TOPIC No.1-5-1 気候変動枠組み条約/京都議定書

No.
内      容
01.地球温暖化防止条約 by YAHOOニュース
02.気候変動枠組条約・京都議定書 by環境省
03.気候変動枠組条約、京都議定書とは by外務省
04.気候変動枠組条約 by環境省
05.気候変動枠組条約 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
06.安倍総理の地球温暖化問題に係る新提案「美しい星50」by外務省
07.排出権取引 YAHOO!ニュ−ス

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先進国20年に25―40%減を 温室ガスで国連と投資家

2009/09/27 中国新聞ニュース

 京都議定書に続く国際的な地球温暖化対策の枠組み交渉では、先進国が温室効果ガスの排出量を2020年に1990年比で25〜40%削減、50年には最大95%削減する目標に合意するべきだなどとする宣言を、欧米やオーストラリア、ニュージーランドの銀行や年金基金などでつくる投資家グループと、国連環境計画(UNEP)が26日までにまとめた。

 交渉の期限が年末に迫るのを前に「(干ばつや暴風雨の増加などを招く)温暖化は、保有する個々の資産だけでなく、世界経済全体に悪影響を与える」と危機感を表明。「投資に関する意思決定に気候変動問題を取り入れ、投資家として、低炭素経済形成に向けて資金の流れを変える」と、自らも責任ある投資行動を取ることも明言し、排出量取引などを通じ世界規模の炭素市場をつくるべきだとの立場も表明した。

 UNEPによると、宣言に署名した181の機関投資家の資産規模は13兆ドル(1170兆円)に上る。投融資先の企業などへの発言力も大きく、鳩山由紀夫首相が表明した25%削減目標に後ろ向きな日本企業の資金調達に影響が出る可能性もあるという。

 宣言をまとめた投資家グループは、英国の「気候変動に関する機関投資家グループ(IIGCC)」など。日本の金融機関は参加していない。

 宣言は「次期枠組みを決める今年末のコペンハーゲンでの気候変動枠組み条約の締約国会議で、明確な政治的なシグナルが出ることが必要だ」と、各国政府に大幅な削減目標での合意を呼び掛け。具体的には、世界全体の排出量を50年に1990年比50〜85%削減するべきだと指摘。先進国には同80〜95%の削減を、発展途上国にも明確な排出削減の努力を求めた。

 投資家グループは昨年末にも同様の宣言をまとめているが、今回は参加機関の数が大幅に増え、UNEPも参加した。

斉藤環境相は「温室ガス25%削減」を評価 原発否定には懸念

2009.09.08 MSN産経新聞

 民主党の鳩山由紀夫代表が2020(平成32)年までの日本の温室効果ガス排出を1990年比25%削減するとした中期目標について、斉藤鉄夫環境相は8日、閣議後の記者会見で「積極的な姿勢について評価したい」と歓迎した。その一方で、民主党が原子力発電に否定的な社民党との連立政権協議を進めていることについて「原子力は(温室効果ガス削減の)大きなポイントを占める。(立場を)明確にしてほしい」として懸念を示した。

 斉藤環境相は会見で、「先進国が25%以上削減することは科学の要請。公明党としても主張しており意義深い」と指摘。そのうえで、「実現には国内施策の積み上げが必要。負担はあるが、それを上回る経済活性化がある。世界一の環境技術を持つ日本にとって、そこにしか生き残る道はない」と述べた。

 一方、民主党が政権公約(マニフェスト)で打ち出している高速道路無料化とガソリン税などの暫定税率廃止には「25%削減の中期目標とは両立しない」として見直しを求めた。連立政権を組むことになる社民党が原子力発電に否定的なことについて「原子力発電の新規増設、稼働率の向上は(温室効果ガス削減の)大きなポイントを占めることになる。野心的な目標を掲げるのなら、連立政権樹立の時に(立場を)明らかにしていかなければならない」と述べた。

「生産活動に制約」鳩山氏の温室ガス25%削減に産業界が猛反発

2009.09.08 MSN産経新聞

ぶら下がり取材に応じる鳩山由紀夫代表(中央)=7日午後、東京都永田町の党本部(中鉢久美子撮影)

 民主党の鳩山由紀夫代表が7日の講演で、2020(平成32)年の日本の温室効果ガス(CO2)について1990年比で25%削減を目指すことを明言したことに対し、産業界から反発の声が相次いだ。目標達成には生産活動の抑制を迫られるだけでなく、国民負担の増大で消費の冷え込みも心配されるためだ。鳩山代表は首相就任後に出席する国連気候変動首脳級会合で25%削減目標を表明する意向を示したが、産業界は、「国際公約になることは避けるべきだ」と危機感を強めている。

 「国際的な公平性、国民負担レベルの妥当性、実現可能性を精査し、国民と産業界の理解を得た上で国際交渉に臨むことを切望する」。鳩山代表の講演を受け、日本鉄鋼連盟の宗岡正二会長(新日本製鉄社長)はこうコメントした。

 民主党がマニフェスト(政権公約)に盛り込んだCO2削減目標は企業や国民に負担を負わせ、経済成長を下押ししかねないとして産業界は翻意を促す考えだったが、この日の発言はこうした意向を突っぱねた形だ。今後の国際交渉でも足かせになりかねないだけに、産業界は焦燥感を強めている。

 25%削減という目標について化学大手の幹部は「信じがたい数字だ。日本だけが突出した目標を示すのでは欧米や新興国メーカーとの国際競争が激化する中、国内メーカーは生き残れない」と悲鳴を上げた。

 目標実現のため、民主党はエコカーや省エネ家電の普及を後押しする方針で、自動車や電機業界にとっては一定の追い風を期待できる面もなくはない。ただ、自動車や電機業界からも、「素直に『うん』といえるような目標ではない」(大手自動車会社)、「経済活動にいろいろ制約が出てくる」(日立製作所)、「もっと国民に対する説明がほしい」(コマツ)といった声が噴出した。

 経済産業省の望月晴文事務次官は7日の記者会見で「国民、経済にとって非常に厳しい道を選ぶという覚悟が必要だ」と指摘したうえで、鳩山代表が国際公約の前提としてすべての主要国の合意を挙げたことには「大変重要だ」と賛意を示した。

20年に温室ガス25%減「政策総動員で実現」鳩山氏が明言

2009.09.07 MSN産経新聞

地球温暖化対策に関するシンポジウムで講演する民主党の鳩山代表=7日午後、東京都内のホテル

 民主党の鳩山由紀夫代表が7日、東京都内で開かれたシンポジウムで講演し、2020(平成32)年の日本の温室効果ガスについて1990年比で25%削減を目指すことを明言した。首相就任後の22日に米・ニューヨークで開かれる国連気候変動首脳級会合でも、この25%削減目標を表明する方針だ。

 この目標は、政府が打ち出していた05年比15%削減(90年比8%削減)を大幅に上回ることから、目標実現に重い負担を背負わされることになる産業界などから強い反発も予想される。

 鳩山代表は講演で、90年比25%削減について「われわれのマニフェストに掲げた政権公約であり、政治の意思として、あらゆる政策を総動員して実現を目指していく」と述べた。

 また、気候変動問題について「世界全体が長期の国際的な取り組みを必要とする」と強調。そのうえで、日本だけが削減目標を掲げても、気候変動を止めることができないとし、「すべての主要国に、意欲的な目標の設定を強く呼びかける」とした。

 途上国についても「国別の削減目標」を掲げてもらい、先進国が資金、技術的な支援を行うよう「鳩山イニシアティブ」を打ち出すことを明かにした。 

 こうした構想について、首班指名後、22日の国連気候変動首脳級会合に出席して「具体的に国際社会に問うていきたい」とした。

 温室効果ガスについて民主党は、衆院選のマニフェストで、(1)企業間で排出枠を売買する排出量取引制度(2)地球温暖化対策税(環境税)の導入−などの提案を掲げていた。

【温室効果ガス 30%削減の衝撃】(1)民主案 36万円家計負担増

2009.08.26 MSN産経新聞

「光熱費払えない」悲鳴

 「こんな負担は納得できない」

 8月5日に東京・霞が関の経済産業省で開かれた総合資源エネルギー調査会需給部会。消費者団体の代表として参加した日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の三村光代最高顧問は思わず声を上げた。政府が6月にまとめた二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出削減に伴う家計負担の増加額として「1世帯あたり年間7万7千円」との試算が示されたからだ。

 三村さんは「生活が苦しい家庭にとっては年間1千円、500円の負担増でも軽くはない」と光熱費に温室効果ガスの排出削減対策費用を安易に転嫁しないよう訴えた。

 しかし、この日の部会では、もう一つの参考試算も示された。「1世帯あたり年間36万円」。民主党の温室効果ガスの排出削減を実行した場合の家計負担の増加額だ。政府の目標は2020(平成32)年に05年比15%の温室効果ガスの排出削減を目指すものだが、民主党が今回の衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)では、20年に90年比で25%(05年比で30%)を削減するという厳しい目標を打ち出した。

 「そんな負担増は到底考えられない。これから景気が好転し、収入が増える確証があればある程度の負担増は許容はできるが、そのような時代でもない。結局は光熱費の不払いが増えるだけだ」と三村さんは首を横に振る。

 こうした家計負担の増加は、決して「将来」の数字ではない。

 政府は太陽光発電の導入促進に向け、家庭で生じた太陽光発電による余剰電力を電力会社が買い取る制度を年内に始める。現行の制度に比べて買い取り額を2倍に引き上げ、その負担を来年4月から電力料金に転嫁する仕組みだ。これによって平成23年度以降の電力料金は標準家庭で月額約30円、27年度以降には最大で月額100円程度の料金引き上げが見込まれている。

 しかし、民主党のマニフェストでは、太陽光だけでなく、風力などを含めた再生可能エネルギーをすべて電力会社が購入する仕組みを求めている。「民主党案では、標準家庭の料金上乗せ額は政府の新制度の2倍をはるかに上回る」(経済産業省幹部)という負担増が指摘されている。

 民主党では、こうした家計負担をめぐる政府の試算に対し、「脅しに近いと考えている。前提の数字によって負担額はいろいろと変わる」(岡田克也幹事長)と批判する。だが、民主党自身は温室効果ガスを2020年に05年比で30%削減した場合、具体的にどのような国民負担が生じるかを示していない。

 民主党は、今回の衆院選で中学生以下の子供1人当たり月額2万6千円を支給する子ども手当の創設や高速道路無料化など、家計を支援する公約を打ち出している。だが、同じマニフェストに盛り込んだ温室効果ガスの排出削減目標は、その個人消費を一気に冷やす恐れをはらんでいる。

               ◇

 6月3日の民主党「次の内閣」閣議に中間報告として提出された「農林漁業・農山漁村における環境ニューディール構想」。そこでは、すべての住宅を断熱性が高いエコハウス仕様とし、工事費込みで100万円前後のエコキュートなどの高効率給湯器を4400万台導入する目標が示された。これは全世帯の9割に相当する。

 しかし、「民主党としての数値目標というには早すぎる」(民主党関係者)として了承されず、概要を確認するのにとどまった。ただ、経産省では05年比30%削減という目標の達成には、すべての住宅に対する断熱化に加え、太陽光発電や高効率給湯器の導入義務付け、あるいは次世代自動車以外の購入禁止などが必要とみている。

 こうした省エネ費用は、年間36万円の家計負担とは別に強いられる重いものだ。その金額はわが国全体で190兆円にのぼると試算されている。これは政府目標の達成に必要な62兆円の約3倍にあたる。このため、政府部内では「民主党がどこまで党内的な議論を経て排出削減目標を決めたのかは疑問だ」(経産省幹部)とする声があがっている。

政策の整合性に「?」

 政府の試算によると、2020年に二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを05年比で15%削減する政府目標を実現する場合、1世帯あたり年間7万7千円の家計負担が生じるが、これは企業の省エネ設備導入などで生産コストが上昇するのに伴い、20年段階で国内総生産(GDP)が0・6%押し下げられ、1世帯あたり年間4万4千円の可処分所得が減少するほか、光熱費が年間3万3千円増えるとの計算からだ。

 これに対し、民主党がマニフェスト(政権公約)で掲げる「20年に90年比で25%(05年比で30%)削減する」との目標を実行に移せば、20年段階のGDPは3・2%押し下げられる。これにより1世帯あたりの可処分所得は年間22万円減る一方、光熱費負担は同14万円増えるため、合計で年間36万円の家計負担の増加に結びつくと政府ではみている。

 CO2の排出削減が多くなればなるほど、高度な技術や設備を導入しなければならず、削減費用は高くなる。その費用をガソリン価格に上乗せした場合、政府目標では1リットルあたり30円の値上げにとどまるが、民主党の目標の実現には同170円の値上げが必要になり、現在のガソリン価格は2倍以上に跳ね上がる。

 家計負担はこれだけではない。民主党の目標を実現するには、新築だけでなく、既存住宅も断熱化してエネルギー効率を高める必要がある。だが、住宅生産団体連合会では「古い住宅の断熱化には天井や壁だけでなく、床やサッシなども取り換える必要があり、1軒あたり500万円以上の費用がかかるケースも出てくる」とみている。

 日本総合研究所の足達英一郎主席研究員は「温室効果ガスの大幅な削減を目指せば、国民負担も増える。05年比30%という削減は、可処分所得の増大による内需主導型の経済成長を目指す民主党の政策とはつじつまが合わない」と指摘。そのうえで「大幅削減には既存産業から血が流れることを覚悟して産業構造を転換しなければならないが、民主党のマニフェストにはそのビジョンがみえない」と批判する。

 また、第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストも「民主党はCO2の排出量を増やすような高速道路無料化や道路特定財源の暫定税率撤廃を打ち出しながら、高い排出削減目標を掲げること自体が矛盾している」と政策の整合性に疑問を投げかけている。

               ◇

 30日に投開票を迎える衆院選で、民主党が政権を奪取する可能性が高まる中、民主党の掲げる温室効果ガスの排出削減目標に対する不安が高まっている。民主党の公約が「政府目標」になった場合の影響などを検証する。

【温室効果ガス 30%削減の衝撃】(2)大減産迫られ雇用に打撃

2009.08.27 MSN産経新聞

民主党目標達成に必要とみられる産業活動量削減

 今月4日に東京・大手町の経団連会館で開かれた民主党のマニフェスト(政権公約)説明会。会場には1千人以上の企業関係者らが詰めかけ、壇上の岡田克也幹事長の発言に聞き入っていた。

 「これは達成しなければならない目標だ。そのためにはどういう知恵を出すのか。地球温暖化対策税だけでなく、(企業に排出上限を割り当て過不足を取引する)排出権取引制度など、想定されることはすべてやらなければならない」

 岡田氏が2020(平成32)年に二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出量を1990年比25%(05年比30%)削減するという民主党の目標を語った場面では、その厳しい姿勢に出席者の多くが息をのんだ。

 日本の産業界のエネルギー効率は世界最高の水準を誇る。それだけに会場からは「これから30%も削減するには、欧米の7倍の費用負担が必要になるとの試算もある。民主党はこうした温暖化対策の影響をどうみているのか」と疑問の声が上がった。

 これに対して岡田氏は温暖化の進行で人類が直面する脅威を強調し、「温暖化対策を進めることで新たな需要を起こす」と答えるのにとどまった。説明会に出席した企業関係者は「民主党が政権についた場合、日本企業は大変な負担を強いられる」と天を仰いだ。

                ◇

 民主党がマニフェストで掲げる30%削減は、政府内でも検討されたことがある。20年に05年比で15%削減するとの政府の中期目標を設定するにあたり、4%減から30%減までの6案を選択肢として示し、必要な対策などを試算した。

 試算には地球環境産業技術研究機構(RITE)や国立環境研究所、日本エネルギー経済研究所など一級のシンクタンクが協力したが、30%削減という高い目標を実現するには「産業活動量を削減する」という強制的な措置が必要だとされた。

 中期目標を策定する検討委員会のメンバーとして参加した茅陽一RITE副理事長は「どの研究機関もそうした実現不可能な案しかつくれなかった」と振り返る。

 試算で示された産業活動量の削減とは、特定の業界に生産量を割り当てるなどで減産を求めることだ。この試算では30%削減を実現するには、例えば年間1億トン強の粗鋼生産量を2割弱減らしたり、同7000万トン強のセメント生産量を25%カットすることなどが盛り込まれた。これはJFEスチール西日本製鉄所と太平洋セメントの生産を止めるのに等しい水準だ。

 標的になりそうな鉄鋼やセメント、化学などエネルギー多消費型産業の生産拠点は、瀬戸内海沿岸や太平洋沿岸部などに分布している。もし本当に強制的な減産を実行に移した場合、こうした地域を支える産業を直撃し、雇用に深刻な影響を与えるのは避けられない。経済産業省幹部は「生産量を強制的に割り当てて減産を迫る。それは社会主義国家そのものではないか」と批判する。

               ◇

 30%削減という民主党の目標に危機感を募らせる産業界ではいま、衆院選後の民主党政権発足をにらんだ意見書づくりが水面下で進んでいる。主要な業界団体が民主党に目標の見直しを求める内容だ。そのたたき台の中では「実現可能性や国民生活への影響を考慮せず、ただ高い削減率のみを提示すれば、雇用も国富も海外に流出し、私たちはこの国で生産活動ができなくなる」と訴えている。

 また、民主党の支持基盤の一つである労働組合も、民主党の公約で雇用を失う恐れがあると懸念を強めている。業界関係者は「有力な労組を通じて民主党の真意をただしたが、思うような回答は得られなかった」という。

 温室効果ガスの排出削減は産業界全体の課題だ。そこではエネルギー多消費型産業の構造転換も必要となる。だが、その後の“体力回復”には時間がかかるのも事実だ。

 福島大学や松山大学の調査によると、2つの高炉が閉鎖された岩手県釜石市やアルミ精練の生産拠点が廃止された愛媛県新居浜市の例をみると、市内で生まれた新たな産業によって製造出荷額が以前の水準にまで回復するには20年以上もかかったという。

 30%削減の実現には地域経済の構造改革を含めた長い取り組みが必要となるが、民主党のマニフェストからはその姿勢はうかがえない。

【温室効果ガス 30%削減の衝撃】(3)排出枠取引 産業界は反対

2009.08.28 MSN産経新聞

 7月初旬。日本経団連の御手洗冨士夫会長と名誉会長の今井敬新日本製鉄名誉会長(元経団連会長)は、都内の料亭で民主党の岡田克也幹事長と向き合っていた。

 今井氏らは「世界全体の温室効果ガス排出量のうち、日本の排出量は4%に過ぎない。中国やインド、米国などの主要排出国がポスト京都議定書の枠組みに参加せず、日本だけが高い目標を掲げても意味がない」と切り出した。そのうえで「日本が高い目標を掲げるのは、あくまでもこれらの国が参加する枠組みを前提にしたものにしてほしい」と求めた。

 民主党が今回の衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)では、温室効果ガスの排出量を2020(平成32)年までに90年比25%(05年比30%)削減するとの目標を打ち出した。しかし、すでに同党は昨年6月と今年4月、この目標を盛り込んだ「地球温暖化対策基本法」を国会に提出している。

 この法案は2回とも廃案になったが、法案づくりは同党の地球温暖化対策本部長を務める岡田氏が中心となって進められた。マニフェストに盛り込まれた目標も同法案を踏襲したといえる。今井氏は会談で、民主党の環境政策の中心人物である岡田氏に基本的な姿勢をただしたのだ。

 これに対し、岡田氏も中国や米国などの参加を前提とすることには理解を示したという。岡田氏は財界へのマニフェスト説明で「私たちは日本だけがやせ我慢で25%(05年比30%)削減でいくと言っているわけではない。米国や中国、インドが入ることを前提にしている」と述べ、関係者はひとまずほっとした。

             ◆◇◆

 だが、民主党がマニフェストで掲げた環境対策は、温室効果ガスの削減目標だけではない。この目標を達成するため、各企業に排出量の上限(キャップ)を課し、キャップを超えて排出する企業には排出枠の購入を求める「キャップ・アンド・トレード方式」と呼ばれる排出枠取引市場の創設も打ち出している。

 欧州で導入が進む排出枠取引に日本の産業界は強く反対してきた。排出枠を売買するだけでは実質的な排出削減につながらないだけでなく、取引そのものに重点が置かれて環境技術の開発促進を阻害しかねないとみているからだ。

 電力業界関係者は「欧州の排出枠取引はあくまでも金融取引の一種であり、金融機関や取引所が利ざやや手数料を稼ぐ手段に過ぎない」と批判する。

 実際、CO2排出枠の価格は思惑先行で激しく変動している。昨年7月に1トンあたり4千円近くまで上昇した価格は、今年2月には同1千円前後に急落した。市場では「投資目的で購入した大手金融機関が世界同時不況による資金難で大量売却して価格が下がった」との観測が流れた。

 また、企業に課す排出上限をどう公正に決めるかという問題もある。

 財界幹部は「個別企業に排出上限を課す排出枠取引が導入されれば、それを決める政府が企業の生死を左右することになる」と懸念する。厳しい上限枠を課せられた企業は海外に生産拠点を移転し、「国内に残るのは海外に移転できない電力会社などの一部にとどまるのではないか」(経済産業省幹部)との見方すらある。

            ◆◇◆

 わが国の産業界は、日本経団連の自主行動計画にもとづいて各業界が削減目標を掲げ、温室効果ガスの排出削減を進めている。

 この結果、省エネ化を進めた工場などの産業部門の排出量は、平成19年には京都議定書の基準年である平成2年と比べて2・3%の削減を達成した。エアコンなど家電製品の導入が進んで2年比で40%以上も増えた家庭部門と大きな違いをみせた。

 日本経団連や鉄鋼業界などは昨年5月、民主党の要請に応じ、環境・エネルギー問題などの合同会議に出席し、温室効果ガスの排出削減に向けた自主的な取り組みなどを詳しく説明した。だが、民主党側からは何の質問も出ず、出席者からは「産業界の努力は評価されないのか」と落胆の声が漏れた。

 日本経団連や業界団体はその後も機会をみつけて民主党に対して産業界の意見や要望を伝えている。だが、「民主党からは具体的な反応は何もない」(鉄鋼業界関係者)という。衆院選後に民主党が政権についた場合、産業界の声はどこまで届くのか。企業関係者は憂慮の色を深めている。

日本の温室効果ガス削減 企業の4割が「達成困難」

2009.07.04 MSN産経新聞

 2020(平成32)年の温室効果ガス削減目標(中期目標)について、企業の約4割が達成困難とみていることが、帝国データバンクが行った意識調査で分かった。政府は「05年比15%減」とする中期目標を決めたが、国際的な存在感を示したい政府と、追加のコスト負担などを強いられる民間企業との温度差が浮き彫りになった格好だ。

 政府目標について、「達成困難」とした企業は37.9%を占め、「達成可能」とした企業(27.8%)を上回った。とくに農林水産や運輸、建設などの業界で達成困難との回答が目立った。達成困難とした企業に必要な対策を聞いたところ、約7割が「代替エネルギー・再生可能エネルギーの開発・普及支援」とするなど、インフラ整備の重要性を指摘した。

 政府目標が自社のコストに与える影響については、16.2%の企業が「負担が大きい」と回答した半面、18.4%が「影響はない」としており、見方が分かれた。

 環境問題に取り組んでいる企業は80.1%で、業績が低迷した企業が多いにもかかわらず、08年の77.9%を上回った。理由としては「企業の社会的責任」「経費削減に結びついている」などがあった。

 帝国データは05年から環境問題に対する企業の意識調査を毎年行っている。今回は6月19〜30日に、全国2万1287社を対象に実施し、1万995社が回答した。


自然エネルギー業界が急成長 風力・太陽光でCO2低減

2008/04/06 中国新聞ニュース

 風力やバイオ燃料、太陽光発電などのクリーンエネルギー業界の市場規模は二〇〇七年に前年比40%も成長し、七百七十億ドル(約七兆八千億円)超に達したとの調査結果を、米国の調査会社クリーン・エッジ(オレゴン州)が五日、明らかにした。

 地球温暖化を招く二酸化炭素(CO2)の排出量が少ないことが評価され、各国政府がクリーンエネルギーの開発計画を次々と打ち出していることなどを背景に、企業の活動が活発化している。

 同社は「市場の急拡大は今後も続き、一七年には三倍以上の二千五百四十五億ドル(約二十五兆八千億円)という巨大なビジネスに成長するだろう」と予測した。

 日本では、海外に比べ風力発電や太陽光発電の伸び悩みが目立つだけに、産業界の取り組み強化が課題になりそうだ。

 同社が世界各国の企業のデータを分析した結果、風力発電関連企業の〇七年の総収入は三百一億ドル、バイオ燃料企業は二百五十四億ドル、太陽光関連企業は二百三億ドルと、いずれも急成長。これに燃料電池関連企業の十五億ドルを加えると、クリーンエネルギー関連企業の規模は七百七十三億ドルに達したと推定された。

 米国や中国、インドなどを中心にベンチャー企業の活動が非常に活発で、企業の投資や政府の計画などからみて、四業種の規模拡大は今後も長期間続きそうだという。

 一方で同社は、CO2の排出が多い石炭火力発電所の規模拡大が欧米を中心に鈍り、原発建設も進んでいないことを指摘。「リスクが小さく、建設費用も安いクリーンエネルギーが、投資家にとって魅力的なものとなりつつある」と分析した。

白熱電球、4年後製造中止 温暖化対策で経産相表明

2008/04/06

 甘利明経済産業相は五日、電力消費が多い白熱電球を四年後の二○一二年までに国内での製造・販売を中止し、電球形蛍光灯への全面切り替えを完了させる方針を正式に表明した。北海道洞爺湖町で開かれた、地球温暖化問題をテーマとした関係閣僚と市民の対話集会で明らかにした。今後、関係業界や消費者に協力を働き掛ける。

 電球形蛍光灯は、消費電力が白熱電球の約五分の一で、寿命も長く省エネ効果が高い。政府が具体的な期限を設定することで、普及を加速させる狙いがある。

 日本電球工業会によると、○六年の白熱電球の販売数が約一億三千五百万個なのに対し、電球形蛍光灯は約二千四百万個にとどまっている。政府は、全世帯が電球形蛍光灯に切り替えた場合の温室効果ガス削減効果は、家庭の排出量の1・3%に当たる約二百万トンとみている。

 経産相は、電球形蛍光灯が明るくなるまで約二分かかる点について「メーカーに技術改善を要請していきたい」との考えを示した。ただ、購入価格が白熱電球より割高など課題も残っている。

 対話集会は、主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)が開かれる洞爺湖町で開催。福田康夫首相は「温暖化を食い止めるには、国民全体の取り組みが必要だ」とあいさつした。鴨下一郎環境相は、省エネへの関心を高めるため、サミット初日の七月七日の午後八時から同十時まで、全国の家庭やライトアップ施設の一斉消灯を呼び掛けることを明らかにした。

 経産相も新築住宅の省エネ性能を評価する新制度を導入する考えを示したが、約七十人の一般参加者からは「産業界の規制をもっと進めるべきだ」と企業に排出削減目標を義務付けるよう求める声も聞かれた。

CO2濃度2倍で気温3度上昇も 気象庁が日本の温暖化予測

2008年03月27日 中国新聞ニュース

 気象庁は27日、二酸化炭素(CO2)濃度が21世紀末に現在の2倍になったとの想定で、日本列島の温暖化予測をまとめた。冬の天候への影響が大きく、12月−翌年3月の「寒候期」の平均気温は最悪3度以上上がるとの結果が出た。

 最高気温が氷点下の「真冬日」は北海道で現在の半分程度に、最低気温が氷点下の「冬日」は東北で半減、北陸以南はほとんどなくなるという。東京の1月の平均気温は3月並みとなる計算。

 同庁は「70年後のCO2濃度2倍」「140年後に2倍」などさまざまな想定で予測。21世紀末で2倍の想定は「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が定めた6つのシナリオのうち「エネルギー源のバランスを重視し、高い経済性を実現する社会」。

 予測では、寒候期の平均気温は2081−2100年、北海道で3度以上、東北−西日本で2−3度、沖縄・奄美は1・5度程度上がり、高緯度ほど上昇幅が大きい。

天然ガスの回収で排出権 新日石がベトナムの油田で

2008年02月29日 中国新聞ニュース

 新日本石油は29日、国連から温室効果ガスの削減効果を認められ、計449万トンの排出権を得たと発表した。ベトナムで原油を生産した際に出る天然ガスを回収、二酸化炭素(CO2)を削減する事業が対象。油田の随伴ガス回収による排出権は世界で初めてで、一度に獲得した排出権の量としては最大級という。

