TOPIC No.2-31a-5 2005年度日中関係

「日本側、仕事の重圧が原因と説明」 領事館職員自殺で中国政府

2005/12/31 The Sankei Shimbun

 上海の日本総領事館の男性職員が2004年5月に自殺した問題で、中国政府は31日、東京の中国大使館を通じ、日本政府が当初「仕事上の重圧による自殺だった」と説明していたとする声明を発表した。中国政府が日中間の外交的なやりとりを声明で明らかにするのは異例。

 日本政府は、自殺の背景に中国公安関係者による「遺憾な行為」があったとして中国側に抗議したとしている。日本政府の主張と中国の声明には矛盾があり、中国が“暴露”した「事実関係」に、日本政府がどう反論するかが今後の焦点となりそうだ。

 声明によると、日中両政府はこの職員の自殺をめぐって何度も協議。日本側は「家族の希望に基づき非公開にしてほしい」と中国政府に求めたという。

 自殺の背景について声明は「中国政府関係者が関与していないことを確認し、日本側にも伝えた」と指摘。中国が事実関係の照会に回答していないとする日本側の主張を全面否定した。

 声明はさらに、日本政府がこの問題に関する日本国内での報道に反応して、従来の見解を変えたと中国側がみていることを示唆。こうした日本側の態度について「自殺の責任を中国になすり付けようとしている」と非難した。

 中国は29日にも、外務省の秦剛副報道局長が定例記者会見で「中国のイメージを著しく傷つけた日本側の行為に強烈な憤りを感じる」と激しく反発していた。(共同)

在上海領事館員自殺で中国、日本の抗議に「強烈な憤り」

2005/12/29 The Sankei Shimbun

 中国外務省の秦剛副報道局長は29日の定例記者会見で、日本政府が在上海日本総領事館の男性職員の自殺をめぐり中国側に抗議したことについて「中国のイメージを著しく傷つけた日本側の行為に強烈な憤りを感じる」と述べ、強く反発した。

 また「中日双方はこの件の結論をはるか前に出しているが、日本は1年半もたった後に問題を蒸し返した上、自殺と中国当局者を結び付けた。(何らかの)意図があるのは明らかだ」と指摘した。

 日本政府は28日、男性職員が中国公安当局関係者による「遺憾な行為」が原因で自殺したとの見解を発表した。(共同)

総領事館員自殺、「中国の行為遺憾」

2005/12/29 中国新聞ニュース

 政府は二十八日、中国の在上海日本総領事館の男性職員が昨年五月、中国側から外交機密に関する情報提供を強要されたとの遺書を残して自殺したとされる問題について、自殺の事実を認めるとともに、背景に中国公安当局による「遺憾な行為」があったとの見解を発表した。

 鹿取克章外務報道官は二十八日午後の記者会見で「館員が自殺したのは確かだ」と明言。原因については「現地の中国側公安当局関係者による(領事官の保護などを定めた)ウィーン条約国の義務に反するとみられる遺憾な行為があったと考えている」と指摘、中国側に抗議したことを明らかにした。「遺憾な行為」の内容に関しては「詳細は差し控える」とだけ述べた。

 政府高官によると、抗議は、館員が自殺した後に当時の杉本信行上海総領事、北京の日本大使館の堀之内秀久公使がそれぞれ行ったほか、今月十九日には、中国に出張した外務省の泉裕泰中国課長、二十七日には佐々江賢一郎アジア大洋州局長が王毅駐日中国大使にあらためて申し入れた。

 この問題で中国外務省の秦剛副報道局長は二十七日の記者会見で「事実に基づいていない」との見解を表明。これに対し鹿取氏は「事実関係の究明と抗議への回答を待っている」と述べた。

 これに関連し、安倍晋三官房長官は二十八日午前の記者会見で「報道されているような事実があったとすれば、厳しく抗議をすることは当然だ」と強調。外務省の対応について「一部報道以前に私は報告を受けていない」と不快感を示したが、鹿取氏は「適切に対応してきた」と述べた。

 ▽外務省、1年7カ月もひた隠す

 外務省は在上海日本総領事館員が昨年五月に自殺、背景に中国公安当局の「遺憾な行為」があったことを一年七カ月近くもひた隠しにし、その間、中国当局への抗議や真相究明の措置も中途半端に終わった。

 政府高官によると、外務省は四度、中国側に抗議したという。最初の二回は自殺した後だが、その後は今月に入ってからだった。これでは「納得のいく回答がない」(鹿取克章外務報道官)まま放置していたと言われても仕方がない。

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝で冷え込む日中関係に、新たな問題を持ち込むのは避けたいとの「事なかれ主義」が外務省の対応のまずさをもたらしたといえる。

 外務省は公表しなかった理由を「遺族の希望」としている。この問題は今月下旬、一部週刊誌が報じたことで明るみに出て、安倍晋三官房長官が二十七日に死亡の事実だけを確認。二十八日になって鹿取外務報道官が自殺を認めるなど、対応が後手後手に回った。

 それでもなお、中国公安当局の「遺憾な行為」の中身や抗議内容など詳細な説明は「遺族の強い意向」を理由に一切なかった。

反日署名の活動家、国家転覆の罪で禁固12年の判決

2005年12月25日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【香港=吉田健一】ニューヨークに本部を置く人権団体「中国人権」は24日、中国・重慶市の裁判所が、反日運動の署名活動に参加したとして公安当局に拘束されていた同市の民主活動家・許万平氏(44)に対し、国家転覆を扇動した罪で禁固12年の判決を言い渡したと発表した。

 発表によると、公安当局は今年3月末に反日活動を理由に許氏の身柄を拘束。今年5月、国家転覆を扇動したとの容疑で正式に逮捕していた。

中国に「親しみ感じる」最低に…内閣府調査

2005年12月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 内閣府は24日、「外交に関する世論調査」結果を発表した。中国に「親しみを感じる」と答えた人は、2004年より5・2ポイント減の32・4%で、同様の質問を始めた1978年以降、最も低かった。

 逆に、「親しみを感じない」は前年比5・2ポイント増の63・4%と初めて6割を超え、過去最高を更新した。内閣府は「中国各地で起きた大規模な反日デモや、東シナ海のガス田開発を巡る日中の対立などが影響しているのではないか」と分析している。

 調査は今年10月上中旬に、全国20歳以上の男女3000人を対象に実施した。回答率は58・5%。

 日中関係については、「良好だと思わない」との回答が前年より10・2ポイント増の71・2%に上った。良好だと思う人は、8・4ポイント減の19・7%だった。

 一方、韓国に対しては、「親しみを感じる」人は51・1%で、5・6ポイント減。「韓流ブーム」で過去最高を記録した前年よりやや減ったが、なお高い水準にある。20歳代では約61%、30歳代も約59%と、若いほど韓国への親近感は強い。親しみを感じない人は44・3%だった。

 日韓関係が良好だと思わない人は16ポイント増の50・9%と、良好だと思う人(39・6%、前年比15・9ポイント減)を4年ぶりに上回った。小泉首相の靖国神社参拝などをめぐり、韓国が首脳交流を中断していることが影響したと見られる。

 北朝鮮問題での関心について、最も多い回答は日本人拉致問題で87・6%(前年比0・7ポイント減)。核開発問題は7・3ポイント増の63・9%、以下、ミサイル問題(52・2%)、政治体制(46・3%)などが続いた。

 日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに関しては、賛成が68・3%で5・7ポイント増えた。

五輪控え北京「直訴村」取り壊し着手 4000人厳寒耐え野宿者も

2005/12/25 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 中国当局は、地方の役人の腐敗や横暴などの実情を中央に陳情するため全国からやってきた農民らが集団で住む北京市の通称、「直訴村」の取り壊しを始めた。二〇〇八年の北京オリンピックに向けて“環境整備”をする狙いだ。氷点下一〇度の厳寒の中、路上で寝泊まりする者もいる“直訴人”たちの間では政府に対する怒りが渦巻いていた。(北京 野口東秀)

 「直訴村」は北京南駅の周辺に広がり、四千人前後の陳情者が住む。

 現場の陳情者らによると、十一月下旬、その一角にある簡易宿舎十数棟が取り壊された。ここだけで多い時は千人ほどが住んでいたとされ、がれきの山と半壊した無人の建物、散乱する食器など家財道具が残っていた。

 取り壊し作業は「緑化用地」にするため行われたという十二月四日付の公告が張られていた。当局は陳情者たちの「宿泊禁止」を宿泊施設に通達し、相当数の陳情者を連行していったという。

 近くの国務院の陳情窓口周辺では日頃から、各省の地方ナンバーを付けた当局車両が十数台、横付けになっている。同じ省の陳情者たちを連れ戻すため、当局者が待ち伏せしているのだという。

 「直訴村」の通りはしかし、陳情書を手にした人でごった返していた。

 壁には「法治、司法の公正はどこにあるのか」「朱鎔基(元首相)は反腐敗の闘士だった」などの紙がびっしり張られている。その付近では、女性が「人民法院(裁判所)は人民を迫害…」などと自分で作った詩を延々と読み上げている。

 陳情者相手の簡易コピー屋が軒を連ね、どこも陳情書をコピーする人であふれかえっていた。字が書けない人のための代筆屋も繁盛している。

 一杯数元(一元約十五円)のめん屋の軒先では、陳情の老人が「一日食べるのは一回だけ」とうどんをほおばっていた。女主人は「陳情者でおカネに困っている人には無料で食べさせている。かわいそうで、見て見ぬふりもできない」と話す。

 簡易宿舎は、一部屋に十数人が寝泊まりする劣悪な環境で、一泊三元−五元。それも払えずに集めてきたビニールや布などでベッドを作り、寄り添って野宿するお年寄りの陳情者も。野宿していた女性は「宿泊代? 払えっこない」と語る。一部の宿舎取り壊しで「橋の下で野宿する貧困者も多い」(陳情者)という。

 「中国メディアは相手にしてくれない。日本でいいから報道して」と陳情書を握らせようとする手が次々に伸びてきた。

 陳情に来て数日の新参者から、直訴歴十数年の者までさまざま、「勤め先の仲間に夫が撲殺されたが、警察は逮捕しない」「一人っ子政策に違反したとして当局に財産を没収された」など訴えの内容もさまざまだ。中でも、当局による暴力の被害や不公正裁判を糾弾する者が比較的多い。

 中国紙「南方週末」によると、こうした陳情は過去十年、一貫して増加傾向にあり、二〇〇三年は一千万件に上った。だが、「解決率は0・2%」(社会科学院の調査)との結果もある。

 胡錦濤政権のスローガンは、「調和の取れた社会」の建設推進ながら、腐敗などの不満に対する中央政府への直訴が減る気配はない。「法治社会じゃないから何年かけても直訴する」と、陳情者の女性はつぶやいた。

日中韓外相会談も見送り 中国外務省が発表

2005/12/08 The Sankei Shimbun

 中国外務省の秦剛副報道局長は8日の定例会見で、クアラルンプールで開かれる東アジアサミットなどの会議の期間を利用した日中韓外相会談を見送ると発表した。理由については「誰でも知ってる原因のため」と述べ、小泉純一郎首相の靖国神社参拝への抗議であることを示した。

 中国は4日に「現在の雰囲気と条件」を理由に日中韓首脳会談の見送りを発表。外相会談も見送られたことで、中韓両国との高レベルの会談の機会は当面なくなった。

 秦副局長は「近く3カ国の外相会談が開かれる計画はない。原因は周知のもので、さらなる説明を持ち合わせていない」と語った。中国は11月、韓国釜山で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際にも日本との首脳、外相会談を拒否した。

 副局長はまた、麻生太郎外相が7日に中国の軍事予算の透明化を求める発言をしたことについて「中国は防衛のための政策を推進している。国防白書を発表し、軍事費を公開している」と反論、「日本こそ(自らの)近年の軍事動向について近隣諸国に説明すべきだ」と批判した。

 日中韓外相会談は、昨年11月、ビエンチャンで東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)首脳会議が開催された際には行われた。(共同)

中国首相、したたか商談 エアバス150機購入、見返りは工場誘致

2005/12/08 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 【パリ=山口昌子】中国の温家宝首相は7日、フランス南部カンヌにある大手通信システムメーカー、アルカテルの工場を訪問、4日間の訪仏日程を終えた。欧州の航空機製造大手、エアバス社の旅客機、A320を150機、購入する契約に調印する一方、中国国内に同社組み立て工場を誘致する可能性をしっかり盛り込むなどしたたかな商談も展開した。

 温首相は今回、エアバス機購入のほか、エアバスの親会社の関連会社、ユーロコプターとの民用ヘリの共同開発、アルカテルからの通信衛星1基の供給契約、中国版新幹線建設のためのフランスからの1億5000万ユーロ(約212億6000万円)の援助議定書にも調印した。

 エアバス社との間ではA320の組み立て工場建設の可能性も含む中仏協力議定書にも調印。エアバスは最終決定は半年後に行うとしているものの、温首相は「航空産業における中仏協力は航空機購入に制限されず、技術的・開発的協力を含む」と指摘しており、フランスはエアバス150機購入と引き換えに基幹産業の航空機の技術をはじめ、いくつかの“おまけ”まで付けた形だ。

 中国は先月、米航空機製造大手ボーイング社からB737−700型など計70機を購入する大型商談をまとめた。さらにブッシュ米大統領訪中に合わせ、同社からB737型機80機の追加購入の可能性を発表、最終的には150機になり、エアバス購入機数と同じになる。

 温首相は、6日の理工科系エリート校、ポリテクニック(理工科学校)での講演では、フランス、米国、ロシアが争奪戦を演じている原子炉4基の契約問題に言及し、「中国はフランスが技術移転や価格に関し、より魅力的な条件を提供するよう期待する」と述べ、技術移転や値引きを迫った。

 6日には、仏南部カダラッシュの国際熱核融合実験炉(ITER)の建設現場も見学、「(実験炉完成の)10年後に再訪する」と約束、日仏間の建設地誘致合戦で、中国がフランス側を支援したことを暗に示唆した。

 フランスは天安門事件に伴う対中武器禁輸措置の解除も推進しており、政財界指導層の“商売第一主義”に対しては、国民議会(下院)議員約100人が6日、「民主化に向け中国の進展を助成するために介入すべきだ」との声明を発表している。

 最初の訪問地フランスを後にした温首相は、7日にはスロバキアに到着。この後、チェコとポルトガルも訪問する予定だ。

曽副主席、首相の靖国参拝非難 福島党首との会談で

2005/12/07 The Sankei Shimbun

 中国訪問中の社民党の福島瑞穂党首が7日、北京の人民大会堂で中国の曽慶紅国家副主席と会談。中国中央テレビによると、副主席は小泉純一郎首相の靖国神社参拝が「中国人民の感情を著しく傷つけた」と述べ、参拝をあらためて非難した。

 小泉首相の10月17日の靖国参拝以降、中国の国家指導者が日本の政党党首に会うのは初めて。副主席は靖国問題で妥協しない中国指導部の強い姿勢をアピールした。

 曽副主席は、日中関係が「日本の指導者の参拝によって重大な困難」に見舞われていると指摘、首相の参拝が「両国の政治的基礎を損なった」と批判した。その上で両国の政治家の努力で「関係正常化を図り、長期的な友好関係を発展させる」必要があると強調した。

 これに対し、福島党首は「小泉首相は(侵略の歴史の反省を表明した村山富市首相の)談話を踏襲すると言っているが、行動が伴っていない」と応じた。

 福島党首によると、曽副主席は自民党が改憲草案をまとめたことについても「平和的発展の道を変えようという動きに対しては、アジア、世界の人々が心配しているのではないか」として、懸念を示した。

 社民党の訪中団には回顧録の中国語訳が出版される村山元首相も同行、副主席との会談に同席した。

 福島党首らは中国共産党の王家瑞・対外連絡部長とも会談。8日には北京郊外の盧溝橋にある「中国人民抗日戦争記念館」を見学、9日に帰国する。(共同)

会談拒否理由は「靖国」 中国、事実上認める

2005/12/06 The Sankei Shimbun

 中国外務省の秦剛副報道局長は6日の記者会見で、中国がマレーシアでの東アジアサミット前の日中韓首脳会談開催を見送った問題について「誰でも知っている原因によって見送らざるを得なかった」と述べ、小泉純一郎首相の靖国神社参拝に対する抗議措置として拒否したことを事実上認めた。

 また副局長は「こうした事態をわれわれは見たくなかった」と述べ、中国が不本意ながら会談を見送ったとの立場をアピール。日本を念頭に「3カ国の協力関係を推進するためにふさわしい雰囲気と条件をつくりあげるよう望む」と述べ、会談再開のためには首相の参拝自粛が必要との見方をあらためて示した。(共同)

私営企業の比率60%に 中国、国有企業6%に低下

2005/12/06 The Sankei Shimbun

 中国国家統計局が6日発表した調査結果によると、昨年末時点の全国の企業数は合計325万社に達し、2001年の前回調査時点に比べ7.4%増加した。

 うち、私営企業は198万2000社と50%増え、全体に占める比率も前回の43%から61%に大幅に上昇した。一方、国有企業は19万2000社で48%減少、比率も12%から6%弱に低下した。

 ただ、払込資本別でみると、政府が全体の48%を占め、個人は28%、外資は8.7%。国有企業数は減っているものの、石油、電力など大企業が多いためとみられる。

 また、昨年末の第2次産業と第3次産業の雇用者数合計は3億882万人だった。(共同)

中国、エアバス150機購入 1兆2000億円で契約

2005/12/05 The Sankei Shimbun

 中国政府は5日、欧州の航空機メーカー、エアバスとの間で中型旅客機「A320」シリーズ計150機を購入する契約に調印した。購入総額は約100億ドル(約1兆2100億円)で、同社が約20年前に中国との取引を始めて以来、1回の契約額としては最大という。中国国際航空など6社が使用する。

 調印式にはフランスを訪問中の温家宝首相とフランスのドビルパン首相が立ち会った。

 これに先立つ4日には中国国家発展改革委員会とエアバスは、同社が中国での旅客機生産に向けた事業化調査を始めることなどを盛り込んだ合意文書に調印した。

 中国英字紙、チャイナ・デーリーによると、中国での生産が実現すればエアバスがドイツ、フランス以外に工場を設ける初のケースとなる。中国は米国との貿易不均衡是正に向け米ボーイングからの航空機購入を進める方針で、エアバスは中国との関係を強化し、巻き返しを図る。ロイター通信によると、中国工場ではA320を製造する見通し。

 エアバスの中国の航空機分野での協力は1985年に始まり、現在は中国航空工業第一集団など5社が部品製造を受注している。(共同)

日中韓首脳会談見送り 中国外務省が発表

2005/12/04 The Sankei Shimbun

 中国外務省は4日、今月の東アジアサミットに合わせてクアラルンプールで開催予定だった日中韓3カ国の首脳会談について「現在の雰囲気と条件により、適当な時期まで延期する」として、見送りを発表した。

 日中関係筋によると、中国政府は4日、首脳会談を見送る意向を、外交ルートを通じて日本政府に伝えた。

 中国は、東アジアサミットで温家宝首相が小泉首相との首脳会談に応じない方針をすでに示していた。

 <日中韓首脳会談> 東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス日中韓3カ国首脳会議の際に行われる。故小渕恵三元首相が1999年に朝食会の形式で行うことを提唱し、年1回定例で開くことで合意、これまでに6回開かれた。今年もクアラルンプールで今月開かれる東アジアサミットに合わせ、開催に向けた調整が進められていた。(共同)

「中日関係に冷や水」 人民日報が麻生外相批判

2005/12/01 The Sankei Shimbun

 中国共産党機関紙の人民日報(海外版)は、1日付朝刊に「麻生太郎(外相)は中日関係に冷や水を浴びせた」と題する署名記事を掲載し、小泉純一郎首相の靖国神社参拝に理解を示す発言を続けている麻生外相を強く批判した。

 同記事は、靖国神社の展示施設「遊就館」について「写真や映像を使って『日本は被害者だ』とか、『大東亜戦争は仕方なかった』となどと称している」と非難。その上で、麻生外相の発言について「戦犯をあがめたてまつる小泉首相のため、黒を白と言いくるめようとしている」とけん制した。(共同)

反日デモで破損の在中大使館、ガラス交換開始

2005/11/14 The Sankei Shimbun

 北京で4月9日に起きた反日デモの際、群衆の投石で破損した日本大使館の窓ガラス数十枚を交換する工事が22日、始まった。工事期間は2―3週間。

 中国政府は原状回復に応じる意思を表明しているが、謝罪はしていない。

 日本大使館の建物は中国外務省下部機関の不動産会社が所有し、日本側が借りている。この日は作業員が通り側の建物の外に足場を組んだり、汚された壁の一部にペンキを塗るなどした。

 反日デモは、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに反対する署名運動などをきっかけに4月に各地で発生。北京では1万人以上がデモ行進、一部が大使館や日本料理店に投石するなど暴徒化した。(共同)

中国で日本文学が人気 知識人らに高まる関心

2005/11/14 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝などを受け、日中関係は「国交正常化以来最悪」(日本人外交官)とされる中、中国で日本の文学などが人気を呼び、出版界では“日本ブーム”が起きている。日本との多様な交流が深まっているほか、知識人を中心に日本に対する関心が高まっていることも背景にあるようだ。

 人気の筆頭ともいえるのが村上春樹氏の作品だ。村上氏の作品の翻訳を多数手掛ける中国海洋大の林少華教授によると、中国では「ノルウェーの森」や「海辺のカフカ」など計31作品が翻訳され、約350万部が出版された。「中国の作家を含めても文学ではベストセラーの一つ」(林教授)という。月収5000元(約7万2000円)を超えるホワイトカラーなど若者の間で「村上熱」が根強い。

 また、米国の文化人類学者ルース・ベネディクトの日本文化論「菊と刀」は昨年、中国紙の学術図書ランキングで30週以上もトップテン入り。中国では約15年前に出版されたが「毎年1万部以上出ており、特にここ2、3年よく売れている。学術図書としては異例」(出版社の商務印書館)という。

 別の出版社幹部は「中国人の日中関係への関心はとても高い。日本人の国民性を知るために『菊と刀』を読むようだ」と話す。

 海外作品を専門に手掛ける「訳林出版」(江蘇省南京)は「日本人作家の作品は人気がある。夏目漱石の『吾輩は猫である』も売れている」と話す。北京の「文化出版」では数年前に渡辺淳一氏の全集を発行し「若者に愛読されている」と胸を張る。

 だが、日本文学のファンが「日本好き」とは限らない。村上氏と谷崎潤一郎を崇拝するという中国の若手有名作家はあるインタビューで「日本の作家は好きだが、日本人は嫌いだ」と心情を吐露。林教授は「反日デモの参加者にも『村上ファン』はいると思う」と述べ、中国人読者が日本の政治と文化を分けて受け止めている実態を指摘する。

 村上ファンを自任する北京大大学院の女子学生(23)は「女子学生の間では『村上を読まないと時代遅れ』といわれる」と傾倒ぶりを隠さない。「日中関係は厳しいが、政治と文学は別問題。美や善を追求する気持ちは同じ。中国人が日本人の作品を好きになっても全然おかしくない」と話している。(共同)

日本連合の受注が焦点に 中国高速鉄道、独が先行

2005/11/13 The Sankei Shimbun

 中国が進めている高速鉄道計画でドイツの重電大手シーメンスがこのほど100編成(計800両)のうち60編成分を受注、ドイツと競争する形で応札している日本企業連合がどの程度受注できるかが焦点になっている。

 中国は昨年、在来線の高速化用車両200編成の入札を行い、川崎重工業など日本企業6社と提携する中国の車両製造大手「南車四方機車車両」(山東省)が60編成を受注、フランス、カナダの企業も受注した。

 今回は時速300キロの高速鉄道用と同200キロの準高速用の電車計100編成を発注。10月に日本企業・南車グループと、シーメンスと提携する中国企業の2グループが見積もりを出していた。

 シーメンスが受注したのは300キロの高速用で、2008年開業予定の北京―天津間の路線などに使われる予定。残る40編成は300キロ用と200キロ用が混在しているもようだが、最終的にどのような形で決着するかは予断を許さない。

 シーメンスは昨年の入札では価格面などで条件が合わなかったとされるが、今回は技術移転も約束、胡錦濤国家主席のドイツ訪問に合わせて受注を獲得した。フランスなどは今回の商談に参加していない。(共同)

日中外相会談「可能性低い」…中国副報道局長

2005年11月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【釜山(韓国)=竹腰雅彦】中国外務省の秦剛・副報道局長は14日、韓国の釜山空港で報道陣に対し、釜山でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で日中外相会談が開かれるかどうかについて、「現状では可能性は低い」と述べた。

 さらに、日中首脳会談についても「今のところ可能性はない」と語った。

 先の小泉首相による靖国神社参拝を受け、中国は対日姿勢を硬化していた。

中国でイスラム過激派攻撃の情報

2005/11/09 中国新聞ニュース

 【北京9日共同】在北京の米国大使館は九日、今週から来週にかけてイスラム過激派グループが中国国内の高級ホテルを攻撃する可能性があるとの情報を中国公安当局から得ているとして、中国在住の米国人や旅行者に注意を呼び掛けた。当局が大使館やホテルなどにテロ警戒情報を伝えるのは極めて異例だ。

 ブッシュ米大統領は十九日から二十一日まで訪中予定で、攻撃情報は訪中と関連する可能性があるとみられている。

 中国公安省は、これまで新疆ウイグル自治区を中心とした「東トルキスタン」独立派と国際テロ組織による活動を「最大のテロの脅威」としているが、攻撃情報とこれらの組織との関連は不明。

 大使館のウェブサイトによると、公安当局は国内の最高ランクである五つ星と、その次の四つ星のホテルに対してこうした情報を伝えて警戒するよう求めた。当局は大使館に対しては「適切な手段を取り捜査を行っているので心配ない」と述べたとしている。

 北京の日本大使館は「そうした情報は聞いていない」と話している。

東大が中国に産学連携拠点 環境やエネルギーで協力

2005/11/04 The Sankei Shimbun

 東大は4日、中国・無錫に工学系研究科の中国拠点となる「東京大学無錫代表所」を開設した。中国の研究機関、企業や日系企業と連携し、環境対策やエネルギー問題を研究する。東大によると、日本の大学が中国に産学連携拠点を設けるのは初めて。

 (1)中国のエネルギー・環境動向に関する情報収集(2)電子機器などの部品取り付け技術に関する産学連携(3)中国の大学の社会人コースへの協力などによる人材育成―などを重点的に行う。

 第一歩として、部品取り付けの無鉛化技術と、環境に配慮するエコデザインの取り組みを中心とする産学連携プロジェクトを発足させる。

 エネルギー問題に関しては、中国の研究機関、行政、産業界とのネットワークを構築し、エネルギー資源獲得の動向などの情報収集を図る。

 また人材育成により、日系企業への人材供給も目指すという。

 無錫市には半導体関連産業を中心に日系企業の集積が進み、同市当局も日本との関係強化に力を入れている。市内の建物(約200平方メートル)を同代表所に無償貸与する。(共同)

資生堂、純利益2.2倍 中国での事業拡大

2005/10/27 The Sankei Shimbun

 資生堂が27日発表した2005年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比4.6%増の3305億円、純利益が約2.2倍の102億円となった。主力の化粧品事業で、新しい大型ブランドや、成長市場の中国での事業拡大がけん引役となった。

 06年3月期の通期業績予想についても、純利益を期初予想から60億円増の160億円に上方修正した。

 化粧品事業では、8月に発売した大型メーキャップブランドの売り上げが堅調で、国内売上高が1.5%の伸び。海外は11.3%の大幅増。

 シャンプーなどのトイレタリー部門では不採算事業の整理で収益構造の改革を進め、営業利益が黒字転換した。(共同)

知的財産権侵害、中国に調査要求 商標模倣など

2005/10/27 The Sankei Shimbun

 政府は27日、世界貿易機関(WTO)の協定に基づき、中国政府に対し、映画・音楽ソフトや企業の商標の模倣など、知的財産権侵害に関する取り締まり状況について情報提供するよう求めたと発表した。米国やスイスとの協調行動で、3カ月以内に回答するよう文書で要請し、国際ルールに従い改善を迫った。

 中国企業による知的財産権の侵害が、国際的な問題となる中、日米、スイスが連携し、中国政府に対し、取り締まりを強化し、知的財産権を保護するよう促すのが狙い。

 中国では、日本の二輪車メーカーや精密機器メーカーの商標が中国企業に模倣されるケースなどが多発し、被害が深刻化している。

 WTOの知的財産権に関する協定に基づき情報提供を求めるのは、1998年にキューバが米国に要請したのに次いで2例目。(共同)

昨夏の公用車襲撃、中国が補償

2005/10/26 The Sankei Shimbun

 昨年夏のサッカー・アジア杯の日中両チームによる決勝戦終了後、日本の原田親仁駐中国公使が乗った公用車が暴徒に襲撃された事件で、中国外務省が事実上の補償に応じ、襲撃から約1年を経た7月下旬に、日本大使館からの請求額の大部分である約25万円を支払っていたことが25日分かった。北京五輪を控える中国が国際社会からの批判を念頭に置き、支払いに応じたものとみられる。大使館や大使公邸も原状回復に向けた工事が近く始まる見通しだ。(北京 野口東秀)

経団連首脳が極秘訪中 胡主席と経済で意見交換

2005/10/22 The Sankei Shimbun

 日本経団連の奥田碩会長(トヨタ自動車会長)ら財界首脳が9月30日に北京を訪問し、中国の胡錦濤国家主席と会談していたことが22日、分かった。関係筋によると、経団連副会長である三村明夫・新日本製鉄社長や宮原賢次・住友商事会長らも同行し、日中経済や「靖国参拝問題」が両国経済に与える影響について意見交換したという。

 奥田会長は9月26にも日中経済協会訪中団のトップとして、北京で温家宝首相と会談。いったん帰国して中国を再訪問していた。中国の首脳が、日本の財界人と短期間に会談するのは極めて異例。

 会談で胡主席が奥田会長に小泉純一郎首相が靖国神社に参拝しないように働き掛けたかどうかについては、関係筋は「取り上げられなかった」としている。(共同)

北京などで反日デモ警戒 首相参拝後初の週末

2005/10/22 The Sankei Shimbun

 中国当局は22日、小泉純一郎首相の17日の靖国神社参拝から初の週末を迎え、反日デモの再発を警戒、北京の日本大使館前などの警備態勢を強めた。大使館は在留邦人らに引き続き注意を呼び掛けている。22日午前段階で反日活動などの情報は入っていない。

 4月に中国各地で相次いだ反日デモはいずれも土、日曜日に発生した。しかし中国指導部は4月後半以降、対日抗議行動の取り締まりを強化、首相の参拝を契機に「大規模デモが発生する可能性は低い」(中国消息筋)との見方が強い。

 上海と広州の日本総領事館前には私服警官が通常より多めに配置された。反日ウェブサイト「愛国者同盟ネット」のサイトに一時アクセスできなくなるなど、当局が抑え込みを強化しているとみられる。

 中国各地では、日本が絡む文化イベントなどで行事の中止や延期などが相次いでいる。北京大では、留学生による「国際文化祭」に向けた準備の過程で、日本人留学生のブースが21日までに「安全な場所」に移されるなど、大学当局が神経をとがらせた。

 中国メディアは参拝に対する批判記事を抑え気味に報道。4月の際に日本批判の書き込みであふれ、大規模デモの要因とされたインターネットのサイトにも、反日行動を促すような目立った書き込みはみられない。(共同)

反日サイトの上海警察批判が削除…当局抑え込み?

2005年10月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【上海=加藤隆則】小泉首相の靖国神社参拝をめぐり、対日強硬姿勢を打ち出していた中国のインターネットサイト「愛国者同盟ネット」は21日までに、抗議行動を排除する上海市警察当局を批判した部分の削除に追い込まれた。

 反日デモに対する中国当局の強い抑え込み姿勢を反映したものと見られる。

 同サイトは、上海の日本総領事館前で19日、副編集長が抗議プラカードを手にしていたところを警察に連行された経緯がある。サイトは、この連行を「何の法律に触れるというのか」と批判、「上海警察は恥を知るべきだ」と訴えていた。

中国の1―9月貿易黒字、昨年同期の17倍に

2005年10月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=東一真】中国商務省が11日発表した税関統計によると1〜9月の中国の貿易黒字は前年同期比の約17倍に当たる683億4000万ドルとなった。これは昨年1年間の貿易黒字(319億5000万ドル)の2倍以上の額。

 輸出は5464億2000万ドル、輸入は4780億8000万ドルだった。

 9月単月の貿易黒字も前年同期月比50・5%増の75億7000万ドルとなり、7月の人民元の切り上げにかかわらず貿易黒字が拡大している実態を見せつけた。

パンダ債発行額は計21億元 中国人民銀が認可

2005/10/09 The Sankei Shimbun

 中国人民銀行(中央銀行)は9日、アジア開発銀行(ADB)と世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が国際金融機関として初めて中国で発行する人民元建て債券「パンダ債」の発行額について、ADBが10億元(約140億円)、IFCが11億3000万元とすると発表した。いずれも期間は10年。

 パンダ債発行の認可は9月末に財政省が発表。人民銀は「国際金融機関が中国の銀行間債券市場で元建て債を発行するのは、金融市場の発展と対外開放に重要な意義がある」と評価した。(共同)

対中政策 外務省挙げ総合戦略 幹部会、定期的に開催へ

平成17(2005)年10月09日 The Sankei Shimbun

 驚異の経済成長を続け、急激に軍事力を増強する中国に対し「チャイナスクール」だけでは対応しきれないと、外務省は八日、対中政策を集中協議するため事務次官、外務審議官、各局長らが参加する幹部会を定期的に開催することを決めた。同省では、中国課がほぼ一元的に対中政策を担当してきたが、地球規模で中国が巻き起こすさまざまな問題に対応するには全省挙げて協議する必要があると判断した。

 幹部会では、日中関係だけでなく、対中総合戦略の構築も視野に、中国が今後の国際政治や国際経済にどのような影響を及ぼすかを多角的に検証する作業が行われる見通しだ。

 中国は、高度経済成長を維持するため世界各地で石油や鉱山資源を獲得する「資源外交」を展開。東シナ海の日中中間線付近では石油ガス田開発を強行する一方、中国海洋石油が米石油大手のユノカルを買収しようとしたが、米議会で安全保障上問題があるとの懸念が示され、頓挫した。

 また、米国防総省が今年七月に公表した中国の軍事力に関する年次報告書は、中国軍の近代化が周辺地域の軍事バランスを危険にさらし始めていると警告した。軍拡が進めば中国は確実に「地域覇権」を目指す脅威になるとの見通しを示した。

 中国は二〇三〇年には米国に次いで世界第二位の経済大国になるとの予測もあり、「中国が国際秩序の攪乱(かくらん)要因になる可能性が強い。『中国問題』は近い将来、世界的な問題に広がる」(外務省筋)との見方が強い。

 ある外務省幹部は「首相の靖国神社参拝や歴史認識の問題、政府開発援助(ODA)供与問題、東シナ海のガス田問題などの懸案を日中二国間の視点だけで対処しようとしてきたが、対処できなくなった。世界がいずれ『中国問題』に直面する。中国とはいかなる存在かを根本から問い直す試みだ」と、幹部会設置の意義を説明した。

100人超がコレラ感染 中国・浙江省

2005/10/08 The Sankei Shimbun

 8日付の香港紙、明報などによると、中国浙江省嘉興市でコレラが流行、先月上旬からの感染者は100人以上に達した。中国では毎年、各地でコレラ感染が確認されているが、今回は特に大規模という。死者が出ているかなどは不明。

 報道によると、河川や井戸水を通じ感染が拡大したとみられ、衛生当局が食品や水などの監視を強めているという。(共同)

中国企業も開発に参加 エアバスの次世代旅客機

2005/10/08 The Sankei Shimbun

 8日付の中国各紙によると、欧州の航空機大手エアバス社は7日、同社が開発する次世代中型旅客機「A350」の設計・製造に中国企業が参加することを明らかにした。中国企業が担当するのは全体の5%程度になるという。

 エアバスは7月、北京に研究開発センターを開設、同センターが設計した部品を中国企業が生産する。各紙によると、A350は2010年就航予定で、世界の航空会社9社から140機の発注を受けている。(共同)

幻滅!?「夢の国」 香港ディズニーランド

2005/10/02 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 ≪立ち小便、座席争い殴り合い…マナー悪く≫

 【北京=福島香織】9月12日にオープンしたばかりの香港ディズニーランドが早くも悪評にさらされている。中国人客のマナーの悪さに加え、大気汚染や高い料金とで、夢の国はすっかり色あせた格好。上海にディズニーランドを誘致する計画も取りざたされており、香港政府が投じた224億5000万香港ドル(1香港ドル=約15円)あまりの回収を危ぶむ声は少なくない。

 「これがディズニーランドとは思えない」

 香港現地記者はそう指摘した。所かまわず子供に立ち小便をさせる母親、禁煙区でたばこをふかし、たんを吐き散らす男たち。9月18日には、演劇の座席をめぐり男性2人が殴りあいのケンカをして上演が30分遅れる事態もあった。

 全体の3分の1を占める中国本土からの客にとっては、175−350香港ドルの入場料やミネラルウオーター1本10香港ドルはばか高い。「金額に見合うサービスでなかった」と、入場料と交通費の返還を求める裁判まで起きる始末だ。

 スタートからつまずいていた。12日の開幕式は今年最悪のスモッグに襲われ「呼吸疾患のある人は室内で待機しなければならなかった」(28日付青年参考)。テーマパークのあるランタオ島は自然豊かなリゾート地だったが、大気汚染だけでなく海洋汚染で近海に生息する野生のピンクイルカへの影響などが懸念されている。

 香港政府は、年間入場者を600万から1000万人と見込んで12年以内に投資の回収は可能とそろばんをはじく。しかし、香港科技大学工商管理学院経済発展研究センターの雷鼎鳴主任は中国紙上で「たとえ毎日3万人が入場しても、年間利益はわずか10億香港ドル」と見通しの甘さを指摘する。

