TOPIC No.2-25-3b 2000年07月-12月(そごう)

そごう前会長が株返還訴訟で訴因追加 決議無効訴え

2000.12.25(21:10)asahi.com
 経営再建中の大手百貨店「そごう」(大阪市)の水島広雄前会長(88)は25日、すでに日本興業銀行に対して起こしているグループ中核企業「千葉そごう」(千葉市)の株式返還訴訟にからみ、同社を相手に、9月の株主総会での決議が存在しないことを確認する請求の追加を東京地裁に申し立てた。「同社の大株主である前会長に招集通知を出さずに開催した総会は成立しない」と主張しており、今回の提訴は前会長に株主権があることを前提に、グループ全体の決議が無効だと訴えていく構えだ。

 水島前会長側によると、千葉そごうの9月26日の株主総会では、同社の大株主である前会長の立場を無視して、新たな取締役が選任がされ、その後、株主総会での決議に基づいて同社の取締役会議で代表取締役が選ばれたという。また、同社がグループ企業各社の株主で、実質的にグループを支配していることから、前会長は、同社を始めとするグループ内の株主総会や取締役会議での決議が、無効だと主張している。

 水島前会長は、4月に経営再建策のために提供した千葉そごうの株について、「債権放棄を前提として提供したのに、約束を破ったので返すべきだ」として、興銀に返還を求めている。

そごう8店舗が閉店 いずれも引き受け手ないまま

2000.12.25(20:40)asahi.com
 今年7月に民事再生法の適用を申請して倒産した大手百貨店そごうグループのうち8店舗が、25日の営業を最後に閉店した。営業成績がふるわず、将来、収益向上の可能性が見込めないと判断された店舗で、勤務している従業員の大半の1875人は解雇され、厳しい年の瀬を迎える。いずれの閉鎖店舗も引き受け手は見つかっておらず、地元経済への影響は避けられない情勢だ。

 閉鎖された店舗は札幌、錦糸町(東京都)、豊田(愛知県)、奈良、加古川(兵庫県)、福山(広島県)、黒崎、小倉(以上福岡県)の8店。ただし、札幌、奈良、加古川の3店は食品売り場のみ31日まで営業を続ける。

 このほかに大阪も25日にいったん閉鎖し、3年後をめどに建て直した上で営業を再開する予定。

 今月1日から始まった閉店セールの売上高は、見込みの500億円に対して412億円だった。秋以降、プロ野球の優勝セールなどバーゲンが重なったことに加え、1月早々から百貨店各社が冬物バーゲンを本格展開することもあり、「閉店セール」への出足が鈍ったとみられる。

そごうの9店、閉店セール最終日

2000.12.25(11:47)asahi.com
 今年7月に経営破たんした大手百貨店そごうグループのうち、年内に閉鎖する9店の閉店セールが25日、最終日を迎えた。一部の店を除きこの日で閉店する。

 東京都墨田区の「錦糸町そごう」は1997年にオープンしてわずか3年あまりでの閉店。10時の開店前に約100人が並んだ。

 1日から始めた閉店セールは、30%から70%引き。この日も開店と同時に配られたチラシを手にした主婦らが、目当ての靴や婦人服売り場に急いだ。

 葛飾区の主婦東梅幸子さん(44)は「以前シンガポールに住んでいた時に、近くにあったそごうで食料品など何から何まで買っていた。親しみがあったので、閉店は残念」と話した。千葉県から訪れた主婦村越カホルさん(40)は、「錦糸町にはほかに百貨店が少ないので、選択肢の多い新宿に人が流れてしまうのでしょう」と話した。

 洋服店の店員(51)は「お客様からがんばれよと励まされたり、プレゼントを頂いたりする。涙、涙です」と感慨深げだった。

そごう6店25日に閉店/錦糸町・豊田・大阪など

2000.12.22The Sankei Shimbun
 民事再生法下で再建中の大手百貨店そごうグループのうち、閉鎖対象の錦糸町(東京都)、豊田(愛知県豊田市)、福山(広島県福山市)、小倉(北九州市)、黒崎(同)の五店と、改築予定の大阪(大阪市)の計六店舗が二十五日、閉店する。

 同様に閉鎖対象とされた札幌(札幌市)、奈良(奈良市)、加古川(兵庫県加古川市)の三店は食品売り場に限って三十一日まで営業を続ける。

 小倉などでは地権者が閉店後の再オープンをそごう側に要請中。しかし、賃料など出店条件で折り合いが付かず、そごう以外に引受先も現れない場合、閉鎖対象店舗は来年二月以降、原則清算される。大阪は三−四年後の営業再開を目指している。

 九店は今月一日から「売り上げ五百億円」を目標に一斉に閉店セールを展開している。

水島前会長ら17人が賠償責任認めた決定に異議の訴え

2000.12.22(23:13)asahi.com
 経営再建中の大手百貨店「そごう」(大阪市)の水島広雄前会長(88)は22日、前会長に対する約60億円の賠償責任を認めた民事再生法に基づく東京地裁の8日の決定に対し、「事実誤認がある」などとして異議の訴えを同地裁に起こした。前会長とともに賠償責任があるとの決定を受けたほかの16人全員も同調した。再建手続きを迅速化するために4月に施行された同法の趣旨とは裏腹に、旧役員に対する責任追及の手続きは、通常の民事訴訟に舞台が移され、長期化する見通しとなった。

 東京地裁は8日の決定で、架空取引を使った関連会社「超音波」への不正融資26億円▽トルコへの出店計画をめぐる出資金のうち約16億円▽1994年2月期決算を粉飾するなどして工面された違法配当計約18億円――の3件について、水島前会長に賠償責任があるとした。

私財一部提供用意も 水島前そごう会長単独インタビュー

2000.12.17(03:11)asahi.com
 経営破たんした大手百貨店「そごう」(大阪市)の水島広雄前会長(88)が16日、朝日新聞社の単独インタビューに応じ、社長を退く1994年までの経営悪化について、「財務内容を正確に把握できなかった。代表者として責任の一端はある」と認めた。法的な責任には触れなかったが、自分自身の資産総額が約15億円になるとし、一部をそごう側に提供する意思があることを明らかにした。一方で、94年以降は日本興業銀行や日本長期信用銀行(現・新生銀行)など主力行から派遣された役員に経営の主導権が移り、経営に関与できなかったと主張した。

 そごうの倒産後、水島前会長が単独インタビューに応じて、考え方を明らかにしたのは初めて。

 そごうは80年代以降、急激に店舗数を増やす拡大路線に伴い、金融機関からの借り入れを増やした。興銀の西村正雄頭取は今年夏の国会で、「(自分は)94年にそごう全体が債務超過状態にあったと認識した」と述べている。

 この点をめぐり水島前会長は「当時、債務超過だったことは知らなかった」としつつ、「私は財務内容を正確に把握できていなかった。代表者として責任の一端はある。実態を把握しないまま経営していたのは放漫経営だと言われても仕方がない」と話した。

 拡大路線については、「ブレーキがかけられるような状況をつくっておくべきだった」などと反省点をあげた。

 また、自身の収入について、ここ10年間は年間4億円程度あり、現在の保有資産が約15億円あると明らかにした。内訳は東京都内の自宅などが約5億円、預金などが計約10億円という。

 そごうの破たんをめぐっては、現経営陣が前会長に損害賠償を求める一方、前会長が興銀に対し株式の返還訴訟を起こしている。

旧長野そごうでフリマ 田中知事もサンタ姿で参加

2000.12.16(20:29)asahi.com
 今年7月に自己破産して閉鎖した長野市の旧長野そごうで16日、地元ボランティアが「クリスマスドリーム―市民プロジェクト」と銘打ってフリーマーケットなどを開いた。日ごろ「カモシカやっしー」のブローチを胸に付けている田中康夫知事もサンタクロース姿で参加。多くの客が詰めかけて買い物などを楽しみ、8月の在庫処分セール以来、約4カ月ぶりににぎわった。

 催しは、地元の商工関係者ら20―30代の若者約50人が「もう一度そごうのシャッターを開けたい」と、破産管財人と交渉して実現した。

 フリーマーケットは、かつての1階化粧品売り場などに41組が出店、地元の野菜や名物の「おやき」を売った。子供の遊び場やミニ演奏会などもあり、約2000平方メートルの店内が久しぶりに活気を取り戻した。

 催しは24日までの土曜、日曜日に開かれる。

そごうグループ退職者、計画上回り約3420人に

2000.12.15(19:13)asahi.com
 民事再生法下で再建中の大手百貨店そごうグループは15日、再生計画案に盛り込んだ9店舗の閉鎖などに伴う退職者数が、計画より約320人多い約3420人に上ったと発表した。内訳は、1240人の枠を設けた希望退職者が約1570人に達し、店舗閉鎖による解雇者が約1850人。この結果、来年2月以降に発足する見込みの「新生そごう」は12店舗約5310人態勢となる。

 希望退職は今月5日から募集して15日に締め切った。部長級の割合が最も高く3人に1人、若手中心の一般社員は4人に1人が手を挙げた。労働組合の要請を受けて、全員解雇予定だった閉鎖店舗の現地採用社員約2100人のうち240人の雇用継続枠を設けたが、転勤が必要なことなどから希望者は約150人にとどまった。

そごう株主集め水島前会長と監査法人に賠償請求へ

2000.12.15(14:47)asahi.com
 民事再生法を申請して再建中の大手百貨店「そごう」の経営責任を追及している大阪の市民団体「株主オンブズマン」(代表=森岡孝二・関西大教授)は15日、同社の水島広雄前会長と同社の監査法人「太田昭和センチュリー」(東京)を相手取って損害賠償請求訴訟を起こすことを決めた。「1994年から債務超過だったのに虚偽の有価証券報告書を出し、監査法人も見逃したため、株を購入して損害を受けた」として、同年以降の株購入代金を賠償するよう求める。弁護団と連携して原告を募集し、来年1月に大阪地裁に提訴する方針だ。

 そごうが水島前会長らに損害賠償を求めた民事再生法の手続きで、東京地裁が前会長らの違法性を認めたことを受けて提訴を決めた。同社の監査法人は民事再生法による損害賠償の相手先にはなっておらず、今回の訴訟で初めて法的責任を追及することになる。

 オンブズマンは水島前会長に対して、グループ各社を「千葉そごう」の子会社にするなど系列を複雑にし、巨額の損失を隠して財務状況の実態を開示しなかったと経営責任を指摘。主力取引先の日本興業銀行の西村正雄頭取が国会で「94年にそごうが債務超過であることがわかった」と証言していることから、「同年以降、粉飾決算を行っていた」としている。

 一方、監査法人に対しては、そごうのグループ企業や関連会社、取引先への無謀な融資や架空取引などを見過ごし続けたと指摘。経営実態を反映していない虚偽の有価証券報告書に監査証明を出したとして、証券取引法で定める賠償責任がある、と主張している。

 オンブズマンは集団提訴に向け、弁護団と連携して原告になるそごう株主を募集する。

 今回準備している訴訟は、株主が会社に代わって経営陣などに損害賠償を求める株主代表訴訟と違い、株主個人が株購入で受けた損害の支払いを求めるもの。

 原告募集の問い合わせは株主オンブズマン事務局(06・6314・4192、ファクス6314・4193)。

そごう破綻 水島元会長の賠償金60億円/東京地裁認定 旧経営陣16人も責任

2000.12.09The Sankei Shimbun
 経営破たんした大手百貨店そごう(大阪市)の経営陣が民事再生法に基づき、水島広雄元会長ら旧経営陣十九人に総額約百十二億円の損害賠償請求の査定を求めている裁判で、東京地裁(園尾隆司裁判長)は八日、水島元会長ら旧経営陣十七人の経営責任を認め、水島元会長の賠償額を計約六十億円とするなどの決定をした。民事再生法による賠償査定は初めて。水島元会長は来週にも異議を申し立てる意向を示している。

 そごう側が賠償請求の査定を求めていたのは(1)関係会社「超音波」(東京都港区)との架空取引で生じた損害の一部約二十六億九千万円(2)平成二年のトルコ出店計画失敗で生じた損害約三千万米ドルと利子の計六十七億六千万円(3)三回の違法配当の合計額約十七億九千万円−の計百十二億円余。

 そごう側は九月末から三回にわけて申し立てを行ったが、民事再生法施行により手続きが簡素化されたため、わずか二カ月での決定となった。

 決定では、超音波との架空取引について「水島元会長、井上盛市元副会長の経営に対する注意義務違反と忠実義務違反があった」と、二人に対して合計で二十六億円の賠償額を査定。

 トルコへの出資については「五年十一月までに貸付金全額を回収する義務があったのに、それを怠った」などとして、水島元会長、山田恭一元社長、坪内義文元取締役の三人に貸付額三千万米ドルの半額にあたる千五百万米ドル分に相当する約十六億円を査定した。

 違法配当については、水島元会長と取締役ら計十七人に対し「配当可能利益が存在しない財務内容であるにもかかわらず、配当を実施する取締役会の決議に賛成したのだから、賠償義務を負う」などとして、約十七億九千万円を認める査定をした。取締役二人については「配当を決める直前に取締役に選任され、財務状況に関する知識を得る機会がなく、違法性に欠ける」として、「損害賠償義務はない」と判断した。賠償額査定の合計は水島元会長が約六十億円。そのうち、井上元副会長に合計で約四十三億円、山田元社長に二十八億円分の責任を認定するなどの内容となっている。

 水島元会長は裁判所が当事者の意見を聞くために先月開いた「審尋」の場で、「出資や配当は銀行や公認会計士も容認した。訴えられた内容に違法性はなかった」などと争う姿勢を示していた。水島元会長側は来週にも決定に対して異議を申し立てることを明らかにしており、裁判は水島元会長らを原告とする通常の損害賠償裁判に移行する。

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 水島広雄元会長の弁護団の話 「納得できない。来週中にも異議の訴えを起こして争っていく」

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 そごう広報室の話 「過去の経営者の責任の一端が明らかにされたものと認識している。当社としては判断を厳粛に受け止め、これを尊重する所存です」

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 ≪民事再生法≫今年四月から和議法に代わって施行された新しい倒産法。裁判所が認定した事業管財人が再生計画を実行する会社更生法に対し、申請前の経営陣が会社に残って再建を進める。破たん前でも申請できる。会社更生法は管財人を選ぶのに手間がかかるなど、再建計画の認可までに一年半から二年程度かかるが、再生法は半年程度で再生計画を開始することが可能。損害賠償の査定は旧経営陣の責任追及を簡易な手続きにより、迅速、確実に行える利点がある。

そごう「閉店セール」始まる 500億円の売上げ見込む

2000.12.01(12:44)asahi.com
 経営破たんした大手百貨店そごうグループのうち、本店にあたる大阪市中央区心斎橋筋1丁目の大阪店など全国9店で1日、「閉店売りつくしセール」が始まった。25日まで全商品で5割以上の割引を基本にし、9店で計約500億円と前年同期の約4倍の売り上げを見込んでいる。

 再建計画で一時閉店が決まっている大阪店では通常の3倍、約3000人のスタッフが待機。婦人用衣類の中には80%値下げした商品もある。一番乗りは午前6時に来店した兵庫県宝塚市の40代の女性で、9時半には約800人が列を作ったため、予定を30分早めて開店した。スタッフに誘導されて100人ずつ店内に入ると、小走りで目当ての売り場を目指す人も。午前中、9000人を超える来店者があった。店側は期間中、約100億円の売り上げを見込んでいる。

 午前6時半ごろ来たという大阪市天王寺区の30代の主婦は「気に入ったブランドが入っていて見やすく、一番好きなデパートだったのに」。東住吉区の主婦(67)は「進駐軍に接収されていたころから知っている。閉店は本当に残念。庶民が気安く出入りできるお店として、再生してほしい」と話した。

家族持ちには5万円支給 そごう、ボーナスの代わり

2000.11.17The Sankei Shimbun
 民事再生法下で経営再建を目指す大手百貨店そごう(大阪市)は十七日、グループの社員に対し、冬のボーナスをゼロとする代わりに、単身者には三万円、扶養家族のいる社員には五万円を「寸志」として支給することを決めた。

 また、閉鎖、売却する九店の従業員の反発に配慮し、九店の社員約二千百人を全員解雇するとしていた当初計画を見直し、九店の約二百四十人を存続する十三店で継続雇用する。

 ただ、存続店の希望退職者が当初の約千人から約千二百四十人に増えスため、約三千百人を削減するとしている従来計画の削減総数は維持する。削減対象者には「転進支援補助金」として一律十万円支給する。

