TOPIC No.2-25-3a 1999年10月-2000年06月(そごう)

国のそごう救済策、「容認できない」民主党が反対を表明

2000.06.28(20:07)asahi.com
 百貨店大手のそごうグループの再建問題で、新生銀行(旧日本長期信用銀行)の債権約2000億円を国が買い戻し、うち約970億円の放棄に応じる方針を固めたことに対して、民主党は28日、「国が税金で私企業を救済するもので、到底容認できない」とする岡田克也・ネクストキャビネット(次の内閣)財政金融担当相名の談話を出した。

 この談話では「そごうの再建が順調に進まない場合、新たな損失が発生する可能性が大きく、国民負担の増大につながりかねない。経営危機に陥っているゼネコンなどの問題企業をそごうと同じように救済するため、税金が垂れ流し的に使われる先例となるおそれが大きい」と懸念を表明した。

新生銀行、そごう向け債権の買い戻しを国に正式申請

2000.06.28(20:05)asahi.com
 百貨店大手、そごうグループから債権放棄の要請を受けている新生銀行(旧日本長期信用銀行)は28日、放棄要請に応じず、国(預金保険機構)に対し、そごう向け債権約2000億円の買い戻し請求を正式に申請した。これを受けて預保機構と金融再生委員会は今週中に、買い戻した債権について、そごうからの放棄要請の受け入れを決める方針だ。

そごう再建 国の救済で最終決着へ

2000.06.28(03:25)asahi.com
 百貨店大手、そごうグループへの債権放棄問題は27日、放棄に難色を示していた新生銀行(旧日本長期信用銀行)の債権約2000億円について、国(預金保険機構)が買い取り、うち約970億円の放棄に応じる方針を固め、最終決着する見通しとなった。引き取る債権の返済期間の大幅短縮を条件に、国が債権放棄計画全体の崩壊を救う。取引金融機関の放棄総額は6300億円程度になる見込みで、そごうは当面の経営危機を回避する。だが、今後の再建が難航すれば、そごうの経営失敗のツケが国民に回りかねず、「究極のモラルハザード(経営倫理の喪失)」との批判が避けられそうにない。

 業績悪化に苦しむそごうは今年4月、グループ計約6300億円の債権放棄をメーンバンクの日本興業銀行など73の取引金融機関に要請。準メーンの新生銀は、旧長銀買収時に引き継いだ約2000億円の債権のうち、約970億円の放棄を求められた。

 だが、新生銀は放棄に応じても、残るそごう向け債権を全額回収することは難しいと判断。27日、「買収後に不良化した債権は国側で買い戻す」という国との契約に基づいて、預保機構に買い戻しを求めることを決め、28日に監査法人の証明書をつけて正式申請する。

 「国による大手百貨店救済」との批判を恐れる預保機構と、同機構を監督する金融再生委員会は、「国民負担の縮小化」策として、放棄後の債権(約1000億円)の返済期間を、当初計画に盛り込んでいた30年から、預保機構分だけは、そごうの再建計画期間内の12年で完済する、という「優先返済権」を認めることを条件に、放棄に同意する方針。30日の金融再生委で正式に了承し、国として今回の枠組み全体を支援する。

 債権放棄交渉のとりまとめにあたった興銀は、預保機構への「優先返済」のために、そごう向け債権の残存分の向こう12年間の返済日程を組み直す。興銀は自行がこの間受け取る返済金のなかから約300億円を預保機構に回す。

 新生銀の債権の「受け皿」が固まったことで、放棄計画がほぼまとまり、難航してきた交渉も最終決着の見通しとなった。

 預保機構の債権放棄は、すでに国民負担で設けてあった約1000億円の貸し倒れ引当金で穴埋めできる。しかし、残る約1000億円の債権は、そごう再建が順調に進まないと、新たな損失を抱え、国民負担になりかねない。

そごう売上増へ苦肉の策 元日除き無休に

2000.06.28 The sankei Shimbun
 経営再建中のそごうは二十七日、八月から一月一日を除いて無休で営業することを明らかにした。六月の大規模小売店舗立地法の施行で、営業日数の規制が撤廃されたのを機に、事実上の「年中無休」営業で売り上げ増を図る。百貨店でこうした無休営業は初めて。

