TOPIC No.1-5 地球温暖化現象(Global Warming)

No.
内      容
01.地球温暖化問題 YAHOO! ニュース
02.南極観測 YAHOO! ニュース
03.北極海気候システムグループ by日本海洋科学技術センター(JAMSTEC)
04.北極圏環境と永久凍土 ―地球温暖化がシベリア永久凍土に与える影響―by日本財団
05.西シベリアの永久凍土が急速に溶解 メタン放出で温暖化ガス削減努力も無にする恐れ(2005.08.20) by農業情報研究所(WAPIC)
06.アラスカ温暖化−地球全体への警鐘−
07.北極海での海氷面積が観測史上最小に -今後さらに予測モデルを大幅に上回る減少の見込み-(2007年08月16日)海洋研究開発機構/宇宙航空研究開発機構
08.氷山情報 by National Ice Center(米国立氷山センター)
09.氷河情報センター by日本雪氷学会
10.地球環境 by地球産業文化研究所(GISPRI)
11.Yellow Hiro's TOPIC No.1-5-1 気候変動枠組み条約/京都議定書
12.地球温暖化のエセ科学 (2007年02月20日)田中 宇
13.地球温暖化 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
14.北極海 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

GO FOR KYOTO



海面上昇今世紀末に1メートル超 北極の温暖化、急速に

2009/09/02 中国新聞ニュ−ス

 北極圏では地球温暖化がこれまでの予測を上回る速度で進んでおり、今世紀末には1メートルを超える海面上昇が起こるなど、世界的に大きな影響をもたらす恐れが強いとの報告書を、環境保護団体の世界自然保護基金(WWF)が2日、発表した。

 WWFは、温暖化によって永久凍土が解け、地中から温室効果ガスの二酸化炭素、メタンの放出量が増加していることを指摘。これが温暖化をさらに加速させる「悪循環」が起きている可能性があると警告した。

 報告書によると、北極圏では、過去20年間に世界平均の2倍近くのペースで気温が上昇、2007年はこれまでで最も平均気温が高かった。

 この結果、グリーンランドの氷床や各地の氷河の減少が進み、このままでは今世紀末の海面上昇は最大120センチに達する可能性がある。これは、同じシナリオに基づいて気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予測した約20〜50センチの上昇との予測を大きく上回る。

 報告書は、東京や上海、バンコクなど沿岸に多数の人口が集中している都市に大きな被害をもたらすとした。

 北極圏では海水温の上昇も目立ち、07年の夏には平年より5度も高い海域も確認された。これが海流や気圧配置を変化させ、世界各地に異常気象をもたらす可能性が高いという。

 WWFは「報告書づくりには、IPCCにも関与している一線の科学者が参加し、専門家の査読も受けているので信頼性は高い」としている。

気温1度上昇で絶滅生物10%増 温暖化対策に自然保護提言

2009年01月25日 中国新聞ニュース

 平均気温が1度高くなるごとに絶滅の危機にひんする生物種の数が10%ずつ増え、今後30年間に東南アジアのサンゴ礁の88%が失われる可能性があるなど、地球温暖化が生物多様性に大きな悪影響を及ぼすとする報告書原案を、生物多様性条約の専門委員会が25日までにまとめた。

 報告書原案は「世界中にある熱帯林が(焼き畑などによって)破壊されれば、今後100年間に4000億トンの二酸化炭素(CO2)が大気中に放出され、世界の平均気温が0・6度上昇する」と、温暖化対策としての自然保護の重要性を強調。森林保護や自然再生を進めれば、温暖化対策と生物保護を両立できると指摘した。

 専門委は多様性条約と気候変動枠組み条約の連携促進のため設置。2010年、名古屋市での多様性条約締約国会議などに報告書を提出する。

 報告書原案によると、温暖化で大地などの乾燥が進み、南米・アマゾンの熱帯林が減少したり、東南アジアなどの泥炭湿地や北極の永久凍土の生態系が破壊され、土壌から大量の温室効果ガスが放出されたりする。これが温暖化をさらに進める悪循環が起きる危険も指摘した。

海氷減少で凍土もピンチに 温暖化「悪循環」の危険も

2008年07月05日 中国新聞ニュース

 地下の永久凍土が解けたことで地上にできた巨大な穴=米アラスカ州フェアバンクス郊外(アラスカ大、米国立大気研究センター提供)

 地球温暖化で進む北極海の氷の減少により、周辺のアラスカ、カナダ、ロシアの永久凍土の溶解も加速されることが、米大気研究センターなどのグループによるコンピューター解析で5日までに分かった。

 凍土の溶解が進むと、中に閉じ込められていた二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが大気中に放出され、温暖化をさらに加速する「悪循環」を引き起こす恐れがある。温暖化による悪影響は、これまで考えられていた以上に大きくなる可能性があるという。

 グループは、北極の海氷の面積が観測史上最小を記録した昨年、北極域の気温も1978−2006年の平均より2度も高かったことに注目。コンピューターを使って、急激な海氷の縮小が周囲の気温に与える影響を解析した。

 その結果、海氷が小さくならない場合は、北極圏の気温上昇は10年間で0・46度と予測されるのに対し、海氷が極端に小さくなると、同1・6度と急速に進むことが判明。また気温が大幅に上昇する範囲が、沿岸から約1500キロという広範囲に及ぶ可能性があることも明らかになった。

北極大変動 第1集 氷が消え悲劇が始まった

2008年05月25日(日) 午後9時〜9時49分 NHK総合テレビ

 北極圏を地球温暖化が襲い、氷が急速に消失しつつある。ホッキョクグマに発信器をつけて行動を追跡すると生態系の危機が浮かびあがってきた。さらに地球の気候の安定も脅かされている。北極で異変の連鎖を追う。

 <詳細>

 70センチ、ロシアの科学者が北極点近くで取り出して見せてくれた氷の厚さである。かつては、4メートル以上もあった北極点の氷が、大幅に薄くなっているのだ。 北極海の氷の面積も、2007年9月には1980年の6割以下に縮小、観測史上最小を記録した。その原因は、人間が排出したCO2によって進む、地球温暖化である。北極圏では、地球上のどこよりも急激に環境の大変動が進んでいるのだ。

 北半球最大の氷床を持つグリーンランドでも異変が起っている。氷河にいくつもの巨大な穴があき、夏、大量の水が滝となってその穴に落ち込んでいる。この水が氷河の下に入り込み、その流出を加速しているのだ。グリーンランドの氷が全て解けると世界の海面は6メートル上昇するといわれている。

この氷の減少の影響を真先に受けているのが、北極圏の生態系だ。ホッキョクグマの王国と呼ばれてきたスバルバル諸島では、氷がないためにえさとなるワモンアザラシが少なくなってしまい、ホッキョクグマの親子に過酷な運命をもたらしている。

 さらに、北極圏の温暖化は、地球全体の気候にも重大な影響をもたらす。最新のシミュレーションでは、北極圏の海洋や陸の変化によって、大気中のCO2を吸収する能力が減少し、温暖化にさらなる拍車をかけることがわかってきた。

 地球の気候変動の鍵を握る、北極。科学者たちの観測に同行取材し、北極で起きている大変動に迫る。

ホッキョクグマが危惧種に 地球温暖化で米政府指定

2008/05/15 徳島新聞Web

 【ワシントン14日共同】米内務省は14日、地球温暖化による北極海の氷の減少で近い将来に絶滅の危険にさらされるとして、アラスカ州に生息するホッキョクグマを絶滅危惧種に指定すると発表した。

 温暖化の影響を理由にした指定は米国で初めて。米政府は保護策の実施が求められるが、ケンプソーン内務長官は「(温室効果ガスの)主要排出国全体の取り組みがなければ温暖化は止まらない」と言明、指定を根拠にした国内の温室効果ガスの規制強化をしないよう条件を付けるとした。

 環境保護団体や民主党からは「保護を損なう措置だ」(シエラクラブ)などと批判が続出した。

 ホッキョクグマは米アラスカ州の約3500頭を含め、カナダやロシアなど世界で2万?2万5000頭が生息している。1960年代の約1万2000頭からは増加したが、近年は海氷の縮小で主食のアザラシが捕獲しにくくなり絶滅の危機にあるとして、温暖化防止の象徴になってきた。

北極海を覆う氷の面積、今夏に史上最小化の可能性

2008年05月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 昨年9月に観測史上最小を記録した北極海を覆う氷の面積が、今夏さらに縮小する可能性の高いことが、宇宙航空研究開発機構が行った衛星の画像分析で明らかになった。

 北極海の氷は、冬と夏で周期的に増減を繰り返しながら、地球温暖化の影響で年々減少すると考えられている。この冬は、例年並みの広さまで回復したことが衛星観測で確認されていた。

 宇宙機構は、米航空宇宙局の地球観測衛星に搭載した日本製機器を使った観測で、厚さのある古い氷(多年氷)の領域が減っていることを確認した。

 過去6年間の4月20日の画像を比べると、多年氷を示す濃い水色の領域が2005年以降徐々に減り、今年は05年の半分近くになった。特に北極点付近では、多年氷が消えてしまった。

 氷は薄くなるほど気温や水温の影響を受けて解けやすいことから、宇宙機構は「今夏の記録更新の見通しが強まった」としている。

北極の海氷4割減 温暖化の影響深刻 動物の個体減も顕著

2008/04/25 FujiSankei Business i.

 北極域では地球温暖化が科学者の予測を超える速さで進み、グリーンランドの氷床や北極の海氷が急激に減少、ホッキョクグマやカリブー(トナカイ)の個体数の減少など影響が広範囲にわたって顕在化しているとの報告書を、世界自然保護基金(WWF)が24日、発表した。

 各国の科学者の研究に独自の調査結果を加えてまとめた。「海氷が解けた結果、海が吸収する熱量が増え、これがさらに温暖化を加速させるといった悪循環が始まっていることを示す証拠もある」と指摘。各国政府に温室効果ガスの排出削減対策の強化を求めている。

 2007年の北極海の海氷面積は、1979年から00年の間の平均量に比べて39%も少なくなったことが判明。13年夏には海氷が完全になくなるとの試算もある。

 グリーンランドの氷床の縮小も進み、これが一因になって起こる海面上昇は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が推定しているよりも規模が大きいことが分かってきた。

 ホッキョクグマはカナダや米アラスカ州の2つの個体群で温暖化によるとみられる個体減が顕著で、餌を取るのに欠かせない海氷の減少との関連が指摘されている。

 カナダでは、餌が取れなくなった結果、数が86%も減ったカリブーの個体群があることが確認された。

 WWFは、温暖化が原因の生態系の変化が北極域に住む先住民などの生活にも影響を与え始めているとの調査結果を紹介。「このままでは近い将来に取り返しのつかない影響が生じることになる」と警告した。

                  ◇

【用語解説】北極と地球温暖化

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、地球温暖化は北半球の高緯度地域で最も激しく進んでおり、それによる影響も大きい。21世紀末の世界の平均気温の上昇が2・8度でも、北極では4度を超え、最悪の場合は温度上昇が7度を超えるとも指摘されている。IPCCは、北極を、自然環境と地域社会で最も温暖化の影響を受けやすい地域の1つに挙げている。

南極巨大棚氷、崩壊の危機 温暖化で予想の倍のペース

2008年03月27日 中国新聞ニュース

 【シドニー27日共同】南極大陸の巨大なウィルキンズ棚氷が、地球温暖化の影響で崩壊の危機にあることが、英国南極観測局(BAS)の調査などで27日までに分かった。

 棚氷は約41キロにわたって亀裂が入り一部が分離、これまでに415平方キロが消失した。英紙タイムズによると、BASのボーガン教授は崩壊に向けた消失が「予想の2倍の速度で起きている」と述べた。

 棚氷は陸地から海に向けて張り出した巨大な氷の板。ウィルキンズ棚氷は同大陸の南米側に突き出た南極半島にあり、岩手県の面積に近い約1万4500平方キロの大きさ。

 過去に南極大陸で崩壊した棚氷に比べ、ウィルキンズ棚氷はより南部の低温地域にあり、ボーガン教授は地球温暖化の深刻さを表していると語った。

 南極半島周辺では1974年以降、1万3500平方キロもの棚氷が崩壊したとされる。

30年で40%減った北極の海氷,今夏にも極点から消滅も

2008/03/19 IT PRO

 北極海の海氷が急激な勢いで消失している。昨年9月には約30年前に比べて40%も縮小。これは観測史上最小だ。ここ数カ月間で海氷が大規模に崩壊しており、今夏には極点から氷が消える可能性もある。

 北極海では毎年、春から夏にかけて海氷が縮小し、9月に最小になった後、再び冬にかけて海氷が拡大するという変化を繰り返している。衛星観測が始まった1978年には、夏の最小期の海氷面積は約700万km2で、冬には北極海が全面結氷していた。しかし、2005年夏には海氷面積がそれまでで最小の530万km2に縮小。昨年夏はその記録を更新して420万km2にまで減少した。

 歴史的に海氷が激減したのは98年で、それまで年率0.6%で縮小してきた海氷面積が一気に25%も減り、それ以降急激な減少傾向は止まっていない。「地球温暖化による気温上昇で氷が解けたというだけでは、この劇的な融解速度は説明できない」と、海洋研究開発機構(JAMSTEC)北極海気候システム研究グループの島田浩二グループリーダーは話す。謎を解く鍵は、「海氷が動く速度にある」と島田氏は語る。

 98年の海氷激減時に北極海の水温と塩分濃度を測定した島田氏は当時、アラスカ沖の海底山脈がある海域で海水温が1℃上昇していることを発見した。その時、北極海では時計回りに海氷が動く速度が従来の2倍と速くなっていた。

 これらの観測結果を総合して、島田氏は北極海で海氷が解けるメカニズムを以下のように説明する。

 かつての北極海ではアラスカとロシアの沿岸まで海氷が張り、陸と氷の間にすき間がなかった。陸と氷の摩擦のせいで、風が吹いても氷は自由に動けなかった。

 ところが、温暖化によってアラスカの沿岸付近が一部凍らなくなった。すると陸と氷にすき間ができ、摩擦が無くなって氷が動きやすくなった。北極海では時計回りの海流が存在するが、それに乗って氷も時計回りに回転し始めた。回転によって氷の下の海流は次第に強くなり、それがアラスカとロシアの間のベーリング海峡を通じて太平洋から暖かい海水を引き込んだ。

 そのせいで北極海の海水が温暖化し、さらに氷を溶かしてすき間を広げ、回転運動が暖かい海水を呼び込むというループができ、加速度的に氷の縮小が進行したという。「静かだった北極海が動的な海に変質した」と島田氏はみる。

 では、今夏は海氷がどこまで縮小するのか。島田氏によれば、今年1月時点で北極点周辺には既に多年氷が存在せず、極めて薄い氷しかないという。カナダ沿岸では大規模な氷の崩壊が起きている。1年前に8カ月かけて生じた海氷の動きと同等の動きが、昨年10月から今年1月の3カ月間で生じている。「昨年を上回る速度で、今夏には北極点周辺で海氷が完全に消える可能性がある」(島田氏)

 北極海の氷が消失すれば、白い氷が太陽光を反射して地球を冷却させる機能が失われ、熱を蓄える地域に変わり、温暖化がさらに進行する。日本の冬の気候にも重大な影響を及ぼしかねない。 (藤田 香=日経エコロジー)

世界の氷河の縮小加速 06年、前年の倍以上と国連

2008年03月16日 中国新聞ニュース

 世界各地の30の氷河では、2006年の1年間の縮小量が前年に比べ2倍以上になっていたと、国連環境計画(UNEP)と世界氷河モニタリングサービス(本部・スイス、WGMS)が16日、発表した。

 UNEPのシュタイナー事務局長は「飲料水や農業用水を氷河の水に依存している何百万人の人の暮らしに影響を与える」と指摘。温室効果ガスの一層の排出削減を進めるための新たな国際合意の必要性を強調した。

 WGMSは、アンデス山脈やヨーロッパアルプス、天山山脈など9カ所30の氷河を長期にわたって観測している。

 氷河の厚さは、06年の1年間で淡水に換算して平均で約1・4メートル薄くなり、05年の約0・5メートルより大幅に増えていた。縮小は今世紀に入って加速する傾向にあり、本格的な観測が始まった1980年以降の縮小量は淡水換算で約10・5メートルになるという。

シベリア凍土急速に融解 地温上昇、雨や雪が影響

2008年01月18日 中国新聞ニュース

 ロシアのシベリア東部で2005年以降、地中の温度が急上昇し永久凍土が急速に解けているとの調査結果を海洋研究開発機構の大畑哲夫プログラムディレクター(雪氷学)らのグループが18日、発表した。

 地球温暖化による北極域の気温上昇で、降水や積雪量が増えたのが原因とみられ、大畑さんは「周辺では、凍土溶解によるとみられる森林の異常や、冬に河川の水が増える現象などが既に起きている。大気循環が変わって日本の異常気象につながる恐れもある」としている。

 グループは、ロシア水文気象環境監視局によるシベリア東部3地点の観測値を解析。3地点の地下3・2メートルの年平均温度は、1970年の氷点下2・8度から2004年の同2・6度までは緩やかな上昇だったが、05年は同1・8度、06年は同1・5度と急上昇。

2030年に水不足10億人増 OECDが報告

2008年03月05日 中国新聞ニュ−ス

 地球温暖化対策をはじめとする新たな環境対策を直ちに取らないと、は深刻な水不足に悩む人が10億人も増え、50年の地球の気温は産業革命前より最大で2・4度上昇するなど、世界経済や地球の生態系に大きな影響が出るとする報告書を、経済協力開発機構(OECD)が5日、発表した。

 大気中の温室効果ガスを450ppmという比較的低濃度で安定化させるのに必要な費用は、世界の経済成長率を年率で約0・1%減少させる程度だとの試算に基づき「予測される被害に比べ対策コストは小さい。支出は可能で、意味もある」と指摘した。

 「環境アウトルック(予測)2030」と題された報告書は、新たな対策を取らないと、30年には世界の温室効果ガス排出量が現在より37%、50年には52%増加すると予測。気温も上昇して干ばつや熱波の被害などが深刻化する。

 温暖化で水資源問題も深刻化、30年には水不足に悩む人が10億人増え、39億人を超える。

中国の海面20センチ上昇 洪水の危険、飲料水不安も

2008年01月14日 中国新聞ニュース

 【北京16日共同】16日の中国英字紙、チャイナ・デーリーによると、中国沿海部の上海、天津などの大都市で、地球温暖化などのため過去約30年間に海面の高さが場所によっては約20センチ上昇したことが国家海洋局の統計調査で分かった。

 海洋局は、世界平均の上昇率を大きく上回っているとする一方、今後10年で沿海部の海面はさらに3・2センチ上がると予測。上昇傾向を食い止めるのは困難とし、沿海部当局が対策を取るよう呼び掛けている。海面上昇の累次統計を海洋局が発表したのは初めて。

 海洋局によると、天津は過去30年に19・6センチ、上海では11・5センチ海面が上昇。全国平均では9センチ上がり、沿岸の気温は0・9度上昇した。

 地球温暖化が海面上昇の主な原因だが、上海と天津では地下水の「無秩序な取水」による地盤沈下も原因。海面上昇は両都市で洪水の危険性を高め、上海では約2000万人の住民の飲み水に海水が混じり、健康不安の原因となっている。

南極の氷、減少速まる 10年で1・75倍に

2008年01月14日 中国新聞ニュース

 1年間に南極の氷床から解け海に流れ込む淡水の量は、過去10年の間に場所によって最大2・4倍になり、氷床全体の年間減少量も1・75倍になったとの調査結果を米カリフォルニア大や英国、オランダなどの国際研究チームがまとめ、地球科学の専門誌、ネイチャージオサイエンスに13日、発表した。

 南極周辺で目立つ気温や海水温の上昇が原因とみられる。温暖化によって南極では降雪量が増えるため、全体として氷がどれだけ減っているかなどはよく分かっていなかった。南極の氷の溶解が一因になっている海面上昇の予測精度の向上などに役立ちそうだ。

 研究チームは、1992年から2006年の米国の人工衛星によるレーダー観測データを基に、南極の海岸線から海に流れ出す水の量を詳しく解析。降雪量を予測するコンピューターモデルのデータを加え、南極の氷床の変化量も推定した。

温暖化、日本の川からサケ消える!?北大チームが試算

2008年01月01日 読売新聞

 地球温暖化で海水温が上昇すると、今世紀中に日本の河川から天然のサケが姿を消す可能性が高いことが、北海道大の帰山(かえりやま)雅秀教授(魚類生態学)と岸道郎教授(水産海洋学)の研究チームの試算で明らかになった。 Click here to find out more!