 これに追い打ちをかけたのが、香港の4.7倍の規模を持つ上海ディズニーランド構想だ。上海市はすでに土地を用意しているとされる。

 ディズニー側は今後5年以内にアジアで新たなテーマパーク建設はないと言明するが、香港紙・信報(15日付)は「香港だけでも集客が困難なのに、上海ディズニーランドができればその末路は想像に難くない」と、危機感を募らせている。

日中険悪化、責任は日本 クリントン政権時の対日要職経験者が見解

2005/10/02 The Sankei Shimbun

領海侵犯…公表して挑発した/ガス田…控えめに対応せよ/暴力デモ…和解的態度が欠落

 【ワシントン=古森義久】日中関係の悪化は日本側の挑発が原因だとの見解がクリントン前米民主党政権の対日関係の要職にあった学者から三十日、表明された。

 米国の国防大学と大手研究機関のAEIが共催した「アジアにおける中国」というタイトルのセミナーでパネリストとして意見を発表した外交評議会の上級研究員、エドワード・リンカーン氏は「東アジア共同体」への障壁の一つとして日中関係の悪化を挙げ、原因について「ほとんどが日本側によって取られた挑発行為による」と述べた。

 リンカーン氏は挑発の実例として、「小泉首相の靖国神社参拝と右翼の歴史教科書の採択」を挙げ、ここ一年半ほど日本側が中国側に明確に反論をするようになったことが、「中国を悪者にする言辞」だと指摘した。

 質疑応答で、「中国側の潜水艦の日本領海侵入、東シナ海の紛争海域でのガス田の一方的開発、日本大使館などを破壊した反日暴力デモなどは挑発ではないのか」という質問に対し、同氏は「潜水艦の領海侵入を日本政府は公表すべきでなかった」と述べ、情報公表が中国への挑発となったという見解を示した。

 同氏は中国のガス田開発にも日本側はもっと控えめな態度で応じるべきだと述べ、反日暴力デモについては、「中国が自国への挑発とみなす外国の行動にはあの種のデモで対応することはすでに分かっていたのだから、日本側はデモの前からもっと和解的な態度をみせるべきだった」と答え、日中関係の悪化や摩擦は事実上、みな日本側の「挑発」に原因があるとする見方を繰り返した。

 同氏はクリントン政権時代に三年間ほどモンデール駐日米大使の特別補佐官として勤務した民主党リベラル派。リベラル派には、中国側の日本非難をすべて「靖国」や「教科書」のせいにする傾向が強く、中国共産党の統治の正当性誇示のための反日宣伝が原因だとするブッシュ政権寄りの識者たちとは激しいコントラストを描いている。

中国が高速鉄道車両入札 来月、日独2連合が参加

2005/09/29 The Sankei Shimbun

 中国政府が進めている高速鉄道計画の車両の入札が10月に実施されることが29日、分かった。年内にも結論が出る見込み。

 川崎重工業など日本企業連合と、シーメンスなどドイツ企業がそれぞれ中国メーカーと提携して応札する見通し。対象は約800車両で、総額で約2000億円に達する。

 在来線の輸送能力が限界に近づいている中国は、2008年の北京五輪に向け、北京―天津間などで時速300キロの高速鉄道を建設する計画を急いでいる。今回は7月に着工した北京―天津のほか、上海―南京(江蘇省)、武漢(湖北省)―広州(広東省)の各路線で使われる車両が対象になるとみられる。

 日本企業連合は中国企業、南車四方機車車両(山東省)に、東北新幹線の「はやて」をベースにした車両の技術を提供する形で参加する。(共同)

対中食糧援助、今年末に打ち切りへ WFP

2005/09/28 The Sankei Shimbun

 28日の新華社電によると、世界食糧計画(WFP)が1979年から中国に実施してきた食糧援助が今年末で打ち切られることになった。新華社は「貧困問題の解決に伴い、外国からの食糧援助の歴史が終了する」と歓迎した。

 中国農業省によると、WFPの援助総額は約10億ドル(約1100億円)で、3000万人以上に提供されたという。(共同)

腐敗幹部3万人を処分 中国

2005/09/28 The Sankei Shimbun

 28日の中国の華僑向け通信社、中国新聞社電によると、中国共産党中央規律検査委員会は、第16回党大会が開催された2002年11月以降、全国で腐敗幹部約3万人を処分したことを明らかにした。

 このうち、局長級以上が約100人、中級幹部が約2000人。

 企業幹部の違法兼任や、違法な金銭授受などを行ったという。(共同)

中国本土で初の元建て債券「パンダ債」 ADBなど発行へ

2005/09/28 The Sankei Shimbun

 中国財政省は28日、アジア開発銀行(ADB)と世界銀行グループの国際金融公社(IFC)に対し、国際機関としては初めてとなる中国本土での人民元建て債券の発行を認可した、と発表した。

 「パンダ債」と命名された元建て債券の発行は、人民元の信用を高め、本格的な国際通貨に向けた重要な一歩。ADBが進めるアジア通貨建てのアジア債券市場育成に向けた動きの一環でもある。

 債券の発行額などは明らかにしていない。

 財政省は「元建て債券発行は中国の急速な経済発展の成果であり、改革開放政策の一つの重要な措置である」と意義を強調した。

 ADBは、ドル資金への過度の依存が1997年のアジア通貨危機を招いたとの教訓から、域内各国政府や企業が自国通貨建て債券で資金を調達するアジア債券市場の育成に向け準備を進めている。

 日本の国際協力銀行も元建て債券の発行を検討しており、第2陣として近く申請する。

 国際金融機関が元建てで調達した資金を中国国内に投融資することで、為替リスクを回避できるメリットがある。将来は格付けの高い外国企業なども元建て債の発行が認められる可能性がある。(共同)

中国、米の参加反対を明言 東アジア首脳会議で米誌

2005/09/26 The Sankei Shimbun

 26日発売の米誌ニューズウィーク最新号は、12月にマレーシアで初開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、韓国などによる「東アジア首脳会議」について、推進国の1つである中国が関係国に対し、米国の参加を望まない意向を明確に示していたと報じた。アジア外交筋の話として伝えた。

 将来の「東アジア共同体」創設に道を開く同首脳会議についてブッシュ米政権は、中国がマレーシアなどと連携し、米国抜きで東アジアの秩序づくりを進める動きとみて警戒しているが、報道はこうした見方を外交筋の証言で裏付けた格好だ。

 同誌によると、匿名のアジア外交筋は東アジア首脳会議について、中国が「米国の参加を望まないと明言した」ため「米国をオブザーバーとして引き入れるという日本の外交努力が阻止された」と語った。米政府は当面、会議への参加を求めない意向を示している。

 同誌は、ハリケーン被害やイラク復興に足を取られる米国の苦境を利用する形で、中国が存在感を強めていると指摘。米政府の「譲歩」が指摘される第4回6カ国協議の共同声明採択も「中国の立場に米国が初めて従った」ケースだと評した。(共同)

ナショナリズム扇動、統治正当化する中国 在米大使館・北野公使が米紙に論文

平成17(2005)年9月25日 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=古森義久】日本と中国との間の紛争をあおるナショナリズムの管理には民主主義が最も有効であり、非民主的な政権ほど統治の正当性を国民のナショナリズム扇動で保とうとする−という趣旨の論文が在米日本大使館公使により米国の新聞に寄せられ、二十三日、掲載された。中国の民主主義の不在こそがナショナリズムを過剰にして、日本たたきを生む、と示唆しており、外務省関係者の意見にしては珍しく、中国の政権の独裁体質に対する正面からの批判となっている。

 在米日本大使館の広報担当の北野充公使が書いた同論文は「ナショナリズムと民主主義」「東アジアでの出発点」という見出しのコラム論評として二十三日付のワシントン・タイムズ紙に掲載された。

 同論文はまず、日本と中国との間の領土紛争でも反日デモでも、あるいは中台関係でも、「ナショナリズムの管理こそが将来の東アジアの安定のカギであることを想起させた」と述べるとともに、「東アジアでのナショナリズムの管理には民主主義が最も重要で有効となる」と主張している。

 同論文はさらに「外交で最悪のシナリオは一国の政府が自国民のナショナリズムを他国に対し扇動することだが、対外的ナショナリズムが過剰となっても、民主主義国家にはそれを抑える機能があるのに、非民主的なシステムでは政府のその種の行動はチェックされない」と書き、明らかに中国の独裁体制の欠陥を指摘した。

 同論文はまた民主主義とナショナリズムに関して「アジアには統治の正当性を民主主義に基づく法的合理性ではなく、全体主義やイデオロギーに依拠する国が存在する」としたうえで、その種の非民主的国家について「その統治の正当性が崩れそうなときは指導者たちは国民の間にナショナリズムの炎をあおる」ことで正当性を回復しようとする、と述べる。同論文はこういう場合にその国家の紛争相手などにとっても「ナショナリズムの管理は非常に難しくなる」としている。だが民主主義国家ではナショナリズムを使って、政権の正当性を印象づけようとする必要はない、とも同論文は主張する。

 北野公使のこの論文は中国の名指しこそ避けた形だが、その批判の対象は明確に中国であり、中国の民主主義不在を中心テーマに据えて日中関係を論じるというスタンスは外務省では珍しい。このスタンスは民主主義の日本が一党独裁の中国に「歴史」や「靖国」で道義性劣等を非難されることは放置できないとして「六十年間の民主主義の実績」をあげて反撃する最近の外務省の新たな姿勢の反映のようだ。

中国、独禁法制定へ 民間参入の環境整備

2005/09/22 The Sankei Shimbun

 中国商務省は22日、中国訪問中の日中経済協会代表団(団長・千速晃新日本製鉄会長)との会談で、独占禁止法制定に向け準備を進めていることを明らかにした。早ければ2006年の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で成立する見通し。

 中国はエネルギーや鉄道などを中心に国有企業の独占状態が続いており、価格が高いなどの弊害を指摘する声が強い。インフラ関係にも民間企業が参入しやすい環境を整備する一環として独禁法制定を位置付けている。

 商務省条約法律局の李玲審議官は「独禁法について国務院(政府)で審議しており、その後全人代常務委員会に出すことになっている。日本の専門家からも有益な意見を聞いた」と述べた。

 また会談で商務省の安民次官は、今年1―8月の日中貿易の総額が前年同期比10.2%増の1174億ドルと、中国の貿易全体の伸び(23.5%増)を大きく下回ったことに不満を示した。小泉純一郎首相の靖国神社参拝や、中国での反日デモなど政治関係の悪化が経済にも影響しているとの見方を示唆したとみられる。(共同)

中国などでエステサロン展開 ポーラ、海外500店目標

2005年09月19日 asahi.com

 化粧品訪問販売のポーラ化粧品本舗(本社・東京)は、化粧品の販売とエステサロンを組み合わせた店舗「ポーラ・ザ・ビューティー」の海外展開に乗り出した。上海の直営2店を皮切りに中国で200店に増やし、OLや主婦を含めて富裕層を狙う。台北、バンコク、ロサンゼルスなどにも店舗網を広げ、10年までに海外500店を目指す。

 5月に開いた1号店は上海市西部の高級住宅街、今月15日オープンの2号店は中心部の観光名所「新天地」にある。今後はフランチャイズ方式も導入し、北京や杭州、大連など大都市の繁華街や住宅街に展開する。

 日本で経験を積んだ美容部員らを配置。エステの価格は2時間で600元(約8200円)からと日本の相場の半額以下に抑える一方、化粧品は日本から輸入するため日本価格より約2割高い。

 中国の化粧品市場は04年に1兆円を超えた。日本市場の4割強に達し、成長が続いている。

柳条湖事件74年で記念行事 中国各地で追悼式

2005/09/18 The Sankei Shimbun

 満州事変の発端となった1931年の柳条湖事件から74年の18日、中国各地で空襲警報を鳴らしたり抗日戦争犠牲者への追悼式が行われた。同事件は「日本軍国主義による全面侵略の始まりで、中国人民の抗日の起点」(中国共産党機関紙、人民日報)とされ、今年7月から本格化した抗日戦争勝利60周年の愛国キャンペーンの最終的なヤマ場となった。

 事件現場となった中国遼寧省瀋陽市では18日夜、同市主催の記念行事を開催。現場に建てられた“9・18”歴史博物館の広場で午後8時(日本時間同9時)からコーラス隊による抗戦歌曲の合唱の後、「国辱を忘れるな」との文字が記された「警告の鐘」が省や市、軍の関係者によってつかれ、同9時18分には空襲警報が鳴らされた。

 市内の主要道路は朝から制服警官の姿が目立ち、反日デモなど突発事件の発生を警戒しているもようだった。

 記念行事会場を訪れたレストラン経営者(45)は「われわれの世代は事件についてよく学んでいるが、若い人は知らない。記念行事で次世代に伝えていくことは、大きな意義がある」と語った。

 中国中央テレビなどによると、同日午前中から吉林省の長春や黒竜江省のハルビン、遼寧省大連、雲南省昆明など全国各都市で、空襲警報や抗日戦争の戦死者への追悼式など記念行事が行われた。

 一方、4月に大規模な反日デモがあった北京の日本大使館周辺は、通常通りの警備態勢。日本政府に損害賠償請求訴訟を起こす戦争被害者を支援する民間団体が抗日戦争に関する集会を開く予定だったが、急きょキャンセルとなった。公安当局が中止させた可能性もある。(共同)

映像ビジネス国際化へ 経産省、アジア交流促進/著作権保護強化

2005/09/18 The Sankei Shimbun

 経済産業省は十七日、映画やテレビドラマなどの映像コンテンツ(情報の内容)市場をアジア全域で活性化させるため、アジア各国との共同制作や人材交流の促進に乗り出すことを決めた。来月に各国の産業担当相らを迎えて東京で「アジアコンテンツ産業セミナー」を開催し、共同声明で方向性を打ち出すほか、来年度から具体的なシステム作りに着手する。また、海賊版の防止や著作権保護の強化に向けた人材育成なども実施する。

 経産省によると、映画やドラマの制作現場では、制作手順やプロデューサーの権限、スタッフの組織、俳優の出演料などが各国ごとに大きく異なる。このため、人気が高い香港映画、韓国ドラマなどに日本の制作者が参加することはほとんどなかったという。

 しかし、アジアのコンテンツ市場は昨年の約二十七兆円から平成二十年には約四十兆円へと、年10%前後のペースで急成長すると予測されている。このため、同省では「日本のコンテンツ産業が飛躍するには、アジア重視の海外展開が必要」とみている。

 来月末の「東京国際映画祭」の開催に合わせ、ASEAN(東南アジア諸国連合)十カ国と中国、韓国、インドの担当閣僚のほか、業界幹部や専門家らが参加する「アジアコンテンツ産業セミナー」を開催し、共同声明をまとめる。声明では(1)国際共同制作の推進(2)人材の育成・交流(3)映画祭や見本市の充実(4)投資環境の整備(5)市場情報の共有−の方向性などを打ち出す方針だ。

 これに関連し、経産省では番組の共同制作などに向けた推進機関の設立を目指す。各国の映画監督やプロデューサーの相互紹介や、アジアの特色を生かしたロケ地の情報提供や誘致を促す。

 一方、中国や東南アジアでは、ビデオやDVDの違法コピーが大量に出回り、著作権侵害が切実な問題となっている。とくに日本のコンテンツ業界では「アジア進出は危険」との懸念も根強いため、経産省では知的財産分野でも専門家の育成・交流を進める。

日本の常任理入りをけん制 中国主席、国連首脳会合で

2005/09/16 The Sankei Shimbun

 中国の胡錦濤国家主席は15日、国連総会特別首脳会合で演説、安保理改革について「途上国、特にアフリカ、中小国の代表を増やすものでなければならない」と述べた。名指しを避けながらも日本の常任理事国入りに反対する姿勢をあらためて示したものとみられる。

 胡主席はまた、(1)反テロなど国際的な安全メカニズムの構築(2)発展途上国の発展促進(3)エネルギー問題での国際間協力(4)各国の社会体制の尊重―などを提案、「21世紀を世界が共に発展できる世紀にしよう」と呼び掛けた。

 これに先立ち、ロシアのプーチン大統領は演説で「テロリズムはナチスの政治思想を継承している」と強い調子で非難、国際社会が協力してテロ対策を強化するよう要請。テロを「人権、自由、持続可能な開発に対する大きな脅威」とした上で、国連はテロとの戦いにおける「国際協力の主要調整機関」であるべきだと強調した。

 イラクのタラバニ大統領は、イラク聖戦アルカーイダ組織を率いるザルカウィ容疑者らが「イラクをテロのセンターにしたいと望んでいる」と非難、国際社会の支援を要請した。(共同)

広州ホンダが納税額2位に 中国の外資系企業番付

2005/09/12 The Sankei Shimbun

 中国国家税務総局が12日までに発表した2004年の中国の外資系企業納税番付で、ホンダの合弁生産法人、広州本田汽車が納税額46億4391万元(約628億円)と前年の4位から2位に躍進したことが分かった。首位は米ゼネラル・モーターズ(GM)の合弁企業、上海通用汽車の48億4200万元。

 広州本田は乗用車アコードなどの販売が好調で、04年の売上高は約330億元と前年比約50%も増え、納税額も03年の23億7600万元からほぼ倍増した。

 同時に発表された中国企業全体の納税番付では、黒竜江省の大慶油田が納税額278億8900万元で前年に続きトップ。広州本田は全体番付でも15位に食い込んだ。(共同)

来春、台北で大都市総会 石原知事、馬市長が合意

2005/09/09 The Sankei Shimbun

 台湾を訪問中の石原慎太郎東京都知事は8日、馬英九・台北市長と会談し、アジアの主要都市で組織する「アジア大都市ネットワーク21」の次期総会を来年3月か4月に台北で開くことで合意した。

 知事によると、会談では、今年の総会開催地の北京が8月末に脱退したことを受け、来年の開催優先権を持つ台北での今年の開催を打診。馬市長は準備が間に合わないことなどから難色を示し、来秋に予定されていた台北での総会を半年繰り上げて開くことになった。

 双方は年内に事務レベルの臨時総会を東京で開くことでも一致。この会議で総会開催を正式決定する見通し。

 同組織は加盟都市が環境や保健衛生、災害対策などで連携する狙いで、石原知事の呼び掛けにより、東京、北京、台北、ソウル、バンコクなどアジア12都市で2001年に発足した。(共同)

経産省、アジアの原発建設支援へ…専門家派遣など

2005年09月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 経済産業省は5日、中国などアジアの原子力発電を積極支援する方針を明らかにした。

 海外の原発支援は電力会社やプラントメーカーが行い、政府は中立の立場だったが、世界的に石油への供給不安が高まっていることを受けて積極支援に戦略を転換する。原子力の平和・安全利用に貢献することで、アジアのエネルギーの安定供給を目指す。

 具体策としては、中国で計画中の原発建設の入札で、中国政府に書簡を送って日本の電力会社やプラントメーカーを後押しする。核不拡散や安全確保の法制度を整備するため、相手国に専門家を派遣する。人材育成のため、国内への研修生受け入れも進める。経産省は2006年度予算で約6億円を要求した。

 アジア各国では石油へのエネルギー依存度を引き下げるため、原発の建設計画を進めている。エネルギー需給が逼迫(ひっぱく)している中国では、2020年までに100万キロ・ワット級の原発を30基程度建設する計画があるほか、ベトナムやインドネシアでも、経済発展に伴う電力需要の高まりで、2010年代後半に原発導入を計画している。

 日本国内の原発の新規建設は、電力需要の伸び悩みや立地の難しさなどから進んでいない。ただ、2020年代後半からは、老朽化した原発の建て替えが本格化する。アジアの原発事業への積極関与には、日本の原発建設技術や人材を継承する狙いもある。

胡主席が日中関係改善へ期待表明…抗日戦争勝利式典

2005年09月03日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=竹腰雅彦】中国の胡錦濤国家主席は3日、北京の人民大会堂で開かれた「抗日戦争勝利60周年」の記念式典で演説し、「中日友好協力関係を発展させる中国政府の方針は変わらない」と述べ、小泉首相の靖国神社参拝や、4月に中国で吹き荒れた反日デモなどで冷え込んだ日中関係改善への期待を表明した。

 歴史認識問題については、「我々が歴史を胸に刻むよう強調するのは、恨みを抱き続けようということではなく、歴史を鑑(かがみ)に、未来に目を向けるためだ」と強調。その上で、「日本政府と指導者が、歴史問題を真剣かつ慎重に処理し、侵略戦争に関して表明したおわびと反省を実際の行動に移すよう望む」と語った。

 先月の小泉首相の終戦記念日談話を念頭に置いた発言であり、「実際の行動」とは、首相の靖国神社参拝中止などを指している。

 これに関して、胡氏は、靖国神社に合祀(ごうし)されているA級戦犯を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)の判決に対する挑戦は許されないとの考えも示した。

 式典には、1990年代に徹底的な愛国主義キャンペーンを行った江沢民・前国家主席らも出席した。

北京がアジアネット脱退 今年の総会開催困難に

2005/09/02 The Sankei Shimbun

 石原慎太郎(いしはら・しんたろう)東京都知事は2日の定例会見で、アジアの12都市が加盟する「アジア大都市ネットワーク21」から、北京が脱退すると通知してきたことを明らかにした。

 北京は、昨年のジャカルタ総会で、来年の総会開催地は台北に優先権を与えるとした宣言への署名を拒否していた。これにより、北京で11月ごろ予定されていた総会は中止となり、今年の総会開催は極めて困難となった。

 事務局の都によると、脱退通知は8月30日にファクスされてきた。理由として「総会の準備を不可能にする意図的に築かれた障害があった」と書かれていた。

 都は「何のことか分からない。宣言内容は全会一致で合意していた」と主張。石原知事は会見で「外交交渉ルートを逸脱している」と批判した。

 同ネットワークは環境や保健衛生などに、加盟都市が国の垣根を越えて連携し、取り組むのが目的。石原知事の呼び掛けで2001年、都庁で第1回総会が開かれた。(共同)

 

愛国運動、ヤマ場の式典 抗日勝利で9月2―3日

2005/08/30 The Sankei Shimbun

 中国国務院(政府)は30日、北京の天安門広場などで9月2―3日に開催する「抗日戦争勝利60周年」記念式典の概要を発表した。抗日戦争をテーマに全国で実施してきた一連の愛国キャンペーンのヤマ場として大々的に盛り上げる構えだ。

 一党独裁の中国共産党は、国民に対する求心力を維持するため、抗日戦争勝利を最大限利用しており、今後も同様のキャンペーンを繰り返し実施するのは確実だ。

 日本の降伏文書調印式(1945年)が行われた9月2日には、人民大会堂で6000人が参加する「文芸会」を開催。

 3日は天安門広場で1万人による献花式、人民大会堂での記念大会などが相次いで開かれる。胡錦濤国家主席が演説するほか、抗日戦争を戦った国内外の元兵士らに対する表彰などを行う。

 記者会見した中国人民対外友好協会の陳●蘇会長はキャンペーンについて「反日教育が目的ではない」と強調。一方、呂新華外務次官は「日本の指導者が反省を実際の行動で示すことを望む」と述べ、小泉純一郎首相の靖国神社参拝や歴史教科書問題などでの日本側の姿勢を非難した。

 中国は、日中戦争の発端の盧溝橋事件(37年)が発生した7月7日からキャンペーンを本格化。各地の活動のほか、メディアを通じ共産党が「指導的役割を果たした」ことを連日アピールしている。

 今後の節目としては、満州事変の発端となった31年の柳条湖事件(9月18日)があるが、新聞弁公室の王国慶・副主任は「戦勝60周年の記念活動としては今回の式典が最後」と述べた。●=日の下に天

≪抗日戦勝式典に北朝鮮参加≫

 中国が北京で9月2、3両日に開催する「抗日戦争勝利60周年」記念式典に参加するため、金益賢朝鮮人民軍次帥率いる北朝鮮の「抗日革命闘士」代表団が30日、空路北京入りした。

 北朝鮮は5月にモスクワで開かれた対ドイツ戦勝60周年式典にも軍次帥級の代表団を派遣した。(共同)

秋以降、品薄で価格…うなぎ上り? 禁止薬剤使用、中国産ウナギ輸出停止

2005/08/29 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 厳しい暑さを吹き飛ばすスタミナ源であるウナギの価格高騰が心配され始めている。日本で禁止されている薬剤を使った中国産養殖ウナギのかば焼きなどが国内で相次いで見つかり、中国政府は8月上旬、ウナギ加工品の輸出を全面停止したためだ。輸出再開のめどは立っておらず、在庫が切れる秋以降も残暑が続けば、「深刻な事態になる」(大手商社)との声が広がっている。 

 中国産のウナギ加工品から検出されたのは「マラカイトグリーン」という薬剤。発がん性物質の1種とされ日本では養殖水産物への使用が禁止されている。韓国などで中国産ウナギから検出例が出たため、厚生労働省は7月、輸入中国産ウナギについて70件のサンプル検査を行ったところ、2件で同薬剤が検出された。

 中国政府はこうした事態を受け、8月上旬に加工品ウナギの輸出を全面停止した。

 輸入ウナギは、生きたままの生きウナギと加工品の2種に大別されるが、うち7割をかば焼きなどの加工品が占め、その大部分を中国に依存する。地元紙の報道や日本貿易振興機構(ジェトロ)などの調査を総合すると、中国政府は日本向け輸出の大半を担う広東省や福建省を中心に養殖池の点検を進めているが、再開のめどは立っていないとみられる。

 最近の中国産ウナギかば焼きの卸値の相場は、1キロあたり2000円前後で、前年同期に比べ20%ほど高い。年間消費の半分以上を占める「土用丑の日」の終了後は、例年価格が下落するが、「今年は高止まりしたまま」(水産物加工商社)。異変の兆しが出ている。

 価格が高い夏の需要期には、安全が確認された在庫の存在で問題は表面化しなかったが、本格的な品薄状態は秋以降。早くも「ウナギの小売価格が高騰する」(同)との見方が出始めている。

 中国でウナギ養殖事業を手がけ、かば焼きの形で国内に輸入する日本水産は、マラカイトグリーン発見後は自主的に検査を実施し、既存の輸入分に問題がないことを確認した。

 同社では「年内いっぱいは在庫でしのげるが、停止期間が長引けば小売価格に反映しかねない」(広報)という。

 中国産ウナギ加工品の薬剤検出による輸出停止は、2年前に続いて2度目で、業界は「早く再開してほしい」(水産物商社)と戸惑っている。

反日活動呼び掛け相次ぐ 中国

2005/08/12 The Sankei Shimbun

 終戦記念日の15日を控え、中国では反日活動を呼び掛けるインターネット上の書き込みが相次ぎ、「反日ムード」が高まっている。小泉純一郎首相は12日、同記念日前後の靖国神社参拝を見送る意向を示したが、中国メディアもこれまで歴史問題で対日批判を展開しており、参拝見送りで直ちに「反日」が収束する気配はない。

 「ネット上で声を上げるだけでは足りない。日本の右翼に反撃し、民族精神を高めよう!」

 今月上旬、中国のウェブサイトに「815愛国反日陣線連盟」の団体名で書き込まれた呼び掛けによると、同連盟は13―15日、遼寧省大連市で大規模な街宣活動を計画。「国辱を忘れるな」「日本製品ボイコット」などと書いた宣伝ビラを最大30万枚用意し、市内14カ所で集会を予定しているという。

 「中国泛藍連盟」を名乗る別のグループは四川、湖北、江蘇3省と上海で抗日戦争の戦死者追悼活動を行うと予告。香港でも尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有権を主張する団体が、日本総領事館に向けデモ行進する予定を明らかにしており、同総領事館などが現地の日本人に注意を呼び掛けている。

 中国政府は、小泉首相の参拝見送り表明で、日中関係の決定的対立はかろうじて回避できたと判断しているとみられる。

 しかし各団体は、小泉首相が15日に靖国神社を参拝するかどうかにかかわらず、いずれも集会やデモを行う方針を表明。中国共産党関係者は「政治腐敗などに悩む中国は『抗日戦争勝利60周年』の今年、党への求心力回復のため大宣伝を展開しており、小泉首相が参拝しなくても若者らが過激な行動を起こす可能性がある」と指摘する。

 4月に北京や上海などで起きた反日デモが国際的な批判を浴びた上、政府批判に転じかねないことを懸念する中国当局は、過激な反日行動には一定のブレーキをかけざるを得ないとみられる。一部サイトには既にアクセスできなくなっており、当局の監視が強まっていることをうかがわせている。(共同)

中国が反日活動を禁止 戦勝60周年前に

2005/08/10 The Sankei Shimbun

 10日付香港紙、明報によると、中国公安当局は各地方当局に対し、9月3日に共産党や政府が開く「抗日戦争勝利60周年」記念大会前は、市民からの反日活動の申請を一切認めないよう指示した。

 中国のインターネット上には、終戦記念日の8月15日などに各地での反日活動に参加するよう呼び掛ける書き込みが複数出ているが、当局はこれらの活動を認めない方針とみられる。

 当局は、特に抗日戦争にゆかりのある都市では市民らを当局主催の記念行事に参加させ、各地での記念行事が当局の統制下で実施されるよう強く求めているという。(共同)

中国で日系企業に人材紹介 大垣共立銀行、大学と連携

2005/08/02 The Sankei Shimbun

 大垣共立銀行(岐阜県大垣市)は2日、記者会見し、中国の上海財経大学(上海市)と連携し、現地に進出する日系企業に対し、同大の卒業生らを紹介するサービスを始める、と発表した。

 日系企業にとって、優秀な人材の確保は、今後の事業拡大の上で非常に重要になっており、大垣共立銀が上海財経大と企業の間に入り、採用の仲立ちをする。国内の銀行が海外の大学と採用関連で連携する例は珍しいとしている。

 土屋嶢頭取は「上海財経大は金融などが専門。(優秀な人材を求めている)企業のニーズに合っている」と新サービスの有効性を語った。

 研修生の交換や、中国の経済などに関する共同研究も進める予定。

 同銀は、中国に進出する企業の支援を強化するため、岐阜経済大学やみずほ総合研究所などとも協力するという。(共同)

今年上半期の中国鋼材輸入3倍増、年間で最高の見込み

2005年08月02日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 鋼材の品不足と価格高騰のため、中国鋼材の輸入が急増していることが、日本鉄鋼連盟が2日まとめた普通鋼鋼材輸入速報でわかった。

 2005年上半期(1〜6月)は前年同期と比べ3・3倍増の49万7303トンとなり、国・地域別では2位の台湾の49万7690トンと肩を並べた。

 品種も、かつて多かった鋼材の中間製品に代わって本格的な鋼材が中心となり、大多数を占める建築材料向け鋼材は厚板が約3倍、熱延コイルは約4倍に増えた。冷延コイルは量は少ないが、300倍に増えた。今年1年の中国製普通鋼の輸入は1995年の77万2529トンを上回り過去最高となる見込みだ。

 中国材の輸入増加は、日本のメーカーの鋼材需要が膨らみ、国内鉄鋼メーカーがフル生産しても追い付かなかったことが背景にある。

「沖縄の主権帰属は未確定」 中国誌に研究者論文

2005/08/01 The Sankei Shimbun

 1日発売の中国誌「世界知識」は、沖縄が日本の領土になったのは琉球王国に対する侵略の結果であり、第2次世界大戦後の米国からの返還も国際法上の根拠を欠き「主権の帰属は未確定」とする研究者の論文を掲載した。

 筆者の北京大学歴史学部の徐勇教授は、江戸時代まで琉球は独立王国であり、日本側も対朝鮮と同様の「外交関係」を結んでいたと指摘。1879年に日本が琉球を廃止し沖縄県を設置した際も、清朝は承認しなかったとした上で、第2次大戦後米国はポツダム宣言に基づく権利のないまま沖縄を管理下に置いたと説明している。

 論文はさらに、台湾の学者の意見を引用する形で、1972年に米国が日本に沖縄を返還したのは「2国間の授受であり、第2次大戦の連合国各国が共同で認めたものではない」として、「琉球の地位は未確定」と結論づけている。(共同)


模型飛行機で「抗日空中戦」再現 抗日戦争勝利記念行事の一環

2005/07/19 The Sankei Shimbun

 19日付の中国紙競報は、中国の模型飛行機マニアが抗日戦争勝利60周年を記念して、8月13日に「抗日空中戦」を再現するイベントを計画していると伝えた。

 北京市郊外にある北京航空博物館が主催する抗日戦争勝利記念行事の一環で、第2次大戦当時の米国と日本の戦闘機など大型模型60−80機を持ち寄り、空中で戦わせる。模型飛行機は長さ2メートル以上の大型で1機8000元(約10万8000円)するが、20機は撃墜されることになっているという。(共同)

節電で企業に“強制休暇” 北京、日系企業にも影響

2005/07/19 The Sankei Shimbun

 中国各紙によると、北京市はこのほど、猛暑による電力不足対策として、継続的な電力使用を必要としない市内の製造業約4700社を4週に分けて休業させる「高温休暇」を開始した。一部日系企業にも影響が出ている。

 北京は連日30度後半の猛暑が続いており、各企業を1週間「操業停止」させ、ピーク時の使用量を抑えるのが狙い。最高で28万キロワットの削減が可能になるという。

 資生堂によると、北京市からの要請に基づき郊外の工場を8月8日から1週間「休暇」とするとともに、既に7月から日曜の休みを金曜に変更している。

 今週「休暇」に入った企業は962社。北京市は同時に電力の価格調整や製造機器点検を夏場に実施するよう促すなど使用電力の分散化を図っている。最大供給能力の1070万キロワットに迫る事態になった際は、一部企業への供給をストップさせる緊急措置も想定しているという。

 北京の最大電力は6月22日に昨年記録した943万キロワットを上回り、7月6日には1001万キロワットに達した。天気予報によると、7月下旬以降も猛暑が続く見通し。

 北京市はまた、高温休暇を理由にした給料削減の禁止や、9月は週6日操業として休みを補う通知も出した。(共同)

中国で格安航空デビュー 機内食なしでコストダウン

2005/07/18 The Sankei Shimbun

 国有企業が独占していた航空分野の民営化を進めている中国で、「格安」を売り物にした航空会社が18日、運航を開始した。

 上海に本拠を置く「春秋航空」で、他社では600元(約7800円)以上する上海−山東省煙台間の運賃を、一部座席限定ながら199元(約2600円)という破格の値段で提供し話題になった。機内食を提供しないなどでコストダウンを図ったとしているが、あまりの低価格に継続性に疑問の声も出ている。

 中国では3月にデビューした初の民間航空会社「OK航空」に続き、地方を中心に数社が営業開始、いずれも低価格をうたっている。(共同)

蘇州に日本工業村を開業 日中緊密化促進で元官僚

2005/07/18 The Sankei Shimbun

 日中経済の緊密化のために設立された「日中架け橋ファンド」(総額100億円)を活用し、中小企業の対中進出を支援する工業団地「日本工業村」が18日、中国蘇州市に開業した。

 ファンドを設立したのはかつて通産省通商政策局北西アジア課長や在中国日本大使館参事官などを務め、中国経済研究者としても知られる津上俊哉さん(48)。

 津上さんは中国企業の対日直接投資や、中国での日系企業の株式公開などを促すために同省を退職、昨年6月に大手銀行の出資によりファンドを設立した。

 最初の大事業である日本工業村には総額22億円を投資。ファンドが設立した合弁会社が運営主体となる。

 第1期の開発予定地は約133ヘクタールで、既に大阪府堺市の電子部品メーカーが進出を決めた。他の開発区と違い、工場建設や従業員の募集、操業なども支援する。多くの日系企業が中国で負うリスクを減少させ、中小企業が進出しやすくなるという。

 津上さんは「出遅れている中小企業に中国でのビジネスチャンスをつかんでもらうことが、日中経済のかけ橋としての役割を果たすことになる」と話している。(共同)


中国海洋石油、近く最終表明へ 米ユノカル買収で

2005/07/29 The Sankei Shimbun

 米石油大手ユノカルの買収を提案している中国海洋石油が、米石油大手シェブロンへの身売りの賛否を問う8月10日のユノカルの株主総会を前に、撤退か、さらなる提示額引き上げか最終的な態度を近く表明する見通しだ。

 29日付の香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストは、海洋石油が早ければ来週にも「米国の政治的圧力」を理由に買収断念を表明すると報道。一方、同日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)は、海洋石油が買収提示額を現在の185億ドル(約2兆800億円)から約200億ドルへ引き上げることを検討中と報じた。

 海洋石油は、今週末にも開かれる予定の取締役会でユノカル買収計画について最終協議する。ユノカル取締役会はシェブロンへの身売りを決めたが、海洋石油は買収努力を続ける意向を表明していた。(共同)

ユノカル、当面は中国提案に乗らず 英紙報道

2005/07/16 The Sankei Shimbun

 16日付の英紙フィナンシャル・タイムズによると、14日開かれた米石油大手ユノカルの取締役会は、当面は米石油大手シェブロンとの売却合意を尊重し、185億ドル(約2兆円)を提示した中国海洋石油の買収提案に乗り換えない方針を決めた。関係筋の話として伝えた。

 だがユノカルは、今後あらためて中国海洋石油側と接触、買収額を引き上げる用意があるかどうか打診するとみられる。さらに海洋石油側が引き上げを提案した場合、シェブロン側とも接触して買収額を現在の160億ドルから引き上げる考えがあるかどうか見極めたい考えという。(共同)

米議会「安全保障脅かす」 中国のユノカル買収提案で

2005/07/14 The Sankei Shimbun

 米下院軍事委員会は13日、中国企業による米石油大手ユノカルの買収提案に関する公聴会を開催、買収が実現した場合、米国の安全保障を脅かす恐れがあるとして政府に慎重な審査を求める意見が大勢を占めた。

 ハンター委員長(共和党)は、中国外務省が今回の買収提案を「通常の商行為」と指摘したことに対し「一党独裁の共産政権が所有し運営する企業による提案は、通常の取引ではない」と反論。参考人として招かれた元政府高官らも、政府の対米外国投資委員会に安全保障上の立場から厳格な審査を要求した。

