キャプテンパワー
インターアクティブ トイの世界
テレビと遊べ!テレビと戦え!!
「キャプテンパワー」は、1987年にアメリカで放送されたSF特撮TVシリーズだ。
地球を制圧した悪の機械軍団と、わずかに生き残った人類を守る正義の未来戦士との壮絶な戦いを描くこの作品は、日本でも同年10月よりテレビ朝日系で放送され、ハードなストーリー、魅力的なキャラクター、CGの大胆な使用など、日本の特撮ヒーロー番組とは全く異なる野心的な内容が、一部の濃い人たちの間で非常に高く評価された。
しかし、残念ながら世間一般での評判は今ひとつであった。ハードすぎる展開も、ヒーローが装着する強化スーツのデザインも、日本の児童にとっては違和感があったようである。また、裏番組が「北斗の拳」だった事もあり、ティーンエイジャー層の支持を得ることも出来なかった。好き嫌い以前に、番組そのものの存在すら知らない、という人が少なくない。
当然ながら、視聴率的にも苦戦したようで、初回放映では全22話のうち18話しか放送されず、最終回を観るためにはビデオの発売を待たなければならなかった。地方によっては再放送時にフォローされたようだが…。いかに人気が無かったかがわかる。
その最終回では、主人公たちの基地「パワー・ベース」が敵に発見され、秘密を守る為にヒロインが基地を自爆させて死んでしまう。基地も、大切な仲間も失ってしまった未来戦士たちの運命は…?という凄い終わり方になっていて驚かされる。本来はその後を描く第二シーズンが予定されており、作業もかなり進行していたらしいが、結局は中止となってしまった。どうやら、本国アメリカでも大人気というわけではなかったようである。
だが、そんな不遇なキャプテンパワーも、ある一点においては非常に有名だったりする。
それは、この作品がインタラクティブシステムを本格的に導入した、「遊べる!戦える!テレビを越えたテレビ番組」であった事だ。
テレビの画面に、悪の機械軍団「バイオドレッド」の兵士やメカニックなどが映っている時、キャプテンパワーの玩具で弱点を狙ってシューティング!うまく命中すれば得点が得られるのだ。もちろんテレビからも攻撃してくる。敵がビーム砲を撃つシーンなどでは、その閃光が君を襲う攻撃となるのである。
インタラクティブシステムを備えたキャプテンパワーのトイを持っていれば、テレビで放送している特撮ドラマが、ガンシューティングゲームになってしまうのだ。
普通に放送されているテレビ番組が、そのままゲームとして遊べてしまう!この驚異のシステムは、非常に衝撃的だった。
この画期的システムを搭載した玩具は、米国ではバービーなどでその名を知られるマテル社から発売された。日本では、当時マテルと関係の深かったバンダイが発売していた。
同じ時期、キャプテンパワーの他にも、バンダイの「仮面ライダーBLACK テレビパワー変身ベルト」や、タカラの「ビデオチャレンジャー」などの「インターアクティブ・トーイ」が登場していた。インタラクティブトイが大きく注目されていた事がよくわかる。
だが、ライダーの変身ベルトは独特の一体感が非常に面白かったものの、遊びはテレビからの受信のみで、自分からテレビに攻撃する事はできなかった。ビデオチャレンジャーは、スコアカウンターがついているなど優れている面もあったが、付属のビデオ(別売りのソフトもあった)によって遊ぶ家庭用ゲームであり、リアルタイムにテレビ番組で遊べるという面白さには欠けている。
総合的に見た場合、インタラクティブトイとしての面白さを最大限に生かしていたのは、やはりキャプテンパワーのシリーズだといっていいだろう。
最大の弱点は、番組自体がマイナーだった事だ。現在、キャプテンパワーの映像を入手するのは比較的困難な状況にある。
テレビ放送版のビデオは、発売されてから年月が経過しているために、ビデオレンタル店などで見かける機会も少ない。再編集版の「キャプテンパワー・スペシャル 帝国の野望」は、割と入手が容易なのだが、これはインタラクティブ機能に対応していない。
せっかくキャプテンパワーの玩具を入手しても、それだけではテレビとのバトルを楽しむことが出来ないのである。
インタラクティブトイ同士で、お互いに撃ちあって遊ぶ事はできるので、ビデオを持っていなくても一応は楽しめるが、どうせなら両方楽しみたいところだ。
こんなところでエラソウに語っているわし自身も、実をいうと全22話分を入手したのは割と最近で、それまでは、ずっと以前にたまたま中古で売られているのを見つけた一本だけしかビデオを持っていなかったのだ。
マイナー作品だけに、ビックリするような安い値段で中古ビデオが売られている事もあるが、うまい具合にそういう機会にめぐり合えるかどうかは、努力と運が必要だ。
セールスが不調だったうえに、海外の作品なので、DVDなどの映像ソフトの発売はあまり期待できないし、インタラクティブ機構が閃光や点滅発光を利用しているため、現在の地上波テレビ局では再放送も難しいと思われる。
玩具が楽しいだけでなく、番組自体も非常に面白い作品であるだけに、大変に残念である。
しかし、この画期的なシステムをこのまま埋もれさせてしまうのは惜しいと思う。
それに、インタラクティブトイの事を知っていても、実際に遊んだという人は、比較的少ないのではないだろうか。わし自身、放送当時からずっと、どういう仕掛けになっているのか非常に興味があったのだが、キャプテンパワー玩具が解説される機会はあまり無く、実際に入手するまでは色々と疑問に思っていた事が多かった。
現在も、書籍やネット上などで作品そのものが紹介される事はあるが、玩具について、ギミックなども含めて詳しく紹介しているところは皆無といっていい状態である。
そんなわけで、今回はキャプテンパワーのインタラクティブトイを紹介する事にした。
今回紹介する三種の他にも、インタラクティブシステムを搭載した玩具として「インターロッカー」という商品があるのだが、残念ながら手元に無いので、今回は紹介する事が出来ない。これは、日本版商品のパッケージにも紹介写真が掲載されているが、実際には米国でのみ発売され、日本では未発売に終わっている商品なので、現在の日本国内で入手するのはやや困難が伴うものと思われる。情報をお持ちの方はご教授頂ければ幸いである。
では、能書きはこれくらいにして、早速いってみよう。
「パワー・オン!!」
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