TOPIC No.3-11 ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)原子炉/プルサーマル

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a.1999年7月-2000年03月、b.2000年03月-

TOPIC No.3-11b 2000年03月-(ウラン・プルトニウム混合酸化物:MOX)


01. プルサーマル計画 by YAHOO!ニュース
02. プルサーマル byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
03. プルサーマルとは by週刊子供ニュース(2001/06/02)
04. プルサーマル 日本の原子力
05. プルサーマル、もう一つの意味 by HP『環境問題』を考える/管理人 近 藤 邦 明 
06. プルサーマルは、使用済MOX燃料が最大のネック(1)使用済MOX燃料は出て行く先が無い(2006/01/08) by JANJAN


プルサーマル計画:見直し決定 5年先送り表明、知事に謝罪−−電事連副会長 /青森

2009年06月13日 毎日新聞 地方版

 使用済み核燃料を再利用するプルサーマル計画の見直し問題で、電気事業連合会(東京都)の森本宜久副会長は12日、県庁で三村申吾知事に「10年度までに16〜18基で導入する」としていた計画を5年先送りし、15年度までとすることを明らかにした。森本副会長は「結果としてこれまでの工程を遅らせることになり、大変申し訳なく心からおわびする」と謝罪。三村知事は「誠に遺憾であると言わざるを得ない」と強い口調で述べた。

 電事連は同日午前、電力各社の社長でつくる「プルサーマル推進連絡協議会」を東京で開き、計画見直しを決定した。三村知事が「(延びることによって)だらけちゃ困る。緊張感を持ってさらに進ちょくさせるための不退転の決意、気迫が大切だ」と話すと、森本副会長は「プルサーマル計画実現に向けた決意はいささかも変わりない」と強調した。

 三村知事はまた「プルトニウムを平和利用に使い切るということを明確に示すためにも、プルサーマルの実施体制を早期に確立していくことが不可欠だ」と注文し、最後は「今回のところはこのままお引き取りいただければありがたい」と述べて憮然(ぶぜん)とした表情で席を立った。

 プルサーマル計画の見直しを受けた国の見解を聞くため、三村知事は同日、政府と県による「核燃料サイクル協議会」の開催を国に要請した。実現すれば、06年3月以来となり、10回目となる。【後藤豪】

プルサーマル計画:見直し決定 大飯と敦賀原発の実施時期、最長5年間延期 /福井

2009年06月13日 毎日新聞 地方版

 ◇高浜は10年度実施

 電気事業連合会が12日発表したプルサーマル計画の見直しで、県内の原発のうち、日本原子力発電敦賀原発2号機と関西電力大飯原発の1〜2基で予定するプルサーマルの実施時期も、目標の2010年度から最長5年間、延期されることになった。県内で唯一計画が進んでいる高浜原発3、4号機のスケジュールは、10年度の実施に変更はなかった。

 延期した理由について、関電は「高浜原発での実施に全力を傾注した。大飯原発はその次のステップ」と説明。当初は08年度に行う計画だった原電は「05年の発電設備総点検で2号機に不適切な事案があり、地元の信頼を大きく損ねた。中越沖地震の影響で耐震安全性の問題も起き、計画が達成できなくなった」と述べた。

 新たな実施時期については、両事業者とも「できるだけ早く、ということ。海外でのプルトニウムの貯蔵状況などを総合的に勘案するが、まずは地元のご理解を得るのが前提だ」と説明。関電は「早くとも高浜原発の原子炉にMOX燃料を装荷した後になる」と述べた。【酒造唯】

女川原発プルサーマル計画 10年度導入を断念 東北電

2009年06月13日 河北新報

 東北電力は12日、女川原発3号機(宮城県女川町、石巻市)で予定しているプルサーマル計画について、2010年度としていた導入目標時期を見直し、遅くとも15年度までの導入を目指すと発表した。国の安全審査や地元了解を得る手続き、燃料確保のスケジュールなどを考慮し、10年度中の導入を断念した。東北電力は「可能な限り早期に実施したい」としている。

 同社が昨年11月に申請した原子炉設置変更許可の安全審査は10日に1次審査が終わり、2次審査に入ったばかり。地元了解に向けた県民向け説明活動も本格的に始めて間もない。海外で加工するプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の製造、輸送にも1年以上がかかるとされ、同社は「10年度までの実施は不可能」と判断した。

 東北電力は、導入期限を15年度に繰り延べたものの、できるだけ早期に導入の条件を整え、プルサーマル実施を目指す方針。今後の住民向け説明活動も16日の女川町旭が丘地区を皮切りに地区別説明を行っていく。

 東北電力は12日、計画見直しを宮城県など地元3自治体にも伝えた。村井嘉浩知事は「電力各社が計画と現状のずれを修正したと認識している。安全性の確認と地域住民の理解を大前提に対応する方針に変わりはない」との談話を出した。

 安住宣孝女川町長は「国と事業者がしっかりと安全性の確認を徹底し、住民の理解を深めるよう努めてほしい」とコメント。亀山紘石巻市長は「県や女川町と情報を共有し、さまざまな視点から検討したい」との談話を発表した。

プルサーマル反対住民が陳情

2009/06/06 中国新聞ニュ−ス

 中国電力島根原発2号機(松江市)のプルサーマル計画に反対する住民団体が5日、計画容認の結論を出した市議会原発対策特別委員会(原特委)の委員構成が公正でなかったとして、採決の無効などを求める陳情2件を市議会に提出した。17日開会の市議会定例会で審議される見込み。

 計画をめぐり、市議会の3月定例会で原特委は、市の計画不同意を求める住民の陳情、請願3件を不採択とする採決をし、計画容認姿勢を示した。これを踏まえ松浦正敬市長が受け入れを了解した。

 この日、芦原康江代表たち3人が市議会事務局に三島進議長あての陳情書を提出。陳情書によると、当時の原特委12人に中電社員と中電と取引がある会社経営の市議が入っていた。利害関係がある2人が務めたことは地方自治法に違反し採決は無効と主張している。

プルサーマル導入促進の交付金打ち切り 60億円支給7道県

2009/06/06 中国新聞ニュ−ス

 一般の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルの実施受け入れに同意した道県に、それぞれ60億円を払う交付金制度を、経済産業省が3月末で打ち切ったことが6日、分かった。

 既に交付が決定した7道県以外は、今後新たに同意があっても交付されない。経産省は「同意自治体すべてに交付すれば、早期に受け入れ努力をしたところから不満が出かねない。延長は不要と判断した」としている。

 巨額交付金でプルサーマル推進を図る手法には賛否があるが、打ち切りによって国の原子力政策の先行きにも影響を与えそうだ。

 同交付金は、プルサーマル開始までの間に10億円、さらに開始の翌年度から2〜5年間で50億円が支払われる。経産省によると、これまで佐賀県が申請し、交付金の一部が支払われたという。

 2006年10月の制度開始以降、交付対象になったのは北海道(泊原発)、青森(大間原発=建設中)、静岡(浜岡原発)、福井(高浜原発)、島根(島根原発)、愛媛(伊方原発)、佐賀(玄海原発)の各道県。いまだにプルサーマル開始が具体化していない東北、東京、北陸の各電力会社と日本原子力発電の原発は支給対象にならなかった。

 制度は当初、07年3月までだったが、国は08年3月、09年3月と2度延長。経産省は、早期受け入れの優遇という所期の目的を果たしたことや、10年度までに16〜18基でプルサーマルを開始するという従来の電力業界の目標に間に合うかどうかを考慮。自治体からはさらに延長の要望はあったが打ち切りを決めた。

 プルサーマルを10年度までに全国16〜18基で実施という目標の達成は事実上不可能で、電力業界で見直しを進めている。

プルサーマル見直し

2009年06月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

「約束守られず遺憾」県、電事連に不信感

 電気事業連合会の伊藤範久専務理事は5日、県庁で蝦名武副知事と会談し、六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場で再利用する「プルサーマル計画」について、実施時期などの見直しに着手したことを伝えた。県はこれまで、2010年度までの実施を掲げた現行計画の実現を強く要請してきた経緯があり、蝦名副知事は会談後、「約束を守れなかったことは極めて遺憾」と不信感をあらわにした。

 伊藤専務理事は会談で、原子力委員会の近藤駿介委員長が、現実に即した計画に見直す必要性を指摘したことなどを説明。その上で、実施時期を見直すことを伝えた。ただ、国内の16〜18基の原発で実施することは「大前提」とし、変わりのないことを強調した。

 これに対し、蝦名副知事は「計画実現を厳しく要請してきたことを踏まえてきちんと対応してほしい」と要請した。

 プルサーマルは、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムをウランと混ぜてMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料に加工し、原発で再利用する技術。

 プルサーマル計画は1997年に策定された。2002年の東京電力の原発データ改ざんなど相次ぐ不祥事で原発を抱える地元自治体の理解が進まず、進ちょくが大幅に遅れていたが、電事連は今年3月、「不退転の決意で取り組む」と県に説明し、目標変更を行わない考えを示したばかりだった。

 県がプルサーマル計画の進捗状況に神経をとがらせているのは、県内に再処理工場やMOX燃料工場、MOX燃料だけで運転する大間原発(大間町)などプルサーマル関連施設が集積しているからだ。

 このため、三村知事が麻生首相や関係閣僚らにプルサーマル計画を着実に進めることを確認するなど、計画実現を強く要請してきた。

プルトニウム利用計画修正検討 電力各社の動向注視

2009年06月05日 河北新報

 使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)で回収されるプルトニウムの利用計画とプルサーマル計画について、東北電力など電力各社が数値目標を修正するかどうか検討を始めたことを受け、青森県と六ケ所村は4日、「まだ検討の段階で、修正は決定されてない。電力各社の動向を見守りたい」との認識を示した。

 県の八戸良城原子力立地対策課長は「修正されるかどうか流動的だが、いずれにしろプルサーマル計画は不退転の決意で進めてほしい」と強調。六ケ所村の戸田衛副村長は「検討の推移を見守るしかないが、計画通りに実施してもらわなければ(村内にプルトニウムがたまり)困るという立場に変わりはない」と述べた。

 プルサーマル計画をめぐっては、電源開発(Jパワー)が2008年11月、計画対象の大間原発(青森県大間町)の燃料装荷を13年12月に延期。「10年度までに国内16〜18基の原発で実施する」という電力業界の目標の実現可能性が疑問視され、電気事業連合会幹部が3月、県に「不退転の決意で取り組む」と説明したばかりだった。

プルサーマル見直しを/四国電力は「計画通り」

2009/06/05 THE SHIKOKU SHIMBUN

 電気事業連合会(東京)が、原発を持つ電力各社にプルサーマル計画見直し有無の検討を要請したことを受け、先週フランスからMOX燃料の輸送を受けた四国電力は4日「当社は計画通りやっていくだけ」と冷静な反応を示した。