 一方、上院財政委員会のグラスリー委員長(同)と民主党のボーカス筆頭議員は同日、ブッシュ大統領に懸念を伝える連名の書簡を送付したことを明らかにした。

 米英メディアは、ユノカルが14日に取締役会を開き、買収問題を検討すると伝えているが、同社は「コメントできない」としている。(共同)


有名な日本人は小泉、東条、山本五十六…中国の若者

2005年07月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=竹腰雅彦】中国の若者の間で「最も有名な日本人」は、小泉首相、東条英機元首相、山本五十六元帥の3人であることが、最新の世論調査で明らかになった。6日付の中国英字紙チャイナ・デーリーが報じた。

 大学生ら1657人から寄せられた対日意識調査の結果で、このうち約80%は日本人と会った経験がなく、60%以上が日本に対する認識は、報道やテレビ、インターネットを通じて培われたと回答した。3人となったのは、靖国神社参拝問題や抗日戦争60周年の愛国キャンペーンなどが反映されているものとみられる。

 また調査では、計52%が日本について「嫌い」「どちらかというと嫌い」と答え、「好き」「どちらかというと好き」は計10%に過ぎなかった。一方で「日本人と友達になりたい」は51%で、「なりたくない」(21%)を大きく上回った。

北京−天津の高速鉄道着工 08年の五輪前に運転開始

2005/07/04 The Sankei Shimbun

 新華社電によると、北京−天津間を約30分で結ぶ高速鉄道の着工式が4日、天津で開かれた。2007年末に完工、運転開始は08年6月の予定で、北京五輪の開幕に間に合わせる。

 北京−天津間の高速鉄道は、中国が計画している高速鉄道計画3000キロの一部。両都市間約115キロを時速200キロで結び、所要時間は現在の在来線の半分以下。総投資額は約123億4000万元(約1600億円)。

 中国紙は2月、この高速鉄道計画についてコンサルタント契約の国際入札が実施されると伝えていたが、関係筋によると欧州企業が落札したもようだ。(共同)

無期限で中国全土に拡大 団体客の訪日ビザ発給

2005/07/02 The Sankei Shimbun

 中国訪問中の北側一雄国土交通相は2日、中国の邵●偉・国家観光局局長と会談、両国間の懸案になっていた中国人団体観光客への査証(ビザ)発給地域について、25日から現在の北京市など一部地域から中国全土に恒久的に拡大することで合意した。

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題などで日中関係は冷却化しており、外国人犯罪対策などの懸念も残るが、交流拡大は関係改善のきっかけの一つになるとみられる。

 国交相は呉儀副首相とも会談。副首相は「(観光客を装った)不法入国の取り締まりを強化する」と述べ、日本側の懸念に対応する姿勢を示した。

 双方は、呉副首相が5月に小泉首相との会談をキャンセルして帰国したことには触れなかった。

 中国から日本への旅行者は2004年で約62万人。ことし1−5月も前年同期比で約10%伸びており、発給地域拡大で「人的交流が進む意味は大きい」(北側国交相)として、両国とも期待をかけている。

 北側国交相は1月に、愛知万博(愛・地球博)開催期間に限定した発給地域拡大を提案したが、中国側が「期間限定」に反発。5月に来日した呉副首相と国交相の会談で、恒久的な発給地域拡大で双方が基本合意していた。

 北側国交相と邵局長は、日中双方の観光客増加などを狙った交流強化の協議書にも署名した。

 04年の日本から中国への旅行者は約330万人。ことしも3月までは好調だったが、北京などで反日デモが起きた4月以降大幅に落ち込んでいる。協議書の合意に基づき、日中双方で旅行者増加に取り組む。(共同)●=王ヘンに其

中国で学生同士の衝突相次ぐ 山東省、江西省で

2005/07/02 The Sankei Shimbun

 2日付香港紙、太陽報によると、中国山東省の山東理工大で6月27日、学生計500人が漢民族とウイグル民族に分かれて衝突、重傷者5人を含め少なくとも9人がけがをした。同25日には江西省の人民解放軍系の大学、九江学院で、学生約4000人が車を横転させるなど暴徒化した。

 報道によると、山東理工大の衝突は、バスケットボールの際のもめごとが発端。刃物などを持ったウイグル民族の学生約30人が、寮で漢民族の学生らに暴行を加えたため衝突が拡大。武装警官が鎮圧し数人を拘束した。

 九江学院の学生らは大学側が寮の電気代などをむやみに徴収しているとして暴徒化。大学側は徴収した金の一部を学生に返還したという。(共同)

中国政府、「台湾表記が問題」 教材没収、尖閣分は除外

平成17(2005)年6月29日[水] The Sankei Shimbun

 【北京=伊藤正】中国大連市の大連日本人学校(那花国男校長)の社会科副教材百二十八点が、大連税関に差し押さえられた件について、中国外務省は二十八日、事実を確認するとともに、国内法規違反で没収されたのは、中国大陸と台湾を異なる色で表記した地理教材十五点、と明らかにした。尖閣諸島を日本領に表記した教材は対象から外された。中央政府の指示によるとみられ、日本人学校使用の教科書への波及は当面、回避されそうだ。

 中国外務省の劉建超報道官によると、今年四月十二日、日本から空輸された千五百三十九点の副教材のうち、税関が百二十八点を押収。うち中台を色分けした教材十五点が出版管理条例などに違反していたため、税関行政処罰実施条例に基づき、国内持ち込み禁止などの処分をしたという。

 関係者の話によると、大連税関は、この教材は中台を別の国として扱い、「一つの中国」の原則に反するなどと問題にした。昨年夏のサッカー・アジア杯の際にも、中国メディアが、中台を異なる色で表した日本サッカー協会の広報資料を批判したが、中国当局は介入しなかった。

 劉報道官は在中国の外国人学校の教材については、ケースによるとしながら、今回の問題は、中国の主権や中国国民の感情にかかわる重大な原則問題との認識を示し、税関の措置は法律に依拠していると正当化した。

 大連税関は、中国が主権を主張している尖閣諸島を日本領にしている地図についても「主権侵犯」と問題にした。中台の色分けは地図を見やすくする技術的問題だが、尖閣諸島の帰属は主権問題であり、中国側が法律を盾にすれば、教科書の輸入も不可になりかねない問題をはらむ。

 関係者によると、大連税関はその他の教材の問題点も指摘し、学校側に百二十八点すべての没収と法外な罰金を科す方針を示し、交渉が先週まで長引く一因になった。日本側が先週初め、「外交問題になる」と警告した後、税関当局は決着を急いだといわれる。

 関係筋によると、中央政府の指示があったもようという。尖閣諸島領有表記教材の処分対象からの除外、罰金額の大幅減のほか、没収の十五点も出国者による国外持ち出しを認めるなど、税関の姿勢が一気に軟化した理由とみられている。

中国・大連 日本人学校の教材没収 「台湾」「尖閣」記述を問題視

2005/06/28 The Sankei Shimbun

 【北京=伊藤正】中国大連市の大連日本人学校(那花国男校長、生徒数=小中学合わせ百五十九人)で、日本から取り寄せた社会科などの副教材十種百二十八点が、内容に問題があるとして大連税関に差し押さえられたことが二十七日分かった。学校側は一部没収や罰金の処分を受け入れ決着したが、税関側は尖閣諸島を日本領に表記した地図など、主権にかかわる部分も問題にしており、教科書にも検閲が及ばないか、関係者は神経をとがらせている。

 関係者の話を総合すると、大連日本人学校は四月の新学期前に副教材を発注、そのうち小学用「社会」や中学用「歴史」「地理」「公民」など八種類の問題集や資料集などとCD二種類が六月になっても届かなかった。運輸業者が調べた結果、大連税関の検閲で、差し押さえられていたことが判明した。

 税関側は、教材中の地図が、中国と台湾を色分けしていることを、台湾を独立した存在に扱っており「一つの中国」の原則に反すると主張。さらに中国が自国領と主張している尖閣諸島を日本領にしていることや、「台湾政府」としている記述などを問題視、「国内法違反」として没収する方針を示した。

 学校側は、教材が教育に不可欠であることを訴え、返却を求めたが、税関側は「違法図書」との立場を変えず、当初は多額の罰金などを要求。結局、先週末までに、学校側が基本的に処分を受け入れ、妥結した。始末書の提出と罰金一千元(約一万三千円)に加え、尖閣諸島を日本領と表記した地図を含んだ教材など計十数点の没収という内容だ。

 中国には大連のほかに北京、上海など六都市に日本人学校があり、文部科学省外郭団体の海外子女教育振興財団が、教員派遣や教科書の手配をしているが、学校が自主選択する副教材とはいえ、検閲で違法とされたのは初めて。

 日本人学校は現地の法律順守を条件に設立が認められており、法的には中国の検閲を拒否できないと関係者はいう。

 今回の大連の事件に、中国の中央政府が関与しているか明らかではないが、今後、日本人学校で使用する教科書も、検閲で差し止められることもあり得るため、関係者は中国側の出方を注視している。

政府、当面抗議しない方針 日本人学校の教材差し押さえ

2005/06/28 The Sankei Shimbun

 中国大連市の日本人学校が日本から取り寄せた副教材が大連市の税関当局に差し押さえられた問題で、外務省幹部は28日、記者団に「台湾について色分けしてあることが問題ということだ。日本も『一つの中国』を尊重する立場だから、それはそうだろうと(理解できる)」と述べ、当面、中国側に抗議しない方針を示唆した。

 細田博之官房長官も同日午前の記者会見で「中国と台湾を色分けした部分が問題となったようだ」と指摘。「まだ政府として事実関係をよく確認していないので、対応なども今後検討したい。日本人学校としては中国当局と争う考えはないと聞いている」と述べた。(共同)

対中武器輸出を中止か イスラエル

2005/06/27 The Sankei Shimbun

 イスラエル紙ハーレツは26日、同国が中国への武器輸出をめぐり米国との関係が悪化するのを避けるため、中国から受注していた無人偵察機用部品の輸出を差し止めたと報じた。

 米国は部品輸出取引の発覚を受け、中国の軍事技術強化は台湾やアジアに駐留する米軍に脅威を与えるとして、イスラエルとの軍事技術の共同開発を一時凍結する制裁措置を取っていたという。

 同紙によると、イスラエルは1990年代に中国に攻撃機能を備えた無人偵察機を売却。今回、その交換用部品の輸出が問題になった。中国が昨年、偵察機をイスラエルに送り返したことについて、イスラエル側は定期補修作業が目的だと説明していたが、米国は性能アップが理由だと指摘していた。

 イスラエルは2000年にも、米国の圧力を受けて空中警戒管制機(AWACS)の中国への売却を中止した。(共同)

中国人犯罪など捜査協力、日中刑事共助条約を締結へ

2005年06月26日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日中両政府は、日本国内で増加する中国人犯罪に対応するため、警察当局間の協力のあり方を定めた刑事共助条約を締結する方針だ。容疑者に関する情報提供などが柱となる。

 すでに予備協議を始めており、来年の締結を目指している。

 2国間の捜査協力は、外交ルートを通じて協力を要請する手続きが必要だが、刑事共助条約の締結国同士では、警察間で直接やり取りし、迅速で広範な協力が可能になるのが特徴だ。

 日本は米国との間で2003年に刑事共助条約を締結し、韓国とも現在交渉を進めている。中国は3か国目となる見通しだ。

 日中間では、日本側が条約草案を作成することで合意しており、日本政府としては、〈1〉相手国の要請を受けて、犯罪の容疑者や参考人に事情聴取を行って情報を提供する〈2〉行政機関や司法機関が持つ資料を提供する――などを盛り込みたいとしている。日中両政府は6月8日に北京で予備協議を行い、締結に向けて協議を進めることで一致した。年内にも正式交渉に格上げする。

 警察庁のまとめによると、日本での中国人による犯罪は急増している。2004年は、9259人の中国人が摘発された。10年前の2・4倍という。

 政府は、条約が締結されれば、容疑者が中国に逃亡した場合などに効果が大きいと判断している。日本政府によると、中国側も条約の締結に前向きという。

知財侵害、中国では75%が軽い処分 経産省調査

2005/06/23 The Sankei Shimbun

 日本企業が中国で知的財産権の侵害を訴えても、当局による処分内容の75%が「模倣品の没収・廃棄」などで、軽いものが多いとする調査結果を経済産業省が23日まとめた。

 調査によると、2003―04年の2年間に出た中国の行政当局による知財に絡む処分は4029件で、模倣品の没収などは3043件。「製造設備の廃棄」はわずかに3%で、模倣品の製造を防ぐための厳しい措置はあまりみられなかったという。

 経産省は「中国政府に対して知財保護のための法整備、法の執行や再犯対策の強化を求める必要がある」としている。

 調査によると、日本企業が刑事手続きを利用して告発した139件のうち、刑罰が科されたのは33件で23%にとどまった。企業側からは「相手が有力企業のため摘発を求めても拒否された」「行政処理を要請しても長期間放置された」など、中国当局への不満の声が多く出された。

 調査は今年3―4月の2カ月間に実施、中国向けに事業を展開する日本企業134社から回答を得た。(共同)

北京の最大電力、過去最高の953万キロワットに

2005/06/22 The Sankei Shimbun

 中国中央テレビによると、北京の最大電力が22日午後、953万キロワットに達し、昨年記録した943万キロワットを上回り過去最高となった。

 北京では22日の最高気温が39度に達するなど、連日の猛暑となっており、電力の需要ピークを迎えている。

 新華社電によると、北京の最大供給能力は1070万キロワット。電力会社幹部は「電力の需給管理を強化し、市民生活に影響が出ないよう全力を尽くす」と述べた。(共同)

中国高速鉄道コンサル業務、仏独の落札濃厚に

2005年06月22日 asahi.com

 中国が年内着工をめざす北京―天津など3区間の旅客専用高速鉄道に関するコンサルタント業務の入札で、仏独の落札が濃厚となった。日本も入札に参加していたが、受注を逃した模様だ。複数の日本企業関係者が22日、明らかにした。今夏にも予定される総延長1万2000キロに及ぶ新線建設を控えた「前哨戦」だけに、日本勢からは「日中間の政治的な溝が響いた」との見方が出ている。

 年明けから5月にかけての入札には欧州や日本など約20グループが参加。日本は社団法人、海外鉄道技術協力協会が日本企業を束ねる形で、中国のコンサルタントと組んで応札したが、関係者によれば「小泉首相の靖国参拝問題もあり、形勢はずっと不利」。

 中国政府の日本の鉄道技術や価格に対する評価は低くないが、反日感情を考慮し、目立つプロジェクトで採用しにくい環境がある。また、経済的に日本を不利な条件に追い込み、政治的な対価を獲得したいという思惑がある可能性もある。

 ただ、コンサルタント業務の入札結果は、車両などの入札に向けた「各陣営を競わせて有利な条件を引き出そうとするためのものでは」(日本企業)との見方が有力だ。

中国外務次官、23日に訪日 第2回総合政策対話で

2005/06/20 The Sankei Shimbun

 中国の戴秉国外務次官は、歴史問題など日中間の懸案を協議する両国政府の第2回「総合政策対話」に出席するため、今月23日に訪日する。複数の日中関係筋が20日明らかにした。

 日米両政府の「戦略対話」をモデルにした外務次官級による政策対話は23、24の両日、東京で開かれる見通し。

 戴次官は、小泉純一郎首相の靖国神社参拝中止が日中関係を改善するために不可欠な条件との認識をあらためて伝える。これに対し、外務省の谷地正太郎事務次官は、小泉首相が今年も靖国神社を参拝する前提に立った上で日中関係改善を図る考えを示すとみられる。

 対話では、中国が難色を示している日本の国連安全保障理事会常任理事国入り問題、日中が海洋権益をめぐり対立している東シナ海ガス田開発問題についても突っ込んだ議論を行う予定。(共同)

首相の靖国発言で中止 中国外務省報道局長

2005/05/24 中国新聞ニュース

 【北京24日共同】中国外務省の孔泉報道局長は二十四日の定例会見で、呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談をキャンセルし帰国したのは「緊急の公務」としていた説明を撤回、首相らが靖国神社参拝継続を表明したためだと述べた。会談中止が対抗措置であることを初めて明確にし、歴史問題で日本側に一切妥協しない姿勢をあらためて強調。中国が小泉首相に対し参拝中止の圧力を一層高め、対日強硬姿勢を強めるのは必至とみられる。

 中国指導部は四月中旬以降、一連の反日デモを抑え込み、対日関係改善へと政策転換したが、今回の会談中止により早期の改善はさらに難しくなった。

 孔局長は二十三日夜、「副首相訪日中に日本の指導者が参拝問題で日中関係改善のためにならない発言をしたことは遺憾で、非常に不満だ」との談話を発表し、小泉首相ら政府・自民党首脳の姿勢を公式に批判。二十四日の会見で、この談話が中国政府の公式見解であることを強調した。

 孔局長は会見で、会談中止の理由について「日本の首相や指導者の最近の言論によって、会談に必要な雰囲気がなくなったためだ」と語った。

 一方、複数の消息筋は二十三日、会談中止について、十六日の衆院予算委員会で小泉首相が「(参拝に)他国が干渉すべきでない」と発言したことに憤慨した呉副首相自身が指導部に会談拒否を提案、二十二日夜に指導部から同意の回答が届いた結果だと語った。

 孔局長は会見でさらに、今年が「抗日戦争勝利六十周年」の特別な年であることに言及。「日本の指導者は侵略の被害に遭った中国人民の感情を無視した発言を繰り返している」とし、「日本軍国主義分子が当時、中国で行った各種の罪業は筆舌に尽くし難い」と強く非難した。

小泉首相との会談中止 中国副首相「緊急の公務」

2005/05/23 The Sankei Shimbun

 細田博之官房長官は23日午前の記者会見で、同日夕に予定されていた小泉純一郎首相と呉儀中国副首相の会談が中国側の申し入れで急きょ中止になったと明らかにした。中国側は「副首相は本国の指示で、国内での緊急の公務が生じたため、午後に帰国せざるを得なくなった」と伝えてきたという。首脳レベルの会談が当日にキャンセルされるのは極めて異例だ。

 首相は、官邸で記者団に対し「わたしは(日中関係に)悪い影響を与えないようにしてきた。なぜ中止にしてきたのか分からない。会いたくないのを会う必要はない。会いたいと言えば会います」と指摘。中国側が靖国神社参拝をめぐる首相の言動に反発したとの見方に対しては「分からない」と述べた。

 細田氏は会見で、緊急公務の内容について「承知していない。これから説明があるかもしれない」と指摘。会談の中止は「残念だ」と述べたが、日中関係への影響はないとの認識を強調した。

 外務省筋は「中国側から詳しい説明はない。ただ、中国側に『靖国問題と関係があるか』と聞いたところ『ない』という返事だった」と明らかにした。

 首相との会談後に予定されていた民主党の岡田克也代表との会談も、中国側の申し入れで中止された。呉副首相は愛知万博(愛・地球博)参加などのため17日午後に来日、24日まで滞在の予定だった。小泉首相との会談は7日の日中外相会談で合意していた。(共同)

日中政策対話、2日間の日程終了…デモは決着つかず

2005/05/15 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=末続哲也】日中の外務次官による初の「日中総合政策対話」は14日、前日に引き続いて北京で行われ、2日間の日程を終えた。

 協議には、谷内正太郎外務次官と中国の戴秉国・筆頭外務次官が出席、2国間の問題全般について2日間の計15時間にわたり意見交換した。両次官による次回協議は6月にも東京で行うことを確認した。

 協議終了後、谷内次官は報道陣に対し、反日デモによる日本公館被害の謝罪問題について「内容は言えないが、決着は着いてない」と語った。また、外交筋によると、協議では、北朝鮮の核実験の可能性は低いとの認識が双方から示された模様だ。

 協議では、このほか、歴史認識問題、台湾問題、国連改革など、両国の抱える主要課題を網羅的に議論。「真新しい議論が中国側から示されたということはない」(谷内次官)が、双方の「理解は深まった」(同)という。

 一方、谷内次官は14日、中国の李肇星外相と北京で会談した。

中国、反日デモ被害に責任 国際法違反、事実上認める

2005/05/12 The Sankei Shimbun

 中国外務省の孔泉報道局長は12日の記者会見で、一連の反日デモで日本大使館などが被害を受けた問題で「中国は責任ある国家として、国際法に基づき自らの職責を果たすつもりだ」と述べ、中国側の対応が国際法に違反していたことを事実上、認めた。

 反日デモ被害の補償問題で、中国政府が国際法に基づく法的責任に言及したのは初めて。

 中国側は、李肇星外相が10日に行われた逢沢一郎外務副大臣との会談で、日本公館の修復に責任を持って取り組む考えを表明している。今回の孔局長の発言は、この中国による修復作業が事実上の補償行為であることを認めた形だ。

 ただ孔局長は、一連の反日デモの原因については「すでに1、2カ月にわたり、中国としての立場を明らかにしてきた」と述べ、謝罪には言及しなかった。

 日本政府はこれまで、在外公館の被害を阻止できなかった中国側に対し、外国公館の不可侵と保護を定めたウィーン条約違反の疑いが強いとして、繰り返し謝罪と補償を要求していた。(共同)

中国の動向−何清漣氏見解 反日デモは国家ゲーム

2005/05/09 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 【ワシントン=古森義久】中国の経済や政治の鋭い分析で知られる在米中国人女性学者の何清漣氏は産経新聞と会見し、中国での最近の反日の動きについて「中国指導者に歴史問題で日本を非難する資格はない」と述べ、中国の真の不満は日本が政治面や安保面でより強くなることだとの見解を表明した。何氏は日本政府の中国への対応をも批判した。一問一答は次の通り。

                  ◇

 −−反日デモはなぜ起きたのか

 「基本的には中国政府による国家ゲームだといえる。政府が特定の政治意図の下に主導したのだ。中国では一九八九年の天安門事件以降、憲法改正を経て、いかなるデモ、集会、ストも詳細を事前に当局に届け出て許可を得ることになっているが、実際には届け出も許可もない。九九年の米軍機のユーゴの中国大使館爆撃と二〇〇一年の米軍偵察機と中国軍機の接触事件の際には大規模な反米デモが起きたが、いずれも完全な政府主導だった。私は当時、深センで新聞記者をしており、共産党中央宣伝部が反米デモの命令を出し、学生らを動員し、マスコミにまで報道方法を細かく指示する様子を目撃した。今回も深センでは反日デモの先頭を切ったのは私服の公安要員だったと聞いている。中国全土の二十都市で同様のデモが同時に起きることも政府の指令なしには考えられない」

 −−中国政府の政治意図とは何か

 「アジアでは中国がリーダーであり、日本が政治的に強くなって、同様のリーダーになってはならないということだ。また日本が日米安保条約に基づき台湾防衛に関与することには中国は激しく反発する。こういうメッセージをデモ行動で日本に伝えたいのだろう」

 −−温家宝首相ら首脳はみな日本側のいわゆる歴史認識にも言及するが

 「中国の指導者に日本の歴史認識を非難する資格はない。私は日本政府の戦争の歴史への対応にも批判的だが、中国当局は大躍進の飢餓や文化大革命で何千万人という自国民が命を奪われた歴史を隠している。中国の教科書は教えない。中国指導者は歴史の隠蔽(いんぺい)を自国民に謝罪して初めて他国に謝罪を求める資格が生まれる。中国当局は特に日本に関する歴史を隠している。戦後、中国が日本への戦争賠償権を放棄したことも日本が中国に巨額の経済援助を与えていることも中国国民はきちんと知らされない。九五年の村山談話での日本の謝罪も中国一般には知らされなかったのだ」

 −−日本側の中国への謝罪は報道されないということか

 「そうだ。謝罪に関していえば、六四年に毛沢東主席が当時の日本の社会党の佐々木更三、黒田寿男両氏が戦争について謝罪しようとしたのに対し、『謝る必要はない。なぜなら中国人民(共産党)は日本軍なしには権力を奪取できなかったからだ』と述べた記録がある。その歴史は今や隠されている。中国では共産党がすべてのマスコミや教育を支配しているのだ。日本政府は歴史認識という道義的領域で中国の主張に押されないで、逆に中国の国民の自由や人権、民主化などの拡大を強く求めるべきだ」

               ◇

 【何清漣氏】1956年、中国湖南省生まれ、上海復旦大学の経済修士号を取得後、複数の大学で教鞭をとり、中国共産党深セン市委員会宣伝部に勤務、深セン法制報で記者をも務める。中国社会科学院の研究員を経て、98年に中国の政治と経済の特異性をあばく書、「中国現代化の落とし穴」を書き、全中国で話題となる。だが、当局から迫害され、2001年に中国を脱出して米国に渡る。現在はプリンストン大やニューヨーク市立大で研究員を務める。

中国鉄道省、整備工場の無償建設を日本に要求

2005/05/09 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=東一真】中国鉄道省が日本に対し、高速鉄道車両の修理や整備を行うメンテナンス工場を無償で建設する可能性を検討するよう要求してきたことが、8日明らかになった。

 日中通商筋によると、鉄道省は要請を受け入れるかどうかが、この夏に予定される高速鉄道車両の入札での日本企業の扱いにも影響すると示唆しているという。

 ただ、100億円以上もかかると見られるメンテナンス工場をタダで建設することは日本側にとって難しいと見られる。

 同様の要請はフランス、ドイツにもなされたと見られる。本紙の取材に対して独シーメンス社は事実関係を含めて「ノーコメント」としている。

 しかし、シーメンスは「すでに北京のメンテナンス工場の無償建設に同意した」(関係筋)との情報もある。

 中国政府は、今年から総延長1万2000キロに及ぶ高速鉄道網の建設に着手した。高速鉄道車両の修理や整備を行うメンテナンス工場を北京、上海、武漢、広州の4か所に建設するとされている。

 この路線を走る高速鉄道車両の入札は、この夏にも予定されており、日本からは川崎重工業や三菱商事など6社が共同で、新幹線車両で参加する見通し。また、仏アルストムが高速車両TGVで、独シーメンス社がICEで参加する公算で、日独仏の3陣営が激突する見通しだ。

反日デモ 権力闘争絡む陰謀説? 「北京Vs上海」背後には複雑な構図

2005/05/09 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 【北京=福島香織】中国は五月一日と四日に予告されていた反日デモを完全に封じ込め、反日デモ騒ぎは一段落ついたもようだ。あれはやはり官製デモだったのか。狙いは対日圧力だけだったのか−。一部の中国紙では陰謀説も浮上、最近の報道や分析からは、中央(北京)対上海の構図も透けてみえてくる。

≪不動産暴落≫

 陰謀説は、上海市党委機関紙、解放日報の四月二十五日付社説、「本質をはっきり見極め、違法を厳しく追及せよ」に登場した。社説は「デモの背後に良からぬ陰謀があり、企図は人に言えない目的を達成すること」とあり、反日デモを民衆の自発的行動とする政府公式見解を否定した形だ。

 この社説はその後、ネットでは削除され、胡錦濤国家主席を中心とする中央対江沢民・前党中央軍事委員会主席ら上海グループの複雑な関係が絡むとする見方が強い。

 上海はデモで北京以上の実害を被った。報道によれば、昨年十月から今年三月まで平均80%も値上がりしてきた上海不動産価格は四月一カ月で30%暴落。デモ参加者の暴徒化を防げなかった事実は国際都市のイメージを傷つけ、今後の投資への影響も懸念されている。

 上海のデモが北京より激化した主要因は、インド訪問中だった温家宝首相の「日本当局の深刻な反省を促すだろう」という発言だ。それが国内で報道され、当局のデモ支持を国民に印象付けた。

 これに対し、北京は最初の反日デモ以降は反日行動を押さえ込んだ。台湾の連戦・国民党主席訪中は反日デモ後の愛国ムードが高まる中で行われ、反国家分裂法で硬化していた台湾世論の懐柔に役立ったようにみえる。

 不動産暴落も、引き締め政策を推進し上海の経済独り勝ちを是正しようとする中央には好都合だったのかもしれない。ただ、どちらが“陰謀”の糸を引いたかは微妙だ。

≪社説で比較≫

 香港のネットニュースサイト、亜州時報は解放日報社説を、天安門事件(一九八九年)での民主化デモを動乱と断じた同年四月二十六日付の人民日報社説と比較する。

 「人民日報社説が学生デモの火に油を注いだ事実を上海当局が知らないわけはない」とし、解放日報社説の狙いを「愛国の情熱を故意に陰謀とさげすむことで反日デモの怒りの火に油を注ぎ、中央のデモ沈静化工作を妨害しようとした」とする見方を紹介している。

 四月九日の北京デモ当日、遺憾の意を表した中国が一夜で反日デモ擁護姿勢に転じ、責任は日本側にあると主張しだした背景に、対日強硬派の上海グループの影響があるとの見方は以前からなされていた。外交筋によれば、日本の弱腰対応には「上海グループとの対立に苦慮する胡主席への配慮もあった」という。

 ニューヨークに本部を置く人権団体、中国人権は反日違法デモを企図した理由で民主活動家ら少なくとも八人が拘束されたとし、「陰謀説」は、民主活動家らをスケープゴートにする口実だと批判している。

 五月の連休前から、反日サイトの多くは閉鎖され、六十人以上のデモ参加者が拘束され、北京の主要反日活動家は「温泉接待」の名目で隔離されるなど徹底した言論封殺が行われた。中国当局が当初、デモを擁護して対日圧力に利用し、用済みとなると取り締まり姿勢に転じたこと自体が最大の陰謀だ、と北京の知識人たちは皮肉っている。

反日デモ被害の賠償と謝罪、中国外相応じず

2005/05/07 読売新聞 Yomiuri On-Line

 町村外相と中国の李肇星外相は7日夕、アジア欧州会議(ASEM)外相会議が開かれた京都市内で会談し、中国で4月に起きた反日デモに伴う日本大使館などの被害について「原状回復」の進め方を日中両国間で協議することや、両政府間の対話を強化することで一致した。

 だが、李外相は今回も謝罪と賠償に応じなかった。

 会談では、町村外相がデモ被害への謝罪と賠償を改めて求めたのに対し、李外相は「再発防止に努力している。法に基づく措置をがんばってきた。日本国民の関心は理解している」と繰り返した。

 李外相は、中国外務省系の不動産会社が日本大使館の建物修復を申し出たことを挙げ、「原状回復を一生懸命やる」と強調した。上海の日本総領事館などの扱いも「事務的に話し合いたい」と述べた。

 歴史認識について、李外相は、小泉首相が4月のアジア・アフリカ会議で過去の植民地支配に「反省とおわび」を表明したことを評価した。しかし、小泉首相の靖国神社参拝に関しては、「絶対ないようにしてほしい」と要請した。

 一方、町村外相は中国の歴史教科書を取り上げ、「事実関係や表現に残虐な部分があるのではないか。戦後の日本の平和国家としての記述が少ない」と不満を伝えた。李外相は「中国の教科書を日本の右翼教科書と混同するような言い方は、是非を混同するものだ」と反論した。

 ただ、町村外相は両国の歴史共同研究に関して「年内にも具体的に詰めたい」と提案。李外相は「日中でも、日中韓でもいい。賛成だ」と応じた。

 今後の政府間対話では、5月中旬の呉儀・中国副首相の来日を確認し、外務省次官級による「総合政策対話」を同時期に北京で開催することで合意。東シナ海のガス田開発問題では、李外相は「共同開発についても議論し、境界線画定も協議したい」と提案した。

反日デモめぐり、米で日本に厳しい論調も

2005/05/07 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=伊藤俊行】先月の中国での反日デモをめぐり、米国の政策研究機関や主要メディアでの議論が続いている。

 「歴史問題」を乱用しているとして、中国の姿勢に批判的な見方が浸透している一方で、日本への厳しい視線もうかがえる。

 ワシントンで連日のように開かれている日中、日韓の対立に関する政策研究機関での会合では、米側の参加者から、先月の反日デモの責任は中国の側にあるとしたうえで、「歴史問題でより踏み込んだ対応を取ることで日本は何を失うのか?」「日本の方が『兄貴』なのだから、日本が譲るしかない」といった声が出ている。

 メディアは、地方紙も含め、おおむね「日本を批判する中国や北朝鮮が自国民を大量に殺してきた過去を再考するというのだろうか」(ロードアイランド州のプロビデンス・ジャーナル紙)などと中国を強く批判しているが、中には、「日本は歴史の記憶喪失だ。米国はインディアン迫害の歴史で日本のようになってはいけない」(アーカンソー州のデモクラット・ガゼット紙)といった日本に厳しい論調も散見される。

 先月下旬、米下院外交委員会アジア太平洋小委員会は、「変化する日本」と題した公聴会を開き、バージニア大学のレオナルド・ショッパ準教授ら日本研究者らの意見を尋ねた。この中で、ジェームズ・リーチ委員長は、日中の対立に関連し、「歴史問題をめぐる日本のナショナリズムの高まりが心配だ。北朝鮮問題や地域の安定にも影響しかねない」と指摘。ダイアン・ワトソン委員も、日本のナショナリズムへの懸念を表明した。

 国務省の元高官は、「日本が歴史問題で今さら何をしても遅すぎるし、中国が政治利用をやめるとは思えないが、靖国神社参拝や教科書検定で日本から対立を再燃させる必要もない」と言う。

 ある日本政府関係者は、「多くの米国人の対中イメージはパール・バックの小説『大地』のままで、共産党支配の現状や、戦後の日中関係の推移をよく知らない。判官びいきの面もある」と分析している。

「奨学金もない、恋人もいない、何もない」中国大学生 自殺深刻化

2005/05/02 The Sankei Shimbun

広がる貧富の差、就職難

愛国教育の副作用!?