 東北地方とほぼ同緯度の朝鮮半島東部の河川に遡上(そじょう)するサケが減少しているという観測もあり、帰山教授は「すでに温暖化の影響が出ている可能性がある。今後の推移を注視していきたい」と話している。

 研究チームは、2100年に平均気温が上昇するとした国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告書をもとに、日本の河川に生息するシロザケの生態を予想した。

 日本の河川で孵化(ふか)したシロザケの幼魚は、オホーツク海に出た後、北太平洋のベーリング海からアラスカ湾を回遊。カムチャツカ半島、千島列島経由で2〜7年で産卵のため元の川に戻ってくる。

 シロザケの幼魚の成長期に適した海水温は8〜12度で、越冬期は5度前後。IPCCの予想通りに平均気温が3・4度上昇すれば、オホーツク海の海水温は2〜4度上昇し、2050年ごろには、日本沿岸からオホーツク海の回遊ルートが消えて国内のサケが激減する。21世紀末までに生息域がなくなり、サケは壊滅状態になるという。

200の氷河湖、決壊の恐れ ヒマラヤ調査機関が報告

2007年12月05日 中国新聞ニュース

 国連環境計画(UNEP)と共同でヒマラヤの調査を実施している国際総合山岳開発センター(ICIMOD)の研究者、バサンタ・シュレスタ氏は5日、都内で会見し、地球温暖化によるヒマラヤの氷河融解で氷河湖が拡大、約200の氷河湖が決壊し洪水を引き起こす恐れがあると訴えた。

 氷河湖が決壊し洪水が発生すると、下流の村落の農業や道路、発電所などに多大な被害が及び、ネパールだけで約2万−2万5000人が危険にさらされると警告した。

 シュレスタ氏は、1960年代に撮影されたヒマラヤの写真と現在の写真を比較し、氷河湖の拡大が進行している状況を説明。特に拡大率が高いイムザ湖では、年間に長さ約70メートルの規模で拡大が進んでいるという。

薄くなるモンゴルの凍土 地球温暖化の影響で

2007/11/25 中国新聞ニュース

 地球温暖化が進む中、モンゴルの永久凍土の厚さが七年間で一―二メートルも減少していたことが、国立環境研究所と慶応大の共同研究で二十四日、明らかになった。

 二十年後には観測地付近の永久凍土は完全に消失すると予測している。このままではモンゴル全土で土地の乾燥化が進んで草原がなくなっていき、住民の遊牧活動に大きな影響を与える懸念があるという。

 モンゴルには国土の三分の二にわたる広大な永久凍土が存在するが、まとまった観測データはほとんどなかった。凍土が解けると、地下に蓄えられている強力な温室効果ガスのメタンが大気中に放出され、温暖化をさらに加速させる悪循環を招く恐れも指摘されており、今後、さらに詳しい調査が必要になりそうだ。

 同研究所の王勤学おう・きんがくアジア水環境研究室長らは、ウランバートルから南に数十キロの場所に位置するナラヘ地区で、地中探査レーダーを使い地下の凍土の状況と内部構造を調査。一九九九年には四―六メートルあった凍土の厚さが、二〇〇六年には二―三メートルになっていた。誤差を考慮すると、減少は一―二メートルになるという。

 モンゴルの年平均気温は一九四〇年から二〇〇四年の間に一・八二度上昇。特にウランバートルでは二・三一度上がった。永久凍土の温度も年々上昇しているという。

 研究チームは「永久凍土の消失速度は予想をはるかに超えている。モンゴルの各地で道路や建築物に大きな被害が出る恐れがある」と対策強化を呼び掛けている。

統合報告書でIPCC総会 温暖化の最新研究総まとめ

2007年11月12日 中国新聞ニュース

 ノーベル平和賞の受賞が決まった「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の総会が12日、6日間の日程でスペインのバレンシアで始まった。研究者がまとめた草案に、政府代表を含めた参加者が意見を述べる形で会議を進め、17日に、6年ぶりに最新の研究成果を集めた第4次の統合報告書を発表する。

 一連の検討作業の総まとめとなる統合報告書は12月にインドネシアで開かれる気候変動枠組み条約の締約国会合にも報告され、京都議定書に定めのない2013年以降の国際枠組み構築に大きな影響を与える。

 報告書は、今世紀末の気温は1990年に比べ最大6・4度上昇する可能性があり、近い将来に水不足や、洪水などの被害が目立って大きくなるなどとした3つの作業部会報告を統合。IPCCとしての見解を世界の政策決定者向けに示す。

 温暖化の悪影響を回避するために今後20−30年の温室効果ガス削減努力が重要になることなどを指摘する見通しだ。

加速する北極圏の温暖化、早まる北極海の海氷消失と融ける氷河(1)今年の夏、北極海で観測史上最小の海氷面積を記録

2007/09/17 JANJAN

20世紀半ばから海氷の厚さが減っている

 日本で観測史上最高の気温を記録した8月の中旬、北極海の氷の面積が観測開始以来最も小さくなったという発表があった(海洋研究開発機構、宇宙航空研究開発機構)。氷の融けるペースはIPCC第4次報告の予測をも大幅に上回っており、いよいよ地球温暖化影響の本格的な現れかもしれない。

 北極の氷は海に浮かんでいるので絶えず動き、海氷または流氷とも言う。暗くて寒い北極の冬に厚さと面積を増し、白夜の夏には融けて減少する。これを毎年繰り返すが、その海氷の厚さが夏に劇的に減少する傾向が20世紀半ばから起きており、厚さはこの35年間に約40%薄くなったという。

ついに最小の面積を観測、まだ融け続ける海氷

 1978年からは衛星で海氷面積の観測ができるようになり、今年、2007年8月15日に観測史上最小になったことが確認された。過去に最小になったのは2005年9月で、今年はそれを上回る過去にも例がないペースで減少が続き、海氷は9月まで融け続けることからこのままではさらに減少するとみられる(記事末尾の図を参照)。

 海氷減少のペースについて、米国の海洋大気庁(NOAA)は9月上旬に、北極の海氷面積が2050年の夏までに1979〜1999年の平均と比べて40%以上減少するとのコンピューターによる予測を発表したばかりだ。この基準期間平均の最低海氷面積は9月上旬の約680万平方kmで、今年9月3日の観測値は約420万平方km。すでに38%以上減少し、2050年をまたずに予測値にかなり近づいていることがわかる。地球温暖化の影響は想像以上に大きいことに驚かされる。

10年前から北極圏の海氷消失を警告

 というのも、筆者がこの自然環境が毎年劇的に変化する北極圏の沿岸部を砕氷船で旅した頃にも、温暖化による北極の海氷の減少や北極圏周辺の氷河の減少、海水面上昇、生態系の異変などが顕在化していた。しかし、これを取り上げるマスコミは少なく、極地を専門とする科学者にも異変と温暖化との関係に懐疑的、または否定的な者も多かった。それ故に、今日の世間の騒ぎようには感慨深いものがある。少し歴史をさかのぼるが、北極圏の異変のいくつかを写真とともに提示し温暖化対策の緊急で重要さへの理解を促したい。

最北の街バローを目指す砕氷船

 ベーリング海峡を抜け、北極海に連なるアラスカの北の海、ボーフォート海に砕氷船が到達したのは1998年の北極の初夏、7月のことだった。当時、温暖化から地球環境の保護を試みる環境保護団体・グリーンピースの砕氷船アークティックサンライズが北極圏の町バローをめざしていた。バローは普通の市民が暮らす町としては、世界で最も北にあり北極海に面しているが、北極海までの間をなぜかボーフォート海という。冬には北極の氷が広がって海が全面に凍結、夏にならないと海からは近付けない町だ。

加速する北極圏の温暖化、早まる北極海の海氷消失と融ける氷河(2)この年の永久流氷限界は、すでに320km北に後退していた/h3> 2007/09/19 JANJAN

冬に北極海の海氷面積は最大になる

 陸地のない北極海は、その中心に1年以上溶けたことのない厚い多年氷(永久流氷)が浮かび広い範囲で氷原をなしている。冬の北極海周辺はアラスカを含む北アメリカ沿岸(アメリカ、カナダ)、グリーンランド(デンマーク)、ユーラシア大陸(ロシア)の海を氷が覆い尽くす(市販の地図などにある「流氷の限界」ラインとは、1年で1回でも流氷が見える場所の南の端を結んだ線)。

 春になるとこの氷の領域は周辺から溶け始め、北極の中心へと後退していく。夏の最も後退した氷原の縁を永久流氷の限界(1年中流氷がみられる地点の南の端を結んだ線)といい、狭いところでは大陸から150kmほどしか離れず、30数年前までそのラインは安定していた(古い地図の永久流氷の限界のラインと今年の夏の海氷域図を比べるとその著しい変化がわかる)。

すっかり厚さが薄くなった現代の流氷群

 砕氷船がボーフォート海の西に達したころには、すでにあたりの海に氷は見えなかった。その年の永久流氷の限界を確かめるために砕氷船は北上を続け、アラスカの沿岸から150kmほど北上したところで、やっと流氷群に遭遇した。

 白夜の薄明かりの中で船の行く手を遮った流氷群は、海面上の高さが1〜1.5m前後で(水面下の厚さはその9倍ある)シャーベットが溶けて再び凍ったように凸凹で、 大気のほこりで表面は薄黒くすぐに溶けてしまいそうな薄く頼りない氷だった。

 何年も溶けたことのないカチンカチンに凍った多年氷は、気泡や不純物が抜けて透明な氷になるとうわさに聞くが、実際にはそれとは程遠い印象だった。このときの流氷群の規模は小さく、ほぼ1日で氷の海を脱した。当時の北極に続く永久流氷は、バローの沖合320kmの北にまで後退していた。

ポジティブ・フィードバックが温暖化を加速

 北極海の海氷が融けると、海水と氷の密度差によりわずかながら海水面は上昇する。が、氷が解けると海洋が加熱され、北極圏の温暖化が進むことによる影響の方が大きいと考えられている。

 表面の白い海氷は、太陽日射の80%を宇宙に反射して北極圏を涼しく保ち、地球の気候を適度にする手助けをしている。ところが海氷が融けて海の表面が露出すると、日射の90%を吸収し熱に変換する側に海洋は変わる。すると海洋の温度が上がり海氷の減少が加速され、さらに北極の気温が上がるという「ポジティブ・フィードバック」という悪循環が起こるからだ。

 地表の雪と氷も同様な働きをし、北極圏の雪と氷が溶けると地上気温の上昇が加速する。実際、IPCCは第4次報告で、「北極圏の平均気温は、過去100年間で世界平均の上昇率のほとんど2倍の早さで上昇した」としている。

海水が暖まり厚くならず融けやすい氷

 今年の海氷減少が加速した理由は、夏に暖まった海水が秋から冬にかけて海水を凍らせるのを遅らせ、北極海沿岸でできたもろく融けやすい氷が北極海内部まで広がったこと。この氷が早く融け太陽の日射を吸収して海洋の加熱がすすみ、さらに海氷が融けるペースが加速されたこと。北極海から大西洋への海氷の流出が増加して北極海内部の氷が減少したこと、などを両研究機構は原因として挙げている(海洋研究開発機構、宇宙航空研究開発機構)。

 海氷の消失で温暖化が加速した北極海の熱収支は、さらにその周辺の北極圏へと影響を及ぼし、氷と雪に生活手段の多くを依存する先住民の世界と生態系に大きな異変をひき起こしている。次回は海氷の消失が招く野生動物の危うい未来と、先住民が語る温暖化体験を報告する。(桐生広人)

加速する北極圏の温暖化、早まる北極海の海氷消失と融ける氷河(3)海氷の消失とともに絶滅する野生の北極熊

2007/09/23 JANJAN

融けてしまった北極点の氷

 北極点が凍っていない海だったのは、約5000万年前のことといわれる。それ以降、北極点は凍り続けたはずだが、2000年の夏、氷がなくなっていること が観測された。国連が送った調査船のGPS(全地球側位システム)が北極点到達を示しているにもかかわらず、驚いたことに船のまわりは海で、辺りには氷山が漂っていたという。

 さらに、観測史上最も狭い海氷面積を記録した今年の北極海の夏の氷は、厚さが1mほどで2000年頃の半分程度。最近のコンピューターモデルによる計算では、将来の温暖化で50年以内には夏の北極海に氷がなくなるだろうと、現在も北極海で調査をつづけている国際観測チームの科学者は伝えている(今年は国際極地年で国際的調査がされている)。

野生の北極熊が絶滅するのは時間の問題

 一方、米国地質調査所(USGS)は9月上旬、北極海の海氷の減少により、21(今)世紀の半ばには野生の北極熊(Polar bear)の生息数が、現在と比べて3分の2減るという予測を発表した。

 北極熊は、主要な食物であるアザラシを狩るための足場を海氷に依存しており、それらの海氷は地球温暖化の影響で北極海の至る所で減少している。今世紀半ばまでに北極熊の生息する北極海の氷が、夏の間に42%消失するという条件のモデルで推測したものだ。が、実際に観測された海氷の減少ペースはもっと早く、これらの予測結果は控えめなものと科学者は見ている。実際、今夏の観測では50年以内に北極の氷が夏になくなると予測されるので、そのころの北極熊は水族館や動物園だけで生き延びることになるかもしれない。

 USGSの調査は、米国の絶滅危惧種法に、北極熊を絶滅の危機に瀕した動物種として記載するかどうか検討するために行われたもので、来年1月に決定されることになっている。国際自然保護連合(IUCN、本部スイス)は、2006年に初めて北極熊を「レッドリスト」(絶滅の恐れがある動植物)に加えた。

伝承芸能の中に生き続けるしかない

 野生の北極熊の絶滅の危惧は、10年前からカナダに生息する集団の生息数の減少などで知られていたが、これまでは北極圏の先住民の狩猟動物の対象だった。2000年の春に、ベーリング海に浮かぶセントローレンス島を訪ねたおり、ハンターが最近北極グマを仕留めたという話を聞いたことがある。北極熊を狩るのは毛皮が目的のようで、屋外で乾燥させている獲ったばかりの毛皮をよく目にした。

 野生の北極グマは、推定ではブラウンベアー(ヒグマ)が北極圏にえさを求めて進出、氷の海で狩りができるよう身体を変化させ、北極圏のマイナス数十度までになる過酷な生息環境に適応する能力を獲得して生き続けてきたクマである。

 温暖化で北極圏を追われる北極熊が、もっと南に移動して草木の実やカリブー(北米産のトナカイ)などを獲ることを覚えれば生き延びられるかも知れないと科学者は言う。しかし多くの動物学者は悲観的だ。というのは氷の海に適応した北極熊は、氷がなくなってしまえば自身の移動すらもおぼつかない。陸上に移動し、カリブーを獲れなどというのは無理な相談で、カリブーより早くツンドラを走る姿を想像するのは難しい。

仕留められた野生のグリズリーとの交配種

 陸上では人間との衝突も多くなり、すでにブラウンベアー(ひぐま)やグリズリー(灰色熊)がいることから南への進出は難しいと考えられる。そして、氷のない環境に適応するよう進化するのに要す時間よりも、温暖化のスピードの方が早いことなどで、北極の氷が今世紀半ばには消えると言われる今、グリズリーのような性質を獲得、進化(?)する前に死に絶える確率の方がはるかに高いと言われていた。

 ところが、このすぐには不可能とみられてい「進化」がすでに北極熊の世界に起きていることが最近分かった。昨年4月にカナダ北部で仕留められた白い毛皮に茶色のまだら模様のある熊のDNAを調べたところ、野生の北極熊とグリズリーの交配種だったのである。この交配種がどのようにして生まれたか明らかになってはいないが、北極圏ではグリズリーと北極熊の生息域が重なっている地域もあり、これは温暖化でグリズリーが餌を求めて北極圏に北上したものとも考えられる。温暖化した将来、野生の北極熊はこうした交雑種として生き延びるのかもしれない。いずれにしても、北極圏の生態系に大きな異変が起きていることを感じさせる出来事だ。(桐生広人)(つづく)

急激に海氷が減少、北極海の「北西航路」が開通

2007年09月18日 WIRED VISION/John Borland

 おそらくは有史以来初めてのことだ――カナダの北岸に沿って、ヨーロッパからアジアへ直接向かう航路をさえぎる氷がなくなった。

 この衝撃的な結論は、欧州宇宙機関(ESA)の地球観測衛星からのデータを分析して得られたもので、北極の氷が、今年に入ってかつてなく縮小していることを示している。

 オレンジがかった黄色の線は北西航路を、青色の線は、ロシアの北を通る北東航路(こちらは一部氷が残っている)を示している。

 濃いグレーの部分は氷のない海域を、中央のやや緑がかった部分は海氷を示す。

 植民地時代以来、ヨーロッパから北米大陸へ移動しようとした探検家や船乗りたちは、何世紀もの間、「北西航路」を探し求めてきた。北米大陸を川伝いに抜けるか、北岸沿いに進むかのルートだ。ヨーロッパとアジアを直接結ぶ航路があれば、時間も費用も大幅に節約できるからだ。

 北西航路が見つからなかったことが、最終的にはパナマ運河の建設に結びついた。その後、北西航路のルートはいくつか発見されたが、大回りな上に大部分が氷に阻まれていて、商業的に使用できるものではなかった。

 現在、この航路が使用できる可能性が浮上してきたことで、早くも政治的な対立が勃発している。

 カナダは自国領土の北側海域の領有権を主張し、米国はそれに異を唱えている(カナダ放送協会のサイトでは、この北西航路の歴史と今後の展望について、すぐれたドキュメンタリー番組のアーカイブ[ラジオとテレビ]を提供している)。

 ただしこれは、海上交通にとっては喜ばしいニュースであっても、地球規模で見れば悪いニュースだ。北極の氷の減少が予想を上回るペースで進んでいる証拠であり、地球温暖化に関するこれまでの見通しを改めなくてはならない可能性がある。

 ESAのプレスリリース「衛星で確認、北極海の海氷面積が史上最少に」から、デンマーク国立宇宙センターのLeif Toudal Pedersen准教授の発言を引用する。

 ----------------------------------------------------------------

 われわれは、海氷面積がわずか300万平方キロメートル前後にまで減少しているのを確認した。これは2005年および2006年の最小値と比べて約100万平方キロ少ない。

 海氷面積は、過去10年の間で、年間約10万平方キロのペースで減少していたから、わずか1年で100万平方キロも減少したことになる。これは非常に極端なペースだ。

 たった1年で急激に減少したことで、(夏季の)氷が予想よりずっと速く消滅する懸念は間違いなく高まった。何が起きているのか、早急に解明する必要がある」

 -------------------------------------------------------------------

 この記事は、ESAのプレスリリースを参考にした。[日本語版:ガリレオ-江藤千夏/高橋朋子]

