徴収しているとの批判記事を掲載。腹を立てた警察幹部が部下数十人を引き連れ、同紙社屋で呉氏に暴行を加えた。

 警察幹部は事件後、警察や共産党内の役職を解かれたという。(共同)

「中国市場では虚偽報告横行」 ライブドア事件で地元紙警鐘

2006/01/26 The Sankei Shimbun

 26日発売の中国週刊紙、国際先駆導報は、ライブドアが証券取引法違反に問われた虚偽報告などは、中国の証券市場では珍しくなく、摘発されることすら少ないと批判する政府系シンクタンクの研究者の論文を掲載した。

 中国ではこれまでライブドア事件に対し「日本の経済倫理が動揺」(新華社)といった論調が出ていたが、今回の論文は「他山の石」として受け止める内容だ。

 論文を執筆した社会科学院世界政治経済研究所の張明・研究員は、ライブドアは株式分割後の株価上昇で資金を得るなどで急成長したが、中国企業ではよくある手法と指摘。さらに虚偽の買収や報告も珍しいことではなく、立件されないケースも多いと批判、個人投資家が不利を被っているとして、ライブドア事件は警鐘になると訴えた。

 その上で、日本では違法行為に走った企業は完全に体制を刷新しても投資家の信頼を回復することが困難だが、中国では逆に、問題企業株を投機的に売買するなどの行為が横行しているとして、市場監督の強化を強く求めた。(共同)

昨年貿易黒字、初の日中逆転 日本8兆、中国12兆円

2006年01月26日 asahi.com

 財務省は26日、05年の貿易統計(速報)を発表した。輸出入とも過去最高額だが、原油高で輸入の伸びが上回り、貿易黒字は前年比26.5%減の8兆7852億円と4年ぶりの減少となった。貿易黒字額は中国当局が11日に発表した1019億ドル(約12兆円)を下回り、財務省は「日中の貿易黒字逆転はおそらく初めて」としている。

 輸出は自動車や鉄鋼が伸びて同7.3%増の65兆6612億円と4年連続で過去最高を更新した。一方、輸入は同15.6%増の56兆8760億円で、3年続けての最高額更新。原油価格は年間平均で1キロリットル当たり3万5447円で、85年以来の高水準だったことが主要因だ。

 中国と香港を合わせた日本との貿易総額は24兆9491億円で、2年連続で米国(21兆8761億円)を上回って最大の貿易相手国だった。中国本土からは、電算機類や音響映像機器の輸入が大きく伸び、対中貿易赤字は同41.8%増の3兆1265億円となった。日本の輸出の主力だった電機産業でも、製品の組み立てを中国に頼る傾向が顕著だ。

 対米貿易黒字は同11.1%増の7兆7377億円で2年連続の増加。自動車の輸出が同10.8%増と好調で、輸出額を押し上げた。

 欧州連合(EU)向けは、輸出が同0.3%増の9兆6525億円、輸入が同3.4%増の6兆4658億円。アジア向けは輸出が同7.3%増の31兆7980億円、輸入が同13.6%増の25兆2557億円だった。

 同時に発表した05年12月の貿易額は、輸出が前年同月比17.5%増の6兆3383億円、輸入は同27.3%増の5兆4243億円でいずれも過去最高だった。貿易黒字は同19.3%減の9140億円で9カ月続けて前年同月を下回った。

対中貿易2年連続トップ 輸入は17%増

2006/01/26 The Sankei Shimbun

 財務省が26日発表した2005年の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出と輸入を合わせた中国(香港を含む)との貿易額は24兆9491億円と、前年より12.4%伸びて2年連続で最大の貿易相手となり、中国の高度成長を背景とした経済関係の拡大継続を示した。

 2位は米国で21兆8760億円。

 輸出から輸入を差し引いた貿易黒字額は、日本の貿易全体で前年比26.5%減の8兆7852億円と、原油価格の高騰で輸入額が伸びて4年ぶりに減った。

 香港を除く対中国の輸出額は、鉄鋼などの伸びから10.6%増の8兆8400億円。輸入額は電算機器や音響映像機器が押し上げ、11兆9665億円と17.3%増えた。対中赤字(香港を除く)は3兆1264億円と過去2番目の規模となった。

 米国向け輸出額は14兆8068億円と7.8%増加した一方、輸入額の増加は4.5%にとどまり、対米黒字は11.1%増の7兆7377億円と、2年連続で増えた。

 全体の輸入額は15.6%増の56兆8760億円と過去最高となった。増加は3年連続。

 輸出も鉄鋼、自動車が好調で、7.3%増の65兆6612億円と4年連続で増えた。

 同日発表した12月の貿易黒字は前年同月比19.3%減の9140億円と、9カ月連続の減少。輸出は17.5%増の6兆3383億円、輸入は27.3%増の5兆4243億円だった。(共同)

南車集団に2100億円融資 中国開発銀、高速鉄道で

2006/01/23 The Sankei Shimbun

 中国国家開発銀行は23日、川崎重工業など日本企業連合と提携して高速鉄道用車両の製造計画を進めている鉄道車両大手、中国南車集団に対し、今後3年間で総額150億元(約2100億円)を融資する契約に調印した。24日付の中国紙、京華時報が伝えた。

 製造計画については、中国国内に日本の技術導入に反対する声があり、中国メディアは日本企業連合との連携などもほとんど報じておらず、今回の報道は異例。

 同紙によると、南車集団の広報担当者は、中国が計画している高速鉄道用車両120編成のうち、60編成を同社が受注したことを明らかにし、グループ会社の南車四方機車車両が川崎重工業の技術を導入して時速200―300キロの高速鉄道用車両を製造することも明言した。

 政府系金融機関である開発銀行が融資を決めたことは、資金面から南車集団の製造計画にゴーサインが出たことを示すとみられる。(共同)

中国「売春村」施設を強制閉鎖

平成18(2006)年01月23日 The Sankei Shimbun

女性従業員数千人が抗議

 【北京=野口東秀】中国系香港紙「文匯報」など香港各紙によると、広東省深●(=土へんに川)で十九日、通称「売春村」と呼ばれる区域の一角にある娯楽施設が強制閉鎖されたことに反発、女性従業員ら数千人が抗議活動を行った。現場の市庁舎前は一時騒然となったが、当局は数千人規模の警察部隊を出動させ、約千人を一時拘束した。

