TOPIC No.3-28-2 中国製ギョーザ中毒事件

01. 北京趣聞博客 (ぺきんこねたぶろぐ)by福島香織
02. 毒餃子事件報道を検証する 第1回 被害者は有機リン中毒だったか? 原田 和明(2008年02月22日) byまぐまぐ!
03. 毒餃子事件報道を検証する 第7回 ジクロルボス 原田 和明(2008年03月07日) byまぐまぐ!
04. 毒餃子事件報道を検証する 第8回 情報操作? 原田 和明(2008年03月09日) byまぐまぐ!
05. 毒餃子事件報道を検証する 第9回 兵庫県警の不作為 原田 和明 (2008年03月13日) byまぐまぐ!
06. 毒餃子事件報道を検証する 第10回 検出されなかったメタミドホス 原田 和明 (2008年03月19日) byまぐまぐ!
07. 毒餃子事件報道を検証する 第11回 警察庁の勘違い? 原田 和明 (2008年03月23日) byまぐまぐ!
08. 毒餃子事件報道を検証する 第12回 アセフェート 原田 和明 (2008年03月26日) byまぐまぐ!
09. 毒餃子事件報道を検証する 第13回 千葉県警はジクロルボスに無関心 原田 和明 (2008年04月04日) byまぐまぐ!
10. 毒餃子事件報道を検証する 第14回 メタミドホス 2万ppm 考 原田 和明 (2008年04月10日) byまぐまぐ!
11. 毒餃子事件報道を検証する 第15回 毒物は東京を目指す 原田 和明 (2008年04月13日) byまぐまぐ!


ギョーザ事件、工場で殺虫剤入手 冷凍保存庫で3回注入

2010年03月28日 中国新聞ニュース

 【北京共同】中国製ギョーザ中毒事件で中国公安省の捜査責任者は28日、共同通信など一部日本メディア向けに記者会見し、拘束した呂月庭容疑者(36)が2007年夏に有機リン系殺虫剤「メタミドホス」をギョーザ工場内で入手、冷凍保存庫で3回にわたって注射器を使ってギョーザに注入したことを明らかにした。

 容疑者拘束後、公安省当局者が会見するのは初めて。公安省が特定の事件で外国メディアに向けて会見するのは異例で、日中関係を重視する胡錦濤指導部が、今後さらなる捜査を進め、事件の全面解決を目指す姿勢をアピールした形だ。

 会見したのは、公安省刑事捜査局の杜航偉局長ら。杜局長によると、呂容疑者は、工場内の芝生の殺虫などのために工場の清掃班が保管していたメタミドホスを盗み出した上、医療施設から廃棄された注射器を入手。07年10月1日と同月下旬、12月下旬の3回にわたって冷凍保存庫で注射器を使って注入し、注射器は工場内の下水溝に捨てた。21日に供述通り下水溝から2本の注射器を発見した。

 動機については、臨時従業員だった呂容疑者は正社員との給与格差が大きかったことなどで、工場への不満を募らせたという。

毒ギョーザ 妻にうっかり漏らす「おれがやった」で特定

2010年03月28日 Sponichi Annex

 「この事件はおれがやった」。中国製ギョーザ中毒事件で拘束された呂月庭容疑者(36)が自宅で妻にうっかり漏らした。28日に記者会見した中国公安省の捜査責任者は、このひと言が、容疑者特定の大きな要因になったと、内幕を明かした。

 ある晩、自宅で妻とともにテレビを見ていた呂容疑者。そこにたまたまギョーザ事件のニュースが流れた。「おれがやった」。呂容疑者は、思わず口にしてしまった。

 「本当にあなたがやったの」「どうしてこんなことが出来るの。これは犯罪よ」「こんなことをするなんて、どうしてそんなに道徳に欠けるの」。妻が仰天して呂容疑者に詰め寄る。

 あまりに動揺する妻を見た呂容疑者は「冗談を言っただけだよ。おれがやったんじゃない」と即座に否定、その後は妻に対し一度も犯行を認めなかった。だが、呂容疑者は他の親せきにも同じことを話し、こうした情報が捜査当局に伝わったという。 (共同)

中国製ギョーザ中毒:容疑は「危険物投与」 元従業員、最高刑は死刑

2010年03月28日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE 東京朝刊

 【北京・浦松丈二】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、中国の捜査当局は27日、逮捕した製造元・天洋食品(河北省石家荘市)の元臨時従業員、呂月庭容疑者(36)の容疑について「危険物質投与罪」と日本政府に連絡した。同罪の最高刑は死刑。08年に化学物質メラミンを粉ミルクに混入させたとして中国の業者2人が09年、同罪で死刑判決を受け、執行されている。

 同罪は刑法で規定され、不特定多数の生命に損害を与えることを目的に有毒物質や放射性物質、病原体などを故意に投与し、公共の安全に危害を与える行為に適用される。重大な被害を及ぼさなかった場合は3〜10年の懲役刑だが、重症者や死者が出た場合には10年以上か無期懲役、特に社会的影響が大きかった場合は死刑となる。

 中国では過去の毒物混入事件でも同罪が適用されている。ギョーザ事件では死者は出ていないが、日本で重症者が出たことの影響がどう判断されるかで量刑が左右されそうだ。

 ◇日本での被害、立件を協議へ−−警察庁

 警察庁は27日、早期に、中国へ幹部を派遣し、日本での中毒症状の被害を立件できるよう中国警察当局と協議する方針を明らかにした。容疑内容の詳細は不明だが、呂月庭容疑者が有機リン系殺虫剤メタミドホスを混入させたのは中国国内である疑いが濃厚だ。犯罪行為の現場が日本国内であれば、代理処罰を要請するケースも考えられるが、今回は該当しない。危険物質投与罪の量刑との兼ね合いで、中国当局が殺人未遂での立件に前向きな姿勢をみせるかは不透明だ。【千代崎聖史】

中国毒ギョーザ:対日配慮か 首相相互訪問にらみ

2010年03月27日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE 東京朝刊

 【北京・浦松丈二】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、中国当局が製造元の天洋食品(河北省石家荘市)の元臨時従業員、呂月庭容疑者(36)逮捕をこの時期に発表したのは、中国と欧米との関係がぎくしゃくするなか、日本の対中世論を好転させようとする中国指導部の意向を反映したものとみられる。

 日中両政府は5月1日に開幕する上海万博に合わせた鳩山由紀夫首相の訪中と温家宝首相の訪日の調整をスタートさせており、中国側はギョーザ事件を解決することで首相相互訪問を後押しする方針とみられる。

