TOPIC No.5-13c 2000年度07-12月 医療ミス

投薬ミスの医師ら12人を処分 富山県の高岡市民病院

2000.12.26 The Sankei Shimbun
 富山県高岡市の高岡市民病院(藤田秀春病院長)で、投薬ミスと患者の体内にガーゼを置き忘れる医療事故が相次いだ問題で、佐藤孝志市長は二十六日、投薬ミスの担当医師を停職処分にするなど十二人の処分を発表した。

 高岡市によると、処分は、佐藤市長と藤田病院長を減給(十分の一)二カ月のほか、パソコン入力を誤り毒薬指定の薬を肺炎患者に投薬指示した医師を停職一カ月、内科第一部長、薬剤科次長、薬剤師らをそれぞれ厳重注意とした。

 また、下腹部手術を受けた患者の体内にガーゼを置き忘れた筆頭医師を戒告、担当医師らを訓告処分にした。

 佐藤市長は「事故を隠匿したかのような誤解を与え、長年の信頼を失った責任は重大だ。信頼回復に全力を尽くす」としている。

2看護婦に猶予判決 広尾病院点滴ミス/東京地裁「基本的義務怠った」

2000.12.27 The Sankei Shimbun
 東京都立広尾病院(渋谷区)で昨年二月、千葉県浦安市の主婦、永井悦子さん=当時(五八)=が点滴ミスで死亡した事件で、業務上過失致死罪に問われた看護婦の亀井晴子(三〇)、丹内貴子(二七)の両被告に対する判決が二十七日、東京地裁であった。小倉正三裁判長は「基本的な注意義務を怠った刑事責任は重大」と述べ、亀井被告に禁固一年、執行猶予三年(求刑禁固一年)、丹内被告に禁固八月、執行猶予三年(求刑禁固八月)の有罪判決を言い渡した。事件では元院長ら計四人が起訴されたが、判決は初めて。

 小倉裁判長は事件について、「被害者に血液凝固防止剤を点滴する際、亀井被告は消毒液と間違えて準備し、丹内被告は準備された薬剤の確認を怠って点滴して被害者を死亡させたという二被告の過失が重なって引き起こされた」と認定した。

 その上で、「基本的な注意義務を怠り、信頼していた看護婦による誤薬投与のため、突然苦しみに襲われ、命を落とした被害者の無念さは察するに余りある。被告の刑事責任は重大」と批判した。

 弁護側は「病院側の誤薬事故は繰り返されてきたのに対策が不十分で、個人的な単純ミスと片づけてよいものでない」と指摘していたが、判決は「医師から投与を指示された薬剤を取り違えないことは、いついかなる場合においても看護婦の患者に対する基本的な義務であり、怠ることの許されない義務といわなければならない」とした。

 執行猶予を付けた理由にでは「ただちに自らの薬剤取り違えに気づき勇気を出して応急措置中の医師に告白した」「深く反省している」などと述べた。

 判決によると、亀井被告は、手のリウマチの手術後に入院中だった永井さんに投与予定の血液凝固防止剤が入った注射器を、別の患者用の消毒液の入ったものと表示し、間違えて病室に準備。これを丹内被告が確認せず永井さんに投与した。

 事件では看護婦二人のほか、元院長の岡井清士被告(六五)と元都衛生局病院事業部副参事の秋山義和被告(五二)が、永井さんの遺体に異常を認めたのに医師法に定められた二十四時間以内の警察への届け出を怠り、ミスを隠したなどとして医師法違反などの罪に問われ公判中。二人とも無罪を主張している。

 今村皓一・東京都衛生局長の話 「判決は厳粛に受け止゚ている。この事故を貴重な教訓として、二度と起こさぬよう、全都立病院をあげて医療事故予防に努め、信頼回復に全力をあげていきたい」

 被害者の夫、永井裕之さん(五九)の話 「看護婦の基本である確認ができていなかったという判決内容や量刑は妥当と思う。東京都や広尾病院をはじめ全国の病院は判決にこたえ、看護婦の仕事のための環境づくりをすることも必要。二人が今後、看護婦として頑張ってもらうために、周りが彼女たちを支援してほしい」

厚生省、事故起こした3病院に「注意処分」

2000.12.20(18:22)asahi.com
 厚生省の医療審議会部会は20日、患者を取り違えて肺を切除する事故を起こした筑波大病院、脳外科手術中に血管に空気が混入する事故があった名古屋市立大病院、輸血ミスで患者が死亡した三重大病院を「注意処分」とする方針を決めた。3カ月以内に改善計画の提出を求め、さらに半年後に実施状況を聞き取りして点検する。患者を取り違えて心臓と肺を手術し、「特定機能病院」の承認を返上していた横浜市立病院に対しては、事故後の教育、研修強化などの対策を評価し、再度承認することにした。来年1月1日から同病院の診療報酬加算が認められる。

 同部会はまた、人工呼吸器の装着を誤った神戸大病院と注射する薬を間違えた日大板橋病院については「問題がなかったわけでないが、組織的責任は乏しい」として1年後に改善状況の報告を求めるにとどめた。

 患者取り違え以外にも2件の事故が発覚した筑波大に対しては、「院内で以前から事故分析して教訓を共有していれば、新たな事故はなかった」と指摘した。

 高度な医療を担うと厚相が承認する「特定機能病院」をめぐっては、事故などが起きた場合に承認取り消し以外の処分規定がなかった。このため、同部会は新たに事故を4段階評価して厚生省が行政指導する仕組みをつくり、公表することにした。

体内にガーゼ置き忘れミスも/高岡市民病院

2000.12.16 The Sankei Shimbun
 医師がパソコン入力を誤り、患者に毒薬を注射する医療ミスが十一月にあった富山県高岡市の高岡市民病院(藤田秀春病院長)で昨年八月、県内の男性患者の腹部手術の際、体内にガーゼを置き忘れるミスがあったことが十六日、明らかになった。この男性患者が今年十月、腹痛を訴え来院したことから、ガーゼの置き忘れが分かり、再手術して取り除いた。手術後の経過は順調だという。

 高岡市民病院は「手術後、ガーゼの枚数をチェックしたが、なぜか数が合っていたため、置き忘れに気付かなかった。患者の要望があったため、公表しなかった」と説明している。

医療訴訟で対立した相手招き研修会 大阪・枚方市民病院

2000.12.15(17:04)asahi.com
 医療過誤で10年も対立し続けた相手を招き、裁判で敗訴した側の市民病院が研修会――。乳がんではない患者の乳房を切除するなどの問題が起きた大阪府枚方市の市立枚方市民病院(山城國暉院長)で14日、こんな「異例」の会合が開かれた。信頼を回復するには、患者や遺族の声にもっと耳を傾ける必要があるという院長の発案。市民参加の監視機構を設置することを表明するなど、新しい病院の姿を模索する試みだ。

 「医療事故防止対策講演会」と題した職員研修会に招かれたのは、医療事故の防止に力を入れている大阪府八尾市の森功・八尾総合病院長と、京都府木津町の高校教諭、勝村久司さん(39)、理栄さん(39)夫妻。

 理栄さんは10年前、この枚方市民病院で十分な説明のないまま陣痛促進剤を服用し、長女星子ちゃんを失った。市側を訴えた裁判で、昨年3月に勝訴した。

 今年6月、医療過誤や記録の改ざんなどの不祥事が発覚したのに加え、前院長が収賄で起訴されるなど病院は大きく揺れた。

 山城院長は、研修会の講師を依頼した森さんから、勝村さんを招いてはどうかと勧められて迷った。病院幹部には、いまでも原告の名前を聞くだけで、顔をしかめる人もいるからだ。「人に相談すると動きが取れなくなる」と、独断で招くことを決めたという。

 病院職員の4割の医師や看護婦らが参加するなか、久司さんは「病院をどう変えていくのか、ここからが、私たちが子どもから与えられた宿題のスタート。自分たちの病院で何が起き、どう改善していくのか考えてほしい」と訴えた。

心臓手術で針を体内に置き忘れ 富山医科薬科大付属病院

2000.12.11(19:04)asahi.com
 富山市の富山医科薬科大付属病院が7月に女児の心臓手術をした際、体内に縫合用の針を置き忘れていたことが11日わかった。針は再手術ですでに摘出され、女児は現在、通院しながら投薬治療を受けているという。記者会見した小林正院長は「あってはならないことで反省している。患者は順調に回復しており、再手術の影響はなかったと思うが、今後は手術中の針の管理を徹底したい」と謝罪した。

 同病院によると、術後の不整脈に対応するため、ペースメーカーワイヤを女児の右心房に取り付けた。8月初め、ワイヤを取り除いた後のレントゲン写真で、心臓の裏側に1本の針(長さ13ミリ)が残っていることが判明。翌日、女児と家族に説明して謝罪し、再手術で針を取り出した。女児は10日後に退院した。

 最初の手術後にレントゲン写真を撮っていたが、ワイヤと見分けがつかず、見逃していたという。病院側は当初から針の紛失に気づいていたが、「体内に残っているとは思わなかった」としている。

 公表が遅れたことについて、小林院長は「公表を控えてほしいという患者側の要望が強かったため」と説明した。

パソコン入力ミスで毒薬投与、患者死亡 富山・高岡市

2000.12.03(12:50)asahi.com(時事)
 富山県高岡市の高岡市民病院(藤田秀春院長)で11月下旬、肺炎のため入院していた同県小杉町の男性(48)が、誤って毒薬に指定されている薬品を投与され、約1週間後に死亡していたことが3日までに分かった。医師がパソコンを使って投薬を指示する際、本来の注射薬剤とは違う毒薬を選択し、薬剤師や看護婦もミスに気付かなかった。藤田院長は「医師の過失は間違いないが、誤った薬剤注射と死亡の因果関係はない」と話している。高岡署は業務上過失致死の疑いがあるとみて、関係者から事情を聴いている。 