 「売春村」は香港からの男性客らが訪れることで知られる一大歓楽街。だが市当局は十八日、無許可営業などを取り締まるため、カラオケ、サウナ、マッサージ店など数百店を強制閉鎖した。

 これに反発した女性スタッフや経営者が十九日、「生きる必要がある」などと叫び、抗議活動を五時間近くにわたり続けた。「文匯報」によると参加した女性スタッフらは二千人だが、土地の強制収用に抗議する農民らも加わり、抗議者は一時五千人ほどに膨れ上がったという。


「軍事転用不可能」と主張 ヘリ輸出事件で中国企業

2006/01/25 The Sankei Shimbun

 ヤマハ発動機が無人ヘリコプターを中国に不正輸出しようとした外為法違反事件で、輸出先の「北京BVE創基科技有限公司」は25日、無人ヘリについて「軍事転用は不可能だと認識している」などとする声明をホームページ(HP)に掲載した。

 同声明は、ヤマハ製無人ヘリを空撮用に利用しているとした上で「技術的に一定の限界がある。軍事には応用不可能だと認識しており、軍に対して販売しようがない」と述べている。

 同社のHPは無人ヘリを使った空撮技術が軍事転用可能だと宣伝しているが、声明では「最近の航空技術の魅力を紹介するため」と説明した。

 さらに、同社の支社に当たる蘇州BVE社が、軍民共同で飛行訓練基地を建設したことを認めつつも「中国では軍民共同建設は非常に一般的。軍事的な背景は存在しない」と強調している。(共同)

「軍事転用が可能」ヤマハ発動機捜索

平成18(2006)年01月23日 The Sankei Shimbun

問われる企業倫理

無人ヘリ、国際規制の対象

 目的は軍事転用だったのか−。中国に無人ヘリコプターを不正輸出しようとしたとして二十三日、外国為替法違反容疑で静岡、福岡両県警が強制捜査に入ったヤマハ発動機。無人ヘリは防衛庁も調達しイラク南部サマワに派遣されている陸上自衛隊が使用しているが、化学物質の散布など軍事目的に転用される恐れがあるため、国際的な取り決めで規制の対象となっている。専門家らは「日本企業は民生技術の軍事的価値に関する認識が薄い」などと指摘しており、同社の企業倫理が問われそうだ。

 経済産業省や外務省によると、大量破壊兵器の拡散を防ぐためミサイルや関連技術の輸出規制を取り決めた「ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)」が一九八七年、日米欧間で合意。現在三十四カ国が加盟している。

 化学兵器を搭載できる無人ヘリも対象になっており、三百キロ以上の運搬が可能など一定以上の性能を持つ場合は、輸出に当たって外為法で経産省の許可が必要となっている。

 外為法で規制の対象となっている民生品はほかに、遠心分離機などに転用される恐れのあるアルミニウム管など二百−三百品目に上る。

 江畑謙介・拓殖大客員教授は「無許可輸出の中には意図的な例もあるが、大半は軍事目的への応用が可能なことを知らずに行った例が多い」と指摘。その上で「農薬散布が目的だったとしてもその後の管理がしっかりしていなければテロリストに渡りサリンなどの散布に使われる恐れもある。日本企業は技術がどう使われる可能性があるのかしっかり認識する必要がある」という。

 陸自は平成十六年に約三億五千万円を投じて同社製の無人ヘリ(全長約三・六メートル)四機を導入。同年九月から迫撃弾対策で夜間の宿営地周辺の警戒に使っている。

 機体前方に夜間も撮影できる赤外線監視機能を持つカメラを搭載。飛行高度は最高百五十メートルで、手動によるリモコン操作のほか、航路を記憶させれば自動飛行も可能だ。

 防衛庁関係者は「同型機は、イラクでは偵察監視用に陸上自衛隊で独自の改造を施して使用しているが、国内では通常、農薬散布に使用されている。このため、下部に散布用のパイプなどを設置すれば、炭(たん)疽(そ)菌、サリンなどの生物、化学物質を上空から散布することは簡単」と指摘。「容易に生物化学兵器に転用できる可能性があることは、ヤマハ発動機の担当者も分かっていたのではないか」と憂慮する。

≪過去の対中国戦略物資不正輸出事件摘発≫

 【昭和】

 44年7月 対中貿易商社「兵庫県貿易」の輸出担当営業部長と機械メーカー「国際機械振動研究所」の取締役大阪製造部長が、ココム(対共産圏輸出調整委員会)規制品である地下核実験用振動試験装置用コイルを別の貨物に隠して不正輸出を図る

 62年3月 対中貿易商社「東明貿易」の営業部長がココム規制品の信号発信機を社員の手荷物に隠して不正輸出

 63年5月 対中貿易商社「極東商会」の常務、輸入特貨課長と「新生交易」の取締役貿易部長がココム規制品のサンプリングオシロスコープを社員の手荷物に隠して不正輸出

 【平成】

 6年3月 対中貿易商社「トレーダーズ」の社長と社員がココム規制品で軍事衛星に使用可能なイメージ増幅管を社員の家族の手荷物に隠して不正輸出

 11年2月 精密機器卸会社「菱光社」専務らが核兵器の開発、製造に使われる恐れがある精密測定装置を韓国向けと偽り不正輸出

経産省「意図的違反、繰り返す」

平成18(2006)年01月23日 The Sankei Shimbun

「意図的に違反行為を繰り返していた」

 ヤマハ発動機を外為法違反容疑で告発した経済産業省は二十三日午前、記者会見を開き、無人ヘリの違法輸出を繰り返してきたヤマハ発動機の悪質性を強調した。

 経産省は昨年八月に情報を得て内々に調査を開始。昨年十二月二十一日にヤマハ発動機が無人ヘリの香港への輸出を通関申請したことを受け、同月二十二、二十三の両日に本社などの立ち入り調査に踏み切った。