 四国電力は「これまでお知らせした通り、来年1月開始予定の伊方3号機定期検査での燃料装荷に向け、着実にプルサーマル計画を進める」としている。

伊方原発:MOX燃料搬入 厳戒の中、陸揚げ プルサーマル反対住民ら抗議 /愛媛

2009年5月28日 毎日新聞 地方版

 ◇四国電力「安全最優先、着実に推進」

 伊方町の四国電力伊方原発で27日、厳重な警戒の中行われたMOX燃料の陸揚げ作業。専用岸壁に接岸した輸送船から、プルサーマルに使用する予定の同原発3号機(加圧水型、出力89万キロワット)へと運ばれた。MOX燃料は放射線量が通常のウラン燃料より高く、原子炉の制御もやや難しいとされ、日本ではまだ商業ベースの使用実績がない。近くに活断層がある同原発の耐震安全性も含め、県内には疑問の声も残る中の搬入に、同原発周辺では反対派市民らのシュプレヒコールがこだました。一方、四国電力と県は今後慎重に安全確認を進めつつ、来年2月に予定されるプルサーマルの開始を計画通り迎えたいとした。【古谷秀綱、門田修一、柳楽未来】

 午前9時ごろ、伊方原発のゲート付近に集まったプルサーマル計画に反対する団体のメンバー6人が横断幕を掲げ抗議活動を始めた。「八幡浜・原発から子供を守る女の会」の斉間淳子代表(65)は「(プルサーマル計画では)使い終わったMOX燃料をどうするか決めていない。今まで以上に住民に危険を押しつけようとしている」と訴えた。

 ゲート付近は、警察官が乗った車両が頻繁に行き来し厳重な警戒態勢。午前9時20分ごろ、海上保安庁の巡視船など約20隻が浮かぶ海上に、輸送船の姿が小さく見え始めた。メンバーらは「伊方にMOX燃料を持ち込むな」などと声を上げて抗議。小雨が降り続く中、輸送船はゆっくりとしたスピードで原発内の専用岸壁に近付き、同10時半ごろに接岸した。

 午後1時半ごろには、クレーンを使ってMOX燃料の入った容器を輸送船からつり上げ、岸壁に用意したトレーラーに移す作業が始まった。陸揚げされた容器の放射線量を作業員が確認し、同6時15分ごろまでにすべてをトレーラーで同原発3号機に運び込んだ。

 27日夕、山下和彦・伊方町長は同町役場で会見し、来年2月にも始まるプルサーマル発電について、「町民には理解してもらっていると認識している」と話した。

 四国電力によると、同社は今後、陸揚げされた輸送容器3基を伊方原発所内で開き、計21体のMOX燃料を取り出して国の輸入燃料体検査を受ける。燃料は来年1月に始まる伊方3号機の定期検査時に国の使用前検査を受け、2月にも3号機に装荷(取り付け)される。同月中にプルサーマル発電が始まる見通し。

 ◇計画スタートから5年、来年2月発電へ

 伊方原発3号機のプルサーマル計画を巡っては、四国電力が04年5月、安全協定に基づき、県と地元・伊方町に原子炉設置変更許可申請の事前了解願を提出し、一連の手続きがスタートした。

 四電は04年11月、同町と町議会、県の了承を経て国に設置変更許可申請をし、06年3月、経済産業省が3号機のプルサーマル計画を許可した。地元自治体や議会の長、原子力の専門家、漁協代表らでつくる県伊方原発環境安全管理委員会はプルサーマル自体の安全性や伊方原発の耐震安全性、将来のエネルギー需給に照らしたプルサーマルの必要性などを審議し、同年9月、「国の安全審査は妥当」と結論を出した。

 県議会は市民団体や個人から出された計画反対の請願201件をいずれも不採択とし、同10月、計画推進決議をした。知事と伊方町長も同月、計画受け入れを表明した。

 伊方原発は敷地前面約8キロの海底に長さ42キロの活断層があり、県民の耐震安全性に対する関心が高い。四電は3号機の耐震安全性について国の新耐震基準に基づく再評価を行い、今年2月に国へ本報告を出したが、反対派からは想定された基準地震動570ガルをさらに厳しくすべきだとする声もある。

 ◇「放射線量、問題ない」四国電力が燃料輸送経過発表

 MOX燃料の搬入終了を受け、四国電力伊方原発の奥田昌三・広報グループリーダーが27日午後7時ごろから、八幡浜市内の同電力八幡浜営業所で記者会見し、輸送の経過などを発表した。

 発表によると、輸送されたのは専用の容器3基に入ったMOX燃料21体で、作業には同電力の社員ら約230人が携わった。陸揚げされた燃料の放射線量を社員が検査し、現場にいた県と伊方町の担当者も確認し、問題はなかったという。

 同電力の常盤百樹社長は「安全を最優先として、着実にプルサーマル計画を進めていきたい」とコメントを出した。

 ◇安全実施を願う−−加戸知事

 加戸守行知事は27日、「MOX燃料が安全に搬入され、安どしている。今後とも各段階における検査や審査はもちろんのこと、来年1月からの定期検査において、最終的な安全確認が行なわれ、安全にプルサーマルが実施されることを願っている」との談話を発表した。

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 ◇プルサーマル計画の経緯◇

04年 5月 四国電力が県、伊方町に原子炉設置変更許可申請の事前了解願を提出

04年11月 県と伊方町が事前了解願を了承

       四国電力が国に設置変更許可申請

06年 3月 経産省が3号機プルサーマル計画を許可

06年 6月 伊方町で経産省主催のプルサーマル計画シンポジウム開催

06年 7月 伊方町で県主催の公開討論会開催

06年 9月 県伊方原発環境安全管理委員会は「国の安全審査は妥当」と結論。同町議会が計画受け入れ承認

06年10月 県議会が計画推進決議。知事と伊方町長が計画受け入れ表明

06年11月 四国電力が三菱重工業との間で、三菱原子燃料と実際に燃料を作る仏メロックス社を下請けとするMOX燃料加工契約を締結

08年 9月 四国電力、MOX燃料が完成し、検査内容を経産省に提出したと発表

09年 1月 四国電力は県と伊方町にMOX燃料搬入計画提出

09年 3月 四国電力など3社のMOX燃料を積んだ輸送船、5日に仏出港。

09年 5月 MOX燃料、18日に中部電力浜岡原発着。23日に九州電力玄海原発着

プルサーマル再び秒読み、玄海原発に燃料搬入

2009年05月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

輸送船からトレーラーに載せ替えられたMOX燃料の入った容器を検査する作業員ら(23日午後、佐賀県玄海町の玄海原発で)=丸谷一郎撮影

 九州電力のプルサーマル発電計画は、MOX燃料が玄海原子力発電所に到着し、今秋の国内初実施に向けて準備作業がいよいよ佳境に入る。エネルギー資源の有効活用を狙った核燃料サイクルも前進することになるが、安全の確保や理解の浸透に加え、サイクル全体の確立など克服すべき課題はなお多い。

 九電は玄海3号機の燃料集合体193体のうち、最大48体程度をMOX燃料にする予定。今回はフランスで第1弾として製造した16体が玄海原発に搬入されたとみられる。8月下旬からの定期検査で性能などを最終確認したうえで、11月中旬の営業運転開始に臨む。

 プルサーマルは1960年代からベルギーやフランスなど欧米を中心に実施され、2007年末までに計57基で6000体超のMOX燃料が使われた。日本でも80〜90年代に日本原子力発電敦賀1号機や関西電力美浜原発1号機で計6体の実験が行われている。

 本来は99年ごろから実施するはずだった東京電力と関電が燃料調達までこぎつけながら、英国の燃料加工会社のデータ改ざんや原発トラブル隠しなどで頓挫、九電に「第1号」が回ってきた。今回の燃料到着によって、プルサーマル始動が再び秒読み段階を迎える。

 九電に続き、四国電力は伊方3号機で来年春、中部電力も浜岡4号機で来年夏にプルサーマルを予定しているほか、関電も1月にMOX燃料の製造を再開した。島根2号機で計画する中国電力も燃料の製造準備段階に移っている。

 ただ、国の許可と地元の了解をいずれも取得済みの原発は現在、全国で6か所・7基にとどまり、「10年度までに(国内原発の3分の1にあたる)16〜18基で実施」という業界目標の達成は困難な情勢だ。

 MOX燃料到着時に、玄海原発周辺で反対運動が見られたように、国内で初の本格実施となるプルサーマルには、安全面の懸念も依然として根強い。国や電力業界には信頼醸成への不断の努力が欠かせない。

MOX燃料、玄海原発に搬入完了/輸送船は四電伊方原発へ

2009/05/23 THE SHIKOKU SHIMBUN

 九州電力は23日午後、玄海原発(佐賀県玄海町)に到着したプルサーマル用のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の同原発3号機の原子炉建屋への搬入が完了したと発表した。一連の作業にトラブルはなかったという。

 九電によると、MOX燃料は通常のウラン燃料より熱量や放射線量が多いため、ピットと呼ばれる水を張った施設で保管する。九電は段上守原子力発電本部長名で「今後も安全を最優先に、地元の理解を得ながらプルサーマルを着実に進める」とのコメントを発表した。

 同日早朝に玄海原発に到着し、燃料を降ろした輸送船パシフィック・ヘロンは午後4時ごろ、同じくプルサーマルを計画している四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)に向け出港した。

「MOX持ち帰れ」プルサーマル反対派70人抗議

2009年05月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

「NO MOX」のマスクなどをつけて反対を訴えるメンバー(23日午前6時25分、佐賀県玄海町の玄海原発正門前で)=真子生次撮影

 プルサーマル発電に使われるウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料が佐賀県玄海町の九州電力玄海原子力発電所に到着した23日、玄海原発周辺では、早朝からプルサーマル発電に反対する複数の団体が九電や地元自治体に対して抗議の声を上げた。

 海上保安庁のヘリコプターや10隻以上の巡視船艇などが警護する中、MOX燃料を積んだ輸送船「パシフィック・ヘロン」は午前6時40分頃、玄海原発内の専用港に接岸した。

 午前10時半頃から、MOX燃料を密封した銀色の円筒形容器(外径約2・5メートル、長さ約6メートル、重さ約100トン)がゆっくりとクレーンでつり上げられ、トレーラーの荷台に降ろされた。

 玄海原発の正門前では、午前6時頃から佐賀、福岡、長崎県から反対派のグループが集まり始め、同9時頃には少なくとも8団体約70人になった。参加者らは、正門前と輸送船を望める橋の上の2か所に分かれ、それぞれ「玄海町を核の墓場にするな」などと書かれた横断幕を掲げながら「MOXはそのまま持ち帰れ」とシュプレヒコールを上げた。

玄海原発にもMOX燃料到着/九電初のプルサーマルへ

2009/05/23 THE SHIKOKU SHIMBUN

 九州電力玄海原発の専用岸壁に向かうMOX燃料輸送船パシフィック・ヘロン。後方球形手前の建物は3号機=23日午前6時22分、佐賀県玄海町

 今年秋に九州電力が実施するプルサーマル用のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を積んだ輸送船「パシフィック・ヘロン」が23日早朝、玄海原発(佐賀県玄海町)の専用岸壁に到着し、陸揚げ作業が始まった。計画通り進めば、九電は11月に国内で初めてとなるプルサーマルを同原発3号機で開始する予定。

 プルサーマルはウランの効率利用につながるとされる一方で、毒性が強く核兵器の材料にもなるプルトニウムを扱うため安全面を懸念する声も上がっている。この日も原発の地元・玄海町では早朝から住民団体などが反対活動を展開。九電や玄海町長にプルサーマル凍結を求める抗議文を提出するなどした。