中1男子、手術ミスで植物状態に 大阪・箕面市立病院

2000.11.28(23:24)asahi.com
 大阪府箕面市の箕面市立病院(岩田吉一院長)で1989年、虫垂炎(盲腸)の手術を受けた中学校1年生の男性患者が植物状態になる医療ミスがあり、大阪簡裁で同市が遺族に約1億円を支払う調停が成立した。同市が28日、発表した。患者は97年に死亡した。病院側は、執刀した研修医が鎮痛剤や鎮静剤を多めに投与したことで呼吸停止を招いたうえ、気づくのに遅れたことが原因、と説明している。

 病院側の説明によると、患者は89年5月15日深夜、腹痛で同病院に入院。同16日未明、盲腸の緊急手術を受けた。執刀した研修医(当時26歳)と指導役の医師(同29歳)は、患者が過度に緊張していると判断し、すでに下半身麻酔をしていたが、「念のため」と鎮痛剤と鎮静剤を投与した。16分後、盲腸を切除した段階で呼吸が止まっていることに気づき、人工呼吸器をつけるなどしたが、植物状態になったという。

 病院側は、患者に成人に対する上限量の鎮静剤と鎮痛剤を投与したため、麻酔との相乗効果で呼吸停止になった、と説明。「経験不足の若い医師だったため、手術で頭がいっぱいになり、患者の観察を怠った。深くおわびしたい」としている。

 遺族と病院は94年から示談交渉を開始。昨年10月、遺族側が調停申し立てをし、今月27日に成立した。

10倍の薬を乳児に調剤 琉球大病院

2000.11.27 The sankei Shimbun
 沖縄県西原町の琉球大病院(金沢浩二院長)で今月二十二日、気管支炎のため夜間救急で来院した乳児に対し、医師の処方量の十倍に相当する薬を誤って調剤する医療ミスが起きていたことが二十七日、分かった。同病院が記者会見で明らかにした。

 この患者は二十四日に入院したが、中毒症状や後遺症などはなく、翌二十五日に退院したという。

 病院側はこの日、厚生省や県に医療ミスを報告。病院内の対策委員会で担当薬剤師の処分を検討する。

 ミスの原因について、病院側は「薬剤師が薬の成分含有量を勘違いしていた。再発防止策を早急に検討したい」としている。

 同病院によると、当直の薬剤部副部長が二十二日午後八時ごろ、気管支炎で来院した乳児に、ぜんそくなどの治療に使われるテオドールを小児科医師の処方の十倍分を調剤。別の医師が二日後の定期監査でミスに気付いたが、患者は既に三回分を服用していた。

 患者を検査した結果、薬剤の血中濃度が通常の二・五倍に達し、脈拍も速かったため、経過観察で入院。翌日には正常に戻った。

 副部長は勤続三十年のベテラン。薬剤部には全部で十七人の薬剤師がいるが、午後五時半から翌朝八時半までは一人体制で、本人が十分に確認する以外にミスを防ぐ方法がないのが実情という。

 病院側は「確認作業は徹底しているつもりだが、一人当直は忙しく患者から薬をせかされることも。無理があると分かれば増員を検討したい」としている。

鎮静剤投与を原因と認定、都に患者らへの賠償命令

2000.11.24(23:26)asahi.com
 「医師から鎮静剤の投与を受けて植物状態となった」として、東京都立墨東病院の神経科に入院した都内の男性(36)とその家族が、都を相手に約1億6200万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は24日、男性側の訴えをほぼ認め、都に約1億4700万円の支払いを命じる判決を言い渡した。小磯武男裁判長は、鎮静剤の投与が「通常の用法を大きく逸脱していた」とし、「医師が投与後に十分な経過観察をとらなかった」と述べた。

 判決によると、精神病治療のために入院した男性は1995年2月、医師の診察後に2種類の鎮静剤を投与された。約35分後に看護士が確認した時は問題なかったが、約1時間15分後に医師が巡回したところ、呼吸、心拍が停止しており、そ生されたものの、意識が戻らない状態が続いている。

 小磯裁判長は、鎮静剤の併用投与が原因だったと認定。「副作用は必ずしも投与直後に発現するとは限らず、約2時間は心電図モニターを装着して常時、経過観察する義務があった」と述べた。

 そのうえで、「30分から40分間隔で巡回して経過観察しており、適切だった」とする都側の主張について、「精神科における一般的慣行だった」としたものの、「精神科救急医療の中心的存在に位置づけられる病院の医師に要求される医療水準に基づいた注意義務を尽くしたとは言えない」と退けた。

 都衛生局は「判決の内容を検討したうえで対応を考えたい」と話している。

血液製剤による免疫不全訴訟で病院に損害賠償命じる判決

2000.11.17(21:18)asahi.com
 心臓手術後に移植片対宿主病(GVHD)と呼ばれる免疫不全で死亡したのは、手術中に使われた血液製剤が原因だとして、患者の遺族が製造元の日本赤十字社(東京都港区)と神奈川県鎌倉市の民間病院を相手取り、約6900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、横浜地裁であった。大和陽一郎裁判長は「輸血について注意義務があった」として、病院に対し約5000万円の支払いを命じた。日赤については「過失はない」とした。

 輸血によるGVHDは、1980年代になって、心臓外科手術で多発していることがわかり、日本輸血学会は92年、輸血用血液のリンパ球を不活性化するために放射線を照射する指針を出した。

 訴えていたのは、翌93年12月に鎌倉市の民間病院で心臓手術を受けた直後にGVHDで死亡した横浜市の男性(当時65)の遺族で、「学会の指針がすでに出ていたのに、日赤や病院はそれを怠った」と主張していた。

つい間板ヘルニア手術で血管破れ女性が失血死 茨城

2000.11.17(21:28)asahi.com
 茨城県玉里村の民間病院「石岡脳神経外科病院」(小林博雄院長)で、腰ついのつい間板ヘルニア手術を受けた同県麻生町の女性(60)が、手術中に腹部大動脈を傷つけられ、それによる出血が原因で死亡していたことが17日わかった。16日に同病院から連絡を受けた同県警石岡署は業務上過失致死の疑いがあるとみて調べている。

 同病院によると、この女性は腰ついのつい間板ヘルニアとせきつい管狭さく症などで10日に入院。14日午前11時半ごろから、副院長(62)の執刀で手術を受けた。

 手術中、背中側から腰ついのつい間板などの一部を切除した直後に血圧が急に低下し、腹部が膨らむ異常が認められたため手術を中断。開腹手術をしたところ、初めに手術した腰ついの近くを走っている大動脈の分岐部が断裂し、出血していることがわかった。この断裂部分をすぐに縫ったが、女性はその後血圧低下と腎不全になり、15日午後8時に死亡したという。

 小林院長は「血管を傷つけたとは気づかなかった。この血管は通常の手術ではメスやかん子が届かない位置にあるため、なぜ出血したかわからないが、手術中の操作で傷つけたのは確かだ」と、医療事故であることを認めている。

脳に気泡で障害残る 東北大病院、女子高生の心臓手術中

2000.11.16(03:12)asahi.com
 東北大医学部の付属病院(仙台市青葉区)で昨年4月、同市内の当時高校3年生の女性(19)に心臓につながる人工血管を交換する手術をした際、気泡が脳に入り、女性が脳こうそくを起こして一時重体になっていたことが15日、分かった。女性はその後、頭部の切開手術を受けるなどして意識は戻ったが、手足の一部がまひするなどの障害が残り、高校も中退した。女性の家族が書面での謝罪や補償の確約を求めているが、病院側は「ミスかも知れないがミスでなかったかも知れない。訴訟になってミスと認められれば、それ相応の補償はする」としている。

 女性側の弁護士が今年6月、カルテなどの証拠保全を仙台地裁に申し立て、地裁は7月、保全を決定した。

 そのカルテなどによると、女性は生まれつき心臓に疾患があり、ペースメーカーを埋め込むなどの手術を受けてきた。脳に気泡が入って重体となった人工血管の交換手術は昨年4月6日に同病院で行われた。2回にわたって頭部の切開手術などを受け、意識は戻ったものの、手足の一部のまひと知的障害も残り、現在も月2回、リハビリテーションを続けている。

 病院は手術の際、女性の心臓を一時停止させ、代わりに血液を循環させる人工心肺装置を使った。気泡が入った原因について、病院側の資料は「体外循環(人工心肺装置)のトラブル」「左大腿(だい・たい)動脈の送血から空気が送られ、脳の動脈に流れ込んだためと考えられる」などと記している。

 女性側の弁護士は、人工心肺装置は本来空気が入らない仕組みで、あってはならない初歩的ミスだったと指摘した上で、「ミスは明白なのに、何度交渉しても原因を明確に説明しようともしない。訴訟にならない限り原因を明らかにして責任をとろうとしないことは許されるのか」と病院側の対応を批判している。

薬を10倍投与し、女児が一時こん睡 会津若松

2000.11.15(19:49)asahi.com
 福島県会津若松市内の薬局で渡された抗けいれん剤を飲んだ同県内の女児(6つ)が、一時こん睡状態になって入院していたことが、15日までに分かった。薬剤師が病院からの処方せんを見誤り、指示された量の10倍の薬を調剤したという。女児は回復したが、薬局側がミスを認め、女児の両親に謝罪した。