 全そごう労働組合(佃浩司委員長)は中央委員会を開催し、一連の会社側提案の受け入れを決めた。

そごう東京店跡にビックカメラが出店へ

2000.11.16(18:35)asahi.com
 民事再生法で再建中の大手百貨店そごうが9月に閉鎖した東京店跡に、大手カメラ・家電量販店のビックカメラ(本社・東京)の進出が内定したことが15日、明らかになった。ビックカメラは売り場面積約1万5000平方メートルを本体と関連会社ビックパソコン館で使う考えで、東京・有楽町というオフィス街に近い好立地を生かす考えだ。旧東京店を巡っては、大手アパレルメーカーのワールドも出店意欲を示していた。

「破たん想像もしなかった」 水島前会長、強気の会見

2000.11.02(13:49)asahi.com
 かつて「神様」「ドン」とまで言われたワンマン経営者は、強気と弱気の間で揺れ動いた――。2日午前、2兆円もの負債を抱えて経営再建中の大手百貨店「そごう」(大阪市)が旧経営陣を相手取った賠償請求査定申し立ての第1回審尋が東京地裁で開かれ、40年近く同社の社長だった水島広雄前会長(88)が出席した。これまで、「放漫経営」などの批判に対して沈黙を守ってきたが、この日は「皆様に申し訳ない」と頭を下げる一方、申し立てに対しては全面的に争う姿勢を見せた。

 そごうの水島広雄前会長の2日の記者会見での一問一答は次の通り。

 ――そごうと「超音波」の架空取引は把握していたのか。

 「私は知らない。超音波のオーナーではあるが、株主総会にも取締役会にも出たことはない。ノータッチだ」

 ――そごうの従業員と家族に一言伝えるなら何というか。

 「まことに申し訳なかったが、再建に努力してほしい」

 ――なぜ、そごうは破たんしたのか。原因をどう考えるか。

 「バブルがはじけてから不況に伴い売り上げが落ちた。頼りにしてきた長銀が破たんになるとは想像もしてなかった。経営者としてそこまで思いが至らなかったのかといえば、おわびするしかない」

 ――拡大路線が裏目に出たのではないか。

 「それはある。拡大路線のころは景気が良く、借金と売り上げが見合っていた。日本経済がバブルがはじけるような大変化をもたらすとは思いもよらなかった」

 ――自らの責任は、どの部分にあると思うか。

 「景気が良かった時分に拡大していたが、景気が悪くなると売り上げが下がり資産も評価損になった。バランスが崩れたことだ」

 ――興銀、長銀など取引銀行の責任をどう考えるか。

 「企業に対して『借りてくれ』という時代だった。無理をして借りたこともある。貸し出し責任はあると思う」

 ――経営が悪化した後も多額の役員報酬を受け続けていたが、私財提供の意思はあるか。

 「ある。社会人としての責任を感じている。ただ、資産を差し押さえられているので、できない」

 ――差し押さえに先立って土地など登記移転をしているが、資産隠しではないのか。

 「それは絶対にない」

 ――会長職に退いてからも代表権があったが、責任は。

 「会長だから責任があると言われればあるが、実際は経営にはタッチしていない」

 ――提供した株式の返還請求訴訟を検討しているということだが、新経営陣への挑戦状か。

 「そんなことはない」

 ――これまでの経営者人生を振り返ってどうか。

 「(経営が)いいときはみなさんに喜んでもらったが、世の中が変わってそごうが自主再建できなかった。運命と言えば運命だが、私自身が至らなかった。債務を弁済したいときには、もう返す金がなかった」

 ――阿部泰治元副社長、中沢幸夫元副社長の自殺をどう思うか。

 「2人ともかわいがっていた。阿部君は私を最も慕っていた。中沢君とは私と2人で相談し合って(そごう経営を)やってきた仲で、本当にやりきれない」

 ――破たんは「外的要因によるもの」と言い切れるのか。

 「地域に出店するときには、市長から商工会からあらゆる人が力を結集して臨むわけで、失敗するわけにはいかない。放漫経営という指摘は私の不徳の致すところではあるが、私は好きなゴルフも40年間、1回も行かず、土日も休んだことがない。店をようけ出しすぎたという批判は甘んじて受けるが、出店当時はバランスが取れていた。私は真剣だった」

破たん責任は否定 水島そごう前会長

2000.11.02(13:49)asahi.com
 水島広雄前会長は2日、「お客様、取引先のみなさま、そして国民に対し、経営者として責任を痛感して、おわび申し上げる」とするコメントを発表した。

 コメントの中で水島前会長は、損害賠償の査定申し立てについて、関連会社「超音波」に対する金銭貸し付けに過ぎないとし、「超音波側もそごうのために取得した土地に費やした金額などの返還請求権があり、単純な架空取引とはいえない問題を含んでいると聞いている。私個人は取締役会の議決には加わっていない」と述べている。

 また、トルコへの出店計画については「百貨店の立地として優れていると判断し、メーンバンクの日本興業銀行の現地調査からも同様の結論をいただいていた」と妥当性を主張。しかし、結果的に挫折したことについては、予期せぬトルコのインフレなどによるもので、「事業に伴うリスクだった」とした。

 違法配当問題については、「いかなる意味でも違法はなかった」と断言。申し立てについては「無理に違法の理由を後付けしているようだが、当時の会計監査人の適法な監査を受けており、違法に配当したことはない」としている。

水島前会長、違法性を否定 そごう賠償請求

2000.11.02(13:48)asahi.com
 経営再建中の大手百貨店「そごう」(大阪市)の旧役員に対する責任追及をめぐり、新経営陣が民事再生法に基づいて水島広雄前会長(88)ら19人に3件、総額113億円の賠償を求めている申し立てで、旧役員側の主張を聞く「審尋」が2日、東京地裁(園尾隆司裁判長)で開かれた。水島前会長は、申し立てられた3件について、「違法ではない」と主張、争う姿勢を示した。水島前会長は審尋後の記者会見で、「経営者としての責任を痛感している」と頭を下げる一方で、金融機関などを批判、そごうに譲渡したそごうグループの株式について「返還を求める訴えを検討したい」と明らかにした。水島前会長は、4月に経営不振の責任を取って辞任して以来、初めて公の場に姿を見せた。

 旧役員に対する賠償請求は、架空の手形取引を使った関連会社「超音波」への不正融資約27億円▽トルコへの無謀な出店計画で費やされた出資金など約68億円▽1994年2月期決算を粉飾するなどして工面された違法配当約18億円――の3件。

 水島前会長が3件とも申し立てられているほか、山田恭一前社長(72)と井上盛市前副会長(87)も2件について問われている。

 非公開で開かれた審尋は1時間10分ほど続き、水島前会長ら17人が出席。全員が、損害賠償の責任を否定した。

 その後の記者会見で、水島前会長は、現経営陣が10月25日に発表した再建計画を「民事再生法の趣旨に反している」と厳しく批判。所有するそごうグループ株式のそごうへの譲渡は、自主再建を前提としたもので、民事再生法を申請した以上返還すべきだとの考えを明らかにした。

 今年4月に施行された民事再生法の特徴は、迅速に企業を再生することにあり、旧役員に対する賠償請求の裁判も、通常の民事訴訟より簡便で、当事者が法廷で主張を展開させることはない。旧役員がそろって出席するのはこの日だけで、今後は書面でのやりとりが中心になりそうだ。

 再生企業側による賠償請求の申し立てに基づき、裁判所が申し立てられた旧役員から主張を聞く「審尋」を開いたうえで、賠償責任の有無、額を決定する。この決定に不服が出た場合は、通常裁判に移ることになる。

そごう、見せ金増資の疑い 奈良と多摩の赤字2社

2000.11.02(03:02)asahi.com
 経営再建中の大手百貨店「そごう」(大阪市)のグループ会社で、経営難だった2店舗が1999年2月に実施した第三者割当増資の計21億円が、数日のうちに引受先の資金元に戻されていたことが、複数のそごう関係者の話で分かった。この増資は、2社が債務超過でないことを装うためとみられ、関係者は実質的な資本増強につながらない「見せ金増資」の可能性があるとみている。この増資は、そごうグループ立て直しのためにメーンバンクの日本興業銀行が人材を送り込んでいた経理財務本部が主導していたといい、そごうの旧経営陣が損害賠償を求められるなど経営責任を追及されているなか、銀行の責任も問われそうだ。

 増資していたのは、「奈良そごう」(奈良市)と「多摩そごう」(東京都多摩市)の2社。登記簿謄本などによると、奈良そごうは、99年2月に資本金を6億円増やして161億2000万円にし、多摩そごうも同月、15億700万円増資して、145億2200万円にした。

 2社の増資は、グループ内でも比較的、収益力のあった「横浜そごう」(横浜市)など3社が出資。3社で奈良、多摩の99%前後の株を保有している形になっている。

 関係者によると、横浜そごうなど3社はまず、そごうの顧客らに商品券を売る「ダリア友の会」から資金約6億円を調達、奈良そごうの増資を引き受けた。

 奈良そごうは登記上は資本を増やしたものの、この6億円をグループ内の金融会社を経由して横浜そごうなど3社に戻した。3社はこの6億円に加え、ダリア友の会から9億円を追加調達し、多摩そごうの約15億円増資を引き受けた。多摩そごうも奈良同様、登記上で資本を上乗せし、同会に資金を戻した。

 そごうグループの元幹部らは、一連の手続きは数日間で処理され、取り扱い金融機関は興銀だったとしている。

 増資が行われた当時、2社は巨額の借金、利払いを抱えるなど経営難に苦しんでいた。興銀が、ほかの取引銀行にグループ支援を要請していたころだった。2社が債務超過に陥るのを避け、経営状況をよく見せることによって、銀行との取引継続をもくろんでいたとみられる。

 この仕組みは、グループ全体の資金繰りを統括していたグループ本部の経理財務本部などが指示していたという。増資を引き受けたグループ会社の元役員は、「赤字店を救うためには仕方がなかった。公認会計士からは反対意見が出されたが、本部の指示に従うしかなかった」と証言する。

 同本部は興銀が人材を派遣。グループ全体の財務状況を把握し、経営方針の決定に大きな影響力を持つ立場にあった。

     ◇

 <そごうグループ本部広報室の話> その経緯については、現在、把握していません。

 <日本興業銀行広報の話> 2社の増資を黒字店が引き受けたことは承知しているが、出資金が戻されているということについては認識していない。

「そごう」に興銀、西武子会社が出資へ

2000.11.01(18:44)asahi.com
 民事再生法下で再建中の大手百貨店そごうグループの和田繁明特別顧問は1日、東京都内で開かれた金融機関向け再生計画案の説明会で、来年2月に発足する新生そごうの資本金について「(主力銀行の)日本興業銀行と(西武百貨店子会社の)ミレニアム企画を中心に考えている」と語り、経理システムや商品供給だけでなく、間接的ながら西武百貨店と資本関係を結ぶ考えを明らかにした。

 そごうの説明では、興銀とミレニアム企画はそごうグループのうち存続する13社の再生計画案が債権者、東京地裁から認可を得た段階で、各社に1000万円ずつ出資する。その後、13社は前からあった資本金を100%減資。13社を休眠会社「十合(そごう)」に合併させる。和田氏は「外資系企業も興味をもっているようだ」と述べ、外資の資本を受け入れる可能性も示唆した。

 和田氏は元西武百貨店社長で、新生そごうの次期社長に内定している。ミレニアム企画は店舗開発などを請け負う西武の子会社で、そごうグループから営業面の再建策づくりを受託している。

そごうが債権者説明会 「もう1度チャンスを」と訴え

2000.11.01(18:58)asahi.com
 経営破たんした大手百貨店そごうグループは30日、東京地裁に提出した再生計画案の債権者説明会を東京都内で開いた。元西武百貨店社長の和田繁明・特別顧問らが計画案を説明したほか、今後の営業態勢について協力を求めた。また、東京・錦糸町そごうなど閉鎖・売却する9店向けで200万円以下の担保権のない債権も全額弁済されることが新たに公表された。

 説明会には、担保権のない債権をもつ債権者1340社のうち1250社の関係者が出席。和田氏は「そごうにビジネスチャンスを与えていただきたい」と商品供給の継続を改めて要請。閉店セールを12月1日から25日まで実施することなど、当面の営業態勢も説明された。債権者向け説明会は31日に大阪で、11月1日には東京で金融機関向けに開かれる予定だ。

そごう、地裁に再生計画案を提出 8店舗を年内閉鎖

2000.10.25(23:39)asahi.com
 今年7月に経営破たんした大手百貨店そごうグループは25日、民事再生法に沿って東京地裁に再生計画案を提出した。営業を続けている22店のうち東京の錦糸町など8店を12月25日に閉鎖し、専門店業態の船橋も営業を続けながら売却先を探す。同時にグループ社員の3分の1にあたる3100人を削減する。「新生そごう」は来年2月、債権者から計画案の了承を得て13店体制でスタート。西武百貨店との関係強化などで再生を目指すが、売上高の低迷は続いており、前途は多難だ。一方、法的整理の概略が固まったことで、国(預金保険機構)の債権放棄額はそごうグループ全体で1500億円超に上る可能性が高く、国民負担は私的整理を模索していた段階より500億円以上、増える見通しだ。

 次期社長含みでそごうの特別顧問に就任している元西武百貨店社長の和田繁明氏は同日、記者会見を開き、閉鎖・売却店舗が9店に及んだことについて「絶対に2次破たんしない体制を考えた」と説明した。閉鎖する八店では12月1日から閉店セールをする予定。本店扱いの大阪は12月に閉店した後、3年後をめどに建て直した上で営業を再開する。不採算店を切り捨て、2003年度の営業黒字化を目指す。

 人員削減は閉鎖店舗の約2100人に加え、存続店舗から1000人の希望退職者を募る。

 そごうグループは前会長の水島広雄氏が進めた拡大路線で百貨店の立地にふさわしくない店舗が少なくない。閉鎖される8店舗のほとんどは収益性が低く、今は黒字でも成長が見込めない店もある。自治体の駅前再開発などに伴って出店したところが多いが、原則として閉鎖店舗の従業員は解雇されるため地域経済への打撃も懸念される。

 存続13店舗は、休眠会社の「十合(そごう)」に合併させる。千葉そごうを頂点にグループ各社・各店が株を持ち合うという複雑な資本関係を解消し、商品仕入れや管理システムなどを一元化して効率化する「チェーンオペレーション」を導入する。

 存続するそごうグループ各社は100%減資を実施し、十合への合併後、新たな株主を求める。和田氏は具体的な出資要請先について明言を避けたが、主力銀行の日本興業銀行や、そごうの営業面の見直し策を受託している西武百貨店の子会社などを軸に検討されるとみられる。和田氏は古巣の西武の営業管理システムや独自開発商品の導入を検討していることを表明した。そごうの再生過程で西武との関係が極めて深まることは必至だ。

 再生計画の取引先向けの説明会は今月30、31の両日に、東京、大阪の順で実施される。金融機関向けには来月1日、東京で開かれる。再生計画の可否を決める債権者集会は来年1月末に予定されている。

そごう元副社長自殺 賠償請求の対象の1人

2000.10.10(21:59)asahi.com
 10日午前9時半ごろ、兵庫県西宮市仁川町5丁目、百貨店「そごう」の元副社長中沢幸夫さん(74)方で、中沢元副社長が首をつって死亡しているのを妻(68)が見つけ、110番通報した。2階書斎の机の上に、4枚の便せんに書いた家族あての遺書のようなものが残されており、西宮署は自殺とみて調べている。そごうの経営破たん後、中沢元副社長は、そごうに損害を与えたとして、新経営陣による損害賠償の査定申し立ての相手方になっていた。

 同署の調べでは、中沢元副社長は2階で浴衣姿のまま、電気コードで首をつっていたという。中沢元副社長は損害賠償査定について妻に対し「身に覚えのないことだ」と話していたという。

 そごうは、系列会社「超音波」の架空取引やトルコへの出店計画などで、不正取引や無謀な資金提供を放置したとして、先月26日と今月5日に民事再生法に基づいて東京地裁に損害賠償請求のための査定を申し立てており、中沢元副社長は相手方の1人になっていた。ほかに水島広雄前会長や山田恭一前社長ら旧経営陣の4人が対象になっており、申し立てによると損害賠償の金額は計約94億円にのぼる。