 その結果、ヤマハ発動機では輸出を事業部任せとし、本社の輸出管理部門によるチェックが機能していなかったことが判明。同省は「検査体制は有名無実」と判断し、今月十一日には通関の簡略化を認める「包括輸出許可」を取り消したという。

                   ◇

≪官房長官「遺憾だ」≫

 安倍晋三官房長官は二十三日の記者会見で、ヤマハ発動機による無人ヘリコプター不正輸出問題について「大量破壊兵器の運搬手段などに転用される恐れのあるものが不正に中国に輸出されようとした点は誠に遺憾だ」と述べた。

中国に無人ヘリ不正輸出 ヤマハ発動機本社を捜索

2006/01/23 中国新聞ニュース

 ヤマハ発動機が、軍事転用できる無人ヘリコプターを中国に不正に輸出しようとした疑いが強まり、静岡県警と福岡県警の合同捜査本部は二十三日、外為法違反(無許可輸出)容疑で、静岡県磐田市の本社などの家宅捜索に乗り出した。

 捜索は、経済産業省が同日、同社を刑事告発したことを受けて着手。調べによると、同社は昨年十二月二十一日、農薬散布に使われる無人ヘリ一機を経産省の許可を得ないで中国側に輸出しようとした疑い。同社はこのほか約十回にわたり同様の輸出を手がけていたとみられる。捜索場所は本社など約二十カ所に上る。

 無人ヘリは化学物質の散布ができるなど軍事転用が可能なため、法律で経産省の許可が必要な製品にリストアップされていた。

 ヤマハ発動機によると同社は二○○一年以降、全長約三・六メートル、全幅約七十センチの「RMAX L181」というマニュアル式の機種九機を北京の航空専門会社「BVE社」に輸出した。

 同社のホームページを分析した両県警は、同社が中国人民解放軍との関連もあるとみている。また、同社のプロモーションビデオでは「(無人ヘリは)軍事分野に転用可能」などとうたっていたという。

 ヤマハ発動機の大坪豊生取締役は会見で、「この機種は法規制を受けないと認識していた」と述べた。

 昨年四月、福岡県警が摘発した不法就労事件にからみ、在日中国人が経営する東京都内の関係先を捜索した際、取引の仲介やヤマハ発動機が○一年七月にも同機種を中国に輸出したことを示す資料を押収した。

 ヤマハ発動機はオートバイメーカーで、楽器製造「ヤマハ」の関連会社。


外相演説 「過去こだわりすぎず」 対中、成熟した関係強調

2006/01/21 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 麻生太郎外相は20日午後、衆参両院の本会議で外交演説を行った。外相は小泉純一郎首相の靖国神社参拝に対して反発を続けている中国について、「中国の人々の過去をめぐる心情を重く受け止める」との考えを示すとともに「中国の人々に対しては、過去の問題にこだわりすぎることなく、冷静に大局を見据え、共に成熟した友人として切磋琢磨(せっさたくま)する関係」を築いていく必要があるとの考えを強調した。

 ≪外交演説の要旨≫

 【日米関係】米国との関係はわが国外交の要。「世界の中の日米同盟」を強化していく。在日米軍再編は日米安保体制の信頼性を高めるための重要な取り組みだ。昨年10月の中間報告を踏まえ、実施日程を含む具体的計画について米側と協議していく。その際沖縄県をはじめ地元の負担軽減に最大限努めなければならない。

 【近隣諸国との関係】日中関係の発展は基本方針の一つ。日本人は、中国の人々の過去をめぐる心情を重く受け止め、中国の人々に対しては、過去の問題にこだわりすぎることなく、冷静に大局を見据え、共に成熟した友人として切磋琢磨(せっさたくま)する関係を築くことを呼び掛けたい。韓国の人々の過去をめぐる心情を重く受け止め、人道的観点から過去に起因する諸問題に真摯(しんし)に対応していきたい。

 北朝鮮をめぐっては、日朝平壌宣言に従い、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を解決し、過去を清算することにより、国交正常化を目指すのがわが国の方針だ。拉致問題を含む諸懸案の包括的解決なくして国交正常化はない。先の日朝政府間協議で一致した並行協議を早期に始め、対話と圧力の考えの下、誠意ある対応を北朝鮮から引き出す。6カ国協議を通じ、核問題の平和的解決を目指す。

 【国連の機能強化のための改革推進】安全保障理事会改革が第2段階へ入った今年、改革へ向けこれまでの成果と課題を踏まえG4(日本、ドイツ、インド、ブラジル)の間での信頼関係を維持しつつ、米国と協議を進めていく。国連分担率を地位と責任に応じたものとするよう国連行財政改革にも取り組む。

 【ODAの戦略的・総合的・機動的な活用】政府開発援助(ODA)を戦略的・総合的・機動的に活用し、2国間関係や国際環境を改善していく必要がある。首相の指導の下、外相が中心となって援助を実施する今の態勢をさらに強化する。

中国主席 橋本会談など打診 「経済」悪影響回避狙う

2006/01/21 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 【北京=伊藤正】日中関係筋が20日語ったところによると、中国の胡錦濤国家主席が3月に訪中予定の日本国際貿易促進協会会長の橋本龍太郎元首相ら日中友好団体の代表らと会談する意思を固めた。受け入れ側の中日友好協会がこのほど日本側に伝達、日程調整を打診した。

 胡主席が日本人と会談するのは、昨年9月末、日本経団連の奥田碩会長らと秘密会談して以来。日中の政治関係が停滞する中で、日本の民間団体との交流を拡大、経済関係などへの悪影響を食い止める狙いとみられている。

 胡主席が会談を予定している団体は、日本国貿促のほか、日中友好協会(平山郁夫会長)、日中協会(野田毅会長)、日中友好議員連盟(高村正彦会長)など。胡主席は3月20日前後に各団体幹部とまとめて会談する予定で、各団体にはそれ以前の訪中が要請されている。

 中国は今年から始まる新5カ年計画で、環境対策や省エネを重視、この面での最先進国である日本との協力関係を拡大する方針だが、小泉純一郎首相の靖国神社参拝などへの反発から、政治関係は「厳冬期」(新華社電)に入り、経済関係などにも影響し始めている。