 北京や上海の反日デモで「愛国無罪」を叫び、大暴れした中国の大学生たち。大国化する中国を背に自信に満ちて日本批判を展開しているように見えるが、一方では大学生の自殺が社会問題化している。背景には学内貧富の差や就職難などの社会矛盾がある。当代の学生たちが抱える“内なる悩み”を探った。(北京 福島香織)

 四月二十二日、北京大学で二人の女子学生が自殺した。国文科三年の学生は九階の自習室から、内モンゴル出身の医学院生は十二階の宿舎からそれぞれ飛び降りた。

 国文科女子学生が大学のホームページ掲示板に残した遺書には、「生きる理由を左に、死ぬ理由を右に書き出してみたら右ばっかり」「私をいじめ、からかう人から離れたい」と「孤独」が切々と記されていた。

 中国の昨年の自殺者は二十八万七千人。大学生の自殺統計はないが、自殺は大学生の死因の第一位と伝えられる。教育省、衛生省、共産主義青年団は一月に「学生の自殺や傷害事件を防止せよ」と大学に異例の通達を出した。最近の調査によれば、北京の大学生の16・51%がうつや強迫神経症など中度以上の心理疾患を抱えている。

 ネットの若者用討論掲示板も「自殺を何度も考えた」などと悲鳴のような書き込みであふれている。

 「私はゴミだ、大学はゴミ箱だ」「日ごとに就職の圧力が厳しくなる」「奨学金もない、恋人もいない、何もない」…。二月には重慶の女子学生が貧しさを恨んで自殺した。

 北京大学のキャンパスを訪れてみた。少数ながらアイドル歌手かと思うようなあか抜けた若者の姿。入学祝いに車を買ってもらい、マンションを用意してもらうような学生貴族も、起業し社長として活躍する学生もいる。

 一方で、一番安い学食で一元の野菜スープとご飯だけを毎日食べる地方出身学生がいる。「生活のためバイトに追われる。何のために大学に入ったのか」と疲れた表情。社会の格差が一つの教室に凝縮されている。

 就職難もある。報道では、昨年度の二百八十万人の新卒学生の三割が未就職だ。学費は年間七千元から一万元で、貧困地域の農村だと、一年かかっても稼げない額だ。卒業後、膨大な借金を返さなければならない学生たちにとって、就職先が見つからないことは相当な重荷になる。

 党と政府は今年から思想政治教育強化のキャンペーンを開始した。マルクス・レーニン主義、毛沢東思想などの必須科目のほか、愛国討論会や抗日戦争映画の鑑賞会などが各大学で開かれている。イデオロギー管理の強化だ。

 だが、複数の北京大学生は言う。「小さいころから抗日記念館に連れて行かれ、日本が悪者だと教えられてきたが、中国の歴史教育がおかしいことぐらい気づき始めている」。ある人民大学生は「努力が報われない社会を作っているのは本当は共産党だろう」と語る。

 唯一の崇拝対象と教え込まれてきた共産党への不信が芽生えたとき、すがるべき宗教観も死生観もない。学生の自殺続発は、反日デモとともに愛国教育の副作用なのかもしれない。

中国、メーデーで反日デモ警戒 上海は警官1000人配置

2005/05/01 The Sankei Shimbun

 中国当局は「黄金週間」(大型連休)初日に当たるメーデーの1日、反日デモを警戒し、北京や上海など主要都市で厳戒態勢を敷いた。上海では日本総領事館周辺にコンテナを置き、道路を封鎖した上で約1000人の警察官を配置。北京でも日本大使館の周囲を厳重に警備した。

 北京の公安局は4月30日、市民の携帯電話に「デマを信用して違法デモに参加しないよう」求めるメールを一斉送信。上海や江蘇省などでも無許可デモを禁じる談話を発表し、反日デモの抑え込みに全力を挙げた。

 中国メディアは、日中関係の重要性を訴えるとともに、社会の安定を維持することの必要性を強調するキャンペーンを展開。中国共産党機関紙、人民日報は30日付の論評で「中日が良好な関係を保つことはアジアだけでなく世界の平和と安定に直接影響する」と指摘した。

 これまでウェブサイト上に5月1日と、1919年の抗日闘争「5・4運動」記念日に当たる4日に上海、南京、重慶などで反日デモを行うとの書き込みがあった。広東省深センでも2日と4日にデモを行うとの情報が流れ、日本大使館などが警戒を強めていた。(共同)深センのセン=土ヘンに川

反日デモ参加者を摘発 中国アモイ、破壊行為で

2005/05/01 The Sankei Shimbun

 中国福建省アモイの地元警察当局は1日までに、破壊行為によって社会秩序を乱したとして反日デモ参加者の一部を摘発、取り調べた。4月30日の中国紙、アモイ晩報(電子版)が伝えた。

 アモイでは4月17日、約6000人のデモがあった。摘発を受けた人数や名前などは明らかにされていない。同紙は「デモに乗じ一部の参加者が公共物や私物を壊した」としている。

 反日デモ被害の関連では、上海市当局が42人を逮捕、拘束したと発表。日本大使館や日本料理店などに大きな被害があった北京では、破壊行為の事実や容疑者の摘発など一切発表されていない。(共同)

ヨーカ堂が北京に食品スーパー1号店

2005/04/30 The Sankei Shimbun

 イトーヨーカ堂は30日、北京市内の住宅地に合弁で食品スーパーの1号店を開店した。中国では4月に北京など各地で大規模な反日デモが相次いだが、ヨーカ堂は14日にも同市内で5店目の大型ショッピングセンターを開店しており、今後も積極的に出店していく方針だ。

 食品スーパーは、ヨーカ堂とグループのヨークベニマルが計60%、地元百貨店「北京王府井百貨」が40%を出資して昨年設立した新会社が運営。北京市内に5年間で20店を出店する計画としている。

 ヨーカ堂グループでは、セブン−イレブン・ジャパンも同市内に18店のコンビニエンスストアを出店している。(共同)

世界卓球で厳戒態勢 上海、体育館内にも警官

2005/04/30 The Sankei Shimbun

 中国上海市で30日、福原愛(16)ら日本人選手11人が参加する卓球の世界選手権が開幕、公安当局が会場の上海体育館内や通路などに多くの制服警官を配備、厳重な警戒態勢を敷いた。

 16日に反日デモが起きたことを踏まえ、市政府は選手権組織委員会に特別態勢を要請。組織委は突発事件に対処するためのチームをつくり、日本人選手団には会場の向かいの宿泊先からの移動も専用バスを使用、団体行動するよう求めている。会場の駐車場使用も制限され、国内外メディア292社のうち通行証が発行されたのは10社だけという徹底ぶりだ。

 ただ、30日は予選だけで中国勢は出場せず、中国人の観客が少なかったため、試合は静かな雰囲気で淡々と進行、会場の隅々で目を光らせる警官の姿が目立つ程度。

 観客席にいた福原選手の父親、武彦さん(62)は「今のところ反日デモの影響は感じない。本当にデモがあったのかと思うくらい平穏だ。ただ(デモ情報のある)4日は気になるけどなあ…」と話していた。(共同)

中国、「黄金週間」でデモ厳戒 日本大使館は注意喚起

2005/04/30 The Sankei Shimbun

 5月1日から始まる中国の「黄金週間」(日本のゴールデンウイーク)を前に、中国当局は無許可デモについて厳しく取り締まるとの方針をウェブサイトで明確に打ち出すなど抑え込みを強化、北京、上海など主要都市は厳戒態勢に入った。北京の日本大使館や各地の総領事館も在留邦人や日系企業に対し、サイトなどで注意を呼び掛けている。

 上海の公安局は29日、「現時点ではいかなるデモの申請も許可していない」との談話を発表。北京や広東省広州、江蘇省の公安当局も反日デモが起きた場合「法的責任を追及する」とし、デモを呼び掛けたり参加したりしないよう警告している。

 ただこれまでにメーデーの5月1日と、1919年の抗日闘争「5・4運動」記念日に当たる4日に上海、南京、重慶などで反日デモを行うとの書き込みがサイト上にあり、広東省深センでも2日と4日のデモ情報があった。多くは既に削除されたが、日本大使館では「可能性が完全になくなったわけではない」と警戒している。(共同) 深センのセン=土ヘンに川

靖国参拝自粛の「紳士協定」を否定 中曽根元首相

2005/04/28 The Sankei Shimbun

 中曽根康弘元首相は28日午前、中国の王毅駐日大使が1985年の中曽根氏の靖国神社公式参拝後、日中間で首相らの参拝は自粛するとの「紳士協定」があったと指摘したことに対し「事実に全く反する。そのような協定を行ったことは全くない。大使の記憶違いではないか」と全面的に否定し、中国大使館側に電話で抗議したことを明らかにした。都内の事務所で記者団に語った。

 中曽根氏は日中の外交当局間の了解があったとの見方についても「そのような事実は全くない」と強調したが、中国側が当時、参拝を見合わせてほしいとの意向を持っていたかについては「多分あったのだろう」と述べた。(共同)

上海のデモ被害店は40軒 日本総領事館がサイトで公表

2005/04/28 The Sankei Shimbun

 中国・上海で16日に起きた反日デモで、被害を受けた日本料理店やコンビニエンスストアなどが40軒に上ることが28日分かった。上海の日本総領事館が調査結果をホームページで公表した。

 このうち日本人が出資する25軒から聞き取り調査をした結果、半数以上の14軒が情報不足などのためデモ当時も営業中だった。被害を受けた際に周囲に警察がいたが制止しなかった、との答えが10軒だった。

 多くの店舗では「従業員の動揺」「日本人の客足減少」など中長期的な影響を強く懸念しているという。(共同)

メールでデモ無許可と警告 中国・江蘇省の公安庁

2005/04/28 The Sankei Shimbun

 中国江蘇省公安庁は28日、携帯電話のメールで、5月1日から7日までの大型連休期間中の反日デモは許可していないと、同省の住民に警告したことを明らかにした。

 デモの申請も受理しておらず、「無許可デモは違法行為。デマや偽情報を信じないでほしい」と呼び掛けたという。

 メッセージは26日に、同省で登録されているすべての携帯電話に送ったという。(共同)

デモ計画で反日団体メンバー拘束か 香港紙報道

2005/04/28 The Sankei Shimbun

 28日付香港紙、明報によると、中国各地で起きた反日デモについて中国当局は、有力反日団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」など複数の反日団体メンバーが計画したとの見方を強め、既に一部のメンバーを拘束している。

 同紙によると、連合会への捜査は今月14日に始まり、当局は北京や上海などの複数のメンバーを事情聴取し、北京の本部など複数の関係先を捜索した。尖閣諸島に上陸した経験があるメンバーは聴取の際、捜査員から「上陸したからといって偉そうにするな」などと言われたという。(共同)

日本の常任理入り恐れデモ操る 焦国標・元北京大助教授

2005/04/28 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 中国共産党の言論統制を批判したため、最近、事実上国外に追放され、渡米した元北京大学助教授の焦国標氏が反日デモに関し、産経新聞に寄稿した。氏は、日本の国連安保理常任理事国入りを恐れる中国当局がデモを操ったとの見方を示している。

 最近の反日デモについて、中国外務省は民衆の自発的行動だという。しかし、民衆が本当にうらんでいるのは一党独裁政治だ。なぜ、党委員会や党中央宣伝部を打ち壊しに行かないのか? それは、今回の反日デモは中国政府の監督とコントロールによるもので、その目的は日本の常任理事国入りの阻止にある。

 なぜ中国は日本の常任理入りを恐れるのか。日本が常任理で、米国と手を携えて民主・自由・人権の旗を掲げ、中国などそれと敵対する国に圧力をかける米国の戦略に協力するとみているためだ。そうなれば中国は国連で浮いてしまう。

 中国が、歴史問題などでの日本の態度を反日の起因としているが、西太后から胡錦濤に至るまで、歴史問題に関心を持った指導者はいない。彼らの真の関心事は非合法な政権の存続であり、それを妨げる要素は何かだった。今、一党独裁存続の最大の脅威は、人民の民主・自由・人権の要求が高まることだ。

 中国政府は民主への圧力が増す日本の常任理入りは断じて阻止したい。その真意を隠して、愛国主義、民族主義の旗を振り、反日感情を盛り上げた結果が今度の騒動だ。中国政府は民意をコントロールして、自発的デモのように見せ掛け、人民が独裁政権を擁護するように仕向けた。実に巧妙な手口だが、結果的には国際社会の同情と支持、尊敬をも失った。

 今回の騒ぎは「五四運動」(1919年の反日示威運動、軍閥政治の打倒につながり革命の転換期となった)の初期に似ている。日清戦争は戊戌(ぼじゅつ)変法(19世紀末の改革運動)を招き、抗日戦争は蒋介石政府の崩壊につながった。日本は常に中国政変の触媒になってきた。今回も、国内政治に多少のインパクトを与えたのではないか。

 日本人に言いたい。中国に民主・自由・人権がなければ、日本だけでなくアジア全体が安心して暮らせない。中国とのビジネス、金もうけのみを考えていると、遅かれ早かれ大損をする。日本人には中国の民主化にもっと関心を持ってほしい。

 歴史への対応では、日本はドイツには劣るが、中国より数倍もよい。中国の新聞や教科書における歴史の歪曲(わいきょく)、改竄(かいざん)、美化は、日本とは比較にならないほどひどい。政権への批判をそらし、非民主政治を存続させるためだ。中国の改革派が当面、影響力を発揮するのは難しいが、国際社会の関心と圧力が増せば、政治改革促進の助けとなるだろう。(ワシントンにて)

≪焦国標氏≫

 1963年、河南省生まれ。中国人民大学で新聞博士号をとり、文化省機関紙「中国文化報」で記者、編集者などを務めたのち2001年から北京大学新聞・マスコミ学院助教授。昨年4月にネット上に発表した論文「中央宣伝部を討伐せよ」で、中国共産党中央宣伝部の言論統制が中国の発展の足を引っ張っていると説き、中央宣伝部の解体を主張。今年3月、北京大学を解雇され渡米、米国民主主義全国財団に研究員として招かれワシントンの民主主義研究機関に在籍する。

中国で反日デモ情報、外務省が注意呼びかけ

2005/04/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 外務省は28日、中国のメーデーに当たる5月1日に南京市で、反日救国運動「5・4運動」記念日の同4日に上海、温州、重慶、南京の各市で、それぞれ反日デモが起きるおそれがあるとして、中国への渡航者や在留邦人を対象に注意を呼びかける渡航情報を出した。

中国反日デモ:日本旅行業協会 旅行者の安全確保申し入れ

2005年04月28日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 【北京・大谷麻由美】中国で相次いだ反日デモの影響で、中国を観光する日本人旅行者のキャンセルが相次いでいることを受け、旅行の業界団体「日本旅行業協会」の訪中団(団長・藤野公孝参院議員)は28日、北京で中国国家旅游局の邵局長と会談し、日本人旅行者の安全確保などを申し入れた。

 邵局長は「中国政府は旅行者の安全を保障する能力がある。更に多くの日本人旅行者が中国を観光することを歓迎する」と述べた。会談では、日中双方の観光業の協力、交流は互いに利益があることを確認し、今後も協力関係を一層深めていくことで一致した。

中国当局、反日団体本部を捜索 香港紙

2005/04/27 The Sankei Shimbun

 27日付の香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストなどによると、中国の公安当局は23日、有力反日団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」の北京の本部事務所を捜索、パソコン3台などを押収した。

 同連合会は、1919年の愛国抗日闘争「5・4運動」記念日の5月4日に北京での反日デモ実施を計画、当局への申請準備を進めていたが、捜索との関連は不明。連合会は、押収物の返還や謝罪を当局に求めているという。(共同)

首相参拝は「協定」違反 中国大使

2005/04/27 The Sankei Shimbun

 中国の王毅駐日大使は27日午前、自民党本部で開かれた同党外交調査会で講演し、小泉純一郎首相の靖国神社参拝の中止を望む立場をあらためて表明した。

 大使は「1985年に(当時の)中曽根康弘首相が公式参拝後、日本の顔であり、日本の国際的なイメージや立場を示す首相、外相、官房長官の3人については(参拝に)行かないという君子協定があった」と指摘し、首相参拝は日中の暗黙の了解事項になっていた「君子協定」に違反するとの認識を示した。

 これに関連し大使は「(過去の歴史への反省を)言葉だけでなく、行動で示すことが日中関係の安定につながる」と強調した。(共同)

日本製紙、中国合弁事業から撤退

2005/04/26 The Sankei Shimbun
 

 日本製紙は26日、中国河北省での洋紙合弁事業から撤退すると発表した。合弁先の「承徳帝賢針紡」が資金難に陥った上、同社から再建計画の説明を拒否されるなど信頼関係を回復できず、事業継続が難しいと判断した。

 中国河北省に年産15万トン規模の工場を建設中で年内の稼働を予定していたが、現在は工事を中断している。合弁会社は、日本製紙グループが55%、承徳帝賢針紡が45%を出資。年間売り上げ100億円を目指していた。(共同)

有力反日団体、「5・4」デモの申請延期 香港紙報道

2005/04/26 The Sankei Shimbun

 26日付香港紙、明報によると、中国の有力反日団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」の童増会長は、1919年の抗日闘争「5・4運動」記念日の5月4日に北京で計画していた反日デモについて、当局への許可申請を延期する。

 最近の中国のデモ規制などを受けた措置とみられるが、童氏は延期理由について「(日中関係の)大局に配慮し、日本政府にも誤りをただすチャンスを与える」などと説明しているという。

 また「連合会の愛国心の表現方法は多様だ。われわれはしっかり仕事をし、中華振興に努める」とも述べたという。(共同)

上海から文化交流団 府中市、8月の芸能公演へ

2005/04/26 中国新聞地域ニュース

 中国・上海市の国際文化交流団の一行が二十五日、府中市役所と神辺町役場を訪問した。同町の民謡グループ「直希会」など十一団体が八月に上海市内で日本郷土芸能を紹介する公演を開く予定。日中関係が揺れる中、市民レベルの交流を通して理解を深め合うことをあらためて確認した。

 一行は上海市対外文化交流協会の唐長髪副秘書長ら六人。公演をPRする番組製作のためテレビ取材班も加わっている。

 府中市役所で出迎えた伊藤吉和市長は「府中市は、上海の隣の平湖市と友好提携を結んでいる。市民間の交流がうまくいくよう期待している」とあいさつ。唐副秘書長は「現在、両国の間には少し問題があるが、時がたてば過ぎ去っていくこと。万全の準備と対策で迎えたい。互いの文化を認め合う場になれば」と話した。

 一行はこの日、笠岡、井原、津山市役所なども訪問した。上海公演には五市町などから約二百人が出演する。

反日デモで42人逮捕・拘束 上海、封じ込めへ強い姿勢

2005/04/25 中国新聞ニュース

 【上海25日共同】上海テレビは二十五日、中国上海市の公安当局が、十六日の同市での反日デモで日本料理店の破壊など違法行為を行ったとして十六人を逮捕、さらに二十六人を拘束した。一連の反日デモに関連して逮捕者が出たことが明らかになったのは初めて。

 中国での反日活動で、これほど多くを身柄拘束するのは異例。反日デモの再発を封じ込めるため、当局の強い取り締まり姿勢を示す狙いがある。

 同テレビによると、十六日の反日デモで、ごく少数の「不法分子」が石を投げたり、店舗を破壊した。こうした行為が社会の秩序を乱し、上海のイメージを損なったとしている。

 十六日の反日デモでは、日本総領事館周辺の日本料理店や、日系のコンビニエンスストアなど三十三軒が被害を受けたほか、総領事館には一万個以上の石やレンガ、ペットボトルが投げ込まれ、窓ガラス四十一枚が割れるなどした。

【中国の人々へ】(6)NPO法人岡崎研究所所長・岡崎久彦

2005/04/25 The Sankei Shimbun

排外デモは無力感の表れ

 二、三の私の中国人の友人と知的会話を楽しむ想定で、今度のデモのことを考えてみたい。

 友人の中には現在の中国の政策を弁護するのに巧みな高度な国際政治の専門家もいるし、天安門事件以来逼塞(ひっそく)しているらしい民主運動家もいる。歴史を遡(さかのぼ)ると、中国の反日デモでは、五・四運動がある。

 これは反日運動であると同時に時の軍閥政府に対する反政府運動でもあった。当時日本の進歩的インテリ吉野作造は、日本人自身が明治以来官僚軍閥支配と闘って来た事を想起して、「隣邦民衆の同じ運動の成功を切に祈る…。官僚軍閥の手より解放されて初めてここに両国間の強固なる国民的親善は築かるべきである。従来の所謂親善は、実は却って本当の親善を妨ぐる大障害であった。」と言っている。

 現在の中国体制派のインテリ諸氏に、この発言について同感を求めるのは無理なことは知っている。しかし天安門事件直前の頃の雰囲気ならば、民主化した中国と日本との間で、政治や利権にからむ友好人士間の関係でなく真の友好関係を築こうという呼びかけは理解されたであろう。

 他面、この五・四運動以降の反日運動は日本人の反中国感情の源となった。それまで日本人は、孫文を初めとする辛亥革命の志士たちを陰に陽に支持してきたので中国革命家とは仲間意識があると思っていた。ところが中国民衆の反日運動を目の前にして、日本は国家主義に再び目覚めた。昭和維新運動を主導する北一輝などがその例である。

 中国が反日運動をすれば、日本人の国家意識が強くなる、これは極めて単純な作用反作用である。今回の反日デモも当然そういう効果はあると覚悟しなければならない。

 その後戦争に至るまで日本が経験したのは国民党の公然たる政策だった排日侮日運動であった。

 これを、外国の研究者に、どう説明するのか、私は長い間苦しんだが、十数年前パレスチナにインティファーダが始まってから容易になった。インティファーダは武器を持たないパレスチナ人がユダヤ人に抵抗するために取った戦術であり、ユダヤ人との商売や接触をボイコットし、いやがらせをしていたたまらなくさせる作戦である。

 満州事変前には、日本人に対する、食料品などの販売拒否、婦女子に対する投石、凌辱(りょうじょく)、などがあり、その結果、相当数の日本人は引き揚げ、日露戦争以来の日本の権益は風前の灯となった状況があった。つまりインティファーダと同じ状況だったと説明すると、欧米人はすぐに理解できる。

 この状況は、日本との衝突を絶対に避けようという信念のあった汪兆銘などが抑制させた時期もあったが、概(おおむ)ね盧溝橋事件まで続いた。

 ただこの時期のことは今の中国の参考にならないし、また参考にすべきではないと思う。パレスチナ人もあの頃の中国も弱かった。武力で抵抗しても忽(たちま)ちにたたきつぶされただろう。

 したがって中国は国際法的には戦争と言えないギリギリの手段で日本人をいたたまれなくさせて追い出そうとしたのである。東京裁判で日本の弁護側があれは日本の自衛のためだと主張したのはその意味である。

 しかし今の中国はもう押しも押されもしない大国である。こんな手段で自己主張する必要は全くなくなった。

 考えてみれば、中国でこの種の排外デモが起こり始めたのは、今世紀初頭の団匪(だんぴ)の乱以来中国が半植民地化したことに対する民衆の憤りからである。中国が世界的帝国であった4000年の歴史ではこの種のことは寡聞にして聞いたことがない。はっきり言って、コンプレックス、無力感の表現といって良い。

 話は変わるが、今問題となっている扶桑社の歴史教科書の前の版には反米的な箇所があった。米国の或る会議でこの話をしたら、出席していたアメリカ人が、本当に異口同音に言った。「アメリカの悪口など世界中で言われているから気にしないよ」

 この時は、「さすが大国民、参った」と思った。その寓意は、日本人にも、中国の友人達にも解って欲しいと思う。 =おわり

 外務省きっての論客として情報調査局長、サウジアラビア、タイ大使など歴任。平成4年退官。7年に正論大賞受賞。『戦略的思考とは何か』(中公新書)など著書多数。

対日批判継続容認と香港紙 中国当局、国内メディアに

2005/04/24 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 24日付香港紙、明報は消息筋の話として、中国当局が無許可の反日デモ規制の方針を決定したと同時に、今後も教科書問題や靖国参拝などで対日批判を続けることを国内メディアに認めたと報じた。

 同紙によると、当局は今年が「抗日戦争勝利60周年」であることを十分に利用し「合理的で節度ある」対日批判に民意を結集する方針を決定。

 報道の際には日本製品ボイコットなど経済的影響が懸念される批判をトーンダウンさせ、日本の「右翼」と一般の日本人を厳格に区別することも求めているという。(共同)

中国、厳重警備を継続 反日デモ封じ込めに全力

2005/04/24 The Sankei Shimbun

 中国政府は24日、反日デモ封じ込めのため、各地で厳重な警備態勢を続けた。4月に入って3週連続起きた大規模なデモは23日に発生したとの情報はなく、当局は厳しい警備とメディアを通じたキャンペーンで規制強化を打ち出してから最初の週末を平穏に乗り切る構えだ。

 ジャカルタで23日行われた日中首脳会談で、胡錦涛国家主席は小泉純一郎首相に、歴史問題での反省とともに日中友好関係強化の必要性を強調しており、当局は威信をかけてデモ再発防止に全力を挙げる方針。

 一方、広東省珠海、東莞、中山では24日にデモが行われるとの情報もあり、同省広州、深センについてもデモの可能性が「否定できない」(北京の日本大使館関係者)という。

 公安当局はこうした南部の各都市に加え、これまで大規模デモが起きた北京や上海などを重点に引き続き警戒を続けるとみられる。(共同)深センのセン=土ヘンに川

「中国の愛国教育が反日に」懸念、改善求む…町村外相

2005/04/24 読売新聞 Yomiuri On-Line

 町村外相は24日のNHKの番組で、18日の唐家セン中国国務委員(前外相)との会談で、中国の「愛国教育」が「反日」につながる懸念を伝えたことを明らかにするとともに、「しかるべき調査をした上で、何らかの方法で日本側の考え方を伝えたい」と述べた。(唐家センのセンは王へんに「旋」)

 日本政府として中国の歴史教科書などの実態を調査し、改善を求めていく考えを示したものだ。

 さらに、外相は中国側の歴史認識に対して、「全く偏った見方で、一方的に中国はすべて正しかったという歴史観でしかない。歴史の解釈が1つしかないなんて、こんな馬鹿なことはない」と批判した。

 また、町村外相は23日の日中首脳会談について、「小泉首相は『両首脳が日中友好の大切さを確認するのが今回の意義だ』と位置づけていた。そういう大きな目的は達成したと言える」と評価した。

広東省珠海で反日デモ千人、中国政府が制圧

2005/04/24 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【香港=関泰晴】日系企業が多数進出する中国広東省珠海で24日、1000人規模の反日デモがあり、地元の公安当局がリーダー格の数人を拘束した。

 ただ、中国政府はインターネット規制や警備態勢の強化などによる抑え込み策に出ており、4月に入って反日デモの行われた北京、上海、広東省広州、遼寧省瀋陽などの大都市ではデモは報告されていない。

 関係者によると、珠海では、地元の工場で働く女性労働者600人が24日午前、郊外の広場に集まり、中国の国旗を持つなどしてデモ行進を始めた。その後、学生や若者も加わり、参加者は1000人前後に増えたが、デモ隊は日系スーパーを目指して200メートルほど進んだところで公安当局に制止された。当局はリーダー格の数人を拘束したうえ、デモを30分間で解散させたという。また、24日は香港でも親台湾派政党主催の反日デモがあり、80人が参加した。

 一方、広東省の広州、深セン、東莞の各市では、公安当局の武装警察官らが出動して厳重な警戒態勢をとり、反日デモ発生を未然に阻止した。上海でも日本総領事館前で警察官1000人による警備態勢が続き、北京や瀋陽などでも平静が保たれた。(深センのセンは土へんに「川」)

 中国政府は、インターネットで反日デモ参加を呼びかけることを禁止しており、反日団体が開設するホームページは一部閉鎖の状態が続いている。

 だが、メーデーの5月1日や、反日愛国運動のさきがけとなった五四運動の記念日である5月4日に北京や上海などで反日デモを呼びかける動きもある。このため、北京の日本大使館などで依然注意を呼びかけている。

ストのユニデン中国工場、操業再開 労使が合意

2005年04月23日 asahi.com

 通信機器メーカーのユニデン(東京都中央区)は22日、工員約1万6000人によるストライキが続いていた中国でのコードレス電話工場(広東省深●市)が同日朝から操業再開したことを明らかにした。本社によると、21日夜の交渉で労使がスト中止で合意。工員側はスト中の給料を支払うことや責任者を罰しないことを要求し、経営側が受け入れたという。  ●は「土」へんに「川」

国連本部前で反日デモ、中国系学生ら300人

2005年04月23日 asahi.com

 国連本部前で22日、日本の国連安保理常任理事国入りに反対するデモが行われた。中国系の学生を中心に、韓国、マレーシア、シンガポールなどアジア出身者ら約300人が参加。「日本は戦争犯罪国家だ」「歴史を改ざんするな」などと2時間近く抗議行動を繰り広げたが、混乱はなかった。

 デモはコロンビア、エール、プリンストンなどの米東部の大学の中国系学生団体が主体となって計画。アナン事務総長にあてた「日本は常任理事国になる資格がない」などとした請願書を国連本部に提出して解散した。参加者からは日本製品不買を呼びかける発言も出た。

 主催者の一人、コロンビア大学大学院生の王林日さんは朝日新聞に「日本政府の姿勢と政策を批判しているのであって、日本人はまったく敵視していない」と述べた。

日中首脳会談で首相、反日デモ再発防止求める

2005/04/23 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ジャカルタ=吉山隆晴】小泉首相は23日夜(日本時間同)、中国の胡錦濤国家主席とジャカルタ市内のホテルで会談した。

 首相は中国の反日デモに伴う日本大使館などへの暴力・破壊行為に抗議し、再発防止を求めたとみられる。そのうえで「日中友好は国際社会全体の利益になる」などとし、日中両国の政府間対話や民間交流の強化を呼びかけた模様だ。今月3日に中国で大規模な反日デモが発生して以来、日中首脳が意見交換するのは初めて。

 会談は、首相が中国側宿舎のホテルに胡主席を訪ねる形で行われた。

 首相は、反日デモに関し、中国に在留している日本人や日系企業の安全確保を強く求めたとみられる。

 これに対し、胡主席は「一部の国民による過激な活動には賛成しない」との中国政府の見解を改めて示したとみられる。

 首相は、先の大戦について「痛切なる反省と心からのおわびの気持ち」を表明した1995年の村山首相談話を踏襲し、戦後60年間の日本の平和国家としての歩みを説明。「友好こそが日中両国にとって最も大事だ」などとし、長期的な視野で日中友好関係を再構築する必要性を強調した模様だ。

 首相は、東シナ海の天然ガス田開発問題についても、話し合いによる解決を探る意向だ。日本政府は、5月に再開予定の日中実務者協議で、中国政府が提案している共同開発の可能性を含めて協議に応じる方針を固めている。

 17日の日中外相会談では、日中の専門家による歴史共同研究の実施や、青年交流などを盛り込んだ「共同作業計画」の策定などで合意している。

 首相と胡主席の会談は昨年11月のサンティアゴでの会談以来5か月ぶり、4回目。

「反省とおわび」首相演説、アナン事務総長が評価

2005/04/23 読売新聞 Yomiuri On-Line

 アジア・アフリカ会議(バンドン会議)首脳会議に出席している国連のアナン事務総長は23日、ジャカルタで記者会見し、小泉首相が先の大戦をめぐる「痛切なる反省と心からのおわび」を表明した22日の演説について、「この会議の場だけでなく、世界中から受け入れられたと確信している。この演説で、日中首脳会談が設定されたのだと思う」と評価した。

 日中関係については、「両国ともこの地域、世界にとって重要で、経済、政治、あらゆる分野で協力関係にある。日中首脳会談が緊張緩和と関係修復のきっかけになると期待している」と述べた。(ジャカルタ・花田吉雄)

反日デモ 北岡国連次席大使に聞く 中国の歪曲を他国も認識

2005/04/21 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 中国各地で広がる反日デモや中国政府の対応が、国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本の活動にどのような影響を与えるのかなどについて北岡伸一国連次席大使に聞いた。(ニューヨーク 長戸雅子) 

 −−日本に対する支持などへの変化はあるか

 「常任理事国の資格とは現在の国際の平和と安全に貢献する意思と能力で決まるべきもので、中国の批判によって日本の資格を疑うようになったり、支持が減ったりするということはない。しかし全く影響がないわけではない。加盟国に日本への理解を求めるときに最近はこの問題について必ず説明しなければならない」

 −−中国は日本の歴史認識を問題にしている

 「中国の一連の動きについて各国の報道の見出しがチャイニーズ・プロテストからチャイニーズ・アタックに変わってきていることを指摘しておきたい。プロテストには理由があるがアタックはそうではない。中国のやり方に疑問を持つ意見が徐々にだが増えてきているように思う。ワシントン・ポスト紙は『日本の南京大虐殺の記述を問題にして、毛沢東の大躍進による犠牲者やベトナム侵攻を教科書に掲載しないこと』の問題を批判している。日中外相会談の報道でも中国は町村(信孝)外相の謝罪部分だけ伝えており、意図的だ。『日本の歴史認識は歪曲(わいきょく)している』という主張こそ歪曲している」

 −−外相会談で中国は謝罪しなかった

 「在外公館に石が投げられ、窓ガラスが割られても『原因は日本にある』として謝罪しないという態度は理解に苦しむ。しかし、一連の対応で逆に中国自身が抱えている問題が露呈したと考えている。さらに問題なのは日本の事実が知られていないことだ。先日、中国の高官と話す機会があったが、日本の教科書は国定で靖国神社も国立だと思い込んでいたのには驚いた。日本政府としても誤解に基づくこうした批判への発信を強化していく必要がある」

ユニデン深セン工場でスト 労働条件の改善要求

2005/04/21 中国新聞ニュース

 【香港21日共同】中国広東省深センにある通信機器メーカー、ユニデン(東京都中央区)の工場で十八日から、中国人従業員約一万七千人が一斉ストライキを続けていることが二十一日分かった。

 ユニデン本社広報によると、従業員らは労働条件の改善を求めてビラを配るなどの活動をしているが、中国各地での一連の反日運動と直接の関係はないとしている。

 二十一日付香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、地元当局は、ストが周辺住民を巻き込んだ反日抗議行動に発展するのを警戒、工場周辺の警備を強化している。

 ユニデンによると、深セン工場では昨年末にも賃金問題などをめぐる争議が起き、地元当局の仲介を得て解決した経緯があり、同社は、今回も同様の問題が再燃した可能性があるとみている。

 深セン工場の日本人責任者は「ストは何の予告もなく始まった。具体的な要求は分からない。地元政府に調停を依頼している」と話している。

 ユニデンは中国に生産を集約しており、深セン工場はグループ内で最大の生産拠点。コードレス電話機や無線通信機器類を生産している。

中国旅行キャンセル3000人超 新規予約も激減

2005/04/21 The Sankei Shimbun

 中国の反日デモの影響で、日本から中国行きの旅行をキャンセルした人が3000人以上になったことが21日、分かった。新規予約が最大で反日デモ前の6割減となっている社もある。

 中国行き旅行のキャンセル数は、主要8社で3400人以上。4月出発分しか公表していない社もあり、今後増える可能性がある。

 旅行最大手のJTBは19日現在で590人が旅行をキャンセル。「台湾やグアムなど、他地域への旅行を提案している」(広報室)という。

 東急観光はグループや団体を中心に中国行き旅行を手掛けているが、4月から5月は予約していた約4000人のうち、約1000人がキャンセルした。

 一方、新規の予約も激減している。ジャルパックは20日までの1週間で、中国行きの新規予約は従来比で約6割減となった。同社は「4月から中国行き旅行に力を入れ始めたばかりだった。早く沈静化してほしい」(広報)としている。

 中国行き旅行はビザが不要になったことに加え、数年前から大手航空会社が路線を増強したことから人気が高まっていた。

 JTBは、ゴールデンウイークに日本から中国への観光旅行が、過去最高の約9万5000人になると予測しているが、下回りそうだ。(共同)

江前主席時代に反日教育強化 「デモの遠因」抗議怠った政府

2005/04/20 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 中国で戦争を体験していない若者たちが「愛国無罪」を叫び、暴力的な反日行為に走る背景には、江沢民・前国家主席時代の1994年に強化された「愛国主義教育」の影響がある。それを具体化した中国教科書は、戦前の日本に関しては虚偽・事実誤認も含め残虐性を強調する一方、戦後の日本には言及していないのが特徴だ。日本政府が中国に対し、こうした反日教育の是正を要求してこなかったことが「今回のような事態を招く遠因となった」(閣僚経験者)ともいえそうだ。

 「教師は、日本軍の残虐行為の部分を生徒に真剣に読ませて、日本帝国主義への深い恨みと激しい怒りを生徒の胸に刻ませよう」

 民間のシンクタンクで中国や韓国の教科書に詳しい日本政策研究センターによると、中国の教科書「中国歴史」の教師用指導書は、南京事件についてこう記し、対日憎悪をあおっている。

 また、日本による中国侵略計画が記された「偽書」として有名な「田中上奏文」について、中国の教科書は事実として記述。日本が勝利し、世界史的な意味を持つ日露戦争には一行も触れていないなど著しく偏った内容となっている。

 さらに、チベット侵攻は「平和解放」、朝鮮戦争は「米国の朝鮮侵略」とするなど不可解な記述が多いが、中国教科書は事実上、国定で、日本のように複数の中から選ぶことはできない。

 このため、前回平成13年の教科書検定時にも、自民党からは「中韓の教科書についても意見提起すべきだ」との指摘が出ていたが、外務省は「中韓にはまだ(戦争の)痛みが残っていることも理解してほしい」(当時の槙田邦彦アジア大洋州局長)などとし、中韓両国に公式ルートで教科書是正を要請することはしてこなかった。

 一方、米国のブッシュ大統領は2002年に訪中した際の講演で、中国教科書の「米国は弱者をいじめ、貧しい者を抑圧している」などの記述について「誤っている上に有害だ」「現状をねじ曲げており、訂正すべきだ」と是正を迫った。この問題では及び腰の日本との違いを見せている。

【中国の人々へ】(1)外交評論家 岡本行夫

2005/04/20 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

最悪シナリオ回避のために

 過激な反日デモが繰り返される中国。日中両国にとって不幸なこの事態を建設的に打開する道はないのか。日本および日本人への誤った認識を正す方策はないのか。中国をよく知る識者たちに中国国民へのメッセージを寄せていただいた。

 最悪のシナリオから考えよう。2008年北京オリンピックの女子マラソン。先頭を走る日本選手に、42キロの沿道を埋めた観衆から「小日本」「鬼子」と罵声(ばせい)が浴びせられる。それにペットボトルさえも。世界中の人々が自国の応援に集まるなか、日本の応援団だけは「中国人民を刺激すれば安全は保証できない」と中国政府に言われ、日の丸も振れないし、日本語の声援もダメ。日本選手達は、どの種目でどの国と対戦しようと、中国人観衆の怒声と相手国への大声援の中で競技しなければならない。その前に、日本ではそのようなオリンピックに参加すべきかとの議論も出ていよう。

 さらに深刻なのは10年、20年後だ。中国の経済規模は日本を凌駕(りょうが)し、圧倒的なアジアの最強国家になっている。その時代に中国の政府、軍部、社会を支配するのは、嫌日感情の強い世代である。日本の国家安全保障に直結する事態となる。

 日中双方とも、今の事態の深刻さを十分認識していない。放置すればそうなるのである。

 中国で、戦争を直接体験した世代よりも若い人たちに嫌日感情が強く6割が「日本は嫌い」と答えるのは、教育の所為以外の何物でもない。中国の学生たちは日本人が2000万の中国人を殺したと教育される。当時の江沢民主席は1998年に早稲田大学で、日本は中国の軍民3500万人を死傷させたと演説した。論争を避ける日本政府はこうした数字に抗議しないから、ますます中国人にとってこの数字は正しいものとなる。父母の時代に2000万人殺されたと信じれば、その加害国との友好など、どの国の若者にとっても笑止千万の話だろう。日中は、米国とイラン、インドとパキスタンのように、ほとんど不倶戴天(ふぐたいてん)の敵同士となってしまう。悲観論者はアテネとスパルタと言うかもしれない。

 1972年の日中国交正常化からの経緯をよく知る人たちが、専門知識の故に、見失うことがある。それは、今や反日感情は、これまでのような「循環」ではなく、拡大深化する「趨勢(すうせい)」であることだ。

 第一に、組織的な愛国反日教育は94年から行われ、反日感情の再生産は今も続いている。学校ばかりでない。中国各地に抗日記念館の建設が続き、日本軍の残虐行為の展示を、全国で年間に何百万人という小中学生が見る。この累積的な効果が、いまや臨界点を超えてしまったのである。

 第二に、1999年秋から中国で急膨張を続けるインターネットの伝播(でんぱ)力がある。壁新聞の時代とは違う。以前から、中国のインターネットに「日本製品ボイコット」の語が登場する規模を検索してきたところ、結果は去年の9月が28万ページ、今年2月が39万ページ、そして現在が80万ページだ。日本の安保理常任理事国入りに反対する署名サイトもいくつもできた。署名は秒単位で増加し、途方もない数になっている。

 第三に、経済が大躍進し宇宙開発にも成功する中国で、若者の誇りと自信は年ごとに、ナショナリズムを高めている。

 もちろん小泉首相の靖国参拝、尖閣や海洋権益を巡る日中の衝突、中国人の自国政府への不満の高まりなどの最近の事象も反日感情を加速化しているが、何よりも、ここ10年以上の「趨勢」が背景にあることが基本構図である。

 趨勢である以上、中国に「感情的にならずに冷静に」と呼びかければ済む話ではない。思えば、1995年の戦後50周年が、日中の不幸な歴史の幕を閉じる最後のチャンスと思われたが、その機会は失われた。ここまで日中関係が来てしまった以上、日中双方が考えるべきことは「日中友好」などという、通り一遍の言葉ではない。逆に、国際社会で日本を孤立化させようとの今の中国の目論見も百害あるだけだ。最悪のシナリオを双方が認識し、それでいいのかと問うことから始めよう。

 中国の特に学生諸君に訴えたい。愛国の精神は当然だが、日中関係については、相手側の言い分も含め、全ての情報を知った上で判断する努力をしてほしい。例えば日本が3兆円以上の資金で中国経済を支援してきている基本的事実など、政府から聞かされていないのではないか。

