TOPIC No.2-30b '99年10-11月コンクリ落下/窓ガラスにひび/JR

新幹線高架橋を追加調査へ

1999年11月18日 19時59分 共同通信社
 コンクリート片の落下事故が相次いだJR山陽新幹線の高架橋の補修方法などを検討している「山陽新幹線コンクリート構造物検討委員会」の2回目の会合が18日、東京都内で開かれ、年明けまでに高架橋などを対象に追加調査を実施、補修工法を探っていくことを決めた。追加調査を実施するのは、けたや橋脚が一体となった構造を持つラーメン高架橋6カ所と河川や道路をまたぐ橋りょう120カ所。

ひび割れ原因の調査指示

1999年11月15日 18時54分 共同通信社
 山陽新幹線車両の窓ガラスが相次いでひび割れた問題で、運輸省の梅崎寿事務次官は15日の定例会見で、詳細な原因調査と対策の確立をJR西日本に指示したことを明らかにした。

トンネル総点検を公開

1999年11月13日 10時03分 共同通信社
 山陽新幹線のコンクリート壁崩落事故を受けたトンネル総点検で、JR西日本は13日未明、小倉―博多間の福岡トンネル,(長さ約8.5キロ)と、岡山―新倉敷間の酒津トンネル,(約1.6キロ)の打音検査の作業現場を報道関係者に公開した。

新岩国―広島間走行中のひかりで異常音、異状みつからず

00:18a.m. JST November 10, 1999
 9日午後7時55分ごろ、山口県岩国市内の山陽新幹線新岩国―広島間を走行していた博多発新大阪行き上り「ひかり364号」(16両編成、乗客約400人)の乗客が、列車の屋根上から「ドン、ドン、ドン」という異常音を聞き、約30分後に車掌に連絡した。JR西日本によると、臨時停車させた新倉敷と、岡山の両駅で、乗務員らが屋根上を点検したが、異状は見られなかった。異常音はトンネル内であったといい、同社は、推定される同区間の2本のトンネル(計約6.3キロ)を徒歩点検したが、落下物などはなかった。この影響で上下線に5分程度の遅れが出た。

JR在来線や私鉄などでも1855カ所の施工不良部分

10:50p.m. JST November 09, 1999
 JR山陽新幹線の福岡トンネルで今年6月にコンクリート塊が落下した事故を受け、運輸省がJRや私鉄、地下鉄各社に指示していたトンネルなどの総点検の中間結果が9日、まとまった。新幹線以外のJR在来線で計1119カ所、私鉄や地下鉄でも計736カ所のコールドジョイントと呼ばれる施工不良部分が見つかった。うち計106カ所で内部の強度に危険性の疑いがあるとされる濁った音が確認されたため、補強作業を進めている。総点検は、10月末までに約7割が済んでおり、年内に完了する予定。運輸省鉄道局は「今すぐ落下するような危険なものではないが、できるだけ早く予防措置をとるよう鉄道会社に求めていく」としている。

 10月に山陽新幹線の北九州トンネルで発生したコンクリート塊落下事故の原因とされるコンクリート打ち込み口の突起も、神奈川県の湘南モノレールなど計5社の20のトンネルで見つかった。亀裂などが見つかった6カ所については、たたき落とした。

 総点検は、108社の全トンネル計4470本を対象に進められている。

 JRの在来線では、西日本がコールドジョイント495カ所、異常音31カ所で最も多く、東日本でもコールドジョイント358カ所、異常音18カ所が見つかった。私鉄では、東京急行と近畿日本鉄道で60カ所を超えるコールドジョイントが見つかり、各11カ所で異常音がした。

JR北海道の海峡線トンネルでコンクリート片が落下

10:55p.m. JST November 08, 1999
 JR北海道は8日、本州と北海道を結ぶ海峡線の青森県東津軽郡今別町今別のトンネル内でコンクリート片が落下しているのを5日、巡回中の作業員が見つけた、と発表した。コンクリート片は縦横が25センチと20センチ、厚さは最大5センチで、重さ約1.2キロ。天井部分からはがれていた。JR北海道は、「作業員の目視などで、トンネル内にひび割れはないことを確認したため、安全と判断した」として、列車の運行を続けたが、9日未明に改めて検査をする。