 昨年の日中貿易は、1、2位の米国、欧州連合(EU)との差を広げられ、中国への観光客数でも長年の首位の座を、韓国に奪われた。反日デモや抗日戦勝利キャンペーンなど、中国国内の反日機運に反発、日本側の中国警戒論も高まる傾向にある。

 日中関係筋によると、胡錦濤政権は、「ポスト小泉」も政治関係の改善は難しいと分析、民間との交流を強めることで、日本国内の空気を変えて、実務関係への影響を食い止めたい考えという。

 胡主席は民間団体代表との会談で、昨年4月の首脳会談(ジャカルタ)で表明した「5項目の主張」に沿って対日関係促進を訴えるとみられ、局面打開の新たな機会になるかは疑問視されている。

 ≪橋本氏、3月は否定 親中派「北京詣で」加速?≫

 橋本龍太郎元首相(日本国際貿易促進協会会長)や、野田毅元自治相(日中協会会長)ら日中友好団体幹部を務める自民党議員らによる3月の訪中計画について、橋本氏サイドは20日、産経新聞の取材に対して、同時期の訪中を否定した。野田氏の事務所も、「訪中の計画はあるが、中国側から正式な要請はない」と、現段階で日程は固まっていないとの立場を示した。しかし、中国側から与野党議員に対する「招待攻勢」は激しく、日本の議員の“北京詣で”が今後、活発化する可能性もある。

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝を理由として、中国は平成13年10月の首相訪中以後、両国首脳の相互訪問を拒絶しているが、中国側の招きで訪中する与野党の有力議員は後を絶たない。昨年春以降も、自民党の武部勤幹事長や橋本元首相、加藤紘一元幹事長、高村正彦元外相、公明党の冬柴鉄三幹事長、民主党の前原誠司代表らがそれぞれ北京を訪れた。

 背景には中国側の強いアプローチがあり、現職閣僚の1人は「小泉政権を揺さぶろうとする中国側の意図がみえみえだ」と言い切る。

 小泉首相は「一つの意見対立で首脳会談を拒むのは理解できない」として、靖国問題を理由に日本側との首脳外交を拒む中国側の姿勢を何度も批判しており、中国側は小泉首相を牽制(けんせい)すべく、靖国問題をめぐる首相の立場に否定的な自民、民主両党の有力議員を取り込んでいこうという構図がある。

 それに乗るかのように、自民党内では山崎拓、加藤両氏をはじめ、9月の総裁選で靖国参拝問題を含む対アジア外交を意図的に争点に据えようとする勢力がある。

 これに対し、首相周辺は「靖国問題を争点化するというのは、中国の言うことを聞けということか」と反発しているが、靖国参拝反対派を中心とする親中派議員が「ポスト小泉」をめぐる思惑もからんで、対中接近を今後、一層強めていく展開は否定できない。

 靖国問題で、首相の立場を支持する自民党関係者は、「議員の北京詣でが加速すれば、日本の次期首相選びに干渉しようとする中国に呼応することにつながる」と、警戒感を強めている。

中国人、6000万人が肥満症 欧米並みの社会問題に

2006/01/19 The Sankei Shimbun

 中国上海市の第2軍医大学付属長海病院は19日までに、中国人の6000万人が「肥満症」で、うち60万人は手術が必要との見解を明らかにした。中国紙の新京報が同日報じた。

 同病院では過去2年間で肥満治療の手術を40件以上実施しており、専門の外科治療センターも発足。中国社会でも肥満が欧米並みに問題化していることを裏付けた。

 中国人の肥満傾向について、同病院内分泌科の鄒大進主任は「これから30年間で肥満人口は現在の4倍に達する」と述べ、肥満治療の需要は急速に高まるとの見方を示した。

 同紙によると、同病院で実施しているのは、肥満患者の胃の上部を特殊な器具で締め付けることにより食欲を抑え、減量する方法。治療の際には腹部4カ所に1センチ程度の穴を開け、腹腔(ふくくう)鏡を使って器具を取り付ける手術が必要になる。

 外科治療センターの担当医は「胃腸を切開する必要がない。海外でも広く使われている治療法だ」と、急増が見込まれる肥満患者の治療に自信を示した。

 衛生省によると、中国の判定基準で「太り気味」とされる人は、昨年11月時点ですでに2億人を突破。肥満がもたらす場合が多い高血圧症の患者数も1億6000万人に上るとしており、肥満対策が急務となっている。(共同)

中国の05年自動車販売台数2位は誤り 新華社が「訂正」

2006/01/18 The Sankei Shimbun

 中国の国営新華社通信は18日、2005年の中国の自動車販売台数が日本を抜き世界2位になったとの人民日報の報道について、統計の見方に誤りがあり、世界2位とはいえないと報じた。順位は米国、日本に次ぐ依然3位のままとなる。

 新華社が他の国営メディアの記事を批判するのは異例。事実上の「訂正」で、中国で多い「規模の水増し」報道を是正する意図もありそうだ。

 中国自動車工業協会は今月13日、昨年の国内自動車販売台数を約576万台と発表。同日付の人民日報はこの数字に輸入車の販売台数約16万台を加えると590万台を超え、約585万台の日本を抜いて米国に次ぐ世界2位になったと報じた。

 新華社はこの報道について、国内販売台数には輸出分17万台が含まれており差し引く必要があるうえ、輸入車には部品の形での輸入もあり、そのまま販売台数には計上できないと指摘。最終的な販売台数は572万台程度とした。

 さらに日本では中古車市場が発達、新車と合わせた販売台数は中国を大きく引き離していると分析、中国はまだ世界2位の市場とはいえないと結論づけた。(共同)

中国で年内にデフレか 生産能力過剰と学者警告

2006/01/18 The Sankei Shimbun

 中国の著名な経済学者、樊綱・中国経済改革研究基金会国民経済研究所所長は18日、上海市内で講演し、「中国で今年4―6月期から後半にかけて、デフレになる可能性が50%以上ある」と警告した。

 理由として、2003年から04年の経済過熱により、多くの産業で既に生産能力が過剰となっていることを挙げた。

 樊所長によると、鉄鋼業では鋼材の年間消費が2億8000万トンだが、生産能力は3億4000万トンに達し、現在も毎月600万―800万トン増加。自動車や繊維産業も生産能力過剰で販売難などが起きている。