 あなたがたの国には大きな能力がある。しかしそれを国家の輝ける未来に転化するためには、日本を含む世界の協力を得ること、国際ルールを踏まえることが必要だ。よく考えて欲しい。

 日本側では、60周年の今年も、95年同様に総理談話を出すべきだろう。過去は消せないにせよ、歴史と教科書を日中が共同で検証し、せめて1980年代の日中関係に戻すための戦略を日中で考えよう。中国にその用意がないのであれば、東アジアの将来は暗い。

 91年外務省を退官し岡本アソシエイツを設立。橋本内閣および小泉内閣で二次にわたり首相補佐官。外交評論家。

デモ不参加要請、中国共産党 幹部ら3500人に報告

2005年04月19日 asahi.com

 中国共産党は19日、北京の人民大会堂で党、政府、軍の幹部ら3500人を集めて、日中関係について異例の「情勢報告会」を開いた。李肇星(リーチャオシン)外相が「無許可デモに参加せず、社会の安定を乱すことをしないように」と呼びかけた。

 中国各地で相次ぐ反日デモが社会秩序を乱し、国際社会からの批判を招きかねないと危ぶんだ党が、厳しい姿勢を示し、国内の引き締めを図ったとみられる。中国中央テレビは午後7時(日本時間同8時)からのニュース番組で、この報告会について全国に報道した。

 李外相は日中関係の歴史や従来の対日政策について説明した後、「現在、我が国は社会建設の重要な時期にある。大局的な戦略から、中日関係の重要性を適切に処理しなければならない」と話した。

 さらに、反日デモへの不参加を強く求め、「愛国の熱情を本来の仕事や学習など実際の行動に転化し、中華民族の偉大な復興のために貢献してほしい」と語った。

中国こそ恣意的に歴史を解釈…反日デモで米紙論評

2005/04/19 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=貞広貴志】中国での反日デモなどで日中両国間の緊張が高まっている問題で、米紙ワシントン・ポストは18日、「中国の身勝手な記憶」と題して、中国が日本に「歴史を直視する」ように求める一方で、自らは権力維持のため恣意(しい)的に歴史を解釈していると指摘する論評を掲載した。

 筆者は、かつて同紙の北東アジア総局長(東京)を務めたフレッド・ハイアット論説面担当部長。「中国では歴史解釈はひとつしかなく、変わるのは共産党がそう決めた時だけだ」と前置きし、日本では、教科書問題などをめぐり「新聞や雑誌、大学の場で、開かれた議論が行われている」現状と対比した。

 さらに、中国の教科書が、3000万人が飢饉(ききん)などで命を落としたとされる毛沢東の大躍進政策の失敗には全く触れていないことや、天安門事件については「(共産党)中央委員会が適時に対処し、平静を取り戻した」としか記述していないことなどを紹介。「権力維持のため歴史を利用する独裁体制では、開かれた論争により歴史解釈が見直され真実に近づくという希望は持てない」と、中国の“歴史悪用”を批判した。

 さらに論評記事は、中国共産党が、「アジアで先導的な役割を果たす上で、日本を便利な悪役に仕立て上げる」以前には、ロシア批判を自己正当化の道具としていたと指摘し、「来年は米国の番かもしれない」と警鐘を鳴らしている。

 一方、同日付のロサンゼルス・タイムズ紙社説は、「中国は日本が帝国主義に戻らないことを知っており、歴史問題は日本を威圧するためのこん棒」との見方を示した。その上で、「共産党指導部を最も当惑させるのは、日本による真の謝罪」であり、日本は過去の清算に踏み切れないことで「敵の手に落ちている」とする論旨を展開した。

不買運動、GDPへの影響は0.05% 反日で

2005年04月19日 asahi.com

 野村証券金融経済研究所は19日までに、中国の反日デモが日本の経済成長に与える影響の試算を発表した。不買運動などで日本製品への需要が3カ月にわたって半減すると、年間の国内総生産(GDP)を0.05%押し下げることになるという。

 同研究所の木内登英シニアエコノミストは調査報告で、中国は日系企業の「生産基地」としての性格が先行し、消費地としての比重はなお限定的だと分析。

 中国の消費財の需要変動で影響を受けるのは、日本のGDPのうちの0.4%にすぎない。このため、仮に日本製品への需要半減が3カ月続いても、日本のGDP全体への影響は「軽微と考えられる」という。

 大和総研は一連の反日デモの広がりを受けて、これまでは政治的な関係悪化とは関係なく経済関係が深まっていることから「政冷経熱」と評されてきた日中関係の図式が崩れ、「政冷」が「経熱」に悪影響を及ぼしつつある、とのリポートをまとめた。

大使館の原状回復提示 中国外務省の関連会社

2005/04/19 中国新聞ニュース

 【北京19日共同=松岡誠】中国で起きた一連の反日デモに絡み、中国外務省下部機関の不動産会社が北京の日本大使館に対し、九日にデモ隊が破壊した窓ガラスや建物などの原状回復を申し入れてきたことが十九日までに分かった。北京の日中関係筋が明らかにした。

 日本大使館の建物はこの不動産会社が所有しており、日本側が借りている。日本側は申し入れを受け入れるかどうか決めていないという。同様に被害を受けた大使公邸については、原状回復の申し入れはない。

 今回の申し入れの背景には、中央政府レベルでは謝罪と補償を拒否して国内外に対日強硬姿勢を誇示しつつ、地方政府や政府関連機関が補償や原状回復に応じ日本側の反発をかわすことで事態収拾を図る狙いがあるとみられる。

 上海市当局も、十六日の反日デモで破壊された複数の日本料理店に対し、損害賠償を行う意向を表明しており、今後、広東省広州などデモの被害を受けた他の地域でも同様の動きが広がるか注目される。

 日中関係筋は「中国側が一連のデモ被害について賠償に乗り出したのではないか」と分析している。

 日中外交筋は「中国側の精いっぱいの誠意表明」と肯定的に評価。反日デモが貧富の格差や官僚腐敗などに怒る民衆の暴動に発展することを警戒する中国側が、慎重に落としどころを探っているとの見方もある。

中国の対応、慎重に見極め 補償問題で日本政府

2005/04/19 The Sankei Shimbun

 日本政府は、中国の反日デモで被害を受けた日本の外交関連施設への補償問題で、中国外務省下部機関からの北京の大使館施設に対する原状回復の申し入れに即答せず、中国政府の出方を慎重に見極めてから回答する方針を固めた。北京の日本外交筋などが19日、明らかにした。

 中国には「国際ルールに基づき、被害を受けた在外公館の施設について補償する責任がある」(日本の外務省幹部)にもかかわらず、同様に被害が出た北京の日本大使公邸などは補償する意思を示していないためだ。

 このため日本政府は、外国公館の不可侵と保護を定めたウィーン条約などに基づき、正式な補償を中国政府に求める方向で調整に入っており、両国間の今後の交渉が事態打開に向けた焦点になるとみられる。

 外交筋によると、中国側は日本が施設を借りている日本大使館については、外務省下部機関の不動産会社を通じて原状回復する考えを示したが、日本の国有財産の大使公邸については沈黙したまま。

 日本政府関係者は「大使館施設の所有権は中国にあるため、自分の施設を補修するという観点から申し出た可能性も否定できない」と指摘した。

 また日本政府は、在留邦人や企業などへの十分な補償も求める構えで、大使館担当者らが被害者らからの聞き取り調査に着手。上海市当局が講じた一部被害者への補償措置が十分だったかどうかについても確認する方針だ。(共同)

中国公館などへの嫌がらせに抗議 在日中国大使館参事官

2005年04月19日 asahi.com

 在日中国大使館の黄星原参事官は19日、東京都内で記者会見し、日本にある中国の公館や関連施設に嫌がらせが相次いでいる問題について「釈明と謝罪、類似事件の再発防止を日本政府に求める」との談話を発表した。

 黄参事官は、大阪市にある総領事館で17日未明、男が瓶を投げつけ、服が燃え上がった事件の現場を監視カメラで撮影した映像や、東京都内の語学学校「日中学院」の玄関のガラス扉が金属製の弾で撃たれたとみられる現場の写真を示した。

 さらに、大使館や総領事館に届いた脅迫電話や手紙の内容を示し、「(こうした行為が)在日中国人の生命に脅威をもたらしている」とした。

 また、日本のメディアが「日本国内での破壊行為を小さく伝えている」と不満を述べ、バランスのとれた報道を望むと語った。

中国反日デモ:岡田民主代表 駐日大使に謝罪と賠償要求

2005年04月19日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 民主党の岡田克也代表は19日、東京都内の駐日中国大使公邸で王毅駐日大使と会談し、中国での反日デモによる暴力行為について「先人が築いた日中友好の努力が水泡に帰した。何らかの謝罪がないと日本人は納得できない」と述べ、謝罪と賠償を求めた。王大使は「治安当局は最大限の努力をしている」と釈明する一方で、「なぜ若い人がこういう形で不満を表明しているか考えてほしい」と述べ、日本政府の歴史認識に問題があるとの考えを示した。

 また、岡田氏は7月にも訪中し、中国政府首脳と会談したいとの意向を伝えた。【衛藤達生】

指導権狙い日本「悪者」に 米紙が中国批判評論

2005/04/19 The Sankei Shimbun

 18日付の米紙ワシントン・ポストは中国での反日デモに関連し、歴史問題に正面から向き合おうとしていないのは中国であり、中国はアジアの指導権を握ろうとして日本を「悪者に仕立てている」とするフレッド・ハイアット論説委員長(元東京特派員)の署名評論を掲載した。

 評論は「中国の都合のいい物忘れ」との見出しで、日本の教科書における南京大虐殺の扱いが問題なら、「毛沢東の狂気の大躍進」で起きた飢饉(ききん)で3000万人が犠牲になったとされることや、「1979年のベトナム侵攻」などを教科書に記載しない中国に問題はないのかと批判した。

 さらに、日本では歴史認識問題で「延々と開かれた論議」がなされ、靖国問題でも賛否両論があり、教科書も選択可能と指摘。中国では「歴史(叙述)は1種類しか許されず」、それは共産党が決めていると日本を擁護した。(共同)

中国関連施設への嫌がらせ10都道府県で25件

2005/04/19 The Sankei Shimbun

 村田吉隆国家公安委員長は19日の閣議後の記者会見で、在日中国大使館(東京都港区)など中国関連施設に対して相次いでいる嫌がらせなどの事件が、今月9日から18日までの間に10都道府県で25件発生していることを明らかにした。

 中国公館に対する事件は、北海道、東京、大阪、福岡、長崎の5都道府県で14件発生。日中友好会館など関連施設では、北海道、東京、神奈川、京都、兵庫、島根、佐賀の7都道府県で11件起きている。

 村田委員長は「わが国は、公館などをきちんと警備して保護する義務がある」と指摘。「警備は大変だが、在日中国人に万が一のことがないように今後とも警備を徹底させたい」と述べた。(共同)

上海の反日デモ、区政府が被害店舗に賠償へ

2005/04/18 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【上海=伊藤彰浩】中国・上海市で発生した反日デモをめぐり、デモ隊に破壊された日本料理店などがある同市長寧区の区政府は18日、店舗側に対し被害の賠償を行う意向を伝えた。

 中国政府はデモ被害に全く謝罪していないが、地元レベルで賠償することで経済への悪影響拡大を防ぐ狙いとみられる。

 虹橋地区で被害を受けた複数の日本料理店関係者らが本紙に明らかにした。在上海日本総領事館もこれを確認した。関係者によると、区政府当局者が各店を巡回して被害状況を点検するとともに、被害届の提出を求めた。日中経済筋によると、上海市政府の元幹部が日系企業に出向いて事態を説明しているとの情報もある。

 同総領事館の調べでは、被害を受けた店舗は計16に上り、日本人経営だけでなく、中国人単独経営、日中合弁、台湾人経営の飲食店も含まれる。各店舗は18日から修理を開始。店内に暴徒が入り込み、最も大きな被害を受けたお好み焼き店「味蔵」の経営者、片山輝雄さん(57)は「月内には営業を再開したい」と話していた。

反日デモ、続発の恐れ…5月4日が焦点に

2005/04/18 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=藤野彰】中国の反日行動は今後の日中折衝や国連安保理改革の展開いかんでは続発する可能性が強まってきた。

 中国国民の反日感情が盛り上がる抗日戦争勝利60周年の8月に向け、事態は流動性を増しつつある。

 中国は5月1日から黄金週間。インターネット上では、1919年の反日救国運動「五・四運動」の記念日である4日に反日デモを実施しようとの呼びかけが行われており、当面はこの連休中の動きが焦点だ。日中折衝で関係改善への前進が見られない限り、反日はなお沈静化しそうにない。中国当局は日本揺さぶりのため、引き続きデモを容認する可能性がある。

 また、7月7日は日中戦争の発端となった盧溝橋事件の記念日。現在、大規模改修を行っている、現地の中国人民抗日戦争記念館がこの時期に再オープンする予定で、当局は戦勝60周年とからめて愛国主義宣伝を大々的に展開すると見られる。

 しかし、この間に天安門事件記念日(6月4日)が挟まるため、デモ放任は社会不満を訴える反体制運動を誘発しかねない。

反日デモで胡主席「第二の天安門」懸念 米誌報道

2005/04/18 The Sankei Shimbun

 米誌ニューズウィーク(電子版)は17日、中国の胡錦涛国家主席が、北京で9日に起きた反日デモの直後に、共産党政治局常務委員会を招集、デモ拡大への懸念を表明していたと報じた。情勢に詳しい中国筋の話として伝えた。

 同誌によると、胡主席の最大の懸念は、今回のデモが1989年に起きた天安門事件の再来のような形になることだった。主席は、常務委員会の場で「(デモ拡大は)不満を表明する口実を反体制派に与えるだけだ」と話したという。

 同誌は、胡主席の懸念は「遅すぎた」と指摘。反日デモがその後、上海や広州などに拡大したことを紹介した。

 同誌の報道が事実ならば、胡錦涛政権が予期していなかった方向に事態が進んでいることを意味する。(共同)

反日デモで警戒、愛知万博・中国館周辺に警察官配置

2005/04/18 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中国での反日デモ拡大を受け、愛知県警は18日、愛・地球博(愛知万博)長久手会場の中国館周辺にパトカーと警察官を配置した。

 会場内を巡回する警察官も立ち寄る回数を増やすなど重点的に警戒させる。

 県警によると、これまで会場内で反日デモに絡むトラブルは起きていないが、県警は「日本国内で中国関連施設が嫌がらせを受ける事態が相次いでおり、万博会場も何か起きてからでは遅いので理解してほしい」としている。

反日デモに反発?嫌がらせ相次ぐ

2005/04/18 The Sankei Shimbun

 福岡市の在福岡中国総領事館に届いた手紙に、カミソリの刃が同封されていたことが十八日、分かった。同館によると、手紙は中国の反日デモに抗議する内容で、十二日ごろ届いた。カミソリの刃一枚が同封されており、差出人名はなかった。警察には被害届は出さない方針という。

 同総領事館によると、反日デモが過激化して以降、同館には嫌がらせ電話やデモに抗議するファクスが相次いでいる。(共同)

 18日午前7時半ごろ、神奈川県藤沢市湘南台のマンションに入居する「日中協会研修部会」事務所の窓ガラスに穴が開いているのを職員が見つけ、110番した。近くにパチンコ玉2個が落ちており、藤沢北署は中国での反日デモに反発した嫌がらせの可能性もあるとみて、器物損壊容疑で調べている。現場は小田急江ノ島線湘南台駅近くのマンションなどが立ち並ぶ一角。(共同)

 18日午前6時55分ごろ、東京都文京区の日中友好会館別館にある「日中学院」1階玄関のガラスのドアに4カ所の穴が見つかり、現場から直径約5ミリの金属弾2発が見つかった。警視庁が器物損壊容疑で捜査している。(共同)

「暴力」呼びかける反日サイト、完全規制は困難

2005/04/18 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=佐伯聡士】民主化運動や非合法気功集団「法輪功」などインターネット上の反体制言論に対する監視の目を光らせている中国政府は、9日の北京の反日デモ以降、暴力行為など過激な行動を呼びかけるサイトを接続しにくくするなど管理を強めている。

 昨年末9400万人だった中国のネット人口は今年末には1億2千万人に達する見通しだ。ポルノや暴力など悪影響がまん延するサイトを取り締まるため、当局は、違法インターネットカフェの摘発に力を入れてきた。特に、昨年からはポルノや反体制言論などの取り締まり強化に向け、一般利用者からの通報を受け付けるウェブサイトを開設するなど躍起になっている。

 過去には、憲法改正フォーラムで急進的改革案を提唱していた知識人のサイトが閉鎖に追い込まれたほか、反体制言論をネット上で発表した作家が拘束、収監されているとの情報もある。

 ただ、当局は、反日言論サイトに対しては、これまで反体制サイトとは異なる寛容な姿勢を示してきた。こうしたネット世論が「対日外交カードになる」(中国筋)との判断からだ。

 しかし、反日デモに関しては、当局は最近、過激な暴力行為を呼びかけるネットサイトに歯止めをかけるため、キーワードでふるいにかける措置をとっている。これに対して、ネット活動家らは、文字間隔を空けるなどの作戦で当局の網をかいくぐろうとしている。

中国便、1カ月で予約1万人減 全日空が見通し

2005/04/18 The Sankei Shimbun

 全日本空輸の山元峯生社長は18日の記者会見で、中国の反日デモの影響により、中国便の予約客が当初予想より1カ月間で1万2000人程度減少するとの見通しを示した。全日空は中国便で4月中に約11万人の予約があったが、相次ぐキャンセルで経営への影響が出そうだ。

 山元社長によると、4月11日から15日までの間に1日当たり約1000人のキャンセルがあり、新規予約が約600人入った。差し引き1日当たり約400人減で、1カ月間では1万2000人が減少する見込み。

 山元社長は、4月9日に同社北京支店に石が投げられ、2階の窓にひびが入る被害があったことも明らかにした。(共同)

【反日デモ 私はこうみる】ジェトロ理事長・渡辺修氏

2005/04/18 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 この三年ぐらいで、日系企業と中国企業の「工程分業」が進み、部品や半製品の相互やり取りが必要不可欠となった。つまり緊密度の高い分業体制が出来つつある。こうした構造は簡単に変えられず、反日デモが直ちに日系企業の活動や投資活動に大きな影響を与えることはないだろう。

 しかし、中国の過激な反日行動への心理的な不安が、ジワリと重苦しく広がりつつある。出張中止など、何らかの動きが日本企業の一、二割に出ている。中国国内では、日本製品の引き揚げや取扱店で客から暴行や暴言を受ける被害が報告されている。

 より大規模な不買運動に広がれば、直接の売り上げにも影響が出るのは必至だ。反日風潮が強まり、社会的な批判を恐れた中国企業が、日系企業からの部品調達も控える事態になれば対中投資そのものに響くだろう。

 外国人の安全やビジネス環境を守るのは法治国家の基本。中国当局からこの件で明快な発言がないことは極めて遺憾だ。上海のデモでも一部、過激な行動が放置されたが、世界に与える中国のイメージが傷つくことは避けられない。

 反日デモの背景を理解するには、もう少し分析が必要だ。不満が歴史認識なのか国連安保理問題なのか、生活の不平に対するはけ口なのか、判然としない。(デモは)日本についてあまり知らない内陸部からも発生している。反日言動が匿名性の高いインターネットからで、なぜ今発信されるのかとの問題も残る。

 意見の違いはあって当然だし、日中間では、今後もいろいろな問題が起きるだろう。双方が百パーセント同じ歴史認識を共有することはあり得ない。が、感情に流されることのないマネジメントが欠かせない。そのためには、さまざまなレベルでの対話と交流が粛々と進められなければならない。首脳の相互訪問が何年も行われないことは異常事態だ。その点、今回の外相会談が予定通り行われた意義は大きい。

 国際摩擦の解決には通常、新聞や学識者といった健全な世論の存在がある。しかし、中国にはそのような世論がない。このため、直接に本音をぶつけあう対話がより重要となる。民間も、中国での知的財産権の侵害をもっと訴えるなど、主張していくべきだ。

 中国の若者を修学旅行などで受け入れれば、日本が軍国主義に向かっているといった観念的に教わってきたことと現実の違いが見えてくるはず。腰をすえて大規模な若い世代の相互交流を図らないと、相手の国を見誤ってしまう。(談)

 わたなべ・おさむ 昭和39年、東京大学法学部卒後、通産省(現・経済産業省)入省。平成9年同省事務次官。14年から日本貿易振興機構(ジェトロ)理事長。小泉内閣の対外関係タスクフォース委員。

町村外相、謝罪を要求 唐氏、靖国、教科書で批判

2005/04/18 The Sankei Shimbun

 中国訪問中の町村信孝外相は18日午後、北京の釣魚台迎賓館で唐家●(●=王ヘンに旋)国務委員(前外相)と会談した。町村外相は対日外交政策の事実上の責任者とされる唐氏に対し、反日デモに伴う日本大使館などへの破壊、暴力行為について「中国側の謝罪の言葉があれば、日本側の気持ちも変わったが、昨日の(李肇星外相との)会談では意見が一致しなかった」と述べ、あらためて謝罪を要求した。

 これに対し唐氏は「過激な行動には賛成しない」としながらも、「既に(外相会談で)深く話されていると承知している」として謝罪しなかった。逆に「日本は歴史、台湾政策で態度を変えたのではないか」と指摘し、特に小泉純一郎首相の靖国神社参拝と歴史教科書問題を批判した。

 町村外相は「指摘は当たっていない。日本は戦後ずっと平和の道を歩んでいる。平和立国だ」と反論した。

 唐氏は一方で「胡錦涛国家主席をはじめ中央の指導部は日中関係を改善させたいと考えている」とし、「反日教育は存在していない」と強調。経済、貿易、文化、科学技術などの幅広い分野で「交流を発展させたい」と表明した。

 小泉首相が愛知万博(愛・地球博)中の温家宝首相の来日を招請したことについても「温首相は大変重視している」と前向きに検討する考えを伝えた。(共同)

中国次官「デモ沈静化は日本次第」

2005/04/18 中国新聞ニュース

 【北京18日共同】中国の武大偉外務次官は北京市内で十八日、一連の反日デモについて「原因は歴史問題にある。日本が先に謝罪すべきだ」と外国人記者団に言明し、デモの責任はあくまで日本側にあるとの認識を鮮明にした。一方、同日付の中国各紙は町村信孝外相が十七日の日中外相会談で「深い反省とおわび」を表明したと報じた。国内向けには町村外相の歴史問題での「おわび」を強調することで、国内世論をなだめ、反日デモの沈静化を促す狙いがあるとみられる。

 武次官は「日本政府が、歴史問題で過去の誤ったやり方を改める断固たる措置を取れるかどうかを見守る」とも述べ、デモが沈静化するかどうかは日本側の対応次第との見方を示した。

 さらに武次官は、現在の日中関係について一九七二年の国交正常化以来「最も深刻な困難」に直面しているとの見方を示した。

 中国各紙は新華社電を引用し、日中外相会談で町村外相が「日本の中国に対する侵略は、中国人民に大きな傷を負わせた」と述べたと伝えた。また各紙は、李肇星外相の「日本が侵略の歴史に対する反省を具体的行動で示し、中国人民の感情を再び傷つける行為をやめるよう希望する」との発言を報じた。

 町村外相が中国各地で起きている反日デモの過激な行動について中国側に謝罪と補償を求めたことには一切触れず、逆に李外相が「日本にある中国の公館や中国人の安全確保」を強く要請したと伝えた。

対中配慮、足元見られる 日中外相会談

2005/04/18 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 日中外相会談は、あまりの激しい反日デモに呆然(ぼうぜん)とした日本側が、対話継続に重点を置いたばかりに、中国側に足元を見られた結果となった。中国側に対する配慮ばかりが目立ち、その一方で、在留日本人保護はなおざりにされたといっても過言ではない。「法律に基づき対処したい」(李肇星外相)といいながら、十七日にも大規模な反日デモが行われ、在留日本人は反日行動の脅威にさらされたままだ。

 今回の会談について、外務省筋は「双方が一致点を探していこうという雰囲気で行われ、一致点があったと思う」と評価して見せた。さらに、謝罪と賠償については、決着済みといわんばかりの説明を繰り返した。

 もともと、今回の反日デモに伴う暴動への謝罪問題では外務省内に認識の違いがあった。「チャイナ・スクール」とも称される外務省の中国担当者は、九日に中国の喬宗淮外務次官が阿南惟茂駐中国大使に「お見舞いと遺憾の意を表明する」と述べたことをもって「中国側はすでにお見舞いをしている」と主張。別の幹部は、「謝罪と賠償について正式な回答は得ていない」との認識を示しているが、一連のデモと暴動について、「中国政府の想定を超えていたのではないか」などと、中国側に理解を示す外交官もいるほど。

 李外相は会談で、「日中の現状を放置すると国民感情は地すべり的に悪化する。何とかとめないといけない。あるべき方向からそれてしまう可能性がある」と述べたが、中国の苦しい立場をにじませたものとも取れる。

 ならば、なおのこと、中国側も日本の国民感情について思いを致さない限り、真の関係改善にはつながらないだろう。(宮野弘之)

中国、デモ暴徒化謝罪せず 北京で日中外相会談

2005/04/18 中国新聞ニュース

 【北京17日共同=有田司】町村信孝外相は十七日、中国を訪問し、李肇星外相と北京の釣魚台迎賓館で約二時間会談した。町村外相は冒頭、三週連続の反日デモに伴い日本大使館などへの破壊活動や日本人への暴力行為が相次いでいることについて謝罪と補償、再発防止の徹底を要求した。李外相は「一部の過激な行為は、自分は賛成しないし目にしたくもない」と述べたが、デモの背景には日本の歴史問題などがあるとして謝罪しなかった。逆に「いま重要な問題は日本政府が歴史問題などで中国人民の感情を傷つけることをしていることだ」とし、小泉純一郎首相の靖国神社参拝や歴史教科書問題を批判した。

 ただ両外相は、小泉首相と胡錦濤中国国家主席の首脳会談を二十二日からインドネシアで開かれるアジア・アフリカ会議(バンドン会議)五十周年記念首脳会議で実現することで大筋合意。関係修復に向け対話を継続することを確認した。

 反日デモに関連し町村外相は「デモ自体に文句は言っていない。しかし破壊行為はいかなる背景があったとしても認められない。中国政府は国際ルールにのっとって、誠実かつ迅速に対応してほしい」と要請。李外相は「(中国政府は)一貫して法治の精神を堅持し、法律に基づき措置してきた」と強調した。日本側は「引き続き善処を求めていく」(外務省筋)方針だ。

 李外相は台湾問題で「日米が戦略目標にしている」と日本政府の姿勢を批判する一方、「中国はこれまで一度も日本国民に申し訳ないことをしたことはない」と強調した。

 両外相は人的交流拡大などを目指す「共同作業計画」の策定で基本的に合意したほか、中断している日中安保対話などの再開にも前向きに取り組むことになった。

 歴史問題でも、町村外相は日中間での歴史共同研究の検討を提案、李外相は「提案を大変重視する」と答えた。

「愛国無罪」を厳しく追及 町村氏、中国側に反論

2005/04/18 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は17日夜、日中外相会談で反日デモでの破壊行為について「『愛国無罪』と言えば何をやってもいいのか」と李肇星外相に厳しく迫ったことを記者団に明らかにした。

 会談で李氏が「(反日デモの)根本原因は歴史問題にある」と述べたのに対し、町村氏が反論した。

 町村氏は記者団に、反日デモをめぐる李氏とのやりとりについて「すれ違いだった。日本国民が衝撃を受けていることを中国のリーダーは理解していない。残念だ」と述べ、中国側の対応に不快感を示した。

 また、デモ隊の襲撃を受けた日本大使館を視察した感想について「大きな玄関の大きなガラス全面にひびが入っていた。相当な衝撃で壊されたと想像できる」と述べた上で「そうした破壊活動を阻止しなかった警備の不十分さを(会談で)指摘した」と強調した。(共同)

「社会の安定」訴え 中国・人民日報

2005/04/17 The Sankei Shimbun

 17日付の中国共産党機関紙人民日報は一面に署名論文を掲載、社会の安定を維持し、直面する問題には法律に基づいて対処するよう強く訴えた。

 論文は直面する問題が何かは触れていないが、中国各地に広がりつつある反日抗議行動が中国社会全体の安定を脅かしなかねない要因とみなし、国民に安定重視を訴えたとみられる。

 「調和社会の構築から安定を見る」と題した同論文では、ケ小平氏が1989年に述べた「すべてに優先して必要なのは安定である。安定した環境がなければ、何もできない。既に達成した成果も失いかねない」との発言を引用。

 中国指導部が目指している調和のとれた社会の建設には、社会の安定が不可欠であると主張。「現在の世界にはさまざまな摩擦や問題があるが、冷静に法律にのっとって解決しなければならない」と強調した。(共同)

日系スーパー前で反日行動 東莞では反日ストも 広東省

2005年04月17日 asahi.com

 中国広東省珠海市の日系スーパー前で17日午前、500人規模の反日行動が始まった。日本製品のボイコットなどを叫んでいる。日系工場などで働く出稼ぎ労働者に参加が呼び掛けられているもようで、最終的に数千人規模に膨れ上がりそうだ。

 一方、香港メディアなどによると、同省東莞市の日系工場では16日、出稼ぎ労働者ら約1000人による反日ストライキが発生。地元住民らの証言では、15日に「日本人幹部が中国人従業員を殴った」とのうわさが工場内に広がり、怒った従業員が16日にストを行ったという。17日も出勤拒否の状態が続いているとの情報もある。

 地元では、「工場前で日本人とみられる男性が服をはぎ取られた」との未確認情報も流れ、周辺は緊迫した状態が続いている。警察が17日午前も厳重警備に当たっている。(時事)

中国総領事館にガラス瓶 投げた男やけど 大阪

2005/04/17 The Sankei Shimbun

 17日午前2時ごろ、大阪市西区靭本町3丁目の在大阪中国総領事館前で、男が出入り口に向かってガラス瓶を投げ付けた。警戒中の大阪府警の警察官2人が取り押さえたところ、男は自分で衣服に火を付け、全身に燃え広がった。

 警察官が消火器などで火を消したが、男は全身にやけどを負い重傷。西署は男の回復を待って、器物損壊容疑で事情を聴く方針。

 同署の調べでは、男は30−50歳でダウンジャケットを着ていた。同署は、男が油のようなものを自分の衣服に振り掛け火を付けたとみて、身元の確認を急いでいる。

 男は歩いて総領事館に近づき、警察官が職務質問しようとするとガラス瓶を投げたという。(共同)

広東の日系企業工場でスト、労働者が日の丸焼く

2005/04/17 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【香港=関泰晴】ケーブルテレビ局「香港有線テレビ」によると、反日デモの警戒が続く中国広東省東莞市の日系企業の電子部品工場で16日、中国人労働者数千人による大規模なストライキが行われた。

 労働者の一部は日本の国旗を焼くなどしており、北京や上海などで相次ぐ反日デモの刺激を受けたものと思われる。広州の日本総領事館も同様の情報を得ており、事実確認を急いでいる。

 関係者によると、同工場では、労働者の大半を占める民工(出稼ぎ農民)が賃金や待遇の改善などを求めており、最近の反日活動の活発化に絡み、ストライキを起こすという事前情報も出ていたという。このため、日本人従業員は16、17日は香港に移動するなどしていた。

中国反日デモ 規制の意思に疑問 また暴徒化、拡大も

2005/04/17 The Sankei Shimbun

 【北京=伊藤正】中国最大の都市、上海で行われた反日デモは、日本の総領事館や日本料理店などへの破壊行為に発展した。一週間前、日本大使館などを襲った北京のデモの再現であり、中国政府に反日デモを規制する意思があるのか疑わせる。十七日に北京で開かれる日中外相会談で、中国側の出方によって、反日デモはさらに拡大し、日中の経済関係や民間交流に深刻な影響が及ぶのは不可避な形勢だ。

 今月二日の四川省成都、九日の北京でのデモが日系企業や日本の公館に物的被害を与えた後、中国政府は無許可デモを規制、違法行為に法的責任を問う方針を決めた。これを受け北京、上海の警察当局は、ホームページに政府方針を発表。北京では十六日、厳戒態勢を敷き、ネット上で呼びかけのあったデモは発生せず、混乱もなかった。

 上海市公安局報道官の十五日付談話は、十六日のデモについて申請・許可がないと確認していた。中国の法律では、デモ、集会は五日前までに申請、許可を得なければならない。ところが、北京などと同様、デモは規制されず、長時間にわたり激しい破壊行為が、警備陣に制止されることなく行われた。

 この日のデモを前に、在上海総領事館に対し、上海市当局は万全の警備を確約、北京のようなことは起こり得ないと説明していた。市当局は、数千人の警備陣を投入しており、デモ隊を解散させ、少なくとも破壊行為を制止できたはずだが、規制の動きを見せなかった。

 この不可解さを解くカギは、中国政府の反日デモ擁護姿勢だ。九日の北京の破壊行為に関し、中国政府は「歴史問題などにおける日本の態度、行動に不満な民衆の自発的行動」とし、「責任は中国側にはない」と謝罪や賠償要求を拒否した。

 中国側は一部の過激な行動は「目にしたくなかった」ともいい、十五日までに無許可デモの規制や違法行為の責任追及の方針とあわせ、北京、成都の違法行為容疑者として二十二人を拘束したと日本側に伝えた。

 しかし規制方針の一般への広報はなく、違法行為への警告とみられた容疑者の拘束も報道されていない。国営新華社通信は基本的に英語版のみで、反日スローガンを紹介してデモを擁護、破壊行為は一切伝えず、日中当局間のやり取りも報道してこなかった。

 こうした経緯からすると、中国側のデモ規制方針や破壊行為容疑者の拘束は、日中外相会談を前に、中国が規制に真剣に取り組んでいることを示し、日本側の謝罪要求を拒否、責任を日本側の歴史認識などに帰することが主眼だったとの見方もできる。

 中国側にとって上海のデモの暴徒化は計算外だったろうが、反日デモは愛国主義の表現との基本姿勢は変わらない。外相会談で、中国側は謝罪拒否の姿勢を貫くとみられ、反日デモは勢いを増す可能性が大きい。

上海市が日本批判の談話 反日デモで謝罪せず

2005/04/17 The Sankei Shimbun

 上海市政府の報道官は16日夜、同日の反日デモについての談話を発表、「日本が侵略の歴史などの問題について間違った態度を取ったことが、人民の不満を招いた」と、日本側を批判した。中国当局が同日のデモについて談話を発表するのは初めて。日本人の負傷や料理店の破壊行為については、謝罪の意を示さなかった。

 一方「民衆が、冷静に理知的な態度で合法的に自らの気持ちを表明し、愛国の熱情を学習や仕事への努力に変え、無許可のデモに参加しないことを希望する」と呼び掛けた。(共同)

中国メディア、国内向けには報道なし 上海の反日デモ

2005/04/17 The Sankei Shimbun

 中国中央テレビなどの中国メディアは16日夜現在、上海での大規模反日デモについて、国内向けに報じていない。

 国営通信の新華社は、同デモについて英文で報じたが、国内向け報道は新たな対日抗議活動を呼ぶ可能性もあり、先週の北京のデモと同様、中国当局が報道を規制しているとみられる。(共同)

「五輪や万博ができるのか」 安倍氏、中国対応を批判

2005/04/17 The Sankei Shimbun

 自民党の安倍晋三幹事長代理は17日午後、仙台市内の集会で、中国の反日デモ参加者による日本大使館や総領事館への暴力行為に関し「彼ら(中国)は、オリンピックや万国博覧会をやろうとしている。今のような状況が続くなら果たしてできるだろうか。疑問が生じざるを得ない」と述べ、中国政府の取り組みを批判した。

 安倍氏は「それぞれの国は(外国の)出先機関を守る義務が条約で課せられている。国際ルールに反しているから、やるべきことをしっかりやっていただかないと、国際社会で信用を失墜していく」と指摘した。(共同)

暴力デモ再発防止要請へ 北京で日中外相会談

2005/04/17 中国新聞ニュース

 【北京17日共同】町村信孝外相は十七日午後、北京に到着し同日夕、李肇星外相と釣魚台迎賓館で会談した。

 町村外相は三週連続で起きた反日デモによる北京の日本大使館や上海総領事館、日系企業などへの暴力行為について、あらためて中国政府の陳謝と損害補償を要求し、再発防止に万全を期すよう要請する。中国側がこれまでと同様、日本政府の歴史認識に対する中国国民の不満がデモの背景にあるとの主張を繰り返すだけに終わるのか、李外相の対応が注目される。

 両政府は今回の会談で、人的交流拡大などを目指す「共同作業計画」の策定などを確認し、関係修復に向けた環境整備を進める意向だが、当初の予定通りの展開になるか微妙な状況だ。

 東シナ海の天然ガス田開発問題は、日本側が民間業者への試掘権付与手続きを始めたことで新たな段階を迎えており、今後の展開を占う会談になる。

 歴史認識問題に関して、町村外相は中国の「愛国主義教育」が反日感情を増幅していると問題提起。双方の専門家による歴史共同研究を提案する考えだ。

きょう外相会談 謝罪・補償表明が前提 実質協議入り微妙

2005/04/17 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は十六日夕、外務省で記者団に対し、十七日に北京で行われる李肇星外相との会談で、この日の被害も含めて一連の反日デモに関する謝罪と損害賠償を改めて求める考えを示した。日本側は「けじめ」をつけることを協議の前提としており、会談では中国が謝罪と補償に応じるかが最大の焦点。会談が関係改善に向けた契機となるかは中国側の出方にかかっている。

 中国側が規制したにもかかわらず、十六日に上海で初めて反日デモが行われ、日本総領事館などに被害が出たことについて町村外相は「はなはだ遺憾だ。事態の沈静化と収拾、再発防止、被害の原状復帰、責任者の処分を求めてきたが、同様の申し入れを行った。十分な警備が行われていなかったと判断せざるを得ない」と強く非難した。中国側への抗議は在京の中国大使館と北京の日本大使館を通じて行われた。謝罪はなかったという。一方、小泉純一郎首相は記者団に「日本人の安全確保には十分気をつけていただきたい」と述べた。

