第6章,第5項, 水中での体の反応と対策。 1,水中での体温低下と人体の反応。 水の熱伝導率は、空気の約25倍で、比熱も約4倍と大きく、冷たい水中では、空気中よりはるかに速く体温が奪われます。 深部体温が低下すると、低体温症となります。 個人差や着ているもので異なりますが、水温約15℃以下では厳重な注意が必要です。 単純化すれば、「安全時間は水温の3倍以内」と考えましょう。 例えば、10℃では、30分以内に救助可能な手立てを講じてから,乗艇すべきです。 2, 落スイ・水中での重要な4つの身体反応。 1,乾性溺スイ: 冷水が鼻の奥や喉を直撃すると、ショックで空気を吸えず窒息する「乾性溺スイ」を起こします。 足から飛び込み鼻の孔に急に水が入ると、比較的簡単に起こります。 水に入る時は、息を大きく吸い、鼻をつまみ、口を閉じてゆっくり入ります。 2,低温ショック: 冷水に入った直後、ショックのために、速くて不規則な呼吸が起きますが、これは約1〜3分で終息します。 しかし方向や平衡の感覚を失いパニックを起こす危険もあります。 落ち着いて、波に背を向けて,顔に波を受けないようにします。 3,エイリョク喪失: 泳げる者が岸の近くで溺死した例も多くあります。 冷水では、時間とともに急速に泳げなくなります。 泳ぐのは最後の手段。 まずは艇にとどまるのが原則です。 4,低体温症: 深部体温が35℃になると、激しい震え、意識混濁、感覚喪失などの異状が始まり、34〜30℃で衰弱、シンパク低下、不整脈、筋肉硬直、30℃以下で瞳孔拡大、キン弛緩など外見上死亡しているように見え、さらには本当に死に至ります。 水中では、体温を低下させないために、あらゆる努力を払わなければなりません。 なお、救助・上陸後も、低体温症には継続して注意が必要です。 救助後の死亡例も多くあります。 3, 落スイの行動の要点. 艇の回復の努力とその限度。 艇に乗込む努力をする必要がありますが、もし十分な回復技術や見込みがなければ、回復努力ではなく、体力温存を優先します。 できるだけスイジョウ、転覆した艇の上に体を出す: 冷水中では、体をできるだけ水上に出します。 転覆した艇の上によじ登ることもやむを得ないでしょう。 着衣: 泳ぎにくくても、衣類・靴下を脱いではいけません。 衣類によって、限界時間を延長できます。 事前に着衣で泳ぐ訓練をしておくことも望まれます。 帽子・フードで頭を覆う: 体からの熱の損失の半分は、頭部からといわれます。 濡れていても脱がないことが大切です。 できるだけじっとしておく: 水中から体を出せない場合、水中では不用意な運動を避け、できるだけじっとしておきます。 運動は体熱を急速に放出し、激しい水の流れによっても熱が急速に奪われます。 水中安静姿勢: 個人浮力装備.救命胴衣,浮きワなどの着用時は、胸の前で腕を交差させ、肘を脇につけ、膝をできるだけ胸に引き寄せ、熱損失リスクの高い部位を覆います。 複数の場合は、輪になり寄り添います。 体温を奪われやすい小さい人・やせた人、疲労の激しい人を、輪の中に配置します。 以上で,「水中での身体反応と対策」の説明を終わります。