 中沢元副社長は1975年に帝人を退社し、そごう常務取締役に就任。経理部や企画管理部の担当取締役などをへて89年5月から95年まで副社長に就き、今年8月まで顧問を務めていた。

 大阪市中央区西心斎橋にあるそごう本社広報室の岩橋正行・専任部長は正午過ぎ、報道機関からの連絡で中沢元副社長の自殺を知った。「正直戸惑っている。今後のことについては、社として対応するのかどうか、まだわかりません。副社長という立場ながら、ざっくばらんな性格の人だった」と語った。広報室の社員3人は報道機関から殺到する電話応対に追われ、受話器を握りっぱなしだった。

 そごうの幹部では、4月27日、当時の副社長(63)が、神奈川県鎌倉市の自宅で首をつって自殺した。この副社長はそごうグループの主取引銀行の長銀出身で、財務担当として、店舗閉鎖などのリストラ計画のとりまとめに携わってきた。

そごうが水島前会長ら役員4人に65億円の賠償請求

2000.10.05(17:59)asahi.com
 経営破たんした大手百貨店「そごう」(本社・大阪市)は5日、1990年に打ち出されたトルコへの無謀な出店計画のため、約6000万ドル(約65億円)の被害を受けたとして、水島広雄前会長(88)ら旧役員4人に対して民事再生法に基づき、同額の賠償請求を東京地裁に申し立てた。これで旧役員に対する賠償請求は2件目。そごうが破たんした大きな原因の一つと言われる海外事業が問われることになった。

 水島前会長のほか、賠償請求の対象になったのは、海外事業本部長だった山田恭一前社長(72)、同本部開発事業部長だった坪内義文元取締役(55)、財務担当の中沢幸夫元副社長(74)の3人。

 申し立てによると、そごうは90年、水島前会長自らがトルコを訪問するなどして、イスタンブール市で百貨店やホテルなど不動産開発事業を展開することを決定した。

 ところが、用地の買収作業のため、地元業者への手付金など約3000万ドル(32億円)を関連会社を経由して投資したが、計画は破たん。一部手にした土地についても、十分な保全処分をすることなく5年間放置したため無価値となり、第三者の手に渡った。このため、金利などを含め、損害額は約6000万ドル(65億円)に上り、現在もそごうから海外の関連会社への貸し付けとして残っているという。

そごう、グループ経営陣刷新を発表

2000.10.02(20:24)asahi.com
 再建中の百貨店大手そごうは2日、グループ各社を民事再生法の申請にまで至らせた責任を理由に、水島広雄前会長体制下の各社の経営幹部や組合幹部がそれぞれの株主総会などで1日までに処分されたと発表した。

 同社によると、水島体制下のグループ21社の役員計50人のうち、千葉、柏、広島、呉、福山、新千葉、横浜、大宮、八王子、錦糸町の計7人の社長(兼務を含む)らが解任され、取締役ら23人が辞任した。

 解任された役員は、ずさんな経営を進めてきた水島前会長や井上盛市前副会長の側近とされ、それぞれの株主総会で会社側から動議が出され、認められたという。

 また、全そごう労働組合の副委員長だった4人の職員も、すでに懲戒解雇された前委員長とともに企業秩序を乱したとして、9月30日までにそれぞれが所属する会社の取締役会で諭旨退社処分や降格処分になったという。

そごうシンガポール店が閉店 14年の歴史に幕

2000.10.01(00:54)asahi.com(時事)
 民事再生手続きを進めているそごうグループのシンガポール店が9月30日で閉店となり、14年間の歴史に幕を下ろした。1986年に設立されたシンガポールそごう社は、そごうグループの経営不振のあおりを受け、95年以降は赤字経営だった。

 ラッフルズ・シティー店では、今月上旬から閉店セールを実施。半額以下の商品も多く、連日大勢の買い物客が押し寄せ、レジには長蛇の列ができた。 

そごう、水島前会長ら旧役員3人に賠償請求へ

2000.09.27(03:28)asahi.com
 再建中の大手百貨店「そごう」(本社・大阪市)は、旧経営陣が関連会社の水処理プラント会社「超音波」(東京都港区)に不正な資金を提供していた問題で、水島広雄前会長(88)、井上盛市前副会長(87)ら旧役員3人に対し、架空取引によって生じたそごうの損失総額二十数億円の損害賠償を求める手続きを、一両日中に東京地裁に起こす方針を固めた。今回の請求は、旧経営陣に対する責任追及の第1弾。弁護士らで構成するそごうの「経営責任調査委員会」はこのほか数件についても検討を進め、調べが固まり次第、順次賠償請求していく意向だ。

 関係者の話によると、そごうは1980年代の半ばから、超音波に大型プラントなどを注文したことにして購入と返品を書類上で繰り返し、その間に手形取引を通じて事実上の融資をしていたとされる。1回の取引は数億円で、超音波は、受け取った手形を現金化して運転資金として使い、一部は裏金とされていたとの指摘もある。

 そごうの超音波に対する債権額は金利分などを含めて54億円にのぼり、そごうグループの「千葉そごう」に移されている。この債権の移動は、不正な手形取引を隠すために融資の形に細工した「不良債権飛ばし」と見られている。

 こうした取引について、現経営陣は、少なくとも架空取引によって超音波に渡ったうち二十数億円がそごうの損害になると判断。そごうの最高責任者で、超音波の筆頭株主としての水島前会長、超音波社長も兼ねる井上前副会長について、注意義務を怠り、架空取引を見過ごした責任を問う考えだ。さらに、当時の経理財務部担当役員(74)も対象にするという。

 現経営陣による手続きは民事再生法に基づくもので、まず東京地裁に賠償査定の裁判を申し立てる。これを受けて地裁は、査定対象となった旧役員の主張を聞いたうえで責任の有無や賠償額を決定する。不服が出た場合は、通常の民事訴訟に移ることになる。

そごう、多額資金横流し/関連会社に 架空取引繰り返す

2000.09.26 The Sankei Shimbun
 民事再生法を申請した大手百貨店「そごう」(本社・大阪市)が平成四年から六年ごろにかけて、関連会社だった水処理プラント会社「超音波」(本社・東京都港区)と架空の取引を繰り返し、多額の資金を流していたことが二十六日、分かった。大阪の市民グループ「株主オンブズマン」は週内にも、株主代表訴訟の前段として監査役に第二次の提訴通知を行い、この不明朗な資金の流れについて旧経営陣の責任を指摘する構えだ。

 現そごう経営陣もこの事実を把握しており、未返済分について、水島広雄元会長(八八)や井上盛市前副会長(八七)ら旧経営陣の責任を追及するため、週内にも賠償請求の査定を東京地裁に申し立てるとみられる。

 そごうと架空取引をしていた「超音波」は昭和三十五年、食器洗浄機の製作会社として設立。現在は、工場排水処理機器などを販売。資本金は千二百万円で、水島元会長が株の四〇%を所有している。

 関係者によると、そごうは昭和五十九年、多額の赤字を抱えて資金繰りに行き詰まった超音波の支援策として、超音波の製品を納入する代金として、そごうが手形を振り出す形の契約を締結。毎月四、五億円を決済する超音波の“自転車操業”を支えるため、架空取引を繰り返し、資金の融通を続けていたという。

そごう前副会長、倒産後に自宅売却 差し押さえ回避か

2000.09.26(03:32)asahi.com
 再建中の百貨店「そごう」(本社・大阪市中央区)の井上盛市前副会長(87)が、そごうが民事再生法の適用を申請、倒産した後の8月下旬、自宅の土地と家屋の大部分を知人に売却していたことが25日、分かった。水島広雄前会長(88)も、6月下旬、自宅に隣接する土地と家屋を義弟に所有権移転していた。倒産した7月の前後に相次いで不動産の所有権を移していることについて、旧役員に対する賠償請求を検討している現経営陣側は、資産の差し押さえを避ける目的があった可能性もあるとみて、調べを進めている。

 登記簿謄本によると、井上前副会長の不動産は、東京都新宿区内の広さ約170平方メートルの土地と、木造2階建て、延べ床面積約157平方メートルの家屋。大手不動産会社によると、約9000万円の資産価値があるという。

 この不動産の20分の3は1981年に前副会長の妻に贈与されており、残りの前副会長名義分だけが8月24日、知人に所有権が移った。この取引について、知人は「前副会長側から、お金が必要になったから買ってほしいと言われた。新宿区に住むつもりはない」とし、購入額は数千万円という。井上前副会長宅の「留守番の者」という女性は、「(前副会長は)ずっと、いません」と話している。近所の人によると、前副会長がこの家に出入りする姿を時々見かけるという。

 売買日の前日は、そごうの次期社長に内定している和田繁明特別顧問が記者会見で、旧経営陣の責任を追及して損害賠償を求めていく方針を明らかにしていた。

 井上前副会長は、経済企画庁などを経て、62年にそごうに入社、98年5月から副会長を務めていた。水島前会長の側近の1人として知られ、今年、退任した。

 また、井上前副会長は、そごうとの架空取引で不明朗な資金提供を受けたとされる関連会社「超音波」(東京都港区)の社長を務めており、現経営陣による賠償請求の対象に含まれる可能性がある。今後、民事再生法などに基づき、裁判所が高額の賠償を決め、前副会長が支払えない場合は、本人名義の資産が差し押さえの対象となる。

 一方、水島前会長は、世田谷区内にある広さ約223平方メートルの土地と、木造2階建て延べ床面積約116平方メートルの家屋を6月に義弟に所有権を移した。水島前会長は、「錦糸町そごう」(東京都墨田区)の出店をめぐり、興銀からそごうへの融資のうち110億円を個人保証しており、興銀から7月24日に銀行口座など資産の仮差し押さえを受けたが免れる形になった。

 こうした動きに対し、興銀は「資産隠しの可能性がある」と判断し、この不動産について、処分禁止の仮処分を東京地裁に申請、認められている。

そごう東京店が閉店、閉店セールは売り上げ半年分

2000.09.24(21:43)asahi.com
 民事再生法下で再建中の百貨店そごうグループの東京店(東京・有楽町)が24日、閉店セールの最終日の営業を終え、43年余りの歴史に幕を下ろした。

 閉店セールは今月3日に始まり、大幅な値引きによる盛況のため、期間を1週間延長。最終的に延べ92万人の買い物客が詰めかけ、売り上げは同店の半年分にあたる約60億円に達した。

 最終日のこの日は約4万人が来店。閉店予定の午後7時を過ぎても、アクセサリーやハンドバッグを求める女性客らでごった返した。午後7時50分。従業員が深々と頭を下げる中、正面玄関のシャッターが下ろされると、見届けた客たちからねぎらいの拍手が起こった。

 同店は1957年、そごうの首都圏1号店として開業。「有楽町で逢(あ)いましょう」のキャッチフレーズで有名になったが、バブル崩壊後は業績が悪化していた。この日、店内の一角にあるスピーカーからは、フランク永井さんが歌った同名のヒット曲が流れ、年配の女性客が「懐かしいわね」と口ずさんでいた。

「有楽町そごう」が閉店/うりつくしセール最終日

2000.09.24The Snkei Shimbun
 民事再生法適用を申請した大手百貨店そごうグループの東京・有楽町にある「そごう東京店」が二十四日、閉店セールの最終日の営業を終え、四十三年余りの歴史に幕を閉じる。

 今月三日から始められた「閉店うりつくしセール」は当初十七日までの予定だったが、一日当たりの売り上げが過去十年の最高記録を連日超える盛況で、一週間延長されていた。

 この日は午前十時半の営業開始前から買い物客が長蛇の列をつくった。一階売り場ではマネジャーが「今日で営業を終えます。最後まで気を抜かずにお願いします」と店員にあいさつし、その後、全員でおじぎをして客を出迎えた。

 「有楽町そごう」として知られる東京店は一九五七年五月二十五日、首都圏進出の第一号店としてオープン。ヒット曲の題名にもなった「有楽町で逢いましょう」のキャッチフレーズで知られ、開店日は雨の中を約三十万人の客が押し寄せた。

 正面入り口に、天井から床に向け風を送って外気を遮断する「エア・ドア」を導入したり、昇りと下りのエスカレーターをX字型に設置するなど、目新しい設備も話題となり、若者たちの待ち合わせ場所にもなった。

 しかし九一年に東京都庁が新宿に移転。バブルの崩壊と長引く不況のなかで業績が悪化した。

全そごう労組、執行部が退任

2000.09.15(18:52)asahi.com
 民事再生法の適用を申請して再建中の大手百貨店、そごうグループの労組「全そごう労働組合」(組合員約8400人)は14日、大阪市内で第59回定期大会を開き、全役員27人のうち中央執行委員長と副委員長3人を含む執行部16人が退任した。水島広雄前会長との癒着が指摘され懲戒解雇された元委員長を支えてきた責任をとった格好だ。

 新執行部は定数を削減して23人。元委員長の責任を究明する委員会の設置などを盛り込んだ2001年度の運動方針案も承認した。究明委員会は新委員長ら8人で近く発足させる予定。

そごうグループ22社、資産内容報告書を提出

2000.09.13(23:41)asahi.com
 民事再生法下で再建中の大手百貨店そごうグループ22社は13日、同法に沿って再生手続き開始に至った経緯や足元の営業状況、資産内容をまとめた報告書を東京地裁に提出した。前会長の水島広雄氏ら旧経営陣による架空取引などに伴う損失について、数件の損害賠償請求訴訟を起こす用意があることも盛り込んだ。関連の設備会社「超音波」(東京都港区)をめぐる架空取引に関連した損失も含まれているとみられる。今月中にも申し立てる。

 そごうグループは来月25日までに、閉鎖店舗や人員態勢、営業政策の基本方針などグループの新たな骨格を盛り込んだ再生計画をまとめる方向で作業を進めている。

そごう東京店の閉店セール、24日まで延長

2000.09.12(21:13)asahi.com
 民事再生法下で再建中のそごうは12日、東京・有楽町にある東京店の閉店セールの最終日を当初予定の17日から24日に延長すると発表した。閉店セールの売上高は11日までの9日間で32億円に上っている。期間中の売上高目標は15億円だった。

そごうが巨額の架空取引 現経営陣が法的責任追及へ

2000.09.12(03:03)asahi.com
 民事再生法の適用を申請して事実上倒産した大手百貨店「そごう」(本店・大阪市)から、関連の設備会社に対し、億単位の資金が不正に提供されていたことが11日、そごう関係者の話で明らかになった。そごうが、同社から商品や資材を購入したと装い手形を振り出す形で、こうした手法は数年前までの十数年続いたという。提供された資金総額は数十億円に上る可能性もある。取引にかかわった関係者は「一部は裏金としてプールしていた」と話している。旧経営陣の法的責任を調べている現経営陣は、この関連会社をめぐる融資に法的問題があるとみて、旧経営陣に対して損害賠償請求できると判断、全容解明を進め、早ければ今月中にも民事再生法に基づき東京地裁に申し立てる方針だ。

 この関連会社は、東京都港区に本社を置く株式会社「超音波」。登記簿謄本や民間調査会社などによると、1960年に超音波による食器洗浄機の製作を目的に設立され、現在は、水処理プラントを製造、販売している。資本金は1200万円。そごうの前副会長の井上盛市氏が社長を務める。そごうの水島広雄前会長が筆頭株主で設立され、「千葉そごう」も、債権放棄計画が進められていた今年5月まで、大株主だった。

 関係者の話によると、そごうは、75年ごろから膨大な負債を抱えた超音波の支援策として84年と91年、両社間で資金援助のためとして売買基本契約を結んだ。これらの契約を使い、85年ごろから、そごうが超音波の製品を仕入れたように装い、代金の名目で同社に手形を振り出し、超音波はこれを現金化していたという。

 また、超音波が取引業者から資材を仕入れることにし、業者の架空請求書に基づき、そごうが超音波の支払いを肩代わりする形でも手形を振り出していたとされる。

 超音波をめぐるこうした取引は民事再生法申請後に内部告発などで指摘され、現経営陣も重要視しており、全体の取引実態を調べている。

 民事再生法は、再生債務者であるそごうの申し立てで、旧経営陣の経営責任を追及できると規定している。そごうは今月13日、東京地裁に賠償請求の意思を伝え、早ければ今月中にも、旧経営陣への賠償請求を申し立てる予定だ。裁判所は、旧経営陣側の主張を聞いたうえで、責任の有無や賠償額を決定する。

