TOPIC No.2-30a '99年07-10月コンクリ落下/窓ガラスにひび/JR

建設直後からひび割れか JR西日本が事故調査

2:39p.m. JST October 12, 1999
 山陽新幹線北九州トンネル(北九州市)内で計226キロのコンクリート塊が落下した事故で、落下した「打ち込み口」は建設直後から側壁との間に「不連続面」(ひび割れ)が生じ、コンクリートの劣化が進んでいた疑いの強いことが12日までに、JR西日本などの調べで分かった。落ちた塊の表面から、コンクリート自体の劣化を示す「中性化現象」や、変色部分が見つかったためで、JR西日本は、施工ミスの可能性もあるとしてコンクリートの材料分析や、当時の施工業者からの事情聴取を進める。

 JR西日本などの調べでは、落下したコンクリートのはがれ落ちた面の表面から深さ2センチ程度まで、空気中の二酸化炭素がコンクリート中のアルカリ成分を中和させる「中性化現象」がみられた。また同じ面の下から長さ約15センチにわたって茶色や黒っぽく変色した部分が広がり、塊が落ちた後、この部分から五つに割れたことも分かった。

 本来、施工通りに打ち込み口と側壁とが一体化されていた場合には変色も中性化もあり得ないことなどから、JR西日本は、建設直後のかなり早い時期からひび割れが生じていた可能性が高いとみている。現場付近は、トンネル上部から地下水が漏れていることも確認され、ひび割れが漏水の集まってくる通り道となったほか、時速150―300キロで走行する新幹線の振動や風圧の影響も受けて落下したのではないかとみている。

 ひび割れが生じた原因については、コンクリートの材質や施工時のトラブルなど施工ミスの疑いもあり、JRは落ちたコンクリート塊を鉄道総合技術研究所(JR総研、東京都)に持ち込むなど詳しく調べる。

 ひび割れがかなり進行していたことから、ハンマーでたたく打音検査を実施していれば、異常を見つけられた可能性が高い。JR西日本は、目視点検では未然に発見できなかった点を重くみて、早急に点検態勢を大幅に見直す計画だ。

異常を放置 山陽新幹線トンネルのコンクリ落下事故

1:48p.m. JST October 12, 1999
 山陽新幹線北九州トンネル(北九州市八幡東区)内で計226キロのコンクリート塊が落下した事故で、JR西日本が、事故前の7月17日に実施した全般検査で、落下した「打ち込み口」の近くでひび割れや激しい漏水などコンクリートの異常を把握していたことが12日、分かった。これまでJR側の発表では、事前の点検で異常は見つけられなかったとしていた。しかし実際は目視点検で異常を発見しながら、落下部分についてはハンマーを使った打音検査をせず放置したままになっていたとみられる。ひび割れがかなり進行していたことからも、打音検査をしていれば落下前に処置できた可能性が高かったといい、ずさんな点検態勢が問われそうだ。

 北九州トンネル内の落下個所から西に約7メートル離れた打ち込み口の周辺には、コンクリートにひび割れやすき間があることを示すために、点検作業員が書いた白チョークの文字があった。「H(平成)11、7、17」と年月日が記され、さらに「ウキ(ひび割れ)0.1×0.6A」と書かれていた。

 JR西日本によると、この文字は、事故前の7月17日に実施した2年に1回の全般検査のときに、作業員がチョークで書いたもので、ひび割れなどの異常をチェックして把握するためだったという。この部分はたたき落とす応急処置を施していたが、落下した部分の異常は見逃していたことになる。通常、全般検査は目視点検だけだが、落下の可能性がある個所が見つかれば、打音検査などで詳しい状況を把握したうえで、ハンマーでたたき落とすなどの処置を施すことになっている。

 北九州トンネルは今年に入ってから計3回の点検を実施した。これまでの事故後の発表で、JR側は異常を見つけられなかったと説明していた。

コンクリ塊「漏水と振動で劣化」 視察の京大助教授指摘

09:08a.m. JST October 11, 1999
 JR山陽新幹線小倉―博多間の北九州トンネル(北九州市、全長11.7キロ)でコンクリート塊が落ちた事故で、10日未明に現場を視察した朝倉俊弘・京都大助教授は調査後、「漏水と列車の振動などでコンクリートが以前から劣化していた」と落下原因を指摘した。さらに「打音検査で発見できた可能性があった」と、JR西日本のこれまでの点検体制に疑問を投げかけた。