 容疑者逮捕を伝えた26日夜の中国国営・新華社通信は、逮捕時期には触れていないが、同社関係者によると、警察当局は比較的早い段階で待遇に不満を持っていた同容疑者に注目し、証言集めなど裏付け捜査を進めてきた。同通信は中国側捜査態勢について「事件発生後、両国消費者への高度の責任感に基づき、全国から捜査、検査などの専門家を選び出し、専門捜査班を組織した」と説明した。

 中国指導部は事件発覚から1年の昨年1月末、中国側捜査の中間報告を発表し、中国側での毒物混入を認め、日本国内の対中感情の好転を図ろうと検討したといわれる。

 しかし、地元の河北省警察当局は「犯人逮捕までは中国側で毒物が混入されたことを証明できない」と強く抵抗。中間報告の発表は見送られ、中央の公安省主導で捜査が続けられてきた。

 また、中国政府は事件発覚から2年の今年1月末には、捜査と切り離して「食の安全」に関する覚書を日本政府と交わし、事件解決に先だって再発防止策を進める方針を固めた。

 中国は昨年暮れから地球温暖化対策で欧米との対立が激化。最近では、中国政府のネット検閲廃止を求めた検索最大手グーグルが中国本土から撤退するなど対外イメージの悪化が続いていた。


容疑者数人、犯行は否認 中国製ギョーザ中毒事件

2008/09/29 中国新聞ニュース

 【北京29日共同】日中両国で被害者が出た中国製ギョーザ中毒事件を調べている中国の公安当局は、今年六月に中国で起きた事件で、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)の従業員について捜査を進め、容疑者を「数人」まで絞り込んだが、いずれも犯行を否認していることが二十九日、分かった。中国筋が明らかにした。

 毒物混入事件は立証が難しく、容疑者の自供も得られていないことから捜査が難航している可能性がある。

 中国の公安当局は、八月下旬までに従業員九人について「容疑が濃厚」と判断。中国筋は「いま容疑者として残っているのは数人」と述べ、その後さらに絞り込みが進んだことを示唆した。

 日本で起きた事件について公安当局は、今年二月には「中国内で混入された可能性はほとんどない」としていたが、六月中旬に回収されたギョーザを食べた中国人四人が中毒となる事件が発生し、捜査方針を転換。天洋食品工場内で何者かが有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を故意に混入した可能性が高いとみて従業員への徹底的な取り調べを再開した。

 中国当局は国内の事件解決が日本で起きた事件解明の鍵になるとみており、中国筋は「公安当局は六月に国内で中毒事件が起きた時は隠さず政府に報告しており、事件解決への決意は明確だ」と強調した。

従業員9人が容疑濃厚 中国当局、ギョーザ事件で

2008/09/16 中国新聞ニュース

 【北京16日共同=塩沢英一】中国製ギョーザ中毒事件を捜査している中国の公安当局は、六月に中国内で起きた中毒事件に関し、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)のギョーザ生産ラインで働いていた従業員のうち九人について、殺虫剤混入にかかわった「容疑が濃厚」と判断していることが十六日、分かった。中国筋が明らかにした。捜査結果は一連の事件の「中間報告」としてまとめられ、日本側にも伝えたもようだ。

 容疑者の絞り込みが進んでいることを示しており、中国当局の捜査が大詰めを迎えている可能性も出てきた。

 同筋によると、六月の事件は天洋食品が日本での事件後に回収したギョーザを従業員の親せきや同郷者らに格安で販売。これを食べた四人が中毒になり、ギョーザから有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出された。

 中国当局は、このギョーザが国内の市場に出回っていないことから「天洋食品内部で殺虫剤が故意に混入された可能性が高い」とみて、問題のギョーザを製造した日に勤務していた従業員を徹底捜査。正規と臨時の従業員を合わせ九人が容疑濃厚として残っているという。「容疑濃厚」とする根拠は不明。

 日本で中毒を起こしたギョーザは二〇〇七年十月一日と同二十日の製造。同筋は中国の事件のギョーザは製造日が異なることを示唆。しかし「中国での事件の解明が日本の事件の解決につながる」と語った。

 ギョーザ事件では、二月に中国公安当局が「中国側で混入された可能性は極めて低い」と表明した。しかし六月中旬に中国内で同様の事件が起きたことで本格的な捜査を再開した。

 <中国製ギョーザ中毒事件> 昨年12月から今年1月にかけて中国・天洋食品が製造、日本たばこ産業(JT)子会社と日本生活協同組合連合会が販売した冷凍ギョーザを食べた千葉、兵庫両県の3家族計10人が有機リン系中毒になった。日本の鑑定で商品から国内で使用禁止となっている殺虫剤メタミドホスを検出。故意による混入が疑われ、中国でも同様の中毒被害者4人がいたことが8月に表面化した。中国内の被害について、日本政府は7月に連絡を受けたが公表していなかった。(北京、共同)

回収ギョーザ、中国で中毒 現地で混入が確定的に

2008/08/06 中国新聞ニュース

 【北京6日共同】中国製ギョーザ中毒事件で、製造元の天洋食品(中国河北省)が中国国内で回収した冷凍ギョーザが流通、これを食べた中国人が有機リン系殺虫剤「メタミドホス」による中毒症状を訴えていたことが分かった。日本の関係筋が六日、明らかにした。中国外務省は同日、共同通信の書面質問に「中国国内で六月中旬に中毒事件が起きていた」と回答、中毒発生を認めた。

 中国側はこれまで「中国国内での混入の可能性は極めて低い」と主張してきたが、日本に輸出されていないギョーザからメタミドホスが検出されたことで、殺虫剤は中国で混入したことが確定的になった。

 書面質問は「天洋食品が回収した冷凍ギョーザで、六月中旬、中国国内で中毒事件が起きたか」との内容で、中国外務省は「中国政府は事件を極めて重視している。公安省が全力を挙げて捜査している」と表明した。

 日本側は外交ルートを通じ、中国側に事実関係の確認を要請する方針。首相周辺は「日本国内での混入の可能性は極めて低いと中国政府には伝えた。あとは中国がどう判断するかだ」と述べた。

 中国側は経緯を、七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)前に外交ルートを通じて日本政府に連絡したが、政府は公表していなかった。

 関係筋によると、中国国内で今年六月、天洋食品がいったん回収した冷凍ギョーザの一部を食べた中国人が、有機リン系殺虫剤によるとみられる中毒症状を訴えた。その後の調査でメタミドホスが検出され、原因と断定されたという。