 こうした不正な取引の一端は今年6月の東京高裁判決で明らかになった。当時のそごう第1物資部担当部長で超音波の副社長が93年、架空の取引を装い、そごうから計約1億円分の手形をだまし取ったとして97年、詐欺罪で起訴された。この元副社長は、手形による取引は、年に40−50億円行われ、少なくとも数億円は架空取引だったと供述している。

 今年6月、元副社長は東京高裁で懲役3年執行猶予5年の刑が確定。この事件ではそごう側が被害者だったが、判決は、超音波へのそごうからの手形振り出しについて「そごうの元副会長ら幹部も認識していた疑いは否定できない」としている。

 超音波の幹部は朝日新聞社の取材に対し、「そごうからの資金援助は過去にはあったが、現在は、そごうとの取引はない。元副社長の件は司法の場で決着しており、それ以外コメントできない」と話している。

そごう旧経営陣に損害賠償求める 株主オンブズマン

2000.09.07(22:40)asahi.com
 大手百貨店「そごう」(本店・大阪市)が巨額の損失を抱えて倒産した問題で、市民団体「株主オンブズマン」は7日、水島広雄・前会長ら旧経営陣に損害賠償請求訴訟を起こすよう求める通知書を同社監査役に郵送した。同社株主から責任追及を委任されたオンブズマンは取締役会議録などをもとに、水島前会長が支配していたそごうグループ中核会社「千葉そごう」の子会社だった2社へずさんに貸し付けるなどした約2000億円の大半が損失になると指摘し、旧経営陣に計約70億円の賠償を求めている。

 通知書によると、そごう取締役会は「そごうファイナンス」(本社・東京都港区)と海外投融資会社「そごうインターナショナルデベロップメント」(同・大阪市中央区)にそれぞれ1000億円前後の貸付枠を設定。1993年以降、2社への貸付残高や保証債務の増加額は計1991億6600万円にのぼった。オンブズマン側は「大半がそごう自身の損害になる」としている。

 また、会議録によると、98年3月から今年2月まであった取締役会の議案の約8割が千葉そごう関係会社への貸し付けや債務保証関連で、すべて承認されていた。中には28議案を30分で承認していたケースもあり、オンブズマン側は「慎重に討議した形跡がみじんも見られない」と批判している。

 そのうえでオンブズマン側は、水島前会長に対しては2社の経営状態や返済能力といった情報を開示しなかったなどとして50億円を、その他の取締役らに対しては漫然と貸し付けを承認し続けたなどとしてそれぞれ1億―5億円を負担すべきだと指摘した。そごう自身が旧経営陣を提訴しない場合はオンブズマン側が株主代表訴訟を起こす方針。

 そごう広報室は「通知書の内容を把握していないので、現時点でのコメントは差し控える」としている。

4日間で目標突破、有楽町そごうの閉店セール

2000.09.06(21:43) asahi.com
 経営再建中の百貨店大手、そごうが3日から17日までの日程で始めた東京店(東京・有楽町)の閉店セールが、6日夕方までの4日足らずで、期間中の目標だった約15億円を売り上げた。半額以上の割引商品に人気が集中しているものの、客の平均単価は予想していた6、7000円を上回る1万円といい、期間中の売り上げは前年同期の店頭実績の7倍以上は確実とみている。

 百貨店の閉店セールの威力は、昨年1月の東急百貨店日本橋店や同7月の福岡玉屋などで実証済みで、取引業者もセールを在庫一掃の好機とみて、通常の3倍以上の人員を配置し、商品を投入。リーグ優勝が確実視されているプロ野球・巨人の「優勝セール」は、倒産を機に三越グループに移り、これまで通りに開催できなくなったものの、「期間中の売り上げははるかに上回る」という。

多摩そごう 少額債権者弁済額引き下げ

2000.09.04The Sankei Shimbun
 経営破たんした大手百貨店、そごうグループで、特別清算手続き中の多摩そごう(本社・東京都多摩市)は四日、少額債権者への弁済額を従来の二十万円以下から百万円以下に引き上げると発表した。「閉店セール」が好調だったためで、取引先約七百社の七割に対する債務が全額弁済されることになる。

 多摩そごうは八月十九日から九月三日まで十六日間、「閉店セール」を実施。売上総額が十七億六千九百万円と予想していた五億円の三倍以上に達したことから、弁済額を引き上げることにした。

 九日から十七日まで、「ファイナルセール」と銘打って閉店セール第二弾を計画しており、衣料品などを半額以下で提供する。

1時間で1日分の売上 有楽町そごうで閉店セール

2000.09.03(14:49)asahi.com
 経営再建中の百貨店大手、そごうの「東京店」(東京・有楽町)で3日、閉店セールが始まった。時計・貴金属など一部の商品を除き、全ての商品が半額以下とあって、早朝5時ごろから開店待ちの客が列を作り始めた。開店前に3500人が集まったため、開店時間を30分早めて午前10時から営業を始めた。

 店側によると、午前11時までに8500人が入場したため、入場制限を開始。午前中の段階で、3000人が入店待ちをしているという。

 東京店はそごうにとって首都圏1号店で、1957年の開店に合わせたキャッチフレーズ「有楽町で逢いましょう」がフランク永井のヒット曲にもなった。しかし、売り場面積が百貨店としては手狭なこともあって、最近は赤字が続いていた。

 そごうの広報担当者は「開店からたった1時間で約4000万円の売上。ふだんの日曜日の1日分の売上です。これだけの売上がいつもあったら、閉店しないですんだのですが・・・」と話していた。

 閉店セールは17日までで、期間中に15億円の売上を見込んでいる。それ以降、閉店の24日までは通常営業する予定だ。

そごうの水島前会長、提供株の返還を要求

2000.09.02(03:04)asahi.com
 7月に民事再生法の適用を申請して倒産した大手百貨店「そごう」の前会長、水島広雄氏が、そごうの現経営陣に対し、経営再建にあたって差し出していた同社やグループ中核企業の株式の返還を求めていることが1日、明らかになった。水島氏側は、銀行の債権放棄による再建策がとん挫したことを踏まえ、「株は債権放棄を進めるために寄付した。再生法の適用になった以上、返還してもらうのが筋だ」と主張している。

 水島氏の経営責任追及を含めて再建計画を模索しているそごう側は反発し、拒否する意向を伝えている。そごうの株式はそごうの倒産により、ほとんど無価値になっているが、中核の「千葉そごう」の株式の過半数を水島氏側が押さえれば、水島氏がそごうグループのオーナーに復帰することにもなり、水島氏側の出方によっては、今後の再建計画にも影響を及ぼしかねない。

 グループで1兆8000億円の有利子負債を抱えるそごうは4月、主力銀行の日本興業銀行などが6300億円の債権放棄に応じることを柱とした再建計画を発表。その際、会長だった水島氏は、保有するグループ中核会社の千葉そごうの株式51.1%(家族所有分を含む)と、そごう株をそごう本体に提供することを興銀に約束。そごう側によると、その後、株式の名義はそごうに移され、興銀に担保として提供されている。

 しかし、再建計画が暗礁に乗り上げ、民事再生法の申請に移行したことから、水島氏側は8月下旬に株式返還を求める書簡をそごう側に郵送した。水島氏の顧問弁護士は「水島氏が新たな再建計画に参加する意思があるかどうかは分からないが、いったん返してもらうのが筋だ」としている。

 これに対し、そごう側は「債権放棄の実現を株式提供の条件として約束したことはない。経営に失敗した人間が経営に返り咲こうとすること自体が非常識だ」としている。

 そごう側は「資産の移動には裁判所が任命した監督委員の承認が必要。債権者の反発も予想される」と応じる考えはないが、水島氏側は「再建計画の推移をみて、今後の対応を検討する」としている。

 水島氏は4月以降、経営責任をとる形で会長職やグループ企業の役職から退き、公の場には一切姿を現していない。国会に参考人として呼ばれたが、体調不良を理由に欠席している。

そごう、組合の前委員長を懲戒解雇

2000.08.31(23:19)asahi.com
 経営再建中の百貨店大手、そごうは31日、全そごう労働組合の前中央執行委員長(58)を29日付で懲戒解雇したことを明らかにした。前委員長は水島広雄前会長の側近といわれ、会社経費の不正使用など旧経営陣との癒着問題が指摘されていたことから、次期社長の和田繁明・特別顧問らが責任追及する方針を示していた。

 また、1日付で大阪本社にある人事部を東京のグループ本部に移管することを決めた。組織の腐敗を招いた情実人事の横行などを刷新するのがねらいとみられる。

興銀、そごうに「う回融資」か/ 関連会社に昨秋277億円 債務減額の疑い

2000.08.26The Sankei Shimbun
 民事再生法を申請し、経営再建中のそごう問題で、グループの中核「株式会社そごう」(本社・大阪市中央区)の経営状態が危ぶまれていた昨年秋ごろ、海外事業を担当していた関連会社「そごうインターナショナルデベロップメント」(SID=本社・同)が日本興業銀行から約二百七十七億円の融資を受けてそごうに同額を返済、そごうがほぼ同額を興銀への債務返済にあてていたことが二十五日、内部資料や関係者の証言で明らかになった。SIDへの融資はそごうが連帯保証していた。関係者は巨額な資金が一周しただけの不可解な会計処理を「“う回融資”の可能性がある」と指摘。そごうの銀行への債権放棄要請を念頭に置いた負担減らしとの疑惑も出ている。

 有価証券報告書によると、そごうはSIDに長期貸し付けを実施。残高は平成五年二月期で約三百十億千八百万円だったが、九年二月期には千百十九億七千万円に増加。しかし、十二年二月期には二百七十七億五千百万円が返済され、残高は八百四十二億千九百万円に減っている。

 関係者によると、SIDは昨年秋ごろ、そごうへの返済と同額の二百七十七億五千百万円の融資を興銀から受けていたという。この融資はそごうが連帯保証する形で実行された。さらに時期を前後して、破たんを目前にしたそごうが、ほぼ同額の二百七十七億二百万円を興銀への債務返済にあてていた。

 一連の融資・返済の流れをみると、二百七十七億円もの資金が、興銀を振りだしにSID、そごうを一巡して興銀に還流した結果、そごうの興銀に対する債務額が八百八十一億六百七十三万円から六百四億四百七十三万円に減り、差額は関連会社に付け替えられた形になっている。

 これに対し、興銀はSIDへの融資とそごうからの返済を認めた上で「そごうが海外事業向けとしてSIDに貸し付けてきた資金調達の一元化という理由で受けた。詳細は公表できないが、このことでグループへの債権総額約三千六百億円については変わらないはず」と説明している。

 しかし、そごう旧経営陣の責任を追及している関係者は、不可解な金の流れについて「二百七十七億円の根拠自体が不透明。一種のう回融資とも考えられ、そごうの興銀に対する直接の債務を関連会社に付け替えることで、そごうの破たん、そして銀行への債権放棄要請の際の負担軽減に備えたのではないか」との疑惑を指摘している。

 SIDは平成元年に設立されたグループの海外店舗展開の総括会社で、資本金百五十五億三千三百五万円。

 芦田光司前専務、山田恭一前社長らが役員に名を連ねたが、現在はそごうの阪田悦紹社長代行が役員らの辞表を預かった形になっている。

そごう再生 手探り始動 和田次期社長

2000.08.24The Sankei Shimbun
和田体制「大ナタ」どこまで

新本店計画 外資導入に意欲

 そごうグループの次期社長含みで特別顧問に西武百貨店の元社長、和田繁明氏が就任して一カ月近くがたった。再建に向けて、和田次期社長は“古巣”の西武百貨店から流通業に精通している米谷浩前会長らを引き抜き、七十人規模の再建チームを組織するなど和田体制を始動させた。有楽町そごうの閉店を決めたほか、大阪店をそごうのシンボルに建て替えるといった新生そごうのグランドデザインを描き始めた。(大久保俊彦、小雲規生)

《秋商戦が試金石》

 そごうは七月上旬、債権放棄の私的整理から民事再生法による法的整理に移行したことで、商品仕入れ体制は総崩れ状態に陥った。それが七月二十六日、西武百貨店再建で手腕を発揮した和田氏が次期社長に就任することが発表され、状況が一変した。

 和田氏の業界内での人望と再建手腕への期待から、大手アパレルメーカーなど取引先の商品供給が再開。現在は商品供給率が従来比七〇%に低迷している店もあるが、横浜、千葉、広島などの優良店では九七%まで回復している。

 しかし売上高は依然、落ち込んでいる。八月はそごう全体で前年同月比一五%減に低迷した。今年後半は前年同期比一二%減を予想しているものの、「それ以上になる可能性もある」(米谷そごう顧問)と楽観できない情勢だ。このため秋商戦の動向が、再生に向けたそごうの営業力を問う試金石となっている。

《社員に改革迫る》

 こうした状況の中で、和田次期社長は、十一月上旬に向けた再建計画の策定に乗り出した。その先駆けとして今月中旬、グループ社員に再建の危機感を訴えた文章を配布した。「民事再生法下でも、さらなる悲惨な破産はありうる」と危機感を表明。社員を「(外部から)評価が低い」「井の中の蛙」と切り捨て、強烈な意識改革を迫った。従来の経営責任を容赦なく追及し、経営幹部も退任させることを出発点に、人心と社風の一新を訴えた。

 再建計画の内容について、和田氏は「白紙」と説明するが、店舗の整理、人員削減、人事制度の改革など屋台骨の再構築は避けられない見通しだ。実際、和田氏は西武百貨店時代に「ヒトラー」と威名をとるほどの激しいリストラを断行した人物。そごう再構築には大なたが振り下ろされるのは必至だ。

《投資100億円超》

 「私見だが、大阪店は建て直して、そごうのシンボルにしたい。投資額は百億円以上かかるだろう」−。和田氏は二十三日の会見で、有楽町そごうの閉店を発表する一方で、大阪店を再生させる考えを披露した。

 どこが資金を出すのか。赤字を出している店が、建て直すだけで、収益が見込めるのか、疑問は大きい。だが、リストラ資金はメーンバンクの日本興業銀行が受け持つほか、海外の投資会社からの資金提供を積極的に受ける方針を示しているだけに、新大阪店計画は、和田氏の自信をそれとなく見せた。

 実際、そごうに関心を寄せる外資は多い。裁判所から再建計画が認可された後、再建計画次第では豊富な資金を外資から引き出せるチャンスにある。しかし、そごうは経営能力が同業他社に比べて著しく低い。営業力にたけた西武百貨店との共同仕入れ・商品開発などの提携が予想されたが、和田氏は「仮にそごうが販売して失敗すれば、西武の商品政策が悪いという評価が下される」と警戒する。こうした背景から西武との事業提携や事業統合は「そごうが西武のレベルに上がった時点で考えること」と考えているという。

 そごうが西武の“体力”に近づかなければ、単独では生き残れず、再建は夢のまた夢となる可能性は大きい。

閉鎖の多摩そごうで処分セール 開店前に6000人が列

2000.08.19(12:06)asahi.com
 大手百貨店そごうグループの倒産で閉鎖された多摩そごう(東京都多摩市)が19日、一時的に営業を再開して在庫処分セールを始めた。開店前に6000人が並ぶなど、多摩ニュータウンの「顔」として10年あまり親しまれたデパートを惜しむ人たちが「さよならセール」に次々に訪れた。

 多摩そごうは自己破産した木更津そごう(千葉県木更津市)、長野そごう(長野市)とともに業績不振が著しかった店舗の1つ。約560億円の負債を抱え7月12日、特別清算を申請、閉鎖された。

 木更津と長野はすでに処分セールを終え、どちらも3日間で約2億円の売り上げがあった。

 多摩では「値引き率50%以上」というふれこみで31日までセールを続ける予定だ。債権額の0.1%しか戻らない清算配当で焦げ付いた分を少しでも取り戻してもらおうと、取引業者が独自に出店する便乗売り出しもある。売り上げ目標は総額5億円。

 かつてはレストラン街も含め7フロアあった売り場は、今回は4フロアだけの営業。ほかのグループ会社に転籍になった元社員たちが古巣の売り場に立ち、呼び込みの声を張り上げた。