 現段階では総需要は減っていないが、一部の産業で供給過剰のために製品価格が低下して企業業績が悪化したり、在庫が大幅増となったりする傾向が出ていると指摘した。(共同)

「産経は言論暴力団」 中国誌、名指し批判

2006/01/17 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 【北京=福島香織】中国外務省傘下の半月刊誌「世界知識」(16日発行)は3ページをさいて産経新聞などを名指し批判した。中国メディア上で産経が批判対象となることは珍しくないが、「言論暴力団」「保守御用喉舌(宣伝機関)」と呼ぶなど、ここまで激しい論調は珍しい。今月上旬、日中協議の席で、中国側が日本側に報道規制を求め断られた経緯があるが、当局が日本メディアの中国報道にいかに敏感になっているかがうかがえる。

 記事は中国社会科学院日本研究所の金●(●=「亡」の下に「口」、その下に「月女凡」)・助理研究員の執筆で「日本右翼メディアを解剖する」「日本右翼メディアの言論の“自由”と暴力」といった刺激的な見出しが躍る。

 まず「正論」執筆者らを名指しで列挙、「侵略戦争を否定し、靖国神社参拝を支持し、周辺隣国を誹謗(ひぼう)中傷し、平和憲法改正を訴えるのが“正論者”の最大公約数」と説明。「デタラメの論に立ち、故意に過激な言動で人の興味を引きつけようとする」と批判した。

 一方、朝日新聞については、「広範な大衆を代表する進歩的メディア」と紹介し、戦後の保守勢力台頭に断固反対する民衆と朝日新聞に対し「保守勢力は言論操作の重要性を実感した」と解説。フジサンケイグループを、保守政財界のてこ入れで生まれた「保守勢力の御用喉舌」と位置づけた。

 さらに産経新聞などを「狭隘(きょうあい)な民族主義を吹聴するだけでなく、異論を排斥する言論暴力団」と呼び、「朝日新聞や進歩的論客を長期にわたって悪意に攻撃してきた」と述べた。

 中国は最近、日本の新聞の論調に敏感で、中国外交官が「日本新聞で産経だけが首相の靖国参拝を支持している」と語るなど、当局の産経新聞に対する不満が強まっているようだ。

中国の出入国者初の3億人 公安省発表

2006/01/16 The Sankei Shimbun

 中国公安省は16日、2005年の中国の出入国者合計が前年比9.8%増の延べ3億200万人に達し、初めて3億人を超えたと発表した。

 中国国民(香港、台湾、マカオを除く)の出国は7.5%増の3102万人。行き先は、香港、マカオ、日本、ベトナム、韓国の順だった。うち、観光目的の出国者は599万3500人で全体の2割を占めた。

 外国人の入国は19.5%増の2025万5000人。国別では韓国が首位で、日本、ロシア、米国、マレーシアの順。

 例年大きな比率を占める香港や台湾からの出入り数は明らかにしていない。(共同)

日中の農林業交流強化で覚書調印 自民党と共産党青年団

2006/01/16 The Sankei Shimbun

 中国訪問中の自民党農業基本政策委員会の松岡利勝委員長は16日、中国共産主義青年団中央委員会の周強・第一書記と、日中の農林業交流強化に向けた覚書に調印した。

 覚書は、中国での緑化や環境保護活動を通じた協力のほか、日中の農村青年の交流拡大が柱。具体的な活動としては、日本側から、全国農協青年組織協議会(全青協)の代表が春に訪中、中国側と過疎や後継者問題などについて意見を交換する予定。

 調印後、記者会見した松岡委員長は、日本側にはコメなどの対中輸出拡大の期待が高いことを指摘した上で、「中国側は人や技術の交流を求めている」と述べ、相互補完的な交流を進める姿勢を示した。(共同)

味の素、中国で乾燥野菜を自社生産 加工食品を強化

2006/01/16 The Sankei Shimbun

 味の素は16日、スープ製品に使う乾燥野菜の製造会社を中国に設立する、と発表した。大半を他社から購入していた野菜を自社生産に切り替えて品質確保やコスト削減を図り、主力の加工食品事業を強化する。

 新会社「アモイ味楽如意食品有限会社」を今年3月、中国福建省アモイ市に設立。新会社には味の素の完全子会社、クノール食品や中国の野菜販売会社、アモイ如意集団など4社が出資する。

 アモイ社からホウレンソウやキャベツ、キノコなどを購入し、乾燥加工してクノール社の加工食品「カップスープ」や「スープパスタ」に使用する。生産開始は12月。

交通整備に2兆8千億円 北京市、今後5年間で

2006/01/15 The Sankei Shimbun

 15日付の中国紙、新京報によると、北京市はこのほど、今年から5年間で2000億元(約2兆8600億円)を投じ、高速道路や地下鉄などの整備を進める計画を明らかにした。

 北京―天津間の第2高速道路など6本の高速道路を建設、総距離は280キロになるという。また、2008年の北京夏季五輪の開催施設などに通じる地下鉄の整備も進める。

 北京は自家用車の急増に伴い、交通渋滞が激しくなっている。(共同)

中国、日本抜き世界2位か 05年の国内自動車販売

2006/01/14 The Sankei Shimbun

 中国自動車工業協会は13日、2005年の国内自動車販売台数が前年比13.5%増の約576万台になったと発表した。同日付の中国紙、人民日報は、輸入車を加えると販売台数は590万台を超え、約585万2000台(軽自動車含む)の日本を抜き米国に次ぐ世界2位になったと報じた。飽和状態の日米欧の自動車市場に代わり、中国など新興市場が世界の自動車産業をけん引している。

 自動車工業協会によると、05年の販売台数(速報ベース)は575万8200台。これに輸入車約16万台を加えると、592万台弱となる。

 ただ、中国の販売統計には日本では計上されない販売店在庫も含まれているとされ、厳密な比較は難しい。

 商用車を含む全体の年間販売の伸びは、04年の15.5%に比べやや鈍化したが、乗用車は278万7400台、24.3%増と前年の15.2%増を大きく上回った。各メーカーの値下げ効果が出たとみられるが、競争激化で一部企業の収益は悪化しているようだ。

