TOPIC No.2-30 コンクリ落下/窓ガラスにひび/JR

Index
a. '99年07-10月、b. '99年10-11月、c.'99年11月−2000年01月、d. 2000年01月-
01.新幹線トンネルのコンクリ落下問題でJRの姿勢を追及<1999年7月27日 交通・情報通信委員会(一般質疑)>
02.コンクリートの高齢化
03.時代が遺した巨構 byDreams on a Railway
04.今、トンネルが危ない
05.新幹線のコンクリートは、なぜ落ちた。
06.新幹線コンクリート落下事故(コンクリートの中性化)

TOPIC No.2-30d 2000年01月-


コンクリ内の化学反応で鉄筋破断 山陽新幹線橋脚

2003年04月08日 The Sankei Shimbun
 広島県大野町内の山陽新幹線の高架橋や橋りょうの橋脚計6基で、コンクリート内部の化学反応によって鉄筋が破断していたことが8日、JR西日本の調べで分かった。セメントのアルカリ成分と骨材中の鉱物が反応して化学物質を生成し、これが水を含んで膨張する「アルカリ骨材反応」が原因とみられる。

 鉄筋破断があったのは高架橋、橋りょう各2カ所で、いずれも橋脚上方の先端部。主鉄筋が10−36本破断し、コンクリートのひび割れが生じていた。

 同社は2000年7月に発見、強度を高めるためコンクリートを充てんして補修を終えている。

 アルカリ骨材反応をめぐっては、全国の国道や高速道路の橋脚など計約1500基が損傷している疑いがあることが3月、国土交通省の調査で判明している。

山陽新幹線の劣化高架橋4割を補修 JR西日本

2001.02.13(23:55)asahi.com
 山陽新幹線(新大阪―博多)の高架橋の劣化状況を調査していたJR西日本は、高架橋全体の38%で新たに補修の必要なことが判明し、210億円をかけて2003年度までに補修すると13日、発表した。同社は「高架橋の状態の悪さは予想を超えていた。今後も同様の調査を続ける」としている。

 JR西日本は1999年10月から2000年12月にかけ、山陽新幹線の高架橋全線を対象に劣化状況を調査した(一部推定を含む)。

 橋げたの長さ10―30メートル分を高架橋の1セットと数え、全線で174キロある高架橋を1万1552セットに分けた。橋げたの裏や橋脚などを中心に、1セットから5カ所、15センチ四方のコンクリート片を採取し、コンクリートの劣化度や鉄筋の腐食度などを調べた。その結果、これまでに同社が実施した補修で、2448セットについては安全性が確保されていたが、新たに4421セットで補修が必要と判明した。

 新たに補修が必要とわかったうち、240セットは、橋脚や橋げたなどの表面全体のコンクリートをたたき落としたり、新しい鉄筋を加えたりするなどの「全面断面修復」▽1238セットは、現在の表面の上から樹脂を塗り、コンクリートの中性化を防ぐ「全面表面処理」▽2786セットは、劣化部分のコンクリートだけをたたき落として塗り直す「部分断面修復」が必要という。

コンクリート落下危険個所の修理終える 山陽新幹線

2001.01.20(16:23)asahi.com
 山陽新幹線の第一赤岸トンネル(山口市陶)内で19日未明、コンクリートの落下危険個所が見つかった問題で、JR西日本は調査の結果、縦90センチ、横70センチ、深さ15センチの範囲で危険個所があり、たたき落として鉄板で覆う修理を20日未明までに終えた、と発表した。付近の徐行運転は同日始発から解除された。

 同社によると、危険個所はコンクリートに練り込まれているはずの砂利が分離し、もろい状態だった。危険個所は架線を固定するボルト周辺だったが、同社はボルト(長さ30センチ)を深く打ち込んでおり強度に問題はなかった、と説明している。また、付近に架線の関連機器があったため、落下事故を受けて実施した一昨年のトンネル総点検の際は調査対象から外れていたという。

トンネル異常で徐行運転 山陽新幹線

2001.01.19The Sankei Shimbun
 十九日午前二時ごろ、山口市のJR山陽新幹線徳山−小郡間の第一赤岸トンネル(一、一六五メートル)で、コンクリート成分に偏りがある「ジャンカ」と呼ばれる部分が夜間点検中に見つかった。このためJR西日本は、トンネル内で時速七十キロの徐行運転を行い、始発から上下線とも五−四分の遅れが出た。

 同社によると、ジャンカはトンネル上部の中央で、上下線の架線をつるす金具の取り付け跡付近で見つかった。列車の運行には支障がない程度とみられるが、運行中、同社は現場に監視員を配置した。