 外相会談では本来なら、日中両国の人的交流の拡大などを含む「共同作業計画」の策定や、民間交流の拡大のための基金、日中歴史共同研究、さらに北京五輪を機に終了する中国への円借款問題などが議題となる。

 しかし、こうした問題で実質的な話し合いができるかどうかは、中国側が一連の「破壊活動」(町村外相)への謝罪と補償に応じるかどうかにかかっている。

 十日に町村外相が王毅駐日大使を呼び謝罪と補償を求めたが、日本側は「いまだに中国からの正式な回答、謝罪はない」(外務省首脳)との認識だ。中国政府は九日に喬宗淮外務次官が阿南惟茂駐中国大使に「お見舞いと遺憾の意を表明する」と述べただけ。その後、外務省の秦剛報道官が「責任は中国側にない」と声明。十二日には温家宝首相が「日本は深い反省を迫られるだろう」などと責任を回避してきた。中国側の姿勢に日本側の反発は強く、双方の隔たりは大きいままだ。

 十三日に日本が東シナ海の石油ガス田の試掘手続きに入ると発表したことにも中国側は「重大な挑発」(秦剛報道官)と一段と態度を硬化させている。

 外相会談での中国側の出方について、日本側には反日世論からみて中国政府が謝罪まで踏み込むことは難しいと見る向きが多い。ただ「大使館や相手国民を保護するという国際法の基本ルールを守れないようなら、北京五輪を前に大変だ。(謝罪への)何らかの態度表明があるだろう」(外務省幹部)との見方もある。

 町村外相は十八日までの滞在中、温家宝首相らとの会談も調整中だが、一連の会談で、中国側から明確な謝罪表明がない限り、実質的な話し合いに入るのは難しそうだ。

中国の反日デモ、日本の進出企業への影響が拡大

2005年04月17日 asahi.com

 中国で広がる反日デモで、日本の進出企業への影響が拡大している。中国最大の経済都市・上海で日系コンビニが襲撃され、広東省の日系工場は生産中止に追い込まれた。日本企業には、ブランドを前面に出さないようにする動きも強まっており、混乱が長期化すれば、ビジネスは深刻な痛手を被りかねない。

 広東省東莞にある電子部品メーカー、太陽誘電(本社・東京)の現地法人の工場では16日、労働者約2000人が日本の歴史教科書への不満を訴え大規模なデモを行った。

 門扉など一部が壊されたため、二つある工場は生産を中止。17日の休日を挟み「明日は生産を再開したいんですが……」と、本社の担当者は、不安げだ。

 「うちも従業員の大半が現地の人間。トラブルが起きないよう気をつけないと」。広東省深セン市などに進出している大手スーパー、イオンの本社では17日も情報収集を続けた。現地の公安当局の指導もあり、この日は深セン、珠海両市の店舗で営業を見合わせた。

 上海市で約220店を展開するコンビニのローソンは、16日のデモで卵を投げつけられたり、投石で店のガラスを割られたりして4店に被害が出た。うち1店ではデモ隊の数人がガラスを割ったうえ商品を散乱させ、17日朝まで一時休業した。

 上海市には日系企業4500社が進出、邦人3万4000人が暮らす。ともに中国最多といわれる。上海のデモでは、日本のデジタルカメラを持参した参加者がなじられ、製品を壊される場面もあったという。日本車は横転させられたり、物を投げつけられたりしている。

 このため、当面は日系企業が前面に出るイベントや展示会などを控える動きが加速しそうだ。カシオ計算機は、4月末に上海で予定していた電子辞書の新製品発表会の中止を決めた。22日からは上海で国際モーターショーが開かれる。日本の自動車各社は予定通り出展する考えだが、「混乱が予想より長引いている」(三菱自動車)と、緊張を高めている。

 中国戦略の強化を急ぐ日本企業の本社にも、戸惑いが広がっている。キリンビールは、13日に東京本社で予定していた中国市場での新戦略発表会を延期。「発表日程は反日運動の状況を見て決めたい」(幹部)という。

 「中国は法治国家だと強調しているが、暴力的なデモも海賊版など知的財産権の侵害も放置したまま。世界水準には遠い」。ある日本企業の幹部は、にがりきった表情で話した。

北京修学旅行を中止 浜田高今市分校

2005/04/17 中国新聞地域ニュース

 浜田高今市分校(大矢幸雄校長)が、十八日から予定していた中国・北京への修学旅行を中止していたことが十六日までに、分かった。

 同校によると、修学旅行は二、三年生計四十五人が、四泊五日の日程で実施予定だった。中国各地で激化する反日デモの影響で、保護者から実施について問い合わせがあり、保護者会開催やアンケートで保護者、生徒の意向を確かめた。中止を求める声が多かったとして十三日に中止を決めた。キャンセル料は保護者が負担し、旅行先を国内に切り替える。

 旅行は天安門広場などの観光や北京の学校との交流などを予定していた。

歴史認識問題視を非難 小沢氏、反日デモで

2005/04/16 The Sankei Shimbun

 民主党の小沢一郎副代表は16日、仙台市内で街頭演説し、中国の反日デモに関連し、中国側が日本側の歴史認識を問題視していることについて「イギリスは中国にアヘン戦争を仕掛け、アヘンを売ってぼろもうけした。ロシアも似たりよったりのことをしている。だが、反英、反ロ運動が起きたとはついぞ聞かない」と非難した。

 中国政府の対応について「日本人や日本政府はなめられている。絶対問題にならないと思っているから、国内の不満を日本に向ければいいという程度に考えている」と強く批判した。

 尖閣諸島や竹島の領有権問題をめぐる小泉純一郎首相の外交姿勢について「国民の生命とともに、国土を守るのは政府の最低限で最大の役割だ。それさえも丸く収めればいいというやり方だ」と指摘した。(共同)

北京のデモ、反日団体が動員…香港紙

2005/04/16 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【香港=関泰晴】15日付香港紙「明報」は、消息筋の話として、北京で9日に起こった反日デモに関して、中国教育省が、「『中国民間保釣(尖閣防衛)連合会』が参加者を動員・組織した」とする調査報告をまとめたと報じた。

 同紙によると、中国当局は、北京でのデモ参加者は約10万人に達し、大学生が半数を占めたと推計、反日的な同連合会の組織力や動員力に驚いているという。反日デモが過激化すると反政府運動に転じる可能性もあり、当局は、こうした組織への警戒を強めているようだ。

 中国各地で相次ぐ反日デモでは、同連合会など「愛国反日団体」の関与が指摘されてきた。これに対して同連合会の童増会長は「民衆の自発的なデモだ。一度も運動を組織したことはない」と否定している。

【反日デモ 私はこうみる】京都大学大学院教授・中西輝政氏

2005/04/16 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 中国政府は、大使館や大使公邸への投石をめぐる謝罪や賠償の要求にこたえようとしない。国際慣例上、明確な敵対国同士を除いておよそあり得ない対応であり、「相手国とは共存しない」という意思表示とすら受け取れる。今回の事態は通常なら大使を召還すべき事例といえ、日本にも国際的な評価を意識した対応が求められる。日中の2国間だけでこの問題をとらえるのではなく、国際社会の目に「日本が正しい」と印象付けるべく対処することが重要だ。

 各国政府には在外公館を守る義務がある。だが、中国では義和団の乱をはじめ、文化大革命期にも外国公館が襲われてきた。1999年に在ベオグラード中国大使館の誤爆事件を受けて起きた北京の米国大使館襲撃事件を見ても、国際基準に達していない。日本は冷静かつ強硬に主張し続けることが大切だ。

 反日デモでは、歴史認識の問題と日本の国連安保理常任理事国入りの問題を絡めてきた。これまでとは枠組みが変わっており、中国政府が以前から、この方針で日本の常任理入りを押さえ込もうと練り上げてきた結果ではないか。「歴史カード」の真の狙いをかつてなく明示した点で、対日外交戦略を転換したと見るべきであろう。

 江沢民氏に代わって胡錦濤氏が国家主席となり、やや開明的な方向に進むかと期待されていたが、むしろ軍や治安・情報機関が影響力を増しているのではないか。原潜の領海侵犯や東シナ海での強硬な資源開発に加え、言論統制の強化や反国家分裂法制定といった最近の動きは、軍部の影響力増大を示すものだろう。

 「今の中国にとっては経済発展の継続が最重要課題で、力をつけるまでは対外的には低姿勢でゆく」というトウ小平の路線は破綻(はたん)しつつある。

 ただ当面、中国は日本に対しては強い姿勢に出る一方で、国際的には「歴史的な被害者」という立場をアピールする二重基準で対処しようとするだろう。また「歴史カード」を振りかざせば日本の国内が分裂するから、日本はすぐ譲歩する、という中国側の計算がうかがえる。

 2002年5月に瀋陽の日本総領事館で起きた脱北者一家連行事件では、日本国内での関心が外務省批判へと向かい、04年11月の中国原潜による領海侵犯事件では海上警備行動や安全保障体制のずさんさに議論が移った。この結果、中国に対し謝罪を要求する国内の結束が崩れてしまった。いわば日本が自滅した格好だ。こうした場合、国内の結束を何より優先することが大切だ。「仏の顔も3度まで」というが、日本は国家として正念場を迎えている。(談)

                  ◇

 なかにし・てるまさ 京都大学法学部卒。ケンブリッジ大、スタンフォード大客員研究員をへて、平成元年から7年まで静岡県立大教授。現在、京都大学大学院人間環境学研究科教授。専門は国際政治学。著書は「大英帝国衰亡史」「帝国としての中国」など。第18回正論大賞受賞。

上海反日デモ:日本企業の間に戸惑い広がる

2005年04月16日 毎日新聞

 中国最大の経済都市である上海で16日、大規模な反日デモが行われたことで、日本企業の間に戸惑いが広がった。日本企業はすでに中国経済に深く組み込まれており、撤退など後退の選択肢は事実上ない。「どんなコメントを出しても、ネット上で意図がゆがめられてしまう」(ある日本企業)と無力感を募らせており、じっと嵐が去るのを待つしかない状況だ。

 上海に210店を展開するローソンでは同日、日本料理店の隣で営業していた店のガラスが割られ、休業に追い込まれた。入り口を壊されたり、生卵を投げつけられた店もあった。同社は06年3月末までにさらに100店を増やす計画に変更はないというが、「冷静に状況を見ていきたい」と話している。

 カシオ計算機は、今月下旬に上海で予定していた電子辞書の新製品発表会を中止した。キリンビールも13日に東京都内で開く予定だった中国戦略の発表会を取りやめた。

 現在、上海に進出している日本企業は約4500社。現地に在留する日本人は03年10月現在、2万3500人にのぼる。日本企業の上海への直接投資額は約11億ドル(03年)で、海外からの直接投資全体の18.9%を占め、国別ではトップだ。中国は安価な労働力などを利用した生産拠点であると同時に、消費市場としても注目を浴び、中でも上海は市場経済化の先頭に立つ重要な都市だ。

 上海市では21日からモーターショーが開催される予定だが、「日本製品の不買運動が長期化すれば、(まだ影響の出ていない)日本車の販売にも波及する懸念がある」(三菱自動車)と、拡大や長期化を心配する声が強まっている。

反日デモ 公安当局は黙認 一部の暴徒化阻止できず

2005/04/16 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国・上海で十六日発生した大規模な反日デモは、同日昼までに一万人規模に膨れ上がり、一部が日本総領事館前で気勢を上げた。当局側は、警官隊を街角に立てて、デモ隊が暴れないよう神経をつかう一方、反日デモそのものは容認する姿勢を示し、結局は、一部が暴徒化するのを阻止できなかった。

 上海のデモ隊は「釣魚島(尖閣諸島)は中国の領土だ」「歴史を改竄(かいざん)するな」などの横断幕を掲げ、「日本製品ボイコット」「日本に国連安保理常任理事国の資格はない」などと叫びながら、日本総領事館に向かった。

 警備当局は、総領事館周辺に盾や警棒などで武装した武装警察隊数百人を配置したが、一部の参加者が大量の石を持ち込み、領事館に投げつけることを阻止しなかった。

 町村信孝外相の公式訪問を翌日に控えた首都・北京では十六日朝から、中心部の天安門広場を中心に千人を超す警官隊が配置され、厳戒態勢が敷かれ、日本大使館前では武装警察隊員約千人と放水車を含めた警察車両数十台で警戒している。

 九日に北京で起きたデモで日本大使館に被害が出たことで、国際社会から中国政府の対応を批判する声が出たためだが、当局側は依然、“暴徒化しない秩序あるデモ”ならば日本への外交的圧力となるとの計算や、若者のはけ口として認めるといった姿勢を捨てたわけではない。

 こうした政府側の思惑と呼応するかのように、インターネットでのデモ参加の呼びかけでは、「日本の公館では石や金属物、卵を投げるな」「日本関係企業を壊すな、中国政府が弁償させられる」などと注意書きまで書かれている。

 十六日から十七日にかけての反日デモは、インターネットでの呼びかけで、瀋陽、成都、広州、珠海、中山、桂林、香港、西安、青島、鄭州などの各都市にも拡大しそうだ。反日デモを基本的に容認している当局側が、各地に広がるデモの波をどこまで本気で抑えにかかるか、疑問視されている。

上海で数万人が反日デモ、北京は当局の厳戒下に

2005/04/16 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【上海=伊藤彰浩、北京=竹腰雅彦】中国・上海市で16日午前(日本時間同)、大規模な反日デモが発生、デモ隊は日本製品ボイコットなどを訴えて市内を行進、日本総領事館に達した。

 市公安当局は行進を黙認した。

 デモ隊の一部は日本料理店の看板やガラスを破壊、総領事館への投石を行った。中国経済の心臓部・上海での大規模反日デモは初めてで、反日行動が経済面に大きな影響を与える可能性も出てきた。

 浙江省杭州、天津でもデモがあった。北京は当局の厳戒下に置かれ、天安門広場では2人が警察に連行された。

 上海市中心部の人民広場には、午前8時半(日本時間同9時半)ごろ、インターネット上での反日デモ集合呼びかけに応じたと見られる若者数百人が集まり、デモ行進を開始。多くが学生と見られ、日本製品不買などを訴える横断幕やビラを手に持ちながら、延安路に繰り出した。

 外灘(ワイタン)など、他の場所を出発したデモ隊も合流、参加者は数万人規模に達した模様だ。総領事館近くでデモ隊は「愛国無罪(愛国的行為に罪はない)!」などと叫びながら、日本料理店の看板を壊した。AP通信によると、飲食店約10軒が被害を受けた。

 警官隊は総領事館から約100メートル離れた路地に警戒線を敷いたが、デモ隊はもみあいの末にこれを突破、同館に、石やペットボトル、卵などを投げ込んだ。

 市公安当局は15日、無許可デモを禁じ、違法行為については法的責任を追及すると警告していた。公安当局は当初、警官数百人を人民広場周辺に配置したが、デモ隊が広場外に出るのを阻止しようとしなかった。

 上海の日系企業は、約4500社。上海に住む日本人は3万人強に上る。上海を中心にした「長江デルタ地域」は、中国で最も発展している。域内の総生産は中国全体の国内総生産(GDP)の2割を超える。

 香港のテレビ報道などによると、やはり同地域に位置する杭州では、数千人規模の学生らが16日午前、市内をデモ行進した。

 天津では、天津博物館前に市民が集まり、反日署名活動、デモ行進を始めたという。

 一方、北京市中心部の天安門広場の人民英雄記念碑近くでは同日、警官を乗せた小型バス20台が配備されたほか、制服、私服の警官多数が、観光客に目を光らせた。同広場で連行された2人は、赤い布を掲げようとしたという。

 また、9日の反日デモで投石の被害にあった日本大使館前では警察車両数十台、武装警察官約1000人が待機、放水車も用意された。周辺では公安警官が10メートルごとに警備に当たった。大使公邸前では道路を一部封鎖し、武装警察官を乗せたバス15台とトラック数台、放水車が配備された。

中国修学旅行やめる学校も、ツアーのキャンセル相次ぐ

2005/04/16 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中国で起こっている反日デモの影響が、国内でも広がり始めている。

 近くて費用も安く済む中国への修学旅行は、韓国などと並んで人気が高い。神奈川県横須賀市の私立横須賀学院高校では、今年10月の修学旅行で北京などを訪れる予定だったが、学校側は16日午前の保護者会で、「100%の安全を確保できない。中国行きは取りやめたい」と説明した。旅行先は沖縄に変更する方向で検討している。

 8年前から中国へ修学旅行に行っている青森市の東奥学園高校も、今年11月に予定していた北京、天津への旅行を国内に変更した。高橋福太郎校長は「中国の生徒との交流で、日本の若い人が失っている一生懸命さを学べる機会だったが、生徒に万が一けがなどがあれば大変なので」と話す。

 一方、一般のツアー旅行にもじわりと影響が。近畿日本ツーリストでは、4月中に出発する中国向けツアー客約2300人のうち、11日からの3日間で約100人がキャンセル。JTBでも11〜14日で約240人がキャンセルした。

 近畿日本ツーリスト法務・広報部は「今のところツアーを中止する程の状況とは思っていないが、これ以上拡大しないことを祈るばかり」と心配していた。

中国への修学旅行を中止 県立広島高校

2005/04/16 The Sankei Shimbun

 広島県立広島高校(番本正和校長)が、6月に予定していた中国への修学旅行を中止したことが15日、分かった。

 広島県教育委員会などによると、中国各地で反日デモが相次いでいることを受け、生徒の安全を配慮したという。

 旅行は6月20−24日の日程で、2年生が参加する予定だった。9日に反日デモが起きてから、生徒や保護者の間に不安の声が高まっていたという。(共同)

駐日中国大使公邸に赤い塗料?表札など4か所

2005/04/16 読売新聞 Yomiuri On-Line

 15日午後9時25分ごろ、東京都港区元麻布3の中国大使公邸の表札や郵便受け、インターホンなど4か所に、赤い塗料のようなものが吹き付けられているのが見つかった。

 同公邸は中国大使館と隣接した場所にあり、大使館南側の公邸の壁に埋め込まれた金属製の表札は、ほぼ全面が塗料のようなものを吹き付けられ、塗りつぶされた状態になっていた。

 警視庁麻布署では、器物損壊事件として調べている。

【反日デモ 私はこうみる】中央党校党史研究室研究員・林暁光氏

2005/04/15 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 デモの背景には日本は歴史を直視できない国との概念がある。中日両政府が共同宣言で関係改善を図り、日本が文書で謝罪の意を表せば中国は日本が正式に謝罪したと受け止めるだろう。

 日本側は何度も謝罪しているという。確かに村山談話などがあるが、日韓間で示されたように口頭でなく文書で明確に謝罪の意を示すべきだ。村山談話も小泉首相の靖国神社参拝でひっくり返されたという印象だ。

 今後、いわゆる反日デモが広がるとは思わない。すでに中国側は日本政府へ意見を明確に示したからだ。今後デモがあるにしても平和方式で行うべきで、これまでのような行動はほとんどないだろう。

 外国の記者は民間と一体になった政府が組織したデモだといっているようだが、私の見方は違う。「愛国ネット」などさまざまな団体が呼びかけてデモに発展した。デモの起きた成都、広州などに愛国ネットなどの支持者が多いのではないか。

 北京でのデモが大規模になったのは、デモの出発点に大学が多かったほか、行進の途中で群衆が加わったためだ。愛国ネットなどの関係者は過激な行動に出る可能性があるが大半は平和的なデモを望んでいる。参加者には歴史教科書や常任理事国問題など対日問題に関心のない者もいた。どこの国でも、政治目的がなくても、デモ行進があると参加して日ごろの不満をはらす人がいるものだ。もちろんデモの主要目的は「反日」ではある。

 抗議行動の矛先が党・政府に向かうとの指摘がある。たとえば、十日には浙江省東陽で(日本問題と関係ない)大規模な農民の抗議が伝えられているが、「反日」は農民の関心が薄く「反日デモ」に変化する可能性は少ない。「反日デモ」と「農民デモ」の目的は異なり連鎖反応の可能性は少ない。矛先が政府に向かう可能性も含め、理論的にはいかなることも否定できないが、ことが大きくなる前に政府は対策を考えるわけだ。

 デモの背景に愛国主義教育を指摘する見方がある。愛国教育の主な材料は「抗日」で九〇年代に教育を受けた年代が現在二十、三十歳代を迎え、反日の中核をなすとの見方だ。しかし愛国教育は九〇年代に始まったことではなく私も幼いころから受けた。なぜ「抗日」材料が多いかというと侵略され中国が受けた被害が大きいからだ。

 教科書問題にしても、日本が歴史を直視した観点で若者に教えてもらいたいのだ。教科書は文部科学省の指導要領下で策定されるのであり日本政府に責任がある。(聞き手=北京 野口東秀)

                  ◇

 りんしょうこう 中国政法大学で修士課程修了後、1995年から中国社会科学院教授。現在、中国共産党の最高教育機関である中央党校で党史研究室研究員も務める。日中関係及び中国外交史専門。主な著書に「日本の政府開発援助と中日関係」など。

政府・自民、対中批判噴出 五輪開けるのか/破壊活動を容認

2005/04/15 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 政府・自民党内では十四日、反日デモや東シナ海の石油ガス田問題などをめぐる中国政府の対応への批判が相次いだ。

 自民党山崎派の関谷勝嗣会長代行は同派総会で、中国政府が反日デモの責任は日本にあるとしていることについて、「中国政府は国際ルールを守っておらず、これでオリンピック(五輪)が開催できるのか。中国と試合をした相手国側に(危害が加えられるなど)事件となる可能性が、今の状況ならある」と非難し、二〇〇八年の北京五輪開催に懸念を示した。

 関谷氏はまた、「中国は日本の国連安保理常任理事国入りに反対するが、中国自身は常任理事国にふさわしい国際的な常識をもっているのか」と反論した。

 一方、町村信孝外相は参院外交防衛委員会で「(反日デモ参加者が)破壊活動は罪であると意識したうえで『愛国無罪』と言っているなら、それを当然だというような中国外交部の発言は破壊活動を認めたことになる」と指摘。「(日本政府の)歴史認識がおかしいという(中国要人の)発言はまったく認めるわけにはいかない」と強調した。

 また、小泉純一郎首相は、東シナ海の石油ガス田開発で民間業者に試掘権を与える手続きを始めたことに、中国政府が「重大な挑発」と反発したことについて、「中国と日本の立場は違う。あまり対立をあおらず、(東シナ海を)協力の海にしていこうという大局的な見地に立って、これからも話し合いが必要だ」と語った。首相官邸で記者団の質問に答えた。

反日デモ 対日企業誘致にも余波 「中国リスク」投資意欲薄れ

2005/04/15 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 中国各地で起きた一連の反日デモで、中国による日本企業の投資呼び込み活動にも余波が及んでいる。遼寧省大連市は十四日から企業誘致に動き出したが、反日デモが招いた投資マインドの冷え込みによる影響は避けられそうにない。五月十九日を「中国デー」と位置付け、呉儀副首相を迎える「愛・地球博」(愛知万博)でも、関係者は戦々恐々として事態の推移を見守っており、改めて浮上した「中国リスク」が歓迎ムードに冷や水を浴びせた格好となった。

 反日デモの影響について、日本貿易振興機構(ジェトロ)は「日系企業の対中投資は分業化が進んでおり、反日デモで受ける影響は限定的と思われる」と分析。日本製品の不買運動も「上海や広州などでは不買の実態はほとんどない。反日の動きには地域差があるようだ」という。

 しかし、一連の反日デモが日本企業の投資意欲に「中国リスク」を突きつけ、市場としての安定性に心理的な疑問を投げかけているのは間違いない。

 開幕中の愛知万博では、「中国デー」として呉副首相を迎える。これに向けて中国各地の企業誘致担当者は、日本企業に対する投資説明会を開くなど対中投資ムードを盛り上げてきた。

 先陣を切った二月下旬の江蘇省無錫市に続き、三月上旬には広東省仏山市や上海市が投資説明会を開催。四月に入ってからは、五日に山東省煙台市が「安定と優れた投資環境」を訴えるなど、日本企業の対中投資拡大に奔走した。

 ところが、九日に発生した北京での反日デモを境に雰囲気は一変。親日的な土壌を持つ大連市の場合、十四日から九日間を「大連ウイーク」と位置付け、二十二日には投資説明会を開く予定だが、担当者は不安を隠せない。

 主催者側によると、説明会には十四日現在、三百を超える団体が参加申請をしているが、「多くの企業は事態を冷静に見守っているものの、進出動機があやふやな中小企業などが抜け落ちるのは仕方がない」と話している。

 一方、万博関係者によると、反日デモ以降、「呉副首相来訪に向けた準備折衝で、中国側が祝賀会の出席者に厳しい選別基準を要求するなど、次第に政治色が色濃くなってきた」という。

 九月中旬の万博閉幕式では、次回開催地の上海にバトンが渡されるが、日中関係の環境次第では「(呉副首相より)もっとハイレベルの指導者の式典出席もあり得る」(中国外務省幹部)という期待があった。

 しかし、反日デモをきっかけに先鋭化した日中関係の現状を見る限り、「絶望的」(財界関係者)との見方が広がっている。拡大の一途をたどってきた日本企業の対中投資だが、今後の中国側の対応次第では、風向きが微妙に変わる可能性も出てきた。(長谷川周人)

「日本人は死ね」と殴打 上海の邦人留学生が証言

2005/04/15 The Sankei Shimbun

 北京で大規模デモが起きた9日に上海市で日本人留学生が殴られた事件で、被害を受けた留学生(22)=滋賀県草津市=らが14日、共同通信社の取材に応じ、容疑者の中国人が「日本人は死ね」などと、反日感情をあらわにしてビール瓶やいすで何度も殴りつけたと証言した。事件を処理した複数の警官まで「小日本(日本人の蔑称(べっしょう))」などと、留学生をののしる嫌がらせをしたという。

 留学生らによると、公安当局は事情聴取の際、「殴ったのが1人なら簡単だ。2人なら中国と日本の関係に影響する」と事実を曲げて証言するよう迫った。公安当局は、中国人女性をめぐる留学生と容疑者の三角関係のトラブルとして事件を処理していた。

 取材に応じたのは、留学生のほか、事件が起きたバーの女性店員ら。

 証言によると、9日夜、容疑者の男ら中国人6人がバーで、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りの問題や日中戦争を話題にしながら「日本人を次に見たら、殴ってやる」などと話していた。入店した日本人、韓国人ら留学生10人が「日本人か韓国人か」と聞かれ、留学生が「日本人だ」と答えると、いきなり、ビール瓶やジョッキで何度も頭部を殴った。

 生命の危険を感じた留学生が店の外へ出た後も、いすを持ち出すなどして暴行。警察が駆け付けるまで暴行は続いたが、警官らは現場に残っていた容疑者を直ちに拘束しなかった。

 その後、留学生らを事情聴取して病院に運ぶ際も、ののしるだけでなく、車のスピードを意図的に速めたり遅くしたりして、ニヤニヤ笑いかけるなど、嫌がらせを続けたという。(共同)

北京・上海で反日デモ禁止 中国政府、規制を強化

2005/04/15 中国新聞ニュース

 【北京15日共同】北京市、上海市、湖北省武漢市の公安当局は十五日、相次いで反日デモに関する談話を発表し、無許可のデモや集会を禁止し、違反者には法律的責任を追及すると強調した。反日デモを事実上禁止する措置で町村信孝外相の訪中を前に、対日関係や治安のこれ以上の悪化に歯止めをかけるため、中国指導部が本格的な規制に乗り出した。

 ただウェブサイトの掲示板などを通じ、北京市の天安門広場をはじめ少なくとも中国の十四都市でのデモ呼び掛けが続いており、週末に再び大規模なデモが行われる可能性もある。

 北京市公安局の談話は「最近、一部のサイトや携帯電話で集会やデモ実施の呼び掛けが相次いでいる」とした上で、「広範囲の大衆と青年学生」に対し「党と政府は国家、民族の長期的観点から正しく中日関係を処理できることを信じてほしい」と訴えた。他の公安局の談話もほぼ同内容。

 関係筋によると、中国共産党宣伝部は国務院(政府)新聞弁公室、公安省、マスコミ幹部などと協議、過激化した反日デモを規制する方針を決定し、十五日までに地方政府などに伝達。各公安局の談話発表もこの決定に基づくとみられる。

 反日デモに対する国際社会の目も厳しく、外国の対中投資などにも悪影響を及ぼす懸念が出てきたための措置のようだ。

 十六、十七両日のデモ呼び掛けがあったのは北京、上海、浙江省杭州、江西省南昌など。天安門広場では、十六日に人民英雄記念碑前で学生を中心に数百人の参加が見込まれているという。デモが計画されているのは約二十の省と直轄市との情報もある。

 一方、関係筋によると、北京市では救急医療の担当者が十五日、緊急会議を開催、デモで負傷者などが出た場合に備えた対策も検討した。

 北京の日本大使館は同日、今週末に各地でデモが行われる可能性があるとして、在留邦人に対し「不要不急の外出を控えるよう」呼び掛けた。


ネットに反日あおるウソ 外務省、邦人に注意喚起

2005/04/15 The Sankei Shimbun

 外務省は15日、中国での反日デモをあおる虚偽情報がインターネット上を流れているとして、中国の在留邦人や渡航者に注意を呼び掛けるスポット情報を出した。

 同省によると、今月13日から14日にかけて中国国内のホームページに新聞記事からの転載と称して「反日騒動のあおりで、中国人留学生2人が日本人に殴打され、うち1人が殺害された」との虚偽情報が次々に掲載されたという。

 同省では「虚偽情報で反日感情が高まり、深刻なトラブルに発展する可能性がある」と注意を呼び掛けている。(共同)

反日デモで自制促す 河野衆院議長が全人代副委員長に

2005/04/14 The Sankei Shimbun

 河野洋平衆院議長は14日午前、国会内で来日中の中国の路甬祥・全人代常務副委員長と会談し、中国の反日デモを受け「現在、日中間には残念ながら問題が多い。その問題をお互いのせいにしたら解決しない」と述べ、中国側に自制を促した。その上で「問題解決のために知恵を出すことが重要だ。互いに敬意を持ち、理解し合えれば問題は克服できる」と、日中両国が冷静に対処すべきだとの考えを強調した。

 これに対し、路氏は「ご承知の通りの原因で両国には問題があるが、両国にはそれ以上に協力関係がある」と述べ、信頼関係の構築に努力する必要性を指摘した。

 路氏は第1回日中議会交流委員会東京会合に出席のため来日した。(共同)

週末の反日デモは全国規模か

2005/04/14 The Sankei Shimbun

 反日活動を展開している中国のウェブサイトで14日、日中外相会談が予定されている週末の16、17日に各地で反日デモを呼び掛ける書き込みが続いた。呼び掛けは北京や上海、天津など少なくとも主要6都市に及び、全国規模の反日デモに発展する可能性も出てきた。

 中国当局は町村信孝外相の訪中に向けて警備に万全を期すことを約束しているが、インターネットで動員される参加者の統制は難しく、デモの過激化などの懸念は消えていない。(共同)

日中韓外相会談へ調整 北京で3カ国局長級協議

2005/04/14 The Sankei Shimbun

 第3回の日中韓3カ国の外務省局長級協議が14日、北京市内のホテルで行われた。

 5月に京都で開かれるアジア欧州会議(ASEM)外相会議の際、日中韓は3カ国外相会談を開催することで合意した。

 また、年末にマレーシアで開く初の東アジア首脳会議の在り方についても意見交換したもよう。

 局長級協議には日本外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長、中国外務省の崔天凱アジア局長らが出席した。(共同)

大使館に近づくな 夜間外出は避ける 旅行客に注意喚起

2005/04/14 The Sankei Shimbun 大阪夕刊から

≪ツアーキャンセル相次ぐ≫

 ゴールデンウイークが約2週間後に近づいたが、中国国内の反日的な動きの高まりで、大手旅行会社の中国向けツアーにキャンセルが相次いでいる。

 JTB広報室が13日調べたところでは、大規模な反日デモ後の11、12の両日で、全国で180人がツアーをキャンセルした。同社が4月出発分として予約を受け付けている中国向けパッケージツアーの3・6%に相当する。通常時のキャンセル率より1・2−1・5%多いといい、この分がデモなどの影響とみられる。また、近畿日本ツーリストでは関西国際空港出発分について、「全体としては前年を上回る予約」としながらも、反日デモ後すでに3件のキャンセルが出たという。

 両社など大手旅行会社は、外務省が11日に発令した「反日デモに関する注意喚起」に基づき、中国向けツアーの申込客に対し、窓口で「日本の大使館周辺には近づかない」「人が集団で集まっているのを見たら、その場を離れる」「夜間に外を歩くのは極力避ける」など注意を喚起し、現地状況の説明を行っている。

 

ハンド会場、反日感情高まり急きょ変更

2005/04/13 中国新聞地域ニュース

 <蘇州から北京へ 広島メイプル出場の東アジアクラブ選手権>  

 ハンドボールの第二回東アジアクラブ選手権(八日〜十日)の会場が、中国の北京から直前に蘇州に移されて開催された。反日感情の高まりを受けて、中国側が考慮したのが理由だったことが十二日、帰国した東アジアハンドボール連盟の山下泉副会長(68)=広島県ハンドボール協会名誉会長=の話で明らかになった。

 大会は男女とも日本と韓国、中国から計4チームが参加した。日本からは日本リーグを制した男子の大崎電気(埼玉)と女子の広島メイプルレッズが出場。メイプルレッズが初優勝を飾った。

 大会は当初、北京で開催される予定だった。山下副会長の説明では、開幕前の七日夜、大会役員との会食で、中国の国家体育総局幹部から「こういう時期なので、都市部ではなく温厚な地域に変えた」などと伝えられたという。「安全に配慮し、会場を変更したのでしょう」と山下副会長は受け止めている。

 日本ハンドボール協会へは、三月下旬に中国側からファクスで会場変更の連絡があり「北京は暖房など施設面に問題がある」などと説明があった。

 大会の会場には百人から百五十人が観戦。大崎電気の関係者によると、日本への抗議のような言葉を書いたシャツを着た観客も数人いた。メイプルレッズの青戸あかね選手(30)は「デモはホテルの衛星放送で知っていた。見た限りでは、危ないことはなかった」と話していた。

中国の反日サイト“反省” 「デモ予想外の暴走」

2005/04/13 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 北京、広州などで発生した大規模反日デモの暴徒化を受けて、中国の反日サイト上で反省を含めた興味深い議論が続いている。企画側の当初の目的は、日本の国連安保理常任理事国入り反対をアピールするため、統制のとれたデモを国内外メディアに報道させることだった。しかし、参加者の暴走により、経済への打撃や社会不安を引き起こすことへの懸念が高まっている。(北京 福島香織)

 ◆続々書き込み

 北京デモは当初、警官の先導に従い海淀区の学生街を二時間で一周し正午に解散の予定だったが、シュプレヒコールを続けているうち興奮した学生や観衆が、警官やリーダーの制止を振り切り、ルートからはずれ出した。そのうちいくつかのグループに分かれ、暴力行為に走ったとみられている。

 北京デモで中核的役割を果たしていた組織のひとつ「中国918愛国ネット」は十一日、反日デモ参加者に「過激な行動は停止せよ」と訴える声明を発表。

 また「中国民間保釣(尖閣諸島防衛)連合会」の掲示板も「反日デモの変質を防ぐための提案」など反省を促す書き込みが相次ぎ、今回のデモ暴徒化は反日活動家内部では予想外だったことがうかがえる。

 連合会の掲示板では、メンバーが「デモの不協和音を防ぐため、学生自身に規律隊を組織させるべきだ」と主張していた。

 その上で今後のデモについて、(1)デモ参加者の制限(2)デモ参加者の言行の監督管理(3)意図的なトラブルの防止(4)スローガンの整理と規範化。汚い言葉の禁止(5)警察との協力と秩序維持(6)デモルートの厳格な制御(7)学生と観衆の感情制御失調への警告と対応手段の確保−という七項目の措置を提案した。

 ◆大学も厳戒

 共産党機関紙・人民日報電子版に設置されている掲示板、強国論壇では「大学生の知能はますます弱くなっており、簡単に人に利用される」「学生は不幸だ。駄々っ子にもなりきれず、人形になっている」など、今の学生が自分の意見ではなくムードに流される傾向を問題視する声が見られた。

 北京デモ後、市内の大学に日本関係の講義、活動を自粛するよう通達があった。ある学校関係者は、個人の主義主張がはっきりしている反日活動家よりも学生の方が制御が難しい、という。

 北京大学の日本人学生は「友達も何人かデモに参加していた。日本人留学生が受ける視線が急に厳しくなっている」と話している。

 ◆狙いと結果

 掲示板の内容などを総合すると、デモの目的は、反日サイトが展開する日本の国連安全保障理事会常任理事国入りの反対署名と連動させ、メディアを使って国内外にアピールすることだった。

 中国当局が当初、デモを許可したのも、この狙いに対するデモの効果を認めたためと思われる。

 ただ、思わぬデモの暴走は中国のカントリーリスクも露呈した。強国論壇には「(デモによる反日機運の高まりで)中日合資企業が破産すれば、何万もの出稼ぎ農民が餓死する」と日中経済関係の深さを指摘する書き込みもあった。

 連合会サイト掲示板は「大規模反日抗議活動が政府に対する突然の攻撃となってはならない。でなければ、結果は制御が難しくなる」と、内政攻撃、社会不安を招くことに強い懸念を示している。

中国で3万人暴動 公害に抗議、2人死亡

2005/04/12 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国浙江省東陽の村で十日、化学工場の公害問題をめぐり、農民ら三万人を超える住民が暴徒化し、警官などの治安部隊と衝突した。衝突で少なくとも住民二人が死亡、双方に負傷者が多数出た。十二日付香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが住民の話として報じた。