 人民日報によると、昨年の世界全体の自動車販売に占める中国の市場占有率(シェア)は8.7%で、01年の4.3%から倍増。

 国内生産台数は12.6%増の570万7700台で、11月までに990万台を超えた日本を大きく下回っている。(共同)

偽物販売、北京「秀水街」に賠償命令

2006年01月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=松本浩行】偽ブランド品販売で有名な北京市の「秀水街」が、プラダなど有名ブランド5社から「知的財産権を侵害された」として訴えられる賠償請求訴訟があり、北京第2中級法院(地裁)はこのほど、秀水街と実際に販売していたテナント店に対し、ニセ物販売の即時中止と、5社への総額10万元(約140万円)の支払いを命じた。

 北京紙「新京報」によると、ニセ物商品を巡って、市場自体の不法行為が認定されたのは、中国で初めてという。

 訴えていたのは、プラダのほか、ルイヴィトン、バーバリー、シャネル、グッチの計5社。秀水街で自社製品のニセ物が売られているとして、販売中止と計250万元の損害賠償を求めていた。

 秀水街は、衣服やバッグなどを扱うテナント店が軒を連ねる雑居ビル形式の市場。偽ブランド品を売ることで知られるが、活気にあふれ、観光スポットの一つになっている。

 新京報によると、5社の代理人は「賠償額は少ないが、きわめて意味のある勝訴。秀水街のような役割を果たしている他の場所にとっても脅威となるだろう」と話し、偽物商品の横行に歯止めがかかるとの見方を示した。

中国、日本抜き世界2位か 590万台と人民日報

2006/01/13 中国新聞ニュース

 【北京13日共同】中国紙人民日報は十三日、二〇〇五年の国内自動車販売台数が約五百九十万台を超え、約五百八十五万二千台(軽自動車含む)の日本を抜き米国に次ぐ世界二位になったと報じた。飽和状態の日米欧の自動車市場に代わり、中国など新興市場が世界の自動車産業をけん引している。

 中国自動車工業協会によると、〇五年の販売台数は速報ベースで前年比13・5%増の五百七十五万八千二百台。これに輸入車約十六万台を加えると、五百九十二万台弱となる。

 ただ、中国の販売統計には日本では計上されない販売店在庫も含まれているとされ、厳密な比較は難しい。

 商用車を含む全体の年間販売の伸びは、〇四年の15・5%に比べやや鈍化したが、乗用車は三百九十七万千百台で、21・4%増と前年の15・2%増を大きく上回った。各メーカーの値下げ効果が出たとみられるが、競争激化で一部企業の収益は悪化しているもようだ。

 人民日報によると、昨年の世界全体の自動車販売に占める中国の市場占有率(シェア)は8・7%で、〇一年の4・3%から倍増。

 国内生産台数は12・6%増の五百七十万七千台で、十一月までに九百九十万台を超えた日本を大きく下回っている。うち、乗用車生産は19・7%増の三百九十三万七百台。

中印の資源消費が日本並みなら、地球がもう1個必要

2006年01月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=貞広貴志】米国の環境団体ワールドウォッチ研究所(本部・ワシントン)は11日、中国とインドの成長に伴う環境・エネルギー政策への影響などを分析した報告書を発表、両国の1人当たりの資源消費量が2030年ごろ日本の水準に達した場合、「両国の需要を満たすためだけに地球がもう1個必要になる」との試算を示した。

 報告書は、特に中国について、05年の鉄消費量が世界の26%、セメントで47%、コメは32%に達したと指摘。世界人口の40%を占める中国とインドがとる環境政策が、「世界の人々の生活水準に影響を及ぼすことになる」(クリストファー・フレイビン所長)と警鐘を鳴らした。

 一方、報告書は、中国で3500万軒の建物の給湯が太陽エネルギーでまかなわれていることや、インドが雨水利用の拡大で数万家庭に飲料水を供給している事例も紹介し、むしろ資源消費大国である米国などに一層の努力を求めた。

「中国脅威論」を党見解に 民主・前原代表が指示

2006/01/11 The Sankei Shimbun

 民主党の前原誠司代表は11日午後、共同通信論説研究会で講演し、自らが主張する「中国脅威論」を踏まえた対中認識を党見解として取りまとめるよう松本剛明政調会長に指示したことを明らかにした。

 前原氏は対中認識について「党内では『脅威』とは違う意見があるのも事実だが、(自分は)『現実的脅威』という言葉を語り続けていきたい」と言明。同時に「中国の現状認識について、党内で統一した考え方、コンセンサスを持てるような議論を(松本氏に)お願いしている」と述べた。

 9月の代表選に積極的にかかわる意向を示している小沢一郎前副代表に対しては「立派な政治家で指導を仰がなくてはいけない一人だ。できれば機会を持って話をさせていただきたい」と会談を呼び掛けた。(共同)

中国の貿易黒字、初の1000億ドル 世界1位も

2006/01/11 The Sankei Shimbun

 2005年の中国の貿易黒字は1018億8000万ドル(約11兆6650億円)に達し、初めて1000億ドルを突破する見通しとなった。04年の約320億ドルの3倍以上の水準。AP通信が11日、中国税関総署の話として報じた。貿易黒字国の日本やドイツの05年の統計は発表されていないが、中国が両国を抜いて世界第1位となる可能性が出てきた。

 鉄鋼や繊維製品の輸出が好調で黒字が積み上がった。中国は昨年7月、人民元相場を約2%切り上げたが、輸出増に歯止めがかかる効果は出ておらず、欧米などとの貿易摩擦が激化、人民元の一段の切り上げを求める声が強まるのは必至だ。

 税関総署は10日、輸出入を合わせた05年の貿易総額を発表し、前年比23.2%増の約1兆4221億2000万ドルと初めて1兆ドルの大台を突破した04年(約1兆1547億ドル)を上回った。

 このうち輸出は28.4%増の約7620億ドルに達した半面、輸入は17.6%増の約6600億ドルにとどまり、黒字膨張につながった。国内の引き締め政策などで原材料輸入の伸びが鈍化した一方、鉄鋼や繊維、石油製品などの輸出が伸びた。