 JR西日本は、一九九九年に山陽新幹線で相次いだトンネル壁崩落事故を受け、全百四十二トンネルの総点検を行った際、今回の異常個所は見つかっていなかった。

要補修のコンクリ、8割「問題なし」と判断 山陽新幹線

2000.11.18(06:15)asahi.com
 山陽新幹線のコンクリート構造物の劣化問題で、コンクリートの落下事故を受けてJR西日本が実施した緊急総点検で補修が必要と判定されたトンネル内のコンクリートの8割が、同社が実施した直近の定期検査では補修の必要なしと判断されていたことが会計検査院の抽出調査で明らかになった。同様の経緯で補修を施すことになった高架橋や橋りょうも、その5割は定期検査で問題なしとされていた。同社は検査の見直しを進めているが、会計検査院は施設管理のあり方についてさらに実効性の高い改善を求めている。

 JR西日本は、旧国鉄時代から2年に1回ずつ、コンクリート構造物の変状を調べる検査を続けてきた。問題性を帯びた順に、「Aランク=構造物の機能にかかわる変状または欠陥で措置を要するもの」「Bランク=必要に応じて措置するもの」「Cランク=軽微な変状」に分類し、「A」はさらに3つに分けている。健全な状態にあると判断された場合は、「Sランク」と呼ばれる。

 会計検査院は、コンクリートが落下した福岡、北九州両トンネルを含む7つのトンネル、総延長約7キロを対象に、緊急総点検の打音検査の結果をもとに補修が施された207カ所の定期検査記録を調べた。その結果、79%は「S」か「C」の扱いで、補修の必要なしとして処理され、「A」はわずか1.4%だった。福岡、北九州両トンネルの崩落個所はともに総合判定では「C」だったが、コンクリートのはく離やはく落が起きた場所が「健全」と評価されていた。

 高架橋と橋りょうについても、緊急点検で補修された45カ所を会計検査院が改めて調べたところ、定期検査では48%が「C」か「S」と判定されていたことが判明した。日常の検査が実効性を欠いている現実が浮き彫りとなった形だが、JR西日本はこうした調査結果さえも「利用者に不安を与えかねない」として公表していなかった。

山陽新幹線のコンクリ劣化、想定上回る進行 検査院指摘

2000.11.17(03:02)asahi.com
 山陽新幹線のコンクリート構造物の劣化問題で、鉄筋を腐食から守る機能が落ちるコンクリートの「中性化」が、会計検査院が抽出調査した高架橋と橋りょう計314カ所の46%で想定よりも早く進む見通しだと分かった。コンクリートに混ぜる水が多過ぎたほか、塩分濃度が高かったのが原因で、13%はすでに鉄筋まで中性化が達している。トンネル内の施工不良も突貫工事が指摘された岡山以西の路線に集中していた。会計検査院は過去の定期検査のあり方が不十分だったとして、ずさんな施工管理が今後、補修費の大幅増をもたらすと指摘している。

 山陽新幹線では昨年6月、福岡トンネルでコンクリート塊がはがれ落ちて列車を直撃。10月には北九州トンネルでもコンクリートの崩落が見つかった。検査院は経理上の無駄遣いや事業の有効性を検査の中心に据えているが、交通の大動脈の新幹線で事故が相次いでいる事態を重視。安全性を前面に打ち出した異例の指摘に踏み切った。

 調査の結果、コンクリートの水分量は340橋の71%で基準を超えていた。生コンを吹き出す機械の力の弱さなどから基準を超える水を加えた問題が指摘されており、手抜き工事が裏付けられた。コンクリートには水洗いの不十分な海砂を混ぜていたが、塩分濃度を調べた橋の76%が許容値を超えていた。

 水分量や塩分濃度が適切なら、あと30年ほどたたないと中性化は鉄筋に達しないはずだが、検査院は調査対象の46%にあたる145橋で30年未満のうちに劣化が進むと推定している。このうち、すでに鉄筋まで達しているものが13%、あと10年以内に達する見込みのものが10%ある。

 高架橋と橋りょうに対する検査は、JRが事故後に抽出調査したデータをもとに現地調査や分析を進めた。劣化の原因となる水の混ぜすぎや塩分濃度の高さを、提出された資料をもとに検査院が独自に計算した。