 同社によると、コンクリート片は5日午後3時ごろ、第2今別トンネル(延長690メートル)の青森側の入り口から145メートルの地点で見つかった。トンネルの最も高い8メートルの部分から、上り線と下り線の間にある幅約1メートルの「安全通路」と呼ばれる溝に落ちていたという。この際、ひび割れがないかを作業員が目で探したほか、同じ日の午後7時過ぎにも、改めて投光器でトンネル内を照らし、ひび割れなどをさがしたが見つからなかったため、安全と判断したという。列車は5日以降も通常通り運行を続けている。

 落下についての発表が発見の3日後になったことについて、「本社に連絡があったのが今日午前10時過ぎ。現場が落下物を確認後、報告がなされず残念だ」と説明している。

JR北海道は9日午前1時半から、改めてトンネル内を検査する。今度はハンマーを使って壁面を叩くなどして安全確認をするが、ダイヤに影響は出ないという。

 第2今別トンネルは、1983年4月着工、85年7月に完成した。青函トンネルの青森県側出口から5つめのトンネル。

 トンネル内を最後に点検したのは、9月13日だという。

 落下したコンクリート片を発見したのは、青函トンネル工務所今別管理室の作業員。5日中に同工務所長に情報が伝わっていたが、所長は通常の報告案件として扱い、土日をはさんで週明けの8日朝に本社に連絡した。

 山陽新幹線で大量にコンクリートが落下する原因となった「コールドジョイント」とは違うとしている。ただ、なぜ落下したかについてはわからないとしており、9日にも鉄道総合技術研究所の職員が調査する予定。

 落下した部分と同じ構造を持つトンネルは、落下があったトンネルを含めて2本あるが、青函トンネルにはこうした構造はないという。

 5日午後3時にコンクリート片が発見されてから、9日午前1時半の検査開始までの間に上下あわせて336本の列車が同じトンネルを通過した。

山陽新幹線の広島―博多間、トンネル総点検で部分運休

6:59p.m. JST November 08, 1999
 JR西日本は8日夜、山陽新幹線・北九州トンネル内でのコンクリート塊落下事故をきっかけに始まったトンネル総点検にあわせて、広島―博多間で深夜の一部列車の運転を取りやめる部分運休を始める。午後10時以降に同区間を走る上下計10本が運休する。総点検の終わる12月15日まで計38日間に及ぶ予定。山陽新幹線が事故や自然災害以外の理由で部分運休するのは1975年の全線開業以来初めてだ。10月25日から始まっている142本すべてのトンネルを対象にした緊急総点検も本格化する。

 JR西日本によると、この日から運休するのは、下りが午後6時52分東京発の博多行き「のぞみ27号」など6本。上りが同9時40分博多発の広島行き「こだま588号」など4本。いずれも広島―博多間を中心に運転を取りやめた。運休期間中は、午後11時までに上下2本の臨時列車を運行するほか、並行するJR山陽線などの在来線でも広島―下関、博多間に上下3本の快速列車を増発する。快速の運転が深夜となるため、主要停車駅から最寄り駅まで運ぶための臨時バスも12便走らせる。JR九州も、在来線の小倉―博多間で上下5本の特急列車を増発する。運休による影響人員は1日約1500人とみられている。

 JR西日本は10月9日の北九州トンネル事故後、すべてのトンネルを総点検することを決めた。当初は最終列車通過後の午前零時から始発列車が運転を始める午前6時までの点検で十分と主張してきた。しかし、71本のトンネルがある広島―博多間は、6月末の福岡トンネル事故の一因とされる施工不良個所「コールドジョイント」の異状音個所が全線の7割を占めて点検作業に時間がかかる可能性が高く、作業時間を広げるために部分運休へと方針を転換した。

JR西日本 8日から部分運休

1999年11月7日 14時20分 共同通信社
 山陽新幹線で相次いだトンネル壁崩落事故を受けて10月25日から続いているトンネル総点検に伴い、JR西日本は8日深夜から、同新幹線広島―博多間で連日、上下計9本を運休(部分運休を含む)し、在来線扱いの博多南線(博多―博多南)でも下り1本を運休する。