 同紙によると、現地では四年前から、化学工場の操業が相次ぎ、最近は農作業ができないほど水や大気の汚染が深刻化。住民たちは先月末から工場近くの道路を封鎖して抗議を開始し、これを受けて地元当局が十日、住民の強制排除に出た。この際、住民を棒でなぐるなどして数人がケガをし、これに怒った住民が村役場を取り囲み、役場の車両五十台以上を転倒させるなど暴徒化した。

 中国では各地で公害問題が深刻化しているが、これほど大規模な暴動に発展したのは初めて。中国メディアは今回報道を禁止されているという。

中国政府「過激な行為に賛成せず」沈静化目指す意向

2005/04/12 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=佐伯聡士】中国外務省の秦剛・副報道局長は12日の定例記者会見で、9日から10日にかけて行われた反日デモについて、「日本人に対するものではなく、日本政府の歴史問題に対する誤った態度に不満を表明したものだ」と語った。

 北京の日本大使館が投石で被害を受け、町村外相が謝罪と損害賠償を求めたことに対しては、「日本側の要求に留意している」とした。

 秦副報道局長は一方で、「デモを行う民衆に対し、冷静で合法的に自らの態度を表明するよう一貫して求めており、ほんの一部の過激な行為には賛成しない」と述べた。

中国首相「日本政府は深い反省を」

2005/04/12 The Sankei Shimbun

 PTI通信によると、インドを訪れている中国の温家宝首相は12日、ニューデリーで記者団に対し、中国国内で反日デモが相次いだことを受けて「アジアの人々の強い(拒否)反応を受け、日本政府は深く反省するはずだ」と述べ、日本政府に歴史問題での対応を改めるよう求めた。一連の反日デモについて中国首脳がコメントしたのは初めて。

 温首相は「日本による侵略は中国、アジア、さらに世界で大きな苦痛と苦難を負わせた。中日関係の核となる問題は日本が歴史に真正面から向き合わなければならないということだ」と強調した。

 また「歴史を尊重して過去の歴史の責任を取り、アジアと世界の人々の信頼を勝ち取った国だけが国際社会で大きな責務を負うことができる」と日本の国連安全保障理事会常任理事国入りにも条件を付けた。(共同)

大使館投石被害に陳謝なし 中国外務省が会見「デモは日本政府への不満」

2005/04/12 The Sankei Shimbun

 中国外務省の秦剛・副報道局長は12日の定例会見で、中国国内で相次いだ反日デモについて「日本人に対してではなく、日本政府の歴史問題に対する誤った態度について不満を表したものだ」と言明。「いまの(日中の)局面は、日本側に原因がある」とあらためて強調し、日本側がデモ隊の投石で大使館などが受けた被害への賠償請求を求めていることについても「日本側の要求には留意している」と述べるにとどめ、陳謝は避けた。

 先週末からの大規模な反日デモ発生後、外務省の記者会見は初めて。

 小泉純一郎首相は同日、デモの原因が歴史認識をめぐる日本政府の対応にあるとの見方を副報道局長が示したことに「それは日本と(立場が)違う」と直ちに反論した。

 副報道局長は17日にも行われる見通しの町村信孝外相と李肇星外相の会談については「調整中」としたが、中国側が日本側にも責任の一端があるとの姿勢を崩していないことで、外相会談でも厳しいやりとりになる可能性が高まった。

 ただ、副報道局長は投石などについては「中国政府は一貫して冷静かつ合法的に態度表明するよう呼び掛けており、一部の過激な行為には賛成しない」と指摘した。(共同)

対話通じて問題解決を 日中友好団体がアピール

2005/04/12 The Sankei Shimbun

 日中両国の60の民間友好団体が12日午後、東京都内で会合を開き、日中間の友好関係を一層発展させることを確認した上で、対話を通じて問題を解決し、交流拡大を呼び掛けるアピールを採択した。

 会合で、高村正彦日中友好議連会長(元外相)は、北京などで起きた反日デモに遺憾の意を示し、「中国の反日感情と日本の嫌中感情が負の連鎖となり、加速化すると制御不能になる可能性がある。何としても阻止しないといけない。両国の政治指導者が適切に行動することがまず必要だ」と指摘した。

 渡里杉一郎日中経済協会会長(東芝相談役)も「安全、安心はビジネスにとって、最も大切だ。一日も早い事態の収拾を願っている」と述べた。

 来賓として出席した中国の王毅駐日大使は「日中関係は困難な状況に直面している」とした上で、「歴史と台湾は重要で敏感な問題だ。適切に処理し、正しい発展の方向を維持していく」と強調した。

 参加したのは、日本側は日中友好協会、日本国際貿易促進協会など25団体。中国側は中日友好協会、中国国際交流協会など35団体。(共同)

中国総領事館に薬きょう? 封筒に脅迫文

2005/04/12 The Sankei Shimbun

 大阪市西区の在大阪中国総領事館に薬きょうのようなもの1個が入った封筒が郵送されていたことが分かり、同総領事館が12日、大阪府警に届けた。

 封筒の裏面に日本語で「反日デモが続けば中国人に危害を加える」といった趣旨の内容が書かれており、府警西署は中国の反日デモに反感を持った者の犯行とみて脅迫容疑で捜査している。

 調べによると、11日午前10時半ごろ、同総領事館の郵便ポストから職員が郵便物を取り出した際、不審な封筒を見つけた。封筒は白色で縦20センチ、横9センチ。

 封筒の中に手紙は入っておらず、薬きょうのようなもの1個だけだった。大阪府警が本物の薬きょうかどうか鑑定している。(共同)

中国側に安全確保を要望 日系企業団体

2005/04/12 The Sankei Shimbun

 北京の日系企業でつくる中国日本商会(日本商工会議所、582社)は12日、中国商務省と北京市政府に対し、中国各地で相次いだ最近の反日デモに関連して、日本人の安全と企業の正常な営業の確保などを求める要望書を提出した。

 要望書は「最近の対日抗議活動は意思表明の域を超えた破壊行為を伴っている」と指摘。「このような動きが長引くようなら、日本人と日系企業に働く中国人の不安が高まり、企業活動に支障が出かねない」と訴えた。

 その上で、暴力行為に対する厳重な警戒態勢を取るよう中国側に要請した。(共同)

日の丸“規制”観客なし試合 中国、スポーツ行事にも支障

2005/04/12 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 中国国内での反日デモにからみ、中国・蘇州で行われたハンドボールの第2回東アジアクラブ選手権(8−10日)で、一般観客を入場させずに試合が行われたことが11日、分かった。10日に開催された陸上の北京国際駅伝では中国側からユニホームの日の丸を隠すよう要請されたという。

 関係者によると、ハンドボールの大会には日本、韓国、中国の男女計8チームが参加し、日本からは男子は大崎電気、女子は広島メイプルレッズが出場。無観客試合は中国側が決定し、日本戦に限らず実施された。

 北京国際駅伝では、日本は主催者側から「(ユニホームの)日の丸が見えると危険なので、隠してほしい」と要請を受けた。だが、日本側は「筋が違う。万全の警備を施すべきだ」と主張。結局、警察車両が伴走する形で、日の丸をつけたまま出場した。

 サッカーでは13歳以下の日本選抜が試合出場のため青島に滞在中。アジア・チャンピオンズリーグ出場の横浜F・マリノスは山東省で5月11日に試合を予定している。

 日本協会では中国などに選手の安全確保を要請する。

 30日からは上海で卓球世界選手権(個人戦)、5月24日からは武漢でレスリングのアジア選手権が行われる。日本オリンピック委員会(JOC)の林務専務理事は「情勢を見守り、安全対策には十分な配慮をしてほしい」と話している。

広島市長に訪中要請 友好の中国・重慶市

2005/04/12 中国新聞地域ニュース

 中国・重慶市の王学斯副秘書長は十一日、友好都市である広島市の秋葉忠利市長を訪ね、今秋の訪中を要請した。

 王副秘書長は、北京市で九日あった日本大使館への抗議行動に触れ、「歴史に対する(両国民の)異なる認識はやむを得ない。お互いを理解し意見を交わした方がいい」とし、「両市が積極的にリードすれば、両国の交流を深めることができる」と述べた。

 王副秘書長は、今年十月に重慶市が同市内で開く第五回アジア太平洋都市サミットへの参加を求めた。秋葉市長は検討する意向を示し、「こんな時だからこそ交流を続けたい」と答えた。

ネット上でデモ中断宣言 中国の反日組織

2005/04/11 The Sankei Shimbun

 中国広東省の反日デモへの参加をインターネット上で呼び掛けていた反日組織「広東愛国志願者ネット」は11日、デモをしばらく中断するとの声明をネット上で発表した。

 相次ぐ反日デモで一部が暴徒化、日本側の反発が高まっていることから、中国当局の圧力がかかった可能性があるが、実際にデモの動きが沈静化するかどうかは不明。

 各地で起きているデモの正式な主催団体は分かっていないが、同ネットはデモへの参加呼び掛けで大きな影響力を持っていた組織の一つとみられている。

 声明は「日本への抗議は長期的、戦略的な活動だが(現在のような)興奮状態が続いたままでは継続は不可能だ」と指摘。「感情を静めるよう」呼び掛け、同組織の名前を使ってデモを行った場合、法的措置も辞さないと宣言した。(共同)

ネット上で反日デモ呼びかけ、厳戒続く日本大使館

2005/04/11 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=佐伯聡士、香港=関泰晴】9日から10日にかけて大規模な反日デモがあった北京や広東省広州などは週明けの11日、平静さを取り戻した。

 ただ、インターネット上では、上海などでのデモ実施や日本製品不買運動などの呼びかけが相次いでおり、反日行動は今後も続く気配を見せている。北京の日本大使館周辺などでは、当局の厳戒が終日続いた。

 ネット上では、1919年5月4日に起きた愛国反日運動「5・4運動」の記念日に合わせたデモの呼びかけが広く出回っている。また、新たな候補地として、上海のほか、河南省鄭州や浙江省杭州も挙げられている。

 不買運動では、「全国民への提案書」なる文書が出回り、5月1日から1か月間の実施を訴えている。

 9日に投石を受けた北京の日本大使館は11日午前、通常業務を開始。大使館正門前には武装警察官約20人が配備されたほか、周辺に100人以上が待機した。日本大使公邸付近でも約250人が警戒に当たった。

 広州では11日、前日にデモ隊が押し掛けて臨時休業した日系スーパーが営業を再開。その他の日系企業も通常営業となり、日本人学校も予定通り入学式を行った。だが、日本総領事館の入り口付近は鉄柵などで封鎖されている。

中国渡航者に注意喚起のスポット情報検討

2005/04/11 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中国での反日デモを受けて、外務省は11日、中国への渡航者に対して特定の地域の治安状況について注意を喚起するスポット情報の発出を検討している。

 国内の中国大使館、総領事館の警備強化も警察庁にすでに要請している。

 一方、日中両政府間の立場、見解の違いは大きい。

 10日の町村外相と中国の王毅駐日大使との会談では、王大使が「中国本国からの訓令」を読み上げたが、謝罪の文言は含まれていなかった。さらに、大使は「こうした問題の背景には、日本側が起こした問題もある」と述べ、反日デモの背景には、日本側の歴史認識などでの対応があることを示唆した。

 これに対し、町村外相は「破壊活動を正当化するような発言が中国側から出ていることは、認められない」と主張し、外相と大使の間で激しいやりとりが交わされた。

小泉首相が遺憾表明 北京の反日デモ

2005/04/11 中国新聞ニュース

 小泉純一郎首相は十一日夕、中国の反日デモで北京の日本大使館などに被害が出た問題について「誠に遺憾だ。中国側は再発防止に全力を尽くしていただきたい」と述べ、中国政府に再発防止を強く求めた。また首相は「中国で活躍している日本人の安全は中国に責任があり、自覚していただきたい」と述べ、中国政府の責任を指摘した。首相官邸で記者団に答えた。

 これに先立ち首相は、町村信孝外相と、首相官邸で会談。町村氏は予定通り十七日から訪中し李肇星外相と会談する方針を伝えた。町村氏は中国の反日デモで北京の日本大使館などに被害が出た問題で、中国側にあらためて再発防止と邦人保護の徹底を強く求める考えだ。

 谷内正太郎外務事務次官は記者会見で中国政府による陳謝や賠償について「どのように考えているということはきちっとした形で考え方を示してほしい」と述べ、外相会談前にも中国側から考え方が示されるのが望ましいとの考えを示した。

 日本側が陳謝や補償を求めたことに中国外務省の秦剛副報道局長が十日に「責任は中国側にない」との談話を出したことについて、谷内次官は「『責任はない』ということはあり得ないことだ。在外公館の安寧と秩序を守ることについては国際法上の責任がある」と反論した。

 政府は「日中国交正常化以来の大きな目標をもう一度よく考えて冷静に対応すべきだ」(谷内次官)と、これ以上の関係悪化を防ぎたい考え。同時に、外務省内には「『中国は悪くない』と言っている部分は撤回してもらわなければならない」(幹部)として、訪中中止も選択肢とすべきだとの意見も浮上している。

日系企業が警備強化 中国、週明け首都は平穏

2005/04/11 中国新聞ニュース

 【北京11日共同=岩瀬彰】各地で反日デモが続いた中国では、首都北京で十一日、日本企業や日本人の留学生がいる大学で通常通りの営業や授業が始まり平穏を取り戻した。しかし、中国側に反日活動を本格的に規制する動きはなく、インターネット上では今週末に広東省広州市でのデモを呼び掛ける書き込みもあり、日系企業などで警備強化の動きが目立っている。

 また、ガラス窓が割られた日本大使館前では武装警察官のバスが厳重に警備する物々しい状況が続いた。

 広東省深〓市の許宗衡副市長は十一日、北京で会見し、前日の深〓などでの反日デモについて「市政府として日本企業の権益と日本の友人は守る」と表明した。

 中国メディアは同日も一切反日デモを報じず、市内の日系幼稚園に男児(5つ)を通わせている主婦(41)は「心配したので中国人教諭に聞いたが、デモを知らなかった。市内のお祭りパレードだと思っているようだった」と認識の違いを指摘した。

 日系企業が多数入る市内の複数のオフィスビルでは、一部で警備員を増員。駐在員が不安を訴える企業もあり、一部の企業は社員に「日本料理店には入らないように」と呼び掛けた。

 市内の清華大では入り口で検問が強化された。複数の大学が中国人学生にデモに参加しないよう指導しているが、一部の大学では、日本人留学生への嫌がらせなども起きているという。

 北京市内の日系航空会社支店では、ガラスが二枚割られたが、ビニールで修復して営業を始めた。市内のイトーヨーカドー各店も朝から通常通り営業を開始。日系自動車会社からは「日本車に乗っていること自体が危険視されると販売に影響が出かねない」と懸念する声も出ている。

 一方、在留邦人が約三万五千人と中国最大の日本人社会を抱える上海市では、日系自動車関連企業が日本から広東省広州市への出張に、上海の中国人スタッフを護衛≠ニしてつけることを決定するなど、各企業が個別に対策を講じた。

 ※〓は「つちへん」に「川」という字ですが、JISコードにないため表示できません

外相が反日デモで抗議 王毅大使に再発防止要求

2005/04/10 中国新聞ニュース

 町村信孝外相は十日午前、外務省に中国の王毅駐日大使を呼び、北京での反日デモで日本大使館や日本料理店などが投石を受けたことに対し「極めて遺憾」と抗議するとともに、警備の徹底と再発防止を申し入れた。

 九日には谷内正太郎外務事務次官が程永華公使に電話で抗議している。

 日本政府は今回のデモについて、中国当局が日本大使館や大使公邸への接近を規制せず、投石により窓ガラスが割られたほか、日系企業や店舗も標的になったことから事態を重視。今後も同様のデモが実施されることを懸念し、町村外相が王毅大使にあらためて抗議することとなった。

反日デモは「自発的」 中国副報道局長

2005/04/10 The Sankei Shimbun

 中国外務省の秦剛副報道局長は10日、北京市内で9日に起きた大規模な反日行動について「歴史問題における最近の誤った日本の態度と行為」に不満を抱いている北京の人々が自発的に行ったデモだったと述べた。

 また副報道局長は、中国政府が参加者に対し、冷静かつ合法的、秩序あるやり方で自らの態度を示し、行き過ぎた行動を取らないよう求めていたと説明。当局としては秩序を維持、事態が広がることを防ぎ、日本大使館などの施設や在留邦人の安全確保に努めていたと強調した。さらに中国外務省が日本大使館に状況説明を行っていると語った。(共同)

中国の反日デモ 「警察が了解」と米紙

2005/04/11 The Sankei Shimbun

 10日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、9日に北京で起きた反日デモについて「中国政府がデモを容認するのはまれだが(今回は)例外だったようだ」と指摘、中国政府がデモを容認していたと報じた。

 同紙によると、デモの主催者だという中国人民大の大学院生は、デモの2日前に警察に許可を求めると、警察側からは「その場で状況を見る」とだけ言われ、暗黙の了解と受け取ったという。

 この大学院生は「政府が協力的でうれしい。警察は交通整理で協力してくれた」と話した。(共同)

「反日の陰に中国政府」 英紙が社説で指摘

2005/04/11 The Sankei Shimbun

 11日付の英紙タイムズは社説で、中国の過激な反日行動について「明らかに中国政府の暗黙の奨励に基づいて行われている」と指摘した。

 その上で「日本の世論はもはや中国に対して、それほど卑屈ではない」と強調。反日行動の過激化を許せば日中の経済関係が脅かされるなどとして「最終的には中国が敗者になるということを中国政府の指導者は理解しなければならない」と主張した。

 一方で小泉純一郎首相に対しては、教科書検定をめぐる日中両国の緊張関係を終わらせることや、靖国神社参拝以外による戦没者の追悼方法を見いだすことで、「真の改革者」であることを証明するよう求めた。(共同)

中国の反日デモ、不買運動を報道 北朝鮮「労働新聞」

2005/04/11 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は11日、今月初めに四川省成都や広東省深センなどで反日デモや日本製品の不買運動が起きたことを伝え、「中国の民間団体の呼び掛けで、さまざまな階層の人々が参加している」と紹介した。

 北朝鮮メディアは、韓国での反日デモなどは韓国メディアを引用してたびたび報道しているが、中国の反日デモを詳細に報じたのは初めてとみられる。

 同紙はまた、「(日本)周辺諸国や地域で反日感情が高まっている」と指摘した。(共同)深センの「セン」=土ヘンに川

邦人留学生2人殴られる 上海、飲食店で中国人に

2005/04/10 中国新聞ニュース

 【上海10日共同】中国上海市の日本総領事館は十日、日本人留学生二人が九日夜、同市内の飲食店で中国人客にビールジョッキや灰皿などで頭部を殴られ、負傷したことを明らかにした。二人は病院で治療を受けた後、帰宅しており、軽傷のもようだ。

 同総領事館によると、詳しい事情は不明だが、反日感情による事件の可能性も排除できないという。

 二人は他の外国人留学生を含む十数人で九日夜、飲食店に入店。直後に中国人客から「おまえたちは中国人か、韓国人か」と聞かれた。四人いた日本人留学生のうち一人が「日本人だ」と答えると暴行を受けた。

 上海市内では十日までに、日本の歴史教科書に対する不満や国連安全保障理事会常任理事国入りへの反対を訴えるような大規模な反日デモは起きていないが、総領事公邸前の掲示板のガラスが十日早朝に割られ、男が「釣魚島(日本名・尖閣諸島)は中国の領土だ」と叫びながら逃げていったという。

 

反日デモ、広州で2万人 抗議行動収まらず

2005/04/10 中国新聞ニュース

 【広州(中国広東省)10日共同=鈴木雄士】中国南部の広東省広州市で十日、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りなどに反対する約二万人の群衆が日系スーパー、ジャスコの入る商業施設前に集まり、投石などの抗議行動をした。これに先立ち約三千人が、日本総領事館の入る市中心部のホテル周辺を取り囲み気勢を上げた。同省深セ市でも約一万人がデモを行った。

 中国では九日、首都北京で一万人以上に上る大規模な反日行動が起き、日本大使館のガラスが割られるなどの被害が出たばかり。日本政府の抗議にもかかわらず、過激な反日行動が収まる気配はなく、中国に進出する日系企業などの懸念も強まりそうだ。

 広州では、デモ隊が市内の繁華街で集会を開いた後、「日本製品排斥」などのスローガンを訴え、国歌を歌いながら数k離れた総領事館の入るホテルへ行進。ホテルは約千人の警官らが警備に当たったが、ホテル内の日本料理店の窓ガラスが割られた。デモ隊の一部は市内の別の日本料理店前にあった車両を壊し、料理店に向かって卵などを投げ付けた。

 デモ隊は、主催者が日本の歴史教科書問題や小泉純一郎首相の靖国神社参拝への不満を訴えた書面を領事に渡した後に解散。しかし、目撃者によると、デモ隊の一部が近くのジャスコ前に移動、買い物客らが合流して群衆は二万人に膨れ上がり、企業の広告に投石して騒いだ。その後現場は封鎖された。

 深センのデモでも、日系スーパーの商業施設に投石があり、窓ガラスが割られた。

 参加者の大半は二十〜三十代の男性。九日に北京で起きた反日デモをインターネットなどで知り、刺激された地元の大学生ら若者が多数参加したとみられる。

 一方、北京では同日午後、二十〜三十人が日本大使公邸前で抗議活動を行い、うち一人が警察ともみ合いになり拘束された。 ※深セン市のセンは土偏に川

1万人以上が反日デモ、大使館に投石

2005/04/10 中国新聞ニュース

 【北京9日共同=渡辺陽介】日本の歴史教科書への不満や国連安全保障理事会常任理事国入り反対などを訴えた北京市での反日デモは九日午後、デモ隊の一部が市中心部に向け行進、日本大使館や大使公邸前で投石などの抗議活動を行い、大使館の窓ガラス約二十枚、公邸では数枚が割られた。新華社通信によるとデモには一万人以上が参加。中国の首都でこれほど大規模な反日デモが起きたのは、一九七二年の日中国交正常化以来初めてとみられ、日中関係が一層深刻化することは確実となった。

 谷内正太郎外務事務次官は同日午後、中国の程永華駐日公使に対し、北京の日本大使館前の抗議活動などについて「警備の徹底と再発防止」を申し入れた。日本大使館によると、在留邦人にけが人などは出ていない。

 中国外務省の喬宗淮次官は九日、阿南惟茂駐中国大使に対し「投石などの行動は政府として決して容認できず、お見舞いと遺憾の意を表明する」と述べた。

 デモ隊は大半が若者で、当初会場となった海淀区中関村から二手以上に分かれて約十五k離れた日本大使館などに行進。途中で参加者が増え、市内各地でも抗議活動が断続的に行われた。中国当局は、デモ隊の動きを規制せず事実上容認した。

 デモ隊は行進の途中で警察の阻止線を突破、さらに日系企業の街頭看板に向けて投石したり、広告板を引きはがした。また数千人が市北東部の大使公邸前まで練り歩き、遠巻きに取り囲みながら投石して窓を割った。一部は日本車をひっくり返し、窓を壊した。市中心部を東西に横切る目抜き通り、長安街でもデモが行われ、市内は騒然とした。

 警察はデモの進行先の道路で車両交通規制をかけ、参加者を自由に歩かせた。

北京反日デモ 店も車も狙いうち 料理店、窓ガラス全壊

2005/04/10 The Sankei Shimbun

叫び声合図、一瞬で

 【北京=野口東秀】「打倒、日本帝国主義」−。日本の歴史教科書問題などを発端にした九日の北京市内の反日デモ。日本大使館のほか、日本料理店や、銀行支店など日本企業も標的にされた。デモ隊に集団投石された日本料理店の窓ガラスはすべてが割られ、店員らは恐怖におののいた。警官隊は阻止せず、北京に滞在する日本人に大きな不安が広がった。

 襲われた北京市内の日本料理店の日本人経営者(36)によると、デモ隊はレンガの破片などを店に向かって一斉に投げつけ、道路に面した窓ガラス十数枚がすべて割れた。従業員にけがはなかったが、経営者は「今後もまた来るといううわさがあり、どうしたらいいのか」と不安を隠せない様子だ。

 経営者によると、デモ隊が店の前の大通りを日本大使館に向かって行進中、指揮者らしい人物の「あそこに日本料理店がある」との叫び声を合図に、一斉にものが投げられた。

 窓ガラスがすべて割れたほか、近くに止めてあった車も破損。当時、経営者は店にいなかったが、パニック状態の中国人スタッフから「(日本人は)危ないので、絶対に店に来るな」と電話で知らされ、難を逃れたという。経営者は「中国に九年いるが、こんなことは初めて。近くにいた警察官も、止められないのか止める気がないのか、見ているだけだったそうだ。本当に考えられないことだ」と興奮気味に話していた。

 日本人駐在員が多く住む地域にある日本料理店では、「今のところ店に被害はないが、ここ数日、中国人の客をみかけなくなった」と話す。日本人同士では「デモがあるから気をつけろ」といったメールが出回り、「うちも気をつけなければ」と話していた。

                   ◇

≪広告裂き銀行も標的≫

 窓が割れるたびに歓声が上がり、反日の罵声(ばせい)が飛んだ。日系企業や店が次々と標的にされ、一部暴徒化した北京の反日デモ。産経新聞が確認しただけで、日本料理店五店が投石で被害を受けたほか、日本車がひっくり返されるなど、昨年のサッカー・アジア杯での反日暴動のような光景が再現された。

 スローガンを叫びながら日本大使館に向かったデモ隊は途中、キヤノンの街頭広告を十数枚引き裂き、日本の銀行支店に物を投げつけ、日本車を運転する市民や人民解放軍の運転手に叱責(しっせき)の声を浴びせた。沿道の市民が水を差し入れたり声援を送る姿も見られた。

 デモ隊の一部は本隊から離れ、日本大使公邸に向かいながら破壊行為に及んだ。

 大使館と公邸の間にある日本料理店五店は投石でドアや窓、看板などが壊され、うち三店は営業不能に陥った。

 大使公邸近くの路上では、サウジアラビア大使館公用車の日産車がひっくり返された。

 日本大使館前でデモ隊の気勢は最高潮に達し、警官らの頭越しに投石が続いたが、当局側は投石を阻止する動きを見せなかった。大使館ではガラス二十数枚が割れ、夜に入っても混乱が続いた。

 デモ参加者の大半は、反日を材料にした「愛国主義教育」を受けた若者たちで、中には失業者らしい参加者もいた。市民の一人は「貧困や就職難の鬱憤(うっぷん)を晴らしていると思う。やりすぎだ」と嘆いた。

 日系企業で構成する「中国日本商会」はこの日、陳列商品などに被害が及ぶ恐れもあるとして一時避難や臨時休業を呼びかけ、関係販売店は店を閉めて暴徒に備えた。

 インターネットなどでデモを呼びかけたのは、「反日貨連盟」などの日本製品不買を求める団体などとみられ、「99%の中国人は日本車や日本家電を使ったことがある。世界の中国人が日本製品の購入をやめれば日本は年間千億ドルから千四百億ドルの損失を被る」と主張している。

北京デモ 中国に徹底警備要求 政府、反日ムード懸念

2005/04/10 The Sankei Shimbun

 北京で激しい反日デモが起きたことで外務省の谷内正太郎事務次官は九日午後、中国の程永華駐日公使に電話で「(大使館に被害が出たのは)極めて遺憾だ。警備の徹底と再発防止を強く求める」と申し入れた。同時に在留邦人や日系企業への被害が出ないように安全対策を改めて強く要請した。これに関連、町村信孝外相は十日午前、王毅駐日大使を外務省に呼んで、直接善処を求めることにしている。

 谷内次官の申し入れに対し、程公使は「動向を注視しており、(要請については)至急本国に連絡したい」と応じた。

 政府は今月初めに内陸部の四川省・成都などで日系スーパーが襲撃された際に中国側に在留邦人などの安全確保などを要請した。

 しかし、今回は政治的な規制が厳しい首都・北京で大規模なデモが起きたことを重視。中国国内の反日運動の行方と中国政府の対応を注意深く見守る考えだ。

 日中関係は、小泉純一郎首相の靖国神社参拝や東シナ海の石油ガス田開発問題などで悪化している。今月十七日に町村外相が訪中し、李肇星外相と会談する方向で調整を進めるなど関係改善を探る動きもある。そうした中での中国国内の反日ムードの高まりに、「関係改善に向けた動きに影響が出ないか」(外務省幹部)との指摘もある。

                  ◇

 <産業界、混乱拡大を憂慮>

 北京市内の大規模な反日デモに対し、産業界からは騒動の拡大を懸念する声が上がっている。すでに中国への出張を控える動きなども出始めており、緊密化している日中間の経済関係を冷やす恐れもある。

 ホンダの福井威夫社長は、今のところは販売などに直接的な影響はないとしながらも「心配している。こういうときは、現地でのゴルフや日本人同士で集まる会食は慎むようにしている」と指摘し、中国出張などを控えるよう指示した。トヨタ自動車も「今のところは影響の報告は受けていない」としているが、警戒感を強めている。

 松下電器産業は北京に中国統括会社があり、管理部門の日本人スタッフが常駐している。同社関係者は「中国では大卒の技術者の採用を増やしているが、今回の運動は学生を中心に広がっているので、今後の採用活動に影響が出るかもしれない」と話している。

 すでに資生堂も現地スタッフに対し、「行動などには注意し、商品の撤去などの動きが出た場合は速やかに連絡するように」との指示を徹底。東芝も現地の情報収集を急いでおり、週明け以降の動きに神経をとがらせている。「今回の反日デモは特定の企業などを対象にしていない」(大手商社)と冷静にみているが、各社とも混乱が広がる事態を憂慮している。

                  ◇

 □小島朋之・慶大総合政策学部長

 <作られた反日感情>

 今回の反日デモは、国連安保理改革をめぐる日本の常任理事国入り問題や教科書問題といった要素が重なった中で起こった。「歴史問題を解決できない日本に常任理事国が務まるか」というのが反発の理由だ。デモをしたのは皆若い世代で、インターネットを通して呼びかけられた。いわば「作られた反日感情」である。ここ十−二十年の中国政府による愛国主義教育の結果でもある。

 中国での反日騒動は最近、サッカー・アジア杯、日本人観光客による買春事件などで繰り返されており、今回もその一連の中で起こった。日中関係は政治的にギクシャクしてきておりそれが今回の事態を呼び起こした。

 中国政府は無許可のデモを禁じているが、自らが作った教育の結果を抑えられずにいる。一方で、対日関係がこのままではよくないと思っているだろう。ただ、今回はデモを対日カードとして使ってくる可能性がある。国民感情の悪化を理由とした首相の靖国神社参拝への抗議などだ。デモで日本大使館に物が投げられたようだが、日本政府はきっちりと抗議せねばならない。(談)

北京で反日集会 500人「打倒日本」叫ぶ

2005/04/09 中国新聞ニュース

 【北京9日共同】北京市海淀区中関村に九日午前、日本の国連安全保障理事会常任理事国入り反対や歴史教科書への不満を訴える市民ら約五百人が集まり、「打倒日本」などと気勢を上げた。見物人を含めると群衆は約千人に上った。

 最近の一連の反日活動で、北京で一定規模の集会が開かれたのは初めて。中国政府や公安当局は集会を規制しなかった。参加者は、反日団体によるインターネットの呼び掛けなどで集まった。

 集会は中関村の広場で開かれ、参加者は「日本と外交関係を断絶しろ」「歴史の改ざんを恥じろ」などと書いたプラカードや横断幕を持ち、口々に日本製品排斥などを叫んだ。午前九時十五分(日本時間同十時十五分)現在、特に混乱は起きていない。

 数人の制服姿の警官が目立つほかは、当局者の姿は見えず、中国中央テレビの記者が取材に訪れていた。中国側は、八日段階では集会の届け出は出ていないと日本政府に伝えていた。

 中関村は北京大が近い文教地区にあり、コンピューターショップなどが連なっていることから「中国のシリコンバレー」と呼ばれている。

日本大使館が邦人に注意喚起 中国の反日行動で

2005/04/05 The Sankei Shimbun

 在中国日本大使館は5日、四川省成都で日系スーパーの窓ガラスが反日活動家らに割られるなどした事件に関し、今後日本人を標的とした抗議行動が行われる可能性があるとして中国在留日本人に注意を促した。

 抗議行動に出くわした場合に「慎重に行動し無用のトラブルに巻き込まれないよう」求めている。(共同)

日中貿易の促進を 中国商務相が橋本元首相に

2005/04/05 The Sankei Shimbun

 新華社電によると、中国の薄煕来商務相は4日、橋本龍太郎元首相と北京で会談し、日中の2国間貿易が急速に発展しているとの認識を示した上で「両国はさらに貿易促進に向けて努力する必要がある」と強調した。

 これに対し、橋本元首相は「日本の企業界は対中貿易促進に積極的な姿勢を示している。双方が経済的に連携できる分野をさらに広げたい」と述べた。

 中国各地では、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに反対する動きが広がり、標的となった日系企業に物的被害が出るなど、政治問題の経済への影響が懸念されている。

 橋本元首相は、国際貿易促進協会訪中団の団長として訪中、今月8日まで滞在する予定。(共同)

邦人の安全確保要請 北京の日本大使館

2005/04/04 The Sankei Shimbun

 北京の日本大使館は4日までに、中国四川省成都で日系スーパーの窓ガラスが割られるなどの被害が出たことに関連して、邦人の安全確保の徹底と日系企業などの警備強化を中国外務省に申し入れた。

 成都では2日、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに反対する抗議行動で、約30人がイトーヨーカ堂の窓ガラスを割るなどした。

 重慶の日本総領事館によると、その後、過激な抗議行動はなく、現地の日本人を巻き込んだトラブルも発生していないという。(共同)

「反日」中国に不利益 米紙、社説で警鐘 要因は教育、経済関係損なう

2005/04/03 The Sankei Shimbun

 日本が国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指していることをめぐり、中国の複数のインターネットサイトが反対の署名活動や日本製品の不買運動を呼びかけているが、米紙ウォールストリート・ジャーナルは「魔人ジニーが中国のつぼから飛び出した」と題する先月三十一日付社説で、中国共産党の反日教育に要因があると指摘し、繰り返される不毛な対日批判は「中国自身の利益にもならない」と警鐘を鳴らした。主な内容は次の通り。(杉浦美香)

 中国に少しでも足を踏み入れたことがある者なら、何百万人もの中国人が日本の常任理事国入りに反対するウェブサイトを閲覧していることに驚かないだろう。反日感情は社会のあらゆる層に浸透している。

 こうした事態をもたらしたのは、中国共産党が反日活動を黙認してきたことにある。すでに展開されてきた「反日ナショナリズム」のイメージを抑えようにも遅すぎる。

 中国の反日感情の大部分が、共産党が行ってきた教育に起因する。党は、反日感情をあおって自身の支配を正当化する手段とした。中国国民は、日本が日中戦争での所業について認めたがらないとみている。いまやこの日本への憤りは独自の生命を持つようになった。憤りは対日姿勢を軟弱として中国政府にも向かおうとしている。

 人民日報(電子版)は社説で、「ネットでの反日活動は必ずしも日本の常任理入りを阻止することにはならないが、少なくとも日本の“恥知らずな振る舞い”を世界に知らしめることになれば勝利となる」とし、「これは始まりにすぎない」と結んだ。

 中国政府は、このネットの反日活動は自国の利益になるとみているだろうが、(活動が)経済分野にまで波及した場合、後悔する可能性がある。すでに、中国のサイトは日本製品の不買運動を呼びかけている。中国政府は、過去に中国の国内在来線高速化の日本企業の落札をめぐり反日活動を展開したサイトを閉鎖した。同様に、中国政府は今回の反日活動が制御不可能とみればサイト閉鎖の措置をとるだろう。これは的を完全にはずしている。もし、中国政府が反日感情を本気でなだめる気があるのなら、教育などでより積極的な措置をとる必要がある。

 日本政府がこれまでと同様、中国の反日感情を無視していればそのうち収まるだろうという態度をとるなら問題を悪化させるだけだ。日本の行き過ぎた行動は六十年前のことであり、日本は隣国に対して模範的な国であり続けたと繰りかえし強調されてよい。

 中国は反日感情をあおったため、重要な経済関係を損なう危険があるだけではなく、国際社会の建設的なメンバーと認められるのに役立たないと認識すべきだ。それこそが、自国の利益になるだろう。

中国残留婦人が原告団結成 国家賠償求め、12人提訴へ

2005/04/03 The Sankei Shimbun

 終戦時に13歳以上で中国に取り残された「残留婦人」らが、政府の帰国対策や生活保障が不十分として、国に損害賠償を求める訴訟の原告団を3日、結成し、さいたま市で決起集会を開いた。

 東京都と埼玉県の73−92歳の残留婦人12人が、26日にさいたま地裁に提訴する予定。昨年11月、残留婦人9人が高知地裁に同様の訴訟を起こしている。

 弁護団によると、国は終戦後、残留婦人らを速やかに帰国させる義務を長期間怠り、帰国後も自立生活の支援をせず、苦しい生活を強いているとしている。

 原告団代表の佐藤キワさん(73)=東京都葛飾区、1994年帰国=は「何十年も苦しい思いをしてきた。どうして早く帰してくれなかったのか、政府に訴えたい」と涙を浮かべながら話した。(共同)

広東省で2千人が反日デモ 当局阻止せず

2005年04月03日 asahi.com

 香港に隣接する中国広東省深●で3日、大規模な反日デモがあり、参加者は一時2000人以上にもなった模様だ。インターネット上で尖閣諸島の中国領有権を主張したり、日本が国連安全保障理事会の常任理事国になることに反対したりしている複数の過激な民族主義グループが呼びかけた。

 主催者は、日本の常任理事国入りに反対する署名を市民に呼びかけたほか、「隣国を侵略した歴史に向き合わない日本には常任理事国の資格はない」などと書かれたビラを配った。中国国歌を歌いながら市中心部を行進。日系の大型スーパー前で「日本製品を追放しよう」などと気勢を上げた。

 100人以上の制服警官が警戒に当たったが、当局は集会やデモ自体は阻止しなかった。  (●は「セン」、土へんに川)

