[Ozawa Rowing Top Page] [Results Index] update:2000-05-06
1 ゴミはくずかごへ,タバコは灰皿へ
当然のそのことができていない.ゴミやタバコを無神経に捨てる光景を何度も眼にした.観戦者が主であるが,時にはコーチと思しき人がタバコをポイ捨てしたり,カップラーメンの残り汁を水に流したり,中学生クルーがゴミを捨てたり.なさけない限りだ.クルーやコーチはもちろんだが,観戦する人々もそういう最低限のマナーは守れるスポーツでありたい.
2 応援団やテントのこと
2.1 応援団
応援団の声援はにぎやかであり応援風景に彩りを添える.私自身は,必ずしも「応援団」ということの発想や雰囲気に好印象を持っているわけではなく,一昔前まではとっても煩わしくnoisyな印象で受け止めていた.が最近は,たまに眼にするからか,応援団も先行き苦しいらしいという話などを聴くせいか,それなりにほほえましくけなげさを少し感じるようになった.いまどき暑苦しい学生服を見にまとい,大きな旗をはためかせ,これでもかと精一杯打ち鳴らす太鼓は,まあ貴重な伝統芸能(?)に近いものがあるかもしれない.試合のときの応援であれば,そのパフォーマンスもまあ善しとしよう.(学内や街での威圧的行動があるとすればそれは否定する).
競漕会場で多少見苦しいのは,一部の応援団に見られる場所確保の縄張り・貼紙だ.文面では一応丁寧な口調で書かれているものの,公共の場所に自分たちの都合だけで,ここは応援団の場所だからと予約宣言しておくのはいかがなものか?もっとスマートで,共感の持てるやり方はあるだろうに.応援が必要な折,スペースを見つけて,周囲の人にちょっと理解を求めて必要なスペースを裂いてもらうというやり方の方がほほえましいと思うのだが.断定的に公共の場所を予約するのはどうもいただけない.
2.2 テント
テントといえば,本格的にキャンプをしているファミリーもみかけ,(こんなところでキャンプだと車が五月蝿いのでは?と余計な心配はさておき)なかなか楽しそうで微笑ましい.大学やOB会のテントもけっこうある.そのこと自体には別に文句はまったくないのだが,しかし既設のベンチを含めて結構大きな場所を占有している例もある.ひとつ提案がある.おそらく雨が降ったときなどは,一般の観客にも良い雨宿りだし,小さな子供連れにとってはちょっとテントの下で休みたいということもあるだろう.もちろんそういうときに,「ここは俺たちのテントだから」などという了見の狭い団体はないと思うが,でも「○○大学漕艇部」とあれば気軽には入れないだろう.しかしもともと公共の場所だ.そこで「自分たちだけの場所」というのでなく,半分を一般の方々へのサービスとして張っているという積極的姿勢を示してはいかがだろう.例えばテントを二張用意して,「一般の方も,雨宿り・休憩に御利用下さい」と掲示して,お茶のサービスなど.なんて器の大きな漕艇部だ,となればそんな大学・企業へと思う気持ちも強くなる(と考えるは少々打算的か).
3 伴走など
3.1 伴走はやめませんか?
競漕規則の第59条に「伴走の禁止」がうたってあるのは御存知の通り.「競漕委員会の許可なく」という前提があるので,事前に競漕委員会や監督主将会議などで,容認(や黙認?)の方向が示されていれば別だが,クルーに沿って伴走することは一般的・基本的に認められていないはずだ.伴走禁止の理由は2つあると解釈している.ひとつは,同じ59条の「競漕中,無線装置や拡声器で,岸からクルーに助言や指示をしてはならない」とも共通するが,「スタートからゴールまでは,クルーはクルー自身で全てを判断し競漕すべきで,外部からの支援に頼ってはならない」という思想だ.(スポーツによっては,例えば野球のように試合中も監督の指示・判断が大きなウェイトを占めるものもあるがローイングはそうではない.もちろん技術的にローイングもそうすることは可能かもしれないが,少なくとも競漕規則上はそうなっていない.)「競漕中はクルー自身が全てを決める」という発想は,レース型スポーツの根源的姿勢として非常に重要であり,私はこの思想を全面的に支持する.もうひとつの理由は,危険防止であろう.実際,レースを見ながら走るのは危険であり,スピードの出る自転車ではなおさらだ.