 新日石はベトナム南部沖合のランドン油田で、原油生産の際に発生する天然ガスを回収し、海底パイプラインでベトナム国内の発電所に発電燃料として供給している。

 通常は海上で燃やしてしまうガスを発電所の燃料として活用。2006年2月に京都議定書で定められた国連のクリーン開発メカニズム(CDM)に基づくCO2削減事業として国連機関から承認された。

 新日石は、01年から05年の4年間で削減したCO2449万トンについて排出権を獲得。11年までの10年間では計約800万トンに上る見込み。

排出量目標設定 コンビニやファミレスに義務も 温暖化対策法

2008.02.29 MSN産経新聞

 政府が今国会に提出予定の地球温暖化対策推進法(温対法)改正案が29日までに明らかになった。オフィスや学校など用途ごとに、国が排出量の目標をエネルギー原単位で設定するほか、排出量の報告・発表の義務づけを事業所(店舗)から事業者(企業)単位に変更。これによって、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出増が著しい業務部門の排出削減を促す。

 改正案では、店舗単独の排出は少ないフランチャイズチェーン(FC)であっても、企業が全店舗の排出量を算定、報告することを義務付ける。このため、業務部門で報告が必要な事業者数は、現行の1割強から5割程度に大幅拡大する。

 政府はオフィスや学校など用途ごとの排出目標は指針にとどめ、一部で検討された未達企業の公表など強制力のある措置は見送った。

 一方、家庭部門の削減では、家電製品などを念頭に企業に省エネ製品の製造と製品利用時の排出に関する情報提供の充実を努力義務とし、国民の意識改革を促したい考え。さらに家庭部門の削減に向けた自治体の役割も重視。都道府県、政令市、中核市、特例市に対して、それぞれの圏域内のCO2削減に向けた実行計画の策定を新たに義務づけた。同計画のなかで自然エネルギーの利用促進や公共交通機関の利便性の増進などを定めるよう求める。

 京都議定書では、日本は平成20年度からの5年間平均で、2年度比6%削減を求められているが、18年度の排出(速報値)は6・4%増。なかでも、排出増が著しい業務、家庭両部門の対策が急務となっている。

国際協力銀が初の排出権取得 基金通じ2万5千トン

2008年02月24日 asahi.com

 国際協力銀行は、温室効果ガス削減基金(カーボンファンド)を通じて、二酸化炭素換算で2万5000トン分のガス排出枠を得たと発表した。国際協力銀は、この基金に出資しており、今回の分を含め計約170万トンの排出枠を獲得する計画。政府や政府関係機関が排出する温室効果ガスとの相殺に使うとみられる。

 カーボンファンドは、世界10カ国から23の政府、民間企業などが計1.8億ドル(約190億円)を出資し、00年に設立。民間企業だけではリスクが取りにくい途上国での温室効果ガス削減事業に投資し、計3100万トン分の排出枠を出資比率に応じて配分する見通し。日本では1000万ドル(約10億円)を出資した国際協力銀のほか、電力会社や商社など7社が参加している。

 国際協力銀に今回配分されたのは、中国でのフロンガス分解事業への投資で得られる予定の排出枠約500万トンの一部。

温暖化対策に1兆円投資 欧米50の機関投資家が署名

2008年02月23日  中国新聞ニュース

 欧州と米国の大手年金基金など約50の機関投資家が、地球温暖化対策に貢献する技術の開発や普及に今後2年で100億ドル(約1兆700億円)規模の新規投資をすることなどを盛り込んだ「温暖化と投資に関する行動計画」に署名した。関係者が23日明らかにした。

 自らが関与する巨額の資金やそれを通じた影響力により、世界の温暖化対策を推進する狙い。

 全米最大の公的年金運用機関、カリフォルニア州公務員退職年金基金(カルパース)を含む署名機関の資金規模は総額1兆7500億ドルで、今後の世界の資金の流れに大きく影響するのは必至。日本の機関投資家にも同様の行動を求める声が強まりそうだ。

 行動計画は、署名した投資家自らの行動に関するものや政府の政策に関するものなど9項目。

 資金運用業者らに、投資が温暖化を加速しないか、温室効果ガスの排出削減に貢献するかなどを評価することを要求、クリーン技術への投資を大幅に拡大する。

銀行・保険も排出権取引

2008年02月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

金商法改正案 原案本体業務で認める

 金融庁が今国会に提出する金融商品取引法改正案の原案が20日、明らかになった。金融商品取引所や銀行、生命、損害保険会社が本体で温室効果ガスの排出権取引を手がけることを認める。銀行による株式保有制限も緩め、経営不振企業を立て直して転売することを目的とした企業買収を銀行子会社に認める。株式のインサイダー取引に対する課徴金も現行の2倍以上に引き上げる。

 金商法の改正は、国内金融市場の国際的な競争力を強化するのが目的だ。

 日本に取引市場がなかった排出権取引市場を、金融商品取引所が本体で運営することを認める。金融審議会(首相の諮問機関)が昨年12月にまとめた報告書では、子会社による関連業務として排出権取引を認める考えだった。7月の北海道洞爺湖サミットに向けて政府の温室効果ガス削減への取り組み姿勢を示す意味から本体参入を解禁する。

 また、グループ会社に限定して認められていた銀行や保険会社にも、本体の資産運用業務としての排出権取引を認める。

 銀行による株式保有制限は、改正案で、子会社に経営再建と再建後の転売を目的とした企業買収を認め、欧米銀行が大きな利益を上げている企業再生業務への参入を可能にする。

 金融市場の信頼性を高めるため、不正取引などへの課徴金も強化する。株式のインサイダー取引に対する課徴金は算出式を変更し、実質的に現行の2倍以上に引き上げる。

排出権取引市場

 企業などに割り当てられた温室効果ガスの排出枠の過不足分を売買する市場。環境対策を進めて排出量を減らせば、余った排出枠を売って利益が得られるため、企業が排出量を減らす動機になるとされる。温暖化対策としてだけでなく、金融機関の新たな収益源としても期待されている。

排出権取引、広島市導入へ

2008/02/14 中国新聞ニュース

 広島市は13日、市内の大規模事業者に二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出量の削減目標を課すとともに、市内で排出権が取引できるようにする独自の新制度を2009年度に導入する方針を明らかにした。町内会単位など市民も参加できる仕組み作りを目指すのが特徴で、実現すれば全国初となる。

 2050年度までに温室効果ガス排出量の70%削減(1990年度比)を目標とする市の計画「広島カーボンマイナス70(セブンティ)」(仮称)の骨子案に盛り込んだ。排出権取引は国家や企業間で国際的に行われているが、対象を市内企業と市民に限り、身近なレベルで効果を上げる狙いがある。

 市は、2008年度に制定予定の市地球温暖化防止条例で、エネルギー使用量が原油換算で年1500キロリットル以上の大規模事業者(約60社)に、温室効果ガス削減計画の提出を義務付ける方針。計画達成が難しい企業が、別の企業や市民から排出権を購入する仕組みを想定している。

日本は最大85%の削減必要 50年に温室ガス半減達成に

2008年02月13日 中国新聞ニュース

 地球温暖化による深刻な被害を防ぐため日本政府などが掲げる「2050年に世界の温室効果ガス排出量を半減させる」との目標の達成には、日本は50年には最大85%という大幅削減を実現しなければならないとの試算を東京工業大の蟹江憲史准教授、国立環境研究所の肱岡靖明主任研究員らのグループが13日、まとめた。

 政府は7月に開かれる主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)で日本の数値目標を示すことも検討しており、国内の政策議論に大きな影響を与えそうだ。

 グループは、世界で排出量半減を目指す場合、世界各国がどれだけ削減すれば負担が公平になるかを、コンピューターモデルを使って試算。50年に半減の目標を達成し、なおかつ各国の1人当たり温室効果ガス排出量が等しくなるようにするには、日本は1990年比で30年に43−65%、50年に81−85%も削減しなければならないことが分かった。

CO2吸収は海30%、陸14% 国立環境研が計算

2008年01月23日 中国新聞ニュース

 化石燃料の使用などで排出される二酸化炭素(CO2)は、30%が海で、14%が陸で吸収されているとの計算結果を、国立環境研究所(茨城県つくば市)の研究チームが23日、発表した。

 陸と海の吸収量の把握は、将来の大気中のCO2濃度上昇の正確な予測に不可欠で、地球温暖化予測の精度を高めるのに役立ちそうだ。

 同研究所によると、大気中のCO2濃度の上昇は加速しており、ここ数年は世界の排出の60%程度が大気中に残っている。

 これ以外が陸と海にどう吸収されているかを調べるため、研究チームは、植物の光合成で使われるCO2と生成される酸素の割合などに着目。沖縄県・波照間島と北海道で採取した1999−2005年の大気の酸素濃度を基に、海と陸でのCO2の吸収を計算した。

 その結果、海は陸の約2倍のCO2を吸収することが判明。陸では森林破壊を上回る吸収があることも確認された。

日本の温暖化対策、先進国で最低 世界銀行が評価

2008/01/20 中国新聞ニュース

 日本の温暖化対策の進ちょく状況は先進国の中で最下位、世界の排出量上位七十カ国の中でも六十一位と最低レベルにあるとの評価を世界銀行が十九日までにまとめた。

 一九九〇年代後半からの電力自由化などによって、価格が安いが二酸化炭素(CO2)を多く排出する石炭の利用を増やしてきたことが低評価の最大要因となった。

 日本はエネルギーの使用効率が世界でトップレベルとされるが、各国の効率アップでその優位性が薄れてきた上、風力などの自然エネルギーの利用拡大も進んでいない。石炭への依存傾向も二〇〇六年度の使用量が前年度比1・2%増と変わっておらず、政府は今後、電力などのエネルギー供給体制を中心に抜本的な対策の見直しを迫られそうだ。

 世銀は、一九九四年から〇四年にかけての各国の(1)エネルギー利用量に占める化石燃料の割合(2)化石燃料中の石炭、石油、天然ガスの構成比 (3)国内総生産(GDP)当たりのエネルギー使用量(4)一人当たりGDP(5)人口―の五つについて、CO2排出量の増減との関連などを数値化して評価、順位を付けた。

 分析では、日本はGDPや人口の伸びから予想される以上にCO2排出量が増加していることが判明。七十カ国中五十六カ国が石炭よりも排出量が少ない天然ガスや石油への転換を進める中で、日本は逆に石炭の利用が増えた結果、約四千二百万トン排出量が増えていた。

 GDP当たりのエネルギー使用量も、米国やドイツ、中国、インドなど四十九カ国が改善している一方で、日本は悪化。総合評価は先進国中最低で、中国やインドよりも下だった。

 先進国中のトップはデンマークで、以下、ドイツ、スウェーデン、英国の順。スウェーデンやデンマークはGDPを増やしつつ、CO2排出量を減らすことに成功しており、温暖化対策が経済成長の足かせにならないことを示した。

日本の環境技術を世界へ,ITも出遅れるな

2007/12/21 ITpro

 国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)が,12月3日から15日までインドネシアのバリ島で開催された。2012年に京都議定書の期限が切れた後の新たな温暖化ガス削減の枠組みについて合意し,今後の行程表となる「バリロードマップ」を作ることがその目的だ。

 会議が終わってみると,「すべての先進国と発展途上国を巻き込んだ枠組みになった」と,日本政府関係者は結果におおむね満足そうだ。「先進国は,CO2排出量を2020年までに1990年比25〜40%削減する」という数値目標を明文化したいEUと,それを嫌うアメリカとが対立し,会期が予定よりも1日延びるほど議論は紛糾した。だが結局,「主要排出国であるアメリカ,中国,インドを今後の交渉の場に参加させること」を優先した結果,先進国の削減数値目標は合意文書から削除された。日本も明文化に反対していただけに,ほぼ思い通りの展開というわけだろう。

 しかし,温暖化防止の実効性という面から見れば,今回の会議はどれほどの意味があったのか。「ポスト京都議定書」の枠組みや目標作りもけっこうだが,温暖化ガスを削減するための実質的,建設的な取り組みの検討にもっと時間を割くべきではなかったか。

 結局のところ,地球温暖化を食い止めるには,中国やインドなどの新興先進国や途上国に対して,先進国の環境技術をできるだけ速やかに移転するしかない。京都議定書には共同実施(Joint Implementation),クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism),排出量取引(Emissions Trading)という「京都メカニズム」が盛り込まれていたが,これらは,まさに国際間の技術移転を円滑に行うための仕組みだ。この10年で各国での導入例や実験的取り組みが増えているが,温暖化防止に効果を上げているかというと疑問符がつく。速やかに問題点を洗い出し,今後の方向性を検討する必要がある。

環境技術立国・日本の責任は重い

 国際的な枠組みを論じたり,実験している間に,地球温暖化は取り返しのつかないところまで行ってしまうのではないか──こう考えているのは筆者だけではないだろう。

 地球温暖化を最終的に食い止めるのは「技術」。仕組みや制度ではない。日本はビジネスベースで,環境技術を海外にもっと積極的に売りに行くべきだ。中国やインドやブラジルなど,ニーズのある国や企業と個別交渉し,CO2削減の「実績」を上げること。それが今後の国際的な枠組み作りにおいても有利になるはずだ。

 すでに動き出したプロジェクトもある。9月末に北京で開かれた「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」では,中国での石炭火力発電所の改善事業など10案件の省エネ・環境プロジェクトが決まった。急速な経済発展で深刻な環境汚染に悩む中国に対し,環境技術を移転することで「戦略的互恵関係」を強化しようという狙いがある。

 このフォーラムには,日本から甘利明経済産業相や張富士夫日中経済協会会長(トヨタ自動車会長),中国側からは曾培炎副首相,馬凱国家発展改革委員会主任らが出席,両国にとって重要な産業プロジェクトであることをうかがわせた。合意したプロジェクト内容は,鉄鋼・化学プラントの省エネ・余熱利用(日立製作所),インターネット利用と省エネ技術による大型ビル設備の効率運用(松下電工),省エネ推進・環境改善のための金融スキーム(みずほコーポレート銀行)など。技術分野や業界が多様化していることがわかる。

 世界をリードしている日本の環境技術は少なくない。トヨタ自動車のプリウスをはじめとする低燃費自動車は欧米市場で躍進を続けており,太陽光発電でもシャープや三洋電機などの日本メーカーが世界市場で4割のシェアを獲得。原子力プラントでは東芝など日本の大手3社が世界市場の中核を担っている。家電や住宅建設でも日本の省エネ性能は世界のトップクラスだ。エネルギーを作るところ(発電)から,それを使う製品に至るまで,日本の省エネ技術力は高い。これを世界各国に移転し,市場を通じて実質的な温暖化防止に貢献することは,日本の重大な責務である。来年7月の洞爺湖サミットを「日本の環境技術を世界に発信するショーケースにしたい」という政府の狙いは,掛け値なく遂行されるべきだ。

ITも出遅れるな

 IT業界も遅れをとってはならない。ITに「環境」は関係ないとそっぽを向いていてはダメである。

 例えば,昨年あたりから欧米を中心に表面化してきた「IT機器による電力消費の増大」とそれに伴う「データセンターの電力問題」は,遠からぬ未来,中国やインド,さらに途上国にもやってくる。今年,国内のITベンダーやデータセンター事業者が相次いで省電力プロジェクトを打ち出したが,具体的な施策はこれからだ。言ってみれば,ここ数年で省電力技術で高い評価を獲得し,ブランドを打ち立てた企業だけが,今後数十年を生き残ることができる。それだけ大切な時期に差し掛かっている。

 ITはドメスティックな産業だから,環境技術の輸出など論外などと考えている人はいないだろうか。米IBMがいち早く打ち出した省エネプロジェクト「Project Big Green」にも見られるように,環境技術は“総合力”である。電力でも,鉄鋼でも,自動車でも,要素技術の連携やノウハウの積み重ねによって,日本の企業は環境技術を磨いてきた。日本が得意とする分野なのである。国産のIT企業も,環境でブランド力を高め,海外市場で勢力を盛り返す戦略を明確にすべきだ。

 さらに視野を広げ,IT活用によるCO2削減プロジェクトをCDMにするくらいの気合いがほしい。インドの新興工業都市バンガロールでは,すさまじい交通渋滞と大気汚染が問題になっていると聞く。ならば,日本が基盤技術を持つITS(高度交通システム),TDM(交通需要マネジメント),電気自動車を組み入れた都市再生プロジェクトを提案してはどうか。むろん日本国内で率先してプロジェクトを実施し,正確にCO2削減効果を検証しておくことが必要である。

 現在のCDMは,品質の悪い儲け主義のプロジェクトが増えて審査が厳しくなっている。CO2削減効果を見積もるためのベースライン設定も難しい。従って今後は,実績のあるプロジェクトが審査に有利となっていくと思われる。日本のIT活用プロジェクトの実施例とノウハウを蓄積するとともに,CO2削減量全体におけるITの貢献度の評価方法についても,早急に国際的なコンセンサスを図るべきだろう。

 日経ビジネス特別版(2007年12月10日号)に,2007年のノーベル平和賞を受賞したIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のパチャウリ議長のインタビューが掲載されている。同議長は日本から途上国への技術援助に大いに期待していると述べ,「母国のインドに対しては具体的にどんな技術を望んでいるか」と聞かれたとき,「新幹線,住宅,エアコン,冷蔵庫」と答えた。

 新興先進国に数えられるとはいえ,インドではいまだに人口の約半数の5億人が電気のない生活をしているという。彼らにずっと不自由な生活をせよとは,先進国に住む我々に言う権利はない。地球温暖化を食い止め,途上国の生活水準を引き上げるには,もはや「“馬跳び”の省エネ技術を移転するしかない」(パチャウリ議長)のである。それもここ20〜30年が勝負。我々の世代に課された使命は大きい。(高木 邦子=ITpro)

京都議定書の目標達成可能 温暖化対策の最終報告書

2007年12月20日 中国新聞ニュース

 温暖化対策の京都議定書の達成計画見直しに向け、経済産業省と環境省の審議会がまとめる最終報告書の内容が20日、判明した。京都議定書で定めた温室効果ガスの削減義務を果たすには、現行の対策では足りず、排出量を最大3400万トン追加削減する必要がある。報告書は産業界や家庭などが削減に取り組むことで、目標達成が可能とした。

 21日の両省審議会の合同会合に提出する。政府は報告書を受け、来年3月に「京都議定書目標達成計画」を策定。2008−12年度の年間排出量を1990年度比で6%減とする約束の達成を目指す。

 関係筋によると、削減不足を補うために各部門が取り組んだ追加対策は、合計で3500万−3600万トンの削減効果を生む見通し。ただ、今後発表される経済指標などで変動もあるという。

 報告書は「目標達成は依然として厳しい状況」と指摘。その上で「各部門で全力で取り組むことにより、京都議定書の削減目標は達成し得る」と一段の努力を促した。

【「ポスト京都」へCOP13】米が軟化、合意へ前進 行程表で数値の一部削除

2007/12/15 FujiSankei Business i.

 気候変動枠組み条約の第13回締約国会議(COP13)で最大の焦点となっている「ポスト京都」の行程表「バリ・ロードマップ」をめぐる交渉は、最終日の14日、議長国インドネシアが先進国による25〜40%の排出削減など、数値の一部を削除した決議案を示したことで米国が態度を軟化させた。

 発展途上国も柔軟姿勢を示すなど、行き詰まりを見せていた交渉が合意に向け前進し始めた。

 決議案は「先進国は2020年までに排出量を1990年比で25〜40%削減」との数値を削除。「大気中の温室効果ガスの濃度を今後10〜15年のうちに減少に向かわせ、2050年には2000年の半分よりかなり小さくする必要がある」と、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の指摘に言及する形で、長期的に必要となる削減数値を示した。

 交渉筋によると、14日午後は同日朝に議長が示した決議案を基に日本や米国、アルゼンチン、ドイツなど15カ国程度のグループが議論。この交渉筋は「米国は合意に傾いている」と述べた。日本やカナダも決議案を支持。インドなど途上国内にも前向きな姿勢を示す国が少なくないという。

 ドイツのガブリエル環境相は「米国が態度を変え、柔軟になっていることを評価したい。妥協はあるが、志の高いロードマップができると思う」と述べた。

 関係者によると、行程表は複数の文書が一体になったものとなる見通しで、決議案から削除された25〜40%削減の数値を別の文書に盛り込むことで、盛り込みを主張する欧州連合(EU)の妥協が引き出せる可能性があるという。

 文書の細かい表現を詰める作業が多く残っており、最終的な合意にはまだ時間がかかりそうだ。(インドネシア・バリ島 共同)

温暖化対策に市場機能を 財務相会合の議長総括案

2007年12月10日 中国新聞ニュース

 【ジンバラン(インドネシア・バリ島)10日共同】11日にインドネシアのバリ島で開かれる気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)財務相会合の議長総括文書原案が10日、判明した。地球温暖化対策のために現在の資金規模は不十分だとして、先進国が発展途上国での削減事業に出資する京都議定書の「クリーン開発メカニズム(CDM)」など、市場メカニズムの拡充を通じ国際機関や民間の資金を呼び込む必要性を強調した。

 温暖化に焦点を合わせた財務相会合の開催は初めて。中国など主要排出国や、財政難に苦しむ後発発展途上国に資金が流れる仕組みを拡大し、温暖化対策を加速するのが狙いで、今後、国際的な議論が加速しそうだ。

 財務相会合には37カ国が参加し、10日に事務レベルの準備会合を開催。11日は遠藤乙彦財務副大臣が出席する。

米、数値目標に反対姿勢 COP13

2007年12月10日 中国新聞ニュース

 【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)10日共同】気候変動枠組み条約の第13回締約国会議(COP13)で、米国のワトソン気候変動上級交渉官が10日、記者会見。ポスト京都に関する行程表の草案で、2020年までに先進国が1990年比25−40%の削減をする必要性が指摘されたことについて「将来の交渉の内容を今から決めるようなものは受け入れがたい」と述べ、文面の修正を求める方針を示した。

 一方、欧州連合(EU)は「排出削減は、先進国が率先して進めることが必要で(IPCCによる)科学的な結論は重んじるべきだ」(交渉筋)と数値目標などを支持する姿勢で、今後の交渉の難航は確実だ。

 草案に関するこの日の非公式協議は、中国を含む発展途上国グループの意見がまとまらなかったため、開始が約5時間も遅れるなど波乱含みのスタート。各国が草案に意見を述べる形で行われた。

豪、京都議定書を批准 ブッシュ政権の孤立鮮明に

2007年12月03日 中国新聞ニュース

 【シドニー3日共同】オーストラリアのラッド新首相は3日、地球温暖化防止のための京都議定書を批准する文書に同日署名したと発表した。文書が国連に届いてから90日後に正式に議定書メンバー国となる。

 新首相は、議定書批准を政権獲得後の重点公約としており、3日の内閣発足と同時に実行に移した。米国とともに批准を拒否していたオーストラリアの方針転換で、議定書拒否を続けるブッシュ政権の国際的な孤立が鮮明になった。

 インドネシアのバリ島でこの日始まった、気候変動枠組み条約締約国会議での、2013年以降の「ポスト京都」の交渉にも弾みがつきそうだ。

 批准により、オーストラリアは「08−12年の温室効果ガスの平均排出量を1990年比で8%増に抑える」との義務を負う。

 バリ会議に出席中の米国代表団幹部は「米国は孤立を深めたのではないか」との質問に「ブッシュ政権はオーストラリアの決定を尊重し、今後もパートナーとして協力していく方針だ」と述べるにとどまった。

06年度温室効果ガス、京都議定書基準を6・4%上回る

2007年11月05日 読売新聞 Yomiuri O-Lie

 日本の温室効果ガス排出量について、環境省は5日、2006年度の速報値を発表した。

 全体の排出量は約13億4100万トン(二酸化炭素換算)。05年度から1・3%減少したが、京都議定書で基準となる1990年度を、6・4%上回った。

 部門別では、工場などの産業部門が4億5500万トンで、前年度比0・6%増。残りの4部門はいずれも前年度より減ったが、90年度比では、業務部門で41・7%、家庭部門で30・4%、それぞれ大幅増の状態が続いている。

 同省は、今年度第1四半期(4〜6月)の排出量もまとめ、公式発表ではない「試算値」として明らかにした。それによると、排出量全体の約9割を占めるエネルギー起源の二酸化炭素排出量が、前年同期より4・8%増えており、再び増加傾向にある。

 試算値とした理由について、同省の田村義雄次官は「正確に算出するには技術的な詰めが必要なため」と説明している。

鉄鋼業界が国際目標設定へ 温室効果ガス削減で協力

2007年08月08日 中国新聞ニュース

 世界の主要鉄鋼メーカーが加盟する「国際鉄鋼協会」(ブリュッセル)が、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減目標を導入することが7日、分かった。同一業界による国際的な目標は初といい、10月にドイツで開く総会で決定する。今は京都議定書での削減義務がない米国、中国のメーカーも参加する方向で、民間主導で環境対策を進める構えだ。

 業種ごとに温室効果ガスを削減する方式は、環境問題が最重要議題となる来年7月の「主要国首脳会議」(北海道洞爺湖サミット)に向け、日本経団連も提言。産業界に占める二酸化炭素(CO2)排出量が日本で約3分の1、米国や中国でも「かなり高い」(業界関係者)鉄鋼業界が乗り出すことで、他の業界の取り組みを促す効果もある。

 鉄鋼業界では、日米中など6カ国が「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」を設け、温暖化対策を協議。粗鋼生産時のCO2発生量を抑えるため、6カ国間でエネルギー効率を高める技術などを移転し、CO2の削減目標の設定も進めている。

中国、CO2最大排出国に 06年、石炭需要増で米抜く

2007/06/20 中国新聞ニュース

 【ロンドン20日共同】中国が米国を抜き、世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国になったと20日付の英紙ガーディアンが報じた。今後、中国に温室効果ガスの排出削減を求める国際的な圧力が一層高まりそうだ。

 同紙がオランダの環境評価機関の統計として伝えたところによると、中国は2006年に62億トンを排出、米国は58億トンにとどまった。数年間は中国が米国を上回ることはないとみられていたが、石炭需要の増加などが中国の排出量を押し上げた。

 ただ1人当たりの排出量は米国の4分の1、英国の半分という。

 国際エネルギー機関(IEA)は、中国の温室効果ガス排出量がCO2換算で米国を抜き世界最大になるのは07年との見通しを示していた。

家庭のCO2削減に新支援策 環境省、診断士や融資活用

2007/06/18 中国新聞ニュース

 増加が著しい家庭からの二酸化炭素(CO2)排出量を減らすため、環境省は18日までに、専門家のアドバイスや低利融資制度などを通じて、家電製品の買い替えやリフォームといった家庭の省エネを促す新制度の普及に乗り出す方針を決めた。

 近く滋賀県で省エネ性能の高い家電への買い替えを対象としたモデル事業を開始。将来は、効率のよい給湯装置の設置や高断熱化といった住宅のリフォームなどにも対象を広げて全国展開、目立った対策のない家庭部門の排出削減策の切り札に育てたい考えだ。

 環境省が推進するのは、企業の省エネ対策を一括して請け負い、削減された光熱費で収益を得るESCO(エネルギー・サービス・カンパニー)事業の家庭版。

 専門知識を持つ電器店員のような「省エネ診断士」が省エネ機器の導入が長い目で見れば光熱費削減などのメリットがあることなどを消費者に示し、買い替えを促す。

2000年以降に排出拡大 最悪の想定超えるペース

2007/06/10 中国新聞ニュース

 化石燃料の使用による二酸化炭素(CO2)排出量は、二〇〇〇年から〇四年にかけて年3・2%の比率で増加し、一九九〇年から九九年までの増加率1・1%に比べ急激に拡大していることが、米オークリッジ国立研究所と欧州、オーストラリアなどの国際研究チームの解析で九日分かった。

 増加の要因分析では、発展途上国の人口増加や経済成長に加え、一定額の国内総生産(GDP)を生み出すために排出されるCO2の量(排出原単位)が世界的に増えていることが一因であることも判明。研究チームは「排出量は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の予想を超えるペースで増えており、地球温暖化に大きな影響を与えている」と警告した。