「北極の氷が2030年に消滅」、海底資源の争いも

2007年09月10日 WIRED VISION/Brandon Keim

 俳優トム・クルーズ氏の愛娘の幼いスーリちゃんが、浅はかなB級セレブ婚に夢中になって人生を棒に振るような年齢になるころには、北極から氷がなくなってしまうだろうという予測を科学者が発表した。

 (もちろん、科学者はスーリちゃんの名など出してはいない。私がこのページへのアクセス数を増やそうとしているだけだ。)

 最新の調査結果によると、北極の氷が予想よりはるかに速いスピードで溶け出しているという。

 以下に、『Guardian Unlimited』の「氷のない北極が23年後に出現」から引用する。

 ----------------------------------------------------------------------

 この調査結果を公表した、コロラド大学デンバー校にある米国立氷雪データセンター(NSIDC)の北極専門家Mark Serreze博士は、「これは驚くべきことだ。崖がそっくり崩れ落ちていて、今もずっと氷が失われ続けている」と語る。

 衛星による観測が30年前に開始されて以来、北極はおよそ3分の1の氷を失っているうえに、氷がなくなるスピードは2002年以降急激に加速している。

 Serreze博士は言う。「北極の氷がすべてなくなるのはいつかと尋ねられたとしよう。2、3年前だったら、2100年かおそらく2070年ごろだと答えていただろう。だが、今では2030年というのが妥当な予測だろうと私は考えている」

 つまり、カナダ北側の海域が、完全に海から海へと航路がつながることになる。このことからさまざまな国が、石油やガスなどの海底資源の所有権を狙って画策を続けている。

 こうした国々は、「北極海大陸棚が自国の大陸棚につながっていることを示す」とする怪しげな論拠によって主張を行なっている。[国際法では、沿岸国の200カイリまでは排他的経済水域(EEZ)とされるが、沿岸国の大陸棚に関しては、200カイリを超えても経済的管轄権が及ぶことになっている。]

 こんなありさまを見ていると、思いつきが1つ浮かぶ。

 これら海底資源の所有権は全人類のものとし、利益は、グリーンエネルギーの研究、気候変動によって価格が急騰した食料への補助金、それに、新たに誕生した熱帯地域で起こる新しい病気との闘いのために還元したらどうだろう。

 さらに、残った資金は、海面の上昇によって家を失った人たちや、生活様式の急激な変更をせまられ、ガイド付きハンティング・ツアーもできなくなる、地元のイヌイットの人々に給付したらいい。

 資料:国立氷雪データセンター、「北極海氷ニュース2007年秋

「日本排除」で枠組み模索 米、温暖化対策で05年

2007年09月08日 中国新聞ニュース

 米国主導で日本など6カ国が参加して2年前に発足した地球温暖化防止の新たな枠組み「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)」の創設をめぐり、米ホワイトハウスが当初「京都議定書」を重視する日本を排除する方針だったことが8日、機密指定を解除された米公文書で分かった。

 最終的には日本の激しい抗議を受け、米国は日本の参加を認めたが、文書はブッシュ政権中枢の京都議定書への根深い敵対心を露呈。来年の主要国首脳会議(洞爺湖サミット)へ向け、安倍晋三首相が温暖化対策での指導力発揮に意欲を示す中、文書で浮き彫りになった日米間の根源的なギャップは、新たな合意づくりの障害となりそうだ。

 文書は環境保護団体「グリーンピース米国」が米情報公開法で入手。05年7月25日の国務省日本部のメモによると、ホワイトハウスの環境評議会は「日本が(温室効果ガス)削減目標や京都議定書のような『反成長』型の条項を設ける」事態を懸念し、APPからの日本排除を決定した。(共同)

鳥のふ化や開花が早まる 北極圏、10年で14日も

2007年08月18日 中国新聞ニュース

 急激な温度上昇が進んでいる北極圏のグリーンランドで、植物の開花や鳥の卵のふ化時期が早まるなど、温暖化が原因とみられる生態系の変化が起こっていることがデンマーク・コペンハーゲン大学などの研究グループによる18日までの調査で分かった。

 変化は10年間で平均14日余と大きく、研究グループは「多くの生物種は急速な気候の変化に対応しているが、このような状況は長続きはせず、やがて北極圏の食物連鎖が乱れ、生態系に悪影響が出るだろう」と警告している。

 調査対象は、ヤナギやヒナゲシの仲間など植物6種、ハエや蚊、クモなど節足動物12種、ハマシギなどの鳥類3種の計21種類の生物。

 2005年に、植物の開花時期や節足動物の出現日、鳥の卵がふ化する日などを詳細に調査。1996年のデータと比較した。

「地球温暖化の原因は太陽の活動」説を否定する新論文(1)

2007年07月09日 WIRED VISION/Fraser Cain

 人間の排出する二酸化炭素が原因で、地球の全域で気温が上昇しているという点について、研究者の科学的な見解は一致している。だが今なお、人間の活動が地球の気温に影響している徴候を認めようとせず、根本的な原因は自然のプロセスにあるとの主張を続ける人々もいる。

 これらの人々が気候変動の原因と主張する自然のプロセスの1つが、宇宙線だ。

 2000年に『Physics Review Letters』誌に掲載されたある論文では、ペルーのワンカヨにある中性子観測施設のデータから、下層雲(地表から3.2キロメートル以下の高度にある雲)のできている地域で、宇宙線の量が増えていることを指摘している。

 この宇宙線の量は太陽風の強さに影響される。これは地球の磁気圏が、太陽から降り注ぐ粒子のエネルギー量によって拡大または収縮するためだ。気温上昇の期間と宇宙線の減少には、20世紀を通じて相関関係が見られると、この論文にはある。

 宇宙線が地球の大気、とりわけ下層雲に働きかけると、強度や電荷がさまざまに異なるイオンが発生する。するとこれらのイオンの影響で厚い雲が形成され、太陽光線を遮り、気温の上昇を抑えるというわけだ。

 このように、太陽の黒点と太陽風の11年周期の活動と、地球における宇宙線の量の偏りとは、地球温暖化の原因を自然のプロセスに求める場合の可能性の1つとなっていた。

 だが、ランカスター大学のT. Sloan教授と、ダラム大学のA. W. Wolfendale名誉教授は、この論文を精査した結果、信頼性に欠けるとの結論に達した。

 この研究の成果は「宇宙線と地球温暖化」と題した論文にまとめられ、7月3?11日(現地時間)にメキシコのメリダで開催される第30回宇宙線国際会議(ICRC)で口頭発表される。

 Sloan教授とWolfendale名誉教授によると、2000年の論文は宇宙線と下層雲の関係に注目する一方で、これ以外の高度にある雲のことを完全に無視している。これは驚くべきことだ。宇宙線によるイオン化は高度が高いほど活発になるはずなのだから。

 宇宙線は地表の近くに到達するより前に、もっと上空で大気によって遮断されて雲を形成する。宇宙線に気候変動の原因を求めるならば、2000年の論文とは逆に、高度の高い雲に注目するべきだ。

 完全に否定はできないにしても、かなり可能性は低くなる。

 もう1つ疑わしい点は、水滴となるようなイオンの発生に宇宙線が関与しているかどうかだ。Sloan教授とWolfendale名誉教授が、宇宙線によって生成されたと考えられる雲の水滴の地表近くでの分布を試算したところ、イオンの生成率はかなり低く、雲の形成に必要なだけの水滴はできないとわかった。[日本語版:ガリレオ-江藤千夏/小林理子]

「地球温暖化の原因は太陽の活動」説を否定する新論文(2)

2007年07月10日 WIRED VISION/Fraser Cain

 地球温暖化問題に懐疑的な人々は、宇宙線が雲の量に影響して地球温暖化に影響しているとし、太陽の11年周期の活動と、地球の大気圏まで到達する宇宙線の強さとの相互作用という自然現象として説明する。

 太陽風が強くなると、地球の磁気圏に到達しようとしている宇宙線を吹き飛ばし、その結果として雲の量が減るという説明だ。

 しかし、宇宙線によってイオン化された粒子は、地球の両極に引き寄せられる(このことは、美しいオーロラが高緯度の地域でのみ観測されることからもわかる)。宇宙線が雲の量に影響するのであれば、雲の量の変動は両極の近くで特に顕著となるはずだ。だがこれは事実と異なる。実際はまったく逆だ。

 さらに、宇宙線の活動の減衰と太陽の黒点の数の増加には、6?14ヵ月の時差があることが知られている。この周期を前提とした場合、太陽黒点の増減と雲の量の間には何の相関関係も見られない、とSloan教授とWolfendale名誉教授は指摘する。

 チームの試算では、11年周期の気候変動のうち宇宙線に起因するものは15%以下にすぎず、特にこの35年間の気温上昇については、この原因によるものは2%以下だという。

 太陽の放射と雲の量との関係を科学的に研究する上で必要な実験は以前からわかっているのだが、倫理的な問題が大きすぎる。大気中に大量の放射線を出し、周辺の雲にどのような影響が発生するかを観測するというものだ。

 不幸なことに、この実験はすでに、まったく意図せずして実施された。チェルノブイリの事故だ。

 1986年4月26日(現地時間)、チェルノブイリ原発の反応炉から、放射能をもつ粒子による雲が大気中に大量に放出された。もし放射線が雲の量を増加させるのであれば、事故現場は数週間にわたって雲に覆われたはずだ。だが、あの事故の後に、現場近くで通常と異なる量の雲が発生した形跡はない。

 Sloan教授とWolfendale名誉教授は、宇宙線と地球温暖化の関係をこのように精査した結果、この説はさまざまな角度から反証できるとの結論に至った。

 だが、チームがどれだけ確実な根拠を示しても、一部の人にとってはこれは今や政治的な問題になっている。どれだけ根拠を示しても十分とは言えない。

 ---------------------------------------------------------------------

 「地球温暖化と宇宙線には何の関係もない。なぜなら宇宙線には傾向がないからだ。まったく馬鹿げている」と、米航空宇宙局(NASA)の研究者で『Realclimate.org』に寄稿も行なっているGavin A. Schmidt博士は語った。

 --------------------------------------------------------------------- [日本語版:ガリレオ-江藤千夏/小林理子]

温暖化で?熱帯エイ大暴れ、バカガイ漁獲激減

2007/04/08 Iza

 熱帯や亜熱帯の広い海に生息する「ナルトビエイ」によって、豊前海のバカガイや有明海のタイラギなど二枚貝が食べられる被害が、九州を中心に広がっている。温暖化による海水温上昇などが原因で日本沿岸でも増えているとみられるが、根本的対策はなく、漁業関係者らは頭を抱える。

 大分県農林水産研究センター水産試験場浅海研究所(豊後高田市)の推定によると、昨年8月、大分県中津市沖の豊前海の漁場で、バカガイ3600トン、7億円相当が食害により約3週間で死んだ。海底の砂地にナルトビエイの腹の跡やかみ砕かれた貝殻などが残されていた。

 豊前海のバカガイの漁獲高は、1990(平成2)年の約8700トンが、97年は約2000トンにまで激減した。ここ数年漁は行われておらず、約十年ぶりに復活できるか見極めるための調査中だった。

 ナルトビエイが日本で初めて捕獲されたのは、89年の長崎県・五島列島沖。その後、有明海や周防灘、豊前海、広島湾などで二枚貝の被害報告が相次いだ。有明海沿岸の佐賀、熊本など4県は2002年に約100トン、04年に約300トンのナルトビエイを駆除した。

 研究所の福田祐一主幹研究員は「水温上昇で海域に入り込む時期が早まり、何カ月も活動して被害が拡大している」。各地の研究機関などによると、被害が目立つ海域では過去約30年に年間や冬季の平均水温が0.7−1度上昇した。

2度上昇で生物3割絶滅危機、地球温暖化報告書を採択

2007年04月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ブリュッセル=林路郎】国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会は6日午前、地球温暖化が長期に及んだ場合の人類や生態系への影響をまとめた第4次評価報告書をブリュッセルで採択した。

 気温が1990年比で約1度上がれば、水不足の被害人口が全世界で新たに数億人も増え、約2度上がると全生物種の20〜30%が絶滅する危険が高まるとの内容。協議は徹夜で続き、2050年代に水不足の被害は10億人以上などとする原案は大幅に修正された。

 採択が予定よりも半日以上もずれ込んだのは、温室効果ガスの排出量が最も多い米国、中国、サウジアラビアが報告書の文章や図表の表現を和らげるよう修正を求めたためだ。

 ブリュッセルの欧州連合(EU)欧州委員会ビルを舞台にした徹夜の協議がようやく終わったのは6日午前10時(日本時間同日午後5時)過ぎ。IPCCのパチャウリ議長は閉幕後の記者会見で、「気候変動の影響を最も強く受けるのは貧しい人々だ。気候変動と貧困問題と関連づけて考える必要がある」と警告した。

進む温暖化…2050年の水不足被害、10億人以上増

2007年04月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ブリュッセル=林路郎】国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会は6日、地球温暖化が長期に及んだ場合の人類や生態系への影響をまとめた第4次評価報告書をブリュッセルで公表する。

 2050年代には温暖化による水不足の被害人口が全世界で新たに10億人以上も増え、全生物種の20〜30%が絶滅する危険が高まるとの内容が盛り込まれる見通し。京都議定書の約束期間(08〜12年)以降の削減体制をめぐる国際交渉の行方に影響を与えそうだ。

 作業部会では、温室効果ガスの排出が多い米国や中国が、原案の表現に多数の修正を求め、議論が紛糾。予定されていた5日中に会議は終わらず、6日未明まで議論が続き、報告書の採択はずれこんでいる。

 最終草案は、対策を講じなければ、50年代には、温暖化の影響で飢餓に陥る人口が、最大で1000万人増加すると指摘。また、世界で安全な水を利用できないのは現在11億人だが、飲料水やかんがい用水の不足に困る人たちは年々増えている。報告書は、この被害人口が50年代にさらに10億人単位で増えるとした。

 気温が1990年と比べて2〜3度上昇すると、すべての地域で温暖化によるコストが増えるとした。さらに、人口が集中するバングラデシュなどアジアの大デルタ地帯や、太平洋の島国などで海面が上昇すると、高潮や洪水で大きな被害が出るほか、北極では温暖化で自然環境が特に大きく変化しかねないと分析している。

 温暖化の人間社会全体への影響は「すでに出ている」と指摘。具体的には、氷河や雪の融解による洪水リスクの高まり、永久凍土地帯での地盤不安定化、山岳地帯での雪崩の危険上昇――などを挙げた。また、こうした危険を回避するための手段はあると指摘した。

 生態系の危機にも言及。50年時点での気温上昇が1度にとどまった場合でも、森林火災の危険が高まり、一部の両生類の絶滅が懸念されるほか、2度上昇した場合には、地球上のサンゴ礁のほとんどが白化するとしている。

 作業部会は2日から5日まで、100か国以上の政府代表が、科学者が中心となってまとめた草案の確定に向けてぎりぎりの調整を続けた。関係者によると、部会では一部の国の代表が、評価報告書の結論の科学的根拠に疑問を投げかける発言を行ったという。

欧州も記録的暖冬 EU首脳会議で温暖化対策

2007/03/03 中国新聞ニュース

 日本を含め世界各地で暖冬傾向となった今冬は、欧州でも記録的な暖かさとなった。欧州連合(EU)は気候変動問題への危機感を強めており、八日からの首脳会議の主要議題で地球温暖化対策を取り上げるが、既に「暖かい冬」が普通となるとの見方も出ている。

 英国は今冬の平均気温が暫定値で五・四七度と、一九一四年の観測開始以来、二番目の暖かさ。英気象専門家はBBC放送(電子版)に対し、気候変動の影響で英国の今後の気候が「暖かく湿度の高い冬、乾燥しより暑い夏」に向かって行く可能性があると指摘した。

 過去五十年で最も暖かい冬だったといわれるイタリアでは、野菜や果物に影響も。南部プーリア州では豊作で一部の野菜価格が下落。オレンジの収穫量が半分となる見込みのシチリア島は、農協が「農業の危機」と発表した。イタリア全体の降水量が少なく、早くも夏の水不足が懸念されている。

 ドイツでは、冬の平均気温を四度上回り、一九〇一年からの観測史上、最も暖かい冬となった。政府は温室効果ガスの二酸化炭素の排出を、植林などによる吸収で結果的に相殺する「カーボン・ニュートラル」に注目。二月末に、政府関係者の出張の際に移動手段となる飛行機などの二酸化炭素排出量に適用する閣議決定をしたが、具体策の明言を避けており、難しさを示している。(ロンドン、ベルリン、ブリュッセル、ローマ共同)

この冬の平均気温、観測史上タイの高さ

2007年03月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 気象庁は1日、今冬(昨年12月〜2月)の日本の平均気温は平年に比べ1・52度高くなり、1899年(明治32年)に観測を開始して以来、1949年と並び「最も暖かい冬だった」と発表した。

 降雪量の少なさや日照時間の長さなども過去の記録を更新しており、文字通り記録的な暖冬を裏付けている。

 同庁によると、平均気温は全国の153地点すべてで平年より高く、このうち、東京8・6度(プラス1・9度)、名古屋7・1度(同)、大阪8・4度(プラス1・7度)、福岡9・0度(同)など、計63地点で最高値を更新した。

 降雪量も、青森や秋田、富山など20地点で、最深積雪でも、江差(北海道)や新潟、金沢など19地点で最小値をそれぞれ観測。東日本の日本海側の日照時間も、平年比124%と、過去の最大値を上回った。

 新宿御苑(東京・新宿)では、暖冬の影響で、平年より3週間も早くカンザクラが散り始め、ピンク色の花びらが地面を彩る。

サンゴ礁消滅、雪不足、島は水没…地球温暖化がもたらす恐ろしい変化

2007/02/03 Iza

 世界最大のサンゴ礁、オーストラリア北東沖のグレートバリアリーフが消滅し、日本では本州のほとんどのスキー場が雪不足で経済的打撃を受ける−。温暖化による被害をまとめた政府間パネル(IPCC)の第2作業部会の報告書案は今春発表の予定だが、漏れてくる内容からは地球の急激な変化が浮かび上がる。

 AP通信によると、インドネシアのウィトゥラル環境担当相は「2030年までに、海水位の上昇でわが国の約1万8000の島のうち2000が水没する」と警告を発した。

 海外メディアや関係者の話を総合すると、温室効果ガスの二酸化炭素が海に溶けて海水の酸性化が進み、全長2000キロのグレートバリアリーフが石灰化、ウミガメや熱帯魚など1500種類に及ぶ海洋生物の生息地が失われる危険性を同報告書案は指摘。毎年数百万人の観光客が訪れるため、経済的損失は大きい。

 日本に関しては、冬の平均気温が3度上昇すれば北海道を除く本州のほとんどのスキー場で積雪が減り、スキー客は3割以上減少する。冬季レジャーを大幅に見直す必要が出てくるという。

 海水位の上昇による被害予測では、海水位が現在より1メートル上昇すると被害を受ける危険のある地域は2・7倍に膨れあがり、410万人が被害を受ける可能性が指摘されている。

 温暖化が進むと、気象の変化が極端になる。日本でも雨期と乾期のようなシーズンが現れ、梅雨の期間が長くなる。かと思えば、雨の降らない日が続くこともあり、深刻な水不足に陥る危険性が出てくるという。

「人間のせいで地球温暖化」…IPCC報告書、懐疑論を否定

2007/02/03 Iza

 ■ハリケーン・熱波…異常現象すでに現実に

 パリで2日に発表された気候変動に関する国連の政府間パネル(IPCC)第4次報告書は、人間の経済活動による温室効果ガスの増加が地球温暖化をもたらしたことを明確にし、一部の科学者や国が主張してきた「温暖化懐疑論」を否定した。