 通勤時間などの事情で転籍できず自主退職した数人の元社員の中には「最後を見届けたいから、無給でもいい」と、手伝いを志願してきた人もいるという。

 開店は午前10時半の予定だったが、行列が6000人近くに達したため15分繰り上げた。一番乗りをした近所に住む公務員宮本真志さん(32)は「ニュータウンのランドマークだった店なので、やはりさみしい。このあたりは学園都市なので、学生を集められる施設でないと難しかったのではないか」と話していた。

そごう 売上高14.5%減 8月上旬/上旬再生法申請から1カ月

2000.08.13The Sankei Shimbun
 大手百貨店そごうグループが、民事再生法の適用を申請してから十二日で一カ月が過ぎた。西武百貨店元会長の和田繁明氏が次期社長含みで特別顧問に就任し再建を図っているが、八月上旬の売上高は、前年比一四・五%減と依然厳しい。商品納入業者への信頼回復も十分ではなく、そごう再建の道のりは険しい。

 そごうに商品を納入している業者は前年同期の約九〇%。和田氏の迎え入れやメーンバンクの日本興業銀行が支援を表明したこともあり、民事再生法申請後から取引を停止していたオンワード樫山やレナウンなど大手アパレルメーカーは、取引を再開した。

 「国による安易な企業救済」という批判から起こった“そごう離れ”も、横浜、千葉などの基幹店で歯止めがかかった。だが、全体をみると、八月一日から十日までの売上高は前年比一四・五%減で「危機的な状況」(和田氏)に変わりはない。

 基幹店以外の不採算店では秋冬物を立ち上げる時期に、商品供給を受けることができなかったことが響いた。

 今後の商品供給についても不安は残る。「九月以降の取引条件は今後詰める」(レナウン)というように、売掛金を早く回収したい業者側の要求に、そごう側がこたえることができなければ、再び商品不足に陥る可能性がある。

 肝心の再生計画は、和田氏の古巣である西武百貨店の全面的な協力をバックに策定している。「一店ごとの経営改善は性にあわない」と話す和田氏にとって、両社合わせて約五十店にものぼる店舗の連携策を一日も早く提示することが急務となっている。  (小雲規生)

そごうが経営責任調査委発足 水島前会長らの告訴も視野

2000.08.12(00:43)asahi.com
 民事再生法の適用を申請している百貨店大手のそごうは11日、水島広雄前会長ら旧経営陣の経営責任の解明を進めるため、弁護士や公認会計士ら4人の委員でつくる経営責任調査委員会(委員長、小堀樹(しげる)・前日本弁護士連合会会長)を同日付で発足させた、と発表した。9月13日までに監督委員が東京地方裁判所に経営状況の報告書を提出するが、その際、経営陣の法的責任の有無を含めた調査結果を出すという。

 委員はいずれも外部から招いた。経営破たんに至るまでの中で、経営陣に職務上の義務違反などがなかったかについて調査し、結果次第では、刑事告訴を含めた責任追及もありうる、としている。

 一方、経営再建に向けては、次期社長の和田繁明氏のほか、そごうの阪田悦紹社長代行、メーンバンクの日本興業銀行出身者、弁護士ら総勢50人ほどの特別チームが近く結成される予定。10月25日までに再生計画をまとめる。

処分セールに最後の“熱気”/木更津そごう

2000.08.10The Sankei Shimbun
 民事再生法の適用を申請した大手百貨店「そごう」の系列店で、約二百四十一億円の負債を抱えて倒産した「木更津そごう」(千葉県木更津市)で十日、緊急換金処分セール(破産管財人主催)が始まった。

 処分セールは、そごうが保有する商品を現金化するために行われ、服飾や雑貨、寝具などを通常の五−八割引で販売。この日は、開店を待ちわびる主婦ら五百人近くが朝早くから大勢詰め掛け、周辺には長い行列ができた。

 八時から待っていたという木更津市の女性会社員(五〇)は「食料品と貴金属を目当てにきた。そごうの食料品は新鮮で人気があったのでなくなってしまうのは寂しい」などと話していた。

 午前十時の開店と同時に買い物客が会場となった四−五階特設売り場へ殺到、係員が汗だくになって対応していた。処分セールは十二日(午後七時)まで。関係者によると、三日間で三億円の換金処分を見込んでいるという。

西武百貨店のそごう支援、取締役らを「派遣」

2000.08.10(23:21)asahi.com
 西武百貨店は10日、倒産したそごうグループを支援するため、店舗開発などを手掛ける子会社のミレニアム企画(本社・東京)を通じ、そごうの再生計画策定のための調査や補助業務を引き受けることを決めた、と発表した。

 業務期間は半年で、同日付で西武百貨店から3人の取締役を含めて計7人が同企画に出向または専任することになった。西武百貨店元社長でそごうの特別顧問に就任した和田繁明氏からの要請に応じたもので、両社の事業統合構想を含め、商品の共同仕入れや物流基盤の共有化など様々な再生策も模索していくとみられる。

 そごうの再建にあたっては、かつて和田氏が西武百貨店の再建に着手した当時の部下だった米谷浩・西武百貨店会長もそごうの新経営陣に招き入れることになり、米谷氏もこれに応じて同日付で西武を退社、そごうの顧問に就いた。

 ミレニアム企画は西武百貨店を筆頭株主に、大手スーパーのジャスコやイトーヨーカ堂、米国のデザイン会社が出資して1997年に設立。これまでにジャスコや西武の専門店などの開発や運営を手掛けてきた経緯があることから、そごう側は、ジャスコを中核企業とするイオングループに対し、経営効率化のため自社店舗への出店を要請することも検討している。

 再生計画の策定では、そごう各店について売り場面積を縮小するなど適正規模の見直しを盛り込む考えだ。米国の百貨店「ノードストローム」の設計を手掛けたデザイン会社がミレニアム企画に出資している関係から、将来的にはノードストロームの出店の可能性も出てきた。

そごうが米国ビバリーヒルズの店舗売却へ

2000.08.07(17:46)asahi.com
 民事再生法下で経営再建中の大手百貨店、そごうグループは7日、米国・ロスアンゼルス市ビバリーヒルズの繁華街「ロデオ・ドライブ」で展開するショッピングモールを欧米の不動産投資会社に売却する方向で、最終調整していることを明らかにした。売却額は約1億3000万ドル(約140億円)程度とみられる。

 関係者によると、米国のショッピングモールは、1990年にそごうグループの関連会社と、そごうのメーンバンク、日本興行銀行と関係が深い興和不動産が折半で、約2億2500万ドルで購入したという。売り場面積は、1万2400平方メートル。ファッション、雑貨の高級ブティックがテナントに入っているが、業績は低迷していたという。

そごう再建へ、西武百貨店と共同持ち株会社構想が浮上

2000.08.05(23:52)asahi.com
 倒産した百貨店大手・そごうグループの再建策として、西武百貨店と共同の持ち株会社の傘下に入り、事業統合する構想が浮上している。西武百貨店は5日、そごうの負債の大幅カットを条件に統合に意欲を示した。西武元社長の和田繁明氏がそごうの次期社長含みの特別顧問に就任したことをきっかけに、両グループは業務提携を準備しているが、さらに資本面で結びつき、新たな百貨店グループを目指す構想だ。ただ西武側も財務基盤が弱くなっており、実現へはなお課題が多い。

 そごう関係者によると、この構想は和田氏が提案したという。そごうグループの抜本的なリストラと、西武との共同仕入れや商品開発、物流拠点の共有化などによって営業力を回復させ、再建を軌道にのせる。そのうえで、数年後に両グループが同じ持ち株会社の傘下に入るというものだ。

 そごうグループは1兆8700億円の負債を抱え、不採算店も含め22店の体制で、売上高の減少も続き、厳しい再建計画が求められている。

 西武百貨店もグループで24店をもつ大所帯。単体で約4400億円の有利子負債を抱えているうえ、7月に特別清算を申請した西洋環境開発の巨額損失の処理に多額の資金拠出が必要で、財務面は厳しい。

 和田氏の構想では、両グループの出店地域の競合が少ないことから、不採算店のリストラを進める一方、収益力の高い店舗に絞って再生を模索するという。

 西武側はこの構想を進める条件として、民事再生法による処理で、そごうグループの負債のうち約3分の2の1兆2000億円分がカットされることをあげている。

 ただ、共同持ち株会社方式による事業統合となると、両社の財務状況からみて、多額の資金支援の受け入れが不可欠で、外資も含めた第三者の事業体によるまとまった出資や、金融機関の支援が必要だ。そごうのメーンバンク、日本興業銀行と、西武のメーン、第一勧業銀行が今秋、富士銀行も含めて事業統合することも追い風になる、との見通しが和田氏側にあるとみられる。

 しかし現時点では、第一勧銀が「この段階では、持ち株会社構想は西武にとって何のメリットもないのではないか」(首脳)、興銀も「西武自体もリストラ途上だけに統合が早々に実現できるか疑問」(同)とみるなど、流動的な要素をはらんでいる。

そごうの旧経営陣6人が辞任 西武百貨店との提携加速へ

2000.08.04(01:07)asahi.com
 民事再生法下で経営再建中のそごうは4日、辞表を提出していた山田恭一・前社長ら旧経営陣6人が取締役を辞任したと発表した。すでにそごう次期社長は、和田繁明・元西武百貨店会長が内定しており、西武から役員級を含めた人材がそごうに派遣されることが決まっている。そごう旧経営陣の辞任で、和田氏を中心にした経営の立て直しの動きが加速し、さらには西武百貨店との幅広い業務提携に広がる可能性も出てきている。

 山田前社長ら、そごうの全取締役9人は和田氏がそごう特別顧問に就任することが決まった7月26日、辞表を提出していた。辞任するのは、日本興業銀行出身の阪田悦紹・社長代行ら3人をのぞく6人。名取正・前副社長をのぞく5人は「グループ会社の役員に今後もとどまる予定」(広報室)だという。

 旧経営陣の大半が辞任することで、和田氏を中心にした再建の動きが加速しそうだ。

 関係者によると、早ければ来週中にも、公認会計士、弁護士、興銀出身者などを集めた「特別顧問団」を結成する予定で、新再生計画の策定に全力を挙げていく方針という。再生計画策定後の新経営陣は、西武百貨店、主取引銀行の興銀出身者、そごう社員で構成されるとの見方が有力だ。

 そごうの再建が軌道に乗った場合、西武百貨店との人事交流のほかにも、「共同仕入れなどの分野での業務提携に発展する可能性もある」(第一勧業銀行幹部)との声も出てきている。

西武百貨店、そごうに役員級の人材を派遣

2000.08.03(19:24)asahi.com
 西武百貨店は3日、倒産したそごうグループに対し、役員級を含めた5人から10人程度の人材を派遣することを明らかにした。そごうの次期社長には、和田繁明・元西武百貨店会長が就任することが内定しているが、和田氏は西武百貨店に人事交流を含めた支援要請を打診していた。役員派遣で、そごうの店舗運営強化を図っていきたい考え。

 早ければ来週中にも派遣が決まる見通し。そごうでは7月26日に山田恭一前社長ら全取締役9人が辞表を提出している。今回の人員派遣を契機に、大半は辞任するとみられる。

そごう問題で3日に参考人招致 衆院予算委

2000.08.02(22:51)asahi.com
 衆院予算委員会は2日、大手百貨店そごうグループの破たん問題について、参考人を呼ぶことを決めた。3日午後の審議に、新生銀行の八城政基会長、旧日本長期信用銀行の安斎隆・元頭取、日本興業銀行の西村正雄頭取が出席する。  同予算委は、そごうグループの水島広雄前会長にも参考人としての出席を求めていたが、水島氏側が「体調不良」を理由に断ってきたため実現しなかった。また、野党側は、中尾栄一元建設相の受託収賄事件に絡んで日本道路公団の藤井治芳総裁ら4人の参考人招致も求めていたが、結論は先送りとなった。

そごう水島前会長の口座差し押さえ 東京地裁

2000.08.02(01:04)asahi.com
 東京地裁が、倒産した百貨店大手そごうグループの水島広雄前会長の銀行預金口座を差し押さえたことが1日、分かった。日本興業銀行のそごう向け融資のうち110億円を水島氏が個人保証していたため、興銀は同地裁に対して、水島氏の財産の保全処分を申請しており、今回の措置はこれに基づく。水島氏が個人保証の履行に応じなければ、興銀は水島氏の破産申し立てを行い強制的に取り立てる方針。

 水島氏は、旧日本長期信用銀行(現新生銀行)のそごう向け融資についても、90億円の個人保証をしており、水島前会長の個人保証は計200億円にのぼる。旧長銀のそごう向け貸し出し債権は、国(預金保険機構)が買い戻すことが決まっており、預保機構は8月中にも債権を買い戻し次第、興銀と歩調を合わせて個人保証の履行を求める。

そごう次期社長に元西武百貨店社長の和田氏

2000.07.25(21:16)asahi.com
 民事再生法を適用申請して倒産した百貨店大手、そごうは26日、西武百貨店の社長、会長を歴任した和田繁明氏(66)を次期社長に迎える人事を発表した。当面は特別顧問として、再建計画策定や西武百貨店との人事交流など、「そごう再生」に向けての活動の中核になる。また、東京地裁は同日、再生手続きの開始を決定した。これを受けた記者会見で和田氏は、「そごうの現場には新しい商品が届いていない」と危機感を示す一方、消費者の信頼を回復するため旧経営陣の責任を厳しく追及していく考えを強調した。

 再生法を申請した翌日の今月13日、取締役に降格となっていた山田恭一前社長ら現経営陣は、取締役からも辞職する見通し。

 そごう特別顧問に就任する和田氏は、セゾングループの西洋フードシステムズから、1992年に西武百貨店に送り込まれ、経営再建に取り組んだ。97年から会長となり、昨年退任するまで西武百貨店の営業力回復に果たした手腕に定評がある。メーンバンクの日本興業銀行がそごうに推薦する形で、再建のリーダーとなることになった。

 「そごう再生」のために、和田氏は「店頭商品の納入について取引先の同意が得られていない。代金はきっちりお支払いする」と取引先に理解を求めた。また、消費者の信頼を回復するために、水島広雄・前会長を含めた旧経営陣の責任を明らかにすることが大事と強調し、「情報公開を徹底する」と語った。

 さらに、今後の再建計画については「(売却の決まっていた)大阪本店についても見直したい」と、そごうがまとめた従来の計画を白紙にして策定を進める考えを明らかにした。外資系の投資会社の支援を受ける可能性については「決して拒否するものではない」と前向きな姿勢を示した。

 そごうや興銀は、今年4月の債権放棄計画の発表当時、現在のそごう経営陣は総退陣し、新たな経営者を外部から招へいする意向を示していた。だが、その後は「再建計画が軌道に乗った後退陣する」(山田恭一・前社長)との見解を繰り返すだけで、経営陣の刷新は図られていなかった。

そごう問題で法的整理重視の風潮に全銀協会長がクギ

2000.07.25(22:03)asahi.com
 全国銀行協会の西川善文会長(住友銀行頭取)は25日の定例記者会見で、百貨店大手そごうグループが、国や民間金融機関による債権放棄を柱にした経営再建策を撤回し、民事再生法の適用申請によって倒産したことについて、「(民事再生法のような)法的整理が万能だとは考えていない」と強調した。そごう問題によって、経営不振企業の再建が法的整理で行われるべきだという考えが強まることに懸念を表明したもの。

 法的整理は、私的整理に比べて損失は大きいが、透明性が高く再建可能性が高まると言われている。これについて、西川会長は「これまでの自らの経験から言うと、(法的整理は)そんなにうまくいくものではない。法的整理後に破産したり追加的な損失負担が生じたりする場合もある」と、法的整理を重視する風潮にくぎを刺した。

 新生銀行が持つそごう向け債権を国が買い戻し、国として民間企業の債権放棄に応じることに国民の強い反発が起きたことについても「新生銀行がからんだ債権放棄による私的整理という選択肢が、まったくなくなったわけではない」と述べた。

そごうグループ26社を大型倒産事業主に指定 労働省

2000.07.21(20:56)asahi.com
 労働省は21日、民事再生法を申請したそごうグループ26社を、雇用保険法に基づく大型倒産等事業主に指定すると発表した。関連会社の連鎖倒産を防止し、雇用を確保するのが目的で、適用期間は同日から2年間。