 天洋食品製ギョーザをめぐり、千葉、兵庫両県で三家族計十人が食後に中毒症状を訴えたことが、今年一月末に表面化。警察庁は二月、鑑定や実験の結果、メタミドホスは日本で製造されたものではなく、中国の製造段階で混入されたことが確定的との捜査結果を中国公安省に伝えていた。

ギョーザ中毒で被害補償 生協連とジェイティフーズ

2008/06/13 中国新聞ニュース

 中国製ギョーザ中毒事件で被害に遭った千葉県の二家族に対し、冷凍ギョーザを販売した日本生活協同組合連合会(日本生協連)と輸入元のジェイティフーズ(東京)が補償金を支払うことで合意したことが十三日、分かった。

 日本生協連とジェイティフーズによると、千葉市の家族とは四月下旬、市川市の家族とは六月上旬に合意。入院・治療費、休業補償、慰謝料などが含まれているが、額は明らかにしていない。

 生協連は「納得していただけてよかった。再発防止策を徹底したい」とコメント。ジェイティフーズは「中毒を起こしたご家族以外でも、健康被害を申し出た方々に誠実に対応していきたい」としている。

 冷凍ギョーザは中国・天洋食品が製造。ジェイティフーズが輸入、生協連が販売した「CO・OP手作り餃子」を食べた千葉市の家族二人と市川市の家族五人が中毒となり、市川市の五人のうち女児(6)は一時、重体となった。

 輸入元までが同じ「中華deごちそうひとくち餃子」を食べた兵庫県高砂市の家族三人も同様に発症。ジェイティフーズが現在、補償交渉を進めているという。

残留基準の4万4000倍検出 兵庫の中国製ギョーザ

2008/05/29 中国新聞ニュース

 中国製ギョーザ中毒事件で、兵庫県警の捜査本部は二十九日、被害に遭った同県高砂市の家族三人が食べたギョーザのトレーに残っていた具から、約一万三千二百ppmの高濃度の有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出されたと発表した。

 ニラの残留農薬基準の約四万四千倍に当たり、捜査本部は、意図的に混入されたとみている。

 同様の被害に遭った千葉市の主婦宅に残っていたギョーザの皮からは、約十万三千倍に当たる最大約三万ppm超のメタミドホスが検出されている。

 捜査本部によると、トレーの端などに計約一ミリグラムの具が付着しており、警察庁科学警察研究所が鑑定した。

 高砂市の家族三人は一月五日夕、中国・天洋食品製の「中華deごちそうひとくち餃子」(二十個入り)を食べ、嘔吐おうとや下痢などの中毒症状を起こした。トレーとパッケージには数ミリ大の穴が一つずつ開いていた。

残留基準の10万3千倍検出 メタミドホス、最高濃度

2008年05月15日 中国新聞ニュース

 中国製ギョーザ中毒事件で、千葉県警は15日、被害に遭った千葉市の主婦(37)宅に残っていた調理済みギョーザの皮から、ニラの残留農薬基準の約10万3000倍に相当する高濃度のメタミドホスを検出したと発表した。最大で3万ppmを超え、同事件では最高の濃度。

 県警は鑑定や国内流通経路の割り出しなど一連の捜査をほぼ終了した。濃度の高さから、残留農薬の可能性をあらためて否定、「国内で混入した可能性は極めて低い。今後は中国側の出方を見守りたい」と述べた。

 調べでは、調理済みギョーザ17個のうち、皮1グラムから最大で約31・13ミリグラム(31130ppm)、具から同約16・62ミリグラム(16620ppm)を検出。1個当たりの含有量は最大で約290ミリグラムと推定した。

 県警は推定含有量から、体重60キロの成人が最も高い濃度のメタミドホスが検出されたギョーザを4個食べた場合、死亡する可能性が高いとしている。

中国野菜の3月輸入44%減 ニンニク価格は2倍に

2008年04月07日 中国新聞ニュース

 農林水産省が7日発表した植物検疫統計(速報)によると、3月(2−29日)の中国産野菜の輸入量は前年同期比44・5%減となり、1月に発覚した中国製ギョーザ中毒事件の影響が続いていることを示した。品薄感を背景に、ニンニクの価格が卸売市場で2倍に急騰するなど、一部の野菜が値上がりしている。

 中国産野菜の3月の輸入量は2万4680トン。主要品目のタマネギ、ショウガ、ネギ、ニンニクなどが軒並み前年同期より減少した。

 週間の輸入量は第3週まで5000トン台で推移していたが、第4週は8035トンに増え、回復の兆しも出ている。

 農水省がまとめた東京都中央卸売市場での野菜価格(3月下旬平均、1キロ当たり)は、中国産への依存度が高いニンニクが844円と前年同期の430円に比べて2倍近く上昇し、ショウガも3割値上がりした。農水省は「値上がりは(中国産野菜の)輸入の減少が原因」とみている。

残留基準の6万4千倍検出 被害者宅の未調理ギョーザ

2008/03/31 中国新聞ニュース

 中国製ギョーザ中毒事件で千葉県警は三十一日、被害に遭った千葉市の主婦(37)宅に残っていた未調理のギョーザの皮と具から検出された有機リン系殺虫剤「メタミドホス」の濃度が最大で約二万ppmの高濃度だったと発表した。ニラの残留農薬基準の約六万四千倍に当たるという。

 県警は「ギョーザ作りから袋詰めの過程で混入した可能性がある」としている。

 主婦と二女(3)は昨年十二月二十八日夕、中国・天洋食品製の「CO・OP手作り餃子」(昨年十月二十日製造)を調理して食べ、嘔吐(おうと)や下痢の中毒症状を訴えた。二人は搬送され主婦が一時入院。二人は現在、回復している。

 製造日が同じギョーザを食べた同県市川市の母子五人のケースについては、県警が今年三月十三日、子どもが吐き出した皮と具から三○○○ppm以上の高濃度のメタミドホスを検出したことを明らかにしている。

対日食品輸出の停止広がる 中国、検査強化が影響

2008/03/10 中国新聞ニュース

 中国製ギョーザ中毒事件の影響で、日本向けの食品輸出が停止する動きが中国で広がっている。再発を恐れる検疫当局が検査を大幅強化したことが直接の理由だが、現地の関係者の間では「当局は北京五輪を控えて食品の安全問題に敏感になっており、しばらく輸出を抑制したいのではないか」との見方も出ている。輸出停止が長引けば、日本で一部食品が販売できなくなる恐れがある。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)は「中国全土で日本向けの食品輸出が停滞しつつある」と指摘する。これまで輸出停止は、問題のギョーザを出荷した天津港など北部で目立っていたが、「江蘇省でも事実上ストップ」(同)するなど南部にも拡大している。

