Q | 私は統合失調症と診断されており、従来型の抗精神病薬を飲んでいます。 現在、とても調子が良く、特に困ることはありません。それでも非定型抗精神病薬に変えてもらった方がいいのですか。 |
A |
■非定型抗精神病薬は、非常にすぐれた薬剤です。陽性症状(幻覚や妄想など)の改善のみならず、陰性症状(意欲低下や引きこもりなど)の改善、認知機能障害(集中力低下、注意力低下、記憶力低下、情報処理能力の低下、遂行機能の障害、言語能力の低下など)の改善に優れ、生活の質(QOL)を高め、社会参加しやすくします。そして、副作用がとても少なく、続けて飲みやすく、再発をこれまでの薬剤以上にしにくくする可能性があります。 ■しかし、万能薬ではありません。すべての患者様の病状を良くできるわけではありません。非定型抗精神病薬よりも、従来薬が合う方もおられます。従って、現在、とても調子が良く、特に困ることがないのなら、あえて変更の必要はないのかもしれません。 ■ただ、とても調子が良くて、特に困ることはなくても、問題点に気づかないだけであって、非定型抗精神病薬に置き換えてみると、今までよりも「物事が考えやすくなった」「体が軽くなった」「楽になった」などと言われる場合がありますので、状況に応じて、新しい薬剤への変更を検討する意味はあります。また、副作用を抑える薬を減らせたり、錠剤の数や、服薬回数を減らせ、処方をよりシンプルなものにできる可能性はあります。 ■薬を変更することへの不安が非常に強く、さほど影響がないはずであるのに、わずかな変更でも調子を崩す方がいるのは事実です。このような場合は、無理をしてまで変更しないことがあります。 ■それから、従来薬から非定型抗精神病薬への変更途中には、一時的に病状が不安定に見える時期があり、より細かな状態の観察や薬の調節が必要になることがあります。従って、医療側でそのような対応が困難な場合には、変更しない方がいいかもしれないでしょう。 ■病状が悪化すると、極端に悪くなったり、危険な行動をとる傾向がある方の場合、もし、現在非常に安定した状態が維持できているのなら、非定型抗精神病薬に変える時には慎重になった方がいいと思われます。 ■また、現在、服用している薬の量がトータルで非常に多い場合は、非定型抗精神病薬単剤への置き換えは困難かもしれません。まずは、従来の薬を減らすことが必要でしょう。ある程度まで減らして安定した状態が続くなら変更ができるかもしれません。しかし、大量の従来薬を少量の非定型抗精神病薬に置き換えられる例はあります。 (2003.8.7) |