 部分運休は12月25日の総点検終了まで続き、1日当たりの影響人員は約1500人。

JR東北新幹線 高架橋からコンクリ片

1999年11月6日 11時37分 共同通信社
 5日午後11時50分ごろ、埼玉県伊奈町のJR東北新幹線大宮―小山間の高架橋の下にコンクリート片が落ちているのを、下を通る埼玉新都市交通の運転士が発見、JR東日本に通報した。

 JR係員が6日未明、高さ約6メートルの橋脚上部にコンクリートがはく離した跡を確認したが、橋の強度などには問題はなく、新幹線、埼玉新都市交通ともに運行に影響はなかった。

タヌキひき一時停止、山陽新幹線に遅れ

00:03a.m. JST November 01, 1999
 31日午後8時すぎ、JR山陽新幹線の新大阪発博多行き「ひかり559号」が東広島―広島駅間を走行中、先頭の1号車床下付近で運転士が「ドン」という音を聞いたため、現場で停車した。車掌が床下を点検したが異常は見つからず、運転を再開。12分遅れで広島駅に到着した。このため、上下計6本が最高12分遅れ、乗客約2200人に影響が出た。

 JR西日本によると、近くでタヌキの死がいが発見された。ひかりにひかれたとみられる。(時事)

天井からクーラー部品落下し乗客けが JR東海道線

7:41p.m. JST October 31, 1999
 31日午前11時ごろ、JR東海道線の三ノ宮―芦屋間を走行していた姫路発近江今津行の新快速電車(12両編成、乗客約800人)の車内で、天井からクーラーの部品が落下、女性客(26)がみけんにかすり傷を負った。JR西日本が落ちた原因を調べている。

  同社によると、落下した部品はクーラー吹き出し口のはめ込み式のアルミ製カバーで、長さ約2.8メートル、幅約5センチ、重さ約2.2キロ。女性からの申し出を受け、同社が調べたところ、後ろから5両目の車内に部品が落ちていたという。(時事)

JR長崎線のトンネルでモルタル塊落下 約260キロ

0:24p.m. JST October 30, 1999
 29日午後7時半ごろ、長崎県多良見町のJR長崎線市布―肥前古賀間の向トンネル(長さ約1250メートル)の市布側入口から約160メートル地点で、線路わきにモルタルの塊が落ちているのを諫早発長崎行き普通列車
(3両)の運転士が見つけた。落下部分は延べ約10メートル(重さ約260キロ)に及んでいた。列車は現場に17分停車した後、運転を再開したが、後続の10本に影響が出た。JR九州は運行終了後から30日の始発までの間、同トンネルと、長崎線の5つのトンネルで同様の施工をした部分の点検をした。ハンマーで内壁をたたいて調べる打音検査をした向トンネルでは、ほかに80メートルにわたって不良部分が見つかり、ハンマーでたたき落とした。

 JR九州によると、モルタル塊は一辺が最大約20センチの三角柱状だった。向トンネルは1971年完成。ほぼ垂直の側壁(高さ約3メートル)にアーチ状の天井部が載った構造で、工法上、継ぎ目に生じる溝をモルタルで埋めて、内壁の表面を整えてある。この部分がはがれ落ちた。JR九州工事課によると、落下部分約10メートルの重さは約260キロ。26日昼に、4日に1度の線路巡回をした際には、落下物はなかったという。

 同社は「今回はJR西日本の山陽新幹線のトンネルで相次いだコンクリート片の落下とは性質が違う」と話している。30日はダイヤ通り運行しているが、同トンネル内は速度を通常の時速120キロから45キロに落として徐行している。

 同トンネルでは30日午前1時から、JR職員ら計27人が点検などの作業にあたった。作業車両に乗って、接合部を中心に打音検査をした結果、不良個所は落下部分のほか、延べ約80メートルに及んだ。不良個所はハンマーでさらに強打するなどしてたたき落とした。打音検査の最中に、数メートル規模で続いて崩れた部分もあった。

 向トンネルについては、2年に1回、目視と打音の定期検査をしている。9月28日未明には、目視と、異常部分の打音検査をし、4月と7月にも目視中心の検査をしたが、異常はなかったという。同社は「継ぎ目に埋めたモルタルは、特別な検査項目には入れていなかった」と話している。モルタルが落ちた後の空洞部分の処置や、再発防止策は未定という。