 労働省によると、現時点で把握している関連・取引先企業は約1万社。このうち、そごうグループとの取引が全体の4分の1以上を占める企業が適用の対象となる。対象企業は従業員を休業・出向させたり、職業訓練を受けさせたりした場合に、休業手当や賃金の3分の2(大企業は2分の1)に相当する額の雇用調整助成金を受け取ることができる。

「経営体力の観点から」そごう債権放棄拒否/参院特別委 新生銀社長が認識

2000.07.18 The Sankei Shimbun
 参院金融経済活性化特別委員会は十八日、前日の衆院大蔵委員会に続いて、民事再生法の適用を申請した大手百貨店そごうの問題をめぐる集中審議を行った。参考人として出席した新生銀行(旧日本長期信用銀行)の八城政基社長は、そごう向け債権の放棄を拒否した理由について、残りの債権に新たな引当金が必要となり「初年度から赤字となってしまう」と説明、経営体力の観点から預金保険機構に対する買い戻し請求は不可避だったとの認識を示した。

 新生銀は、そごう向け債権約二千億円のうち九百七十億円の放棄を要請されたが六月末、預金保険機構に債権買い戻しを請求した。八城社長は、放棄を受け入れた場合「引当金二百六十億円の新たな積み増しが必要となり、今年度予想の業務純益百九十億円を上回ってしまう」と述べた。

 また、森昭治金融再生委員会事務局長は、新生銀側に「適資産」として債権を譲渡する際に積んだ引当金の総額は、そごう向けの約千億円を含めて約五千九百億円だったことを明らかにしたが、要求された対象企業名や件数の開示は拒否した。「税金による隠れたプレゼントではないか」という指摘に、森事務局長は「引当金が税金から積まれたのは事実だが、預金者保護という趣旨だったことを理解願いたい」と述べた。

 一方、宮沢喜一蔵相は「興銀の再建計画や預保機構の債権放棄はシステム上間違いはなかったが、システムが国民の反応で動かなくなったことが反省材料だ」と述べ、制度上の欠陥や判断ミスよりも、世論の理解を得られなかったことがそごう問題の背景と総括した。直嶋正行氏(民主)、浅尾慶一郎氏(同)らに対する答弁。

水島前会長の個人債務保証は錦糸町そごうの200億円分

2000.07.18(03:02)asahi.com
 倒産した百貨店大手のそごうグループで、錦糸町そごう(東京都墨田区)が日本興業銀行、旧日本長期信用銀行から借り入れた計248億円のうち、約200億円分について、水島広雄前そごう会長が個人で債務保証していたことが17日わかった。興銀の西村正雄頭取は同日の衆院大蔵委で、水島氏に対する経営責任追及の一環として、この保証についての返済を求める意向を示している。

 国内では倒産前最後の1997年開業だった錦糸町そごうの開発については、採算性を疑問視したメーンバンクの興銀、準メーンの旧長銀が、融資を一時中止。しかし、グループオーナーとして君臨していた水島氏が出店に強くこだわったとされ、今回明らかになった個人保証にまで及んだものとみられる。これを受けて、興銀、旧長銀も最終的には開発を支援した。

 関係者によると、錦糸町そごうへは興銀が136億円、旧長銀が112億円を融資したが、このうち水島氏が保証したのは、それぞれ約110億円、約90億円という。

 だが結局、錦糸町そごうは業績不振が続き、111億円の損失を抱え、12日には303億円の負債を抱えて他のグループ店と同時に、東京地裁に民事再生法の適用を申請するまでに追い込まれた。

興銀、水島前会長にそごう債務の個人保証分返済要求方針

2000.07.17(22:10)asahi.com
 民事再生法の適用を申請して倒産した大手百貨店そごうグループへの国費投入問題をめぐる衆院大蔵委員会の集中審議が17日行われた。参考人として出席したそごうのメーンバンク日本興業銀行の西村正雄頭取は、水島広雄前そごう会長が、そごう向け融資の一部に個人で債務保証していたことを明らかにするとともに、「厳密に対応させてほしい」として、保証の実行を求めていく考えを示した。そごうが水島前会長に求めている私財提供とは別に責任を追及するものだ。

 興銀関係者によると、水島氏が個人で債務保証していたのは、東京都墨田区にある「錦糸町そごう」に対する興銀136億円、旧日本長期信用銀行112億円の融資のうちの一部。西村頭取は、水島前会長がこの10年間にグループの役員報酬として40億円超を受けていたことについて、「興銀として把握しておらず、大変びっくりし、残念に思った。再建中のそごう経営者のモラルを問われる問題だ」と指摘した。

 民主党など野党側は、膨大な税金の投入を招く制度を見直し、国と新生銀行(旧日本長期信用銀行)との間で交わされた「瑕疵(かし)担保特約」と呼ばれる契約の破棄を求めた。しかし、久世公尭金融再生委員長ら政府側は「混乱を回避するためにはこれしかなかった」と説明、すでに結ばれている契約の破棄はできないと最後まで譲らなかった。

 瑕疵担保特約は、旧長銀の保有する債権を譲渡先に円滑に引き継いでもらうため盛り込まれた契約で、債権価値が3年以内に2割以上目減りした場合は、国に買い戻しを求めることができる。

 新生銀行だけでなく、8月にソフトバンク連合に譲渡されることが決まっている日本債券信用銀行でも採用される。この条件を入れないと長銀、日債銀の一時国有化銀行の早期譲渡が決まらない可能性があったという。ただ、両行の融資先の状況によっては、税金の投入額が当初想定より膨らむ可能性がある。

 また、共産党議員らから、そごうの過剰債務をつくった銀行の貸手責任を問われた西村興銀頭取は「私は共同責任と思っていない。そごう再建が我々の責任の果たし方だ」と強調した。

そごうが取引先に説明会 水島前会長の謝罪求める声も

2000.07.18(00:15)asahi.com
 巨額の負債を抱えて倒産した大手百貨店のそごうグループが17日、東京都渋谷区の渋谷公会堂で取引先の納入業者や金融機関を相手に説明会を開き、破たんに至った経緯などが報告された。「債権はきちんと払ってもらえるのか」「会長はなぜここに来ないのか」。参加者からは、債権回収を危ぶむ声やグループの水島広雄前会長の経営責任を指摘する声があがった。

 この説明会の対象は、裁判所によって弁済が制限されている500万円を超す債権を持っている取引先で、全取引先の2割にあたる約2000社になるという。そのうち、この日は1235社の約2240人が集まり、立ち見も出た。

 そごう側は、阪田悦紹(よしつぐ)社長代行らが出席。複数の業者が商品の納入を見合わせる動きを見せていることなどから、「みなさんの協力なしには、そごうの再建はありません」などと、取引継続を呼びかけた。

 予定の1時間半を過ぎたころ、最後の質問者がマイクを取った。この業者は支払いの不安などいくつかの点を指摘したあと、水島前会長に言及した。

 「水島さんは、『お取引業者は神様です』と言っていた。神様に実損をかけておいて、なんでその本人が今日、出てきて、謝らないのですか。そういう姿勢を示してこそ、こちらも協力態勢も取れるし、イメージダウンも防げるはずだ」

 会場からは、この業者に賛同するかのように、拍手がわき起こった。そごう側は、「推測するところ、本人も申し訳ないという気持ちでいるはずだ」と答えるにとどまった。

 会場から出てきた参加者の多くは、「今後の取引は、支払い次第」と話す。特に、弁済ラインの500万円について「だれが決めたのか知らないが、中小零細業者の声も聞いてほしい。500万円を超す業者にも、一律500万円を払ってほしい」という声が出た。「消費税で500万円を超した場合はどうなる」という切迫した疑問もあった。

 そごうによると、この日集められた業者には、「500万円を超すかどうかグレーゾーンの人も多い」といい、今後、1社あたりの金額を名寄せしていくという。

 また、3000万円の債権があるという食品関係のある業者は、現金で従来通り支払っていくというそごう側の説明に対し、「ほんとうにかえってくるのか。これからが見ものです」と言い、会場を後にした。

そごう集中審議 再生委員長「今後は安易に認めない」

2000.07.17(12:19)asahi.com
 民事再生法の適用を申請して倒産した大手百貨店そごうグループへの国費投入問題をめぐる衆院大蔵委員会の集中審議が17日午前始まった。この問題では、国による債権放棄に「私企業救済」の批判が高まった。こうした事情を踏まえ、久世公尭金融再生委員長は「今後、(国が債権放棄に応じることを)安易に認めるべきでなく、慎重の上にも慎重に対処したい」と述べ、原則として今後は認めない方針への転換を示唆した。

 同日の集中審議では、9時間にわたって14人の与野党議員が質問する。久世委員長のほか、宮沢喜一蔵相、松田昇預金保険機構理事長らが政府側答弁者として、そごうのメーンバンク日本興業銀行の西村正雄頭取が参考人として出席した。野党は、金融再生委員会と預金保険機構がいったんはそごう向けに970億円の債権放棄を認めた経緯や、そごう経営陣と貸手である銀行の責任などを追及する。民主党や共産党などは、膨大な税金の投入を招く制度の見直しのほか、新生銀行のそごう向け債権を国が買い戻す契約の破棄も求める方針だ。

 論点の1つは、そごう向け債権に国がかかわることになった原因である、国と新生銀行(旧日本長期信用銀行)との間で交わされた「瑕疵(かし)担保特約」と呼ばれる契約の是非だ。

 国が新生銀行からそごう向け債権買い戻しを認めたことについて、金融再生委員会の森昭治事務局長は「契約履行の観点からやむを得なかった」と説明した。

 西村興銀頭取は、水島広雄そごう前会長が、この10年間にグループの役員報酬として40億円超を受けていたことについて、「把握しておらず、びっくりし、残念に思った。再建中のそごう経営者のモラルが問われる問題だ」と指摘。水島前会長がそごうの銀行からの融資の一部に個人で債務保証していたことを明らかにするとともに、「厳密に対応させてほしい」として保証の実行を求めていく考えを示した。そごうが水島前会長に求めている私財提供とは別に責任を追及する。

 一方、そごうの再建の行方について、興銀の西村頭取は「外資も含めた第三者のノウハウを活用するのは選択肢」と述べた。

あすから「そごう」集中審議 -企業救済の是非問う-

2000.07.16 The Sankei Shimbun
 野党、買い戻し特約追及へ

 民事再生法を申請した大手百貨店そごうについての国会閉会中の集中審議が、十七日には衆院大蔵委員会で、翌十八日には参院金融経済活性化特別委員会でそれぞれ行われる。預金保険機構がそごう向け債権の放棄をいったん決めた問題が議論の中心になるが、そごうが法的処理に入ったため争点がぼやけた感は否めない。ただそごうと同様のケースが今後も出てくる可能性はあるため、民主党など野党は、預金保険機構が不良債権を買い取る契約や債権放棄する際の基準を追及、公的資金で不振企業を救済することの是非を問う構えだ。

《不良債権買い戻し特約》

 「そごう問題の根本原因は、不良債権の買い取り契約だ」と民主党議員。国は日本長期信用銀行(現新生銀行)の譲渡の際、債権の価値が下がれば公的資金で買い戻す特約を結んだため、そごう向け債権の買い取りを余儀なくされた。野党は「特約は国が一方的にリスクをかぶる不平等条約」と見直しを迫る考え。長銀譲渡時に、そごう向け債権を不良債権としなかった国の判断の甘さも問題になりそうだ。

《金融当局の決定過程》

 野党は預金保険機構と金融再生委員会に対し、そごう向け債権の放棄を決めた会合の議事録提出を求めている。

 今のところ当局が応じる気配はないが、野党との質疑応答の中で当局の決定過程や債権放棄に応じる際の基準が明らかになれば、今後同様の問題が起きたときのモデルになる。

《銀行の貸し手責任》

 「そごうの拡大を二人三脚で進めた日本興業銀行の責任は重い」との声は強く、大蔵委に出席する興銀の西村正雄頭取は巨額融資を続けた理由や「そごうは再建可能」とした理由など「貸し手責任」を問われそうだ。

 金融経済特別委に出席する新生銀の八城政基社長にはそごう向け債権の売却に踏み切った理由を聴き、新たな買い取り請求の可能性を探る展開が予想される。

あす、そごう債権者集会 大阪は18日

2000.07.16 The Sankei Shimbun
 民事再生法の適用を申請した大手百貨店、そごうは十五日、東京と大阪で債権者集会を開くと発表した。開催日は東京が十七日、大阪が十八日で、取引先や金融機関の関係者四千人以上を集めて、阪田悦紹社長代行らが倒産に至った経緯や今後の対応について説明する。

 日時、会場は以下の通り。

 【東京】 十七日午後一時から渋谷区宇田川町一ノ一の渋谷公会堂で。

 【大阪】 十八日午後零時半から豊中市曽根東町三ノ七ノ一の豊中市立市民会館で。

首相、解決策を白紙委任 そごう問題/「与党で検討してみてくれ」

2000.07.15 The Sankei Shimbun
【終始受け身の官邸】

 「ぜひ与党としてどういうふうにこの問題を判断するか、よく検討してみてください。金融再生委員会の結論は出ているが、まだ決定しているということでもありませんから」

 森喜朗首相は十日午後、首相官邸の執務室で受話器をとりあげ、亀井静香政調会長に丁重な口調でそごう問題の解決策を“白紙委任”した。

 この日の正午から官邸で開かれた政府与党連絡会議では、公明党の神崎武法代表らが「与党との協議なしに処理されたことは遺憾だ。国民の理解を得ることは困難だ」と政府の対応を正面切って批判。会議は一時間半も続いた。

 すでに前週の七日午後、官邸を訪ねた首相と野中広務幹事長ら党三役とのパイプ役である尾身幸次幹事長代理から「党内の空気は厳しい。(金融再生委員会の決定を)ひっくり返すつもりだ。腹をくくってください」と伝えられていた首相だが、そごう問題に対する与党内のとげとげしい空気を肌で感じた瞬間だった。

 政府としては、独立色が濃い行政委員会である金融再生委員会の決定について「法的にひっくり返すことはできない」(周辺)のが建前。首相には正式な金融再生委員会からの報告は最後までなく、「苦渋の選択」(青木幹雄前官房長官)をただ追認するしかなかった。

 森首相は十四日午後、産経新聞社のインタビューに対し「官邸は丸投げをしたとか、何もしなかったと報道されているが、これはすべきことではないのであって、党としての考えをまとめてもらうことに期待をしたということだ」と述べた。ただ、首相官邸が終始、受け身にまわった印象は免れない。

 首相と近い森派幹部の一人は、「今回の方法が最善だったとは軽々しく言えないと思う。本当にこれで良かったかは今後の影響をみる必要がある」と振り返るが、企業の債権放棄請求を認めない流れが生まれる中で、今後も厳しい選択を迫られるケースが出そうだ。

亀井氏「任せてほしい」 検証そごう問題/社長に電話 債権放棄要請取り下げ求める

2000.07.15 The Sankei Shimbun
【「考えある」と首相に直談判】

 預金保険機構などの債権放棄によるそごうグループ救済問題は、一転してそごうが民事再生法の適用を申請し事実上倒産したことで救済策は白紙に戻り、幕が引かれた。その背景には、世論の批判をかわしたい自民党の思惑があった。自らは動かない首相官邸にいらだち、最終的にそごうに“引導を渡した”のは、自民党の亀井静香政調会長。亀井氏のこうした動きは野党などから批判も浴びたが、森喜朗首相らにとって亀井氏は救世主だった。そごう問題をめぐる森、亀井両氏ら自民党執行部の動きを検証してみた。

 そごうの債権放棄に関する預金保険機構の決定が公表された六月三十日。自民党は第二次森内閣発足に向けた大詰めの作業中だった。作業が一段落した翌七月一日夜、自民党の野中広務幹事長は党本部幹事長室に記者団を招き入れ、そごう救済について、「一切報告を受けておらず残念だ」と話した。

 預金保険機構や金融再生委員会から自民党への連絡はなく、野中氏のこの不快感いっぱいのコメントが報道されるに及んで、関係者は初めてあわてた。三日、金融再生委員会の森昭治事務局長は組閣作業の合間を縫うように自民党本部の幹事長室を訪ね、野中氏に事後報告した。自民党内の不満はおさまらず、翌四日の自民党総務会では「法律に基づいて執行したとはいえ、国民は納得していない」などと批判が相次いだ。しかし、この日はまさに第二次森内閣が発足する当日。政府も自民党もそれどころではなかったというのが本音かもしれない。