アサヒ「つくる会」資金援助と中国で報道、不買の動き

2005/03/31 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=東一真】アサヒビールが「新しい歴史教科書をつくる会」への資金援助を行ったと中国のメディアが報道し、吉林省長春市でアサヒビールの不買の動きや店頭からの商品撤去が起こっている模様だ。アサヒビールは資金援助を否定している。

 新華社発行の「国際先駆導報」はこのほど、「歴史を歪曲する教科書を援助」との見出しの記事で、アサヒビールなど複数の日本の大手企業が「つくる会」に対して資金援助をしていると伝えた。続いて、吉林省の新聞「新文化報」が、同省長春でアサヒビールの不買運動が起き販売量が低下し、大手スーパーがアサヒビールを店頭から撤去したと報道、同じ記事が複数の大手インターネットサイトなどにも引用され、全国に波紋が広がった。

 アサヒビールの大沢正彦・中国総代表(常務執行役員)は31日、「アサヒビールは(つくる会に)資金等の援助は一切行っていない」との声明を発表した。

 ただ、長春の大手スーパーでは、本紙の取材に対し、「すでにアサヒビールを店頭から撤去した」と話しており、規模は明らかではないが、アサヒビールの販売に、被害が出ている模様だ。

2月の乗用車生産23%減 中国

2005/03/29 The Sankei Shimbun

 29日付中国各紙によると、中国国家統計局が発表した2月の乗用車生産台数は前年同月比23%減の14万4200台にとどまった。春節(旧正月)休暇の影響もあったとみられるが、単月では過去約2年で最大の落ち込み率だった。

 中国の自動車市場は2001年の同国の世界貿易機関(WTO)加盟後、大幅に拡大してきたが、今年1−2月でみると、鋼材価格の上昇や販売不振から、主要自動車メーカー34社のうち13社が損失を出す状態になっているという。

 業界関係者は「春節の影響だけでなく、先行きの乗用車価格の値下がりを期待した買い控えムードが続いている」としている。(共同)

武器禁輸「対中解除」には反対、首相が仏大統領に表明

2005/03/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 小泉首相と来日中のフランスのシラク大統領は27日夜、都内の外務省飯倉公館で約1時間20分間、会談した。

 小泉首相は、欧州連合(EU)が検討している対中武器禁輸の解除について「解除には反対だ。東アジアの安全保障に緊張をもたらさないような対応が必要だ」と述べた。

 これに対して、シラク大統領は「禁輸を解除しても、武器輸出や技術輸出の状況は何ら変わらない。輸出は様々な制約や一定のルールの下に置かれており、破ることはない」と強調。

 さらに、「解除の決定は、実際の軍備面で何事かを変えるような性質のものではない。政治的な意思決定だ。中国が解除を主張するのは正当だ」と述べ、首相に理解を求めた。

 また、「中国はメンツを大事にする国だ。解除は、国際社会における中国のメンツの問題ととらえている」とも指摘した。

 国連改革では、シラク大統領は、日本が拒否権を持つ形で国連安全保障理事会常任理事国入りすることを支持する考えを表明した。

 国際熱核融合実験炉(ITER)計画の建設地を青森県六ヶ所村とフランスのカダラッシュが競っている問題について、首相は「(候補地を)取り下げる考えは持っていない」と指摘。大統領は早期解決が必要との考えを強調し、今後、協議を継続することで一致した。

 また、両首脳は、両国の連携を強化するため「日仏新パートナーシップ宣言」に合意した。宣言は、<1>外交、安全保障に関してハイレベルの戦略対話を拡充・強化<2>安保理改革の推進<3>北朝鮮の核計画の完全廃棄、6か国協議の早期再開――などを盛り込んだ。

「中国、頻繁に攻撃訓練」防衛研の東アジア戦略概観

2005/03/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 防衛庁の防衛研究所は28日、東アジア地域の安全保障・軍事情勢を分析した年次報告書「東アジア戦略概観2005」を公表した。

 中国の軍事的動向について「台湾への武力行使と米軍の介入阻止を念頭に置いた攻撃的な訓練は頻繁に行われるようになった」と指摘し、地域の不安定要因として懸念を示している。

 また、中国の原子力潜水艦による日本領海侵犯事件について、「中国海軍が沿岸防衛型から近海防衛型に向け確実に進歩しつつある」と分析。東シナ海の日中中間線付近でのガス田開発などとあわせ、「中国が日本の懸念を顧みることなく海洋進出を進めているとの印象」が強まっているとした。

 一方、マラッカ海峡での海賊行為の増加に関連し、「国際テロ組織の資産凍結が世界的に進展し、資金不足を補うためテロリストが新たな資金源として船舶を襲撃する可能性もある」と警戒感を示している。

東電、中国でコンサルティング事業

2005/03/27 読売新聞 Yomiuri On-Line

 東京電力は26日、中国最大の国営送配電会社である国家電網公司向けに、4月から送電網の整備などでのコンサルティング事業に乗り出す方針を明らかにした。

 東電は、コンサルティングを通じて急成長している中国の電力事業に関する情報収集を進め、コンサルティング業務の受注拡大を目指す。現在は外資の参入が規制されている中国での発電・送電事業への将来的な参入の可能性を探る狙いもある。

 急速な経済成長で電力需給がひっ迫している中国では、電力の安定供給が急務だ。東電では、コンサルティング事業を通じて世界最高水準にある自社の送電技術やノウハウなどが生かせると判断した。

 国家電網公司へのコンサルティング期間は1年間の予定で、具体的には電力の長期需要見通しの立て方や、効率的な送電網計画作りの指導などを行う。

 国家電網公司は、中国南部を除く中国の大半を管轄し、送電網の整備計画作りなどを行っており、傘下に数多くの地域送配電会社がある。

 東電は、国内の電力需要が頭打ちとなる中、事業の多角化の一環として、海外でのコンサルティング事業に注目しており、2005年度は中国を中心に20億円の受注を目指している。

7割の商品、供給過剰 中国商務省調査

2005/03/27 The Sankei Shimbun

 中国商務省が27日までに発表したことし上半期の主要商品600種の需給状況分析結果によると、供給が需要を上回っている商品が全体の73・2%に達し、家電製品などの大量生産を背景に、供給過剰傾向が依然として続いていることが分かった。

 供給が需要を上回っている商品は439種で、需給バランスが取れている商品は161種だった。工業製品507種に絞ると、83%が供給過剰だった。

 2004年上半期に比べると、供給過剰商品の比率は1・3%減とわずかに改善した。

 商務省は半年ごとに主要商品の需給状況を分析。物価動向などの参考指標になっている。(共同)

日中改善へ「共同計画」 経済交流など推進 政府方針

2005/03/27 The Sankei Shimbun

 政府は二十六日、中国との関係改善と対話の強化を図るため、人的交流の拡大や経済協力の推進などを盛り込んだ「日中共同作業計画」(仮称)を両国間で策定する方針を固めた。町村信孝外相が四月中旬をめどに訪中、実務協議に入る考えだ。日中関係は、小泉純一郎首相の靖国神社参拝などで三年半近く首脳の相互訪問が途絶えている。政府は日中両政府による共同事業を通じて首脳交流再開への環境整備をめざす。

 「日中共同作業計画」で(1)国際社会における協力推進(2)貿易・経済分野での関係拡大(3)防衛・治安面での関係推進(4)文化交流の促進−の四分野での両国の協力態勢構築を明示。具体的には、東シナ海のガス田開発問題に関する協議の推進、地球温暖化防止プロジェクトの促進、酸性雨汚染拡大を防止する共同調査の実施、両国の若手行政官・経済人の相互交流や青少年交流拡大などを盛り込む方向で調整している。

 二十八日には、外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長が、都内で中国の崔天凱外務省アジア局長と会談。その後、谷内正太郎事務次官が北京を訪問し、戴秉国外務次官と次官級協議を行う方針で、日中外相会談に向けた準備作業を急ぐ。

 日中首脳の相互訪問は平成十三年十月の首相訪中が最後だ。首脳会談は国際会議の場で設定されているが、昨年十一月にチリで開かれた会談では胡錦濤国家主席が靖国参拝を厳しく批判。首相の靖国神社参拝以外にも、東シナ海のガス田開発、中国の原子力潜水艦の領海侵犯事件などで厳しい状況が続いている。

 しかし、中国の温家宝首相が今月十四日の記者会見で、日中関係の改善に向けて(1)首脳相互訪問促進への環境づくり(2)日中外交当局による友好強化の戦略的研究(3)歴史が残した問題の適切な処理−の三つの提案を初めて行い、首脳の相互訪問再開に向けた環境整備に前向きな姿勢を示した。

 一方、政府は、一月に北京で開かれた局長級協議で、日中両国が協力関係の強化を目指す共同事業を行うことを非公式に打診していた。

 中国側の姿勢の変化について、日中関係筋は、二月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、台湾海峡をめぐる問題の平和的解決を促すことを合意するなど、日米両国が中台情勢に強い関心を示した点を指摘。「中国は、今のうちに日本との関係改善に向けた道筋をつけていた方がいいと判断したのではないか」とみている。

中国、国防費透明化を拒否 防衛次官級協議で

2005/03/25 The Sankei Shimbun

 訪中した守屋武昌防衛事務次官は24日、北京で中国人民解放軍の熊光楷・副総参謀長と会談、中国の国防費について「主要装備の保有数や調達計画が明らかでない。世界の多くの国はオープンにしている」と透明性向上を要請。中国側は、日本とは社会制度や国防の制度が違うため「同じような透明性を求めることはできない」と拒否した。

 また、中国原潜による日本領海侵犯事件について日本側が「技術的原因と説明を受けたが具体的に何か」とただしたのに対し、熊氏は「軍事的秘密にかかわる敏感な問題。中国としては既にできるだけの説明をした」と回答を拒んだ。

 日本側は、公表されている中国の国防費が少なすぎるのではないかと懸念を表明、中国側は「疑いは根も葉もない」と述べた。

 中国側は2003年に合意しながら実現していない中国艦艇の日本訪問について「06年の防衛交流に組み入れたい」と表明。曹剛川国防相の訪日については「都合のいい時期に実現したい」と述べるにとどまった。

 中国側はまた、日米両政府が「台湾海峡問題の平和的解決」を共通戦略目標に盛り込んだことについて「内政干渉」と批判。日本側は台湾問題の平和的解決の重要性を強調した。次官はまた、防衛大綱について「中国を脅威と見なしていない」と説明した。次官は曹国防相も表敬訪問した。(共同)

中国で日系企業の合同説明会 学生650人が参加

2005/03/19 The Sankei Shimbun
 

 優秀な中国人学生の採用を目指す日系企業の合同就職説明会が19日、北京市内のホテルで開かれた。

 高成長を続ける中国でも企業の要求水準の高まりなどから大学生の就職は年々厳しくなっており、予定の400人を大きく上回る約650人の学生が参加、各企業の担当者に熱心に売り込んだ。

 説明会は在中国日本商工会議所の主催で、メーカーや商社など35社が集まって開催、北京周辺の日本語専攻を持つ大学約30校に参加を呼び掛けた。卒業季節が7月になる中国の大学生の就職活動は既に終盤に差しかかっているが、南京など遠隔地や日本留学中の学生も参加、予定の人数を午前中で上回る盛況ぶりだった。

 サービス業志望という天津外語学院の女子学生(22)は「最近は日本語が出来るだけでは就職が厳しい。日中の企業40社近くに履歴書を送ったが、返事をもらえたのは10社以下」と、真剣に資料をチェックしていた。(共同)

日中関係改善へ3提案 温家宝首相が会見

2005/03/14 中国新聞ニュース

 【北京14日共同=太安淳一】中国の温家宝首相は十四日の全国人民代表大会(全人代)閉幕後の記者会見で、日中関係の改善に向け(1)首脳相互訪問促進への環境づくり(2)日中の外交当局による友好強化の戦略的研究(3)歴史が残した問題の適切な処理―の「三つの提案」を初めて行った。首相は、日中間の「主要な障害が歴史問題」と指摘しながらも、小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題には直接触れておらず、関係改善へ向け、より積極的な姿勢への転換を示した。

 一方、全人代でこの日採択された反国家分裂法については「戦争法」ではないと明言し、平和統一に向け中台関係の発展、促進を目指したものだと強調した。

 また日中関係について、三原則として(1)歴史を鑑(かがみ)に未来へ向かう(2)「一つの中国」の原則堅持(3)経済などの協力を強化し共同発展―を挙げた。中国側がこうした三原則を示したのは初めて。

 温首相は、日米安保協議で台湾問題を取り上げたことについて「台湾問題は中国の内政問題だ。干渉は許さない」と強くけん制。

 首相は、反国家分裂法で台湾独立勢力を抑え込んでこそ、台湾海峡の平和が維持されると指摘、これが「台湾企業や外国企業の対中投資」に有利と強調。さらに、台湾との関係発展のため(1)中台直行チャーター便の定期化(2)台湾農産品の大陸輸出―などを促進すると述べた。

 国際的に圧力が強い人民元切り上げ問題に関し、より弾力的な相場の形成メカニズム改革案を研究しているとした上で、「中国の利益や周辺国家、世界への影響を考慮する必要がある」などと述べ、慎重姿勢を示した。

 中国経済については、エネルギーや失業などの問題が山積しており「これらは構造的な問題」と指摘。「マクロ経済管理の基礎は万全ではない」として、投資ブーム再燃の可能性に警戒感を示した。

愛国主義教育強化求める声、相次ぐ…中国全人代

2005/03/13 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=関泰晴】北京で開催中の全国人民代表大会(全人代=国会)と中国人民政治協商会議(政協)で、今年が戦後60周年にあたることから、「南京大虐殺記念館を世界文化遺産に登録しよう」などと、愛国主義教育の強化を訴える提案が相次いでいる。こうした動きが、中国国内での反日感情をさらにあおる可能性もある。

 四川省の政協委員は「(満州事変の発端となる)柳条湖事件が起きた9月18日を『国辱記念日』として、全面的に結婚式などの祝賀行事を禁止しよう」と法律制定を提案。「918」は中国語で「就要発(すぐに発展する)」と発音が似ており、最近は「縁起が良い日」として、結婚式などの祝賀行事を行う人々が多い。この委員は「歴史認識に乏しく、憂慮すべき事態」と言う。

 「同記念館」の世界遺産登録を求める江蘇省の政協委員は、南京事件が始まったとされる12月13日を国の記念日とするよう提案した。このほか、「日本軍の爆撃を受けた重慶で記念活動を行う」などの提案が続々と出されている。

中国乗用車市場 春節値下げ奏功 日本メーカー、在庫調整へ断行

2005/03/13 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 販売競争が激化する中国乗用車市場で、日本メーカーの値下げが相次いでいる。1年中で最も需要が多くなる旧正月(春節)を前に、2万−4万元(約26万−52万円)の大幅値下げを断行。狙い通りに各社とも1月の販売台数を伸ばし、マツダが過去最高となったほか、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの3社も前年同月と比べ大幅増となった。ただ、在庫調整はなお残っており、今後も厳しい競争が続きそうだという。(納富優香)

 トヨタは主力セダン「カローラ」などで昨年末、平均2万元の値下げを行った。その甲斐あって、1月の中国販売は前年同月比2・8倍となる1万7580台と大幅増。

 ここ数カ月低迷の続いていた日産も、1月中旬に「ブルーバード」で12−18%に当たる2万4000−4万4000元値引きした。乗用車で2倍、商用車も合わせた1月の中国販売は約3倍の2万1357台と「在庫はほぼ一掃」(広報)。一時停止していた日本からの部品輸出も再開した。

 最も効果が顕著だったのがマツダ。1月から中型セダン「アテンザ」で16%、4万元(約52万円)値引きしたことで、販売が急回復。26・1%増の1万868台と初の1万台超に達した。ただ、在庫調整は続いており、中国での生産は40・1%減の4740台と厳しい状況が続いている。

 一方、値下げしなかったホンダも昨年からの新型車投入などが効き、香港を含む合計販売台数は67・3%の1万4244台まで伸びた。ただ、値下げの流れは無視できず、現行車種では価格維持する方針だが、3月から全面改良して発売する「オデッセイ」「アコード」はこれまでより約2万元下げる。

 中国市場では、政府の金融引き締め策による消費の冷え込みなどにより、昨年初夏からドイツメーカーを中心に数回の値下げが行われており、先月もBMWが同社として過去最大幅となる10万元(約130万円)の値下げを行ったばかり。市場ではさらに値段が下がるという予測が広まり、かえって買い控えが起きるという逆転現象も生じているという。

アテンザ、中国で15%値下げ マツダ

2005/03/12 中国新聞地域ニュース

 マツダは、中国で主力車種「アテンザ」の販売価格を今年から最大15%下げた。二〇〇三年春発売以来、初の値下げで、昨年後半から需要が鈍った中で各社の値下げに対抗。今後は上海市などに新設した統括会社を通じ、市場に即応した価格戦略に転じる。

 15%下げたのは二三〇〇CCモデルで、四万元(五十万三千円)下げ二十二万五千元(二百八十三万円)に、二〇〇〇CCは11%下げて十九万三千元(二百四十二万七千円)にした。四月までの期間限定だが、継続の可能性もあり、実質値下げとみられる。値下げ効果で一月のアテンザ販売は過去最高の七千台を超えた。

 中国で高いブランド力を持つアテンザは昨年前半まで月三千台以上の好調な販売を記録。昨年後半からの買い控え傾向で十二月は月千台強の水準となり、在庫も拡大していた。

 アテンザなどの中型車は世界の各メーカーが中国に投入。米ゼネラル・モーターズや独フォルクスワーゲンが昨年五月、最大約10%下げるなど値下げが相次いでいる。

 マツダは一月に上海市で生産、販売を統括する100%子会社を、今月初めに長春市で合弁の販売統括会社を設立して販売体制を強化。「必要に応じて価格を見直し競争力を強める」という。

中国が円借款トップ3転落、4年連続の減…04年度

2005/03/12 読売新聞 Yomiuri On-Line

 2004年度の政府開発援助(ODA)で行う円借款の国・地域別の供与先が12日、明らかになった。

 1999年度から2002年度まで首位だった中国は4年連続で減少し、ベスト3から転落する。

 北京五輪が開かれる2008年度にも対中円借款の新規供与をやめるのに備え、中国向けの案件を環境対策や技術者などの人材育成に絞り込んだためだ。供与先の首位は2年連続でインドとなり、円借款の「中国離れ、インド重視」が鮮明になった。

 2004年度の中国向けは800億円前後で、前年度の3位から、5位に転落する可能性が高い。インド向けは、ODA全体の予算が減るなかで、前年度と同水準の1250億円前後となる。2位はインドネシア(1148億円)、3位はトルコ(987億円)となる。

反日教育の改善提起に反論 「道理ない」と中国外務省

2005/03/08 The Sankei Shimbun

 中国外務省の劉建超副報道局長は8日の定例会見で、先に町村信孝外相が日本に関する歴史教育の見直しを中国に求めたことについて「驚きと不満を感じる」とした上で「日本側こそ歴史問題に正確に向き合い対処すべきだ」と強く反論した。

 副報道局長は「中国政府は『歴史をかがみとし、未来に向かう』精神で人民を教育してきた。日本側が反日教育を行っていると中国を批判するのは全く道理がない」と批判した。

 副報道局長はまた、大野功統防衛庁長官が中国に国防費の透明化を求めたことについても「中国国防省は過去、国防白書を発表し、国防建設の状況を詳細に紹介している。これでもまだ透明度が足りないというのか」と述べた。(共同)

「日米戦略目標は主権侵犯」 中国外相、台湾問題でけん制

2005/03/06 The Sankei Shimbun

 中国の李肇星外相は6日、北京の人民大会堂で記者会見し、台湾海峡に言及した日米の共通戦略目標について、日米の安全保障協力の範囲に台湾を含めることは「中国の主権への侵犯であり、内政干渉だ」と日米両国を強くけん制した。

 2001年10月の小泉純一郎首相の訪中以来中断している日中首脳の相互訪問について「適切な条件と雰囲気が必要だ」と述べ、小泉首相の靖国神社参拝問題の処理などで日本側の努力を求めた。

 李外相は「歴史問題と台湾問題の適切な処理が必要」と強調。尖閣諸島(中国名・釣魚島)の帰属については「中国の領土」と述べた上で、日本との対話を通じた解決を目指す考えを示した。

 開催中の全国人民代表大会(国会)で採決予定の台湾独立を阻止するための反国家分裂法については「アジア太平洋地区と世界の平和、安定に寄与するものだ」と述べ、同法に武力行使の条件が盛り込まれることへの懸念払しょくに努めた。

 北朝鮮の核開発をめぐる6カ国協議については、「主要な関係国が相互信頼を高める必要がある」と強調し、米国と北朝鮮の一層の努力を要求。次回協議については「継続すべきだ」と述べるにとどまり、具体的な開催時期は示さなかった。(共同)

丸紅、中国大手と提携 製鉄用コークスなど安定確保狙う

2005/03/05 asahi.com

 中国の国有企業で金属資源大手の中鋼集団(本社・北京市)と丸紅は、鉄生産に使うコークス、鉄鉱石、スクラップなどの取引についての事業提携を決め、調印した。日本から鉄鉱石やスクラップなどを、中国からはコークスを相手先に売る。中国の旺盛な需要で鉄の原材料の確保が課題となっており、それぞれ相手国向けについては優先的に販売しあう。

 日本にとって最大のコークス輸入先、中国が国内の需要増から輸出を絞る動きがあるなかで、丸紅は確実な調達先として国有大手の同社との提携を決めた。中国からのコークス確保では伊藤忠商事が04年、山東省の製鉄用コークス工場にブラジル企業と共同で出資を決めるなど、逼迫(ひっぱく)する需給に対応する動きが広がっている。

 一方、中鋼集団は、同様の契約をドイツやノルウェーの鉄鋼メーカーとも結んだ。中国の04年の粗鋼生産量は前年比23%増の2億7000万トンで、3年連続2割以上も伸びた。景気の過熱を懸念する中国政府が小規模な製鉄所への規制を続けるなかでも、需要の勢いは衰えず、日欧企業との提携で、材料の安定確保を狙う。

中国に反日教育の改善提起 参院予算委で町村外相

2005/03/04 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は4日午後の参院予算委員会で、中国の歴史教育について「改善すべきは改善するよう求めていく。(今後)中国外相に会う際も具体的に提起したい」と述べ、李肇星外相に北京の抗日記念館などの展示の在り方を含め、歴史教育の見直しを求める考えを示した。歴史教育問題で日本側から問題を提起するのは極めて異例で中国側の反発が予想される。

 外務省筋は「事務レベルでは、(中国側に)愛国教育というのが抗日とほぼ同じになっている、と指摘しているが、知る限りでは閣僚レベルで例がない」としている。

 町村外相は答弁で、今年1月に訪中した外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長が中国側に歴史教育の改善を提起したことも明らかにした。

 北朝鮮の金正日総書記が6カ国協議への条件付き復帰に言及したことについて小泉純一郎首相は「早く無条件で協議に応じてくることが北朝鮮にとって最大の利益だということを各国と協力して働き掛けていかなくてはならない」と述べ、協議への無条件での早期復帰を求めた。

 北朝鮮の核保有の可能性について外相は「日本のインテリジェンス(情報収集)の能力から確定的な結論を持つに至っていない」としながらも「相当程度高い可能性で保有している可能性はある」との見方を示した。

 首相は与党で議論している教育基本法改正案について「できるだけ早く国会へ提出できるよう努力したい」と強調した。

 自民党の山谷えり子、公明党の木庭健太郎両氏への答弁。(共同)

27日にも日中局長級協議 北朝鮮、台湾問題などで

2005/02/24 The Sankei Shimbun

 日中両政府は早ければ27日にも、外務省局長級などの非公式協議を北京で実施する方針で一致した。複数の日中関係筋が24日、明らかにした。

 日中局長間で非公式協議が行われるのは1月下旬に北京で行われて以来。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議再開問題を主要議題に想定しているが、台湾問題や尖閣諸島領有権問題などについても話し合われるとみられる。

 関係筋によると、訪中するのは外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長。26日にソウルで行われる日米韓3カ国の6カ国協議の首席代表による会合に出席後、直接北京入りする。

 北朝鮮の核問題と日本人拉致問題については寧賦魁・北朝鮮核問題担当大使、日中問題については崔天凱・外務省アジア局長と協議するとみられる。(共同)

EUの対中武器輸出に懸念 「緊張高める」と細田氏

2005/02/21 The Sankei Shimbun

 細田博之官房長官は21日午後の記者会見で、欧州連合(EU)が検討している中国向け武器禁輸措置解除について「質のよい武器が中国に輸出され整備されることは、地域の緊張を高める原因となる。日本として懸念している」と述べた。

 同時に、対中武器禁輸措置の解除に関し「米国とEUの間で綿密な協議が行われている。中国をめぐる問題に最大の関心を持っている米国とEUのやりとりを注視したい」と述べ、当面は協議を見守る考えを表明した。

 武器禁輸措置は、1989年の天安門事件に対する制裁としてEUや米国が発動。禁輸解除については推進派のフランス、ドイツに続き、慎重派の英国も柔軟な姿勢に転じており、年内にEUが解除の最終結論を下すとの見方も出ている。(共同)

日中戦略対話を提案 中国、東アジア安保で

2005/02/07 The Sankei Shimbun

 中国政府は5日までに、外務省次官級の「日中戦略対話」の定期開催を目指す方針を決め、外交ルートを通じて日本側に提案した。東アジアの安全保障体制確立に向け、台湾や北朝鮮問題などを協議することが狙い。複数の日中関係筋が明らかにした。

 日本は米国との間では、同盟関係を背景に「日米戦略対話」を毎年2回程度開催しているが、その他の国とは各省実務者による個別分野の政策対話を行うレベルにとどめている。中国側は、こうした事情を承知しつつ「日本側の新しい思考に期待する」(中国筋)として新提案を投げ掛けた。

 日本側は「慎重に検討する必要がある」(外務省幹部)として現時点では回答を留保しており、日本政府の対応が今後の焦点となる。

 関係筋によると、中国政府は昨年秋以降、王毅駐日大使を通じ、日本政府高官や外務省幹部に日中戦略対話を数回にわたり提案。その際、王大使は「政治分野を含め、総合的かつ戦略的な話し合いを日中間で進めたい」と述べ、早期実現へ強い意欲を示したという。

 日中戦略対話が実現した場合、日本側からは外務省の谷内正太郎事務次官、中国側からは前駐日大使の武大偉外務次官が出席するとみられる。

 日本政府筋の一人は「戦略対話は同盟関係など強固な二国間関係の上に成り立つもの。それだけに(ぎくしゃくした関係が続く)中国が主張する戦略対話が実際に何を意味するのか、具体像が見えていない」と述べ、真意を見極めてから判断する考えを示唆している。(共同)

 <日本の戦略対話> 日本は米国と外交、安全保障問題を包括的に協議する外務当局次官級の戦略対話を実施している。日本が戦略対話を行っているのは米国だけ。2002年8月の初会合以来、東京、ワシントンで計5回開催。中長期的テーマについて率直な意見交換を行い、両国の「戦略」立案につなげるのが狙いだったが、対話開始後、イラクの大量破壊兵器開発疑惑や北朝鮮の核開発問題などが持ち上がり、当初からイラク、北朝鮮問題の対応などを協議している。このほか米国防総省と防衛庁の審議官級による「防衛戦略対話」も行われている。(共同)

中国の売れ残り商品37兆円 アウトレット市場拡大へ

2005/01/21 The Sankei Shimbun

 21日の中国紙、経済日報は、中国の商品在庫や売れ残り商品の総額がこれまでに3兆元(約37兆5000億円)に達し「アウトレット市場」の拡大につながっていると伝えた。

 同紙が掲載した新華社電によると、新製品が出るスピードが早くなっているため、在庫や売れ残りは毎年5%増加。これに伴い、売れ残り商品などを専門に取り扱う業者も増えている。消費者側でも、国内の低収入層やアジアの発展途上国の関心が高く、関係業界は4月に雲南省で在庫商品専門の商談会を開催するという。(共同)

中国のハッカー集団?靖国神社HPにサイバー攻撃

2005/01/06 読売新聞 Yomiuri On-Line

 靖国神社(東京・九段北)のコンピューターに大量の不正データを送り、ホームページ(HP)への接続を妨害する「サイバー攻撃」が長期間行われていることが5日、分かった。

 警察当局は、中国のハッカー集団などによる組織的攻撃との見方を強めている。靖国神社は事実の公表を控えていたが、今後も被害の拡大が予想されるため、5日にHPに抗議声明を掲載し、攻撃中止を呼びかけた。

 靖国神社によると、サイバー攻撃は2001年8月の小泉首相の参拝後に始まり、断続的に行われている。1分間に最高90万回も集中することもあり、昨年はHPが5回ダウンした。

 昨年12月には、中国国内のインターネット掲示板に、「日本に良い元旦を過ごさせない」として、今月1日午後9時半に靖国神社に一斉にサイバー攻撃をするよう呼びかけるメッセージが載った。実際に攻撃が行われ、HPは閉鎖に追い込まれた。

 靖国神社がネット上の住所に相当する「IPアドレス」を調べたところ、ほとんどが中国のものだった。昨年2月から被害相談をしている警察当局も、不正データの発信元は中国が大半と見ている。

 靖国神社はHPに掲載した声明で、「国家のために尊い生命を捧(ささ)げられた250万柱の御祭神に対する攻撃であり、日本国に対する悪意に満ちた挑戦だ」と攻撃を非難している。

中国株、今年も回復困難か 上海で5年半ぶり安値

2005/01/05 The Sankei Shimbun

 年明け初日4日の上海株式市場の総合指数が5年半ぶりの安値、深●株式市場の総合指数も8年ぶりの安値で引けた。アナリストらの間では、長期低迷が続く中国株式市場は今年も回復は難しいとの悲観的な見方が広がっている。

 4日の終値は上海総合指数が前年末終値比1.87%安の1242.77、深●総合指数が同1.64%の310.62。5日付の中国各紙は「これで下げ止まるのか、それとも大暴落開始か」(上海証券報)などと報じた。

 4日の相場下落は、石油化学関連銘柄が業績懸念などから暴落したのが直接原因だ。しかし各紙は深層には「長期低迷で投資家が慎重になり市場に入る資金が欠乏、これがさらに低迷を招くという悪循環」があると指摘した。

 株式市場から逃げた資金は高騰する不動産市場に流入しており、証券関係者は「不動産価格が下がらない限り、株式市場に資金は戻らない。今年も回復は難しい」とため息をつく。

 中国政府は昨年10月、保険資金の株式投資を解禁し、機関投資家の資金の本格導入による市場活性化を図った。だが機関投資家も低迷する市場への資金投入に慎重な態度で、効果は少ない。

 5日の相場は上海が前日終値比0.7%高、深●が同1.5%高とやや上げたが、アナリストは「市場の軟調に変化が出るのは、今年後半以降だ」と話している。(共同) ●=土ヘンに川

中国がダンピング認定 日本などの光ファイバー

2005/01/04 The Sankei Shimbun

 中国商務省が、日本、米国、韓国産の光ファイバーについて、ダンピング(不当廉売)を認定する「クロ」の最終決定を下したことが4日分かった。反ダンピング関税率は7−46%で、期間は1月1日から5年間。情報技術(IT)ブームで中国市場での需要が急増している光ファイバーのダンピング認定は日本企業の輸出にも影響を与えそうだ。

 商務省が1日付で発表した公告によると、中国メーカーの申し立てにより、同省は2003年から3カ国産の光ファイバーのダンピング調査を進め、最終的に中国企業に実質的な損害を与えていると判断した。

 商務省は昨年6月、3カ国産の光ファイバーにダンピング仮決定を出しており、日本製品のダンピング率はすべて46%だった。(共同)

中国、消費拡大で8%成長 05年、人民元上げ見極めへ

2005/01/03 The Sankei Shimbun

 中国は2005年、国内総生産(GDP)成長率8%程度の安定的な経済成長を目指す方針だ。第10次5カ年計画の最終年でもあり、これまでの積極財政による投資主導の成長から、消費中心の内需拡大への路線転換を進める節目の年とする。

 世界貿易機関(WTO)加盟から3年が経過し、貿易摩擦の激化が予想されるほか、人民元切り上げを含む通貨制度改革も引き続き大きな焦点だが、実施時期や在り方については国内の銀行改革の進展などをにらみ慎重に見極めるとみられる。

 原油輸入の急増が続く中で、海外での石油権益確保に一段と力を入れる一方、原子力など石油以外のエネルギー源の多角化や省エネルギーの徹底なども政策面の重点。

 04年の中国経済は、9%をやや上回る成長を達成したとみられる。だが、同年春からの引き締め政策にもかかわらず、投資は大きく減速せず、鉄鋼など一部業種の生産能力過剰や電力、石炭などの不足、深刻な環境汚染は05年以降も続く課題になっている。

 中国企業の競争力は出稼ぎ農民の低賃金に支えられている面があり、地方では貧富の格差に不満を持つ農民らの暴動が続く。04年は農産物価格の上昇で消費者物価が4%程度上昇、農民の収入もやや改善したとはいえ、都市部に比べ3分の1という構造的低所得は、全国的な消費の伸びの鈍さにもつながっている。

 このため、胡錦涛政権は農民を課税対象とした農業税の減免を実施する見通しのほか、失業対策を含めた社会保障の充実にも一段と力を入れる方針だ。(共同)

上海の大学、大阪に分校 経済交流の拠点目標

2005/01/03 asahi.com

 中国有数の国立総合大学、同済(トンチー)大学(上海市、学生約5万4000人)はこのほど、06年末にも大阪市内に社会人向けの分校を開講することで同市と最終合意した。同済大から派遣される中国人教授らが、中国の都市計画や交通、物流システムなどについて日本企業のビジネスマンらに講義する。将来は同大の単位が取得できる本格的な大学院の開校も視野に入れている。経済発展の著しい中国の大学が経済交流を目的に日本で分校をつくるのは初めて。

 同済大と大阪市によると、今年が大阪と上海の友好都市提携30周年にあたるのを機に、約1年前から大阪市側が誘致を呼びかけていた。分校での講義を通じて日本企業が中国側との人脈づくりを進められるうえ、中国企業の大阪への進出を呼び込む窓口になることを狙っている。

 大阪市の関淳一市長が12月初旬に上海を訪れて同大と最終合意。共同プロジェクトチームを立ち上げ、具体的な設立方法などを検討していく。

 分校は定員100人程度。ビジネスマン向けに半年〜1年間、同大の得意とする都市工学や交通工学、環境工学など主に理系分野を教える。中国の法律や経営管理、商習慣、中国語などもカリキュラムに入れるという。

 教員には同大から中国人教授らを交代で出張させるほか、同大を卒業して日本国内の大学で活躍する助教授らも参加する。授業は日本語と英語が中心。同大の修士学位が取れる大学院が設立されれば、2年間の修学期間のうち1年半は大阪で、残り半年は上海で授業を受けることになりそうだ。

 同済大側は中国企業などからの資金提供も受けて進出する意向だ。分校の場所は、大阪市の所有するビルや中心部にある小学校の廃校舎の再利用などが候補としてあがっている。規模が大きくなれば、JR大阪駅北側にある梅田貨物駅の再開発予定地内での開校も検討している。

 同済大の楊東援・副学長は「日中間の相互理解を進める交流の拠点として、次世代の若者の国際交流への能力を伸ばしたい」と話している。

 〈同済大学〉 1907年、ドイツ人が上海市内に創設した医学校の同済徳文医学堂が前身で、49年の新中国建国後は総合大学となった。とくに土木建築や交通、都市計画、交通システムの研究が盛んで、2010年の上海万博に向けた上海市の再開発では一部の都市計画を請け負っている。

巨大原発市場の中国へ、日米露仏企業が売り込み

2004/12/31 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=東一真】電力不足に悩む中国は、2005年から向こう15年間にわたって、毎年2、3基の原子炉を建設する原発建設ラッシュを迎える。

 「残された世界最大の原発市場」に対して日米連合、ロシア、フランス各国の重電企業が売り込みを活発化させている。

 2月末に中国が予定する2つの原発の入札が、今後導入される原子炉タイプの標準を決めることになりかねないため、攻防は激しさを増す一方だ。

 中国の原子力政策を統括する国家原子力機構の張華祝主任はこのほど記者会見で、「2020年までに100万キロ・ワット級の原発が新たに27基必要」と述べた。

 中国は2020年までに国内総発電力を9億キロ・ワットに引き上げ、その4%に当たる3600万キロ・ワットを原子力発電でまかなう計画で、実現すれば米、仏、日本に次ぐ原発大国となる。

 その先駆けとして、中国政府は、浙江省に建設を予定する三門原子力発電所と、広東省に予定する陽江原子力発電所の入札を2005年2月末に実施する。当初は、100万キロ・ワット級の加圧水型軽水炉(PWR)を2基ずつ建設する計画だ。

 三菱重工業は、米重電大手ウエスティングハウスと共同で入札に参加する。米国は現在、中国への原発の輸出を禁止しているが、米原子力規制委員会(NRC)のニルス・ディアズ委員長が2004年10月に北京で、輸出解禁を示唆するなど、巨大な原発市場を前に、態度を軟化させている。米、日の企業は中国で原発の設計を含むシステム全体の受注をしたことがなく、落札すれば初となる。

 一方、中国紙の報道では、フランスの原子炉製造企業フラマトムANP、ロシアのアトムストロイ・エクスポルトも参加の予定で、三つどもえの戦いの公算。10月に相次いで訪中したフランスのシラク大統領とロシアのプーチン大統領は、それぞれ、中国首脳に原発建設への参加を表明し、トップ・セールスを行った。

 中国では現在、5か所の原子力発電所で計9基の原子炉が稼働中で、うち7基がPWR。今後もPWRに絞って建設する可能性が高く、「2月末の入札が、今後建設する原子炉タイプの標準となる」との見方が業界内では支配的。

 逆に、今回の入札で落選すれば、今後、中国市場に食い込むことが難しくなる公算で、入札へ向けての競争は激しさを増しそうだ。

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