しかし現実には伴走するコーチ,応援者は少なくないし,残念ながら私が尊敬する優秀な指導者にも伴走される方はいる.伴走する側の理由を整理してみると,岸に沿ってずっと応援したいとか,レース展開を(コーチとして)すべて見ておきたいとか,あるいは自分は伴走の時に安全に気をつけて走っているといったことだろう.確かに,充分気をつけて周囲の迷惑にならないよう配慮しているコーチも多い.その人は少なくとも事故をしないかもしれない.しかし,伴走の光景が常態化することに将来の危険が潜んでいるとしたら.あの混雑の中で,どこかの不注意な一人の応援者が自転車で小さな子供にぶつかり死亡させたとしよう(伴走禁止はおそらくそのような事態を避けるためにある).その責任は,法的にはそのぶつかった個人かもしれないが,せっかくの伴走禁止というルールがありながら,実態を看過したり,一緒に(気をつけながらも)走っていた人達,あぶないと思いながら注意の声を挙げなかった人達にも少なくとも道義的責任を感じるのではないかと思う.そうなる前に,と思うのだがいかが?
3.2 無線機で指示?
観戦時,クルーに,普通の(つまり拡声器などでない大きくない)声で具体的な細かい指示をしている自転車が一瞬通りすぎた.指導者の独り言だったと信じたいが,残念ながらこれまでの経験から,「無線機による指示では!?」と直感する,少なくとも自分が充分確信できる状況だった.無線機で陸上から指示を与えることはもちろん重大なルール違反である.確たる証拠はなく,また探すつもりもなかったが,もしそういうことをやっているコーチがあるとすれば,その人は指導者として失格である.そのようなアンフェアを強いられている選手の方がかわいそうだ.空耳だったと思いなおしたいが,その声が耳について離れない.もし,バレないからといって勝つために手段を選ばないとしたら,それはもはやスポーツではない.考え違いをしているクラブ,コーチがもしあるとすれば,ぜひ考え直してほしい.
4 棄権かレースか
あるレースに出漕予定だった1×のT君は,スタートに向かう途中,オールを杭にぶつけて折ってしまい沈,急遽別のオールの準備もがんばって見たがスタートまでは遥か遠く,とても発艇時刻には間に合いそうもない.選手自身はなんとかレースに出たいと思ったが,コーチは他のクルーに迷惑がかかるのだから棄権するようにと指示,棄権となった.別のレースで,4+のKクルーはスタート直後にストレッチャー(の固定部分が)壊れ,100mルールが適用され,1レース繰り上げの後の再スタートとなった.予定の再発艇の時刻になり,他クルーはすでに並んだが,Kクルーはまだ修復できていなかった.クルーは一度は棄権も申し出た(らしい)が,審判艇は修復できるならと再度レースを繰り下げた.再々度の発艇時刻,今度はなんとか修復できレースとなった.また別のSクルー.舵手がデッドウェイト掲示を求められたが,搭載を忘れていた.幸い艇庫が近く,クルーはすぐに取りに帰ることを認められ,スタートの遅れは比較的少ない時間で(それでも10分位は遅れただろうか?)レースとなった.
それぞれのトラブルの原因については,その時のうっかりミスというより,「操艇」能力,装置・機械に対するセンス(ケア・状況把握の能力),基本的な作業手順に対する謙虚さ,といったことの養成・トレーニングが不充分だと思った.また,発生した結果に対する処理については,ケースバイケースではあるが,「レースに出るためにベストを尽くす」という姿勢が大事ではあるものの,また「自分たちだけのレースではない」という視点もきちんと踏まえておくべきだと思う.時には要領の良さと審判の甘さに救われることがあるかもしれない.Kクルー,Sクルーの場合,審判としては,それぞれ棄権,失格としても良いかと思うが,できるだけ選手の側に立ってレースができるように,という方針に添ったものだろうと思う.しかし,審判の配慮と期待とは裏腹に,そこに残るのは,レースに対する認識の甘さだけではないかとも思う.30分以上も待たされた他のクルーは,発艇時刻の一瞬に向けて万全を尽くしてきたはずだ.そのクルーの,そういうミスをしない努力はあまり報われず,クルーに要求される水準を下げることにしかならないのではと危惧する.