 処方した同市内の病院によると、女児はけいれんを起こしやすいことから、通院していた。10月11日、家族が担当医師からの処方せんを薬局に渡し、薬を受け取った。同日夜に飲ませたところこん睡状態となったため、翌朝、この病院に入院した。女児は数日で退院したが、血液検査で調剤ミスが分かった。

 女児が処方された抗けいれん剤「アレビアチン」は「フェニトイン」という成分を含み、劇薬に指定されている。多量に服用すると、こん睡状態などを引き起こし、呼吸障害で死亡することもあるという。

子宮手術で体内にガーゼ置き忘れ

2000.11.11 The Sankei Shimbun
新潟県立がんセンター

 乳がんの手術の際、女性患者の左右の乳房を取り違えて切除するミスを起こしたことが発覚したばかりの新潟県立がんセンター新潟病院(新潟市川岸町、栗田雄三院長)で一九九六年十一月、同県内の女性患者(50)への子宮摘出手術で、体内にガーゼを置き忘れる医療事故があったことが十一日、分かった。

 その後、女性が痛みを訴えたことからガーゼの置き忘れが分かり、手術で除去。女性側は補償を求め、病院側と和解交渉、九八年十一月、約六十六万円を支払うことで示談が成立したという。

 新潟県病院局によると、九六年十一月十八日、子宮筋腫(しゅ)にかかったこの女性が同病院産婦人科で子宮を摘出、十日後に退院した。しかし九八年三月、女性が腹部に痛みを訴えたため、同病院が調べたところ、体内にガーゼが見つかった。女性は整形外科でガーゼの摘出手術を受け、約十日後に退院したという。

 公表しなかった理由について、県は「公表基準がなく、女性本人が望んでいなかったため」と説明している。

 栗田院長は「今後こうした事故がないように管理体制を徹底したい」と話している。

体内にガーゼを置き忘れも 乳ガン手術ミスの新潟の病院

2000.11.11(03:03)asahi.com
 乳がん患者の健康な方の乳房を間違えて切除していたことが明らかになった新潟市の新潟県立がんセンター新潟病院(栗田雄三院長)で4年前、40代の女性の子宮摘出手術で体内にガーゼを置き忘れていたことが、10日分かった。同病院はガーゼを取り除く手術をし、女性患者に約66万円を支払って示談が成立した。同県は女性患者の希望もあって事実を公表しなかったとしている。

 同病院によると、女性患者は1996年11月に産婦人科で子宮筋腫と診断されて摘出手術を受け、同月退院した。98年3月になって痛みを訴え、同病院で診察を受けたところ、ガーゼが体内に残っていたことが分かった。

 同県は7日に明らかになった乳房の切除ミスも事実を公表しておらず、重大な過失があった場合は公表を原則とすることを決めたばかり。新潟県の三島直樹・病院局長は「基本的なミスを犯したのは極めて遺憾で申し訳ない。医療事故が多発する現状を早急に改めるよう検討したい」と話している。

左右の乳房取り違え乳がん手術 新潟の県立病院

2000.11.06(22:05)asahi.com
 新潟市の新潟県立がんセンター新潟病院(栗田雄三院長)で1998年8月、60代の女性の左乳房にできた乳がんを摘出する際に主治医(59)が間違って右乳房を切除していたことが7日わかった。主治医は右乳房を切除した後、間違いに気づいて家族と相談し、改めて左乳房も切除した。

 同病院は本人と家族に謝罪し、昨年5月に見舞金500万円を支払って和解した。新潟県病院局は同年3月10日付で主治医と栗田院長を文書訓戒処分に、執刀に立ち会った当時の外科部長(45)を口頭訓戒処分にした。病院局は「女性の家族から公表しないでほしいと求められたため、これまで明らかにしなかった」と説明している。

 同病院や県などによると、主治医が女性のカルテに左右を間違って記入していたため、手術伝票にも右乳房を切除するように記入。手術前日に別の医師が間違いに気づいて看護婦に連絡したが、引き継ぎが十分でなかったために指摘が伝わらず、そのまま手術が行われた。

 栗田院長は「あってはならないことで、申し訳なく思っている。現在はチェック体制を強化して万全を期している」と話している。

 同病院では昨年11月に院内での集団結核感染が明らかになり、入院患者5人が死亡している。

横浜市大病院で取り違え手術事件の患者が死亡

2000.11.06(20:20)asahi.com
 横浜市立大付属病院(松原升院長)で昨年1月に起きた手術患者の取り違え事件で、同病院は6日、肺の手術をするはずだったのに誤って心臓の手術をされた男性(86)が4日に肺の病気のため同病院で亡くなった、と発表した。病院は「患者の死亡と取り違え事件の手術は関係ない」としている。誤って肺を手術された心臓病の患者も昨年10月に胃がんで亡くなっている。

 病院によると、男性患者は昨年4月、本来受けるはずだった右肺の一部を切り取る手術を受け、同6月に退院した。しかし、今年の6月になり肺の病気が悪化し、再入院していた。

 病院は「誤って手術した心臓はその後問題はなく、元々悪かった肺の病気が再発して亡くなった」としている。

 この男性患者は今年5月、市が損害賠償金250万円を支払うことで市と和解していた。病院は現在取り違えられたもう一人の患者の遺族と損害賠償の交渉をしている。

 取り違え事件では、担当の医師や看護婦ら18人が業務上過失傷害の疑いで書類送検、6人が起訴されている。

投薬・血液型間違い、3件続けて医療ミス 愛知の病院

2000.11.04(14:08)asahi.com
 愛知県岡崎市の岡崎市民病院で、投薬ミスや移植手術の際に血液型を間違えるなど今年6月と7月に計3件の医療ミスがあったことが、3日わかった。いずれも大事に至らなかったが、病院側では、患者や家族に謝罪する一方で、石井正大院長が全職員に、意識改革を求める注意啓発文書を配布し、再発防止を促したという。

 病院側の説明によると、最初のミスは、6月中旬に早産しそうになった患者への薬の投与の際に起きた。患者が痛みを訴えたため、医師が診察し、子宮弛緩剤(しかんざい)の処方を看護婦に指示、看護婦はコンピューター端末を使って薬局に注文したが、薬品の名前を取り違えて子宮収縮剤を注文してしまった。担当医師も当日は患者が多く、最終確認を怠ったまま投与、患者の痛みが治まらず、4日後に帝王切開で出産したという。

 また7月中旬には、緑内障の患者の手術をする際に、眼圧を下げる薬を点眼するところを、眼圧が上がる可能性がある薬を点眼してしまった。当日は、白内障と緑内障の患者計4人が手術をする予定だったが、白内障の手術機器が故障したため、最後に手術予定だった緑内障の患者を先に手術しようとして、薬を取り違えたらしい。

 もう1件は同月下旬、慢性腎不全の男性患者に母親から生体腎移植をしようとした際、「血液型は同じ」という母親の言葉を信じ切っていた医師が、カルテなどで実際には異なる血液型を確認せずに手術をしようとした。この時は、麻酔担当医師が気づいて、手術は中止となった。

 石井院長は、「ご迷惑をかけ申し訳ない。ミスを分析しマニュアルの見直しが当然必要になるが、それだけではうっかりミスはなくならないのが悩ましい。職員には、マニュアルのダブルチェックなど緊張感をもってほしいという気持ちで文書を出した」と話した。

血管内にカテーテル残す/横浜市大病院

2000.11.01 The Sankei Shimbun
 昨年一月に手術患者取り違え事故があり、その後もミスが明るみに出ている横浜市大病院(横浜市金沢区)で、手術時に患者の血管内に差し入れたカテーテルを医師が抜き取る際、途中で切れたことに気付かず、一部を心臓のそばに残していたミスが計二件あったことが一日、同病院の市議会への報告で分かった。

 患者は、一九九五年五月に両足を手術した四十代の女性と、九七年六月に消化器を手術した七十代の男性。放置すれば肺動脈が詰まり、生命の危険もあったが、職場の健康診断などで偶然見つかり、二人とも昨年、再入院して取り除いた。

 後遺症はなく、女性は現在も健康だが、男性は今年三月に別の病気で死亡したという。

 記者会見した松原升病院長は「ミスが判明後、本人と家族に謝罪した。家族の意向もあり公表していなかったが、安全管理の強化に必要と考え、公表することにした。隠していたわけではない」などと話した。

 病院側の説明によると、患者は二人とも手術中、心臓の静脈を監視するため、直径約一ミリのポリウレタン製のカテーテルを、首の静脈から心臓の右心房付近まで約十五センチにわたって差し入れていた。

 カテーテルを首の皮膚に縫い付けた糸をはさみで切る際、誤ってカテーテルも切ったとみられる。残ったカテーテルは血流に乗って心臓を通過。発見時は肺動脈に達していた。

 女性の手術は第一外科の医師四人で、男性は第二外科の五人で担当。ミス判明後の内部調査でも、ミスの当事者は特定できなかったという。

医療事故増えても…改善進まぬ「ナースのお仕事」/10月以降、夜勤回数横ばい

2000.10.30 The Sankei Shimbun
 看護婦の夜勤回数は、三交代制の病院では平均月七・六一回で、平成十年から三年間、ほぼ同じ水準にあることが三十日までに、日本医療労働組合連合会(医労連)の実態調査で分かった。医労連は「医療事故が相次いでいるのに、看護婦の労働環境の改善は足踏みしている」と分析している。