 一方、全線で280キロあるトンネル検査では、コンクリートの接合部分が一体化していない「コールドジョイント」と呼ばれる施工不良が、新大阪―岡山間で1キロあたり1カ所なのに比べ、福岡、北九州両トンネルを含む岡山―博多間では8.9カ所だった。山陽新幹線の約10年前に開業した東海道新幹線は1キロあたり0.5カ所で、岡山以西が飛び抜けて高い数字だ。

走行中の東海道新幹線の窓にヒビ 新富士―静岡間

2000.10.02(21:57)asahi.com
 2日午後3時半ごろ、静岡県内の新富士―静岡間を走っていた東京発岡山行きの東海道新幹線「ひかり159号」(16両編成)で、乗客から「トンネルを走行中に窓ガラスにひびが入った」と車掌に連絡があった。12両目の窓1枚に長さ78センチと35センチのひび2本が入っていたが、走行に影響はなく、名古屋駅で粘着テープを張って応急措置をして運転を続けた。

 JR東海の作業員が、同区間内の2つのトンネル内を歩いて目視による点検をしたが、側壁の崩落などの異状はなかったという。

線路わきに鉄材落下 埼玉・JR熊谷駅構内

2000.07.24(22:08)asahi.com
 JR東日本高崎支社は24日、埼玉県熊谷市筑波2丁目のJR高崎線熊谷駅構内で23日午後5時ごろ、L字形の鉄材3本が線路わきに落下した、と発表した。落ちた鉄材は、長さ約5.8―2.8メートルの3本。最も重いもので約60キロという。当時、電車はたまたま通っておらず、けが人もなかったが、下り電車11本に最高8分の遅れが出た。同社は「最悪の場合、電車の上に落ちていた可能性もある」と言っている。

 同社の発表によると、隣接した高架橋の2階にある約20年前に建設された事務所の外側床(高さ約7.8メートル)の縁から落下した。コンクリート床に20メートルにわたって溶接してあった鉄材で、腐食が進んで落下したとみられている。

 同社では、JR西日本のコンクリート落下事故などに関連して、昨年10月に今回の場所の検査を実施していた。それによると、目視による検査では、異常は見られなかったという。

「今後の耐久性に問題」 山陽新幹線コンクリ検討委報告

2000.07.22(22:30)asahi.com
 高架橋などからのコンクリートはく離が相次いだ山陽新幹線の強度などを調べる「コンクリート構造物検討委員会」(委員長・長瀧重義新潟大工学部教授)が21日開かれ、劣化の現状や補修方法がJR西日本に提言された。長瀧委員長は「現状では危険性はない」とする一方で、「腐食の早さなど、今後の耐久性には問題がある」と述べた。JR西日本は全高架橋の総合診断を年内にも終え、今回の提言などを参考に補修にとりかかる予定だ。

 同委員会は、コンクリートの劣化要因として、内部のアルカリ成分を失わせる中性化現象と、海砂を十分に洗浄しなかったことによる塩化物イオンの混入を挙げ、「劣化の進み具合は予想以上だった」とした。現状では、新幹線の走行に十分耐えうる強度が残っているとしながらも、早い段階で補修を手がけることを求めた。

高架橋劣化面積は発表の4倍 JR西日本が公表せず

2000.06.24(03:06)asahi.com
 山陽新幹線のコンクリート構造物の劣化問題で、JR西日本が昨年10月に、高架橋の2度目の緊急点検を実施しながら、結果を公表していなかったことが23日、明らかになった。2度目の点検では、落下の恐れがありハンマーなどでたたき落とした個所の面積は約5000平方メートルにのぼり、昨年7月の初回緊急点検の約1380平方メートルを大幅に上回っていた。これにより、全線の高架橋で「劣化個所」とされる面積は約6400平方メートルにのぼり、初回発表の約5倍になった。同社の安全管理のあり方が改めて問われそうだ。

 相次ぐコンクリート落下を受け、JR西日本は昨年7月、初回の高架橋の緊急総点検を実施し、「総面積230万平方メートルのうち0.06%にあたる計約1380平方メートルで亀裂や浮きなどが見られた」と発表した。しかし、そのとき対象にしたのは、高架橋の下が道路や歩道など「危険個所」だった。

 同社によると、それ以外の高架橋について、昨年10月に調査したところ、新たに約5000平方メートルのコンクリートで変状が見つかったという。「劣化」とみられ、たたき落とす措置をした。発表しなかった理由を、同社は「各支社ごとに点検を実施したため、面積を確定するのが難しかった」と説明している。さらに同月には、北九州トンネルのコンクリート落下事故も起き、その対策に追われたことも原因とみられる。