 IPCCは世界気象機関(WMO)などが気候変動を科学的に総括するため1988年に設立された。

 ユニークなのはIPCCの仕組みだ。報告書の採択前に130以上の参加国の政府に事前に報告案を配り、政府の審査を経て全員一致で採択する。このため政府の意向が反映されるという指摘もある一方で、地球温暖化に懐疑的だったブッシュ米政府や石油産出国のサウジアラビアなども報告書の内容を受け入れたことになる。

 今回の第4次報告書は過去65万年前までさかのぼって二酸化炭素濃度などを分析した結果、温暖化が起きていることを指摘しており、このことについて世界が共通認識を持ったといえる。

 今回、議論になったのは海水面の上昇の予測だ。平均海面水位の上昇は最大59センチとし、前回の88センチより下方修正したことについて、AP通信は「南極大陸やグリーンランドの氷床の融解などが考慮されず、今回の予測は低く見積もりすぎているのではないか」などとする科学者の声を報じた。

 海面上昇の主な原因は海水の熱膨張によるものだ。二酸化炭素の排出を削減し、同濃度を安定化させることができたとしても海面上昇は続くという。中島映至・東大気候システム研究センター長は「京都議定書の義務を各国が果たしても海水面は今後200年にわたって上昇し続ける。抜本的な対策が必要だ」と指摘する。

 米国を襲ったハリケーン・カトリーナ、ヨーロッパを襲った熱波など将来起こると思われていた異常現象がすでに現実のものになっている。来年、京都議定書に基づいた温室効果ガスの排出削減が始まるがその期限は2012年まで。13年以降は何も決まっていない。中国やインドといった将来の排出大国、現在の最大排出大国・米国など全世界が温室効果ガス排出削減に取り組むことが必要最低限求められている。(杉浦美香)

宇宙の巨大鏡で温暖化対策 米政府、提案へ

2007/01/29 The Sankei Shimbun WEB-site

 宇宙空間に浮かべた鏡で太陽光線を反射するという温暖化対策の研究を今春に出される国連の報告書に盛り込むよう、米政府が提案する。英紙ガーディアンが伝えたもので、試算では太陽光線の1%も反射すれば産業革命以来出してきた温室効果ガスの効果を十分相殺するという。排出削減を柱にした京都議定書とは反対の、いかにも米国らしい“プラス志向”?。

 軌道上に打ち上げた巨大な鏡で反射するほか、光を反射するホコリを大気中に放出するといった方法もあるという。

 国連は今年、人為的な気候変動リスクに関する知見をまとめた3つのセクションからなる報告書を出す。各国政府関係者や科学者らが参加する「気候変動に関する政府間パネル」が作業に当たり、草稿が各国政府に回覧される。米国は今年4月に予定されている第2セクションの報告書の、最も目立つ要約にこれらの研究開発について盛り込むよう働きかけるという。

 米国は2001年に京都議定書の枠組みから離脱し、強制的な温室効果ガスの削減には反対の立場をとってきた。その一方で石油代替エネルギーとしてバイオ・エタノールを推進するなど、新たなビジネスに結びつく対策には熱心だ。

 SF映画ばりの“宇宙の鏡作戦”も、宇宙産業には大きなチャンスといえる。もっとも、報告書の草稿はこうしたアイデアをあげ、費用も他への影響もわからない理論的なものと指摘しているという。(坂本英彰)

今世紀末に6・3度上昇も 地球温暖化の報告書案

2007年01月23日 中国新聞ニュース

 今世紀末の地球の平均気温は最悪の場合、20世紀末に比べて6・3度上昇する恐れがあることが、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第1作業部会の第4次報告書案で23日、明らかになった。

 前回2001年の第3次報告書の最大5・8度と比較すると0・5度の上方修正で、自然災害や、干ばつ、生態系の破壊など地球温暖化の悪影響が増す恐れが高まったことになる。

 報告書案はまた、05年までの過去100年間に世界の平均気温は0・74度上昇したと指摘。01年以降の平均気温が高かったことから「過去100年間で気温が0・6度上昇した」とした第3次報告書の公表時点よりも上昇幅が広がった。

 報告書案は、複数のシナリオを想定して今世紀末の気温上昇を予測。化石燃料頼みの経済発展を続ける消費社会が続くと、1990年と比較して最大で6・3度上昇するとした。

温暖化対策強化へ、米政権が方針転換

2007年01月20日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=貞広貴志】米政府高官は18日、ブッシュ大統領が今月23日に行う一般教書演説で地球温暖化対策の強化を打ち出す方針を明らかにした。

 発足直後に京都議定書からの離脱を表明したブッシュ政権が、年次ごとの重要施策をうたう一般教書に温暖化対策を盛り込むのは初めて。

 具体的措置として、エタノールなど代替エネルギーの推進や技術革新に加え、温室効果ガス削減に向け一定の義務的措置を導入するとの見方も広がっており、「温暖化の原因が人間の活動かどうかは不明」としてきたブッシュ政権にとって方針転換となる。

 政府高官は、「われわれは温室効果ガスの排出を削減する必要性を認識している」とも言明。一般教書演説では環境政策とエネルギー安全保障を総合した観点から対策を打ち出す方針を示した。

 スノー大統領報道官は18日、今年の一般教書について、温暖化・エネルギー問題が〈1〉対テロ戦争〈2〉移民政策〈3〉教育問題〈4〉医療保険――と並ぶ柱と位置づけられる見通しを示した。

世界の鳥類が絶滅、農作物の収穫減少…地球温暖化

2007/01/19 The Sankei Shimbun WEB-site

 地球温暖化で世界の鳥類の多くが絶滅、農作物の収穫量が減る−。温暖化の要因である二酸化炭素などの温室効果ガス排出量は増加しており、最近の研究も温暖化の影響を指摘している。

 世界自然保護基金(WWF)は昨年11月、気温が上昇する2080年には、オーストラリアで約7割、欧州や南アフリカで4割の鳥類が絶滅するという予測を発表した。英国の経済学者スターン氏はこのまま温暖化が進めば、1929年の世界大恐慌レベルの経済的打撃を受ける可能性があるとする報告書をまとめ、早急に対策をとることを警告。北極の氷の融解のスピードが増しており、北極グマの絶滅の危機も指摘されるなど、動物への影響も大きい。

 だが、温暖化については懐疑論も根強い。米国では一昨年、1300人以上の犠牲者を出したハリケーン・カトリーナなど28のハリケーンが発生したり、オーストラリアで記録的な干魃が起きるなど異常気象による被害が相次いだが、京都議定書を離脱したブッシュ政権は「異常気象のすべてを温暖化が原因とは結論できない」という立場で、懐疑的だ。

 ただ、科学者らの分析をまとめる国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は第3次報告書(2001年)で世界の平均気温は20世紀の100年間で平均0.6度上昇、100年後には最高5.8度上昇するとしている。近く発表される第4次報告書も同様の指摘がなされるとみられており、早急に世界が一致して温暖化対策に取り組まなければならないのは間違いない。(杉浦美香)

野生動物に異変!? ロシアで歴史的暖冬

2007/01/19 The Sankei Shimbun WEB-site


 

アジアの10億人が水不足 温暖化報告書案

2006年12月18日 中国新聞ニュース

 中国四川省で、貯水タンクから水をくみ出す男性。中国では既に干ばつが深刻な問題になっている=11月(ロイター=共同)  地球温暖化の影響で、2050年ごろにはアジアの10億人以上の人々が水不足にさらされるほか、沿岸地域の水没やコレラのまん延、食料の高騰など深刻な影響が起きる可能性があるとの予測が、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第2作業部会がまとめた新たな報告書案に盛り込まれていることが18日、明らかになった。

 今世紀末ごろと予測される約40センチの海面上昇の結果、アジアの1300万−9400万人が浸水被害に見舞われると推定。海面上昇が1メートルに達すれば、日本でも東京、大阪などの400万人が危険にさらされるとした。

 IPCCは、温室効果ガスの排出削減だけで影響を防ぐことは難しいとして、防災対策の強化や水資源保全策の充実の必要性を訴えている。

アルプス「1300年ぶりの暖冬」で積雪3分の1

2006/12/14 The Sankei Shimbun WEB-site
 

 アルプス地方が「1300年ぶりの暖冬」(オーストリア気象・地球力学中央研究所)に見舞われている。欧州では2003年に酷暑で約3万人が死亡、今秋も平均気温が例年よりも上昇するなど異常気象が続いており、専門家は温室効果ガスがもたらす“異変”として、警鐘を鳴らしている。

 夏の間、連日の雨で冷え込んだパリの天気が、秋に入って一変した。9〜11月と好天が続き、例年の平均気温は約11度なのに、今年は2.9度も高く、フランス気象庁による記録が始まった1950年以来、最も暖かな秋になった。ドイツでも9〜11月の3カ月間の平均気温は例年を3.2度上回る12度を記録、12月に入っても欧州各地で暖かな日が続いている。

 欧州南部の大山脈、アルプス地方の雪不足は深刻だ。国連などによれば、積雪は例年の3分の1程度。スイスには約200カ所のスキー場があるが、11日時点で全面滑走可能な所は皆無で、開業できないスキー場もある。ホテルの予約状況も不調で観光業者は悲鳴を上げている。南西部ジュネーブでは栗の木が季節はずれの花を咲かせた。

 スキーのワールドカップ(W杯)も中止が相次いでいる。13日にも、20日にフランス・ラプラーニュで予定されていたフリースタイルW杯デュアルモーグルの中止が決定。気温が下がらない限り、頼みの人工降雪機も役に立たない。

 AP通信によると、英国民は「1659年以来の暖かい秋」を過ごした。スウェーデンでは秋の風物詩キノコ狩りがまだ行われている。ローマでは半袖シャツ姿の市民が目につく。欧州全体でみても、冬服の売り上げが伸び悩んでいる。

 異常気象は野生動物にも重大な影響を与えている。ドイツ誌シュピーゲルによれば、ロシア西部の山間地帯では土が湿ってぬかるみ、クマなどの冬眠の妨げになっているという。(パリ 山口昌子、ワルシャワ 黒沢潤)

地球温暖化、世界は過去5番目の暖かさ 06年の気温

2006/12/14 The Sankei Shimbun

 気象庁は14日、2006年の世界と日本の平均気温(速報値)を発表した。世界の年平均気温は平年(1971−2000年の平均)を0.30度上回り、1891年の統計開始以来5番目、日本は0.41度高く過去11番目の暖かさだった。

 90年代以降、世界的に顕著な高温傾向が続いており、同庁は二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化が原因としている。

 同庁によると、06年はシベリアやオーストラリアの一部を除き世界的に高温となった。北半球は過去3番目、南半球は6番目の暖かさだった。

 日本国内は、厳しい冬となった1月と寒冷低気圧がたびたび通過し日照時間が記録的に短かった4月、偏西風が南に蛇行し長梅雨となった7月が平年を下回ったため、年平均では過去11位にとどまった。

 データは、世界の約1200地点、日本国内は17地点で平年差を算出した。これまで、気温が最も高かったのは、世界が98年(平年比プラス0.37度)、日本は90年(同1.04度)。

北極の氷、今夏融解量は過去最高レベル

2006/09/16 The Sankei Shimbun

 米雪氷データ・センター(コロラド州デンバー)のマーク・セレス上級研究員らで構成される専門委員会が13日、11日に撮影された衛星画像で北極の夏季に氷が解けた量が過去最高だった2005年の水準に近いことが分かったと発表した。

 セレス氏は「北極の氷の顕著な減少は気象システムが正常でないことを示すものだ」と警告した。

 さらに深刻なのは北極点の冬季の氷の量が減りつつあること。05―06年の冬季の凍結範囲は平均より6%少なく、10年間で2%減という長期的な減少率を大きく上回った。

 米航空宇宙局(NASA)ゴッダード宇宙飛行センター(メリーランド州グリーンベルト)のジョセフィーノ・コミソ上級研究員は「これは温室効果が北極に大きく影響していることを明確に示している」という。

 地球温暖化と、それによって北極の氷が異常に解けることで、海洋生物や沿岸住民は重大な影響を受ける。藻やバクテリアなど植物性プランクトンの開花が抑制され、海洋の植物連鎖が破壊される―などだ。

 今年初めには、アリゾナ大の地球科学者たちが、北極の氷が解けることによって海面が今世紀末までに90センチ上昇し、沿岸部の住民を脅かすことになるとの見解を発表している。

 科学者の一部には地球の温暖化は長期的な周期変動に起因するもので、温室効果ガスを原因とする考えに異議を唱えるものもいる。(USA TODAY)

チベットの氷河急速に縮小

2006/05/03 The Sankei Shimbun

 2日の新華社電によると、地球温暖化の影響で、青海チベット高原の氷河が急速に縮小していることが分かり、中国の研究者が警鐘を鳴らしている。

中国科学院の董光栄教授は、青海チベット高原の氷河は、中国全体の氷河の47%を占めているが、年平均7%縮小していると指摘。今後、砂漠化や砂嵐の発生が増えると予測している。

また、別の研究者によると、チベット自治区の平均気温は1980年代から0.9度上昇しており、青海チベット高原の氷河やツンドラの溶解を加速している。(共同)

ホッキョクグマ絶滅の恐れ 1万6千種が危機リストに

2006/05/02 The Sankei Shimbun

 世界の科学者や政府機関でつくる国際自然保護連合(IUCN)は1日、絶滅の恐れがあり優先的な保護が必要な動植物を掲載した2006年版「レッドリスト」を公表した。地球温暖化の影響を顕著に受ける北極海にすむホッキョクグマもリストに登場、乱獲以外にも多様な原因で生き物の生息環境が悪化していることが分かった。

 評価対象の約4万種のうち絶滅危惧(きぐ)種とされたのは1万6119種。04年版の1万5589種より530種多く、両生類の約3分の1、哺乳(ほにゅう)類の約4分の1が絶滅に直面している計算になるという。

 ホッキョクグマは1996年に「絶滅リスクは低い」と判定されたが、温暖化で北極海の氷の溶解が急速に進むとした最近の研究に基づき、IUCNは今後45年で個体数が少なくとも30%は減ると予測した。カバも初めてリスト入り。アフリカ第2の生息地だったコンゴ民主共和国で食用や牙目当ての乱獲が続き、個体数が95%も減ったのが響いた。

 アジアでは、カザフスタンやモンゴルの乾燥地帯にすむコウジョウセンガゼルが、密猟のため急減し絶滅危惧種に加えられた。(共同)

温暖化、現在のペースだと…今世紀中に固有種大量絶滅へ

2006/04/15 The Sankei Shimbun

 地球温暖化が現在のペースで進むと今世紀中に、希少動植物が集中して生息する地域で、そこにしかいない固有種の大量絶滅が起こる恐れが大きいとの研究を、カナダ・トロント大などの国際チームが14日までにまとめた。温暖化による影響だけで、約6万の固有種が絶滅する恐れがあるという。アジア太平洋地区ではタイやミャンマー、南西オーストラリアなどで特に影響が顕著だと分かり、チームは温暖化対策の強化を求めている。

 世界中には限られた範囲の土地に、多くの固有種がすむ「ホットスポット」と呼ばれる地域が存在する。チームは、ホットスポット25カ所について、現在のペースで温暖化が続いた場合、生物が依存する植生がどれだけ変化するかをコンピューターモデルで推定。結果を基に各地域の固有種の絶滅を予測したところ、平均12%、最大で43%の固有種が絶滅するとの結果になった。最大の場合だと、植物は約5万6000種、動物は約3700種に相当するという。

 アジア太平洋以外では、アフリカ南端やカリブ海、地中海などで特に影響が深刻と推定された。日本列島も昨年、国際環境保護団体により新たにホットスポットと認定されたが、今回の研究では評価の対象外。しかしチームのメンバーで米環境保護団体、コンサベーション・インターナショナルのリー・ハンナ博士は「日本の貴重な動植物も温暖化によって危機にさらされるのは明らかだ」と話している。(共同)

南極の氷、3年余で東京ドーム40万個分消失

2006年03月05日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 過去3年余の間に、南極大陸の氷が東京ドーム約40万個分も失われたことが、米航空宇宙局(NASA)とドイツによる観測でわかった。

 衛星2基を使い、南極付近の重力の変化を調べた。これまで南極の氷の増減を詳しく知る手段は限られ、特に陸地を覆う氷の正確な増減量はわかっていなかった。米科学誌サイエンスの最新号に掲載された。

 観測チームの発表によると、2002年4月〜昨年8月の観測で、南極の西部を中心に、氷が1年当たり約152立方キロ・メートル(ドーム12万個分)ずつ失われたことが判明した。地球の海面を0・4ミリ上昇させる水の量に相当し、3年で1・2ミリ海面が上昇したことを意味するという。

 今世紀に入ってから、地球の平均気温がたびたび最高を記録するなど、温暖化傾向が目立っている。観測チームは今回のデータを基に、近年の温暖化と氷の急激な減少との因果関係について詳しく調べる方針。

 北極海などに浮かぶ氷山が解けても、海面上昇の大きな要因にはならないが、大半が陸上にある南極の氷が解けると、大量の水が海洋へ流入するため、海面上昇への影響が懸念されている。

温暖化、土壌細菌が加速…気温上昇さらに1・5度

2006年02月15日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 地球温暖化が進むと、土壌細菌による枯れ葉の分解などが活発になり、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度がこれまでの推定以上に高くなる可能性が大きいことがわかった。

 その結果、2100年時点での気温は、これまでの予測よりも最大で1・5度高くなると見込まれる。

 日米英など7か国の研究チームが成果をまとめて近く米国の専門誌に発表、来年の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第4次報告にも盛り込まれる見込みだ。

 これまでの温暖化予測は、産業活動などに伴い排出されるCO2をもとにしており、2100年には地球全体の平均で1・4〜5・8度の気温上昇の恐れがあるとされていた。

 しかし、これらの研究では、気温上昇のために植物の光合成や土壌細菌の活動などが変わり、CO2濃度に影響を与えることは考慮されていなかった。

 今回、独立行政法人・海洋研究開発機構の「地球環境フロンティア研究センター」など7か国の11研究チームそれぞれが進めた研究を総合し、生物活動の影響を国際的に初めて検証した。

 その結果、光合成による大気中のCO2の吸収よりも、土壌中に堆積(たいせき)している枯れ葉や動物の死体などの有機物が土壌細菌によって分解されて大気中に出るCO2のほうが多いことがわかった。

 さらに、海水温の上昇により海に溶け込むCO2の量も減り、温暖化が従来の想定以上に加速する可能性が高い。研究チームの試算では、従来予測よりも2100年時点で0・1〜1・5度高い気温上昇が見込まれるという。

厚さ3キロの氷の下、南極に二つの湖…NASA発見

2006年02月07日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)は6日、地球観測衛星テラなどの観測で南極の氷の下にある二つの湖を発見、画像を公表した。

 南極大陸にはボストーク湖(面積1万4000平方キロ)という氷に覆われた最大の湖があるが、今回の二つはこれに次ぐ大きさで、それぞれ2000、1600平方キロの面積があると推定されている。

 3000メートル以上の厚い氷に覆われ、周辺の環境から推定して、約1000万〜3500万年間も水量などが保たれたまま、独自の生態系を維持している可能性があるという。湖水は凍っていないとみられる。

 大きい方の湖は経度から「90E」、小さい方はロシアの研究基地があることから「ソビエツカヤ」と命名された。ロシアは湖の上と知らずに基地を建設していた。

地球温暖化で永久凍土1/10に 米研究センター、2100年予測

2006/02/07 産経新聞朝刊

地球温暖化、今のペースだと…永久凍土面積10分の1に

2006/02/06 The Sankei Shimbun

 地球温暖化が今のペースで進めば2100年には、北極域に広がる永久凍土の面積が10分の1程度に減少し、生態系や人間生活に大きな影響が出るとのシミュレーション結果を、米大気研究センター(NCAR)などのグループが6日までにまとめた。