 研究チームは、日本、米国、欧州、インド、旧ソ連圏諸国などのグループごとに、化石燃料使用によるCO2排出量や人口変化、GDPなどのデータを解析した。

 一九八〇年に約五十億トンだった世界の年間総排出量は、その後、ほぼ一貫して増加し、二〇〇四年には七十三億トン超にまで達した。特に二〇〇〇年以降、増加率が大きくなっており、IPCCが想定する複数のシナリオのうちで最悪の数字よりも大きかった。

 排出原単位は、日本を含めたすべての地域で二〇〇〇年以降に悪化する傾向にあり、研究チームは「これによって、エネルギー効率の向上による排出削減効果が帳消しにされた」と分析した。

 産業革命以来の化石燃料使用の結果、現在、大気中にたまっているCO2のうち、日本や米国など先進国が排出したものが全体の77%を占めることも判明。先進国に率先して対策を進める責任があることを示すものとなった。

温室ガス削減、中国も日本案「検討」 日中首脳が会談

2007年06月09日 asahi.com

 安倍首相は8日午後(日本時間同日夜)、中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席と会談した。日本側によると、首相は2050年までに温室効果ガスの排出量を半減する日本案を説明。これに対し、胡主席は「日本の提案を真剣に検討する。協力を強化していきたい」と応じた。

 米国に次いで排出量の多い中国が「真剣に検討する」と表明したことで、ポスト京都議定書の枠組みづくりに一定の前進も期待される。

 胡主席は台湾の李登輝・前総統が訪日していることについて「歴史と台湾問題を適切に処理することが、日中関係を維持する政治的基礎だ」と指摘。首相は「(一つの中国を原則とする)我が国の立場は何ら変更ない」と強調した。

 また、北朝鮮問題について首相は「拉致問題が進展すれば、過去の清算を含め、誠意をもって努力する用意がある」と表明。胡主席の来年春ごろの訪日を要請した。

 首相は会談後、記者会見し、「環境はまさに日中が協力していくことによって、両国の国民、地域の国民が利益を得る課題だ」と強調。そのうえで「米国、中国、インドといった主要排出国にさらに協力を訴えていきたい」と語り、主要排出国の参加を呼びかけていく考えを示した。

温暖化対策で連携強調 独サミットが閉幕

2007/06/09 中国新聞ニュース

▽議長総括、拉致解決を要求

 【ハイリゲンダム(ドイツ北部)8日共同=久江雅彦、道下一郎】第三十三回主要国(G8)首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)は八日午後(日本時間同日夜)、ドイツのメルケル首相が議長総括を発表して閉幕した。議長総括は地球温暖化対策の国際的枠組みづくりに関し、中国やインドを含む温室効果ガスの主要排出国の参加を求めると同時に、二〇五〇年までに排出量を半減させるとの欧州連合(EU)や日本、カナダの方針をG8で連携して検討する姿勢を強調した。

 ただ、今回のサミットでは温室効果ガス半減などの数値目標の明示をめぐるG8の対立があらためて浮き彫りになり、来年七月の北海道洞爺湖サミットに向け議長国の日本が難しい調整を迫られるのは必至だ。

 議長総括は安倍晋三首相の提起を受け、北朝鮮による拉致問題解決の必要性を指摘。核問題では北朝鮮に核放棄と初期段階措置の履行、イランにはウラン濃縮活動の停止をそれぞれ要求する見通しだ。イラク安定化やアフガニスタン復興へ支援強化も打ち出す。

 経済分野では、中国を念頭に新興国の為替レート調整を求めたほか、中国、インド、メキシコ、ブラジル、南アフリカの五カ国とG8各国の経済対話の枠組み新設も盛り込まれた。

温室ガス50年に半減表明 首相、サミットへ新提案

2007/05/24 中国新聞ニュース

 安倍晋三首相は二十四日午後、地球温暖化問題が主要議題となる来月の主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)や来年の北海道洞爺湖サミットに向け、数値目標として「世界全体の温室効果ガスの排出量を現状から二○五○年までに半減する」との長期目標を掲げる政府方針を発表した。「世界全体が参加する新たな枠組み」の必要性を強調し、京都議定書から離脱した米国や削減義務が課されていない中国、インドも含めたすべての主要排出国の参加を訴えた。

 環境問題に積極的に取り組む日本の姿勢をアピールし、京都議定書に定めがない一三年以降の国際的枠組み(ポスト京都)づくりをリードすることを目指す。

 ポスト京都では(1)米国、中国、インドなど主要排出国がすべて参加し、世界全体で排出削減につながること(2)各国の事情に配慮し柔軟かつ多様性のある枠組みとする(3)省エネ技術を生かし環境保全と経済発展を両立する―との三原則を掲げた。

 五○年までの半減に関しては、火力発電での二酸化炭素排出ゼロ化や先進的な原子力発電技術の開発などの「革新的技術の開発」と、自然との共生や公共交通機関利用などを重視した「低炭素社会づくり」を提案。

 京都議定書で義務付けられている6%削減目標を達成するため、○七年度中に現在の政府計画を抜本的に見直すことや、「一人一日一キログラム」削減を掲げて国民運動を展開することも打ち出した。これに伴い、地球温暖化対策法を改正する方向だ。

 発展途上国向けに、政府として新たな資金援助の仕組みを構築することを宣言。国連や世界銀行にも協調を呼び掛けた。一方、温室効果ガスの排出量取引については「効果や経済への影響など幅広い観点から検討する」と述べるにとどめた。

温室効果ガス50年に半減を 政府、サミットで提案へ

2007/05/08 中国新聞ニュース

 深刻化する地球温暖化を食い止めるため日本政府は、二○五○年までに世界全体の温室効果ガス排出量を現状より半減させるとの長期的な削減目標を、六月にドイツで開く主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)に提案する方針を八日までに固めた。

 この目標が達成できれば、気温上昇は産業革命前に比べて二度程度にとどまり、温暖化の被害を最小限に抑えることが可能になるという。

 温暖化対策に消極的だったブッシュ米大統領も、四月末の日米首脳会談で安倍晋三首相からの説明を受け、同意しているといい、温暖化問題が主要議題となるハイリゲンダム・サミットで、京都議定書に定めのない一三年以降の国際的な温暖化防止の枠組み構築に向けた議論が大きく進む見通しになってきた。

 外交筋によると、日米首脳会談で安倍首相はブッシュ大統領に、排出量を五○年までに半減するとの提案を近く発表し、日本が議長国となる来年のサミットまでにこれをさらに具体化する方針であることを説明した。

 これに向け、技術開発などで日米の連携強化を図ることを求めた安倍首相に対し、ブッシュ大統領は「結構だ」と答えたという。

 京都議定書後の枠組み作りは、温暖化による気温上昇をどの程度で抑えるのかについての共通目標の設定が当面、最大の課題。サミット議長国のドイツが示した声明案の中にも「温室効果ガスの排出量を五○年までに半減させる」との数値目標が盛り込まれている。

 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によると、五○年までに排出量を半減させるためには、遅くとも二○年までに今後、大幅な増加が予測される世界の二酸化炭素排出量を減少に転じさせる必要がある。

温室効果ガス 50年までに「ゼロ」 ノルウェーが目標

2007/04/30 FujiSankei Business i.

 欧州各国は地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出削減に本腰を入れる。ノルウェーが今月、2050年までに排出を「ゼロ」にする目標を掲げたほか、英国も同年までに1990年比で6割削減することを柱とした「気候変動法案」を公表。京都議定書に規定のない2013年以降の「ポスト京都」に向けて国際的な枠組み作りが始動する中、6月にドイツで開く主要国首脳会議(サミット)もにらみ、各国の議論はさらに活発化しそうだ。

 英国内での報道によると、ノルウェーは石油・石炭の化石燃料の代わりに、風力、太陽光発電といった再生可能なエネルギーを利用することなどで温室効果ガスの発生を抑制。このほか国外からの排出権買い取りも積極活用し、20年には1990年比で30%減らし、50年までにゼロにする考えだ。

 温室効果ガスの排出削減をめぐっては、欧州連合(EU)が、20年までに1990年比で20%削減することで合意した。ノルウェーはEU非加盟ながら、最も厳しい目標を掲げることで、「新たな温暖化対策合意に向けて推進力になりたい」(ストルテンベルグ首相)と強調、他国に同調するよう呼び掛けた。(ロンドン 時事)

新温暖化対策で連携強化 日米首脳が合意へ

2007年04月22日中国新聞ニュース

 安倍晋三首相とブッシュ米大統領との27日の首脳会談で、先進国の温室効果ガス排出量削減を取り決めた「京都議定書」に定めがない2013年以降の温暖化対策での連携強化で合意することが21日、固まった。合意事項を共同文書にして発表する方向だ。

 次官級協議機関設置、省エネルギーを含む環境分野の革新的技術の共同開発を盛り込むことで最終調整している。

 温暖化対策は6月の主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)に加え、来年日本で開かれるサミットの主要議題となる。首相は米国を巻き込み、来年の議長国として会合を主導したい考え。

 首相は、京都議定書で削減義務を課されていない中国の温家宝首相と11日に会談し、新たな国際枠組み構築への協力を確認したばかり。これに続き、同議定書から離脱した米国と連携を図ることで、ポスト京都議定書分野で先行している欧州連合(EU)をけん制する狙いもある。

民間企業から排出権を取得・政府が初

2007/04/13 NIKKEI NeT

 経済産業省は13日、温暖化ガスの削減を義務付けた京都議定書の目標達成に向け、政府が初めて民間企業から排出権を取得する契約を結んだと発表した。契約したのは国内外5社が取り組む6つの事業にかかわる排出権で、合計638万トン。売買価格は公表していない。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が政府の委託を受けて取得した。

 排出権は国外で省エネ事業などに取り組んで削減した温暖化ガスの排出量を、自国の枠に加えられる権利。政府の計画では合計約1億トン分を取得することになっており、今回の契約はその第1弾となる。契約した5社は丸紅、ローディアジャパンの国内2社と、中国企業2社、英国企業1社。(

ポスト京都議定書で協力 日中首脳、共同文書署名へ

2007年04月09日 中国新聞ニュース

 安倍晋三首相と中国の温家宝首相が11日の首脳会談で、先進国の温室効果ガス排出量削減を取り決めた京都議定書に定めのない2013年以降の温暖化対策について、日中の連携を確認、新たな国際枠組みの構築に向けた協力を表明する見通しとなった。日本政府筋が9日、明らかにした。

 環境問題や省エネルギー分野での協力強化の一環で、首脳会談で署名する共同文書に盛り込む方向で調整している。大量の排出国でありながら京都議定書で削減義務を課されていない中国が将来、新たな国際枠組みに参加すれば、従来の立場の方針転換となる。

 温暖化問題は6月にドイツで開催する主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)や来年の日本でのサミットで主要議題と位置付けられる。日本側は温室効果ガスの排出削減に関するポスト京都議定書の国際交渉を主導したい考え。環境問題が深刻化する中国も日本の技術協力が必要で、互いの利益が合致した形だ。

50年に温室ガス60%削減 英、世界初の立法化へ

2007年03月13日 中国新聞ニュース

 【ロンドン13日共同】英政府は13日、地球温暖化防止のため、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を2050年までに1990年比で60%削減する法案を発表した。同政府は「ガス削減の立法化は世界初」と説明。2008年中の成立、施行を目指す。

 5年ごとの削減目標値を定め、政府から独立した監視機関が進ちょく状況を点検する。

 環境保護団体などは年ごとの削減目標を定め、50年の最終削減率を80%に上げるよう求めたが、対応が硬直的になるとして退けた。

 現在、ドイツが議長国を務める欧州連合(EU)は9日、2020年までに温室効果ガスの排出量を20%以上削減する包括政策案を承認。今回の英国の法案は同年までの削減率を暫定的に26−32%としており、EUの案を上回った。

 ミリバンド環境・食糧・農村相は「この問題を英国がリードしていく決意を示した」と強調した。

 先進国の温室効果ガス削減目標を定めた京都議定書が2012年に期限切れになることを見据え、英国とドイツは同議定書に代わる国際的な枠組み構築の主導権をめぐり競い合っている。

EU CO2排出20%削減 首脳会議が合意 20年までに 国際交渉主導へ

2007年03月10日 西日本新聞朝刊

 【ブリュッセル9日共同】欧州連合(EU)首脳会議は9日、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で20%以上削減する環境・エネルギー包括政策案を承認、再生可能エネルギーの利用比率の引き上げ義務化など具体策を盛り込んだ行動計画を採択し閉幕した。議長総括は、2012年に期限切れを迎える京都議定書後の温室効果ガスの排出削減に関する国際交渉をEUが主導すると明記。自ら「20%」という高い数値目標を打ち出し、加盟27カ国に大幅な排出規制策を義務付けた。

 EU議長国ドイツのメルケル首相は記者会見で「野心的な目標が達成でき、新しい局面に入った。非常に満足している」と成果を強調した。自身が同時に議長を務める6月の主要国(G8)首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)でも気候変動問題が主要議題となる予定で、京都議定書から離脱した米国や対策の遅れが目立つ日本などに排出削減への努力を強く促す構えだ。

 行動計画は(1)エネルギー消費に占める太陽光、風力など再生可能エネルギーの利用比率を20%に引き上げ(2)自動車燃料に占めるバイオ燃料の割合を10%以上とする‐を義務化した。

 EUの再生可能エネルギー利用比率は04年時点で石油・ガスの70%、原子力の14%に比べ低率の6%にとどまっており、これを3倍増することがCO2排出削減策の柱となる一方、EUがエネルギー源の選択をある程度規制することで各国の国策分野にも踏み込み、エネルギー分野の共通政策を進めた。

 議長総括は日米など先進国が協調すれば20年までに「30%」、途上国とも協力することで50年までに「60‐80%」の排出を削減するとの野心的な目標にも言及した。

 欧州委員会は、目標達成を確実にするため、首脳会議で具体化した政策に関して、年内にも法案を策定し各国に提示する方針。

■京都議定書

 地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を、2008‐12年の間に先進国全体で1990年に比べ約5%削減することを義務付けた国際議定書。97年に京都市での会議で採択、最大排出国の米国が批准を拒否したが、05年に発効。国別に削減目標が設定され、欧州連合(EU)は8%、日本は6%。国家間や企業間でガスの排出枠を売買する排出量取引など、市場メカニズムを使った削減制度が盛り込まれている。13年以降の削減枠組みについての議論も始まっている。

中期的な温暖化対策策定へ 環境立国戦略に盛り込み

2007/02/26 中国新聞ニュース

 環境省は京都議定書に定めのない二〇一三年以降を見据えた、中期的な地球温暖化対策の柱となる政策を五月末までにまとめることを決めた。安倍晋三首相の指示で策定中の「二十一世紀環境立国戦略」に盛り込む方針で、二十六日に開かれた中央環境審議会の特別部会で明らかにした。

 〇八年に日本で開かれる主要国(G8)首脳会議(サミット)ではポスト京都の国際枠組みづくりが主要議題となる見通しで、同省は日本の戦略を国際的にアピールし、サミットの成果に反映させることも目指す。

 地球温暖化に対する各国の危機感は高まっており、一月、欧州連合(EU)が二〇年に最大30%の温室効果ガスを削減する目標を打ち出したほか、ブッシュ米大統領も一般教書演説で今後十年間のガソリン消費削減目標を打ち出すなど、初めて温暖化対策に取り組む姿勢を示した。

 会合で鈴木基之部会長は「日本の政治は環境への危機意識が欠けている。われわれは追い込まれているというメッセージを発したい」と述べた。

リコー、南米で植林事業 CO2吸収と貧困解消両立を

2007年02月20日 中国新聞ニュース

 リコー(東京)と国際環境保護団体コンサベーション・インターナショナル(CI)は20日、エクアドルの環境保護団体と協力し、熱帯林での植林事業を始めると発表した。先進国の企業が発展途上国で植林し、森が吸収した二酸化炭素(CO2)を企業の排出削減分と認める京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)を活用したもので、早ければ今春にも事業に着手する。

 単に木を植えるだけではなく、周辺に住む住民のため、森林内での農作物の栽培や観光客誘致なども進め、温暖化対策と貧困解消の両立を探るのが特徴という。

 植林するのはエクアドル北部のチョコ・マナビ地域。かつては多くの生物がすんでいたが、農業開発による森林破壊が深刻化している。リコーとCIは約500ヘクタールの土地に在来種の樹木を植林し、本来の森林生態系の再生を目指す。

削減費用は7兆−10兆円 50年、温暖化防止のため

2007年02月15日 中国新聞ニュース

 深刻な地球温暖化の影響を避けるのに必要とされる2酸化炭素(CO2)排出量の70%削減を実現するには、2050年に自然エネルギーや省エネ機器の導入に国内総生産(GDP)の約1%に相当する約7兆−10兆円の費用が必要になるとの試算を国立環境研究所などのチームが15日、発表した。

 同研究所の甲斐沼美紀子室長は「実現にはお金だけでなく、社会システムを変える20−30年の時間も必要。早急に削減計画を作ることが重要だ」と話している。

 同チームは、環境対策と経済発展を両立しつつ50年に、1990年比でCO2排出量を70%削減するための費用を試算した。試算によると、ハイブリッド乗用車や高断熱住宅などの省エネ技術を普及させることによって、エネルギー需要を40−45%減らすことが可能。さらに、高効率石炭火力発電などを普及させることで、全体で70%の排出削減が可能なことが分かった。

 技術導入に必要な費用は、都心から地方へ人口や資本の分散化が進んだ場合は年間6兆7000億円−7兆4000億円と試算。都心へ人口や資本の集中が進んだ場合には8兆9000億円−9兆8000億円に膨らむという。

海底下にCO2封じ込めへ 環境相の許可制、罰金も

2007年02月03 中国新聞ニュース

 地球温暖化対策の一環で、工場などから回収する2酸化炭素(CO2)を海底下の地層へ封じ込める貯留事業の実施に向け、環境省が今国会に提出する海洋汚染・海上災害防止法改正案が3日、明らかになった。

 廃棄物の海洋投棄を規制するロンドン条約議定書の昨年11月の改正で、投棄可能な物質のリストにCO2が追加されたことを受けた法改正。現行法で「海洋」と大枠で示していた規制の範囲に海底下地層を明確に位置付け、CO2に限って一定の条件下で貯留を認めた。

 CO2が海中に漏れ出すことによる環境への影響に配慮して、海底下貯留を環境相の許可制とするなど国が厳しく管理し、不法業者への罰金規定も盛り込んだ。

 海底下貯留は海底の地下1000メートル以上の帯水層を利用。工場や発電所などの排ガスからCO2を分離して回収し、陸上からパイプラインで海底下に送り込むか、船で運んで海洋施設から注入するなどの方法で封じ込める。

温暖化ガスの削減要望 GEなど米主要10社

2007年01月23日 中国新聞ニュース

 【ワシントン22日共同】電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)など米国の主要企業10社と環境保護4団体は22日、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出削減を企業などに義務付けるよう連邦議会とブッシュ大統領に求めた。

 削減義務化を求めたのはGEのほか、化学大手デュポン、証券大手リーマン・ブラザーズ、石油大手BPの米国法人など。企業に対して、排出できる温室効果ガスの枠を設定し、枠を下回った企業は、枠を上回った企業に排出量を売ることができる国内排出量取引市場を創設。米国全体で2050年までに07年の排出量の60−80%を削減するとの内容だ。

 議会には早急な立法措置を求めるとともに、大統領に政策を実施するよう求める書簡を送った。

 要望書では「温暖化対策は米国の経済にとって害になるというよりはむしろビジネスチャンスだ」としている。

「脱温暖化社会構築」シンポ 参院選で議論喚起 動機付け重要

2007/01/22 FujiSankei Business i.

 温室効果ガスの排出を抑制し、豊かで持続的な社会をめざす「脱温暖化社会の構築を目指して」と題するシンポジウムが17日、上智大学と産経新聞社の共催で開かれた。シンポジウムでは、脱温暖化社会実現のための条件を主要な議題に議論され、国民がメッセージを発して政治主導で政策を実現することが重要との考えが示された。また、来年の国会を「温暖化対策国会」と位置付け、議論を巻き起こすべきだとする提言が行われた。

 柳下氏は、「豊かさを求めて行動することが、温暖化社会の実現につながっていくことが大事。無理をしなくても、温暖化ガスが減る社会を実現しなければならない。そのための制度を作って、日本のあらゆるところに刺激をあたえるべきだ」と問題提起。その上で、「温暖化問題を今年の参院選の争点とし、2008年を温暖化国会と位置付けて、環境法制だけでなく、エネルギー関連法や都市計画法など法律すべてに脱温暖化の4文字を入れるよう法律を改正すべきだ」と提案した。

 大木氏は、英国を例に、「労働党、保守党が一体となって、石油や天然ガスなどの化石燃料の使用を減らす脱炭素社会の実現に向けて動き出している。マスコミも世論を引っ張っていく意識を持つべきだ」と同意した。

 これに対して、気仙氏は、「有権者が反応するかどうかは、参院選立候補者が、魅力ある温暖化対策を有権者に示せるかどうかにかかっている。努力することで得をするとか、地元商店街が活性化するとか、そういった優位性を有権者に提案できるかだ」と動機付けの必要性を強調した。

 柳下氏は「知恵を授けるのは民間の役割。国民が政治をプッシュしていかねばならない。そういった民間の集団の一つが大学だ」と政策の実行を国民が指示することが重要だとの意見を披露した。

 土屋氏は、「女性誌が年間企画として温暖化を取り上げるようになった。意識が変わってきている。二酸化炭素の排出量が少ない商品を買った方が得をするとか、安いとかのインセンティブが必要。社会が温暖化対策に努力する企業を応援するようなしくみにすることが大事だ」と先行する企業の実態報告を交えて提言した。

 一方、西岡氏は、「国民の意識が確実に変わってきている。産業界は、低炭素社会実現に向けて最新技術の開発に力を入れている。中国でも排ガス規制は厳しい。まず、国が明快なシグナルを出すことが動機付けにつながる」と制度設計が重要との考えを示した。

 温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書の目標期間が2012年に終わる。その後の温暖化対策に向けた具体的な対策については、大木氏が「脱炭素社会に向けて太陽光や風力、バイオマスなどの自然エネルギー開発に視点を置くべきだ」と発言。西岡氏は、「温暖化問題は、次の世代につなぐ革新(イノベーション)の原点だと確信している」と新技術開発が脱温暖化社会構築の主軸であることを強調し同日の議論を総括した。

                ◇

 ≪日本の対策、周回遅れ≫

 わが国は、地球温暖化防止のため京都議定書で、1990年比で6%の温室効果ガスの削減目標を決めて努力しているが、日本は1周遅れという感じだ。環境省は、「さまざまな対策をやっている」といっているが、温室効果ガスの排出量は90年レベルよりも増加している。

 米国は、京都議定書を離脱したが、各州レベルで削減努力をしている。例えば、カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事は、昨年、温室効果ガスの削減を義務づける法案に署名し、州レベルでの削減法を成立させた。全米の約半分の州は、京都議定書に賛成している。英国は、世界銀行の元チーフエコノミストのニコラス・スターン氏がまとめたリポートにもとづいて、労働党、保守党が一体となって取り組んでいる。それは、「もし、2050年までに真剣な温室効果ガス削減対策を行わないと世界規模で国内総生産(GDP)が5〜20%減少する損害が出るが、早急に対策を始めれば、温室効果ガスの排出を安定させるコストは1%で済む」という内容だ。日本は、各省庁ごとにやっているが縦割り行政の弊害でまとまっていない。〈大木浩・元環境相〉

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 ≪予測上回る変化、問題≫

 地球は二度と繰り返せない実験をやっているようなものだ。これまでの気候研究などで気候変動が予想されていたが、北極海の氷の融解、グリーンランドや南極氷床の融解、干魃(かんばつ)、熱波、豪雨の頻発による被害が顕在化しつつある。問題なのは、その予測が思ったよりも早く、思った通りの変化が起きていることだ。原因は、人為起源の温室効果ガスによる可能性が大だ。

 いま、やるべきことは何か。それは、危険なレベルになる前に排出量を減らすことだ。具体的には大気中の温室効果ガスの濃度を475ppm以下にして、気温の上昇を2度以下に抑えなければならない。2050年に温室効果ガスの排出量を世界全体で1990年レベルの50%以下に削減する必要がある。日本はそれ以上の85%から90%の削減を求められる可能性が高い。欧州はこの線で目標を定めているし、中国なども低炭素社会の模索を始めている。成り行きまかせでは、不可逆的な状態まで気候変動が進行する。温室効果ガスの抑制は可能。国の内外で目標を定めて早期対応をすべきだ。〈西岡秀三・国立環境研究所理事〉

                  ◇

【メモ】

 シンポジウムは、三菱UFJ環境財団の寄付講座の一環として開催した。石澤良昭・上智大学長と鶴田東洋彦・産経新聞編集局次長兼経済部長が開会あいさつ、高祖敏明・上智学院理事長が閉会あいさつを行った。総合司会は大和田滝惠・同大地球環境大学院教授。大木浩元環境相、西岡秀三・国立環境研究所理事、柳下正治・同大院教授、環境ジャーナリストの土屋晴子氏、気仙英郎・産経新聞編集委員の4氏がパネリストを務めた。

世界の油田 無駄な天然ガス燃焼 二酸化炭素、4億トン排出試算

2007/01/20 The Sankei Shimbun WEB-site

 世界各地の油田に立つ排ガス燃焼塔で年間約1500億立方メートルもの天然ガスが無駄に燃やされ、この結果、日本の年間排出量の3分の1近くに当たる約4億トンの二酸化炭素(CO2)が排出されているとの試算を世界銀行がまとめた。天然ガスの量は独、仏2カ国の年間消費量に匹敵。世銀は「無駄に燃やされる分を有効利用すれば、エネルギー利用の効率化と温暖化対策の一石二鳥になる」と各国に対策強化を呼び掛けている。

世銀が対策呼びかけ

 世銀は今後、先進国が発展途上国の事業に出資して減らしたCO2を自国の削減分に算入できる「クリーン開発メカニズム(CDM)」など、京都議定書の仕組みを活用することを支援する。

 林立する燃焼塔の先端で燃える炎は油田の象徴的な光景。原油採掘時に一緒に出てくる天然ガスが燃やされているもので「フレア」と呼ばれる。

 業界関係者によると、中小の油田では、天然ガス回収装置を使って回収しても採算が取れないケースが多く、場合によっては石油の採掘量が減ることもある。このため、ただ燃やされたり、そのまま大気中に放出されたりすることが多い。

 世銀の試算によると、フレアとして燃やされる天然ガスの量が最も多いのはアルジェリアの約240億立方メートルで、以下、露、イラン、イラクの順。

 世銀のベント・スベンソン氏は「アフリカで燃やされる天然ガスがすべて利用できれば、アフリカ全体の電力消費の半分をまかなうことができる」と、フレア対策がエネルギー資源不足に悩む途上国にとっても重要であることを強調する。

 世銀は2002年、ヨハネスブルクでの環境・開発サミットでこの問題を取り上げ、各国政府や石油会社などが参加する国際団体を組織。国際協力の在り方や、CDM(Clean Development Mechanism)としてのフレア対策事業の進め方などを討議している。

 カザフスタンが油田に天然ガスの回収を義務付ける法律を制定し、ナイジェリアでの回収事業が初めてCDMとして承認されるなど、対策は徐々に進み始めた。2000年にブラジルの海上油田プラットホーム向けガス回収装置を受注した前川製作所(東京)など、日本企業の技術力も注目されている。

 世銀の別の担当者は「各国で規制が強化される方向で、CDMとしての事業も拡大しそうなので、今後、企業にとってもビジネスチャンスになる」と指摘。フレア削減に対する日本など先進国の協力を呼び掛けている。

環境省、今年も暖房停止 12月から

2006/11/27 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 今冬も暖房をやめて温暖化防止に努めます−。環境省は27日、東京・霞が関の庁内で冬季暖房を原則停止すると発表した。昨シーズンも今年2月下旬から試験的に実施し、業務に支障はなかったという。同省では、本庁舎の二酸化炭素(CO2)排出量を、昨年度比で5.7%分削減できると試算している。