 JR九州では今年2月、大分県湯布院町の久大線津々良トンネルで、70年の補修の際に吹き付けた天井部分のモルタルがはがれ落ちて線路を覆い、列車が乗り上げて脱線した。

 この事故を受けて、同社は補強工事で内壁にモルタルを吹き付けたトンネル(132カ所)すべてで、5月末までに目視と打音による検査を終えていた。向トンネルではモルタル吹き付けの補修はしていないため、この検査の対象外だった。

上越新幹線でまたまたコンクリ片落下 高崎の高架橋

9:08p.m. JST October 28, 1999
 28日午後4時48分ごろ、群馬県高崎市緑町1丁目の上越新幹線高架橋下にコンクリート片2つが落ちていると、近所の人からJR東日本高崎支社に通報があった。

 同支社によると、落ちていたコンクリート片は、1つが長さ6センチ、幅6センチ、厚さ2センチで71グラム、もう1つが長さ4センチ、幅3センチ、厚さ1.5センチで18グラム。高さ約10メートルの高架橋横けた下側の角がはがれていた。高架下は駐車場だが、被害はなかったという。現場は高崎駅から上毛高原駅方向に約3.5キロ。

コールドジョイント、全国の道路トンネルで4549カ所

7:48p.m. JST October 26, 1999
  山陽新幹線トンネルのコンクリート崩落事故を受けて、全国の道路トンネルの点検を進めていた建設省は26日、点検結果をまとめた。目視点検の結果「コールドジョイント」が435のトンネルで、4549カ所見つかった。このうち、ハンマーでたたく打音検査をした結果、74トンネル、145カ所でひびわれや漏水などの異常が見つかった。異常個所について、建設省は表面のコンクリートをたたき落としたり、はく離防止など応急対策に乗り出した。

 点検の対象になったのは、すべての高速道路と国の直轄管理の国道にある2324トンネルと、都道府県が管理する国道や地方道の6115トンネルのうち、事故が起きた山陽新幹線のトンネルと同じ1970年代に作られた1205の合計3529のトンネル。建設省は7月、各道路管理者に点検を指示していた。

 コールドジョイントは、高速道路で3トンネル4カ所、直轄国道で105トンネル2370カ所、そのほかの国道や地方道で327トンネル2175カ所あった。

 見つかったコールドジョイントをハンマーでたいて検査した結果、高速道路では異常はなかったが、直轄国道で30トンネル65カ所で、そのほかの道路で44トンネル80カ所でひび割れなどの異常が見つかった。

 建設省は、はく離の防止や漏水防止などの緊急工事に取りかかるほか、定期点検を強化する。また、学識経験者による「道路トンネル耐久性検討委員会」を作り、トンネルの維持点検方法の検討などを行う。

高知県 阿佐線でコンクリ片落下

1999年10月26日 14時45分 共同通信社
 高知県南国市―奈半利町間で建設中の阿佐線で、建設から20年以上たった高架橋の防音壁からコンクリート片が落下していたことが26日、分かった。日本鉄道建設公団夜須鉄道建設所は「詳しい原因を調査して対策を講じたい」と話している。同建設所によると,今年7月、同県香我美町の高架橋の下に長さ約10センチのコンクリート片数個が落ちているのを住民が見つけた。

JR総武線でもコンクリ片落下 千葉−西千葉間の高架橋

11:54p.m. JST October 25, 1999
 千葉市中央区春日1丁目のJR総武線千葉―西千葉間で25日、高架橋の橋げたから7つのコンクリート片(重さ計約2キロ)が上り線のレール付近に落ちていたことが、JR東日本千葉支社の調べでわかった。けが人はなかった。

 同社によると、コンクリートは重さ1.1キロから20グラムのものまで計7個。最大のものは台形で幅が8―13センチ、長さ14センチ、厚さ7センチ。レールから約2.5メートル離れた場所に散らばっていた。この日午後4時半ごろ、現場付近を通過した上り特急「成田エクスプレス」の運転士が見つけ、同社に連絡したという。真上の橋げたの地上5.3メートルの部分が欠けて鉄筋の一部が見えており、ここから落下したとみられる。