 NCARのデービッド・ローレンス博士は「凍土が解けると土の中に固定されていた二酸化炭素(CO2)が大気中に放出されるなどして、温暖化をさらに悪化させるという悪循環を招く危険がある」と警告している。

 グループは、気温変化による凍土の発達や縮小、地表の積雪量なども予測できる気候モデルを開発し、大気中のCO2濃度の増加が北極域の土壌に与える影響を調べた。

 CO2濃度が今のペースで増加すると、現在、北米やロシアなどにある約1100万平方キロ余の永久凍土が2050年にはほぼ半減、2100年には10分の1に当たる約100万平方キロになってしまうとの結果が出た。

 また凍土中の氷が解け、陸地から海に流れ込む真水の量が2100年には28%増加し、海流などにも影響を与える可能性があることも分かった。

 グループによると、凍土の減少はトナカイなど北極域の生物の生息に悪影響を与えるほか、建造物の倒壊や道路陥没などの被害も招くと予想される。

 凍土からCO2などが放出されたり、凍土地帯に森林が発達して地面が吸収する熱の量が増えたりして、温暖化を加速させる可能性もあるという。

 <永久凍土> 高緯度地域や高山帯で、夏でも温度が0度以下になり、少なくとも2年以上にわたって凍結している土壌。カナダや米アラスカ州、シベリアなどに分布する。日本では富士山と北海道・大雪山で発見されている。厚さは数メートルから数百メートルになる場所もある。(共同)

凍土融解 メタンの脅威

2006年01月22日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 氷点下40度。湖を覆った氷にナイフを突き刺すと、メタンガスが音をたてて噴き出す。マッチの火を近づけると、2メートル近い炎が立ち上った。極東ロシアを流れ、北極海に注ぐ大河コリマ。その河口近くにある町チェルスキーで“異変”が起きている。

 厳冬の太陽は1日3時間だけ、地平線近くから大地を照らす。高台から見下ろすと、カラマツの疎林のあちこちに凍土の融解でできた白い湖面が点在していた。この町にあるロシア科学アカデミー北東科学観測所によると、最近5年間の夏(6〜8月)の平均気温は、1980年代より2度高くなり、昨夏は過去最高の13・7度を記録した。その影響で深さ40メートルの分厚い永久凍土が解け、湖が次々と出現しているのだ。

 凍土層がむき出しになった湖岸の崩壊速度は年間最大10メートル。湖の面積は10年間で15%拡大した。「衛星写真で見ると、湖は凍土に押し当てられたアイロンの跡のようだ」。セルゲイ・ジーモフ所長(50)が真剣な表情で話す。

 ◆温暖化を促進

 永久凍土には、死んだ植物が分解される時に作られたメタンが大量に蓄積されている。凍土が解けるとそれが放出される。湖が拡大すれば、湖底に崩れ落ちた周辺植物が分解される際にもメタンが生成される。湖が結氷すると、氷の下に高濃度のメタンが閉じこめられ、春に大気への放出が再開される。

 北海道大の福田正己教授の調査によると、凍土上層部に蓄積されたメタンの濃度は平均2000ppmで、大気中の1000倍も高い。シベリア全体から大気中に放出されるメタンは毎年10万トンにもなる。

 メタンは二酸化炭素の23倍の温室効果を持つ気体だ。解ける永久凍土は、温暖化の結果であると同時に、それを加速する原因にもなる。日本の面積の26倍もあるシベリアの永久凍土が“時限爆弾”と指摘されるのは、このためだ。

 気温上昇と降水量低下で頻発するようになった森林火災も、追い打ちをかける。火災で二酸化炭素が放出されると同時に、その吸収源が失われる。さらに凍土表面を覆う森林が失われ、むき出しになった凍土の融解が加速する。福田教授は「従来、シベリアは温室効果ガスの吸収源と考えられてきたが、もはや放出源と化している可能性がある」と警告する。

 雪氷圏は、温暖化現象が真っ先に表れる「地球のアキレスけん」。米国アラスカでは、海氷の後退で波による浸食が強まり、海岸近くの住宅の移転が始まっている。ヒマラヤ山脈でも、氷河の末端が解けてできた湖が拡大。ブータンでは97年にこの氷河湖が決壊し、洪水で死者を出すなど新たな自然災害になっている。

 ◆暮らしにも影響

 シベリア各地で凍土の中から、絶滅したマンモスの象牙(ぞうげ)が頻々と見つかるようになった。象牙は彫刻を施され、土産物店に並ぶ。1月6日付のチェルスキーの地元紙コリムスカヤ・プラウダは「マンモスの象牙の採集は今や、金の採掘に次ぐ2番目の地場産業になった」と報じた。温暖化は、人々の暮らしを変え始めている。

 巨大化するハリケーン、猛暑、極寒、豪雨、乾燥――。頻発する異常気象と地球温暖化との関連が指摘されている。21世紀に人と自然はどう向き合えば良いのか。シリーズ「よみがえれ人と地球」第1部では、まず気候変動の現場から報告する。

2月も厳しい寒さ 気象庁、予報を修正

2006/01/21 The Sankei Shimbun

 気象庁は、最新の1カ月予報で、厳しい寒さは2月まで続くとの見通しを21日までに示した。13日発表の予報では、1月中旬以降は、気温、降雪量ともほぼ平年並みに戻るとみていたが、修正した。

 同庁は「収まる傾向を示していた北極からの寒気が、再び放出の動きをみせている。北、東日本を中心に冬型の気圧配置となる日が多い。ただ昨年から続いたような極端な寒気の南下はないだろう」としている。

 同庁によると、2月20日までの平均気温は、北日本と東日本で低く、西日本では平年並みか低く、厳しい寒さになる見込み。降雪量も北、東日本で平年並みか多く、西日本は平年並みという。

 13日の1カ月予報では、平均気温は「北日本で平年並みのほかは平年並みか高い」、降雪量も「北、東日本で平年並み、西日本で平年並みか少ない」との見通しだった。

 北極の寒気は、蓄積と放出を繰り返す「北極振動」という現象を起こし、今冬は11月半ばから吹き出しが続いていた。同庁によると、1月5日ごろからは収まる傾向を示していたが、再び放出期に戻りつつあるという。(共同)

紅葉遅く、サクラは早く 温暖化の影響くっきり

2005/11/09 The Sankei Shimbun

 紅葉の長期変化傾向を調べてみると、50年前に比べてカエデの紅葉は15.6日、イチョウの黄葉は10.7日遅くなっていることが、気象庁がまとめた生物季節観測で9日分かった。

 逆にサクラの開花は、4.2日も早まっており、同庁は「地球温暖化で長期的に気温が上昇していることが影響している」と説明、今後さらに温暖化が進めば、日本人の季節感にも影響を与えそうだ。

 同庁によると、春はサクラのほかツバキが9.4日、タンポポが6.0日、開花時期が早まり、夏に咲くサルスベリは5.8日、早まっていた。

 サクラに関して、東京、名古屋、大阪など全国の大都市6地点と中小都市の平均を比較したところ、中小都市の2.8日に比べ、大都市は6.1日と開花時期が早くなる傾向が顕著で、同庁は「ヒートアイランド現象など都市化による気温の上昇が与えた影響の一つ」と分析している。

 1997年までのデータを基にした同様の調査では、サクラは毎年0.02日の割合で開花時期が早まっていたが、今回の調査を年換算すると0.08日。カエデの紅葉の遅くなる割合も、前回は年0.28日だったが、今回は0.31日で、いずれも、変動ぶりが激しくなっていた。

 同庁は、53年から生物季節観測を統一した方法で実施。調査は、2004年までの各年ごとのデータを平年値(71―2000年の平均)と比較して、約50年間の長期傾向を分析した。(共同)

東京都の1・2倍、南極海の超巨大氷山割れる

2005年11月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 東京都の1・2倍の面積を持ち、「世界最大の浮遊物」と言われた南極海の超巨大氷山が分裂している様子を欧州宇宙機関の衛星がとらえた。

 この氷山は南極大陸のアデア岬沖に浮かぶ「B15A」。写真は先月30日に撮影された。長さ約115キロの細長い氷山が縦に割れ、断片化しつつあることがわかる。

今世紀もたない?北極海の氷、縮小加速 温暖化で悪循環か

2005/09/29 The Sankei Shimbun

 夏場に北極海を覆う氷の面積がこの9月、人工衛星による観測が始まった1978年以来最小を記録したことが、28日分かった。米雪氷データセンターや米航空宇宙局(NASA)などの共同グループが発表した。

 氷が減って海が太陽熱を多く吸収することで、氷の縮小に一層拍車をかける悪循環に突入した恐れが大きいという。グループは「この勢いで氷の縮小が進めば、夏場の氷の消失は21世紀末よりかなり早い時期に起こる」と警告し、地球温暖化も一因との見方を強めている。

 北極海の氷は9月に最小となり、冬に拡大するサイクルを繰り返す。最小を記録したのは今月21日で、氷の面積は532万平方キロ。これは78―2000年の夏場の平均より約20%(約130万平方キロ)小さく、日本列島ほぼ3個分が消失した計算だ。

 これまでの最小記録は02年で、同年以降、春に氷が解け始める日が早まり、昨冬は冬場の氷の回復も史上最低となるなど縮小が加速している。

 氷の縮小には複数の原因が考えられるが、グループによると、これまで重要視されていた、北極圏の大気循環により氷が北極海の外に押し流される現象の影響は、90年代後半から弱まっており、温暖化の影響が注目されている。(共同)

             ◇

 北極海を覆う真っ白い氷や雪は、太陽から放射される熱エネルギーの多くを反射し、温度の上昇を防いでいる。ところが、何らかの原因で氷の面積が縮小すると、下にあった海は氷よりずっと色が濃いために太陽熱を多く吸収、蓄積する。

 氷は夏に解けても冬には回復するため、氷の縮小面積が自然の回復力の範囲内に収まっていれば問題ないが、いったん限度を超えてしまうと「海の温度上昇→氷の縮小→さらなる温度上昇」という流れが加速される。これが「悪循環」の仕組みだ。

 悪循環は北極海だけでなく、南極でも起こると指摘されている。極地で解けた氷は水になって海水位を上昇させるほか、地球温暖化を一層悪化させるため、専門家が要注意現象として注目していた。(共同)

海の「健康診断」導入、温暖化・汚染対策に活用 気象庁

2005年09月17日 asahi.com

 気象庁は、日本近海や北西太平洋の汚染状況や水温、二酸化炭素濃度などの観測データを初めてまとめる。地球温暖化に与える影響や海洋汚染の状況をつかみ、防止対策に役立てる狙いだ。新たな観測システムも導入するため、台風の進路や勢力予測の精度を高める効果もあるという。「海の健康診断表」は10月下旬から同庁のホームページで公表する。

 まとめるデータは、海面水温や水位の長期変化傾向、黒潮や親潮の流れ、海に浮かぶプラスチックや油分など28項目。

 観測データとともに、日本の天候に影響を与えるエルニーニョやラニーニャ現象などの見通しも示す。海は大気中の二酸化炭素を吸収しているため、海水の二酸化炭素濃度の変化は、地球温暖化を予測する上で重要とされる。

 函館、神戸など全国四つの海洋気象台の観測データに加え、「フロート」と呼ばれる観測機器を日本近海に毎年15個ずつ投入し、深さ2000メートルまでの水温や塩分を観測する。フロートは、海面から深海までを自動的に上下し、採取したデータを5日ごとに送ってくる。

 フロートの観測データは、台風の進路や勢力の予測にも活用される。現在の予測モデルは、平穏な海の状態で計算されているが、台風の接近によって撹乱(かくらん)されている実際の海のデータを取り入れることで、予測モデルの精度を上げられるという。

シベリアの永久凍土の溶解により、地球温暖化が加速 

2005/8/15 UP 温DOWN化計画

 地球温暖化を加速するであろう現象、シベリア西部の永久凍土の溶解が始まっていることがロシアとイギリスの研究者の調査で示された。シベリア西部の永久凍土のうちフランスとドイツを合わせた面積と同等の永久凍土の溶解が始まっている。永久凍土であった土地が解け、中には1kmを越している。永久凍土に含まれるメタンガスは何十億トンにものぼり、全世界の地下に含まれているメタンガスの25%にもなる。

 シベリア西部は世界で最も温暖化が進み、この40年間ですでに3℃の気温上昇が確認されているが、永久凍土の溶解はこれをさらに加速する予想だ。シベリア西部の永久凍土から放出されるメタンガスはこれまでの温暖化を急激に加速させ、一度この加速が始まるともとに戻すことは不可能だと考えられる。

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2001年に発行したレポートでは、1990年から2100年の間に1.4℃ - 5.8℃の気温上昇を予測しているが、永久凍土の溶解によって予測を改める必要性が出てきた。

参考:

New Scientists, "Climate warning as Siberia melts" by Fred Pearce, August 11, 2005. http://www.newscientist.com/channel/earth/mg18725124.500

uardian, Warming hits 'tipping point' by Ian Sample, August 11, 2005 http://www.guardian.co.uk/climatechange/story/0,12374,1546824,00.html

BBC News, UK edition, "SIberia's rapid thaw causes alarm," August 11, 2005 http://news.bbc.co.uk/1/hi/sci/tech/4141348.stm

ロンドン、30年で2度上昇 WWFが夏季気温を調査

2005/08/11 The Sankei Shimbun

 世界自然保護基金(WWF、本部スイス)は11日、地球温暖化の影響で過去30年間に欧州諸都市の夏季の気温が軒並み上昇、1日の最高気温の6―9月の平均がロンドンでは2度上がって22.5度(2000−04年平均)になったとする調査報告を発表した。

 WWFは欧州16都市を対象に気温の変化を調査。ロンドン、アテネ、リスボン、ベルリン、ワルシャワの5都市は1日の最高気温の記録を調査し、同様の正確なデータが不備だったマドリードやパリなど11都市は1日の平均気温を基に比較した。

 その結果、30年間の気温の上昇が1度未満だったのはコペンハーゲン、ダブリン、ヘルシンキの3都市だけで、ほかは1度以上上昇していた。

 WWFは、欧州各国の政府が二酸化炭素の排出規制を厳格にしなければ、地球温暖化の進行により干ばつや熱波に見舞われる可能性が高まると警告している。(共同)

6月の世界の地上気温、過去最高に 平年比0.64度高

2005年07月22日 asahi.com

 気象庁は22日、今年6月の世界の月平均地上気温(陸上のみ)が、平年より0.64度高く、統計が残る1880年以降で最も高かったと発表した。これまでの最高は、98年のプラス0.62度だった。

 気温がかなり高かったのは、日本からインド東部、ヨーロッパ西部や北米東部、南米北部。特にインド東部などアジア南部やイタリアなどヨーロッパ西部では、熱波に見舞われ死者も出た。

 各地の平年(71年〜00年の30年平均値)との差を比較したデータで、平年値は10年ごとに変わる。6月の世界の月平均地上気温は、長期的には100年に0.6度の割合で上昇。二酸化炭素などの増加に伴う地球温暖化の影響に、数年〜数十年周期の自然変動が重なったとみられる。

暗くなる地球、太陽光反射率下がる…NASA観測

2005/05/21 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】地球が毎年わずかながら暗くなっていることが、米航空宇宙局(NASA)の衛星観測でわかった。

 地球温暖化による雪氷の減少などで地球の“白さ”が失われ、太陽光の反射率が減少したらしい。より多くの太陽エネルギーが地球に吸収されることで、温暖化を加速する恐れもあるという。

 NASAは、地球観測衛星テラに搭載された雲地球放射エネルギー観測装置を使った観測で、2000〜04年の4年間で約0・15%地球の太陽光反射率が下がっていることを突き止めた。

 この数字は、地表全体に1平方メートルあたり約0・5ワット相当のエネルギーが余分に吸収されたことを意味するという。

 地球は過去30年間、年平均約30%の反射率で安定。大気中の二酸化炭素濃度が現在より倍増した場合、温暖化に伴う気候変動で雪氷などが失われ、1%ほど反射率が下がると考えられている。

超巨大氷山が南極大陸の氷河に…地球最大の衝突を確認

2005/04/21 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】東京都の1・5倍の面積をもち、「世界最大の浮遊物」とされる南極海の超巨大氷山「B15A」が、南極大陸から突き出た全長約100キロの氷河の岬に衝突するというギネス級の“大事故”が衛星観測で確認された。

 米コロラド州の国立雪氷データセンターによると、観測されたのは今月15日。画像の左下から上方へ約100キロ突き出している白い氷の岬「ドリガルスキー氷舌(ひょうぜつ)」の先端に、長さ約120キロの氷山B15Aが衝突、片かなの「イ」のような形になり、岬の先端が割れている様子が確認できる。

 同センターやNASAによると、岬の先に居座った氷山が障害物となり、周辺に生息するペンギンや海中の光合成生物の暮らしに深刻な影響を与える恐れがあるという。

 B15Aは、南極氷原の崩壊で2000年3月に巨大な破片となって流出。南極海沿岸部を漂流し、衝突が懸念されていた。棚氷崩壊の原因については地球温暖化説と自然現象説がある。

減少続ける北極海の氷、冬季も回復せず…観測史上初

2005/03/22 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】減少を続ける北極海の氷が、2004〜05年の昨シーズンは観測史上初めて、冬季にも十分に回復できなかったことが米国雪氷データセンターの衛星観測で明らかになった。

 地球温暖化と関連性があるものとみて、分析を進めている。

 北極の氷は9月に最小となる。一方、冬季には氷が発達し、ほぼ平年並みに回復する傾向があった。

 しかし、昨年12月から今年2月の氷面積は、3か月連続で各月の最小記録を更新し、氷が発達する1〜2月の面積は観測史上最小の約1400万平方キロにとどまった。

後退するヒマラヤの氷河…数十年後には数億人が水不足

2005/03/15 読売新聞 Yomiuri On-Line

 世界自然保護基金(WWF)は14日、地球温暖化の影響で、ヒマラヤの山岳地帯の氷河が年間10〜15メートルの割合で後退しており、数十年後には氷河を水源とする川の流量が低下して、数億人が飲み水不足に陥ると警告した。

 ヒマラヤの氷河は、ガンジス川やインダス川、メコン川、長江、黄河などアジアの大河の水源になっている。これらの河川の流量低下は、飲み水不足のほか、工業や穀物の生産へも悪影響を与える。WWFが発表した報告書によると、ネパールでは平均気温が毎年0・06度上昇しており、すでに3河川で流量が減少傾向にある。

 WWF気候変動プログラムのジェニファー・モーガン代表は「温暖化対策が進まなければ、世界は、経済でも環境でも大きな破綻(はたん)に直面する」として、ロンドンで15日から開かれるエネルギー・環境閣僚級ラウンドテーブルに出席する各大臣に書簡を送り、対策を求めた。

今世紀後半に夏の気温4・2度上昇、真夏日70日増加

2005/01/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 サクラの開花が平年より3日早まり、東京の平均気温が100年間で3度近く上昇したことなど、日本の温暖化の現状が、独立行政法人国立環境研究所が27日まとめた「地球温暖化が日本に与える影響」で示された。

 同研究所や他の機関のこれまでの調査結果を集約したもので、今後、日本の温暖化に関する基本データとなる。生態系や市民生活への影響のほか、今世紀後半に真夏日が今より70日程度増えるといった予測も盛り込まれている。来月1日から英国で開かれる気候科学会議で報告される。

 気候の変化では、20世紀の100年間で、気温が全国平均で1度上昇。ヒートアイランド現象の影響も加わった都市部での上昇が顕著で、東京では2・9度上がった。雨量は、地域でばらつきがあるものの、1時間に50ミリを超える豪雨の発生件数が増えた一方、降雪量が減少した。