 暖房停止は12月1日から3月31日の4カ月間。ただし、休日明けの朝や、室温が17度を下回るような寒さのときは暖房を入れる。

 今年2月の暖房停止時は、ひざ掛けで防備する女性職員の姿も見られたが、庁内は20度を超えることも多かった。停止期間に暖房を入れたことはなかったという。

 同省では、ガラスを断熱効果の高い複層ガラスに順次取り換えるなど施設も整備。午後8時以降の消灯や日曜日の原則登庁禁止など、今春から実施している対策は継続する。

 京都議定書で日本は平成20〜24年までに温室効果ガスを2年比で6%削減する義務があるが、17年度速報値は2年比で約8.1%も増え、厳しい状況。同省では、昨シーズンから冬のオフィスを20度程度に設定する「ウオームビズ」を提唱している。

CO2削減量3割増加 今年のクールビズ効果

2006年11月10日 中国新聞ニュース

 環境省は今年6月1日から9月30日までの夏の軽装「クールビズ」期間中、会社などで冷房温度を高く設定したことで、約114万トンの2酸化炭素(CO2)を削減する効果があったとする推計結果を10日、発表した。

 約250万世帯の1カ月分の排出量に相当し、同省は「温度設定を高くする会社が増え、昨年に比べて約3割増の成果があった」としている。

 同省は9月27日から3日間、インターネットで1200人を対象にアンケートを実施した。

 会社などに勤務する548人のうち、43・2%が昨年、または今年から「勤務先でエアコンの温度を高く設定している」と回答、昨年の調査より10・5ポイント上回った。これらの結果からCO2削減量を推計した。

 またクールビズを「知っている」と答えたのは、全体の96・1%で、昨年とほぼ同率の高い認知度を示した。

2030年にはCO2排出5割増か 世界エネルギー展望

2006/11/08 The Sankei Shimbun 大阪夕刊から

 【パリ=山口昌子】日米欧の26カ国が加盟する国際エネルギー機関(IEA、本部パリ)は7日、2030年までの世界エネルギー需要の見通しを示した「世界エネルギー・アウトルック2006」を発表した。世界の1次エネルギー需要は30年までに50%強増加すると予測。このうち70%は途上国によるもので、中国だけで30%を占めるとしている。

 エネルギー需要の増大で、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出量も30年までに年率1.7%増加し、現在よりも55%強も増えると指摘。増加分の約4分の3は途上国が占め、なかでも石炭依存が高い中国は10年までに米国を抜いて、最大の排出国となると予測した。

 一方、原子力発電については30年までに出力が13%以上増加し、重要な役割を果たすとの見通しを示した。原発推進などCO2排出量を削減する代替政策を実施すれば、30年の1次エネルギー需要は約10%低下、「世界経済はより少ないエネルギーで繁栄できる」と展望している。

CO2濃度、観測史上最高に 世界気象機関が発表

2006/11/04 The Sankei Shimbun

 世界気象機関(WMO)は3日、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の大気中の濃度が昨年は世界平均で378・1ppmとなり、前年を2ppm上回って観測史上最高に達したと発表した。

 大気中の温室効果ガス濃度に関するWMOの調査報告書によると、CO2とともに温暖化に影響を与える一酸化二窒素も前年と比べ0・19%増えて観測史上最高値の319・2ppbに達した。メタンは1783ppbで前年と同じだった。

 WMOによると、18世紀後半の産業革命以降、CO2濃度は石炭、石油など化石燃料の消費増大を主因として35・4%増えた。WMOの専門家は、温室効果ガスの濃度は当分の間、増え続けると予測している。

 報告書は6日からナイロビで開かれる京都議定書の第2回締約国会議を前に発表された。(共同)

温暖化否定論に“待った”、環境省が反論へ

2006年08月26日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 二酸化炭素(CO2)が引き起こしているとされる地球温暖化を否定する声に対して、環境省は、国内の研究者の知恵を結集して反論していく方針を決めた。

 「温暖化を疑問視する主張は誤解に基づくものが多く、見過ごせない」と判断した。年内にも同省のホームページで情報発信する。

 産業活動に伴って排出されるCO2などの温室効果ガスが地球を温暖化させていることは、国連などが世界の科学者を集めて組織した「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」などで指摘されている。一方、「20世紀の気温上昇は都市化に伴うヒートアイランド現象のためで、CO2は無関係」など、CO2による温暖化自体を否定する声も一部の研究者の間で根強い。

 しかし、都市化と無関係の海洋でも温度上昇が確認されているなど、温暖化否定論は事実誤認の場合もある。同省はIPCCに参加する国内の研究者約30人の協力を得て、温暖化否定論を検証していく。同省研究調査室は「CO2削減が待ったなしで求められるなか、温暖化への疑問に丁寧に答えていきたい」と話している。

温室効果ガス1.25%増 フロンは横ばい 米報告書

2006/05/12 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 【ワシントン=気仙英郎】米海洋大気局(NOAA)は十日までに、地球の温室効果ガス指数に関する年次報告書をまとめた。温室効果ガスは二〇〇五年中に前年比1・25%増加した。メタンや地球のオゾン層を破壊するフロンガスは横ばいか減少したものの、二酸化炭素と窒素酸化物が増加している。

 温室効果ガス指数は一九九〇年の大気レベルを「一」とし、その後の温室効果ガスの増減を指数で表すようにしたもので、二〇〇五年は、二〇〇四年の一・一九九から一・二一五に増加した。報告書によれば、メタンは〇三年から、二種類のフロンガスのうち一つは二〇〇〇年から横ばいが続き、もう一つは前年に比べ減少した。ただ、報告書は、フロンガスの存在は南極のオゾンホールができる最大の要因のままであると指摘している。

 九〇年以来の調査で温室効果に最も大きな影響を及ぼしているのが二酸化炭素で地球温暖化にかかわりがある温室効果ガス全体の62%を占める。〇五年の大気中の濃度は〇四年の三七六・八PPMから三七八・九PPMに増加。産業革命以前は最大で二酸化炭素は二七八PPMに過ぎなかったとされる。

 温室効果ガス指数は、温暖化に影響がある二酸化炭素、メタン、窒素酸化物、フロンガス、それにフロン代替物などについて大気中の増減をはかり、指数化して比較を容易にしている。これまでの統計では、最も温暖化ガスが増加したのは八七年から八八年で2・8%増加した。最も小さいのは、九二年から九三年にかけての0・81%の増加だった。

米のCO2排出、04年は最大 エネルギー関連の速報値

2005/12/08 The Sankei Shimbun

 石油や石炭などエネルギー利用に伴う2004年の米国の二酸化炭素CO2排出量が、1990年以降最大の約59億トンに達したことが米エネルギー省がまとめた速報値で8日までに分かった。

 こうした化石燃料の燃焼に伴うCO2排出は、米国が排出する温室効果ガスの80%超を占めており、専門家は他のガスを含めた04年の排出総量も最大となる可能性が大きいとみている。

 カナダ・モントリオールで開催中の温暖化条約会議で米政府代表団は、2000から03年の間だけについて温室効果ガスの排出が「減った」と演説などで表明している。だが、今回のデータによると、04年のCO2排出は90年比で18%増となっており、長期的には増加していることがはっきりした。

 04年のCO2排出量は前年比1.7%増。4.4%の経済成長でエネルギー需要が増えたことなどが要因らしい。米政府が重視する国内総生産(GDP)1ドル当たりの排出量は前年より2.6%減った。(共同)

中国での温室効果ガス削減事業30件に 総排出1%減の見込み

2005/12/06 The Sankei Shimbun

 中国が先進国の企業などと共同で、京都議定書に基づいて実施する温室効果ガス削減事業が先月末までに30件に達し、年間削減量の合計が二酸化炭素(CO2)換算で約3900万トンとなる見通しであることが6日、分かった。

 計画通り実施されれば、世界2位の排出大国で38億トンにもなる同国の年間のCO2排出量を、1%近く減らす効果が期待できる。

 今年2月の議定書発効を受け、議定書に基づいた制度の活用に中国政府が本腰を入れ始めたことの表れ。中国での温暖化防止ビジネスが急成長していることを示した。

 日本企業では、新日本製鉄と三菱商事、三井物産などが削減事業を行う計画を立てている。

 中国政府高官は「今後3年間で数100件の事業を国連に登録申請したい」としており、削減量はさらに大きくなりそうだ。

 対象となるのは、先進国の企業などの出資で発展途上国で削減事業を行い、削減分を先進国の削減分に算入できるクリーン開発メカニズム(CDM)。30件のうち18件は国内機関の審査を終了し、政府承認を待つばかりになった。

 冷蔵庫やエアコンの冷媒などに使われる代替フロンの製造過程で発生する副生成物を回収して破壊する4件の事業が全削減量の90%以上を占めた。件数では、風力発電や水力発電など自然エネルギー導入事業が最も多く15件。ほかにごみ処分場や炭坑などから発生するメタンを回収して発電に使う事業が9件、セメント工場の省エネ事業が2件だった。

 中国は、実施に際して中国企業の参加を法律で義務づけており、国内産業育成の狙いもある。

≪排出枠は国家資源 政府が「税金」を徴収≫

 中国は今年10月に改訂した国内規則「クリーン開発メカニズム運行管理弁法」で、温室効果ガス削減で生じる「排出枠」を「政府に帰属する資源」と位置づけた。事業者が排出枠の転売で利益を得た場合、販売収益の一定比率を「税金」として国に納めるよう定めている。

 この比率が特に高いのが、現在主流を占める代替フロンの回収・破壊事業。二酸化炭素の1万倍以上の温室効果があるため、わずかな投資で多くの枠を稼ぐことができ、日本企業などが関心を示している。

 ただ環境保護団体などから「省エネなどと違って、本質的な温暖化対策とは言えない」との批判が根強いこともあり、中国はこのタイプの事業に対し転売価格の65%を国に納めるよう義務付けた。これにより企業の利益率は半分以下になる計算だ。

 逆に「税率」が2%と低く、重点推進分野と位置づけられるのが、自然エネルギーや省エネ技術の導入、メタンガスの回収、利用などの事業。石油や石炭の消費を抑制し、エネルギー資源の有効利用につなげる狙いもありそうだ。(共同)

欧州、CO2削減目標達成にめど 日本との差際立つ

2005/12/05 The Sankei Shimbun

 欧州連合(EU)欧州委員会は5日までに、英国やドイツなど15カ国を合わせた2010年時点の温室効果ガス排出量が1990年比マイナス9.3%となり、京都議定書の削減目標が達成できる見通しだとの報告書をまとめた。

 EUの削減目標は同年比マイナス8%。今年から始まった二酸化炭素(CO2)の排出量取引制度に加え、自然エネルギー導入や省エネ推進などで、最大で03年の排出量の約12%に相当する4億9000万トン(CO2換算)が削減可能としている。

 取引制度や環境税など強力な温暖化防止政策も功を奏した結果で、ディマス欧州委員(環境担当)は「EUは経済成長を維持しながら削減を進め、議定書の約束を現実のものにしつつある」と強調している。

 環境税や取引制度の導入を求める環境省と、これに反対する産業界や経済産業省などの意見が対立する一方、03年度の国内の排出量が、90年に比べ8.3%も増えている日本との差が際立った形だ。

 報告書によると、15カ国のうち10カ国が各国に配分された削減量を達成できる見込み。配分量を超えて削減が見込める英国やスウェーデンなどが、削減に苦しむスペインやポルトガルなどを助ける構図になっている。

 ただ、削減見込み量のうち1億トン超が、途上国で実施した削減事業で生まれる排出枠を自国の削減分に算入できる「京都メカニズム」の活用分。このため実質的な削減は、同年比マイナス6.8%にとどまる見通しだ。(共同)

ポスト京都議定書…日本、全条約締約国の参加求める

2005年12月02日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【モントリオール=河野博子】当地で開催中の先進国に温室効果ガスの削減を義務づけた「京都議定書」の第1回締約国会議は1日、同議定書の指定期間(2012年まで)後となる「13年以降」の削減対策の討論に入った。

 日本は「すべての国が参加する実効ある枠組みを、気候変動枠組条約の次期締約国会議で話し合おう」という提案を行った。京都議定書を批准していない米国や、議定書の削減義務を負っていない途上国など、全条約締約国に参加を呼びかけたもの。来年開かれる次期締約国会議での議論開始を求めた。

 これに対し、途上国で作る「G77」と中国は「途上国の1人当たりの排出量は低く、排出の増加は社会発展のニーズを満たすために必要」と主張、「先進国が議定書を完全実施するまで、他国が新たな約束を求められるべきではない」と真っ向から反対。米国も、13年以降の温室効果ガス削減体制を、気候変動枠組条約締約国会議で検討することには強く反対しており、日本提案の前途は多難だ。

 日本は、1日夜の分科会に出した提案骨子で、議定書に批准した先進国の温室効果ガス排出量が占める割合は減る一方、途上国排出量分は急増している、と指摘している。

初の京都議定書会議が開幕 新たな国際的枠組みを討議

2005/11/29 The Sankei Shimbun

 京都議定書に定めのない2013年以降の地球温暖化対策などについて話し合う、京都議定書の第1回締約国会議(COP/MOP1)が28日(日本時間29日未明)、カナダのモントリオールで開幕した。

 会期は来月9日までで、1997年の議定書採択以降に各国が合意した19項目の運用ルールを正式決定する予定。また「ポスト京都」の国際的枠組みをめぐって各国の駆け引きが本格化する。

 7日からは閣僚級会合を開催。日本からは小池百合子環境相が参加し、国内の温暖化対策の現状や、すべての国が参加できる枠組みの必要性を訴える。

 9月にオタワで行われた準備会合で、議長国のカナダが、先進国が発展途上国で削減事業を行うクリーン開発メカニズム(CDM)の運用方法の改善策や将来の温暖化対策に向けた新たな道筋の在り方などを主要議題として提示。京都議定書の履行を確実にするための方策なども重視する姿勢を示している。

 カナダは、温暖化の悪影響を受ける途上国に対する支援策を明確にして途上国側の積極姿勢を引き出すことで、米国を含む多国間協議に弾みを付けたい考えだ。

 11月末時点で、中国やインドなどの途上国を含む156カ国と欧州連合が議定書を批准しているが、米国やオーストラリアは参加を拒否している。(共同)

中部電、インドで水力発電 地球温暖化ガス削減狙う

2005/11/03 The Sankei Shimbun

 中部電力は3日、二酸化炭素(CO2(Oの横に小文字の2))など地球温暖化ガス排出削減を狙い、北海道電力、沖縄電力、三菱商事などとともに米系投資ファンド(基金)を通じ、インド南部で水力発電所建設を進めていることを明らかにした。

 中部電によると、アジア地域に特化し、エネルギー効率化事業に投資する初のファンドで、インドの水力発電所は最初の投資案件。

 ファンド名はFEクリーン・エナジー・ファンドで総額約5000万ドル(約57億6000万円)。手掛けるのはほかに、太陽光発電や省エネ型街路灯設置、工場などの設備改善など。エネルギー利用の効率化を保証し光熱費削減分から収益を受け取る事業を展開する。インドのほかフィリピン、タイ、マレーシアなどに投資する。

 ファンドは、インド企業への出資により情報技術(IT)企業集積地として知られるカルナタカ州バンガロールから北西に約350キロ離れた同州シモガの川に出力1万1000キロワット2基の水力発電所を建設中。06年6月の完成を目指す。

 中部電など電力各社は、使用電力量1キロワット時当たりのCO2(Oの横に小文字の2)排出量を2010年までに1990年実績と比べ20%削減する目標を掲げている。

 中部電は、インドでの水力発電などを通じた海外での地球温暖化ガス排出量削減分を、同社が国内で減らしたとみなして削減目標達成に使える京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)を活用して目標達成に役立てる考え。(共同)

温室効果ガス:国内総排出量 原発影響除くと実質増加

2005年10月21日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの04年度の国内総排出量は13億2900万トン(CO2換算)に上り、京都議定書の基準年である90年比ではなお7.4%増の水準にあることが21日、環境省が発表した速報値で分かった。依然として同年比6%減という目標の達成には困難な状態が続いている。

 同省によると、04年度の総排出量の内訳は、工場など産業部門からが37.7%▽自動車など運輸部門が20.9%▽オフィスビルなど業務部門が15.6%▽家庭部門が13.4%−−など。

 総排出量そのものは、前年の03年度より0.8%減少した。これは東京電力のトラブル隠しに伴う一部原発の停止が影響した同年度に比べ、04年度は原発稼働率の回復が排出削減につながったとみられる。

 一方、電力使用量は猛暑などの影響により業務部門と家庭部門は、03年度に比べてそれぞれ4.2%、4.7%増えた。仮に03年度と04年度の原発稼働率がトラブルの影響を受けず計画通りだったとすると、04年度の排出量は推計では逆に03年度より1.2%増えるという。

 環境省は「残念ながら潜在的には温室効果ガスの排出量は増えているといわざるを得ない。国民にライフスタイルの変革を呼びかけ、本質的な排出削減につなげたい」と話している。【江口一】

出光など5社が排出権獲得

2005/10/21 The Sankei Shimbun

 富士写真フイルムや出光興産、沖縄電力など日本企業5社は21日、地球温暖化防止のための京都議定書に基づき世界で初めて発行された温室効果ガスの排出権のうち、合計で二酸化炭素(CO2)410トン分を獲得したと発表した。

 5社が出資する基金が排出権を獲得、出資比率計19%に応じ、排出権が分配された。

 先進国が発展途上国に協力して減らした温室効果ガスの削減量を、先進国の削減量として利用できるクリーン開発メカニズム(CDM)に基づく。中米ホンジュラスの水力発電事業で削減した温室効果ガスを基に、排出権が発行された。

 5社は富士写真などのほか、新日本石油、大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツ。(共同)

温暖化ガスの影響1.2倍 米政府機関が新指標開発

2005/09/28 The Sankei Shimbun

 米海洋大気局(NOAA)は27日、大気中に排出された二酸化炭素(CO2))などによる「温暖化効果」を分かりやすく示す新たな指標を開発し、1990年に比べ温暖化効果は1.2倍に強まったと発表した。

 発電所などからのCO2排出が、大きく伸びたのが原因。NOAAはこの指標が「CO2削減努力の結果の評価に役立つ」として、今後も測定結果に基づいて毎年発表するという。

 指標は90年を1とし、昨年は1.2だった。NOAAは90年を基準に選んだ理由を「京都議定書もそうしているから」と説明している。

 米国では相次ぐハリケーン襲来で「原因は地球温暖化ではないか」などと関心が高まり、環境保護団体は京都議定書を離脱したブッシュ政権への批判をいっそう強めている。議定書に言及した新たな温暖化データの公表は、話題を集めそうだ。(共同)

中国で排出権取引事業 日揮、丸紅など3社

2005/08/16 The Sankei Shimbun

 エンジニアリング会社の日揮と丸紅、中堅ゼネコンの大旺建設(高知市)は15日、日本企業としては初めて、中国で温室効果ガスの排出権取引事業に乗り出すと発表した。

 中国・浙江省の化学メーカーの工場から出る温室効果ガスを削減。二酸化炭素(CO2)換算で、7年間で計4000万トンと世界最大規模の排出権を取得し、2007年から日本企業に販売する。

 京都議定書に定められたクリーン開発メカニズム(CDM)に基づく事業。CDMは、先進国が発展途上国に協力して減らした温室効果ガスの削減量を、先進国の排出権として取得できる仕組み。中国の工場には高度な環境対策設備が少なく、温室効果ガスの排出量が多いため、今後は日本企業による排出権ビジネスが増えていくことになりそうだ。

 3社は既に、排出権ビジネスを展開するための合弁会社を日本に設立しており、中国の化学工場に代替フロンを回収して分解する装置を設置。投資額約10億円を負担するほか、有償で取得する排出権を日本企業に販売する計画だ。(共同)

全事業所で広告ネオン消灯 松下電器、温暖化対策で

2005/07/12 The Sankei Shimbun

 松下電器産業は12日、国内のグループ全220事業所で、広告用ネオンサインを今月21日から9月末まで消灯することを明らかにした。地球温暖化対策に前向きな姿勢を示し、企業イメージ向上につなげる。これほど長期間、大規模に実施するのは珍しい。

 「パナソニック」「ナショナル」と表示したネオンサインを毎晩午後8時に一斉消灯し、夜通し消したままにする。温暖化対策として、環境省の呼び掛けで2003年に始めた夏至の日限定の取り組みを、夏全体に拡大することにした。

 試算では、この期間で二酸化炭素の排出量を約80トン減らせ、電気代も約200万円節約できるという。

 松下電器広報グループは「消灯により宣伝効果は一時的に弱まるが、地球環境への配慮も必要と判断した」と説明している。(共同)

サミット7日早朝開幕 アフリカ、温暖化議題に

2005/07/06 中国新聞ニュース

 【グレンイーグルズ(英スコットランド)6日共同=石井達也】第三十一回主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)は六日夜(日本時間七日早朝)、主要国(G8)首脳がエリザベス英女王主催の非公式夕食会に出席し、三日間の討議が開幕する。

 議長を務めるブレア英首相は、主要議題のアフリカ支援で、G8財務相会合で合意した最貧国の国際金融機関向け債務全額削減に加え、今後の支援の大幅増額を打ち出したい考え。地球温暖化対策では、京都議定書から脱退した米国や、中国、インドなど二酸化炭素(CO2)排出量の多い途上国を含めた政策対話の場新設を目指す。最終日の八日にブレア首相が議長総括を発表する。

 五回目のサミット出席となる小泉純一郎首相は、国連安全保障理事会改革や、北朝鮮の核開発、拉致問題を提起し、解決への理解と協力を要請、議長総括にどう反映させられるかが焦点だ。アフリカ支援では、今後三年間でアフリカ向け政府開発援助(ODA)を倍増する方針を表明、温暖化対策でも省エネ技術の途上国への移転に積極姿勢を示す。

 三日間の討議ではこのほか、高騰する原油価格の抑制策や、中東の民主化支援、大量破壊兵器の拡散防止などが議題に上る予定。七日の国際経済と温暖化問題の討議に、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、メキシコの新興経済五カ国首脳らが、八日のアフリカ支援討議にはアフリカ諸国首脳らが参加する。

 小泉首相は七日夜(日本時間八日未明)にブレア首相と会談するほか、ロシアのプーチン大統領との会談も調整している。

G8の温暖化対策で成績表 日本は下から2番目

2005/07/05 The Sankei Shimbun

 世界自然保護基金(WWF)は4日、英国で開かれる主要国(G8)首脳会議(サミット)を前に、参加国の温暖化対策を評価する「成績表」を公表した。長期的な気温上昇を2度未満に抑えるため、十分な対策を講じているかどうかを基準に評価した。

 最下位は米国で、京都議定書から離脱し、具体的な削減目標を掲げていないなど「ほとんど0点」の評価だった。

 議定書目標の達成に苦しむ日本は、カナダ、イタリア、ロシアと並んで下から2番目のグループとされた。これに対し、英国、フランス、ドイツは「十分ではないが長期的な削減目標を掲げている」などとしてまずまずの評価を受けた。

 WWFのジェニファー・モーガンさんは「劣等生の米国がG8の足を引っ張るようなら、各国は米国を置き去りにするべきだ」と指摘している。(共同)

温暖化対策を企業に要求 100社の成績公表へ

2005/05/15 The Sankei Shimbun

 欧米の投資ファンドや米国の州政府など26の投資機関が、出資先の企業に対し積極的な温暖化対策の推進や企業活動に伴う二酸化炭素(CO2)の排出量に関する情報開示などを求める初の「温暖化と投資に関する行動計画」を15日までに策定した。

 「温暖化が企業活動に大きな影響を与え、対策への熱心さが投資判断上、重要な要素になってきた」との考えに基づく。年末に、温室効果ガスの排出量が多い世界の企業約100社の取り組みなどに関する「成績表」をまとめて公表し、今後の投資判断への基準とすることも決めた。自動車会社などの日本のメーカーや電力会社も対象になる見通しという。

 参加機関の資金規模総額は3兆2200億ドルに上る。行動計画に賛同する投資機関の数は今後も増える見通しで、日本企業の資金調達に影響が出る局面もありそうだ。

 米カリフォルニア州やメリーランド州の財務省や欧米で年金を運用する投資機関、ロックフェラー・ブラザーズ財団など公益基金の代表者らが署名した計画は10項目。

 投融資の対象となる企業に、温室効果ガスの排出量や削減対策、温暖化によって企業活動がどのような影響を受ける可能性があるかなど、温暖化関連情報の積極的な開示を要求。「温暖化問題に関心を強めている機関投資家と情報を共有するよう」求めた。

 企業には、新エネルギーなどの温暖化対策技術への投資の拡大を求め、自らも今後1年間で温暖化対策技術開発のために10億ドル規模の投資を行うことを盛り込んだ。

 行動計画策定には国連も協力し、アナン事務総長が「市場の力を利用して温室効果ガスの排出削減を進める上で、重要な取り組みになる」とのメッセージを寄せた。(共同)

官民一体、温室ガス削減を 京都議定書で達成計画案

2005/03/30 The Sankei Shimbun

 政府の地球温暖化対策推進本部(本部長・小泉純一郎首相)は29日、首相官邸で会合を開き、官民一体となって二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの大幅削減を目指す「京都議定書目標達成計画」案を正式決定した。

 計画案は、議定書が定める「1990年比マイナス6%」の削減目標達成を目指すことを通じて長期的かつ継続的な削減を実現。社会経済の在り方を変革し「脱温暖化社会」を目指すとの内容。

 一般からの意見を募集し、5月初めにも閣議決定する見通し。

 化石燃料に課税する環境税を「真摯(しんし)に総合的な検討を進めていくべき課題」と明記し、国の温暖化政策に初めて正式に位置付けた。税導入の是非や検討期限は入れられなかったが、環境省は2006年度の税制改正で実現を図る構え。石油石炭税や揮発油税など、既存税制の見直しとも絡み、政府、与党内での議論が活発化しそうだ。

 計画案には、企業に排出上限を課した上で余剰枠を互いにやりとりする国内排出量取引制度も今後の検討課題として盛り込まれた。同制度には環境税と同様に産業界の反対が根強いが、07年度の計画見直しに合わせ導入の是非を判断する。

 個別の対策としては、官公庁への自然エネルギー導入や建築物の断熱化、物流拠点の整備など、脱温暖化に向けた街づくりを推進。一般家庭やオフィス、工場などに高効率給湯器や高性能ボイラーといった省エネ機器の大幅な導入を促進する。

 これらの対策により、エネルギー利用に伴う10年度のCO2排出を90年度比0・6%増に抑制。代替フロン類など他のガスの削減分や森林による吸収、海外から調達した排出枠も活用し、議定書の目標を達成するとしている。

 <京都議定書> 地球温暖化防止を目的として、先進国に二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの具体的削減目標を定めた初の国際議定書。1997年の京都会議で採択。先進国全体では6種類のガス排出について、2008年から12年までの5年間で、90年に比べて約5%減らす目標。米国やオーストラリアが脱退したが、ロシアの批准で今年2月に発効。3月23日までに145カ国と欧州連合(EU)が批准した。(共同)

温暖化対策が優先事項 仏大統領が連携呼び掛け

2005/03/28 The Sankei Shimbun

 来日中のフランスのシラク大統領は28日、都内のホテルで講演し、日本とフランスの政治・経済協力における優先事項は地球温暖化対策だとして、7月の主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)などでの両国の連携を呼び掛けた。

 「持続可能な開発における日仏協力」と題した講演で、シラク大統領は今年2月の京都議定書発効を「温暖化対策の端緒にすぎない」と指摘。ブッシュ米政権が議定書を拒否、現在は途上国に温室効果ガス排出削減義務が課されていないことを踏まえ「(国際的な温暖化対策の枠組みに)米国を参加させ、中国やインドなど新興の大国を取り込まなければならない」と日本の協力を求めた。

 また、アフリカなどの最貧国救済の財源とするため、金融取引などに課税する「国際連帯税」創設の必要性をあらためて強調。27日の小泉純一郎首相との会談で、7月のサミットの議題にすることを提起したと明かした。(共同)

50年まで二酸化炭素60〜80%減検討…EU会議

2005/03/23 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ブリュッセル=黒井崇雄】欧州連合(EU)首脳会議は23日、2日間の日程を終えて閉幕した。

 採択された議長総括では、地球温暖化防止を目指す京都議定書が規定していない2013年以降の対応として、先進国が二酸化炭素(C(O2))など温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で15〜30%、2050年までに同60〜80%削減することを検討すべきだと明記した。

