ヤダじぃのひとりごと
2014年・・・

平成26年12月31日

  またまた年越しを迎えることになった。今年は広島の土砂災害を含め、自然災害が多かった。気象現象の異常が報じられることが増えつつある。これは自然環境の微妙なバランスの崩れと関連しているに違いない。
  プライベートでは困難な問題に直面することがあった。一人暮らしの母が救急搬送され、結果的に両親ともに施設入所になってしまった。周囲にかなりの迷惑をかけた。それにしても施設(ツクイ)のスタッフはとてもよく動き、人柄もいい人達ばかりで感謝である。両親ともに施設入所してずいぶん元気にしていただいた。介護サービスの有用性が実感できた。
  私自身に迫りつつある老いを感じることも多かった。右上腕の激痛。おそらく五十肩であろうが、消炎鎮痛剤を塗ってもほとんど無効である。日常生活に支障を生じている。そして、パソコンのモニターを見続けることが多いせいか、視力は確実に落ちた。もともと眼が悪いので、どこまで見えなくなるのか不安でならない。この1年で性機能もずいぶん落ちた。寂しいものである。同じ業務をやっても時間がかかることが増えた。仕事の能率が上がらないのだ。いつも外来診療では最後まで取り残される。医師が多くいるので、自分の患者さんでも急な対応は他の先生方にお願いすることが多かった。それでも時間内に終わらない。処方日数を長くして、患者数をかなり減らしたつもりだが、それでもである。外来診察室を出ることが午後8時、9時になることは逆に増えた。面倒な問題も多かったようには思うが、自分の能力と意欲の低下が仕事の効率を落としていることは違いない。1日が終わるとぐったりきて、書類など書く気が起きない。おかげで、年末に書き残した書類は過去最大数になってしまった。まだ依頼した診断書ができないのかと催促を受けることも頻回にあった1年だった。事務の方など皆に迷惑をかけた。居眠りをすることが増えた。
  パソコンでの書類作成が主であるのも遅延の原因である。同じ内容ならパソコンを使えば楽になるのではないかと思われがちだが、時間が経つと、けっこう患者さんの状態は変化しており前回の診断書から内容を修正しなければならないことも多い。文書作成に追われて、1件1件時間をかけておられない。細かいところはあいまいになってしまう。こういう環境下で作った文書内容にクレームをつけられるとついイラっとならざるを得ない。事務に文書作成の補助者はいるものの、期待する半分くらいしか役立っていないと思う。おそらく事務補助者にもう少し教育をすると、もっと楽になるかもしれない。手書きの方が早いこともある。今のところ、スピードを優先するならパソコンと手書きの併用がいいように思う。
  相変わらず、診察時に電子カルテ上で診察医が予約をとるシステムは変わっていない。この操作が煩雑で手間がかかり過ぎ、意欲低下につながる。患者さんの待ち時間が長くなった一因は現在の完全予約制のせいだが、改善されるきざしは今のところ全くない。原始的な操作方法を改善して欲しい。予約変更のために看護師の電話対応も激増し、スタッフを増やさざるを得なくなっている。患者さんが自分で予約をとれるシステムを開発すればベストだと思う。その際には、是非、現場の声を聴取し、問題点を十分検討後にして欲しい。
  今年は入院して来られる患者数は多いにも関わらず、病床稼働率が上がらなかった。これには改正精神保健福祉法による圧力も大きい。医療保護入院の場合、入院時に決めた入院期間を超えると、退院支援委員会を開かなくてはならない。面倒なことを避けるために期間内に退院させたいという力がどうしても作用してしまう。また、急性期や救急病棟では決まった割合の患者を3ヶ月以内に退院させないといけないこともある。極端な言い方をすれば、病状が良くなり安定度が高まってからの退院ではなく、一定の期間がくれば退院とせざるを得ないような圧力もある。じっくりと腰を据えての治療目的の入院より、その場の緊急事態を回避するための非常に短期間(1〜2日)の入院が多いことも稼働率が上がらない要因である。
  精神保健福祉法の改正により、医療保護入院の同意者の範囲が広がり、多くの場合、便利になった。しかし、市長保護の申請が非常に厳しくなり、家族はいるが非協力的な場合の入院が成立しにくくなったのは新たな課題である。おそらくそのうち大きな問題が起きそうな気もする。
  外来患者さんの支援体制の充実には目覚ましいものがあり、再入院を防ぐためのさまざまな努力がされ、その著しい成果が上がっていることは大変評価できる。これも病床稼働率を下げる一因になろう。このままいけば、精神病圏の患者さんの入院はどんどん減ることが予測される。長期入院されていた患者さんや短期間で入退院を繰り返していた患者さんは確実に減った。地域で支える体制が充実してきたのは歓迎すべきことである。リハビリテーションや障害福祉サービスの領域は今後ますますの広がりが期待される。今年は通院患者さんへの密な個別対応(特に自立訓練事業所)の有効性を確実に実感できた1年であった。昨年から、入院患者さんの作業療法(OT)も365日行われることになった。今日も明日もOTがある。作業療法士の患者さんへの関わりも目立つことが多かった気がする。
  さまざまな部署から院外に情報発信することは確実に増えており、病院全体のレベルが上がりつつあることは間違いない。
  個人的には来年は、よりいっそう業務の効率化(楽をするためのさまざまな工夫)と手抜きをはかり、せめて19時までに仕事を終わらせること、言葉の処方メニューを増やすことを目標にしたい。

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