強迫性障害とはどんな病気ですか。
強迫神経症と同じ意味です。
自分ではやめたいと思っていても、ある一つの考えが繰り返し浮かんだり、ある行動を繰り返さざるを得ない状況が続くことです。たとえば、いくら手洗いをしてもきたない気がして何時間でも手を洗い続ける、戸締まりをしても本当に鍵をかけたか繰り返し確認する、ガスの栓を締めてもやはり気になり何度も確認する、一度トイレに入るとトイレットペーパーを一巻きの半分以上使う、レストランをいったん出た後、タバコの火を消し忘れたのではないかと気になり再び戻ってくるなどの例があります。やめようと思ってもやめられない本人の苦痛は大変なものと想像できます。周囲に確認を求めたりするため周囲の人も大変な思いをすることがあります。たとえば、ある場所に行くのに決まった道しか通れず、タクシーの運転手に道順を支持するような例がありました。
上記のような強迫症状は、強迫性障害(強迫神経症)の中心症状ですが、精神分裂病など他の病気でも見られることがあります。また注意したいのは、強迫神経症と見える状態が実は精神分裂病の初期症状の場合があることです。病気そのものは、全く異なるものです。強迫症状をみた時には経過を注意深くみる必要があると思います。強迫神経症も重症になると精神病的に見えることがあります。また、うつ状態を合併することがあります。
脳内のセロトニンという物質のアンバランスが原因ではないかと推測されています。
軽いものは誰でも経験があるのではないでしょうか。この病気を一生のうちに経験する人は100人に2〜3人います。さほどまれな病気ではありません。20歳前後の発症が多いとされます。発病のきっかけは、あることもないこともあります。比較的、急に発症することが多いようです。
治療は、現在薬物療法が中心になっています。クロミプラミン(商品名:アナフラニール)、フルボキサミン(商品名:デプロメール、ルボックス)などの抗うつ薬やブロマゼパム(商品名:レキソタン、セニラン)などの抗不安薬が使われます。薬物療法と合わせて精神療法も行われます。約3/4は良くなるとされています。