 この高架橋は、1981年に完成。高架橋上は、総武線の下り電車が走り、その下を上り電車が通過している。定期点検は昨年5月が最後で、このときは異状は報告されなかったという。

 同社は、同日夜から高架橋の調査を始めた。

山陽新幹線の運行一部停止

1999年10月25日 14時32分 共同通信社
 山陽新幹線(新大阪―博多)の福岡、北九州両トンネルでのコンクリート壁崩落事故を受け、JR西日本は25日、一部区間で列車の運転終了時間を約1時間繰り上げ、全142トンネルの本格的な点検、補修作業を25日から実施すると発表した。

一連の事故などを通じてトンネルのコンクリートの著しい劣化が判明したことによる異例の措置。

山陽新幹線が部分運休へ

1999年10月25日 14時23分 共同通信社
  相次ぐ山陽新幹線のトンネル壁崩落事故を受けて、JR西日本は25日、同新幹線の運転終了時間を繰り上げるなどして、全142トンネルの総点検を同日から実施することを明らかにした。同社はこれまで「運行停止しない点検で十分」としてきたが、この方針を転換した。

二階運輸相が北九州トンネル視察 コンクリート落下事故

2:11p.m. JST October 25, 1999
 JR山陽新幹線の北九州トンネル(全長11.7キロ)内で計226キロのコンクリート塊が落下した事故で、二階俊博運輸相は25日未明、事故現場を視察した。終了後、運輸相は国の監督責任を認め「JR各社にも協力を要請し、点検作業を早急に進めたい。年内には(運輸省としての)安全宣言をしたい」と、山陽新幹線にある142本すべてのトンネルの総点検に全力で取り組む姿勢を強調した。

 運輸相は南谷昌二郎・JR西日本社長らとともに保守用車両に乗り込み、約1時間半かけて崩落現場を視察。車両から身を乗り出して落下した打ち込み口をのぞき込んだり、自ら懐中電灯でトンネル内を照らしたりした。

 視察を終えた運輸相は「点検にはかなりの時間がかかるだろうが、人海戦術であたりたい。打音検査の機械化などの研究開発にも予算を付けたい」と述べ、5億5000万円を今年度の補正予算案に盛り込む考えを明らかにした。

 監督官庁としての運輸省の責任については「責任を逃れるものではない」と認め、「運輸省も出先の運輸局の職員を出して全力で対応したい」と官民あげて早急に総点検を始め、安全確保を目指したいとした。

 総点検のため列車の運行を止める考えはないか、との質問には「公共交通機関だから簡単には止められない。現時点では(新幹線が走らない)夜の6時間だけで点検作業ができると思われる」と従来からの考えを繰り返した。

駅のこ線橋からコンクリート片落ちる 山形・JR羽越線

11:23p.m. JST October 24, 1999
 24日午後3時50分ごろ、山形県余目町西袋のJR羽越線西袋駅構内の下り線路上に、コンクリート片が落ちているのを、停車中の列車の運転士が見つけた。けが人や列車の損傷はなかったが、点検などで同線は特急列車など計5本が最大65分遅れた。

 JR東日本新潟支社によると、駅のホームを結ぶこ線橋のコンクリート部分が長さ50センチ、幅7センチにわたってはがれ落ちていた。線路上から長さ3―15センチの割れたコンクリート片が計6個、合わせて約5キロ分見つかった。建設時にコンクリートを流し込んだ鉄製型枠がさびて腐食し、中のコンクリートがはがれたとみている。同社は他のはがれ落ちそうな部分もたたき落とすなどの応急処置をとったという。

 このこ線橋は1972年に完成。同社は2年に1度の定期検査をしているが、昨年10月の検査では異常は見られなかったという。

JR西日本、全トンネルの総点検を表明 東日本も

11:56p.m. JST October 19, 1999
 JR西日本は19日、山陽新幹線北九州トンネルのコンクリート塊落下事故を受け、142本すべてのトンネル(総延長約280キロ)について来週から総点検を実施する、と発表した。6月末の福岡トンネル事故に続き、10月の北九州トンネル事故も事前の点検で落下の危険を見破れなかったことから、ハンマーでたたく打音検査の対象を拡大するなど点検態勢を大幅に見直す。JR他社や土木コンサルタントから専門家を集め、営業列車の運転は止めないまま深夜6時間のうちに実施する計画だ。

