Q | 措置入院について教えて下さい。 |
A |
★精神科に入院する場合、4つの入院形態があります。それは本人の同意に基づく「任意入院」と自発的ではない入院の「措置入院」「医療保護入院」「応急入院」です。 ★多くの入院形態は「任意入院」と「医療保護入院」であり、この2つを合わせて入院の大部分をしめています。「措置入院」は少し特殊な、強制力の強い入院となります。地域によっても差があるようですが、数的にも入院者全体の1〜2%くらいであり、広島県の場合、全体で110名くらいのものです。 ★たとえば「隣の住人に電波で自分の頭をコントロールされる」という考えに支配され、隣の家にガラスを割って侵入したために警察通報された場合を考えます。通常、ガラスを割って他家に入れば、器物損壊と家宅侵入という犯罪に相当します。ところが「これはどうも普通ではない。精神異常が疑われる」ということになれば、警察官は都道府県あるいは政令指定都市に通報します。すると、都道府県知事あるいは(政令指定都市の場合)市長は、2名以上の精神保健指定医を指名して、精神保健鑑定を指示します。これは強制的な診察になります。このような場合、多くは警察の留置場や取調室で診察をすることになります。その結果、精神障害があり、このまま放置すれば自分を傷つけたり他人を傷つける可能性があると判断される場合、2名の指定医とも意見が一致すると、措置入院が成立します。犯罪に対する処置よりも「まず入院して治療を受けなさい」というわけです。少なくとも1人の指定医が「措置不要」と判断した場合は措置入院は成立しません。 ★この措置入院は、本人の意志でも家族の意志でもない、知事あるいは市長命令による強制入院です。最も強制力の強い入院です。入院時には措置入院である旨を記載した文書を鑑定に立ち会った行政機関の職員から手渡されることになります。 ★もちろん、「不当に入院させられた」など納得がいかない場合は、都道府県や市に退院請求を出す権利は与えられています。また漫然と措置入院が行われることのないようにいくつかのチェックがされています。 ★措置入院の場合、措置解除がされるまでは原則として、職員が同伴することなく病院から外に出ることはできません。 ★措置症状が消退したと指定医が判断した場合は、その報告をし、知事あるいは市長が措置を解除することになります。 ★措置解除は、措置症状の有無を検討してなされるものであり、措置が解除されてもなお入院治療の継続が必要な場合も多くあります。そのような場合、「医療保護入院」や「任意入院」に入院形態を移行させていくことになります。 ★措置入院は、他の入院形態に比べて必ずしも病状が悪いとは限りません。治療に結びつく経過の違いで、運悪く措置入院になる場合もあるのです。措置入院は強制力が強いため、退院に向けてのリハビリ活動などに支障を生じるため、我々は措置入院が長引かないように常に注意を払っています。 |