 対象となるのは、国内二十七店舗のうち閉鎖する大阪など四店とファッションビル化する東京店(東京)を除く二十二店。そごうの昨年一年間の休日数は、全店舗平均で約十二日あった。

預保機構、債権放棄見直し要求 そごう再建で

2000.06.25(09:15)asahi.com
 経営再建中のそごうグループに対する債権放棄問題をめぐり、新生銀行(旧日本長期信用銀行)の債権を買い戻し、一部の債権の放棄に応じるかどうかを検討している政府・預金保険機構(預保機構)が、そごうの主取引銀行(メーンバンク)の日本興業銀行に対して、債権放棄の全体計画を見直すよう要求していることが24日、明らかになった。国がそごうの債権放棄に応じることになれば、新たな損失を国民に負わせる可能性が強まるため、預保機構は「国民負担の最小化」を図らなければ国民の理解を得られないと判断。預保機構に対する債権放棄要請額の減額や、他の銀行よりも短期間での返済を確約させる優先返済権などを求めている。この見直し案には他の金融機関の反発も予想され、そごうの債権放棄問題は大詰めの段階を迎えている。

 預保機構は、興銀との間で債権放棄計画の見直しにめどがつけば、新生銀からそごう向け債権の買い戻し請求を正式に受け、今月中にも、これを了承する方針だ。

 そごうグループは、73の金融機関に総額約6300億円の債権放棄を要請し、そごう向け債権約2000億円を保有する準メーンの新生銀は、970億円分の債権放棄を求められている。新生銀は、この債権が、当初より時価で2割以上目減りしたとして、債権譲渡時の契約に基づき、国に買い戻しを請求する検討に入っている。

 国が新生銀の債権を買い戻した後、そごうが再建に失敗した場合、新たに発生する損失は税金で穴埋めすることになり、そごうの経営失敗のツケが国民負担に直接回る。

 一方、そごうの経営破たんが現実化すれば、雇用や多数の取引先など地域経済への影響は大きく、預保機構としても、そごうの経営再建に向けて最小限の協力は避けられない、との判断に傾いている。その場合、債権放棄も含めた「国民負担」をできるだけ小さくするため、興銀との間で計画の見直し交渉に入った。

 預保機構が興銀に求めている見直し案は、国が新生銀のそごう向け債権を肩代わりした場合、(1)債権放棄要請額の減額(2)短期間での返済の確約、を条件としている。

 (1)によって減額された預保機構の放棄分は他の銀行に回る。このため、そごうの再建計画が予定通りに進まなかったとしても、国が新生銀あてに用意していた貸し倒れ引当金約1000億円の範囲内で処理できる可能性が高まり、国民負担を抑えられる。

 (2)については、ほかの銀行よりも国が肩代わりする債権の返済を優先させる「優先返済権」をつけるもの。そごうは、今後12年間で計画通りに経営再建を進めた場合でも、借り入れの全額返済は見込めないため、他の銀行より確実に債権回収を図る目的だ。

 しかし、そごうが預保機構に優先的に返済することは難しいとみられ、興銀が一時、預保機構の融資を肩代わりする可能性もある。

 こうした計画の見直しは、ほかの金融機関の債権よりも、国が抱える債権を優遇する措置といえ、債権が少ない金融機関や、十分な担保を持ち、回収の見込みが高い金融機関からの反発も予想される。

そごう、取引行に株式への乗り換え提案

2000.06.07asahi.com
 大手百貨店のそごうは7日、取引銀行73行に対する巨額の債権放棄交渉のとりまとめを急ぐため、このうち計71億円分の債権をそごう株に乗り換えてもらう「デット・エクイティー・スワップ」の導入と、主力取引銀行(メーンバンク)の日本興業銀行に他行債権の一部(計92億円分)の肩代わりを求めることを発表した。また、グループ店経営に対するそごう本体の支配力を強めるための組織改革案も発表。いずれもそごう再建に対して取引銀行に理解を得るのが狙いだ。

 そごうは4月から、グループで総額6390億円の債権放棄についての交渉を取引行と続けている。しかし負担の重さから難色を示す地方金融機関なども少なくない。このため、当初設定された交渉期限も5月末から6月末に延期されている。