 朝倉助教授は、6月に起きた福岡トンネル事故を受けて設置された「トンネル安全問題検討会」の委員として、運輸省の担当者らとともに現場に入った。

 視察を終えた朝倉助教授は「以前から浮き(ひび)があり、漏水などの影響ではく落に至った。打音検査で、発見できたのではないか」との見解を述べた。その上で「トンネル安全問題検討会で、検査のあり方の検討を進めるように提案したい」と検査体制の改善の必要性にも言及した。

 一方、監督官庁の責任について、運輸省鉄道局施設課の田中一弘補佐官は「今回は極めて特殊な部分が落下しており、事故は予見できなかった」と述べるにとどまった。落下した「打ち込み口」対策については、「従来まで特別な意識を持って点検していた場所ではなかったので、取り壊すことや点検方法なども含めて具体案を検討したい」と改善の必要性を認めた。

「点検で列車は止めず」 コンクリ落下でJR西日本方針

01:31a.m. JST October 11, 1999
 山陽新幹線北九州トンネル(北九州市八幡東区)内で計226キロのコンクリート塊が落下した事故で、JR西日本の南谷昌二郎社長は10日記者会見し、コンクリート構造物の点検などのために一時的にでも列車の運行を止めることはしないとの方針を明らかにした。北九州トンネルと同じ工法の7つのトンネルで、落下したのと同じ「打ち込み口」を今後すべて除去することを決め、「これ以外の原因で落下する可能性はゼロに近くなる」と判断した。列車を止めてでも安全のための総点検をすべきだとしている専門家らからは批判を浴びそうだ。その一方で、「想定外」の個所からの相次ぐ落下を重くみて、日常的な点検で重点項目に入っていた「弱点個所」を広げるなど項目や手法といった点検態勢の大幅な見直しをすることを表明した。

 南谷社長はコンクリートの劣化状況を正確につかむため現在進めている総点検が、最終列車後の6時間で十分できることも列車を止めない理由のひとつにあげた。これ以上コンクリートが落ちないとする根拠を問われると、「利用者が疑念をもたれるのは当然。(いったん出した)安全宣言については弁解の余地はないが、現時点で知りうる限りでは100%近くコンクリートが落ちることはない」と説明した。「山陽新幹線は大動脈で、大事な社会的インフラだ」としたうえ、自身の進退について「安心して利用してもらえるよう信頼回復に努めることが、私の責任を果たすことと考えている」と話した。

東北新幹線にも6カ所

1999年10月10日 16時52分 共同通信社
JR山陽新幹線北九州トンネルのコンクリート塊崩落事故を受け、管内新幹線を調査していたJR東日本は10日、事故が起きた「打ち込み口」と呼ばれる突起部分が東北新幹線の6つのトンネルにもあることが分かった、と発表した。同社は10日夜から、亀裂の有無などを確認するため順次打音検査を実施する。

点検項目など大幅見直し検討へ 北九州トンネル事故

10:10p.m. JST October 09, 1999
 山陽新幹線小倉―博多間の北九州トンネル(北九州市八幡東区、全長約11.7キロ)内で計226キロのコンクリート塊が落下していたのが見つかった事故で、JR西日本は9日、これまでの重点的な点検項目に入っていた「弱点個所」を広げるなど項目や手法といったトンネルの点検態勢を大幅に見直す検討を始めた。落下した側壁の「打ち込み口」は工法上、コンクリートが一体化しているはずとの理由から、ハンマーでたたく打音検査の対象になっておらず、目で見るだけでは未然に落下個所を見破ることができなかったことを重くみたためだ。6月末の福岡トンネル事故も「想定外」の個所から落下しており、これまでの点検態勢の不備が問われていた。