 政策責任者である亀井静香政調会長はもんもんとした日々を過ごしていた。そごう救済への世論の風当たりは強いが、政府決定を党が覆した場合でも批判は浴びるかもしれない。どちらにしても、森政権と自民党にとって致命傷になりかねない。

 「結局はだれかが泥をかぶらなければいけない」

 亀井氏が行動を開始したのは十日午後だった。正午からの首相官邸での政府・与党連絡会議。終了後、官邸大食堂に残った亀井氏は森喜朗首相と野中氏の前で「そごうは、おれに任せてほしい。考えがある」と直談判した。亀井氏の秘策は、そごう救済に関する世論の批判を考慮しつつ、しかも、自民党が無理やり政府決定を押さえ込んだという印象を与えないための、そごう自身による「自主的取り下げ」だった。森、野中両氏にとっては、暗やみにさした一筋の光明。亀井氏に全面的に任せることを了承した。

 亀井氏の動きは迅速だった。同日夕には、党の政調正副会長・関係部会長合同会議、十一日午後には与党政策責任者会議を相次いで開き、形式的な手続きを済ませると、同日午後四時、そごうの山田恭一社長に電話をかけた。

 「このさい、与党三党の代表として申し上げたい。債権放棄の要請を自主的に取り下げてくれないか」

 山田社長の了承を受けて、亀井氏は十一日夜のそごうの臨時取締役会での決定の後、十二日の午後六時ごろには、東京地裁が民事再生法申請による保全処分を下すとの見通しから、亀井氏はこの日の夕方まで、「自主的取り下げ」のウルトラCを知る一部の与党幹部に徹底したかんこう令を敷いた。午後五時ごろに再び党本部に戻った亀井氏は、保全処分の見通しがついたのを確認したうえで同五時半ごろ、首相に電話をした。

 「そごうの問題は無事、決着がつきました」

 【民事再生法】経営不振に陥った企業の再建を迅速に進めるため旧和議法に代わって4月に施行されたばかりの新しい倒産法。破たんする恐れがある段階で申し立てができ、裁判所もまず受理して再建の可能性を探る。これに対し会社更生法は裁判所が受理するまで時間がかかり、外部の管財人が更生計画にあたる。

 再生法では現経営陣が引き続き再建にあたり、再生計画も過半数の債権者の賛成があれば認可され、4分の3以上の賛成を必要としていた和議より、条件が緩和された。これら裁判所が再建策を決める「法的整理」に対し、取引金融機関が合意する再建計画に基づく債権放棄は「私的整理」と呼ばれる。債権者の損失は「法的整理」より少ないとされるが、経営者責任などが明確でなく不透明な再建策だ。

そごう買収を検討 米投資会社サーベラス -有力店舗中心に再建 赤字店は閉鎖も-

2000.07.14 The Sankei Shimbun
 一兆八千七百億円の負債を抱えて事実上、倒産した大手百貨店のそごうグループに対して、米大手投資会社のサーベラスが買収する方向で検討していることが十三日、明らかになった。実現すれば創業以来百七十年の歴史をもつ大手百貨店が初めて外資の傘下に入ることになる。関係筋によると、水面下でメーンバンクの日本興業銀行と接触を図り、条件などを詰めているもようだ。ただ、サーベラスの最終的な狙いは大型店や黒字店舗にあるとみられ、赤字店舗は閉鎖される可能性もあり、一段と地域経済や雇用に影響がでそうだ。

 そごうは民事再生法の枠組みに沿った再建計画の作成に着手しており、外国資本を含めたスポンサー探しを積極的に進める方針だ。

 これに対して、サーベラスはそごうに資本参加し、再建を目指すことで検討に入った。

 買収方法は、そごうが実施する第三者割当増資の引き受けや信用保証などの形で経営権を握り、多くのグループ店舗をいったん引き受けて、そのうえで不採算店の整理、人員削減を実施。有力店舗を中心に、そごうを立て直すとみられる。

 場合によっては再建後、三−五年の短期で利益を確保するため、そごうを再び第三者に売却する可能性もある。

 市場関係者からは、「資金力や意欲などから、サーベラスが支援を申し入れれば、そごうはスポンサーとして受け入れる可能性は高い」とみられている。

 サーベラスは機関投資家から資金を集めて、破たん企業を買収し、再建後に株式の売却益を得る投資目的の企業買収ファンド。

 米国を中心に事業展開しているが、同社の総投資資金六十億ドル(六千四百八十億円)のうち、三分の一を対日投資に充てる計画を表明。会社更生法を適用された中堅スーパー、長崎屋に金融支援を実施しているが、さらに巨額な投資利益が見込める大型案件を探していた。

 サーベラスは破たん前のそごうに関心を寄せていたものの、債権放棄による私的整理では投資不安が残るとして、買収を手控えていた。しかし、十二日にそごうが法的整理に移ったことで、そごうの巨額債務が法律に沿って大幅に削減されるうえ、財務の透明性が確保できることから、絶好の投資対象として買収の検討を始めたとみられている。

         ◇

 【サーベラス】一九九二年に設立された米国の大手投資会社。機関投資家から出資を募ったうえで経営破たんや経営不振に陥った企業を買収し、その企業を再建させた後で株式を売却して投資家に配当する企業買収ファンドの一つ。今年一月現在の投資額は、約六十億ドルにのぼるとされている。同社は九七年に日本市場に進出し、住宅ローンの証券化などを手がけていたが、昨年には一時国有化されていた日本債券信用銀行の受け皿として名乗りを上げたほか、経営破たんして会社更生法を適用された中堅スーパー、長崎屋に金融支援し、再建を進めている。

そごう2店 全社員302人解雇 -長野と木更津 人員削減拡大も-

2000.07.14 The Sankei Shimbun
 事実上、倒産した大手百貨店のそごうグループは十三日、同日店舗を閉鎖して自己破産を申請した長野そごう(長野市)と木更津そごう(千葉県木更津市)が、パートを含む計三百二人の社員全員を十二日付で解雇したことを明らかにした。そごうグループは民事再生法の枠組みに沿った再建計画の作成に着手するが、人員や店舗の大胆なリストラは避けられず、雇用への影響はさらに拡大することも予想される。

 解雇した社員の内訳は長野が正社員九十八人、パート社員六十一人で、木更津がそれぞれ九十六人と四十七人。店舗の閉鎖に伴う残務整理のため、解雇した社員の一部はアルバイトとして再雇用する。

 特別清算を申請して同日閉鎖した多摩そごう(東京都多摩市)の社員二百四十七人(パート社員も含む)については、他の地域法人に転籍させる。

 地域経済や雇用問題に配慮し緩やかなリストラ策にとどまっていた従来の再建計画に比べ、法的整理による再建は思い切ったリストラ策を打ち出せることが、突然の店舗閉鎖と社員解雇につながったとみられる。

そごう債権の放棄要請に応じない方向 金融再生委

2000.07.14(03:08)asahi.com
 金融再生委員会と預金保険機構は13日、債務者からの債権放棄要請に、今後国として事実上応じないよう、判断基準の見直しを検討し始めた。金融再生法の下ではまったくの門前払いにはできないものの、現行の3条件を極めて厳しくするか、株主責任の追及などの条件を追加することで、債務者側が事実上要請できないようにする。再生委は6月末、いったんはそごう向けに債権放棄すると決めたが、「一民間企業を国が税金を使って救済するのはおかしい」との国民的な批判がその後高まった。このため、もはや国が債権放棄して民間企業を救済することは、国民の理解が得られないと判断。事実上、債権放棄の道を閉ざす方向に軌道修正することにした。

 再生委・預保機構は、そごう向けの債権放棄問題を考える際、判断基準として、(1)合理性のある再建計画があり、放棄すれば回収額の増大が見込まれる(2)法的整理になると、連鎖倒産などの社会的混乱が起きる(3)経営責任が明確、の3つの条件を設定した。この3条件を満たしているとしたうえ、さらに総合的に判断を加えた結果、そごう向け債権の放棄に応じることを決めた。

 しかし、11日になって、自民党の亀井静香政調会長が、各方面からの批判を背景に、与党3党の政策責任者の代表として、そごうの山田恭一社長に、債権放棄要請を「自主的に」取り下げて欲しいと要請。これを受け、そごうが民事再生法の適用を東京地裁に申請し倒産した。また、同じく旧長銀から多額の借り入れがある総合建設会社ハザマも、債権放棄を求めない再建策を検討する方針を固めた。このため、事実上債権放棄の要請を受け付けない厳しい基準を設けることで、そごうと、放棄要請を考えていた他の企業への対応との整合性をとることにした。

そごう「政治介入」に疑問 加藤元幹事長

2000.07.13(21:16)asahi.com
 自民党の加藤紘一元幹事長は13日、そごうの民事再生法の適用申請について「やむを得ない選択だ。一企業に政府が債権放棄しないでよくなる点が重要だ」と述べた。そのうえで「仮に自民党が『民事再生法でいくように』とそごうに強く勧めたとすれば、政治が介入すべきではない。党がやるべきことは政府に『一企業に債権放棄をしないように』とルールを言うことだ」と指摘した。東京都内で記者団に語った。

「国民負担額の軽減どうこうより、再建を」森喜朗首相

2000.07.13(19:51)asahi.com
 森喜朗首相は13日午前、大手百貨店そごうグループが民事再生法適用を申請して倒産したことについて、「国民負担の軽減どうこうより、できる限りの連鎖倒産(の防止や)、関連企業、従業員の雇用(確保)など(そごうグループが)再建できるように協議していく」と述べ、そごうグループの再建を優先課題とする考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 また、森首相は「そごうも内外の様々な声を考慮し、自主的判断をされた。(当初の計画より)国民負担が増えるかもしれないが、それはこれからのことだ。むしろモラルハザード(倫理の欠如)防止を優先したということではないか」と、そごうの判断を改めて評価した。

興銀頭取らを18日に参考人招致 参院金融特別委

2000.07.13(19:39)asahi.com
 そごう問題を18日に審議する参院金融経済特別委員会は、そごうの主取引銀行である日本興業銀行の西村正雄頭取と、特約に基づいて国(預金保険機構)にそごう向け債権を買い戻すよう請求した新生銀行の八城政基社長を参考人として招致することを決めた。

 同じく17日にそごう問題を審議する衆院大蔵委員会は、すでに興銀の西村頭取の招致を決めている。

そごうが倒産 債権放棄計画断念し民事再生法の適用申請

2000.07.12(22:10)asahi.com
 業績悪化が続き、取引金融機関に対して総額約6300億円の債権放棄を求めていた百貨店大手、そごうグループは12日、国(預金保険機構)による「救済」への政界、国民からの批判の高まりや、最近の厳しい売り上げ減で経営再建策の先行きに展望を失ったことから、最終的に債権放棄計画を断念し、民事再生法の適用を東京地裁に申請、倒産した。そごう本体と別法人となっている国内各店の負債総額は約1兆8700億円としており、金融関連を除くと過去最大の倒産になる見通しだ。百貨店大手の倒産は戦後初。長引く消費低迷と拡大戦略で背負った「負の遺産」の重みに、伝統企業も耐えられなかった。

 民事再生法の適用を申請したのは、国内25店のうち、大阪店、神戸、東京・有楽町の3店を構える株式上場会社のそごう本体と、すでに閉鎖方針を決めていた多摩、木更津、長野各店を除く19店の計22店、22社。

 同日夜、記者会見した山田恭一社長は「11日に自民党の亀井静香政調会長から『与党3党としては、預保機構への債権放棄要請を自主的に取り下げてほしい』と求められ、真剣に受け止めた」と説明。国民の批判拡大を恐れた政界による「待った」が、法的整理に踏み切る直接のきっかけだったことを明らかにした。

 国内店の従業員1万人のほか、取引企業は1万社ともいわれるそごうグループは当面、メーンバンクの日本興業銀行などの資金繰り支援で現状の店舗営業を続ける意向。一方で、新たな経営陣、スポンサーを模索しながらリストラ計画を見直し、手続きの早い民事再生法の適用を受けたうえで、経営再建への足がかりをつかみたい考えだ。当面の経営陣については、13日付で山田社長がひらの取締役に降格し、興銀出身の阪田悦紹専務が社長代行に就く。

 そごうは今年4月、グループ全体で5800億円(今年3月期)の債務超過に陥ったとして自力再建を断念。興銀(対そごうグループ債権は約3500億円)、準メーン格の新生銀行(旧日本長期信用銀行、同約2000億円)など取引金融機関のうち73の金融機関に対し、債権放棄を要請した。

 しかし、新生銀は要請額の970億円分の放棄に難色を示し、保有債権全体を旧長銀買収時の契約に基づいて国に売却することを決定。国側の預保機構、金融再生委員会は6月末、新生銀に代わって債権放棄に応じる方針を発表し、そごうの再建計画は崩壊の危機を脱した形とみられた。

 しかし、これに対し、「国が民間企業救済をしていいのか」といった批判が国民に広がり、政界からも「国の債権放棄の白紙撤回を」など、与野党を超えて厳しい指摘が続き、自民党の亀井政調会長がそごう側に「断念」要請するに至った。

 そごうグループ自体の営業状態も4月以降、イメージダウンも手伝って売上高が減少の一途をたどり、資金繰りにも影響が出始めていた。また、債権放棄計画がまとまったとしても、リストラ策として、すでに閉鎖方針を示した4店(大阪、多摩、長野、木更津)以外にも、黒字転換の見通しが立たない店が多数残っていることや、東京店の業態転換、大阪店の売却などの交渉が難航していることから、今後の業績回復への不安は強まる一方だった。

 こうした状況にそごう経営陣は、これまでの債権放棄計画による経営再建をあきらめ、法的整理による再生に望みを託すことにした。

そごう倒産で国民負担240億円増加へ

2000.07.12(21:51) asahi.com
 そごうが倒産したことで、国民負担が増加するのは確実な情勢となった。金融再生委員会やそごうの主取引銀行の日本興業銀行の試算によると、債権放棄によって再建をめざす計画に比べ、法的整理では国の負担額は約240億円増加する。債権放棄の枠組みでは、今後の経営再建を期待して甘めの資産査定になりやすいが、「倒産」では司法の手が入ることでより厳しい査定となるためだ。

 そごうと興銀がまとめた債権放棄計画では、72金融機関が総額約6300億円の債権放棄をする。このうち、国が求められていた債権放棄額は970億円。これに対し、民事再生法のような法的整理の下では、信用金庫や信用組合のような地方の零細な金融機関も含め153金融機関を対象に、1兆2200億円の損失が生じると見込まれている。このうち、国の負担となるのは約1240億円。

 国が一次国有化されていた日本長期信用銀行を米投資会社に売却する際、そごう向け融資を引き取ってもらうために、そごう向け貸し出し債権2000億円に対し、貸し倒れ引当金1000億円を積んだ。つまり、そごうの経営状態から1000億円の損失はすでに見込んで国費を投じていた。法的整理では、それでも240億円が不足する可能性があり、新たに税金から投じられる。

 このほか、一時国有化におかれている日本債券信用銀行のそごう向け債権にも損失が生じれば、それも国民負担に加算される。

東証、そごうの上場廃止を発表

2000.07.12(20:27)asahi.com
 東京証券取引所は12日、東証1部に上場しているそごうを10月13日付で上場廃止にする、と発表した。12日そごうが行った民事再生法の適用申請が、企業の破産や再生手続きなどに関する上場廃止基準に該当するため。13日から10月12日までは整理ポストを割り当てる。

 そごうは1961年10月、東証1部に上場し、現在の上場株式数は約1億5000万株。ピーク時の1989年12月には2250円まで値を上げたが、今年4月28日には、上場以来最安値の45円に急落した。12日には一時、前日比4円安の63円まで値を下げたが、取引終了にかけては同16円高の83円に値を上げていた。

そごうが民事再生法適用申請 債権放棄計画を断念

2000.07.12(19:40)asahi.com
 業績悪化が続き、取引金融機関に対して総額約6300億円の債権放棄を求めていた百貨店大手、そごうは12日、国(預金保険機構)による「救済」への批判の高まりや、最近の厳しい売り上げ減で経営再建に自信を失ったことから、最終的に債権放棄計画を断念、民事再生法の適用を東京地裁に申請、倒産した。大阪本店、神戸、東京・有楽町の3店を構える本体の負債は、債務保証などを含め今年3月末時点で約7900億円。別法人となっているグループ各店も同様な法的手続きをとると、国内25店のグループ全体で1兆6000億―7000億円規模に膨らみ、金融関連を除くと過去最大の倒産になる見通しだ。百貨店大手の倒産は戦後初。長引く消費低迷と拡大戦略で背負った「負の遺産」の重みに、伝統企業も耐えられなかった。

