第5章,第5項. ボイスワーク。 1, 声の基本。 視覚障害のある漕手にとって、コックスのボイスワークはもちろん、非常に大切なコミュニケーションツールであり、情報源です。 コックスの声は、各種動作と行動の指示、技術的な助言、リズムをとりタイミングを合わせる、漕手の心理状態のコントロールや応援。 といった目的で発声されます。 コックスは、大きくはっきりとした声で、また簡単でわかりやすく、さらに紳士的で品位のある言葉を心がけます。 スターンコックスでは、整調の足元へ発声すると、バウまで声が良く届くようになります。漕手は、もし声が聞き取りにくければ、「聴こえない!」と伝えましょう。 バウコックス艇では、コックスボックスを使用します。 通常の声の大きさで発声し、音量を適切に調整し、クルーにはっきりと聴こえ、他のボートには聴きとれないようにします。   2, 指示用語。 以下に,指示する声の「基本パターン」を紹介します。 ・基本パターン. 「○○いこう。さあ行こう。」と,2ストロークかけて指示するのが基本です. ・ノーワークは,「両ゲン用意して。ノーワークいこう。さあ行こう。」または,「レディ。ゴー。」などです. ・停止は,「イージーオール。イージー」。または、「ありがとう」と言います。 ・ストップは,「両ゲン。ストップロウ。」などです。 ・指示の解除,中止は,「ありがとう。」と言います。 ・方向転換は,「両ゲンでフネを回そう。バウサイドバック、ストロークサイドロウ。バウサイドから。さあ行こう。」と言います。 ・パドルは,「パドルいこう。さあ行こう。」と言います。 ・セトルダウン,レイトを落とす場合は,「大きくいこう。さあ行こう。」と言います。 ストロークの本数のカウントは、(漕手の呼吸との関係で)基本的にフィニッシュで数えるのが好ましいと思います。  ・「足蹴り10本いこう。さあ行こう。1本。2本。」 適当に、進んだ距離や時間の情報も,漕手に提供します。例えば, 「500m通過。ラスト400m。ラスト300m」。 あるいは, 「5分経過。ラスト10分。ラスト5分」といった具合です。 3,リズムをとる声について(重要)。 声には、調子をとるという役割があります。 ストローク中に「1本,,2本」とか「ロウ,,ロウ」など。 また、初期段階では、「ソーゥ、キャッチ。フィニッシュ」と、キャッチやフィニッシュのタイミングを合わせるために多用されます。 視覚障害者にとって、このリズム、タイミングを取る声、「キャッチ、フィニッシュ」の声は必須で不可欠のもののように思えます。 しかし、本当にそうでしょうか? タイミングを合わせる発声は、必ずしも必須ではありません。  以上で,「ボイスワーク」の説明を終わります。