 動植物への影響では、サクラ(ソメイヨシノ)の全国89地点の開花日が、1989―2000年の平均で、平年(1971―2000年)より3・2日早くなった。逆にイロハカエデの紅葉日は、この50年間で2週間遅くなった。北海道・日高山脈のアポイ岳では常緑のハイマツやキタゴヨウなどの生育高度が上昇し、高山植物ヒダカソウが激減している。

 鹿児島県・屋久島が北限だったアオウミガメは、同県本土や宮崎県でも産卵・ふ化を確認。熱帯の海に生息するテーブルサンゴの一種エンタクミドリイシが熊本・天草沖でも見つかった。昆虫では、九州、四国が北限だったナガサキアゲハが、2000年以降は関東でも確認された。

 将来予測では、21世紀後半の日本の夏は、1日の平均気温が20世紀後半より4・2度上昇、真夏日の日数は70日程度増え、雨量も19%増加すると予測。気温が3度上昇すれば、雪不足でスキー客は30%減少するとしている。

 同研究所の原沢英夫・社会環境システム研究領域長は「日本でも既に温暖化が原因と見られる影響は顕在化しており、今後、悪影響の範囲が拡大したり、頻度や強度が増すことも予想される」と警告している。

100年後の西日本、温暖化進み雨量1・6倍に

2005/01/22 読売新聞 Yomiuri On-Line

 温暖化の影響で、100年後には西日本を中心に夏に雨の日が多くなるという予測を、茨城県つくば市の気象研究所環境・応用気象研究部の栗原和夫研究室長らのグループがまとめた。

 栗原室長らは、日本付近の2500キロ四方について、二酸化炭素排出量があまり削減されず、温暖化が進んだ場合の大気や海水温、海流の変化を20キロ四方ごとに詳細に分析。2100年までの気候を予測した。

 その結果、8月の降水量は、山陰から九州にかけての日本海側で現在の1・6倍に増加。栗原室長は「温暖化が進むと海水温が上がり、太平洋高気圧が発達する。その周囲に多くの水蒸気が集まって雨を降らせる」とし、山陰などが水蒸気が集中する地域にあたるという。

 北海道や東北、関東などの降水量は、ほぼ現在並みだが、全国的に降水量の多い年と少ない年の差が大きくなる。

全国25地点で気温記録更新 都市温暖化も背景に

2005/01/04 The Sankei Shimbun

 気象庁は4日、2004年の気温や降水量などの気候統計をまとめた。年平均気温は、東日本から西日本の25地点で最高値記録を塗り替え、全国150カ所すべての観測地点で平年を上回った。同庁は「太平洋高気圧が強かったことに加えて、都市の温暖化による気温上昇も影響しているのではないか」と説明している。

 年平均気温は14地点で1位タイ記録となり、2位を更新(タイ記録を含む)したのは77地点。同じく3位は15地点で更新(同)した。

 年降水量は洲本(兵庫県)と宇和島(愛媛県)で最大値を超えた。

 一方、昨年12月の気温は上−中旬に冬型の気圧配置にならなかったことから全国的に高い状態が続き、20地点で月平均気温の記録を更新。月降水量は岡山で平年比427%となる112ミリを観測するなど、全国10カ所で最大値を更新した。(共同)

海に沈む小さな島国を救え 温暖化で国連が支援戦略

2004/12/29 The Sankei Shimbun

 地球温暖化に伴う海面上昇で、国土が水没する危機にある小さな島国(小島しょ国)を救うため、温室効果ガスの排出削減や政府開発援助(ODA)の拡大などを先進国に求める国連の支援戦略案が29日、明らかになった。

 来年1月、インド洋の島国、モーリシャスで国連が開く会議で採択を目指す。だが、国連関係者によると、地球温暖化防止のための京都議定書への言及に米国が反対するなど議論は難航が予想される。温室効果ガス排出量が増え、ODAの減額が続く日本にとっても厳しい内容だ。

 自然災害対策への国際協力も盛り込まれており、スマトラ沖地震の津波で大きな被害が出た直後だけに、この点での協力体制の強化も焦点の一つとなる。

 小島しょ国はもともと天然資源や淡水資源に恵まれず、今回の津波被害を受けたモルディブのように、多くの自然災害に悩んでいる。一方で先進国からのODAは過去10年間で23億ドルから17億ドルと急減した。

 戦略案は「気候変動と海面上昇」を小島しょ国が直面する最大の問題と位置付け、各国が「再生可能エネルギーの利用拡大などで温室効果ガスの排出を削減、先進国は京都議定書の目標達成に努める」と規定。小島しょ国が堤防建設など海面上昇対策を取るのに必要な資金や技術面での先進国の支援拡大をうたった。

 また「小島しょ国は自然災害の被害を最も受けやすい」として、災害の早期探知システム整備などの対策を国際協力で進めることも盛り込んだ。

 だが途上国グループが、世界貿易機関(WTO)加盟手続きの簡略化など貿易や関税に関する優遇措置や、日本など先進国による放射性物質の海上輸送の中止を戦略案に盛り込むよう求め、先進国側と対立するなど多くの争点も残っている。

 <小島しょ国> 南太平洋やインド洋、カリブ海などに浮かぶ島国の発展途上国の総称。国連はキリバス、キューバなど37カ国と14地域をリストアップ。モルディブなどスマトラ沖地震の津波被害を受けた国も含む。中には面積21平方キロ、人口約1万3000人のナウルのような小国もある。国土の標高は低く、ほとんどの国は温暖化による海面上昇や異常気象で大きな被害を受けると予想される。(共同)

東日本以西は暖冬続く 気象庁3カ月予報

2004/12/22 The Sankei Shimbun

 気象庁は22日、来年1−3月の3カ月予報をまとめた。この期間の平均気温は、西日本と南西諸島で高く、東日本は平年並みか高めで、暖冬傾向が続くとみられる。北日本の気温は平年並みで、降雪量は東、西日本の日本海側で平年並みか少なく、北日本の日本海側で平年並み。

 東日本以西は、3月の気温が高めになる可能性もあり「春の訪れは早くなるかもしれない」としている。

 ▽1月 西日本の太平洋側は平年に比べて曇りや雨、雪の日が多い。気温は北、東日本で平年並み、西日本と南西諸島は平年並みか高い。

 ▽2月 東、西日本の日本海側は平年よりも曇りや雪、雨の日が少ない。気温は西日本と南西諸島で高く、北日本と東日本で平年並みか高い。

 ▽3月 気温は平年並みの北日本以外は、平年並みか高い見込み。(共同)

今年の地球、史上4位の暑さ 世界気象機関が予想

2004/12/16 asahi.com

 世界気象機関(WMO)は15日、今年の地球の平均気温が史上4番目の高温になる、との予想を発表した。61年から90年までの平均を0.44度上回るとみており、資料が存在する1861年以降では、最も暑かった98年、02年、03年に次ぐ。10月の陸地の平均気温は同月の史上最高だった。

 過去10年の地球の平均気温は、96年を除くすべての年が、史上最も暑かった10年に入っており、地球温暖化が進んでいることを示している。

今年の平均気温、過去2番目の高さ

2004/12/16 The Sankei Shimbun

 気象庁は16日、11月までの日本と世界の年平均地上気温の平年との差をまとめた。日本の平年差はプラス0・99度となり、統計を開始した1898年以降、1990年の同1・04度に次いで2番目に高い値になった。

 同庁は「日本の平均気温の変動が世界に比べて大きかったのは、地球温暖化による長期的な温度上昇に偏西風の蛇行などの要因が加わったためではないか」と説明している。

 月別では、日本の今年11月の平年差はプラス1・95度で2003年の同1・97度に次いで2位に、7月は同1・72度で過去3番目だった。

 一方、世界の年平均地上気温の平年差はプラス0・47度で1880年以降、4番目の高さに。月別では10月が同0・63度、11月は同0・88度と、ともに過去最も高い値となった。

 年平均地上気温の平年差は、日本では都市化の影響が少ないとみられる17地点から、世界では気象庁に通報があった約1200地点のデータから算出している。(共同)

2070年に北極の氷消滅 温暖化原因と報告書

2004/11/02 The Sankei Shimbun

 地球温暖化が続けば2070年の夏には北極地方から氷が解けてなくなり深刻な影響が出る−北極圏8カ国の科学者らがこのような報告書をまとめ、直ちに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出規制に取り組むよう警告した。2日付の英紙フィナンシャル・タイムズが報じた。

 報告書は米国、カナダ、ロシア、北欧諸国など計8カ国で構成する「北極評議会」の委託で各国の科学者計約250人が4年かけて作成。

 それによると、北極の氷山は前例のない速いペースで解けており、過去30年間で北極地方の氷の厚さは半分、分布面積は10%減ったという。

 気候変動がこのペースで続けば、2070年の夏には北極地方から氷が消滅する可能性があると予測。氷の溶解により21世紀末には海面が1メートル近く上昇し、多くの国の沿岸地域に洪水の被害をもたらす可能性もあるという。

 同紙は一方で、北極地方の温暖化で氷が解ければ、船舶の通航や石油、天然ガスの開発にとっては有利との専門家の見方も伝えた。(共同)

2050年の日本、真夏日100日

2004/09/17 読売新聞 Yomiuri On-Line

 温暖化の影響で、50年後の日本では、最高気温が30度以上の真夏日が1年のうち100日を超えるとの予測を16日、国立環境研究所と東京大学気候システム研究センターなどがまとめた。

 記録的な猛暑となった今夏の暑さでも「冷夏」に感じるほど温暖化が進み、日本は、現在よりもはるかに高温多湿の東南アジア的な気候になるという。

 スーパーコンピューター「地球シミュレータ」を初めて駆使することで、従来よりも大幅にきめ細かく、100キロ・メートル四方ごとの大気の状態と、20キロ・メートル四方ごとの海水温、海流の変化を分析した。沖縄を除く日本国内で真夏日が観測される日数は、20世紀中は50日程度だったが、2050年ごろには100日を上回るようになり、今世紀末には140日前後まで増加すると予測した。

アジア高地の氷河、2100年までに消滅? チベット高原研究所所長が予測

2004/09/05 The Sankei Shimbun

 4日の新華社電によると、中国科学院チベット高原研究所の姚檀棟所長は同日までに、チベット高原を中心とするアジア高地にある4万6298の氷河の大部分が、地球温暖化などの気候変動のため2100年までに消滅すると予測した。

 日米中の合同調査隊がヒマラヤ山脈の北側に位置するチベット高原を40日間調査した結果、氷河がこれまでにない速度で全面的に衰退していることが分かった。

 姚所長によると、この地域のヒマラヤ、崑崙、天山などの各山脈に分布する氷河の総面積は5万9406平方キロあるが、最近40年間で年平均7%も衰退、とりわけ1990年代に入ってその速度が増している。

 最も衰退が激しいのはチベット自治区南東部とチベット高原の海抜が低い地域。

 一方、中国気象局の専門家の推計では、2050年時点で冬季の気温が1−2度高くなれば、中国西部の氷河面積は約27%衰退するという。

 氷河が消滅すると周囲の生態環境に大きな変化をもたらすほか、下流域の干ばつも招くと専門家は指摘している。(共同)

中国の氷河、40年で7%減…1年で黄河の総流量分

2004/08/23 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=藤野彰】新華社電によると、中国の氷河面積が、地球温暖化の影響により、この約40年間で7%減少したことが、中国科学院青蔵高原研究所の調査で判明した。

 現在、1年間に解ける氷河の水量は黄河の年間総流量にほぼ匹敵するという。

 中国の氷河はヒマラヤ山脈を抱えるチベット自治区など西部山岳地帯に集中。総面積は5万9406平方キロに達するが、地球温暖化の進行により、20世紀半ば以降、氷河の溶解が加速している。年間の溶解水量は西部地区の河川総流量の10%を占めるまでに至っている。

 欧州連合(EU)はこのほど2050年にはスイス・アルプスの氷河の75%が消滅するとの予測を発表。中国西部の氷河の大幅減少も確認されたことで、ユーラシア大陸の東西で地球温暖化の影響が深刻化している状況が浮き彫りになっている。

雪が氷に変化…温暖化でエベレストの標高、年々低下

2004/08/16 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=竹腰雅彦】世界最高峰のエベレスト(中国名チョモランマ)の標高が、地球温暖化の影響で年々低くなっていることが、中国科学院青蔵高原研究所などの調査で明らかになった。

 新華社通信によると、エベレストの標高は、1966年には8849・75メートルだったが、99年には8848・45メートルとなり、1・3メートル低下した。1年の低下ペースは75年から92年までは1センチだったが、92年から98年までは約10センチに拡大し、99年には13センチに達したという。

 エベレストの山頂部分は厚さ十数メートルから数十メートルの雪と氷の層が存在する。研究者は、「気温の上昇は、雪が氷に変化するプロセスを加速する。標高の低下は、雪が氷に引き締まる過程で起きた」と指摘。実際に標高の急低下が始まった92年は、「気候が急激に温暖化した時期と付合する」としている。

今世紀末に欧米を襲う熱波、より暑く・より長く

2004/08/14 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】二酸化炭素の増加などで、今世紀末に欧米を襲う熱波は、現在より厳しく頻繁に、かつ長く続くようになることが、米国立大気研究センターのコンピューター予測で明らかになった。

 米科学誌サイエンス最新号に掲載された。

 同センターは、二酸化炭素などの排出対策を行わなかった場合を前提に、欧米の気候の変化をコンピューターで計算、現在(1961―90年)の平均値と、将来(2080―99年)の予測値とを比較した。その結果、米南部や西部、地中海東部沿岸などで気温が約3度上昇。パリではこれまで8―13日だった熱波の期間が11―17日にまで増えることがわかった。

 パリやシカゴでは、これまで年1、2回の頻度で熱波が襲っていたが、今世紀末には、熱波の発生する確率が約3割増え、年2回以上発生。熱波の続く期間も延びるという。

 昨夏、フランスを襲った熱波では約1万5000人が死亡。95年夏の米シカゴの熱波でも739人が死亡している。

カナダ最北部の氷河、100年間で9割消えた

2004/08/07 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】北極海に面したカナダ最北部で氷河など陸上の氷が過去100年の間に9割も消失、流氷など海上の氷も過去15年で厚さが3分の1にまで減っていることが、カナダ・ラバル大などの観測で6日、明らかになった。極地で顕著とされる地球温暖化の影響と見られている。

 同大などの観測によると、19世紀末と20世紀初頭に行われた探検では、カナダ最北端のエルズメア島一帯に広範な氷が定着していたことが記録に残っている。しかし、1980年代になると、氷が著しく減少。現在、同島北西岸を覆う氷床は5つだけになり、総面積は100年前の1割になってしまった。

 5つのうち、北極最大のワードハント氷床(表面積約440平方キロ)は2002年ごろから割れ始め、昨夏に大きく割れた際には氷床内の湖(面積150平方キロ)から淡水が海へ流出したことも確認された。湖は毎年夏季に出現し、塩分の少ない水を好む原始的な微生物が生息しているが、生態系に深刻な影響が出ている。

地球温暖化:2060年にはリンゴ・ミカンの特産地北上−−茨城・つくばの研究機構

毎日新聞 2004年6月9日 東京夕刊

 ◇温暖化進めば、2060年には…「早急な対策必要」

 地球温暖化が進むと2060年には、リンゴの特産地である青森、長野県や、ミカン特産地の静岡、和歌山県が、いずれも栽培に適さなくなることが農業・生物系特定産業技術研究機構(茨城県つくば市)の杉浦俊彦研究員の研究で分かった。年平均気温が60年に4〜5度上がった場合、リンゴを特産品として栽培できる最適地は北海道の平野部に移り、ミカンは関東平野や越後平野が栽培に適した地域になるという。【斉藤望】

 杉浦研究員は「果樹は開花時期をコントロール出来ず、温暖化の影響を避けられない。早期に対策を取る必要がある」と警鐘を鳴らしている。研究で採用した年平均気温は、国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)も使用したモデルに基づいて農業環境技術研究所(つくば市)が予測したデータを使った。

 研究結果によると、リンゴの栽培に最適の地域は現在、年平均気温が7〜13度の北関東から東北だが、60年には北海道の平野部となり、青森・津軽平野や長野盆地は栽培の最適地ではなくなる。年平均気温が15〜18度のミカン栽培の最適地は、関東平野や越後平野にまで広がるが、静岡、和歌山県や南九州の沿岸部は適さなくなる。

 果樹は植樹から収穫まで10年程度かかる。リンゴやミカンの特産農家は色つや、大きさ、高い糖度などの高品位を消費者にアピールしている。杉浦研究員は地球温暖化に歯止めを掛けるのが不可欠としながらも、「暖かくても着色させる技術の研究や、耐暖性品種の選別などに今から取り組むべきだ」と話している。

 温暖化による果樹へのダメージは蓄積されるため、気温の上昇幅が小さくとも果実数や大きさなどに影響が出る。杉浦研究員が行った聞き取り調査でも、各地の果樹試験場の担当者は「既に何らかの影響が出ている」と回答したという。

九州南部並みの暑い夏に 100年後の関東地方

2004/06/07 The Sankei Shimbun

 2100年夏、関東の最高気温は、九州南部とほぼ同レベルに−。気象庁が7日発表した約100年後の関東地方の気温変化予測によると、地球温暖化と都市化の影響で、夏の平均気温は現在より最大約1・5度も上昇し、最低気温が25度以上の熱帯夜になる地域は関東平野のほぼ全域に広がることが分かった。

 同庁は「狭い領域で約100年後の気温を算出したのは世界的にも珍しい。今後、関東以外の地域での算出も検討したい」としている。

 気象庁によると、同庁が開発した都市気候モデルを使用し、晴れて風が弱い日を想定して算出した。温室効果ガスの影響などにより、日平均気温は都心部では約1度、それ以外の地域では約1・5度上昇するとみられる。

 日最高気温(午後2時)は関東平均で約1度上昇し、関東平野内陸部の広範囲で35度以上になると予測。日最低気温(午前5時)が25度以上になる地域は関東平野のほぼ全域に広がり、関東平均で約2度上昇する見込み。

 例えば日最高気温が35度以上の地域は、現在では埼玉県中部などだが、2100年には内陸部の広範囲に拡大し、埼玉県内では最高36・3度と予想される。現在の都心の日最低気温は26・7度だが、2100年には28・1度になると予想している。

 都心よりも内陸部の方が気温上昇が大きくなる理由について気象庁は「都心部は海風が強まるとみられるため、内陸部の方が気温上昇が大きくなったのではないか」と予想。「エネルギー計画や健康被害対策への中長期的計画への活用に役立てたい」(同庁気候・海洋気象部)としている。

日本沿岸の海面上昇は過去百年で最高、温暖化が原因 2004/02/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日本沿岸の海面水位が、過去100年で最も高くなっていることが、気象庁の観測でわかった。地球温暖化などの影響で、日本近海の海水温が広範囲で上昇したことが原因という。

 同庁によると、昨年の海面水位の平均値は、過去30年間の平均と比べ約4センチ高かった。平均水温(海面―水深700メートル)も1985年以降、ほとんどの海域で、毎年0・01度から0・1度の割合で上昇していた。

 水温の上昇によって海水が膨張し、水位変化につながったと見られる。水温が上昇したのは、北太平洋で海上風の向きなどが変化したことのほかに、地球温暖化の直接の影響とも考えられるという。

水没危機の島国ツバル首相、日本の支援要請

2003/12/15 読売新聞 Yomiuri On-Line
 小泉首相は15日、首相官邸で、南太平洋の島国ツバルのソポアンガ首相と会談した。

 ツバルは地球温暖化の影響で、島が水没の危機にさらされているため、ソポアンガ首相は「国連などあらゆる機会をとらえて懸念を訴えている」と述べ、日本の支援を要請した。

 小泉首相は「太平洋の隣人として協力できる面が多い」などと応じた。

アルプスの永久凍土層の危機

2003年8月14日号 ネイチャー

「Alpine thaw breaks ice over permafrost's role」より

 2003年の夏、ヨーロッパは記録的な猛暑に襲われていますが、それはアルプスの高山にまで及んでいます。通常であれば凍ったままであるはずの氷までもが融けだし、景観を変えてしまっているのです。