 また、9日早朝から北九州トンネルと同じ工法で、側壁に打ち込み口がある広島―博多間の計7トンネルについて、緊急に打音検査を実施した。同じ北九州トンネル内の落下個所の延長線上に1カ所。さらに、広島―岩国間の古市トンネル(山口県岩国市、全長約1.2キロ)でも2カ所の計3カ所で、亀裂が確認されたり、異常音がみつかった。いずれも長さ15―35センチ程度で、落下の恐れがあったためすべてたたき落とした。

 安全確認のため早朝から運転を見合わせていた広島―博多間は同日午後4時に運転を再開。約10時間ぶりに新大阪―博多間の全線が開通した。このため上下計129本が運休し、26本が最大3時間遅れるなど、乗客計約6万2000人に影響が出た。

 JR西日本によると、落下した打ち込み口には、側壁との境界部分にコンクリートが一体化していないとされる「不連続面」が確認され、亀裂やすき間など劣化が進行していたとみられる。空気に触れたり、漏水したりしていたらしい。JRは不連続面の生成が工法上の問題なのか、施工不良の結果なのかなどを含めて、落下したコンクリート塊を鉄道総合技術研究所(JR総研、東京都)に持ち込むなどで、詳しく調べる方針だ。

運輸省が全鉄道会社に緊急点検指示 北九州トンネル事故

10:12p.m. JST October 09, 1999
 運輸省は9日、コンクリート片が落下した北九州トンネルと同じ工法でコンクリートを流し込み、突起部分が残っているトンネルについて、緊急に安全点検を行うよう各地方運輸局を通じてJRや私鉄など全ての鉄道会社に指示した。点検結果は、10月末までに報告するよう求めている。

 また、JR西日本に対しては、原因調査や再発防止策を早急に進めるよう、九州運輸局長名で警告書を出した。同社に対する警告書は、6月の福岡トンネルでのコンクリート塊落下事故以降、今回で4回目。山陽新幹線が約11時間立ち往生するトラブルや、保守点検用の車両同士が追突する事故が相次いだ9月末には、川崎二郎・前運輸相や梅崎寿・運輸事務次官が「何度も警告書を出しているのに改善の結果が出ず、JR西日本の輸送管理や安全管理の取り組みに、課題があると考えざるをえない」などと厳しく批判していた。

山陽新幹線トンネル内でコンクリート塊落下事故 北九州

4:28p.m. JST October 09, 1999
 9日午前4時10分ごろ、JR山陽新幹線小倉―博多間の北九州トンネル(全長約11.7キロ、北九州市)で、長さ3.3メートル、幅40センチ、厚さ15センチ(重さ約226キロ)のコンクリートの塊が5つに割れて、下り線の線路わきに落ちているのを、始発前の点検をしていた作業員が見つけた。トンネル内の高さ約3.8メートルの内壁からはがれ落ちたとみられる。JR西日本はトンネル点検のため、同日午前6時10分から、新大阪―博多間で全線の運転を見合わせたが、午後4時過ぎに全線で運転を再開した。山陽新幹線のトンネルでは6月末、小倉―博多間の福岡トンネル(福岡県久山町)で走行中の新幹線の屋根にコンクリート塊が落下、車体が破損する事故が発生。その後、同社はトンネルの緊急点検と補修工事を終え8月上旬までに終え、事実上の「安全宣言」を出していた。今回の事故で、同社は福岡支社内に現地対策本部を設置した。

 同社福岡支社によると、コンクリ塊が落ちていたのは、北九州トンネルの小倉駅側の出入り口から約4.6キロ入った地点。下り線の線路とトンネルの壁との間約60センチの地面に散らばっていた。最も大きな塊は、長さ87センチ、幅40センチ、厚さ15センチ。

 落下したのは、トンネル側面の高さ約3.8メートルの部分で、落ちた塊は、トンネルの建設過程で壁をつくるセメントを注入する際の入り口として設けた「打ち込み口」と呼ばれる突起部分。前日の運行時に異常が見つかっていないことから、同社は最終列車が通過した後に、落下した可能性が高いとみている。

 同支社福岡工務所の担当者の話では、「打ち込み口」はトンネル完成後は必要なくなるが、「運行などの邪魔にならないために取り除かなかった」という。打ち込み口が残るかどうかは工法上の問題で、同支社管内では、北九州トンネルと関門トンネルに打ち込み口が残っているという。打ち込み口が落下した前例はないという。