 調査は今年六月の勤務実績について、五百四十二施設の看護婦約七万六千人分をまとめた。

 それによると、三交代制の病棟での平均夜勤回数は月七・六一回。昭和六十一年の八・八回から減少傾向が続いていたが、平成十、十一の両年はいずれも七・六三回で、横ばい状態になっている。また、平成四年に制定された看護婦確保法に基づく基本指針で、夜勤は月八回以内とされているが、今回の調査でも月九回以上の看護婦が二〇・一八%いた。

 一方、百床当たりの看護婦数は四六・一四人で、平成九年以降、ほとんど増えていない。医労連は背景に、「最高で二床当たり看護婦一人」となっている診療報酬上の配置基準があるとみて、「医療の高度化などで看護婦の労働は一層過密化しており、配置基準の大幅な引き上げが必要だ」としている。

酸素の管外れ植物状態に 富士吉田市の病院

2000.10.28(03:02)asahi.com
 山梨県富士吉田市の富士吉田市立病院(高木淳彦院長)で、今年8月、入院していた50代の男性患者の気管に酸素を送るチューブが外れ、植物状態になっていたことがわかった。首の中の中枢神経であるけいずいを損傷した患者で、気管切開の手術をした翌日、体位を変えたときにチューブが外れ元に戻すのに8分かかったという。病院が市に報告したのは、事故から2カ月半以上たった今週初めになってからだった。

 病院側の説明によると、この男性患者は7月24日に事故にあって、運び込まれた。けいついが圧迫され手足がまひしていた。意識はあったが、8月1日、酸素を吸入するための気管切開の手術をした。その翌日、レントゲンを撮る際、医師2人と看護婦2人の計4人が病室でたんを出やすくするための体位変換をした際、チューブが外れたという。

 チューブが外れたことにはすぐ気が付いたが、長さ約2センチの切開跡に入れるのに手間取ったという。男性患者がけいずいをいためていたため、首を固定する装具をつけていて首を動かせない状態だったという。チューブが外れると、全身が低酸素状態になり、脳がダメージを受けるという。

 患者は最近になって転院したが、高木院長は市への報告が遅れた理由について、「すぐに報告しなかったのは認識が不足していた。家族に誠意をもって対応したい」と話している。

約200件中患者側勝訴は2件 国立病院の医療過誤訴訟

2000.10.24(19:42)asahi.com
 国立の大学病院などの医療機関の医療ミスをめぐって患者や遺族が国を相手取り、賠償を求めている訴訟が1995年以降に計199件あり、そのうち4分の3がなお係争中で、患者側の勝訴で確定したのは2件しかない――そんな患者側に不利な医療過誤訴訟の傾向が、24日の閣議で了承された政府の答弁書で明らかになった。国立の医療機関の訴訟の概要が公表されたのは初めて。

 質問したのは保坂展人代議士(社民)。厚生、文部、郵政省などが所管する370の医療機関の訴訟状況をまとめた。提訴件数は95年29件、96年30件、97年36件と増え、98年27件と減った後、99年に49件にのぼった。今年は8月末までに29件。

 患者側の勝訴が確定したのは、▽出産時に適切な処置を怠ったため乳児に脳性まひなどの障害が残った(国立岩国病院)▽手術の際、電気メスでやけどを負った(広島大)の2件。和解は25件あった。逆に患者側が訴えを取り下げたり、敗訴が確定したりしたのは25件だった。係争中は148件。うち7件は一審で病院側の過失が認められたが、控訴などで二審で審理が続いている。

 95年に起こされた29件に絞っても、3分の1の10件が今も係争中だ。国立西埼玉中央病院で重症の仮死状態で生まれた男児がまもなく死亡したケースなど4件は、一審判決さえ迎えていない。和解した大分医科大付属病院と患者の訴訟も今年2月に協議が成立したばかり。96年の提訴分も半分近い16件が係争中だ。

 訴訟を病院ごとにみると岡山、東京、防衛医科の3大学付属病院が各7件。国立札幌病院、神戸大付属病院が各6件だった。原因は手術にかかわるものが目立ち、4割近くを占めた。

 ◆医療過誤訴訟に詳しい内田剛弘弁護士の話

 医療過誤訴訟は密室での医療行為の過失を、原告が立証しなければならない。勝つのはかなり困難で、勝訴確定の少なさは予想された結果だ。5年以上の裁判も珍しくない。問題は病院側の情報独占にある。カルテの確保に数十万円かかることもあるなど、提訴の大きな壁となっている。訴訟件数は医療過誤の氷山の一角だろう。

新生児死亡めぐり産婦人科診療所に賠償命令

2000.10.23(20:15)asahi.com
 出産直後の新生児が仮死状態になって死亡したのは医師が十分な蘇生(そせい)措置をしなかったからだなどとして、東京都内に住む新生児の父母が都内の産婦人科診療所を相手に7200万円余の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は23日、約4500万円を支払うよう診療所側に命じる判決を言い渡した。丸山昌一裁判長は「自発呼吸が見られない新生児に濃度の高い酸素を送る措置をしなかった医師に過失がある」と指摘した。

 新生児は1994年5月9日に仮死状態で生まれ、12日後に低酸素性虚血性脳症で死亡した。丸山裁判長は判決で、出産を担当した医師が蘇生措置を応援する別の医師が到着するまでの約45分間、酸素ボンベをつないで気管内に濃度の高い酸素を送る措置をせず、濃度の低い酸素を投与し続けたと指摘。「酸素ボンベをつなげば低酸素性虚血性脳症の状態に陥ることを防止することができた」と認めた。

三重大病院で輸血ミス、男性患者重体

2000.10.23 The Sankei Shimbun
 三重大医学部付属病院(川村寿一病院長)で二十二日未明、出血の続いた男性患者(79)に対し誤った型の血液を輸血、男性が重体になったことが分かった。病院側は二十三日夜、記者会見し、主治医による医療ミスだったことを認め、患者の家族に謝罪したことを明らかにした。

 同病院によると、男性は腹部の大動脈瘤(りゅう)で九月十三日に入院、二十日に手術した。術後、重症の肺炎などにかかり呼吸不全がひどくなったため、十月二十日に気管切開を行ったが、その後出血が続き輸血が必要になった。

 主治医は血液型がO型の男性をA型だと思い込み、A型の血液を取り寄せ、輸血する血液の型が適切かどうかを検査する交叉(こうさ)反応の結果も見誤り、男性に二十二日午前一時ごろ、A型の赤血球を四百ミリリットル輸血した。

 主治医らは輸血が終わった同日午前四時ごろに異変に気付き、止血などの処置を行ったが、患者は腎(じん)不全などで重体となった。

 川村院長は会見で「極めて初歩的なミス。再発防止に最善を尽くしたい」と述べた。

呼吸器付け間違いで女性患者死亡 神戸大学病院

2000.10.22(20:22)asahi.com
 神戸大学付属病院(神戸市中央区)で21日未明、人工血管の除去手術を受けた神戸市内の女性(64)が、呼吸困難を改善するための器具を誤って装着されたために酸欠状態になって死亡した。同病院は22日、記者会見して、医療ミスを全面的に認めて謝罪した。21日夜に同病院から事故の届け出を受けた兵庫県警生田署は、担当医らから事情を聴くなど、業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。

 同病院の説明によると、9月中旬、大動脈りゅう破裂のため女性に人工血管をつける手術をしたが、この血管が細菌に感染していることがわかり、10月20日から21日にかけて摘出手術をした。しかし21日未明、肺出血によって呼吸困難になったことから、呼気を一部せき止め、肺をふくらませて出血を少なくする「ピープバルブ」という弁を女性の麻酔器(人工呼吸器を内蔵)に取り付けた。この時、麻酔医が呼気側につけるべき弁を、誤って吸気側につけてしまったため、肺に酸素が十分に届かない状態になったという。

 執刀医らは2時間以上たってから、弁を間違えて取り付けたことに気付いたが、女性は同日午前4時40分ごろに死亡した。生田署が同病院で司法解剖したところ、死因は酸欠の可能性が強いことがわかった。

割りばし事故めぐり園児の両親が病院など提訴

2000.10.12(23:46)asahi.com
 東京都杉並区で昨年7月、綿あめの割りばしがのどに刺さって保育園児が死亡した事故をめぐり、両親が12日、「死亡したのは不十分な診察で、脳に刺さった割りばしを見落としたためだ」などとして、診察した杏林大医学部付属病院(東京都三鷹市)を経営する学校法人「杏林学園」と当直の医師(32)を相手に総額約8900万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

 提訴したのは、高校教諭の杉野正雄さん(49)と妻の文栄さん(43)。三男の隼三(しゅんぞう)ちゃん(当時4つ)は昨年7月10日午後6時すぎ、近所の盆踊り大会で、綿あめの割りばしをくわえたまま転倒。のどに傷を負い、救急車で同病院に運ばれたが、帰宅してから15時間後に頭がい内損傷で死亡した。解剖の結果、頭がい内からは7.6センチの割りばしが見つかった。

 訴状によると、診察した当直医は傷口に軟こうを塗り、薬を飲むことなどを指示しただけだった。診察時間も5分程度で、意識のないまま帰宅した。さらに、死亡後、病院側は、くも膜下出血や先天的な異常の可能性を示唆し、先例のない事故でCT検査をしなかったのもやむを得ない判断だった、と説明したという。

 両親は、子どもの事故は様々な可能性を考えて、必要な検査を迅速に行うのが不可欠▽同病院は特定機能病院で、高度の医療を提供することが義務づけられている▽医療機関は患者が死亡した経緯、原因について、遺族に適切な説明を行う法的義務を負っている――などと指摘している。

