外来通院していますが、時々血液検査をすすめられます。どういう意味があるのですか。
精神科でも血液検査を行います。それにはいくつかの意味があります。不必要に行っているわけではありません。
(1)薬の副作用のチェック目的−−−薬の副作用で、肝機能障害や骨髄機能の障害が起きることがあります。それらを早く見つけるために、また薬を飲み始める前に異常がないかどうかを調べるために行います。
(2)精神症状が体の病気が原因でないことを確認するため−−−肝臓や腎臓、膵臓腫瘍などの内臓疾患、甲状腺や副腎皮質などの内分泌疾患、全身エリテマトーデスや慢性関節リウマチなどの膠原病、インフルエンザや肺炎などの感染症、糖尿病などの代謝疾患など、さまざまな内科疾患で、せん妄、抑うつ、意識障害などさまざまな精神症状を呈します。おかしな言動があるからと言っても必ずしも精神分裂病などの精神疾患だけではなく、体の病気が原因のことがあります。このような場合、体の病気の回復とともに精神症状も治っていきます。
(3)健康診断的な意味−−−糖尿病や高脂血症などがしばしば見つかります。
(4)薬の血中濃度測定−−−血液の中の薬の濃度が適切かどうかを調べます。濃度が低いと効果がなく高すぎると中毒症状が出るような薬剤の場合が主になります。通常は限られた薬についてのみ行います。抗てんかん薬や炭酸リチウムが中心です。抗精神病薬の場合は、通常ハロペリドールとブロムペリドールしか測定できません。濃度を調べることできちんと薬が飲めてるかどうかを知ることもできます。
初診時には、上記(1)(2)が目的で、その後治療経過中には(1)(3)(4)が目的で血液検査を行います。外来通院の場合は、私は年に2〜3回の頻度で行っています。異常値が出たり、内科的合併症がある場合はもう少し頻回に行います。また、入院中は投与薬剤量や薬の変更が多いため頻回に行います。時々お金がかかるからと検査を受けない方がおられますが、上記のような理由により医師からすすめられた場合は是非、検査を受けてもらいたいものです。
時々、私の方が忘れていて「先生、もう長い間、検査を受けてないんですが」と言われてしまうことがあります。なお、職場の検診結果などをお持ちの場合は、持ってきていただければ検査を省略できる場合があります。