爆竜戦隊アバレンジャー ダイノコマンダー
キーを回せ!変身サウンドが鳴る!光る!!そして、爆竜を操れ!!
次元の彼方に去ったもうひとつの地球「ダイノアース」からやってきた竜人の青年アスカ。彼は、悪の軍団「エヴォリアン」を追って、我々人類の住む地球へとやってきた。そして、ダイノガッツを持つ若者たちに変身ブレスレット「ダイノブレス」を与え、アバレンジャーを誕生させたのである。アバレンジャーの生みの親、というわけだ。
しかも、戦闘を他人に任せて自分は何もしない…という訳ではない。アスカ自身もまた、アバレスーツを身につけて闘う勇敢な戦士なのである。
地球にやってきた当初は、変身用のキーが破壊されていたために、アスカはアバレスーツ姿にチェンジする事ができなかった。そのためエヴォリアンとの闘いはレッド、ブルー、イエローの三人に頼らざるを得ず、彼はその事に負い目を感じていた。だがその後、キーの再生を果たし、ついにアスカも「爆竜チェンジ」が可能になった!闘えアスカ!!黒い戦士アバレブラックとなり、エヴォリアンに無敵の竜人魂を見せつけろ!!
アバレブラックの変身アイテム「ダイノコマンダー」は、ダイノブレスと同じく爆竜の姿をかたどったブレス型のアイテムだ。アスカのパートナー、爆竜ブラキオサウルスのダイノプレートが装着されている。だが、ダイノブレスのプレート部分だけを変更した、いわゆる「リデコ」等と呼ばれる仕様変更品ではなく、形状もギミックも主役の三人とは大きく違うものになっているのが面白い。
最大の特徴は、ブレスだけでなく「ダイノハープ」と呼ばれるハーモニカ型の楽器がセットになっている所だ。
これはダイノコマンダーを作動させるカギにもなっている。
ブレス本体はゴールド部分にメッキをつかわず、渋い雰囲気を出しているのだが、ダイノハープのほうは、同じ金色でも落ち付いた色合いのメッキパーツを意図的に配する事で金属製の楽器らしい雰囲気を出している。ゴージャスな感じが出ていてなかなか上手い。
これがダイノハープだ!スイッチ操作でキーが飛び出すぞ!!
この「ダイノハープ」はアスカが愛用している楽器で、普段は皮紐で首からぶら下げている。
玩具にもストラップが付属しており、同じように首にかけられる。ただ、子供用なので事故防止用のジョイントが付いていて、ちょっと引っ張るとすぐ外れてしまう。また大人にとっては長さがちょっと短いし、そもそも付属の紐自体が劇中のものとは全然違うので、雰囲気重視の人は自前で皮紐を用意した方がいいかもしれない。
側面についているスイッチを操作するとロックが外れ、折畳まれているカギがスプリングアクションで飛び出してくる。
このキーがダイキャスト製でかなり大きいので、手に持つとかなりの重量感がある。飛び出す時も「よっこいしょ」という感じで勢いはやや弱いが、手応えはなかなかのものだ。また、先端がブラキオの顔になっているところや、折畳んだ時にカギのギザギザ部分がハーモニカらしく見えるところなど、細かいところに気を配ったデザインになっているのがちょっといい。
それから、側面にはキーを出すためのスイッチの他にもうひとつ、笛もついている。吹くと「プー」という思いっきりチープな音がする。なんともヘッポコなギミックで力が抜けるが、たとえヘッポコでも、ちゃんと音が鳴る楽器として遊べるようにしてあるわけで、そう考えると徹底したコダワリぶりに、脱力どころかちょっと感心してしまう。
本当のハーモニカにするのは無理。電子ギミックを組みこむ余裕も無い。でも、どうにか音は出るようにしたい!…そういう考えから、この笛が付けられたのだろう。
「楽器の型をしたキー」ではなく「楽器であり、同時にキーでもある」というのがダイノハープの魅力なわけで、その辺をおろそかにしなかったのはさすがだ。
チープなのはともかく、その心意気は高く評価したい。
さあ、爆竜チェンジだ!左腕のブレスにキーをさしこめ!!
ダイノハープのキーを展開したら、ダイノコマンダー本体の先端部分にあるシリンダーにキーをさしこもう!
さしこんだキーを回すとブラキオの口がガキッと開いて目が光り、同時に変身サウンドが鳴り響くゾ!
劇中でアスカがやっているように、カッコよく一発でバシッと入れるのは極めて難しいのがちょっと問題だが、「さしこんで回すと光って鳴る」というのがダイノブレスとは違っていて面白い。また、回した瞬間にブラキオの口が開くアクションギミックも、単純だがすごく楽しいので個人的にはかなり気に入った。
それから、本体中央にある赤いスイッチを押すと、恒例の通信用コールサウンドが鳴る。ちゃんとダイノブレスと同じ音になっているのが、芸が細かい。
キーを回すと口が開くゾ!そして光る!鳴る!!