 この事故をめぐっては、警視庁荻窪署が今年7月、当直医を業務上過失致死の疑いで東京地検に書類送検している。

 提訴について、杏林学園広報室は「刑事事件が進行中で結論が出ておらず、何とも申し上げられない」と話している。

    ◇

 「生きていれば家族や友だちとにぎやかにすごしていたはずなのに……」。提訴後、会見した両親はそう言って唇をかんだ。隼三ちゃんの6回目の誕生日であるこの日を選んで提訴した。

 昨年の七夕の時、隼三ちゃんは「正義の味方になって悪いやつと戦いたい」と、短冊に書いてくれるよう文栄さんにせがんだ。事故はそれから間もなくだった。

 文栄さんは「早い段階で説明と謝罪があればここまで苦しみや悲しみと戦わずにすんだかもしれないし、民事訴訟を起こすこともなかった」と話した。

チューブの交換ミスで患者が重体に 都内私立病院

2000.10.07(03:04)asahi.com
 東京都内の私立病院で8月、看護婦が入院中の男性患者(76)の気管切開チューブの部品を洗浄する際、必要のないバルブを誤って取り付けた結果、患者がほぼ窒息状態に陥っていたことが6日、分かった。約50分後、見舞いにきた家族が異常に気づいたが、患者は脳の大部分に損傷を受けており現在も意識不明の重体だ。病院側は全面的にミスを認め、補償を検討している。病院から届けを受けた警視庁大森署は、業務上過失傷害容疑で捜査している。

 事故があったのは、東京都大田区の「城南福祉医療協会大田病院」(村岡威士院長、219床)。

 病院側によると患者は呼吸器系の病気で、開口部がある内筒つきの気管切開チューブを付けていた。この型の先端に「スピーキングバルブ」を付けると、気管を切開しても声を出すことができる。

 事故があった日は、20代の看護婦が内筒の洗浄を担当したが、消毒する間、代わりに開口部分がない型の内筒を付けた上でバルブを装着してしまった。この状態では患者は呼気を排出できなくなり、体内に二酸化炭素が充満、発見されたときは呼吸が停止していたという。

 病院側は事故後、院内に事故調査委員会を設け、原因を調べた。看護婦は調査に対し「前日から体調が悪く、交換後、患者が呼吸するのを確認しないで病室を離れてしまった」と話した。同病院はこの型のチューブを今年7月に導入したが、看護婦は扱いに慣れておらず、必要ないバルブを付けてしまったという。

 村岡院長は「人手が少ない日曜日、一般的ではない器具といった悪い条件が重なってしまったが、あってはならない事故で申し訳ない。補償など誠意をもって対応したい」と話した。

九大病院、抗がん剤誤投与 死亡患者と「因果関係ない」

2000.10.05(23:58)asahi.com
 九州大学医学部付属病院(福岡市東区、中野仁雄病院長)は5日、抗ウイルス剤を投与すべき男性入院患者に昨年8月、抗がん剤を誤って投与したと発表した。男性は退院後の今年3月に死亡したが、病院は誤投与との因果関係はない、としている。病院は家族に投与ミスを謝罪した。

 病院の説明によると、男性は1998年12月、白血病につながる恐れがある骨髄異形性症候群のため入院。99年8月から抗ウイルス剤の点滴治療を受け始めたが、看護婦が同室の別の患者の抗がん剤「イフォマイド」を誤って投与した。半日以上たって別の看護婦が気づき、点滴を取りかえた。主治医らはすぐ家族に謝罪したという。

 病院は副作用がないか経過観察した上で影響はなかったと判断、男性はその後退院した。男性は今年2月、腺(せん)がんが見つかり、がん性胸膜炎で死亡した。

 田中雅夫副院長は「抗がん剤の投与が腺がんにつながることはあり得ないので、死亡との因果関係はないと考えている。ただ、誤投与はあってはならないことで誠に申し訳なく思っている」と話している。

「死亡宣告に不備」 都立広尾病院が医療事故で報告書

2000.10.05(21:11)asahi.com
 東京都立広尾病院で昨年2月、誤って消毒液を投与された患者が死亡した事故で、都の都立病院医療事故予防対策推進委員会(委員長・矢野雄三都立大塚病院長)は5日、昨年8月の報告書では結論が出ていなかった死亡診断書の記載などに関する報告をまとめた。

 それによると、病院の死亡宣告の手順や方法が不備だったことは認めたが、死因が「不詳の死」と「病死」と異なる2つの診断書が存在することについては、刑事裁判が進行中であることを理由に結論を出さなかった。

体内に8年前の手術のガーゼ 静岡市立病院が患者に謝罪

2000.10.05(20:59)asahi.com
 8年前、静岡市の市立静岡病院(柳沼淑夫院長)で手術を受けた静岡県内の70代の女性の体内に、手術の際に使ったガーゼがそのまま残されていたことが5日、分かった。女性が今年8月に腰の痛みや発熱などを訴え、ほかの病院でレントゲン検査をした際に判明したという。市立病院は「精神的、身体的苦痛を与えたことを深くおわびする。社会的責任を感じる」と謝罪。女性は摘出手術を受け、すでに退院している。

 市立病院によると、女性は1992年春、市立病院で「腹部大動脈りゅう」の手術を受けた。手術は心臓血管外科の医師2人と看護婦数人が担当。止血などの目的でガーゼを20枚ほど使ったらしい。

 今年9月に別の病院で行った摘出手術で、8年前に受けた手術の際のガーゼが女性の骨盤内から3―4センチ四方の塊になって見つかった。連絡を受けた市立病院は、ミスを認めたうえで柳沼院長が女性に謝罪した。担当医師らの処罰は考えていないという。

骨髄移植で提供者からの採取ミス 琉球大病院

2000.10.03(21:39)asahi.com
 沖縄県西原町の琉球大学付属病院で9月下旬、骨髄移植の提供者(ドナー)から骨髄を採取したとき、腹部内に出血し、かなり大きな血腫(血液のかたまり)ができた。同病院と骨髄移植推進財団(日本骨髄バンク)が3日、明らかにした。ドナーは入院中だが、経過は良好という。

 出血の原因として、採取針が血管を傷つけた可能性も考えられるが、はっきりしていない。採取された骨髄は予定通り患者に移植された。

 骨髄バンクはこれまでに約2900例の非血縁者間の移植を仲介しているが、骨髄採取のあと血腫が見つかったのは初めて。海外では1例報告があるという。

 ドナーは9月下旬に入院。全身麻酔をして、約2時間かけて640ミリリットルの骨髄を採取した。麻酔から覚めた後、右足に痛みを訴えた。血液検査でかなりの貧血になっていることがわかった。まもなく腹部の痛みも訴えたため、腹部コンピューター断層撮影(CT)などの検査をした結果、腹部に血腫が見つかった。出血量は約1500ミリリットルという。

 骨髄バンクは同病院での採取業務を停止するとともに、全国の採取病院に対し、骨髄の採取にあたって、針を刺す場所や深さに十分注意するよう緊急安全情報を出した。また、仲介が進行中の約200件の移植について、ドナー候補者に今回の事例を説明し、再度同意の確認をするという。

 骨髄バンク企画管理委員長の小寺良尚・名古屋第一赤十字病院内科部長は「健康なドナーにあってはならないことで、原因を究明し、再発防止に努めたい。より十分なインフォームド・コンセントも必要と考えている」と話す。

手術ミス1100万円支払う/大阪市立大病院 首の副神経に傷

2000.9.21 The Sankei Shimbun
 大阪市立大病院(大阪市阿倍野区)で平成九年に、首の切開手術を受けた同市内の自営業の女性(五四)が執刀ミスで神経まひを起こし、大阪市が慰謝料や休業補償として千百万円を支払っていたことが、二十一日分かった。

 同病院によると、女性は九年五月、首にしこりを覚え、悪性腫瘍(しゅよう)の疑いから同病院で受診。組織検査のための切開手術で、病原菌によるリンパ節炎と判明した。

 その後、右腕が上がらないなどのまひ症状が出たため、女性は同病院に再検査を依頼、首の寳_経が傷ついていることが分かった。現在は完治しているという。

 今年四月、大阪府医師会の調停委員会は「医療ミスのために、二年七カ月にわたって、仕事を休まなければならなかった」などとして慰謝料などを算出。八月に女性に支払われた。

 大阪市立大医学部の藤堂久治庶務課長は「あってはならないことで誠に申し訳ない。今後も誠意ある対応に努めたい」としている。

手術ミスで死亡、遺族と示談 北海道・砂川市立病院

2000.09.19(21:40)asahi.com
 北海道砂川市西四条北2丁目の砂川市立病院(小熊豊院長)で、今年6月、腎臓の摘出手術を受けた女性(84)が執刀した医師の手術ミスにより、出血性ショックで死亡していたことが、19日分かった。病院は過失を認めており、今月下旬にも、遺族との間で1000万円を支払う示談が成立するという。

 同病院によると、死亡したのは、空知支庁上砂川町在住の女性。6月19日に、右腎臓が機能しない無機能腎と右腎臓結石の疑いで入院。女性の腎臓には、大量の膿(のう)がたまり、粘性の強い膿が大静脈にへばり付き、敗血症の恐れもあったことなどから、27日午後、副院長(59)が主治医となり、右腎臓を摘出して膿を取り除く手術をした。

 副院長は、大静脈にへばり付いた膿をはがそうとして過って大静脈を破ってしまった。女性は大量の出血を引き起こし、死亡した。翌28日、小熊院長らは遺族宅を訪れ、事故の経緯などを説明し、砂川署にも医療事故として届け出た。