5 ローイングテクニック2題
5.1 レグドライブとボディスウィングのスウィッチ
特に,ジュニア(中学生)の男子クルーの一部などに見られる傾向だが,ドライブ前半にレグドライブを強く動員させ,それがほとんど終わってからボディスウィングをする傾向が見られた.あわせて時にはひどい尻逃げ状態も散見された.これは,脚の筋群に対して上体(背筋群)がまだ充分に成長していないためか,加えてコーチの技術的な指導が,動作を単純化させてそのように漕がせているのではないかと危惧される.いずれにしても結果的に,ドライブで腰部に非常な負担をかけている状態であり,そのようなスタイルのクルーでは,腰痛の発生頻度が高いか,あるいは現在(中学生のうちに)は発生しなくても,遅効的に将来,腰部のダメージが顕在化するだろうと予想される.このようなスタイルは,一部のすでに体が充分に出来上がったトップレベルのクルーや一部の選手では耐え得る可能性があるが,しかしコンビネーションのテクニックとしても,すでに過去のものである.腰部に対するリスクが非常に大きいことを再考してほしいと思う.
5.2 女子スウィープなどに見られた別のボディワークテクニックの傾向
特に女子スイープクルーの一部などに,キャッチから上体を比較的早くスウィングさせ後傾姿勢に近い状態でレグドライブするパターンが見られた.これは背筋群の弱い漕手が脚力を有効に使うためのモーションとして,あるいはコーチによっては,体重の軽い漕手が上体を後ろに倒す力を有効に活用するイメージで,導入されたのではないかと思われる.このような動作は,前項(5.1)のモーションとは逆のパターンとして,特に腰部へのリスクが大幅に軽減できるという点では,特にジュニアクルーではある程度の評価ができる.しかしながら,そのパターンで漕ぐクルーの多くで,派生的に(しかし密接に関連して)別のふたつの問題が生じていると思う.一つは,キャッチ前のハンドルの上昇動作が過度に大きくなっていること.ハンドルの軌跡でいうと,フォワードでほぼ水平に前進し,トップで大きく上昇し,高い位置からお腹に引き下げ,全体として三角形の軌跡を描くような漕ぎ方である.このため,高い位置から非常に深いところまで潜る効率が悪く,水との関係を無視したインセンシティブ(insensitive:繊細さに欠ける)なブレードワークになっている点である.もうひとつは,上体の後傾(下降動作)の強調のために,ファイナルでの艇のピッチングおよびヒービング挙動に悪影響を与えている点である.身体的なリスクは少ないものの,これでは水をセンシティブにとらえるとか,艇速を感じるとか,よいブレードワークをするとか,特にジュニアの初期にまず養成して欲しいセンスを得られないだろうと強く感じる.
5.3 ジュニアでまず養成してほしいこと
レースを見ると,ジュニアでもその体格と比べて非常に速いなと感じるクルーがけっこうあった.それはそれで,おそらくクルーの資質とモチベーションが高く,またコーチの指導が成功しているのだろうと思えるが,同時にあまりに速く全力を使い果たすようになったクルーは,その後の「のびしろ」の芽を摘んでしまっているのではないかとちょっと怖いなと感じる.一方で,艇やオールの扱い,操艇能力,競漕規則やマナーなどといった部分では,コーチがよく指導しているなと感じられるクルーはわずかだった.特に中学生の間は,最大出力あるいは最高効率で漕ぐという部分よりは,艇やオールの扱い,操艇能力(例えば横風で艇の方向を維持するためにどうすれば良いかが,いわれなくてもできる),競漕規則の理解やマナー(例えば艇の発艇・着岸で他艇の迷惑にならないようにする等),そして技術としては,まず水の感触や艇速などをしっかり捕らえたブレードワークをするというところをまず築いてほしいと思う.そして,運動負荷とリギングは,たとえ最大艇速・最大効率を得られなくても,適切なレイト・テクニックを維持できるように設定して欲しいと思う.ジュニアでは個人差も大きいが,個々の選手を見て,競漕時に過度の負荷が生じていないかはとても重要だ.