 中国は今年からの新5カ年計画では国内消費主導の成長に転換する方針を打ち出しているが、構造転換は容易ではない。(共同)

 中国の2005年の貿易黒字が前年の3倍以上に膨張したのは、過剰投資で国内の生産力が大幅に高まった結果、鉄鋼など国内でさばききれない製品などが大量に輸出に回り始めたためだ。

 中国企業は、品質より低価格を武器に輸出市場でシェアを伸ばす傾向が強く、世界貿易機関(WTO)の繊維製品輸入割当制度が撤廃されたこともあって、05年は衣料品の輸出も急増、米国や欧州連合(EU)などとの摩擦に発展した。

 中国は昨年7月に人民元の小幅な切り上げに踏み切ったが、関係業界の不満を代弁する米議会は再切り上げを強く求めるとともに、中国への報復関税を課すことを辞さない構えだ。

 中国政府は米欧に対しては輸出自主規制や航空機などの購入で理解を求めているが、生産能力ばかりが拡大し、貧富の格差で消費が伸びないことなどによる国内需給のアンバランスがそのまま、黒字拡大に反映しており、構造的な輸出圧力の高まりはことしも収まりそうにない。

 中国のWTO加盟から3年が過ぎた。名実ともに貿易大国になった中国が今後、摩擦を回避しながら経済成長を続けるためには、過小評価されている元を再切り上げするとともに、輸出に偏らない内需主導の成長へ転換することが不可欠だ。(共同)

日本に報道規制を要求 中国「対中批判多すぎ」

2006/01/09 The Sankei Shimbun

 中国外務省の崔天凱アジア局長は9日、北京での日中政府間協議で「日本のマスコミは中国のマイナス面ばかり書いている。日本政府はもっとマスコミを指導すべきだ」と述べ、日本側に中国報道についての規制を強く求めた。

 メディアを政府の監督下に置き、報道の自由を厳しく規制している中国当局者の要求に対し、日本外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長らは「そんなことは無理」と説明したという。

 日本側によると、崔局長はまた、小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題や日本国内での「中国脅威論」の高まりなども挙げ「(日中間にあるのは)日本が起こした問題ばかり。中国は常に守りに回っている」と批判した。

 佐々江局長は「日本だけが一方的に悪いという主張は受け入れられない」と反論したが、双方の隔たりの大きさに、日本の外務省幹部は「これが日中関係の置かれている実態」と苦笑した。(共同)

「中国社会は安全」91% 国家統計局が治安意識調査

2006/01/10 The Sankei Shimbun

 中国国家統計局が10日発表した社会治安に関する意識調査結果によると、国民の91.9%が「安全」または「基本的に安全」と答えた。

 逆に「安全でない」との回答はわずか8.1%で、中国国内で深刻化する治安悪化の実態を必ずしも反映しない結果となった。

 治安に影響を与えていると感じるのは、デモや暴動などの「社会秩序の混乱」が31.9%でトップ。次いで強盗、殺人などの「刑事事件」が30.9%、増加傾向にある「交通事故」は28.2%だった。

 公安省によると、昨年上半期に起きた殺人は1万1000件、強盗は15万7000件。今月9日には北京で8歳女児のバラバラ殺人が発覚するなど、凶悪事件が相次いでいる。(共同)

04年成長率10%に上方修正 中国、GDP見直しで

2006/01/09 The Sankei Shimbun

 中国国家統計局は9日、昨年末に発表した2004年の国内総生産(GDP)修正値に基づき、同年の実質経済成長率をこれまで発表していた9.5%から10.1%に上方修正したと発表した。華僑向け通信社、中国新聞社電が伝えた。

 過去のGDPも見直した結果、1979年から2004年までの年平均成長率も、これまでより0.2ポイント高い9.6%に修正した。

 国家統計局は昨年12月、初の経済動態調査で分かった第3次産業の実態などを反映させて、04年のGDPを、以前の発表より約17%多い15兆9878億元(約225兆9300億円)に上方修正していた。(共同)

日中、年2000人以上の高校生を相互招待

2006年01月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日中両政府は、毎年、両国の高校生計2000人以上を相互に招待することで基本合意した。

 小泉首相の靖国神社参拝で悪化している日中関係を中長期的に改善し、未来志向の関係に再構築するための環境整備が目的だ。

 両政府外務省は昨年12月下旬、北京で事務レベルの協議を行い、日本側は今年2月にも100億円規模の「日中21世紀基金」(仮称)を創設し、9月に中国の高校生の受け入れを始めることを正式に伝えた。これに対し中国側は、年間約1000人の日本の高校生を中国に招く事業を近く開始する方針を明らかにした。

 日本側による中国高校生の招待は、〈1〉10日程度の短期が年間1100人程度〈2〉2、3か月間の中期が年間100人程度〈3〉1年間の長期が年間50人前後――とする方向で調整している。このうち、短期は日中友好会館、中期と長期が日中21世紀基金の事業となる。

 中国側については、日本と同じ基金方式にするか、毎年の予算で事業を行うかなど、計画の詳細はまだ決まっていないという。

 また、日本側は、人的交流を促進するため、ビジネスや学術、芸術の交流などで来日する中国人への「数次査証(ビザ)」の発給要件を緩和することを検討している。数次査証は、3年間の期間中に何度でも来日が可能だ。

 中国人に対する数次査証は現在、日本の商工会の加盟企業や国営企業の社員、大学の講師以上の学者、著名な芸術家などに限られている。小規模企業の社員らが来日する際は1回ごとに日本の受け入れ先が身元保証書を提出するなど、煩雑な手続きが必要となる。

互いの国益を損ねる 安倍氏、会談拒否の中国を批判

2006/01/07 The Sankei Shimbun

 安倍晋三官房長官は7日午前、日本テレビの番組で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝で冷却化している日中関係について「問題があれば誤解がないか対話していくのが外交のとるべき態度だ。政治の場で問題が起きて経済に意図的に飛び火させるのはお互いの国益を棄損させる」と述べ、首脳会談を拒んでいる中国の姿勢を批判した。