 同病院の武田雅寛医事課長は「あってはならない医療事故を引き起こし、非常に申し訳ない」と話している。

帝京大病院で入院患者が失血死 警視庁が捜査

2000.09.14(23:20)asahi.com
 東京都板橋区の帝京大学医学部付属病院で、急性心筋こうそくで手術を受けた東京都北区の男性(71)が、太ももの動脈につながれた血圧測定用の管から大量に出血し、急死していたことが14日、わかった。病院からの通報を受けた警視庁板橋署が司法解剖した結果、死因は失血死と判明した。管と管をつなぐコックの異常が原因と見られ、同署は業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。同病院では昨年8月にも、点滴注射の直後に患者が死亡する事故があった。

 同病院などによると、男性は12日に同病院内科を訪れ、急性心筋こうそくと診断されて手術を受けた。手術後、集中治療室に入ったが、意識ははっきりしており、血圧と心拍数も安定していた。

 13日午前零時半に看護婦が点検した際は、管などの状態に異常はなかったという。1時にも同様の確認をした後、1時15分ごろ一般病室に移った。

 ところが1時50分ごろ、心電図モニターに変化があり、看護婦が駆けつけると、男性はすでにそう白で意識がなかったという。

 男性の太ももには、動脈に通した管が入っており、体外で二またに分かれる栓とつながっていた。その一方は血圧測定器に直結し、一方は血液が流れないようキャップで締められていた。発見時には、そのキャップがはずれており、血液が流れ出ていたという。

 すぐにそ生措置を施し、一時的に心拍は再開したが、3時50分ごろ死亡を確認した。

 男性は1989年から、糖尿病と高血圧症で月1回同病院に通院していた。

 同病院は「看護婦の巡視状況などは規定に沿っていたが、想定外の出来事で大変残念。原因は警察で捜査中だが、誤った医療行為が直接関与したものとは考えていない」とする佐藤友英病院長名のコメントを発表した。

筑波大付属病院を家宅捜索 患者取り違え事故で茨城県警

2000.09.11(23:24)asahi.com
 茨城県つくば市の筑波大付属病院(深尾立院長)が、患者を取り違えて肺の切除手術をした医療事故で、同県警捜査一課とつくば中央署は11日夜、同病院病理部の検査室など9カ所を、被疑者不詳のまま、業務上過失傷害容疑で家宅捜索し、患者のカルテなど約250点を押収した。同病院ではほかにも、抗がん剤の二重投与など医療ミスが相次いで明らかになっているが、これらについて捜査当局が強制捜査に踏み切ったのは初めて。

 患者取り違え事故が起きたのは、6月から7月にかけて。検査のため肺の感染症の患者と肺がんの患者からそれぞれ採取した組織を取り違えたため、7月4日に、感染症だった30代の男性患者に過って肺の除去手術をした。手術後、切除した部分の病理検査をしたが、がん組織が見つからず、間違いがわかった。

 県警は、事故が明らかになった8月4日から、深尾院長ら関係者から事情を聴いていた。

 家宅捜索を受けたことについて、深尾院長は「重く受け止めている。警察の捜査には全面的に協力していく」とのコメントを出した。

看護婦が幼児の指先をはさみで切断/茨城の筑波学園病院

2000.09.10 The Sankei Shimbun
 茨城県つくば市の筑波学園病院で七月、小児科に入院中の幼児の指に巻いたテープを取る際に、看護婦が誤ってはさみで指の先端を切断していたことが十日分かった。病院側は家族に事故を説明し謝罪。補償交渉を進めている。

 病院によると、点滴のため手の甲に刺した針を固定するため、指を伸ばした状態で板を手のひらを当て、手首から先をテープで巻いていた。七月十二日午前、汚れたテープを取り換えようと、看護婦がテープを切るためはさみを入れたが、誤って一本の指の第一関節から先をテープと一緒に切断してしまったという。

 看護婦は直ちに同病院の形成外科医らに連絡。指をつなぐ手術をしたが、静脈が細く成功しなかった。

居和雄病院長は「習慣的にはさみを使っていたが、テープをはがすのに刃物を使うこと自体が間違いだった。改善策を徹底したい」と話している。同病院は財団法人が運営する三百三十一床の総合病院。

茨城県が立ち入り検査 筑波大付属病院の医療ミスで

2000.09.08(19:34)asahi.com
 茨城県つくば市の筑波大付属病院(深尾立院長)で、悪性腫ようの幼児に医師が抗がん剤を過って2回注射した医療事故で、茨城県は8日、医療法に基づく同病院への立ち入り検査を実施した。同病院へは、患者を取り違えて別の患者に肺の切除手術をした事故で、8月9日に同県が立ち入り検査をしたばかり。

 8日は午後1時から、同県の担当者3人とつくば保健所の職員2人が同病院を訪れ、深尾院長ら関係者から病院の安全管理体制などについて事情を聴いた。

骨髄移植を緊急中止、検査で貧血見落とし 愛知医大病院

2000.09.08(21:22)asahi.com
 白血病の治療のため、健康な提供者(ドナー)の骨髄液を患者に移植する「骨髄移植」で、愛知県長久手町の愛知医科大学付属病院で今年7月、ドナー候補者が貧血で不適格なのを見逃し、移植を緊急中止していたことがわかった。移植を受ける患者への抗がん剤の投与などの前処置はすでに進められており、患者と新しいドナーとの調整が進められている。同病院と骨髄移植推進財団(日本骨髄バンク)が8日、厚生省で会見し、明らかにした。

 同バンクは1992年以来、約2800例の非血縁者間の骨髄移植を調整しているが、患者の前処置を始めてから、ミスで中止するのは初めてという。

 事態を重くみた同バンクは、同病院の採取施設認定を一時停止するとともに、全国117の採取施設に緊急安全情報を出すなど再発防止策を講じる。また、同病院は担当医の採取業務を停止し、マニュアルの徹底などの防止策を取る。

 同病院によると、このドナー候補者は昨年12月の検査は正常だった。7月末に移植を予定し、6月20日に再検査を受けた。このときの血液中のヘモグロビン値はドナー基準値を満たしていなかったが、担当医は昨年のデータのみを見て問題ないと判断した。

 7月14日、同バンクの指摘で担当医は6月20日のデータを点検、貧血であることがわかり、18日に同バンクに連絡した。同バンクの指示で以後の処置を中止したが、骨髄採取後の貧血防止のためのドナーの血液採取はすでに行われ、別の病院で移植を受けるはずだった30代の男性患者にも、17日から抗がん剤の投与などの前処置が始まっていた。

 同バンク理事の小寺良尚・名古屋第一赤十字病院内科部長は、「あってはならないミス。採取施設とバンク、移植病院の連絡態勢など、システムを引き締めていきたい」と話している。

気管切開ミスで女性患者死亡 秋田市立病院

2000.08.31(21:07)asahi.com
 秋田市立総合病院(鈴木行三院長)で今年5月、慢性呼吸不全の女性患者(当時63)が気管切開手術を受けた際、医師が人工呼吸器の管を気管に挿入するのに手間取ったため、急性呼吸不全で死亡していたことが31日、分かった。病院側は「当方のミスによる事故で、死ななくてもよかった方を死なせてしまった。患者やご家族に申し訳ない」と責任を認めている。

 同病院によると、この女性患者は10年前から呼吸器に疾患があった。かぜの症状を訴えて4月9日に入院し、呼吸しやすくするため、5月12日に病室で気管の切開手術を受けた。臨床7年の経験がある耳鼻いんこう科の医師(40)が執刀し、呼吸器科の主治医(32)や看護婦が立ち会った。

 手術は午後4時50分から始まり、のどを切り開いて気管に直径約1センチの穴を開け、それまで鼻から空気を送り込んでいた人工呼吸器の管を抜いた。ところが、気管の穴に人工呼吸器の別の管を挿入するのに手間取り、鼻に管を戻すなどしたが、手術開始から30―40分後に女性は意識を失い、午後6時7分に心停止した。

 病院側は「死因ははっきりしている」として警察には届けなかったという。

 管切開手術は呼吸を助けるために行うもので、病室でも可能な手術。

 女性の夫(67)は「医師の勧めで妻を説得して手術したのに、亡くなったのは納得がいかない」と話している。

秋田県大館市の市立総合病院で輸血ミス 患者気付き無事

2000.08.29(20:00)asahi.com
 秋田県大館市立総合病院(林進院長)で今月14日、看護婦が入院中の男性患者(47)に、別の患者用の赤血球製剤を間違えて輸血するミスがあったことが、29日分かった。輸血を始めた直後に、患者本人が輸血パックの色がいつものと違うのに気付いて自分でバルブを閉じ、指摘を受けた看護婦が針を抜いた。数CCが体内に入ったとみられるが、患者は輸血不適合の救急措置を受け、容体に変化はないという。

 病院の説明によると、輸血した看護婦は勤務歴が30年を超えるベテラン。ベッドに付いている患者の名前と血液型の確認や、患者の名前を呼んで確認するという病院の作業手順を怠っていたという。病院側は「改めてルールを徹底する」と話している。

都立駒込病院で女性死亡 人工透析の針で動脈傷つける?