 永久凍土層の研究者たちは、アルプスで現在起こっている永久凍土層の崩壊は地球温暖化に伴って世界中に広がり、じきに地球上の永久凍土層の四分の一が失われてしまうのではないかと予想しています。

 アルプスは、標高2500m以上では地面のほとんどが一年じゅう氷でおおわれています。表層の厚させいぜい5メートル程度が夏になると融け、冬になると再び凍る、ということを繰り返しています。標高3000mを越えると、夏でも気温が摂氏0℃を越えることはほとんどありません。しかしここ数週間というもの、標高4600mの地点でさえ絶え間なく氷が融けつづけているのです。

 登山者にとっても危険な状況となっています。普段は氷で固定されているはずのひびや割れ目が不安定になっているためです。例えば7月15日には、マッターホルンで岩盤の滑落により下山できなくなった100人近くがヘリコプターで救出されました。この夏、アルプスでは少なくとも50人の登山者が岩盤の滑落で命を落としています。

 永久凍土層が融けだしているのはアルプスに限ったことではありません。北ヨーロッパやロシアでも、永久凍土層の融解によって、道路や橋、オイルやガスのパイプラインなどの建造や保全に問題が生じています。

 調査によれば、スペインのシエラネバダ山脈から北極海のスピッツベルゲン諸島に至る広い地域で、ヨーロッパ山岳地帯の永久凍土層の温度は過去60〜80年のうちに0.5〜2.0℃上昇しているということです。

 また、永久凍土層が融けだすことが大気中の二酸化炭素量増加につながる恐れもあります。永久凍土層に閉じ込められていた有機物が、バクテリアに分解されて二酸化炭素となるためです。二酸化炭素は温室効果ガスであり、温室効果が進むことでさらに永久凍土層の融解が促進されるという悪循環に陥ることが危惧されています。

気温:ヒートアイランド現象で都心3.7度上昇

2003年08月07日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 都市部のヒートアイランド現象によって、東京都心の気温が、過去100年間に3.7度上昇し、首都圏の他の市に比べて2倍近い上昇率になっていることが、環境省の検討委員会の調査で分かった。また、1930年ごろの東京23区の地形図などの情報をもとに気温を計算したところ、当時の23区には熱帯夜(最低気温がセ氏25度以上)がほとんどなかったことも判明した。同省は「実測では年に2〜3日、熱帯夜の記録があるが、年40日近い熱帯夜を記録している現代と比べれば格段に少なかった」と指摘している。

 検討委は気象庁などのデータを分析した。その結果、1901〜2000年の100年間に、1日の最低気温の年平均値が東京都心で3.7度上がっていた。これに対し、熊谷市(埼玉県)、宇都宮市、横浜市、銚子市(千葉県)などの気温上昇は2度前後だった。

 また、本格的な都市化が始まる前の1930年前後の23区の気温は、推計で、現在より昼間で1度、夜間は2度以上低く、熱帯夜を示す25度以上の最低気温はほとんどなかった。実測データが残っている東京・大手町をみると、30年代前半の熱帯夜は年数日だったが、50年代になると年10日前後に増えている。

 30年代は、草地・裸地、水面の面積が現在の約2倍あり、舗装面積は10分の1以下だった。現在も、緑の多い皇居周辺で昼間の気温が低い傾向がみられる。

 同省は「緑地や水面面積が気温に与える影響が大きい。緑化推進と消費エネルギーの削減に向けた、抜本的なヒートアイランド対策を進めたい」と話している。【永山悦子】

氷床の溶解、急速に進む グリーンランド

2003年07月17日 The Sankei Shimbun

 南極の氷床に次ぐ大きさのグリーンランドの氷の溶解が、過去2年間に急速に進んでいることが、米航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星「テラ」を使った観測で16日までに分かった。近年の北極周辺で進んでいる温暖化の影響らしい。

 調査したのは、NASAのゴダード宇宙飛行センターのグループ。テラに搭載されたセンサーで2001年6月から今年6月まで、グリーンランド西岸に近い氷床の状況を観測した。

 この結果、固く凍った氷床と地面との境界にできる、氷と水が混ざり合った部分の面積が、この2年間に徐々に拡大、今年6月には、この部分に多数の小さな湖ができているのが見つかった。

 また、夏の間でもグリーンランドを覆う雪の面積が、この間に大きく減少したことも確認した。

 NASAチームは「温暖化が自然変動の結果であることも否定はできない」としながらも「温度上昇のペースは非常に速く、人為的な影響の可能性もある」とした。

 グリーンランド氷床の溶解は、海面上昇を招く上、海の塩分濃度を変え、気候変動の原因になることも懸念されている。(共同)

100年後に気温2・5度上昇 気象庁が温暖化予測

2003年05月09日 The Sankei Shimbun

 気象庁は9日、世界共通の環境変化シナリオに基づいて初めてまとめた地球温暖化予測を発表した。地球全体の年平均気温は最悪の場合、100年後に約2・5度上昇し、夏の熱帯域で降水量が大きく増えるなど大きな影響が予想される。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2000年に定めた40のシナリオのうち「温室効果ガス排出、人口増加率ともに高水準」という最悪の「A2」と、「環境保全が意識され、比較的好条件」の「B2」を基に、気象庁が独自の計算式で予測した。

 A2の場合、2100年ごろの年平均気温は、北極周辺の北半球高緯度地域を中心に最大約10−12度前後も上がり、地球平均で約2・5度、日本周辺も2度以上、上昇する。

 太平洋とインド洋の赤道域などでは夏の降水量が月当たり60−100ミリ前後増加し、日本周辺でも70ミリ前後増加すると予測。降水量の増える地域では大雨が降りやすくなるとされ「梅雨前線がより活発化する恐れがある」(気象庁)という。

 日本の太平洋側を流れる黒潮が三陸沖まで北上するなど、世界中で海流の変化が予想され、海面水温も各海域で上昇。ペルー沖海域でも年平均で1−2度上がる見込みで、異常気象を引き起こすとされるエルニーニョが毎年のように発生する恐れがある。

 IPCCに加盟する各国の気象・研究機関は共通のシナリオに基づく独自の温暖化予測を発表しており「A2シナリオで100年後の年平均気温が5度前後上がるという予測もあり、今回の予測は低い方」(気象庁気候情報課)だという。

今年は過去2番目に暖かかった2002年12月16日 The Sankei Shimbun

 気象庁は16日、2002年の世界と日本の平均気温の速報値を発表した。世界の平均気温は平年(1971−2000年の平均)より0・58度高く、統計が始まった19世紀末以降、2番目の暖かさ。日本も平年より0・57度高く、史上5番目だった。

 世界と日本の高温傾向は90年ごろから顕著になっており、同庁は「二酸化炭素などの増加に伴う地球温暖化の影響がはっきり出ている」としている。

 気象庁によると、これまで世界の過去最高だった98年はエルニーニョの影響を強く受けたとみられているが、今年の場合、気象上の特異な現象はなかった。年の前半に北半球で高温が続き、特に1月からアジアとヨーロッパで続いた異常高温が平均値を上げたという。

 日本でも年前半の高温傾向が目立ち、3月の気温が特に高く、サクラの開花が例年になく早かった。

 日本の気温は98年以降3年連続して下がっていたが、今年は昨年より0・24度上昇。「上位6位はすべて90年以降の年で、長期的な高温傾向は変わっていない」(同庁)という。

 この統計は、気象庁が世界各地域でデータが信頼できる1000地点以上の平均気温と平年値との差を計算。国内は、都市化や観測所の移転などによる影響が少ない網走(北海道)など17地点の観測データをまとめている。

今世紀末には消滅…北極海の永久氷

2002年11月30日 The Sankei Shimbun
 

 北極圏の海を夏でも解けずに覆っている永久海氷が、急速に減少しており、地球温暖化が現在のペースで続けば、今世紀末には完全になくなってしまうとの予測結果を、人工衛星による観測結果などを基に、米航空宇宙局(NASA)のグループが、29日までにまとめた。

 氷が少なくなればなるほど海の温度が上昇して、これがさらに氷の溶解を加速。氷の消滅は、世界の気候や海の生態系に大きな影響を与える可能性があるという。

 NASAの研究グループは、衛星観測データに、船やブイなどの観測結果を加えて、北極の海面が毎年夏、どの程度氷に覆われていたかを1978年から2000年までについて解析した。

 北極の夏の永久氷の面積は90年代に入って急速に減少。10年間で9%も減っていた。夏の平均気温はこの10年間に1・2度高くなっており、地球温暖化傾向が、減少の主因らしい。

 氷が減ると、大気中に反射される光の量が減って、海に届く熱の量が増えるため、海水温度がさらに高くなり、これが氷の溶解を早める。このため、今のままのペースが続くと、今世紀末には北極海の永久氷はほとんどなくなってしまうという。

 研究グループによると、今年の夏の北極の氷は、これまでで最も小さくなったとみられ、氷の減少が加速している可能性がある。(共同)

温暖化余波、ナガサキアゲハ北上とともに色黒に

2002年11月30日 Yomiuri On-Line

 生息地の北上が続いている南方系のチョウ、ナガサキアゲハの羽の模様が、北上とともに変化し、黒い部分が大きく濃くなっていることが、坂志朗・京都大エネルギー科学研究科教授の研究でわかった。北上は地球温暖化の影響とみられており、坂教授は「地球温暖化は、生き物の生息域だけでなく、形状にまで影響を与えている」と警告している。

 ナガサキアゲハは東南アジア原産で、羽を広げると14センチにもなる日本最大級のアゲハ類。1940年代は九州や四国南部が北限だったが、80年代から和歌山、兵庫などで観察され、2000年には京都でも越冬していることを坂教授自身が初めて確認した。同年以降、埼玉、山梨など関東地方でも発見された。

 ところが、坂教授が採集したチョウや各地の標本、資料などで研究したところ、インドネシア産は、羽に白い斑紋が目立つが、台湾、九州、本州と北へ向かうにつれ、白い部分が少なくなり、黒くなっていた。

 同教授が、ギフチョウのサナギを5度程度の冷蔵庫で飼育し、羽化させる実験をしたところ、やはり羽の黒化が見られた。

 このため坂教授は、サナギの時期に寒冷刺激を受けると、寒さに備えて日光を効率よく受けるため、黒くなると推測。ナガサキアゲハも温暖化で北上したものの、やはり冬場の寒冷刺激は避けられず、黒化したと見ている。

 生物の生息域の北限上昇は、温暖化など環境の変化による外因説が有力だが、坂教授は、北上に伴う生体の適応という内因も働いているとみており、「様々な生物の体や生態に、すでに温暖化の負担がかかり、体の変化が起きている。一刻も早く、温暖化対策を進めるべきだ」と話している。

縮小する富士山の永久凍土

2002年10月 山梨日日新聞社 YBS山梨放送

 永久凍土とは、年間を通じてセ氏0度以下の地温状態を保っている土壌や岩盤のことをいう。富士山(標高3776メートル)では1970年、山頂で発見された。日本では富山県の立山、北海道の大雪山系白雲岳の周辺に分布しているといわれる。

 2002年10月に日本雪氷学会(山形市で開催)で発表された、国立極地研究所や静岡大、筑波大の研究グループによる初の地中温度連続観測によると、富士山南斜面(静岡県側)の76年地温調査では永久凍土の下限は標高3200メートル付近と推定されていたが、2000年調査では同3500メートル付近と、凍土分布が約300メートル縮小していた。

 この25年間に山頂の年平均気温は0.8度上昇している。月別では8月の平均気温はあまり変化がないが、1月は約3度、2月に1度も上昇していることが分かっている。永久凍土の分布域は冬季の凍結と、夏季の融解のバランスで決まるといわれ、分布域の縮小は冬の気温の上昇が関係しているとみられている。永久凍土は気温の変化を非常に受けやすいと推定され、凍土が融解すると温室効果ガスのメタンガスが大量に放出されて温暖化を加速するという。

氷河崩壊で100人以上不明 ロシア南部

2002年09月22日 The Sankei Shimbun

 ロシア南部北オセチア共和国のカフカス山脈にあるコバン渓谷で20日、氷河の一部が崩壊、土砂などを巻き込んでふもとのカルマドンの集落や保養所などを直撃し、住民ら4人が死亡、100人以上が行方不明となった。ロシアのインタファクス通信が21日伝えた。

 災害発生から時間がたっていることから行方不明者の生存は絶望視されている。

 プーチン・ロシア大統領は会見し、連邦政府が救助などのためにあらゆる支援を行う用意があると表明した。ロシア非常事態省が救助チームを派遣、行方不明者の捜索に当たっている。

 また、崩壊した氷塊や土砂の一部が川をせき止め洪水となる恐れがあるため、堆積(たいせき)物を爆破する作業班が現場に到着した。氷河がさらに崩壊する可能性もあり、共和国当局は周辺の住民を避難させている。

 崩壊した氷河は高さが100メートルにもなる巨大なもので、重さは300万トンに達するという。

 また、カルマドン周辺にいた映画の撮影隊28人とも一時連絡がつかなくなっていたが、ロシア通信によると、その後全員の無事が確認された。

 カルマドンはグルジアとの国境近くにある峡谷の町で、周辺を2700メートル以上の山々に囲まれている。(共同)

17人死亡26人救出 露で氷河が集落直撃

2002年09月22日 The Sankei Shimbun

 崩壊した氷河の一部が土砂とともに集落などを直撃、多数の住民が行方不明になったロシア南部北オセチア共和国では21日夜までの捜索で、計17遺体が見つかる一方、26人が救助された。国営ロシア・テレビが伝えた。

 なお94人の行方不明者がおり、今後の捜索で犠牲者の数はさらに増えそうだという。

 共和国政府は電話のホットラインを設け、行方不明者の家族らから情報提供を求めている。(共同)

東京の平均気温、100年で3度も上昇

2002年08月11日 Yomiuri On-Line

 日本の大都市の年間平均気温が1901年から2000年までの100年間で2・5度上昇し、東京では3・0度も上がったことが、気象庁の分析で分かった。同時期の地球全体の温度上昇は0・7度、日本の中小規模の都市は1・0度で大都市だけが激しく上昇したことになる。特に最低気温や冬の気温の上昇幅が大きく、同庁は「ヒートアイランド現象が原因ではないか」とみている。

 同庁は、札幌、仙台、東京、名古屋、京都、福岡の大都市6地点と、網走、長野、宮崎など中小都市17地点のデータを分析。年間平均気温の推移をみると、いずれの地点も上昇していたが、上昇幅は大都市平均で2・5度と、中小都市の平均1・0度を大きく上回った。

 また、札幌と仙台を除く大都市では、夜間の最低気温が25度以上の「熱帯夜」の日数が、最近70年間で21―32日も増加。逆に、最低気温が0度未満の「冬日」の日数は、35―67日減少し、東京や福岡では1990年代の冬日は数日以下だった。

環境予測:スパコンで地球温暖化を分析 海洋科学技術センター

2002年06月14日Mainichi INTERACTIVE

 文部科学省の海洋科学技術センターは14日、世界最高速の計算能力を持つスーパーコンピューター「地球シミュレータ」を使って7月以降、地球温暖化の分析など本格的な環境予測に取り組む考えを明らかにした。地震発生メカニズムや、海水温が異常に上がるエルニーニョの研究などにも取り組む予定で、自然災害の予測や防止にシミュレータを役立てる。

 シミュレータは、NECが製造。これまで世界最高速だったスパコンの約5倍の計算能力があり、1秒間に約35兆回の計算ができる。雲の形成など局所的な気象予測から、地球規模での海洋、大気循環などさまざまな観測が可能だ。

 地球表面を約10キロ四方に区切ったデータ分析ができ、1週間分の海面温度のシミュレーションを約4分で計算するという。 【熊谷泰】

記録的「暑い春」でした 観測点9割で史上3位以内

2002年06月03日The Sankei Shimbun

 気象庁が3日発表した今年の春(3−5月)の気候統計値によると、1月中旬から続いた異常な高温傾向で、全国152ある観測点の9割以上に当たる142地点で、平均気温が観測史上3位以内を記録するなど「暑い春」だった。

 今春の平均気温はすべての観測点で平年値を上回り、特に北海道では平年を2度以上上回る地点がほとんど。札幌、稚内、釧路などで軒並み最高記録を塗り替えた。

 本州以南でも日本海側を中心に高温となり、南西諸島の一部などを除く全域が1971−2000年の観測データのうち、上位10%に入る「極端な高温」と位置づけた。

 気象庁によると、今年1月中旬以降は、偏西風などの影響で寒気が南下しにくい状態が続き、寒かった昨年12月から一転して暖冬に。3月もこの状態が続き、4月には日本の北を通る低気圧に向かって暖かい南風が再三吹き込んで高温傾向が続いたという。

 全国的な高温傾向は5月中旬にオホーツク海高気圧が現れてようやく一段落したが、気象庁は「5月も同じ傾向だったら(136地点で最高値を記録した)1998年の異常高温に匹敵する高さになっていた」と今春の「異常さ」を指摘している

温暖日本、さらに加速 気象庁

2002年06月01日 The Sankei Shimbun

 20世紀後半に急激に上昇した日本の気温は、今後さらに加速して上がり続ける−。気象庁は1日に刊行した「20世紀の日本の気候」で、世界を上回る勢いで進む日本の温暖化を過去100年間の観測データで示した。

 20世紀の100年間で世界全体の年平均気温は約0・7度上昇したが、同庁が1901年から観測条件の変化が少ない国内の観測点を選んで気温変化をまとめたところ、日本の上昇幅は約1・0度と大きく上回っていた。

 特に大都市の上昇幅は中小都市の2倍以上と大きく、東京は100年間で3・0度も上昇。都市部の緑地減少、人口集中などによる「ヒートアイランド現象」の影響が色濃く表れた。

 気候の変化は1970年代後半以降の夏に目立っており、各地で最高気温が35度を超える「極端に暑い日」が増加しているほか、25度以上の「熱帯夜」の日数が年10日前後も増えた地域もあった。

 同庁は「日本を含む北半球の中・高緯度地域は、地球温暖化の影響で今後世界で最も激しく気温が上がる」とみており、約70年後の1月の気候を「平均気温が2・0度以上上昇し、日本海側では雪より雨が降りやすくなる」と予測している。

サクラ前線、釧路に到着…開花は最速記録

2002年05月10日(読売新聞)YAHOO!ニュース

 釧路地方気象台は10日、桜前線の終着駅となった北海道釧路市でサクラの開花を宣言した。昨年より8日も早く、今季はポカポカ陽気を反映、南国から始まった桜前線は猛スピードで日本列島を駆け抜け、観測史上、最も早いゴールとなった。

<世界気温>3月の平均気温は1880年以来最高 米海洋大気局

2002/04/19(ワシントン共同)(毎日新聞)YAHOO!ニュース

 日本各地で観測史上最も早いサクラの開花が相次いだ今年3月の世界の平均気温は、1880年以来最も高かったことが、米海洋大気局(NOAA)の18日までの分析で分かった。

 降水量は、アジアの一部などで平年に比べ、少なかったことも判明、アフガニスタンの干ばつの悪化が懸念されるという。

解ける南極の氷 ―急激に進む温暖化影響―

2002年04月21日 中国新聞 社説

 最近、南極で「棚氷(たなごおり)」と呼ばれる厚い氷の板が、大陸から切り取られ、いくつもの氷山になって海面をただよっているのが観測されました。その直前には巨大(きょだい)氷山が外海に流れ出したのが見つかったばかりです。