 山陽新幹線では、6月27日に福岡トンネルで、コンクリ塊の落下事故が発生。同社は、142本のすべてのトンネルについて緊急点検を実施し、補強工事を8月上旬までに終え、当面は落下の恐れがないとして、事実上の「安全宣言」をした。

JR東日本も緊急点検へ コンクリート事故で

1:08p.m. JST October 09, 1999
 新幹線を抱えるJR東日本、東海は今回の事故について「新幹線の安全性にかかわる重大な事故」と受け止めている。JR東日本は管内の東北、上越、長野各新幹線について、9日の新幹線運転終了後、全線の一斉点検にとりかかることを決めた。北九州トンネル事故の詳しい原因がわかりしだい、全トンネルの点検に取り組む予定だ。

 JRによると、北九州トンネルではがれ落ちた打ち込み部は、山陽新幹線以外のトンネルでも数多く残っているという。土木担当者の一人は「打ち込み部はトンネルの強度には関係ない部分のため、内部に鉄筋も入っておらず、ほかの部分より構造的に弱い。点検では落下しないよう、亀裂の有無などを念入りに調べているはず」と話す。

 6月末に起きた山陽新幹線のトンネルはく落事故を受け、JR東日本、東海とも全トンネルを緊急点検し、いずれも「安全宣言」を出した。ところが、点検から3カ月足らずの今月8日、長野新幹線一ノ瀬トンネルでは、内壁からコンクリートが落下しているのが見つかった。同トンネルは3年前に完成した新しいトンネルだけに、JR東日本はこの事故を重視し、同様の工法でつくられたトンネルの再点検を始めたばかりだ。

ほかにも欠けた個所多数 長野新幹線コンクリ片落下事故

1:09p.m. JST October 09, 1999
 群馬県松井田町の長野新幹線一ノ瀬トンネルの継ぎ目部分からコンクリート片が落下した事故で、JR東日本高崎支社は9日午前2時から、トンネルの点検作業を行った。その結果、調べた約150カ所の継ぎ目部分の大半で、コンクリートが欠けた部分が見つかった。線路にはコンクリート片は見当たらず、列車の通過時の風で粉々になったとみられる。

 また、継ぎ目部分は強度が弱いにもかかわらず、1997年10月の開業以後、十分な点検が行われていないこともわかった。

 同支社は同トンネルについて、今年1月に定期検査、7月にコールドジョイントの検査をした。しかし、いずれも平らな壁部分の検査が中心で、とくに継ぎ目部分に注意した検査はしていなかった。

  同支社担当者は「継ぎ目は各トンネルの10メートルごとにあり数が多く、特に点検が必要との規定もないため、時間的に十分な点検は難しかった」と話している。

一ノ瀬トンネルは、6165メートルで長野新幹線では4番目の長さ。95年11月に完成した。

運輸省、実態把握に乗り出す 山陽新幹線コンクリ塊落下

1:11p.m. JST October 09, 1999
 JR山陽新幹線の北九州トンネルでコンクリート片が落下した事故を受け、運輸省は、同トンネルと同じ工法でコンクリートを流し込み、突起部分が残っているトンネルについて、他の新幹線を含めて実態把握に乗り出した。同省鉄道局は「それほど数は多くないと聞いているが、できるだけ早く点検作業を進めるようJR各社に指示する」と話している。また、JR西日本に対しては、原因調査や他のトンネルの点検などを早急に行うよう、九州運輸局長名で警告書を出す。

山陽新幹線でコンクリート塊落下 一部運転見合わせ

09:12a.m. JST October 09, 1999
 9日午前4時10分ごろ、福岡県北九州市八幡東区のJR西日本山陽新幹線の小倉―博多間にある「北九州トンネル」内で、始発前の安全点検中に、3メートル大のコンクリート塊が落ちているのが見つかった。同社は全トンネルを点検するために始発から新大阪―博多間の全線運転を見合わせていたが、午前8時半過ぎ、新大阪―岡山間の運転を開始し、午前9時には広島までの運転を再開した。

  同社によるとコンクリート塊は横300センチ×縦50センチ×厚さ20センチ。始発前の安全点検で車両を走らせた際、同社社員が下り線路わきにこの塊があるのを見つけたという。