2000.08.28The Sankei Shimbun
 東京都立駒込病院(文京区)で、入院していた女性患者が動脈に傷を付けられたため、失血死した疑いの強いことが二十八日、分かった。警視庁駒込署は医療ミスの可能性もあると判断、業務上過失致死の疑いで女性の司法解剖を行うとともに、関係者から事情を聴いている。

 死亡したのは、足立区六月の女性(七八)。今年六月下旬から駒込病院の整形外科に入院したが、腎臓(じんぞう)の機能が低下したため今月に入って腎臓内科に移った。

 男性医師(五六)が今月二十一日、人工透析のため女性の右太ももの静脈に針を刺そうとしたが、誤って動脈を損傷させた。医師は止血処置を施して当日の透析はいったん見送り、翌二十二日に女性の透析を行った。ところが、女性は翌々日の二十三日になって意識のレベルが低下。女性は二十五日早朝に死亡した。

 駒込病院では、動脈を傷つけた経過や右太ももに血腫がみつかったことなどから、動脈を損傷させた際の止血処置が不十分で、血液が漏れ続けていた可能性があると判断。変死として駒込署に届け出るとともに、都衛生局に報告した。

 同署で女性の司法解剖を行い、詳しい死因を調べている。

 駒込病院の乃村勝雄事務局長は「遺族には事情を説明した。万全の手は尽くした。死因がわからないので届け出た。警察の判断を待って対応を考えたい」とコメントしている。

87歳女性急死で点滴ミス認める 埼玉県・小林病院

2000.08.28The Sankei Shimbun
 埼玉県入間市の小林病院(小林良樹院長)に入院していた無職の女性(八七)が点滴を受けたあと急死した問題で、同病院は二十八日、記者会見し、胃に注入する栄養剤を誤って点滴したことを明らかにし、医療ミスを認めた。

 同病院によると、女性は肺炎の治療のため五月から入院。今月二十三日以降は胃に開けた穴に入れたチューブから栄養剤を注入、腕からは薬剤の点滴をしていた。しかし、担当の准看護婦(二一)が二十六日午後四時二十分ごろ、チューブを付け間違えて栄養剤を点滴したという。

過剰投与で一時意識不明 新潟・長岡の総合病院

2000.08.25(22:22)asahi.com
 新潟県長岡市の「厚生農業協同組合連合会長岡中央総合病院」(杉山一教病院長)で今年3月、同市内の女性(45)が医師の指示した量の10倍の鎮静剤を投与され、一時意識不明になっていたことが25日わかった。長岡保健所はこの女性から相談を受けながら病院側に事実を確認せず、放置していた。

 県医薬国保課によると、女性は3月15日に同病院の心療内科で診察を受けた際、医師が鎮静作用のある薬を250ミリグラム投与するよう指示したが、看護婦が誤って2500ミリグラムを点滴したという。女性は呼吸不全になり一時意識を失った。女性は8日間入院したが、今も突然意識を失うなどの後遺症があるという。病院側はミスを認め、謝罪している。

 女性は5月上旬、長岡保健所に相談したが、職員は事実を確認せず、県福祉保健部にも報告していなかった。同保健所は「どの医療ミスを県に報告するかの判断は保健所に任されているが、このケースはただちに調査をして県に報告する事故だった」としている。

乳児に抗生剤を過剰投与、指切断 筑波大病院

2000.08.25(16:39)asahi.com(時事)
 茨城県つくば市の筑波大学付属病院(深尾立院長)で昨年7月、入院中のゼロ歳の乳児が誤って通常の10倍の抗生物質を投与され、副作用で指が壊死(えし)し、5本の指すべてを切断する手術を受けていたことが25日、明らかになった。茨城県は同日、事実関係を確認するため職員4人を病院に派遣し、深尾立院長から詳しい状況を聴く。また、県警つくば中央署も業務上過失傷害の疑いで捜査に乗り出す。

 同病院では今年7月、肺がん患者を別の患者と取り違え、肺がんではない患者の肺の一部を切除する医療ミスを起こしている。 

医療ミスで患者が植物状態 東大阪市立病院/誤って睡眠導入剤を投与

2000.08.24The Sankei Shimbun
 大阪府東大阪市の市立総合病院(房本英之院長)で先月十六日夜、肺炎で入院していた東大阪市内の男性患者(61)に、看護婦が誤って睡眠導入剤を投与、患者が植物状態になっていることが、二十四日分かった。病院側が発表した。

 同病院によると、この患者は今年五月に肺炎で入院。人工呼吸器を付けていた間は不眠時に睡眠導入剤を使用していた。先月七日に呼吸器を外した後、呼吸不全になる可能性があるため医師が睡眠導入剤の使用を中止、カルテの指示簿ノ記載していた。

 十六日夜、患者から眠れないとの訴えを受けた看護婦が、七日以前のカルテを参考にし、使用中止を知らずに睡眠導入剤を投与。看護婦は五分間患者の様子を見た後に退室、三十分後に再び様子を見ると、患者は心停止していた。その後心拍は回復したが、意識は戻らず、植物状態になっている。

 病院側はミスを認め、家族に謝罪した。

 副院長が親族らと対応、今月十七日まで院長も事務局もこの事故を知らされていなかったという。

呼吸器はずれ男性死亡 宮崎の国立病院

2000.08.22 The Sankei Shimbun
 二十二日午前二時十分ごろ、宮崎県川南町川南の国立療養所宮崎病院(難波煌治院長)で、入院していた同県延岡市平原町の男性(68)の人工呼吸器が外れているのが見つかった。医師らが蘇生(そせい)治療したが、男性は約三時間後に窒息死した。

 高鍋署で病院関係者から事情を聴くなどして人工呼吸器が外れた原因を調べている。

 調べでは、同日午前一時半ごろ、当直の看護婦が男性の気道にたまったタンを取り除くためいったん呼吸器を外し、再度呼吸器を付け直した。その後、アラームが鳴り、異常に気付いた看護婦が駆け付けると呼吸器が外れていたという。

 男性は筋委縮性側索硬化症という難病で入院していたという。同病院は病床数約三百七十で、約三百人が入院している。

右足と左足の指を間違えて手術 青森・八戸市立市民病院

2000.08.21(20:42)asahi.com
 青森県八戸市の市立市民病院(中野盛夫院長)で、患者の右足と左足の指を間違えて手術するなどの医療事故が2件起きていたことが21日、わかった。

 同病院によると、整形外科で2月11日、20代の女性患者の足の指を矯正する関接固定手術の際、誤って手術の必要のない左足の同じ部分を手術した。

 当日は、別の患者の緊急手術が入り、執刀医が急きょ交代。引き継いだ医師が手術伝票の文字の「右」を「左」と読み間違えた。術後、患者側の指摘でミスに気づき、その日のうちに再手術した。

 また、耳鼻いんこう科では昨年4月2日、腫ようの診断のために40代の女性の右けい部リンパ節を摘出した際に、神経を傷つけた。女性は右腕が十分に上がらなくなるなどの後遺症が出たが、その後の治療やリハビリで回復しているという。

 中野院長は「どちらも言い訳ができない。処分も検討する」としている。

注射ミス、患者死亡

2000.08.17The Sankei Shimbun
日大板橋病院 心停止男性に降圧剤投与

 東京都板橋区の日本大学医学部付属板橋病院(岡田清己院長)で今月十一日、パーキンソン病の男性患者にブドウ糖を投与しようとした医師が誤って降圧剤を注射、患者が死亡する医療事故があったことが十七日、分かった。病院側は医療ミスを認めて患者の遺族に謝罪。遺族の了承を得て公表することを決め、警視庁板橋署にも届け出た。同署では業務上過失致死の疑いで調べている。

 関係者によると、患者は都内に住む男性(八九)。以前からパーキンソン病で日大板橋病院に通院していたが、七月三十一日に、同病院神経内科で重い肺炎を併発していると診断されて、入院していた。

 今月十一日未明、容体が急変、意識が亡くなり、血糖値が下がるなどして心停止。当直医が救命治療として、ぶどう糖を注射すべきところを、誤って別の患者のために看護婦が用意していた、血圧を下げる降圧剤を投与した。このため、男性は午前四時ごろ死亡したという。

 病院側では、同日正午過ぎには、医療ミスによる死亡であることを認めて男性の遺族に謝罪するとともに、警視庁板橋署に届け出た。翌十二日、同署により司法解剖が行われる一方で、病院側は厚生省、文部省、東京都に医療事故があったことを報告した。

 病院側は、遺族と相談のうえ、プライバシーを守ることを条件に、事故の公表について了承を得た。患者の葬儀が終わりのを待って公表する方針。

 日大広報部、石井宏部長の話 「病院側からは報告を受けた。患者とそのご家族には大変、申し訳ないことをしました。二度とこのような事故が起きないよう、病院側で今後の対策などについて検討することになると思います」

広尾病院でまた医療ミス/腎患者に不適当な睡眠導入剤投与、死亡

2000.08.14The Sankei Shimbun
 都立広尾病院(東京都渋谷区)で、腎(じん)機能が低下していた女性患者に睡眠導入剤が点滴され、死亡した疑いの強いことが十四日、分かった。点滴された睡眠導入剤は、腎障害の患者には効き目が強すぎるため、投与は不適当とされている。広尾病院では、女性患者が誤って消毒液を投与され死亡し、今年六月に元院長ら五人が医師法違反などの罪で起訴されたばかり。警視庁捜査一課と渋谷署では医療ミスの可能性があると判断、業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。

 死亡したのは、渋谷区恵比寿の主婦(三五)。

 調べによると、今月五日夕、主婦が自宅で意識を失いけいれんを起こしているのを夫(三一)が気づき、一一九番通報。救急車で広尾病院に運ばれた。主婦は薬物中毒や急性腎不全などで重症と診断され、緊急入院させられた。自宅の寝室から大量の錠剤の空き殻が見つかったことから、主婦が一度に飲んだとみられる。

