Q | うつ病の治療を受けなければどうなりますか。 |
A |
★一生のうちにうつ病にかかる人は、100人に6〜7人と言われます。これは、精神分裂病などよりもずっと多い数です。しかし、実際に治療を受ける人は約半数だとされます。 ★これはやはり精神科受診に対する敷居の高さ、「気の持ちようでなんとかなる」といった誤った考え、一般科の医師の認識の低さにより精神科へなかなか紹介していただけないこと、などの理由によると思います。 ★もし、うつ病にかかって治療を受けなくても、自然経過で時間が経てばもとに戻る可能性はあります。これは風邪ひきと同じと考えてよいでしょう。風邪だって風邪薬を飲まなくても多くの場合は自然に直ります。しかし、高熱が続いたり、頭痛や喉の痛み、鼻がずるずる出たり、鼻づまりや痰で息苦しくなったり、体がだるくなったりろくに食べることもできずにしんどい思いをすることでしょう。また、放置すると時には肺炎のようなより重大な病気にすすんでいく可能性があります。 ★うつ病の治療を受けなければ、受けるよりも、より長期間にわたってうつ病に苦しまなくてはいけません。うつ病は全般的なエネルギー低下状態であり、本人の苦痛は大変なものがあります。かなり多くの人は自殺を考えたり行動を起こしたりします。また、仕事や勉強、家事ができなくなります。その期間が数ヶ月に及びます。さらに、いったん軽快しても繰り返し同様のことが起きる場合があります。 ★従って、苦痛を和らげ苦しむ期間を短くするために、日常生活に支障をきたす期間を短くするために、自殺を防ぐために、繰り返すことを防ぐために、他の病気が隠れていないことを確認する意味でも、やはりうつ病になれば専門家にかかり治療を受けるべきなのです。 ★うつ病は「うつ状態」を呈しますが、精神分裂病が「うつ状態」で発症することがあるし経過中に「うつ状態」をきたすことがあります。またパニック障害や強迫神経症、アルコール依存症、人格障害でも「うつ状態」を呈することがあります。専門家を受診することで、他の病気が見つかることもあるわけです。 ★眠れない、食べれない、気分がすぐれない、ゆううつ、何かをしたり人に会うのがおっくう、普段興味や関心を持っていることがおもしろくない、何事も悲観的に考えてしまう、自信喪失、死んでしまいたい思うといった症状が2週間以上続く場合は、精神科、神経科、心療内科などの受診をおすすめします。 |