ヤダリンのひとりごと
2006年…

平成18年12月31日

   今年もあと4時間を残すのみとなった。あっという間に過ぎた1年であった。なんとかホームページの更新が間に合った。年末には更新するんでしょう?と何人にも言われていたので放置するわけにいかなかったというのが正直なところである。
   今年は病院に医師が増えた。精神科常勤医は12人体制になった。何年か前に病院に入職する医師はほとんどいなかった。いったいどうしたのであろうか。でも仲間が増えるのはいいことだ。皆、それなりに得意領域を持つ暖かく明るい先生方ばかりである。他の先生方の意見を聞くことで教えられることは多い。他人との会話は自分を成長させると思う。
   患者さんの入退院がますます激しくなった。ベッド回転の指標となる平均在院日数は、200日を切る勢いである。退院者のうち、30%以上が1か月未満の入院期間である。それを含んで60%ちょっとが3か月未満の入院期間である。それにしても、統合失調症患者の占める割合は減ってきた。初診患者は、病院全体で月に80〜90人前後来られるが、統合失調症患者の割合は10%をわずかに超えるくらいである。初診患者の半分は、気分障害か神経症領域の方である。私としては寂しいものがある。病院の外来はしだいにクリニック化している。また、初診の4、5人に一人は認知症患者である。とにかく高齢者が増えた。どこの病棟にもお年寄りの姿を見る。ものすごい勢いで高齢者が増えている。そのため身体的な問題で他院に転院する患者も多い。福島生協病院や加川病院には常に当院の患者が何人か入院されている状況である。
   今年の2、3月は自立支援医療費制度の診断書作成に忙殺された。1件数分で書き上げないとすぐカルテの山になってしまう。パソコンが大活躍した。通院医療費公費負担制度(旧32条)の診断書はすべてパソコンに入れていたので、それをコピーすることでほとんど何とかなった。しかし、書類が増えたものである。精神科医の仕事の半分は書類書きのようなものである。今は、患者さんが退院されると退院サマリーを提出することになっている。これを書くのも負担であるが、これがあると病歴の概略がわかるので何かと便利ではある。退院サマリーは診療情報管理室で管理されている。今年は2名の診療情報管理士が誕生した。
   医療機能評価更新の受審も大きなイベントであった。職員皆よく頑張った。これに1回でパスするのは並大抵のことではないようだが、クリアーしたのだからすごい。重箱のすみをつつくようなことをうるさく言われ、形式的なことに無駄な時間を費やし本来業務に支障をきたすというデメリットはあるが、一人の患者に多くのスタッフがさまざまな視点から熱心にかかわり濃厚な支援をするようになったこと、スタッフ間の情報共有化がかなりスムーズになったのは大きなメリットであろう。
   今年は、エビリファイという新しい抗精神病薬が発売されたが、その良さがまだ実感できないまま終わってしまった。抗精神病薬は、ジプレキサとリスパダールがあればほとんど何とかなるとの考えは今年も変わらなかった。いずれも急性期から使える。ジプレキサは維持期において、病状の揺らぎが非常に少ないとの印象がますます強くなった。体重増加や血糖値、糖尿病、高脂血症など代謝系の問題をかかえてはいるが、それを超える良さが感じられる。特に情動面の安定化と認知機能や思考機能の改善に優れている。ただし、生活習慣の改善には十分努力する必要がある。リスパダールは、維持期において1から2mg/日の少量での良さが多く感じられた。しかし、新規薬剤で深追いしすぎるとうまくいかないこともある。新規薬から従来薬であるリントン(ハロペリドール)やレボトミンに変更し、とても落ち着いた例を経験した。新しい薬ばかりがいいわけではなく、患者さんに合った薬剤を柔軟に選択していきたいものである。
   体力的に無理を感じることが出てきた。私の当直の夜は外部からの電話が非常に多い。午後9時から12時は電話対応に追われ動けない。その後、病棟を回っていると深夜になる。最近は、12時を過ぎるとそのまま眠り込んでしまい、病棟回りが朝方になることもある。当直の夜に書類書きをするのは無理になった。以前は、午前2時3時でも電話を受けていたが、とてもそんな元気はない。午後の外来終了が遅い時には、デイケアの記録を見に事務所に行くのが午前3時以降になることがある。いずれ電話対応の時間もさらに制限させていただくことになるだろう。
   少しばかり自宅の庭が広くなった。知らぬ間にずいぶん綺麗になっている。これからどう変化していくのか楽しみである。

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