 輸送船は午前6時40分ごろ、製造国フランスから約2カ月半の航海を経て玄海原発に到着。MOX燃料はクレーンで陸揚げされた後、トレーラーで3号機の原子炉建屋内へ。8月下旬からの定期検査に併せて実施される炉心への装てん時まで保管される。

 欧州から日本へのMOX燃料の輸送は1999年と2001年以来3回目。今回は、ともにプルサーマルを計画している中部、四国、九州の3電力会社が共同で実施した。

九電「プルサーマル 安全性に自信」 燃料、玄海原発へ

2009年05月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

プルサーマル計画について語る九電の段上守・原子力発電本部長=浦上太介撮影

 九州電力がプルサーマル発電で使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料が23日、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)に到着する。九電の段上(だんがみ)守・原子力発電本部長(取締役常務執行役員)は読売新聞のインタビューで、核燃料サイクルの一角を成すプルサーマルの意義を改めて訴え、今秋の国内初実施に万全を期す考えを強調した。

 ――国内初となるプルサーマル実施が迫ってきた。

 「地元に事前了解願を提出して5年。関係者への説明や燃料の品質チェックなどに努力を重ね、やっとここまでたどり着けた。地元の理解が原動力になった」

 「国内第1号にはそれなりのプレッシャーを感じている。順調に進めなければ、後続の電力会社の計画にも影響が及びかねない。MOX燃料到着後の受け入れ検査はもちろん、定期検査時の試運転で安全性や性能面をしっかりと最終確認し、詰めの作業に万全を期す」

 ――プルサーマルの必要性について見解は。

 「ウラン燃料を1〜2割節約でき、高レベル放射性廃棄物の量も30%程度まで減らせる。使用済み核燃料を再利用し、エネルギー資源を有効活用する『核燃料サイクル』をつくるうえで、プルサーマルは重要だ。核不拡散の観点から、再処理後のプルトニウムを着実に使う必要もある」

 ――安全性に対する懸念は根強い。

 「危険な燃料は我々も発電所で扱えない。安全性には自信を持っている。国も燃料全体の3分の1までのMOX装てんは問題ないとしている。玄海原発で使うのは最大4分の1だ」

 「プルトニウムは(核分裂を誘発する)中性子を吸収しやすく、原子炉の出力を調整する制御棒の利きが若干悪くなる。だが、MOX燃料の投入量や配置に配慮すれば問題はない。海外でも長年の実績がある。安全運転を実践し、安心してもらうことが大切だ」

プルサーマル燃料日本到着 九電、11月中旬運転へ

2009年05月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

海上保安庁の巡視艇やヘリコプターが警戒する中、御前崎港に入港する輸送船(18日午前6時15分、静岡県御前崎市で)=鈴木毅彦撮影

 中部、九州、四国の電力3社がプルサーマル計画に使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料がフランスからの輸送船で18日、中電浜岡原子力発電所近くの静岡県御前崎港に到着した。輸送船は22〜23日にも九電玄海原発に着く見通し。九電の真部利応社長は18日の定例記者会見で、「(輸送日程は)予定通り順調だ」と述べ、受け入れ態勢を整える考えを示した。

 九電は燃料受け入れに際し、本店と玄海原発にそれぞれ運営本部を設け、情報連絡や警備が必要な場合の連携を緊密に行う。

 九電は玄海3号機の8月下旬からの定期検査でMOX燃料を装てんし、11月中旬に国内初の営業運転を始める。四電は来春に伊方3号機、中電は来夏に浜岡4号機で実施見込みだ。

 今回、護衛し合いながら燃料を運んでいる2隻のうち、1隻のエンジンに一時、不具合が生じたが運航に支障はなかったという。

 プルサーマルは使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、MOX燃料に加工して既存の原発で再利用する発電方式。

プルサーマルのMOX輸送船、静岡県御前崎港に到着

2009年月18日 読売新聞 Yomiuri On-Line

MOX燃料が静岡・御前崎港に入港。海上保安庁が厳重な警戒をした(18日午前6時7分)=鈴木毅彦撮影

輸送船から移されるMOX燃料が入った容器(18日午前11時36分、静岡県御前崎市で)=鈴木毅彦撮影

 中部、九州、四国の電力3社がプルサーマル計画で使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料が18日朝、フランスから輸送船で静岡県御前崎港に到着した。

 3社は今秋以降、日本で初となるMOX燃料を使った発電を始める予定。

 プルサーマルは使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、MOX燃料に加工して既存の原発で発電する方式で、「核燃料サイクル」の柱とされる。今回の燃料は、電力3社がフランスに発注。今年3月、共同でそれぞれの施設へ海上輸送するため現地を出発した。九州電力は今秋から玄海3号機で、四国電力が来年2月から伊方3号機で、中部電力が来年夏に浜岡4号機で発電を準備している。

 海外から日本へのMOX燃料輸送は1999年の東京電力と関西電力、2001年の東電に次いで3例目。しかし、関電は燃料加工を発注した英企業の検査データ改ざんが発覚、東電は定期点検記録の改ざんが表面化し、発電は実現していない。住民理解などに時間がかかっていたが、3社は導入にめどをつけていた。

 18日は午前6時半頃に輸送船が御前崎港の中電専用岸壁に接岸し、浜岡原子力発電所へ搬入を始めた。

プルサーマルのMOX輸送船、18日にも静岡に到着

2009年05月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中部、九州、四国の電力3社がプルサーマル計画で使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を積んだ輸送船が18日にも、静岡県に到着する。

 同計画は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、MOX燃料に加工した上で、既存の原発で再利用する発電方式。ウラン資源を有効に活用できる「核燃料サイクル」の柱として政府主導で進めている。

 フランスで生産され、3月に搬出されたMOX燃料は中部電力の浜岡原発(静岡県御前崎市)に搬入された後、九州電力の玄海原発(佐賀県玄海町)、四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)に海上輸送される。

 発電開始は、今秋から玄海原発3号機、来年2月から伊方3号機、来年夏に浜岡原発4号機で予定している。

 海外から日本へのMOX燃料輸送は、1999年の東京電力と関西電力、2001年の東京電力に次いで3例目。これまでは、燃料データの改ざんなどでプルサーマルは実現していない。

核の再加工燃料が月内に到着=九州、四国、中部がプルサーマル発電へ

2009/05/16 Jiji.com

 国内の原子力発電所で使われた核燃料の再利用に向け、フランスで加工された核燃料を積んだ輸送船が、月内に日本に到着する。これを受け、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)が10月下旬にも、国内で初めて使用済み核燃料を使うプルサーマル発電を開始するほか、四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)が来年2月に、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)が来夏に、それぞれ始動を予定している。

愛媛・伊方原発:プルサーマル計画 MOX燃料、今月にも到着 /四国

2009年05月02日 毎日新聞 地方版

 ◇国内2例目、来年2月に送電

 プルサーマル計画が来年2月にも始まる見通しとなった四国電力の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)。計画で使用されるMOX(ウランとプルトニウムの混合酸化物)燃料は今月下旬にも運び込まれる。九州電力玄海原発3号機(佐賀県)に続いて国内2例目となる見込みだ。受け入れを間近に控えた伊方原発を訪ねた。【松倉佑輔】

 四国の最西端、宇和海と伊予灘に囲まれた佐田岬半島に伊方原発はある。山と海に囲まれたのどかで美しい風景が広がる。ここで、四国の電気の約4割が発電されている。

 いつもは静かだという発電所敷地内だが、ちょうど1号機と2号機の定期検査中。普段の2倍近くの約3000人が働いており、にぎやかだ。定期検査は13カ月以内と義務づけられており、1、2号機が同時になるのは初めて。同じ部屋に設置されているそれぞれの中央制御盤を取り換えるためだという。

 定期検査ではさまざまな機器が交換される。敷地内の岸壁では、約300トンの変圧器が船で到着したばかり。数十人の作業員が巨大なクレーンで慎重に荷揚げ作業をしていた。

 燃料も同様に海路でやってくる。3月5日にフランスの港を出たMOX燃料は今月後半にも到着し、同じように岸壁から搬入されるとみられる。

 そもそもプルサーマルとは何か? 原発(軽水炉)で使われているウラン燃料を燃やすと、プルトニウムが生成される。プルトニウムはエネルギーを出すので、再利用してウランと混合したのがMOX燃料だ。さらにMOX燃料を利用して発電するのがプルサーマルだ。資源の少ない日本で、燃料の有効利用などを理由に97年、計画推進が閣議決定された。

 各電力会社が計画を進めたが、検査データねつ造の発覚した関西電力やトラブル隠しのあった東京電力の計画が中断。四国、九州、中部の後発3社が追い越す形となった。

 MOX燃料が装着されるのは、定期検査の時だ。九電の玄海原発3号機では、8月下旬に検査が始まる。10月中にも送電が開始される見込みだ。四電の伊方3号機の次回定期検査は1月上旬。送電は2月になる。

 到着から利用までは3号機内の使用済み燃料プールで保管する。通常の新燃料はそのまま保管できるが、MOX燃料は表面の放射線量がウラン燃料の約300倍と高いため、水の中で保管する必要があるからだ。

 MOXは安全なのか。原子炉の制御棒は熱中性子を吸収することによって燃焼を抑える。プルトニウムはウランより熱中性子を多く吸収するため、MOX燃料付近で熱中性子は減り、制御棒の効きが悪くなる恐れがある。このため、炉心の管理が難しくなると言われている。四電は「到着、運転後も十分な安全確保に努めていきたい」としている。

玄海原発プルサーマル発電、燃料輸送を地元が事前了解

2009年02月27日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 九州電力が、玄海原子力発電所3号機(佐賀県玄海町)で計画中のプルサーマル発電は、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の海外からの輸送について、佐賀県と玄海町が事前了解し、実施に向けて大詰めの段階に入った。九電は今秋にも、国内第1号としてプルサーマルを開始する公算で、核燃料サイクル政策は新局面を迎える。

 電力各社は2010年度までに国内16〜18基の原発でプルサーマルを計画しており、九電は中部、四国両電力会社と共同でMOX燃料を日本に輸送する。

 海外から日本へのMOX燃料輸送は、1999年の東京電力と関西電力、2001年の東電に次ぐ3例目だが、トラブルや事故の影響で、両社ともプルサーマル実現は遅れている。

 電力各社は、ほぼ1年に1度実施している定期検査に合わせ、プルサーマルを計画中の原発にMOX燃料を装てんする方針。四国電力は伊方3号機の定検を昨年12月に終えたほか、中部電力も今月25日から浜岡4号機の定検に着手しており、MOX燃料の装てんは間に合わない模様だ。このため、今年9月前後に定検時期を迎える九電の玄海3号機がプルサーマル国内第1号になる可能性が高い。

 プルサーマルは、原発で使った核燃料を再利用する核燃料サイクル政策の中核を担う。だが、使用済み燃料の国内再処理工場は完成時期が当初計画から10年余りも遅れており、再処理後に出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場も決まっていない。プルサーマル実現を足がかりにサイクルの「輪」を結ぶには、九電をはじめとする電力業界と国に一段の努力が求められる。

