ヤダリンのひとりごと

平成12年10月4日

 道端に咲いているコスモスがとても奇麗である。先日も、つい車から降りてしばらく眺めたくなった。郵便局からは来年の年賀葉書の購入申込書がきていた。本屋さんに行くと2001年の手帳が並んでいる。朝、晩は少し寒く感じる。でも、先日の小学校の運動会の日は、夏のように日焼けしてしまい、患者さんからは「熱でも出てるんですか」などと言われてしまった。陽が沈むのも早くなった。午後6時にもなるとすっかり暗くなる。アフタファイブをデートしてすごすカップルにはとてもいい季節であろう。とにかく時の経つのは早い。
 不思議なことがある。それは秋には入院患者さんが少し減りがちになることだ。新しくオープンした病棟の病床がかなりうまってきたため、新たな入院者の増加率が鈍った結果そういう印象を与えることもあるのだが、精神科一般病床にわずかなゆとりがあるようだ。もちろんそのうちすぐに空きがなくなる可能性はあるが。平成9〜11年の病床利用率を調べてみるとなぜか毎年同じような変動が見られる。季節性があるのだ。9月から11月にかけ病床利用率は下がる傾向にある。なぜかわからない。他の病院でも同じかどうかもわからない。
 精神疾患と季節との関連が語られることがある。季節性感情障害といって秋から冬にかけてうつ状態になり、春から夏になると回復するという病気だ。過眠や過食の症状がみられることが特徴で、人工的に光を当てる光療法という治療法もあるらしい。また、精神分裂病の患者さんは冬生まれが多いとされている。
 ところで、最近、うつ病の患者さんを診療することが増えた。公務員のKさん、アルコール依存症のOさん、産後うつ病のN1さん、更年期うつ病のN2さん・・・。しかも入院を要さない軽い人が多いように思う。これは一般的な傾向のようである。そのせいか、新しい抗うつ薬が次々に開発されているようだ。昨年は、SSRIが発売された。明日、10月5日は、SNRIというグループに属する新しい抗うつ薬「トレドミン」が発売されることになっている。副作用が少なく効果は高く、しかも効果発現時期が早いという。言われていることと実際に使った感触は異なることもけっこうあるので今のところなんとも言えないが、少しでも現代病であるうつ病の患者さんの苦痛を取り除くことに役立つという結果が実感できることを期待している。

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