 日本の農林水産省の植物検疫統計(速報)によると、二月の第一週から第三週までの中国産野菜の輸入量は前年同期比39・7%減。中国から出荷ができなくなっていることが響いたようだ。

 最も注目されるのは、日本向け食品輸出の最大の拠点である山東省の動向だ。農業が盛んな地域で、日系商社が中国企業と提携して経営する大規模な農場も広がっている。日本への輸出は農作物だけでなく、魚のフライなど冷凍食品も多い。

 同省青島のジェトロ青島事務所によると、省内で日本向け食品輸出の多くが停止している。菓子など一部は輸出が続いているが、検査時間が従来の二倍に延びた。同省検疫当局は三月上旬に輸出食品の検査を十月まで強化する方針を発表しており、「輸出停止の長期化」(同事務所)が懸念される。

 日本側の問い合わせに対し中国検疫当局は「検査が終われば順次出荷を認める」と回答している。ただ、ある水産加工品メーカーは「検疫当局から、検査を依頼しないでほしいと電話で伝えられた」と明かす。検査が受けられなければ、輸出はできない。

 こうした中国側の姿勢について、現地の日系企業の間では「慌てて検査を強化したので、機械など十分な態勢が整っていない」との見方がある。一方で「日本の消費者らが中国製食品への批判を強めたことに反発し、事実上の検査拒否で輸出を抑制している」との分析も出ている。

 一方、山東省で日本向けの貝を養殖している日系業者は、輸出が完全に止まり、中国国内向けの販売を模索中。カップラーメンの具を生産するメーカーは「一部の材料が輸出できなければ、日本でラーメンそのものが製造できない恐れがある」と話す。

 ジェトロ青島事務所は輸出停止に伴い「一部日系企業の運転資金の不足や撤退が懸念される」と指摘、日本の台所を支えてきた中国での食品生産システムが危機に直面していると警鐘を鳴らしている。(上海、共同=番場恭治)

中国での殺虫剤混入を否定 河北省の副省長

2008年03月06日 中国新聞ニュース

 【北京6日共同】中国製ギョーザ中毒事件で、製造元の天洋食品がある中国河北省の付志方・副省長は6日、北京市内のホテルで記者会見し、原因となった有機リン系殺虫剤メタミドホスの混入について「中国国内で発生した可能性は既に排除した」と述べた。

 中国公安省幹部が先月28日に北京で記者会見し、中国での混入の可能性は「極めて低い」としていたが、河北省の幹部がさらに踏み込んだ表現で混入を否定した形。ただ、副省長は混入を否定する具体的な根拠などは示さなかった。

 副省長は「事件を重視しており、省としても包み隠さず念入りに調査した」と強調。その上で「天洋食品の(製品の)品質や、残留農薬の問題でなく個別案件だ」と述べた。また「日本側も中国と協力を強め、客観的にこの問題を調査してほしい」と注文を付けた。

中国公安、国内混入を否定 日本警察に「深い遺憾」

2008/02/28 中国新聞ニュース

 【北京28日共同=渡辺陽介】中国製ギョーザ中毒事件で、中国公安省刑事偵査局の余新民よ・しんみん副局長は二十八日に北京で記者会見し、事件は残留農薬が原因でなく「人為的な個別事件」と断定し、問題の殺虫剤メタミドホスが「中国内で混入された可能性は極めて低い」と強調。現時点で容疑者は浮かんでいないことを明らかにした。また、日本の警察当局に、流通など日本側の現場への立ち会いや物証の確認などを申し入れたが同意を得られていないとし「深い遺憾」を表明した。

 同事件に絡み、公安省幹部が記者会見するのは初めて。中国公安側が中国内での混入の可能性を公開の席で否定、さらに日本の捜査当局への強い不満を表明したことで事件解明は袋小路に入る可能性が出てきた。

 事件では日本の警察当局は殺虫剤は中国側で混入された可能性が高いと判断。さらに、中国公安当局との協力が捜査進展の鍵を握ると期待していた。

 余副局長は、工場の従業員ら五十五人を聴取したこれまでの捜査の過程で「疑わしい人物は見つかっていない」と述べ、原材料や生産、輸送過程でも異常はなかったとした。

 封印されたギョーザの袋の内部からメタミドホスが検出されたことなどを根拠に、日本側が日本国内の混入の可能性は低いとしていることについても、中国側は独自の実験を行い「封印されたままでも袋内への混入があり得る結果を得た」と反論。また、日本側が成分分析からメタミドホスが「国外製造」とみていることにも反発を示した。

 余副局長は、中国国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠ぎ・でんちゅう副総局長らと共同会見した。

「看過できぬ」と反論 中国側会見に警察庁長官

2008/02/28 中国新聞ニュース

 中国公安省幹部がギョーザ中毒事件の物証提供をめぐり警察庁の対応を批判したことに対し、警察庁の吉村博人よしむら・ひろと長官は二十八日午後の記者会見で「看過できない部分がある。公安省側に役立つ資料はすべて渡しており、『遺憾』と言われるのは理解できない」と反論した。

 吉村長官は、公安省側から殺虫剤メタミドホスが入ったギョーザや袋の提供の申し出があったことを明らかにし「証拠物は刑事訴訟法に基づき押収手続きを取っており、軽々に渡せない」と指摘。一方で「容疑者を特定、立件する上で公安省側から要請があれば、提供するのにやぶさかではない」と語った。

 さらに「流通経路の資料や科学警察研究所(科警研)が作成した袋の浸透実験の結果、袋の穴を撮影した写真などは渡している」と主張した。

 科警研の実験では、外部から袋の中にメタミドホスが浸透する可能性がないことが判明、警察庁はギョーザの製造過程で殺虫剤が混入したとみている。

 中国公安省は記者会見で、浸透の可能性があるとの見解を示したが、吉村長官は「いきなり(会見で)出してくるのはいかがなものか」と不快感を表明。今後、中国側に浸透実験のデータを示すよう求めるという。

 また警察庁側は河北省で起きたメタミドホスを使ったとされる殺人、傷害事件に関する分析データと、ギョーザ製造工場の防犯カメラの位置などに関する資料を求めていることを明かした上で「全く先方から提供がない」と述べた。