 ◆九電「輸送に万全期す」

 九電は「MOX燃料輸送の事前了解をいただき、大変ありがたく思っている。輸送に万全を期し、発電所への受け入れ、原子炉内への装荷なども安全かつ着実に実施して計画を進めたい」とのコメントを出した。


MOX燃料検査を国に申請 プルサーマルで九電

2007年09月03日 中国新聞ニュース

 玄海原発3号機(佐賀県玄海町)のプルサーマルで九州電力は3日、フランスで10月から製造するプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の設計や、製造過程での品質保証確保について、国の検査を受けるための申請を経済産業省原子力安全・保安院に行った。

 九電によると、フランスに保有するプルトニウム約1・1トンの半分を使用し、燃料製造会社メロックスで10月上旬からMOX燃料16体を製造。同社の工場に九電社員3人を駐在させ、工程ごとの検査や製造状況を確認する。

 検査期間は3日から2009年末までで、保安院は今回の申請を基に燃料の品質管理体制を確認。最終的には完成後の燃料を検査し、プルサーマルに使用できるかを判断する。

中部電力のプルサーマル許可 経産省、浜岡4号機で10年度から

2007年07月04日 中部新聞

 経済産業省原子力安全・保安院は4日、中部電力浜岡原発4号機(静岡県御前崎市)でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマル計画について、原子炉等規制法に基づく許可文書を中部電に手渡した。

 中部電などによると、浜岡4号機のプルサーマル導入は2010年度からで、4号機の燃料の3分の1までをMOX燃料に入れ替える計画。

 プルサーマルをめぐっては、東京、関西両電力が先行していたが、事故や不祥事などで事実上中断しており、中部電の計画は、九州電力玄海3号機(佐賀県)、四国電力伊方3号機(愛媛県)に続く3番手となる。中部電は今後、地元で説明会などを実施し、同意を取り付ける方針。

 ただし、市民団体が「浜岡原発は東海地震に耐えられず危険だ」として、運転差し止めを求めた訴訟の判決が10月に予定されている。判決内容などが地元の動向に影響を与える可能性もある。

 国内のプルサーマルはこのほか、中国電力島根2号機(松江市)の計画を保安院が審査中。全炉心でMOX燃料を使用する電源開発大間原発(青森県)についても原子力安全委員会などが審査している。

 プルサーマルは、使用済み核燃料の再処理や高速増殖炉の実用化などと並ぶ、国の核燃料サイクル政策の柱の1つ。電気事業連合会によると、国内の電力会社は10年度までに原発16―18基で導入する計画だが、地元同意の取り付けをめぐり東電などでは見通しが立っていない。

 浜岡4号機のプルサーマル計画は、中部電が05年9月に公表し、06年3月に保安院に申請。保安院の審査を経て、原子力安全委員会と原子力委員会が6月、妥当との答申をまとめていた。(共同)

MOX工場計画は半年延期 新耐震指針受け日本原燃

2007年02月20日 中国新聞ニュース

 日本原燃は20日、青森県六ケ所村に建設を予定しているプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料加工工場について従来計画より半年遅れ、着工は今年10月、操業開始は2012年10月に延期すると発表した。

 昨年9月に国が原子力施設の耐震指針を見直したのを受け、原燃が経済産業相に提出した事業許可申請書の補正書で明らかにした。

 原燃によると、従来の計画では230ガル(ガルは揺れの強さを示す加速度)に耐えられる設計だったが、新指針に従い450ガルに変更。壁や床を厚くしたほか、鉄筋を増やしたり太くしたりし、工事費は約100億円増の約1300億円となる。着工などが遅れる理由は、追加の地質調査やデータの解析に半年ほどかかったためという。

 MOX工場は、六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で取り出したMOX粉末を燃料集合体に加工する施設。

愛媛県が正式同意 伊方原発プルサーマル

2006/10/13 中国新聞ニュース

 伊方原発3号機(愛媛県伊方町)のプルサーマル計画について、加戸守行知事は13日、県庁に四国電力の常盤百樹社長を呼び、安全協定に基づき計画実施を了解する文書を渡した。山下和彦町長も正式に同意。

 使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを使うプルサーマルは、高速増殖炉の開発が進まない中で、プルトニウム利用の中心と位置付けられるようになった。国の許可と地元同意がそろった状態は、九州電力玄海原発に続き2カ所目で、四国電力は2010年度までの実施を目指し、本格的準備に入る。

 青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場が3月に試運転を始めており、日本の核燃料サイクルが徐々に動きだす。

 プルサーマルは、東京、関西両電力が1990年代後半に始めようとしたが、事故や不祥事などで地元が同意を撤回するなどした。玄海原発は昨年9月に国から許可され、今年3月に地元の了解を得た。

 四国電力は04年5月、愛媛県と伊方町に安全協定に基づき事前了解願を提出し、同年11月に国に申請。国は今年3月許可した。

日本保有のプルトニウムは43.8トン

2006/09/05 The Sankei Shimbun

 文部科学省と経済産業省は5日、日本が国内外で保有する、原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムの量は平成17年末時点で約43.8トンで、16年末の42.8トンより約1トン増加したと原子力委員会に報告した。

 国内の再処理施設や燃料加工施設などで保管されている量が約5.9トン、海外で再処理された量が約37.9トン。

 また、国内にある使用済み核燃料に含まれる未分離のプルトニウムは、昨年の推定113トンから推定120トンに増加したとしている。

 16年末の保有量について両省は昨年、約43.1トンと公表したが、英仏両国での再処理委託分について一部のプルトニウムが自然に崩壊するのを考慮して計算方法を変更したため、300キロ近く減少した。

島根原発プルサーマル計画容認へ

2006/06/06 中国新聞地域ニュース

 ▽知事、県議会で16日にも表明方針

 中国電力が島根原子力発電所2号機(松江市鹿島町)で二〇一〇年度までに導入を目指すプルサーマル計画で、中電から事前了解を求められている島根県の澄田信義知事は五日、プルサーマルに関する見解を十六日開会予定の県議会定例会で公表する方針を固めた。安全性、必要性を認める内容で事実上の「ゴーサイン」とみられる。

 県は、同様に事前了解を求められている松江市の判断を待った上で、中電に対し、国への原子炉設置変更許可申請を了承することを伝える予定である。

 澄田知事は、「ウラン燃料と同等の安全性を確保できる」など、プルサーマルの安全性、必要性を認めた懇談会の報告書や、専門家から聴取した意見などを基に「県の考え方を整理する」としていた。見解はこれらの内容に沿う格好で、国や中電に対して安全対策の徹底なども求めるとみられる。定例会開会日に表明する見通し。

 事前了解の手続きをめぐり、県と市の対立が表面化。国の安全審査前に可否判断を示そうとした県に対し、市は「丁寧に手続きを進める必要がある」とし、安全審査のスタートとなる申請書提出を了承、安全審査後に可否を最終判断する「二段階方式」の採用を表明。申請書提出を了承する際、判断を保留することを明らかにしている。

 県は今回、市側の意向を踏まえて最終判断の言及は避ける方針。今後、中電への事前了解の回答は、県と市でそろえる方向で調整を続ける。

 島根原発でのプルサーマル計画をめぐり、中電は〇五年九月、安全協定に基づいて県と市に事前了解願いを提出。県は同十一月、有識者や住民団体メンバーなどでつくる懇談会を設置し、懇談会は今年五月、導入を容認する報告書をまとめた。

 一方、松江市は、七月まで住民説明会を続け、八月に市民シンポジウムを開催する予定。安全審査後に再度、シンポを開いて判断材料とする。(城戸収)

プルサーマル容認で報告書提出

2006/05/09 中国新聞地域ニュース

▽島根県懇談会

 中国電力が島根原子力発電所2号機(松江市鹿島町)で導入を目指すプルサーマル計画の可否を検討する島根県の懇談会(会長・片山裕之島根大名誉教授)は八日、導入を容認する報告書をまとめ、澄田信義知事に提出した。県とともに、中電から国への申請の事前了解を求められている松江市の松浦正敬市長は同日、受け入れの可否を国の安全審査前に判断する県の方針とは異なり、国の安全審査後に可否を最終判断する考えを示した。

 県と市は、プルサーマルをめぐる判断の時期とともに、手続きをめぐっても食い違う格好となりそう。

 報告書は、国や県、中電に対し、安全対策や県民の不安解消などの要望を付け、プルサーマルの必要性、安全性を認める内容。片山会長から報告書を受け取った澄田知事は「専門家や県議会の意見をいただき、可否について判断したい」と従来の見解を繰り返した。

 一方、松浦市長は記者会見し、「国が専門的な判断をした上で可否を総合的に判断したい」と述べ、国の安全審査の結果を受けて最終判断する「二段階方式」を採用する意向を表明した。

 県と市、中電の三者は安全協定を結んでおり、プルサーマルをめぐって中電が国に原子炉設置変更許可を申請するには県と市の事前了解が必要。県側は事前了解の段階で受け入れの可否を判断する意向だが、市は、中電の国への申請を了解後、国が実施する安全審査を終えた段階で最終判断する方針。安全審査を終え、地元同意を残す四国電力伊方原発と同様の手続きを想定している。(城戸収、和田木健史)

プルサーマル容認へ 島根県の懇談会

2006/04/18 中国新聞ニュース

 中国電力が島根原子力発電所2号機(松江市鹿島町)で二〇一〇年度をめどに導入を目指すプルサーマル計画について検討する島根県の懇談会(会長・片山裕之島根大名誉教授)が十八日、松江市であった。意見書を提出した十二人の全委員のうち十人が容認する考えを示した。早ければ今月二十六日の次回懇談会で、プルサーマル導入を容認する報告書がまとまる見通し。

 この日の会合では、これまでの議論を踏まえ、全委員が文書で意見を表明。十二人のうち十人は、国の厳格な安全審査による安全確保、行政や中電の徹底した情報公開や説明などを前提とした上で、「混合酸化物燃料(MOX燃料)の使用にリスクは特別に増さない」「ウラン資源の節約につながる」などと理解を示した。

 一方、反対は一人。「国の核燃料サイクル政策失敗の尻ぬぐいではないか」と疑問を示した。別の一人は、2号機で三月、緊急炉心冷却装置(ECCS)の部品が落下した原因の究明と改善方針が出されていないとして、判断を保留した。

 プルサーマル計画は、中電が昨年九月、県と松江市に事前了解を申し入れた。県は同十一月、懇談会を発足し、国の担当者や専門家六人と賛成、反対両派の県民十人から意見を聞き、議論してきた。澄田信義知事は、懇談会や県議会、市の意向を踏まえて判断するという。

 市は、地域ごとの住民説明会や市議会との合同学習会を継続中で、市民シンポジウムも開催する予定。プルサーマル導入の判断をめぐり、加速する県と、慎重に意見集約する市という構図となっている中、県の懇談会の結論は市の議論にも影響を与えそうだ。(城戸収)

松江市長、プルサーマルで住民説明強調

2006/04/15 山陰中央新報

 中国電力の島根原発2号機でのプルサーマル計画で、松浦正敬松江市長は14日の市原子力発電所環境安全対策協議会で、4月中にも意見書を取りまとめる島根県の検討組織の動向に左右されず、十分に住民説明してから可否判断する方針を示した。