 南極は氷の大陸ともいわれています。「氷床(ひょうしょう)」と呼ばれる厚さ二百メートル以上の氷が大地をすっぽりとおおい、土が出ている部分はわずかしかありません。

 その厚い氷が解けだしているという観測は、数年前から相次いでいました。観測した人たちは「気温の上昇(じょうしょう)によることは間違いない」と話しています。

 棚氷は海に浮(う)いていますが、大陸側の氷床とくっついており、よほどのことがないと崩れることはないとみられていました。

 今回大陸から切り離された面積は三千二百五十平方キロもあり、約七千二百億トンの氷が海に流れだしたとみられています。 巨大な棚氷が崩れるのは、地球温暖化によって南極の気温が過去五十年間に、それまでと比較(ひかく)にならないほど上がっているためというのが、研究者の見方です。

 棚氷も氷山も海に浮いているため、粉々になっても海面は目立つほど高くなりません。しかし、温暖化は南極だけでなく、さまざまな環境(かんきょう)に悪影響(えいきょう)を与えるとみられています。

ヒマラヤ、温暖化洪水の危機

[2002年04月17日]Yomiuri On-Line

 【ジュネーブ16日=大内佐紀】国連環境計画(UNEP)は16日、地球温暖化のためヒマラヤ山脈の氷河や雪が溶け、同山脈中の湖に流れ込む水量が急増した結果、今後5年から10年の間に計44の湖が氾濫(はんらん)し、地元住民に甚大な被害を与える可能性があると警告する報告書を公表した。

じわり温暖化、壊れる南極の氷

2002年03月20日 YAHOO!ニュース

温暖化による海面上昇で、日本は290万人の移住必要に

2001.02.18 asahi.com

 地球温暖化について各国の科学者らで構成する「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第2作業部会は17日、経済や生態系への影響に関する報告書をまとめた。 このなかで、温暖化で海面水位が50センチ上昇したとすると、日本では1412平方キロメートルが海面下に沈み、人口の2.3%にあたる290万人が移住を余儀なくされることが明らかになった。 1月の第1作業部会の報告では、2100年までに世界の海面水位は、9―88センチ上昇すると予測している。 (以下略)

地球温暖化、原因の第2位は「煤」?(上)

2001年02月09日 HOT Wired Japan

 カリフォルニア州スタンフォード発――煤(すす)といえば、暖炉の周りにこびりついたりトラックの排煙に含まれていたりするあのお馴染みの黒い物質だが、ひょっとするとそれが地球温暖化の主な原因の1つになっているかもしれない。 科学雑誌『ネイチャー』の2月8日号に掲載された研究論文は、いわゆる温室効果ガスである二酸化炭素に次いで、煤が地球温暖化の第2の原因である可能性を示唆している。(詳細)

永久凍土溶けて温暖化加速 国連環境計画が警鐘

2001.02.10 asahi.com

 地球温暖化がこのまま進めば、北極圏の永久凍土が解け、閉じこめられていた温室効果ガスが放出されてさらに温暖化を推進しかねない、と国連環境計画(UNEP)が警鐘を鳴らしている。両極の氷が解けて海面が上昇するなどの温暖化の影響は議論されているものの、永久凍土と温暖化の絡みについては、あまり科学的な検証が進んでいないという。(以下略)

50年後、温暖化で年間3千億ドル被害 UNEPが試算

2001.02.04 asahi.com

 国連環境計画(UNEP、本部・ナイロビ)は3日、このまま温暖化が進むと、台風など熱帯性低気圧の多発による被害、海水面の上昇による土地の水没などによる水利の悪化、農業や漁業への悪影響などによって各国の受ける損害が、21世紀半ばには年間計3040億ドルに達する可能性がある、とする試算を発表した。

 テプファー事務局長は「軽減程度では手ぬるい。今すぐ温室効果ガスの大幅削減のために行動をおこさなければならない」と語った。

 特にモルディブ、ミクロネシアなどの水没の危機にさらされた島国では、年間の損失が2050年には国内総生産(GDP)の10%以上に達する恐れがあるとしている。

 空気中の二酸化炭素(CO2)濃度が、2050年までに産業革命前の倍になるとの試算も、UNEPの雑誌で紹介された。

 地球温暖化の問題は、5日から9日までナイロビで開かれるグローバル閣僚級環境フォーラムで話し合われる。

2100年までに最大5.8度上昇 地球全体の平均気温

2001.01.22 asahi.com

 各国の科学者でつくる「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第1作業部会は22日、地球全体の平均気温が2100年までに1.4―5.8度上昇すると予測する報告書を発表した。1995年の報告書では、最大で1.0―3.5度上昇するとの予測だった。報告書は「温暖化への人為的な影響がよりはっきりしてきた」と人間の活動による影響を明確に指摘し、各国に早急な温暖化対策を促している。

 温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)濃度について、報告書は今世紀末までに現在の367ppmから540―970ppmと倍程度になると予測。森林伐採をしなかったとしても、40―70ppm減るだけで、それだけ化石燃料の燃焼の影響が大きいことも指摘した。

 地球の気温予測の上方修正は、工場排煙などについて各国の大気汚染対策が進む結果、太陽光を遮る二酸化硫黄が減り、かえって温暖化が加速するというシナリオに基づく。

 ただ、海面上昇については、南極西部の氷床が95年に予想したほど解けないことがわかったとし、2100年までの上昇予測は、95年当時の13―94センチから9―88センチへと下方修正した。

 温暖化の現状については、1860年ごろから現在までに、地球全体の平均気温は0.4―0.8度上がったと指摘した。95年の報告書は0.3―0.6度上昇したとしていたが、90年代後半に暑い年が続き数字を押し上げた。20世紀が、過去1000年で最も暑い世紀だったことも指摘。1960年代に比べて積雪面積が10%減り、北極の8―9月の氷がここ数十年で40%薄くなったとした。

統計から見ても暖かかった2000年 気象庁発表

2001.01.05 asahi.com

 1990年代の世界的な高温化を反映して2000年の日本も暖かかったことが5日、気象庁がまとめた気候統計値でわかった。

 年平均気温でみると、平年を1.4度上回る17度だった神戸市をはじめ4地点で史上2位を記録した。また平年より1.3度高い16.9度の東京都心をはじめ5地点で史上3位となった。全国約150の観測地点でみても、約3分の2で10年に一度の暑さだった。

 一方、降水量は一部を除く西日本で少なく、平年の8割以下の地点もあった。これは、梅雨時から夏場にかけて雨が少なかったためという。逆に東日本では太平洋側を中心に、おおむね台風3号の影響などで平年より多かった。

進む温暖化 22年連続で平均値上回る平均気温

2000.12.20 asahi.com

 世界気象機関(WMO)は19日、2000年の地球の気候について、1961年から90年までの30年間の平均気温に対し、0.32度高いとする統計を発表した。ほぼ99年と似た水準で、史上5、6番目の高温になるという。今年で22年連続して平均値を上回っているとし、地球の温暖化傾向が続いていることに警鐘を鳴らした。

 WMOのオバシ事務局長は記者会見で「温室効果ガスを減らす以外に解決策はない。政治家と世界の人々が決断しなくてはいけない」と語った。

2100年11月 IPCC議長報告

2000年11月21日

 2000年11月21日、IPCC(気候変動に関する政府間パネル) のワトソン議長は1990年から2100年の間に1.5℃〜6℃の気温上昇が予測されると発表し、IPCCが1995年に発表した第2次報告で平均2℃としていた予想を上方修正しました。

欧州の猛暑、温暖化で頻度は2倍に 科学者予測

2000.11.04 asahi.com

 地球温暖化は欧州内の南北格差に拍車をかける――欧州連合(EU)の要請に応じて、科学者30人が、欧州における温暖化の影響を予測した報告書がこのほど、発表された。夏のギリシャは暑すぎて観光どころではなくなるという。

 報告書は、今後10年ごとの平均気温の上昇を0.1―0.4度とみており、2020年には、欧州全体で猛暑の頻度が現在の2倍に、スペイン南部では5倍になると推測している。

 英仏、オランダなど欧州北部では降雨量が増え洪水の危険が増すが、暖冬によるエネルギー消費減などの恩恵も出てくる。だが、南部は砂漠化が進んで農業生産が減り、河川に頼る水の供給も減少する。

 報告書はこのほかに、 (1)地中海沿岸で海面が上昇し、野鳥のえさ場が失われる (2)夏季の観光収入に頼るギリシャの島々では暑すぎて、観光客が減少する (3)欧州南部では森林火災が頻発する (4)アルプス山脈の氷河面積が50%以上失われる 、などとしている。

 報告書をまとめた英国イーストアングリア大学のパリー教授は「EUの農業、漁業、地域開発政策を温暖化を視野に入れた政策に転換すべきだ」と話している。

 今回の報告書は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による新報告書の欧州部分の基礎となる。

「暖冬化」くっきり 都市部の新平年値、軒並み上昇

2000.10.27 asahi.com

 過去10年、全国で「暖冬化」が進んだことがはっきりし、気象庁が天気予報などで使う気温の「平年値」も来年から上がることになった。新平年値では、東京の1月の平均気温が0.6度上がって5.8度になるなど、都市部を中心に冬の気温上昇が目立っている。

 平年値は気温、降水量、日照時間などの過去30年間の平均で、予報の基準ともなっている。気象庁は現在、1961年―90年の値を使っているが、来年からは71年―2000年の値に切り替えるため、見直し作業を進めている。

 気象庁によると、新しい1月の平均気温は、東京、名古屋、福岡、那覇が0.6度、札幌、仙台、新潟、高松が0.5度、大阪が0.3度上がるなど、全国的に高くなっている。東京の平均気温5.8度は、現行の「平年並み」の範囲(4.5度―5.7度)を超える。「来年からは、平年並みの範囲が上にずれるので、暖冬扱いの基準も上がる」(気象庁)

 冬の最低気温の上がり方も大きい。東京の1月の最低気温は、1.2度から2.1度へ1度近くも上がった。「都市のヒートアイランド現象の影響を受けた空気が夜間、地表にとどまりやすく、気温が下がらないから」と気象庁気候情報課は説明する。

温暖化で生態系の3分の1が危機 WWF

2000.08.31 asahi.com

 世界自然保護基金(WWF)は30日、温暖化の影響で地球上の生態系の3分の1が危機にさらされるとする報告書を発表した。種子などによる移動の遅い植物が適応できずに絶滅、植物の生息域の激変で動物も大きな影響を受けるとみている。  今後100年間で大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が産業革命以前の2倍になったと仮定して、気候変動を計算した。

 植物の適応が間に合わない典型は、ロシアや北欧、カナダなど北半球の高緯度地域で、生態系の70%が危機にさらされる。ブータンやモンゴルなど高山地帯も45%が危うい。また、沿岸部や島々では海洋の温暖化と海面上昇による影響も受けることになる。

 地球全体では植物生息域の破壊は35%と見込まれ、WWFは「植物生息域が移動しても、元と同じような豊かな生態系が戻るとは限らない」としている。

北極点一帯で氷解ける 地球温暖化が原因か

2000.08.21 asahi.com(時事)

 北極点を覆う氷の一部が解けていることが、19日付の米紙ニューヨーク・タイムズなどの報道で明らかになった。今月、北極を訪れた科学者らの話として伝えたもので、北極点一帯で約1.6キロにわたって氷結していない海域が見つかったという。

 米自然史博物館の古生物学者マルコム・マッケナ氏は、「地球温暖化が起きていないと考えている人たちは、少なくともこの珍事に少しは注目すべきだ」と警告している。北極点は5000万年以上前から氷結していたとされる。 

グリーンランドの氷、温暖化で解ける 年に2メートルも/ 米航空宇宙局(NASA)の観測

2000.07.22 asahi.com

中米ベリーズで海水の温度が上昇、サンゴに被害

2000年05月04日[ロンドン 3日 ロイター]

 中米のベリーズ共和国で、海水の温度が観測史上最高を記録した。科学者らが地球温暖化かエルニーニョ現象が原因ではないかとみているが、この現象によって、過去3000年で初めて同国のサンゴに被害がでている。

 米国人研究者らが科学誌ネイチャーに発表したリポートによると、海水の温度は摂氏31.5度に達している。この影響でサンゴに被害がでるなど、変化に敏感な海の環境が危機にさらされているという。

温暖化で土壌水分が減少

2000年03月23日

 地球温暖化の進行で今後、地中海周辺、中央アジア、北米南西部など穀物生産地域となっている「半乾燥地帯」の土壌水分が減少、穀物生産にも影響が出る恐れがあるとの研究結果を、科学技術庁地球フロンティア研究システムがまとめた。24日に東京都内で開く発表会で報告する。

温暖化予測を上方修正へ

2000年03月19日

 地球温暖化に関する世界の研究者でつくる「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は19日までに、21世紀末の気温上昇の予測値について、大幅な上方修正につながるシナリオを盛り込んだ特別報告書をまとめた。

 新たに大気中への二酸化炭素の排出量が大きく増えることを想定。世界の平均気温が、最大で従来予測の2倍となるセ氏4度近く上昇する可能性を指摘している。

気候と人口の安定が課題

2000年01月16日【ワシントン共同】

 温暖化が続いている気候と、増え続ける人口を安定させない限り、地球上で保全できる生態系はなくなると警告する2000年版の地球環境白書を、米環境シンクタンクのワールドウオッチ研究所が15日、発表した。

 ブラウン同研究所長は「初めて白書を出した1984年に心配した森林破壊や種の絶滅に加え、温暖化などが起こり、地球環境は悪化する一方だ」と早急な対策を強調。

99年世界は過去6位の暑さ

2000年01月14日 共同通信社
 気象庁は14日、1999年の世界の気温について、平年より0.45度高く、データをまとめ始めた1880年以降、6番目に暑い年(1994年とタイ記録)だったと発表した。

 同庁が昨年末に発表した速報値では、平年差はプラス0.43度、暑さの順位は観測史上7位だった。国内は平年比プラス0.96度で、過去4番目の暑い年だったことが確定している。

1999年の世界と日本の年平均地上気温の平年差

 1999年(昨年)の世界の地上気温は、観測史上最も高温であった1998年に比べて低くなったものの、北半球中高緯度を中心に依然として高い状況が続いた。また、1999年の日本の地上気温は1998年より低かったが、北半球中高緯度が高温であったことに対応して、平年に比べて高い状態になった。

 1999年を含め、世界と日本の年平均地上気温が高温を記録した年は1990年代に集中している。

 1990年代は過去120年間のどの期間と比べても世界的に気温が高くなった。この要因として、二酸化炭素などの増加に伴う地球温暖化や数十年程度の時間規模で繰り返される自然変動などが考えられる。

地球温暖度、今年は史上5位

1999年12月16日[ロンドン 16日 ロイター]
 

 99年は地球全体でみて、1860年の観測開始以来、史上5番目に暖かい年であったことが明らかになった。 これは英国気象庁のパーカー長官が発表したもので、それによると今年の地球の年間気温は、1961−90年の平均値に比べ摂氏0.33度、また、19世紀末の気温に比べると0.7度それぞれ上昇した。

 昨年は過去最高を記録したが、今年は赤道付近の太平洋の海水温度が低下するいわゆるラニーニャ現象で、気温が急速かつ大幅に低下。これは温室効果ガスの人為的排出が原因で起きる長期的な地球温暖化と同時進行した現象と捉えられている。

 来年は太平洋の気温が再度上昇するため今年より暖かくなる公算が大きいものの、昨年の最高記録は更新しない見通しだ。 年間気温が歴代上位10位以内を記録した年のうち、7年は90年代。パーカー長官は90年代を「過去千年間で最も暖かい10年」としている。

 なお、英国については、99年の年間気温は1659年以来の観測史上で最高。過去最高を記録した90年を上回った。

エーロゾルの寒冷化効果は0.4度 気象庁が予測

November 21, 1999

 石油など化石燃料を燃やすことで生じる大気中のエーロゾル(浮遊粉じん)が、太陽光を遮って地球温暖化を抑える「寒冷化効果」は、100年で0.4度になることが、気象庁の予測実験で分かった。大気汚染や酸性雨などの原因とされるエーロゾルだが、温暖化に関しては、気温上昇を遅らせる働きが確かめられたという。

 予測実験では、代表的な温室効果ガスである二酸化炭素が年に1%ずつ増え、二酸化硫黄から生じる硫酸エーロゾルも65年後まで徐々に増えた後わずかに減少するという見通しで、気象庁の気候モデルを使って試算した。

 地球の平均気温は70年後に約1.3度、100年後に約2.2度上昇する結果が出た。これは、硫酸エーロゾルの増加を考慮しない場合(二酸化炭素の増加だけ)に比べて、70年で約0.3度、100年で約0.4度、気温上昇が低く抑えられることになる。

 化石燃料の燃焼など人為的にできたエーロゾルは大気中の寿命が4、5日と短く、発生源付近に多く分布する。そのため、日本など北半球の中緯度地帯で濃度が高くなり、寒冷化効果も大きい。日本付近は100年後で1度以上の寒冷化効果が認められた。

 エーロゾルには、ばい煙や粉じんなどの人為的なもののほか、火山の噴火など自然現象で生じるものもある。今回は、大気中の濃度が高く気候変動に影響の大きい硫酸エーロゾルの変化を加味することで、より現実に近い温暖化の評価を試みた。ただ、エーロゾルには雲の量や反射力などを変える間接効果もあるが、それは考慮していないという。

99地点で観測史上最高を記録

1999年10月04日 共同通信社

 気象庁が4日、発表した9月の気候統計値によると、9月の平均気温は、全国147観測地点のうち42都道府県の99地点で観測史上最高を記録、「暑い9月」を裏付けた。

 全観測地点でも平年を下回る場所はなく、南西諸島を除き全国的に平年を2度以上、近畿や関東の各地では3度以上上回った。

巨大氷山で20隻に警告

1999年08月22日【リオデジャネイロ共同通信社】

 21日付のアルゼンチン主要紙クラリンによると、アルゼンチン沿岸警備隊当局は20日、巨大な氷山が南米最南端のホーン岬と南極大陸との間のドレーク海峡を漂流しているのが確認されたのを受けて、氷山の中心から半径約230キロの水域で操業している遠洋漁船など20隻に警戒するよう通報した。

 A large iceberg has entered shipping lanes between the Antarctic Peninsula and South America. The iceberg, named B-10A, measures 24 by 48 statute miles and could pose a hazard for mariners operating in the Southern Ocean, reported the National Ice Center today.

地中海が熱帯の海に変容?

1999年08月07日 共同通信社 【ローマ共同】
 地中海は紅海などから侵入した熱帯魚類の繁殖、海水温の上昇と水質汚染や乱獲による在来種の減少により、このままでは熱帯の海になる―。イタリア国立海洋科学中央研究所の専門家フランコ・アンダロロ氏が6日、ロンキ環境相とともに記者会見し、こう警鐘を鳴らした。

温暖化で10数年来異常高温

1999年04月24日共同通信社
 地球温暖化の影響から、ここ10数年、日本各地で異常な高温を示していることが気象庁の調査で分かった。26日からの日本気象学会で発表される。

 温暖化と異常気象の関係を解明するのは世界的な課題になっており、日本では記録的な大雨の回数が増えていることが既に報告されているが、異常高低温についての本格調査は初めて。

 気象庁は、旭川から石垣島まで計31観測地点の19世紀末から1997年まで、約 100年間の気象データを統計処理。

南極で氷山の大規模な崩落、地球温暖化の兆候か

1998年10月16日)

 南極ウェッデル海南方のロンネ氷棚で、A−38と名付けられた全長147キロ、幅50キロに及ぶ巨大な氷山が崩れ落ちているのが観測され、科学者らは、地球温暖化の1つの兆候の可能性を指摘している。米国立氷山センターが15日明らかにした。

HOME気象情報