全中国加工食品を販売中止 25日からCO・OPとやま

2008/02/23 中国新聞ニュース

 生活協同組合「CO・OPとやま」(富山市、渡辺美和子わたなべ・みわこ理事長)は二十二日、中国で加工されたすべての食品について、二十五日から販売を取りやめることを決めたと発表した。

 同組合によると、対象となるのは「豚角煮入りちまき」など約六十種類で、ほとんどが冷凍食品だが、「ミニパック緑豆春雨」など冷凍食品以外も含まれる。

 ギョーザの問題が発生して以降、組合は中国製の食品の取り扱いを減らしてきたが、その後も中国製品から農薬が検出される例が相次いでいることから、組合員の信頼に応えるため急きょ決定したとしている。

 ただ原材料が中国でも、加工が中国以外の製品は安全性が確保されるとして対象外にした。

 渡辺理事長は「中国加工の全食品の扱いをやめるのは全国の生協でも珍しいと聞いている」と話している。

 同組合は約六万人が加入する中規模の生活協同組合。

日本、生鮮食品で中国離れ 「農民、金のためなら安全軽視」

2008/02/20 FujiSankei Business i.

 ■山東省の野菜・江蘇省のハマグリ出荷減

 中国製ギョーザ中毒事件の影響で、中国産の野菜や魚介類など生鮮食料品の対日輸出が大きく落ち込む見通しだ。輸送距離の近さと低コストを武器に成長してきた中国山東省の生鮮野菜や江蘇省のハマグリなどで、出荷量の減少が目立ち始めている。農薬など毒物混入問題は“底なし”の様相で、日本の消費者の中国離れがどこまで拡大するか、日中の食品関係者は戦々恐々としている。(藤沢志穂子)

 ≪「ギューザ」影響≫

 山東省は中国の生鮮野菜の対日輸出拠点。隣接する河南省、河北省を合わた3省で中国の第一次産業のGDP(国内総生産)で、全体の約3割を担う。日本が最大の輸出先で葉もの野菜からゴボウ、ショウガなど幅広い品種を出荷している。

 しかしすでに、2006年5月に日本政府が残留農薬に関する規制を強化する制度(ポジティブリスト)を施行し検疫を強化。中国税関統計によると、ギョーザ事件発覚前の昨年1〜10月に、日本向け生鮮野菜輸出は前年同期比で4・23%の減少となっていた。ネギなど一部品目で、中国側が輸出を自主規制した。

 山東省からの今年の対日輸出は、「前年より間違いなく減る」(みずほ総合研究所の酒向浩二主任研究員)とされる。

 みずほ総研では、こうした動きはギョーザ問題のみならず中国の社会保障制度の不備という構造問題が背景にあると指摘する。みずほ総研が昨年10月の調査で、山東省の政府系シンクタンク幹部は、「農民は現金収入を得るため、安全面を軽視してでも生産拡大を図る傾向がある。日本で使用禁止となっている農薬も使用し続けている」と指摘。対策として「副省長を食品安全問題担当に任命し、農薬検査測定器を大幅に導入している最中で、地域の農作物検査センターの管理体制も強化中」と話したという。

 ≪魚介類に飛び火≫

 一方、輸出品だけでなく山東省を起点に、日本企業が中国国内での販売をめざし、野菜やハウス果物などの有機栽培農園事業に取り組み始めている。酒向主任研究員は中国人の消費レベルの向上と今回の農薬問題を契機に、中国内でも食品安全への関心が高まる可能性が大きいとみている。

 またギョーザ中毒問題は魚介類にも飛び火している。江蘇省南通市のハマグリ業者は、3月に最盛期を迎えるハマグリの対日輸出量が約3割減少すると見込んでいる。

 日本で消費するハマグリの多くは中国からの輸入に頼っている。しかし事件後に中国産の魚介類を敬遠する日本の輸入業者が急増。江蘇省の水産加工食品会社への注文が激減しているという。

 中国に進出した日系食品メーカーの間で、事件の影響で輸出が少なくとも1〜3割減るという見方が多い。ただ、大手食品メーカーの担当者は日本のコスト高や農水産業の後継者不足から、「日本では食材も十分に調達できず、日本に生産が戻ることはないだろう」と話し、事件の影響は一時的なものにとどまる、との見方を示している。

人為的混入の形跡なし ギョーザ事件で中国当局

2008年02月13日 中国新聞ニュース

 【北京13日共同】中国製ギョーザ中毒事件で、中国国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠副総局長は13日北京で記者会見し、河北省公安当局のこれまでの捜査では、同省石家荘市の製造元「天洋食品」工場の生産過程で殺虫剤を「人為的」に混入させた形跡は見つかっていないと述べた。

 副総局長は中国公安当局が専門家を動員し、工場の各生産過程を捜査中だと説明。中国公安と日本の警察当局との協力に前向き姿勢を示すとともに、事件解明のため日中両政府による共同調査チームをつくりたいとの意向を表明した。

 同総局が公の場で事件について説明するのは今月6日以来となる。事件に関する中国政府の記者会見は12日までの春節(旧正月)休みが明けてから初めて。

 副総局長は天洋食品について「原料から生産、加工、運搬、輸出に至る過程で異常はない」と述べるとともに「加工から輸出に至るまで人為的な破壊行為の可能性はほとんどない」と強調。ただ「すべての調査が終わるまであらゆる可能性がある」と含みを残した。

密封でも中国とは限らず ギョーザ事件で中国検疫当局

2008年02月13日 中国新聞ニュース

 【北京13日共同】中国国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠副総局長は13日の会見で「密封されたギョーザ製品の袋から(殺虫剤)メタミドホスが検出されたから、生産過程で混入したと考えるのは単純すぎる」と述べ、中国の工場で混入されたとの断定的な見方に反発した。

 副総局長は「袋を開封してまた密封することは、ハイテクなど使わなくても普通の人でもできる」と指摘。密閉された袋から検出されたことは生産過程で混入したとの結論には結び付かず「一つの推測にすぎない」と述べた。

 町村信孝官房長官は8日、密封されていた袋の内側から殺虫剤が検出されたことを受け、中国側で混入したと考えるのが自然との認識を示していた。

袋詰め以前に殺虫剤混入か 密封パッケージ内側で検出

2008/02/07 中国新聞ニュース

 中国製ギョーザ中毒事件で、兵庫県警などの共同捜査本部は七日、大阪府枚方市のスーパー「ハッピース枚方」から回収したギョーザ二袋から新たに有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を検出したと発表した。