 松江市による住民説明会が継続中で市民はほとんど内容を聞いていない段階で、県の検討組織は議論が出尽くしたとしていることを「住民感情を逆なでする」と指摘した委員の意見に、松浦市長は「その通り」と賛同した。

 その上で「市民の生命、財産を保障する上で慎重に対応する必要がある」とし、今後も予定通りに住民説明会や公開シンポジウム、市議会との勉強会を重ねて、最終判断する意向を示した。

 協議会では、経済産業省の野口哲男参事官が講演。本年度中に計画の受け入れに同意した自治体に総額60億円を交付する核燃料サイクル交付金の要件について「来年度以降は交付金制度の利用状況や必要性を見て考えたい」と述べた。

唐津市 原子力専門家採用へ プルサーマル計画導入受け 市民の安心確保

2006/04/14 西日本新聞朝刊

 唐津市は、13日の市議会プルサーマル特別委員会(進藤健介委員長)で、プルサーマル計画の導入が決まった九州電力玄海原子力発電所(玄海町)に対する市民の安心や安全を確保するため、総務部防災課に原子力専門家を採用する方針を明らかにした。

 同市は合併で玄海原発の隣接地となり、3月26日に九電と県、玄海町が結ぶ安全協定に関与できる確認書を交わした。確認書では必要な場合に、立ち入り調査を県に請求できるようになり、市は原発に詳しい専門家が必要と判断した。採用条件や人数などは今後、詰める。

 坂井俊之市長は、確認書に盛り込まれなかった風評被害や防災対策などについて「議会と相談しながら検討する。確認書の内容を充実させたい」と述べた。

プルサーマルで松江市と市議会が合同学習会

2006/04/05 山陰中央新報

 中国電力が松江市鹿島町の島根原子力発電所2号機で導入を目指すプルサーマル計画について、松江市幹部と市議会の合同学習会が4日、市役所であり、元京都大原子炉実験所講師の小林圭二氏が必要性、安全性の両面で計画の不備を指摘した。

 必要性では、青森県六ケ所村にある使用済み核燃料再処理工場で試験運転が始まったことを受け「再処理でプルトニウムが抽出されるが、プルサーマル実施のめどが立たない中での実施は、余剰プルトニウムを持たないという国際公約に矛盾する」と述べた。

 また、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の使用で、原子炉の制御棒の効きが悪くなると指摘。使用済み混合酸化物燃料(MOX燃料)の処理法が決まっていないにもかかわらず、国が九州電力玄海原発での実施を許可したことには「手順を踏み外している」と批判した。

 講演を聞いた松浦正敬市長は「使用済みMOX燃料の扱いが気になった」と感想を話した。学習会は2月に続き2回目の開催。80人が参加したが、講演が長引き、質疑は省略された。

プルサーマル/準備進むが尽きない不安

2006/04/02 神戸新聞

 青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で、試運転が始まった。

 原子力発電所から出る使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、原発の燃料に再利用するための施設だ。

 工場に保管された約四百三十トンの使用済み核燃料から約四トンのプルトニウムを抽出する。設備の稼動状態や、環境に放出される放射能が影響のないレベルかどうかなどを調べ、本格操業に備える。

 九州、四国電力は先月、玄海原発3号機などのプルサーマル計画で、地元自治体の同意を相次いで取り付け、二〇一〇年ごろからの実施に見通しをつけた。

 プルトニウムを加工した燃料を原発で燃やすプルサーマルと再処理は、一体だ。この二つが動き始めることで、日本が原子力政策の柱と位置づける核燃料サイクルは大きな一歩を踏み出すことになる。

 国内にある五十五基の原発から排出される使用済み燃料は、たまる一方だった。再処理・再利用の方針は、原発に依存する限り、やむをえない選択といえる。

 ただ、残された問題は多く、どれ一つとっても簡単なものはない。後戻りがきかなくなる前に、いま一度、慎重に考えなければならないときだろう。

 たとえば、核燃料の再処理には、膨大なお金がかかる。国の原子力委員会は、向こう数十年に使用済み燃料をすべて再処理したとして四十三兆円かかると試算した。

 そのツケは、電力料金にはね返ってくることは間違いない。

 国は一部埋設処分の選択肢も捨てていないが、方法や安全性をめぐる議論は煮詰まっていない。大地震の危険が指摘され、既存の原発の耐震性が問題視されている。耐震予測のやり直しや抜本対策とともに、埋設に対しても慎重な意見が出始めている。

 プルトニウムは核兵器の原料になるため、余分に保有しないとの国際的取り決めがなされている。日本の平和利用には一定の理解があるとはいえ、プルトニウムの保有量が過剰になる事態は、核管理の点から避けなくてはなるまい。

 そのためにも、プルサーマルと核燃料再処理の「調和」は不可欠だ。電力業界は二〇一〇年までに十六-十八基の原発でプルサーマルを計画するが、まだ見通しは立っていない。電力会社の不祥事が続き、地元などから信頼をなくしているからだ。

 日本は有数の原発大国になったが、ふさわしい透明性と信頼性がまだ不十分だ。プルサーマルへ本格移行するなら、まずこうした課題を克服しなければならない。

プルサーマル許可

2006/03/29 愛媛新聞社Online

 ギリシャ神話のハデスは、冥界つまり死者の国を支配する神だ。いくつか別名を持つうちのひとつに「富める者」の意味のプルトンがある▲

 随分な落差だが、冥界があるとされる大地(地下)の万物を生み育てる力が由来と聞けば納得する。一方、太陽系で最も遠い暗闇にあるとして冥界の王にちなんで命名されたのはプルート、冥王星だ。プルトニウムの名はこの惑星からきている▲

 プルトニウムを原発の使用済み核燃料から取り出し、ウランとの混合酸化物燃料に加工して再利用するのがプルサーマル計画。四国電力が伊方原発3号機で導入をめざすが、ハデスかプルトンか、県民はなお正体をつかみかねている。それをよそにきのう経産相が許可を出し、重要な節目を迎えた▲

 残るは県と伊方町の判断だ。ただ、許可申請の段階で既にゴーサインをにおわせたうえに今回の国のお墨付き。加えて来年度までに同意すれば新たな交付金が出る。目を転じれば青森県六ケ所村の再処理施設が近く試運転を始める。現実は着々と進む▲

 国策に従う姿勢を示してきた加戸知事は、年内に最終判断する考えを示唆した。「富める者」への志向があるなどとは思わない。でも、二〇一〇年度開始という国や電力会社のスケジュールがいやでも見えてしまう▲

 ハデスが別名で呼ばれるのは恐ろしい本名を直接口にするのを避けるためとか。が、プルサーマルは神話でなく現実世界のことだ。何もかもつまびらかにし、時間をかけて県民の不安に向き合ってほしい。

プルサーマル 足りているか国の説明

2006/03/28 中国新聞社説

 度重なる事故や不祥事で立ち往生していたプルサーマル計画に、佐賀県の古川康知事がゴーサインを出した。同意の根拠は国から得た「安全」の言質という。安全の根拠はどこまで示されたのか。計画全体の説明も十分といえるのだろうか。

 プルサーマルは原発で使った核燃料からプルトニウムを取り出してウランと混ぜ、再び原発で利用することをいう。核燃料のリサイクルだ。

 計画が実現すれば、プルトニウムの再利用によりウランを節約できる。核兵器に転用できるプルトニウムを余分に持たない―との国際公約もあり、国が進めている。

 国はもともと、プルトニウムを高速増殖炉で使う構想だった。しかし原型炉「もんじゅ」がナトリウム漏れ事故を起こして開発が頓挫。主役をプルサーマルに移した。電力業界は二〇一〇年度末までに十六―十八基の原発での実施を目標に掲げる。

 先行したのは関西電力と東京電力だった。しかし死傷事故やトラブル隠しの発覚で、実施のめどはたっていない。

 そうした中でトップバッターが佐賀県に巡ってきた。対象は昨年九月に国の許可を得た九州電力玄海原発。立地以降約三十年間、目立ったトラブルはなく、電力会社と地元の関係は悪くないとされる。古川知事も国の政策に理解を示していた。

 古川知事は、(1)賛否双方が出席しての公開討論会が三度開かれた(2)立地する玄海町の同意(3)県議会の推進決議―を同意の背景に挙げた。「手続きは結論と同じぐらいの意味を持つ」と語るように、丁寧な手続きを重視した姿勢は確かに伝わる。

 二月初めには県は「安全宣言」を出した。独自の検証結果といいながら、国と電力会社の見解に沿った内容だった。「われわれの役割は説明や内容が理解できるものなのかをチェックすることだ」。知事の発言からは、地方自治体の限界が透けて見える。

 だからこそ知事は同意表明後の会見で、「大臣が現地を見て、『大丈夫だ』と言ってもらった、そのことに大きな意味があった」と強調したのだろう。同じ日、佐賀県を訪れた二階俊博経済産業相から「安全宣言」を引き出し、安全性について「国の責任」を強く印象づけた。

 「国が安全と言って、県がいいよと言ったのだから、仕方ない」。地元の人たちの声は、不安の解消を大臣の「太鼓判」に頼らざるを得ない現実を突きつける。

 通常の原発の燃料に比べ、プルトニウムは危険性が高いなど、安全への不安が解消したとは言い難い。さらに、プルサーマルで使う混合燃料はウランより一・五―二倍高価とされ、民間に押し付けず国が引き受けるべきだとの意見もあるほどだ。使用済み燃料の処理法も決まっていない。経済性も含めた事業そのものの妥当性について、国民の合意ができているとはいえない。

 原発本体でも、金沢地裁は耐震指針を二十年以上放置していたのは怠慢だと断じた。電力需要の予測も過大だと指摘されて久しい。国策だからと地方に協力を求めるのなら余計に、国は時間をかけて疑問に誠実に答える責任がある。

伊方原発プルサーマル許可

平成18(2006)年03月28日 The Sankei Shimbun夕刊から

 経済産業省原子力安全・保安院は二十八日、四国電力が伊方原発(愛媛県伊方町)3号機で計画しているプルサーマルに必要な原子炉設置変更の許可文書を四国電力に交付した。

 四国電力は地元の了解が得られれば3号機の全燃料の約四分の一に当たる四十体を上限にプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料に取り換え、平成二十二年度までにプルサーマルを開始したいとしている。プルサーマルの国の許可は関西、東京、九州に続き四社目。

 伊方での実施計画は原子力安全委員会と原子力委員会が今月、相次いで安全性や平和利用の担保などについて「妥当」との結論をまとめ、経産相に答申していた。

玄海プルサーマル同意 鹿県内市民団体「拙速」

2006/03/27 南日本新聞 373news.com

 古川康・佐賀県知事らが九州電力玄海原発のプルサーマル計画に正式に同意した26日、脱原発を掲げる鹿児島県内の市民団体からは「拙速すぎる」「事故の危険性が高まる」と反発する声が相次いだ。

 プルサーマルは、既存の軽水炉にプルトニウムとウランを混合した燃料を入れる。川内原発建設反対連絡協議会の荒武重信代表世話人は「事故の危険性が高まる。県議会は(推進決議を可決して)OKしたとはいえ、周辺自治体では納得していない住民も多いはず。もっと慎重に対応すべき」と、知事の対応を批判した。