 運輸省は15日、コンクリート落下事故の再発防止のためトンネル総点検の実施を指示している。打音検査の対象範囲を「軽微」な個所にまで広げるなど、点検態勢を抜本的に見直した実施を求めている。これを受け、JR西日本は来週からすべてのトンネルでの総点検の実施を決めた。打音検査が中心となり、同社OBをはじめJR東海やJR四国などJR他社や、土木コンサルタント会社など社内外から技量のある人材を集める。点検時間は、最終列車の通過した午前零時から始発列車の出発する午前6時までの計6時間とし、11月末をめどに終わらせる予定という。

 福岡トンネル事故後、高架橋やトンネルのコンクリート劣化状況などの把握を目指す「総合診断」についても、総点検と同時並行で進めていくという。

 南谷昌二郎・JR西日本社長は「総点検のため列車の運転を止めることについては、かたくなに止めないと言っているわけでも、神聖不可侵のものでもない。理論的には部分的な運転のカットはありうるが、必要性を見極めたうえで決めたい。現時点では、今の時間だけで十分だと考えている」と語った。補修費などへの国からの公的支援の動きについても「今年度は現実問題としてありえない。基本的には自分でまかなっていく姿勢だ」と話した。

       ◇

 また、JR東日本は同日、上越新幹線などからコンクリート片が落下する事故が相次いでいることから、同新幹線と東北新幹線の高架橋と防音壁について、一斉点検を始めることを決めた。通路や駐車場、商業施設など一般住民が立ち入る場所の上にある高架橋などを優先して点検するという。

上越新幹線の高架橋でモルタル落下 新潟・燕三条駅

7:23p.m. JST October 19, 1999
 新潟県燕市の上越新幹線燕三条駅の高架橋下の駐車場で、19日午前8時半ごろ、モルタル片5個が落ちているのを駐車場に来た人が見つけた。JR職員が調べたところ、高架橋の接合部に付着していたモルタル片が落下したことがわかった。運行に支障はなかった。

 モルタル片は合わせて重さ約1.2キロ。最も大きなもので長さ12センチ、幅6センチ、厚さ2センチで、重さは約300グラムあった。モルタルは高架橋を造る際に、橋の接合部分のすき間に漏れ出して固まったもの。モルタルの落下を防ぐためにアスファルト混合物の目地材でふたをしていたが、目地材の一部(長さ90センチ、幅6センチ)も一緒に落ちた。

 JR東日本新潟支社の福田泰司設備部長は「付着していたモルタルが落下したので高架橋自体の強度に問題はない」と話している。
高架橋は1977年12月に完成した。

山陽新幹線の線路に作業車から小石落下、始発など遅れる

2:48p.m. JST October 17, 1999
 17日未明、JR西日本の博多総合車両所(福岡県那珂川町)から鞍手保守基地(同県鞍手町)までの山陽新幹線上り線路上に、作業車から落下したバラスト(線路下に敷く小石)計53個が落ちているのを点検車が発見した。同社は博多―小倉間の線路を再点検。この結果、始発から午前7時すぎの復旧までに上下計9本が1―14分遅れ、乗客約1000人の足に影響が出た。

 JR西日本福岡支社によると、バラストは最大で縦80ミリ、横50ミリほどの大きさ。線路上の小石などが車両の風圧で巻き上げられると想定外の事故が起きる可能性もあるとされる。バラストを落とした作業車は、17日午前1時50分に博多総合車両所を出発して博多を通過し、同3時40分に小倉手前の鞍手保守基地に到着した。

  同社の南谷昌二郎社長は、北九州トンネルのコンクリート塊落下など相次ぐ事故を受け、15日夜に福岡支社福岡工務所を訪れて保守点検職員らに再発防止を促す訓示を行ったばかりだった。(時事)

新幹線高架橋からコンクリート片が落下 新岩国―徳山間

10:54p.m. JST October 16, 1999
 山口県下松市の山陽新幹線新岩国―徳山間の花岡第1高架橋で、橋げたから重さ約2キロのコンクリート片が落下していたことが16日、JR西日本の調べで新たに分かった。高架橋の下はさくのある空き地だったが、けが人はいなかったという。今年6月の点検で橋げたにはがれ落ちた跡を確認していたが、落ちたコンクリート片を発見できないまま放置されていた。

