ヤダリンのひとりごと
診療報酬改定案における「適切な向精神薬使用の推進」について

平成26年2月5日

平成26年4月の診療報酬改定案に関し、当初、向精神薬の多剤処方について、通院・在宅精神療法の減算がされるとの話が出ていたが、本日(2月5日)の中央社会保険医療協議会総会によれば、結局それはなく(日本精神神経学会の積極的な働きかけによる結果とも言えよう)、精神科継続外来支援・指導料、処方せん料、処方料、薬剤料に関して、それぞれ、「□剤以上の抗不安薬、□剤以上の睡眠薬、□剤以上の抗うつ薬又は□剤以上の抗精神病薬の投薬を行った場合、減算」という形になった。おそらく、□は「3」になることが予想される。抗不安薬に関しては、□=2でもいいかなと思う。また、「減薬に必要な期間を設けるため、平成△年△月△日より導入」となっており、多少の配慮が感じられる。精神科継続外来支援・指導料を算定することはまずないので問題にならない。□を「3」とした場合、この条件を満たす人がどのくらいいるものであろうか。我々の外来の患者さんを考えた場合、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬に関しては、3剤以上出ている例はほとんどないのではないか。ただ、一部の神経症圏あるいはパーソナリティ障害圏の患者さんに関し、睡眠薬が3剤以上出ている場合が少しあるかもしれない。しつこく睡眠薬を要求される場合、「法律で出せなくなりました」と断る根拠に使えることになろう。睡眠薬を一定量飲んで、それでも不眠の人は、それ以上睡眠薬を追加する意味はなく、もうろう状態やふらつき、転倒を起こす危険性が増すだけである。不眠について、薬物療法以外の対処法を考える良いきっかけになるであろう。総合的に見ると、結果的には適切な向精神薬の推進につながるのではないかと評価したい。

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