BEASTWARS UNIVERSE

世界初のマニア向けムック登場!

 

 

TVアニメ「BEASTWARS TRANSFORMERS」は、かつて全世界的規模で大ブームを巻き起こした「TRANSFORMERS」シリーズの続編である。

前作は日本でも「戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマー」のタイトルで放映され人気を呼んだので、その名を知っている人も多いと思う。
今回の「BEASTWARS」も「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」のタイトルで1997年からテレビ東京系で放送がスタート、生身の動物が戦闘ロボットに変形するという前代未聞の強烈なコンセプトと、全編3D CGIによって描かれる今まで見たこともない映像が好評を博した。

しかし、好評といってもそれはメインターゲットである児童を中心としたもので、一部のマニアを除いては高めの年齢層にはほとんど見向きもされない状態だった。アニメ誌などが記事を載せることも極めて少なく、はっきりいってビーストウォーズに関する情報を入手するのは非常に困難であった。

 

 

猛獣大戦争はつまらない?

冷遇されていた最大の要因は、やはり「子供向け番組」であった点が大きかったのだろうと思う。
アニメや特撮のファンには、「子供向け」である事を極端に嫌がる人が少なからずいる。彼らの決まり文句は「私の好きなのは大人の鑑賞にも堪えられる高度な作品だけであって、子供向けの程度の低いものは見ない」というヤツだ。中高生あたりの年頃なら、それも仕方ないかとは思うが……。
実際には、子供向け作品であっても質の高い作品、面白い作品は多く存在するし、対象年齢が低いからといって見る価値が無いかというと、必ずしもそうとは限らない。

「BEASTWARS」も子供向け番組である事には違いないが、決して「程度の低い」番組などではなかった。

ただ、TV放映された日本語吹き替え版は、元の作品に対して大幅な脚色が加えられており、とても同じ作品と呼べるような物ではなかった。その脚色が「真面目な」アニメファン達に「バカバカしい、見る価値も無いくだらない、程度の低い子供向け作品」という印象を与えたのも、また事実であろう。

個人的には日本語版「ビーストウォーズ」のワルノリと暴走を心底から楽しんでいた。面白かった。
しかし、それと同時にオリジナルの「BEASTWARS」にあった数々の魅力が失われてしまった事を惜しいと思っているのも確かだ。

 

 

「BEASTWARS」は、どちらかというとスタートレックなどの海外SF実写ドラマに近い雰囲気の作品であった。
個性あふれるキャラクター同士の気の利いた会話や、画面の隅々・言葉の端々からにじみ出るSFマインド……そういった部分がバッサリと切り捨てられてしまったのは本当に残念なことだ。
そして、そういった魅力をもつ作品である事自体が全く知られる事無く、「単なるおバカ番組」という認識を一般に残したまま埋もれていこうとしているのは、残念どころの騒ぎではない。
ビーストウォーズの面白さを伝えようとしても「えー、そんなガキ向けのアニメなんかどうでもいいじゃん」などとアッサリ流されたりする事がほとんどであった。一般の認識は所詮その程度なのである。

ではビーストウォーズのファンはどうであったかというと……「日本語版と原語版がまったく違う作品である事がわかっていて、オリジナルのままの作品を楽しみたいと熱望しながらも、それを見ることが出来ない」というヘビの生殺しのような状態にあったのだ。
海外の友人・知人からビデオを送ってもらうとか、高価なLDBOXを購入するとか、そういった方法をとらない限り原語版を入手する事は出来ない。そのうえ、手に入ったとしても英語のセリフを聞きとって理解する事が出来ない限りはどうにもならないのだ。
よほど熱烈なファンでもない限り、あまりにも敷居が高すぎる。しかも英語が達者である事が必須条件なのだ。
最後の希望はDVDによる再リリースであったが、これも字幕の収録は無しという非常に残念な結果に終わった。

そんな状況であるから、当然ながら出版物も児童書ばかりで、濃い目のファンを満足させるようなものはほとんどなかった。海外トイのブームと時期が重なっていたため、トイ雑誌などでは特集が組まれたりすることもあったが、本編に関する情報を入手するのは、やはり容易ではなかった。時折、児童書でありながら高い年齢層を意識した記事を載せている本も出たりしたが、そこまでであった。

 

 

ビーストファンの、ビーストファンによる、ビーストファンのための本!

だが、長い間ビーストウォーズファンが待っていた、マニアを対象にした書籍が遂に発売された!!
それも、本編とトイの両面からその魅力に迫る、全てのビーストウォーズファンを満足させる最高の本が!!

この「ビーストウォーズ ユニバース」では、作品の実像に迫るために意図的に日本語版を無視し、原語版に関する記述でまとめられている。これを読めば、本来はどのような作品であったのかがわかるようになっているのだ。

日本語版で一部キャラクターの名称が変更されている事などは割とよく知られているが、実は性格設定や相互の関係などもかなり改変されている。日本語版しか見た事がない人や声優目当てで見始めた女性のファンなどがこの本を読んで「本当はチータスが最年少キャラ」とか「エアラザーは女性」などといった事実を知ったら、あまりのキャラクターイメージの違いに驚く事だろうと思う。

また、そのあたりの事は先刻承知の濃い目のファンでさえ「えーっ!?」と思うようなビックリものの新事実や裏設定なども満載されている。相当なマニアであっても、この本が物足りないなどという事はまず無いだろう。むしろ、前作とのつながりやトイ版の設定との関係、脚本と完成作品の差異などの詳細な記述は、重度のファンのほうが、より深く楽しめるといっていいかもしれない。
それから、ついつい飛ばし読みしてしまいがちだが、各話の解説や用語集などにも興味深い記述が非常に多い。じっくり読むことをオススメする。

最大の目玉は「ロストエピソード」の紹介だろう。最終回につながる重大な伏線が含まれていたにもかかわらず、「難解である」「あまりに救いが無い、暗い話である」などといった理由から製作されなかったエピソードの検討用台本が掲載されているのだ。ファン必見だ。

トイファンとしての目で見ても、元デザインと実際に商品化された物との差や正しい変形形態の写真など、見所は多い。
全商品のテックスペック(海外版トイのパッケージに書かれている詳細なキャラクター設定)が翻訳されていて日本語で読めるというだけでも、買って損はない。

 

この本を隅から隅まで読めば、この作品の本来の姿がどのような物であったのかを垣間見る事が出来る。
そして、その後で改めて第一話から見返してみれば、ただ何となく見ていた時とは全く違った印象を受ける事だろう。それは間違いない。ビーストウォーズをより深く知るだけでなく、より深く楽しむ事が出来るのだ。
ファンならば絶対に買っておくべき、必携の書だ。また、熱烈なファンでなくとも、ぜひ一度読んでみてほしいオススメの書でもある。

残念ながら発行部数があまり多くないらしく、書店で見かける機会も少ないようだ。書店や古書店で見かけたら、「この次でいいや」などとのんびりしていないで、即座に入手する事をオススメする。
「いいモノ」は、みんなで応援しよう!!

 

 

 

 

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