 二袋とも中国・天洋食品の「中華deごちそうひとくち餃子」で、うち一袋はパッケージの外側と内側から検出されたが、穴も傷もなかった。ギョーザからは検出されなかった。

 警察が開封するまで密封されていた袋の内側からの検出は初で、中国での袋詰め以前に混入した疑いが浮上した。

 もう一袋は、パッケージ外側からのみメタミドホスが検出し、正面左下に約〇・二ミリの穴が開いていた。ギョーザは汚染されていなかった。

 二袋は「表面がベタベタする」として東京の食品商社「双日食料」に返却された計十一袋の一部。民間の検査機関に保管されていたものを県警が押収し鑑定した。

輸送過程に異常なし 中国公安当局が確認

2008年02月07日 中国新聞ニュース

 【天津7日共同】中国製ギョーザ中毒事件で、中毒を引き起こしたギョーザを積んだコンテナは河北省石家荘の天洋食品の工場を出発後、途中で開封されることなく天津港に到着、船積みされていたことが中国の公安当局の7日までの捜査で確認された。捜査状況に詳しい中国の公安関係者が明らかにした。

 中国の公安当局が国内の輸送経路を綿密に捜査、問題がなかったことが判明したことで、殺虫剤の混入は工場出荷前の可能性が高まった。

 公安関係者によると、捜査の結果、天津港に到着した際、コンテナの扉は封印されたままの状態で、船積みされるまでの過程でも開封されることはなかった。工場から天津港までのトラック輸送についても「異常はなかった」という。

 これらの捜査結果を受けて公安関係者は、日本側での事件でないと仮定した場合、「中国の工場内で(中毒の原因となった有機リン系殺虫剤の)メタミドホスが人為的に混入された可能性が高いのではないか」と指摘した。

早期解決で一致 ギョーザ中毒、政府調査団が中国と協議

2008/02/05 中国新聞ニュース

 【石家荘(中国河北省)5日共同】中国製ギョーザ中毒事件で、北京に派遣された日本政府の調査チームは五日午前、食品安全部門を主管する中国の国家品質監督検査検疫総局を訪れ、王大寧・輸出入食品安全局長らと協議、双方が協力し早期解決を目指す考えで一致した。

 一行は午後、冷凍ギョーザの製造元、天洋食品工場がある河北省石家荘市を訪れ、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」混入の原因究明に向け、河北省の検疫当局と協議した。天洋食品工場を視察し、河北省政府とも意見を交わす。

 王局長はあいさつで「(中国は)よく協力し、問題の事実を早くはっきりさせるように努める」と表明。日本側調査チームの原嶋耐治・内閣府消費者企画課長は「日中双方が協力して迅速に解決を図ることが重要と考えている」と応じた。

 調査チームは原嶋課長を団長に、外務、厚生労働、農林水産の各省担当者の計四人で構成。

 河北省の検疫当局はこれまで、昨年十月一日と同二十日に製造され中毒を起こしたギョーザの保存サンプルを検査した結果、メタミドホスは検出されなかったと発表。工場の原料購入や生産加工、貯蔵輸送の記録を調べたが不審な点はなかったとしていた。

 天洋食品は一九九四年八月に輸出食品生産加工企業として登録。ギョーザのほか、くし焼きなど日本向け加工食品を生産している。中毒が発覚してからは生産を中止、出荷途中の製品は工場に戻ってきているという。

 一方、警察庁は五日、殺虫剤が中国国内で出荷前に混入された疑いもあるとして、中国公安当局との捜査共助に向けた調整を始めた。

 警察庁は同日、千葉、兵庫両県警幹部らを集めた初の合同捜査会議を開催。米田壮刑事局長は「予断を抱くものではないが、日中両国にまたがる問題」との認識を示した。

 日中両国は昨年十二月、日中刑事共助条約に署名しているが、国会での批准を済ませていないため捜査当局同士による直接のやりとりはできず、外交ルートを通じて捜査共助を行う。

別の殺虫剤成分を検出 昨年6月製造のギョーザ

2008/02/05 中国新聞ニュース

 中国製ギョーザ中毒事件で、日本生活協同組合連合会は五日、天洋食品が昨年六月三日に製造した「CO・OP手作り餃子」の皮の部分から、有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が検出されたと発表した。

 成分濃度は皮の部分から一一○ppm、全量で一○ppmで、ギョーザ二個を食べると健康に影響が出る恐れがあるレベルだという。

 日本生協連によると、昨年十一月、福島県のコープあいづプラザ店の職員が「オイルのようなにおいがきつくて食べられない」とコープあいづに連絡。同店で同じ製造日の在庫を調べたところ異臭が確認されたほか、同県の若松店でも同じ商品に異臭があり、コープあいづは同商品をすべて引き揚げた。健康被害はなかった。

工場で毒物使用可能性 元従業員証言「ネズミ駆除用に」

2008年02月02日 中日新聞

 【石家荘(中国河北省)=共同】日本で中毒を起こしたギョーザを製造した中国河北省石家荘市の食品会社「天洋食品」の元従業員2人が2日、匿名で共同通信の取材に応じ、衛生管理が厳重だったとする一方、施設内にはネズミがいるため殺そ剤と併用することがある「ネズミ捕り用テープが床に張られていた」と証言、何らかの毒物を工場内で使っていた可能性は否定しなかった。

 中国では、今回日本で検出され問題となった有機リン系殺虫剤(農薬)「メタミドホス」を殺そ剤として使うことがあるが、工場内で見たことはなかったという。警察を含めたこれまでの調査でも、工場の敷地内から発見されていない。

 また現在、事務職員を除く工場従業員は全員、原因調査とマスコミ対策のため宿舎に缶詰め状態にされ、外出禁止となっているという。

 取材に応じたのは、半年前に辞めた男性(19)と約2年前に辞めた女性(46)。いずれも工場の近所の住民で、男性の姉は今も同社で勤務している。

 2人の話を総合すると、ギョーザ製造は1班約30人で、皮の原料の小麦粉をこねる作業から素材の細断、具を皮で包む作業、冷凍、エックス線による混入物チェック、包装など流れ作業で約16工程あった。作業に入る際はマスクや帽子のほか、まゆ毛やまつげが落ちないようメガネも掛けるなど衛生管理は厳重だった。

 施設の一部の床にネズミ駆除のため粘着質のテープを使用しており、このテープは上に誘食性のある殺そ剤をまいたりするという。

 中国では労働者の権利を強化する労働契約法の今年1月からの施行に伴い労働争議が各地で起きており、今回の事件も労使間対立が背景にあるとの見方もあるが、同工場では激しく対立するような争議はなかった。ただ女性によると、1月から45歳以上の従業員は事実上、大量解雇された。