 自然の灯をともし原発を葬る会の小川美沙子代表は、19日に佐賀市であった反対集会に参加したばかり。「われわれの声には耳を貸さず、国の言い分ばかりを受け入れた。安全性が確認されていないものを交付金目当てに了解するのは無謀。事故が起こったらどう責任をとるのか」と憤った。

 プルサーマル計画について九電は、玄海原発3号機だけに絞って導入し、川内原発1、2号機に拡大する予定はないとしている。

玄海原発:佐賀県知事、プルサーマル計画に同意

2006年03月26日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 九州電力による玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)のプルサーマル計画について、古川康・同県知事は26日、計画への同意書(事前了解書)を九電の松尾新吾社長に手渡した。同日、来県した二階俊博経済産業相が「安全確保」を明言したことを受けて決めた。地元・玄海町の寺田司町長も正式に同意した。玄海原発3号機(加圧水型軽水炉、定格出力118万キロワット)で、プルサーマルが国内初実施される手続きがすべて整った。九電は10年度までの実施を目指す。

 二階経産相は、担当相として初めて玄海原発を視察し、町役場で古川知事や寺田町長らと会談。「安全確保に全力を尽くす。安心いただきたい。検査体制を一層強化する」と述べた。また、既に予算が内示されている来年度からの「核燃料サイクル交付金」とは別に、新たな地元自治体への交付金の創設を約束、地元が要望する地域振興策にも理解を示した。

 これを踏まえ、寺田町長と古川知事が相次いで松尾社長に事前了解書を手渡した。県の了解書には「安全に関する情報公開に積極的に取り組み、透明性を確保すること」など4項目の順守事項を盛り込んだ。

 プルサーマルは「核燃料サイクル」の一環として国が推進する。九電は04年5月に県と玄海町に、「事前了解願」を提出するとともに、国に「原子炉設置変更許可」を申請した。国は05年9月に「計画は妥当」と許可しており、地元同意が焦点だった。

 古川知事は2月に「安全性は確保される」との見解を表明。玄海町は同月、同意の意向を示し、県議会も今月「推進」を決議していた。

 プルサーマルは、東京電力と関西電力がそれぞれ福島、新潟、福井3県で導入を目指し、いったん地元同意を得た。しかし、相次ぐ不祥事などで地元自治体が同意を白紙撤回したり、凍結して計画が頓挫している。

 一方で、中国電力が昨年9月、島根原発(松江市)での実施を目指して島根県と松江市に事前了解を申し入れ、中部電力は浜岡原発(静岡県御前崎市)での実施を国に申請するなど、東京、関西以外の電力会社で実施に向けた動きが進んでいる。【阿部義正】

 ■ことば(プルサーマル) 使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜた混合酸化物(MOX)燃料にして、既存の原子炉で使う発電方式。国の核燃料サイクル政策の一環で、ウラン燃料の有効利用や、核兵器に転用可能なプルトニウムの消費促進が狙い。ただ、炉内で核分裂を加減する役割を持つ制御棒の利きが悪くなるなどとして、安全性に懸念を示す声がある。

4月にプルサーマル説明会 松江

2006/03/19 中国新聞地域ニュース

 松江市鹿島町の島根原子力発電所2号機でのプルサーマル導入を計画している中国電力は、四月十五、十六日と二十二日の三回にわたり、松江市内でプルサーマル説明会を開催する。

 十五日午前十時、鹿島文化ホール(定員二百五十人)▽十六日午後二時、マリンゲートしまね(同百五十人)▽二十二日午後一時、くにびきメッセ(同三百五十人)。

 希望者は申し込みが必要。十九日、市内全域の新聞の折り込みチラシに印刷している参加申込書を切り取り、住所、名前などを書いて、はがきに張って応募。同日から中電のホームページからも申し込める。締め切りは三十一日。定員になり次第締め切り、参加者には、開催一週間前をめどに参加証を郵送する。

 中電が昨年九月、県と松江市にプルサーマル計画の事前了解を申し入れて以降、大規模な住民説明会を主催するのは初めて。説明会では、中電と経済産業省が、計画の概要や安全性、国の政策などを説明。参加申込書に書かれた質問や会場からの質問に答える。

 問い合わせは中電島根支社エネルギー広報担当Tel0852(77)3001。 (城戸収)

石川知事「異存ない」 浜岡原発プルサーマル

2006/03/03 静岡新聞

 中部電力の川口文夫社長は2日、浜岡原子力発電所4号機(御前崎市)でMOX燃料を使用するプルサーマルを2010年から実施するため、国への原子炉設置変更許可申請を3日午前に行うことを石川嘉延知事と県議会の大橋正己議長らに報告した。石川知事は「地元の環境も整ったので、県としても異存はない。国の厳正な審査が適切にされると期待している」と中電の許可申請を受け入れる考えを示した。

 川口社長は石川知事に「地元4市(御前崎、掛川、菊川、牧之原)の理解をいただいたので国への申請を行う予定」と報告。石川知事は了承した上で、「国に対して、透明度と公開度の高い説明を地元と県に行うよう要請する。今後も地元の信頼を獲得できるよう説明を続けてほしい」と中電側に求めた。

 報告後、川口社長は県庁で会見し、「安全協定に基づき、県に連絡した。今後もプルサーマルに理解を求める活動を継続し、安心安全に配慮した発電所運用に努める」と強調した。申請した後、国の安全審査終了後に取り掛かる燃料加工の準備のため、燃料確保の契約作業を進めるなど今後の予定を説明した。

 国への申請は安全協定に基づき、直ちに県と地元に報告される。申請後、経済産業省原子力安全・保安院や原子力委員会などが約1―1年半の審査を行う見込み。

 同社は昨年9月13日にプルサーマル計画を公表し、地元の全戸訪問や地区説明会を通じて住民に計画への理解を求めた。地元4市の市長や正副議長でつくる浜岡原発安全等対策協議会は原子炉設置変更許可申請への意見が分かれて了承を一時見送ったが、先月28日に同協議会が許可申請に合意した。

 当初予定していた昨年中の申請が3月にずれ込んだ点について、川口社長は「2010年に開始するには早い方がいいが3日に申請できれば吸収できる」とスケジュールには変更がないとした。

4市対協、プルサーマル了承の公算 牧之原市議会も大筋容認

2006/02/28 静岡新聞

 中部電力浜岡原発のプルサーマル計画の事実上のスタートとなる国への原子炉設置変更許可申請について、意見がまとまっていなかった牧之原市議会は27日、全員協議会で再協議し、条件付きで容認する姿勢を大筋で確認した。許可申請をめぐっては御前崎、掛川、菊川の各市議会が既に容認の立場を示しており、28日に御前崎市で開く同原発安全等対策協議会(4市対協)で申請が了承される公算が強まった。

 全協では、最終判断を一任されていた大関住男議長が「市長と話をした結果、申請を積極的に容認するわけではないが、国の安全審査を受けるのはやむを得ない―との結論になった」などと説明。議員からは「国の申請許可が下りるまでに、安全協定の見直しや交付金の格差など諸問題を話し合う場を4市対協とは別に設けるべき」など「条件付きでの容認」を主張する意見が多くを占め、一部議員は「結論を急ぐべきではない」といった慎重論や計画自体への反対を訴えた。

 一方、西原茂樹市長は27日開会の市議会2月定例会の施政方針演説で、プルサーマル計画について「安全・安心(対策)は国の責任で実施すること、安全協定の見直しは必要―との考えに変わりはない。今後計画の申請までに結論を出してもらうよう、4市対協の場でお願いしていく」と述べた。

佐賀県、プルサーマル容認へ 知事「安全性は確保」と見解

2006年02月07日 The Sankei Shimbun

 九州電力が玄海原発3号機(佐賀県玄海町)で計画しているプルサーマルについて、佐賀県の古川康(ふるかわ・やすし)知事は7日、「安全性は確保される」とする見解を公表した。玄海町は近く計画に同意するとみられ、県もその後、容認する見通しだ。

 九電は2010年度までの実施を目標にしている。焦点となっていた地元自治体の事前了解が確実になったことで、国の核燃料サイクル政策の要となっている同計画が国内初の実施へ向け動きだすことになる。

 見解で県は、国の安全審査を「厳正かつ慎重に行われた」と評価。制御棒の効きが悪くなることや燃料の安全性、テロの可能性など8項目の論点について、「賛否双方の主張を検討した結果、国や電力事業者の主張の方がより理解でき納得できた」(古川知事)とした。

 九電の安全管理についても「信頼を得る実績で、適切になされている」と評価した。

 玄海原発のプルサーマル計画は、九電が04年5月に国に許可申請し、佐賀県と玄海町には安全協定に基づき事前了解を求めた。国は安全審査を経て昨年9月に許可を出す一方、県は公開討論会を開くなどして計画の必要性や安全性を議論、是非を検討していた。

 古川知事は昨年12月に県が開いた公開討論会の後、「安全性について論点は出尽くした」と述べ、県の見解をまとめる方針を示していた。

 玄海町も町議会での議論を経て町長が計画に同意する見通しが強まっており、知事は「町の意向と、2月の定例県議会を踏まえて最終的な判断をしたい」と述べた。

 プルサーマルでは、先行していた東京電力と関西電力の計画が、事故や不祥事で地元の了解が得られず凍結状態。

 <プルサーマル計画> 原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを、ウランとの混合酸化物(MOX)燃料に加工し、通常の原発(軽水炉)で再び燃やす計画。核燃料サイクルの中核だった高速増殖炉の実用化が原型炉もんじゅの事故で大幅に遅れる中、プルトニウム利用の中心施策となっている。電力業界は2010年度末までに16―18基の原発で実施する目標を掲げ、国は九州電力玄海原発3号機での実施を昨年9月に許可、四国電力伊方原発でも審査が進んでいる。中国電力は島根原発で、中部電力は浜岡原発で、それぞれ実施する計画を公表している。(共同)

電力各社 国内再処理プルトニウム、24年度から使用

平成18(2006)年01月07日 The Sankei Shimbun

 電気事業連合会は六日、青森県六ケ所村の再処理施設で使用済み核燃料から取り出すプルトニウムについて、東京電力、関西電力など電力十一社の利用計画をまとめた。各社とも、取り出したプルトニウムを、平成二十四年度以降、プルサーマル計画によって消費していくことを明確に示した。原発のトラブル隠しによって計画が事実上頓挫している東電も、改めてプルサーマルを実施する計画を盛り込んだ。

 電力各社が出資する日本原燃は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す「アクティブ試験」を二月から始める。国の原子力委員会は各電力に対して、アクティブ試験が始まる前にプルトニウム利用計画の公表を求めていた。来年度以降も毎年一回、翌年度の利用計画を公表する。

 各社の計画によると、平成十七、十八年度の二年間で使用済み燃料二百七十三トンを日本原燃で再処理し、プルトニウムを一・六トン取り出す。日本原燃は取り出したプルトニウムを混合酸化物(MOX)燃料に加工する作業を二十四年度から始める予定で、各電力ともこのMOX燃料を原発で利用していく。