 主婦は快方に向かっていたが十二日午前二時ごろ、「眠れない」と訴えた。

 看護婦が睡眠導入剤一ccを生理食塩水五〇ccで希釈して点滴した。それでも、主婦が眠れないと訴えたため、午前三時半ごろから再度、同じ量を点滴した。

 看護婦は別の仕事のため一時病室を離れたが、再び戻ると、主婦は意識不明になっており、間もなく死亡。病院側は同日、変死として渋谷署に届け出た。

 睡眠導入剤は腎障害の患者には効き目が強すぎるため、投与は不適当とされている。投与された量は通常なら「適量」だが、主婦は腎機能が低下していたため結果的に「過剰投与」となり死亡したとみられる。

 鈴木謙三院長(六二)は、「今回のケースは警察の判断にゆだねており、患者のプライバシーにもかかわるのでコメントできない。(前回の)事故以来、防止策に取り組んできた。患者の病状を考慮して投薬されていると思う」と話している。

 捜査一課では司法解剖し、詳しい死因を調べるとともに、主婦の腎機能の回復状況など治療の経過を捜査している。

担当看護婦を在宅起訴 乳児うつぶせ死

2000.08.09The Sankei Shimbun
 東邦大付属大橋病院(東京都目黒区)で一九九五年、生後間もない赤ちゃんが死亡した事故で、東京地検は九日までに、死因は窒息死で、うつぶせに寝かせる際に注意義務を怠ったとして業務上過失致死罪で、担当の川島三幸看護婦(33)を在宅のまま起訴した。

 事故は九五年一月、都内の舞台俳優、井上達也さんと妻、立子さんの二男、湧介ちゃんが出生の三日後、ミルクを吐き出したため、川島看護婦がうつぶせに寝かせたまま目を離し、その後、湧介ちゃんの呼吸が止まっているのを発見。心臓マッサージなどで呼吸は再開したが、重い脳性まひが残り同年八月、死亡した。

 両親は病院側の責任を問い、東邦大に損害賠償を求めて東京地裁に提訴。

 東邦大側は「乳幼児突然死症候群(SIDS)が原因」と争ったが、東京地裁は九八年三月「原因はうつぶせ寝による窒息と推認できる」として、東邦大に約四千八百万円の支払いを命じた。東邦大側は控訴している。

県、立ち入り検査/筑波大病院患者取り違え

2000.08.09The Sankei Shimbun
公表遅れなど説明求める

 筑波大病院(茨城県つくば市、深尾立院長)の患者取り違えの医療ミスで、茨城県は九日、医療法に基づく同病院の立ち入り検査を実施した。

 検査は医療事故防止の態勢や再発防止策に重点を置いて行われ、県は検査の結果、問題があれば改善を指導する。

 立ち入り検査は、今回のミスに関係する呼吸器内科と病理部などが対象。午前十時に、茂手木甲寿夫つくば保健所長ら検査員七人が筑波大病院を訪れ、今回のミスに関係する生検病理検査の流れなどをチェックした。関係書類の提出を受け、事故防止態勢などのほか、事故発覚後に関係機関への連絡や公表が遅れたことなどについての説明も求めた。

 筑波大病院では患者二人の検体を取り違え、七月に肺がんではない患者の肺の一部を切除する手術を行っていた。

業務上過失傷害容疑で県警が捜査 筑波大病院医療事故

2000.08.05(00:59)asahi.com
 茨城県警は4日、今回の筑波大付属病院の医療事故について、業務上過失傷害の疑いもあるとみて、深尾院長らから事情を聴くなど捜査を始めた。病院側は重大事故が起きた際には、必要に応じて警察に連絡することにしているが、「今回は事件性がないと思い、連絡しなかった」としている。

取り違えの原因は検査標本番号記載ミス 筑波大付属病院

2000.08.05(01:04)asahi.com
 肺の感染症の患者を肺がんと間違え、誤って肺の切除手術をしていた茨城県つくば市の筑波大付属病院(深尾立院長)は4日記者会見し、手術前の検査で採取した組織を入れる容器に間違った患者の番号が書かれたため、同じ日に検査をした別の肺がん患者の検査結果をもとに手術をしてしまったと発表した。肺の感染症でも症状によって肺を切除することもあるが、単純ミスが患者の取り違えに発展してしまったことになる。

 会見によると、今年5月、茨城県内に住む30代の男性(Aさん)と、60代の男性(Bさん)が肺に異常があるとして入院。

 6月2日、気管支鏡で2人の肺の組織を採取して、容器に入れ病理部にまわす段階で手違いがあり、間違った番号が容器に書き入れられ、標本が入れ替わってしまった。どこで間違ったかは断定できないという。

 Aさんは、感染症である非定型抗酸菌症であるにもかかわらず、肺がんとの合併症と診断され、7月4日に手術を受けたが、直径2センチほどの腫瘤(しゅりゅう)が認められたため、それを肺がんと判断し、肺の3分の1とリンパ節を切除したという。

 術後の病理検査で、がん組織が見つからなかったため、取り違えに気づいたという。

筑波大付属病院、別人に肺切除手術 検査標本取り違え

2000.08.03(03:15)asahi.com
 茨城県つくば市の筑波大付属病院(深尾立院長)で先月、肺の感染症の患者と肺がん患者を取り違え、感染症患者に誤って肺の切除手術をしていたことが3日、分かった。2人の患者の検査標本が取り違えられたのが原因らしい。病院側は3日になって、県と文部省に報告した。4日に事実関係を発表するとしている。

 茨城県に入った連絡や関係者によると、今年6月の同じ日に患者2人の肺の組織の小切片を切り取って病理学的に調べる検査が実施された。この際、それぞれの標本が取り違えられ、逆の検査結果が主治医に報告された。感染症の患者は誤ってがんと報告されたため、7月4日に切除手術を受けた。その後、取り違えに気づき、同月6日にはがん患者の手術も実施された。2人とも手術後の経過は良好で、近く退院できる見通しだといい、「生命にかかわる事故ではない」としている。

 病院は標本が取り違えられた原因などについて調査をしているというが、詳しい状況については、「4日午後に記者会見をして説明する」と話している。

 今年5月、国立大学医学部付属病院長会議の作業部会は、医療事故が最近多発していることを受けて、医療の安全を確保するために早急に必要な対応をとりまとめた中間報告を発表した。

 このなかで、事故を起こした場合は患者や家族に事実をすみやかに説明し、警察に届け出たり、公表したりすること、などを求めている。

 今回の患者取り違えについて、大学側は7月初めには気付いたが、明らかにしていなかった。

    ◇

 患者の取り違え手術はこれまでにもたびたび起きている。

 昨年1月、横浜市立大学付属病院で、心臓弁の手術予定だった70代の男性と、肺の患部を切り取る予定だった80代の男性を取り違えたまま、双方に間違った手術をするミスがあった。手術室に入る直前、搬送係の看護婦と手術室の看護婦との確認が不足していたことが直接の原因だったが、血液型が同じだったことなどが重なり、執刀医らも手術が終わるまで人違いに気づかなかった。

 執刀医や看護婦らが業務上過失傷害罪で刑事責任を問われ、現在公判中だ。

 1992年11月には、熊本市の熊本市民病院が、肺の手術をする男性と、肝臓の手術をする男性を取り違えて手術した。手術室の看護婦が2人を間違えて手術室に運び込んだうえ、以前からこの肝臓病の患者を担当していた医師は、取り違えに気づかないまま、肺の患者の正常な肝臓の一部を切り取っていた。

市立甲府病院が診断ミス がん見落とし患者死亡

2000.07.29(12:38)asahi.com
 甲府市増坪町の市立甲府病院(滝沢保之院長)で、がんの病変を検査で見落とした結果、治療を受けていた市内の女性(当時72)が今年2月、肝臓がんで亡くなったことが、29日までに分かった。病院側は「(見落とさなければ)延命はできたかもしれない」と診断ミスを認め、女性の遺族と損害賠償金の示談交渉を進めている。

 同病院によると、この女性は1996年に、C型肝硬変と、それによる肝性脳症で入院。その後、いったん退院し、98年2月から定期的に肝臓がんの検査を受けていた。

 しかし、主治医の内科医が99年6月の検査で、がんの病変を見落とした、という。放射線科医が「肝臓がんの可能性がある」という報告書を出したが、採用されなかったという。

 女性は99年11月、腹痛を訴えて入院。その時、6月の検査結果を見直したところ、がんの形跡が見つかった。病院は、遺族に診断ミスを伝えた。女性は2月、肝臓がんのため死亡した。

 滝沢院長は「単純な診断ミスではなく、医師の診断能力に起因した問題だ。今後も診断能力の向上を図っていきたい」と話した。

10倍量の抗がん剤投与、70第男性患者が死亡/福井県立病院

2000.07.24 The Sankei Shimbun
 福井県立病院(福井市)は二十四日、六月に誤って抗がん剤を過剰投与したため一時重体となった七十代の男性患者が二十一日に多臓器不全のため死亡したと発表した。同病院は抗がん剤の過剰投与が原因と認めている。

 福井県警は、業務上過失致死容疑で病院関係者から事情を聴くなど捜査を始めた。

 同病院によると、男性患者は五月中旬にがんのため入院。六月一日に抗がん剤の投与を受けたが、誤って予定量の十倍に当たる約五十ミリグラムを注射されたため一時、白血球が通常の十分の一程度に減少するなど重体になった。その後、重体からは脱したものの肺炎を起こすなど症状は一進一退を繰り返していた。

 木谷栄一院長は「全力で治療にあたったが残念。遺族におわび申し上げる。二度と同じことが起きないよう管理体制を強化したい」としている。

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