RUSH&CRASH
全速力でぶっちぎれ!!
これは海外版のタイトル。
ストーリー
21世紀の初め、平和な町を襲い、悪事の限りを尽くす「ザッパー」と名乗る集団が出没するようになった。特殊部隊に所属する「トップ」は、単身、敵地に乗り込んで行く。
目的は一つ、彼の妻子と町を「ザッパー」から取り戻すこと・・・。
アクセルを踏み込むと、追撃用車両AMT(アーマートランザム)が雄叫びをあげる。眼前には、果てしなく続く、デス・ロード
――――道はまだ遠い。
激烈なカーアクション
このゲームを最初にみた時、わしの頭をよぎったのは、ある映画だった。
おそらくは誰もが思いだす事だろう。そのタイトルは「マッドマックス2」!
そう、「ラッシュ&クラッシュ」は、車のゲームでありながら、その内容はカーレースではない。カーアクション、いや、「カーバトル」と言っていいだろう。
敵の攻撃をかわす!銃弾を撃ち込む!体当たりをぶちかます!
ヌルい競争なんぞではない。もっと暴力的な、もっとエキサイティングな、熱い熱い「闘い」がここにはあるのだ。
車のゲームといえば、ほとんどはタイマー制で、ぶつからない事、速く走る事「だけ」を要求される物が主流である。
映画などではぶつけたり、壊したりといった車による激しいアクションシーンが見せ場となっている作品が多くある。これだけたくさん車のゲームがあるのなら、そういう「カーチェイス」「カーアクション」を題材にしたゲームがもっとあってもいいと思うのだが、そういった物はなぜか驚くほど少ない。
しかも、その数少ない「アクションをとりいれた」作品にしても、やはりルールはタイマー制で、積極的に闘う事を求められるゲームはほとんどない。
データイーストの「ロードブラスター」やナムコの「ラッキー&ワイルド」などの例外が、ごくわずかあるのみである。
しかも、主観視点の大型台ほどではないにせよ、トップビュー、クォータービューのテーブル台においてもやはり同様の傾向が強いのは残念である。
そのことを考えれば、「ラッシュ&クラッシュ」がいかに特殊な存在であるかが、わかってもらえる事と思う。
車から自由に乗り降りできる!!
縦画面の任意スクロール(一部強制スクロールもあり)で、パネルは1レバー2ボタンだ。
レバーを入れると、その方向に車が走り出す。進行方向と逆にレバーを入れるとブレーキがかかる。
左ボタンで銃を撃って敵を攻撃。右のボタンを押すと車から降りる事が出来る。
炎上する車から脱出だ!右下で転がっている緑色のが主人公。
自車は耐久力を持っていて、ある程度の攻撃には耐える事が出来るのだが、ゲージがレッドゾーンに達すると炎上してしまう。
そのまま放っておくと、やがて爆発して1ミスとなってしまうのだが、その前に降車ボタンを押すと車外へ脱出する事が出来るのだ。
車から降りても、ショットボタンで銃を撃つ事は出来る。車に装備している物に比べると威力は大幅に落ちるが、粘り強く攻撃していけば、大型車両も破壊できる。
また、この状態で右のボタンを押すと、車から降りるかわりにその場から飛びのき、ゴロゴロと転がってとっさに敵の攻撃をかわす事が出来る。
やった!味方が新しい車を運んできてくれたぞ!乗り込め!!
画面上での車のサイズは普通のシューティングゲームの自機くらいなので、そこから降りてくる人間のキャラクターは米粒みたいに小さい。だが、そんな小さいキャラなのに、その挙動は妙に細かくて驚かされる。
人間の状態では攻撃力も弱く、耐久力もないので、かなり厳しい闘いを強いられる事になる。だが、ある程度進むと、味方が新しい車を運んできてくれるのだ。
何とかそれまで持ちこたえる事が出来れば、再び車に乗り込んで闘う事が出来るようになるのだ。頑張れ!!
驚くほどの緻密な描写
このゲームの凄い所は、細かい描写に妙に力が入っている事だ。
自車が急角度で曲がろうとすると、土煙を巻き上げながらテールがすべる!
ブレーキをかけると、ブレーキランプが点灯する!
停車中はアイドリング音が鳴っている!
車をスタートさせると、エンジンがまず低い音で唸りを上げ、ギアチェンジの音を挟みながら、徐々に甲高い音へと切り替わっていく!
敵も、サンドバギーやホバークラフトなど場所に応じた多彩な車を次々と繰り出してくるし、米粒みたいな人間のザコキャラも皆同じではなく、スキンヘッド、ソリコミ、モヒカンと色々な種類がいて、しかもそれぞれ着ている服や手に持っている武器まで違っていたりする。驚くべき凝りようである。
パワーアップも、あちこちの小屋に閉じ込められている人質を救出する事で行われる。
アイテムボックスではなく、小屋なのだ。この辺がカプコンのイカしてる所である。
やっと辿り着いたぞ!
各ステージのゴールでは、味方が出迎えてくれる。ホッと一息つく瞬間だ。だが、敵の本拠地「ザップタウン」が近づくにつれて、その数も少なくなっていく・・・。
さりげない描写を挟み込む事で緊張感を高める上手さには脱帽。
厳しい難易度!だが……。
このゲームは難しいとよく言われる。実際難しい。
だが、ゲーム誌などでは、必ず「曲がる時車体が滑るのが難しい」と書かれている。果して本当にそうだろうか。
「ファイナルラップ」で、「急ハンドルを切るとスピンするからダメだ」なんていったやつがいただろうか?