山陽新幹線では、今年7月から、トンネル内のコンクリートが相次いではく落する問題が起きている。8日午前には群馬県松井田町のJR長野新幹線榛名―軽井沢間にある「一ノ瀬トンネル」内でもコンクリート片が落ちているのが見つかった。(時事)

JR コンクリート片が落下

1999年10月8日 20時00分 共同通信社
8日午前2時20分ごろ、群馬県松井田町の長野(北陸)新幹線安中榛名―軽井沢間の一ノ瀬トンネルで、下り線レール外側に、重さ約200グラムのコンクリート片が、落下しているのを点検中のJR東日本の社員が見つけた。
同新幹線は始発から通常通り運行、ダイヤに影響はなかった。同新幹線でコンクリート片が落下したのは1997年10月の開業後初めてという。

施工当初から内部に弱面 山陽新幹線トンネル事故

9:35p.m. JST August 11, 1999
 山陽新幹線で起きたトンネルはく落事故の原因について、鉄道総合技術研究所(JR総研)は11日、「施工当初からトンネル内部にあった強度の弱い面が経年や漏水で劣化し、列車通過時の振動などが引き金となって落下した」とする中間報告を明らかにした。運輸省がこの日開いた「トンネル安全問題検討会」の初会合で報告された。コンクリートの不連続面「コールドジョイント」に対して、JR西日本、東日本が施した補修方法については、検討会は「再発防止に有効で、当面は新幹線の安全が確保された」と結論づけた。

 JR総研ははく落原因について、地圧や水圧などトンネル外部からの要因と、材料や施工方法など内部からの要因に分けて分析。列車通過時の振動や空気圧の変化がはく落の引き金となった可能性はあるが、現場のトンネルは地質条件もよく、外部要因が主な原因とは考えにくいとした。

 一方で、コールドジョイントの下部にあった強度の弱い面については、施工時か施工直後に発生していたと断定。「なぜ弱い面ができたかは推定しにくい」としながらも、「急速なコンクリートの打ち込み」や「不十分な固め」などの施工状況を、可能な限り調査する必要があるとした。

 コンクリートの成分分析は調査途中だが、今のところ明らかな問題点は見つかっていないという。一方で、中性化の進行度が高かったり、セメント量が少なかったりする試験結果もわずかながら確認されており、「標準より水が多めだった可能性は否定できない」とした。

 JR総研は10月までに最終的な原因調査を終え、検討会に報告する予定だ。

9カ所に異常音、JR東日本のトンネル点検結果

6:31p.m. JST August 03, 1999
 JR東日本は3日、山陽新幹線のトンネルはく離事故をきっかけにした東北、上越、長野新幹線の緊急点検結果を発表した。46トンネルで計252カ所の施工不良部「コールドジョイント」が見つかり、うち9カ所でコンクリート内部の劣化を示す異常音が確認された。いずれも補強工事を終え、安全性には問題ないとしている。

 コールドジョイントの線区別の内訳は、東北165カ所、上越85カ所、長野2カ所だった。東北の蔵王トンネル(福島―白石蔵王)の42カ所が最も多く、次いで上越の大清水トンネル(上毛高原―越後湯沢)の22カ所。表面の亀裂は最大3ミリで、9割以上が2ミリ以内だったという。

 また、ハンマーによる検査の結果、東北の白坂トンネル(那須塩原―新白河)など4トンネルの計9カ所で、内部のひび割れや空洞を示す異常音が確認された。鋼板でコールドジョイントを覆ったほか、表面を削り落とすなどして、いずれも補修を終えたという。

 同社は「コンクリートの抜き取り調査や打音分析の結果、はがれ落ちる危険性はなく、安全性を高めるための補修」と説明している。コールドジョイントがあったトンネルについては、今後、新型の検査車を使った点検を増やす。

