第6章,第1項, ボートは危険か?,なぜスポーツをするのか?。 この第6章では、ロウイングの安全確保について説明します。 第1項では],基本的なポリシーについて説明します。   1, 視覚障害とロウイングの安全。 安全確保の機能面で、視覚障害がハンディキャップになることは否めません。 そのため、シングルスカルでは一人で全くサポートなしに漕ぎ出すのは(今のところ)むずかしいでしょう。 しかし、クルーロウイングでは、安全はコックスが確保するので、問題なく漕ぐことができるでしょう。 でも待ってください。 「視覚障害者はクルーの安全に対して寄与できない」という考えは間違いです。 ボートの安全確保の中で、もちろん視覚情報は重要ですが、それが全てではありません。 例えば、視覚障害者の聴覚がいち早く危険に気づくということは大いにあり得ます。 一人一人が持っている機能を、できる形でクルーの安全機能に組みこもう、という意識が大切です。 「足りないことはお互いに気軽に補い合おう」、「機能の多様性はむしろ安全強化につながる」という発想が大切です。 2, ひとりひとりの安全力とスポーツ。 平和で安全な社会であるのに越したことはありませんが、現実には、事故や犯罪など、危険なことが身の回りに多くあります。 バリアフリーといわれながら、まだまだ危険がいっぱいかもしれません。 でも、いざというとき、精一杯、自分や、家族や周囲の人たちを守り、また助ける力を発揮できる存在でありたいものです。 そのような能力は、どのようにして身につくのでしょうか。 絶対安全なスポーツなどはなく、中身が違ってもスポーツには何かしらの危険、リスクがあります。 障害者スポーツは安全に特に気を配られるべきですが、それでも本質は変わりません。 特に自然の中で行うスポーツは、自然に触れ合うすばらしさとともに、自然に対峙していることに伴う独特の危険があります。 それは、不注意や不真面目さが直接、命にかかわり得る種類の危険だともいえます。 しかし、だからこそ、それにまじめに取り組むことで、確かな安全の能力を身につけることができます。 水上を漕ぎ進むロウイングは、安全能力を養うすばらしい体験だともいえます。 3, 自己責任。 ロウイングではもちろん、指導者やクラブが、初心者に十分な安全を確保しなければなりません。 しかし、一方で、スポーツには「自己責任」という大原則があります。 スポーツに取り組むにあたり、「自らの意思でスポーツに臨み、またその際の危険に対するリスクは自らが負う。責任を他者に転嫁しない。」ということです。 もちろん、初心者がすぐに自己責任を全うすることはできませんし、未成年では、指導者が責任をもって安全を確保しなければなりません。 それでも、長くスポーツを続ける過程で、「自己責任が取れる一人前のスポーツ愛好者になっていく」ということを忘れないようにしましょう。 以上で,「危険とスポーツ」についての説明を終わります。