 2度にわたる点検で、たたき落とした計6000平方メートル余りは、今年3月にかけ、モルタルなどで「部分断面修復」して埋め戻した。しかし、その際、内部の鉄筋の腐食状態や、中性化の進み具合い、表面から鉄筋までの距離、塩分の含有量など、劣化の度合いを判断するのに必要なデータは取っていなかったという。

新幹線コンクリ落下でJR西日本、今秋から賠償交渉

2000.06.15(00:49)asahi.com
 山陽新幹線のコンクリート落下事故を受け、JR西日本は14日、今秋からトンネルの「施工不良個所」の業者30社に対し、個別に損害賠償請求の交渉に入る方針を明らかにした。今年3月期決算で計上した修繕費150億円のうち、二十数億円の賠償を求める方針。訴訟は避け、話し合いで決着を図るという。28日の株主総会で説明する予定。

 JR西日本によると、山陽新幹線の施工業者はトンネル、高架橋を含め54社で、請求の対象となる業者は過半数にのぼる。請求額の根拠やその算出方法は明らかにしなかったが、「施工不良の認定は済んだ」として今後、請求対象の施工業者数や、請求額は増やさないという。

 JR西日本は、昨年の2度のコンクリート落下事故と、その後のトンネル総点検などで、施工不良個所が多数見つかったため、昨年末に、法律学者と弁護士5人による求償問題等検討専門委員会を設置した。そこで、旧国鉄や、JRに新幹線を売却した新幹線保有機構、施工業者に対し、それぞれ法的側面から損害賠償請求の可否を検討してきた。

 検討委は、施工業者について、不法行為に20年の時効があるものの、起算点を損害が発生した時点ととらえ、請求は可能だと判断した。しかし、旧国鉄(現・日本鉄道建設公団国鉄清算事業本部)には、当時の国鉄の自己所有物について不法行為の過失を認定するのは難しいと結論づけた。また、新幹線保有機構(現・運輸施設整備事業団)には、売買契約書に「いかなる瑕疵(かし)についても責任は問わない」と免責条項が明記されており、請求は困難と判断した。

 南谷昌二郎社長は14日の会見で、「山陽新幹線は、資材や人材が払底するなか、期限の定められた難工事でつくられ、構造的な問題を抱えている。全部施工業者の責任とは言えないが、最後の歯止めになっていただかないといけなかった。円満な解決のため合理的な金額を考えた」と話した。

コンクリート落下事故でJR西日本、施工者に賠償請求へ

2000.06.12(14:40)asahi.com
 昨年6月と10月に起きた山陽新幹線コンクリート落下事故で、JR西日本は12日、コンクリートの劣化が著しく進んだ責任を当時の施工業者に問い、損害賠償を請求する方針を固めた。事故個所やその後の総点検で見つかった施工不良個所の施工業者を対象に、修繕費用などから請求額を算出する。同社は落下事故がコンクリート構造物への信頼を大きく揺るがせた点を重視し、警鐘を鳴らす意味からも、約300億円とみられる費用の一部を施工業者に負担させる模様だ。

 JR西日本はトンネル総点検や修繕のため、今年3月期決算で当初見込みの100億円を上回る150億円を計上した。修繕費は通常、年間20億円程度だ。さらに、今年度と来年度で高架橋の修繕も含め160億円程度を見込み、総額で300億円を超す出費が想定されている。

トンネルのモルタル片落下

2000年4月13日 19時35分
 13日午前10時35分ごろ、山形県鶴岡市三瀬のJR羽越線矢引トンネル内の線路わきにモルタル片が落ちているのを、巡回中のJR東日本新潟支社の社員が見つけた。

 同支社によると、石積みの側壁に水漏れ防止のために吹き付けてあるモルタルが、地上25センチから145センチの高さにかけ、幅90センチにわたりはがれていた。ばらばらになっていたが、破片は厚さ1.5〜3センチで総重量は約15キロ。

コンクリート片が落下

2000年3月29日 13時54分
 29日午前11時10分ごろ、新潟県上越市東町のJR北陸線直江津駅構内に架かる県道の陸橋下の線路にコンクリート片が落ちているのをJR東日本新潟支社の保線区の社員が発見した。

 点検のため一時運転を見合わせ、同日午後零時半ごろ運転を再開した。特急など計8本に最高約1時間20分の遅れが出た。

施工責任問い12万人署名

2000年3月6日 18時09分
 
 山陽新幹線コンクリート構造物の劣化問題で、JR西日本最大労組のJR西労組(約3万3000人)は6日、同新幹線建設に携わった国や施工業者などに責任の明確化と対策を求める約12万人分の署名を集めた。9日、運輸省などに提出する。