6 リギング?
ネックにウェイトとしてかスパナなどをテープ止めしているクルーが見られた.おそらくキャッチでのブレード下降動作かスクウェアターンあたりでのことを意識してだと思われるが,オールの上下動作(リリース/エントリー)と前後の動作(ドライブ/フォワード)におけるエネルギー消費,クルーの負荷を考えると,ネックにウェイトを付加することは非常に大きなロスとなり,またブレードワークの技術レベルを向上させるためにもかえってマイナス要素が大きいと思う.特に(実際,念のため自分でもネックにウェイトをつけて漕ぎ比べたことがあるが),支点(オールロック)から遠い位置にウェイトをつかて場合,その質量のことだけでなく,モーメント(=質量×回転半径)のことを充分に考えなくてはならない.
従来,木の重いオールの時代によく言われたことは,「キャッチでのブレードエントリーは,ハンドルに掛けた腕の重さ(下向きの力)を抜きさえすれば,ブレードが自然に下がる」といったものだった.しかしオールの材質の進化(軽量化)とブレードの材質と容積の変化(軽量化のほか浮力の減少も関係する)などで,前述の技術論や水中安定性の問題については,物理的事情が変化している.もちろん,前述の技術論は,漕手の技術状態によっては(例えばひどく意識して強くハンドルを上げて水中にたたき込むような場合),今でも有効に使い得る.しかし,オールの上向きの感触を得るために,あるいはブレードが自分で水中に入るように?ネックにウェイトを付加するのは,せっかく進化したオールの機能を下げ,また漕手の技術的進化を妨げるためにメリットはないと考える.オールのブレード形状の進化(ビッグブレードなど)はある意味で漕手に要求する技術水準を下げたが,軽量化は,従来よりもより繊細な技術を要求するようになってきたとも言える.
6 OB会
エイトの観戦中,全体としてキャッチでの戻り(トップスライドから水をつかむまでのブレード軌跡のロス)が多い中で,某大学エイトは「比較的」良いブレードワークに見えた.どなたがコーチしているのだろうかと興味があったが,聴いて見ると(注:そのクラブの関係者に直接聴いた訳でないので事情は一部不正確かも知れない),そのクラブはOB(会?)と揉めたことがあってOBからは一切支援・指導は受けず,また部員はほとんどセレクションらしいとのことであった.ということは,比較的良いブレードワークは,経験がものをいっている(だけ)ということだろうか? 個々の団体で色々事情が違うだろうが,現役もやがてすぐにOBになる.良いブレードワークや強さが持続・発展するよう,良い組織が築かれることを人ごとではあるが望んでいる.
7 店だし・セミナーなど
艇や漕艇部品,ユニフォームなどを扱っている企業,クラブの店出しがある.また,瀬田RCでは恒例のコーチカンファレンス(セミナー)も開かれた.これらは,単に品物を買うというだけでなく,情報交換としても有効だ.特に若い選手には,見聞を広めるよい機会だろう.(瀬田RCによるセミナーについては,別途受講レポート掲載予定.)
会場,セミナーなどでは,何人か初対面の方とお話することができ,楽しかった.また,しばらく会っていなかった方とも久しぶりに少しだけどお話することができた.また,某大学のコーチングスタッフと飲みながら話す機会も得て楽しかった.
思うに,ローイングについての理論や技術がいくら伸展したとしても,いつの時代でも様々な思い,意見がある.現代はどちらかといえば,摩擦を避け,お互いの意見はあまり出さず,表面的な合意形成だけを尊重する傾向が見られるが,もっとお互いに思うところを出し,議論しあうことが大切だと思う.