 こうした一部銀行の不満を緩和するために、興銀と準メーン格の新生銀行(旧日本長期信用銀行)を除いた71行に、それぞれの債権放棄額のうち各1億円を、そごうの第三者割当増資を引き受ける形で株に乗り換えてもらう新提案をおこなう。

 また、一部銀行の不満には「メーンの興銀がもっと負担するべきだ」などの声もあり、そごうは、興銀に求めている放棄額を1801億円から1893億円に引き上げ、その分を一部銀行への要請額から差し引く考えだ。

 また、組織改革案では、本体が抱える3店以外の22店をそれぞれ経営しているグループ会社について、(1)取締役の人数を3人に減らし、このうち1人はそごう本体の取締役が兼務する(2)各社の総務、財務、人事部門をそごう本体の直轄下に置き、本体による監査も強化(3)8月までに、主に千葉そごうが保有している各社株を本体支配下に移し、完全子会社化する、などとした。

 かつては、千葉そごうを軸とした複雑な資本関係となっていたため、そごう本体による、グループ管理・運営がやりにくかったとされる。このため、今後の経営再建には、グループ会社に対する、本体の権限強化が不可欠と判断した。

そごう株主総会、再建策の行方に株主から質問相次ぐ

2000.05.30(00:11)asahi.com
 経営危機から取引先金融機関に総額6390億円の債権放棄を求めているそごうの株主総会が30日、大阪・心斎橋の大阪店(本店)で開かれた。拡大路線を進めてきた水島広雄前会長は、「すでに退任している」(広報室)ことを理由に出席しなかった。

 総会の冒頭、山田恭一社長が、「多額の損失を計上するに至り、株主のみなさまに多大のご迷惑をおかけしました」と陳謝。

 株主からは「多額の負債が株主に明らかにされてこなかったのはなぜか」といった経営陣の責任を厳しくただす発言が相次いだ。これに対し、山田社長は、「積極的に報告してこなかったことは深くおわびする」と釈明。

 さらに、「(前年度で)総額2億5000万円にのぼる役員報酬が出ているのは、けしからん」と株主が語気強く迫る一幕もあった。

 総会には昨年より170人多い507人の株主が参加。近年は2、30分程度だった所要時間も1時間43分に伸びた。

 総会に参加した株主からは、「水島氏はグループの株式を手放すだけでなく、すべての私財で償うべきだ」(73歳の男性)といった不満の声が聞かれた。

    ◇

 そごうは30日の株主総会後の取締役会で、元日本興業銀行取締役の阪田悦紹専務執行役員を代表取締役専務に、飯ケ谷晴美執行役員を代表取締役常務に、それぞれ選任した。

<そごう>午前中に株価急落 額面割れに 東証

2000年4月29日(土) 0時44分(毎日新聞)
 28日の東京株式市場で、午前中に百貨店「そごう」株が急落し、一時、額面(50円)を割り込む45円をつけた。その後はやや値を戻し、前日比14円安の52円で取り引きを終えた。同社は26日に今年2月末のグループ全体の債務超過額が、金融機関への支援要請を表明したときより500億円増えたと発表していた。

そごう副社長が自殺

'00/4/28 by 中国新聞
二十七日午前七時十五分ごろ、大手百貨店そごう副社長阿部泰治さん(63)=神奈川県鎌倉市常盤九三七ノ九四=が自宅で首をつって自殺しているのを妻の芳子さん(58)が発見した。
 神奈川県警鎌倉署の調べによると、阿部副社長は寝間着姿で、一階リビングルームの柱にネクタイを結び合わせて首をつっていた。死亡推定時刻は同日午前六時ごろという。

 阿部副社長は芳子さんと二人暮らし。芳子さんあてとみられる遺書が阿部副社長の自室の机に残され「申し訳ない。勝手を許してください」とA4判の紙にフェルトペンで書かれていた。

 そごうは巨額の債務超過に陥り経営再建中で、阿部副社長は銀行に対する債権放棄交渉の実質的な責任者。二十六日には山田恭一社長とともに決算発表の記者会見に出席したばかりだった。