 同新幹線で相次いだコンクリート落下事故を機に、トンネルや高架橋の手抜き工事やコンクリート劣化が表面化。

架道橋のコンクリート落下

2000年3月1日 18時08分
 1日午前11時20分ごろ、青森県八戸市売市滝のJR八戸線長苗代―本八戸間の売市架道橋下の道路にコンクリート片が落ちているのを通行人が見つけJR東日本に通報した。同社が調べたところ、架道橋下部の端の方から約4キロのコンクリート片がはがれ落ちていた。JR東日本盛岡支社によると、歩行者や自動車などへの被害はなく、列車の運行にも影響はないという。

初の共通検査手順を提言

2000年2月28日 19時34分
 
 山陽新幹線などで昨年相次いだトンネル崩落事故をめぐり、再発防止策を検討してきた運輸省のトンネル安全問題検討会(座長・足立紀尚京大教授)は28日、検査レベルを3段階に区分するなどトンネルの新たな保守、点検方法をマニュアルにまとめ、同省に提言した。これを受け運輸省は同日、全国の鉄道各社に対し、点検方法の改善やトンネル検査員の教育強化を指導した。

JR西日本がビデオ設置へ 新幹線の窓ひび割れ原因究明

7:27p.m. JST February 02, 2000
 山陽新幹線で窓ガラスがひび割れする事故が相次いでいることから、JR西日本は3月にも、車両や線路上にビデオカメラを取り付けて、破損の瞬間の撮影に乗り出す計画だ。ひび割れは東海道、東北などの各新幹線共通の悩みだが、JR各社はこれまで線路上のバラスト(砕石)の仕業という推定はしていたものの、「犯人」を突き止めないまま、「ガラスは消耗品」とあきらめてきた。運輸省が乗客の不安解消を理由に「割れにくいガラス」への転換を求めていることもあって、対策を講じることにした。

 JR西日本によると、最高時速285キロで走る最新型「700系」車両の側面にビデオカメラを取り付け、窓に当たる「犯人」や傷の生じ方などを撮影する。線路上にも設置し、犯人と疑わしきバラストの跳ね上がる様子などをとらえる考えだ。早ければ3月中に撮影走行を始めるという。

 新幹線の窓ガラスのひび割れは今に始まったわけではない。JR東日本、東海、西日本によると、走行中にひび割れて交換した窓ガラスは1997年度が430枚、98年度が321枚。99年度上半期は93枚と例年よりむしろ少なめだ。

 しかし、昨年の山陽新幹線のコンクリート落下事故で新幹線の安全性に疑問が投げかけられて以降、ひび割れにもがぜん注目が集まるようになった。

 JR西日本が率先して原因究明に乗り出すのは、コンクリート落下事故で傷ついた信頼を回復したいという「名誉ばん回」の思惑に加え、各社のなかでひび割れの被害が最も大きいという事情がある。過去3年半の統計では、同社の車両数はJR東海の約4割なのに、ひび割れによる交換枚数は約1.3倍だった。他の新幹線よりもトンネル区間が多いことが原因とみられている。

「容疑者」のバラストは走行中の風圧で巻き上げられ、窓にあたって小さな傷をつけるとみられている。傷はトンネル通過の際の風圧で拡大し、ひび割れを生じるという推定だ。とはいえ、各社はこれまで原因解明をしてこなかった。

 関心の高まりを受けて運輸省は昨年末、普通ガラスを割れにくい素材でできたガラスに交換するよう、JR各社に検討を要請した。

 新幹線の客室は計3枚の強化、普通ガラスを合わせた構造となっており、一番外側は普通ガラスをはめ込んでいる車両が多いが、東海道・山陽新幹線を走る「700系」と「500系」は、一番外側をポリカーボネート(PC)という樹脂系のクッションに置き換えている。素材が軟らかく、傷ついてもひび割れないというPCに運輸省が注目したのだ。

 しかし、JR各社は導入に消極的だ。「普通ガラスは一種の衝撃吸収材で、ひび割れは設計上織り込み済み。客室に破片などが飛び込んだケースは過去にない」という理由のほかに、コストの高さが敬遠されている。普通ガラスの交換費用は1組5万円余だが、PCはその倍以上かかり、対象車両は、3社合わせて3600両を超す。

 さらに「PCの窓にすると、景色が見えにくくなる」(JR東日本)との指摘がある。PCは表面が軟らかいため、砂ぼこりの中を走るだけで傷がつく。割れはしないが、細かいすり傷で外は見えにくくなる。700系と500系も運転席はPCを採用していない。

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