ヤダリンのひとりごと
2008年を迎えるにあたり

平成19年12月31日

   後、今年も残すところ数時間になった。暖かい日が続き、忘年会が済んでも、なお年末だという感覚がなかったが、昨日は初めて雪が散らつき気温も下がり、急に年末になった気がする。明らかに昔に比べると気温は上昇している。何十年か先には、時期によっては北極海から氷が消えるらしいから温暖化の問題はただ事ではなかろう。
   私は今の勤務先に勤めて20年目になるが、仕事の内容は大きく変化した。20年前は診療の大部分は統合失調症(当時、精神分裂病)患者さんを診ることであった。しかし、どんどんその割合は減っている。現在、統合失調症患者さんを待っているようでは仕事は回ってこない。昔は、警察や救急隊が連れて来る患者さんは、まず精神病圏であった。今はほとんどゼロである。救急車で来る人は、ほとんどが歩いて帰宅できる人である。救急車での搬送があまりにも多い。我々からすると簡単に救急車を使いすぎている気がする。本来、救急車は生命に危険が迫っている人が利用すべきであって、当然タクシー代わりに利用してはならない。救急車の利用者には精神疾患を持った人がけっこう多いと聞いた。こんなことでは、救急隊に非常に迷惑をかけるし、他科の先生方や病院からの精神科に対するイメージダウンにつながる。本当に他科に救急をお願いする必要がある時に受けてもらえない結果になる。とにかく救急車を呼ぶ時には十分、注意をしていただきたい。できれば、かかりつけの病院に連絡をとり、まずどうすればいいかを落ち着いて考えていただきたい。特に何度も同様のことで救急車を呼ぶような場合は、普段から主治医と対策を検討していただきたい。中には、時間外に救急車で行けば必ず診てもらえるとか入院させてもらえるという理由もあるようなので驚く。救急車が適正利用されることを強く望んでいる。時間外の診療や救急医療を行うようになると必ず、軽い患者さん(本人さんはそうは思わないかもしれないが)が多くを占め、その対応に忙しくなる。医療のコンビニ化は必ずしもいいとは言えない。大切なことは、緊急性の有無の判断である。それを誰がどういう形で行うかが課題であろう。
   とは言え、勤務先の病院は、来年いよいよ精神科急性期治療病棟が開設される予定である。これは、あまりにも遅いことだ。これまでも、病棟編成を変えれば、患者さんの入退院数からすれば、簡単に急性期治療病棟は成り立つのであるが、それが今まで困難であったのは広島県の特殊事情によるところが大きいと考えられた。地域によっては精神科病院のかなり多くが急性期治療病棟を運営している。地域差が大きいことには驚かされる。
   個人的には来年は「時間を守ること」を目標にしたい。できるだけ時間をかけない医療を行いたい。外来診療の終了時刻が遅いことについては強い批判があったようだ。午後9時を過ぎたり、連日7時を過ぎたりといったことが原因であろう。今後、診察時間は徹底して短時間にするつもりだ。話を聞いてもらいたい患者さんは離れてもらってよいと考えている。午後5時には診療がきちんと終了することが重要である。患者さんも大切だが、スタッフも大切にしないといけない。時間が守れるよう、自分の技術を高めることを私の第一の目標としたい。そして、統合失調症以外の得意領域を見つけるために勉強したい。
   今年は48歳になり、少し健康に自信がなくなった。先日、頭のMRIを撮ってもらい、脳実質には異常がないようなので安心はしたが、血管に動脈硬化性の変化が見られた。検診ではもう何年も脂質の高値が続いているので注意しないといけない。数年前の不整脈がまた出始めた。危険なものではないようだが頻発すると気持ち悪くて集中できない。その他にもいくつも不調が出てきた。自分の健康面にも注意を払っていきたい。

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