ヤダリンのひとりごと
老人性痴呆疾患病棟
平成12年8月1日

 勤務先の草津病院は、平成12年3月1日、リニューアルオープンしたが、増床した160床のうち110床は、老人性痴呆疾患治療及び療養病棟といって、徘徊や興奮など異常行動を有するために閉鎖的空間での治療を要する痴呆性老人を対象とした特殊な病棟である。平成12年7月29日の時点で110床のうち98床が利用されており(利用率89.1%)、開設後5か月でこれだけのベッドがうまったというのは驚きである。既存病棟から移動された患者さんもおられるが、大部分は新規の入院者である。途中から、原則70歳以上(一部65歳以上)という広島独特の年齢制限が撤廃されたことも病床利用率が上がったきっかけになっているであろう。
 私自身は老人の患者さんを全くと言っていいほど受け持っていない。こんなことを口にして非難をあびるのは覚悟であるが、私は老人のスローテンポについていけないのだ。と同時に身体合併症が多く手に負えないのである。そんな私にあれこれ言う能力はないが、一つだけ薬物療法について言えば、できるだけ少量の薬を短期間使用するのが原則と考えていることだ。入院するだけで、また環境が変わるだけで問題が解決する場合がけっこうあるようだ。
 痴呆患者さんの看護や介護は大変だと思う。転倒すればすぐ骨折に至るし、食事の際には誤嚥しないように常に注意を要するし、老人とはいえ体格抜群で暴力的になる方もおられる。看護者、介護者には是非燃え尽きることなく頑張って欲しいものだ。と同時に私自身、少しは勉強して、せめて家族の心理教育(サイコエデュケーション)だけにでも協力ができるようになりたいと考えてはいるのだが。

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