EU、温室ガス8割削減を提案 ポスト京都で目標

2005/03/11 The Sankei Shimbun

 欧州連合(EU)は10日、環境相理事会をブリュッセルで開き、地球温暖化防止のための京都議定書が規定していない2013年以降の、先進国による温室効果ガスの排出削減に向けた数値目標を提案した。

 1990年水準と比べ、2050年までに最大80%の削減を図るなどとの内容。22日からのEU首脳会議で協議する。

 提案は気候変動問題に対するEUの積極的な取り組みを国際社会に示す狙いがあるが、京都議定書を離脱した米国を含む先進各国が取り組む目標を定めており、首脳会議が採択すれば米国の反発は必至だ。

 提案では、1990年と比べ、先進国による温室効果ガスの排出を2020年までに15−30%、50年までに60−80%、それぞれ削減することを目標とする。

 欧州委員会は先月、米国などの参加を働き掛けることを優先、手の内を示すことになるなどとして数値目標の設定は時期尚早との方針を示していた。

 EUは今年1月、多国間の「炭素市場」としては世界最大となる二酸化炭素(CO2)の排出量取引制度を発足、温暖化対策を本格化させている。(共同)

地球温暖化克服へIT活用を…経済同友会が提言

2004/12/26 読売新聞 Yomiuri On-Line
 経済同友会は、地球温暖化問題の克服に向け、情報技術(IT)などを活用してエネルギーの効率的活用などを進めると共に、京都議定書後の新たな枠組み作りなどを求める提言をまとめた。

 提言では、地球温暖化問題には特効薬は存在しないとし、企業や住宅の電気製品などを省エネ効果の高いものに切り替えることなどが必要とした。こうした取り組みで、二酸化炭素(CO2)の排出量を年間約1億2600万トン減らすことができると試算している。

 さらに、京都議定書後として、米国、中国、インドなどCO2の「排出大国」が参加する枠組み作りを、日本が積極的に行うべきだとした。

「環境税導入を」と環境相 京都で温暖化防止議論

2004/10/28 The Sankei Shimbun
 来年2月の京都議定書発効を控え、地球温暖化防止などを議論する「京都議定書シンポジウム」(環境省など主催)が27日、京都市の国立京都国際会館で約1000人が参加して開かれた。

 小池百合子環境相は冒頭の特別講演で「京都議定書の発効で温暖化対策の第一歩がしるされる。温室効果ガスの排出を減らすため環境税の導入を進めたい」と強調した。

 専門家シンポジウムでは、温暖化対策の先進国・英国から、在日大使館エネルギー環境担当書記官のクリス・アランさんが「2010年までに二酸化炭素(CO2)排出量の20%削減を目標に取り組んでいる」と英国の動向を紹介した。

 パネルディスカッションでは、環境保護団体・気候ネットワーク代表の浅岡美恵さんが「日本はCO2削減などの目標をどう達成するか明確に示していない。国が制度をつくって削減を進めるべきだ」と提起。島津製作所環境・安全推進室長の大瀬潤三さんは「これからは環境教育が大切。企業がリーダーシップをとっていくべきだ」と訴えた。(共同)

産業界のCO2排出量、2010年度には0・5%削減

2004/11/27 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日本経団連は26日、電力や石油、鉄鋼など34業種による二酸化炭素(CO2)の2010年度の排出量が、1990年度より0・5%削減できるとの見通しを発表した。
 経団連では「環境自主行動計画」を97年に策定し、90年度のCO2排出量を基準に、会員企業などが排出削減に取り組むよう働きかけているが、目標としている2010年度の見通しが明らかになったのは初めて。34業種のCO2排出量は、産業部門全体の約8割に相当している。

 具体的な排出量は、90年度の5億555万トンに対し、2010年度は5億326万トンに抑えられるとしている。ただ、この見通しは、2010年度までの生産活動の伸びが2003年度比1%増であることを前提としており、今後の景気動向次第では達成が難しくなる可能性もある。

京都議定書、2月に発効へ 露大統領が批准法案に署名

2004/11/05 The Sankei Shimbun
 ロシア大統領府は5日、プーチン大統領が、上下両院で採択された地球温暖化防止のための京都議定書の批准法案に署名したことを明らかにした。議定書は批准書寄託から90日後の来年2月に、採択から約7年を経て発効することが決まった。排出枠の国家間売買など独自の仕組みを含む国際的な気候変動対策が歴史的実験として始動する。

 しかし、最大の温暖化ガス排出国である米国が議定書から離脱したままで、温暖化防止への効果を疑問視する見方もある。

 また、最後まで議定書批准に慎重だったロシアは批准に際し、議定書の当初の有効期間が2012年に切れた後も国際的な気候変動対策の枠組みに残るかどうか態度を保留した。

 今後は「ポスト京都議定書」への各国の議論が、米国の動向や、議定書では削減義務を負わなかった発展途上国の関与とともに大きな焦点となる。

 議定書発効の鍵を握ったロシアは、欧州連合(EU)との世界貿易機関(WTO)加盟交渉のカードとして、議定書批准を活用。ことし5月にWTO加盟交渉が妥結したため、今月22日に与党多数の下院が批准、さらに上院でも圧倒的多数で批准法案を可決していた。

 京都議定書は(1)55カ国の批准(現在126カ国・地域が批准)、(2)批准した先進国の二酸化炭素(CO2)排出量が1990年の総排出量の55%(現在44・2%)−の2点が発効条件。17.4%のロシアの批准で、これらの条件が満たされた。(共同)

京都議定書の批准承認法案、ロシア下院が可決

2004/10/23 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【モスクワ=五十嵐弘一】ロシア下院は22日、地球温暖化防止のための京都議定書の批准承認法案を賛成334、反対73、棄権2で可決した。

 上院が法案を可決し、プーチン大統領が署名すれば、批准手続きは完了し、議定書はその90日後に発効する。順調に行けば、来年1―2月にも議定書は発効し、温暖化防止に向けた国際的な取り組みが本格的に始動することになる。

 京都議定書の発効には〈1〉55か国以上の批准〈2〉批准した先進国の二酸化炭素(CO2)排出量(1990年)合計が先進国全体の排出量(同年)の55%に達する――の2つの条件が必要。

 日本や欧州連合(EU)は批准を終えたが、米国が議定書を離脱したため〈2〉の条件が満たせずにいた。ロシアが批准すれば、発効要件の55%を超える。

 インターファクス通信によると、露上院の法案審議は今月27日で、早ければ同日中に可決される。

 ◆京都議定書=京都で1997年に採択。先進39か国・地域(旧ソ連、東欧諸国の一部も含む)に対し、2008―2012年までに二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を削減するよう義務づけている。

 削減量の割り当ては1990年比で欧州連合(EU)8%、米国7%、日本6%など。中国、インドなど途上国に排出削減義務はない。

ロシアが京都議定書批准へ 議会提案を30日の閣議で決定

2004/09/29 The Sankei Shimbun
 ロシア政府当局者は29日、インタファクス通信などに対して、地球温暖化防止のための京都議定書批准を議会に諮る方針を、30日の閣議で決めると述べた。

 1997年の採択以来、発効の目途が立っていなかった議定書は、早ければ数カ月後に発効の見通しとなった。議定書から離脱した米国を除いて温暖化防止に向けた国際的な枠組みが本格的に始動する。

 議定書の批准は下院、上院の承認、プーチン大統領の署名を経て成立するが、両院は大統領与党が圧倒的多数を占めており、批准は確実とみられる。議定書はロシアの批准後、90日を経て発効する。

 今後は、ロシアを軸とした排出権取引など発効後の温室効果ガス削減をめぐる駆け引きに焦点が移る。

 同当局者によると、閣議では下院に提出する批准法案を承認。関係省庁に、議定書発効でロシアが義務を負う温室効果ガス削減の方法などについて検討を指示する見通し。しかし同当局者は、法案提出の時期には言及しなかった。

 プーチン政権は、経済成長への悪影響や国内の根強い反対論を理由に批准に慎重だった。だが、ことし5月の欧州連合(EU)との首脳会議で、ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟交渉が妥結したことを受け、事実上の見返りとして批准の準備を急ぐ方針を明らかにしていた。

 ロシアのラブロフ外相は今月の国連総会での演説で「プーチン大統領の決定に基づき、京都議定書批准の問題を現実的に検討している」と言明、批准に前向きの姿勢を示していた。(共同)

東電、マレーシアに水力発電所…「排出権」獲得狙う

2004/09/10 読売新聞 Yomiuri On-Line
 東京電力は10日、三井物産などと合同で、マレーシアに水力発電所を建設することを明らかにした。東電が海外で水力発電所を建設するのは初めて。

 電力はマレーシアの国営電力会社に販売する。同国内の火力発電所などで発電する電気の一部を、水力発電に置き換えることで、二酸化炭素(CO2)換算で年約2・3万トンの温室効果ガスの排出権が獲得できるという。

実効性確保へ取り組み義務、新・温暖化対策で経産省案

2004/08/30 読売新聞 Yomiuri On-Line

 国際的な地球温暖化対策の枠組みである京都議定書の目標期間が終わる2013年以降の温暖化対策について、経済産業省がまとめた対策の骨子案が29日、明らかになった。

 経産省は環境省や外務省と調整して日本政府案を取りまとめ、12月にアルゼンチンで開かれる国連気候変動枠組み条約の締約国会議などで、各国に提案する方針だ。

 京都議定書は各国に義務付けた温室効果ガスの削減目標達成を対策の柱に据えたが、新たな温暖化対策の骨子案は、省エネ技術の開発・導入など、削減に向けた各国の「取り組み義務」を柱とした。京都議定書では削減目標への反発などでアメリカなどが参加を見送ったためだが、温暖化防止の実効性をめぐって、環境省などの反発も予想される。

 京都議定書では、主要排出国の中国やインドなどが義務の対象外のほか、最大排出国のアメリカは削減義務への反発から離脱した。

 骨子案は、温室効果ガス削減の数値目標を「各国内の削減努力の動機付けとして導入される、補完的な約束」という拘束力の低い位置付けとしている。

 経産省は、アメリカのほか、中国、インドなど排出量の多い途上国にも積極的な参加、協力を促し、実効性を確保したい考えだが、削減目標の達成義務を緩和することに、環境省などから異論も出そうだ。経産省は10月中にも最終案をとりまとめ関係省庁との調整に入る。

 対策の柱とした「取り組み義務」は各国の事情に合わせて定める。高い環境技術を持つ先進国は排出ガスから二酸化炭素を隔離する技術などで、技術内容や期限などの目標を設定する。

 一方、途上国には先進国から省エネ技術の導入や環境・エネルギー政策の立案などの支援を受け、削減に協力することを求める。

 

排出量取引市場を創設 市場原理で温暖化ガス削減

2004/08/03 中国新聞ニュース

 環境省は三日、二酸化炭素(CO2)や代替フロンなどの温室効果ガスの排出量について、市場原理を活用して、企業が互いにやりとりしながら削減する国内排出量取引市場を来年度から創設する方針を決めた。

 企業は削減目標を掲げて自主参加し、目標達成すれば省エネ設備などの補助金が受けられる仕組み。削減に余力がある企業が、削減に苦しむ企業に対して余剰枠を売ることで、全体として無理なく確実に目標を達成できるのがメリットだ。

 同省や三重県が取引実験を行ったが、本格実施は国内で初めて。同省は来年度予算の概算要求に、参加企業への設備補助金として数十億円を盛り込む方針。地球温暖化防止のための京都議定書の目標達成に向け大きく弾みがつきそうだ。

 排出量取引市場は既に英国が実施。来年一月には欧州連合(EU)が域内の取引をスタートさせることを決めている。

 同省は来年初めに参加企業を公募。各企業は、省エネ機器や環境への影響が少ない生産設備を導入した場合に、過去の排出実績からどれだけ温室効果ガスを減らせるかといった削減目標を自主的に定める。目標が妥当かどうかは第三者機関が検証。初年度は数十社の参加を想定する。

 参加企業の決定後、同省は必要な設備投資の一部を補助し、目標達成できなかった場合は返納を求める。企業は二年間かけて削減に努めるとともに、不足分は他企業から購入するか、植林など海外で実施した削減事業による削減分を充てることで目標達成を図る。

 取引は仲介業者を通じた相対取引が原則だが、過去の実験で行ったように売買の場も同省が設置する方針。

 同省は「不況で思い切った設備投資ができない企業を後押ししたい。参加企業のイメージ向上にもつながる」と強調している。

米自動車業界が提訴検討 温室効果ガス大幅削減計画に

2004/06/16 The Sankei Shimbun

 ロイター通信は15日、自動車から排出される二酸化炭素(Co2)などの温室効果ガスの大幅削減を義務付ける計画をしている米カリフォルニア州に対し、米国の自動車業界が計画撤回を求める訴訟を検討していると報じた。

 同州は州内で販売する自動車について、2009年から6年間で現行比約30%の削減を義務付ける規制導入を計画。業界は「1台当たり数1000ドルの値上げが必要になる」と反発し、撤回を強く求めている。

 同州は、全米の自動車販売のうち、約13%を占める大市場。(共同)

CO2排出量、京都議定書の目標達成は困難…経産省

2004/05/17 読売新聞 Yomiuri On-Line
 経済産業省は17日、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の需給部会に、将来の二酸化炭素排出量の試算結果を報告した。

 京都議定書が温室効果ガスの削減目標を定めている2010年度の排出量に関しては、現在実施している省エネ対策などがすべて予定通りの効果を上げた場合でも2億9900万トンと、議定書が目標とする1990年度の水準(2億8600万トン)を上回る見通しを示した。

 一方で、2030年度までの長期見通しでは、省エネが進展して、原子力発電所が今後10基程度建設された場合には、排出量のピークは2000年度(3億1700万トン)となり、2030年度には、2000年度比で約2割減の2億4600万トンまで減少するとしている。

 京都議定書の目標達成は極めて難しいものの、長期的な視点で見れば排出量を大きく削減できるとの見通しが示されたことで、政府が現在進めている地球温暖化対策推進大綱の見直し作業にも影響を与えそうだ。

京都議定書 地球温暖化防止、目標達成に黄信号 頼みの綱は排出権購入2004/05/07 The Sankei Shimbun

 七年前に採択された京都議定書の目標期間(二〇〇八−二〇一二年)が近づくなか、日本は二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を一向に減らせず、削減目標の達成が困難になっている。政府は「地球温暖化対策推進大綱」の見直し作業を今夏の中間取りまとめに向けて本格化させ、発電燃料の転換などの追加対策を模索しているが、決め手不足の感は否めない。外国からガスの排出権を取得して削減量に充てる方法に頼らざるを得ない状況だ。(村山雅弥)

 議定書で日本に課せられた目標は原則一九九〇年(平成二年)の基準年比で6%減。だが、二〇〇一年度(平成十三年度)ベースの実績は5・2%増。

 中央環境審議会(環境相の諮問機関)地球環境部会が四月中旬に公表した試算では、このままだと二〇一〇年(平成二十二年)には目標と10ポイントも差がある4・1%増か4・6%増になる見通しだ。

 オフィスや一般家庭、運輸分野で二ケタの伸びとなるほか、ガス削減効果の大きい原子力発電所の新増設計画が相次いで凍結・延期されたのが主因。森林によるガス吸収効果の目標値3・9%を差し引いても、目標達成は「極めてハードルが高い」(小池百合子環境相)のが実情といえる。

 中環審の地球環境部会は、火力発電のベースとなる燃料を石炭から天然ガスに替えれば、約千九百二十万トンのCO2削減が可能としているが、電気事業連合会は「燃料が偏りすぎると電力の安定供給上の問題が生じかねない」と否定的だ。

 環境省は化石燃料に課税する環境税の導入も目指しているが、経済界の反対が根強いうえ、政府内でも経済産業省や財務省が消極的。資源エネルギー庁は、一般家庭向けエネルギーの削減目標設定を“蛇口の元”の電力会社に求める意向だが、電力側が強く反発しており、導入のメドはたっていない。

 八方ふさがりのなか、残されているのは、目標達成に余裕がある外国から温暖化ガスの排出権を国や企業が購入し、削減量に充てる「京都メカニズム」の活用だ。途上国で実施した省エネ事業によるガス削減量を、自国分として計算できる仕組みもある。

 現大綱では「補足的な対策」と位置付けられているが、産業構造審議会(経産相の諮問機関)地球環境小委員会では議論の軸に据える方向。「合理性を欠く既存の政策の強化ではなく、大綱を京都メカニズムを幅広く活用した枠組みに変えるべきだ」(日本エネルギー経済研究所)との声が出始めている。

温室効果ガス排出、2010年に4%以上増加…環境省2004/04/17 読売新聞 Yomiuri On-Line
 

 環境省は16日、2010年の温室効果ガス排出量が、1990年比で4%以上増加するという試算結果をまとめ、中央環境審議会に報告した。温暖化防止のための京都議定書では、90年比で6%減少が義務付けられているが、目標達成は一層厳しくなった。

 同省は現在、「地球温暖化対策推進大綱」の見直し作業を進めており、現大綱の対策を実施すれば、温室効果ガスがどれだけの量になるかを検証。その結果、2010年時点では、90年比で4・1―4・6%増加する見込みであることが分かった。

「日本炭素基金」、今夏めどに創設 出資額に応じ排出権 2004/03/06 asahi.com

 政府系金融機関の国際協力銀行と日本政策投資銀行は、企業から出資を募り、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出権を共同購入する「日本炭素基金」を今夏をめどに立ち上げる。発展途上国の省エネルギー対策など温室効果ガス削減が見込める事業に、国際協力銀が民間銀行と協調融資して支援するとともに、基金は排出権を買い取り、出資額に応じて企業に配当する。京都議定書に定められた削減目標の達成に向け、官民一体で取り組む。

 基金には電力、石油会社や商社に出資を呼びかけ20社ほどの参加を見込む。100億円の規模を予定しているが、50億円ほど集まった段階で運用を始める。排出権獲得の需要が強い場合、さらに出資額の上積みも検討する。途上国の事業には、ごみなど有機物を燃やすバイオマス発電や火力発電所の補修などを想定している。

 国際協力銀は、政府の途上国援助(ODA)を通じ、温室効果ガス削減の見込める事業の情報を持ち、世界銀行が00年に設立した炭素基金にも出資、排出権をすでに得ており、排出権取引にノウハウがある。

 複数の売り手と買い手が参加し、自由に排出権を取引する市場は、ロシアの批准の遅れから京都議定書が発効していないため、確立していない。このため民間企業は炭素基金を使えば、単独で途上国支援事業に乗り出すより少ないリスクで排出権を取得できる。CO2の排出規制が企業に課せられた場合は、排出権を削減義務量に充てたり、市場で売ったりできる。

 日本は08年から12年の温室効果ガス排出量を90年比で6%削減することになっているが、逆に増加している状況。政府は今年、地球温暖化対策推進大綱の見直し作業に入り、企業への排出規制強化が議論される見込みだ。

CO2排出枠3万トン、世銀から初の獲得…電力6社

2003/07/21 読売新聞 Yomiuri On-Line
 東京電力など電力6社は20日、世界銀行が運営する炭素基金を通じて、二酸化炭素(CO2)削減に向けた排出枠を獲得したことを明らかにした。

 2000年に発足した世銀の炭素基金で具体的に排出枠の認定を受けたのは、日本の電力6社が世界で初めてという。

 排出枠は、チリの小規模水力発電事業を支援した結果として認められた。東電4512トン、中部電力5640トンなど、6社で計約3万トンとなった。東電などは今後、排出枠を世界的に売買する排出権取引市場での売買に参加する方向で準備を進める。

 世銀の炭素基金は、企業から募った出資金を開発途上国の発電施設の省エネ化事業などに充て、削減できたCO2の排出量を、出資額に応じて企業に排出枠として還元する仕組みだ。

 年内にも発効する見通しの京都議定書の中で、日本は2012年までに1990年比でCO2などの温室効果ガスを6%削減することを義務付けられている。今後、産業界にも具体的な削減枠が割り当てられるが、火力発電の過程で多量のCO2が発生する電力業界が厳しい削減義務を負うのは必至だ。実際の削減が間に合わない場合は、こうした形で獲得した排出枠を活用することになる。

家畜に「おなら税」!温室効果ガス削減でNZが検討

2003/07/06 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【シドニー=平井道子】ニュージーランド政府は羊や牛が出す“げっぷ”や“おなら”に含まれ、温室効果があるメタンガス削減のため、家畜の頭数に応じた新税の導入案をまとめた。農業団体は「畜産大国の屋台骨を揺るがしかねない」と一斉に反発している。

 国内に人口の10倍の3900万頭の羊がいる牧羊国ニュージーランドでは、国内の温室効果ガス総排出量のうち、羊や牛が出すメタンガスが38%(1999年)を占め、同国内で石油や石炭を燃やして発生する二酸化炭素に匹敵する。このため、メタンガスの発生を抑制できるえさの開発などが課題となっている。

 政府案によると、年間課税額は羊1頭につき9ニュージーランド・セント(約6円)、牛1頭につき54―72同セント(約38―50円)。ヤギや鹿も課税対象とする予定だ。税収は家畜の出すガスの削減技術の研究・開発費にあてる。2004年半ばまでに法制化したい考えだ。

 京都議定書でニュージーランドは、2008―2012年の温室効果ガス排出量を1990年水準に抑えなくてはならない。ホッジソン・エネルギー相兼研究・科学技術相は、2008年をめどに導入する炭素税で農家が対象外になっている点を指摘、「課税額は妥当なもの」と、農家に理解を求めている。

CO2削減へ企業別排出枠、環境省が検討

2004/06/17 読売新聞 Yomiuri On-Line

 地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出削減策を検討している環境省は17日、企業ごとに排出できるCO2の上限(排出枠)を決め、削減努力によって、これを下回った企業が、上限との差を他の企業に売ることができるとする「排出量取引制度」の原案をまとめた。18日の中央環境審議会地球環境部会に提示されるが、企業ごとの上限設定には「生産活動が制約される」と産業界が強く反対しており、論議を呼びそうだ。

 CO2を含む温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書で、日本は2008―2012年の年間排出量を、1990年比で6%削減するよう義務付けられたが、2002年度の排出量は7・6%も増えている。議定書は企業ごとの削減義務は課していないが、環境省は全体の8割を排出する企業を対象に、抜本的な削減策が必要と判断した。

 上限設定について、原案では、CO2の排出量が一定以上の企業を対象に、政府が決める方式のほか、各企業が自主的に定める2つの方式を検討対象にしている。環境省は年内に対策案をとりまとめ、政府の地球温暖化対策推進大綱に盛り込みたいとしている。

 日本経団連は「強制的な上限の設定は経済統制だ」と反発。経済産業省も16日のエネルギー環境合同会議で、「経済活動に抑制的な効果を与える手法は、経済と環境の両立という原則を損ない、不適切な結果を招くおそれがある」と、上限の設定に否定的な姿勢を明確にしている。

京都議定書、年内発効は困難な見通し

2003年04月26日 The Sankei Shimbun

 主要8カ国(G8)環境相会合が25日、パリで開幕し、鈴木俊一環境相とロシア天然資源省のオソキナ次官が会談した。環境省筋によると、地球温暖化防止のための京都議定書について鈴木環境相がロシアに早期批准を求めたのに対し、オソキナ次官は「ロシアの批准は今年中には実現するだろう」とだけ述べ、9月までの批准の可能性には言及しなかった。

 議定書はロシアの批准から90日後に発効するため、年内の発効は困難な見通しとなった。

 同筋によると、オソキナ次官は早期批准をロシア国会に働き掛けているが、経済界が慎重な構えで、批准が遅れていると説明。今後、欧州連合(EU)との間で二酸化炭素(CO2)などの排出権を売却するため予備交渉を始めるほか、9月にモスクワで世界気候会議を主催し京都議定書への理解を求めると述べた。

 議定書についての基本方針を取りまとめていたロシア経済発展・貿易省は3月下旬、経済的利益がないとして批准に消極的な内容の報告書をまとめており、批准作業が遅れている。(共同)

日露、CO2削減で協定締結へ

2003年03月03日 The Sankei Shimbun
 地球温暖化防止のための京都議定書に基づき、日本の経済産業省とロシア・エネルギー省の担当者が今年1月下旬にモスクワで協議し、二酸化炭素(CO2)の排出削減事業に関する政府間協定を締結する必要があるとの立場で合意していたことが3日分かった。ロシア政府筋が明らかにした。

 両国は今後、専門家による作業部会を設置、日本側の費用負担で温室効果ガスの削減量などに関する予備調査に入る。実施条件を詰め、正式協定を結ぶ見通しで、締結されれば国家レベルでは初の本格的な排出削減取引になる。

 協定締結については、ロシア政府が昨年6月に日本側に打診、双方が予備協議を重ねていた。

 この事業は、京都議定書が定めた「共同実施」の仕組みを活用。ハバロフスク州アムールスクとサハリン州にある石炭火力発電所の燃料を天然ガスに転換する近代化工事を日本側が請け負う見返りに、工事によって減少するCO2を日本側に全量移転、日本の排出削減分として組み入れる。

 このうち、ハバロフスク州の事業だけで毎年約100万トンのCO2削減効果が期待されている。ロシア側は、事業に付随する各種税の減免など実施に向けた環境を整備する。

 しかし、日本側はロシアの議定書批准を協定締結の前提条件とする姿勢。ロシアの批准は政府内の調整の遅れから見通しが立っておらず、締結の時期も大幅にずれ込む可能性がある。(共同)

経産省などがCO2排出権買い取り基金を年内創設

2003年03月02日 Yomiuri On-Line
 経済産業省は1日、日本政策投資銀行などと共同で、地球温暖化防止のための二酸化炭素(CO2)削減事業に海外で取り組む日本企業に対して資金を提供する「京都メカニズム対応ファンド」を年内にも創設する方針を固めた。

 このファンドは、京都議定書のルールに基づいて、電力会社などが開発途上国の火力発電所を改修してCO2排出量を少なくするといった事業を支援対象とする。通常の貸し付けや投資の形でなく、企業が削減事業などを通じて取得する「CO2排出権(クレジット)」の一部を買い取る形で資金提供するのが特徴だ。

 同ファンドは総額数十億円規模で、政策投資銀のほか、民間企業や民間金融機関から出資を募る。

 出資者は、出資比率に応じてファンドが取得した排出権を分配され、自社に課されるCO2削減義務量の達成分に組み入れたり、市場を通じて他社に売却したりすることができる。

 国際協力銀行も、民間企業と共同で、今夏にも「日本カーボンファンド(炭素基金)」を設立する方針だが、協力銀は途上国で温室効果ガスを削減する事業に対して、低利融資などの形で支援する点が異なる。

 ◆京都メカニズム◆

 他国で削減したCO2を自国削減分に繰り入れる手法。先進国間での「排出量取引」、先進国同士で削減事業を行う「共同実施」、先進国が開発途上国で削減事業を行う「クリーン開発メカニズム」の3種類がある。

スロバキアから排出権購入 住友商事

2002年12月18日 The Sankei Shimbun

 住友商事は18日、スロバキアが政府保証する二酸化炭素(CO2)排出権を購入することを明らかにした。2008年から4年間で20万トンの排出権を買い取る。地球温暖化防止の京都議定書によって、温室効果ガス削減目標を達成するために、国や企業に割り当てられた排出権を取引できるようになったが、政府が保証する排出権が売却されるのは世界で初めて。

 スロバキア政府は、同国内にあるエネルギー関連施設のエンジニアリング会社、メネルト社(シャラ市)が、石炭を天然ガスに燃料転換して得た排出権に、政府保証を付けて売却する。政府保証を付けることで排出権が国債と同じような価値を持つことになる。住商への売却額は公表していない。

 住商は、スロバキアから購入した排出権を、日本国内で排出枠を必要としている企業に売却したり、今後創設される国際的な排出権取引市場で売買する。

 京都議定書によると、08年から5年間のCO2排出量の削減目標は、スロバキアが1990年比で8%で、日本は6%。スロバキアは燃料転換などの対策で目標達成が可能な見通しだが、日本では目標達成のため多くのエネルギー関連企業や製造業で排出権の購入が必要とみられている。

カナダが京都議定書批准

2002年12月17日 The Sankei Shimbun

 カナダのクレティエン首相は16日、地球温暖化防止のための京都議定書の批准書に署名した。同議定書批准は99カ国目。

 議定書によってカナダは、2012年までに温室効果ガスの排出量を1990年水準に比べ6%削減しなくてはならない。現在の排出量に対する削減幅は20〜30%と推定されている。