 JR西日本によると、落下したコンクリート片は1個で、長さ約60センチ、幅約10センチ、厚さ約5センチ、重さ約2キロ。鉄筋コンクリート製の橋げたの上り線側の張り出し部分から落ちたとみられる。16日午前8時半ごろ、通行人から「コンクリートがはがれ落ちた跡を見つけた」との連絡が同社新岩国施設管理室(山口県岩国市)にあった。係員が駆けつけたところ、高架下の草むらの中にコンクリート片を見つけた。はがれ落ちた跡からは鉄筋が見え、さびていた。高架下が立ち入り禁止の空き地のため、さび止めなどの応急処置は施していないという。

 JRは今年6月20日、同高架橋を対象に2年に1回の徒歩巡回による全般検査を実施していた。その際、張り出し部にコンクリートがはがれ落ちていた跡を確認していたが、落下したコンクリート片を見つけることができず、現場からの報告もなかったという。

 山陽新幹線の高架橋からコンクリートの落下が確認されたのは今年4月以降、計11件にのぼる。

異常の表示点灯、山陽新幹線遅れる 新倉敷−福山間

9:56p.m. JST October 16, 1999
 16日午後6時55分ごろ、山陽新幹線の新倉敷―福山間を走行中の東京発広島行きのひかり137号(16両編成)の運転室にある事故表示灯が点灯したため、乗員が列車を止めて点検した。異常はなく、運転を再開したが、福山駅に到着後も再び点灯し、調べたものの異常は見つからなかった。

 このトラブルで、ひかり137号は25分遅れて広島に到着したほか、後続の3本が10分から14分遅れ、約3000人が影響を受けた。

 JR西日本によると、事故表示灯は、各車両の車輪に空転やスリップなどの異常があった際に点灯する。

崩落個所の判定「Cランク」 山陽新幹線福岡トンネル

3:30p.m. JST October 16, 1999
 山陽新幹線の福岡トンネル(福岡県久山町、全長約8.5キロ)で今年6月末、コンクリート塊が落下して走行中の列車を直撃した事故の約1年前、JR西日本が同トンネルを対象に検査を実施し、計19カ所のコンクリートについて高い危険度を意味する「A1ランク」と判定していたことが16日、明らかになった。広範囲にコンクリート劣化が広がっていたことを示すデータだが、実際に崩落した個所は、軽微な変状とされる「Cランク」とされており、検査の実効性が問われる事態になりそうだ。また同社はこの調査結果を運輸省には報告したものの、一般には公表していなかった。

 JR西日本によると、6月27日の落下事故の約1年前の昨年7月、同トンネル内で2年に1回の全般検査を実施した。その結果、トンネルの計19カ所について、ひび割れやすき間などコンクリートの劣化程度について落下などの危険度の高い「Aランク」と判定。さらに、その後の個別検査で「AA」「A1」「A2」の3分類のうち、「運転保安に対して早晩脅かし、異常外力の作用時に危険。変状が進行し、機能低下も進行。早急に措置が必要」とされる「A1」と判定した。このほか、「Bランク」(進行すればAランクになる)が30カ所、「Cランク」(軽微)が420カ所に及んでいた。

 「A1」と判定した19カ所のうち15カ所は、施工時にコンクリートが均一に詰まらなかったために「ジャンカ」というすき間ができる劣化で、最も大きなものは側壁の継ぎ目付近に長さ90センチ、奥行き40センチにわたって広がっていた。

 実際に落下した区間(長さ12メートル)についても検査したところ、落下個所の反対側の壁面にはひび割れを確認したが、落下個所そのものにはひび割れなどは確認できなかったという。このため、このブロック全体についてCランクと判定していた。

 JR西日本は19カ所について、検査直後にコンクリートをたたき落とす応急処置を施し、事故前に16カ所で補修工事を終えた。残り3カ所は今年度中に補修する予定だという。福岡トンネル事故では、落下したコンクリート壁面に施工不良個所「コールドジョイント」があったことが崩落の一因とみられているが、今回判明したA1ランクの19カ所はコールドジョイント個所ではなく、事故後の調べで、計16カ所のコールドジョイント部が新たに見つかっている。