 電事連は平成二十二年度までに全国十六−十八基の原発でプルサーマルを導入する計画。これに伴うプルトニウム消費量は年間五・五−六・五トンとなる見通し。

 当初は海外に再処理を委託したプルトニウムを利用するが、二十四年度以降は国内で再処理したプルトニウムも併用していく。

                   ◇

【用語解説】プルサーマル計画

 使用済み核燃料から燃え残ったプルトニウムとウランを回収し、混合酸化物(MOX)燃料に加工して原発の燃料として再利用する計画。MOX燃料のプルトニウム含有比率は4−9%と小さいが、既存の軽水炉で利用できる。すでにフランスやドイツなどで商用化が進んでいる。


プルサーマル:「MOX燃料加工、今年度中に契約」 関電社長

2003年04月16日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 関西電力の藤洋作社長は16日、栗田幸雄・福井県知事と県庁で会談し、高浜原発(同県高浜町)でのプルサーマルで使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の加工契約について「今年度中に締結したい」と述べた。同社は加工契約を結んで順調に進めば、07年ごろにプルサーマル開始となる見方を示したが、契約先は未定としている。

 同社のMOX燃料は、検査データねつ造の影響で、昨年夏に製造元の英核燃料会社(BNFL)へ返還され、プルサーマルは延期されている。

 今月22日で引退する栗田知事は「県民に(ねつ造による)不信感があり、理解を得る努力が必要」と語り、同社の品質保証体制を厳しくチェックする従来の方針を改めて示し、「慎重に対応すべきであり、新しい知事に伝える」と答えるにとどまった。 【横田信行】

タスマン海でMOX輸送護衛艦が事故か

2002年07月08日 The Sankei Shimbun
 タスマン海のオーストラリア領ロード・ハウ島付近で7日午後10時(日本時間同9時)ごろ、英海軍の駆逐艦ノッティンガムが岩礁に衝突。船体に穴があくなど航行不能となり、同島に接岸した。

 英テレビ、チャンネル4は軍事筋の話として、駆逐艦は日本から英国に向かっているプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料輸送船の警備目的で同海域に展開していた、と報じている。

 救援要請を受けたオーストラリア軍が8日朝から現地に調査チームを派遣し、損傷程度の確認や修理作業に当たっている。(共同)

MOX専用輸送船が英国へ出航

2002年07月04日 The Sankei Shimbun
 関西電力高浜原発(福井県高浜町)4号機用のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料8体を、英核燃料会社(BNFL)へ返還するため、専用輸送船「パシフィック・ピンテール」(5、271トン)に積み込む作業は4日午後、2基目の輸送容器(キャスク)を積んで終了、同船は午後3時半、英国へ出航した。

 関電は「国土交通省の検査結果で、容器は放射線を十分遮へい、表面にも汚染はなく安全性に問題はない」と、最終判断した。

 プルサーマル計画が東京電力の福島第一原発(福島県)や柏崎刈羽原発(新潟県)で難航する中、関電の高本久雄常務は会見で「国策でもあり心変わりなく推進する」と表明。今後の燃料発注について「白紙で取りかかる」と述べ、BNFLも排除しないとの認識を示した。

 255キロのプルトニウムを含む3680キロのMOX燃料を積んだピンテールは、安全確保の面から日本領海内では海上保安庁が警備。公海上では、もう1隻の同型船と相互防衛し輸送。到着時期は9月上旬から中旬ごろの見込み。

 環境保護団体グリーンピースは4日午後、反対派の市民と合流、高浜町や関電にプルサーマル計画反対の要請書を提出した。

 ルートは公海上に出た後に公表予定。チリなどの沿岸国や環境団体は海上輸送に猛反発している。

プルサーマル問題で資源エネ庁が職員を福島県に派遣へ

2001.03.01(20:59)asahi.com
 経済産業省の広瀬勝貞事務次官は1日の記者会見で、福島第1原子力発電所3号機のプルサーマル計画について、「(福島県当局と話し合うため)資源エネルギー庁の課長(原山保人・原子力政策課長)が2日、県庁を訪ねることになった」と述べた。「まずは東京電力と県との話し合いを見守りたいが、国の原子力政策にも関連するため、事務レベルで接触したい」としている。

 プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルは、4月から福島第1原発で実施される予定だったが、佐藤栄佐久知事が先月26日、「当面はあり得ないと考えている」として、計画を受け入れない考えを県議会で表明。計画は見通しが立たなくなった。

 知事発言の背景には、同県内の広野火力発電所5、6号機の建設を凍結する、という東電の決定がある。これに「原子力推進への協力と(重要な地元の財源となる)広野火力の増設は一体」ととらえていた県が反発した。核燃料サイクルの実現をめざす国にも痛手となり、エネルギー庁は危機感を強めていた。

福島原発のプルサーマル実施「当面あり得ぬ」と知事明言

2001.02.26(19:56)asahi.com
 東京電力福島第1原発3号機(福島県双葉町)のプルサーマル計画を巡り、佐藤栄佐久福島県知事は26日の同県議会本会議での代表質問に答え、「当面は、あり得ないと考えている」と述べた。計画は東電が4月からの定期検査に合わせ、全国で初めて実施しようとしていたが、見通しが立たない状況になった。佐藤知事の発言の背景には、東電が打ち出した新規発電所建設凍結に、広野火力発電所5・6号機(同県広野町)が含まれていることへの反発がある。

 佐藤知事は、この日の答弁で、「プルサーマル導入への理解が回復したとはいえない」としたうえで、東電の新規発電所建設凍結方針に関連し「核燃料サイクルを含めたエネルギー政策に不信感を招いた」と述べ、こうした状況でのプルサーマル実施は困難と結論付けた。

 プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマル計画は、関西電力高浜原発(福井県高浜町)とともに、福島第1原発3号機で昨春、導入が予定されていた。茨城県東海村の臨界事故や関西電力用のMOXデータねつ造発覚で、東電はプルサーマル実施を延期した。

 東電の新規発電所建設凍結の方針が公表されて以来、佐藤知事はプルサーマル実施について「腰を落ちつけて判断したい」などと述べ、国のエネルギー政策全般を見直すべきだとの考えを示していた。

 広野火力発電所5・6号機が凍結された場合、地元には、初年度の固定資産税だけをとっても、20億円以上の税収が凍結されることになる。このため、地元自治体などに凍結反対の動きが広がっている。

プルサーマル計画、福島県知事が慎重姿勢

2001.02.14(21:43)asahi.com
 東京電力の新規発電所建設凍結の方針に関連し、福島県の佐藤栄佐久知事は14日、同県浪江町での講演で、広野火力発電所(同県広野町)の建設凍結を批判するとともに、東電が福島第一原発3号機で予定しているプルサーマル計画について「原発は100年、1000年の問題。腰を落ち着けて判断させていただきたい」と述べた。この計画は、東電が、福島第一原発3号機で今春にも全国で初めて導入しようとしていたが、佐藤知事が慎重な姿勢を明らかにしたことで、大幅に遅れるのは必至の情勢となった。

 佐藤知事は講演後、記者団に「時間がどうこうとか、1年延期するとかいう問題ではない。県民、国民が理解していない」と答えた。

 プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマル計画は、関西電力高浜原発(福井県高浜町)とともに、福島第一原発3号機で昨春、導入が計画されていた。その後、関西電力用のMOX燃料のデータねつ造が発覚、茨城県東海村の臨界事故が起き、東電が導入を延期していた。

MOX輸送船がフランスを出港、東京電力柏崎刈羽原発へ

2001.01.20(11:53)asahi.com
 日本向けのプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を積み込んだ英武装輸送船パシフィック・ピンテールが19日夕(日本時間20日未明)、フランス北西部シェルブール港を出発した。同船は海上で待機中のもう一つの英武装輸送船パシフィック・ティールと合流し、2隻で相互に護衛しながら日本に向かう。

 欧州から日本へのMOX燃料輸送は1999年7月に続き2回目。輸送されるのはベルギーのベルゴニュークリア社製のMOX燃料28体で、東京電力柏崎刈羽原発3号機で計画しているプルサーマル発電に使われる予定。

 国際環境団体グリーンピースがゴムボートなどに乗り込み、出港停止を求める海上抗議デモを展開したが、警備当局に排除された。

刈羽原発の住民投票、村議らが直接請求へ

2001.01.09(22:13)asahi.com
 東京電力柏崎刈羽原発でのプルサーマル計画実施の是非を問う住民投票の実現を目指す新潟県刈羽村の村議9人は9日夜、村内で会合を開き、住民投票条例の制定を求める直接請求の署名集めを2月にも開始することを決めた。

 同村では昨年12月26日に、議員提案された住民投票条例案が賛成9、反対8で1度は可決された。しかし、品田宏夫村長が議会に差し戻し、再び審議された1月5日の本会議では可決に必要な出席議員の3分の2以上の賛成を得られずに廃案となっていた。

核燃料容器の検査期限切れ、電力5社1年過ぎ正式公表

2001.01.05(22:12)asahi.com
 原子力発電所から出る使用済み核燃料の輸送容器の定期検査を期限内にしていなかった問題で運輸省から指導を受けた東京、関西、東北、中部各電力と日本原子力発電の5社が5日、事実関係を正式に発表した。各社は1999年12月に検査の期限切れを知って運輸省などに報告したまま事実を公表していなかったが、2000年12月に反原発団体などの調査で発覚し、発生から1年以上過ぎてようやく公表した。

 正式公表とともに、原発を持つ電力9社と日本原電は、海外に保管する容器の検査管理を強化する考えを運輸省などに報告した。

 公表を避けていた理由について電力各社でつくる電気事業連合会は「対象の容器は当面使う予定がなく、安全面の影響がなかったため」と話しているが、期限切れが各社内でわかった当時は海外で再処理した燃料のデータ不正が発覚した直後で、反原発団体などには「批判拡大を恐れた」との見方が広がっている。

プルサーマル計画問う住民投票、困難に 新潟・刈羽村

2001.01.02(22:12)asahi.com
 新潟県刈羽村の品田宏夫村長は2日、同村議会が昨年末に可決した東京電力柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)でのプルサーマル計画実施の是非を問う住民投票条例を村議会に差し戻し、再議に付すと発表した。5日に臨時村議会を開いて再審議する予定。首長が再議権を行使した場合、成立には出席議員の3分の2以上の賛成が必要になることから、プルサーマル計画をめぐる全国初の住民投票の実施は事実上、難しくなった。

 記者会見した品田村長は、1999年に同村や柏崎市、県が安全協定に基づくプルサーマル計画の実施受け入れを表明していることを挙げ、「すでに村としての意思を表明している。それに影響を及ぼすことをするのはいかがなものか。(条例には)首長の権限を侵す部分もあり、議会に慎重な審議をお願いする」と理由を述べた。

 これに対し、住民投票の実現を目指す池田力村議は「村の受け入れ表明後に臨界事故などが起きて住民の意識は変わっている。村長は村民主体ではなく、国の言いなりで動いている」と反発している。

 条例案は昨年12月26日、同村議会に議員提案され、賛成9反対8の小差で可決された。

 地方自治法は、議会での条例の制定や改廃、予算に関する議決について異議があるとき、首長は条例の送付を受けた日から10日以内に理由を示して再議に付すことができると定めている。再議の場合、出席議員の3分の2以上の賛成がないと可決されない。