 これを実現するには、エネルギー消費のパターンなど経済活動を大きく変革する必要がある。議定書不参加を決めている隣国米国との競争で不利になるとして経済界やエネルギー産業の中心地アルバータ州などが批准の先送りを求めていた。

 しかし、首相は「カナダのため、地球環境のため、未来の世代のために正しいことだ」と強調し、削減目標実現に向けて変革を呼び掛けた。(共同)

温暖化会議、米がインドなどと共闘

2002年10月31日 Yomiuri On-Line

 【ニューデリー31日=佐藤浅伸】ニューデリーで開かれている地球温暖化防止のための気候変動枠組み条約第8回締約国会議(COP8)で、先進国に温室効果ガスの排出削減を義務づけた京都議定書をめぐり、立場がかけ離れていた米国と一部途上国が共同歩調を取り、日本や欧州連合(EU)と対立するという奇妙な構図が生まれている。

 米国は途上国が削減に参加しないことなどを理由に議定書からすでに離脱している。一方、インドなどの途上国は削減義務を負えば経済成長に悪影響が出るとの懸念から、利害が一致した形だ。

 波紋を広げたのは、COP8の議長を務めるインドのバル環境・森林相が28日に発表した政治宣言(デリー宣言)の草案。その中には京都議定書に触れた文言が一切含まれず、先進国から途上国への技術移転や資金協力など全体に途上国側の主張にくみする内容になっていた。

 これに対し、EUは「とんでもない内容だ」と強い調子で非難したが、米国代表団は「総意を反映した前向きな文書だ」と評価し、インド案を側面支援した。

 政治宣言は1日に採択される予定だが、「(先進国と途上国の)溝が一気に埋まるとは思えない」(鈴木環境相)と悲観的な見方が強まっている。

温暖化防止:18日から受け付け開始 CDM事業など参加申請

2002年10月17日 Mainichi INTERACTIVE

 地球温暖化の防止を目指す京都議定書の発効に備え、政府は、二酸化炭素(CO2)などの削減目標達成手段として認められている「クリーン開発メカニズム」(CDM)事業などへの企業の参加申請を、18日から受け付ける。

 CDMは、日本企業が途上国で温暖化対策事業を行い、その事業によるCO2などの削減量を日本の削減量としてカウントできる制度。このほか、先進国同士で削減活動を実施する共同実施(JI)事業も受け付ける。環境省、経済産業省など5省が申請を受け付け、内閣府も含めた6省庁の「京都メカニズム活用連絡会」が審査し、事業を承認する。実施には相手国の承認も必要となる。

 日本は京都議定書で08〜12年の温室効果ガスの排出量を90年比で6%減らすことが義務付けられており、CDMとJIはその達成手段として認められている。 【足立旬子】

排出量取引で露と協議、CO2を年間百万トン以上

2002年09月14日 Yomiuri On-Line

 地球温暖化の原因となる二酸化炭素(C(O2))などの削減を先進国に義務付ける京都議定書の取り決めを達成するため、日本の協力でロシアが削減したC(O2)の排出量を日本が取得する方向で、両政府が非公式協議に入ったことが13日明らかになった。同議定書は、先進国が別の国でC(O2)削減対策に協力する見返りに排出量の分配を受ける「共同実施」というルールを定めているが、このルールに基づいて日本がロシア極東地域の火力発電所を改修し削減できたC(O2)を年間100万トン以上の規模で取得する案で調整が進められる。

 合意すれば、取得量はすでに決定しているカザフスタンからの取得の15倍以上となり、議定書達成に向けて大きな前進となる。

 政府筋によると、今夏にロシア政府が「共同実施」の協議を打診してきたことを受け、日本側は同日までに両国の専門家レベルによる協議を提案した。両国はこの協議を踏まえた上、C(O2)の削減方法や取得量など具体的な条件についての本格交渉に入る見通しだ。

 日本が批准した京都議定書は、2008年から2012年までの間に、温室効果ガスを1990年比で平均6%減らすことを日本に義務付けている。政府はそのうち1・6%分について、他国から取得して賄う計画で、年1900万トン以上を取得する必要がある。

 日本は他国から排出量を取得する第1号として、カザフスタンの火力発電所を改修してC(O2)を年6万2000トン取得する合意をしたが、「議定書に定められた取り決めの達成は、もっと大型の取引の実現なしでは難しい」との見方が出ている。一方、議定書批准の準備を進めているロシアは、削減義務が0%と緩いため、排出量を他国に譲渡する余裕がある上、極東地域の発電設備が老朽化して電力不足が問題となっており、両国の利害が一致した。

中国:京都議定書の批准書を国連に提出 中国国連大使

2002年08月31日 Mainichi INTERACTIVE

 【北京・坂東賢治】31日の中国通信社(電子版)によると、中国の王英凡国連大使は30日、ニューヨークの国連本部で地球温暖化防止のための京都議定書の批准書を国連側に手渡した。これで京都議定書の批准国は90カ国になった。米国に続く第2の二酸化炭素排出国である中国の批准は、批准を拒否している米国への一定の圧力になりそうだ。

 中国の京都議定書批准は、朱鎔基首相が南アフリカのヨハネスブルクで開かれている「環境・開発サミット」に2日から出席するのに合わせたものとみられる。王大使は「国際社会と共に環境を保護しようとする中国の決意を示したものだ」と強調した。

排出量削減事業行う企業に登録申請費など助成へ

2002年08月10日 Yomiuri On-Line

 地球温暖化対策の一つとして、「京都議定書」が定める「クリーン開発メカニズム(CDM)」について、環境省は9日、CDMを実施する国内企業などに、事業申請などの費用を助成する制度をスタートすることを決めた。CDMは、先進国が途上国で温暖化防止事業を行い、その結果生じた温室効果ガス削減量を自国の削減義務枠に繰り入れる仕組みで、同省は、途上国との交渉や計画書の作成、進行状況の把握などに要する経費を補助し、来年度予算に総額約3億円を要求する。事業の結果、企業が獲得した排出削減量は政府と分配する。

CO2排出権取引市場を創設へ

2002年08月10日 Yomiuri On-Line

 経済産業省は9日、京都議定書が定める温室効果ガスの削減義務達成に向け、民間企業が二酸化炭素(CO2)の排出量を取引する市場を今秋にも創設する方針を明らかにした。

 商品取引市場などに委託して、企業間の排出量の取引状況を記録しながら、排出量の売買に伴う資金の移動を決済するシステムを稼働させる。CO2取引市場はイギリスなどで作られているが、国内では初めて。産業界が自主的に削減量を定めた自主行動計画の実績を見ながら、来年以降、段階的に市場を拡大、産業界のCO2削減を後押しする方針だ。

 経産省は、まず各業界で自主行動計画を大幅に上回る削減を実施している20社ほどの企業を選定。選ばれた企業は、省エネや設備改修計画など、2007年末までのCO2削減計画を経産省に提出する。経産省は来年度に、これら企業の削減計画量に比例して、計10億円の補助金を交付する。

 各企業は、計画の進ちょく度合いを見ながら、遅れが出たところは、計画以上に達成している企業から排出量を購入するなどの市場取引を行う。

中国:京都議定書を批准へ 曽慶紅組織部長

2002年08月09日 Mainichi INTERACTIVE

 中国共産党の曽慶紅組織部長は8日夜、河北省の北戴河で日本の超党派の国会議員らでつくる「日中新世紀会」の訪中団と会談し「(中国は地球温暖化防止のための)京都議定書の批准の手続きを進めている」と述べた。時期は明言しなかったが、年内の批准を目指しているとみられる。

 中国は4月にソウルで開かれた日中韓の3カ国環境相会合で、早期批准の方針を示していたが、指導部が批准の手続きに言及したのは初めて。

 会談後の9日、団長の遠藤乙彦公明党国際委員長が明らかにした。

 中国は二酸化炭素(CO2)などの削減義務を課されていないが、米国が同議定書からの離脱を表明している中、大国、中国の動きは早期発効に弾みをつけることになる。(北京・共同)

米国に温暖化対策求める 太平洋島しょ国会議が閉幕

2002年08月17日 The Sankei Shimbun
 フィジーの首都スバで開かれていた太平洋域内の協力機構、太平洋島しょ国会議(PIF、オーストラリアなど16カ国・地域加盟)の首脳会議は17日、域内安全保障の重要性を確認し、各国の反テロ、国際犯罪防止策強化をうたった「ナソニニ宣言」を採択。また米国などに地球温暖化対策の努力を求める内容を盛り込んだ声明を発表し閉幕した。

 来年の首脳会議はニュージーランドで行われる。

 声明では、地域の大国オーストラリアが批准を拒否している京都議定書について「関係者すべてに批准を求める」と明記。オーストラリアは議定書で定められた排出目標達成に向け国内対策を進めるとした。

 日本のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料など、域内を通過する核物質の海上輸送については「深刻な懸念」を表明。輸送当事国との事前協議を要求する姿勢を示した。

 独立運動が続くインドネシア領イリアンジャヤ(西パプア)への対応では、インドネシアの特別自治法成立を歓迎。一方、相次ぐ流血の事態に懸念を表明し、特別自治の全面実施を求めた。(共同)

温暖化防止へ、環境省がPR専門家2人を採用

2002年07月30日 Yomiuri On-Line

 温暖化防止対策の柱の一つ、国民啓発の分野で民間の知恵を借りようと、環境省は30日付で、PRの専門家2人を採用した。元東京パルコ劇場部長の伊東準一さん(53)と消費生活アドバイザーの青柳恵美子さん(48)。公募を経ての2年間の任期付き採用で、それぞれ地球温暖化防止国民生活推進室の課長補佐と主査になる。

CO2排出権、カザフから取得…年6万t、他国から初

2002年07月07日Yomiuri On-Line

 日本、カザフスタン両政府は、京都議定書が先進国に温室効果ガス削減を義務付ける2008年から2012年の間に、日本が毎年約6万2000トンの二酸化炭素(CO2)の削減量(排出権)をカザフスタンから取得する契約に調印した。経済産業省の外郭団体である新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が西カザフスタン州ウラルスク市で近く、火力発電所を改修し、削減できるCO2の全量にあたる毎年約6万2000トン分を日本の削減分に移転する内容だ。京都議定書が定めた温室効果ガスの削減義務を達成する方策の1つで、日本が他国とこうした契約を交わすのは初めてだ。

 日本が批准した京都議定書は、2008年から2012年までの間に、温室効果ガスを1990年比で平均6%減らすことを日本に義務付けている。

 政府はそのうち1・6%分は海外からCO2排出権を購入(排出量取引)したり、他国のCO2削減に協力して削減量の分配を受ける(共同実施)などで賄う計画を明らかにしていた。カザフスタンのケースはその第1号で、共同実施に当たる。

 共同実施は、途上国でのCO2の排出削減に貢献する一方で、先進国の削減負担を減らす方策として注目されている。ただ、日本が「海外から1・6%分」を達成するには、年間1900万トン以上を取得する必要があり、年間6万2000トンはそのうちの微量に過ぎない。

 このため、経産省は今後、民間企業などによる諸外国・地域との間での同様取引の活発化を期待しており、取引を支援していく方針。

 京都議定書は、1997年に京都で開かれた気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)で採択された温室効果ガス削減の指針だ。先進国全体で温室効果ガス排出を2008年から2012年の間に平均で、1990年よりも5%削減することを定めた。

 一方、途上国は削減義務を負っていない。アメリカが京都議定書から離脱した理由として、途上国が削減義務を負っていないことへの不満が指摘されている。

政府、京都議定書を批准

2002年06月04日 The Sankei Shimbun
 政府は4日の閣議で、地球温暖化防止に向け、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量削減を義務付けた京都議定書の批准を決めた。国連事務局(ニューヨーク)に同日(現地時間)、寄託。

 議定書批准で、温室効果ガス排出量の2008−12年の平均を、1990年比で6%減らすことが日本の国際的義務になった。

 8月の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(環境・開発サミット)」で発効するには、今月6日までの批准が必要で、欧州連合(EU)加盟15カ国も、5月末批准手続きを済ませている。

 ただサミット期間中の発効は、ロシアの批准の遅れから、事実上不可能になっているが、日本として期限に間に合わせたことで、議定書に関する国際的発言力を維持した形だ。

 議定書に関連して、行政機関や住民の取り組みを定めた改正地球温暖化対策推進法が、5月末に国会で成立。CO2排出量削減を目指し、今年3月決まった新たな地球温暖化対策推進大綱は、冷暖房や照明の節約など省エネルギーの細かな取り組みを国民に求めている。

炭素税導入の検討表明 議定書批准で上野氏

2002年05月21日 The Sankei Shimbun

 上野公成官房副長官は21日午後の記者会見で、衆院が地球温暖化を防ぐための京都議定書の批准を承認したことに関連し、議定書で義務付けられた削減目標を達成するため、温室効果ガスの排出量に課す炭素税(温暖化対策税)の導入を検討する考えを示した。

 議定書批准に伴い日本は温室効果ガス排出量の6%を削減する国際的な義務を負う。政府内には国内対策の一環として、排出量に応じた「炭素税」を企業に課すべきだとの意見が出ているが、政府高官が導入検討を言明したのは初めて。景気が低迷している中での炭素税導入検討は、産業界の反発を招きそうだ。

 上野副長官は炭素税導入問題について「1つ1つ検討していかなくてはいけない。批准するのだから、ありとあらゆる方策を政府を挙げてやっていく必要がある」と述べた。

フロン放出会社を行政処分 大阪府と枚方市

2002年05月02日 The Sankei Shimbun

 家電リサイクル会社「関西リサイクルシステムズ」(大阪府枚方市)が回収したエアコンなどのフロンを大気中に放出した問題で、大阪府と枚方市は2日、廃棄物処理法に基づき、同社に改善命令を出した。

佐川急便が6%削減の覚書 WWFと地球温暖化対策

2002.04.26 Kyoto Shimbun

 佐川急便(京都市)は26日、地球温暖化防止に向け天然ガス車の6000台導入などの取り組みで、京都議定書が日本に義務付けた二酸化炭素など温室効果ガスの6%削減を社内で達成することを目指す覚書を、財団法人「世界自然保護基金(WWF)ジャパン」と締結した。

 同社は計画を立てた上で、企業の温暖化防止への取り組みを国際的に認定するWWFの「クライメート・セイバーズ・プログラム」に1年後に参加する。IBMなど6社がWWFと覚書を結んでいるが、日本企業では初めて。

地球温暖化:G8環境会議宣言採択 カナダ・バンフ

2002年04月15日 Mainichi INTERACTIVE

 カナダ・バンフで開かれていた主要8カ国(G8)環境相会議は14日、8月に南アフリカ・ヨハネスブルクで開かれる「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(環境・開発サミット)に向け、地球温暖化防止の重要性などを再確認する環境大臣宣言を採択して終了した。

グループ内で排出量取引―日立製作所=CO2で「京都議定書」先取り

2002.01.21(時事通信)

 日立製作所は21日までに、地球温暖化防止に向けた二酸化炭素(CO2)の削減を進めるため、グループ内の事業所間で排出量取引を実施することを決めた。2002年度から2年間のシミュレーションを経て、04年度からは実際に金銭をやりとりする本格的な制度とする計画。CO2の排出削減の意欲を引き出すのが目的だ。

 温暖化防止を定めた京都議定書にも、排出削減目標に届かない国が途上国などの排出削減実績を購入するという形で排出量取引の仕組みが盛り込まれている。日立は、一足先にグループ内でこの手法を活用する。 

中国国連代表、京都議定書の早期発効を呼びかけ

2001年11月29日「人民網日本語版」
中国国連代表団の王玲氏は28日、国連で演説を行い、京都議定書の早期発効に向け国際社会が協力を強化していく必要性を訴えた。

王氏は「有効な資金と技術援助が温暖化に対する発展途上国の適応力強化の重要な条件」との認識を示したうえで、「各国はボン会議が設置を決めた特別気候変動基金、後発発展途上国基金、技術移転専門家グループは、気候変動枠組み条約における大きな進展だ」と強調した。

温暖化防止:CO2削減へ国内制度の骨格まとめる/環境省

平成13年11月15日 Mainichi INTERACTIVE
 

 

 政府が地球温暖化防止のための京都議定書批准の方針を示したこと受け、環境省は、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出削減目標を達成するための国内制度の骨格をまとめ、15日、中央環境審議会地球環境部会の小委員会に報告した。

 企業による排出量削減の自主的努力と第3者機関による検証を柱としている。同省は同制度を次期通常国会に提出する地球温暖化対策推進法改正案に盛り込む。

 制度の骨格は、企業や団体に、CO2排出量を自ら把握し、その抑制計画を作成するよう求める▽取り組みが効果的に実施されているかどうかを国が認定した民間の第3者機関が検証する、との内容。

 取り組みの成果は05年時点で審査し、その後の国内制度に反映させる。05年までに望ましい成果が上がらなければ、より強い削減策を国が検討することにしている。

 また、経済界から反発の強い環境税については、今後も検討を続け、「状況に応じて導入」として当面は導入しない考えを示した。

 日本は、京都議定書を批准すると、08〜12年の5年間平均で90年比6%の温室効果ガスの排出削減が義務づけられる。 

特集:地球温暖化防止会議、最終合意

2001/10/27 by NIKKEI NeT

温暖化、カーボン・クレジットで巨大市場の可能性

平成13年9月17日 (朝日新聞)「アジアを脅かす温暖化」アジアネットワーク

 京都議定書が’02年にも発効の見込みとされている中、「クリーン開発メカニズム(CDM)」を活用した新たな環境ビジネスが誕生しつつある。

 CDMにより、海外で削減して得た"預金"は「カーボン・クレジット」と呼ばれ、自社の削減分として勘定できるだけなく、余剰分は「排出量取引」と同様に市場で売却できるようになる。

 カーボン・クレジットが大豆や金のように"商品"として取引されれば、巨大な市場が出現するというわけだ。クレジットが安い時に買って、高い時に売れば企業は差益を得る仕組みである。

 

 7月末、COP6再開会合の結果を待っていたかのように、東京では二つの模擬実験が相次いだ。

 三井物産が行った実験には、電力、自動車、鉄鋼など22社が参加。「国が各企業の排出割り当てを発表した」、「植林のCO2吸収効果が見直された」・・・・・。 インターネットに仮想のニュースが流れる度にCO2が活発に取引された。この日の市場ではCO2は、1トン1千円から4万円まで激しく動いた。

 排出量取引で世界最大の米国企業の日本での合弁会社ナットソース・ジャパンと三菱総合研究所が開設した仮想市場には、銀行、商社だど33社が参加している。

 自社で削減するか。海外でCDMに乗り出すか。市場でクレジットを購入するか。CO2削減にかかるコストの低減は、企業にとって大きな問題だ。

 英国では来年から取引制度を発足させると発表し、取引市場ではすでに本物のCO2が取引され、日本も国内制度の検討を始めた。  排出取引市場は、「将来24兆円規模になる」。うち、アジアでの売買高は7、8兆円、日本では1兆円程度と見込まれている、としている。

模擬実験に33社 COP7にリポート 温室効果ガス排出権利取引

2001/09/11 産経新聞

 三菱総合研究所(東京・千代田区)とナットソース・ジャパン(東京・中央区)は十一日、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出権取引について模擬実験を始めた。三菱商事、コスモ石油、東京ガス、三和銀行など三十三社がインターネット経由で参加。実験結果はリポートにまとめ、十月下旬にモロッコで開かれる気候変動枠組み条約第七回締約国会議(COP7)期間中に発表する。 

 今回の実験は、十一−十九日の土曜、日曜日を除く一日を一年と想定し、二〇〇六年(平成十八年)から二〇一二年(二十四年)にあてはめる。

 参加企業は当初二日間で、収益をあげながら温室効果ガス排出量の削減目標に沿った省エネなどの排出削減策を模擬適用。そのうえで、二〇〇八年に相当する十三日から排出権取引を始める。

 同様の実験は、前提条件を変えて二十五日から十月三日にも実施する。

 七月にドイツのボンで開かれたCOP6(地球温暖化防止ボン会議)では、日本、欧州を含めた各国が京都議定書に基づく温暖化ガス削減に合意しており、排出権取引の実施に向けた企業の関心が高まっている。このため、主催者側は、参加企業に温暖化ガスの排出削減戦略にかかわる意思決定プロセスなどを検討する機会を提供したいとしている。

COP6再会合の法的文書、完成はCOP7に持ち越し

2001年07月30日 エコロジー シンフォニー

 気候変動枠組み条約第6回締約国会議(地球温暖化防止ボン会議、COP6)再開会合は最終日の27日、京都議定書の運用ルールを細部まで詰めた法的文書の完成を目指したが、時間切れで閉幕した。

 文書完成は10月にモロッコ・マラケシュで開かれる第7回締約国会議(COP7)に持ち越される見通しとなった。

 再開会合は、昨年11月にオランダ・ハーグで決裂したCOP6を受けて開かれた。ブッシュ米大統領が今年3月、議定書不支持を表明し、議定書の死文化が危ぶまれていた。
 議定書は、23日の閣僚級会合で運用ルールの骨格について政治合意し、その骨格に基づき、27日までの事務レベル会合で、条約のもとで通用する運用ルールの法的文書の詰めの作業を行った。

 しかし、事務局がまとめた文書に対し、途上国が「閣僚級会合での合意と異なる」などと反発。削減目標を達成できなかった場合の罰則制度の解釈をめぐっても、欧州連合(EU)・途上国と日本・カナダなどが対立し、会議は2度にわたり空転した。その結果、COP7に持ち越される見込みとなり、各国の批准の手続きが停滞する恐れが出てきた。

 議定書は、55カ国以上の批准と、先進国の批准国が1990年に排出したCO2量の合計が先進国全体の55%を超えることが発効の条件。米国が不支持を表明し、発効には日本の批准が不可欠となっている。また発効は批准の90日後となるため、2002年発効には同年9月までに各国が批准しなければならない。(資料:7/27日付 毎日新聞ニュース速報)

米、京都議定書の代替案提出せず=COP7で−環境保護局長官

201年07月27日配信【ワシントン27日時事】

 ホイットマン米環境保護局(EPA)長官は27日付の米紙ワシントン・ポストとのインタビューで、米国は10月にモロッコで開かれる気候変動枠組み条約第7回締約国会議(COP7)で京都議定書の実質的な代替案を提示しないだろうとの見通しを示した。同長官は地球温暖化問題での早期交渉再開に米政府はほとんど関心がないと述べ、国内などでの温室効果ガス抑制策に集中することになろうと強調した。

 同長官はまた、ボンにおけるCOP6再開会合での合意が効果的なものか疑わしいと指摘。ブッシュ政権は科学技術研究や、深刻な環境汚染問題を抱える開発途上国への技術移転など、他のアプローチを追求していくことになるだろうと語った。

 ブッシュ政権下ではパウエル国務長官が先に、代替案について「具体的なアイデアをCOP7で提案したい」と述べていた。

「地球温暖化に伴う海面上昇に対する国土保全研究会」の設置について

平成13年07月25日国土交通省

1.目的

 近年、地球温暖化に伴う海面の上昇により、国土保全への影響が懸念されている。 本年4月の“気候変動に関する政府間パネル/IPCC”第3次報告においても、19900年〜2100年において、最大88cm海面が上昇すると予測されている。四方を海に囲まれた日本では、海岸を中心に特に甚大な影響が懸念されることから、早急に対応策を検討する必要がある。

 このような状況に鑑み、21世紀の日本が確保すべき国土の安全性への要請に応えていくために、今後の状況変化に応じて生じ得る海面上昇に対応した適切な国土保全対策について調査検討することを目的として、様々な分野の有識者からなる研究会を設置する。 (後略)

COP6再会合、日本の選択肢が一層狭まる

2001年07月03日 The Chemical Daily - News

 小泉純一郎首相が訪米しても、米国の京都議定書離脱の姿勢は全く変化をみせなかった。そればかりでなく、首相は「米国と協力して地球温暖化防止に取り組めば、より実効的なものができる」と表明し、ブッシュ大統領と高級レベル協議を早急に開始することが合意されたに過ぎない。しかし、この会談が再開COP6(地球温暖化防止会議)に対して、日本政府がどういう態度で臨むのか一層難しい選択を迫られることとなった。場合によってはCOP7、あるいはCOP8へ結論の先延ばしも選択肢の一つとなった。

国連環境計画、中国の温室ガス排出削減努力を評価

2001年07月02日「人民網日本語版」

国連環境計画(UNEP)と世界エネルギー理事会は1日共同でレポートを発表し、温室ガス排出を減少させるために中国政府が行った、確実な努力と大きな成果を高く評価すると同時に、国際社会に向けて自覚ある行動を取り、温室ガス排出量を確実に減少させようと呼びかけた。

レポートでは、効果的な措置が取られれば、経済成長による温室ガス排出は食い止めることができると指摘、中国がその良い例となったと述べられている。中国の二酸化炭素排出量は昨年4億〜9億トン削減した。

UNEPのクラウス・テップファー事務局長は、「中国では1996年以降、急速な経済成長を続けているが、二酸化炭素の排出量を12〜17%削減させることに成功した。中国の成果は、各国を勇気づけるものだ」と評価した。

レポートではまた、米国の現状について憂慮せざるを得ないと指摘。米の温室ガス排出量は1990年の48億トンから1998年には54億トンに増加し、全世界の二酸化炭素排出量の23%を占め、世界最大の排出国となっている。

COP6議長、日本に大幅譲歩 米抜き発効に決断迫る

2001年06月12日 asahi.com(詳細)

二酸化炭素排出権の優先購入権取得 コスモ石油が豪の植林会社から

2001.06.07(共同通信)京都新聞

 コスモ石油は六日、オーストラリアの植林会社との間で二酸化炭素(CO2)排出権の優先購入権(オプション)を取得する契約を締結したと発表した。

 二酸化炭素の排出権取引は、先進各国に温室効果ガスの排出削減を義務付けた一九九七年の京都議定書で提唱されて以降、欧米で取引が活発化しつつあるが、日本の石油業界では珍しい。同社によると、排出権の優先購入権取得は世界初。

 石油精製時に発生する二酸化炭素の削減は、地球温暖化防止への取り組みとして注目されそうだ。

 植林会社はオーストラリア南西部のパース付近でユーカリを植林、うち五千九十二ヘクタールの土地から生まれる二酸化炭素排出権についてコスモ石油と契約した。

 コスモ石油は植林会社に対して百万豪ドル(約六千二百万円)を支払い、二○一二年までの間に二酸化炭素排出権百万トン分を一定価格で購入する権利を得る。さらに百八十万トン分を市場価格で優先購入可能。

 コスモ石油は本年から二○一○年までに累計四百万トンの二酸化炭素排出量削減を目指しているが、今回の契約でその半分以上を手当てできる。

 エネルギー業界では中部電力がトーメンと共同でオーストラリアの発電会社から二千トンの二酸化炭素排出権の購入を決めている。

二酸化炭素抑制で対応策/県産業振興公社

2001.04.06 琉球新報

 世界規模で地球温暖化への対応が大きな課題としてクローズアップされる中、沖縄県産業振興公社は二酸化炭素の排出抑制や新エネルギー開発への方向性を検討した「中小企業者の新エネルギー開発及び環境問題の対応に向けた調査報告書」をこのほど発刊した。報告書は同公社が民間の沖縄計画機構に委託して作成した。

 県は温室効果ガスの排出量を2010年までに98年比で12%削減する目標を打ち出している。報告書では、県内の温室効果ガスの排出量を約985万9000トン(1998年度ベース、各ガスを二酸化炭素換算)と具体的に試算、その中で二酸化炭素が全体の87%を占めることを明らかにした。

 二酸化炭素排出量の中で、自動車が18・6%と最も多く、次いで業務系18・4%、家庭16・7%と続き、そのトップスリーの排出量を減らすことを課題として挙げた。

 さらに、県内で新エネ導入に取り組む企業を紹介しているほか、ゴミ発電や家畜のふんを利用したメタンガス発電、廃食用油を利用したディーゼル燃料など県外の先進例も紹介。三菱重工業長崎研究所が60ヘクタールのサトウキビ耕地が確保できれば5000台分の自動車燃料を約1年分賄えるとする試算結果から、仮に県内で1年で収穫されるサトウキビからアルコール燃料を生産した場合、県内すべての自動車(原付き自転車含む)の燃料を1年間まかなった上、25%の余力が残るとする試算も報告した。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会第6回会合の結果について