 中国国営の新華社通信が、日中関係の悪化が経済にも悪影響を与え「政冷経熱」が「政冷経涼」に変化しつつあると指摘していることなどを念頭に置いた発言とみられる。

 安倍氏は「政治家として、国のために戦い命を落とした方々の冥福を祈るのは当然だ。その気持ちを持ち続けたい」と述べ、自身も靖国参拝を続ける考えを強調した。

 9月の自民党総裁選で本命候補とされていることに関しては「国会議員になったからにはそう(首相に)なりたいとほとんどの人は思っている」と指摘。出馬するかどうかの最終判断は「官房長官としての仕事を果たした上でどうするか考えたい」と述べた。 (共同)

中国政府シンクタンク「総合国力、日本上回る」 技術や情報力は日本高く評価

2006/01/06 The Sankei Shimbun

 中国政府直属のシンクタンク、中国社会科学院は6日までに「2006年―国際政治と安全保障」と題した報告書をまとめ、世界主要10カ国の総合国力を比べると、中国は日本を上回り世界6位になると発表した。中国は技術力や情報力などで劣るが、外交力や自然資源で日本を大きく引き離しているとしている。

 報告書は軍事力、自然資源など9項目を比較して数値化。その結果、米国の総合国力は90.7ポイントで2位の英国(65.0ポイント)に大きく差をつけた。中国は6位で59.1ポイント、日本は7位で57.8ポイントだった。

 3位はロシアで、フランス、ドイツが4、5位。8位以下にはカナダ、韓国、インドが並んだ。

 中国が日本を上回ったのは人的資源、軍事力など5項目。特に外交力では同盟国数や国連の地位、近隣諸国との関係などを勘案し、中国の78.2ポイントに対し日本は66.6ポイントと分析。中国が外交成果に自信を深めていることをうかがわせている。

 一方、日本については技術力、情報力、資本力などでそれぞれ米国に次ぐ世界2位と評価している。

 報告書はまた、世界と中国周辺の情勢について分析。小泉純一郎首相の靖国神社参拝などで日中関係の改善は短期的には困難とし「政冷経熱」が「政冷経冷」に変わる可能性もあると指摘した。(共同)

中国「日本の主張に道理ない」 総領事館員自殺

2006/01/05 The Sankei Shimbun

 中国外務省の秦剛副報道局長は5日の定例会見で、安倍晋三官房長官が同日、上海の日本総領事館職員の自殺問題で中国側の「遺憾な行為があった」と述べたことに対し「日本側の主張は道理がなく(中国側を)挑発している」と批判、日本が冷静に問題処理に当たるよう求めた。

 日本政府の主張を否定し、既に決着済みとの姿勢をあらためて示したといえる。また小泉純一郎首相が5日の記者会見で、中国と韓国による靖国神社参拝への批判に反論したことに関連し「歴史に対する反省を実行に移すことが、中日関係の改善と発展の条件だ」と述べ、首相の靖国参拝を批判した。

 秦副局長は自殺問題について「中国側の調査によって出された結論は厳粛で、責任あるものだ」と指摘。中国政府が先月31日に発表した、日本政府が当初「仕事上の重圧による自殺だった」と説明していたとの声明が「事実」だとの考えを表明した。

 また、秦副局長は「(領事官の保護などを定めた)ウィーン条約に基づき中国に滞在する外交官の合法的権益を保護している」と述べ、中国公安当局による「遺憾な行為」を否定した。

 その上で「中日関係に新たな面倒な問題をつくり出すべきではない」と日本側の今後の対応にクギを刺した。(共同)

領事館員自殺 中国「職務の重圧、日本表明」 外務省「事実でない」

2006/01/03 The Sankei Shimbun

 外務省は一日、在上海日本総領事館男性職員の自殺問題について、「日本側は職務の重圧のために自殺したと表明」したとの中国政府声明に対し、「日本側がそのような立場を表明したとの事実はない」と反論する文書を発表した。

 事実関係をめぐり、日中両政府の主張が真っ向から対立した形。日本側は「報道されているような事実があったとすれば、厳しく抗議をするのは当然だ」(安倍晋三官房長官)との認識を示しており、双方の対応次第では日中関係にとって新たな火種となりそうだ。

 文書は「日本政府として、中国政府に対し、事件発生直後から、事実関係の究明を求めるとともに、厳重な抗議を行っている」と強調し、「職務の重圧」との見方は取っていないことを指摘。「現地の中国公安当局関係者による、領事関係に関するウィーン条約上の接受国の義務に反する遺憾な行為があった」との見解を改めて示した。

 中国政府の声明は、昨年十二月三十一日、東京の中国大使館のホームページ上で出された。外務省側は文書で、「『この事件は中国政府関係者といかなる関係もない』との中国側の立場は受け入れられない」と中国政府を批判。「中国政府から本件の事実関係について説明を受けたとの事実もない」と表明し、声明の「事実関係は日本側も承知している」との主張に反論した。

 中国政府の声明について、外務省内には「中国側が公式に公安当局が関与したことを認めるわけがない」(幹部)との見方も出ているが、引き続き事実関係の究明を求める構えだ。

「遺憾な行為あった」総領事館員自殺で外務省が反論

2006年01月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中国の在上海日本総領事館の男性館員が2004年5月、中国側から外交機密に関する情報提供を強要されたとする遺書を残して自殺した問題で、外務省は1日、改めて「死亡の背景には、現地の中国側公安当局関係者による、領事関係に関するウィーン条約上の接受国の義務に反する遺憾な行為があった」とする声明を発表した。

 外務省の声明は、在日中国大使館が31日に、「事件の責任を中国側に押しつけようとしている」などとして、日本側の対応を非難する声明を発表したことに反論したものだ。

 中国大使館が声明で、「日本側は、館員が職務の重圧のために自殺したと表明」したとしているのに対し、「日本側がそのような立場を表明したとの事実はない」と否定。「この事件は中国政府関係者といかなる関係もない」との中国側の立場についても、「我が方として受け入れられず、そのような中国側の立場は最近の中国外交部報道官の記者会見における発言を通じて承知しているが、それ以前に中国政府から本件の事実関係について説明を受けたとの事実もない」としている。

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