操作性に関していえば、それほど難しい部類には入らないといっていい。
実は、難しく感じるのは、激突すると一発で死んでしまう敵や罠が多いからなのだ。
普通の敵と衝突してもゲージは少ししか減らないのに、大して変わらない大きさのトラックにぶつけられると即死してしまう。
崖崩れの岩に当たってもダメージは僅かだが、見た目があまり違わないコンベアの岩に当たると一撃で死んでしまう。
青いドラム缶はノーダメージだが、赤いドラム缶に当たると大ダメージを受ける。
また、当たり判定の関係から、池などのそばをかすめて通ると、落ちていないのに死んでしまう事もある。これも理不尽だ。
プレイヤーにとっては、まだまだゲージが残っているのに突然死んでしまうのだから、「何故?」と、納得のいかない気持ちになる。
だが、接触するとダメージの大きい、あるいは即死してしまう「当たってはいけない敵」と、そうでない敵との区別がつくようになれば、だいぶ先へ進めるようになるはずだ。
さらに、一発で死ぬ敵や罠を逆に利用する事も出来る。
トレーラーや爆薬コンテナ、トラックなどをわざと破壊せずに、すぐ脇をかすめるように走ることで、追って来た敵車をぶつけて潰してしまうのだ。
主人公を押し潰そうと、道を塞ぐように出て来たトレーラーをギリギリでかわし、後から追って来た敵の車だけが次々と激突して破壊されていくのを見るのは実に痛快だ。
知恵と技で、ピンチを切り抜けろ!!
デス・レース21世紀
ゴールは遠い・・・。
自分の家へ帰り着いた主人公が見たものは、誰もいない部屋へ撃込まれた手紙だった!
「お前の妻子は預った。返してほしくば24時間以内に我が町ZAPへと来るがよい。さもなくば人質は皆殺しだ」
家族を、そして村の人々を救うため、男は車へと乗り込む。恐怖のデス・レースのスタートだ!!
現実世界の1秒はゲーム内での1分に相当する。各ステージを4分(=4時間)以内に突破しなければ、1ミスとなってしまうのだ。
個人的には、1ステージ4時間のタイムリミットではなく、「24時間以内にラストステージに辿り着けなければゲームオーバー」にして欲しかった所だが、ゲームとしては正解だろう。
各ステージを突破する毎に、残りタイムに応じたボーナススコアが入る。早ければ早いほど高得点だ!全速力で突っ切ろう!!
ステージ1 「PEACE VILLAGE」
平和な村も、ザッパーに占拠されてしまった。行く手を阻む敵の攻撃がはじまる!!
まだまだほんの小手調べだが、敵車、ドラム缶、トラック、列車砲、爆弾入りのトロッコ、大型トレーラーなど、多彩な敵がこれでもかとばかりに襲いかかってくる。
ナメてかかると、あっという間に潰されてしまう事だろう。最初のステージからこれなのだから、難易度が高いといわれるのも無理はない。
ステージ2 「ROCK VALLEY」
村を離れると、どこまでも続くかと思われるほどの荒野が広がっている。
パイプフレームのバギー・カーが軽快な小回りをみせながら追いすがってくる。巨大な自走砲にぶつけられないように気を付けろ!!
やがて、道はさらに悪くなってくる。地面にあいた穴には雨水が溜まっている。敵は、水上も自在に走れるホバークラフトを繰り出してくるぞ!!
敵は水に落ちたりはしない。だがこちらは落ちれば、いうまでもなく死が待っているのだ。
ステージ3 「STONE HILL」
だだっ広い荒野から一転して、今度は峡谷だ。
左右に曲がりくねった狭いフィールドを進むようになるので、今までとは少しばかり違った感覚で走らなければならない。
谷底の狭い道に奇妙な形の車が止まっていて、何かなーと思ってみていると、突然そいつが山肌に向かって砲撃をかまして、崖崩れを起こしてくるぞ!普段は崖を切り開き、道を広げる為に使われているのだろう。岩に当たらないようにすばやくかわせ!!
さらに進むと、今度は入り組んだ水路があらわれる。
谷底へ転落すれば、もちろん即死だ。所々にベルトコンベアがあり、岩を谷へ落としている。山から切り出した岩で埋め立てようとしているのだろう。コンベアに落とされないように気を付けながら、岩の間をぬって進め!!
ステージ4 「ARMED PORT」
河を下ると、海に出る。ザッパーが利用している武装港だ。
いきなり地面がコンクリで舗装されているので驚かされる。
ここからどこかへ運び出すのか、それとも荷を降ろしている所なのか、あちこちに爆薬入りのコンテナが置いてあって危険極まりない。もちろん激突すれば即死だ。
その先には大型トレーラーがずらりと並んでいて圧倒される。
このトレーラーは、ここまでの闘いで、一台置いてあるだけでも主人公を苦しめてきた強敵なのだが、それが無数に並んでいるのだからたまらない。
ここで挫折するプレイヤーは数多い。負けるな!頑張れ!!
ここから先は、はっきり言ってかなり厳しい。だが、突破するのは決して不可能ではない。
たとえ厳しくても、近年の、「コンティニューさせる事を前提としたデタラメな難易度」とは違う。頑張れば、誰でも必ず一周は出来るはずだ。
敵の様々な工夫を凝らした攻撃を実際にその目で見て、驚き、感心してほしい。
そして、ぜひともそれらを自力で突破して、感動のエンディングまで辿り着いてほしい。