平成13年03月05日

COP6再会合、7月16日から27日にドイツ・ボンで

2001.03.01 asahi.com

 昨年11月に決裂した気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)の再会合が、7月16日から27日までの日程でドイツのボンで開かれることが1日決まった。ボンにある条約事務局から環境省に連絡があった。再会合は当初、5月の予定だったが、米国のブッシュ新政権が準備のため延期を求めていた。

COP6の再会合、6月下旬か7月上旬にも開く

2001.02.13 asahi.com

90年策定のCO2削減目標、達成は絶望的

2001.02.10 asahi.com

 「2000年以降、二酸化炭素(CO2)排出総量を1990年レベルに安定化する」。政府が90年に決めたCO2抑制目標の達成が絶望的になった。90年以降、排出総量の増加傾向に歯止めがかからず、99年は90年比9.8%増(推計値)。2000年の排出総量は未集計だが、政府関係者は「達成は極めて厳しい」と認めた。

 この目標は、全閣僚から成る関係閣僚会議が90年10月に決定した「地球温暖化防止行動計画」。政府が決めた最初の温暖化対策で、現在も効力がある。気候変動枠組み条約ができる前の同年11月、第2回世界気候会議で国際的に表明された。

 CO2抑制策として、住宅の断熱構造化、地域熱供給システムの普及、自動車の燃費改善、鉄道・内航輸送への誘導、ピーク時の電力需要低減、ライフスタイルの転換などを推進することが盛り込まれている。

 実際にはむしろ後退した項目もあり、貨物輸送の割合は自動車が50%(90年)から53.7%(97年)に増えて鉄道・内航がその分減った。CO2排出総量は、93年と98年に景気低迷のため一時的に落ち込んだほかは増える傾向が続いている。

 97年の京都議定書で、日本は2010年までに温室効果ガスを90年比で6%削減する目標が課せられた。政府は、規制だけでなく、税や排出量取引などあらゆる政策措置を組み合わせて対策を講じる考えで、エネルギーの長期需給見通しも見直しの作業中だ。

自動車フロン回収へ補助金 経済産業省

2001.02.01 The Sankei Shimbun

 経済産業省は一日、自動車のエアコン用として使用されているフロンの回収を進めるため、自動車解体事業者がフロン回収装置を購入する際に補助金を出すことを決めた。

 全国に約五千社あるという解体事業者に対し、五十−六十万円の装置購入費のうち国が三分の一、日本自動車工業会と日本自動車部品工業会とで三分の一を補助する。同省は関連事業費として二○○○年度補正予算で六億円を計上している。

 同日から今月二十八日まで、各都道府県庁のフロン回収担当部署を通じ事業者の応募を受け付ける。

CO2吸収するケナフを栽培 市民団体が企業と代行契約

2001.01.04 asahi.com

 車が排出する二酸化炭素(CO2)を吸収するとされるケナフを、業務用車両を多く保有する企業に代わって栽培し、育ったケナフを壁紙会社に買い取ってもらったり、その企業の名刺に活用してもらったりする――埼玉県岩槻市の市民団体「さいたまケナフの会」がこの春から、こんな試みを始める。20世紀は紙の浪費や大気汚染が悪化した世紀だった。「新世紀に、企業も環境を重視して」と同会の栄京子代表は話している。

 同会によると、例えば企業の業務用車両が1日100リットルのガソリンを使う場合、排出されるCO2を吸収できるケナフの量は990平方メートル分。その栽培を年間約10万円で引き受けるという。実際の栽培は農家に有料で依頼し、5月から9900平方メートルで始める。ケナフは、紙の原料になるため、生育したら壁紙会社に壁紙の材料として買い取ってもらう。委託企業が名刺や封筒などに利用することもできる。すでに、環境保護に関心がある複数の企業から受注したという。

 ケナフはCO2の吸収量が多いことや、一年草で成長が早く木材代わりに紙の原料になることから注目を集め、日本でもあちこちで栽培の動きがある。一方、外来種のためむやみに植えると生態系を破壊する恐れや、生育した後に利用しないで燃やすなどしたら余計にCO2を出す、という指摘もある。

 同会はこうした問題を避けるため、管理した畑で栽培し、育った後の利用も考えた。「大きな輪にしたい」と栄代表は言っている。

国際線航空機などの温室効果ガス削減 日本が具体策検討

2001.01.04 asahi.com

 地球温暖化をもたらすとされる二酸化炭素などの「温室効果ガス」を削減するため、運輸省は、国際間の取り決めがなく「野放し」状態となっている国際線航空機や船舶の規制について、本格的な検討を始めた。国際的な関心が高まりつつある中、海運や航空輸送に頼る「島国・日本」として対応を急ぐべきだと判断したためだ。具体的な取り組みは世界でも例がないといい、運輸省は今秋の気候変動枠組み条約第7回締約国会議(COP7)や、来年1月に日本で開催する「環境に関する先進国交通大臣会議」で、国ごとの削減目標値の割り当て方法などの具体策を提案したい考えだ。

 国際交通機関の燃料(バンカー油)を排出源とする温室効果ガス量は、世界全体の排出量の約4%と言われ、日本が世界全体の排出量に占める割合である約5%に匹敵する。

 現在、バンカー油による温室効果ガスに対する規制はない。出発地と到着地、通過ルートなどが複数の国にまたがり、「どの国がどれだけ削減するのか、各国の利害が絡み合って意見がまとまりそうもない」(運輸省幹部)ためだ。各国に削減目標が割り当てられた1997年の京都議定書でも、国際交通機関は対象から外された。

 しかし、オランダ・ハーグで昨年11月に開かれたCOP6で、仏シラク大統領が「国際航空からの排出ガスには、汚染者負担の原則が適用されなければならない」と演説した。世界の海上輸送量のうち日本が占める割合は約17%、国際航空貨物量では7%強で、米国に次いで多い。COP6では、森林による二酸化炭素吸収量を最大限認めようとする日本と米国が、厳しい規制を求める欧州連合(EU)と対立した経緯もあり、「このままでは日本が悪者になりかねない」と急きょ対応に乗り出した。

 運輸省は昨年末、大学教授や関係団体などで構成する検討委員会を発足させた。今後、バンカー油による温室効果ガス削減の各国への割り当て方法として、(1)給油地(2)運送業者の所属国や在籍国(3)出発国と到着国で分担、などの案を軸に検討を進める。各国は削減目標に応じて、航空機や船舶のエンジンを改良したり運航量などを調整したりするなどの対応を迫られることになる。

 同省は、運送業者だけでなく荷主にも応分の負担を課すシステムも念頭に置いているが、通産省や産業界の反発が予想されるため、関係省庁や業界にも協議を呼びかける方針だ。

都、ビルの「屋上緑化」義務化へ 温暖化現象防止で

2000.12.14 asahi.com

 この100年間で、東京の平均気温は2.9度も上昇した。こんな都心の「ヒートアイランド現象」に歯止めをかけようと、東京都は自然保護条例を改正し、国内で初めて、新改築のビルに「屋上緑化」を義務づけることを決めた。一定の敷地面積を超えるビルを対象に、緑化計画書の届け出を義務づけ、従わない場合は罰金を科す。15日の都議会で可決され、来年4月から施行の見通しだ。新しい緑地の出現は、温暖化防止だけでなく、大気の浄化、都会の潤いづくりにも一役買いそうだ。

 都環境局によると、都内全域の敷地面積が250平方メートル以上の公共施設と、1000平方メートル以上の民間施設を対象に「緑化計画書」の届け出とともに、利用可能な屋上スペースの20%に樹木や芝、草花などを植えることを義務づける。屋上緑化が困難な場合は、それに見合った面積を敷地内に確保させる。

 改正案では、計画書を出さない事業者には勧告を行い、従わなければ20万円以下の罰金を科す。

 都の試算では、東京23区内だけでも、商業地や準工業地などの屋上の面積は約8000ヘクタールにのぼる。その2割が緑化されれば、日比谷公園の約100倍に相当する1600ヘクタールの緑地が中空に出現することになるという。

 屋上緑化は、ヒートアイランド現象の緩和だけでなく、大気浄化などにも効果がある。土や緑が断熱材の役割を果たすため、ビルの省エネルギー効果もある。

 都は条例改正に先立って今年4月から、屋上緑化の指導をしてきた。条例案と同じ規模のビルが対象で、9月までに対象となった219件のうち109件が屋上緑化を届け出て、緑化される総面積は1.75ヘクタールにのぼった。好調な滑り出しに、同局の担当者も「多くの事業者が協力的だった」と驚くほどだった。

 屋上の緑は都心のビル街に潤いも与えている。昨年7月に新装され、屋上の2カ所が緑化された板橋区の都立豊島病院の事務局は「患者さんが花の手入れを楽しんだりしている。目に見えない効果もあるのでは」と話す。

 都環境局によると、屋上緑化を義務化しているのは世界でもドイツの都市に例があるだけという。都の先駆的な取り組みに注目して、この夏にはシンガポールからも視察団が訪れた。

人類の責任

2000年12月08日 東奥日報

 地球温暖化は人間の活動が引き起こしているのか、それとも自然現象なのか。化石燃料の排出を減らし温暖化対策を進めるためには、この論争を決着させる必要があった。

 世界的な気候関係の科学者が集まる組織「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が来春にもまとめる第三次評価報告書は、この論争に決着をつけそうだ。第二次までのIPCCの報告書は「地球の気候には、識別できる影響を人間が与えていることを示唆する」という表現だった。第三次報告書最終案は「人為的な温室効果ガスの排出で大気中の濃度が上昇し、過去五十年間の地球温暖化が引き起こされたのは確実だろう」と表現、人類の責任を公式に認めている。

COP6、対立埋まらぬまま終わる

2000.11.26 asahi.com

 気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)は最終日の25日、先進国の温室効果ガス削減目標などを定めた「京都議定書」の細かなルールを決めるため非公式の閣僚折衝を続けたが、多くの対立点が残り、合意できずに終わった。特に森林の二酸化炭素(CO2)吸収量をどこまで認めるかでは、最大限認めようとする日本、米国と、厳しい規制を求める欧州連合(EU)が激しく対立、決裂の主な要因になった。これで先進国が目指していた京都議定書の2002年発効は絶望的となった。条約事務局は、来春にCOP6を再開し、合意を目指すことにしている。

 閣僚折衝は、プロンク議長(オランダ環境相)が23日に示した最終調停案をもとに、EUや日米、途上国などがそれぞれ修正案を提示、話し合いを続けた。しかし、森林吸収の算定方法や、排出量取引などの細かなルール、途上国支援の基金など多くの問題で議論は難航。特に、日本、米国、カナダが主張している森林吸収を最大限認める案には、EU側の反発が大きくこう着状態となった。

 25日朝、英国などが森林吸収で日本、米国などに譲歩する動きを見せ、「一時的に合意に近づいた」(川口順子・環境庁長官)が、EU内部から「京都議定書を無にするような案は受け入れられない」(オランダ、オーストリア)との不満が噴き出し、結局、合意には至らなかった。

 COP6は、COP3で決まった「京都議定書」の詳細なルールを決めるのが大きな課題。13日から18日まで事務レベル会合を、19日から閣僚会合を開き、合意を探ってきた。CO2排出枠の取引などについては、数量的に制限しようというEUと、反対する日米の対立が続いた。

 プロンク調停案は、(1)森林によるCO2吸収量は一律15%、排出ガス削減量にカウントし、その上限は1990年排出量の3%までとする(2)国家間の排出量取引などには数量制限をつけない(3)先進国が途上国で建設する原発は温室効果ガス削減事業と認めない(4)先進国が排出量に応じて出資する途上国支援のための基金を地球環境基金(GEF)の中に設立(5)削減目標が守れなかった場合、罰則をつける、という内容。

 日本は、京都メカニズムや途上国支援では主張がほぼ通ったものの、森林吸収や原発などで不満を表明し、強硬な態度をとり続けていた。

 京都議定書は、92年にブラジル・リオデジャネイロで開かれた「地球サミット」から10年後の2002年に発効させることを大半の国が表明。今回合意すると、各国が批准の手続きに入り、55カ国の批准をへて発効。2002年に発効後、初の議定書会議が開かれる予定だった。

COP6、対立埋まらぬまま閉幕へ

2000.11.25 asahi.com

 気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)は最終日の25日午前、先進国の温室効果ガス削減目標などを定めた「京都議定書」の細かなルールを決めるため非公式の閣僚折衝を続けたが、多くの対立点が残り、合意できずに終わった。特に森林の二酸化炭素(CO6)吸収量をどこまで認めるかでは、最大限認めようとする日本、米国と、厳しい規制を求める欧州連合(EU)が激しく対立、決裂の主な要因になったようだ。これで先進国が目指していた京都議定書の2002年発効は絶望的となった。

 閣僚折衝は、プロンク議長(オランダ環境相)が23日に示した最終調停案を元に、EUや日米、途上国などがそれぞれ修正案を提示、話し合いを続けた。しかし、森林吸収の算定方法や、排出量取引などの細かなルール、途上国支援の基金など多くの問題で議論は難航。特に、日本、米国、カナダが主張している森林吸収を最大限認める案には、EU側の反発が大きくこう着状態となった。

 25日朝、英国などが森林吸収で日本、米国などに譲歩する動きを見せ、「一時的に合意に近づいた」(川口順子・環境庁長官)が、EU内部から「京都議定書を無にするような案は受け入れられない」(オランダ、オーストリア)との不満が噴き出し、結局、合意には至らなかった。

 COP6は、COP3で決まった「京都議定書」の詳細なルールを決めるのが大きな課題。13日から18日まで事務レベル会合を、19日から閣僚会合を開き、合意を探ってきた。排出量取引など「京都メカニズム」の利用では、数量的に制限しようというEUと、それに日米が反対するなど対立が続いた。

CO2森林吸収量で日米加が譲歩提案 COP6

2000.11.25 asahi.com

 地球温暖化の防止策を検討するため気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)は25日、プロンク議長(オランダ環境相)が提案した調停案に対し、日本政府は、森林による二酸化炭素(CO2)の吸収量から5%を割り引いてカウントする修正案を米国、カナダと3カ国共同で提案した。この方法だと日本の森林の吸収量は3.5%となり、日本が目指していた3.7%の確保を正式に断念したことになる。しかし、議長案から大幅に盛り返す数値ではあり、欧州連合(EU)などは激しく反発、この案が通る見込みはほとんどないと見られる。

 プロンク議長の提案によると、森林の吸収量は、最大3%しか認めず、さらに一律85%割り引くとしている。森林の存在だけで安心して省エネなど国内対策を怠らないようにとの配慮で、日本の吸収量は約0.5%になる。

最終調停案をめぐり日米、EUは窮地に COP6

2000.11.24 asahi.com

 最終局面を迎えた気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)は24日、前日にプロンク議長(オランダ環境相)が示した最終調停案をめぐってぎりぎりの攻防が続いた。議長が提案の際に「調停案に対していろいろな意見を表明することは、現時点で建設的ではない」とくぎを刺したこともあって、各国からの公式な態度表明はないが、日米や欧州連合(EU)には、「議長案は途上国に寄りすぎだ」との不満がくすぶる。頼みの森林吸収を否定されたかっこうの日本政府も追い詰められている。

 「こうなったら米国に頼んで議定書をつぶしてもらうしかない。京都議定書を日本が葬りさるのは無理だから」

 24日朝、日本政府団表団の若手官僚は議長調停案の感想を述べた。

 6%の削減目標のうち、森林吸収で3.7%分を確保することが日本政府代表団の至上命題だ。3年前の京都会議で政府が目指した削減率は2.5%だったが、最終的に6%の目標をのまざるを得なくなった。

 そこで出たのが、いわばつじつま合わせの、3.7%を森林吸収でかせぐ案。代表団にも、「3.7%の獲得は不可能」(代表団)との認識があるが、「おかしいと思いながらだれも見直しを言い出せない状態」(代表団幹部)。今回の調停案の数字を「ほぼ妥当」と見る声すらある。

 透けて見えるのは、国際交渉で負けるという一種の「儀式」を経て初めて産業界を説得し、国内対策の見直しに着手するという、外圧頼りの構造だ。

 日本の産業界には警戒感が広がっている。「これ以上の省エネ投資は、国際競争力の低下につながる」(経団連)との反発が強い。日本は省エネなどで世界最高水準にあり、すでに可能な限りの削減を行ってきているのに、新たに課せられる削減率はEUや米国とほとんど変わらないという不公平感も強い。

 24日朝、川口順子環境庁長官は環境、通産、外務3省庁幹部を交えて話し合い、代表団としては、なお森林吸収の確保に全力をあげることを確認した。

 一方、日米とカナダの森林吸収案に反対していたEUにも「調停案はバランスを欠いている。大変に失望した」との声がある。

 環境基金への10億ドル拠出という日米などの案を受けた途上国グループも、ダウラ代表(ナイジェリア環境相)が「10億ドルなんて、はした金じゃないか」と批判する。議長調停案は日米案と、同様に援助資金拠出を約束するEU案の折衷案。途上国がどこまで妥協するかは予断を許さない。

CO2削減で日本に厳しい議長最終調停案 COP6

2000.11.24 asahi.com

 大詰めの気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)は23日、プロンク議長(オランダ環境相)が二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス削減のルールを定めた「京都議定書」の細部を詰めるための最終調停案を示した。焦点の「森林吸収」については、森林のCO2吸収量を一律15%分しか削減量にカウントしない算定方法を提案した。日本はこの方法だと、削減目標6%のうち森林吸収で約0.5%分にしかならず、3.7%分を確保するもくろみからは遠い。また、先進国による途上国での原発の建設を温暖化対策としては原則的に排除することも盛った。この調停案で大筋固まる可能性が大きく、日本は森林吸収による3.7%確保を事実上断念する見込みとなった。

 プロンク議長は「森林吸収」など4つの分科会の共同議長や、先進国や途上国など各グループの代表の意見を聞き、調停案を提示した。さらに各国の閣僚と調整し、25日の最終合意を目指す。

 森林吸収は、先進各国の実際の吸収量をそのまま削減量として認めると、それだけで削減目標を上回るような国が出ることもあって、調停案は吸収量の一律15%分を2008年からカウントできるとし、上限を各国の1990年排出量の3%分までとしている。

 この方法で削減量にカウントできるのは、日本が0.55%、米国3%、フランス1.9%、カナダ1.7%など。吸収量を一定量まで100%認める日米、カナダの共同提案では日本が3.7%、米国が約8%確保できる計算だった。

途上国でのCO2小さくできる? 削除事業に制約つけず

2000.11.22 asahi.com

 気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)は22日、先進国が途上国で行う温室効果ガス排出削減の事業に関して日本などの主張を入れ、原則として制約をつけず、最初は小規模事業から優先して行うことで合意した。一方、森林による二酸化炭素の吸収をどの程度認めるかについては、日、米、カナダによる新提案と欧州連合(EU)の主張は依然隔たったままだ。EUは、「日本などの提案は、過半数以上の国から反対を受けており孤立化している」と批判している。最終日の24日に向けて、ぎりぎりの調整が続いている。

 水力発電所の建設など、温室効果ガス排出を減らすために行う事業はクリーン開発メカニズム(CDM)とよばれ、削減できた排出量の一部は、先進国の国内削減分にカウントできる。しかし、途上国でどのような事業を行うかは、事前にリスト化して制限すべきだとするEUと制限すべきではないとする日米などが対立していた。

 閣僚級会合の中で、事業を前もって定める方法については、途上国の多くは自分たちが望む事業を決められるよう主張。EU側も理解を示した。これを踏まえてブラジルの議長が、途上国や日本の提案に沿った案が多数を占めたと宣言した。技術力を持ち、アジアの途上国との関係も深い日本にとっては、この合意は排出量の6%削減という目標をクリアする上で大きな意味を持つ。

 対象となる事業には、水力発電所、火力発電所、省エネ技術の支援などがある。しかし、大規模な水力発電所は逆に環境を破壊する危険性があるなどの指摘もあり、当面は小規模な事業を実施、その経験を踏まえて行うことを決めた。 一方、日本が重視している植林活動などをCDMに認めるかどうかは、この会合では決められず、森林の二酸化炭素吸収を話し合う会合にゆだねられた。

「京都議定書に魂を」川口環境庁長官が演説 COP6

2000.11.21(21:24)asahi.com

 気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)は21日、参加国100カ国以上の閣僚が演説、川口順子環境庁長官は「我々は京都議定書に魂を吹き込めるかどうかの重要な岐路に立たされている。2002年までに発効させるよう、英知と建設的妥協、政治的決断を下さねばならない」と訴えた。

 また、日本は国内で省エネなどに多大の努力をしたとし、他国から排出量を買う京都メカニズムや森林の吸収量のカウントをCOP6で認めることが、日本が批准する上で重要だとの認識を示した。

CO2削減目標、未達成なら罰則 COP6議長が調整案

2000.11.21 asahi.com

 温暖化防止の方策を話し合う気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)で、議長のプロンク・オランダ環境相が初めて各国に示した調整案が20日、明らかになった。調整案は、先進国の二酸化炭素(CO2)などの削減目標が達成できない場合、罰則を伴う強制的措置を適用することを大半の国が求めていると強調し、勧告にとどめるべきだとする日本の主張を退けた。また、温暖化で被害を受けやすい小島しょ国や最貧国に対する技術支援に合意したとしている。今後は24日の決着をめざし、この調整案をもとに、削減するCO2の算定方法や途上国支援の金額などの対立点を中心に閣僚級の交渉が進められる。

 調整案は、削減目標を達成できない場合について「法的拘束力のある帰結を伴う強い順守措置が、大半の国々から支持されている」とし、罰則を伴う制裁を事実上認めた。罰金などの「強制的部門」と、技術支援などの「促進的部門」の2つの委員会を設け、そこが審査するとしている。

 罰金などの強制的措置については米国、欧州連合(EU)、途上国などが賛成している。日本は罰則の導入手続きで2002年の発効が遅れるなどと反対してきたが、同調する国はごくわずかで、孤立する形になった。

温暖化防止の取り組み「日本が一番後ろ向き」/枠組み条約締結国会議

2000.11.14【ハーグ13日=佐藤好美】The Sankei Shimbun

参加NGOが“ワースト賞”

 温暖化防止のための気候変動枠組み条約第六回締約国会議(COP6)に参加している国際環境NGO(非政府組織)の気候行動ネットワーク(CAN)は会議初日の十三日、交渉を最も妨害しているとして「本日の化石賞」に日本を選んだ。

 日本のほか、カナダと国連環境計画(UNEP)がノミネートされ、約二百人のNGO関係者が投票した結果、日本が圧倒的多数でワースト一位を獲得、カナダがワースト二位になった。

 化石燃料が温暖化の悪しき象徴であることから名づけられたこの賞は、温暖化防止に後ろ向きとみなされた国に贈られる。

 受賞理由は(1)温室効果ガスの削減を、植林など「吸収源」に頼ろうとしている(2)先進国同士が温室効果ガスの排出量を取引する「排出量取引」で、売り手側に責任を負わせようとしている−など。

 これに対し、日本側は「京都で相当厳しい目標を受け入れ、目標に向け、地道に努力もしている。そのような批判を受けるのはいわれのないこと」と反発した。

日米加が「森林吸収」の計算方法で共同提案 COP6

2000.11.14 asahi.com

 地球温暖化防止の方策を話し合う気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)で14日、争点になっている二酸化炭素(CO2)の森林吸収に関し、日本、米国、カナダの3カ国が、森林面積の広大な国が極端に利益を得ないような吸収量の計算方法を分科会で共同提案した。CO2吸収量が一定レベルを超える国は、割引率をかけて数字を圧縮するが、日本のように森林面積が少ない国は100%近い吸収量が認められる方式だ。

 温室効果ガス総排出量を1990年比で3.7%削減するために、森林によるCO2吸収を認めさせたい日本政府が、広大な森林を持つ米国、カナダと妥協案を協議していた。

 提案は、(1)吸収量が100万トンまでの国は吸収量をすべて認める(2)100万―300万トンの国は一定の割引率をかけて吸収量を計算する(3)300万トンを超えた国は、植林などへのインセンティブが働くように、超えた吸収分はすべて認めることにする――との内容。(1)は日本など、(3)は米国やカナダを想定している。割引率は、週明けの閣僚会合で決める。

米大統領選のゴタゴタ、温暖化会議に飛び火

2000年11月14日火曜日【ハーグ14日=貞広貴志】ODN News

 米大統領選を巡る混乱が、地球温暖化対策を決めるためオランダ・ハーグで始まった気候変動枠組み条約第六回締約国会議(COP6)にも影を落としている。新大統領が決まるまで米交渉団が軸足を定められず、会議の成否のカギと見られた最大排出国・米国の政治決断がおぼつかない状況となっているのだ。削減目標を定めた京都議定書を空文化させたくない関係国の間では、「米抜き」で前進を目指す機運も出始めた。

 「最大限に強い表現でこう言っておきたい。米国はこの会議が真の進展を達成するため、真剣に努力する」。会議初日の十三日、米交渉団長のデビッド・サンダロー国務次官補が訴えた。米国は、途上国に排出抑制をうながすため先進国から資金供与する新提案も根回しするなど、「大統領選直後の米国は、身動きが取れず消極的」との印象の払拭に躍起だった。

 だが、米政府への周囲の目は冷ややかだ。

 環境関連の民間活動団体(NGO)で構成する気候行動ネットワーク(CAN)は、排出権の国際取引や森林による吸収を最大利用して削減目標を達成しようとする米国の交渉態度を、「京都議定書の抜け穴をひたすら探すもの」と批判し、自国で排出削減に努める政治意思の欠如を突いた。

 COP6では、九〇〜九八年に排出量が22%も増えたアメリカをどう取り込むかが当初からカギと見られていた。会議の日程を検討する段階では、「米政権の体制が固まる来春まで延ばすべき」との案も検討された経緯がある。

 米交渉団は表向き「選挙結果にかかわらずクリントン現政権が決定に当たる」としているが、COP6の決定が次期政権に受け入れがたい中身となった場合、議定書の批准や対策の実施が宙に浮くのは明らか。環境派のゴア氏と、京都議定書に懐疑的な見解を表明しているブッシュ氏では方針が一八〇度違うからだ。こうした状況を受けて、アメリカを除く先進国で先行批准して議定書を発効させ、削減努力に乗り出すのもやむを得ないとの判断が浮上しつつある。

京都議定書早期発行へ詰め COP6始まる

2000.11.13 asahi.com

 地球温暖化防止の方策を決める気候変動枠組み条約第6回締約国会議COP6)が13日、オランダ・ハーグで2週間の日程で始まった。約170カ国の政府代表が参加、先進国の二酸化炭素(CO2)などの削減目標を定めた「京都議定書」の早期発効を目指して細部を詰める。議定書の解釈や途上国への支援問題では、日米、欧州連合(EU)、途上国間の主張の隔たりが大きく、会議は難航が予想される。

 13日の全体会合ではオランダのヤン・プロンク環境相を議長に選んだ後、「京都メカニズム」や「森林吸収」など9つの分科会の議長を決めた。前半1週間は分科会で事務レベルの話し合いを行い、後半は大臣レベルの会合を重ね、合意を目指す。

 先進国同士でCO2排出量を売買するなどの「京都メカニズム」については、EUや途上国が「上限を設けるべきだ」としているのに対して、日米などが反対。森林のCO2吸収力をどれだけ認めるかを巡っては、日本は国内の森林すべてを吸収源に含めることなどを求めているが、賛同する国はほとんどなく、苦しい立場に立たされている。途上国支援では、海面上昇の影響を受ける島しょ国や、温暖化防止対策の影響を受ける産油国は11の基金案を提案。先進国側は消極的で、調整は最後までもつれそうだ。

フロン処理に基金設置、回収義務づけ 自民が法案

2000.11.10 asahi.com

 オゾン層を破壊し地球温暖化をもたらすフロンガスの規制を検討していた自民党は9日、フロン回収法案をまとめた。カーエアコンと業務用冷凍空調機器を対象に、3種類のフロンの回収を義務づける。カーエアコンは新車の販売時に回収・破壊費用を上乗せし、業界を中心とする第三者機関に基金を積み、回収・破壊業者に処理費用を支払う。冷凍空調機器は使用者が廃棄時に処理費用を回収業者に払う。公明党も似た案をまとめており、与党で調整の上、来年の通常国会で議員立法を目指す。