 国内店の従業員1万人のほか、取引企業は1万社ともいわれるそごうグループは当面、メーンバンクの日本興業銀行などの資金繰り支援で現状の店舗営業を続ける。一方で、再建計画を練り直して、民事再生法の適用を受けたうえで、経営再建への足がかりをつかみたい考えだ。

 そごうは今年4月、グループ全体で5800億円(今年3月期)の債務超過に陥ったとして自力再建を断念。興銀(対そごうグループ債権は約3500億円)、準メーン格の新生銀行(旧日本長期信用銀行、同約2000億円)など取引金融機関のうち73の銀行に対し、債権放棄を要請した。

 しかし、新生銀は要請を受けた970億円の債権放棄に難色を示し、保有債権全体を旧長銀買収時の契約に基づいて国に売却。国側の預保機構、金融再生委員会は放棄に応じる方針を決めたため、そごうは再建問題はほぼ決着したかにみえた。

 しかし、これに対し、「国が民間企業救済をしていいのか」といった批判が国民に広がり、政界からも「国の債権放棄の白紙撤回を」など、与野党を超えて厳しい指摘が続いた。

 こうした状況のなかで、4月以降、そごう各店の売り上げは、イメージダウンも手伝って、減少の一途をたどった。債権放棄計画がまとまったとしても、リストラ策として閉鎖方針を示した4店(大阪、多摩、長野、木更津)以外にも、黒字転換の見通しが立たない店が多数残っていることや、東京店の業態転換、大阪店の売却などの交渉が難航していることに加え、売り上げ減が資金繰りにも大きく響き、今後の業績回復への不安は強まる一方だった。

 このため、そごう経営陣は、債権放棄計画による経営再建をあきらめ、民事再生法申請による再生を目指すことにした。

そごう「債権放棄の要請、自主撤回求めた」亀井政調会長

2000.07.12(22:07)asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党の政策責任者は12日夜、そごうの民事再生法申請を受けて国会内で記者会見した。自民党の亀井静香政調会長は11日の3党間の協議で「国の債権放棄は国民の支持を得られない」との認識で一致したことを受け、同日夕にそごうの山田恭一社長に電話し、債権放棄の要請を自主的に撤回するよう求めたことを明らかにした。

 亀井氏によると、11日午後4時ごろ、山田社長に電話で「再建は国民の支持がないとできない。自主再建の道を選ぶ気持ちはないか」と伝えた。その2、3時間後、山田社長から「自主的判断として民事再生法の手続きをとりたい」という返事があったという。

 そごうのメーンバンクである興銀の西村正雄頭取も同夜、亀井氏に電話で「そごうは民事再生法申請を決めた。興銀としても全力で再建を支援する」と述べたという。

 記者会見で亀井氏は、預金保険機構と金融再生委員会がいったんは債権放棄に応じる決定をしたことについて「連立与党に全然協議がなかったことが間違いの始まりだ」と強い不満を表明。今後、同様の要請があった場合については「私企業に国民の税金を注入するのは極めて限られた場合だ。絶対にないとは言えないが、民間企業は自力で経営するのが原則」と強調した。

そごう債権放棄問題で中川官房長官が説明不足認める

2000.07.12(15:06)asahi.com
 大手百貨店そごう向けの債権放棄問題について、中川秀直官房長官は12日午前の記者会見で「金融再生委員会でどういう議論があったかという説明が十分だったかというと、足らないところがあったのではないか。国民に対する説明も十分でなかったところもあったと思う」と述べ、金融再生委から政府への説明も、国民に対する政府の説明も不足していたと認めた。

 そのうえで「再生委員会は政治から一定の距離を保った組織だ。プロセスについて説明をしていただき、国民の理解を得る説明の努力を、再生委員会も政府全体もしなくてはいけない」と述べた。

 与党内から「白紙撤回」を求める声が強まっていることについては「政府の立場は、まず再生委員会の結論や基本的な考え方について十分な説明をしていかなくてはならない。与党内に、いろいろな意見があることは承知しているし、謙虚に耳を傾け、適切な対処をしたい」と述べ、当面は与党内の議論を見守る姿勢を示した。

そごう救済「8月中なら見直し可」と預金保険機構が見解

2000.07.12(01:52)asahi.com
 大手百貨店そごうの救済策見直しをめぐり、自民、公明、保守の与党3党の政策責任者は11日、金融再生委員会と預金保険機構から国会内で経緯などの説明を受けた。焦点のそごう債権970億円の放棄について、預金保険機構の松田昇理事長は「8月末に債権放棄を含む再建計画の基本合意を関係者の間でする。法律上、まだ債権放棄は確定しているわけではない」と述べた。法的には8月中なら債権放棄を見直すことも可能との判断を示したものだ。

 これを受け、公明党は救済策の「白紙撤回」を12日の与党政策責任者会議で求める方針を固めた。一方、自民党は同日、政務調査会の関係部会合同会議などで対応策を協議する。自民党内では「白紙撤回」は混乱を招くとして否定的な見方もあるが、何らかの見直しの必要性については一致している。

そごう救済策見直し、与党が週内にも対応とりまとめ

2000.07.10(20:45)asahi.com
 与党3党は10日、預金保険機構が970億円の債権放棄に応じることを柱とした大手百貨店そごうの救済策について、本格的な見直し作業に入った。3党の幹事長、国会対策委員長が協議し、救済策の妥当性や経営責任の追及などについて17日に予定されている衆院大蔵委員会の閉会中審査までに与党の対応をまとめる方針を確認した。3党は11日に政策責任者の協議と並行して各党の党内調整に着手し、早ければ週内にも統一の対応策をまとめる方向だ。

 自民党は同日、政務調査会の正副会長、関係部会長らが合同会議を開き、救済策を承認した金融再生委員会と預金保険機構の代表から説明を受けた。亀井静香政調会長は「国民の税金を使うことについて、事前に与党と協議しなかったのは間違っている」と金融再生委の対応を批判。さらに「消費者がそごうに反感を持ち、買い物に行かなくなれば、どんな支援策をとっても効果がなくなる」と述べ、救済策を抜本的に見直す考えを強調した。

中川官房長官が、そごう株主責任「明確に」

2000.07.10(11:59)asahi.com
 大手百貨店そごう向けの債権放棄問題について、中川秀直官房長官は10日午前の記者会見で「こういうケースでは一般論から言うと株主責任も問われる。それを含め、国民の理解が得られるような形で処理されるべきだろう」と述べ、株主責任を明確にすべきだとの考えを示した。

日野金融庁長官がそごう経営陣の責任追求を強調

2000.07.10(20:08)asahi.com
 日野正晴金融庁長官は10日の定例記者会見で、そごうが国などから債権放棄を受ける問題について、「破産法(適用企業の経営者)は厳しく民事、刑事上の責任が追及される。法的整理でない債権放棄の場合も、債権者が債権放棄交渉の中で経営者や株主の責任追及を考えるべきだ」と強調した。

 日野長官は「徹底的に経営者の責任を追及しないことは、(世論の批判など)さまざまなリスクがある」として、新生銀行の債権を肩代わりする預金保険機構や、そごうのメーンバンクで再建計画のとりまとめ役である日本興業銀行が、そごう経営陣の責任追及をいっそう求めていく必要があるとの考えを示した。

そごうが旧経営陣の「責任調査委」の設置を発表

2000.07.10(19:01)asahi.com
 国(預金保険機構)が債権の一部を放棄することが決まった百貨店大手、そごうは10日、水島広雄・前会長ら旧経営陣の刑事・民事の責任を追及する「経営責任調査委員会」を設置する、と発表した。国の支援を受けるには経営責任を明確化する必要があると判断し、金融再生委員会や預保の指導を受ける形で、第三者機関の設置を決めた。

 同社によると、経営責任調査委員会はそごうとは関係のない弁護士4人、公認会計士1人で構成。経営危機を招いたバブル期の国内、海外での急速な拡大路線で、違法取引がなかったかなどを調査していく方針だ。場合によっては、旧経営陣の告発、損害賠償請求も検討する。

 今月中にも委員会のメンバーを決定し、「できるだけ年度内に報告書をまとめたい」(経営企画室)としているが、一般に公表するかどうかは決めていない。

そごう社内に責任追及委員会設置を 金融再生委員長方針

2000.07.09(23:45)asahi.com
 大手百貨店そごうの債権放棄問題で、久世公尭・金融再生委員長は7日、そごうに対して、社内に責任追及委員会を設置するよう働きかける方針を明らかにした。各経営者の責任の度合いを調べ、私財提供の方法や額を決定させる。そごうはすでに、長く実権を握っていた水島広雄前会長に対し、私財の提供を求めている。しかし、私財提供に法的な根拠はなく、実行できるかどうか、疑問の声が出ていた。

 責任追及委は、水島前会長以外の経営陣についても調査し、追及を図る。金融再生委は追及委から責任追及などについて報告を受ける。過去、経営破たんした旧山一証券で設置された例がある。

 水島前会長はすでに、自らが保有するそごうグループ各社の株式をそごうに納めているが、そごうは、さらに私財を提供するよう求めていた。委員会設置はこの実効性を高めるねらいがある。

そごう向け債権放棄問題、政府で統一見解公表へ

2000.07.08(00:42)asahi.com
 政府は7日、預金保険機構がそごう向け債権を買い取り、放棄する問題で、政府統一見解をまとめ、公表することを決めた。そごうのケースがゼネコンなど他の不振企業にも同様に適用できるかどうかが焦点となる。中尾栄一元建設相によるゼネコンからの収賄事件もからみ、ゼネコン救済の是非をめぐっても、与野党間の火種になりそうだ。

 7日の閣議で、扇千景建設相(保守党党首)が「そごう救済の次はゼネコンと言われており、閣内で統一見解を出すべきだ。国民からなし崩しに税金を投入されるのではないかという疑惑をもたれたままだ」などと指摘したのを受け、見解を打ち出すことになった。

 そごう向け債権を預保機構に買い取ってもらう新生銀行(旧日本長期信用銀行)は現在、準大手ゼネコンのハザマから融資約430億円の一部の債権放棄を求められている。ハザマは新生銀行を含む4行に総額1050億円の債権放棄を要請中で、同行の対応が注目されている。新生銀行は熊谷組にも約1500億円の融資がある。

 与党首脳の一部からも、預保機構による債権放棄に否定的な意見は出ているほか、野党からは「そごうが前例となり、自民党はゼネコンにも同様の措置を取りたいのでは」(自由党幹部)という反発が広がっている。

衆参両委でそごう問題を集中審議

2000.07.06(20:41)asahi.com
 大手百貨店そごう向けの債権放棄に国費がつぎ込まれる問題で、衆院大蔵委員会が17日、参院金融経済特別委員会が18日に集中審議することが決まった。衆院大蔵委は、そごうのメーンバンクとして再建計画をまとめた日本興業銀行の西村正雄頭取を参考人招致することを検討している。

 そごうに対して事実上、約970億円の公的資金がつぎ込まれ救済されることの是非や、これを決めた預金保険機構の判断基準、興銀の貸手責任などが問われる見通し。

そごうシンガポール立ち退きへ、年末までに

2000.07.06(17:32)asahi.com
 そごうのシンガポール現地法人そごうデパートメントストア・シンガポールは6日までに、同国の商業地区にある入居先のビルから今年末までに退去すると発表した。退去後、別の場所に出店するかは未定という。

 そごうによると、入居先の商業ビル「ラッフルズ・シティ」から今年12月で切れる賃貸契約を更新しないと通知された。ラッフルズ側によると、そごうの後には地元の百貨店ロビンソンなどが入居する。

 そごうシンガポール社はそごうが85%、契約打ち切りを通知したラッフルズ社が15%出資している。そごうはラッフルズ・シティに1985年に開店。シンガポールでは2店を保有しているが、もう1つのショッピングセンターについては、賃貸契約の更改を目指し交渉中という。

そごう問題で民主党が質問主意書を内閣あてに提出

2000.07.05(19:24)asahi.com
 新生銀行(旧日本長期信用銀行)の「そごうグループ」向け債権を国が買い戻し、一部の債権放棄に応じる方針を決めたことに関して民主党は5日、森内閣に対して小川敏夫参院議員名で質問主意書を提出した。債権価値を判定した時期や方法、債権の一部放棄についての経営者責任の扱い、会社更生法などを適用せずに債権放棄で対応する理由――など8項目を質問している。

そごう向け債権放棄決定、「理解できない」野中幹事長

2000.07.02(01:57)asahi.com
 自民党の野中広務幹事長は1日、新生銀行(旧日本長期信用銀行)の「そごうグループ」向け債権を国が買い戻し、債権放棄に応じることを金融再生委員会と預金保険機構が発表したことについて「私は理解できない」と強い不満を示した。野中氏は「経営者の責任と資産の返還を当然、求めるべきだ」と述べ、実質的なオーナーだった水島広雄・前会長の経営責任を厳しく追及する考えを示した。自民党本部で記者団に語った。

 野中氏は「(事前に)何一つ説明がなかったのはまったく許せない。聞いていたら簡単に納得していない。バックになる銀行がどうだったのか。ここに至った経過は透明度を上げなくてはいけない」とも述べた。

そごう、拡大路線率いた前会長に私財提供求める意向

2000.07.01(01:06)asahi.com
 そごうの山田恭一社長は30日の記者会見で、水島広雄・前会長の経営責任問題について、「私財提供を含め、対応が必要だと思っている」と述べ、実質的なオーナーとしてグループの拡大路線を率いた水島氏に対し、今後私財提供を求める可能性があることを明らかにした。

 山田社長は「オーナーとしての責任はあるが、預金保険機構や債権者の意見を聞きながら早急に決めたい」とし、預金保険機構や債権放棄に応じた取引金融機関などの考えに沿っていく意向を示した。

 同日、会見した預金保険機構の松田昇理事長もこの問題について、「債権者の1人として、回収する立場として、経営責任を果たすように、現経営陣に強く働きかけていきたい」と語った。そごう現経営陣が水島氏に私財提供を求めることへの期待を示したものとみられる。

金融再生委、そごうの債権放棄計画を了承

2000.07.01(01:03)asahi.com
 金融再生委員会と預金保険機構は30日、新生銀行(旧日本長期信用銀行)が持つそごうグループ向け債権1976億円を国(預保機構)が買い戻し、そごうの債権放棄要請に応じることを決めた、と発表した。

 一時国有化した旧長銀の債権を引き受けた新生銀行から、国が再び債権を買い戻し、放棄に応じるのは初めて。国による「民間企業救済」との批判があるなかで、放棄後に残る債権は、損失が発生して新たな国民負担になる危険性をはらんでおり、今後、国会などで是非が問われそうだ。

 そごうの債権放棄に応じることについて、金融再生委の谷垣禎一委員長は30日の記者会見で「(債権放棄後の債権は)法的整理よりも回収額が増えるだけでなく、回収の確実性が図られる」などと説明した。今後ほかの経営悪化企業にも国の債権放棄が広がるのでは、との懸念については「今後どんどん道が開かれるわけではない」と述べ、厳しく判断する姿勢を示した。青木幹雄官房長官ら政府側は「今回の処置は、あくまでも例外的な措置」と強調している。

 同日会見した預保機構の松田昇理事長は、国が債権放棄に応じる場合の判断基準として、(1)放棄に応じないと法的整理による経営破たんを招く(2)合理性のある再建計画があり、放棄すれば回収額の増大が見込まれる(3)法的整理になると、連鎖倒産などの社会的混乱が起きる(4)経営責任が明確、の4つの条件を明らかにした。今回については、「4条件を満たしており、総合的に判断した結果だ」と話した。

 新生銀行のそごう向け債権は2047億円だが、国が買い戻すのは、そごうグループの38社に対する計1976億円。このうち国は、970億円分の債権を放棄する。すでに国民負担による引当金999億円があるため、これを取り崩して放棄に応じ、当面、新たな国民負担は生じない。

 引当金を除く977億円が実質的な買い取り価格になり、新生銀行に支払われる。これは今後12年間で他の銀行などの債権者に優先して全額返済される。この間にそごうの再建計画が順調に進まなければ、損失が発生し、国民の負担増になる。

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