キーをさしこんで回すとギミックが作動するブレスといえば、以前にも激走戦隊カーレンジャーの「アクセルチェンジャー」があったので、びっくりするほど斬新というわけではない。しかし、光って鳴るだけでなく、口が開くアクションギミックも搭載している点や、収録サウンドが電子音ではなくサンプリングした効果音をつかっている点など、細かく見ていくと工夫や技術の進歩による違いが色々見えてきて面白い。
プレートチェンジで召喚だ!これはバキケロナグルスのプレート。
ダイノコマンダーに装着されているダイノプレートは、黒い部分がスモークブラックの透明パーツになっていて、ちょっとシャレている。このプレートは当然ながら、ダイノブレスと同じく取り外しが可能になっている。ダイノブレスの場合は、プレートを交換して好きなキャラのブレスに変えられるようになっていたが、ダイノコマンダーの場合は、少し違う。別売りの「爆竜アクションシリーズ」に付属しているダイノプレートを装着することで、違ったギミックが作動するようになっているのだ。
別のブレートを装着してキーを回すと、変身サウンドのかわりに「デンデンデデン!」という大げさな音楽の後、その爆竜を召喚するボイスを発する。
口を開き、目を光らせながら「いでよ、爆竜バキケロナグルス!!」などとしゃべるのだ。この声が、ちゃんと劇中でブラキオを演じている声優の銀河万丈氏の声になっているのが実に素晴らしい。
ダイノブレスでは、爆竜のセリフが入っていなかったので少々物足りない部分もあったが、ダイノコマンダーではその不満もバッチリ解消されるぞ!!
ダイノプレートを外した状態。
ダイノプレートを外すと眼の発光用LEDが二個あるが、よく見るとその他にもコールスイッチの上のほうに三つ、白いスイッチが並んでいる事に気付くだろう。
このスイッチが押される事で、プレートの種類を認識しているわけだ。
収録されている爆竜召喚サウンドは「バキケロナグルス」「ディメノコドン」「ステゴスライドン」「バラサロッキル」「アンキロベイルス」の五種となっている。
ボタン三つの組み合わせは全部で八種類になるが、三つとも同時に押した場合と三つとも押さない場合は、どちらも口が開く音だけで、召喚サウンドは無しだった。
つまり、アバレブラックの変身サウンド一種と爆竜召喚サウンド五種、それに開口サウンド(?)が一種で全七種のサウンドが楽しめるわけである。
ダイノブレスのプレートだと三つ同時押しパターンになるため、セリフはしゃべらない。ちょっと残念だが、それでも一応口が開いて音が出るようにはなっているので、それなりに楽しめる。
もちろん、ダイノブレスのプレートと交換も可能だ!
強いて難点を挙げるとすれば、「腕につけるブレスとしては、あまりにもデカイ」という事くらいだろうか。
もともと、ダイノブレスは戦隊シリーズの変身ブレスの中で、かなりデカイ部類に入るブレスだった。厚みもあるのでよけいにデカく感じる。それに加えてダイノコマンダーの場合は、キーをさしこむシリンダー部分があるので、さらにデカくなっている。
街中で、ダイノコマンダーを腕につけた子供を何度か見かけた事があるが、幼児などだと腕が短いので、ブラキオの顔が肘の辺りにまできているのである。見ていてあまりの不自然さに、なんとも微笑ましい気持ちになってしまったが、同時にあまりデカイのも考えものだなあ、などと思ってしまった。
銃や剣などの武器だとデカイ方が本物らしくていいが、身に付けるものの場合は、やはり適度な大きさというものがあるような気がする。
とはいえ、ギミックの都合や耐久性の問題、劇中や店頭での見栄えなど、色々あるわけだし、仕方が無い事でもある。
それに、大きいほうが迫力があっていいと思う人もいるだろうし、欠点といえるほどのものではないだろう。
ダイノコマンダーのパッケージ。
プレートチェンジでセリフが楽しめる、というのはなかなか楽しい。
単体でもギミックが豊富だし、別売りの商品もあわせればさらに楽しく遊べる、はっきりいってかなり面白い変身ブレスだ。
しかも、なによりいいのは、なんといっても「銀河万丈の声が出る変身ブレス」だという事だろう。
はっきりいって、個人的にはこの一点だけで大満足の一品だと言い切ってしまえるほど気に入ってしまったぞ。
戦隊ヒーロー史上、いや特撮ヒーロー史上初の快挙といっていいだろう。
次は加藤精三の声でしゃべる変身ブレスとか広川太一郎の声が出る変身ベルトとか、玄田哲章が叫ぶ武器とか、そういうのが出てくれないかなあ。
小林清志とか秋元羊介とか大塚芳忠とか…若本規夫なんかもいいねえ。
こういうの、これからもガンガン出してくれないかなあ。