JR西日本社長がコンクリート塊落下現場を視察

07:31a.m. JST October 16, 1999
 山陽新幹線の北九州トンネル(北九州八幡東区)でコンクリート塊が落下した事故で、JR西日本の南谷昌二郎社長は16日未明、事故現場を視察した後、小倉駅で記者団に対し「漏水があり早くから劣化が進んでいたのがわかった。保守・点検は精一杯やっていると思うが、点検項目をしっかりと見直したい」と話した。

 南谷社長は最終の新幹線が通過した後の同日午前0時半ごろ、保守用車に乗り込みトンネルに入り、2時間以上にわたって現場を視察。「(コンクリート塊が)はく落すると見抜けなかった。(トンネルにコンクリートの『打ち込み口』があったことは)知らなかった」と釈明した上で、「事故の事実に基づき、反省し、できるだけのことをやっていきたい」などど話した。(時事)

運輸省、JR西日本に総点検指示 新幹線トンネル事故で

10:54p.m. JST October 15, 1999
 JR山陽新幹線の北九州トンネルでコンクリート塊が落下した事故を受け、運輸省鉄道局は15日午後、JR西日本の金井耿(あきら)・鉄道本部長を呼び、トンネル総点検の具体的な指示を出した。打音検査の範囲を拡大した点検実施計画を早急に提出させたうえで、点検作業には同社の幹部も立ち会うよう求める。運輸省も鉄道局の審議官クラスが随時、点検作業を視察する予定。

 打音検査の具体的な対象カ所については、同社の判断に任せるが、鉄道局は「コールドジョイントや突起部分だけでなく、二度と同じような事故がないよう、心配のあるところはすべて打音するつもりでやってもらいたい」としている。

 二階俊博運輸相は同日の閣議後の記者会見で「何度も運輸省から注意しているが守られておらず、行政処分が軽く受け止められているのではないかという感がある。すべての関係者が初心にかえり、一刻も早く国民の信頼の回復に努めてもらいたい」などと話した。

JR西日本社長、運輸相と官房長官に謝罪

6:57p.m. JST October 12, 1999
 山陽新幹線のトンネルでコンクリート塊が落下した事故で、JR西日本の南谷昌二郎社長は12日午後、運輸省と官邸を訪ね、二階俊博運輸相と青木幹雄官房長官に対し、事故の報告と謝罪をするとともに「責任については、帰って役員会を開き、外に見える形でけじめをつけるようにしたい」と述べた。

 南谷社長に対し、青木官房長官は「前回の安全宣言は何の安全宣言だったのか」などと厳しく問いただした。また、二階運輸相は、山陽新幹線のトンネルについて再度、コンクリート落下の危険性がないかどうか総点検を行うよう指示し、「経営全体の中で、安全にもっと重きを置いてほしい」と指摘した。トンネル内の点検については「現場任せにせず、幹部がよく把握すべきだ。必要があれば、運輸省の幹部も現場に出向きたい」と話した。

 列車を停止して点検などを行うかどうかについて南谷社長は、最終列車から始発列車が出るまでの6時間で対応できるとし、「今は止める必要はないと考えている」と改めて述べ、運輸省も運行停止の指示は出さないという。

別の突起部は除去

1999年10月12日 18時24分 共同通信社
 山陽新幹線の北九州トンネル壁崩落事故で、今年7月にJR西日本が実施した緊急点検の際、コンクリート塊が落下した「打ち込み口」と呼ばれる突起部とは別の打ち込み口でも、割れ目が見つかり、コンクリートの一部をたたき落としていたことが12日、分かった。

青木官房長官、JR西日本の責任明確化求める

5:03p.m. JST October 12, 1999
 青木幹雄官房長官は12日午後の記者会見で、山陽新幹線北九州トンネルでのコンクリートはく落事故に関し、「JR西日本の安全宣言後の事故であり、国民にも分かりやすく責任を明確にしなければならない。恐らくJR側がきちっとした対応をすると考えている」と述べ、JR西日本が幹部の進退を含め責任を明確にする必要があるとの考えを強調した。(時事)

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