 JR他社の点検では、山陽区間(新大阪―博多)の377カ所で異常音が確認されている。東海道区間(東京―新大阪)は異常音はなかったとされる。

東海道区間は異常音ゼロ 新幹線のトンネル点検結果

7:41p.m. JST July 29, 1999
 JR東海は29日、山陽新幹線のトンネルはく離事故を受けた東海道区間(東京―新大阪間)の緊急点検結果を発表した。35カ所の施工不良部「コールドジョイント」が見つかったが、打音検査で内部の亀裂などを示す異常音はなかった、としている。同社は見つかったコールドジョイントについて、年3回の打音検査などで安全性の確認を続けるという。

 同社によると、全66本のトンネルのうち、20本で、コンクリートの接着が不十分なコールドジョイントが見つかった。最も多かったのは、豊橋―三河安城間にある坂野坂トンネルの6カ所で、次いで同区間にある羽角トンネルの4カ所。ほかは1カ所から2カ所だった。最も長いもので2メートル程度で、表面に現れた亀裂の幅は1ミリから0.1ミリだったという。

 コールドジョイントの周辺をハンマーでたたき、内部の劣化状況を確認する打音検査では異常がなく、同社は「鋼材や特殊金具を使った補強は必要ない」と結論づけている。しかし、見つかったコールドジョイントについては、従来の2年に1回の全般検査に加え、年3回の打音検査を続ける方針という。

 各社の点検では、山陽新幹線で2049カ所のコールドジョイントが見つかり、377カ所で異常音が確認されている。東北、上越、長野新幹線の点検は来月初めに終了する予定だ。

落下の恐れのある個所が1万7000カ所 山陽新幹線

8:54p.m. JST July 21, 1999
 山陽新幹線の高架橋からコンクリート片が相次いで落下している問題で、兵庫県内を中心とした新大阪―相生駅間の高架橋の約1万7000カ所で落下の可能性のある個所が見つかったことが21日までに、JR西日本神戸支社の調べで分かった。また、福岡県内では3000カ所を超える個所が見つかったことも判明した。JR側は福岡トンネル事故の後、すべての高架橋で緊急点検を実施しており、その結果のうち、点検対象全体に占める問題個所の面積だけを19日に発表していた。JR西日本は今回わかった落下危険個所数について、「支社が独自で集計したものだ」としている。

 JR西日本の調べでは、山陽新幹線では、高架橋からのコンクリート片落下は1996年度以降、計47件にのぼっている。うち、兵庫県内を中心とした神戸支社管内では12件、福岡県内を中心とした福岡支社管内では21件。いずれも、これまでにけが人などはないという。

 神戸支社によると、7月6―17日にかけて、新大阪駅付近から相生駅付近まで計57.4キロにわたる高架橋の橋げたや橋脚を緊急点検した。その結果、コンクリートの表面に亀裂や浮きなどが見られ、落下の可能性があったのは小指大のものも含めて計約1万7000カ所にのぼったという。面積では点検対象の約631平方メートルのうち、0.04%にあたる約272平方メートルだった。すでにコンクリートをたたき落とすなどの応急処置を施しており、当面、落下の可能性は低いとしている。

 さらに福岡支社によると、福岡県内の高架橋からは、3685カ所で落下の可能性のある個所が見つかった。面積では約275平方メートルのうち、0.2%にあたる555平方メートルだった。いずれもコンクリートをたたき落とすなどの応急処置をすませたという。

JR四国がトンネル点検

1999年7月19日 15時37分 共同通信社
 JR四国は19日、山陽新幹線トンネル壁崩落事故を受け、四国管内の277のトンネルのうち、施工不良のコールドジョイント発生の可能性のある62トンネルを点検し、19トンネルの109カ所で、コールドジョイントを確認したと発表した。このうち、5カ所を継続調査としたが、いずれも崩落など異常はなかったとしている。

トンネル263カ所で「異音」 JR西日本が点検

6:27p.m. JST July 19, 1999
 山陽新幹線福岡トンネルのコンクリート崩落事故を受け、JR西日本が実施しているトンネルの総点検で、同社は19日、見つかった2000カ所余りのコールドジョイント(施工不良部分)の周囲をハンマーでたたいて音を調べる打音検査の中間結果を発表した。それによると、既に検査を終えた1883カ所のうち、周囲とは異なる音のする所が263カ所あった。