中国では死亡例も、餃子から検出「メタミドホス」

2008.1.31 MSN産経新聞

 中国製ギョーザ中毒事件で、検出された有機リン系殺虫剤「メタミドホス」による事故などが中国で近年相次ぎ、今年も被害が出たほか、2004(平成16)年には死者も出ていたことが分かった。

 中国メディアによると、今年1月11日、広東省仏山市でスープ料理を食べた農家の4人が中毒症状を起こし、うち2人が重症となった。スープの中に入った木の実に、約10日前にメタミドホスが噴霧されていたため、残留農薬が中毒を引き起こしたとみられている。

 昨年12月17日には、雲南省瀘西県で祝い事の際、もち米でつくった団子を食べた住民23人が吐き気などの症状に襲われ、3人が重症となった。団子にメタミドホスが混入したことが原因だった。

 04年3月と4月には、四川省で誤って調味料として食品に混入したメタミドホスを食べた農民12人が中毒を起こし、2人が死亡。同省衛生庁は同4月、注意を呼び掛ける通達を出した。

 広東省の電子部品工場では03年5月、メタミドホスの混入した食品を食べた工員ら102人が中毒症状を起こしている。

 中国農業省などは昨年1月1日以降、メタミドホスの中国国内での使用、販売を全面的に禁止する通達を出しているが、今年の広東省と昨年12月の雲南省のケースは通達後に発生し、使用禁止は徹底されていない。(共同)

中国製ギョーザ問題、きょうの主な動き(21時50分現在)

2008/01/31 中国新聞ニュース

 ▽マルハも回収

 マルハは三十一日、中国製ギョーザの食中毒を受け、問題を起こした中国の同じ工場から原料を調達していたとして、レトルト食品二商品を自主回収すると発表した。

 ▽回収対象に2商品追加 加ト吉

 加ト吉は三十一日、中国製ギョーザの中毒に関連して自主回収する商品を、二商品追加したと発表した。

 ▽すかいらーくは中国食品を使用中止

 外食大手のすかいらーくは三十一日、中国で最終加工された食品を、グループの主な外食店で使用中止にすることを決めた。

 ▽サンプル調査で農薬検出されず

 【北京31日共同】中国製ギョーザによる中毒で、中国外務省の劉建超報道局長は三十一日、製造工場が昨年十月に使用した原料のサンプル調査の結果、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」は検出されなかったと述べた。

 ▽中毒調査で専門家訪日へ

 【北京31日共同】中国外務省の劉建超報道局長は、中国製ギョーザの中毒調査のため、国家品質監督検査検疫総局の専門家が近く訪日することを明らかにした。

 ▽成田で輸入自粛要請

 中国製ギョーザによる中毒で、厚生労働省成田空港検疫所は三十一日、成田空港で食品輸入を扱う通関業者や倉庫業者計約百社を通じ、中国・天洋食品からの輸入を自粛するよう輸入元に呼び掛けた。

 ▽「原因把握できず」 双日食料幹部語る

 【北京31日共同】中国製ギョーザによる中毒問題で、北京に到着した食品商社、双日食料幹部は三十一日、原因などについて「まったく把握できていない。一刻も早く現地に入り、原因を究明したい」と語った。

 ▽健康被害、東京は13人

 東京都は三十一日、都内で十三人から冷凍ギョーザが原因とみられる健康被害の訴えがあったことを明らかにした。

 ▽煮沸牛肉に金属粉

 中国製ギョーザによる中毒問題で、昨年十一月製造元の中国・河北省の「天洋食品」から輸入した煮沸牛肉に金属粉が混入していたことが三十一日、輸入元の「東海澱粉」の調査で分かった。

 ▽東京で13人が症状訴え 下痢や嘔吐

 東京都福祉保健局は三十一日、中国製の冷凍ギョーザが原因と疑われる健康被害を調査した結果、都内で十件、計十三人から下痢や嘔吐などの訴えがあったと発表した。入院者はなく、いずれも軽症とみている。

 保健所に届け出があった事例をまとめた。いずれも正月前後から一月三十日にかけて発症した。ギョーザはすべてジェイティフーズが輸入した商品で、うち九件の計十二人が自主回収の対象となった商品を食べたという。今月十七日ごろに食べた葛飾区の一人は医師による治療を受け、現在も症状が続いているという。

 四件については食べ残した商品があり、都が回収して成分検査する。

 ▽食べ残しから殺虫剤

 中国製ギョーザによる中毒で、生活協同組合連合会コープネット事業連合は三十一日、千葉市の被害者から回収したギョーザの第三者機関検査で、有機リン系の殺虫剤「メタミドホス」を検出したことを明らかにした。

 ▽千葉県と千葉市で42人不調

 千葉県と千葉市は三十一日、中国製ギョーザなどの回収対象商品を食べて体調が悪くなったとの訴えが計四十二人からあったと発表した。うち県発表分の三十七人は入院に至らず、いずれも回復している。

 ▽大丸、中国の食品販売中止

 大手百貨店の大丸は三十一日、中国製冷凍ギョーザの食中毒に絡み、全国の店舗で中国の冷凍食品や野菜、果物の販売を中止した。

 ▽千葉・船橋市で7人不調

 千葉県船橋市は三十一日、回収対象商品となっている中国製ギョーザなどを食べて体調が悪くなったとの訴えが七人からあったことを明らかにした。県全体での訴えは計四十九人となった。

 ▽体調不調400人超える

 中国製ギョーザによる中毒に関連し、各地で体調不良を訴えた人は三十一日午後八時現在の共同通信の集計で四百人を超えた。

▽秋田でも給食に回収食品

 中国製ギョーザによる中毒で、秋田県では湯沢市など計七市町村で、学校給食に回収対象となっているロールキャベツやポークピカタなどを使用し、のべ約一万一千五百人が食べていたことが三十一日、分かった。いずれも健康被害はなかったという。

▽給食に使用しないように通知 文科省

 中国製ギョーザによる中毒で、文部科学省は三十一日、厚生労働省が販売中止や輸入自粛を求めた食品について、子どもの安全確保のため給食への使用を控えるよう、都道府県や政令市の教育委員会などに通知した。

 栃木県などで回収対象となったロールキャベツなどを使っていたことが判明したことを受け、各教委にあらためて調査を依頼。昨年十一月以降、食品を使用したことがあるかや健康被害が発生したかを、二月四日までに報告することも求めた。

