Q | リスパダールという薬の特徴を教えて下さい。 |
A |
■これまでの抗精神病薬は、薬理学的には脳の中のドパミンという物質のアンバランスを整える作用が主であり、幻覚、妄想その他の病的な体験や滅裂思考、興奮などの症状(これらを陽性症状と言う)の改善には効果があるものの、感情表現の低下、快感の低下、意欲低下、思考や会話内容の乏しさ、興味や関心の低下、引きこもりや孤立傾向といった症状(これらを陰性症状と言う)の改善にはあまり効果がないとされていました。そして、錐体外路症状や抗コリン作用や抗ヒスタミン作用などの副作用が問題になっていました。 ■近年では、従来の抗精神病薬とは違って、脳の中でドパミンのみならずセロトニンという物質にも関与し、上記の陽性症状に加え陰性症状に対しても改善効果があり、副作用も少ない薬剤が出てきました。これらをセロトニン・ドパミン受容体遮断薬(SDA)と呼びます。 ■リスペリドンはこのSDAというグループに属する第一号の薬剤です。 ■リスパダールはリスペリドンの商品名です。日本では、平成8年6月から発売されています。1mg錠(識別記号:JK101)、2mg錠(識別記号:JK102)、細粒があります。1日12mgまで使用できます。 ■精神分裂病の第一選択薬の一つとしてのみならず、気分障害(躁うつ病)、老年期痴呆の不穏や攻撃性、神経症など幅広く使われるようになってきました。 ■あまりにも宣伝されすぎてしまったためか、この薬を自ら希望される方が多くなっていますが、分裂病の患者さん皆にこれが効くわけではありませんし、副作用が出る場合ももちろんあることは、他の薬剤と同様です。 ■私は、情動面での不安定さが少ない方や安定維持期の精神分裂病の患者さんに1〜6mg/日を使用していますが、まだ十分使い慣れないせいもあるのかスルピリドやパーフェナジンの方が使いやすい印象があります。 |