 阿部副社長は東北大法学部卒業後一九六一年日本長期信用銀行(長銀)に入行。同行常務を経て九四年三月にそごう顧問に就任、同年五月から副社長を務めていた。

 そごうは不況の長期化と積極的な出店が裏目に出てバブル崩壊後経営が悪化し二〇〇〇年二月期決算で債務超過額がグループ全体で約五千八百億円に拡大。

 このため、事実上のオーナーである水島広雄会長が二十六日付で辞任したほか、前社長の岩村栄一取締役相談役と井上盛市副会長の二人も五月末で退任することが決まっている。

 山田社長、阿部副社長ら他の役員も全員辞表を提出しており、再建計画の実行にめどが立ち次第辞任する予定。

6390億円の放棄を要請

2000年4月6日 18時10分
 1兆7000億円に上る有利子負債を抱えて経営再建中のそごうは6日、取引金融機関に対して総額6390億円の債権放棄を要請すると発表。債権放棄の要請額としては過去最大規模。

 主取引行の日本興業銀行は債権放棄要請を受け入れるもようだが、欧米系の投資グループに売却された日本長期信用銀行など残る約70行は難色を示す可能性もあり、決着までには曲折が予想される。

そごう、取引金融機関に対し総額6390億円の債権放棄を要請

00年4月6日 17時55分[東京 6日 ロイター]
 そごうは、そごうグループ各社を対象とし、2000年度から2011年度を計画期間とする「そごうグループ抜本再建計画」を策定した。計画の中では、グループ不採算会社・事業の整理を行うが、それに伴う損失が約7083億円発生。そのうち、6390億円については、取引金融機関に債務免除を要請している。

 不採算店・事業の整理では、国内百貨店25社27店体制を13社20店体制にする。 不採算店14店のうち、多摩、木更津、長野、茂原、大阪の4社5店は撤退(売却、返却)する。船橋、東京の1社2店は業態転換、奈良、川口、福山、加古川、錦糸町、豊田、札幌の7社7店は財務体質改善・効率化を進めて百貨店事業を継続する。奈良、豊田、加古川、船橋の4店はそごうに、錦糸町、札幌の2店は横浜に、川口は大宮に、福山は広島に営業を譲渡する。

 また、国内関連会社は、70社体制を38社体制にする。不採算の関連会社は原則整理していくほか、グループ情報システム会社3社を統合する。 グループの経営資源を国内百貨店に集中させるため、海外事業からは原則撤退する。百貨店については売却を推進するが、香港とクアラルンプールは事業を継続し、現地資本化を推進するという。

そごう、内外17店リストラ

1999年10月21日 19時27分 共同通信社
 経営再建中のそごうは21日、グル−プの国内外17店のリストラを含む、2001年2月末までの総合再建計画の見直し計画を正式に発表した。グループ合計で約1兆7000億円ある有利子負債は、2年間で約550億円を返済する。社員2450人を2年間で削減し、2001年2月末には8850人体制にする。人件費170億円を削り、販売管理費は全体で282億円縮小できるとしている。

そごうグループ、希望退職450人募る

9:44p.m. JST October 08, 1999
 業績不振に陥っている大手百貨店そごうは8日、グループ全体で450人の希望退職を募り、自然退職なども合わせて2001年2月までに全社員の約2割にあたる2450人を削減すると発表した。希望退職による人件費の削減効果として年間37億円を見込んでいる。また、黒字が見込めないと判断した加古川そごう(兵庫県加古川市)の別館を来年2月をめどに閉鎖することも明らかにした。

 今回の人員削減はグループで約1兆7000億円の有利子負債を抱えるそごうの再建策の一つ。希望退職は今月末までに40歳以上を対象に募集する。最高18カ月分の給与を上積みする特別退職金は66億円に上る見込みで、資産売却などで手当てする。このほかに自然退職1300人、茂原そごう(千葉県茂原市)の閉鎖や一部店舗の業態転換などで500人の削減などを計画。この人員削減が進めば、グループ人員は9000人程度に減る見込みという。

 また、加古川そごう別館は今年1月、一連のリストラ策の一環として流行遅れのブランド商品を安売りするアウトレット業態に転換したばかりだが、目標売上高を3割以上下回る状態が続いていた。目玉となる人気ブランドを集められなかったことが響いたようだ。そごうは営業力強化策の一つに店舗のアウトレット化を掲げていただけに、今回の失敗は強化策の選択肢が少なくなったことになる。

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