▽石川の女性、中毒症状ない

 中国製ギョーザによる中毒で、石川県食品安全対策室は三十一日、「自主回収対象のロールキャベツを食べた後、気分が悪くなった」と三十日夜に県内の女性から寄せられた相談について、「有機リン系の中毒症状ではない」として、健康被害には該当しないとした。

▽回収ギョーザで殺虫剤検出

 中国製ギョーザによる中毒で、生活協同組合連合会コープネット事業連合(さいたま市)は三十一日、千葉市稲毛区の被害者から回収したギョーザを第三者機関で検査した結果、有機リン系の殺虫剤「メタミドホス」が検出されたことを明らかにした。

天洋食品製品の販売中止へ 症状は全国74人に拡大

2008/01/31 中国新聞ニュース

▽中国当局は製造元を調査

 中国製ギョーザによる中毒で、厚生労働省は三十一日、全都道府県に同様の事例の報告を指示するとともに、製造元の中国・河北省の「天洋食品」からギョーザ以外の食品を輸入していた計十九社の社名と品名を公表、自治体を通じて各社に販売中止を要請した。

 同日夕までの共同通信の集計で、新たに十七都道府県の計五十七人が中国製ギョーザなどを食べて体調不良を訴え各自治体に届けた。三十日に中毒が判明した千葉、兵庫両県の十人と各地で不調を訴えた七人を加えると、症状を訴えたのは二十都道府県計七十四人となった。

 舛添要一厚労相は「冷蔵庫を見て、(回収対象の商品は)絶対に口にしないでほしい」と呼び掛けた。中国食材への不安が広がり、外食産業や学校給食でも食材を控える動きが出た。

 一方、中国の国家品質監督検査検疫総局は三十日夜、天洋食品の工場の調査を開始。近く専門家が来日する。中国外務省は三十一日、同工場による昨年の原料の調査で農薬は検出されなかったと発表した。

 集計によると、体調不良の届け出が三十一日判明したのは北海道、青森、福島、埼玉、神奈川、東京、静岡、石川、愛知、京都、大阪、兵庫、高知、香川、福岡、長崎、沖縄の十七都道府県の計五十七人。

 厚労省によると、千葉と兵庫の患者の食べ残しなどからは有機リン系の殺虫剤「メタミドホス」が検出されており、同省は混入の原因が判明し次第、検査体制の見直しなど再発防止策を検討する。

 同省は今回の中毒について(1)一部の商品だけに殺虫剤が混入した可能性がある(2)患者の症状から殺虫剤はかなり高濃度―など、通常の食中毒としては不自然な点があるとみている。

 また殺虫剤がギョーザの包装内部からも検出されており、厚労省は製造や包装過程で混入した可能性もあるとみている。

 政府は関係閣僚会議を開催。連携して被害拡大防止や原因究明を進めることを確認した。

 厚労省が公表した十九社以外に、マルハと日本ハム、日本食研も三十一日、天洋食品でつくった原料を使用していたとして商品を自主回収すると発表した。

◇        ◇

 ▽食品自主回収の動き広がる マルハ、日ハム、日本食研

 マルハは三十一日、中国製ギョーザによる中毒に絡み、問題を起こした中国の「天洋食品」で製造された原料を使ったレトルト食品二商品を自主回収すると発表した。

 同じ理由で、日本ハムは業務用に販売しているソーセージと豚バラぐし、日本食研(愛媛県今治市)も業務用商品「アスパラベーコン巻」の回収に乗り出すなど、食品業界で自主回収の動きが広がった。

 いずれも健康被害は確認されていないが、各社は「食の安全性を確保するために、念のため回収する」と説明している。

 マルハが回収するのは「金のどんぶり お手軽一品!牛丼 110g」と「金のどんぶり 牛たま丼 180g」。天洋食品で製造された牛肉を、商社の松田産業(東京)を通じて購入し、国内でレトルト食品に加工している。

 日本ハムは回収対象となるソーセージ月約三トン、豚バラぐし月約一トンを卸売業者に販売していた。日本食研の「アスパラベーコン巻」は、首都圏から中部のスーパーや外食企業など九十一社に昨年十一月から卸し、約百十二ケース(二万二千四百個)を販売した。

 また加ト吉は、回収対象に業務用の「豚ロースと白ねぎ串カツ」など二商品を追加、計二十商品とした。

 マルハの問い合わせ先はフリーダイヤル(0120)170811。日本ハムと日本食研は取引先と個別に連絡を取り対応するとしている。

◇        ◇

 ▽カネテツも4商品回収 天洋食品の牛すじ

 カネテツデリカフーズ(神戸市)は三十一日、ギョーザによる中毒で、中国の「天洋食品」で加工した原材料を使っている四商品を、自主回収すると発表した。

 回収するのは「牛すじ串(赤身)6串」「赤身 牛すじ肉5串」「赤身 牛すじ肉3串」「穫れ処 旨牛すじ肉5串」。

 四つとも、トレーにラップを掛けた状態で、九州を除く東海地方以西で一月中旬から販売された。すべて賞味期限が二月五日までで、販売数は一万二千百五十五パック。

 カネテツは、四つの商品は食べずにカネテツへ連絡するよう消費者に呼び掛けている。問い合わせはお客さま相談室、フリーダイヤル(0120)227379。

天洋食品製の輸入自粛要請 輸入元に成田空港検疫所

2008/01/31 中国新聞ニュース

 中国製ギョーザによる中毒で、厚生労働省成田空港検疫所は三十一日、成田空港で食品輸入を扱う通関業者や倉庫業者計約百社を通じ、中国・河北省の「天洋食品」からの輸入を自粛するよう輸入元に呼び掛けた。

 検疫所が同日付で厚労省の通知を受けての措置。航空貨物で輸入される冷凍食品は非常に少ないが、検疫所は、天洋食品製の冷凍食品などが昨年、成田空港から数回輸入されているのを確認している。

 担当者は「原因が特定されるまで、さらに徹底した対応を取りたい」と話している。

「大変遺憾」と中国高官 外相、再発防止要請

2008/01/31 中国新聞ニュース

 高村正彦外相は三十一日午後、中国製ギョーザによる中毒問題をめぐり、来日した中国の何亜非外務次官補と外務省内で会談し「食の安全は国民最大の関心事だ」と述べ、原因究明と再発防止の徹底を要請した。何氏は「大変遺憾だ。被害者の方に心からお見舞いする」と、中国政府として遺憾の意を表明した。

 何氏は、中国政府が既に関係企業の輸出停止措置を講じた上で、捜査当局が原因究明に取り組んでいることを説明。今後も日本に積極的に情報提供していく考えを示した。

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