プルサーマル住民投票条例を可決 新潟県刈羽村議会

2000.12.26(20:21)asahi.com
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)で来年から予定されているプルサーマル計画実施の是非を問う住民投票条例案が26日、刈羽村議会に議員提案され、賛成9反対8で可決、成立した。ウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル計画の是非について住民投票が実施されれば全国初。ただし、自治体の首長は条例に異議があれば再議に付すことが可能で、今後は品田宏夫村長の対応が焦点になる。品田村長は「議会の意思を重く受け止めて、慎重に対処したい」とだけ答え、明言を避けた。

 条例が公布されれば来年3月上旬に住民投票が実施されることになる。住民投票では(1)賛成(2)反対(3)使用済み核燃料の最終処分を含む核燃料サイクルが確立するまで保留――の3つの選択肢から選び、村長と議会は投票結果を尊重しなければならないとしている。

 同村議会は昨年3月、村民が直接請求した住民投票条例案を否決。その後、同村は県、柏崎市とともに安全協定に基づく計画の受け入れを表明し、プルサーマル計画導入に向けた地元の手続きは終わっている。だが、昨年4月の村議選で計画反対派の村議が増えたほか、臨界事故や燃料製造データの改ざん問題などで実施に慎重な意見が村内に広がっていた。

 条例案を提案した石黒健吾村議は「受け入れ表明後に臨界事故が起きて村民の意識が変わってきた。村民の意思を問い、反対や保留が多数を占めた場合は村に計画撤回を求めていく」と話している。

 プルサーマル計画は東電福島第1原発と関西電力高浜原発でも計画されているが、燃料製造データの改ざん問題などがあり、実施は遅れている。柏崎刈羽原発では来年4―7月の定期検査後に実施する方向で準備を進めている。

MOX燃料加工 事業主体化を報告/日本原燃

2000.11.20 The sankei shimbun
 日本原燃(青森市)は二十日、プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料の加工工場の事業主体になることを青森県と六ケ所村に報告した。

 MOX燃料加工工場は、使用済み核燃料を再処理して回収したプルトニウムとウランを原発(軽水炉)で再利用するためMOX燃料に加工する施設。

 計画では、工場は同県六ケ所村の再処理工場の隣接地に建設。再処理工場の本格稼働から三−四年後の平成二十−二十一年ごろの稼働を目指す。

福島第1原発のMOX燃料使用差し止めを求め提訴

2000.08.09(20:08)asahi.com
 東京電力が福島第1原発3号機(福島県大熊町)で予定しているプルサーマル計画に対し、福島県や東京都の市民団体などの呼びかけに賛同した約860人が、計画に使われるプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料の使用差し止めを求める仮処分を9日、福島地裁に申請した。呼びかけていたのは地元の市民団体「ストップ!プルトニウム・キャンペーン」(林加奈子代表)や東京の原子力資料情報室、グリーンピース・ジャパンなど。

 原告側は申立書で「東電の情報公開は不十分で、データも加工されており、品質管理などに不正の疑いがある」として、燃料を炉に入れる装荷の中止を求めている。

 福島第1原発でのプルサーマル計画は当初、今年2月の発電開始を目指し、昨年9月にベルギー社製の燃料が運び込まれた。その後、茨城県東海村で臨界事故が起き、関西電力高浜原発(福井県高浜町)では使用する英核燃料会社製の燃料データにねつ造が発覚。東電は「安全性を確認する」として、計画の実施を延期している。

 さらに福島第1原発では先月21日に、茨城県沖を震源とする地震で、6号機のタービン系の配管が破断して手動停止したのをはじめ、同2号機、第2原発4号機でも手動停止が相次いだことから、原告側は「耐震性などにも問題がある。準備書面の中で取り上げたい」としている。

 これに対し、東電側は「MOX燃料の安全性には、問題はないと考えている」というコメントを出した。

データねつ造のMOX燃料、英側へ返却で合意

2000.07.07(03:07)asahi.com
 福井県の関西電力高浜原発で使う予定だったプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料をめぐり、製造元の英核燃料会社(BNFL)が品質検査データをねつ造、異物を混入させていた問題で、政府は6日までに、同原発に搬入済みの燃料を英側に返却することで英国政府と合意した。来週にも、英貿易産業省の担当局長が外務省や通産省資源エネルギー庁を訪ね、確認する。

 核燃料の国際輸送には、日米原子力協定に基づき米国政府の同意が必要なうえ、海上輸送ルートをめぐって沿岸諸国との調整なども必要なため、外務省は実際の返却は来年以降になるとみている。

 一連のデータねつ造は昨年9月、BNFLの検査員の1人が自供して発覚した。日本は、ふつうの原発でMOX燃料を燃やすプルサーマルを昨年末、まず関電高浜原発で始める計画だった。しかし、データねつ造問題で、この計画は大幅な延期に追い込まれた。

 関西電力をはじめとする日本側は「BNFLの信頼回復」を問題解決の条件とし、搬入済み燃料の英国への返却を強く求めていた。

 英側は、搬入済みの燃料については「安全性は確保されている」などと主張。日本側と対立していた。今回の合意によって、プルサーマル計画実施へ向けた糸口が、ようやく見いだせたことになる。

MOX燃料データねつ造問題の再発防止案がまとまる

2000.06.22(20:59)asahi.com
 関西電力高浜原発(福井県高浜町)のプルサーマル計画で使う予定だったプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の検査データねつ造・異物混入問題で、通産相の諮問機関である「MOX燃料データ問題検討委員会」(委員長、近藤駿介・東大教授)が22日、再発防止策をまとめた。電力会社が海外メーカーのMOX燃料製造に関する品質保証活動をチェックする際は当面の間、現地の第三者機関を使って信頼性を高めることなどを柱としている。

 防止策はこのほか、通産省・資源エネルギー庁などが今後とるべき措置として、(1)海外メーカーが燃料体を実際に製造する前(設計段階)に電力会社に品質保証計画を提出させる(2)問題がある場合はその時点で是正措置を講じる――ことなどを提言した。これを受けて同庁は7月末までに通産省令を改正するなどして、提言の内容を盛り込む方針だ。

 委員会は、通産省が必要と判断した場合は同省自らが海外メーカーを監督・検査できるよう事業者間の契約で担保させる必要性も指摘している。同省もその方向で具体策を検討する。

 こうした一連の改正によって、輸入燃料体検査は従来に比べて一定程度厳しくなるとみられる。その一方で、資源エネルギー庁は「新たな検査制度がスタートしても英核燃料会社(BNFL)による今回のような意図的なねつ造行為を100パーセント防ぐことは事実上難しい」と認めてもいる。

 再発防止策の柱となる「第三者機関によるチェック」についても、海外の第三者機関自身の適格性をどう審査し、信頼性と実効性をいかに担保するかは今後の課題として残る。

ロシアの解体核処分などで協力拡充 日米が合意

9:47p.m. JST May 04, 2000 asahi.com
 米国を訪問中の中曽根弘文科学技術庁長官は3日、リチャードソン米エネルギー長官と会談し、ロシアの解体核から出るプルトニウムの処分をめぐる研究で日米がさらに協力することで合意した。また、米国は、日本が進める原子力発電所の使用済み燃料の再処理計画を認める方針に変更がないことを確認、原子力分野での日米協力をさらに進めることで意見が一致した。

 米ロ間の大きな懸案であるロシアの核兵器解体で出たプルトニウムの処分では、新たに高温ガス炉を使う方法について、日本がロシアに研究協力することになった。

 日ロ間では、プルトニウムをウランとの混合酸化物(MOX)燃料にしてロシアの高速炉BN600で燃やす共同実験が研究所レベルで始まっているが、これも拡充するため、BN600の炉心改造も視野に入れて日米の働きかけを強める。

 また、米ロが、ロシアの原発から出る使用済み燃料の再処理のモラトリアム(一時停止)に合意したことに関連して、日本などの再処理政策についても米側が厳しい方針で臨むのではないかとの憶測が広がったことから、リチャードソン長官は、米国の方針に変更のないことを確認した。

 一方、米国が離脱した国際熱核融合実験炉(ITER)の建設計画について、両国はその重要性を確認、日本側は米国の復帰を歓迎したいと述べ、将来の研究協力に含みを残した。

 今回、中曽根長官は、茨城県東海村で起こった臨界事故の際の米国からの協力に謝意を表明した。

MOX返還で英に内部対立

2000年4月8日 16時41分【リズリー共同】
 英国核燃料会社(BNFL)のジェレミー・ライクロフト営業企画本部長は7日、英国中西部リズリーの本社で共同通信と会見、データねつ造があった関西電力高浜原発のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の英国への引き取りをめぐり、前向きな同社と消極的な英政府の間で対立が生じていることを明らかにした。

英核燃料会社の一部民営化延期へ

7:20p.m. JST March 30, 2000
 英国のリデル・エネルギー担当相は29日、英核燃料会社(BNFL)の一部民営化を延期する方針を発表した。日本向けのプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の検査データねつ造などトラブルが続き、早期の民営化は不可能と判断したとみられる。

 英政府は100%出資しているBNFLの株式の49%を、早ければ来年中に実施される総選挙までに売却する計画だった。

 リデル同担当相は英下院への書面回答で、データねつ造があったイングランド北部セラフィールドの核燃料再処理施設の安全性向上について十分な回答が得られるまで民営化を延期するとし、民営化は「早くても2002年後半になるだろう」と述べた。

 データねつ造事件が明るみになった後、ドイツがMOX燃料の輸入停止を表明。スウェーデンとスイスが使用済み燃料の搬入を中止した。また、デンマークとアイルランドが海洋汚染を理由にセラフィールド工場の操業停止を英政府に求めている。

 英国内では、BNFL民営化で、トラブル続きのセラフィールド工場が閉鎖に追い込まれるとの懸念があった。このため、延期の決定を労組は「問題の沈静化に向けて時間が得られた」と歓迎している。

2国が英核燃料会社の再処理工場に操業停止要求へ

7:27p.m. JST March 28, 2000
 アイルランドとデンマークは27日、日本向けウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の検査データねつ造などトラブルが続く英核燃料会社(BNFL)のセラフィールド再処理工場の操業停止を英国政府に求めることで合意した。同工場については、放射性廃棄物が海洋汚染を引き起こしているとして、北欧諸国を中心に批判が高まっている。

 ダブリンで会談したアイルランドのジェイコブ・エネルギー担当相とデンマークのアウケン環境エネルギー相は、今年6月に開かれる海洋汚染防止の国際機関オスパー委員会(欧州15カ国と欧州連合が加盟)の総会で、放射能汚染がないことが確認されるまで操業を停止するよう提案することを決めた。

 同工場は廃棄物をアイルランド海に排出しており、対岸のアイルランドのほか、ノルウェーとアイスランドなどが「漁場が放射能汚染されている」と警告している。総会決議が法的効力を持つには当事国の英国の賛成も必要なため、操業停止が決まる可能性は低いが、環境面での国際的批判が高まるのは確実だ。ジェイコブ氏はこの日、「セラフィールドの終わりの始まりになるだろう」と述べ、アイルランドが工場閉鎖も求めていくことを示唆した。

プルサーマル、MOX燃料についてby エネルギーの部屋

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