 自民党がまとめた案によると、新法の対象となるのは特定フロンのCFC(クロロフルオロカーボン)と代替フロンのHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)の3物質。これらを使っている自動車を解体業者に持ち込んだり、空調機器を廃棄したりする場合に回収業者に回収してもらうことを義務づける。

 回収をスムーズにするために業界を中心に第三者機関を作り、「基金」を積んで回収・破壊業者の費用や支援に充てる。カーエアコンの場合、新車の販売時に2000―3000円程度の回収費用を上乗せし、基金を積むとしている。

 空調機器は回収システムが一応整っているとして、使用者が廃棄する段階で費用を直接回収業者に払うとしている。

 また、回収を確認するために、回収業者は都道府県知事への登録制とし、自治体に立ち入り調査や勧告権を与えている。

 カーエアコンは、家電リサイクル法と同様、廃車の際にユーザーが回収費用を払う仕組みをつくるべきだとする意見も自民党議員の一部にある。通産省も「自動車リサイクル法を検討しておりその中で対応したい」と難色を示していたが、自民党としては「数年遅れると取り返しがつかなくなる」と、フロン法を制定することにした。

二酸化炭素排出量「9%の直接削減可能」 NGOが訴え

2000.10.22 asahi.com

 環境NGO(非政府組織)の「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)」は、国内の2010年の二酸化炭素(CO2)排出量について、1990年レベルに比べ約9%を直接削減可能だと21日、大阪市内であったシンポジウムで発表した。日本は地球温暖化対策を図る京都議定書で6%削減を求められたが、政府は先進国間の排出量取引制度などを活用し、CO2の直接的な排出量自体は90年レベルにとどめる方針。CASAは「日本は6%削減を実質的に達成する力がある」と、政府の方針転換を訴えていく。

 発表したCASA理事の水谷洋一・静岡大学助教授(環境政策論)によると、削減のカギはエネルギー効率の高い技術の導入を省エネ基準の強化などで政策的に促すこと。導入する技術としては、燃費効率のいい直噴エンジン、人がいなければ消えるセンサー式照明や窓の二重サッシ化など、すでに実用化しているものを考え、新技術の開発は想定していない。

 このほか再生可能エネルギーや液化天然ガス火力発電所の優先使用、公共事業費の半減、電気料金表示機能のある省エネ機器の普及などを加えることで、CO2を最大約9%まで直接的に減らせると試算した。

 また、これによって年間約2兆5000億円の経費削減ができるため、結果的にエネルギー分野以外への投資が増えるという経済効果も表れると考えた。

 来月には、京都議定書の細部を決める気候変動枠組み条約第6回締約国会議がオランダのハーグで開かれる。CASAは京都議定書ができた第3回締約国会議の前に、「2010年に21%のCO2削減が可能」との報告を出した。早川光俊専務理事は「21%が今回9%となったのは、3年間の対策の遅れが大きな原因。もう一刻の猶予もない。国内で確固とした温暖化対策を求めていきたい」と話した。

温室効果ガスの削減技術検討へ 環境庁が検討会設置

2000.09.26 asahi.com

 環境庁は26日、省エネ機器の普及など温室効果ガスの削減技術を評価する検討会を設置した。「京都議定書」で規定されている6%削減を達成するため、どのような技術で、どれだけの削減が見込めるか、といったテーマを議論する。中央環境審議会の小委員会は現在、環境税などの導入を含めた国内政策の検討を進めており、検討会はそれを技術面からサポートする。年度内に報告をとりまとめる予定。

 検討会は産業、運輸、民生など6つのワーキンググループで、温室効果ガスの削減技術の検討を進める。各部門ごとに10―30の技術を選び、導入効果やコストを算定、導入へ向けた道筋を示す。

特定フロン回収率依然低水準 冷蔵庫27% 環境庁調査

2000.09.01 asahi.com

 冷蔵庫やエアコンの冷媒用に使われ、オゾン層を破壊する特定フロンの回収率は依然として低水準であることが、環境庁が1日発表した昨年度の実態調査で明らかになった。特定フロンのCFC(クロロフルオロカーボン)の回収率は家庭用冷蔵庫が27%、カーエアコンが18%だった。

 調査は、回収対象量から回収効率や漏えい量を考慮した「推計回収可能量」を出し、これを基にした。

 家庭用冷蔵庫は、回収可能量369トンに対して回収量98トン、カーエアコンは1118トンに対し202トンで、前年度の水準にとどまっている。業務用冷凍空調機器は1161トンのうち回収量が651トン(56%)だった。

 ただ、カーエアコンの場合、普通車1台の回収可能量は375グラムとされたが、元々入っていた量は700グラム。これを元に計算すると回収率は7%になる。

 一方、フロン回収に取り組んでいる市町村数は全体の85%で、前年度に比べて4ポイント上昇した。

「仲悪い」環境庁と通産省が初めて連携 温暖化対策など

2000.08.29 asahi.com

 地球温暖化対策ではことごとく対立していた環境庁と通産省は29日、来年度の予算要求で、二酸化炭素(CO2)削減技術の研究開発などに共同で取り組むことを決めた。両省庁は、1997年の気候変動枠組み条約締約国会議(COP3、京都会議)のころから意見が対立。8月上旬には、森林の二酸化炭素吸収量をめぐる見解の相違から、国際事務局への資料提出期限に1週間遅れる失態を演じたばかり。

 環境庁によると初の連携で、「けんかばかりしているのは能が無いから」と記者会見で「釈明」した。

 平沼赳夫通産大臣と、川口順子環境庁長官が29日に会談。(1)環境庁の「温暖化問題の教育」と、通産省の「省エネ教育」を、同じ学校で組み合わせて実施(2)CO2の削減技術の分野で、共同で調査や評価を(3)自治体の温暖化対策への補助を実用化のレベルに応じて分担――の3分野で協力することを合意した。

温室効果ガスの森林吸収量は最大3.7% 政府推計

2000.08.09 asahi.com

 政府は8日、地球温暖化対策として日本が目標にしている温室効果ガスの6%削減について、森林の吸収量の推計を気候変動枠組み条約の事務局に提出した。「森林による吸収が最大3.7%見込めるため、排出削減は2.3%で済む」という推計と、森林から天然林を除いた「吸収が3.2%で、排出削減は2.8%」という両論を併記した。この日本の見積もりは、最終的には11月にオランダで開かれる同条約第6回締約国会議(COP6)で認められるかどうかが決まる。(以下略)

交通圏ごとに排ガス、騒音削減目標

2000年06月10日 <共同> 佐賀新聞

 二十年後に大気汚染の環境基準をすべて守ることを中長期目標とし、交通圏ごとに自動車の排ガスによる大気汚染や騒音、振動の削減目標を盛り込んだ「地域交通環境計画」の策定を求めた環境庁の中央環境審議会(中環審)「環境への負荷の少ない交通検討チーム」の報告案が九日、明らかになった。

 計画推進の財源には自動車から排出される汚染物質の量が多いほど税額を高くする自動車関連税制の見直しによる増収分や、渋滞解消のため一定地域に入る自動車から料金を徴収するロードプライシングによる収入を充てるよう提言しているのが特徴。

 環境基本計画の見直し作業を進めている中環審企画政策部会に十四日に提出され、年内にもまとめる新しい環境基本計画に盛り込まれる見込み。政府税制調査会の環境税論議にも反映されそうだ。

 報告は今後五―十年間に実施すべき短期の取り組みとして排ガス規制の強化、低公害車の大量普及や税制の見直し、職住近接など車に頼らない街づくり、公共交通機関の活用、運送業者らによる輸送効率化などを挙げ、都道府県に交通圏ごとの計画策定を求めた。

 計画には@環境基準を達成するために必要な排ガスの削減総量と対策ごとに削減できる見込み量A運送業者など大量に車を使う事業者ごとの削減計画―を盛り込むとしている。

 このほか、郊外型の大規模店舗建設などの開発事業には、利用者の自動車が環境に与える視点から交通環境影響評価(アセスメント)を実施し、問題がある場合は公共交通機関の利用を増やすなど代替措置を義務付けるような対策の枠組みを検討するよう求めた。

液晶人気で排出削減進まず

2000年05月23日 共同

 地球温暖化の原因となる、代替フロンの一種、ハイドロフルオロカーボン(HFC)などのガスの排出量は全体では減少傾向にあるものの、生産量が増えている液晶の製造関連や、ほこり飛ばし用のスプレーなど、一部の用途で削減が進んでいないことが23日、通産省の化学品審議会に報告された。現在、冷蔵庫やエアコンの冷媒用のHFCも今後、排出増加が予想され、対策強化が必要となりそう。

炭素税活用を提言

2000年05月08日 <共同>佐賀新聞

 地球温暖化防止のための二酸化炭素(CO2)の排出削減には、石油や石炭使用時に出る炭素の量に応じて税金をかける「炭素税」を有効に活用することが重要だとした、環境庁の「環境政策における経済的手法活用検討会」(座長・石弘光一橋大学長)の報告書案が七日、明らかになった。

 炭素税の税収を省エネ設備導入のための補助金として還元したり、京都議定書で認められた海外からのCO2排出枠の購入資金に充てたりすれば、低い税率でも十分な排出削減効果が得られることを強調。税収の還元方法の工夫で経済成長への影響を限られたものにできるなどとし、環境政策上、炭素税導入は欠かせない、としている。

 環境庁はこれを基に、京都議定書で義務付けられたCO2の削減目標達成のための国内制度づくりの議論などで、低額の炭素税導入の必要性を主張する方針。導入に対して産業界からは根強い抵抗感もある中で、政府税調などでの環境税論議にも一石を投じるものとなりそうだ。

 検討会は、炭素税を導入した際のCO2の削減効果や経済成長率への影響などを、コンピューターモデルを使って解析。炭素税収を省エネ設備の購入補助金などの形で政府が使えば、ガソリン一g当たり一―二円程度の低額の炭素税でも、二○一○年ごろにはCO2の排出量を一九九○年レベルより二%は少なくできる。

 国が税収を財政赤字の穴埋めなどに使えば、市場に出回る資金量が増え、経済成長への影響を非常に小さくできることも分かった。検討会は五月半ばに最終的な報告書を公表する。

温暖化防止の「炭素基金」の規模拡大へ=予想上回る出資申し込みで−世銀

2000年04月22日ワシントン22日時事】

 世界銀行は22日、開発途上国の温室効果ガス排出量の削減対策を促進するため今年1月に発足させた「炭素基金」への出資がこれまでに1億3500万ドル(約143億円)と、当初上限の1億5000万ドルに近づいたことを明らかにするとともに、世銀理事会の承認を得て上限を最大1億8000万ドルとした上で、5月半ばにも第2次申し込みを受け付けると発表した。 

97年の半分以下の削減可能

2000年04月15日

 二酸化炭素の排出量に応じて課税する炭素税などの温暖化対策を導入すれば、2010年には日本の二酸化炭素排出量を1990年レベルから2〜3%減らせるものの、97年段階に比べると削減可能量は半分以下にとどまるとする予測結果を、国立環境研究所と京都大のチームが15日までにまとめた。

 この3年ほどの間、日本ではほとんど温暖化対策が進まなかったことが原因。

2002年の発効を

2000年04月09日

 大津市で開かれた国会議員クラスによる地球環境国際議員連盟の第15回世界総会は9日、先進各国に温室効果ガス削減を義務付けた京都議定書を、1992年の「地球サミット」から10年を記念し2002年に開く国際会議までに発効させることなどを求める声明を採択して閉幕した。総会では、水素エネルギーや風力など、持続可能なエネルギーシステム推進などを盛り込んだ行動計画も決めた。

京都議定書の早期発効合意

2000年04月09日

 大津市で開かれた主要8カ国環境相会合(環境サミット)は最終日の9日、先進各国に温室効果ガスの削減を義務付けた京都議定書の早期発効や11月に開く温暖化防止条約第6回締約国会議成功のための政治的リーダーシップの発揮などを盛り込んだ共同宣言を採択して閉幕した。

 宣言の内容は7月の主要国首脳会議(沖縄サミット)の共同宣言にも反映される。

温暖化防止京都議定書の発効時期示せず G8環境相会合

April 09, 2000

「地球温暖化」などをテーマに大津市で開催されているG8(主要8カ国)環境相会合の共同宣言案が8日、ほぼ固まった。焦点となった、温室効果ガス排出削減の方法をまとめた京都議定書の発効問題については、2002年までの発効を求めた日本、欧州連合(EU)と、反対した米国が平行線をたどり、期限は明示せず、「可能な限り速やかに発効させる」ことで落ち着いた。また、新たに風力など自然エネルギーを途上国に広げるため一致協力することや、リオデジャネイロでの地球サミットから10年になる2002年の会議を首脳レベルの会議にすることが盛り込まれた。

 温暖化のテーマでは、1997年に開かれた気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)で先進国同士で排出権を売買することなどを盛り込んだ京都議定書がまとまった。議定書の批准・発効について、積極的な日本とEUが、今年11月に開かれるCOP6をにらみ、共同宣言に「COP6で議定書を2002年までに批准、発効させるために条件整備を確実に行う」との記述を盛り込もうとした。だが、米国は、「議会の同意が得られない」と強く抵抗した。

 このため、対立点の多くはCOP6にもつれ込む可能性が高まった。

 国内での削減対策については、G8各国が温室効果ガスの排出削減で先導的な役割を果たすことや、先進国が途上国に技術支援を行うことが盛り込まれた。

「21世紀の持続可能な開発」のテーマでは、途上国のエネルギー使用が急増していることを懸念し、風力、太陽光などの自然エネルギーを途上国が増やせるよう協力し、石炭など既存エネルギーに対して競争力を持てるようにすることが盛り込まれた。

 また、「環境と健康」のテーマでは、ダイオキシンなど有害化学物質の危険性をG8諸国の最大の関心事と位置づけ、共同して科学的知識を蓄積し、PCBなどの規制を目指す残留性有機汚染物質条約について2000年中の合意を目指すことになった。

 毎年開かれるG8環境相会合でまとまる共同宣言は、法的な拘束力はないが、97年の宣言が子供への環境汚染問題を強調して、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)や鉛汚染などについて各国が協力して取り組む契機になるなど、各国が環境政策で共同歩調をとる指針の役目を果たしてきた。環境相会合は9日に閣僚らが意見を交換し、宣言文を採択して閉会する。

仏は早期批准へ

2000年04月08日【パリ共同】

 地球温暖化防止に向けた1997年末の京都会議で採択された京都議定書について、フランス保革共存政権のシラク大統領とジョスパン内閣はともに8日までに「先進国としてトップで批准」の方針を示し、批准実現の公算が大きくなっている。ボワネ環境・国土整備相は「7月1日から欧州連合(EU)議長国となるフランスが、世界に批准推進を呼び掛けるチャンスが生まれた」と喜んだ。

G8環境相会合、本格議論始まる 「気候変動」など議論

April 08, 2000

 地球温暖化問題などを話し合うG8(主要8カ国)環境相会合が8日午前、大津市内のホテルの会場で本格的な討議に入った。清水嘉与子・環境庁長官が森喜朗首相のメッセージを紹介。「時間に限りはあるが、最大限の討議をしたい」とあいさつし、会議の日程を説明した。続いて、前回議長国ドイツのトリッティン環境相が過去の討議経過などを報告。第1の議題「気候変動」についての議論が始まった。

 この問題では、1997年の「気候変動枠組み条約第3回締約国会議」で、先進国側が温室効果ガスの排出を減らす数値目標を京都議定書にまとめたが、目標達成の手順をめぐる先進国間の調整が進んでいない。

G8環境相会合、大津市で始まる 地球温暖化など議題に

April 07, 2000

「地球温暖化」「環境と健康」「21世紀の持続可能な開発」などをテーマにするG8(主要8カ国)環境相会合が7日、大津市で始まった。温暖化に関しては、各国の国内対策の重要性や、1997年の気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)でまとまった京都議定書の早期発効の必要性などを話し合う。ホスト国の日本政府は、11月にオランダのハーグで開かれるCOP6で、数値目標などを盛り込んだ京都議定書が決着するよう、この会合で弾みをつけたいとしている。

「環境と健康」については、健康被害の予防的取り組みや老人・子供など弱者への配慮などについて議論する。「持続可能な開発」では、ブラジルで開催された地球サミットから10年になる2002年に、首脳レベルの会議が開けないかどうか検討する。

 清水嘉与子環境庁長官は7日夜、トリッティン・ドイツ環境相、プレスコット・英国環境相らと市内のホテルで顔を合わせた。8日から本格的な意見交換に入り、9日に共同宣言を採択して閉幕する。

EU、2005年に共通の温室効果ガス排出権市場創設へ

March 09, 2000

 欧州委員会は8日、欧州連合(EU)共通の温室効果ガス排出権市場を2005年までに創設することを提案した。気候変動枠組み条約第3回締約国会議(温暖化防止京都会議)で2008年の国際取引開始が決まったが、実施方法については日米とEUの間に対立が残されており、11月の第6回締約国会議(COP6)では交渉の難航が予想されている。欧州委の提案には、国際取引開始に先駆けてEUの取引実績をあげ、世界の温暖化防止の動きを主導する思惑も込められている。

 EUは京都会議合意に基づき、温室効果ガス排出を1990年比で2012年までに8%減らさなければならない。英国やデンマークではすでに、国内市場創設の準備が進められている。

 今回の共通市場提案は2005年までにスタートを切るため、限定的な内容となっている。取引主体は電力、鉄鋼、石油など排出量が多い産業に限られ、対象も削減状況を監視しやすい二酸化炭素(CO2)に絞られた。

 削減目標を達成できなかった企業が、目標を上回った企業の排出枠を買い取る仕組みだが、その分コストが高くなるため、企業は削減努力を余儀なくされる。欧州委の報告書は「バラバラな国内市場よりも、EUレベルで柔軟に調整しあった方が、効率よく削減できる」としている。

 欧州委員会は報告書をたたき台に、加盟国や圧力団体と調整のうえ、早期創設を目指す考えだ。バルストレム欧州委員(環境担当)は「京都で約束した目標を達成するためには、EUレベルで追加措置をとる必要がある。(達成見通しは)バラ色ではない」と語った。

 取引ルールをめぐっては、排出余剰分すべてを対象としたい日米と、個別国・企業の努力を促すために上限枠を求めるEUが対立している。京都議定書の2002年発効のための正念場である第6回締約国会議が今年11月にオランダ・ハーグで開かれるが、交渉は難航が予想されている。

停止3秒でも環境に有効

2000年1月8日 16時24分 共同通信社

 信号待ちでエンジンを切ったりかけたりすれば環境に逆効果との反論があるアイドリングストップだが、大型ディーゼル車の場合、エンジン再始動時の排ガスを差し引いても停止から3秒程度たてばプラス効果が出てくる、との実験データを東京都環境科学研究所が8日までにまとめた。短時間の停止でも効果があることを示す基礎資料になりそうだ。

クルマ中心を見直し 温暖化対策で道路審が答申

November 29, 1999

 建設省の道路審議会(会長=久米豊・日本自動車工業会最高顧問)は29日、地球温暖化防止のために車中心の道路行政の見直しや渋滞解消策などを柱とした環境対策を、中山正暉建設相に答申した。

 具体的には、自転車道路網や駐輪場を整備する一方で、都心に入る自動車に課金したり、ナンバープレートの数字で利用日を規制したりして交通量を抑えることを提案。都市高速道に細かい料金格差を設けて渋滞の少ない道に車を誘導するために、車載のカードから料金を自動的に徴収するノンストップ自動料金収受システムの普及が必要、などとしている。

ナンバーで利用日の規制も

1999年11月24日 共同通信社

 建設省の道路審議会は24日までに、地球温暖化防止のため、短い距離の移動には徒歩や自転車の利用を促すとともに、公共交通機関への転換を促進するため自動車のナンバープレートの数字で利用できる日を限定する規制などの検討を求める答申案をまとめた。

気候変動枠組み条約締約国会議 閣僚会合始まる

November 03, 1999

 ドイツのボンで開かれている地球温暖化防止のための気候変動枠組み条約第5回締約国会議(COP5)は2日、閣僚会合が始まり、各国による声明で、日本の山本一太外務政務次官は「日本は遅くとも2002年までに京都議定書が発効することは欠かせないと信じる」などと述べた。

 欧州連合(EU)やブラジルなどの代表も2002年までの発効の必要を表明し、議定書交渉の促進を求めている。米国は、「早い発効」を固めることには慎重な姿勢を示した。

 日本は「我々には議定書が発効する道と、各国の意見の相違によって苦境に陥る道がある。第6回締約国会議(COP6)で主要な問題を決着させるために、交渉のペースを速めなければならない」として、京都議定書の柔軟措置、順守問題、途上国の参加について交渉を進展させる必要を強調。EUも「(2002年までに)議定書を批准する用意がある」としている。

 一方、アルゼンチンが自主的な取り組みで「2008年から12年に対策を取らなかった場合と比較して2―10%削減する」と表明するなど、途上国内でも「温室効果ガスの削減は先進国の義務」とする国との対応の違いを見せた。

 このほかCOP6が2000年11月にオランダのハーグで、補助機関会合がその間の6月と9月に開かれることが、この日までにほぼ決まった。

米、EUとの対立姿勢崩さず 25日から温暖化防止会議

October 24, 1999

 地球の温暖化防止のため、温室効果ガスの削減について話し合う気候変動枠組み条約の第5回締約国会議が25日からボンで開かれる。京都での第3回会議で採択された「京都議定書」の詳細を詰めることになっているが、基本的な考え方で米国は欧州連合(EU)との対立姿勢を崩していない。

 米国とEUの最大の対立点は、先進工業国同士で排出枠を売買する「排出権取引」をどこまで認めるかだ。EUはそれぞれの国内での削減努力が大切だとして、「削減量全体の50%まで」と制限を設けるよう求め、米国は「制限なし」を主張している。

 ボンでの会議を前に記者会見した米国務省のフランク・ロイ次官は「安く達成できる場所で削減することこそが、資源を有効に使う道」として、市場メカニズムによる削減を改めて強調、「EUとの対立はすぐには解消しない」との見通しを明らかにした。

 一方、米上院は、途上国に規制の義務がない議定書は批准しないとの立場を変えていない。ロイ次官は「アフリカ諸国などとの話し合いを進めているが、その努力がもっと必要」と述べた。

 これに対して、環境保護団体の中からは「米国が率先して削減していることを具体的に示さない限り、途上国を説得できない」とする声が上がっている。

 京都議定書で決まった米国の削減目標は、1990年レベルから7%の削減。現実には、90年レベルからすでに11%増えており、このままでは議定書の目標年である2008―12年には30%以上増えると予測されている。議会が京都議定書に関連した予算の執行を認めないこともあって削減は進んでいない。

二酸化炭素を排出する権利 欧米中心に国際市場化へ

1999年10月17日 共同通信社

 地球温暖化を防止するため二酸化炭素を排出する権利を売買しながら削減を目指す排出権売買の動きが、欧米を中心に活発化している。デンマークが世界で初めて国内での本格的な売買制度を2000年1月から導入するほか、カナダや英国では企業間で試験的に取り組んでいる。

 1997年の温暖化防止京都会議で採択された京都議定書が発効すると、先進国は2008年から大幅な排出削減を強いられる。

二酸化炭素8%削減など目標

1999年09月22日 共同通信社

 岩手県は22日、2010年の同県内の二酸化炭素排出量を1990年比で8%減らすことや化学物質対策に積極的に取り組むことなどを掲げた環境基本計画を定めた。

 二酸化炭素は、地球温暖化につながる温室効果ガスの大半を占める。国は、2008〜2012年の平均の温室効果ガスの排出量を90年比で6%削減することを目指しているが、岩手県の目標はこれを上回る。

二酸化炭素30%減で決着

1999年09月11日【ブリュッセル共同通信社】
 日本自動車工業会と欧州連合(EU)による車の二酸化炭素排出量削減協議で、自工会は11日までに、EU域内で販売する日本の乗用車(新車)の二酸化炭素排出量を2009年までに、全体で走行距離1キロ当たり平均140グラムに引き下げることを決めた。16日の自工会の理事会で正式決定する。

98年度の二酸化炭素排出量、前年度より3%減

September 05, 1999
 温暖化をもたらす二酸化炭素(CO2)が国内で排出される量が1998年度は97年度に比べて3%減少したことが、財団法人地球環境戦略研究機関の調査でわかった。2年連続の減少傾向で、研究機関では「景気の停滞と省エネが進み始めているのではないか」と分析している。

 二酸化炭素の排出は、9割が化石燃料などエネルギー起源が占め、残りは廃棄物焼却炉など。96年度の総排出量は12億3560万トンで過去最高に達したが、97年度は12億3080万トンに1%減少、さらに98年度は11億9430万トンへと3%減少した。

 経済活動との関連を見るため、エネルギー起源の排出量を国内総生産(GDP)で割ったところ、98年度は2.34と90年度以来、最も低い値となった。

 例えば、素材産業で使うC重油が二酸化炭素換算で90年度以来最低の値となるなど、不況による需要の低迷や、二酸化炭素の排出量の少ない産業への転換が徐々に進んでいることがうかがわれた。また、発電に占める原子力の割合が高まったことも影響した。

 日本は、2010年までに90年比で6%削減することが決められている。98年度の排出量は90年度に比べ、6.2%増加しており、かなりの削減が必要だ。

2010年までに達成困難

1999年07月03日 共同通信社

 2010年までに原子力発電所約20基を建設して二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を削減させようという政府方針の実現が困難になってきた。1997年の温暖化防止京都会議で決まった取り決めを達成するため打ち出されたものだが、新たな原発の運転開始が97年7月以降なく、建設も円滑に進まないと国際公約に黄信号がともる。 

 建設が円滑に進まないのは、高速増殖炉原型炉もんじゅの火災事故以降、国民に不安が高まり、自治体が建設同意に一段と慎重な姿勢になったことが主な理由だ。

温暖化対策の基本方針決定

1999年04月09日 共同通信社

 二酸化炭素など地球温暖化効果ガスの削減を実現するため、国民や行政が取り組む方策を示す『地球温暖化対策に関する基本方針』が9日の閣議で決まった。地球温暖化対策推進法が8日施行されたのを受けた決定で、国や自治体は今後、同法や基本方針に基づき、具体的な実行計画を立てる。

  

 基本方針は、徹底的な省エネルギー対策の推進や大量消費型生活様式の見直し、太陽光発電など、新エネルギーの開発・導入を対策として掲げている。

航空機の二酸化炭素排出増 気候変動パネルが報告案

1999/03/06 信濃毎日新聞

 航空機のエンジンから排出される二酸化炭素(CO2)の排出量が今後増加し、二○五○年には、最大で人為的なCO2排出量の一○%に達するとした「航空機と地球規模の大気」についての「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の特別報告書の草案が六日、明らかになった。四月にコスタリカで開くIPCC総会で採択される。

 現在、国際路線を飛ぶ航空機燃料からのCO2は京都議定書での排出規制の対象外となっている。今後、環境保護団体などから国際路線の航空機について、燃料への課税や、排ガスを議定書の規制対象とすることなどを求める声が強まりそうだ。

 IPCCは、今後の旅客需要や燃料使用の効率化技術の進歩などいくつかの仮定を設定、コンピューターシミュレーションで二○五○年の航空機からのCO2の排出量を予測した。

 その結果、航空機を発生源とするCO2は二○一五年ごろから急増、これが、すべての人為的なCO2の排出に占める割合は、現在の二%から最大一○%にまで増加するとの結果が出た。

 また、高度一万メートル付近を飛ぶ航空機から排出される窒素酸化物から、光化学反応によって生成されるオゾンの量も二○五○年には現在の二倍以上に増加するとの予測結果も得られた。対流圏のオゾンは、CO2と同様に温室効果を持つことが知られている。

 CO2にオゾンも加えると、航空機が原因の温室効果ガスが、すべての人為的な温室効果ガスに占める割合は、現在の三・五%から二○五○年には最大一七%にまで増加する。

 一方で、報告書は航空機需要が伸びず、排ガス対策技術が急速に進めば、航空機が原因の温室効果は現在のレベルとほとんど変わらない可能性もあるとの試算結果も併せて示した。

 温室効果の軽減対策として報告書案は、エンジンや機体の改良に加え、航空機の不要な荷重の削減、運航の合理化、航空機燃料への課税などによってCO2などの大幅な削減が可能だと指摘している。(共同)

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