 同社は「コンクリートの強度低下などはなかったが、新幹線への信頼回復のため、利用客の目に見える対策を取る必要がある」と判断。帰省ラッシュ前の8月10日までに、異音がしたすべての個所について、崩落予防金具で補強することを決めた。

 また、同社はコンクリート片が相次いではがれ落ちている山陽新幹線高架橋の全線209キロ中、下を人が通行する203キロについての点検も終了。はく離の恐れがある部分をハンマーなどでたたき落とし、鉄筋が露出している部分はさび止めを施した。このほか、過去のはく離件数を改めて調べ直したところ、1996年度以降47件あったことが分かったという。(時事)

コールドジョイント100カ所以上 JR東日本緊急点検

9:00p.m. JST July 16, 1999
 JR東日本は16日、山陽新幹線のトンネルはく落事故を受けて実施した東北・上越、長野新幹線の緊急点検の中間結果を明らかにした。全162カ所のトンネルのうち64カ所の点検を終えたが、100カ所を超える施工不良部(コールドジョイント)が報告されているという。いずれも周囲に大きなひび割れなどはなく、安全性に問題はないとしている。

 点検対象となるコールドジョイントは、接着が不十分な状態であることに加え、亀裂が現れているもの。各支社からの報告では、10カ所以上のコールドジョイントが見つかったトンネルもあるという。同社設備部は「亀裂が1ミリ以下のケースもあり、現在報告されている分がすべて、調査を指示されたような不良部にあたるわけではない」と説明している。

 他社の一斉点検では、山陽区間(新大阪―博多間)で2049カ所のコールドジョイントが見つかった。東海道区間(東京―新大阪間)は全66カ所のトンネルのうち40カ所の点検を終え、19カ所のコールドジョイントが見つかっている。亀裂の大きさについて、JR西日本は「大きさにかかわらず、すべての亀裂が対象」、JR東海は「0.1ミリの亀裂でもコールドジョイントと判断している」と説明している。

JR西日本社長 「新幹線止めない、100%安全ない」

8:14p.m. JST July 12, 1999
 山陽新幹線の小倉―博多間の福岡トンネル(福岡県久山町、全長約8.5キロ)内を走行中の「ひかり」にコンクリート塊が直撃した事故や、高架橋から相次いでコンクリート片が落下している事故について、JR西日本の南谷昌二郎社長が12日、事故後初めて、記者会見した。安全性を強調する一方で、100%の安全はないとも主張し、徹底調査のために運転を止める考えはないと明言した。

 南谷社長は、福岡トンネル事故などで事実の公表が遅れた点について、「より慎重に、より正確にと心がけたため発表が遅れた。もっと早い段階で発表すべきだった。大組織が陥りがちな旧国鉄的体質に先祖がえりしており、危機管理にメスを入れたい」などと謝罪した。

 安全性については「現在の点検状況などから、ご安心いただけると確信している。交通機関に100%の安全はないが、2度と起きないように点検や調査などの極限まで努力を積み重ねたい」と話した。徹底点検のために運転を止める考えはないかとの質問には、「毎日、深夜に列車を止めて点検しており、一時的にでも全面的に止める必要はない」と答えた。

 山陽新幹線のトンネルや高架橋の耐久性については「コンクリート構造物は当面、20―30年であれば補修を繰り返して使える。取り換えなど抜本対策の必要はない」と話した。

パンタグラフが対向列車床下に刺さる 山陽新幹線事故

03:05a.m. JST July 10, 1999
 山陽新幹線小倉―博多間の福岡トンネル(福岡県久山町、全長約8.5キロ)内でコンクリート塊がはがれ落ち、下り線の「ひかり351号」を直撃した事故で、反対側の上り線を走行中の博多発東京行き「のぞみ12号」(16両編成、乗客約260人)の車両の床下に、大破して線路内に落ちていたひかりのパンタグラフの一部とみられる長さ約20センチの鉄の棒が突き刺さっていたことが9日、JR西日本とJR東海の調べで分かった。のぞみは緊急停車して車両を点検したが、異常を見つけられないまま終点の東京駅まで走っていた。JRは脱線などの危険性は低かったとしているが、事態を重くみて刺さった状況などを詳しく調べている。

 調べでは、6月27日午前の事故発生当時、福岡トンネル内を時速240キロで走っていた上りのぞみ12号は異常音を聞いて緊急停車。そのまま停電して立ち往生した。車両を点検した車掌が、先頭車両前面に付いた障害物よけバンパー(排障器)に小さなへこみを見つけたが、運転に支障なしと判断し、約50分後には停電復旧により運転を再開した。

 のぞみ12号はそのまま東京駅まで走り、その後、東京第1車両所(東京都品川区)で点検した。その結果、先頭車両の床下にある車軸を駆動するモーターの保護カバー(アルミ合金製、厚さ約6ミリ)に直径2.5センチの穴があき、その穴にひかり351号のパンタグラフの一部で、「天井管」とみられる鉄製の棒(長さ約20センチ)が突き刺さっていた。カバー内のモーターには届かず、傷はなかった。

上越新幹線立ち往生でJRに異例の文書指導 運輸省

5:44p.m. JST July 09, 1999
 JR上越新幹線が先月末、新潟県塩沢町のトンネル内で約4時間も立ち往生したことについて、運輸省は9日、JR東日本に対し、事故後の対応に改善の余地があったとして、現場の判断能力の向上や訓練の徹底などを図るよう文書で指導した。列車の遅れに対して運輸省が文書指導をするのは初めて。5月には東北・上越新幹線で乗客が約5時間半缶詰になったほか、首都圏の中央線で車両故障後の復旧に時間がかかって乗客との間でトラブルになるといった事態が続いていることから、異例の厳しい対応となった。

 運輸省やJR東日本によると、6月26日正午すぎ、上越新幹線のエアブレーキから空気が漏れ、緊急ブレーキが作動して列車が止まった。検査係が現場に到着し、「救援列車が必要」と判断したのは約3時間後。乗客約350人が救援列車に乗り換えたのは約4時間後だった。運輸省は、この間に、現場と東京の対策本部との間で適切な情報のやりとりや指示があれば、もっと早く乗客を外に出すことができたとみている。

 運輸省は「安定した輸送を提供すべき鉄道にとって重大な事態であり、利用者の信頼を損なう」としたうえで、今後、運転士らの応急処置能力を向上させるための教育の充実や救援列車の訓練、トラブル発生時の情報のやりとりや指示内容を改善させるよう、JR東日本に要請した。

補修個所からコンクリ落下の疑い 山陽新幹線の高架橋

2:28p.m. JST July 09, 1999
 山陽新幹線の高架橋からコンクリートが相次いで落下している問題で、その多くがこれまで補修した個所から落ちている疑いの強いことが9日、JR西日本の調べで分かった。劣化を促す原因とされる「中性化現象」を抑えるための補修の効果が一定の期間をおくと薄まり、再び劣化の進む可能性があるという。このためJR西日本は、山陽新幹線の高架橋のすべての補修個所について、中性化の進行や鉄筋の腐食状態を調べ、補修の効果や耐用年数を把握する方針を決めた。

 JR西日本によると、6月27日、福岡トンネル内でコンクリート塊が「ひかり」に直撃した事故後、7月5―9日にかけて、兵庫県内や福岡市内の高架橋の橋げたや橋脚からコンクリート片の落下が相次いで見つかっている。調査の結果、このうち、少なくとも兵庫県相生市内で落下した個所は、これまで補修した個所から落ちていたという。補修の効果が薄まり、中性化が進んだため亀裂やはく離が生じたとみている。

 山陽新幹線では、旧国鉄時代の1980年ごろから、高架橋の橋脚や橋げたに劣化が確認されてきた。空気中の二酸化炭素がコンクリート中のアルカリ成分を中和させて鉄をさびやすくさせる中性化現象が起き、内部の鉄筋をさびで膨張させ、亀裂やはく離が生じたという。

 旧国鉄は、劣化個所の表面に樹脂を塗り、二酸化炭素の侵入を阻止するための補修工事を進めてきた。民営化後のJR西日本は93年、補修方法のマニュアルを新たにつくった。

 これまでの補修個所は、山陽新幹線の総延長の半分を占める高架橋のうち、3―4割にあたる。補修後の耐用年数を10―20年とみて、補修を繰り返すことで劣化を抑えられるという。

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